居眠りをするプロデューサーを前にしたアイドルはどうするのか (4)

スレタイの通りの短いお話を書いていこうと思います。
765ASのメンバーは分かるものの、シンデレラガールズとミリオンライブのメンツは最近スマホゲーで触れ始めたばかりなのでまだまだ勉強中です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1601538797

「プロデューサーさん、何とかミーティングに間に合い……あれ?」

 いつものデスクにいるはずのプロデューサーさんがいない。席を外してるのかな? あ、机に突っ伏して丸くなってる。パソコンの画面も点きっぱなし……何かの数字がズラーって並んでる。モニターだけ電源切っておこうっと。

「……完全に寝入っちゃってますね」

 ちょっとだけど、イビキたててる? デスクの片隅には栄養ドリンクの空き瓶が並んでて、レジ袋に何かのゴミが入ってる。お昼もここで食べてたんだ。私だけの面倒を見てるわけじゃないんだし、お仕事大変ですよね。もっとお休み取れればいいのにな。でも毎日のように誰かのお仕事が入ってるし、そうもいかないか。いつもプロデューサーさん一生懸命だし。とりあえずゴミは片付けておいてあげよっと。目が覚めてしまわないように、そろーり、そろーり。
 乱れてた書類も見た目だけちょっと整えて、お片付け終わり。さてどうしよう。起こさないとミーティング始められないけど……。
 こんな無防備に寝てる所なんてそうそう見られないし、もうしばらく、観察してようかな。隣の空いてる椅子、借りちゃいまーす。

「……」

 いつも張り詰めた表情してるから分からなかったけど、こんな風に緩んだ顔見てみると、プロデューサーさん、可愛い? こんな顔もするんだ。ナイショにするから、写真一枚、失礼しますね。……よかった。シャッター音でも目が覚めなかったみたい。誰かに見られたりしてないよね? だったら、もうちょっと近くで――

 どんがらがっしゃーん!

 あいたた、椅子から立ち上がった拍子に転んじゃった……。せっかく整えた書類もヒラヒラ落ちてきちゃった。

「……ん、ああ何だ春香か。悪い、ちょっと寝てた。ところでそれ、匍匐前進の練習か?」
「あ、あはは……」

 ドジな私……。

(完)

【美希】

 ただいま、取材終わったよ! って、ハキハキあいさつしてみたけど、プロデューサーは事務室のテーブルでお昼寝してるみたいなの。

 お昼寝いいなー、ミキも寝ちゃおっと。

 いつもみたいにソファーでのびのび横になろうと思ったけど、せっかくだから、学校の時みたいにミキも突っ伏して寝よ。隣が空いてるからそこに……って、マグカップのコーヒーが飲みかけだよ。こぼしたら汚れちゃうし、どけておくの。キャラメルマキアートとちがってすっごくニガいし、ブラックなんて飲んだら眠れなくなっちゃうよ。

「……スキだらけだね」

 おでこもほっぺもガラあき。今ならキスマークだってつけホーダイだな。

 そう思ったけど、そういう気分にはならなかったの。こういうのって、寝てる所にコッソリ……じゃなくて、自分で勝ち取らなきゃ意味がないよ。いっつもガード固いけど、いつか必ずハニーはミキのものにするの。

 左隣でぐっすり寝てる顔を見てたら、もう眠たくなってきちゃった。寝ちゃうのがもったいないかも、って思ったけど、睡眠欲にミキは絶対かなわないから仕方がないよね。

 おやすみなさい。お仕事がんばったから、後でおにぎりおごってね。

(完)

「失礼します、プロデューサー宛に書類届いてますよ」

 郵便受けを覗いてきたら厚みのある封筒があったものだから、宛名を見てまずはこっちに、と届けに来たはいいものの、受取人は自分のデスクに伏せていびきをかいている。こっちはレッスンの合間の休憩時間だって言うのに……。仕事中に居眠りしてるだらしない所を新人の子達に見られたら、幻滅されちゃいますよ? 大人の男性を憧れの目で見てる子だっているんですからね。

「うわ、ひどい……」

 デスクに置いておくかな、と思って近寄ってみると、モニターは点いたまま、書類が散らかったまま、おまけにその書類の近くには飲みかけのコーヒーまであるじゃない。こぼしたらどうするんですか、もう……! 使わない時のパソコンはスリープにしておかないと! 筆記用具も使わないなら一ヶ所にまとめておきましょうよ! プリンターから出力されてる書類だって、一目見て分かるような誤字脱字がある! 「もしくわ」なんてどうタイプしたら出てくるんですか!

「……う」
「あ」

 しまった。内心でプリプリしていたら、声に出ちゃってたかも。いや、でも、これはプロデューサーが悪いですよ。劇場の仕事が始まって更に忙しいのに、前より一生懸命になってるのは本当にすごいですけど、疲れ果てて業務のパフォーマンスを落としてたら本末転倒じゃないですか。手伝えることがあれば言ってくださいね、って申し出てるのに。もしかして、愛想が悪かったのかしら、私。
 夢と現実の狭間に踏み込まないようコーヒーを遠ざけ、ちょっとだけデスクの上を整理していると、彼が寝息混じりに何かを口にしたようなものが聞こえた。

「……いいよ、母さん、一人でやるから……」

 うっすらと開いた目が私を見ていた。

「わっ、私、お母さんじゃありませんっ!」
「!! ……う、何だ、律子か。びっくりさせないでくれよ」

 大きな声が出てしまった。まぶたを擦りながらのっそりと彼が起き上がる。

「びっくりしたのはこっちですよ、何を口走ってるんですか、いきなり」
「え、何か言ってたか、俺」
「……母さんって言われました」
「あ、あはは、悪い悪い。ガキの頃の夢見てたんだ、多分」

 プロデューサーも恥ずかしかったのか、耳をほんのりと赤くしている。小学生が、学校の先生のことを間違えて「お母さん」って呼んでしまう、あの現象だったのかな。でも、私の頭に咄嗟に浮かんだのは、家でお母さんに呼びかける私のお父さんの姿だった。どうして結婚するとお互いのことを、お父さん、お母さんって言うようになるんだろう。子どもが生まれるとそうなるのかな。目の前の相手から「お母さん」って呼びかけられる光景がつい浮かんでしまい、慌てて頭を振って熱を振り払った。

「ダメですよ、机の上キレイにしとかなきゃ」
「俺の母さんみたいなこと言わないでくれって、恥ずかしいよ」
「だからお母さんじゃありませんってば! 言われないようにしてくださいよ!」
「はは、ますますそれっぽいな」
「もう~~~! ばかっ!!」

(完)

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