―部室―
ジャラジャラ
八幡「あ……ありのまま今起こっていることを話すぜ!」
八幡「俺はいつも通り、奉仕部の部室に入ったと思ったら、なぜか大量の大人のおもちゃを発見してしまった」
八幡「な……何を言っているのか、分からねーと思うが……俺も分からん」
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八幡「つか何でこんなもんが部室に……? 一体誰が……」
八幡「ハッ……まずい、今この部室内には俺一人。今誰かが部室に来たら、俺がこれらのブツを持ち込んだと誤解される」
八幡「どうする。とりあえず隠すか? いや、俺がここを立ち去るのが一番手っ取り早」
雪乃「あら、比企谷くん」ガラッ
八幡「」
雪乃「……」
八幡「いや、待て。これはだな」
雪乃「……」ピポパポ
雪乃「もしもし、警察ですか。はい、はい、総武高校で……はい、凶器を所持した腐った目つきの性犯罪者が」
八幡「おい、ナチュラルに性犯罪者認定するのはやめろ」
雪乃「何か問題でも? 客観的な証拠が揃いすぎているのだけれど」
八幡「いや、まだ犯罪とか犯してねぇから」
雪乃「ではこれから犯す気なのね。凶器準備集合罪の構成要件を満たすに足る犯行現場だわ」
八幡「難しい法律用語の連呼やめろ。裁判員に伝わらねぇぞ」
雪乃「犯す気なのは否定しないのね」
八幡「肯定した覚えはさらさら無いのだが」
雪乃「じゃあその手に握りしめている麻縄は何?」
八幡「あ、これは……いったん隠そうかと思って手に持って」
雪乃「とうとう自白する気になったようね。やはりこれらはあなたが用意したものだった」
八幡「いや自白じゃねーから! 自白の撤回を要求するッ」
雪乃「その麻縄でいったい誰を縛ろうと……。! まさか……私のからだを」サッ
八幡「おいふざけんな。お前胸ないから縛ってもひっかかりなくて縄がすり抜けるだろ。やるなら由比ヶ浜のほうが」
雪乃「……とうとう自白したわね。この性犯罪者」
八幡「お前誘導尋問うまいな……。つかマジで違うから。それでも俺はやってない! 俺は無実だ!」
雪乃「では、その縄を何に使うつもりだったのかしら?」
八幡「あー、何だ。縄跳び?」
雪乃「ずいぶん長いようだけれど、1人大縄跳びでもするつもりなの? 私も昔よくやったわ」
八幡「しねぇよ。つかやったのかよ1人で大縄跳び……」
雪乃「では何に使うつもりだったのかしら?」
八幡「っと……ほら、あれだ、あれ。縄抜け」
雪乃「縄抜け?」
八幡「縛られた状態から縄を解いて逃げることだ。ゲーム感覚で試しにやってみようと思ってな」
八幡「いかに早く抜けられるかの勝負だ。強盗に押し入られて縛られたときとかに縄抜けできたら便利だろ」
雪乃「……なるほど、勝負なのね」
八幡「ああ」
雪乃「いいわ。その勝負、受けて立とうじゃないの」
八幡「はあ。……はあ?」
八幡「どうしてこうなった」ギチギチ
雪乃「比企谷くん、もう少し上体を下げてもらえるかしら」グイッ
八幡「いだだだっ! おい、あんまりきつく絞めるなよ……体に跡が残ったらどうするんだ」
雪乃「そう? それほどきつく絞めたつもりはないのだけれど」
八幡「つか何でお前亀甲縛りとかできるの?」
雪乃「昔……姉さんがね」
八幡「もういい。怖いからその先は聞きたくないです……」
雪乃「ふう……できたわ。我ながら見事な出来ね」
八幡「おい、人を芸術品のように観賞するんじゃねぇ」
雪乃「比企谷くんという低レベルな素材を使いながらも、高度な芸術品に仕立て上げられる。自分の才能が怖いわ」
八幡「低レベルな素材で悪かったな」
雪乃「10分以内に縄抜けに成功したらあなたの勝ち、失敗したら私の勝ちということで構わないわね?」
