・まえがき
16レス2万8000字ぐらいです。
P×摩美々、P×咲耶がだいたい半々ぐらいです。
首絞め、精飲、イラマチオ、失禁、盗み聞き、濁った喘ぎ などを含みます。
※01
「プロデューサー……私を、――……っ」
咲耶の声が聞こえる。私は――まみみは――あちらからは見えない位置にいるけれど、距離は大して離れてないし、この部屋がひたすら静かだから、ふだんなら聞き取れない種類の響きが、イヤにハッキリ聞こえる。
私はそれらを耳にしつつ、獲物を狙う蛇のように息を潜めてわだかまっていた。
「……ぁ……ん、んっ……」
押し殺した衣擦れが聞こえる。シーツか、ワイシャツか、プリーツスカートか、スラックスか、それらが肌と擦れ合ってクシャるのまで思い浮かべられる。
「んっ、く、ぁぅ……っ、んんっ……」
「いつもの……じゃないが……いまの……咲耶も……」
私がふだん聞いている咲耶の声より、今ここに漂ってくるソレはだいぶ柔らかく、か細い。対して、おそらく咲耶に向けられているであろう男の――プロデューサーの――ささやきは、周波数のあっていないラジオかデキの悪いPAみたいに途切れ途切れだけど、打ち寄せられてくる破片から、興奮している様子がうかがえます。
そのままプロデューサーが、咲耶に歯の浮くようなセリフでも流し込んでるんでしょうか。ちょっと離れた位置からシーツがきゅうきゅうと引き攣れた音を立てた。咲耶のつま先やカカトあたりが照れくさがって、シーツにシワを寄せてしまったのかも。
「私が……泣いて……? ふ、フフッ、どうして、だろうね……? 言わせる、つもりかい……?」
二人の息遣いが変わった。髪がしゃらしゃらずりずりされる摩擦音が垂れ落ちてくる。音の引き方からして、咲耶のポニーテールがほどかれて長くなったとみえる。
「ん、っ……ふ、ぅ、ぁ……ん、っ……っ」
せわしない衣擦れに、ほんの小さいクチクチとした水音が交じる。キスだ。それも、優しいやつ。泣かされ方も、キスも、まみみがされてるのとは、ぜんぜん違うやり口。
咲耶のされるやり口は、少女漫画の妄想のあとに続けてもおかしくなさそう。セックスとじゃれ合いの間をうろつく。
「ゆ、ゆび……? それ――その、私……あ、とめな――い、いやじゃないんだプロデューサーっ……ただ、くすぐったくて、でも、その……続けて、くれないか……?」
最初、私はプロデューサーが咲耶の肌に指を食い込ませたんだと思った。
プロデューサーの手。ゴツゴツして、骨ばってて、指は長いから細く見えるけど触ってみると私たちより断然太く、常に深爪気味です。おかげで、息が詰まるほど指を食い込ませてもらっても、なかなか爪痕がつかないんです。
「指先……されると、くすぐったくて……いつも、触る側で、触られるのに慣れてないから、か……」
なぁんだ。私の想像は勘違いだったようだ。今は、プロデューサーが咲耶の指を――おそらくは指先を――くちびるか舌でもてあそんでるんだ。けっこう前に、恋鐘とまみみとで、咲耶にはじめてのネイルを塗ってあげたことを思い出した。『お姫様みたいやね!』なんて恋鐘は咲耶当人よりはしゃいでた。
ふふー、お姫様、ねぇ。
「プロデューサー……その……さっき、ぎゅうっと……抱いてくれたように、こっちも……して、ほしい……。格好良くないし、むしろ、はしたないことと分かってるんだ……でも、その――」
咲耶の声は、しゅーっ、すーっと、長くなめらかに尾を引く衣擦れで途切れた。まみみ、察しちゃいましたぁ。プロデューサーが、咲耶のネクタイを抜いてあげましたね。まみみと違って、咲耶はタイをプレーン・ノットに結ぶから、プロデューサーはそんな聞こえよがしにスルスルッと抜いちゃえるんです。
「そ、そんなまじまじ見られると、恥ずかし……おかしい、な……アナタには……アナタ以外もだけど……もっと、肌を見られたことも、あるのに……」
そしたら、あの咲耶の――私より頭一つ高く、私よりプロデューサーに近い――背丈相応の、いつもトップスをぎゅーんと盛り上げてるおっぱいあたりが開(はだ)けられてるわけだ。
咲耶、おしゃべりだなぁ。おかげで、耳をそばだてるしかない私にも筒抜け。
……ま、私は咲耶以外のコがプロデューサーに抱かれてるトコなんて、見たコトないですケドー。
むしろ、まみみが静かなのかも知れませんねぇ。
※02
咲耶がプロデューサーに『抱かれ』ていて、それを私がこっそり聞いているのは、元はと言えば私のせいだ。
『どしたの咲耶、そんな思いつめた顔でまみみなんて見つめちゃって。雨にでも降られたの?』
そのとき、私と咲耶は二人っきりだった。偶然ではなかった。アンティーカの5人とプロデューサーとで仕事の打ち合わせをし、散会したあとに私は咲耶に小さな声と身振りで呼び止められていた。それから、二人で事務所の資料室(物置きと言ったほうが適切かもしれない)へ。
咲耶は、いつもの王子様らしいよどみない口振りはどこへやら、私の前に立ち尽くして格好悪くくちびるをもごもごさせていた。私はそれがとても面白かったので、咲耶の躊躇にけっこう長い時間つき合ってあげていた。
やがて、咲耶が口を開く。
『摩美々……キミが、プロデューサーと、関係を、持っているというのは……本当、なのかい……?』
たいそうお行儀のよい言葉遣いで、かえって小馬鹿にされてる気がした。
『カンケイ、と言われましてもー。そりゃ、まみみとプロデューサーがまったくの無関係であるはずがないのは、咲耶もご承知と思いますケド?』
この時点で私は察していた。咲耶は、私がプロデューサーに『抱かれ』ていると確信している。咲耶は『本当、なのかい』と、まるでウワサか伝聞で知った口振りをしているが、違う。
咲耶は、直接見たのか、あるいは何かの手がかりから推理したのか――とにかく、誤魔化しようのないところまで知っている。
『……私は、見たんだよ。キミが、その、プロデューサーに……後ろから……それ、から……』
咲耶の肌は、オトナのレッドテグーと同じぐらい、ほんのり赤くなっていた。
『ふふー。詳しく教えてくれないと、何とも言えませぇん。勘違いじゃ、恥ずかしいから』
だってねぇ。咲耶がどこまで見たのか知らないけど、私とプロデューサーのソレって、ちょっと見ただけだと、きっとレイプとしか思えないから。それで、咲耶の性格からして『ムリヤリかもしれない』と思ったら、当事者に追及するとしても、まず被害者(?)の私じゃなくて、プロデューサーに矛先を向けるはず。
まぁ『何かの手がかりから推理した』んで、その何かの手がかりの都合上、矛先が私になってるって可能性は残ってる。ただ、私たちはそれなりに気をつけて痕跡を消してる。咲耶は慎重だから、相当しっかりした証拠を掴んでいない限り、こんな話を持ち出してこないだろうし、もしそんな証拠を残すなんてミスを私たちがシていたとしたら、咲耶より軽はずみに妄想たくましくして問い詰めてくるヒトがこの事務所にはいる。
一つ一つ可能性を潰していく。私が咲耶に焼き付けてしまった痕跡を浮かび上がらせる。
『だいじょうぶだよ、咲耶。まみみ、怒ったり取り乱したりはしないと思いまぁす。お気遣いのおかげで、誰もいないところで切り出してくれてますしー』
そうして私は、咲耶の覗き見を聞き出しながら、歯抜けになっている私とプロデューサーの『カンケイ』について補足してあげたんだった。
※03
咲耶が『後ろから』と口走ったとおり、私はほとんどの場合、プロデューサーには後ろからシてもらいます。特に、私の首にプロデューサーの右腕を引っ掛けてもらって裸締め(詳しくないけど、道具無しで首を締めるチョークやらスリーパーホールドやらをひっくるめてこう呼ぶらしい)を食らうのが好きです。プロデューサーは、コレ、ぜんぜん気乗りしないようです。かよわい女の子に乱暴するのは彼の趣味じゃないらしいです。それを察した私は、プロデューサーに首を締められるのがますます大好きになっちゃいます。私、悪い子なんでー。
キッカケは、私のチョーカーをプロデューサーが外そうとして、なかなかうまく外せなくて、私の首にぐいぐい指を食い込ませてしまったこと……だと記憶しています。その頃はセックスも今よりずっとぎこちない様子でした(じゃあ今は自然体でセックスできているのか? と問われると困るケド)。プロデューサーの手付きもどこかシドロモドロで、私は首に指を引っ掛けられて、きゅうっと気道が狭められ心臓か肺のあたりが緊張するのを感じました。
それが心地よかったんです。
私がいわゆるマゾヒストなのかと言われるとちょっと自信がない。プロデューサーに首を締められる味を占めて(シャレじゃないよ)から、試しに自分で苦しくなるほど首を締めたことがあったけどイマイチでした。たぶんこの心地よさは、プロデューサーに私を『抱かせて』いるのと根っこが同じです。
