喜多見柚「新しい日常」 (19)

『Pサン!今日久しぶりに、ちょっとだけ事務所に行ってもいいカナ?』

『お疲れさま。大丈夫だよ。ちひろさんに連絡してから行くようにしてください』

『あれ?Pサンはどこか行ってるの?』

『体調不良で、今週いっぱい出社制限中』

柚「なんと」

『えっ大丈夫???体調不良???』

『平熱だけど一応。大丈夫です。ご心配おかけします』

柚(LINEだとちょいちょい固いの面白いナ)


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柚「…」

柚(前まで来ちゃってたけど、Pサンいないかー。そっかー)

柚「…まっすぐかえろ」

聖「柚さん?」

柚「?」

柚「聖チャン。こんにちは。久しぶりー」

聖「お久しぶりです……。あ……それ……マスク、かわいいですね」

柚「あっ、へへ。可愛いでしょ。柚カラーに、柚子マーク♪」

聖「かわいいです」コク

柚「ねー」

凪「なー」

柚「なーじゃないかナー」

凪「なー」

聖(鳴き声?)

柚「凪チャンもおひさー」

凪「おひさーは年バレってやつですね。15歳の貫禄を感じます。おひさー」

柚「今日も飛ばしてるね!」

聖「お久しぶり……です」

凪「うむ」

柚「貫禄出そうとしてるナー」

凪「貫禄出そうとしてるなーです」

聖「……ふふ」

柚「奇遇だ」

聖「そうですね」

凪「凪はふわりと寄り道のところですが、お二人は」

柚「飛んでる?」

聖「少し……お仕事のことで。ちょうど、帰るところです」

柚「アタシは凪チャンと一緒で、ちょっと、寄り道。あんま良くないカモだけど」

柚「二人とも向こうの方?ちょっと一緒に歩こっか」

凪「すとん。了解しました」

柚「降りてきた!」

聖「ふふ……」

凪「しかし、寄り道もままらないご時世です」

柚「そうだねー。まあその、凪チャンくらい厳重にしてれば、いいカモ?」

聖「フェイスシールド、してますもんね……」

凪「このまま触れてくれないと凪といえど凧になって飛んでいくところでした。恥ずかしさで」

柚「ツッコミ待ちだったかー」

凪「いえ、全部マジです」

柚「だろうね。似合ってる」

凪「マジですか」

聖「まじ……です」

凪「複雑な心境。凧です。飛んでっちゃいたい。でも嬉しい。凪です」

柚「ややこしいね!」

聖「ふふふ…」

柚「そういえば」

柚「Pサン、体調不良でお休み中だって」

聖「みたいですね……心配、です」

凪「ちょうどいい休みという気もします。14歳から見ても働きマンではという」

柚「年バレ?」

凪「いやん」

聖「?」

柚「でも確かに。そうだね。いい機会で、ゆっくり休めるのカモ」

凪「それです」

聖「仕事の相談……いまの時期にも、いまだからこそ……たくさん、のってくれます……」コクコク

柚「そうだねー」

凪「ところで柚さん。さっき」

柚「ン?」

凪「事務所の前でスマホを見ていましたね。あれですよ、思い立ったらGO TO トラベル」

聖「?」

凪「間違えました。大安」

柚「もしかして聖チャンの反応で遊んでる?」

凪「否定しません。凪は」

柚「なぞの倒置法」

凪「柚さんのいいツッコミで遊んでいるとも言っておきましょう」

柚「すがすがしいね!」

凪「それほどでも」

聖「わたしは……二人の話が、面白いですよ」

凪「いやあ」

柚「それほどでも」

聖「ふふふふ……」

凪「まあ、そういうことで。さすが15歳。凪にはできない気の回しっぷりですが凪は柚さんのファンです」

凪「がんばって」

柚「ファン目線。その手は?」

凪「ソーシャル・ディスタンシーング・肩ぽん」

柚「芸が細かい」

聖「見習いたい……です」

柚「見習わなくていいカナー。ン?そうでもないか?」

聖「そーしゃる・でぃすたんしーんぐ……ですね」

凪「えっへん」

柚(14歳に肩を押されてしまった)

柚「ちがう。肩ぽんか」

柚(……いや、それはまあどっちでもいいや)

