※このSSは以下の内容の一部ネタバレが含まれています。まだという方は注意してください
MTG10ドラマパート
BC11.5話
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「今度のドラマの台本ができたぞ」
そう言ってプロデューサーさんは、事務所に来た私たち五人にそれぞれホッチキスでまとめられた紙の冊子を手渡しました。
先日行われた私たち『閃光☆HANABI団』の海の家ライブは大成功。
海美ちゃんの女子力焼きそば事件など、いろいろトラブルはあったものの結果的にはすべてうまくいきました。
……実は海美ちゃんに先生と呼ばれるのは結構気に入っています。えへへ♪
そして、私たちの想像以上にライブの評判はよく、なんと!私たちのユニット曲『咲くは浮世の君花火』をモチーフにしたドラマも作ってもらえることになりました!
土曜日の夜9時からの1時間の枠を使ってのドラマ。主演はもちろん私たち五人、役柄も私たちをイメージしたそうです。
「へえ~。名前も私たちと同じなんやな」
先に台本を見ていた奈緒ちゃんがそう言いました。ドラマの大まかな内容は事前に聞かされていたのですが、細かいお話の流れや設定を見るのは今日が初めてです。
舞台は海と山と砂浜に囲まれた小さな田舎町。私たちが演じる地元の女子高校生5人がご当地アイドルユニット『閃光☆HANABI団』として中止になった花火大会が中止になった町の夏祭りを盛り上げようと奮闘するお話です。
少し厚めの受け取った台本をペラペラとめくっていきます。
ふむふむ、確かにみんなのイメージぴったりですね。
これなら役作りも簡単にできそうです。…私はアイドルが大好きでご当地アイドルをひそかに目指している高校2年生。なんでもカバンに入れちゃう癖があって、私のカバンに入っていたあるもので物語が大きく動く、かあ。
少し思うことがあるけれど、心の片隅にとどめておいて台本を読み進めていきます。
「……」
「ねえねえ!この役、チョー女子力高くない?」
「…………」
「せやなあ。海美メッチャ乙女してるやん…?なんや美奈子、どうかしたん?」
「…っ!ううん!なんでもないよ。ちょっと台本を読むのに熱がはいっちゃった」
台本を読み進めていくとある場所でとても懐かしい気持ちになりました。
なるほど、確かに登場人物は私たちそっくりかもしれませんね。
そっくりすぎて驚いてしまいました。
私もこんな感じだったなあ。
懐かしい思いを胸に台本をどんどん読み進めていきます。
一通り台本に目を通し終わってからも、あの場面のことが一番脳にちらついてきます。
あの夏の日の情景がそのまま目の前に映し出されたかのような、そんな気分でした。
これなら役になりきるのも少し簡単かな。
あの日の風景、あの時の気持ち、そしてそこから先の続き。
記憶をたどりながらどんな風に演技をするか、頭の中でイメージしていきます。
たとえ偶然だとしても、お芝居の中で自分を演じることになるなんて夢にも思いませんでした。
二人ともこのドラマをみたらきっとビックリするよね。
ポケットに仕舞ってあるスマホを取り出して今すぐ二人宛てにメッセージを送りたい衝動にかられましたが、すぐに思いとどまります。
さすがにクランクアップ前のドラマの内容を関係者以外に教えるのはダメですし、なによりも二人もきっとこの場面に気が付くはずだから。
二人のビックリする顔を想像すると今から楽しくなってきました。
「なんや、美奈子楽しそうやな」
「そうだね、えへへ」
「ねね。このあと美奈子の家行っていい?みんなでドラマの打ちあわせしようよ。ご飯食べながらさ!」
「わっほ~い!それじゃあ、たっくさん用意するね!」
夢が続く前、夢が夢のままだった時。
その夢の続きを見ようとしたあの夏。
これは39プロジェクトが始まって1年と少し、そこからもう少しとさらにもうちょっと少し、つまり私が、私『たち』が39プロジェクトのオーディションを受けた、とある夏の日のお話です。
とりあえずここまで。
三回か四回くらいに分けて投稿するつもりです。
―教室
だんだんと暑さが増してくる初夏の昼下がり、私たち3人はいつも通り、教室でお弁当を食べながら駄弁ってお昼休みを過ごしていました。
中身はあまりない、他愛もない話。
例えば今日の授業のここがわからなかったとか、あのテストが危なそうとか、今度の休日どこに遊びに行くかとか、時折誰と誰が付き合い始めたとか、そんな他愛もない話。
もっとも、そのなかでもいちばん話題に上がるのが―。
「そういえば昨日の生っすか!?見た?」
「見た見た!」
そう。私たち三人にはアイドルが好きという共通点があります。
いちばん話題にあがるのは前日のテレビにでていたアイドルについて。
私がアイドルに魅了されたのは、以前にアイドルのライブを見に行った時でした。
見ているだけでワクワクしてきて、心の底から元気が湧いてくる。
それが本当に衝撃的でした。
私の家が中華料理屋なんですけど、昔からお父さんに「料理は愛情だ」、「おいしいご飯を食べれば元気になれる」と教えられて育ってきました。
小さいころからそういう風に育てられて、だからかよく世話焼きだって言われるんですけど、それでみんなが笑顔で元気になってくれるなら私は嬉しいんです!