プロデューサーは、そもそもアイドルに乱暴したりセックスに及んだりするオトコじゃありません。少なくともプロデューサー自身は、自分をそんなオトコとは評価していなかったはずです。あの夜、田中摩美々がケバケバしいネオンだか水銀だかのランプが光と影を刻む街を、迷いながらほっつき歩いていたとき、声をかけてきたのは誰ですか? プロデューサーです。美人局まがいのビジネス(アイドルは、オトコの――アンティーカの場合はオンナも含むけど――イロイロな欲望を煽るプロだもんね? だとすれば、それをさせるプロデューサーは……)やってるオトナなクセに、臆面もなく私を叱りつけてきた――『こんな時間にひとりで、危ないじゃないか』――アンタは学校の先生ですかぁ? あぁ失礼。まみみ、学校の先生にすら、そんなしつこく叱られたことありませんでしたぁ……。
プロデューサーは説教臭いだけじゃなく『意外と』堅実なところがあります。『意外と』とつけたのは、私以外のアンティーカのコたちがプロデューサーのことを『よく言えば偶然のチャンスにも貪欲に食らいつくロマンチスト、悪く言えば運命やら何やらにすぐ釣られて流される節操なし』だと思っているからです。まぁ、摩美々、咲耶、結華と、たまたま街中で出会ったオンナのコを3人も担当ユニットに抱えているアイドルのプロデューサーなんてそうは聞きませんし(多くは霧子や恋鐘みたいにオーディションで拾うようです)。
でもそれはプロデューサーの一面でしかありません。私はある日、落書きしてやるために、プロデューサーがいつも持ってる水色のメモ帳をこっそり覗いたことがありました。私は中身を見て戦慄して鉛筆を取り落しました。メモ帳の書き込み――読みすすめるほどに戦慄が増していきます。私たちのアイドル活動はもとより、日常のささいな言動や行動が細かいボールペン字でキチキチに書き込まれてるわ(私が既にしでかしたり、これからしでかすであろうイタズラまで列挙されてるのには閉口した)、レッスンや仕事やファンの増え具合もW.I.N.Gぐらいまで事細かにシミュレートされてるわ、そのあとも……アンティーカがもう何年か活動を続けて、解散して、プロデューサーの元を巣立って(283プロなだけに? ホント、卒業を見送るための指導計画を立ててる学校の先生みたい)行くまで――密度の差こそあれ――書き記されていたのを見てしまいました。プロデューサーは結末まで想定して、結末から逆算して、実際まみみたちはここまでプロデューサーのプランと大差なくアイドル活動を順調に進めてきました。プロデューサー。あなたはとってもデキるヒトだったんですね。
でもね、プロデューサー。私、そういうの、一番シャクに障るんですよ。あなたのおかげで田中摩美々はだいぶいい子に(ある意味では悪い子にも)なりました。アイドルになりました。夜の街を歩かなくなりました。こんなに長い間、誰かと協力して何かに打ち込むのは初めてでした。コーヒー、ときどき飲むようになりました。褒められるのも悪くないなって思うようになりました。おふざけ抜きで、あなたと、あなたの作り上げるアンティーカのおかげで、田中摩美々の人生はすっごく様変わりしました。今だって――そう、それをぶち壊しにしようとしている今でさえ――変わらずに感謝しています。嘘じゃありません。じゃあなんでそれが気に入らないかって? 私はプロデューサーと出会ってたくさん変えられたのに、プロデューサーは田中摩美々と出会ったときのままから今までずっとそのママで、しかもそのママ変わらずに袂を分かつつもりなんですね。
プロデューサーにとって私はなんなんですか。
※04
だから私は、プロデューサーに私を『犯させる』し、首も締めさせます。喜んで。プロデューサーの計画からかけ離れるほど――プロデューサーから、らしくない乱暴狼藉をされるほど――私はプロデューサーが好きになっちゃうんです。プロデューサー。あなたが私のチョーカーを外すのに手こずって狼狽してる様子を、またその狼狽を私に悟られないよう必死に指先や呼吸や声音の動揺を押し殺す様子を感じてた時、まみみはそれだけでイキそうになりました。ソレに気づいちゃったのでタガが外れちゃったんです、きっと。なんでも想定通りとは行かないものですね。私は次の日、なんとかプロデューサーが私の首を締めやすく改造できないかと、手持ちのチョーカーすべてを自分の部屋に並べてうんうんうなっていました。chokerってchoke(=息を詰まらせる)にerがくっついてる言葉なんだからぜんぜんおかしくありませんよね? そうして紐を後付けして『これで締めやすくなりますよー』って見せてあげたのに『道具だと締まったまま戻せなくなる危険があるからダメ』って突っぱねられ、じゃあ指で掴んで締めるのも『あとが露骨に残るから』って却下され……それで腕と肘を巻きつけての『裸締め』で妥協したんでしたっけ。
プロデューサーのソレを味わってから、なんとなく調べるようになって気づいたんですけど、首を締められるのにもあの手この手があるみたいですね。例えば、私のアゴの先っぽ(おとがい)がプロデューサーの肘関節の内側にうまくハマると、私の頸動脈にキマって、それこそ天にも昇る心地で落ちるんです(これが格闘技で言うところのスリーパーで、落ちるのは頸動脈洞反射って言うらしいです)。でもコレは、気持ちいいは気持ちいいんですけど、比較的あっさり意識が飛ぶので、シてもらったあとの満足感はイマイチでした。だから私はスリーパーの前に、首の喉を圧迫されて気道を締められるのが好きです(こっちはチョークって言うんだとか。そのままですね)。頭がクラクラしたりズキズキ痛んだり吐き気がしたりするほど苦しくて、プロデューサーにもまみみのひどい顔をさらしてしまうんですけど、こっちはずっと長続きするし、プロデューサーがくれる窒息の苦しみは夜の街の明るさと暗さよりよっぽどまみみのいろんなことを隠して忘れさせてくれます。苦しいのは大嫌いですけどプロデューサーがくれるんなら好きです。あなたは私以外の誰かを意図して痛めつけたり傷つけたりしないから……。
そんなだから、私はプロデューサーに首を締めてもらう時、最初は頸動脈に極めてもらい、落ちる寸前になると今度は気道圧迫に切り替えてもらって、酸欠がひどくなるとまた頸動脈に戻してもらって……とせわしなく注文をつけてるんですよね。咲耶はその様子を覗いてて、まみみがプロデューサーとセックスしてるとは確信しても、それが和姦か強姦かわからなくてあんな奥歯にモノが挟まった言い方で聞いていたに違いない。おかしいよね。体勢はレイプなのに、なぜかレイプされてる側が指図を飛ばしてるなんて。
首を締められる以外だと、私はフェラチオが好きです。プロデューサーは嗜虐性癖の才能に乏しいのか、私が悲鳴を上げたり哀れっぽく苦しみ悶えたりしても勃起してくれないので、セックスを続けるために私が愛撫してあげるんです。プロデューサーにわざわざイヤらしいビデオを手に入れさせて、それを一緒に見ながらお手本にシて弄ってあげます。ふふー、プロデューサー、未成年アイドルにアダルトビデオなんか見せちゃダメじゃないですかぁ? おやおや、再生前なのにそんな股間のスラックスをピンとさせて。イタズラみたいにイケないコトをするのって興奮しますよね。わかります。まみみダテに悪い子やってません。しかもまみみの計らいのおかげで、イケないコトをさせるのに興奮しながらイケないコトをさせられてるって二重で興奮できるじゃないですか。一石二鳥。まみみ、要領はいいほうなんですー。
プロデューサーにはシャワーなんて浴びさせてあげません。だからペニスも――まだ『おちんちん』っていう呼び方のが似合うぐらいの控えめな状態でしたが――その周りも、率直に言ってクサいです。饐(す)えたってこういうニオイなんでしょうか。知りませんでした。オトコのヒトは、オンナとは体臭がぜんぜん違うんですね。同じ人間なのに。ふだんのプロデューサーはそのクサいのに頑張ってフタをしていますが、私はそれをぽーんと開けてしまいます。私がクサいニオイに顔をしかめながらおちんちんや、しわしわの睾丸やその周りに頬ずりしたり舌を蛇みたいにチロチロさせたりするとプロデューサーの息遣いがゆらゆらします。押し隠しててもわかります。プロデューサーの反応が私を駆り立てるんです。こんな展開あの水色のメモ帳には一行だって書かれてなかったでしょう? こんど見たら私が赤ペンで書き加えてあげます。イタズラじゃなく。だってまみみとプロデューサーの真実ですから。
※05
しっかしプロデューサーのはカタチもえげつないですよ。ペニスはよくキノコにたとえられます――クビレと張り出しの部分はわからないでもないです――が、ウラ(私から見ると正面なんで、オモテと言いたい気がします)の筋張っているところや、幹の血管が浮いてるあたりなんか見ると人間のカラダなんだなぁって印象がまみみの意識へ叩きつけられます。この凶器を私がカラダに突き刺されグリグリ穿鑿(せんさく)されたのは一度や二度じゃなく一箇所や二箇所でもありません。初めてのときはニオイと呼吸困難と嫌悪感と幸福感――生理的にはイヤでしたが、それをプロデューサーにさせたのがまみみだと思うと……ね?――で、意識が飽和したことばかり覚えています。回数を重ねると、慣れるどころか、ペニスに接触する前からアタマとカラダが先走って思い出すようになりました。ひどくなってます。プロデューサーのおちんちん中毒ですか?
