【彼岸島ss】母ちゃん (10)

※ものすごく短いです


オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ

ネズミ「ねえ鮫島様、なんたってあの勝次(ガキ)をあそこまで気にかけるんです?」ハァ ハァ

鮫島「あ?」ギロッ

ネズミ「ひっ!だっ、だってあいつ精二様にだってキツクあたるじゃないですか。普段の鮫島様ならひねり殺すなりなんなり...」

鮫島「そりゃあ、お前...」

鮫島「......」

鮫島「あいつのことが気に入ってる。それ以上に理由なんざいらねえだろうが」

ネズミ「で、でもここまで気にかけることは」

鮫島「ウルセェな。俺が決めたことを譲らないのはとっくに知ってるだろうが。嫌ならさっさと船まで引き返せ」

ネズミ「わ、わかりましたよぅ」

精二「......」


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タートルネックの依頼を受けて洞窟を抜け、東京の地にたどり着いたあと



精二「兄キ、サッキノネズミノ質問ニナンテ答エヨウトシタノ?」

鮫島「勝次のことか?さっき言ったろ、俺はあいつのことが気に入ってるんだって」

精二「デモ、ナンデ気ニ入ッテイルカマデハ言オウトシナカッタヨネ」

鮫島「...ハッ。あの馬鹿は誤魔化せても、さすがにお前は誤魔化せないか」


鮫島「いや、たいしたことじゃねェんだよ。本当に、小せェ拘りさ」

精二「拘リ?」

鮫島「おう。勝次(あいつ)を見てるとな、昔の俺が重なって見える時があるんだ」

精二「ナンデ?」

鮫島「あいつの母ちゃん、ついこないだまで吸血鬼に好き放題にされててな」

鮫島「勝次はその母ちゃんを守ろうとしてたんだが、とても子供一人で勝てる相手じゃねえ。当然、目の前で母ちゃんが吸血鬼に抱かれてるのを涙ながらに見届けることしかできなかったそうだ」

鮫島「そう考えると、酔っ払いのクソ親父から守ってくれたお袋に怯えながら隠れることしかできなかった俺たちと似た境遇にあると思わないか?」

精二「ソウダネ」




鮫島「けど、あいつは俺とは違ったんだ」

精二「?」

鮫島「俺はお前と一緒に押入れに隠れて自分の身を守ることで精一杯だった。いつも、自分の顔を腫らしながら"怖い思いをさせてごめんね"って謝ってくるお袋になにもしてやれなかった」

精二「ダカラ、俺タチは大キクナッテカラ、オ袋ニ手ヲ出サセナイタメシバラク家ニ居ヨウトシタンダヨネ」

鮫島「まァな。尤も、その元凶のクソ親父は俺が殺しちまったわけだが」

鮫島「でもな、あいつは母ちゃんが化け物になろうが、自分を殺しかけようが、ずっと母ちゃんに寄り添い続けた。辛いのも恐えェのも全部に耐え切ってだ」

鮫島「その上、明や俺達を助けるために人質になることを躊躇わなかったらしいじゃねェか。しかも、仕方なくなんかじゃねェ。明が必ず助けてくれると信じてるって顔でだ」

鮫島「俺はよ、そんなあいつを気に入ってる以上に尊敬してるんだ」




精二「フーン。ナラ、ネズミニモソウヤッテ答エレバヨカッタノニ」

鮫島「バカ、んなのこっ恥ずかしいだろうが」

精二「フフッ、兄貴ハ相変ワラズシャイナンダネ」

鮫島「う、うるせえな!お前も似たようなもんだろうが!俺ァ知ってんだぞ、初めてお前が女を抱こうとしたとき...」

精二「ワー、ソコニハ触ナイデヨ!」

ワー ワー


オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ

鮫島(...母ちゃん、か)

鮫島(俺は、いつも守ってくれたお袋を少しでも幸せにしてやることができたのだろうか)

鮫島(それに、最期まで勝次を想って散っていった母ちゃん...)

鮫島(あの人が死んだ時、俺は誓ったんだ。勝手な約束だがよ。せめて俺たちが傍にいる間は、絶対に勝次を守ってやらなくちゃってな)

鮫島(お前だってそうだろ、明)

鮫島(待ってろよ勝次。明の体調が治ったらすぐに迎えに行ってやるからよ。それまで絶対に死ぬんじゃねェぞ!)


終わり

終わりです

今更ながら母の日のSSです。
ここ最近死亡フラグを連発しまくってる鮫島兄弟ですが、どうにか生き残ってほしいと毎週ハラハラしています。

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