【安価】龍王さまの子作り冒険譚 (23)
覇龍、賢龍、守護聖龍……幾多の名を冠し、世の安寧に務めた一匹の龍がいた。
龍は四大霊獣と呼ばれる存在にあり。
世に動乱起こりしとき、龍はその巨体と両翼で空を翔け、混沌を静める。
それが創世記より神に与えられた龍の使命であった。
世界の人と魔物の均衡を保ち、時に崇められ、そして畏れられていた。
やがて世の中から大きな争いが消え始めた頃………。
───龍は密かにその生命を終えようとしていた。
??『龍よ…龍王バハムートよ』
龍王『……誰だ、我の永劫の眠りを妨げようとする者は』
??『私は創生の女神と呼ばれる者、貴方を含めこの世界に生きとし生けるものすべての生命の根源を作り出した存在』
女神『龍王よ、貴方は私が産み出した世界の調和を司りし霊獣としてよく働いてくれました…礼を言います』
龍王『ふん…女神だろうが何だろうが知らぬが世辞などいらぬ、我は己の使命を果たしたまでのこと』
龍王『それに勝手に産み出しておきながら今際の際に何用だ……我はもう疲れた、五百年も生き永らえたものの何一つ変わらぬ世界を見守り続けるのさえもくだらぬ』
女神『申し訳ありません……使命を押し付け、やすらぎの時を妨げてしまった事は謝ります、しかし私は貴方に感謝の意を伝えに来たわけではありません』
龍王『なに?』
女神『私は貴方の願いを一つだけ叶えに来たのです、世界の安寧を保つという大きな役割を果たしたのにも関わらず褒美の一つも無いのは余りにも酷というものではないですか』
龍王『何を今さら…死に際の老いぼれの龍に何を望めと言うのだ』
龍王『それとも貴様はこの身朽ち果てようとする命を蘇らせようと出来るのか?』
女神『貴方がそれを望むのであれば可能でしょう』
龍王『………ありえん、理に反している』
女神『その理を意のままに書き換えれるのが神の力なのですよ』
龍王『………』
女神『ただし今の貴方をそのまま蘇らせるわけでは無く、力尽きた際に肉体から漏出する魂を再利用し新たな命として創り変えるという言い方の方が正しいでしょう』
女神『さぁどうなさいますか? 貴方の望むまま何か願いをひとつ叶えましょう、貴方にも何か後悔の念の一つでもあるのではないですか?』
龍王『くだらん、其のようなモノは我になど…………だが、そうだな…』
龍王『五百年も生き、この世に我が生命の証をなに一つ残さず消えていくというのも虚しいものだな』
龍王『せめてヒトの子らに何か一粒種のような、次代へ繋げるものを残して逝きたいものだな』
女神『そうですか、やはり貴方はどこまでもこの世界の事を憂いているのですね』
龍王『そういう風に創られたからな』
女神『わかりました、貴方の願い……私の力にて叶えさせていただきましょう』
龍王『ふっ…虚言で……無いことを…祈ろう……か………っ』
暖かな光に包まれる
どこか母の腕に抱かれるような安らぎさえ感じ
やがて肉体から力が抜け、意識は遠のき……そして
龍王「………む、うう…ん」
龍王「ここは…どこだ…? 我はどうなったというのだ…」
周囲を見渡すと久しく見ていない外の世界の景色が広がっていた。
しかしそれよりも龍王は自身の身体に違和感を覚える。
龍王「これは……ヒトの手足だと?」
龍王の肉体は先のような龍の王と呼ばれるに相応しい巨躯では無く、かつて天空より視降ろしていたヒトの成人男性と同じ肉体になっていた。
辛うじて頭に生える短めの2本の角と鋭い眼光、腕や太ももから僅かに生え揃っている龍鱗だけが以前の名残を残していた。
「なるほど、これが創り変えるということか……だが」
「………さすがに全裸で放り出されるとは思いもしなかったがな」
生前(?)が龍だったため服を着るという概念が無かったとはいえ、さすがに太陽の下を真っ裸の男が一人という状況がマズイということぐらいは分かる。
龍王(どこかで衣類を調達せねばならないか……それにしてもここは本当にどこだ? 我が寝床であった洞窟の近くでは無さそうだが)
>>6 龍王はどこに飛ばされたのか
A.日の光も差さぬほどの大樹海(エルフの住まう森)
B.砂と岩に囲まれた山岳地帯(山賊がうろつく危険地帯)
C.日差しが照りつける無人の砂浜(遠くに漁村が見える)
D.生命を凍てつかせる極寒の雪原(騎士国家の周辺)
D
周りを見ても雪、雪、雪。
吹き荒む氷雪のみしか存在を許さないかのように周囲に生命は感じられなかった。
普通であればこの過酷な状況に真の意味で裸一文で放り出されればあっという間に凍死は免れない。
だが、龍王の肉体は人間のそれとは異なる特徴を備えていた。
龍王(ふむ、見た目は人間に近いが体温調節機能は龍のそれと同じみたいだな)
龍は生息する地の環境は極めて過酷な場で有ることが多い。
故に過酷な環境で生きていくために自身の肉体を進化させ続けており、個体差にもよるが頑強な皮膚や鱗により暑さや寒さに対する高い耐性を得ている。
龍王「しかしどうしたものか……これでは服の調達どころかそもそも生命体と会えるかどうかすらわからんぞ…」
かつては一対の翼で大空を駆け巡っていた頃もあったが今の龍王にそんな便利なものは無く、己の細足で一歩を踏み出さなければいけないのであった。
>>11 龍王はこの後どうなる?
