タイトル戦の前の日に (14)

りゅうおうのおしごとのR-18ss。

 薄暗闇の中で目覚めた銀子は知らない天井に呆然とした後、良く知っている全身を包む倦怠感に息を吐いた。身体を起こすと、慣れたくもないのに慣れてしまった感触が股から伝わる。手をやるとぬるりとした触り心地が嫌になる。部屋の灯りが点いていて感触の正体を見てしまったらと思うと、就寝していると誤認させるためでも消灯されていて本当に良かった。
 来た当初は風情を感じた井草の香りが、今はわずらわしい。
 下に敷いていた浴衣から身体を退ける。自身といつの間にか帰っていた師匠の体液で浴衣が重くなっている。これでは今日はもう着れない。
 部屋の隅の盆に置かれていた予備の浴衣が無くなっている。おそらく師匠が隠してしまったのだと結論付けた銀子はバスルームに移動するために立ち上がろうとして、バランスを崩して膝を着いた。舌打ちをして再度立ち上がる。

 お湯の張られた浴槽に銀子は深く息を吐いた。浴衣に濯いで証拠を消してシャワーを浴びる。
 落ち込んでいた気持ちがほんの僅かに浮上する。汗と一緒にこの記憶も流れてくれたらと思わずにはいられない。シャワーヘッドを股に当てて秘辱を広げると、温かいお湯に混じって体内に留まっていた液体が腿を流れていく。水圧で流れきるのが待てなくて指を使って残りを掻き出す。
 明日、いやもう今日か。あと数時間後には華やかな着物姿で世間に晒される。そんな自分が前日に体力が尽きるまで性交していたなんて誰が思うだろうか。
 ようやく身体から他人の気配がなくなったのを確認して湯船に浸かり、身体がほぐれるのと同時に嫌悪感が頭の中を満たす。
 最初の内は不安な気持ちを打ち消すために。その次は験担ぎ。じゃあ、今は?
 世間からは「浪花の白雪姫」なんてふざけた肩書きをもらっている。それは女流の公式戦で負けなしで、黒星がないことに由来している。強敵になる相手は何人かいるけれど、今回の相手はこちらがポカをしなければ確実に勝てるはずだ。

 験を担がなくても自力だけで事足りる。余計な疲労を残す必要は皆無だ。
 身体にタオルを巻いて浴槽を出る。入浴前に暖房を点けていた部屋は温かく、この格好でも問題ない。浴衣を通したハンガーを壁に掛けて、窓際の椅子に腰掛ける。
 月明かりが部屋を照らす。目の前が海で遮る物がない。
 煌々と輝く月を見ながら銀子の手が股座に伸びる。つるつるの丘を飛び越え、未だに熱を持つ秘辱を慰める。

「はっ、んっ」

 身体を包んでいたタオルを剥いで、ツンと張っている乳首を摘まむ。甘い痺れに任せて指を動かせば余計な感傷から逃れることができる。
 それは銀子が身に付けた数少ない逃避の手段だった。
 女流棋戦では無敵の彼女も奨励会では、ただの一会員でしかない。その中で行われているリーグ戦の成績は勝敗が入り交じる斑模様だ。白雪姫なんて大層な評価はおこがましい。
 頭の隅にあるのは早々に三段リーグを抜けてプロ入りした弟弟子だ。彼は順調に六大棋戦の一つ、竜王戦を勝ち進んでいる。面と向かって言えない目標にしている存在が、将棋の世界で確実に強くなっていく姿を見て自分の才能の無さに歯噛みし、その気持ちの行き所として指が性感を刺激する。
 鋼介との交わりを思い出すように指が腟壁を擦る。鋼介のモノを再現するには指を三本挿入しなくてはならない。一本や二本では物足りない。

「あっ」

 乳首を摘まむ指に力が入る。こちらも鋼介の甘噛みを思い出して爪先で挟み込む。食い込む指と背中を撫でる寒気にも似た衝撃。その感覚をより味わいたくて動きは複雑になり、深みに嵌まっていく。
 部屋を暖めておいてよかった。そう思わずにはいられない。今の季節に暖房も点けずに全裸で自慰なんてしていたら体調を崩すのは間違いない。仮にも大一番を控えているのだから体調には気をつけなければ。
 全裸[田島「チ○コ破裂するっ!」]をしながら銀子はそんなことを考えていた。
 腟を責める指がまた一つ増える。銀子の指では太さの再現は出来ても、子宮を押し潰す長さは再現出来ない。せめてもの慰めに腟口をぎりぎりまで引き伸ばす。
 溢れる蜜に濡れた指を口に運ぶ。ぺろりと一舐めしてまた秘部に戻す。気分が乗ってきてしまい、途中で止めるなんて愚かな選択はありえない。

