バンドリ 短編SS
千聖Side
もったりとしたベージュのカーテンの隙間から、ベッドに向かって太陽の光が差し込む。
もう朝か。いつもなら日が昇る前に起きて、シャワーを浴び、身なりと化粧に時間をかけているところなのに。
ホテルに置いてある簡易時計を確認する。時刻は九時過ぎ。いけない、寝過ごしたようだ。
東京都内の某ホテルに宿泊していた千聖は、まだ眠気が残る頭を奮い立たせて、朝の身支度に急いで取り掛かることに決める。
昨日は連ドラの撮影で一日中立ちっぱなし。これだけ寝ても疲れが取れないのは、きっと『この子』のせいだろう。
「彩ちゃん、起きなさい。集合時間まで一時間もないわよ」
隣で横になっていた少女の体をゆする。まったく反応がないので、さらに強めに動かす。
「うーん、千聖ちゃーん……?」
すると、甘く透き通る声を発し、腰に手を回して抱きしめてきた。
同じように、丸山彩の桃色の髪が千聖の寝間着に寄り掛かる。自然とひざ枕の体勢を求めてくる。
「こ、こらっ。ふざけてる場合じゃないわよ、マネージャーさんに怒られるわ」
「……ふふっ。ごめんごめん。そんなに慌てないで」
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません