【安価】剣と魔法の異世界 (70)
2019年5月。MMORPG『OveR』をプレイ中、ある特殊クエストに参加した。覚えていたのはここまで。記憶の終端部はとても曖昧で靄がかかっていた。
気がつくと視界には一面の緑。森の中だった。
主人公
ユーザー名
クラス(職業)
容姿
その他特徴など
>>2->>4の中から適当に
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1533476240
ユーザー名 ガランドゥ
クラス(職業)ガーディアン
容姿 剣を持った巨大な空っぽの鎧
その他特徴など 他のパーティを体に収納して守れる
ユーザー名 リサーナ
クラス(職業) 魔法使い
容姿 魔法使い感じの服装で青髪ロング。全体的に青色がトレードマーク
その他特徴など クリスタルが入った杖を使う。今は水と氷の魔法が使えるようだ
ガシャガシャと音を立てる何かに気づく。すぐに自分の装備品である鎧が発生源だとわかった。
ガランドゥ「え……? これゲームの……」
クラス・ガーディアン。剣や盾などを主武器とした重装の戦士。盾役や攻撃役に配置される。
鏡は無かったが鎧の腕部で映る姿を確認する。
キワモノだった。まだ売り出されて間もないゲームに残るバグの一種で、そのゲーム性に何の支障も無く許容されるものだと聞いて使用していた。
ガランドゥ「誰も使ってなかったけどなぁ」
実感以上に動揺しなかった。実体があるのかわからない胸の高鳴りがする。この手の〈おはなし〉は数年前にブームが来ておりネットなどで書き込まれているのを目にしたことがあった。
ガランドゥ「まさか本当に起きるとは。夢、ではないよね……?」
まずは情報整理から始めよう。
1 装備品の確認
2 ゲームをしていた時のパーティ
3 エンカウント
>>7
2
例のクエストに行く前、薄らぐ記憶では即席でパーティを組んでいた。内1人は知り合いだったが、ほかの2名はその場のチャットで応じたプレイヤーだった。
周囲を見渡すと後方数メートルの地点に倒れている人影があった。自らと同じ境遇の者だと見て取れる。
ガランドゥ「他のプレイヤー……。もしかして!」
よろよろと走り出す。身体に少し違和感があった。元の世界とはサイズが違うのだ。鎧のせいもある。
倒れているプレイヤー
ユーザー名
クラス(職業)
容姿
その他特徴など
>>9->>11の中から適当に
ユーザー名
アイランド
クラス(職業)
吸血姫
容姿
全身黒ローブに包まれて素顔どころか肌の一つも出ておらず、声で少女ということが分かるだけ。
その他特徴など
ヴァンパイアとしての基本能力は高く、普段は主人公の影に潜む。
ユーザー名 エールソニアス
クラス(職業)熾天使
容姿
ドヤ顔系突撃バカ娘。
戦闘中は女の子がしちゃいけない顔をする。
その他特徴など
マジ天使。マジ強。ゲームガチ勢。
通称殺戮天使。範囲攻撃が得意。
戦闘は楽しむもの。
クラス・モンク。ガーディアンと同じく盾役や攻撃役を担当する。そして、モンクを極めた者の表示欄には称号と含めてこう刻まれる。
──拳聖。
ガランドゥ「ひろむパパ……噂に聞きし前衛筆頭。まさか生身〈リアル〉でお目にかかるとはな。いや、ゲームのキャラではあるけども」
ひろむパパ「むぅ……寝てた」
ガランドゥ「あ、あのー」
ひろむパパ「ガランドゥ。ガーディアン、レベル62……装備は揃えてある」
ガランドゥ「さすが拳聖。まったく動じていないのか……!」
ひろむパパ「だって夢でしょ? これ」
ガランドゥ「それはそれで嬉しいようなもったいないような」
渋く聞き惚れそうなダンディボイスに筋肉を惜しげもなく露出する上半身。赤いハチマキは気合の表れか。
自分の覚えていることを出来るだけ正確に話した。「各々に共通の記憶があるなら夢じゃなくて異常事態だと認めた方がいいかもね」とのことで周囲の捜索にあたることにした。
1 誰かが倒れている
2 エンカウント
1
ひろむパパは現実の身体とほぼ同じキャラクターなのだろうか。動きにぎこちなさがなかった。木の根や傾斜をものともせず軽々と歩いていく。
大木の下、力強く張った根にもたれる人影があった。
ユーザー名
クラス(職業)
容姿
その他特徴など
>>17->>19
