【安価とコンマ】退廃ファンタジー (421)

既に二度の文明が滅びた。
 
神々が争い、そして滅び、世界に魔力が満ちた神話文明。
 
潤沢な魔力を用いて魔術を発展させ、戦争により滅びた魔導文明。
 
いま、二つの文明の跡を継ぎ、一つの文明が起こっていた。
 
魔導文明の悲惨な争いにより、有害魔力で汚染された大地。乱れた法則に従う自然、突然変異を起こした強大な魔獣や危険な魔法生物。
 
人間を始めとした人類近縁種が生きて行ける環境は、もはや防衛機能の生きている魔導文明の遺跡だけだった。
 
第三の文明。
 
名付けるならば『遺跡文明』

だめだ。R板に立ってしまうバグの回避ができないのでこっちでやります。


人類近縁種は、遺跡で肩を寄せあい、自然の暴威に怯えてくらしていた。
 
ある日、一人の優しい少年が滅びたはずの神から力を授かった。神話文明で力を失った神が、力を取り戻すために信徒を作り出したのだ。
 
後に【ジョブ】と呼ばれるようになるそれは、少年の場合【剣聖】だった。
 
只人とは一線を画す力を得た少年は、自然界へ挑み、人類近縁種に多くの富をもたらした。そして、自らの主神、平和を司るピースの為に遺跡を統治した。
 
それ以降、様々な神が人類近縁種へ【ジョブ】を授けるようになった。
 
【ジョブ】を持つ人間が増え、英雄だった彼らの存在は身近になり、いつしか【ジョブ】の有無は『人類近縁種』か否かを分ける境界線となっていた。

ここは『塔の遺跡』
 
人間近縁種が暮らせる遺跡の一つである。防衛機能や塔のインフラを整えるシステムが頂上にある関係で、塔の上ほど上流階級、下に行けば貧民区、塔の麓はスラム街という分かりやすい区分けがされていた。
 
塔の中で暮らせるのは【ジョブ】を持つ者のみ。貧民区の出身だろうと、【ジョブ】を持っている。
 
【ジョブ】を持たない人類近縁種は、全員スラム街で暮らすことを余儀なくされている。

 
 
 
 
あなたたちは自我を取り戻したばかりの神

 
『必然と偶然を司るアンカー・コンマー』
 
自らの力を取り戻すため、信徒を作り、活躍してもらい、供物を捧げてもらわなければいけない。
 
しかし、塔の中で暮らしている人類近縁種は全て【ジョブ】持ち、つまり他の神のお手付きだ。
 
あなたたちはスラムの民に【ジョブ】を授けるしかない。

キャラシ
 
【名前】
【外見】
【性格】
【スラムでの立ち位置】任意
【ジョブ】
【ステータス】
《体力》体力は下記の値の合計値。初期は400固定
―――――――――――――――――
《膂力》50は最低値
《知恵》50
《防御》50
《精神》50
自由振り分け200
――――――――――――――――――

 
 
安価↓5くらいまで

出揃ったらアンケート取ろうと思います。

【名前】ウィリアム・ラスターカ (あだ名はウィル)
【外見】 230cmの巨躯、身体中に様々な傷
【性格】温和、騒動があるとその巨躯の威圧感をもって鎮圧する。必要ならば力もちゅうちょなく行使する
【スラムでの立ち位置】自警団員
【ジョブ】戦士
【ステータス】
《体力》体力は下記の値の合計値。初期は400固定
―――――――――――――――――
《膂力》120
《知恵》70
《防御》130
《精神》80

【名前】 スピカ
【外見】 白金色の長髪を持つ華奢な少女
【性格】 心優しい博愛主義
【スラムでの立ち位置】自身の生活も裕福ではないが、困っている人には物資を分け与える慈善家。彼女を支持する貧民は多め
【ジョブ】 僧侶
【ステータス】
《体力》体力は下記の値の合計値。初期は400固定
―――――――――――――――――
《膂力》50
《知恵》150
《防御》90
《精神》110
――――――――――――――――――

書き込みありがとうございます。
アンケートで主人公決めようと思います。
6-10の中でいいと思う子一人投票
↓7まで

全員でパーティー組んだらほぼ完璧なバランスに見えるが、とりあえずヒーラーの>>7
ところで>>10のステ合計値100不足してない?

申し訳ないです、ステータスは均等に100でおねがいします

>>14
了解です。
>>13
ありがとう、気づきませんでした。

20:00時点でアンケ打ち切りにして話を進めたいと思います。

遅れてすみません。
スピカとバレット二票づつなので決選安価で↓1
奇数スピカ
偶数バレット

アンケートと安価ありがとうございます。

今回はスピカで話を進めていきたいと思います。


真っ白な朝日が昇り、巨大な塔が長く影を伸ばした。

街を一つの見込めそうなほど巨大な塔は、実際その中で多くの人類近縁種が生活を営んでいる。外界の脅威に怯えることもなく、飢えや不衛生とも無縁の世界だ。

スピカは、そんな塔を見上げることしかできないスラムの民の一人だった。

塔の麓に家とも呼べない住処を作り、両親の顔も知らず、スラムの仲間と細々と暮らしている。裕福な生活ではなかったが、不幸かと聞かれたらスピカは首を横に振った。

スラムの仲間には優しい人もいるし、可愛い年下の子たちもいる。貧しくとも心は満ち足りていた。

……ただ、スラムの生活に全く不満がないかと言われると素直に頷けなかった。

スラムの仲間たちは、時々冷たい人間になることがあった。それは食料が足りない時や寒さに震えているとき。魔獣の脅威にさらされているとき。

スピカは彼らのそんな瞬間を見ることが嫌いだった。

彼らをそんな風にしてしまう環境を変えられたらと、思っていた。



その日、スピカは妙な感覚を覚えて目を覚ました。

緩慢な動作で体を起こす。スピカの長い髪の毛が肩を流れて華奢な体をなぞった。元は白金の輝きをもっていたであろうその髪は、砂埃に汚れて灰色になっていた。

塔の麓、もはや何の魔術的恩恵もない、傾いた柱の陰に作ったスピカの拠点は衛生的とは言えない。

「力が、みなぎっている……」

自身の手のひらを何度も結んでひらいて、体の調子を確かめる。栄養失調気味であるはずの体には、昨日とは比べ物にならない力宿っていた。

それに何より……。

「【ジョブ】がある。【僧侶】、それが私の【ジョブ】」

スピカの体には【ジョブ】が宿っていた。神々が人類近縁種に与える加護。持てる者と持たざる者の境界線。

「一体、どんな神様が私なんかを。アンカー・コンマー、様?」

スピカは、なぜか自分に力を渡した神の存在を感じ取れた。とてもマイナーで、信徒はスピカしかいない、弱小の神。

しかし、それでもスピカは感謝した。

「この力があれば、スラムの皆を助けられるかも……」

そんな可能性をくれた神様だったから。

「最初は、祈りを捧げないといけないのね」



安価↓1祭壇の形、祈りの形、シンボル。どれか一つだけもあり


スピカの頭にアンカー・コンマーのシンボルと祈りの形が浮かんできた。

まるで昔から知っていたかのような奇妙な感覚だ。

スピカは火の落ちた焚火から炭を持ち出し、拠点の壁にシンボルを書き上げた。

「00」の上に「99」のついた見たこともない形だ。

なぜだかスピカにはその文字が特別神聖に思えた。「00」と「99」だけでなく、同じ数字が並んでいる様子を思い浮かべると力が湧くようだった。

スピカは両手を合わせて瞳を閉じた。

(これが神様の加護。不思議な感じ……)

決して陽気な季節ではないはずなのに、体がぽかぽかと温かくなってくる。

スピカが暫くそうしていると、拠点の入り口に気配を感じた。

「……スピカちゃん、お腹すいちゃった」

そこにいたのはよくスピカが面倒を見ているスラムの子供たちだった。

「あ、ごめんね。配給もらいにいこっか」

スピカは子供たちの手を引いて配給へ向かった。



スラムでは何か所か、朝と夜に配給を行っている場所がある。

平和を司るピースの信徒が無償で行っているのだ。

スピカたちも列に加わった。列は順調に消化され、スピカたちは、固いパンと具の少ないスープを受け取った。

「全然お腹いっぱいにならない……」

「私の、半分こしよっか」

食べ盛りの子供に、スピカはご飯を半分あげた。

嬉しそうな子供の様子を眺めながら、今後の予定を考えた。

(いつもなら塔から捨てられたごみをあさりに行くところだけど、今は神様の加護がある。依頼所に行ってみようかな……)

依頼所は、スラムで幅を利かせている集団が開いている仕事の斡旋所だ。

手数料は高いし、用意された仕事は昨日までのスピカでは手も出せないようなものばかりだったが、今は違う。

神様の加護があれば、解決できる依頼もあるかもしれない。一つでも依頼が達成できれば、今日は配給だけではないご飯にありつけるだろう。




スピカは依頼所に行ってもいいし、いつも通りゴミ捨て場に行ってもいい。勿論それ以外の行動をとってもいい。

自由安価↓1

(よし、依頼所に行ってみよう。この子たちに美味しいもの食べさせてあげたいし、私もちょっとお腹すいたし……)

スピカは子供たちに自分たちだけでゴミ捨て場に行くよう言い聞かせた。

「私は依頼所に行ってくるから、ね?」

「いらいじょー? やめたほうがいいよ、怖い人一杯だよ?」

「私は大丈夫だから。それより、ゴミ捨て場で拾ったもの、取られないように気を付けてね」

「うん……、わかった」

スピカは子供たちと別れて依頼所に向かった。

依頼所はスラムの一番内側。つまり塔の外壁に沿った区画にあった。スピカの拠点よりは家らしい場所だ。

扉なんてものはないので、スピカはそのまま足を踏み入れた。

依頼所の中にあるのは、炭で依頼の書かれた木版がいくつもと、形だけ取り繕ったカウンターに座る男の人。

そして、依頼を受けに来た人たち。彼らは例外なくスピカより年上で、粗末ながら装備で身を固めていた。

子供も無防備な格好をしているのもスピカだけだ。

スピカが入った途端、そこにいた全員の視線がスピカに集まった。

依頼所にいる人たちの中で、短剣を携えたお姉さんが話しかけて来た。

「ここはあんたみたいのが来る場所じゃないよ。ゴミ捨て場に帰んな」

スピカは首を横に振った。

「私、依頼を受けに来たんです」

一拍の間をおいて、依頼所が爆笑の渦に包まれた。

「ちょっと笑わせないでよ。ひひ、お腹痛い」

お姉さんが滲んだ涙を指先で掬った。

「やめとけやめとけ、無駄死にするだけだ」

近くにいたおじさんが呆れたように言い放った。

スピカは顔を赤くして、それでも食い下がった。

「でも、一回くらい、試してみても、いいじゃないですか……」

最後は尻すぼみになっていたが、服の裾を握りしめて言い切った。

カウンターにいた男がスピカを見もせず、依頼所全体に聞かせるように声を上げた。

「依頼の受注と報酬以外は自己責任。それがここのルールだ」

その一声で、依頼所の喧騒は収まった。各々が以来の板を眺めている。

スピカもおどおどと木の板を眺めた。

木の板は、近所のおじいちゃんから文字を習っただけのスピカでも十分にわかる簡単な言葉で書かれていた。

依頼と、報酬、それと数字が書いてある。

「この数字は何ですか?」

「難易度だよ。低いほど簡単ってこと」

スピカがさっきのお姉さんに聞くと、さらっと答えてくれた。


依頼はすべてスラムの外に出なければいけないものばかりだった。

スピカは採集依頼(難易度1)を受けてもいいし、討伐依頼(難易度2)を受けてもいい。
勿論それ以外の依頼を探してもいい。
難易度の目安
「1」【ジョブ】なしの大人ならこなせそう
「2」【ジョブ】なしの大人でも熟練ならこなせそう
「3」【ジョブ】なしの大人複数で何とかする

自由安価↓1 自作の依頼は難易度もつけてくれると助かります。

堅実に1の採集依頼から

あ、前の安価が「依頼所にいく」だったので、依頼を受けるのは一旦後回しで、別の行動をとるのもありです。

安価引き続き↓1

タイミング悪かったな。許して。

>>33さん採用します。

(初めてだし、簡単な依頼にしたほうがいいよね)

スピカは依頼所で一番難易度の低い木の実の採取依頼を受けることにした。

「クズドングリ」という木の実を十個納品。報酬はマナという貨幣単位で5。

5マナは塔の外壁に立つ比較的ましなお店でパンが二つ買えるかもしれないくらい。

スラムの外、つまり塔の防衛機能の効果が薄れていく境界線より先は、微量な汚染魔力が漂う地域で、そこで育つ生き物や木の実には特別な力が宿ったものも多い。

今回依頼が出されている木の実もその類だ。

スピカは木の実を加工した粗悪な傷薬が貧民区に卸されていることを知っていた。

「この依頼、受けたいんですけど」

スピカが木版を指さすと、カウンターにいた男が炭を投げてよこしてきた。

「木版の下のところに名前を書け」

木版の下にはすでに他の名前が書いてあった。スピカもそれに倣って名前を書く。

「書きました」

「んじゃ行ってこい。炭は返せ」

「……はい、ありがとうございました」

スピカは炭を男に返すと、一礼して依頼所を出た。


依頼所を出たスピカだが、依頼所にいた人たちの様子と自分を見比べて不安になった。

今のスピカは全くの無防備で、ただのスラムの子供だ。あるのはアンカー・コンマーの加護だけ。

その加護だってはっきりと把握できていない。

スピカはこのまま依頼に向かってもいいし、ゴミ捨て場で装備をあさってもいい。人目に付かない場所を探して力を試してもいい。勿論それ以外の行動をとってもいい。

自由安価↓1~3

今日は最後の安価にしたいと思います。1~3で矛盾がなければ順に描写しようと思います。

お付き合いありがとうございました。

無難に一旦ゴミ捨て場に向かい子供達の様子を見つつ装備を整えるとかかな?
スピカ以外他の選考漏れの人ってNPCとか敵な感じで仲間に出来ます?バレッドとウィリアムがいれば遠距離近距離回復サポートで中々のパーティー組めそうな気がするし

>>38
せっかく考えてくれたのでなるべく早いうちに仲間にできるよう考えてみます。その場合はバレッドですかね?
再アンケートやったほうがいいとか意見あったらくれると参考にできます。
あと、わかりにくいところがあったら気楽に聞いてください。
明日起きたら答えようと思います。

仲間がいきなり増えすぎるのもあれだし、仲間入りは再判定で一人だけ追加
以後はイベントで登場したりしてコンマ結果で仲間入りとかが無難かな?

とりあえず軽い質問だとスピカの年齢ってどのくらいのイメージ?
安価踏んでたら下

>>41
スピカは13,14くらいのイメージで書いてます

遅くなりました。再開します。

安価で出してくれた人物たちに関しては、仲間にするかどうかは別として、一度接点を持つ描写を入れようと思います。
性格とかイメージと違ってもご容赦願い





(そういえば、ゴミ捨て場に行った子たち、大丈夫かな……?)

一見無法地帯に思えるスラムにも、スラムのルールがある。

ゴミ捨て場での不文律はスラムの子供が言葉を覚えるよりも先に覚えることだ。よほどのことがなければ問題なんて起きない。

それでも心配してしまうのがスピカだった。

(ゴミ捨て場なら武器とか防具になるものもあるかもしれないし、うん。)

スピカはゴミ捨て場に向かうことにした。

ゴミ捨て場は塔から少し離れた場所にある。塔の中でも、ごみ処理施設の機能していない貧民区のゴミが容赦なく捨てられて山になっている場所だ。

スピカがゴミ捨て場に付くと、いつものようにスラムの人たちがうろつきながら、使えそうなものをあさっていた。

「あっ、スピカちゃん来たー!」

スピカを見つけた子供たちが、嬉しそうに駆け寄ってきた。腰にくっついてくる彼らの頭を撫でてあげる。

すると、子どもたちの後に続いて灰色の髪を一本に束ねた少年が近づいてきた。スピカを見る目がどこか険しい。

「アランお兄ちゃんが一緒にいてくれたの」

子供が少年を見ながらそう言った。

アランはスラムで最も大きい孤児の集まりのリーダーだ。仲間の思いが強いこともあって、アランのグループに入りたがる孤児は多い。

「……お前、依頼所行ったってホントか?」

そんな彼は、スピカに詰問するような口調で問いかけた。

「う、うん。依頼、受けてみようと思って」

「やめとけよ、危ないし、依頼所は大人ばっかだ。あいつら信用できない」

「……怖い人はいっぱいいたけど、平気だったよ。それに、危ないことなら、アラン君もしてるでしょ?」

スピカはアランが盗賊まがいの行為を繰り返していることを知っていた。アランのグループは大きいので、そうでもしないとまともに養えないせいでもあるのだが、それは今のスピカも同じだ。

「……自分とこの子分を置いて死ぬなよ」

「わかってる。もしかして心配してくれた?」

「……うるさいな」

アランはさっと踵を返して自身の子分の下へ行ってしまった。






ゴミ捨て場に付いたスピカ。探せば貧民区か捨てられたら武器か防具が落ちているかもしれない。

安価↓1 コンマ一の位判定
1~3 1つ見つかる
4~7 2つ見つかる
8~9 3つ見つかる
ゾロ目 掘り出し物発見 数は上記参照


スピカは長年ゴミ山をあさってきた経験があり、使えそうなものを二つ見つけることができた。

自由安価↓1,2 どんな武器や防具を見つけたか

【名前】武器or防具
レア度1
《ステータスのどれか》10

武器二つとかになってもそのままで。

【名前】錆びた鉄剣(武器)
レア度1
《膂力》10

でいいの?

