【ガルパン】アンチョビの家計簿 (72)
おそらく更新は9時頃になると思う
のんびりと続けていきます
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アンツィオ高校 学生寮
アンチョビ「どうだ?美味しいか?」
みほ「・・・はい」
アンチョビ「そうか、なら良かった」
みほ「・・・」
アンチョビ「ペロリだな。そんなにお腹が空いてたのか」
アンチョビ「ちょっと待ってろ、新しくパスタを茹でてくる」
みほ「・・・」コクコク
アンチョビ(とは言えどうしたものかなぁ・・・)
昔から頼られることが好きで仕方なかった。
困っている人を見過ごす事は当然出来なかったし、面倒なことも率先して引き受けた。
それ故周りからは『お人好し』だの『お節介』だと言われてきた。
だから、この娘を見かけたときも見捨てては置けなかった。
「姐さんのお人好しも考え物ですよ、まったく・・・」
「じゃああのまま放置しておけと言うのか!?」
「そう言う意味では・・・、でもその娘引き取ってどうする気ですか?」
「・・・」
この娘には見覚えがあった。
戦車道の名門として名高い西住流の次女、西住みほだ。
彼女は最初、なかなか話をしてくれなかった。が、何度も話しかけるうちに少しは語ってくれるようになった。
昨年の戦車道の大会において、黒森峰がプラウダに敗北したことは知っていた。
彼女はその敗北の原因は自分にあると思い、黒森峰を去ろうとした。
そして何回も学園艦を乗り換えてここ、アンツィオ高校の学園艦に行き着いたらしい。
ロクな食事はその間摂っていなかったのだろう。
私が帰宅時に彼女を見かけたときにはかなり痩せこけており、足元もおぼつかない状態だった。
手持ちは財布に小銭が少し。あの時見過ごしていたら死んでいたかもしれない。
最初は警察に連れていこうとした。しかし彼女は警察に行くことを酷く嫌がった。
恐らく黒森峰に連れ戻されると思ったのだろう。
仕方がないので「私の家に来ないか」と提案した。
アンチョビ(ここ数日間は問題ないだろう・・・)
アンチョビ(しかし、どうすればいい?西住家に電話を掛けるか?)
アンチョビ(だが、それが彼女のためになるのか?いいや、彼女にはしばらく休養が必要だ)
アンチョビ「・・・」
アンチョビ「よし、いい感じだな」
アンチョビ「おーい、出来たぞー」
みほ「・・・」
アンチョビ「もっと食べてくれ!栄養をつけないとな!」
アンチョビ「おっ、食べ終わったか」
みほ「・・・」
アンチョビ「いいよ、片付けは私がやるから」
みほ「・・・いえ、私がやります」
アンチョビ「そうか、じゃあ手伝ってくれ」
みほ「・・・名前」
アンチョビ「名前?ああ、私の名前か。そういえばまだ言っていなかったな」
アンチョビ「私は安斎千代美。皆からは『ドゥーチェ』だとか『アンチョビ』とか呼ばれている。」
アンチョビ「だから好きに呼んでもらって構わない」
みほ「・・・アンチョビさん」
アンチョビ「アンチョビさんか。そうだ、お前はなんて呼べばいいんだ?」
みほ「・・・」
『姉の付属品』
『負け犬お嬢様』
『お前のせいで負けたんだ!この屑!』
『死んでしまえ!』
『あんたは西住隊長の隣にいるのはふさわしくない。身の程を知ることね』
『私の方が副隊長に向いているわ。さっさと降りたら?』
みほ『お姉ちゃん!』
まほ『・・・』
みほ『ごめんなさい、ごめんなさい。もう・・・、辛いよ。助けてよ・・・』
まほ『みほ、戦車道は辞めろ』
____
___
__
アンチョビ「おい、大丈夫か?」
アンチョビ「おい!?しっかりしろ!」
アンチョビ「・・・」
アンチョビ(病気などでは無さそうだが・・・)
何か辛い事を思い出したのだろうか。
迂闊に呼び名の話を振ってしまったことを、申し訳なく思う。
思い出しただけで倒れてしまう程だ。
想像できないような、耐え難い経験を黒森峰でしたのだろう。
みほ「うぅ・・・、助けて・・・」
寝言だろうか。激しくうなされている。
アンチョビ「・・・」
起きてしまわないよう、優しく頭を撫でる。
アンチョビ「安心しろ、私が何としてでも守ってやる」
問題は学校だった。
明日は土曜日。土、日曜日は私が家にいることができる。
しかし平日はどうする?