ユーザー名 暗黒卿
クラス(職業)ブラックメタルスライム
容姿 黒い不定形の怪物で、好きな形になれるが真っ黒のまま。
その他特徴など
高物理耐性。刺したり斬ったり潰したり形を変えて様々な近接戦闘を行う。
ユーザー名 鞍旗
クラス(職業) ラッパ手
容姿 青い軍楽隊の制服風の装備にエストックを腰に下げ、トランペットを持っているノッポの男
その他特徴など ラッパを演奏するスキルでバフ・デバフを行う
クラス・ガンマン。攻撃役のうちの一つであり、近距離から遠距離まで幅もあり人気の職である。
つばの広い帽子に黒のマントに身を包む装備はこだわりを感じさせる。
ひろむパパ「エレナ、ガンマン。あの感じだと中距離型だね」
ガランドゥ「どうします? すぐ近くにエネミーっぽいのいますけど」
エレナが動く気配はない。ゲーム世界のそれと同じ見た目の亜人、ゴブリンがジリジリと近づく。
1 様子を見る
2 武器を取る
3 無視して探索
>>23
3
その場を離れることにした。曰く「運が悪かったと思おう」とのこと。
視界いっぱいに広がっているのはゲームのテクスチャではなく本物の森。色彩から匂い、草の一本まで現実そのもの。
道無き道を進むと森を抜けた。現代の日本ではまず見られないはるか地平線。しかし、街道らしきものはあるので内心ホッとした。
文明の導を辿って行けば、その先は人がいるはず。ただ一心に歩く。
研ぎ澄まされていた訳ではないのだが、気づかぬうちに補強された聴力で感じた足音。それは後方から何者かが駆け寄ることを示していた。
ユーザー名
クラス(職業)
容姿
その他特徴など
>>25->>27
ユーザー名 クレア・リエリアルロード
クラス(職業)大貴族
容姿 男装の麗人。無駄に豪華に着飾った貴族服。
その他特徴など
万能型。何でも器用にこなすが専門には一歩届かない。
しかし重課金兵なので、レアアイテムを溜め込んでおり、それで器用貧乏をカバーする。
振り向くと衝撃。揺れた後の視界は空。
ひろむパパ「これはまた……。初めて見るクラスだね。NPCじゃないしアプデでも無いだろうけど」
クラス・吸血姫。それ自体は『OveR』には存在しなかった。吸血鬼はエネミーキャラクターやフレーバーテキストなどに名を連ねることはあったが、それもプレイヤーのクラスにはなり得なかった。
アイランド「……ふははは! わ、我のけんぞく? になれ!」
真っ黒な塊はガランドゥの鎧に入り込んでそう言った。
ガランドゥ「アイランド、吸血姫。レベルは60。どうしますか、ひろむパパさん」
ひろむパパ「得体の知れないのは嫌だけど何かの手がかりになるかもだよね」
ガランドゥ「そうですね。それじゃあひとまずは」
アイランド「やったー! ……じゃなくて。許す、我を街まで送り届けるがよい」
ガランドゥは内部から鼻歌が聞こえる身体を揺らさないように歩いた。
少し歩くと集落が見えてきた。家屋は全て木造で、簡素な造りだった。
道中で色々なことを話した。現実〈リアル〉のこと。ギルドには所属していなかったこと。フレンドやこれまでの冒険譚。特にゲーム外の話は盛り上がった。学校や仕事について、戻ったら何をするかなどなど話題は尽きなかった。
ガランドゥ「割と大きな町のようだ」
ひろむパパ「うーん、見覚えがあるような無いような」
アイランド「私……我もどこかで見たような気がする!」
ガランドゥ「ロールプレイにこだわるねぇ。ほぼ同い年とは思えない」
アイランド「むぅ。鎧だけのくせにっ!」
アイランドは内側から空っぽの身を守る装備に八つ当たりした。
ひろむパパ「着いたら何をする? 割とこういうの重要だよね。ゲームも現実も」
1 宿
2 他プレイヤーを探す
3 アイテムを買う
>>31
1
この町の宿屋に名前はなかった。ただそれらしき看板が掲げてあるのみである。
エリアス「いらっしゃい。一晩30Gだよ」
ガランドゥ「お金……?」
ひろむパパ「鞄から出せるよ。ほら、ドラちゃんのポケットみたいになってる」
ガランドゥ「ドラちゃん……」
アイランド「やっと日陰か。ご苦労だったな」
しかしアイランドはガランドゥの鎧から出ようとする素振りを見せない。
ガランドゥ「出ようよ」
アイランド「いやな、ここは楽でいいのだ。動く必要もない」