>>48
そんな感じで。


「使えそうなのはこれくらい、か」

スピカが見つけられたのは錆びた鉄の剣とくすんだナイフだった。貧民区の住民が「修理するより買いなおしたほうがまし」と判断した程度の品だ。

本当は魔術的な効果がこもった装備が欲しいなと思っていたところだが、それは高望みというものだった。

「わ、軽く感じる……」

大人用サイズの鉄の剣とナイフだったが、【ジョブ】を得たスピカになら両手に持って扱えそうだった。

鉄剣をひもでくくって背にかけ、ナイフを腰に携える。こんな武器でもないよりはましなはずだ。

丁度子供たちも拾えるだけ物を集め終えたようだったので、スピカたちは拠点に帰ることにした。

傾いた大きな柱の陰、もしくは上に、廃材を組み立てたアジトがいくつもある。

スピカは柱の下に作った自分の拠点に戻っていた。今朝炭で書いたアンカー・コンマーのシンボルに目が行く。

(そういえば、今の私って何ができるんだろ)

急に増加した身体能力は、今朝から不快ではない違和感としてスピカを悩ませていた。未知の世界に飛び込む前に、この感覚に慣れておく必要がある。ゴミ捨て場で剣を握ったとき、強く思った。

スピカはその場で飛んでみた。

「痛っ!」

勢いよく天井に頭をぶつけてしまった。反射的に痛いと叫んだが対して痛くもなかった。

加護によって大分体が頑丈になっているようだ。

「もしかして、私にも【スキル】が使えるかも」

【スキル】とは、【ジョブ】を持っている人たちが例外なく扱える特殊な能力のことだ。

代表的なものは各種の【魔法】。手から火を出したり傷を癒したりできる。

スピカは自分の手のひらを見つめた後、思い切って「炎よ!」と叫んでみた。

何も起こらなかった。

スピカは顔が熱くなった。しゃがんで火照った両頬を抑える。

(ううう、恥ずかしい。まだ私には【スキル】が使えないってことなのかな……?)

スピカはアンカー・コンマーのシンボルを見つめた。

「ちょっと出かけてくるから、いい子にしててね」

子供たちに声をかけると、スピカはいよいよスラムの外に向かって歩き出した。

廃材の家が立ち並ぶ道歩いてゆく。子供のくせに剣を背負って外に向かってゆくスピカを見かけた人は、あるいは無関心そうに、あるいは嘲りを含めた目で、あるいは心配そうに表情で見送った。

段々と廃材の家の密度が減り、ついには目の前にスラムらしい建物がなくなった。

あるのは、木漏れ日が優しく降り注ぐ森林の入り口。

蝶が舞い、花が咲き、鳥が囁く。

スラムと比べると楽園のようにも見える陽気な世界。

しかし、スピカは知っていた。

一見平和に思えるその森は、木陰から顔を出した小動物に首元を噛み切られるような世界であることを。

スピカがしり込みしていると、森から一人の男がスラムに戻ってきた。銀髪に青い瞳、腰にはサーベル。目つきが悪く、スピカは彼が前から歩いてくるというだけで緊張した。

一方、彼もスピカを見て少し驚いたようだった。しかし、すぐに興味を失ったようで、スピカの脇を通り過ぎて行った。

「あの、すみません!」

スピカはハッとなって、彼を呼び止めた。

彼なら自然界について詳しいかもしれない。全く未知の世界に向かうより、先に情報を手に入れられるならそうしておきたいと考えた。

「なんだ?」

男は首だけで振り返った。一応スピカの話を聞いてくれるようだ。

「私、森に入るの初めてなんです。情報が欲しくて」

「一つ、1マナ」

「へ?」

「質問一つに1マナで答えてやる。後払いでもいいぞ」

男は天気の話でもするように、そう条件を提示してきた。

(報酬って確か5マナだったよね。全部使うわけにはいかないし、2つ、までにしようかな)




スピカは森の注意事項について聞いてもいいし、依頼のアドバイスを受けてもいい。勿論それ以外に何を聞いてもいい。
自由安価↓1,2

受けた依頼を説明して、目的のものがどの様な場所で群生しているか聞く


>>55
99ゾロ目なのでボーナスどこかで入れます。




「二つ、教えてください」

「何が知りたい?」

「『クズドングリ』の生えている場所と、森の危険な存在を」

スピカがそういうと、男はちゃんとスピカと向き合った。

「『クズドングリ』は森の浅い場所でも取れる。特に陰の濃い場所を探せばすぐに見つかるさ」

男は一つ目の質問に簡単に答えると、少し考えるような仕草をした。

「森で遭遇する奴なんて全部危険だ。どんな見た目でもな」

「……」

スピカは沈黙で続きを促した。

「まあ、『クズドングリ』を採りに行くなら気を付けるべきは二種類だな」

そういって男が教えてくれたのは『ウル』と『エレタマ』というモンスターだった。

『ウル』は鋭い牙を持つ賢い獣で、木陰に潜むこともあり、動きも素早い。魔法は使わない。

『エレタマ』は土地によって異なる魔法を放つ魔法生物で、動きは緩慢だが一度捕捉されるといつまでも追いかけてくる。

「この二体は森で最弱だが、最も遭遇しやすい。それと……」

男はそこで言葉を区切ると、皮肉げな笑みを浮かべた。

「人類近縁種にも気をつけろよ。手柄の横取りくらいならまだ可愛いもんだが、命までは取られるなよ」

「あ、ありがとうございます」

先達の実感を伴ったアドバイスに少し気おされながら、スピカは礼を述べた。

「お前名前は?」

「スピカです」

「そうか。お前が依頼を受けたの、この先の依頼所か?」

「そうです」

「わかった、報酬から2マナ、俺に入るよう言っとくからな。ちゃんとこなせよ」

「はい、ありがとうございます!」

スピカは少し遠回しな男の激励がうれしかった。

今日はこれで。次回から森へ探索へ向かいます。
おやすみなさい


出発前にシンボルの99は幸先いいね
なんか森が危なかったりしてもいいししなくてもいい選択は世界樹っぽい雰囲気

>>61
やっぱわかりますよね。世界樹イメージして書いてます。




こんばんは、再開します。



スピカは改めてスラムと森の境界に立った。

防衛機能は塔から離れるほどに減衰していくために、明確な効果範囲が定められているわけではない。

しかし、スピカの足元に生える草は、まるでそこに結界でも張られているかのように植生をがらりと変えていた。

高い山では一定の高度を境に樹木が生えなくなるように、ある一定の汚染魔力濃度を超えると普通の草は育てなくなる。ここがその境界なのだ。

(大丈夫。私にはアンカー・コンマー様の加護が付いてる)

スピカは唾を飲み込み、頭にいくつかのゾロ目の数字を思い浮かべると、不可視の境界線を越えた。


【汚染魔力】
《強度》10
《対抗手段》《防御》or《精神》

スピカ《精神》110+安価>【汚染魔力】10+安価

安価の結果にかかわらず自動成功。

始めて踏み込んだ森は見たこともないほど豊かな土地だった。

新緑の絨毯。そこにまばらに咲く鮮やかな野花。

生い茂る樹木には瑞々しい果実が実り、それを小鳥が啄んでいる。

スピカは揺れる木漏れ日のカーテンをくぐり、岩清水の小川を渡って森を進んだ。




ここが危険な世界だということを忘れてしまいそうなほど長閑な森の中を進むスピカ。
彼女は無事にクズドングリを見つけることができるだろうか。
安価↓1
01~50 クズドングリの木を見つける。
51~70 《ウル》に遭遇
71~90 《エレタマ》に遭遇
91~98 《???》に遭遇
ゾロ目はなんかいいことが起こる。 

>>64
なんてコンマ力だ……。

ところで、次の場面書いている間に聞いておきたいんですけど、昨日の>>55のゾロ目ボーナスはどんな感じのがいいですか。
望外の幸運って意外と加減が難しくて。

自分が思いついたのは
・一人確定で仲間が増える
・クズドングリの木の下でなにかいいアイテムや装備を見つける。
くらいです。

意見あったら教えてください。

2:1で意見が割れてるのでゾロ目ボーナス安価させてください。

安価↓1

01~66 確定仲間
67~00 アイテム

今日はコンマが高い日ですね。
今回はアイテムの何かということにします。

スピカは森を進み、藪を抜ける。

「止まれ」

いきなり、冷徹な声と銃口が向けられた。スピカは慌てって手を挙げた。

藪を抜けた先にいたのは、迷彩のフードを付けた男だった。その手には魔力を弾に変えて撃つ特殊な銃が握られている。

スピカはこの男を知っていた。正しくは、噂を聞いていた。

スラムで私腹を肥やす悪人から金や食料を奪い、スラムの弱者に再分配する義賊。

バレッド。

そんな彼がなぜこんな森にいるのかと言えば、きっと足元の死体が答えなのだろう。

悪人を始末したか、もしくは追手から逃げてきてここで返り討ちにしたか。

「子供? なぜこんなところに……」

フードの影で見えづらいが、彼は驚きの表情を浮かべているようだった。

「あの、クズドングリを採りに」

「依頼を受けたのか。無謀だ、金なら俺がやる。ここは危ないから帰るぞ」

バレッドは有無を言わさぬ勢いでスピカに近づき、腕をつかんだ。

手に小袋を握らせ、スラムへ連れて行こうとする。

「……っ! 隠れてろ」

「きゃっ」

今度は突然藪に突き返された。

枝葉の隙間から、バレッドが数人の男たちに追われて森の奥へ向かう様子が見えた。

去り際、藪に隠れたスピカを案ずるような視線を向けていた。


スピカは周囲の様子が落ち着いたころを見計らって藪から出た。

「これ、もらってもいいのかな」

手元に残った小袋を見てそうつぶやく。中身は5マナだった。

スピカは確かにお金が欲しくて依頼を受けたが、何もせずにお金を受け取るのも気がとがめた。

しかし、バレッドは義賊らしいし、変に良心を働かせて子供たちにひもじい思いをさせるのも嫌だ。

(うん、私は使わない。みんなのために使おう)





スピカは小袋をなくさないように腰にくくると、クズドングリ探しを再開した。
安価↓1
01~70 クズドングリの木を見つける。
71~80 《ウル》に遭遇
81~90 《エレタマ》に遭遇
91~98 《???》に遭遇
ゾロ目はなんかいいことが起こる。

森の奥に進むにつれて、木漏れ日が細くなり、地面が湿気を帯びて来た。

(たしか、クズドングリは暗い場所に実っているって……、あっ!)

森の様相が変わってすぐ、スピカは『クズドングリ』の木を見つけることができた。

大樹の陰に寄り添うようにして背の低い木が生えている。

そこに、つやのある固い外皮を持った果実が実っている。帽子のようなヘタが付いた特徴的な見た目は、見間違えようもない。

スピカはすぐにクズドングリを採りたかったが、躊躇った。

クズドングリの木の下に、血に濡れた人間が倒れていたからだ。

遠目ではどのような外傷を負ったのか、本当に死んでいるのかは不明だ。


クズドングリの木は見つけたが、不穏な空気が漂っている。
スピカは無視して木に近づいてもいいし、石を投げるなどして様子を伺ってもいい。
勿論それ以外の行動をとってもいい。
自由安価↓1

スピカは少しためらったが、倒れている人を放ってはおけなかった。

「だ、大丈夫ですか?」

駆け寄って、声を掛ける。

倒れていたのは、スピカとは面識がないスラムの男だった。恰好から、依頼をこなして生計を立てている人だということだけがわかる。

体中に鞭でしばかれたかのような傷があり、そこから血を流していた。

満身創痍ではあるが、一応息はあるようだ。スピカを虚ろな瞳がとらえていた。

「気を、付けろ……」

男は掠れた声を出し、震える指でクズドングリの木を指示した。

見ると、クズドングリの影に隠れていたらしい、宙に浮いた蔦の球体を見つけた。

蔦の球体の中央が僅かに発光しており、それがなぜか、スピカに敵意を向けているように思えた。(もしかして、あれが『エレタマ』?)

スピカが困惑していると、エレタマと思われる蔦の球体はひときわ強く発光し、蔦を束ねた鞭を振り回し始めた。

どうも戦闘を避けられそうな雰囲気ではない。


戦闘のルール

【スキル】がない限り、《膂力》か《知恵》の数値を使ってダメージを与えます。

安価を踏むときに《膂力》か《知恵》のどちらかを書いてください。

ステータスの数値に安価の数字を足し足した数から、相手の《防御》か《精神》を引いた数字がダメージです。

基本的な対抗関係
《膂力》←→《防御》
《知恵》←→《精神》

基本的にステータスの合計が高いほうが先行になります。

先に《体力》がなくなったほうが負けです。



【名前】スピカ
《体力》400
―――――――――――――――――
《膂力》50
《知恵》150
《防御》90
《精神》110
――――――――――――――――――
【装備】
錆びた鉄剣《膂力》+10
燻んだナイフ《膂力》+10


【名前】エレタマ
《体力》?
―――――――――――――――――
《膂力》?
《知恵》?
《防御》?
《精神》?
――――――――――――――――――

ステータスの合計はスピカが上 先攻

スピカの攻撃 《膂力》か《知恵》のどちらか
安価↓1

エレタマの防御 こちらは対抗関係に従って《防御》か《精神》を自動で決めます。
安価↓2 


スピカ《知恵》197
エレタマ《精神》?+87

エレタマ《体力》?


(わ、私が何とかしなきゃ。この人が死んじゃう。私が帰らないと、飢えてしまう子がいる!)

スピカは両手に鉄剣とナイフを構え、覚悟を決めた。血潮が沸騰するような感じたことのない感覚が体を駆け巡る。

その感覚は両手に構えた剣にまで及び、刀身が白い燐光を放った。

「こ、これ、は。アンカー・コンマー様の、加護?」

突然のことに驚いたが、不安はない。寧ろ神に見守られているという心強さがあった。

「これなら、いけるっ!」

スピカは今まで出したこともないような気勢を上げて、エレタマに切りかかった。

エレタマは事前の情報通り動きは緩慢であるようで、エレタマが蔦を振る前にスピカの剣が届いた。

蔦の塊を切り裂き、中心の発光を斬撃が掠める。物理的に蔦を絶った感触と、何か、説明のしづらい感触が手に伝わった。

しいて言うなら、光を切った感覚だ。

エレタマが北風のような絶叫を上げる。球体の約半分が今の一撃で切り落とされていた。



ふらふらと宙に浮かぶエレタマをよそに、スピカは燐光を放つ自身の体や剣を見ていた。

(そうか、これ、魔力だ)

神から【ジョブ】を与えられた人類近縁種に宿る、超自然的な力。本来は【スキル】を使う際に消費されるものだ。

しかし、今スピカが無意識に行ったように、ただのエネルギーとしてなら【スキル】なしでも扱えるようだ。

しいてこれを最初の【スキル】というなら、【無属性魔法】だろう。炎を出したり傷を癒すなど特徴的なことはできないが、魔術的な存在を攻撃出来たり、魔法から身を守ることができる。

スピカは年の割りに聡明な頭でそれを理解した。

スピカが神の加護について分析していると、エレタマが嵐のような音を出して、蔦の鞭を振るってきた。


エレタマ《知恵》? 安価↓1
スピカ《精神》110 安価↓2

エレタマ《知恵》?+26
スピカ《精神》203

スピカ《体力》400


エレタマが蔦の鞭を振るう。空気を切る鋭い音が響く。

スピカはそれを剣を交差させて防いだ。

纏わせた魔力が甲高い音を立てて蔦をはじく。蔦の鞭が勢いよく跳ね上がる。

「痛っ! たくない?」

スピカは相当の痛みを覚悟していたが、予想に反してダメージは全くなかった。

「凄い……」

改めて神の加護の効果を実感する。

エレタマは蔦をはじかれてよろめいていた。もう少しで決着がつく。

スピカは魔力に物を言わせ、両手の剣を同時に薙ぎ払った。


スピカ 安価↓1 《膂力》か《知恵》
エレタマ 安価↓2

通常攻撃でも知恵値使えるなら、スピカは膂力捨てて他のステ鍛えた方がいい感じかな?