八幡「それに異存はないのだが、一つ確かめておきたいことがある」
雪乃「何かしら?」
八幡「縄抜けに失敗して10分が経過してしまった場合、お前はこの縄をちゃんと解いてくれるのか?」
雪乃「ええ、それは保障するわ」
八幡「そうか。それを聞いて安心した。じゃあ、始めてくれ。タイムキーパーを頼む」
雪乃「わかったわ。では……始め」
3分後
八幡「……」シ――ン
雪乃「……」
雪乃「比企谷くん」
八幡「何だ」
雪乃「あまりにも馬鹿馬鹿しいから聞くことも憚るのだけれど」
雪乃「あなた、私がゲーム終了後には解放するという言質を取ったのをいいことに、このまま何もせずに不戦敗を決め込むつもり?」
八幡「ふふ……ようやく気づいたか。俺の戦略的撤退に」
雪乃「呆れた……」
八幡「よくよく考えれば強盗とか滅多に合わないし、縄抜けとか無駄に体力使って消耗するからな」
八幡「たった10分費やすだけで労なく抜けられるなら当然そちらを選ぶ」
雪乃「そういう後ろ向きな頭の回転については、あなたに一目を置かざるを得ないわね」
八幡「言質は取った。それとも雪ノ下、お前は事前に交わした約束事を破棄できるか?」
雪乃「ルールには従うわ。10分後には必ずあなたを解放する。ただし」
八幡「ただし?」
雪乃「あなたの縄抜け挑戦中に、私が干渉できるかどうかは取り決めていなかったわね」つムチ
八幡「え……」
バチン!
八幡「あぅっ!?」
雪乃「嫌でも縄抜けして逃げたくなるように、私が仕向けてあげるわ。ここにある『凶器』の数々を使って、ね」ニッコリ
八幡「ゆ、雪ノ下……さん?」
雪乃「ふふ」バチン!
八幡「痛てぇ! いやこれマジ痛いんだけど!」
雪乃「比企谷くんが縄から抜けだそうとする意志を見せないのなら、私はこのムチであなたを打ち続けるだけよ」
八幡「お前はどこの伝説の超サイヤ人だ! あぁんっ」バチン!
ガラッ
結衣「YAYAYAやっはろー!うぉぉおおっ!!?」
雪乃「……」
八幡「……」
結衣「う……う……ご、ごゆっくりー!!」ダッ
バタン!
八幡「……」
雪乃「……」
八幡「おい、どうすんのこれ?」
雪乃「そうね、どうしようかしら」
八幡「つかYAYAYAやっはろー!って何だよ……」
雪乃「さあ……」
「警察だ!」ガラッ
その後、俺は歪んだ性的欲求を満たすために、女子高生に無理やり自分の体を縛らせ、
ムチで打たせたとして、迷惑防止条例違反の容疑で署まで連行された。
おいおい迷惑防止条例万能過ぎんだろ……。
つか、やっぱり俺が捕まるのか(困惑)
女尊男卑ここに極まれり。
……まあ結局、事情を聴かれただけで、その後の雪ノ下の証言もあって容疑は晴れ、俺は無事解放された。
そのまま帰宅したら、警察から連絡を受けていたらしい小町が、出所祝いということでかつ丼を作ってくれていた。
前科者扱いやめろ。
ちなみに俺が連行された後、雪ノ下はすぐに由比ヶ浜を捕まえて事情を説明したらしいが、その後に部室に戻ったら例のおもちゃは跡形もなく消えていたらしい。
あれはいったい誰の持ち物だったのか。
どういう目的でうちの部室の中に持ち込まれたのか。
そして、誰がどこへ持っていってしまったのか。
真相は藪の中――。
それにしても……。
学校の教室内で美少女に緊縛されてムチ打ちに遭うとかこれなんてエロゲ?
つってもご褒美どころか普通に痛いだけでした。
こんなプレイで興奮できる人間とか、たぶん変態だと思うんですけど。
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている
(了)
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