喉を開いて、息を大きく吸い込んで――すうううぅうっ……って、聞こえてますよねプロデューサー?――ガッチガチに熱く膨れ上がった凶器を一気に咥えます。大きくて、先走りがえぐくて、こんなの繰り返してたら今にもまみみの舌と頬とアゴがしびれて溶け落ちるんじゃないかと心配になります。侵入者で狭苦しくなった口蓋に、舌の味蕾をこすりつけてあいさつします。先端はノドの奥。反射で吐きそうになるところ。苦いんだか酸っぱいんだか塩辛いんだかのニオイと味に、口どころか鼻や肺まで犯されてます。固い勃起に押し返されないよう、くちびるにぎゅっと力を込めて絞るとプロデューサーのためいき。鼻から息を抜くと勝手に頬がじゅううってすぼまって、ずじゅっ、じゅぶっ、ずじゅっ、じゅぶっ、っておちんちん粘膜とまみみの口内粘膜がうまい具合に擦れて、プロデューサーの呼吸のゆらぎで喜びを感じます。私の唾液とプロデューサーの塩辛い先走りを味わうとだらしない食事のようなじゅぶじゅぶちゅぼちゅぼなんて水音を鳴らせます。さてプロデューサーは圧迫と摩擦のどちらがお好みですか? くちびると頬と呼吸器を総動員してぢゅうぢゅうシてあげましょうか、それとも首や肩を使って口のナカを一つの穴にしてノドや口蓋や舌でぎゅっぽぎゅっぽシてあげましょうか。私の顔とか、アイドル・田中摩美々の看板なのにプロデューサーは自分の担当アイドルのそれをペニスでコキコキして歪ませて、すっかり先走りで汚したしこれから精液で汚してくれます。コレがホントのツラ汚し、とか考えついっちゃったまみみは、余計な余裕がまだまだあるみたいなんでプロデューサーはもっともっと追い込んでください。
『摩美々……気持ち、いいぞ……複雑だが……』
えへへ、おじょうずですか? 悪い子が悪いコトをシてるのに褒めちゃあダメですよプロデューサー。
『ぐっ……ぶほっ、ごぼっ! えうぅうっ――』
私の上目遣いで内心が通じたのか、プロデューサーは私の頭蓋骨を思いっきりホールドしてゴツゴツとペニスを抜き差しします。摩擦のがよろしいので? どうぞお気に召すまま。陰毛がくちびるに押し付けられたり引き剥がされたりがくすぐったいです――まだ、まだ、もっと。
『う、う゛!げほ――あぁ、あ゛ぅ……っ!」
呼吸を邪魔されるのって、チョークのときも思ったんですが生殺与奪を握られてる感がハンパじゃありません。脳髄のナカまでガタガタにシェイクされて、直に脳を犯されてる気がします。こんなの……こんなの続けられたら、ぜったい、まみみの大事なモノはナニからナニまでぺしゃんこになっちゃいます。
『摩美々、まみ――もう、少し――ナカに……っ』
朦朧とした意識に、出す、って。どろどろする、予感。ぐしゅ、ぐしゅってピストンの間に、痙攣が混じります。私のか、プロデューサーのか。もういつきても不思議じゃない。息もできない。アレが、アレが。
『むう゛っ……ん゛ぉ……ぉごっ、お゛っぉっろ……えろ゛お゛えええ゛……ッ!」
ノドの、奥、どぷっどぷって出しながら、おちんちんビクビクさせつつ、半ば退いて、舌と口蓋のあたりにも。まみみをくまなく埋め尽くすように、射精――キちゃい、ました。溢れそうなのを、くちびると、ゆびで、必死に抑えます。先走りさえ塗り潰す、濃いの、オスの、私、粘膜、焼けそ――漏れ、ちゃうっ。だめ、ごめん、なさい――せーえき、プロデューサーの、ほしいのに、カラダ、イヤって……
『ふも゛ォぉおお゛えっ――え、ぶぐっ、がはっ……がぁあ……っ』
……あまのじゃくな私のせいで、一筋、二筋、半固形の白濁が、くちびると指から蜘蛛の糸みたいに垂れ落ちる。思わずうつむいてしまった私に、プロデューサーは無言で手を添える。首、アゴをつまんで持ち上げられる。
『んぐ、ぶ、ぷ、くっ、うぅ……う、ぐ、くっ……っ』
残りは、飲めって……こんな、胃袋をニンシンさせちゃいそうなの、飲めって、言うんですか……? 嘔吐感の上に、防衛本能じみてヨダレがびちゃびちゃ湧いて混ざってまた溢れちゃいそうなんですケド……でも、こんなんじゃ私は首も振れません。
……ぐ、が、ぐるぐる、がらがら……。
がらがら、がらがら、ぶくぶく、ぶくぶくって、風邪予防のうがいみたい。精液がヨダレで薄まってほんの少しだけマシになります。プロデューサーのドロドロ精液があるようだと、まったく無根拠ですけど風邪なんか引きそうもないですね。まみみ、バカになっちゃったからでしょうか。
う゛、ウう゛……んぐ、う……んぐっ、くっ、ぅう……っ。
鈍く重いノドごし。いくつかにわけて飲み込むと、プロデューサーは空いている方の手を、まみみのノドが動くところに添えて、食いつくように噛みしめるように、指を食い込ませてくれます。プロデューサーがまみみに興奮してまみみを孕ませたいーってせっかく作って放出したオス遺伝子ことごとく無駄撃ちになったんですケド、なんでそんな息を荒くしているんですか? 自分の担当アイドルがアダルトビデオの女優さんそっくりの真似して幻滅シてないんですか……ふふー、さすが、まみみのプロデューサーですね……。
※06
そうやって首とかアタマとかノドとか心臓とか、上半身ばっかりイジメてもらってると、そろそろウエストより下のほうが『ズルい、ズルい』っていい感じにむずかって泣きそうになってます。学校の理科室の人体模型だと、胃袋と横隔膜がどっしり構えて上半身と下半身を区切っているようだけど、その横隔膜をおへそとか子宮のあたりが嫉妬して突き上げてくる感じがします。プロデューサーに何度も何度もメチャクチャにシてもらううちに『子宮には神経が通ってないよ』という訳知り顔の医学知識をまみみは信用できなくなってしまいました。
私はよく四つん這いになってプロデューサーにお尻を向けて下肢を大げさにくねらせ挑発します。どちらかといえば正常位よりバックのほうが好きです。まみみがひねくれ者だからとかそういうワケではないと思います。別に正常位も嫌いじゃありませんし。ただバックだと嬉しいことがいくつかあります。
『あ、はっ……プロデューサー……、サイテー、サイテーですぅ……っ』
私は挑発しながら逃げるフリをします。『追いかけて逃げるフリをして~♪』なんて有名なアイドルソングがありましたね。ちょうどあんな感じ――って言ったらファンのヒトに叱られますね。叱ってくれるのはプロデューサーだけで間に合ってます。四つん這いなら逃げるフリがしやすいです。プロデューサーはさすがに意図が通じてて、まみみの足首を掴んでムリヤリ引き寄せ抑え付けてくれます。
『ダメ、です……っ――あっ、んん、ぅううっ――そんな、乱暴、されたら、私っ……』
そうして私の足首かふくらはぎのあたりにプロデューサーは体重をかけて、さらに両手で腰骨とお尻をがっと掴んで『これから犯すぞ』と教えてくれます。私がほかに経験したことないぐらいすごく強い力で指を食い込まされるんですが、前も言ったとおりプロデューサーはいつも深爪なので、引っかかれるとか突き刺される感がなくて、そのせいか捉えられてる感が際立ちます。ペニスは、さっき射精したばかりで、きっと私の唾液とかのえづき汁も拭われないまま。コンドームもつけてくれたかどうか見えないんですよね。プロデューサーにあの生臭い精液で種付けされてニンシンされらちゃったらどうしようって否応なしに想像できちゃいます。子宮の奥底からおまんこの一番外側まできゅうってその気になっちゃってますますプロデューサーを煽ってしまいます。
『摩美々には、たくさんイタズラされてるからな……少し、落ち着くようにシてやりたいんだが』
『や、あっ……やです、ぜったい、ぜったい……っ、いい子になんか、なって、あげません……っ』
それからプロデューサーはヒドい声もかけてくれます。バッキバキに熱い血が流れ込んでるであろうおちんちんをまみみの急所に突きつけながら――たぶんプロデューサーも、今すぐまみみに突っ込んでぶち犯したいと思ってくれてますよね?――その直前で私を辱めてくれます。私がさっきまで煽り倒してたお返しだと信じています。そう思うと、早く早くって焦燥やら期待やら、もうつながって一つの運命共同体(というと大げさかも知れないですケド)になれちゃってる充足やら幸福やらがぐるぐるアタマから心臓からめぐりめぐって、イラマチオのときとは別の意味でとても他人には見せられないほど、まみみの表情は崩れてると思います。今は自分自身やプロデューサーすら、私の顔が見えてないから……なんて気の抜け方もしてて。女の子もアイドルも、ヒトの視線を意識してなきゃダメになっちゃいますね。
『摩美々、入れるぞ』
『入れ……ふ、ふふーっ……プロデューサーが、ガマン、デキなくて、入れたいだけ、じゃ――』
入れるぞ、って宣言で、あまのじゃくのまみみはおまんこをおちんちんから逸らそうとして、がりって引き戻されてあえなくおまんこを押し開かれます。
『――ぁ、あぅぁあっ……っ! な、ナカ、だ、めぇ、いれ、あ、あっ――!』
『いつもへそ曲がりなのに、ナカは素直だな。摩美々は』
……ここからあとは、まみみも咲耶と比べて静かとは言えませんねー。