精神だけがバカ高い敵も居るかも知れない

>>92
そのうち戦闘以外でもステータスを使った判定入れるかもしれませんし、>>93のような場合もあり得ます。

こんばんは、深夜ですが少し再開します。




スピカが放った二対の斬撃は、エレタマを見事に切り裂いた。あとに残ったのは浮遊能力を失い、バラバラになった蔦と弱々しい光を放つ結晶の欠片のみ。

「はぁ、はぁ、……終わった?」

エレタマは完全には死んでいないようだが、それも時間の問題のように思われた。

一つの災難を乗り越え、スピカの体から力が抜ける。その場にぺたんと座り込み、剣を落とした。

(男の人、助けなきゃ……)

頭のなかではそんな使命感がわいていたが、少しのあいだ、動けそうになかった。

初めての戦闘、初めての殺意、初めての緊張。

慣れないことが多すぎて疲れてしまった。





対エレタマ 勝利

倒したのでエレタマのステータスを開示します。


【名前】エレタマ
《体力》100
―――――――――――――――――
《膂力》40
《知恵》70
《防御》40
《精神》70
――――――――――――――――――
【ドロップ】
???
???
モンスターの《体力》は他のステータスの合計とは限りません。
今回は《体力》を残り3まで削っていたので勝利としました。

少し深呼吸をして落ち着いたスピカは、倒れていた男の人に駆け寄った。

「……く、うぅ。傷薬、を」

男はまだ生きていた。側にあった背嚢を指差し、渇れた声で呟く。

スピカが背嚢のなかを漁ると、クズドングリの固い外皮を入れ物にした軟膏があった。貧民区にも卸されている、クズドングリを主な原料にした粗悪な傷薬だ。

とはいえ、腐っても自然界由来の素材を使っているため、それなりの効果は期待できる。

スピカが体中の傷口に薬を塗ってやると、男は安心したように眠った。

「ふう、これからどうしよう……」

すっかり眠ってしまった男と、クズドングリの実った木を見てため息を付く。

とりあえず男の人の背嚢を借りてクズドングリを十個収穫する。クズドングリは一つ一つがそれなりの大きさ、重さで、神の加護を受けたスピカでさえ少し重いと感じた。

これで男の人も連れ帰るとなると、何事もなく森を抜けられる可能性は低い。


スピカは男を助けてもいいし依頼の達成を優先してもいい。
勿論両方でもいい。
(ゾロ目ボーナスのアイテムは後で安価します)

自由安価↓1 

それと、スラムに帰る前にこの場でやりたいことがあったら、書いてくれれば描写します。
こちらは特に安価指定しません。書けそうなら書く、くらいで。

スピカは悩んだ。

男の人を見捨てたくはない。せっかく助けたのに森に置いて言っては結果は変わらない。

しかし、依頼を放棄することも難しかった。お腹を空かせた子たちにご飯を食べさせてあげたいし、情報料の2マナを払わないといけない。

そうこうしているうちに日は傾き、森全体が急に暗くなり始めた。

風に揺れて枝葉が音を立てている。

木々の影から何者かに見定められているような気がする。

これ以上森にいるのは危険だ。スピカは夜目が聞くわけでもないし、慣れない森を真っ暗な中迷わず帰れる自信はない。

神の加護を得たとしても関係ない。本能的に恐怖を感じ始めていた。

せめて男の人を木陰に隠し、ゾロ目の数字に祈ってスラムへの帰路についた。

(依頼と報酬以外は自己責任、依頼と報酬以外は自己責任……!)

帰り道、依頼所の男の言葉を何度も頭の中で復唱した。

そこまで言い訳を用意してやっと、スピカは良心の呵責に苛まれつつも男を見捨てることができた。

半泣きになったスピカがスラムに帰り着いたのは、すっかり日も暮れ、境界線にかがり火がたかれ始めたころだった。

安価↓1 ゾロ目だった場合だけ男は生きていた。そうでなければ結果はお察し描写もなし

ちょっと続きは明日で、おやすみなさい。


(篝火! スラムだ!)

パチパチと火の粉を散らす篝火を視界に収めた時、スピカは思わず笑顔を浮かべ、涙をこぼした。

「止まれ」

重厚で静かな、しかし威圧するような声がスピカにかけられた。

篝火の隣に大男が立っている。首が痛くなるほど見上げなければ顔を見れない大男で、筋骨隆々の体は岩のようだった。

思わず足を止める。

スラムと自然界の境界はすぐ目の前なのに、スピカはそれを越えられなかった。

「言葉が通じるなら名を名乗れ」

「……ス、スピカです」

「子供の声だと? ……ゆっくり、両手を上げてこっちに歩いてこい」

スピカは言われたとおりにして篝火の男に向かって歩いて行った。

「驚いた、本当に子どもだったとは……。脅かして悪かったね。篝火の灯りが近いと暗闇がよく見えなくて」

男はスピカの姿を認めると、態度を軟化させた。どうやら彼は自警団のウィリアムというそうで、境界の見張りをしていたようだ。

暗闇から現れた影が子供のシルエットに見えたが、こんな時間に森から子供が返ってくるとは思えず、『ウル』だと思ったのだとか。

「依頼をこなしてきたのか、大したものだ。依頼所まで送るか?」

「いえ、ひとりで行けます」

「そうか」

ウィリアムはごつごつの手でスピカの頭を撫でると、黙って警邏に戻った。

夜遅くまで依頼所が開いているか心配だったが、スピカが依頼所についたとき、まだ中から明かりが漏れていた。

おずおずとスピカが依頼所に顔をのぞかせると、朝訪れたときは違い、依頼所には二人の人間しかいなかった。

カウンターに座っている受付の男と、森の情報を売ってくれた銀髪の男だ。

受付の男はスピカを認めると驚きの表情を浮かべ、銀髪の男は得意げな笑みを浮かべた。

「賭けは俺の価値みたいだな」

「ああ、そうみたいだな」

スピカにとっては謎のやり取りが行われ、カウンターの男がスピカを手招きした。

「そのバッグの中、クズドングリだろ。見せてみろ」

スピカは言われた通りカウンターに向かい背嚢を渡した。

受付の男はクズドングリ十個を確かに確認すると、「依頼完了だな」とつぶやき、スピカに3マナ、銀髪の男に2マナを渡した。

銀髪の男は手の中で満足げにマナを弄ぶと、スピカをに視線を向けた。

「俺はクリシゥスだ。金次第では情報でも協力でも惜しまない。覚えといてくれ」

「は、はぁ……」

それだけ言うと、彼は依頼所を出て行った。


とりあえず安価で出してくれたキャラは全員名前を出せたと思います。
これでどのキャラが仲間になっても違和感ない、かな……?



「ほれ、これは返す」

受付の男は背嚢を投げてよこしてきた。

スピカはそれをじっと見つめると。

「これ、預かってください」

そうのたまった。

「あぁ? なんでまた」

受付の男に問われ、スピカは森で起こったことを話した。見捨てた男のこと、この背嚢はその男の物であること。

受付の男は黙って話を聞いていたが、スピカを見もせず、その横顔は何処か失望の感情すら伺えた。

スピカは話している最中、ずっと懺悔している気分だった。

「……というわけです」

スピカの話を全て聞き終えると、受付の男は大きくため息をついた。

「こんなところで綺麗に生きようとしてどうする。そういうのは余裕があるやつの特権なんだよ」

話は終わりだとばかりに、男はいい放った。

スピカは依頼所を追い出され、その場で呆然とした。

背嚢を握りしめる。

ふと、背嚢のなかにクズドングリではない感触を覚えた。

(なんだろ……)


◆安価だけ出します。続きは夜中に出来そうならやります。

男の背嚢に入っていたアイテムはなんだったか。
大きさとか重さとかは深く考えず、
武器防具、アイテム、なんでもありです
>>55のゾロ目ボーナスのアイテム

レア度2
【名前】
《効果》

効果はステータスの値を+30出来る程度のつよさならなんでもありです。

指定忘れてました。
↓1

ステータスをプラスしないアイテムとしてはどんなのまで許容範囲だろう
中に入れたものの鮮度が落ちない【土精霊の保存箱】とか考えてるが

>>109
レア度2は「かすかな魔術的恩恵が得られる程度」を目安にしているので、【土精霊の保存箱】はちょっと効果が高いですね。

こんばんは、再開します。




背嚢の中に入っていたのは指輪だった。鉄の輪に翠玉がはめ込まれている。

輪には不思議な模様が掘られており、手に持っているだけで僅かに力を感じる。

スピカは知る由もなかったことだが、この指輪は製作者が輪の素材に銀や自然界由来の樹木を使わなかったために、得られる魔術的な恩恵があまりにも少なく、貧民区で捨てられたものだった。

スピカはそれを黙って背嚢にしまうと、塔の外壁に立地するお店でバレッドからもらった5マナを使い、パンを買った。

(これ持って帰ったら、みんな喜んでくれるかな)

皆で分けたら一人が食べられる量なんてたかが知れている。

それでも、きっと喜んでくれると信じて、みんなの笑顔を想像しながら拠点へ戻った。

「スピカちゃん帰ってきたー!」

「どこ行ってたのぉ? ずっといなかったのなんでぇ?」

拠点に戻ると、スピカは大勢の子供たちに囲まれた。みんなよほどスピカを心配したらしい、服を引っ張る子、腰に抱き着く子、安心して泣いてしまう子。

スピカの胸に暖かい気持ちが灯った。それは胸が苦しいくらいに膨らみ、目頭に上って、溢れて零れ落ちた。

「スピカちゃんどこか痛い?」

「ううん、痛くない。嬉しいだけ」

スピカは今日だけでたくさんのつらい経験を味わった。肉体的にも精神的にもくたくただ。

子供たちを見て、そして暖かく迎え入れられて、変に張りっぱなしだった緊張の糸がするりとほどけた。

(やっぱり私、みんなが大好き)

腰にくっついてきていた子を抱きしめ、改めてその思いを噛み占めた。

少ないパンを皆で分け、焚火を囲んで、塔を見上げながら食べる。

スピカの拠点周辺では、少しの間子供たちが談笑する明るい声が響いた。

少ないパンはすぐになくなり、子供たちはすでにそれぞれの家で寝てしまった。

スピカはまだ外に出て、塔の遺跡を眺めていた。

塔は何かしらの魔術的な光で星空に負けず劣らずの美しさを誇っていた。

完全に焚火の落ちたスラムから見上げると余計に眩しく感じる。

(余裕のある人たち……)

依頼所で言われたことを思い出す。

綺麗に生きられるのは余裕のある者の特権。

この世界で余裕のある者とは、つまり塔の上層に住む人たちのことだ。

運と実力とお金と権力、そういったものを生まれながらに持ち、人に与える余裕のある者。

大切な人も見知らぬ人も見捨てる必要のない強き者。

(私は……)

スピカは男の背嚢から翠玉の指輪を取り出した。

塔の灯りを受けてぬらりと輝くそれを指にはめる。

(綺麗に生きられる力が欲しい)

それまでは、使えるものは使う。

スピカは決意を新たにした。


スピカが拠点に帰ると、今朝壁に書いたアンカー・コンマーのシンボルが、赤熱したように輝いていた。一瞬炭が燃焼したのかと焦ったが、そうではないようだ。

シンボルから神聖な気配を感じる。

神が近くにいる。

スピカははじかれたようにシンボルの前にひざまずき、手を合わせてゾロ目の数字に祈った。



これからスピカのステータスを更新します。
ちょっと質問なんですけど、

〈パターン1〉
【名前】スピカ
《体力》400
―――――――――――――――――
《膂力》50→安価↓1
《知恵》150→安価↓2
《防御》90→安価↓3
《精神》110→安価↓4
――――――――――――――――――



〈パターン2〉

安価を四回とってコンマの合計を任意のステータスに振り分ける。

どっちのがいいですか?

では必然と偶然の神らしく〈パターン1〉で安価取らせてもらいます。
《体力》は下の四つのステータスの合計です。
ゾロ目はボーナス。

【名前】スピカ
《体力》400
―――――――――――――――――
《膂力》50→安価↓1コンマの数字
《知恵》150→安価↓2コンマの数字
《防御》90→安価↓3コンマの数字
《精神》110→安価↓4 コンマの数字
――――――――――――――――――

アンカー・コンマーのシンボルから、スピカの体に力が流れ込んでくる。

「くっ、うぅ……」

体中が苦痛を感じるほどに熱くなる。新たな力が体に焼き付けられる。

スピカの額に汗が浮かび、呼吸が荒くなる。

力の放流が収まったとき、スピカは息を荒くしてその場に倒れ、妙な充足感に包まれていた。

【名前】スピカ
《体力》644
―――――――――――――――――
《膂力》114
《知恵》219
《防御》122
《精神》189
――――――――――――――――――

スピカは地面に倒れたまま、アンカー・コンマーのシンボルを見ていた。

ぼやけた視界の先で、赤熱の光がゆっくりと冷めてゆく。

ゆっくりゆっくり光を落とし、そして燻ぶっていたシンボルは元の炭で書いただけの状態に戻った。

——おやすみ

そういわれているような気がして、スピカはそのまま眠りに落ちた。

「スピカちゃーん!」

「うっ!」

お腹に衝撃を感じて、スピカは目覚めた。

「な、なに? だれ?」

「朝の配給、おくれちゃうよー」

スピカのお腹にまたがっていたのはまだ幼いスラムの女の子だった。

無邪気に小さなおててを伸ばし、スピカの両頬を挟んで遊んでくる。

「やめ、やめへ。起きるから~」

「スピカちゃんおねぼう」

「ごめんなさ~い」

スピカは女の子をお腹の上から降ろすと、そのまま手をひいて配給所へ向かった。

勿論、ほかの子供たちとも一緒だ。

カッチカチのパンとスープを受け取り、お腹を満たす。

(今日は、どうしようかな……)

スピカはご飯を咀嚼しながら、考えた。


今日のスピカはどう行動しようか。
昨日のように依頼所に向かってもいいし、今日はゴミ捨て場に行ってもいい、勿論それ以外の行動もありだ。
自由安価↓1

(うーん、どうしよう)

スピカが今日の予定で悩んでいると、誰かに袖を引っ張られた。今朝の女の子だった。

「スピカちゃん、今日は一緒にきてくれる?」

うるうるとした目で見つめられるとスピカは断れなかった。

「うん、勿論。今日は一緒にゴミ拾いね」

「やたー!」

キャッキャと飛び跳ねる女の子の頭を撫でて、スピカは子供たちとゴミ捨て場へ向かった。

ゴミ捨て場は相変わらずスラムでも仕事のない弱者たちがはびこっていた。

ここで頑張ってごみをあさったとして、スラムで1マナで売れれば上出来だ。

(なんか、役に立つもの探しちゃうなぁ……)

スピカは昨日の強烈な体験から、いつものごみ漁りとは別に、森に入ることを前提としたアイテムを探してしまっていた。


スピカは何を見つけることができたか。
安価↓1
01~50 森で使えるものは何も
51~80 1つ
81~98 2つ
ゾロ目は掘り出し物

「これ、使えそうかも」

スピカはゴミの中からそれを拾い上げた。

自由安価↓2

武器、防具、アクセサリー、アイテム、なんでもありです。

【名前】
《レア度1》(魔術的な恩恵のない粗悪品~量産品程度)
《効果》
《フレーバーテキスト》任意

「いいもの拾っちゃった」

スピカが拾い上げたのはくたびれた外套だった。

壊れて使い物にならなくなったわけではなく、古くなったから捨てられたもののようだ。

ぱんぱんと埃を払って羽織ってみる。

スピカには少し大きく、ふくらはぎ位まですっぽりと覆われてしまう。

外套を羽織った自分を見て、スピカは満足げに笑った。

(ちょっと、様になってるかも)

「あー、スピカちゃんかっこいい!」

「ほんと?」

「うん、私も入れてー」

女の子がスピカの外套に入り込んできた。

スピカの腕の中にすっぽり収まり、くふふと楽し気な様子だった。

満悦そうにスピカが呟いていると、遠くからくすくすと嘲笑する声が聞こえて来た。

「見ろよ、あいつら、あんなもん拾って喜んでるぜ?」

「やだ、見たくない」

「おい、お前らー。これから森に入るんだから集中しろよー」

そこにいたのはスピカと同年代くらいの男女一組と、大人の男性一人だった。

皆一様に、粗末だがちゃんとした武器と防具をつけており、スラム出身の人間とは別の雰囲気をまとっている。

「やべ、こっち見られた」

スピカの視線に気が付いたのか、男の子が露骨にいやそうな顔をして目をそらした。

「スピカ、気にすんなよ。あいつらどうせ貧民区の見習い『探索者』だろ? 補助輪も取れてねーくせにイキリやがって」

スピカに話しかけて来たのは、スピカとは別の孤児グループを率いている灰髪の少年、アランだった。

彼は忌々しそうな視線を彼らに向けていた。

「森のモンスターにボコられたら泣きかえってくるだろ。だからさっきのは気にすんな」

「あ、うん。ありがと」

スピカがあいまいに頷くと、アランは自分たちのグループへ戻っていった。

「『探索者』……」

スピカも探索者という存在は知っていた。寧ろ、知らないほうがおかしい。

何せ塔の遺跡で暮らす人間の約半数以上が『探索者』として活動しているからだ。

『探索者』とは、自然界へ赴き、そこで有益な植物や鉱石、モンスターの素材、魔導文明の遺産などを持ち帰る仕事だ。

その実力はピンキリであり、その日の宿代を稼ぐことで精いっぱいの人間もいれば、伝説に残る【剣聖】の少年のように偉業を成すものもいる。

自然界に挑むという職業なので、【ジョブ】を持たない人間はまともに『探索者』としての活動なんてできないし、塔の公的機関に『探索者』として認められることもない。

しかし、今のスピカには【ジョブ】が宿っている。

しかるべき検問を受ければ、塔の中に入り、正規の『探索者』として活動することも許されるだろう。

「わたしも『探索者』になれば……」

スピカは塔を見上げた。

白い雲を突き抜けて彼方まで伸びあがる塔は、先端を望めないほど高い。

『探索者』として実績を重ねれば、身分は関係なく、財力や名声、塔での権力を得ることができる。

伝説的な存在にされさえすれば、子供たちに不自由のない生活を送らせてあげることもできるし、きっと困っている人に手を差し伸べる力も付くと思う。

しかし。

「高いなぁ……」

一体どこまで登ればそんな力が手に入るのだろうか。

スピカはくたびれた外套を羽織ったまま、ごみを漁るため地面を向いた。

今日の更新は以上です。おやすみなさい。

こんにちは、再開します。



ごみ拾いは午前のうちに終わってしまう。

特にスラム内で仕事を持たない子供たちは、この後仕事を探すなり文字を教わるなり、各々の時間を過ごす。

それはスピカも同じだった。


スピカは午後からの予定を特に決めていない。
自由安価↓1

ちょっと質問なんですけど、
仲間候補はウィリアム、バレッド、クリシゥス、アランの四人で大丈夫ですか?