だから会場いっぱいの人を一瞬のうちに元気にしてしまったアイドルという存在は幼かった私には魔法使いみたいでした。そうして、私の憧れとなったのです。
私たち三人は高校に入学した時からその話題で打ち解け、今では学校のなかでもちょっと有名な仲良し三人組になっています。
「あ?私たちもアイドルになれないかなあ」。
「ムリムリ、テレビの前で輝けるのなんてほんの一握りだけだって」
「でもさでもさ!やっぱり憧れるじゃん?ほら、私たち3人でアイドルユニットとか!」
「そりゃあね~。ま、アイドルになりたいのは私たちもいっしょか。ね、美奈子」
「そうだね?」
そうなんです、私たち三人全員ひそかにアイドル好きが転じて、いつかアイドルになれないかなという淡いあこがれを持っているんです。
もっともそれがどんなに難しいことかもわかっているので、結局ただの夢でしかないんですけどね。
でも私たち3人のアイドルユニットかあ。確かに面白そうだなあ。
自分のお弁当箱からおかずを一つつかみ、口に入れながら二人の会話を聞きます。
「あ!美奈子のお弁当おいしそう!一個もーらいっ!」
「あっ!ちょっと!」
なんて思ってると横からお弁当のおかずを一つ取られちゃいました。ぐぬぬ……
彼女の箸でつままれた、本来私のお弁当箱の中にあったおかずはあっという間に彼女の口の中へ。
「やっぱり美奈子のお弁当おいしー!これ自分で作ってるんだよね」
「そうだよ。毎日厨房に立つからそのついでに作ってるんだ」
家の手伝いでお客さんに料理をだすことも結構あるので料理には結構自信があるんですよ♪
伊達に中華料理屋の看板娘をやってません!
そんなこんなでワイワイしながらいつも通りのお昼休みを過ごします。
「あー!どっかの町中でスカウトとかされてみたいなー!」
「また言ってる……」
「ほら!町中で3人で遊んでたら『君たち、アイドルに興味はないかい?』とかさ」
「そんな偶然があるならとっくに起きてるって……ま、確かに憧れるけどね」
「そうだよねえ~」
町中で偶然スカウトされてってシチュエーションは確かに憧れますね。
ただそんな偶然でアイドルになれるのは本当に一握り、それこそ選ばれた人といった感じですよね。
そこからトップに上り詰めた人となるとさらに限られます。
例えるなら765プロの美希ちゃんのような。
……まあ、アイドルになるには何もスカウトしか方法がないってわけじゃないですけどね。
それはそれで現実的ではありませんけど。
こんなの二人に言っても笑われそうだし黙っておこう。
「んー!。美奈子のお弁当おいしーい!もう一個もーらいっ」
「あ!また!?…ってちょっと!どれだけ食べてるの!?」
気がつくと、私のお弁当の半分くらいが消えていました。
もちろんお弁当の中身の行き先は彼女のお腹の中。
おいしいおいしいと体で表現するかのように彼女のツインテールがぴょこぴょこと揺れています。
まあ私のつくった料理をおいしいと言ってくれるのはうれしいですけど。
「ってそれとこれとは別!これ以上はダメ!」
さすがに自分のお弁当がなくなるのは看過できません。
それに私まだ全然食べてないし。
お弁当箱を彼女から遠ざけるように持ちます。
「ええ~。もうちょっとちょうだい!」
だけど彼女も私のお弁当箱からおかずを奪い取るように自分のお箸をヒョイヒョイと私に向けてきます。
応戦して私も彼女が向けてくるお箸と反対方向にお弁当箱を逃げるように持ち上げます。
「もうダメだってば~」
「ちょっとだけ頂戴頂戴~」
「私の分がなくなっちゃうよ~今度うちでたっぷり作ってあげるから~」
「いやそれはちょっと…」
見守っていたほうの友人の、眼鏡の奥の瞳が少し細くなり、若干表情が引きつってるように見えます。
なんででしょう、お弁当箱に入れれる量には限りがありますし、家で食べてもらったほうがたくさん作れるのになあ。
「これが最後だからさ……痛っ!」
お弁当箱をもってあっちへこっちへ、それを追って彼女もあっちへこっちへ。
身を乗り出して追いかけていたために、机の角に体をぶつけてしまったその時――
―ガサッ!
ぶつかった時の衝撃で、机の横にひっかけていた私のカバンが落ちてしまいました。
落ちた衝撃で、チャックを開けたままだったカバンの中身は少し飛び出してしまっています。
「だ、大丈夫?」
「いたたた……あ、美奈子のカバンって結構いろいろ入ってるんだね」
「あちょ、ちょっと勝手に見ないでよ~」
「えっとなになに、教科書…はいいとして…あ、このマスコットかわいい!」
「ほんとだ。どこで買ったの?」
「えーっと、それは仕入先のお店がある商店街に行った時に…っても~かえして~」
女の子のカバンの中身はプライバシーの塊です。
たとえそれが友達であろうと、秘密なものは秘密です!