私には学校がある。戦車道の練習もあるし休む訳にはいかない。
彼女一人で家に留守番をさせると言うのにも不安があった。
彼女自身も外に出ず、接するのが私だけという状態はよろしくないだろう。
アンツィオに転校させる?いや、駄目だ。
転校手続きをしてしまえば、その事はあっという間に広まってしまうだろう。
当然黒森峰にも届く。それだけは避けたい。
アンチョビ「・・・もう11時か」
アンチョビ「そうだ、アイツ等はまだ起きているかな」
アンチョビ「・・・」
何度かコールするが、電話をとる様子はない。
アンチョビ「・・・さすがに寝てるか」
ペパロニ『んー、こんな夜中にどうしたんすか?』
アンチョビ「良かった。まだ起きていたか」
ペパロニ『もう少しで寝るところだったんですけど・・・。それで姐さん、何事ですか?』
アンチョビ「いや、相談があってな」
ペパロニ『姐さんが相談って珍しいっすね』
アンチョビ「まあな、実は・・・」
ペパロニ『えー、どうするんすか!?』
アンチョビ「だからお前に電話したんだろう」
ペパロニ『そうは言われても・・・』
ペパロニ『・・・そういえばウチの学校って授業の出席取ってないっすよね』
アンチョビ「ああ、確かに録ることはないな」
ペパロニ『なら、私たちの代わりに授業に出席させたらいいんすよ!』
アンチョビ「はぁ!?お前何考えているんだ!?」
ペパロニ『姐さんや私の代わりに出席してもらうんすよ。どうしても入れ替われない所は私たちが普通に出りゃいいでしょう?』
アンチョビ「教師たちはそれで欺けても、周りにはどう説明する?」
ペパロニ『戦車道の連中にも手伝ってもらえばいいんすよ』
アンチョビ「そうか・・・!名案だ!流石だぞ、ペパロニ!」
ペパロニ『姐さん、そんなに誉められたらくすぐったいっすよ』
ペパロニ『それじゃ姐さん、あとは任せといてください!』
アンチョビ「ああ、よろしく頼む」
アンチョビ「・・・持つべきものは仲間、か」
アンチョビ「確かにその通りだったよ、母さん」
翌朝
みほ「・・・」
アンチョビ「おはよう、起きたか」
みほ「・・・」
アンチョビ「大丈夫か?気分は悪くないか?」
みほ「・・・」フルフル
アンチョビ「良かった、急に倒れるからびっくりしたぞ」
アンチョビ「朝御飯はもう出来ているからな。動けそうか?」
みほ「・・・はい」
アンチョビ「いただきます」
みほ「・・・いただきます」
アンチョビ「アレルギーは大丈夫か?」
みほ「・・・ありません」
アンチョビ「そうか、もしアレルギーがあったらどうしようかと思っていたんだが、大丈夫そうだな」
みほ「・・・」
アンチョビ「・・・なあ、みほ」
みほ「・・・」
アンチョビ「このあと買い物に付き合ってくれないか?」
みほ「・・・はい」
アンチョビ「みほも自分の物を買った方がいいだろう?服だとか日常で使うものを」
みほ「・・・私には」
アンチョビ「ああ、私が払うから気にするな」
みほ「・・・いえ、それは」
アンチョビ「あまり自分の物には気を使わないから、結構財布は余裕があるんだ。だから問題ないからな」
アンチョビ「自由に好きなものを買ってくれ!」
アンチョビ「おぉー!似合ってるじゃないか!」
みほ「・・・」
買い物に出掛けるにしても、みほは黒森峰の制服しか持っていなかった。
悪目立ちするのは当然だし、制服のまま買い物に行かせる訳にいかない。
そこで私の昔買った私服をとりあえず着るように言ったのだ。
可愛いのでネット通販で衝動買いしてしまった代物なのだが、私が着る分にはサイズが一回り大きすぎた。
それ以来クローゼットの奥に眠っていたのだが、まさかこのような形で役立つとは思わなかった。
アンチョビ「それはあげるよ。私には大きすぎるしな」
みほ「・・・あ、ありがとうございます」
少しだけ。ほんの少しだけだが感情を表した気がする。
アンチョビ(いい兆候だな・・・)
みほに必要なのは休養だった。
休養といってもケガをしている訳ではないし、病気になっているわけではない。
『心』の休養である。
アンチョビ「さて、じゃあ行くか!」
みほ「・・・」
少なくとも私がみほの心の支えとなれたら。
ここアンツィオの環境で心を休めてくれたら。
彼女が笑顔を見せてくれたら。
私はそう思っている。
アンチョビ「いやー、買い込んだな!」
みほ「・・・ありがとうございます」
アンチョビ「気にするな。わたしの私物も買ったし、丁度良かったんだ」
みほ「・・・」
アンチョビ「今日の晩ご飯は何がいい?挽肉も買ったしハンバーグとかどうだ?」
みほ「・・・はい」
アンチョビ「さて、ただいまー」
ガチャ
みほ「・・・お邪魔します」
アンチョビ「みほ、ここは今日からお前の家だ」
アンチョビ「だからな、『お邪魔します』じゃなく」
アンチョビ「『ただいま』だ!」
みほ「・・・」
みほ「・・・ただいま」
アンチョビ「お帰り、みほ」
みほ「・・・」
みほ「うわあぁぁぁん!あ、アンチョビさん・・・」
アンチョビ「辛かったよな、一人で・・・」
10時頃に出来れば更新します
黒森峰にまだみほがいた頃の話をしようかと思います
昨年 黒森峰 戦車道大会後
みほ「・・・」
「ねぇ、聞いた?決勝戦敗退の理由」
みほ「・・・」ビクッ
「聞いた、聞いた。副隊長の西住みほ、だっけ?敵に怖じ気づいて戦車から飛び降りたんでしょ」
「そうそう、西住隊長の妹らしいよ」
「えー、どうせ姉の七光りでなれたんでしょ。それ」
「可哀想だよね。特に先輩たち」
「ホントだよね。どうせその娘は姉に責任を擦り付けて平気でいるんでしょ」
みほ「・・・」
みほ「・・・」
コンコン
みほ「し、失礼しますっ!」
ガチャ
みほ「西住みほ、来ました!」
まほ「・・・みほ、ここに呼ばれた理由は分かっているな」
みほ「・・・」
まほ「なぜあの時にフラッグ車を捨てた?」
みほ「・・・それは、小梅さん達をたすけ」
まほ「言い訳など聞いてはいないっ!」
みほ「・・・」ビクッ
まほ「お前はフラッグ車の車長だったんだぞ!?なぜチーム全体ではなく個人を優先した!?」
みほ「・・・」
まほ「お前は甘すぎる。そのような心構えでは西住流の恥だ」
みほ「・・・」
まほ「・・・何か言うことはあるか」
みほ「・・・」
みほ「・・・ご」
みほ「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
まほ「・・・」
みほ「もう、嫌です・・・、辛いよ!」
みほ「周りのみんなはどんどん離れていってしまう!」
まほ「・・・」
みほ「シューズは隠される、机には油性マジックで落書きされた!教科書はカッターでズタボロにされた・・・」
まほ「・・・」
みほ「ジャケットも、体操服も盗まれた!ネットに恥ずかしい写真をあげられた!」
まほ「・・・」
みほ「お姉ちゃん、助けてよ。お願いだから・・・」
まほ「・・・」
まほ「・・・チームを敗北に導いておきながらそれか」
みほ「お、お姉ちゃん・・・?」
まほ「やはり駄目だな。もういい、辞めろ」
まほ「副隊長はエリカに務めてもらう。みほ、副隊長は降りろ」
みほ「・・・」
まほ「戦車道は辞めろ。これ以上は私達に迷惑だ」
みほ「・・・」
まほ「もういい、出ていけ」
みほ「・・・失礼しました」
ガチャン
みほ「・・・」
エリカ「邪魔よ、退きなさい」
エリカ「あんたは所詮妹。西住隊長の付属品でしかないのよ」
みほ「・・・」
今日はここまでで
明日も朝から更新するかもしれない・・・
とりあえず次からはまたアンチョビ視点になります
アンチョビ「みほ、風呂空いたぞー」
みほ「はい、ありがとうございます」
アンチョビ「着替えはそこの棚に置いてあるからな」
みほ「すいません・・・、何から何までしてもらって」
アンチョビ「いいって、私が好き好んでしていることなんだから。それに私達は家族だ」
アンチョビ「だからそんなにかしこまった言い方はしなくていい」
みほ「ありがとうございます・・・。じゃあ、入ってきます」
アンチョビ「ゆっくり浸かっていいからな」
ガチャン
アンチョビ「さて、支度するか」
アンチョビ「うーん、ハンバーグと・・・。何が良いだろう?」
アンチョビ「そういえば作りおきのポトフがあったな。あれでいいか」
みほ「アンチョビさん、上がりました」
アンチョビ「丁度出来たところだ。ちょっと待っててくれ」
みほ「美味しそうですね」
アンチョビ「挽肉は安いからな。食費を抑えたいときはいつもハンバーグにするんだ」
アンチョビ「よし、じゃあ食べるか」
アンチョビ「いただきます」
みほ「いただきます」
アンチョビ「実を言うとハンバーグは人に振る舞った事がないんだが・・・、どうだ?」
みほ「とても美味しいです!お店開けますよ!」
アンチョビ「そ、そうか!良かった・・・」
アンチョビ(良かった・・・、少しは心を開いてくれただろうか?)