では初めは四人の中から進めていくことにします。

スピカが手持ち無沙汰になり拠点に戻ると、アンカー・コンマーのシンボルが赤熱していた。

神の存在を近くに感じる。

慌てて膝まづくと、スピカに神託が下った。言葉ではなく直感で感じた。

アンカー・コンマーが、一人だけ【ジョブ】を授けてもいいと言っている。

よき友、心強き仲間、頼れる人間がいたら連れてくるがよい、と。

神託はそれで終わりだった。スピカは、ほうと息を漏らして顔を上げた。

(協力者がいたら、もっとできることが増えるかもしれない)

依頼所の依頼をこなすにしても、塔で成り上がるにしても、一人より二人のほうがうまくいくことも多いだろう。

スピカは思案する。

これから先も、スピカは子供たちの生活を良くしようと活動するつもりだ。なので、きっと危険に飛び込むし、無茶をすることだってあると思う。

ただ単に【ジョブ】という力だけを貰って何もしない人を選ぶわけにはいかないし、子供たちのような庇護者を選ぶわけにもいかない。

そういった人たちを除外してゆくと、スピカの中で仲間候補が四人上がった。

自警団の男性で、威圧感はあったが根は優しそうな男、ウィリアム。

このスラムで義賊として活動している噂の男、バレッド。

お金にこだわっており、ビジネスライクな関係を築けそうな男、クリシゥス。

同じ孤児のリーダーを務めている仲間思いの男、アラン。


スピカは四人の仲間候補を思い浮かべた。
ウィリアム
バレッド
クリシゥス
アラン
実際に仲間になってくれるかは別として、午後からはこの中の何人かと話してみようと考えた。

まずは誰のところを訪れようか。

安価↓1

「ウィリアムさんを頼ってみよう、かな」

スピカは昨日の夜であった筋骨隆々の男性を思い浮かべた。

あの体躯、そして威圧感の裏に感じた根の優しさ。

恐ろしい森から帰ってきて最初の人間という印象も強いのだろう。

仲間になってくれたらきっと頼もしいと思った。

スピカは子供たちに出かける旨を伝えると、ウィリアムを探した。

昨夜のように警邏しているかもしれないと思い、境界へ向かうと、ウィリアムを見つけることができた。

あの岩のような巨体だ。本当に簡単に見つかった。

寧ろ勝手に視界に入ってきたほどだった。

スピカからしたら巨人のようにも見えるその体には、無数の傷があった。いざこざをまとめる際の実力行使や、自然界からの侵入者を追い払うときに負ったものだろう。

「こんにちは、ウィリアムさん」

「ん? 昨日の子供じゃないか、どうした、何かあったのか?」

「あの、私スピカって言います。今日はウィリアムさんに用があるんです」

「俺にか? 今は見ての通り警邏中なんだ。話だけならここで聞けるがね」

「それで構いません」



スピカはウィリアムと接触できた。
これからどう話を持ち掛けよう。
自由安価↓1 ゾロ目なら何の条件もなく仲間になってもらえる。

一旦更新止まります。夜にまた来ます。

今晩は、再開します。



スピカは最初から本題に入った。

「私、先日【ジョブ】が宿ったんです。」

「あ、あー……、言っちゃなんだがな、ほんとか?」

ウィリアムは眉をひそめた。

当然の反応だった。スラムの人間は神の加護を得られなかったからここにいる。

神の加護は遺伝する、というよりは一族に宿るもの。両親がピースの信徒なら、子供も生まれながらにピースの信徒となるのが基本だ。

後天的に【ジョブ】が宿る事例は、実はないこともなかったが数百年に一度程度だ。

神が復活することはそれだけ珍しい。

「これを見ていただければ信じてもらえると思います」

スピカは魔力をまとわせた。全身が白銀のベールに包まれ、燐光を放つ。

魔導文明の遺産や魔法道具を使わずに魔力を扱えるものは、【ジョブ】を持っている者のみ。

スピカの発する燐光は、【ジョブ】が宿っているというこれ以上ない証左だった。

「昨日スピカが依頼を達成できたのもそれがあったからか」

ウィリアムは合点がいったというように頷いていた。

そして、やはり解せぬと首をひねった。

「どうして、そんな大事なことを俺に話した?」

「私に【ジョブ】をくださったアンカー・コンマー様が、もう一人信徒を増やせるとおっしゃってくださったんです。協力者として好ましいものを選んでよいと」

「協力者、なんのだ?」

「……私はスラムの子供たちにもっといい生活をさせてあげたいんです。ちゃんとしたお家で、毎日おいしいごはんを食べられる、そんな生活を」

スピカはさらに言葉をつづけた。スラムの子供たちだけではない。

困っている人がいたら助けたい。誰も見捨てる必要のない力が欲しい。

その為には、少なくとも今の自分ひとりでは武力、権力、財力、その他あらゆる力が足りていない。

「つまり、俺に依頼の仕事を手伝ったり探索者として活動する際のパートナーになってほしい、と」

「はい」


ウィリアムは難しそうな顔をした。

そして、唸りながらも語り始めた。

「……俺が自警団をやってるのは、大体スピカと同じ理由だよ。スラムの仲間を守りたかった。幸い俺には恵まれた体があったから、こうして警邏をしている」

しかし、ウィリアムは限界を感じていた。

小さな喧嘩を収め、はぐれの外敵を追い払う日々。

それに、自警団とはスラムで幅を利かす集団が縄張りの主張のために行っている側面もあり、管轄外の問題に手を出すことは難しい立場にある。

それは、ウィリアムの求めていたものとはどこか違っていた。

「できるなら俺からお願いしたいくらいだが……、簡単にはいかないんだ」

「なにか問題があるんですか?」

「自警団を抜けるには、手切れ金を払わないといけないんだよ。100マナ」

「ごじゅっ!」

スピカは絶句した。とんでもない金額だったからだ。



ウィリアムを仲間にするためには100マナの手切れ金を用意する必要がありそうだ。
スピカは頑張って100マナをためてもいいし、ウィリアムを諦めてもいい。
それ以外の方法や説得材料を探すためにこの話をいったん保留にするのもありだ。
自由安価↓1

他の方法を一応聞いた上で保留

>>155
スピカの「ごじゅっ!」っていってるセリフ、推敲しているうちに間違えました。

「ひゃくっ!」みたいな、100マナに驚いたリアクションに脳内変換しておいてください

ちょっと安価ルールゆがみますけど>>157のパターンで進めていいですか?

じゃあ>>157で進めます

「100マナなんて、どうやって払えば……。他に自警団を抜ける方法はないんですか?」

「そうだなあ。ボスに土産を渡して手切れ金の値引きぐらいならできるかもしれんが」

「みやげ、ですか」

「ああ、ボスは自然界由来の毛皮を欲しがってたな。それも《ウル》なんて小物じゃなく、もっと恐ろしいモンスターのな」

「じゃあ、それを私が持ってこれたら!」

スピカの頭にげんこつが落ちた。そんなに痛くなかったがびっくりした。

「馬鹿言うな。そんな危険を冒すくらいなら、ほかの仲間を探したほうがいい」

「……そう、ですか」

スピカしゅんとし、その場をあとにしようとしてウィリアムを振り返った。

「ウィリアムさん、この話、よかったら覚えておいてください」

「ああ」

ウィリアムは警邏に戻り、スピカはほかの候補の人を訪ねることにした。




スピカが訪ねた次の仲間候補は?
バレッド
クリシゥス
アラン

「バレッドさんを仲間にできたら」

スピカが次に思い浮かべたのは、スラムの義賊、バレッドだった。

彼はスラム悪党から金を奪って配る実力もあるし、何より義賊という行いをしている以上、きっとスピカと志を共にできる可能性が高い。

スピカはバレッドを探し始めた。

そしてすぐに行き詰った。

「私、バレッドさんの居場所を知らない……」

スピカとバレッドの面識は昨日森で出会った一回のみ。

【ジョブ】の加護もなしに森に潜伏し続けられるとは考えづらいのでスラムのどこかにいるはずなのだが、悪党が見つけられない潜伏場所をスピカが見つけるのは至難の業に思えた。



スピカがバレッドを仲間にするには、まず彼の居場所を突き止めなければならない。
スピカはバレッドを探して奔走してもいいし、別の仲間候補を訪ねてもいい。
自由安価↓1

「がんばってバレッドさんを探そう」

やはり大人の協力者というのはそれだけで外面的、肉体的、精神的そのた諸々、「子供」というだけで不足している部分を補ってくれる。

何より自身の身を危険にさらして善行を働くような人だ。

きっと喜んでスピカに協力してくれる。

スピカは今一度気合を入れなおし、ゾロ目の数字に祈った。

そして、どうしたらバレッドを見つけられそうか考えた。

やみくもにスラムを駆け回ったとしても、バレッドを見つけられるはずがない。

情報が必要だ。スピカはバレッドについてほとんど噂程度しか知らない。

性格、好み、格好、活動範囲、活動時間、何も知らない。

しかし、スラムの民に施しを与えている以上、どこかで目撃情報が見つかるはずだ。もしかしたらバレッドと定期的に交流のある人物に巡り合えるかもしれない。



スピカはバレッドに関する情報を集めてもいいし、心当たりがあるならそこへ赴いてもいい。
やみくもに探すという手も無くはない。
自由安価↓1

スピカはスラムの一画を訪れた。

そこは子持ちの女性や年老いた人、子供、病人と、スラムでも特に弱い者が追いやられるようにして集まった場所だ。

バレッドが現れるならここかもしれないと考えた。

スピカはその区画で、子持ちの女性の住処を修理してあげる代わりに、バレッドについて尋ねてみた。

「バレッドさんは確かに、毎日この区画にくるよ。私もご飯とかマナとかで助けられてる」

「毎日ですか? そんなに頻繁に悪党からお金を取り返しているんですか?」

「はは、そうじゃないよ。悪党から奪ったお金を一気に誰かに渡したら、その人が狙われてしまうだろ? だから小分けにして配ってるんだ」

その通りだとスピカは思った。考えたらわかりそうなものだ。

「では、バレッドさんの居場所とか顔とか知りませんか?」

「うーん、それは知らないねえ。実は朝起きると小銭やご飯が枕元に置かれているだけで、バレッドさん本人を見たことはないんだよ」

どうもバレッドは悪党どころか施しを与えているスラムの民にすら姿を見せないらしい。

もしかしたらそれも、スラムの民を悪党からかばうための気遣いなのかもしれない。

「そういえば、今朝は何も置かれてなかったねぇ。別に催促しているわけじゃないよ。なんかあったんじゃないかって心配になったんだ」

「……今日は、施しがなかった」

スピカは少し引っかかるものを覚えた。

丁度女性の住処の修繕が終わったので、礼を言って住処を出た。


スピカはさらに情報を集めてもいいし、心当たりがあるならそこへ向かってもいい。
なにか別のアプローチでバレッドを探すという手もある。
自由安価↓1

スピカは昨日の出来事を思い出した。

森の中、悪党の追手におわれて森の奥へ進むバレッドの姿を。

もし、彼が悪党の手にかかっていたら。もし、追手を振り払った後も自分を探していたら。

スピカは急に背筋が冷え、全身総毛だった。

あの日エレタマの蔦の鞭でしばかれ血だらけになって倒れていた男の姿と想像の中のバレッドの影が重なる。

スピカははじかれたように森へ駆け出していた。

スラムを駆け抜け、昨日は跨ぐのに随分と戸惑った自然界への境界線を飛び越え、木漏れ日を切り裂いて奥へ進んだ。



安価↓1 
01~50 エレタマ×2に遭遇
51~80 ウル×2に遭遇
81~90 《???》に遭遇
91~00 《???》に遭遇
ゾロ目はボーナス

今日は寝ようと思います。おやすみなさい。
続きは明日、ウル×2と戦闘からです。

少しだけ再開します。



スピカは森を駆ける。

神の加護で強化されたスピカの身体は獣のような速度を出して木々の間を駆け抜ける。

踏み込みは苔をめくりあげ、木の根を折り、小川を割った。

バレッドがどこにいるかわからない以上、昨日バレッドと別れた場所まで急行し、そこを中心に森を探索するしかない。

焦燥するスピカの視界に、ちらりと影が映った。

走るスピカに並走するように、何かがいる。

茂みや樹木の影を利用し、うまく姿をいせないようにしている。それは狩りに慣れたものの動きだった。

スピカは森の開けた場所を見つけると急停止。

鉄剣とナイフを取り出し、襲撃に備えた。

視線を巡らせ、気配を探り、そして草むらから飛び出してきた獣に剣を合わせた。

対ウル×2


【名前】スピカ
《体力》644
―――――――
《膂力》114
《知恵》219
《防御》122
《精神》189
―――――――
錆びた鉄剣《膂力》10
燻んだナイフ《膂力》10
翠玉の指輪《防御》《精神》15
くたびれた外套《防御》10

【名前】ウル×2
《体力》?
―――――――
《膂力》?
《知恵》?
《防御》?
《精神》?
―――――――

ステータスの合計はスピカが上
先攻

安価↓1 スピカの攻撃《膂力》か《知恵》
安価↓2 ウル×2の防御 こちらはスピカの攻撃に合わせた対抗手段で判定します。

スピカは魔力を乗せた鉄剣を完璧に一匹目のウルに合わせ、二匹目のウルにもナイフで痛手を負わせた。

(昨日と全然違う)

アンカー・コンマ―に与えられたさらなる力は、ウル二匹を相手にする分にはまるで問題にならないほど強力だった。

一匹のウルは倒れたまま動かず、もう一匹はふらつきながらもスピカに牙をむく。

手負いの獣ほど恐ろしいものはない。

スピカは唸りながらかみついてくるウルに防御の姿勢をとった。

ウル《膂力》?安価↓1
スピカ《防御》147安価↓2

ウル《膂力》?+80
スピカ《防御》153
スピカ《体力》577


ウルは手負いにも関わらず俊敏な動きでスピカに接敵し、その凶暴な牙を突き立てた。

スピカは外套越しに受け止めたが、鋭利な牙はくたびれた外套を容易に貫き、スピカの肌に傷をつけた。

「うぐぅ、あっ!」

途轍もない咬合力。アンカー・コンマーの加護がなければスピカの腕は簡単にちぎれ飛んでいたに違いない。

スピカは初めて味わう鋭い痛みに顔を歪め、冷や汗を流す。

腕に食いついたウルを腕力で振り払い、よろめいたウルにとどめの一撃を向けた。

スピカ攻撃《膂力》か《知恵》安価↓1
ウル防御安価↓2

一体倒しても敵の攻撃翌力は2匹ぶんなのか

>>187
集団を相手にするときは「ウル×2」というモンスターみたいな扱いです。



スピカ攻撃《知恵》261
ウル《精神》?+12
ウル《体力》0
対ウル×2 勝利


スピカは剣を力いっぱい振るった。

ゴミ捨て場から拾ってきた剣やナイフだろうと、魔力をまとわせればそれは魔法の剣になる。

ウルの毛皮を切り裂き、見事に二匹目を絶命させた。

「はぁ……、ふぅ……」

昨日よりも確実に強い相手だったが、今のほうが精神的な余裕がある。

少しだけ心も強くなれたのだろうかと考え、スピカはすぐにバレッド探しを再開した。


ウルを倒したのでステータスを開示します。

【名前】ウル×2
《体力》200(100×2)
―――――――
《膂力》140(70×2)
《知恵》80(40×2)
《防御》140(70×2)
《精神》80(40×2)
―――――――


スピカは昨日バレッドと別れた場所にたどり着き、そこから手掛かりを探した。

「これは、足跡?」

スピカは子供にしては高い洞察力をもって、地面についた手掛かりを見つけた。

森は奥に向かうほど暗くなり、地面もぬかるんでいる。

昨日バレッドと追手が走って行った方向に足跡は続いていた。

「近づいている」

スピカは確信をもって森の奥へ進んだ。


安価↓1
01~30 《???》×2に遭遇
31~60 《???》×2に遭遇
61~90 《???》に遭遇
91~00 《???》に遭遇
ゾロ目はボーナス



一旦更新止まります。
続きは今日の夜中か明日で。


こんばんは、再開します



スピカは残された足跡をたどり、暗い森を進む。

段々と草木の密度が高くなってくる。

地面には花よりも菌糸類や地衣類が目立つようになり、木の根や枝には苔やシダが寄生するようにはえている。

うすぐらい森の影から、何かの視線を感じた。

走るスピカと一定の距離をおき付きまとっている。

(この感じ!さっきと似てる)

また、ウルに狙われていると感じたスピカは、足跡を辿って丁度森の泉に出たところで停止した。

向こうもその瞬間を待っていたのだろう。

ゆっくりと、強者の余裕を持って茂みから姿を表した。

それは一見ウルだった。

四足歩行で牙と爪を持つ獣。凛々しい顔立ちと怜悧そうな瞳の狩人。

しかし、ウルが茶色の毛並みであったことにたいし、こちらは灰色がかった紫の毛を持っていった。

さらに、その毛皮はバチッ、バチッと紫電を纏っていた。

明らかに別種。

おそらくはウルの上位種だった。

対《???》×2

【名前】スピカ
《体力》577
―――――――
《膂力》114
《知恵》219
《防御》122
《精神》189
―――――――
錆びた鉄剣《膂力》10
燻んだナイフ《膂力》10
翠玉の指輪《防御》《精神》15
くたびれた外套《防御》10


【名前】《???》×2
《体力》?
―――――――
《膂力》?
《知恵》?
《防御》?
《精神》?
―――――――

ステータスはスピカが上 先攻

スピカ攻撃 安価↓1 《膂力》か《知恵》
《???》×2防御 安価↓2 こちらはスピカの攻撃に合わせた対抗をします。

スピカ攻撃《知恵》236
《???》×2防御 《精神》?+95
《???》《体力》?