しかし私の制止を無視して彼女たちは私のカバン漁りをやめてくれません。
「本当にいろいろはいってるね…ん?この雑誌は…」
マズイ!それは本当にダメなやつ!
「そ、それは絶対にダメ~!―ああっ!」
無情にもカバンの中から取り出された一冊の雑誌。
表紙には『大人気!765プロ特集!』と書かれた文字とフルーツをモチーフにした衣装に身を包んだ13人のアイドルの写真。
「なにこれ、『39プロジェクト』?」
「あう…」
「ちょーっとこれは美奈子さんに説明責任がありますなー」
くっつけた机の向こうから身を乗りだしてじりじりと詰め寄ってくる二人。
身長的にはそんなに変わらないはずなのに、心なしか二人が大きく感じました。
「えっと…その…あはは、なんていうか…」
「もったいぶらないでさっさとゲロっちゃいなよ」
「……言わないとダメ?」
「「ダメ!!!」」
「ええー…」
どうしよう。正直に話すのは恥ずかしいですし、かといってこの二人に適当なごまかしがきかないことは長い付き合いからわかりきっていますし……諦めるしかないのかな?
>>20は修正前のやつなので貼りなおします。
「なにこれ、『39プロジェクト』?」
「あう…」
「ちょーっとこれは美奈子さんに説明責任がありますなー」
机の向こうから身を乗りだしてじりじりと詰め寄ってくる二人。
身長的にはそんなに変わらないはずなのに、心なしか二人が大きく感じました。
「えっと…その…あはは、なんていうか…」
「もったいぶらないでさっさとゲロっちゃいなよ」
「……言わないとダメ?」
「「ダメ!!!」」
「ええー…」
どうしよう。正直に話すのは恥ずかしいですし、かといってこの二人に適当なごまかしがきかないことは長い付き合いからわかりきっていますし……諦めるしかないのかな?
――キーンコーンカーンコーン…
ちょうどその時、神様が私の窮地に救いの手を差し伸べるかのように、お昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴りました。
神様ありがとうございます。
「あっ!もうお昼休みは終わりだよ!ほら早く!席についてついて」
「あっ!ちょっ!美奈子ったら!」
「ほ、ほらほら!早くしないと授業送れちゃうよ?」
二人を強引に廊下へ押し出しとりあえずその場での話題は私が強制的に終了させました。二人ともごめんなさい。
二人をそれぞれのクラスに戻した後、机の上から落ちていた雑誌を急いで拾い、カバンにしまいます。
慌てすぎて少し表紙が折れ曲がっちゃいました。
……大丈夫、今日はあと2限をやりすごせばとりあえず助かるはず。
とりあえず明日のことはうちに帰ってゆっくりと考えよう。あの二人をどうにかはぐらかすことのできる案を。
いったんここまで。
タイトルですが「BORN ON DREAM! ?HANABI☆NIGHT?」の歌詞からの引用です。わかりづらくて済みませんでした。
―放課後
…右よし、左よし。……よし、いない。
教室から人もまばらな廊下を確認します。まだ部活で残っている人はいますが問題の人物はいません。
今週は私が掃除当番だったので、教室に残っているのは同じ掃除当番の班だったクラスメイトと担任の先生だけ。
二人には私が掃除当番の時は先に帰ってもらうように言ってあります。
グラウンドから聞こえてくる運動部の掛け声や、校内のあちこちに響き渡る吹奏楽部の演奏。
それらをBGMに私は帰路につくために廊下にでました。
日が傾き赤みが増してきた、だけど完全に沈むにはもう少し時間がかかりそうな初夏の夕方。
今日はどれくらいのお客さんが入っているのかなとか、明日のお弁当は何を作ろうかとかを考えながら廊下を歩いていきます。……歩いていこうとしました。
「美奈子ー?何帰ろうとしてるのよ」
「置いてきぼりなんてひどいよー」
ダメでした。
私の両肩には先に帰ってるはずの二人の手がポンッと置かれていました。
がっちりとつかまれていてとても離してくれそうにありません。
「あ、あれ?二人とも先に帰ったんじゃなかったの?」
「あんたを待ってたのよ。さあ、たっぷり聞かせてもらうからね」
「え、ええええええ?なんのことかなー?」
「とりあえず!そこ、座る!」
数分前に出たはずの教室に連れ戻され、一番奥の窓側、私の席にもう一度座らされました。
「さあて、昼間のはなし、きっちり吐いてもらうからね」
「え、ええ?えーっと、何の話かなー?」
「美奈子ごまかすの下手なんだからさー。諦めなよ」
「うう……」
「ほらほら、白状しなって」
にやにやしながら私を問い詰める二人。
完全に逃げ場はなくなりました。
「二人とも笑わない?」
「「笑わない!!」」
「ヘンって思わない?」
「「思わない!!」」
「ぜっっったいにひかない?」
「「ひかない!!!!」」
「……はあ」
観念した私はガサゴソとカバンの中をかき分け、中から雑誌を取り出しました。