ひろむパパの提案により部屋は各自に一部屋。食事は宿屋の娘・エリアスが腕によりをかけて用意することになった。
ガランドゥ「馴染んでるフリしたけど疲れるな。環境が違うとこんなもの……にしても異常すぎる」
出歩くことにした。気が滅入り始めたのだ。
1 ひろむパパの部屋
2 アイランドの部屋
3 町を散策
>>34
3
町を散策する。NPC達はかつて人間達がそうしたように昔ながらの生活をしている。時代背景が現代ではないので見慣れぬ光景も多々あった。
そして周囲に溶け込めずにいる二人を見つけた。どこから見てもPC。プレイヤーだった。そのどちらも俯いて落胆しているように見える。
PC1・PC2
ユーザー名
クラス(職業)
容姿
その他特徴など
>>36->>39
上げ
>>39まで
ユーザー名 ハザード
クラス(職業)風精霊
容姿 中性的美形で常に周囲で風がうねっている
その他特徴など
文字通りの風使い。本体は周囲をうねる風そのものであり、人型の方はただの擬態
Rapid、クラス・ウェポンマスター。野性味のあるマスクを被った男だ。レベル65。
Rapid「なんだ、プレイヤーか」
大きく見開いた狼の眼はガランドゥを一瞥し、再び伏せた。
ガランドゥ「気持ちはわかります。急にゲームの世界に飛ばされたのに混乱しないわけがない」
Rapid「そんなことじゃねえんだよ。お前も気づいてるんじゃないのか? 『OveR』には無かった仕様が適用されてる」
自身の体や新しいクラスのことを思い浮かべる。そして何よりNPCの動き。人間のそれと変わらない。ゲーム内のNPCは基本的に居場所が固定されていたり、決まった動作しかない。運営に用意された傀儡故のことである。
Rapid「そして断然ゲームよりこっちの方が難しい、だろ? エール」
エール「はぁ……。そうよ。エネミーから逃げ果せることすら叶わないんだから。死んでもゲームみたいにリスポーンするとも限らないんだし」
エールソニアス、クラス・熾天使。ガランドゥはゲームの頃の彼女を知っていた。面識があったわけではないが、ギルド〈十二翼〉の長として何度も観てきた。界隈ではこう呼ばれている。〈殺戮天使〉と。
ガランドゥ「熾天使……?! たしかサモナーだったはずじゃ……?」
エール「あたしのこと知ってるの?……まあ一応名は通ってるしね」
噂よりもかなり大人しい。というよりは落ち込んでいる。
1 なぜ落ち込んでいるのか聞く
2 この場を後にして散策を続ける
>>42
1
ガランドゥ「お二人のようなプレイヤー……いいえ、中身は別ですけど。しかし、それほど落ち込むにはほかに理由があるんじゃないですか?」
そう言うとエールソニアスが口を開いた。
エール「この先の野原、広いところの真ん中にあたし達はいたの。3人、ね」
ガランドゥ「3人ですか?」
Rapid「ああ。俺達は高レベルだったけど、そいつはまだレベルが低かった」
2人と一緒にいたプレイヤー
>>45
ユーザー名
クラス(職業)
容姿
その他特徴など
その名とクラスを聞いた瞬間、ガランドゥの血の気が引いた。背筋に氷の杭を打たれた感覚だった。
エール「……もしかして、知り合いとか?」
明らかに青ざめた顔を見つめられ返事に戸惑う。
Rapid「クソッ。あんな何もないところにレイド級のモンスターがいるとは思わねえよ普通」
レイドとは複数のパーティで挑むクエストやイベントのことで、レイドボスはその他のエネミーと一線を画す強さを誇る。しかし倒してしまえば高ランクの報酬を得ることができる。
1 事情を話す
2 自由安価
>>47
1
ガランドゥ「実は……」
見たことを話すとRapidとエールソニアスは立ち上がってガランドゥの肩に手を置いた。
予想外にも返ってきたのは感謝の言葉だった。
エール「よかった。アイツから逃げたなら希望はある」
Rapid「ああ! 今度こそ守り切ってやる!」
手を振って駆け出す彼女らを眺めることしか出来ない。
ガランドゥ「強いなぁ。……比べて俺はカッコ悪い」
1 宿に戻る
2 自由安価
>>49
手助けするべ
ガランドゥ「俺だって……! カイティングくらいなら」
エネミーからのヘイトを集中し逃げ回ることをカイティング という。要するに囮なのだが、一つの戦術としてなり得る場合がある。