↑説明ありがとうございます。再投下。


「あっ」

 乳首を摘まむ指に力が入る。こちらも鋼介の甘噛みを思い出して爪先で挟み込む。食い込む指と背中を撫でる寒気にも似た衝撃。その感覚をより味わいたくて動きは複雑になり、深みに嵌まっていく。
 部屋を暖めておいてよかった。そう思わずにはいられない。今の季節に暖房も点けずに全裸で自慰なんてしていたら体調を崩すのは間違いない。仮にも大一番を控えているのだから体調には気をつけなければ。
 全裸オナニーをしながら銀子はそんなことを考えていた。
 腟を責める指がまた一つ増える。銀子の指では太さの再現は出来ても、子宮を押し潰す長さは再現出来ない。せめてもの慰めに腟口をぎりぎりまで引き伸ばす。
 溢れる蜜に濡れた指を口に運ぶ。ぺろりと一舐めしてまた秘部に戻す。気分が乗ってきてしまい、途中で止めるなんて愚かな選択はありえない。

「っ、ーっ」

 意識が飛び、頭の中が真っ白になり思考することが億劫になる。仰け反った身体には電気が走り、瞬間的に硬直した手足が急速に弛緩していく。

「寒っ」

 外の空気が窓越しに部屋の温度を下げる。風呂上がりではそこまで気にならず、自慰の最中は身体が熱を持っていたので気付かなかった。
 もう一度お風呂に入り直さないと。
 身体に巻いていたタオルで手を拭い、椅子から立ち上がる。熱を奪っていた額と首筋の汗を拭き取り浴室に戻った。

「ふぅ」

 身体から漏れ出た液体を洗い流した銀子は布団を被って一心地を着いた。ようやく昂っていた気分が落ち着いて寝ることが出来る。
 寝間着になるはずだった浴衣を干しているために布団の中の彼女は全裸だ。対局前に鋼介がちょっかいを掛けてくる可能性は低いけれど、ありえないわけではない。帰りの服が使えなくなったらどんな格好をさせられるかわかったものではない。
 今朝、キャリーバッグの確認を怠った自分を恨みたくなる。ホテル日航に到着してから着替えを抜かれていた。留守番している桂香に持って来てほしいなんて非常識なことは頼めない。家を出た弟弟子には尚更だ。タイトル戦の期間中に自分のことで煩わせたくない。
 験担ぎの相手が八一ならどんなに嬉しいか。少なくともこんな腐った気持ちではなく、幸せが身体を満たすだろう。それは脂ぎったオヤジの相手をするよりも格段に魅力的だ。
 ただ一言、「好き」と伝えるだけで成就するその願いを銀子は未だに叶えられていない。相手はサル並みの性欲なのだから後は相手に任せて処女のふりをすればいい。初めての記憶なんて遥か彼方だがなんとかなる。
 冷えた頭で好きな男の子のことを考える。差の着いた将棋の実力をどう評価するか。将棋以外の話もした方がいいか。おっぱい好きのあいつをどうしばくかを考えた所でらしくもなく頬が緩んでしまう。彼は自分をどういう風に愛してくれるだろうか。





 こんな自分を愛してくれるだろうか。

「あっ」

 そんなことを考えていたからか、いつの間にか股間に指が伸びていた。自身のあえぎ声でそれに気付き手を引っ込める。せっかくすっきりしたというのに、これでは元の木阿弥になってしまう。少しでも寝て体力を戻さないと。
 頭元に置いたバッグから錠剤を取り出す。ピルを常備している中学生なんて全国探しても少数だろう。それも避妊を目的に常習的に使う人間なんて更に稀だ。いっそ、妊娠して周囲を大混乱に陥れてやろうと思ったことも一度や二度ではない。
 しかし、八一にこれまでの鋼介との情事がすべてばれてしまうと思うと行動に起こせない。


 銀子は丸くなっていた身体を一層丸まり眠りに着いた。

描写不足だったので書き直し。

「あっ」

 そんなことを考えていたからか、いつの間にか股間に指が伸びていた。自身のあえぎ声でそれに気付き手を引っ込める。せっかくすっきりしたというのに、これでは元の木阿弥になってしまう。少しでも寝て体力を戻さないと。
 頭元に置いたバッグから錠剤を取り出す。ピルを常備している中学生なんて全国探しても少数だろう。それも避妊を目的に常習的に使う人間なんて更に稀だ。いっそ、妊娠して周囲を大混乱に陥れてやろうと思ったことも一度や二度ではない。
 しかし、八一にこれまでの鋼介との情事がすべてばれてしまうと思うと行動に起こせない。
 掛け布団を羽織って備え付けの冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、包装シートから錠剤を押し出す。
 手のひらに乗った錠剤を呷る姿は飲み慣れているのがはっきりと判る。
 寝床に戻った銀子は丸くなっていたさっきより身体を一層丸めて眠りに着いた。

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