※設定・キャラ崩壊注意。
書き手の料理知識はゼロなので全てデタラメです。本気にしないでください。
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士郎(聖杯戦争……。あの凄惨な戦いから歳月は流れ……)
士郎(俺は冬木新聞社に就職した)
士郎(そこから早数年――新聞社の記念企画として発足した『究極のメニュー』というコラムを担当することになったんだ)
士郎(今はその究極のメニューを追い求め、それを記事にする日々……)
士郎(料理はもともと得意分野であったから、これ以上の適職はないと思ったが)
士郎(これがまた色々と大変で……)
士郎(ともかく、そんな毎日で身を削っているこの頃……)
桜「――先輩」
士郎「……?」
桜「あの、相談があるのですが」
士郎(こいつは俺の後輩社員の間桐桜。そう、あの桜は俺と同じ会社に就職したんだ)
士郎(そしてなんの巡り合わせか、同じ『究極のメニュー』を担当する記者として、こうして共に行動している)
士郎「すまん桜、後にしてくれないか?」
桜「え? どうしてですか?」
士郎「今大事なところなんだ」
桜「あの……。先輩、競馬新聞を見ながら大事な用とは何ですか?」
士郎「……」
桜「……先輩?」ニコォ
士郎「わ、分かったよ桜! で、何の相談だ?」
桜「次のメニューのことなんですが、中華料理はどうでしょうか?」
士郎「中華ねえ、今更感もあるが……。それに中華といっても色々あるし」
桜「はい。確かに過去に取り上げたこともありますが……」
士郎「じゃあ、何で今更?」
桜「あの、兄さ――いえ、副部長が」
慎二「――衛宮」
士郎「慎二、どうしたんだ?」
慎二「慎二じゃない。副部長だろ?」
士郎「慎二、どうしたんだ?」
慎二「……」
士郎「……」
慎二「ちなみに僕はサトノダイヤモンドに賭けたよ」
士郎「……一番人気に目を奪われてレースを逃す典型だな」
慎二「な、何だと!?」
士郎「俺はストロングタイタンだ」
桜「……先輩?」ニコォ
士郎「そうだ副部長――それで、何か御用でしょうか?」
慎二「ふん……。次のメニューは中華にしてもらうぞ、衛宮」
士郎「それは、なんでさ……?」
慎二「中華――確かに中華といってもその種類はごまんとある」
慎二「創作中華から大衆中華まで新しいメニューが続々と生まれているジャンルだ!」
慎二「その中で、新たな世界を切り開くような、そんな斬新なメニューを時代は求めているのさ!!」
慎二「僕たちには、人々にそれを知らせる義務がある!!」
慎二「……というわけで、君たちにはそんなメニューを取り上げ、そして記事にして欲しい」
慎二「あの忌々しい『財宝新聞』をあっと言わせるようなメニューを頼んだよ――」スッ
桜「……というわけなんです」
士郎「なるほどな……。斬新なメニューか……」
士郎「おっ、丁度昼休みか――桜、それじゃ昼飯は中華にしようぜ」
士郎「参考がてら、周辺の中華料理を調べてみよう」
桜「はいっ!」
【中華・言峰飯店】
桜「このお店はどうでしょうか、先輩――」
士郎「ほう……。この店は初めて見たな」
桜「そうなんですか!? 人気みたいですよ?」
士郎「桜は来た事あるのか?」
桜「わたしも実は初めてなんですが……。でも、最近名前をよく聞きます」
桜「なんでも、麻婆ラーメンが人気だとか」
士郎「麻婆ラーメンねぇ……。俺は好きじゃないな」
士郎「麻婆豆腐に白飯なら分かる。だけどそれをラーメンにかけるなんて、麻婆豆腐とラーメンのいいところを潰している。中華への冒涜だ」
士郎「日本人は外国の寿司についてあれこれうるさい癖に、この麻婆ラーメンや、それに天津飯や中華丼など、日本で改造されたものについては無頓着だ」
士郎「料理というのはルーツに敬意を持たなければならない。それなのに――」
イラッシャイ
桜「――あ、二名です」
士郎「さ、桜ぁ!?」
桜「先輩、何してるんですか?」
士郎「……しょうがないなぁ」
【店内】
綺礼「いらっしゃいませ」
桜「……ッ!?」
士郎「ゲッ……。なんでアンタがここに……!!」
綺礼「知らなかったのか?」
士郎「知ってるわけないだろ……。だいたい、アンタは神父だろ……」
綺礼「中華料理店のマスター兼神父だ」
士郎「神父がおまけになっていいのかよ……」
綺礼「まぁまぁ――当店オススメの麻婆ラーメンを、食うか?」
士郎「食うか!」