再び、先ほどの森にたどり着くとエールやRapidと合流することができた。
ガランドゥ「おーい! 彼女は……エレナは右奥の大樹の方だ!」
Rapid「ったく、無理しなくていいってのにな」
エール「でも少し見直しちゃった。うん、本当に」
Rapid「見直すも何も、見えねぇけどな」
ガランドゥ達が森での捜索を開始した頃、ゲーム時代の大都市。プレイヤータウン・アイラムから南に数キロの地点で1人のプレイヤーが目覚めた。
ユーザー名
クラス(職業)
容姿
その他特徴など
>>58
ユーザー名 ベリアール
クラス 上級悪魔
容姿 人型に悪魔角と悪魔翌翼が生えた典型的悪魔
その他特徴
ゲームで7人しかいない最上位プレイヤーの称号"マスター"を持つ。
セブンスマスターの一角。
クレアノール『……ベリアール?!』
ベリアール「その声、やっぱり通じるんだな、チャット」
クレアノール『う、うん。……ベリアール!』
ベリアール「……?」
クレアノール『僕を助けてほしい。出来ればコレじゃなくて直接会いたい』
ベリアール「……わかった。今どこにいる?」
クレアノール『いや、やっぱり……ううん、アイラムにいる。銀河館跡地にいるから』
ベリアールは己自身が珍しく二つ返事で引き受けてしまったことに驚いた。
ベリアール「銀河館跡地、か。あるんだな、本当に……」
かつてゲームの中にあったエリアに、これまでと同じように呼び出される。しかしこれは紛れもなく現実なのだ。
これまでただの装備品だったはずの〈墜撃の黒翼〉が身体と一体化して、さらには翼として機能することに気がついた。
自身の力のみで飛ぶということは、人間には無縁のことであったが、なぜか脳や体に経験として染み付いていた。
ベリアールは大空へ舞い上がった。
風も太陽も鳥も雲も本物だった。確実にそこにあるもの。
CGでも何でもない、風景。遠くに見えるアイラムめがけて飛んでいると歩いている人間を見つけた。
ベリアール「おーい!」
ユーザー名 (NPC名)
クラス(職業)
容姿
その他特徴など
>>65
ユーザー名 (NPC名)アルサケス
クラス(職業)ヒューマンスライム
容姿 いくらでも変化可能
普段は地味目の眼鏡女子
その他特徴など
人外の人外による人外のための少数精鋭暗躍組織"シノクニ"のメンバー
人間は嫌い。得意なことは諜報・暗殺
ベリアール「おーい、ってよく見たらNPCか」
アルサケス「こんにちは。悪魔……同胞の方ですか」
アルサケス、そしてシノクニは高難度のクエストなどで解説や介入があるキャラクターである。
ベリアール「同胞……というよりはプレイヤーなんだが」
アルサケス「何のことでしょう?」
ベリアール「……? 俺はベリアール、見たとおり悪魔らしい」
アルサケス「私はアルサケス。ヒューマンスライムです」
ベリアールは画面の中に彼女を見たことがあった。だからこそゲームの世界が実感として伝わる。
これはチャンスだと思った。高位のNPCならば情報も他より多く持っていてもおかしくはないからだ。
ベリアール「>>69」
シノクニに最近何かいつもと違うことが起こったりしていないかい
アルサケス「……同胞、貴方にはお話ししても良いかもしれませんね」
ベリアール「やはり何かあったのか」
アルサケス「現在、シノクニの総員は10名。その内8名は行方不明に。そして1名は……」
ベリアール「……?」
アルサケス「いえ、同じく行方不明です。きっと……。最後は私です。シノクニの仲間を探しています」
ベリアール「なるほどな。アテのない旅なんだろう?」
アルサケスの表情が曇る。
アルサケス「まずは街で情報を集めます」
ベリアール「難しいと思うけどな」
そもそもシノクニが直接的に関わるクエストはレベル制限が非常に厳しく、中堅レベル以下のプレイヤーはお目にかかることすら無い。そしてゲーム世界への遭難も相まって正しい情報を得られる可能性は低い。
ベリアール「ただ、それは一人で行動した場合の話だ」
アルサケス「それはどういう……」
ベリアール「俺の用事が済んだ後なら助力すると言っている。同胞よ」
彼もまたロールプレイを好む一人だった。
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