スピカとウル上位種の間で空気が張り詰めている。

冷や汗を流すスピカと対照的に、二匹のウル上位種はただ整然とスピカの隙を伺ってきている。

緊張に耐えられずスピカが隙を見せた瞬間。

ウル上位種が図早く踏み込んだ。

(はやっ!)

まさに雷のような速さで迫ってくる一匹目のウル上位種に、スピカはぎりぎりナイフを合わせた。

「ワフッ!」

軽く切り傷をつけられた一匹目のウル上位種は、驚いて距離をとる。

しかし安心はできなかった。

二匹目のウルがかみついてきたのだ。

《???》《膂力》?+安価↓1
スピカ《防御》147+安価↓2

《???》《膂力》?+40
スピカ《防御》228
スピカ《体力》577


スピカを狙ったウル上位種の噛みつきをぎりぎりでかわした。

鋭い牙が目の前で閉じられる。文字通り間一髪だった。

(さっき、ウルの動きを見てなかったら避けられなかったかも……)

戦いが始まり、スピカは少しだけ冷静になってきた。

落ち着いてウル上位種の動きを見極め、攻撃に合わせて剣を薙いだ。

スピカ攻撃《膂力》か《知恵》安価↓1
《???》×2 安価↓2

戦闘中のゾロ目ボーナスは追加攻撃でいいですか?

ゾロ値+再判定です。

安価↓1

あとゾロが出た時スピカ覚醒って感じの描写入れたいので、今後戦闘中にゾロが出た時のスピカの見た目の変化も書いてください。
例 オーラが増す。 目の色が変わる。

連続で安価ごめんなさい。
安価↓1 通常時の眼の色
安価↓2 覚醒時の眼の色

スピカ攻撃《知恵》293
《???》×2 ?+75
《???》×2 《体力》?

スピカが剣を振った瞬間、まるで世界が停止したような錯覚に襲われた。

赤い色に染まった世界。

音が消え、自分の鼓動だけがやけに大きく聞こえる。

全身の血液が沸騰し昂る。

迅雷のごとく動くウル上位種の毛並み一本一本まではっきりと見分けられる。

(へ?)

スピカは困惑していたが、体が歴戦の戦士もかくやという動きを見せてウル上位種二匹を捌いていた。

一匹目を真一文字に卸し、二匹をナイフで牽制する。

「っ……ぁ! はぁ、はぁ、なに? 今の?」

まるで世界を掌握したような全能感があった。

さっきまでの自分ならきっと運命さえ切り裂けた。

そんな気分。

惜しむらくは初めての感覚だったので手放してしまったことだ。

「グルルルルゥウゥゥウ……」

ウル上位種がスピカを警戒するように唸っていた。

スピカがウル上位種に視線を向けると、彼は毛を逆立てた。

ウル上位種は見てしまったのだろう。

新緑のように優しげだった少女の瞳が、血のような深紅に染まった瞬間を。

ウル上位種は自棄を起こしたようにスピカに喰いかかった。

《???》×2 《膂力》?+安価↓1
スピカ《防御》147+安価↓2

《???》×2 《膂力》?+88 ゾロ、スキル【紫電の牙】発動
スピカ《防御》209
スピカ《体力》577
スピカ《麻痺》160 コンマ50~60自動失敗

スピカはウル上位種の渾身の攻撃を鉄剣とナイフを交差させて受け止めた。

「ウググウウ!」

鍔迫り合いの中で、ウル上位種がうなり、牙の間を紫電が走る。

バチバチと音を放ち放電するほどに電圧を上げたそれは、鉄剣を伝ってスピカの体を痺れさせた。

「うぐぅ!」


状態異常の説明

状態異常は安価の度に自動で発動します

状態異常には《強度》が設定されています、状態異常の威力や効果時間に関係します。

《強度》は安価した時のコンマや回復アイテム、回復魔法で減らすことができ、《強度》が0になると状態異常が治癒したことになります。

回復アイテム、回復魔法で《強度》を減らした場合、《体力》は回復できません。



《麻痺》コンマ判定が50~60で自動失敗
《強度》160

スピカが攻撃
コンマが55
自動失敗 《麻痺》の《強度》160-55=105
敵が攻撃
スピカが《防御》40 成功 《麻痺》の《強度》105-40=65
スピカが回復魔法150 《麻痺》完治。《体力》の回復なし

スピカは神経が侵されうまく動かない体に叱咤を入れ、ウル上位種に剣閃をお見舞いした。


スピカ《膂力》か《知恵》安価↓1
スピカ《麻痺》160 コンマ50~60は自動失敗
《???》?+安価↓2

スピカ《知恵》310
《???》?+38
《???》《体力》0


スピカの放った斬撃は二匹目のウル上位種も見事肉片に変えて見せた。

「な、何とかなった」

目の前に転がる二匹分の死体。

その毛皮や地面に吸われる血潮にはいまだ紫電が火花を上げている。

今まで出会ってきたモンスターも大概不思議な生体をしていたが、雷を纏う生き物などおとぎ話の中でしか見たことなかった。

それを、自分が殺したのだ。

麻痺で感覚が鈍くなっているせいかもしれないが、実感が薄かった。


《???》を倒したのでステータスを開示します。


【名前】ウル・シ
《体力》110
―――――――
《膂力》80 
《知恵》50
《防御》80
《精神》50
―――――――
【紫電の牙】《膂力》でダメージを与えると《麻痺》80を付与

スピカはバレッド探しを再開した。

森の泉に出たところでスピカが追ってきた足跡は途絶えていた。

その代わり、血痕が道を作って続いていた。

泉の周囲は不気味なほど静まり返っている。

森全体が身を潜めているようだった。

スピカは覚悟を決めて先へ進んだ。

01~89 バレッドを見つける
90~99 《???》と遭遇
ゾロはボーナス ボーナスの内容を書いてくれたら参考にできます。

血痕を追ってゆくと、さらに二手に分かれていた。

一つはさらなる森の奥へ。もう一つは傍の木のウロへ。

どちらかがバレッドのもので、どちらかが昨日の追手のものだとスピカは察した。

(バレッドさんでありますように)

ゾロ目の数字に祈り、剣を構えてウロを覗いた。

「バレッドさん!」

そこにいたのはバレッドだった。

迷彩のフードをかぶり、魔道具の銃を持った男。

彼は、ウロの中で壁に背を持たれて座っていた。

「な、お前は……」

バレッドはウロを覗いてきたのがスピカだと分かると、驚愕の表情を浮かべていた。

それで初めて見えたのだが、フードの下の顔は銀髪蒼眼で整った顔の青年だった。

バレッドはウロの入り口に立ち止まったままのスピカをつかんでウロに引き入れた。

なぜこんなところに来た。いや、なぜここに来れた」

詰問するバレッドに、スピカはここに来るまでの経緯を話した。

アンカー・コンマ―の加護のこと。

バレッドに協力者になってもらおうと探したこと。

今朝の施しがなかったという話を聞いて急いで助けに来たこと。

それらを全て話し終わったとき、バレッドは苦々しそうな顔をしていた。

「……そうか、俺の未熟が原因なんだな」

「自分を責めないでください。私が昨日あんな場所にいたことだって原因なんです」

スピカとバレッド、両名とも性根が善人であり自己犠牲的な部分があるために、責任の追い合いが続いた。

俺が、私が、俺が、私が、さすがに生産性がないと思ったのか、バレッドが話題を転換した。

「この話は後にしよう。それより、まずはスラムに帰らないと」

「バレッドさん、動けますか?」

「心配するな、血は止めた。一晩休んで気力も戻った。行けるさ」


神の加護を受けたスピカと実力者のバレッド。

二人は協力し合い、無事森を抜け、スラムに帰ってきた。

スピカはひとまず拠点に帰ってきた。

バレッドも今夜はスピカの拠点に匿ってもらうことにしたようだ。

拠点に戻ると、アンカー・コンマ―のシンボルが赤熱していた。

「バレッドさんすみません。アンカー・コンマ―様に祈らないといけないので」

「あ、ああ、俺のことは気にするな」

バレッドに一言断りを入れると、スピカはシンボルの前に跪き、手を合わせ、ゾロ目の数字に祈った。





スピカのステータスを更新します。
今回は《魔力》と【スキル】を追加します。


【名前】スピカ
《体力》644
《魔力》安価↓1コンマ一の位
―――――――
《膂力》114+安価↓2
《知恵》219+安価↓3
《防御》122+安価↓4
《精神》189+安価↓5
―――――――

スピカに向かう力の放流。

二度目だがやはり苦しいほど熱い。

「大丈夫なのか?」

「気に、しないでください」

心配するバレッドを止め、スピカはアンカー・コンマ―の力を受け入れた。

【名前】スピカ
《体力》778
《魔力》4
―――――――
《膂力》177
《知恵》227
《防御》206
《精神》168
―――――――


前回はこれで終わりだったが、今回はシンボルの赤熱が収まることはなく、さらなる力をスピカに与えた。


スキルの説明
 
《魔力》を消費して特殊な選択肢を増やします。
 
《魔力》の消費はどのスキルも「1」です。
 
スキルの効果はステータスを参照します。
 
レアリティによって効果の上限が変わります。
 
相手が対抗してくる場合、スキルはコンマで判定します。その場合判定に使う値はステータスの元の値です。
 
☆1(レア度1)の場合(ステータスの半分の値を参照)


 

【パワースマッシュ】☆1
スピカの《膂力》50の半分だけ相手の《体力》を減らす。
対抗手段《防御》
 
相手が無防備なら判定なし、相手の《体力》を25減らす。
対抗してきたら判定あり、相手の《防御》を、自分の《膂力》に安価ででたコンマを加えた数字が越えたら成功
自動成功、自動失敗もあり得る。

 
 
その他スキルの例

 
【マインドバリア】
《精神》の半分を《膂力》に乗せる。(常時ではない)
 
【サーチ】
《知恵》の半分で周囲の敵の情報を完全に暴く
対抗手段《精神》
 
【ヒール】
《知恵》の半分で誰か一人の《体力》を回復する
対抗手段《防御》《精神》
 
【バインド】
《知恵》の半分で敵を《麻痺》にする。
対抗手段《防御》

 
 
レア度1のテンプレート

 
【スキル名】☆1
《ステータスのどれか》の半分
対抗手段


失礼しました。

【名前】スピカ
《体力》778
《魔力》4
―――――――
《膂力》177
《知恵》227
《防御》206
《精神》268
―――――――

今日はスキルを募集して終わりたいと思います。

安価↓1-5

テンプこっち使ってください
 
【スキル名】☆1
【効果】《》の半分で
【演出・エフェクト】任意
【対抗手段】


五つの内二つを安価で採用させていただこうと思います。
強すぎたりしたらこちらで調整するので、いろいろ出してくれると嬉しいです。

【スキル名】エクリプス
【効果】《精神》の半分の数値分未満のダメージを受けたとき、
ダメージを無効にし、そのダメージ分だけ自分の体力を回復する
【演出・エフェクト】身体から皆既日食の際に視認できるコロナのようなオーラが浮かび上がる
【対抗手段】《精神》

【スキル名】☆1 穿撃
【効果】《膂力》の半分のダメージを追加で与える。突きに適した武器でなければ(杖や斧など)、威力は0になる。
【演出・エフェクト】顔の前に武器を掲げ、構えを取り、力を込めて強烈な突きを繰り出す。
【対抗手段】《防御》

対象の《防御》の半分だけ、ダメージを減少させる。

【アコーダンス】☆1
【効果】自分の《知恵》の半分が、対象の《知恵》の数値を上回っている場合に発動できる。
対象の《体力》《魔翌力》以外のステータスをすべて、対象の《知恵》と同じ数値にする。
効果は長続きしない。
【演出・エフェクト】対象の頭上に水の波紋のようなエフェクトが現れたのち、対象の網膜に無秩序な幾何学模様が描かれる。
【対抗手段】《精神》

すみません。今日はスキルだけ決定します。

安価↓1、2コンマ 被ったら一個下にずらします

01~20【キュアー】
21~40【エクリプス】
41~60【穿撃】
61~80【シルヴァーヴェイル】
81~00【アコーダンス】

夜遅いですが少し再開です。
【キュアー】の設定を少し変更させていただきました。





【キュアー】☆1
【効果】《知恵》の半分で誰か一人の体力を回復する。状態異常を回復する場合強度を超えた分だけ《体力》も回復させる。

【穿撃】☆1
【効果】《膂力》の半分のダメージを追加で与える。突きに適した武器でなければ(杖や斧など)、威力は0になる。


祈りを捧げるスピカの体に、今までとは別の力が宿った。

(これが……、【スキル】……)

急な力の増加はスピカの体にひどい負担をかけた。

スピカはスキルの存在を感じ取りながら気絶するように眠った。

翌朝、スピカは太陽が昇る前に起きた。

(また強くなってる)

【ジョブ】が宿ってまだ三日目。だというのにスピカの体は当初とは比べ物にならないほど強大な力を手にしていた。

おもむろに転がっていた石を拾い摘まみ上げる。

別に普通だ。石を持った感覚も、硬いという感触も。

スピカが力を籠めると石は容易く粉々になった。

(力加減とか、間違えないようにしないとなぁ)

もし子供たちの手を握ったとき、うっかり力いっぱい握ってしまったら大変だ。

幸いこれまでと同じ感覚で体を動かせば、【ジョブ】を得る前と同じ力加減で体を動かせる。

今は、その先の力が発揮できることに気を付けていれば何とか普通に過ごせそうだった。

スピカの拠点ではバレッドが寝ていた。

呼吸が深く少し頬をつついたくらいでは身じろぎもしない。

昨日は大丈夫と言っていたが、空元気だったのだろう。

結局彼は太陽が顔を出し、配給へ向かう時間になっても起き上がらなかった。

さっそく手に入れたスキルの【キュアー】を使い、バレッドの傷を治した。

それでも彼が目を覚まさないのは、単純な気力、体力の回復が出来ていないからなのだろう。

森で怪我を負った彼は、痛みと警戒で満足に寝ていないはずだ。

今の彼に必要なのは十分な睡眠だった。

スピカは子供たちを連れて配給へ行き、今日は子供たちともゴミ捨て場に行かず拠点に帰ってきた。


スピカは、彼が起き上がるのを待って協力者になって欲しいと改めて相談を持ち掛けてもいい。
バレッドが眠っている間に他の協力者候補の下へ向かってもいい。

安価↓1
・バレッドを仲間にする(バレッドは起き上がり仲間になります)
・ほかの仲間候補に接触する

安価↓1がバレッドを仲間にするを選んだ場合
安価↓2-3
賛成
反対(別の行動を提示する)