昼間、慌てたせいで雑にしまったままだったので、貼っていた付箋はすこし折れ曲がっていました。
付箋が貼られたページは今話題の765プロのアイドルたちの特集ページの一番最後でした。
そこには『39プロジェクト、オーディション開催中』と書かれています。
「ここに書いてある39プロジェクトってやつなんだけど……」
「765プロのオーディション?あそこって少数精鋭じゃなかった?13人しか所属してなかったでしょ」
「それが、ここにも書いてあるんだけど今度自前の劇場を作るらしいんだよね」
「自前の劇場!?」
「はい、これが完成予想図」
そう言って一ページ後ろに戻り、『新劇場!』とかかれた箇所を見せます」
「へえ、すごーい!おっきいね!」
「それで、これがどうしたの?」
「この劇場新設に合わせて新人アイドルを募集して39プロジェクトっていう新しいプロジェクトを始めるんだって」
「へえー」
「私も、誰かを元気にできたらなーって思ってて、ちょうどこの募集のことを知って……」
「美奈子、受けたいんだ?」
「……うん」
そう、この39プロジェクトの募集を知ったのはこの雑誌を読んだからでした。
でも実際に応募する勇気は私にはなく、ただ目印として貼っていた付箋だけが残っていたのでした。
「ふーん。おもしろそうじゃん。美奈子、受ようよ」
「そうだよねえ、やっぱり私なんかじゃ…ってええええええええ!」
今日一番の大声を上げる私。その声は教室にこだましました。
「む、むりむり!無理だよ!」
「いやいや美奈子ならいけるって。かわいいし」
「うんうん」
「でも……」
「大丈夫だって!美奈子も受けたかったんでしょ?」
「それはそうだけど…ってだから無理だってば~」
「美奈子、受けたくないの?」
「受けたいけど……だってあの765プロのオーディションだよ?」
そう。
有名になったのは比較的最近ですが、所属するアイドル13人全員がほぼトップクラスといってもいい765プロ。
そんな765プロが初めて開催する新人アイドル発掘オーディション。
事務所の雰囲気などはすでにテレビなどでもにじみ出ていて、これを機に765プロでのアイドルデビューを目指そうとする人はきっと少なくありません。
そしてその募集枠はたったの39人。
しかも何人かは765プロのプロデューサーが直々にスカウトをしているそうなので実際はもっと狭き門だという噂もあります。
「きっと私たち以外にも受ける人はいっぱいいると思うし、合格できるのかなって思ったらもう一歩が踏み出せなくて……」
ピンク色の付箋がただはってあるだけのページ。
この雑誌が発売されて、付箋を貼った日から何度もそのページを開いては無理だよね、と自分に言い聞かせて閉じることの繰り返しでした。
「ようは、一人で受ける決心がつかなかったってことね?」
「うん……」
「まあ、そこは安心してもいいんじゃない?」
「私たちも受けるもんねー」
「え!?」
んん!?受ける!?私たちも!?
「ほら、私言ったじゃん。三人で一緒にアイドルになりたいって」
「まあ実のところを言うと美奈子に話聞く前にだいたいあたりつけてたのよね。調べたらネットにも出てくるし」
そう言って私に向けて差し出されたスマホの画面には765プロのホームページが。
確かにそこには39プロジェクトの募集ページがありました。
「休み時間の間に二人で調べてたんだけどね」
「いや?こんな近くにチャンスがあったなんてね?。灯台もと暗しっていうのかな?」
二人ともすっごくノリノリです。
「というわけで私たちはオーディションを受けてみようと思うんだけど。美奈子も受けない?」
「うう……」
「……美奈子もアイドルになりたかったんだよね?私はなりたかったよ?」
「そうだけど……」
「じゃあさ!せっかくだから受けてみようよ!確かに受かるかどうかなんてわからないけど……それでも、美奈子が持ってきてくれたチャンスなんだし!私たち3人でアイドルユニット!」
私たち三人のアイドルユニット…私たち三人でステージに…。
その姿を想像してみます。
キラキラしたステージ。
カラフルなサイリウムの海。
会場いっぱいに広がる大歓声。
そしてその中心にいるのは私たち三人。
みんなを元気に……。
「……先に言い出したのはあっちだけど、もちろん私も賛成だよ。こんなチャンス滅多にないんだし」
彼女は自分の眼鏡を外し、決心した表情を固めていました。
私は知っています、彼女が眼鏡を外すのは相当な決心をしたときだということを。
「やろうよ!美奈子!」
夢みたいな話かもしれません。
実現できる可能性は限りなく低いかもしれません。
周りの大人に話すと、鼻で笑われるかもしれません。
それでも…
それでもそんな風にできる可能性があるのなら、私も挑戦してみたいと思います。
今まで一人で挑戦する勇気はありませんでした。
けど今なら二人のともだちがいる、私の心強い味方がいる。
私たち三人の夢を、現実に変えてみたい!
「……そうだね。私たち三人でアイドル、目指してみよっか!」
夕日が沈みはじめ、教室の半分はすでに影に飲まれています。
けど、窓側の席に座っている私たちの顔は窓から差し込む夕日のおかげでキラキラと照らされていました。
「じゃあさ。二人とも手をだして」
「手?」
「ほら、765プロのみんながライブ前にやってるってやつ。私たち765のオーディション受けるんだからちょうどいいかなって」
ふと思いついた私の提案。
あらためて39プロジェクトのオーディションを三人で受ける決意を固めるにはもってこいかもしれません。
「ああ、あれね。いいね、やろっか」
二人とも私が差し出した手の甲にそれぞれの手を重ねます。
一番下にある私の手は、二人分の温かさを感じました。
「いい?いくよ……『765プロ?ファイトー!!』」
「「オー!!!」」
「……って私たちまだ765プロに入ったわけじゃないでしょ」
「あはは、そうだったね」
「でもいいじゃん。ゲン担ぎってことで」
「……ふふ。そうだね」
絶対に私たち三人で合格する。
きっとできる。
根拠はありませんでしたが、なぜかそんな気がしました。
ほんとに気がしただけでしたけど……。
いったん切ります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あのあと家に帰ってお父さんやお客さんにも伝えました。
多少の反対はあるものと覚悟はしていましたが、お父さんも、店に来ていたお客さんも応援すると言ってくれました!
デビューしたら絶対に見に行くとまで言ってくれるお客さんも。
ちょっと気が早い気がしましたけど嬉しかったな。
そして迎えたオーディション当日。
前日の夜は緊張でなかなか眠れなくて、それでも寝不足でオーディションに行ってしまったら絶対にひどい顔を見せることになると必死に眠りにつこうとしました。
当日に二人と合流したときにそのことを話すと二人とも私と同じだったようでみんなで笑ってしまいました。
メイクが崩れてないか三人で確認しあってオーディション会場へ。
オーディションは数回に分けて行われるそうです。
応募するときに希望の日にちを選択できたので私3人はもちろん同じ日を選んだのですが、応募人数次第では希望通りの日時とはいかない可能性もあるとのことなので少しひやひやしていました。
なんとか三人一緒の日にオーディションが決まったのでよかったです。
オーディションは一人ずつ面接を行う方式でオーディションまでの間はしばらく別々になります。
分かれる前にもう一度三人で手を取り合って願掛け。
そのあと自分たちの順番を待つためにそれぞれの場所に移動します。
うわあ。やっぱりたくさんいるなあ。
自分の番号が書かれたカードを握りしめて順番を待ってる間、きょろきょろと周りを見渡してみました。
予想はできていたし、会場に入った時からわかっていたことでしたが、やっぱりオーディションを受ける子はたくさんいました。
さすがは765プロ。
トップクラスのアイドルが13人もいる有名プロダクションのオーディションですから人が多いのも頷けます。
自分の番が近づいてくるにつれて胸の鼓動が徐々に早くなっていきます。
緊張で胸が張り裂けそうです。
お父さん、店の常連さん、そして私の友達。
応援してくれた人たちの顔がかわるがわる浮かんできました。
「次の方。どうぞ」
面接の部屋から声が聞こえてきました。
今部屋から出てきた人の番号は私の一つ前。
つまり次がようやく私の番です。
私の隣には誰もいないので、今回のオーディションを受けるのは私で最後のようです。
部屋の前で一度目を閉じて深呼吸。
背中に小さな声で「がんばれ」という声が当たりました。
振り返ると先に面接の終わった二人が。
うん、と一度頷いてから部屋の扉を開けました。
「初めまして、佐竹美奈子といいます。よろしくお願いします!」
「佐竹美奈子さんだね。こちらこそ、よろしく。765プロのプロデューサーです」
この人がプロデューサーさんかあ。
たった一人で13人のアイドルをトップまで育て上げたという凄い人は、思っていたよりも若い男の人でした。
「それじゃ、単刀直入に聴くけど……君は、どうしてアイドルになろうと思ったのかな?」
アイドルになろうと思ったきっかけ。
まずはとても根本的なところからですね。
「うーん、そうですね。元々アイドルが好きっていうのもあるんですけど……。一番の理由は、友達に誘われたからです!」
少し悩んで、言葉を選びながら正直に私の気持ちを伝えます。
「私たち三人組なんですけど、すっごく仲がいいんですよ♪」
「へえ、そうなんだ。今日は、その友達と一緒にきてるの?」
「はいっ!」
私の面接は比較的スムーズに進んでいきました。
私たちの夢を、私の言葉で、わかるように伝えていきます。
最期に難しい質問もされちゃいましたけど、しっかりと言葉を選んで私の思っていることをそのまま伝えることができたと思います。
自分で答えておいてあれですが、答えとしては満点の回答ではなかったかもしれません。
でも、私はみんなを出し抜くなんてことはできないと思いますし、だからいっぱいいっぱい悩むと思います。
「―私もそんな風に、誰かを元気にできたら……って思います!」
昔見たあのライブのアイドルのように、次は私がたくさんの人を元気にしてあげたい。
その思いもいっしょに乗せて。
「―合格だ、佐竹美奈子さん。39プロジェクトのアイドルとして、君を迎えたい!」
合格。
プロデューサーさんの口から自然にでてきたその二文字を私の頭が処理するまでには少し時間がかかりました。
や、やった!合格したんだ!