桜「先輩……。先輩のこだわりはともかく、この麻婆ラーメンって斬新なメニューじゃないですか?」
士郎「……いや、今に始まったメニューではないだろ」
士郎「中華料理店では普通に見るメニューだ」
士郎「まあ、影が薄いから一般に浸透しているとも言えないけどな」
桜「――では、今一度注目してみる価値はあるのでは?」
士郎「でもなぁ、やっぱり俺は――」
桜「麻婆ラーメン二つでお願いします」
綺礼「かしこまり(イケボ)」
士郎「なんでさっ!?」
【数分後】
綺礼「麻婆ラーメン二丁、お待ち」ドン
桜「うわぁ……! とてもいい香りがします……!」
桜「いただきますっ!」ズル
士郎「……」ズル ジュポッ ジュルル
桜「……」
桜「……さすがに辛いですね。でも、これが本場の味ってことでしょうか?」
桜「辛さの刺激が来て、食欲も増しますね……! どんどん食べちゃう……!」ズル
士郎「……」
桜「……先輩?」
士郎「なんだかなぁ……。やっぱり、俺が予想した通りだ」
桜「え……?」
士郎「そもそもこの――」
???「――何だこの料理はァ!? ふざけるなぁ!! 馬鹿野郎ォォ!!」
士郎「……!!」
桜「……!?」
舞弥「――いけません、切嗣!」
切嗣「うまい中華料理があると聞いて来てみれば、何だこのふざけた料理はァ!? 僕を侮辱してるのかいッ!?」
桜「あ、あのお方は……!?」
士郎「……」
桜(ケリィ・切嗣――天才的な芸術家であり、食に対しても並々ならぬこだわりを持つ食通)
桜(そのこだわり故か、完全会員制の高級料亭『愉悦倶楽部』を立ち上げ、わたしたちの競合会社でもある財宝新聞社のコラム、『至高のメニュー』のアドバイザーも務めている……)
桜(そして――)
士郎「……」
桜(ケリィさんは、先輩の父親でもある……)
舞弥「切嗣、おやめください……!」
切嗣「麻婆豆腐をラーメンにかけるだとォっ!? 中国4千年の歴史を冒涜してるのかいっ!?」
綺礼「ですが……。まずはお召し上がりになって……」
切嗣「なんだとォっ!? こんなふざけた料理を僕に食えと!?」
切嗣「そもそもラーメンなどという化学調味料にまみれたふざけたものに麻婆豆腐をかけるなんて、侮辱だ!!」
綺礼「ラーメンもそのルーツは中国で――」
切嗣「これは料理とは呼べん!! 畜生の餌だ!!」
切嗣「こんな料理でもない餌を食えと!? 迷 惑 千 万 !!」
切嗣「帰らせてもらうよ!!」
舞弥「き、切嗣……!」
士郎「――待てよ、じいさん」
桜「せ、先輩!?」
綺礼「……」
切嗣「……なんだと!?」
切嗣「また君たち二人か……!! 今度は何の真似だい!?」
士郎「じいさん、あんたそのラーメンを一口でも食ったのか?」
切嗣「ふん、こんなふざけたものを僕が食うわけないだろう」
士郎「権威のあるものだけに固執し、新しいものを受け入れない……。食通の名が泣くぜ?」
桜(先輩、ブーメランになってます……)
士郎「それとも、頭が凝り固まって痴呆になっちまったのか?」
切嗣「な、なんだとォ……!?」
士郎「確かに、この麻婆ラーメンは中華風ではあっても中華料理そのものではない。アレンジメニューだ」
士郎「麻婆豆腐というアクセントの強い料理が麺の良さを殺し、中途半端な代物になってしまう」
士郎「だが、もしお互いの良さを活かすことができれば、新たな歴史が生まれる」
士郎「可能性のあるメニューだ」
切嗣「ほう……。そこまで言うなら、その可能性のある麻婆ラーメンとやらを用意できるんだろうね?」
桜「先輩……」
綺礼「……」
士郎「ああ。もちろんさ」
桜「先輩……!?」
切嗣「いいだろう――一週間後、一週間後だ。僕に完璧な麻婆ラーメンを食わせてみるんだね」
舞弥「切嗣……!! お待ちください!!」
ガララ
士郎「……」
桜「先輩……。良かったんですか?」
士郎「ああ、やってやるさ。あのじいさんに一泡吹かせてやろう」
桜「――麻婆豆腐とラーメンのいいところを潰している。中華への冒涜だ」
士郎「……」
桜「っておっしゃっていましたけど……」
士郎「だ、だから、俺は可能性のあるメニューについては柔軟な思考を持っているんだ」
士郎「お互いの良さを潰さず、活かすことができたなら――記事にできるような面白いメニューになる」
士郎「よし、帰って戦略を立てよう!」ガララ
桜「あ、先輩待って下さい!!」
綺礼「……」
綺礼「お代……」
士郎(そして、究極の麻婆ラーメン作りが始まった)
