飼育員「おーい、餌の時間だぞー!」
絶滅しそうな動物「ゼツゼツ! メツメツ!」
飼育員「さ、たっぷり食べろ」ザラザラ
絶滅しそうな動物「ゼツメツ」ムシャムシャ
飼育員「たっぷり食べて、繁殖してくれよ!」
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飼育員「うまいか?」
絶滅しそうな動物「ゼツゼツ!」
飼育員「そうかそうか」
飼育員「なんたってその餌をこさえるのに、三時間もかかってるんだからな……」
飼育員「まったく、人間よりもいいもん食いやがって」
飼育員「ま、仕方ないよな。絶滅しそうなんだから。なんとしても元気でいてもらわなきゃ」
絶滅しそうな動物「ゼツメツゼツメツ」ムシャムシャ
絶滅しそうな動物「ゼツゥゥゥゥゥ!!!」
飼育員「ん? ストレスが溜まってるのか? 放っておいたら病気になるかも……」
飼育員「今は他の動物の世話をする時間だけど仕方ない。ボール遊びしてやるよ」
飼育員「ほらっ!」ポーンッ
絶滅しそうな動物「ゼツメツゥ!」
飼育員「もういっちょ!」ポーンッ
飼育員「優先順位は高くなるよな……なんたって絶滅しそうなんだから」
絶滅しそうな動物「ゼツゥ…メツゥ…」
飼育員「どうした、しっかりしろ!」
絶滅しそうな動物「メツゥゥゥ…」
飼育員「大丈夫だ! この動物園にはお前達のために優秀なドクターが常駐してるから!」
飼育員「ドクターッ!」
獣医「ただいま参上!」シュタタタッ
ワイワイ… ガヤガヤ…
「あっ、絶滅しそうな動物だ!」
「キャーッ、かわいい~!」
「こっち向いて~!」
「こんな間近で見られるなんて、感動だな~」
絶滅しそうな動物「ゼツゥ…メツゥ…」トコトコ
飼育員「さ、今日の交尾タイムだ」
絶滅しそうな動物「ゼツゥ!」
飼育員「オスで一番力があって賢いのはお前だから、しっかり交尾してくれよ!」
絶滅しそうな動物「ゼツゼツメツメツゥ!」ギンギン
絶滅しそうな動物「ゼェェェェェェツッ!!!」ガバッ
絶滅しそうな動物♀「メェツ! メェツ!」
ある日……
飼育員「おい、喜べ!」
絶滅しそうな動物「ゼツメツ」
飼育員「ある山奥で、野生のお前の仲間の群れが見つかったそうだ!」
絶滅しそうな動物「ゼェツ!」
飼育員「少なくとも百頭はいるらしいから、もし本当なら、絶滅の危機をしのげるかもしれない!」
飼育員「まだニュースになってない非公式情報だけどよかったな! ……って言葉が分かるわけないか」
絶滅しそうな動物「メェェェツ!」
夜……
職員「たっ、大変だ!」
飼育員「どうした?」
職員「絶滅しそうな動物のあのオスが、檻から脱走した!」
飼育員「な、なんだって!?」
職員「もしもあいつに死なれたら、大変なことになるぞ!」
職員「動物園の看板動物といっていいし、貴重なオスなのに!」
飼育員(ひょっとしてあいつ、仲間に会いに行ったんじゃ……)
次の日……
獣医「絶滅しそうな動物は、園内の私の部屋で見つかったそうだ」
獣医「私も帰宅した後だったのに、一体どうやって入ったのか……」
絶滅しそうな動物「ゼツゼツ」
飼育員「よかった……」ホッ
飼育員「コラ! もう二度と脱走なんかしちゃダメだぞ!」
絶滅しそうな動物「メェツ…」
飼育員(だいぶ汚れてるな……ってことは動物園の外にも行ってたのか。無茶しやがって……)
飼育員(さて、今日はこれで帰るとするか)
TV『続きまして、悲しいニュースです』
飼育員「ん……なんだろう?」
飼育員「……なぁ」
絶滅しそうな動物「ゼェツ」
飼育員「山奥で見つかったっていう、野生のお前の仲間の群れ……」
飼育員「全頭、泡を吹いて中毒死しちまってたんだってさ」
飼育員「人間が山に垂れ流した産業廃棄物かなんかが原因だろうって……ちくしょう!」
飼育員「こういうことがあるといつも思うよ……人間こそ絶滅すべきなんだって!」
絶滅しそうな動物「ゼェツ…ゼェツ…」ペロペロ
飼育員「ありがとう……」
飼育員「おーい、餌の時間だぞー!」
絶滅しそうな動物「ゼツゼツ! メツメツ!」
飼育員「さ、たっぷり食べろ」ザラザラ
絶滅しそうな動物「ゼツメツ」ムシャムシャ
飼育員「たっぷり食べて、繁殖してくれよ!」
飼育員(野生の仲間が全滅しちゃったから、今まで以上に大切にしてあげないとな……)
獣医「うーん……」
飼育員「どうしました、ドクター?」
獣医「実は……私の部屋にはある種の劇薬が厳重に保管されているのだが――」
飼育員「動物の安楽死処分などのためですね」
獣医「量が減っているのだよ」
飼育員「えっ、そうなんですか?」
獣医「例の脱走騒ぎが起こる少し前に、量を確認したら、ちゃんとあったのだが……」
飼育員「あの騒ぎに乗じて誰かが盗み出したのかもしれないってことですか……」
飼育員「いや、きっと気のせいですって!」
獣医「だといいんだが」
飼育員「ちなみに、その劇薬を飲むとどうなってしまうんです?」
獣医「うむ、ごく少量でもなめてしまうと、泡を吹いて……」
END
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