みほ「・・・アンチョビさん?どうかしたんですか?」
アンチョビ「ん、何でもないよ」
みほ「あ、アンチョビさん・・・?」
ギュッ
アンチョビ「みほ!みほっ!」
みほ「アンチョビさん!?急に抱きついて・・・、どうしたんですか!?」
アンチョビ「わ、私はっ!何があってもみほと一緒だからな!」
みほ「・・・っ!アンチョビさん・・・」
みほ「ありがとう・・・、ございます・・・」
アンチョビ「・・・うぅ」
アンチョビ「あの後・・・、そのまま寝てしまったのか」
アンチョビ「あー、マズイな。お皿がカッピカピだ」
みほ「・・・お姉ちゃん、・・・嫌だよ」
アンチョビ「また、思い出しているのか・・・」
アンチョビ「・・・大丈夫だ。私は必ずみほの味方だからな」
アンチョビ「・・・」
アンチョビ「さて、片付けるか」
ガチャガチャ
アンチョビ「今日はどうするかなぁ・・・」
アンチョビ「特に済ませるべき用事もないし。と言うよりもう8時なのか・・・」
アンチョビ「結構寝てたな・・・」
ピリリリ ピリリリ
アンチョビ「ん、携帯か?」
アンチョビ「なんだ?ペパロニからか」
アンチョビ「あー、安斎だ」
ペパロニ『おはようございます、姐さん!』
アンチョビ「ああ、おはよう。で、何の用だ?」
ペパロニ『姐さんって今日は用事ありますか?』
アンチョビ「いいや、特には無いな」
ペパロニ『えっと、姐さんと一緒に暮らしている・・・』
アンチョビ「みほのことか?」
ペパロニ『そうっす!明日から学校に来るんですよね?』
アンチョビ「本人の意思も確認してからだが・・・、一応そうするつもりでいる」
ペパロニ『いやー、一応学校に来る前に私達も顔を会わせておこうかなと・・・』
アンチョビ「そうだな・・・、その方が良いかもしれないな」
アンチョビ「で、どこで会う?」
ペパロニ『姐さんの家はダメっすか?』
アンチョビ「ああ?普通はカフェとかじゃないのか?」
ペパロニ『いやー、今ちょっと金欠な物でして・・・』
アンチョビ「はぁ・・・、分かったよ」
アンチョビ「そうだな、10時集合でいいか?」
ペパロニ『はい、じゃあそれでお願いします』
アンチョビ「よし、じゃあもう切るぞ」
ピッ
アンチョビ「まったく、やれやれだ・・・」
みほ「・・・アンチョビさん?」
アンチョビ「みほ、おはよう。もう起きたのか」
みほ「お、おはようございます・・・」
アンチョビ「ちょっと待っててくれ。すぐに朝食にするから」
アンチョビ「いただきます」
みほ「いただきます・・・」
アンチョビ「みほ、私の友人を呼んでいいか?」
みほ「友人・・・、ですか?」
アンチョビ「そう固くなるな。二人とも良い奴だから、大丈夫だよ」
みほ「・・・はい」
アンチョビ(さすがにまだ周囲の人間関係に対しての警戒はあるよなぁ・・・)
アンツィオ高校 学生寮 昼前
アンチョビ「そろそろアイツ等が来るはずなんだが・・・」
みほ「・・・」
ピンポーン
アンチョビ「おっ、来たか」
ガチャッ
ペパロニ「姐さん、来たっすよ」
カルパッチョ「お邪魔します、ドゥーチェ」
アンチョビ「よく来たな、まあ上がってくれ」
ペパロニ「いやー、姐さんの部屋に来るのも久しぶりっすね」
アンチョビ「私はあまり自分の部屋に人を招かないタイプだからな」
アンチョビ「みほ、ペパロニとカルパッチョだ」
みほ「・・・えっと」
ペパロニ「へえー、この娘がみほっすか。可愛いっすね!」
カルパッチョ「西住みほさん、カルパッチョです。これからよろしくお願いしますね」
みほ「・・・うぅ」
アンチョビ「みほ、大丈夫だ。私達は家族だ、だろ?」
みほ「に、西住みほです・・・。よろしくお願いします」
アンチョビ(うーん、みほは馴染んでくれるだろうか?)
