芦屋アシベの秘密 (1)
ゴマフアザラシの赤ちゃん「ゴマちゃん」を拾って数日、俺達芦屋一家は何かモヤっとした感情に襲われていた。何か、曖昧な感じに。
そう、この数週間、何か腹が空いてきたのだ。俺達一家はこの数週間、不思議な気持ちで頭がいっぱいになって、ずっと何も食べていなかったので
部屋中ゴロゴロしていた。そしてゴマちゃんを見たら、そう食欲に囚われたのだ。俺達は早速ゴマちゃんを食べる事にした。しかしまだ赤ん坊のアザラシを食うのは
ちょっと・・・と思っていたところでテレビでエスキモーがアザラシの肉を食べているのを見かけた。そのアザラシはまだ赤ん坊であったが、エスキモー達はなりふり構わず食べた。
エスキモーに異常がなかったのを見て俺達は悟った。ゴマちゃんを食べても大丈夫だと。そして親父が鉄棒らしきものを持って来れば、それでゴマちゃんの頭を思いっきり殴打した。
ゴマちゃんは倒れた。心臓が動いていないのを確認するといよいよ調理する準備にかかった。親父が腕によりをかけて丁寧に素早く切って、あっという間にゴマちゃんの肉を全て捌いたのである。
そして肉を鍋に入れてグツグツ煮立ったらアザラシ鍋が完成、早速食べてみた。すると案外美味く感じた。あっという間に完食し、親子三人只ならぬ幸運に浸っていた。残った肉は冷蔵庫に入れ、
そして後の残骸はゴミ袋に入れてゴミ収集車に運ばれていかれるのを待った。これで一件落着、数週間は肉に困らないだろう。数日後に学校のクラスメートを呼んで焼肉パーティを開いた。皆、大喜びしていた。完
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