あまりの嬉しさにその場で飛び上がってしまいました。
私一人では受ける勇気もなかったこのオーディション。一緒に受けよう、3人で一緒にユニットを組もうと私の背中を後押ししてくれた二人には感謝しかありません。
外で待っている二人にはなんて伝えようかな。
でも私は浮かれすぎて忘れていたのでした。
プロデューサーさんが言ったのは私が合格したというだけだということを。
現実は酷く、残酷なものでした。
「けど、今日のオーディションで合格したのは君一人なんだ。……それを聞いても、頑張っていけるかな?」
「えっ……!?」
次のプロデューサーさんからの言葉は合格の余韻に浸っていた私を醒まさせるには十分すぎました。
『急がなくていいから、答えを聞かせてほしい。気持ちの整理も必要だと思うし、君なりの答えを聞かせてくれるのを待ってるよ』
あの後、プロデューサーさんにはそういわれました。
面接が終わり、待っていてくれた二人と再開したときはできるだけ違和感を持たれないように平静を装いました。
合格のことを喜んでよいのか、三人一緒に合格できなかったことの悲しみを表にだしていいのか。
いろいろな葛藤があって、どんな顔をすればいいのかわからなくなって、一周回って普段通りの顔になってしまったというのもありますが。
どうやら、その場で合否を言い渡されたのは合格者―つまり私だけだったようで、二人は後日郵送で合否結果を送ると言われたそうです。
その場では楽しみだねという二人に合わせてそうだね、となんとか平静を装いながら相槌をうつほかありませんでした。
合格したのは私だけ、その結果を知っているのも私だけということがさらに私の胸を締め付けてきました。
そしてあと一歩が踏み出せず、そのことを二人に伝えることができないまま日はどんどん過ぎていき、後になればなるほど伝えづらくなってしまっています。
「はあ……今日も言えなかったなあ……」
そして放課後、この前同様私は掃除当番だったので、二人には先に帰ってもらっています。
教室の掃除を終えて、外から聞こえる運動部の号令と、校舎中のあちこちから聞こえる吹奏楽部が奏でる楽器の音がぐちゃぐちゃに混ざったBGMが流れる廊下を一人、とぼとぼと重い足取りで歩いていきます。……正確にはいこうとしました、ですね。
「美奈子ー?」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけどー」
「あっ!?あれ!?二人とも先に帰ったんじゃなかったの!?」
またもや先に帰ったはずの二人が廊下で私のことを待ち構えていました。
「そんなこと今はいいまから。はい、一名様教室までご案内でーす」
「はいよー」
ど、どうして二人ともノリノリなのかな?
無駄にノリノリな二人に手を引かれ、またもや私は数分前にでたはずの教室に逆戻りすることになってしまいました。
「――で、単刀直入に聞くけど美奈子、何か隠してるでしょ」
「えっ!?」
教室に戻って来るや否や、前回と同じく一番奥、窓側の席に座らされると一番にそう聞かれました。
「美奈子って結構顔にでるもんねー。気づいてなかった?」
自分では必死に隠しているつもりだったのですが、どうやら意味がなかったようです。
「どうせ、一人でまたなんか抱え込んで悩んでるんでしょ?私たちが聞いてあげるから言っちゃいなさいよ」
「二人とも…」
「そうだよー、友達なんだからさー」
……やっぱり二人には敵わないなあ。
もう二人に打ち明けない選択肢は取れないみたいです。
観念して私は二人に話すことにしました。
「二人とも、もうオーディションの結果は届いた?」
「えっ?まだだけど」
「わたしもー」
「実は、私あのオーディションの時に合格って言われちゃってて……」
「ええっ!?」
私の告白に二人とも、とても驚いた表情をしてます。
「すごいじゃん!!やったね美奈子!」
「すごいよ美奈子!」
二人から送られる賛辞の言葉。
普段ならとてもうれしいはずですが、その言葉は余計に私の胸を締め付けるだけでした。
心臓の音がバクバクと聞こえるような気がします。
言えない。受かったのは私だけだなんて。他に合格者はいないなんて。
実際には数秒間の出来事かもしれません。
でもその時の私には一秒が一分にも、十分にも感じたのでした。
「ありがとう。でもね……」
出せない。
次に言おうとしていたことがなかなか出てこなくて、一度言葉が詰まります。
ああ、言わないと。
ここまで来たからにはもう後戻りはできません。
話すしかない、残酷な現実を。
「でもね、その時に言われちゃったんだ。『今回のオーディションの合格者は君だけだ』って」
「えっ……」
ああ、言ってしまった。
ここから二人の表情は見えません。
私が顔を下に向けているから。
窓から差し込む光が反射して、私の気持ちとは反対にキラキラと机は輝いていました。
「それを聞いたうえでもう一回私の答えを聞きたいって。プロデューサーさんは私が答えをだすまで待っててくれるって言ってくれたんだけどね。私、どうしていいかわからなくて……」
本当は三人一緒に受かりたかった。
一人で受ける勇気がなかった私の背中を押してくれた二人と一緒にアイドルをしたかった。