ペパロニ「さて、自己紹介も終わったしそろそろ本題に入りますかね」
アンチョビ「なあ、みほ。学校へ行く気は無いか?」
みほ「・・・」
アンチョビ「日々関わるのが私達だけ、というのも良くないんじゃないかと思う」
アンチョビ「どうだ?」
みほ「・・・仮に私が行くと言ってもどうするんですか」
みほ「私は・・・、まだ黒森峰の生徒です・・・」
ペパロニ「私達と入れ替われば良いんっすよ!」
アンチョビ「お前は単に授業をサボりたいだけな気がするがな」
ペパロニ「えー、そりゃないっすよ姐さん」
カルパッチョ「周りのみんなには話はすでにつけてあります」
ペパロニ「うちの学校は出席をわざわざ録らないんで、ヘタをしなきゃバレないっす」
アンチョビ「みほ、私達は既に手を差し伸べている」
アンチョビ「私は何があってもお前を守って見せる」
みほ「・・・」
ペパロニ「姐さんの言う通りっす。私達は家族っすから!」
カルパッチョ「みほさんの生きる世界は黒森峰だけでは無いんですよ」
アンチョビ「・・・」
みほ「・・・お」
みほ「お願いします・・・」
ペパロニ「ふー、良かったすね。姐さん」
カルパッチョ「ええ、新たな仲間を迎え入れることができて嬉しいです」
アンチョビ「ああ!みほ」
アンチョビ「アンツィオ高校にようこそ、だな!」
みほ「・・・少し新鮮です」
アンチョビ「うん、よくにあっているし可愛いぞ!」
カルパッチョ「私の古い制服を持ってきたんですが・・・。ごめんなさい、みほさん」
カルパッチョ「お古ではなく、新品のを持ってくれれば良かったんですが・・・」
みほ「いえ、ありがとうございます」
ペパロニ「うーん、それにしても可愛いっすね。彼女にしちゃいたいくらいっすよ」
アンチョビ「なに考えているんだペパロニ!」ゴツン
ペパロニ「痛ー!殴ることないじゃないっすか!」
今日はこのぐらいで・・・
少し話の展開が早過ぎるのかなと、不安です
明日から平日なのでそんなに更新はできないかと思います
アンチョビ「落ち着きは無いが、良い奴だっただろ?」
みほ「はい、・・・楽しそうな人達でした」
アンチョビ「そうか、少しは馴染んでもらえて良かったよ」
みほの回復は思いのほか順調だった。
今日出会ったばかりのペパロニやカルパッチョ達とちゃんと目を見て話すことができたのは良い兆しだ。
この分なら周りがちゃんと受け入れてさえくれれば学校も問題ないだろう。
みほ「・・・アンチョビさんって時々ボーっとして、なに考えているか分からないときありますね」
アンチョビ「・・・ん、なんか言ったか?」
みほ「・・・」クスッ
みほ「いいえ、何でもありません」
アンツィオ高校 教室前
ペパロニ「来ますかね、姐さん達」
カルパッチョ「来るわよ、きっとね」
アンチョビ「おっ、二人共揃っているな」
みほ「お、おはようございます・・・」
ペパロニ「来たんすね!良かったっす」
カルパッチョ「おはようございますドゥーチェ、みほさん」
アンチョビ「じゃあ後は二人に任せるぞ」
ペパロニ「任しといてくださいっす!」
アンチョビ「それじゃあ、また後でな。みほ」
みほ「はい、アンチョビさん。気を付けて・・・」
アンチョビ「ああ、みほもな」
ペパロニ「・・・さて、じゃあ私達も行きますか」
ペパロニ「ここが教室っす!」
カルパッチョ「私の教室はその隣よ」
ペパロニ「今日は・・・、カルパッチョと入れ替わる日っすね」
カルパッチョ「五、六時間目は調理実習なのでそこだけは替わっていただかないといけないのですが・・・」
ペパロニ「困ったことがあれば私かカルパッチョに聞いてくださいっす」