士郎「――究極の料理を作るには、究極の道具が必要だ」
士郎「というわけで、まずは道具の調達だ」
桜「でも、どうやって……?」
士郎「俺のトレースで複製もできるが、いかんせん見たことのないものは作れない」
桜(え、そうなんだ……)
士郎「そうだな……。まずはあそこに行ってみよう」
【とある骨董品屋】
桜「こんにちは、ライダー」
ライダー「サクラ――と士郎も? どうしたんですか?」
士郎「やあ、ライダー。実はな――」
ライダー「……はあ、なるほど」
ライダー「それで、『究極の麺棒』が欲しいと……?」
士郎「そうだ。ここに来ればあると思ったんだが」
ライダー「いや、あるわけないでしょう(即答)」
士郎「え、ないのか?」
ライダー「確かにここは骨董品屋ですが、骨董品の麺棒なんてないです」
ライダー「専門の業者から取り寄せた方が確実なのでは?」
士郎「いや、時間がないからなぁ……」
桜「――そうだ、ライダーが使っていたあの武器はどうですか?」
士郎「あ、確かに。あれ麺棒代わりにちょうど良さそうだよな」
ライダー(サクラ、あなたって人は……)
ライダー「あの、失礼を承知で言いますが――なんですか馬鹿ですか?」
桜「ライダー……?」
ライダー「馬鹿ですか――士郎」
士郎「なんでさっ!?」
ライダー「た、確かに英霊の武器を使えば料理の格も上がるかもしれません(そんなわけないですけど)」
ライダー「ですが、私のそれは麺をこねるには不向きです(適当)」
士郎「なるほどな……。でも、英霊の武器って発想はなかったな」
ライダー(当たり前です。どうしてサクラは何も言わないんですか)
士郎「それじゃ、麺棒代わりになりそうな武器を探すか」
ライダー(どうしてそうなるんですか)
桜「そうですね、先輩」
ライダー(サクラッ……!?)
士郎「ライダーすまん、麺棒代わりになりそうな武器に心当たりはあるか?」
ライダー「そうですね……(あるわけないでしょう)」
ライダー「バーサーカーではどうでしょう?(適当)」
士郎「ああ、確かにあのなんかでかいやつは麺棒にピッタリだな!!」
桜「神格もありそうですし、いいですね!」
士郎「ありがとうライダー、イリヤに頼んでみるよ」
桜「ありがとう、ライダー」
ライダー「……」
ライダー「もう私、知りませんよ……」
【衛宮邸】
士郎「――おーい」ガラッ
セイバー「シロウと桜……? 今日は随分と早い帰宅ですね」
士郎「いや、仕事中なんだが――そうだ!」
セイバー「……?」
桜「どうしたんですか?」
士郎「セイバーを見て思いついたんだが、麺棒の前に包丁を調達しよう!!」
桜「包丁を……ですか?」
士郎「ああ、究極の包丁だ。麺を切る際に必要になる」
セイバー「あの、一体どういうことですか?」
士郎「あのな、実は――」
セイバー「はあ、なるほど……。それで究極の道具が必要なわけですね」
士郎「そうだ」
セイバー「ということは、まさか――」
士郎「ああ。セイバーのエクスカリバーを貸してくれないか?」
桜「……なるほどっ!!」
セイバー「なるほど――じゃないですよ!!」
桜「……え?」
セイバー「私のエクスカリバーは宝具であって、調理器具ではありません!!」
士郎「エクスカリバーを麺切り包丁の形にすることはできるか?」
セイバー「人の話を聞いて下さい!!」
士郎「――セイバー」
セイバー「……?」
士郎「セイバー、究極の麻婆ラーメンを食べてみたいか?」
セイバー「はい(即答)」
士郎「それを作るには、セイバーの力が必要なんだ」
セイバー「しょうがないですね」
セイバー「いわばこれは戦争。私はいつだってシロウの味方ですから」
セイバー「助太刀致しましょう」キリッ
士郎「よし、包丁はこれで決まりだ」
桜「やりましたねっ!」
イリヤ「――もー、騒がしいけどどーしたのー?」
士郎「お、イリヤ。いいところに来たな!」
イリヤ「シロウにサクラ? 今日は随分と早いのね」
士郎「いや、まだ仕事中なんだ」
士郎「こうこうこういうわけがあってな」
イリヤ「……はあ、なるほど」
イリヤ「それでバーサーカーのあれを麺棒に使いたいのね?」
士郎「そうだ。駄目か……?」
イリヤ「いいわよ」
士郎「え? いいのかっ!?」
イリヤ「その代わり私にも究極の麻婆ラーメン食べさせてよね?」
士郎「ああ、もちろんだ!!」
イリヤ「楽しみにしてるからねっ――あ、そうだ」
