勇者「魔王お前…風邪引いた?」 (8)

魔王「何を馬鹿な…魔王たる我が…ゲホッ、魔王たる我が風邪を引くわけがっ!ガホガハゲホッッッ!!!」

勇者「いやどう考えても風邪じゃねえか寝てろよ…」

魔王「魔王たる我が…おい待て勇者、何故後ずさる」

勇者「だって風邪だろ?また三日後あたりに来るからさ、決着はその時な。養生しろよ」

魔王「ふざけるこら!勇者たる者が魔王を前に背を向けるのか!ゲホガハッッ!!!」

勇者「いや俺勇者だからさ、正しい行いしなきゃいけないから…相手が万全じゃない状態で倒すわけにはなあ。相手が風邪だから勝てましたとかかっこ悪いしさ」

魔王「待てこら!魔王を前に背を向けるな!大魔王から逃げられるとでも!ああ、リレミトするなぁぁぁあああ!ゲホォッ!」


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数日後

魔王「くそ、三日後来るとか言いつつ来ないでやんのあいつ…約束破るとかそれでも勇者か…」ブツブツ

魔物「魔王様!魔王さま!」ドアバーン

魔王「何だ?慌てて」

魔物「勇者が風邪に倒れて死線を彷徨っているそうです!」

魔王「……我のせいじゃ、ないよな?魔物の病が人間に移るとか聞いたことないぞ?」

魔物「さ、さあ?偶然では、ないかと…」

魔王「そう、だよな…まあ人間も治療魔術は発達してるんだ、すぐに回復してあの憎たらしい顔を見せに来るだろう」

魔物「それが、人間の知識では治せないと…」

魔王「………我のせいじゃ……ない、よな…?」

魔物「さ、さあ…」

魔王「しょうがない、我々の風邪に効く薬草を届けてやれ。人間に擬態出来る魔物に命じよ」

魔物「よろしいのですか…?助けて」

魔王「前回気を使われてしまったからな…貸し借り無しで叩き伏せないと勝った気にならぬ」

魔物「は、はあ…」

更に数日後


勇者「魔王!体調は良くなったようだな!」

魔王「貴様こそ死にかけから生還したらしいではないか。運の良い奴め」

勇者「な、何故それを!」

魔王「我に見えぬものはない!貴様の死に際すら鮮明に見えるわい」

勇者「残念だかその予知だけはハズレのようだな、死ぬのはお前だ!魔王!」

魔王「ふはははは威勢の良いことだ!かかって来い勇者!細切れにしてやる!」


勇者「行くぞぉぉぉぉ!!!!魔王おおぉぉぉおお!!!」

魔王「来い!勇者あああああ!!!!!」




勇者&魔王『ゲホッ!ガハッ!ゴホゴホっ!!!!』

その後、二人がかかっているのは同じウイルスによる新型の病気であることが分かった

その病は魔王城に中心に魔界全土、勇者が泊まっていた宿のある町を中心に人間界全土に広まり、歴史上初の人魔共通感染症として猛威を振るった

人類と魔族は戦争どころではなくなり、休戦してそれぞれの薬草・治療魔術学を駆使して共同研究を始めた

そうこうしている内に戦争自体有耶無耶になり、パンデミックの収束宣言を機に和平したのであった

勇者「くそっ、病気程度で和平できるなら俺の頑張った意味って、ゲホゲホっ」

魔王「うぅ、我が、魔族の王たる我が病魔なぞにやられるとは…ゲホゲホっ」


未だ治らぬ約二名

教訓、マスクはしっかり着けましょう


ということで毒にも薬にもならない駄菓子SSでした
コロナにも合わせてインフルも流行る時期なので皆さんもどうかお気を付けて

ちなみにこのSSはコロナが平和を運んでくるというような頭お花畑な主張は込められていないのであしからず

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