「ご、ごめんね。いきなりこんなこと言って」
「―ね?当たってたでしょ?」
「ほんとね。まったく、そんな大事なことを隠してるなんて」
ふう、とため息とともにそんな言葉が聞こえました。
「えっ?」
「ほら、顔上げなよ」
おそるおそる顔を上げました。
上げた先には穏やかそうな二人の顔が」
「全く…予想通りだったけどさ、そんな大事なことはもっと早く言いなさいよ」
「気づいてたの…?いつから?」
「いつからかって…そりゃあねえ」
「美奈子がオーディション会場から出てきた時から?」
「どうせ美奈子のことだから私たちに遠慮して?とか思って黙ってたんでしょ。あの時からもう顔に出てたわよ」
「しかもあの後ずっと元気なかったしね!」
あっけらかんと言う二人。
どうやら私がひとりで必死に隠そうと思って悩んでいたものはすべて二人にはお見通しだったようです。
「……ふふっ。ひどいよ二人とも。わかってたならもっと早く言ってよ」
私の頬を生ぬるい何かが伝いました。
とめどなく流れてくるそれの出所はどうやら私の両目のようです。
だんだんと目の前が滲んできました。
それはいままで押しつぶされそうだった不安から解放されたことによるものか、それとも三人一緒にアイドルになれなかったことを改めて実感させられたことにものか、私にはわかりませんでした。
いろいろな感情がぐちゃぐちゃに混ざって、一杯になってあふれ出てきた分が私の頬をどんどん伝っていきます。
「ああ、もう泣かない泣かない」
「だって…みんなで一緒にアイドルやろうって言ったのに……」
一度流れ出したら止まらなくない涙を指で拭いながら、言葉をつなぎます。
「だったらなおさら私たちは応援するわよ」
「え?」
「大事な友だちの夢だもん。絶対に応援するよ」
「私たちは美奈子を全力で応援する。だから美奈子は私たちの応援に絶対に応えること」
「二人とも……」
ぼやけていた視界が少しずつ鮮明になってきました。
よく見ると二人の目元も少し赤くなっていました。
……やっぱり二人とも悔しいよね。
それでも二人は私のことを応援すると言ってくれました。
悲しいはずなのに、悔しいはずなのに、アイドルになりたかったのは二人のも同じはずなのに、二人は唯一受かった私のことを応援してくれると言ってくれました。
「……うん、わかった。私、やるよ。二人の分も頑張るから!」
ならば私はその思いに応えないと。
二人の思いを受け取ったからには全力で応えないといけませんね!
「うう~。美奈子~」
「わわっ。どうしたの!?」
「やっぱり悔しいよ~」
「ほら、アンタも泣かないの」
「そんなこと言ったってそっちも泣いてるじゃん~」
「う、……泣いてなんか……」
「いいよ。いっしょに泣こっか」
「美奈子……」
「私はすっごく悲しいし、二人も同じだよね。だから……もう今は…泣いて、全部……ながしちゃおっか」
言っててまた涙が溜まってきました。
目元からどんどん涙がこぼれ落ちていきます。
「うう……美奈子。私絶対に応援するから!」
「私も!私たちの夢……美奈子に預けるからね……!」
「うん……うん……」
暗くなった教室、結局三人とも目を赤く腫らして泣いちゃいました。
全員、貯めることのできる涙の許容量はとうに超えていたらしく、一度涙がこぼれるとポロポロとダムが決壊したように出てきてしまいました。
日が沈んでも、三人とっも涙が止まるまでずっと、泣き続けました。
次の日。私は劇場の門を叩きました。
昨日の泣いた痕、プロデューサーさんにバレないといいな。
あれから色々なことことがありました。
お世話をするのは慣れてますけど、自分がされるっていうのはどうも慣れなくて、宣材写真を撮るために初めてメイクさんにメイクをしてもらった時はなんだかむず痒かったです。
普段からプロデューサーさんやみんなにもっとごはんを食べないとダメだよって言っていた私ですが、初めてのお仕事では緊張のしすぎで朝ご飯が喉を通りませんでした。
初めてテレビに出演したとき、うちのお店においてあるテレビはその番組だけを流し続けていました。
お父さんやお母さん、お客さんも一緒になってテレビを見ていてなんだか恥ずかしくなりました。
そして初めて組んだユニットは奈緒ちゃんと私のユニット「ダブルエース」。
そのデビュー公演のことを二人に教えると絶対に見に来るって言われて、より一層気合が入りました。
……でも二人とも、私が心配だからって劇場の窓に張り付くのはさすがにどうかと思うな。
二人にサインをねだられたときはなんだかヘンな感じがしましたね。
育ちゃん、ひなたちゃん、真美ちゃん、このみさんと「ミックスナッツ」というユニット活動も行いました。
たまにお仕事でミスしちゃったときは気分転換にプロデューサーさんとゲームセンターに行ったりもしました。
そして今回の「閃光☆HANABI団」。
他にもテーマパークでライブをしたり、牛丼屋さんの看板娘になったり、ときどき嫌なことやへこんだこともありましたけど、でもそれ以上に私の、そして二人から託された夢の続きは、キラキラとして充実したものでした。
―ヒュ~~~~~~~~……ドーン!