柚「……」ムー

聖「?」

凪「そっとしておきましょう。聖ちゃん、お凪さんがクレープでもおごりますよ。エアーで」

聖「ふふ……要するに、そろそろ……寄り道せず帰ろう、ですか?」

凪「アイイエー」

柚「……えーと」

柚(元気ですか。いや、固いナー……引っ張られてるよねこれ)

柚(あれ、Pサンに連絡してみるのってこんなにむずかしかったっけ)

柚「……ふぐぐ」

聖「頭を抱えていますね……」

凪「エアプでも食べながらまったり見守りましょう」

聖「おいしいですか……?」

凪「残念ながら……」

柚「……」

柚「えい」

凪「いったー」

聖「なんて、送ったんですか……?」

柚「えと、フツウに、元気出してねって」ポコン

柚「はやい」

凪「じゃあ、この辺りで。またのお越しを」

聖「久しぶりにお話できて……楽しかったです」

柚「うん。ばいばーい」

『ありがとう。柚こそ、元気か?』

柚「……ふむ」

柚「へへ」

『元気だよ!元気、有り余ってるよ!』

柚「……本当に」

柚「ありあまってるよー。早く会いたいな」

『早くまた会いた』

柚「わあ」

柚(お、送るところだった)ポコン

柚「?」

『よかった』

柚「……」

柚「へへ」

ポコン

『いま、いろいろ、また柚が楽しめることを考えてます。早くまたアイドルしてる柚に会えるように』

『お互い、頑張ろう』

柚「ン」

柚「そうだね」

『早くまたお仕事で会いたいね!』

『アリガト!』

柚「……ンー、よしっ」

柚「元気でた」

柚(へへっ。今度はどんなことできるのかな?)

柚「楽しみだっ」



・・・・・おしまい

☆おまけ

柚「と、いうことでー。Pサン元気そうだったよー。どんな仕事かナー楽しみだねー」

比奈(元気そう判定なんだ、それ)クス

比奈『そうでスね』

比奈『というか、柚わりと頻繁?毎日?アタシらに連絡するわりに、プロデューサーに連絡するのは日和るんスね?』ニヤニヤ

柚「それはまあほらー。ごにょごにょ」

楓『ぴよるのね。プロデューサーさんだけに。ふふ』

仁奈『ひよこでごぜーますか??』

比奈『楓さんわりと通話だとダジャレって伝われりづらいっスよー。あと仁奈ちゃんカメラカメラ、またもふって何も見えないっス』

柚「比奈サンは通話だとよりつっこみがするどくかつジム的になるよね」

比奈『あ、お家なんで陰キャモードつよくてつい。てれっス』

柚(かわいい)

楓(かわいい)

仁奈『あー。きぐるみに飲み込まれるー。比奈おねーさんたすけてくだせー』モフモフ

比奈『なんで??』

比奈『というか、こほん。アタシのとこには、プロデューサーから毎日連絡来てまスけど』

柚「えっ」

比奈(たぶん生存確認的な意味だけど)

楓『あ、私も。大体、日に一度は連絡してるかな……』

柚「ええっ」

楓(……一昨日は私が酔った拍子に…昨日は、おもしろことを思いついた拍子に、だったかな?あ、思い出し笑い……)フフ…

仁奈『仁奈はなんか勝手に電話かかってることがありやがるです!』

比奈『仁奈ちゃんってわりとデジタル機器苦手っスよね?』

柚「がーん。み、みんなうらぎりものだー」

楓『ふふ』

楓『でもそれは』

楓『プロデューサーさんは、柚ちゃんのことを信頼してるからじゃないかな』

柚「へ?」

比奈『たしかに。そうっスね』

柚「そ、そぉカナー。それならいいんだけど。へへ」

仁奈『お天気の日だと、あっ柚おねーさんが元気だーって思います』ワカリミデヤガリマスヨ

比奈『仁奈ちゃんステイホーム中にへんな語彙力つけてきてまス??』

柚「仁奈チャンありがとー。わー。そっか。そうかなー」

楓『うん』

比奈『ま、そういうことで』

比奈『お仕事、楽しみっスね』

楓『うん』

柚「だね!」

仁奈『仁奈も楽しみでやがりま』ブツン

楓『たいへん。仁奈ちゃんの通話が』

比奈『……。これ、配信しただけでわりと受けそうっスよね』

柚「わかる。今度Pサンにてーあんしてみよう」

比奈『それ』

おわりん

新しい日常アイドル。
みなさまもご安全にお過ごしください。

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