反対が一人でも反対意見を優先します

「スピカちゃん、この兄さんだれ?」

「んー、有名人だよ。バレッドさん」

「バレッドって、あの義賊のバレッド!?」

「そ、ちょっと怪我してるからお休みしてるの」

「へえ、こんな顔してたんだ」

スピカの拠点に来ていた年長の子供が、バレッドの顔をまじまじと見て感心していた。

「……くっ、ここは」

すっかり寝入っていたはずのバレッドが体を起こした。

「バレッドさん、無理をしないほうがいいです」

「いや、大丈夫だ。それより水をくれないか?」

スピカから受け取った水で喉を潤すと、バレッドはスピカを見て申し訳なさそうな顔をした。

「……昨日の、協力者になるって話だが」

「はい」

バレッドは協力者になることを渋った。

というのも、自分はスラムの悪党に命を狙われている立場であり、協力者となればスピカや子供たちを危険にさらしてしまうかもしれない、と。

きっと自分より協力者にふさわしい人間がいるはずだから先にそちらをあたってくれ、と。

「どうしても協力者が見つからなくて、もう俺しかいないとなったら依頼所のカウンターに座る男にこれを渡してくれ。俺につながるはずだ」

そういうと、バレッドは一つの弾丸を取り出してスピカに渡した。

バレッドの扱う特殊な銃専用の弾丸だ。

バレッドはフードをかぶると外を警戒しながらスピカの拠点を去ってしまった。

(仕方がない、のかな)


※これ以降いつでもバレッドを仲間にできます

※「療養のために寝ているバレッドを放って仲間探し」という展開はスピカの性格に合っていないと思ったので、少し展開を変えました。

スピカはどの仲間候補に接触しますか?
安価↓1
ウィリアム(仲間にするために手切れ金を工面する)
クリシゥス
アラン

次はクリシゥス編ですね。
今日はここまでにさせていただきます。短くてすみません。

おっ、大丈夫か大丈夫か

毎度おなじみ夜中の再開です。
>>257心配してくれてアトザマス。昨日はお出かけしてました。


今回も協力者を得られなかった。

となると仲間候補は後二人だが。

「クリシゥスさん、かな」

二人の内、スピカが選んだのはクリシゥスだった。

理由は単純に、アランが子供だからだ。

スピカは自身のことを完全に棚に上げてクリシゥスを探した。




スピカは依頼所で彼を見つけた。

相変わらず顔立ちは整っているのに威圧的な印象だ。

獲物のサーベルを整備している途中だからか余計に彼の周りの空気が張って見える。

以前依頼の件で多少親密になったとはいえ、スピカはまだ彼に声を掛けるのが少し怖かった。



依頼所でクリシゥスを見つけたスピカ。
冷静だが守銭奴の彼を協力者に引き入れるには交渉が重要だ。
スピカは誠心誠意思いを伝えてもいいし、一度ビジネスライクな関係を気づいてもいい。
勿論交渉しない手もある。

自由安価↓1

誠心誠意思いを伝えたあと、あえてビジネスライクなお話へ移り交渉しようと試みる
両方が不可能なら、思いを伝える方のみで

昨日は寝落ちしてすみませんでした。それと、安価は思いを伝えるのみを採用させていただきました。







スピカはクリシゥスがサーベルの点検を終わらせたタイミングを見計らって声を掛けた。

「おはようございます。クリシゥスさん」

「ああ、スピカか。どうした? 割のいい話でもあるのか?」

「割のいい話、ではないと思いますけど、クリシゥスさんにお話があるんです」

「……まあ聞いてやる」

「ありがとうございます! あの、実は私、【ジョブ】が宿りまして……」

「ちょっと待て」

「はい?」

「場所を変えるぞ」

「は、はい」

スピカはクリシゥスに連れられてスラムでも人気のない場所に来た。

「ここならいいだろ、続きを聞かせてもらおうか」

クリシゥスに促されたので、スピカは要件を包み隠さず話した。

魔力も纏って見せ、スピカが【ジョブ】を持っているという確かな証拠も見せた。

全てを聞き終わったとき、クリシゥスはひどい頭痛に襲われているような顔をしていた。

「お前、それはもう誰かに話したのか?」

「はい、ウィリアムさんとバレッドさんに」

「……そうか」

(あのお人よしどもなら少なくとも言いふらされることはなさそうだな)

「あの、何か言いましたか」

「いや、なんでもない。少し考えさせてくれ」

クリシゥスはスピカの提案について思案する様子を見せて、頭の中では別の算段を巡らせていた。

(この話を知っているのが全員お人好しでよかった)

(出なけりゃ今頃、甘い言葉に騙されて【ジョブ】だけ取られていたな)

クリシゥスが話を整理した限り、スピカは『誰に【ジョブ】を宿らせるか決める権利』を持っている。

これは今のスラムどころか、塔の中で暮らす人間ですら持っていない、つまりスラムの住人にとっては無限の価値を持つ権利だ。

生まれつき【ジョブ】を持っている塔の中の人類近縁種はともかく、生まれてこの方【ジョブ】がないというだけで虐げられてきたスラムの住民にとっては喉から手が出るほど欲しいはず。

現在スラムで幅を利かせている集団のボスでさえ、これまでの稼ぎをなげうって【ジョブ】を買うだろう。

(適当に協力するふりをして【ジョブ】だけもらっちまうか?)

少し魔が差したクリシゥスだが、すぐに冷静になり考え直した。

(いや、いくらスピカに相手を選ばせるにしても、神がそんなヘマをするはずがない)

(もしスピカが俺を選んだとしても、神に選ばれないなんて可能性は十分にありうる)

(だが、素直にスピカの協力者になったとしても、慈善事業なんて俺に耐えられるか?)

【ジョブ】を得て稼ぐ手段と言えば、なんといっても自然界へ赴き命がけの冒険をして価値のある品を持ち帰ること。

しかし、スピカに協力するとなれば、その稼ぎのいくつかは無償の奉仕に当てられることになる。

そんな未来を許容できるか。

クリシゥスは自身は葛藤した。スピカのまっすぐな目を睨むように見つめる。

(スピカをシンボルにしてビジネスができるか?)

スラムでは貧民区崩れの【ジョブ】持ちがお山のボスをやりながら金を稼いでいる組織もある。

そのうちの一つを手中に収めて、規模を拡大してゆけば結構な金が稼げる。

スピカのやろうとしていることにだってかなりの金と組織力が必要になるはずだ。

自分はお金の稼げるポジションにつき、スピカはスラムで縄張りを手に入れて生活環境の改善が見込める。

相互利益のある話だ。

クリシゥスの腹は決まった。

「スピカ、協力者になってもいいんだが、一つ頼みがある」

「はい! なんでしょう!」

スピカはクリシゥスの返事が色よい咆哮に進んでいると感じて、声を弾ませた。

もうすでに二人には渋い返事をもらっている。この際条件の一つや二つ喜んで飲み込むつもりだった。

「俺が”協力者になったら”、最初は俺とこの辺のスラムを縄張りに収めて欲しい」

「縄張り、ですか? でも、そんなのどうやれば」

「この辺を縄張りにしているのは貧民区崩れの【ジョブ】もち、ハンプトって男だ。奴を、まあ、追い出す」

「それは、人と戦うってことですよね……」

「ああ。だが、これはスラムのためだ。依頼所の異常な手数料も、弱者を追いやるような区画整理も全部奴の采配だ」

「ちょっと、考えます」


クリシゥスは仲間になってくれるようだが、その条件としてスピカは人に【ジョブ】の力を向けなければならない。今までは相手がモンスターだったが、人となれば覚悟がいる。
スピカはクリシゥスを協力者に選んでもいいし、別の仲間候補に接触してもいい。

安価↓1
・クリシゥスの提案に乗る。
・別の仲間候補を当たる。
・その他自由 (交渉の仕方を変えてみる。もっと欲しい情報がある、など)

※「クリシゥスの提案に乗る」場合、クリシゥスが仲間で決定するので、追加安価↓2,3の「賛成」が必要になります。
※追加安価が出た場合↓2、3の方はスピカがどんな行動をとるか安価↓1の選択から選んで書いてください





それと本日の更新は以上です。執筆速度はやくなりたしん。

スピカは思い悩んだ。

いかに相手が【ジョブ】持ちと言っても、人に剣を向ける。

そんな自分を想像して、スピカは背筋が震えた。

「すみませんクリシゥスさん。この話、いったん保留にさせてくれませんか?」

「……怖気づいたか?」

「……はい。私から話を持ち掛けたのに、申し訳ありません」

「そうか」

クリシゥスは内心舌打ちした。もっと慎重になるべきだったと。

彼はスピカの真性のお人よしを侮っていた。その良心の奴隷ともいえるほどの甘さを。

自分の失敗だ。これ以上粘るのは得策でないと気持ちを切り替える。

クリシゥスの目的は金であって【ジョブ】の獲得ではない。

スピカとのつながりを絶たなければ金を稼ぐ手段はある。

「俺は構わないが、スピカはどうする。ウィリアムやバレッドは頼りづらいんだろう?」

「はい、なのでアランを訪ねてみようと思います」

クリシゥスもアランという名は知っていた。ハンプトの縄張りでは最も大きな孤児グループのリーダーだ。

疑り深いアランはハンプト組織とつながりを持っていないし、同じ孤児のリーダーを務めているスピカには協力的だ。

事情があって協力を断ることはあっても、【ジョブ】の話を吹聴することはないだろう。

「アランか。まあアイツは真面目だからな」

スピカは自身の優柔不断な態度にクリシゥスが気を悪くするのでは心配したが、そうで内容で安心した。

しかし、次にクリシゥスは険しい雰囲気を纏った。

「スピカ、俺から二つ警告だ」

「なんでしょう?」

「まず、【ジョブ】の話をする人間はちゃんと選べ。口が堅くて、善人、それが条件だ」

「はい」

スピカはしっかり頷いた。そうしてきたつもりだし、今協力を頼もうとしている人はクリシゥスを含めてそういう人だと信じている。

「それと、スピカが理想を実現したいなら、おそらく俺の言ったようなことをしないといけない日が来る。自分ができないと思ったら俺を頼れ」

「助けてくれるんですか?」

二つ目の忠告はスピカにとってかなり厳しいものだった。

不安げに声を震わせて聞くと、クリシゥスはいたって真面目な様子で答えた。

「金と条件次第だ」

スピカは一瞬思考停止した後、「ふふっ」と笑ってしまった。

クリシゥスの頼りになるお兄さんのような言葉と、アコギな断言がスピカには特別おかしく感じられた。

「クリシゥスさんって、少し変わってますよね」

今度はクリシゥスが驚く番だった。

さっきまで緊張の面持ちで話していたちんちくりんが急に悪戯っぽい笑みを浮かべたのだ。

しかもクリシゥスにとっては報酬は払われてしかるべきもの。

当然の権利。常識。

変わっているのはスピカの方で、そのへんてこな物差しで測られて「変わっている」と言われても腑に落ちない気分だった。

「お時間を取らせてしまい申し訳ありませんでした」

「ああ、気にするな」

スピカはクリシゥスと別れ、アランを訪ねることにした。

結局最後の協力者候補までめぐることになってしまったが、仕方のないと。

元より簡単に協力者を得られるとは思っていないし、その程度で諦める気持ちはない。

アランは彼の拠点に行けばすぐに見つかった。

彼の拠点はかつて使われていたであろう乗り物の残骸だ。

四角い箱がいくつも連結した乗り物が横転したり地面に埋まったりしている。

そんな場所を根城にしている。

「アラン君、少し相談があるんだけど、いいかな?」

「スピカ。なんだ?」

スピカはクリシゥスの警告もあったので、アランを乗り物の影に連れ込んで小声で事情を話した。

さすがに前に三人同じことを話しているので、かなり要領よく伝えられたはずだ。

だが、アランは苦々しい顔をした。

「提案には乗りたいところだけど、難しいな」

「ど、どうして?」

スピカは最後の一人にも快い返事をもらえず、少なからず動揺した。

「実は、最近新しいメンバーを迎え入れたんだが、そいつら病気で弱ってるんだ。今、俺がグループを離れるわけにはいかない」

なんでも、アランの新メンバーは孤児の中でも相当低い立場にいたようで、スラムの境界線を少し越えた場所での生活を余儀なくされていたという。

そのせいで汚染魔力を浴びてしまい、俗にいう「人外病」にかかってしまったという。

人外病とは汚染魔力の影響で体をあらゆる不調が襲う病だ。

末期には感染者の見た目が奇形化することや、【ジョブ】を持たない人類近縁種がかかりやすいため、人外病などと言われている。

「浄化薬が買えたらすぐに治るけど、んな金はねえからな。いいもの食わせて少しづつ汚染魔力を吐き出させないといけない」

だから、スピカの協力はできない。

アランはきっぱりい切った。

スピカはアランが仲間思いだということを知っていたし、そうでなくても目を見たら決意が固いことなんて一目瞭然だ。

「その、浄化薬はいくらするの?」

「100マナ。でも、素材を持ち寄ればもっと安くなったはず」

「そう、なんだ……」


アランを協力者に引き入れるためには浄化薬を買って汚染魔力に侵された子供たちを治してあげないといけない。
スピカは薬のために尽力してもいいし、別の協力者候補を当たってもいい。
自由安価↓1




見返して気づいたのですが>>259がゾロ目だったので、ボーナス入れようと思います。

ゾロ目ボーナスをどう使いたいか。
確定仲間、【スキル】習得、ステータス更新安価など
自分が書けそうなものを採用させてもらおうと思います。
安価↓2、3、4

3/5分の更新は以上です。おやさい。

確定仲間ってウィリアムでもできる?
問題の手切れ金に関しては、誤ってゴミ捨て場に落ちたらしい金貨の入った袋を運良く偶然拾えたとか

乙です
現状だとバレッドしか仲間に出来ないしね一旦保留が妥当かな
出来るだけ早く仲間が欲しいからはぐれメタル的なレアなボーナスモンスターが一体はぐれて境界線の近くに紛れ込んでるとかどうかな?
あと質問もしも100マナ貯めるの厳しそうなら仮にバレッド仲間にするとするじゃん?
そのあとも仲間が増やせる感じ?
仮に増やせたら最大パーティー人数は何人まで?


>>278,>>279
確定仲間でウィリアムもありです。
それと今回は四人の中で選んでいますが、次回は新しく安価しようか今の四人の誰かにしようかは未定です。

「力になれなくてわるいな」

「ううん、仕方ないもんね」

スピカはアランと別れると、その足で依頼所へ向かった。

アランの浄化薬やウィリアムの手切れ金100マナを稼げるような依頼がないか目星をつけるためだ。

(神様からたくさん力を頂いたんだから、きっと難しい依頼だってこなせるはず)

ほどなくして依頼所にいた。

中に入ると、この前とは様子が違った。

昨日ゴミ拾いをしている最中に遠目に見た貧民区の三人がいたからだ。

「なあ、いいだろ? この依頼受けさせてよ」

「昨日はちゃんと私たちだけでウルが倒せたわ」

「二人がかりで一匹倒しただけだ」

彼らは周囲の迷惑そうな顔に全く気にした様子も見せずに、依頼所の中で言い争っていた。

「おい、喧嘩なら外でやれ」

受付の男の言葉を皮切りに、依頼所内の【ジョブ】なし探索者たちが貧民区の三人を囲み始めた。

「んだよ、やんのか?」

「『人外』のくせに、生意気」

「やめろお前ら」

多人数に囲まれていきり立った男女二人を、付き添いの大人が押しとどめる。

「騒がせて悪かったな。すぐに出てゆく」

そういうと付き添いは問答無用でエレタマとウルの討伐依頼を受けて、入り口に立つスピカの横を通り過ぎて行った。

「どけよ」

「わっ……」

後に続いて男女二人もわざわざスピカを押しのけて出て行った。

嵐が去り弛緩した空気の依頼所の中。

お互い災難だったな、とねぎらい合う雰囲気が漂う中にスピカもいた。

被害者同士という共通意識だろうか。

変な受け入れられ方をしたスピカは、以前よりも落ち着いて依頼を見ることができた。

(100マナ稼げそうな依頼は、二つかな……)

【シュギョクの討伐】
(難易度3)70マナ

【ヤマヌの毛皮調達】
(難易度3)70マナ


スピカはどちらかの依頼を受けてもいいし、両方でもいい。
今日は依頼を見るだけで他にやりたいことを優先してもいい。
自由安価↓1


更新以上です。おやさい。

お久です。再開します。


スピカが依頼を受けようか否か迷っていると、唐突に心臓が大きく脈打った。

ウル・シと戦ったときに感じた全身の血が沸騰するような感覚。

圧倒的な全能感。

以前は突然のことで驚き拒んでしまったが、今度はその感覚を受け入れた。

今、客観的にスピカを見ている者がいたら、その碧の瞳が深紅に染まっていると気付けるだろう。

赤くなった視界の中で、スピカは依頼を眺めていた。

いや、俯瞰していた。

(この依頼を受ければいい……)