プロデューサーはバックでまみみのナカに突っ込んでますけど、最初から激しく腰を使ったりはしません。むしろ腰の動きは抑えめで、まみみのウエストを手で掴んで、まみみの腰とかお尻とかおまんこを引き寄せて抜き差しします。体重がかかっていないせいか、パンパンッて肌が鳴るほど打ち付けられても刺激は子宮の奥底まであまり届かなくて焦れったいです。でもその焦れったい往復が重なるたびにまみみの嬉しいのが降り積もっていきます。こうやって手で抱えられておちんちんシゴカされてると、まみみはプロデューサーのオナニーのための道具で、プロデューサーのおちんちんハメられるだけのメス穴になった気がします(そういうオモチャをオナホールって言うんだ、ってあとでプロデューサーから教えてもらいました)。私はプロデューサー専用のオナホール扱いされてると思うとますますシアワセになって、いっしょうけんめい(驚くべきことです――あのまみみが『いっしょうけんめい』ですって?)おまんこの粘膜やお尻や太ももや、レッスンで鍛えられた体幹やら総動員で、きゅうきゅうっておちんちんをしゃぶりあげます。目でも楽しんでもらえるように、おちんちんに触れてる奥底から、指でぐいぐいされてる一番その肌まで、張り詰めさせたり緩めたりを繰り返して、あなたのメス穴ですってアピールします。そうするとプロデューサーはそれにこたえてますます好き勝手にまみみのおまんこをコリコリグリグリ使ってくれます。
もちろんプロデューサーも初めてのときはもっとまともな抱き方をしていました。まともな抱き方しか知らなかった(……なら、いいなぁと思っています)はずです。私が水色のメモ帳の件でプロデューサーを煽ったり脅したりふざけたりを繰り返すと、温厚篤実で通ってるプロデューサーもついに怒り心頭に発してか、殺意さえ感じさせる目つきと声音と勢いでまみみをぶち犯すところでしたが、そのときだって私が処女だって気づいたときは、私に負担がなるべくかからないよう気遣ってぶち犯してくれました(ちょっと話がそれますけどプロデューサーの殺気を食らったときのことはときどき夢に見て、夜に一人の部屋で飛び起きてしまいます。何度も何度もそういうことがあるんでトラウマになってるんだと思います。プロデューサーが怖いと感じたのは本当です。寝起きなのにアタマはクラクラしてるし心臓はバクバクして肌は脂汗まみれで、ついでにおまんこはぐちゃぐちゃになってます。最悪で最高の目覚めです)。プロデューサーは、自分の丹精込めた仕事をメチャクチャに引っ掻き回してぶっ殺したくなるほど憎たらしい小娘をレイプする瞬間も、そのぐらいの気遣いは忘れないヒトです。
『ああっ、ん、うあっあっ――ぅうぁあぅうっ……』
プロデューサーがそんなヒトだからこそ、そんなヒトにオナホール扱いされるのが、私のアタマからおまんこの底まで響いちゃうんです。それだけじゃない。そうさせたのが他ならぬ私のせいだから。
※07
『摩美々、手を……そう、前に……上から……』
『ひぐ、ぐ、ぅ……く、かはっ、あぁぅうっ』
プロデューサーが私のおまんこと背中あたりに体重をかける気配。ごつい手の感触がウエストやお尻を離れて、私の肩とうなじに移ります。ツインテールもほどかれます。いよいよ、体重も。
『潰れないように、気張ってくれよ』
プロデューサーの声はいつだってたまらないけど――前はこんなに感じなかったんですケド、セックス何度もシてるうちに覚えちゃいましたぁ――まみみのカラダをカエルみたいに不格好に押しつぶすようにしながら、『まみみは絶対に逃げられないんだぞ』って教え込むようにおちんちんの楔とともにオトナのオトコの体重で肩も背中もお尻もまとめて覆いかぶさってきて、それで後ろからささやかれるのは本当にたまらないんです。寝バックでおちんちんを子宮の入り口に突きつけられコツコツされながらなんです。アタマと呼吸器が窒息した次はおまんこと女性器が窒息する番になりそうです。
『ぅぅ……んうううぅ、く、うぅ……ぅぅうああはあっ……!』
これがオスに対する屈服なんだ、隷属なんだって思う。
『んんんんんっ……ぁ、ぅうー、ふむぅうっ、ううっ……』
私がプロデューサーの体重に半ば押し潰されていて、プロデューサーの両手は、私を逃げないよう抑えておく役目から解き放たれました。もう私のどこに襲いかかってくるか予想がつかないです。髪を引っぱられればイラマチオの感覚がぶり返すし、首に引っ掛けられたらそれだけで気管支や肺がはしゃぎまわって呼吸もままならなくなります。
まぁそういう奇襲攻撃で一番まみみが弱るのは――
『あぁ……ぁぁぁあっ……!? そ、ソコ……ぉ……ゃ、ヤメ、て……ぉ、おなか、さ、され、え――お、っぉお……ぉお……っ』
――おへそ、おなかのあたり、やさしく、撫でられるの、ダメ、なんです。おまんこのナカをおちんちんでゴリゴリ乱暴にえぐりながら、そのくせ手付きは嘘のように優しい。小さい子のアタマをいい子いい子するように撫でてくる。コレもまみみを追い込む一環なんでしょうか。褒められるのニガテって言いましたもんね。
『摩美々、お前は……本当に……可愛い、な……イタズラ、して、悪い子のときも……いい子の、ときも……』
おまんこの奥底を拷問のようにねじ込みながら、手当てのように下腹をさすってきて、その上に頭の上からコレですよ。殺し文句と比喩でいいますけど、プロデューサーは文字通りコレでまみみを殺す気のようです。プロデューサーにささやきを浴びせかけられると、まみみのカラダは為す術もなく崩れ落ちる錯覚がします。自分の体温で溶けて、自分の痙攣で壊れていきそうです。
『摩美々の……まみみの、おかげでっ、ぜんぶ、メチャクチャだ……でも、それでも、いい……いいんだっ、お前だけは、離して、やらないっ……!』
プロデューサーのささやきが追加で降り積もるうちに、もうおまんこも完全に器から溢れてダメになって、回らない私の舌の代わりに、しょろしょろとおもらししてプロデューサーに行儀の悪い返事をしてくれます。
『……ははは、まみみ……そんなに、効いたのか……? イヤらしくて……最高、じゃないか……!』
そんな悪い子というか壊れたオナホのまみみを、プロデューサーはなぜか恋人のようにかわいがってくれます。そうかと思ったらオシッコなんだかイキ潮なんだかよくわからないので濡れた指先をまみみのくちびるに含ませます。
『でもな……ヒトにションベンひっかけるなんて、ダメじゃないか……なぁ……』
私がプロデューサーに叱ってもらいたいとずっと思っていたのは確かです、それこそ出会ったあの夜から――でも、あの夜のまみみは、まさか自分がこんな叱られ方をするとは思わなかったはずです。プロデューサーはまみみを完全にオナホにしきったと思ったら今度はなぜかオンナのコとして扱ってきます。俺のオナホとして完全に仕込んだんで次は俺のオンナとして仕込もうって魂胆ですか。
そんなの……そんなの……っ。
『……って……プロ……デューサー……っ』
こうしてるとまだまだプロデューサーの手のひらで転がされてるばかりです。せっかくオナホにしてもらったのにな――担当アイドルをオナホ扱いするヘンタイプロデューサーになってもらったのにな。まみみは、あなたから優しくされるのは人並みに嬉しいけれど、あなたから虐げてもらえるのは人並みじゃなく嬉しいんです。
『叱って……もっと、私を、叱ってっ……!』
※08
だんだんエスカレートしてくると、プロデューサーは寝バックのあとに背面座位をつなげてきます。あぐらをかいたプロデューサーの上に座らされて下からおちんちんにグリグリえぐられてると串刺しで処刑されてる気分になる。プロデューサーはさしずめ串刺し公かな。
『摩美々、顔を上げて……見えるか? 面白い、有様だ……』
『――な、ぁ……そ、んなぁ……や、やらぁっ、こんなの、私じゃ……っ!』
いやプロデューサーは串刺し公でもドラキュラじゃありませんでした。だってプロデューサーが私を犯している姿がしっかり鏡に映ってるんですから――そうやって私は自分の姿から目をそらしました。一瞬しか直視できなかったんです。私の姿ったらオナホよりもひどく淫らで――でもプロデューサーは私の顔をぐいってやって、
『見るんだ』
見るしか無いんです……そうされたら……子宮どころか心臓やら脳ミソまでまとめて串刺しにされた気分です……オカしくなります。プロデューサーが圧倒的な苦痛と快感とで覆い隠してくれてた「田中摩美々」の成れの果てが、あんまりにあられもなくさらけ出されてます。モズのはやにえだってもう少しマシな姿でしょう。
『摩美々……どうだ、今の自分の姿、見て……』
自分のパフォーマンスを鏡やカメラで録画したのを使って自分の目で見直して、感想や気づいたことを言葉にする……ってのはレッスンでよくやることですが、ソレをココでやりますか? オナホ扱いよりもなお非道な気がします。私の羞恥心がなぶりものにされてます。
『さ、ぁ……サイテー、です……ま、まみみ、こんな、ヤラしーコトしか、アタマにないって、そんな』
『いいぞ。摩美々、その調子で』
『……おちんちんで、ナカ、ごりごりって、されるだけの……インラン、ですっ、えっちで、アタマ、バカに、なっちゃって――』
そうしてプロデューサーは私の頭を撫でます。プロデューサーは本当に嬉しそうな顔をしているのが鏡越しに見えます。やめて、ください。私、プロデューサーに『褒められるの好きじゃない』って、前に言ったじゃないですか。忘れちゃったんですか……?