みほ「はい、ありがとうございます」
カルパッチョ「それではみほさん、こっちに・・・」
アンツィオ高校 昼前
みほ「うぅ・・・」
カルパッチョ「大丈夫ですか、みほさん?」
みほ「いえ、ちょっと疲れてしまって・・・」
カルパッチョ「そうですよね・・・」
みほ「でも、ここの雰囲気はとても好きです」
カルパッチョ「そう言ってもらえて良かったです!」
ペパロニ「おーい、お二人さん」
ペパロニ「昼飯、買いに行くっすよ!」
みほ「なんだか活気がありますね・・・」
ペパロニ「そりゃあアンツィオは料理に命をかけてるっすから!」
カルパッチョ「アンツィオ高校の屋台は他校の間でも有名なんですよ」
みほ「・・・そうですか。黒森峰にいた頃は戦車道のことしか知らなくて・・・」
カルパッチョ「・・・」
ペパロニ「・・・大変っすよね。みほさんも」
アンチョビ「おーい、みほ!」
ペパロニ「姐さんじゃないっすか」
アンチョビ「なんだ、お前達も来ていたのか」
カルパッチョ「・・・」
カルパッチョ「それでは、ドゥーチェ、私達はあちらの方で食べますから」
ペパロニ「えっ?一緒に食うんじゃないんすか?」
カルパッチョ「ペパロニ、ほらこっちに」
ペパロニ「えー?何なんすか?」
アンチョビ「・・・」
みほ「・・・アンチョビさん?」
アンチョビ「・・・よし」
アンチョビ「みほ、食べに行くぞ!」
みほ「はっ、はい!」
アンチョビ「みほ、どこか気になる屋台はあるか?」
みほ「えっと・・・、あの赤い屋根の・・・」
アンチョビ「あそこか。よし、そこにするか」
アンチョビ「どうだ、美味しいか?」
みほ「とても美味しいです!」
アンチョビ「そうか!」
みほ「・・・この屋台は毎日開かれているんですか?」
アンチョビ「ああ、そうだが?」
みほ「スゴいですね・・・」
アンチョビ「まあ、料理はウチの誇りだからな。他校との交流にも大いに役立つし・・・」
みほ「成る程・・・。確かにこれほど美味しいのなら・・・」
アンチョビ「・・・みほがアンツィオを気に入ってくれて良かったよ」
カルパッチョ「あっ、みほさん」
ペパロニ「二人共食べ終わったすか?」
アンチョビ「ああ、お前たちは?」
ペパロニ「姐さんたちと同じように屋台で済ませたっす」
アンチョビ「そうか・・・」
カルパッチョ「ドゥーチェ、そろそろ休憩時間終わりますよ」
アンチョビ「もうそんな時間か、じゃあ後はよろしく頼む」
みほ「あの・・・、私はどうすれば・・・」
アンチョビ「カルパッチョと入れ替わるんじゃないのか?」
カルパッチョ「いえ、私たちのクラスは調理実習なので・・・」
ペパロニ「じゃあ私と入れ替わ・・・」
アンチョビ「お前は駄目だ!ただでさえ留年しかねない成績だろう!」
ペパロニ「そんなぁ・・・」
アンチョビ「とはいえどうしたものか・・・。私とみほでは学年が違うしな・・・」
ペパロニ「そうだ!屋上ならほとんど人が来ないしのんびりすごせるっすよ!」
アンチョビ「ああ?なんでそんな事お前が知っているんだ?」
ペパロニ「そりゃあ、サボるには最適っすから!」
アンチョビ「お前なぁ・・・」
みほ「えっと・・・」
アンチョビ「・・・仕方がない。ペパロニ、案内してやってくれ」
ペパロニ「了解っす!」
アンツィオ高校 屋上
ペパロニ「ここっす!」
みほ「気持ち良さそうな所ですね」
ペパロニ「そうなんっすよ!ここで寝るととっても気持ち良いっす!」
みほ「あはは・・・」
みほ(アンチョビさんも言っていたけどペパロニさんは成績だいじょうぶかなぁ?)