士郎「どうした?」
イリヤ「麺棒なら、ランサーの槍の方がいいんじゃない?」
士郎「ああ、あれは駄目だ。先が尖ってるから」
桜「そっか……! 危ない、ですもんね。尖ってるから……」
イリヤ「まあ、確かに先が尖ってるから危ないわね」
セイバー「槍は調理器具じゃありませんしね。これはいけない」
士郎「――よし、包丁と麺棒は揃った! これで道具は完璧だな」
士郎「後は……」
【スーパーマーケット・ケルト】
ランサー「坊主とお嬢ちゃん……? なんだ、冷やかしなら帰ってくれよな」
士郎「冷やかしなんかじゃないぞ、店長さん」
ランサー「嫌味か? バイトだよバイト」
桜「へぇー、ランサーさんってスーパーの店長さんなんですね! 凄いです!」
ランサー「雇われだよ!」
ランサー「……それで、何か用か? 俺は忙しいんだ」
士郎「実は――」
ランサー「……究極の食材だァ!?」
ランサー「わりぃが、タダで相談に乗ってやる義理はねぇぞ」
士郎「――入手困難な日本酒が手に入ったんだけど」スッ
ランサー「ほぅ……。いいぜ、少しくらいは聞いてやる――」
【バックヤード】
ランサー「――それで、国産の小麦粉が欲しいってわけか」
士郎「ああ、中華麺を作るのに必要なんだ。クオリティが高いものが欲しい。一番高いものを……」
ランサー「外国産の小麦粉じゃ駄目なのか?」
士郎「駄目だ。外国産の小麦粉は輸出する際に悪くならないよう、処置が施してある」
士郎「そのせいで小麦本来の風味が損なわれてしまうんだ」
ランサー「ほぅ……。というか、それだったら質のいい中華麺を使えばいいだけなんじゃねーか? うちにも置いてあるぞ?」
桜「手打ち……がいいみたいなんです」
士郎「ああ。外国産の小麦粉をかん水で誤魔化して作っているようじゃ駄目だ」
士郎「かん水だって、かん水を入れると中華麺らしい麺が出来上がるかもしれない。だけど、かん水の風味が小麦粉本来の良さを消してしまう。だから俺はかん水も使わない」
ランサー「……それって、中華麺と言えるのか?」
士郎「俺たちがイメージしている中華麺とは、かん水を使った黄色い麺だ。確かにそうだ」
士郎「だけど、それはいわばインプリンティングだ」
桜「インプリンティング……。刷り込みのことですか? 鳥の雛の……」
士郎「ああそうだ。『中華麺とはそうであるもの』という思い込みがあるんだ」
士郎「だが、本当にいいものを作ろうとしたら、この思い込みが邪魔になる」
士郎「あの中華料理店でもそうだった――麻婆ラーメンの麻婆豆腐は悔しいくらいに良かったのに、中華麺が全てを台無しにしていたんだ」
士郎「まるで小学校の給食に出てくるような安っぽい中華麺……。あれが麻婆豆腐の良さを全て帳消しにしてしまった」
士郎「だから、俺は中華麺も手打ちで作る。手打ちの太麺だ。手打ちにすることで小麦粉本来の風味を最大限に引き出せるし、太麺にすることでドロドロした麻婆豆腐によく絡む。そして、適度なコシも加わって食べ応えがある」
桜「なるほど……!」
ランサー「そうか……。まあ、そう言うなら、うちにある最上級の国産小麦粉を分けてやってもいいぜ? 高級料理店とかでも使ってるやつだ」
士郎「すまないな、ありがとう」
ランサー「まあ、この日本酒をもらった借りがあるしな。もってけ泥棒」
桜「ありがとうございます……! これで麺はクリアですね……!」
士郎「次は――」
【柳洞寺】
桜「キャスターさん、こんにちは」
キャスター「あら、あなたたち……。何の用かしら」
士郎「キャスター……。その、悪いんだが……」
士郎「こうこうこういうわけがあって――」
キャスター「……それで、うちの豆腐が欲しいと」
士郎「ああ」
桜「柳洞寺に、豆腐……ですか?」
士郎「ああ。お寺といったら精進料理。豆腐もそこに含まれる」
士郎「柳洞寺では豆腐も自分で作っているんだ。そうだろ、キャスター」
キャスター「え、ええ……。確かにそうだけど」
士郎「柳洞寺の菜園で育てられた大豆――精進料理という特性上、無農薬・オーガニックだ。そんな質のいい大豆からできた豆腐は実に美味しい。大豆の芳醇なうま味をそのままに、とろけるような、そんなクリーミーさを持っている」
士郎「そのクリーミーさは、麻婆豆腐の辛さによく溶ける。そして調和を生むんだ」
士郎「――というわけで、豆腐を譲ってくれないか?」
キャスター「そうね……。タダで譲るわけにはいかないわ」