「わあ!大きいね!」
空に高く舞い上がった打ち上げ花火。
今日はみんなで河川敷の花火大会に来ています。
実は今日は私たちのドラマの放送日なんですけど、自分たちのドラマを改めてみるのもなんだかむず痒いですし、それなら五人で花火大会を見に行こうということになって河川敷まででかけることになりました。
赤や青、緑に紫。大きな丸に星の形や流行りの漫画のキャラクター。
ぼーっとしていると押し流されそうなほどの人の海の合間から見える空には色とりどりの花が鮮やかに咲いていました。
ふいにポケットのなかからスマホを取り出して電源を付けます。時刻は午後九時すぎ。そろそろドラマも始まる時間ですね。
時刻を確認してもう一度スマホをポケットにしまいました。
そしてこちらはいよいよ大詰めという感じで、大小様々な花火が連続的に打ち上げられています。
在庫処分といいたげに、これでもかというほどの花火が咲いては消え、咲いては消え。
一瞬で消えてしまう命をなんとかつなぎとめるように、次々と花火は真っ黒な空へと上がっていきます。
そして、断続的に上がっていた花火はついに終わり、一瞬の静寂が訪れました。
その後上がる一つの種。その種はどこまでも遠く、今までのどんな花火よりも高く長く空へと昇っていきました。
そして夜空に最後の大きな花が咲き、それが完全に消えてなくなったのとほぼ同時ぐらいに河川敷に設置されたスピーカーから花火大会のおわりを告げる放送がかかりました。
「花火、すごかったね!」
「きれいだったね」
となりにいる海美ちゃんは興奮しています。
「あ、せや。わたしらでいまから花火買ってきてせえへん?」
「花火って、奈緒ちゃんいま見たばっかりだよ?」
「ええやんええやん。私らだけで締めの花火しようや」
「おっ、いいねえ。どこでやる?」
「せやなあ、とりあえず劇場にもどろうや。確か途中にコンビニもあったやろ」
どうやらこの後もしばらく私たちの花火は続きそうです。
花火大会が終わっても、一向に減らない人の海をかき分けながら土手の上まであがりました。
私たちはまだ夢の途中。
花火みたいに鮮やかでも、一瞬では終わらない。夢はまだまだ続きます。
ふとポケットの中にあるスマホのバイブが振動して着信を告げていることに気が付きました。
誰からだろうと取り出してみるとそこには友達の名前が。
「ん?美奈子どうかしたん?」
「あ、ごめんね。友だちから電話がかかってきたんだけど先に行っててくれる?」
「わかったわ。じゃあ先に行ってるで」
「うん。すぐに追いつくから!」
……さて、まあこのタイミングで電話がかかってくるということについて心当たりは一つしかありません。
そういえばそろそろあの場面の時間だったっけ。
よかった、気づいてくれたんだ。
おそらく、私が一番気付いてほしかったことに気づいてくれたことに喜びながら、スマホを耳に当てます。
今度のオフは久しぶりに二人とでかけてみようかな。
「あっ、もしもし…うん!いまそこだよね!うんー」
おしまい
MTG10のボイスドラマを聞いてて実際にあんな感じでアイドルを目指すことになったんじゃないかなと思い書いてみました。
それではお目汚し失礼しました。
BCの話といい感じに合わさって良かった、乙です
http://i.imgur.com/EisCqxb.jpg
佐竹美奈子(18) Da/Pr
http://i.imgur.com/tNTUCS9.png
http://i.imgur.com/ZYK7Gek.png
http://i.imgur.com/hdL07jV.png
>>5
横山奈緒(17) Da/Pr
http://i.imgur.com/43dnkaI.jpg
http://i.imgur.com/WpGEGBP.png
>>6
高坂海美(16) Da/Pr
http://i.imgur.com/FH8RFAJ.png
http://i.imgur.com/590UfUN.png
>>3
『咲くは浮世の君花火』
http://www.youtube.com/watch?v=H0byb5B4aqw
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