『いい……いいぞ、摩美々、まみみ……摩美々は、いつだって、期待以上だ……ステージでも、そのあとでも……』
やめて、やめて、ください――おねがい、だから。ただでさえおまんこイキっぱなしのところに、そんなのつづけられたら。
『最高、だ、摩美々っ――どこまで良くなるのか、わからない……っ』
ほめないで。これ以上うれしくなったら、まみみホントにオカしくなります。
『ううあ゛っ、ああぅ、はぅうっ……あああ……ああ、は――っぅう、あぅう……っ!』
おねがいです。おかしくさせないで。あなたのその眼差しと声は、私が一番最初に心惹かれて、私がいま一番小憎らしいと思っているところなんです。あなたが私に染み入らせてくる体温とか食い込ませてくる指とかオンナの肝心要なところを捉えるおちんちんとかは、私が一番あなたから引きずり出したいと思った欲望で、私がいま一番恐ろしいと思っているところなんです。
『摩美々……お前が、ほしい、ほしいっ』
だめ、だめ、ナニ、されても、あなたに、オカしく、されるっ。
『も……だめっ……ゅ、う……ゆるし、て……こわれ、ちゃうから……ホントに、わ、わら、ひ――っ』
プロデューサーは、私に何事かささやきながら、私のどこかをぎゅうってシてくれました。言ってくれたセリフがなんだって、抱きしめてくれた具合がどうだったって、同じでした。プロデューサーのすべてが、私へのとどめでした。プロデューサーがスリーパーを極めてくれた瞬間が、ずーっと引き伸ばされてるような感じが続いて、なんだか私の意識もスパゲッティみたいに引き伸ばされてるような気分になって、そのままプロデューサーに食べられちゃったんだか、なんだか……イクっていうより(イクって、なんか波があるじゃないですか?)、イッてるって感じでしたね。なかなかたとえるのが難しくて……。
※09
……というような説明を咲耶にしてあげてるうちに、咲耶は最初は私を心配したり止めたりしてたのに、説明を詳しくするにつれて目をトロンとさせて(あのクール・ビューティの咲耶が!)、肩や腰のあたりをもじもじさせて、ただならぬ様子。こりゃ絶対プロデューサーにねだりにイクなぁって思い、咲耶がナニをねだるか……正直、楽しみでたまらなくて。楽しみのあまり私は咲耶を焚き付けておいた――『まみみ、咲耶を仲間外れにはシたくないなぁー』――こう言っておけば咲耶は間違いなく行くでしょう。プロデューサーとのセックスとかを独り占めにできなくなるのはちょっと惜しいけど……。
よしんば咲耶がセックスに興味をそれほど持ってなくても、水色のメモ帳の件があるから咲耶はプロデューサーに何か言いに行くはず。咲耶は「プロデューサーがアンティーカの幕引きをもう考えている」なんて――それがたとえハッピーエンドであったとしても――納得するかどうか。しないでしょう。
念のため、まみみはプロデューサーに『近いうちに咲耶が問い詰めてきますよ』って告げ口しておきました。そうすれば、あとはあのプロデューサーとあの咲耶だから、収まるところに収まるでしょう。
そして告げ口の見返りとして、まみみはプロデューサーと咲耶をこっそり覗ける特等席をプロデューサーに用意してもらったんです。面白くなるって期待してましたから。
私がプロデューサーとのセックスの告白と回想に耽っていた間に、咲耶はカラダもココロもジリジリと盛り上がっていたみたい。プロデューサーは、おおかたメモ帳の件や私との『カンケイ』の件をウヤムヤにしながら、そういう雰囲気に誘導して咲耶の願望を引き出したんでしょう。さすがはまみみたちのプロデューサー、手練手管に抜かりがないです。
『……咲耶……しいことが、あったら……教え……か……』
私は、プロデューサーと咲耶が腕を絡めている(であろう)ベッドのごく近くで息を潜めている。あちらからはこちらが見えないし、こちらからもあちらは見えない。音を立てなければ見つからない。ただ近いだけに音はよく聞こえる。衣擦れ。ささやき。息遣い。ほんの小さいクチクチとした水音。
それさえあれば十分。私、ちょっと耳には自信があるので。
『……アナタという人は』
私は、プロデューサーがオンナのコを相手する手付きは『ちょっとは』知っています。あと咲耶のカラダも多少は知っている。そして二人のいるベッドの寝心地も知っている(そこでプロデューサーに寝バックで追い込まれた経験もあるんですよー)。だから音が聞こえていれば、どんなカラミが繰り広げられてるかおぼろげながら思い描ける。ふふー、勝手に邪推してごめんあそばせっ。
『いや……言わせたいのだろう……? フフ、でも、わかるから……黙られると、寂しいし、話してくれると、嬉しいのが……』
ワイシャツのボタンをいじくる指。かすかに波紋がきざす呼吸。ぱち……となにかが弾けたような音。
『そ、その……まじまじと、見られると……おかしなところは、ないと、思うのだけど……』
咲耶の91センチが……ぶんるっ! とか重々しさと弾力を兼ね備えた感じで、素肌と曲線をあらわにしたに違いない。アンティーカの中だと、バストトップの数字は恋鐘が僅差でトップだけど、咲耶のほうが(高身長なせいか)肩幅が広いので、バストの重さとかボリュームでいったら上回ってるんじゃないかしら。
『そ、そこ、触られると……私だって、アナタに……こんな近くで触れられて……どきどき、してるんだよ?』
咲耶はアンダーバスト、肋骨、心臓のあたりをまさぐられてるようだ。心臓の拍動を手で触られてバレバレってお医者さん相手じゃなきゃなかなかできない体験だよね。声が上ずっちゃう。
※10
『ふぁ、あっ……あ、ぁ……っ、アナタの、手、が……っ』
咲耶は無邪気なほど甘ったるい嬌声を振りまいてプロデューサーに媚びている。おっぱいはふもとから先っぽまで、つつーってなぞられて、指先に乳首との境目をくるくるされている、たぶんそんな感じだろう。しゅ、しゅ、しゅ……といった感じの肌擦れの音は、息遣いにまぎれそうなほど微かだ。プロデューサーから私へ向けられた愛撫の手と違って、爪1枚ぶんの厚さしか肌を凹ませてないんじゃないかしら。まぁ、ソレはソレで効きそうだけど。
『どんな風に触られたいか、だって……? そんなコト、アナタに……いや、アナタ以外にも言えない……っ』
咲耶は『言えない』とか言ってる舌の根も乾かぬうちに、肩や腕に絡みついたままのワイシャツをずりずりさせてる。口では言えないけど態度ではネダれるんだ。
『ひぁ、あぁあっ……んっ、んんぅうっ……』
『興奮し……いるのか……まぁ……咲耶……』
プロデューサーは、たぶん咲耶の耳元ギリギリまで顔を近づけてるんでしょうかね? ハッキリとは聞き取れない。
『そこ、アナタに、され、て――え、えぇ……い、言わなければ、ダメ……? わ、私にだって、恥ずかしいって、感覚ぐらい……』
……まぁ、たぶん、咲耶にしゃべらせてるんでしょう。ナニが気持ちいいか? って。おかげで二人の姿が見えない私でも楽しくて嬉しい。もしかすると私が聞き耳を立ててることを知ってるプロデューサーが、私のために、咲耶に……? いや、まさかね。ふふー……。
咲耶はプロデューサーに押されてる。言え、って。言えない、って。
『……わ、わかったよ……言うから、言うから、そんな意地悪は、よして……』
咲耶は渋る。でも先は見えてるよね。
『わ……私の……その、ち、乳首、を……指で、コリコリ、されたくって……パンパンに、なってるのを……う、ぅうう……』