士郎「もちろん金は払うさ――経費で」
桜(経費で落とせるのでしょうか……。豆腐……)
キャスター「いいえ、別にお金はいらないわ。お金に困っているわけじゃないし」
士郎「そ、それじゃどうすればいいんだよ……」
キャスター「最上の豆腐と同じ価値のもの……。それと交換っていうのはどうかしら」
キャスター(セイバーちゃんとかセイバーちゃんとかセイバーちゃんとか)
士郎「――葛木先生の秘蔵ブロマイドセット」
キャスター「グリフィンドォォォォォォォル!!!!!!!!!!」
桜「……よし(適当)」
士郎「さて、キャスターから豆腐だけじゃなく野菜・米も譲ってもらえることになった」
桜「幸先がいいですね!」
士郎「ああ。豆腐と同じく質がいいから問題はない」
桜「そうですね。あとは――」
士郎「ひき肉だ」
桜「どこか、あてはあるんでしょうか?」
士郎「うーん、そうだな……」
【とある肉屋】
士郎「ここはどうだろう」
桜「いかにも、専門店という風格が漂っていますね」
士郎「そうだな……。さて、入ってみるか……」
???「いらっしゃい(イケボ)」
士郎「あのー、ひき肉は――って、どうしてこの店にいるんだ!? アーチャー」
アーチャー「衛宮士郎……と、間桐桜か……」
桜「こんにちは、アーチャーさん」
アーチャー「……これは厄介なことになったな」
士郎「おい、客に向かって『厄介』はないだろ?」
アーチャー「……いや、嫌な予感がしたんでね」
士郎「バイトでも始めたのか?」
アーチャー「それを説明すると、ちょうど一本の映画が見られるくらいの時間になるが」
士郎「単に説明するのが面倒なだけなんじゃないか……?」
士郎「……もしかして、遠坂絡みとか?」
アーチャー「いや……」
凛「――私をお呼びかしら?」
士郎「と、遠坂!?」
桜「姉さん!?」
アーチャー「……やれやれ、災厄は避けられなかったか」
士郎「どうして遠坂がここにいるんだ?」
士郎「……遠坂も肉を買いに来たのか?」
凛「そう見えるかしら――あなたのお家でご馳走になってる私が」
士郎「だ、だよな……。じゃ、じゃあ、とうとう家計が瀬戸際になってアーチャーと一緒にアルバイト……とか?」
凛「し、失礼ね! 私の仕事のこと知ってるでしょ!?」
士郎「あー、ええと……」
桜「……もしかして姉さん、このお店の経営も始めたとか? ですか?」
凛「さすが桜ね、ご名答よ」
士郎「は? ええ!? どういうことだ!?」
アーチャー「正確には『ぶんどった』という言葉がふさわしいだろう」
凛「ちょっとアーチャー、怒るわよ?」
アーチャー「もともとは諸事情あって私がこの店を手伝ったことから始まった」
アーチャー「この店の主人とその妻の共同経営だったんだが、ご高齢ということもあり、廃業を視野に入れていたらしい」
アーチャー「――そして、私に『後を継いでくれないか』と申し出てきたんだ」
士郎「す、凄いな……」
アーチャー「私は困惑したのだが、そんな時に目をつけてきたのがこちらのハイエナお嬢さんだ」
凛「ちょっとアーチャー、私をどこかの傲慢成金当主みたいに言わないでくれる!?」
桜「どういうことでしょうか?」
凛「いわゆる買収よ、買収」
士郎「ハイエナじゃないか……(困惑)」
凛「な!? 士郎まで!?」
桜(姉さんは魔術師ですが、副業として企業の管理・運営を行っている実業家でもあります)
アーチャー「まあ、廃業の危機にあった肉屋をリンが買い取って、リニューアルしたということだ」
凛「そういうことよ! 決して強引に奪い取ったわけじゃないんだから! ご夫妻も快諾してくれたし!」
士郎「なんだ、言ってくれれば良かったのに」
凛「それは……。べ、別に仕事の成果をあれこれ吹聴する必要はないじゃない……」
アーチャー「店を買収した後ろめたさがあるに違いない」
凛「……アーチャー?」ピキッ
士郎「ま、まあまあ二人とも……!」
士郎「――ということは、アーチャーはそのまま店員になったってことか?」
アーチャー「店長とは名ばかりで、荷馬車のように働かされているよ」
凛「人聞きの悪いこと言わないで」
桜「サーヴァントだけに、使役されているということですね!」ドヤッ
アーチャー「……」
凛「今の時代、魔術師だけじゃどうにもならないのよ。これからはマネージメント能力が一層必要なわけ」
士郎「なるほどな――それで、この店のオーナーである遠坂がここにいる理由はどうしてだ?」