ペパロニ「と、言うわけで・・・」ゴロン
ペパロニ「おやすみっす・・・」
みほ「えっ・・・、ペパロニさん?」
ペパロニ「・・・」スヤア
みほ「どうしようかな・・・」
ペパロニ「・・・ん」
みほ「ペパロニさん、起きました?」
ペパロニ「ん、ああ・・・。おはようございます、みほさん・・・」
ペパロニ「って、ええ!?」
ペパロニ「な、何でみほさんに膝枕されているんすか!?」
みほ「いえ・・・、固いコンクリート床だと寝にくいかなと・・・」
みほ「嫌・・・、でしたか?」
ペパロニ「いやいや!そ、そんなこと無いっす!むしろ嬉しいと言うか・・・」
みほ「そうですか・・・」クスッ
ペパロニ(・・・姐さんがみほさんに惹かれた理由がよく理解できた気がするっす)
みほ「それで・・・、もう授業終わりましたけど・・・」
ペパロニ「もうそんな時間なんすか・・・」
ペパロニ「って、練習始まるじゃないっすか!」
ペパロニ「じゃあ先に失礼するっす!」
バタンッ
みほ「・・・」
アンツィオ高校 整備庫
アンチョビ「よし、皆は帰ったか?」
カルパッチョ「ええ、ドゥーチェ」
ペパロニ「どうしたんすか、私達だけの話って」
アンチョビ「・・・今年の戦車道大会の事だ」
ペパロニ「ん、大丈夫っすよ!今年も優勝目指すっすよ!」
カルパッチョ「ええ、今年もみんなと頑張りましょう」
アンチョビ「・・・正直に話そう」
ペパロニ「・・・?」
カルパッチョ「・・・」
アンチョビ「今年の優勝は・・・、はっきり言って難しいと思う」
ペパロニ「姐さん・・・?」
カルパッチョ「ドゥーチェ・・・」
アンチョビ「大洗高校、知っているか?」
ペパロニ「確か・・・、今年の大会で優勝必須の学校だったような」
ペパロニ「文科省の学園艦削減政策の対象校でしたっけ・・・」
カルパッチョ「・・・」
アンチョビ「あまり考えたくないが・・・、大洗の次はアンツィオだと思う」
ペパロニ「・・・姐さん、今何て言いました?」
アンチョビ「次の対象校はアンツィオなんだっ!私に繰り返させるな!」
ペパロニ「す、すいませんっす・・・、。姐さん・・・」
アンチョビ「・・・すまない」
カルパッチョ「その・・・、ドゥーチェ?」
カルパッチョ「廃校対象から外れるには戦車道大会での優勝が必須なんですよね」
アンチョビ「ああ、そうだ」
カルパッチョ「だったら、突き進むしかないんじゃないですか?」
アンチョビ「カルパッチョ・・・」
ペパロニ「・・・そうっすね。クヨクヨしても仕方がないっす!」
ペパロニ「優勝すりゃあいいんすよ!」
アンチョビ「しかし・・・」
カルパッチョ「P26/40も新たに加わったんですから、ね。もう一度頑張りましょう!」
アンチョビ「・・・ああ、そうだな」
アンチョビ「ありがとう。カルパッチョ、ペパロニ」
アンチョビ「・・・さて、アイツ等も帰ったし、私も帰るか」
アンチョビ「そうだよな・・・、私がしっかりしなくてどうするんだ!」
アンチョビ「私はアイツ等にとってのドゥーチェでないと・・・、いけないのに・・・」
ガチャッ
みほ「あの・・・、アンチョビさん?」
アンチョビ「!?」
みほ「ご、ごめんなさい!驚かせてしまいましたか?」
アンチョビ「なんだ、みほか・・・」
アンチョビ「・・・って、もしかしてずっと待っていたのか!?」
みほ「はい、私一人で勝手に帰るのはどうかなと思って・・・」
アンチョビ「そんなこと気にしなくても良かったのに・・・。すまないな」
アンチョビ「でも、ありがとう。その気持ちは本当に嬉しいよ」
みほ「そ、そうですか・・・」テレカクシ
アンツィオ高校 学生寮
アンチョビ「さーて、飯だ飯!」
みほ「今日も美味しそうですね」
アンチョビ「それじゃあ」
アンチョビ「いただきます」
みほ「いただきます」
アンチョビ「明日も行けそうか、学校は?」
みほ「はい、とても楽しかったです」
みほ「みんなの温かさだとか、活気が新鮮で・・・。黒森峰では・・・、ありませんでしたから」
アンチョビ「そうか・・・」
みほ「・・・」
みほ「・・・廃校になるんですか?」
アンチョビ「・・・聞いていたのか」
みほ「聞くつもりは無かったんです・・・。アンチョビさんのところに行こうと思ったら聞こえてきて・・・」
アンチョビ「・・・」
みほ「・・・」
アンチョビ「まあ、せいぜい抗ってみるよ。私がドゥーチェである限りは、な」
みほ「・・・」
アンチョビ「そんなに暗い顔をするな!大丈夫だよ・・・」
みほ「・・・」
アンチョビ「・・・」
みほ「・・・私にもう一度だけチャンスを」
みほ「・・・チャンスをください」
アンチョビ「・・・」
アンチョビ「・・・今、何て」
みほ「戦車道を・・・、させてください・・・」
アンチョビ「みほ・・・」
【黒森峰生徒の手記】
みほさんがいなくなってどのぐらいだろう?