それは直感的であったが、同時に確信もしていた。

自分はこの選択を選べばいい。

そうしたら運命はすべて自分に都合よく転がる、と。

あの不思議な感覚はどれだけ受け入れても永続できるものではないようで、視界は元に戻り、世界を俯瞰するような全能感も冷めてしまった。

「ふぅ……」

癖になりそうな感覚が過ぎ去り、スピカは一抹の寂しさを覚えながらも落ち着いた。

スピカは【ヤマヌの毛皮調達】という依頼を受けることにした。

理屈ではない。

これでいいのだ。

スピカは依頼の書かれた板の下に自身の名前を炭で記入した。

ちらりと受付の男の様子を伺ったが、彼はスピカに思いとどまらせようとするわけでもなく、嘲笑するでもない。

スピカどこかほっとしながら依頼所を出た。



不思議な確信をもって依頼を受けたスピカは、このまま依頼遂行のために森へ赴いてもいいし、他にやりたいことがあるならそれを優先してもいい。

自由安価↓1,2 


スピカはゴミ捨て場に向かうことにした。

あわよくば装備や有用な道具が落ちていないか期待して。

すでに昼下がりとあり、ゴミ捨て場にいる人影はまばらだった。

仕事のある者はそちらへ行き、そうでない者は朝と夜の配給だけで生きられるように活動を自粛している時間なのだ。

(そういえば、今日はご飯食べられなかったな)

朝の配給に行かなかったためいつもよりお腹がすいていたが、スラムで食事が出来ないなんて珍しいことでもなかった。

スピカは慣れた動きでゴミをあさった。


自由安価↓1,2 何を見つけられたか。武器、防具、アイテム、日用品、なんでも

・テンプレ
【名前】
【効果】
【フレーバーテキスト】任意

・コンマ判定
01~50 使い物にならない
51~90 粗悪品(レア度1)
91~00 普通(レア度2)

レア度での能力値の調整はこちらで行うので、

【効果】《精神》を上げる
【効果】《体力》を回復する

みたいな書き方でお願いします。

ゴミ捨て場でスピカがこれだと思って拾ったものは2つ。

一つは見たこともない銀の梱包をされた携帯食料だった。

おそらく魔導文明期の道具なのだろう。

そう思い拾い上げて開封してみると、中身は一目でダメになっていると察せられる状態だった。

きっと製造段階で欠陥のあった商品なのだろう。

2つ目は射干玉の珠が連なった一種の装飾品だった。

拾い上げたところ、糸が切れていたらしく、黒い珠は泥で作った団子のように崩れてしまった。

前の持ち主が酷使し、形状を保てなくなっていたのだろう。

「使えるなら捨てるわけないよね、こんないい品物」

スピカは一種の納得を経て今日のごみ漁りを断念した。

次に、スピカはヤマヌに関しての情報を集めることにした。

スピカはヤマヌに関してまるで無知だ。

ヤマヌを知らなければ倒すことも叶わない。

そういった情報を教えてくれる人と言えばまず最初にクリシゥスが頭に浮かんだ。

しかし、彼がただで情報を提供してくれるとは思えなかった。

たった数回の交流しかないが、その部分に間違いはないだろう。

となると、身近で自然界に詳しそうな人物と言えば一人しか思いつかなかった。

「ウィリアムさん。少しお聞きしたいことがあるんですけど、いま大丈夫ですか?」

「構わない」

今日も自然界との境界を警邏していたウィリアムに付き添い、話を持ち掛けてみる。

「ヤマヌって、知っています?」

そう聞くと、ウィリアムは黙ってしまった。

口をもごもごと動かし、言葉を選んでいる様子だった。

その態度はヤマヌについて知っていると言っているようなものだった。

「教えてください」

スピカは強く迫った。

その際、スピカの瞳が一瞬深紅に輝き、ウィリアムはそれを見てしまった。

「知っている。この前俺のボスが欲しがっているという毛皮の話があったろう。それはヤマヌの毛皮のことだ」

「もっと詳しく」

「ヤマヌは森の深層にいる。ウルよりも大きく美しい黒の毛並みの持った二首の獣だ。森の深層にはシュギョクも出るという。気を付けたほうがいいだろう」

「ありがとうございます」

「……っは!? お、れは何か、言ったか」

「? 懇切丁寧に教えてくれたじゃないですか」

「なんてことだ。変に頭がぼーっとして……。いいかスピカ、間違ってもヤマヌと戦おうとするんじゃない。たとえ【ジョブ】を持っていたとしてもだ」

どこか様子のおかしいいウィリアムに促され、スピカはスラムの中に帰されてしまった。

どっちにしても今日は時間がない。

今から森に向かったとしてもすぐに火が落ちてしまうだろう。

明日、森の深層に向かことに決めて拠点に帰った。

次の日。

ちゃんと配給も貰い、子供たちの面倒を見ながらのごみ漁りも済ませたスピカは、剣とナイフを携え、外套を羽織り、指にアクセサリを付けて出発の準備を整えた。

「スピカちゃんまたお出かけかー?」

「うん。夕方には帰ってくるからいい子にしてるんだよ」

「わかってるよー」

腰にくっついてくる子供の頭を撫でてスピカは森へ向かった。


スピカの森でのイベント 自由安価↓1
累計コンマ100で深層到達
コンマ30以下は問答無用で戦闘
ゾロはボーナス

スピカが森を駆けていると、前方に気配を感じた。

《ウル》の探るような気配とも、《エレタマ》の無機質な敵意とも違う。

距離を置いて速度を落とし、気配の正体を探りながら近づく。

「人……?」

森の中で、男がふらふらと無防備に突っ立っていた。

周囲を警戒している様子もなく、何かを探している様子もない。

装備を身に着けているわけでもない。

子供のスピカが言うのもなんだが、森に似つかわしくない人物だ。

スピカが近寄って声を掛けてみた。

「何をしているんですか?」

「ん? 僕は森を散策しているんだ。この美しい世界、スラムの退廃的な景色と比べたらまるで楽園だ」

男はうっとりと目を細め、熱のこもった吐息を漏らし、近くに実っていた木の実を愛おしそうにつまんだ。

その木の実は表面に強酸性の毒をもっているようで、男の手は焼けただれているのだが、彼が気にした様子はない。

(この人、人外病なんだ……)

おそらくスラムに居場所がなく、自然界に追いやられた結果汚染魔力に当てられたのだろう。



スピカはこの狂った男を助ける手段を持ち合わせている。
《魔力》を1消費して、【キュアー】を唱えてやればいいのだ。
スピカはこの男を助けてもいいし、無視して奥に進んでもいい。
安価↓1


今日はもう遅いのでおやすみなさい。お付き合いどもでした。

スピカは男に【キュアー】をかけて正気に戻すことを思いついた。

スキルを使ったことがないので確証はないが、神から授かったなのだから試す価値はある。

手をかざした。

魔力を込め、水色の光が手のひらに集まる。

ふと、指にはめた指輪がぬらりと光った。

——俺のことは見捨てたのに

「……っ!」

誰かにそう言われた気がした。

手のひらに集めた癒しの光が消える。

(……この先どんな危険が待っているかわからないし、この人だって、狂っていたほうが幸せかもしれない)

スピカは力なく手を下げた。

今、この男の人を助けられないのは自身の力不足が原因だ。

なぜなら、スピカがヤマヌを楽々倒せて、何度もスキルを唱えられて、スラムにこの男の居場所を作ってあげられる力があれば、保身を考えずにすべて解決できるからだ。

スピカに無限の力があれば助けられた。

ばかばかしい、荒唐無稽、そう笑うかもしれないが、スピカはそうありたいと思っているし、だからこそ力を求めている。

だから今は助けない。

自然界で優しさは甘さと同義。

スピカは森の奥へ向けて駆けだした。

(でも、本当にこれでいいのかな)

スピカの胸の中にはしこりが残った。



スピカの森でのイベント 自由安価↓1
累計コンマ100で深層到達(現在58)
コンマ30以下は問答無用で戦闘
ゾロはボーナス


森の深層を目指して走っていたスピカだが、視界の端にあるものを捉え、急旋回しそちらへ向かった。

(きっと見間違いのはず……)

自分が見たものを信じられず、内心で呟く。

スピカがたどり着いたのは森の開けた場所だった。

何かの祠が中央に据えられており、穢れを知らぬ白い花が一面を埋めている。

毎度思うことだが、その危険度とは裏腹に、森の中には美しい場所が多い。

純白の花園の中、祠の前に人影は立っていた。

「う、そ」

スピカは思わず口元を抑えた。

なぜなら、その人影はスピカそっくりの見た目をしていたからだ。

埃に汚れた白銀の髪、翠玉を思わせる瞳、華奢な体。

まさに瓜二つ。

だがどこか現実味がなく、今のスピカとも少し違うような気がした。

これも自然界の悪戯だろうか。

もう一人のスピカは、スピカに微笑みかけて来た。


ゾロ目なのでボーナスです。
安価↓
【1】ステータス成長安価
【2】スキル獲得
【3】レア度3装備・アイテム獲得
【4】その他

得票2で決めます。【4】に投票する場合はどんなボーナスがいいかも書いてください。

スキル安価↓1

スキルのルール>>234


テンプレ
【スキル名】
【レア度】コンマ 01~50で☆1、51~00で☆2
【効果】《ステータスのどれか》で判定。なにをどうする?
【演出・エフェクト】任意
【対抗手段】 ステータスのどれか。対抗表に沿わなくてもいい。


強すぎたり弱すぎたりした場合はこちらで調整させていただくかもです。

シルバーヴェイルありです。コンマ75なので☆2の強さには変更させてもらいます。

今日はここまで。お付き合いアトザマス。


今後スキルや装備の獲得はある程度ランダムにしようと思うので、常時募集をかけたいと思います。
一人何個書いてくれても構いません。
寧ろ多いならそれだけ嬉しいまである。



スキルテンプレ
【スキル名】
【レア度】都度コンマ判定
【効果】
【演出・エフェクト】任意
【対抗手段】

アイテムテンプレ
【名前】
【レア度】都度コンマ判定
【分類】武器、防具、道具など
【効果】
【フレーバーテキスト】


効果の調整はコンマで判定したレア度に合わせてこちらで調整するので、どんな効果でもとりあえず書いてみてください。

【ハイトルク】(スキル)
【効果】《知恵》を参照。任意の相手の《膂力》《防御》にそれぞれ《知恵》の半分を上乗せする
【演出・エフェクト】効果適用中、揺らめく赤いオーラを纏うようになり、若干好戦的になる
【対抗手段】《精神》

【スキル名】 必然の加護
【レア度】都度コンマ判定
【効果】 パッシブ。致死ダメージを負った時、知恵を参照に体力を回復させ復帰する
このスキルは一度発動すると消滅するが、再取得は可能
【演出・エフェクト】倒れた者を淡い光が包み込む
【対抗手段】 特に無し

【名前】探索者の皮靴
【レア度】都度コンマ判定
【分類】脚防具
【効果】 防御上昇
【フレーバーテキスト】
森に挑む探索者が好む軽くて丈夫な靴
探索は己の脚こそ肝要であり、他の防具よりこちらを優先する者は多い
しかしこれを履き、一人前の探索者になったのだと油断することなかれ

森で出会ったもう一人のスピカ。

その微笑みに引かれるように近づいていくと分かったことがある。

(私よりも大人だ)

今のスピカよりも少しだけ大人。

これから先、スピカが生きてゆけばいつかたどり着くであろう成長した姿。

そんな彼女は、白銀の粒子となり、スピカの中に入ってきた。



スキル獲得

【スキル名】シルバーヴェイル
【レア度】☆2
【効果】
敵の攻撃時、《精神》の3/4を防御判定値に加える。その後の判定の攻防値で勝っていた場合、その差のダメージを相手に与える
【演出・エフェクト】揺らめく銀の燐光を全身に纏わせ、襲ってきた相手に魔翌力障壁による反撃を行う
【対抗手段】
《知恵》




もう一人のスピカを取り込むと、後に残ったのは花園と祠のみ。

その古ぼけた祠には「00」の上に「99」を乗せた、スピカにとっては最も神聖なシンボルが描かれていた。

祠は役目を終えたかのように崩れ落ちた。

スピカは黙ってゾロ目の数字に祈った。



スピカは森の深層に向かって駆けだした。

イベント 自由安価↓1
累計コンマ100で深層到達(現在69)
コンマ30以下は問答無用で戦闘
ゾロはボーナス

森を進み、かなり深層に近づいた。

木漏れ日は閉ざされ、地面の湿り気も多くなり、所々に苔やキノコが目立つようになる。

スピカが駆けていると、不自然な音が聞こえて来た。

耳を澄ますと、どうやら誰かがモンスターと戦っているようだ。

こっそり音のするほうに向かうと、依頼所で見かけた貧民区の探索者三人がいた。

大量のウルに囲まれて、それを迎撃しているようだ。

しかし、状況は一目で見て芳しくないと分かる。

子供二人が血を流して倒れており、付き添いの男性一人が何とか拮抗に持ち込んでいる様子だ。


危機に陥った貧民区の探索者を見つけたスピカ。
スピカは気づかれないうちにこの場を離れてもいいし、助太刀してもいい。
助太刀する場合はウル三匹を受け持つことになるだろう。
自由安価↓1

依頼は自己責任。

依頼所唯一のルールであるそれは、スピカが良心の呵責を振り切るのに大変都合の良い言葉だった。

スピカは危機に陥っている彼らを無視して深層へ向かった。

まだ自然界で活動するようになって三日。

しかし、最近冷徹に思える判断をしても心の痛みはあまり感じなくなっていた。

始めて男を見捨てた時は涙さえ出たというのに。

これが「強く」なった証なのか、スピカには分からなかった。


貧民区の探索者生存安価↓1
彼らの命運を決めるだけなので描写はありません
ゾロ目 全員生還
01~90 二人生還
91~00 付き添いの男性のみ生還


(累計コンマ100到達 深層へ)

ちょっと次の場面に行く前に意見ください。
安価の自由度を高くしたかったのでどんな選択肢もとれるようにしてたんですけど、スピカの善性が削れそうな場面はこちらで誘導したほうがいいですか……?

ではスピカは>>7の設定が矛盾しないように書いていこうと思います。
今まで現実主義者的な安価をしてくれた方の選択を無駄にするみたいで申し訳ないです。

あと、今後、スピカの性格をもとの博愛主義者にするために多少強引な展開があるかもしれませんが、温かい目で見守ってくれると嬉しいです

続きです。



スピカが森を奥へ奥へ向かっていると、ある場所で森の様子がガラッと変わる場所にたどり着いた。

スピカの眼前には、今まで通ってきた森とは一線を画す巨木の森があった。

樹木の幹はスピカが百人手をつないでも囲めるかというほど、それが伝承にある竜のように捻じれ、のたうつように繁茂している。

まるで緑の津波がすぐそこまで迫ってきているようだった。

おそらく、巨木の森は、塔の防衛装置の減衰が一段階かわる境界線なのだろう。

スラムと自然界の境界戦のように、巨木の森は今以上に魔力汚染の強い土地なのだ。

スピカは今一度覚悟を決め、巨木の森に踏み込んだ。



スピカ《精神》268>汚染魔力《強度》100
自動成功


スピカは巨木の森を進んだ。

縦横無尽、まっすぐという概念を忘れてしまったかのような、歪んだ巨木の幹を歩く。

初めて踏み込む領域なのでいつも以上に警戒していた所為か、スピカは全くモンスターに出会わなかった。

少し進んだ頃に、異音を聞きつけた。

音の聞こえたほうへ向かうと、一匹のモンスターと魔法生物がいた。

モンスターは、夜のような美しい毛皮を持つ二首の獣。

おそらく依頼対象のヤマヌだろう。

魔法生物は巨木を編んで宙に浮かべたような球体。

こちらはエレタマを思わせる。

もしやもう一つの依頼にあった「シュギョク」だろうか?