凛「これからの作戦会議と、あとはお店をリニューアルしたから、その様子を見に来たの」
士郎「そうか……。まあ、遠坂らしいと言えば遠坂らしいな。さすがだよ」
凛「ほ、褒めてもサービスなんてしてあげないわよ……//」
士郎「あ、そうだ――遠坂、ひき肉が欲しいんだけど」シレッ
凛「ひき肉? 今晩の献立に必要なの?」
士郎「いや、そうじゃなくて……」
桜「――それは、こうこうこういうわけがあったんです」
凛「はあ、こうこうこういうわけがあったのね……」
士郎「それで、最高の食材を探しているんだ」
凛「そうね……。士郎、あなたがこのお店に来たのはさすがの嗅覚と言わざるを得ないわね」
士郎「……どういうことだ?」
凛「あなたなら分かるはずよ――周りを見てみなさい?」
士郎「……ッ」
士郎「こ、これは……」
桜「先輩……?」
士郎「肉のクオリティ――どれをとっても上等じゃないか! それにラインナップも相当充実している!」
桜「本当だ……! 牛・豚・鶏はもちろんのこと、羊や山羊、あとは……」
桜「い、猪や鹿、馬のお肉まで!?」
凛「そうよ。この高品質・豊富な品揃えのお店は周辺でもここくらいじゃないかしら」
士郎「でも、需要はあるのか? どれも高そうだぞ?」
凛「ええ――もちろん、普段使いのお客様をターゲットにしたリーズナブルなお肉も豊富に揃っているわ」
凛「けれど、一部の物好きや品質・安全重視の人、高級志向の人、あとは諸事情あって特定のお肉しか食べられない人をターゲットにした商品も仕入れているの」
士郎「この街も外国出身の人が増えてきたからな……。なるほど、それじゃ山羊や羊の肉も需要がありそうだな」
凛「ええ。意外と売れているのよ? 中東系やアフリカ系の料理店に卸したりしているし」
士郎「なるほどなぁ……」
凛「それで、ひき肉だったわね? これとかどう?」
凛「ひき肉といえば、価値が低いくず肉が使われることが多いけど、これは価値がある部位をわざわざミンチにしたものよ」
士郎「おお、いいんじゃないか……?」
桜「そうですね、申し分ないと思います!」
凛「お眼鏡にかなったようで幸栄だわ」
士郎「ありがとう――あと、鶏ガラって置いてあるか?」
凛「鶏ガラねぇ……」
桜(さすがに骨は――)
アーチャー「もちろんあるぞ」
士郎「オイオイオイ、本当か?」
凛「近くのラーメン屋にも卸しているし、もちろんあるわよ」
アーチャー「ほら、この通りだ」
桜「凄い……! さすが姉さんです!」
凛「だ、だから褒めても安くしてあげないんだからね……//」
士郎「よし、これで食材面もクリアだな!!」
桜「はい!」
【言峰飯店】
士郎(そして、なんやかんや準備とかなんかやって、勝負当日を迎えた)
士郎「麻婆豆腐は頼んだ」
綺礼「ふん、お安い御用だ」
綺礼「この食材を使えば良いのだな?」
士郎「ああ。鶏ガラスープは?」
綺礼「長時間煮込んで完成させておいたぞ」
士郎「さすがだ……。それじゃあ、さっそくとりかかろうか」
綺礼「ふっ、まさか君に協力する日が来ようとはな」
士郎「……俺も驚いているよ」
綺礼「はっきり言って意味が分からないが、料理の研鑽のためと思えば、まあ良いだろう」
綺礼「――それと、あの日のお代を払ってくれ」
士郎「あんたは麻婆豆腐を、俺たちは麺を作る。それじゃあ任せた」
綺礼「お代……」
綺礼「……ふっ」
桜「――それで先輩、行程はどのように?」
士郎「あの小麦粉を丸めて、寝かせておいたのがこれだ」ドンッ
桜「つまり、これを今から手打ちするということですね?」
士郎「ああ」
桜(先輩、まさかラーメンの麺まで作れたなんて……!!)
桜(凄いです……//)
士郎「――じゃあ頼んだ、バーサーカー」
桜「え?」
バーサーカー「えっす!!」ドン!
桜「え……。え……!?」
士郎「ああ。バーサーカーの武器というか麺棒、あれデカすぎて俺たちじゃ使えないだろ? だから本人に打ってもらうことにしたんだ」
桜「えぇ……!?」
士郎「ああ大丈夫大丈夫。イリヤにも許可取ってきたから」
バーサーカー「えっす!!」
桜「……」
士郎「お!? もうできたのか!?」
バーサーカー「えっす!!」
士郎「よし、厚さも均一だ!!」
士郎「やはり香りもいい。小麦本来の香りだ!! 俺の見立てに狂いはなかった」
バーサーカー「えっす!!」
士郎「おう、ありがとなバーサーカー」
桜(意思疎通ができている……?)