周りの皆は誰も気にしていない・・・。罰を受けるべきは私なのに。
最近とある噂を聞いた。みほさんはアンツィオ高校にいる、と。
アンツィオ高校、聞いたことは無くもない。
戦車道大会において毎度の如く初戦敗退。ロクに結果を残してはいない。
しかしみほさんがそこへ行ったのなら?
もう戦車道を辞めているのだろうか?
いいや、違う。あの人は・・・、辞めるはずがない。
私に何か手伝えることはないだろうか?
・・・大会用に既に輸送機に積み込まれた戦車があるらしい。
『フェルディナント』
もう一度、私も踏み出してみよう。
試験期間のお陰で時間が取れずに更新が大幅に遅れました・・・。申し訳ない
次はとある黒森峰生徒の視点になります
いろいろと期間が開いてしまい申し訳ありませんでした・・・
学期末と並び実力試験、さらに先日の大雨で自分が住んでいる地域も随分と被害を受けてしまったもので・・・
黒森峰高校 学生寮
赤星「・・・どうすべきかなぁ」
アンツィオ高校のホームページを眺めながら、思わず口に出してしまう。
赤星「・・・」
『みほさんがアンツィオにいる』
ここ数日校内で出回っている噂だ。
もし、そうであるならば是非とも転校してお役に立ちたい。
が、しかしそれは単なる噂だ・・・。
赤星「みほさんがそこにいなかったら?」
文科省の推薦しているスポーツなだけに、戦車道現役選手は高校入学や編入学の際優待される。
黒森峰生徒となればなおさらだ。
アンツィオ高校は戦車道においては弱小校。
現時点での編入学は容易だ。
が、しかし仮にもみほさんがアンツィオ高校に居なかったとしたら?
完全なる無駄足だ。
それに転校を繰り返す生徒というものは学校側からは良い目では見られない。
それと例のフェルディナントの事もある。
あれは間違いなく大きな戦力になる、それゆえに是が非でも持っていきたい。
赤星「・・・」
赤星「うだうだ考えても仕方ないか・・・」
覚悟を決めてジャケットを羽織る。
これが逃げ出した情けない自分への罰と、みほさんへのお詫びのつもりだ。
黒森峰 航空科所有格納庫
黒森峰の保有する戦車はどれもこれも手間と金がかかるヘビー級ばかりだ。
ティーガー、ティーガーⅡ、ヤークトパンター挙げ句の果てにマウスとくる。
それらを収納する格納庫も馬鹿デカく、それも一つではすまない。
今大会は初戦の際に戦車を空輸する羽目になったわけだが、上記した連中ばかりで構成しているせいで一まとめにして運ぶことが出来ない。
だから大会の始まる前に少しずつ日を分けて運ぶ。
しかし、それこそがフェルディナント強だ・・・いや、譲ってもらうチャンスだ。
幸いにもフェルディナントを積み込んだ機体はまだ出発していない。
予定では明後日には出発するらしいのであまり時間にゆとりがあるとも言えないが・・・。
問題はこれをどう合法的に強奪・・・じゃなくて、譲ってもらうか。
「小梅」
赤星「!?」
エリカ「貴女、ここで何しているの?」
赤星「い、いや・・・。ちょっと様子を見ておこうかなと・・・」
エリカ「そう、ならいいけれど」
赤星「はい・・・」
エリカ「フェルディナント強盗、そこまでよ!」
赤星「なっ・・・!」
エリカ「・・・なんてね。冗談よ、冗談」
赤星「あ、アハハ・・・。勘弁してください・・・」
エリカ「・・・それじゃ、そろそろ寮の方に戻るわ」
赤星「ええ。お、おやすみなさい」
エリカ「小梅も早く戻りなさい。もう夜遅いわ」
赤星「もう少ししたら戻ります」
エリカ「後、あのどうしようもない元副隊長。アンツィオに居たらしいわよ」
赤星「えっ!?それは単なる噂じゃなかったんですか!?」
エリカ「編入学届出したらしいわ。アンツィオに」
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