どうやら二体は戦っていたようで、ヤマヌはすでにこと切れ地に伏しており、球体も深手を負っているのか宙を愛く姿が覚束ない。

球体はふらつきながらもどこかへ行こうとしていた。


巨木の森でモンスター同士の戦闘を目の当たりにしたスピカ。
このまま様子を見ていれば、労せずヤマヌの毛皮を手に入れられるだろう。
スピカに野心があるなら、勿論そうしない手もある。
(ゾロボーナス、ウィリアム確定仲間によりヤマヌとの戦闘がなくなりました)

自由安価↓1


今日はこの安価だけ出して寝させてもらいます。おやすみなさい。

保守ありがとうございます。
軌道修正は早めのがいいと思って少し強引な展開に持っていかせてもらいました。
今回ばかりは目をつぶってください。




スピカがしばらく様子を伺っていると、シュギョクと思われる魔法生物は姿をくらませ、後にはヤマヌの死体だけが残された。

(なんだかすごく運がいいな)

ゾロ目の数字に感謝しつつ、スピカはヤマヌに近づいた。

ヤマヌは横ばいに倒れていても、スピカの背丈ほどの大きさがある。

ちゃんと四足で立っていたら、いったいどれほどの大きさだろう。

想像して思わず鳥肌が立った。

ともあれ、慣れないながらも解体を行い、ヤマヌの毛皮は手に入った。

背嚢に入れられるだけ入れる。

スピカは急ぎ依頼所へ戻ることにした。

帰り際、貧民区の人たちがお空れていた場所を通ってみた。

そこには、人間一人分の食い散らかされた肉片だけが残っていた。

依頼所に戻ると、何やら騒がしい様子だった。

「なんでリリを助けなかったんだ!」

「あの状況じゃお前を連れ帰るので精いっぱいだったんだ。それとも、お前がいまから助けに行くか?」

「頼むよ、これからは言うことちゃんと聞くから! リリだけは助けてくれよ!」

「……もうリリは死んだ。諦めろ」

貧民区の探索者たちだった。

男の子が付き添いの男性の腰に縋り付いたまま泣きじゃくっている。

周囲のスラム出身探索者たちは迷惑そうな顔でそれを見ていた。

スピカはその言い争いを聞いていると頭が痛くなってきた。

まるで自分が責められているみたいだ。

スピカは逃げるようにして受付の男にヤマヌの毛皮を納品した。

「まさか本当にヤマヌの毛皮を持ってくるなんてな……」

男の呟きはそんなに大きくはなかったが、依頼所にいた人間が耳に挟むには十分な声量だった。

人が集まってくる。

「マジでヤマヌの皮じゃねえか」

「どうやったの? まさか倒したわけじゃないわよね?」

「あ、あの。たまたま死んでいるのを見つけて……」

「ちょっと、それどこ!? まだ残ってるわよね!」

スピカは沢山の大人に質問攻めされた。

依頼所からは何とか逃げ出せた。

ヘトヘトになったスピカは、痛みの治まらない頭を抱えながら拠点へ帰ってきた。

床に寝転がり目をつむる。

精神的にも肉体的にも疲れているはずなのに、眠気は全くやってこなかった。

本当にこれでよかったのか。

自然界で活動できれば何か変わると思っていた。

確かに変わったと思う。

でも、それは本当に望んだ方向への変化だっただろうか。

「スピカお姉ちゃん?」

「なに?」

いつの間にか、スピカの拠点の入り口に、小さな女の子が立っていた。

毎朝スピカのお腹にまたがって起こしてくる子だ。

その子はやっぱりスピカのお腹にまたがると、じっとスピカの顔を覗き込んできた。

「スピカちゃん具合悪い?」

「そうかも」

「じゃあね、これあげる!」

そういってにこにこしながら女の子が取り出したのは、配給で配られているパンだった。

決しておいしいものではなく、しかしスラムの住民にとっては重要な食糧だ。

朝と夜に配られ、どんな事情があろうとも一人一つの原則が破られることはない。

つまり、このパンは女の子の分だ。

「これはあなたの。ちゃんと食べなきゃ」

「スピカちゃんだって食べてないくせにー」

そういうと、女の子はスピカの口にパンを突っ込んできた。

「んもっ」

「いつもスピカちゃんがご飯くれるから、今度は私があげるね」

そういう女の子の笑顔は自分のご飯に対する未練なんてものはなかった。

ただ、スピカに喜んでほしいと言う純然たる善意のみだ。

とても眩しく見えた。

別にご馳走をくれたわけでも、大金をくれたわけでも、アンカー・コンマーのように絶大な力をくれたわけではない。

なのに、とても心が暖かくなった。

救われたような気がした。

女の子のお腹が小さくなった。

「えへへ」

女の子は照れ笑いでごまかしていた。

(忘れてた……。私は、"こっち"になりたかったんだ)

気が付けばスピカは涙を流していた。

パンをくわえたままの間抜け極まりない姿だったが、恥も外聞もなく泣きじゃくった。

落ち着いたころに、女の子とパンを半分越して食べた。

スピカの膝の上でもちゃもちゃパンを頬張る女の子の頭を撫でると、不思議と慈しみがわいた。

(この子に教えられちゃったな……)

アンカー・コンマーから力を授かって見失っていた、自身の理想。

弱くても、無茶でも、エゴでも、誰かのために行動できるようになりたい。

きっと賢い人には馬鹿にされるだろうし、心無い人には利用されるだろう。

それでもいい。

元々大した人間ではなかった自分が、突然大それたことをしようとしてもできる道理はないのだ。

『無限の力があれば助けられた』?

今日、森で男性を見捨てるために使った言い訳だ。

いったい、その領域にたどり着くまでにどれだけの人を見捨てるつもりだったのだろうか。

まずはスピカの細い腕が引っ張れる一人を助ける。

そこから始めようと、スピカは誓った。

女の子は寝てしまった。

それを見計らったように、アンカー・コンマ―のシンボルが輝きだした。


成長安価 ゾロ目が出たらスキル安価を追加します。

【名前】スピカ
《体力》778
《魔力》4 +安価↓1コンマ一の位
―――――――
《膂力》177+安価↓2
《知恵》227+安価↓3
《防御》206+安価↓4
《精神》268+安価↓5
―――――――

成長安価 ゾロ目が出たらスキル安価を追加します。

【名前】スピカ
《体力》778
《魔力》13
―――――――
《膂力》216
《知恵》261
《防御》280
《精神》353
―――――――



ゾロ目なのでスキル獲得です。
安価↓1

00~24 必然の加護 >>323
25~49 ハイトルク >>320
50~74 エクリプス >>239
75~99 アコーダンス >>242

今日はお休みです。

質問なんですけど
一度習得したスキルのレア度って上げる事は出来るのでしょうか

>>360

失念しておった……、すまぬ。
今度からゾロ目ボーナスにスキルレベルアップを追加します。

あと、今日は夜中に更新できると思います。

スキル獲得

【スキル名】エクリプス
【レア度】☆2
【効果】《精神》の3/4(265)の数値分未満のダメージを受けたとき、 ダメージを無効にし、そのダメージ分だけ自分の体力を回復する




後、スピカの《体力》がまちがっていたので訂正です。

【名前】スピカ
《体力》1110
《魔力》13
―――――――
《膂力》216
《知恵》261
《防御》280
《精神》353
―――――――

相変わらず力の享受は苦しいが、終わった後には体感できるほどの成長が望める。

それに回数をこなすたびになれて来た。

「ふぅ……」

心地よい汗をかきながら、スピカはゆったりと倒れた。

目の前に穏やかに寝息を立てる女の子の寝顔があった。

垂れていた髪を耳にかけてあげると、自身も眠りについた。



翌朝。

「スピカちゃん起きる!」

「はい、おきます、おきます」

やっぱり女の子に起こされた。

眠気まなこをこすりながら拠点の外に出る。

空は吹き抜けるような青空だ。

スピカは心も軽く晴れやかな気分で伸びをした。

「今日は何しようかな」

今、スピカの手元には納品しきれなかったヤマヌの毛皮と70マナがある。



スピカは今すぐにでもウィリアムに話をつけに行くこともできるし、その前にやりたいことがあったらそちらを優先することもできる。

自由安価↓1


保守ありがとうございます。私生活が忙しくなってきたのでたくさん更新できる日は少なくなるかもしれませんが、なるべく毎日数レス更新するスタイルで行こうと思っています。

スピカはウィリアムを訪れることにした。

ちゃんと朝の配給を受け取り、ゴミ捨て場に向かう子供たちを送ってから、一人拠点へ戻る。

ヤマヌの毛皮を70マナを背嚢に入れ、自然界との境界線へ向かった。

境界線に近づくと、ウィリアムは簡単に見つけられた。

やはりあの巨体は存在感がある。

「ウィリアムさん」

「スピカか。どうした。用か?」

「はい、少し真剣な相談です」

そういって、スピカはヤマヌの皮を取り出した。

——コチン!

「あてっ」

ウィリアムからの返答はげんこつだった。スピカを気遣った優しいげんこつだったが、反射的に声が出てしまった。

「無茶はしてほしくなかったのだが。もっと強く止めるべきだったか……」

ウィリアムは落とした拳骨を解くと、その手でスピカの頭を撫でた。

「ケガはなかったか?」

「はい。運よくヤマヌと戦わなくてもよかったので」

「そうなのか。何よりだ」

「それで、あの、これで私に協力してくれますか?」

「……そんだけ金と毛皮があれだ手切れ金としては十分だろうな。だが……」

「だめ、ですか?」

「いや、そうではなく、スピカにはもう一度考えて欲しいと思ってな。本当に俺でいいのか」

「……わかりました」


ウィリアムは今後いつでも仲間にできます。
現在すぐに仲間にできるのは
・ウィリアム
・バレッド
・クリシゥス(後で条件あり)


スピカはこれから誰かを仲間に引き入れてもいいし、他にやりたいことがあればそちらを優先してもいい。

自由安価↓1 仲間にする場合はさらに↓2、↓3の賛成が必要です。


今日の更新は以上です。

ウィリアムに諭されたスピカは、一度拠点に戻って今一度考えた。

スピカが協力者候補として声を掛けた四人は、スピカなりに信を置いていて、誰が仲間になってくれても心強い。

そして、夜まで悩んだ結果。

「ウィリアムさん。やっぱり、私に協力してくれませんか?」

スピカが選んだのはウィリアムだった。自分の能力を鑑みて、欠点を補うに最適な人選だと考えている。

暗闇の中、スピカは篝火に照らされて浮かび上がったウィリアムの顔と真剣に向き合った。

「わかった。これだけ頼まれたんだ。もう拒まない」

「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!」

「礼を言われるようなことはしていない。むしろ、スラムに貢献する機会を与えてくれたこと、俺から感謝したいくらいだ」

その日の夜のうちに、ウィリアムはスピカから預かったヤマヌの毛皮と70マナを手切れ金として自警団を管理するスラムのグループから脱退。

その足でスピカの拠点へ赴いた。

「ウィリアムさん、窮屈じゃないですか?」

「問題ない」

そういうウィリアムは、スピカの拠点に身をたたむようにして収まっていた。

横幅はバレッドを寝かせられるくらいの空間はあるが、天井はスピカでも頭が届きそうになるくらいだ。

ウィリアムが入ればどうなるかは自明だった。

「しかし、これが神か」

ウィリアムはアンカー・コンマ―のシンボルと対面した。

「00」の上に「99」がくっついたような不思議なマーク。炭で書かれたそれが、ウィリアムを呼ぶように赤熱している。

「祈れば、アンカー・コンマー様が力を授けてくれるはずです」

「了解だ」

ウィリアムが岩のような手を組み、目を閉じる。

次の瞬間、シンボルから力が濁流のごとく流れ込んだ。

「ぐ、うぉぉぉおおお!」



ウィリアムのステ―タスは>>6と三回成長したスピカを参照し、こちらで決めさせてもらいました。


名前】ウィリアム・ラスターカ
【ジョブ】戦士
【ステータス】
《体力》1000
《魔力》6
―――――――――――――――――
《膂力》300
《知恵》175
《防御》325
《精神》200

【穿撃】☆2
【効果】>>240 ☆2なので《膂力》の3/4で判定します。(225)


「こういうことに、なるなら、先に言っておいて、くれるか……?」

満身創痍になったウィリアムは大の字で転がった。全身から湯気が立ち、まるでハードなトレーニングをこなした後のようだ。

巨体が寝転がると拠点の床は足の踏み場もなくなってしまった。

「すみません。私の時はこんなに酷くはなかったので」

二人はあずかり知らぬことだが、スピカが経験してきた力の享受を一度に受けたために、その負担も相応のものだったのだ。

「あの、今日は寝たほうがいいと思います。そのままで構いませんから」

「すまん、助かる……」

ウィリアムは体力的に限界だったのか、返事はほとんど寝入りながら帰ってきた。

(外で寝るしかないよね……)

夜は少し冷えるが、今のスピカなら満天の星空を楽しめるくらいには余裕があった。

翌朝。

「スピカちゃん。スピカちゃん……」

「待って、起きるから。お腹に乗らないで。ほら、起きた」

「スピカちゃんの家にごっつい人いるよ?」

瞼を開けると、心配そうな顔をした女の子がいた。

「あー、大丈夫。私の友達だから。ウィリアムさんっていうの」

「そうだったのか!」

そういうと女の子はぱあっと顔を明るくしてウィリアムの下へ向かっていった。

まさかと嫌な予感がしたころには、もう女の子はウィリアムに馬乗りしていた。

「うぃる起きる!」

「む、ん。なんだ? 誰だ?」

「スピカ、じゃないな」

「すみません、ウィリアムさん。その子、人を起こすのが好きみたいで」

「いや、問題ない」

べしべしと胸板を叩かれているウィリアムだが、幼女の細腕にいくら叩かれようとまるで答えていなかった。

「それより、今日から行動を共にするわけだが、何か予定はあるのか?」





ひとまず仲間を確保することに成功したスピカ。
スピカは基本的にスラムの改善を目的として活動してきた。
何をどうしたらスラムの改善につながるだろうか。
これまで通り依頼所に勤めてもいいし、塔に入ってみてもいい。
先行きが不透明で心配ならウィリアムに相談するのもありだ。

自由安価↓1

更新は以上です

保守ありがとうございます。毎日数レスとか無茶言いました。すみません。
これまで通り更新できるときに更新します。






「ウィリアムさんは今の身体能力にも慣れていないと思いますし、肩慣らしついでに依頼をこなすのはどうですか?」

「確かに、この湧き上がる力を把握したい気持ちはあるな」

「それに、今後の方針については二人で話し合いたいので」

「わかった」



スピカとウィリアムは依頼所でウルの毛皮五頭分とエレタマの魔石五体分を請け負った。完遂すればしめて20マナの稼ぎでになる。

「お、おい。こんな依頼受けてこなせるものなのか?」

「きっとできます。アンカー・コンマ―様の加護さえあれば」

ウィリアムは驚いていたが、スピカが確信をもって言い切ると、半信半疑だが納得したようだった。


森の浅い層にて。




対ウル&エレタマ戦 自動勝利




「穿撃!」

ウィリアムが正面に拳を構え、飛びかかってきたウルに勢いよく突き出す。

拳は空気の膜を破り、ウルの体を穿って絶命させた。

返り血すらはじき返し、綺麗なままの拳を振って、ウィリアムは唸る。

「……すごい、というよりは、恐ろしいほどの力だな」

「私もそれは思います」

スラムの民から一瞬にしてジョブ持ちとなったウィリアムは、スピカ以上にその違いを感じたことだろう。

二人はウルやエレタマを順調に倒していった。

モンスターの素材を解体している間に、周囲を警戒しつつ相談する。

「確認なんだが、基本方針は”スラムの生活を改善する”でいいんだな?」

「はい」

「スピカの理想とする”改善”とはなんだ?」

「えっと、スラムの皆がちゃんとした仕事を持てて、家族で暮らせる、って状況でしょうか」

「なるほどな。だとしたら、するべきはスラムに縄張りを持つことだろうな」

「なぜ、ですか?」

「それはだな……」

ウィリアムの話によると、スラムはその大半が誰かの縄張りになっており、そこの法律に従って集団生活、経済活動、などが行われている。

大きな縄張りだと塔の貧民区に暮らすジョブ持ちが後ろ盾に付いている縄張りもある。

スラムの改善を成そうと思うなら、自身で縄張りを統治し、法律から帰る必要がある。

「おそらく、いま俺たちに手が届く縄張りは二つ、いや、三つだな」



ハンプト自治区

貧民区崩れのジョブ持ち、ハンプトが統治する区画。
依頼所のある塔の壁際もここの範囲であり、貧民区との貿易のつながりもある。
最近はハンプトが異常に厳しい統治を始めたということでスラムの住民や貧民区の取引先から反感の声も上がっているとか。
手に入れられたらスピカの理想には大きく近づくが、攻略の難易度はそれなりに高いと思われる。


オーゼン自警団巡回区(通称オーゼン区)

ウィリアムが所属していた自警団が巡回している区画。
境界線の側から広がる区画。自警団の長、オーゼンがトップ。
オーゼンが隠居を考えているようなので、そこに付け入るスキがなくもない。


孤児、弱者の掃きだめ

現在スピカの拠点がある僅かな範囲の無法地帯を新たに縄張りとして主張する。
やろうと思えば今すぐできる。住民を従わせるのも今までの信頼があり難しくなはいだろう。
しかし、新たに縄張りを主張したとして、上記の二つの縄張りがどのようなアクションを起こすかは不明。




スピカは三つの選択から縄張りを狙って活動を始めてもいいし、まだ準備や情報が足らないと思うのならそちらを優先してもいい。
自由安価↓1

どちらの情報を集めたいか:ハンプト自治区
集めたい情報:事情(頭さえ制圧すればなんとかなるのか?)
だれに頼むか:クリシゥス

【名前】土精霊の保存箱
【レア度】都度コンマ判定
【分類】道具
【効果】中に入れた物の鮮度を保つ
【フレーバーテキスト】土の「静」の性質を凝縮したチェスト。大きさや材質は値段によってさまざまで、豪華な装飾がされた宝箱も。
 非常に腐りやすいものを目的とする採取依頼では、対応した大きさのこれを持っていることが依頼を受ける条件となっている事もある。

【名前】風と土が結ぶプランター
【レア度】都度コンマ判定
【分類】道具
【効果】作物を栽培する
【フレーバーテキスト】風の「動」の性質により空気から栄養分を循環させ、土の「静」の性質で栄養分をとどめておく、魔法の栽培容器。
 周囲の空気が動いていなければ充分な栄養が得られないため、暗室栽培には不向き。
 一度に大量の区画を無数のこの容器で埋め尽くしても、大地や他のプランターの栄養が損なわれる事は無い。安心して使おう。

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