コリコリ、パンパン、とか、咲耶の口からそうそう出てこない擬音がぽろぽろと転がってくる。咲耶ったら食レポとかでも王子様じみたキザな言い回しが常だしね。咲耶の声の震え具合で、咲耶のココロの震え具合もなんとなく伝わってくる。
『咲耶……良い子だ……くれて……嬉し……』
『プロデューサー……アナタに、喜んでもらって、褒められて……怖くなるよ……こんな気持ち、初めてだ……』
他人を喜ばせたり楽しませたりすることが好き……なんて素でのたまう咲耶の口から、らしくない言葉まで漏れ聞こえてくる。
『む、むね、いじ、られ、てぇ……イヤラしい、コト、も、口に……でも……アナタのため、なら……今の私、何でも、して、しまい――ぁ、や、ぁ、あっ……こえ、でちゃ……っ』
プロデューサーが、咲耶のおっぱいか、あるいはどこかに触れたり舐めたり吐息でも吹きかけたんですかね。咲耶の危惧はひび割れてガラスみたいに形を崩したままキラキラ乱反射する。悲鳴代わりか、咲耶のつま先あたりのシーツがぎゅっと引き攣れる音がした。
『っあ、は、ぁぁあっ、ぁうぅ、ぁあうううっ……』
咲耶の声がふつふつぐつぐつ泡立ってる。マグマとか、お鍋で温めてるクリームシチューとか、粘度が高くて熱いやつが連想される。肌と衣擦れが細かく頻繁になる。たぶん咲耶が太腿とかお尻のあたりをもじもじさせてるんだろう。どこをプロデューサーに可愛がってもらってるのかわからないけど、興奮してる火加減はこっちまで匂ってくる。うかうかシてると私にも飛び火シちゃいそう。
『もっと……シて……ほうが……』
『じ、焦れったいだなんて……そんな、わからないよ……で、でもっ、ぜんぜんイヤじゃない、もっと、続けてほしい……』
またクチクチと小さな水音がする。でも、息遣いは途切れてないんでキスっぽくない。いよいよ咲耶も濡れてきたのかな。
『濡れてる……だ、なんて、わかってても、言わないで……私が、まるで――』
咲耶はプロデューサーにスカートをめくられるか脱がされるかしてるらしい。確か咲耶はストッキングを履いていなかった。水音が私に聞こえるほど――当然プロデューサーにも聞こえてますよね――したたってるおまんこが、下着越し(まさかノーパンじゃないよね?)とはいえど丸見え。
『ひぅうぁあっ――! そ、そこ、だめ、だめだって――触られて、おかしく、ぅ、うぁ、こえ、でちゃ――ぁあっぅうぅうぅ……っ!』
イヤよイヤよもなんとやら。咲耶の水音は点々と続く。咲耶は感じるのが強くなってきて、くちびるを噛み締めて声を殺そうとしてるみたい。嬌声が籠もってる。そのぶん鼻息が荒くなっちゃってるけど。
プロデューサーは咲耶の恥じらいにしばらくつき合ってあげたいようです。ときどき責め手を収めて、咲耶に何事かひそひそ耳打ちしています。
『は……ぁ、ふぁっ……ふ、フフ……どうなんだろう、ね……』
ナニがどうなのか私にはわからないけど、咲耶の吐息と声と肌が、興奮とリラックスの間をふらふらしてる風なのは感じ取れた。プロデューサーったらそんなお気遣い、本当にお姫様への扱いじゃないですか……私、咲耶をうらやましがってますかね? 私が引き出したプロデューサーは、私をオナホ扱いするヒドいヒトだったから。ただ、きっと、もしまみみがお姫様みたいに扱われていたとしたら、まみみは四つん這いで逃げるフリをしながらプロデューサーに向かってお尻を振ってるんじゃないかなぁって。自分への諦念と咲耶への優越感が同時に湧いてきて可笑しくてほっぺたが引き攣れそう。
※11
ちゅく、ちゅく、ちゅく……って、咲耶の水音が立ってくる。
『ふはっ……はぁっ、あ、えぅっ……! ひぅう――ふぁっ……』
ふらふらしてた咲耶のカラダは、嬌声が高くなって低くなって途切れて……の1サイクルが回転するごとに、くつくつって、沸騰に向かって着実に熱せられてる。熱を溜め込んでる。いつしかくちびるを噛むのも忘れられてる。
『どんな風に……教え……咲耶……』
『ま、またかい……アナタは、私に、そんな――ハぁああっ――! い、きなり、なんて……! そ、そこ――クリトリスっ、クリトリスやめ――ゆ、ゆび、はなしてくれ、いっいま、さ、され、たら、そんな、こね、て、わたし――あぅうンんんぅうっ……!』
ふふー。咲耶って、クリトリスとコネコネさせるのが好きなんだー。そういえばおっぱいも乳首をくりくりヤられててイイ声出してたね。指先を舐められても喘ぎを漏らしてて。カラダの先っぽをつつかれるのに弱いのかな。奥を圧迫されるのに弱いまみみとは随分お好みが違うようで。
『お、大きくなんて、なって……ま、また、触るの……? な、なか、って――浅い、ぃ、あ、裏は、だ、めっ……く、クリの根っこに、キて、キちゃ、あっ――と、とめて、とめてくれ! そんな、同時に、こすられたら、耐え………ぁあ、そんなっ………う、ああぁああっっ……!』
咲耶の口振りだと、どうやらクリトリスって、根っこがおまんこの天井あたりにあるらしい。そうなの? オンナのカラダのことなのに知らなかった……で、でもー、きっと咲耶だってだいたいのオンナのコと一緒で、スリーパーホールドとチョークスリーパーのかけられ心地がまったく違うって知らないでしょー。
『んんんん゛っ……う、むぅ、ん゛、ぐくっ……んんんぁぁ゛あああ゛っっ……』
咲耶のナカとオモテを、プロデューサーが2本だか3本だかの指で、ちゅく、ぐちっ、ちゅく、ぐちっ。音がこもり気味になったのは、咲耶が脚を閉じかけてるのか、プロデューサーの手のひらが咲耶を上から覆う形になったのか。それでいてシーツがずりずりいうのはやかましくなってる。咲耶の脚だか手だかわからないけど、すっかり不作法になってしまっている。ずり、ずり、さら、さらっ。
『そんな……噛み締め……れて、しまう……』
『だ、だったらぁ! ゆび、とめ……おねがい、だから……っ!』
咲耶の目立ってきた息遣いや衣擦れが、水音を埋もれさせていく。プロデューサー、きっと指使いを慎重にゆっくりした感じにしてますね。それが却って咲耶を焦らして効いてるみたい。私は、べちゃべちゃにヨダレを垂らしながらクリトリスを勃起させて、プロデューサーの手から逃れようとしてるのか縋りつこうとしてるか曖昧によじられる咲耶のおまんことか太腿とかを幻視した。咲耶の四肢は根っこから指先まで格好つけてまっすぐ伸ばしたりゆったり曲げたりするのが常だけど今はもうそういう猫かぶりはぜんぜんダメになってるだろう。私がカラダの奥をガンガンえぐられて身も蓋もなくなったのと同じだ。
『ふぁっ……ハァッ……あ、はぁっ……! は、はァぁっはぁっ、んはあっ、う、ぁあっ……!』
『咲耶は……控えめ……のか……』
それから、いよいよ咲耶がぴいぴい囀(さえず)りを賑やかにして、春告げ鳥のウグイスかな、メジロかな? それじゃプロデューサーには、もっとシてよ、シてよぉっておねだりが伝わっちゃうよ。発情を示す流れがどんどん強くなっていく。もしかすると、そうなっちゃってる自分にも興奮シちゃうタチかな。
『も……もう、ダメ、ぇっ、いって、イッて、わたし――あ、ああイグッ、いく……いぐ、イグイグッ、い゛っちゃ――あぁ、あ、ぅああっ、ううう゛ぅーっ……!』
咲耶の声と吐息が、ノイズのように調子を外してボルテージを上げた後、不自然に途切れた。入れ替わりに、シクシクと弱々しくも部屋を通る水音が私の耳に入ってきた。ややあって、ギシ……とベッドが瞬き一回ぐらい軋む。体重移動――もしかして、咲耶、腰を浮かせるほどイッちゃった?
