冷泉麻子「そど子卒業に際して」 (1)


 季節が冬に移り変わってから随分と経つが、寒さというのは肌に馴染むものではない。

 私は布団から出るのに、一苦労どころか二苦労も三苦労も重ねて、ようやく体を起こした。

 今日は沙織が起こしに来てくれなかったな、と他人のせいにしてみるが、彼女は生徒会の仕事で朝から忙しいと言っていたのをすぐに思い出す。
 そもそも彼女に責はなく、まぁ、悪いのは私だ。

「ぅあー……」

 寝ぼけ眼で服を着替えて、髪をヘアバンドでまとめて、家を出るのに起床から一時間もかけてしまった。
 また今日も遅刻である。

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