士郎「よし、あとは……」
桜「これを切って麺にする行程ですね」
士郎「その通り――頼んだぞ、セイバー」
セイバー「承知しました、マスター……!!」スッ
桜「えっ? えっ!?」
士郎「ああ、麺を切るのはセイバーに任せることにしたんだ」
セイバー「見て下さい桜。私のエクスカリバーを麺切り包丁にしてみました」ドヤッ
桜(どうしよう、私ツッコミキャラじゃないんだけどな)
士郎「やはり達人に任せた方が確実だろ? セイバーは切ることに関しては達人だからな」
セイバー「やめてくださいシロウ……// 私はまだまだ修行の身……」
セイバー「ですが、これを最高の麺に仕上げてみせましょう……!!」
セイバー「エクス……」
セイバー「カリバアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
士郎「おお!? さすがだセイバー!! 完璧な太麺があっという間に出来上がったぞ!!」
セイバー「これくらい、朝飯前というものです!!」ドヤッ
士郎「よし、これで麺は完成だ!!」
士郎「あとは――」
アサシン(Mr.佐々木)「私に任せてもらおう……!!」
桜(もう何が来ても驚きません)
桜「あの……。アサシンさん? は確か柳洞寺の……」
士郎「ああそうだ。このアサシンこそ切る達人かと思ったが――」
アサシン「拙者、『湯』切りに覚えあり……!!」シュッ
士郎「そう、彼は湯を切るスペシャリスト!! 麺の茹では任せた!!」
桜「あの、柳洞寺から出られないって設定は……」
アサシン「あぁ~いッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」シャッ! シャッ!
士郎「なんという湯切り……!! 麺が輝いている……!!」
アサシン「へいお持ちぃッ!!」ザッ!
士郎「よし! 最高の麺が仕上がったぞ!」
綺礼「こちらも、最高の麻婆豆腐の出来上がりだ……!!」ドンッ!
士郎「最高の麻婆豆腐と、最高の中華麺をドッキングして――おあがりよ!!」
イリヤ「――わぁー、いい香りだわぁ~!」
凛「士郎、彼が来たみたいよ!!」
士郎「イリヤ、遠坂……!?」
士郎「くっ、ちょうど来やがったか――あのじいさん」
舞弥「――失礼します」スッ
切嗣「……」ズオォォオオ
切嗣「これはこれは……。揃いも揃って、壮観なことだね」
イリヤ「……」ゴゴゴゴゴゴゴ
セイバー「……」ゴゴゴゴゴゴ
綺礼「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
切嗣「どれどれ、究極の麻婆ラーメンとやらを頂いてみようじゃないか」
士郎「――ほらよ。これが俺たちの麻婆ラーメンだ」バァン!
切嗣「ふん……。本来なら料理とも言えないこんな低俗なものなど見たくもなかった」
切嗣「こんなものは、そこのかわいい騎士王さん()が食べるような下等な代物だと――」
セイバー「……な!? それは聞き捨てなりません!!」
切嗣「――そのように言ってくれないか、舞弥」
舞弥「自分で伝えなさい」
切嗣「まあいいや……。いただきます」
舞弥「……」ピキッ
舞弥(切嗣……。ちゃんと『いただきます』が言えましたね。それで許してあげましょう)
士郎「……」
桜「……」
綺礼「……」
イリヤ「……」
セイバー「……」
切嗣「……ほう」コトン
切嗣「この麻婆豆腐、アレとアレがこうでなんかこうグワッとしたうま味がちゃんとあるじゃないか」
切嗣「絶妙に調和した二種類の辛み。そこに鶏ガラのうま味、豆腐のまろやかさ、ひき肉の脂が溶けて、ハーモニーを生む(語彙不足)」
切嗣「そしてこの麺、太麺にすることで麻婆豆腐がよく絡む。そして手打ちのようだな――適度なコシがあり食べ応えがあるし、小麦の香りが鼻から抜ける。どうやら小麦粉もいいものを使っているようだ」
士郎(よし……!!)
イリヤ「――ほんとだ! 辛いけどどんどん食べちゃうー!」ズルズル
セイバー「おかわりっ!!」
綺礼「ふむ……。これは愉悦……」
凛「私、中華にはうるさいつもりだったけど……。悔しい、これは何も言えないわね」
桜「麺が変わるだけで、味もこんなに変わるなんて……!」ズルッ
切嗣「――まあ、よくやったと褒めてはあげようじゃないか」
舞弥(切嗣、ちゃんと褒めることができるようになりましたね)
士郎「……ふっ」
士郎「お粗末!!」ドンッ
桜(先輩、やりましたねっ!)