『軽く……だけで、イク……咲耶……感じやすいのか……』
プロデューサーは、まるでレッスンやライブで上出来だったときのように、アクメに征服された咲耶を褒めています。混じり気なしの賛嘆にも、あべこべの皮肉にも聞こえます。
『ひ、ぐっ!? ま、また――プロデューサー、おっおねがいだ、やすませ――い、いぅ、イッた、イッたばかりで、じんじんして、続けられたら、ぁ、ああぁああ……!』
喘ぎ、嬌声、息が切れて呼吸が乱れ、咲耶の懇願はびりびりと破かれていく。絹を裂く……なんてそんな一思いとは真逆。ギザギザの切れ目と糸のほつれが見えるようだ。
※12
『可愛……咲耶を……だけ……れて……嬉し……』
『ま、またイクっ、イク、いくいくっ――く、ぅぁあ、あぁあああっ――!』
またベッドが軽くキシキシしてる。咲耶のカラダが、プロデューサーの指先で跳ねさせられてるんでしょう。まな板の上の新鮮なお魚みたいにピチピチって。そのピチピチってたぶんイノチのようなモノを削られて飛び散ってるやつだよ。でも咲耶はプロデューサーの容赦ない愛撫の切削に身を委ねてしまうんだ。『可愛い咲耶を俺だけが見られて嬉しい』とかなんとか言ってさしあげたんでしょう? まみみ、わかります。ホントは寂しいのにオモテには出さないで察してって構ってもらいたがり屋さんに、あなたからのそういう文句は――言われる側からしたら悔しいぐらいに――てきめんに効いちゃうんです。
……わかってて、囁いてますよね。プロデューサー。私、イヤらしくて惨たらしくて決まり悪くて半笑いになっちゃいますよ。
『んぐっ……あ、あ゛はっ……だ、め、ぇ……んぐうっ、あお゛……ぉお゛イグ……ぅ……っ!』
……咲耶、ホントにだいじょうぶかしら。まだまだ続く。まみみがゴクリとツバを飲んじゃって、それが何度目か。咲耶の嬌声はベチャベチャと濁り始める。さっきはお魚と思ったけどケダモノだよコレじゃ。プロデューサー、もしかして咲耶をまみみと同じ感覚で扱ってませんか? ベッドヤクザは私だけに……まみみ以外にそんな拷問的セックスしたらいくらプロデューサーだって一発で愛想を尽かされちゃいます。
『もう、やめ……! やぁ、あ、あっ――ああいやぁっ、も゛ぉっ……こわれるっ、こわ、れ、ぇぅうっ、ぅううぅう……!』
もう咲耶の声や衣擦れからじゃ、咲耶がどうされてるか推測できない。びしゃ、びしゃ、びしゃって、人体から漏れるにはいささか激しすぎるんじゃないかって水音が散発的に飛ぶ。ベッドもギシギシ行ってセックスらしい軋みを上げてる。あれ、でもプロデューサーが挿入したような様子はないんですけどね(あのプロデューサーなんだから咲耶が初めてのお手合わせなんだから挿れる前に何か勿体をつけるでしょう)。ということは咲耶ひとりぶんの体重移動でベッドここまで揺らしてるの?
『うう゛っ、うああう゛ぅうっー……! あ゛っ、ふわあ、ぁあっあっああ゛あ゛……っ!』
やはり指だけでここまでシちゃってるんですか? 鮮やかすぎる手並みじゃありませんか。もしかしてあの水色のメモ帳には、咲耶の性感帯とかメモしてあったんですか。
咲耶の声と吐息が、大きく波打ってるのに今にも潰えそうなほどか細い。まさか泡とか噴いてないよね。泡はまずい、気管支に入るとコトだよ。
『ひ、ひむっ、ひんじゃう――もう、ぷろでゅーさーやめッ、やめ、ぇ――ぁあ、ぅあぁあっ、あぅぁああぁぉおぉおぉ……っ』
※13
咲耶が痛ましく哀れっぽく弱々しくなってきて、聞かされてる私もちょっと興奮に寒いものが混じってきたました。いい加減に潮時だと思って、死角から這い出して顔を出して止めに入ります。
「プロデューサー……プロデューサーっ」
「……摩美々……?」
二回目の呼びかけで、やっとこっちを向いてくれました。照明もなくて、まぶたは細められてるのに、虹彩が刃物のようにギラギラしてて、つい息を呑んじゃいます。私もゾクゾクさせてくれる目です。
「……か、過呼吸とかになっちゃったら、困るかなー、なんて。余計な心配、でしたかね……?」
咲耶は、背面座位のように、プロデューサーの指と腕に後ろから絡め取られていた。蜘蛛の巣にとらえられて力尽きる寸前の蝶々か、ソレより悲劇的な有様だった。プロデューサーに顔を預けたまま背中が仰け反ってるんで表情はよく見えないけど、白いノドと解けた髪とワイシャツとスカートと、ワイシャツ越しに透ける肌は、暴風雨に曝されたとでも言うしかないほど濡れて乱れている。咲耶の汗ってちょっと甘いニオイだなって実感できた。
はしたなく広げられた長い両脚は、内腿やふくらはぎに筋が浮き沈みほど突っ張ってた。靴下をまとった足指は何かをつかもうとして宙を虚しくもがいていた。両手だけが背後のプロデューサーに縋って、陵辱者のスラックスにシワを刻んでいた。お尻がまだベッドシーツにくっついてるし、血の鉄臭さもないので、まだ挿入はされてないんじゃないか……とは判断できた。
「……いや、ありがとう。ちょうどよかった。摩美々が止めてくれなかったら、まだ続けてたと思う」
「穏やかな声で恐ろしいことを言ってますよプロデューサー」
まみみをいじめるうちに、プロデューサーもソレに染まっちゃったんでしょうか。
「ここまでするつもりは、なかったんだよ。調子、狂ってるな。俺は」
咲耶の仰け反ってるのがようやく収まって顔の具合が見えた。くちびるとかアゴとかほっぺたの周りは、脂汗とかヨダレとか口角泡の名残を幾筋か垂らしながら、寒さに震えるようにぶるぶるしていた。くちびるそのものや肌に血が上って紅潮してるのとチグハグになっていた。目は半開きで黒目の上半分がまぶたに隠れていた。まかり間違って咲耶のファンが見ちゃったら男の子でも女の子でも卒倒することうけあいだ。
私もプロデューサーも黙ったままベッドの上に坐っていた。咲耶だけがカラダをビクビクのたうたせ、おぼつかない息継ぎをたなびかせていた。しばらくして、手持ち無沙汰になったのか、プロデューサーが咲耶の髪を梳いてやりだすと、
「ぉ、ぉ……ぅ……あ、あっ……ま、ま、みみ……?」
「すっかり……王子様から、お姫様にシてもらってるようで」
ようやく私が目に入った様子の咲耶は、何か言いたげにくちびるを薄く開けたり閉じたりしていたが、舌とかノドに自由が戻っていないらしく、
「ど、どう……して……?」
それが精一杯のようだった。
「咲耶は、自分がまみみのコト覗いてたのに、自分が覗かれないと思ってたんだ?」
咲耶はまばたきを何回かしたあと、顔を俯けて「ふ、ふへ……へへっ」と、らしくなく崩れた笑いをこぼした。
※14
「力を抜いてもらってもいいか、咲耶」
しどけなく仰向けに横たわる咲耶の前に、プロデューサーが凶器じみて勃起したおちんちんを迫らせています。私は邪魔にならないよう咲耶の横に坐っていて、ほつれたり、汗でべったり肌に張り付いた咲耶の黒髪を、枕の向こう側に流してあげる。正常位のときに巻き込まれたら傷んじゃうからね。
「ぷ、プロデューサー……そ、の、わ、私……はじめて、で……」
何を今更、という咲耶のハスキーなつぶやきで、吹き出すのをこらえるのに苦労した。咲耶ー、二人きりがよかった? でもダメ。
「まみみは、咲耶がオンナにされる瞬間に立ち会いたいですー」
プロデューサーが何か言いそうになったところに、上からおっかぶせちゃいました。咲耶には、私とプロデューサーとのこと、黙っててもらわなきゃいけない……だから、弱みをもらっちゃう(もし私と咲耶が逆の立場だったら弱みとして効力があるのか疑問だけど、まぁ、咲耶だし……)。咲耶の処女を奪わせたのは、まみみだって、覚えててもらうんだ。
「それにー、まみみがついてたほうが、イキすぎがなくて、安心じゃないですか?」
調子に乗って続けたら、プロデューサーに笑われちゃいました。そうですね。アイドルとプロデューサーがセックスして、安心もへったくれもありません。
「……行くぞ」
他人のセックスを間近で見るのははじめて。他人の処女喪失の瞬間を見るのももちろんはじめて。
「……ふ、ぅ、ぅあ……っ!!」
大柄なプロデューサーのカラダが、咲耶に覆いかぶさります。咲耶は薄目になりながらくちびるを噛み締めていた。凶器が咲耶のナカに沈められていく。
「チカラ抜いてって言われたのに」
ロストヴァージンは痛いというハナシ(実際まみみは痛かったけれど)だけど、咲耶はこってり準備されたせいかそれとも体質なのか、表情やおっぱいやそのほか肌の表面に、痛みというより息苦しさや圧迫感を浮かべていた。
それを咲耶の負担だと思ったんでしょうか、プロデューサーは呼吸を整えながらゆっくりした動きで前後しています。筋肉質の肩や太腿が盛り上がったり凹んだりするのが見てて面白いですね。
「咲耶……きつい、か……?」
プロデューサーは、入れて、キツイと思ってるんでしょうね。動きを止めて、咲耶に負けず劣らず余裕がない表情です。
