男「うげっ、蚊と蛾がいる! 気持ちわりィ! あっち行け!」シッシッ
蚊「へいへい、あっち行こうぜ~」プーン…
蛾「全く……なぜ我々はこうも嫌われるのか」パタパタ…
蚊「仕方ないって。俺たちが嫌われるのは、大昔からの慣習みたいなもんだ」
蛾「しかし、実際に人を刺す貴様が嫌われるのは分かるが、なぜ私まで? ただ飛んでるだけだぞ?」
蚊「見た目がね……」
蛾「…………」
蚊「まぁまぁ! 嫌われてるのは俺たちだけじゃないし! たとえば、蝿の奴なんか――」
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女「キャーキャーッ!」
ギャル「蝿さんだわーっ!」
主婦「ステキーッ!」
蝿「みんな、ありがとー!」プーン…
蚊と蛾「え!?」
蛾「な、なぜだ!? なぜ蝿があんなに人気になっているのだ!」
蚊「俺たち以上に嫌われてたはずなのに……!」
蛾「蚊よ、どうする?」
蚊「決まってる……どうしてあんなに人気になったか聞いてみようぜ!」
蛾「それしかあるまい!」
蚊「おい、蝿!」
蛾「蝿!」
蝿「おお、お前らか。なにか用か?」
蚊「お前、俺たち以上に人間に嫌われてたはずなのに、いつの間にあんなに人気になってんだ!?」
蛾「それも、婦女子たちに……!」
蝿「ああ、あれ? たまたまだよ、たまたま」
蚊「ウソつけ!」
蛾「なにか秘密があるはずだ!」
蝿「なんだよ嫉妬か? ったく、男のくせにウジウジしやがって……」
蚊と蛾「ウジはお前だろうが!!!」
蝿「秘密……秘密ねえ。まあ、あるっちゃあるかな」
蚊「マジか!」
蛾「よし、教えろ……今すぐ!」
蝿「やだね」
蚊と蛾「!」
蝿「俺だって苦労したんだ。そう簡単に教えてたまるかよ」
蚊「そうか……ならしかたねえ」
蛾「貴様は貴様なりに努力したんだろうしな。無理に教わろうとは思わん」
蝿「あら?」
蝿「おいおい、あっさりすぎるだろ。しょうがねえな~……分かったよ、教えてやるよ!」
蚊「相変わらず心変わりはえーな」
蝿「俺が人気になった秘密はな……こっちに来てくれ」プーン…
蚊「?」プーン…
蛾「場所を変えねばならんのか」パタパタ…
蝿「今日はこれでいくつもりだったんだ」
蚊「これは……かりんとう?」
蛾「どうするのだ、こんなもの。食うのか?」
蝿「これにたかって……」プーン…
蝿「前もってセットしておいたカメラで写真を撮る!」
パシャッ
蝿「題して≪かりんとうにたかるハエ≫!」
蝿「んでもって、これをネット上に投稿する!」
蝿「すると――」
蚊「うおっ!? すごい勢いで“いいね!”がついていく!」
蛾「コメントも増えているぞ!」
蝿「へへっ、すごいだろ!」
蝿「他にも色んな写真があるぞ」
≪ハエははえー!≫
蚊「へぇ~、高速で飛んでる蝿をうまく捉えてるな」
≪ハエとフライ≫
蛾「高く浮いた野球ボールとのツーショットか。さわやかな写真だ」
≪清潔なハエ≫
蚊「石鹸に止まってやがる。おもしれー!」
蛾「なるほどな……こういうことだったか」
蚊「ユニークな写真をいっぱい投稿して、人気者になったわけだな!」
蚊「お前の人気の秘密がよく分かったぜ!」
蛾「私もやってみようかな……」
蝿「ここまで人気になるまでは大変だったけど、まぁ、二匹も頑張れよ」
蝿「アドバイスが欲しかったら教えてやるから!」
蚊「そうさせてもらうぜ!」
蛾(≪モスバーガーにいる蛾≫とかどうかな……モス繋がりで)
蝿「ああ、そうだ。そろそろ俺、呼び方を変えてもらおうと思ってたんだ」
蚊「へ? なんで?」
蝿「せっかく人気者になったのに、いつまでも“蝿”じゃ味気ないだろ?」
蝿「今日から俺のことは――」
蝿「“インスタ蝿”と呼んでくれ!!!」
蚊と蛾「…………」
おわり
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