切嗣「――だが」
士郎「……ッ!!」
桜「……!?」
切嗣「士郎、君は重大なミスを犯したようだ」
士郎「な、なん……だと……!?」
桜「そんな……!! 皆さんの反応を見ても、この麻婆ラーメンは完璧だったはずです!!」
イリヤ「そうよ……!! なんでもかんでも批判しないと気がすまないなんて、老害よ老害!!」
セイバー「死ね(直球)」ボソッ
凛「……もしかして」
桜「姉さん!?」
切嗣「ほう、気付いたかい」
凛「ええ……。確かにこの麻婆ラーメンは完璧よ。ええ、それはもう……」
士郎「それじゃ、なぜ……?」
凛「でも、この麻婆ラーメンはそもそも――」
切嗣「ラーメンじゃない」ドンッ
一同「……ッ!?」
士郎「な……!? いや、そんなはずは……!!」
切嗣「士郎、君の考えを当ててあげようじゃないか」
切嗣「麻婆豆腐そのものはなかなかのものだった」
綺礼「……//」
切嗣「だが、問題はこの麺だ」
士郎「そんな……!! 最高の道具、最高の食材で仕上げた麺だぞ……!?」
切嗣「麺を手打ちにし、適度なコシと小麦本来の風味を再現したことは評価する」
切嗣「だが――士郎、君はかん水を使っていないね」
士郎「……ッ!!」
桜「……!!」
切嗣「さしずめ、『かん水を使うと麺の風味が落ちるから』と考えたのだろう」
切嗣「どうだい? 当たっているだろう?」
士郎「ぐっ……!!」
切嗣「しかし、君は根本的なことを分かっていないようだ」
士郎「……!?」
切嗣「この日本では、麺を分類するための規約がある」
切嗣「その規約を簡単に言うなら、かん水を使っているかどうかだ」
切嗣「つまり、かん水を使っているものは『中華麺』、使っていないものは『うどん・そば』といった形に表記する決まりなんだ」
士郎「なっ!?」
桜「ということは……」
切嗣「そう。かん水を使っていないこの麺は、そもそもラーメンとは呼べない決まりなんだ」ドヤッ
切嗣「これは麻婆ラーメンじゃない――麻婆うどんだ!!」ドヤッ
一同「ナ、ナンダッテエエエエエエエエエエエエ!?」
士郎「く……!! そんな……!!」
切嗣「この時代、かん水を悪者にしたり、業務用スープを全否定したり、化学調味料の全てに文句をつける馬鹿者がいる。食通を気取ってね」
切嗣「もちろん健康志向などそういった背景もあるが、そんなものは勝手にすればいい」
切嗣「だが、自分たちがその恩恵にあずかっていることも知らずに批判するなど、お門違いも甚だしい」
桜(あれ……? 随分前にラーメンとかジャンクなものを批判してませんでしたっけ?)
切嗣「士郎、君もまだまだ修行が足りないな」
士郎「く、くそ……!!」
切嗣「だが、麻婆ラーメンという新たな可能性を垣間見た」
切嗣「それだけでも、収穫としよう」
切嗣「行こう、舞弥」ガララッ
舞弥「ま、待って下さい切嗣(私はまだ食べていません)」
切嗣「――士郎」
士郎「……」
士郎「なんだよ、じいさん……」
切嗣「……」
切嗣「ジャンクフード、最高――」ガララッ
桜「エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!?」
士郎「……」
綺礼「……」
綺礼「……」
綺礼「……お代」ボソッ
【その後、冬木新聞社】
桜「先輩、お疲れ様です」
士郎「……あぁ」
桜「先輩……」
士郎「……」
桜「よ、良かったですね!」
士郎「……?」
桜「今回のコラムも無事に収めることができましたし、副部長も上機嫌ですよ!」
桜「読者の反応も上々みたいです!」
士郎「ああ……」
桜「そ、それに――この前の料理番組で、ケリィさんも麻婆ラーメンの魅力について語っていました! 先輩の頑張りはしっかりと評価されているってことじゃないでしょうか!?」
士郎「あのおやじ……。俺の成果を横取りしやがって……」
桜「ま、まぁまぁ……!」
桜「――先輩」
士郎「……?」
桜「明日は休日ですし……。今日は一杯、行きましょうか?」
士郎「……お!! いくか!?」
桜「はい!」
桜「……残りの仕事、終わらせてしまいましょう!」
士郎「そうだな。ありがとう、桜!」
桜「はい!」
士郎「……」
士郎「マ、ママァ~!!」
桜「もう~、先輩ったら//」
士郎(確かに、色々と大変な毎日だが――)
士郎(桜のバブみ、ヤバいな)
続 かない
ありがとうございました。
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