「い、いや……つ、続けて、ほしい……なんだろう、ね……苦しいけど、イヤじゃないんだ……」
「そういうコトは迂闊に言わないほうがいいよ、咲耶」
ねぇ咲耶、さっきクリトリスとか指でコネコネ可愛がってもらってたときに似たようなセリフ口走ったあとアナタどんな目にあわされて……って、私の忠告は咲耶の気分を害したようだった。すみませんねぇ、感慨に浸ってるトコロ、雰囲気ぶち壊しで。
でも、ホントだよ。プロデューサーは私たちを苦しめるのどんどん上手になってるんだよ? そういう風にシちゃってるのはまみみですが。
そしてセックスって二人きりで深く深く没頭してるとカラダの限界までずーっとエスカレートが止まらなくって、傍から見てると危なっかしいことこの上ないのです。
プロデューサーは、抜き差しを再開しました。
「は……ぁ、うっ! あぅ、あ、あっ……!! は、あっ……あう、ゃ、あ……!」
指のときよりもナカにみっしり突っ込まれてるせいか、水音がグチュ、グチュって籠もってるんだか濁ってるんだか。拷問まがいの雰囲気が薄れて、セックスらしい淫らっぽい響きに移り変わっていく。
「わ、私――プロデューサー、にっ、アナタ、に……あ、ぁぁあっ……!」
プロデューサーは、再開したばかりの頃は大きな幅のストロークをゆるゆるとやっていましたが、やがて咲耶の反応の違いを嗅ぎつけたのか、やや腰を引き気味にしておへその裏を細かくしつこく責めるほうにシフトします。
「だ、めっ、そこ、あたる、ダメな、ところ、キて――う゛っ、うああう゛ぁあ……っ!」
「……素直じゃない咲耶なんて、珍しいな」
咲耶はナカも浅いトコロが弱点なんですか? 咲耶は汗だかヨダレだかを再び溢れさせながら、ひゅうひゅうとたどたどしい呼吸とともに、大きなおっぱいをぷるぷる震わせておののいている。いくら声を抑えたっておっぱいが揺れるのは止められないしデコルテがこわばって筋や鎖骨が浮くのも隠せない。
「あ゛ぉ……お、奥、にっ……! な、ナカ、ぁ、あっ――!」
ぐちゅぐちゅいう結合部あたりに目線を飛ばすと、おちんちんの味をしめたらしい咲耶のおまんこが、きゅっきゅって縋(すが)っているのが、プロデューサーのピストンの隙間から覗ける。直には見えないけど下っ腹のとか太腿とかの動きから透けて見える。今の私やプロデューサーの視界じゃ見えないと思って油断してるのかな。
「お、お願いだプロデューサーっ、本当に、これ――されてたら――あぁあああっ……お、覚えて、しまう……ナカに、やられるの、おぼえ、忘れられなくなったら、も、う――っ……」
とろけきってるナカを丁寧に力強く仕上げられて、咲耶は「はじめて」のくせに甘くドロドロした媚びをくちびるやら肌やらあちこちから漏らしている。ときどきくちびるはOの字に大きく開かれる。ノドをぐしゃぐしゃにひねられ絞られているような悶絶の低音も混じる。瞳孔が開いて落とし穴のように黒い瞳をゆらゆらさせている。
「や、ぁ……いく、イク、なかも、そともっ、いく、イクっ、ぅ、っ――ぅうう……ッ!」
とうとう「イク」って咲耶が言い出したのに、案の定プロデューサーは責めを続けます。プロデューサーも射精をこらえているのかときどき抜き差しを止めて呼吸を整えるんですが、それで咲耶が安心したころに責めを再開して、もしかして上げて落とすためにわざとやってるんじゃないか? とまみみは疑ってしまいます。
「……い、いっ――ぐ、イクからぁ、も、や、ぁ――いぐっ、イグ、いぐっ、っ――や、ぁ、やめ――ああ、いぐ、いっぐううううッっ!」
気持ちいいのが激しくって我慢できず出ちゃうイキ声か、私が苦しんでるのにどうしてやめてくれないのって非難か、おそらくどっちともがよじり合わされた悲鳴が、咲耶からほとばしっている。すっかり咲耶じゃないみたい。
「あっ、あっ、あ――おっ、おおおお゛いく、イクいく、いく、う――っ!」
※15
プロデューサーは抵抗する咲耶を抑え付けて、より深い屈曲位へ。外は仕上がって次は奥かな? そう思ってドスドスと重々しくなったピストンを眺めていると――咲耶が腰を下げようとしたたら、プロデューサーに(足首を引っ張って腰を吊り上げられ)腰を浮かせられて――という流れが繰り返されてるのに気づく。それで妙にドスドスいうのかしら。
「や、め――それ、くるっ、ぜんぶ、おかしくなるっ、なるからっ――ぁぁあぁぁあァぁァ……ッ」
……もしかして、咲耶の腰が丸まるカタチで浮くと、おちんちんがナカと奥に同時に効くのかな。あれか、先っぽで子宮のあたり小突き回しながら、根本でクリトリスのオモテウラ圧迫したり擦ったり……。
「逃さないぞ、咲耶。おかしくなってもらう……見届けさせてもらう」
咲耶は最後の羞恥心が巻き起こったのか、空いている両手で顔を隠した。自分をかっこよく見せることを常日頃から心がけている咲耶のことだから、おまんこメチャクチャにイカされて壊されながらもそこだけは勘弁してほしかったんだろう。
まぁ、勘弁してあげないんだけど。
「かわいいっ。咲耶、かわいいっ!」
「な――まっまみみっ、キミ、は……い、言わないで――」
やめない。だって咲耶、王子様らしからぬところも見てほしかったんでしょ。受け入れてほしかったんでしょ。はじめてで最高のチャンスだよ。
「イッちゃったら……咲耶、もっと可愛くなるんだろうなぁ……ねぇ。見せてよ。イッちゃえ。イッちゃえっ」
「も、もうイッてる、イッでるっ! イッて、ぇ――」
そうだろうねー。でも、もっと先があるの、分かっちゃってるでしょ?
「イッちゃえ、咲耶、イッちゃえっ」
「い、や……あ、ぁあっ、ああぁあぁっ……」
聞き分け悪く首を振る咲耶――そのうなじにプロデューサーが腕を回す。咲耶はまぶたのあたりを痙攣してるように震わせながら涙を一筋こぼして――でも、動かない。慈悲を乞うているのか、諦めたのか。じっとして委ねている。プロデューサーは挿入したまま咲耶を抱き上げて自分の胴体も起こす構えです。
「――あ゛っ、――ぉお゛お゛ォぉ――……ッ!」
あー、対面座位ですかぁプロデューサー。咲耶を最後はお姫様っぽく〆てあげようって気遣いか(……たぶん、屈曲位よりはお姫様っぽいでしょう)、それとも……とにかく、まみみには好都合です。
「イッちゃえ、咲耶、イッちゃえっ」
「う゛っ、あぁ、やら、や、らぁ……ああぁ、うああう゛ぅうっ……!」
後ろから囁いてやれ――そういうコトですよね、プロデューサー?
「咲耶……また、素敵なところを見せてくれたな」
と思ったら、前からも。
「嬉しいぞ、咲耶」
咲耶は嬌声どころか呼吸もままならず悶絶。コレと、まみみのオナホール扱いと、どっちがシンドいでしょうかねー……考えても、詮無いコトですね。代わってあげるワケにもいかないから……。
「咲耶、咲耶……あのとき、声をかけて、本当によかった……っ!」
「は、ぁ……ひっ、ひゅっ、う、ぁ、あぅ、あっあっ」
そのままプロデューサーは咲耶を抱えながら腰を揺すった。屈曲位のときはプロデューサーが負担を調整してたんだけどこっちの体勢だと咲耶の体重がまともにナカにかかるのか、さっきよりも切羽詰まった声と息を撒き散らし、ついには、
「うっ、くぁ、……プロ……デューサー……ゆ、ゆるし、て、あ、あ――っく、くううう、うう゛ぅっ――あぁ、あ……あぁ、ぅあぁあぁ……」
ぴちゃぴちゃ、ぴちゃぴちゃって、膣液にしては景気がいい水音が聞こえる……と思ってたら、咲耶は失禁してしまったようだ。ツンとくるアンモニア? だか何かのニオイの濃さが、咲耶の重ねに重ねられた我慢を偲ばせる。プロデューサーはそれを浴びながらぎゅうって咲耶を抱きしめてあげてキス。でもすでに咲耶は朦朧としてる。もうちょっと早くシてあげたら、咲耶もちゃんと喜んだのに。
※16
ついに咲耶ががっくりと力尽きたんで「次はまみみの番ですよねー♪」ってプロデューサーに絡んだら、プロデューサーはカチンとキちゃったらしく、よりにもよって咲耶の膣液と処女血とおしっこにまみれた勃起しっぱなしおちんちんでイラマチオされて口内射精されて黙らされちゃいました。あまりにヒドくてソレで私はイッちゃいました。
記念なんで、しこたま犯されたあとの私と、グロッキーなままの咲耶の写真をスマホで撮って、いやがるプロデューサーに送りつけました。
「保存しておいてくださいよ。待受にしろとまでは言いませんからー」
待受にはしてくれないだろうなー、とは撮るときから思ってたんですが、いざ渋られると思ったよりイラっときたんで、代わりに水色の秘密のメモ帳へきょうのコトを書き加えておきました。
消したらダメですよ、プロデューサー。
(おしまい)
・あとがき
シャイニーの日に間に合ってよかったです。
ご高覧いただきありがとうございました。
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