A.自身よりも遥かに大きい魔物と遭遇する
B.誰かが魔物に襲われている所に出くわす
C.魔物と騎士団の戦闘を見かける
B
Tips ヒトと人間の違い
ヒト この世界における二足歩行で言語を有する知的生命体全てを指す言葉。人間やエルフ、その他獣人属なども此処に含まれる
人間 世界においてもっとも個体数が多く確認されているヒト型の生命体。
暫し当てもなく雪原をさ迷っていると遠くから風の音に紛れて声のようなものが聞こえた気がする。
行く当ても無いので声のする方へと向かう。
辿り着くとそこにいたのは狼型の魔獣が三匹、そして腕から地を流して座りこんでいる人間の姿があった。
龍王(まさかこんな所でヒトと出くわすとはな……状況からしてそこの犬っころに襲われているようだが)
>>15-17から龍王が見つけた人間、もしくはヒト人種(名前や職業、性格とか見た目)
リィン
見習い騎士
真面目で実直、曲がったことを許さない ボクっ娘
白のショートカットに青の瞳
背は低めだが性格とは裏腹にボンキュッボンのドスケベわがままボディ
騎士らしく普段は鎧を纏っている
人間
ルナ(どうしよう、まさかいつもの帰り道でこんな数の白狼に出くわすなんて…)
雪原の村に居を構える魔法使い、ルナのその日の運勢は最悪であった。
魔法の研究に使う薬草を取りにいつも採集場所としてる森に向かっていた。
しかし途中で天候は悪化し、諦めて引きかえそうと決めたときには既に遅く。
周りは吹雪いて視界も悪くなった所で普段は気をつけていた狼型の魔物の群れに会ってしまった。
魔法使いは基本的に中~遠距離からの攻撃が基本である。一応自衛の手段として近距離用の魔法もあるにはあるがあくまで一対一を想定しての簡易的な魔法だ。
多対一、しかも三匹に取り囲まれた状態では詠唱もままならないのは誰の目に見ても明確であった。
白狼「ぐるるる…ばうっ!!」
ルナ(ごめんね村のみんな……私、ひょっとしたらここで死ぬかも…!)ブルッ
白狼「きゃいんっ!」
ルナ(………えっ?)
ルナの視界に飛び込んだのは誰かが白狼の一匹を蹴り飛ばす瞬間であった。
ルナ(だ、誰…?ひょっとして村のみんなが助けにきてくれたのね!?)
吹雪の中、希望の灯を瞳に宿したルナが見つけたその人は………。
横殴りの風雪すらものともしない全 身 真 っ 裸 の 男 であった。
ルナ「…………きゃあああああっっ!!!!!?!?///」
龍王「むうっ!?」ビクッ
ルナ「ちょっ!!なんでこんなとこに変態さんがいるんですか!?」
ルナ「というかなんで服着てないんですか!?普通死にますよ!!」
龍王「失礼な、こちらとて好きで全裸でいたいわけではない」
ルナ「ここここっち向かないでくださいぃ!!///」
龍王(なぜ魔物から助けてやったのにここまで拒否反応を示されなければならぬのだろうか…むっ?)
白狼「ぐるるっがうっ!」
ルナ「あ、危ない!」
一瞬の隙を突いて白狼の一匹が龍王の腕に噛みつく、ルナは青ざめた顔をするが白狼は直ぐに異変に気づく。
自身の牙をもってしても、この鱗の付いた腕は噛み千切れないということに。
龍王「構ってほしいのは分かるが、今のおまえ達は邪魔だな……失せろ」
白狼「っ!!きゃいん!?…くぅ~ん!」
ヒトなれど龍の王としての風格を備えたその眼光に白狼達は文字通り、尻尾を巻いて逃げていった。
龍王「さて、ようやく知恵のある生き物と会話ができ……ん?」
龍王がルナの方へと振り返るとルナは雪の上にばたりと倒れこんでいた。
頬は赤く染まり、息苦しそうに項垂れている。
ルナ「はぁ…はぁ…!!」
龍王「この小娘……熱があるのか」
人間の平熱がどれくらいかは知らないが額に手を触れると熱く感じるのは気のせいではないだろう。
>>23 龍王のこの後の行動(下の選択肢に加えしたいことがあればどうぞ、内容によっては取れない行動もあります)
A.ルナをおぶって村を探す
B.近場の洞窟でルナを看護する
C.面倒だ、このまま放置しよう
A
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