喜多日菜子「日菜子の長い1日」 (37)


・デレマスのSSです

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4月5日

[日菜子の部屋]

日菜子「ふぅ、今日もレッスンにお仕事、疲れましたぁ~」

日菜子「今の時間は……20時、ですか」

日菜子「最近はお仕事も増えてきて、あっという間に1日が終わりますねぇ~」

日菜子「アイドル活動が充実しているのはいいことです」

日菜子「妄想をする時間が減ったのはちょっと残念ですけど……」


日菜子「でも、アイドルを始めてから妄想をコントロールする力が身についたり、リアリティのある妄想ができたりと妄想の質がワンランク上がった感じがしますねぇ~」

日菜子「それに、日菜子がテレビに出たり、ステージに立つことで王子様が日菜子を見つけてくれる可能性が上がりますもんね!」

日菜子「あぁ……日菜子の王子様はどんな素敵なお方なんでしょう……」

日菜子「きっと、日菜子の想像をはるかに超えるほど、強くて、かっこよくて、優しい。そんなお方なんでしょうねぇ……」

日菜子「困ってる日菜子のもとに白馬を連れて颯爽と駆けつけてくれるんです。そして、王子様は日菜子を乗せてそのまま夜の街へ……むふっ……むふふ♪」


日菜子「……でも、ほんとに王子様はいつ迎えに来てくれるんでしょうか?」

日菜子「日菜子は、いつ王子様が迎えに来ても恥ずかしくないよう、自分を磨き続けています」

日菜子「もちろん、すぐ見つかるとは思ってないんですけど、いまだに姿も形も分からないっていうのは、ちょっと不安になりますねぇ……」

日菜子「……もしかしてこれは、まだ見ぬ王子様の焦らしプレイ!?」

日菜子「あぁん! 出会う前から焦らしプレイなんてそんな……むふ、むふふ♪」


日菜子「おっと、妄想してたらもう21時になりますね。妄想に一区切りつけて、寝る準備をしなきゃですねぇ~」

日菜子「えっと、明日の予定は……朝8時までに事務所に行って、プロデューサーさんとスタジオへ。午後は事務所に帰ってきてトレーナーさんとダンスレッスン、ですね」

日菜子「朝も早いので日課のお祈りをして早く寝ましょう」

日菜子「窓を開けて、夜風に当たりましょう~」

日菜子「4月になって、前より暖かくて優しい風になりましたねぇ。肌をなでる風がいやらしいですぅ♪」

日菜子「そういえば、明日は日菜子の誕生日ですね。最近忙しくて素で忘れてましたね……」

日菜子「せっかくなので、いつもよりたっぷりお祈りしましょう♪」

日菜子「明日は日菜子の誕生日。1年に一度しかない、とても大切な日」

日菜子「『王子様と素敵な1日を過ごせますように』」


日菜子「誕生日ですから、今日くらいはいいですよね……ってあれ?」

日菜子「あれは……なんですかね?」

日菜子「たくさんの星の中に1つだけ赤い星が……というか、さっき空を見た時にはなかったような?」

日菜子「赤色の一等星って聞いたことがないですねぇ……」

日菜子「というか、段々光が強くなっていってませんか!?」

日菜子「ば、爆発するんですか!? 日菜子はまだ王子様に会ってな―――」



ピカッ!!!



日菜子「きゃっ!」

日菜子「……」

日菜子「……」

日菜子「……な、なんともない?」

日菜子「体の異変も、世界の崩壊もない……?」

日菜子「い、いったいなんだったんでしょうか? 赤い星が急に光っただけ……?」

日菜子「あ、あれ? さっきの赤い星が消えてる……?」

日菜子「疲れているんですかね……日課のお祈りも済みましたし早く寝ましょう……」

日菜子「おやすみなさい」


4月6日

チュンチュン
チュンチュン

日菜子「ふぁ……よく寝ましたぁ……」

日菜子「……体に異常はなし、と。ほんとに昨日の赤い星と謎の光はなんだったんでしょうか?」

日菜子「まあ、支度をして早く事務所に行きましょう」


[事務所]

ガチャッ


日菜子「おはようございますぅ~」

愛海「あ! 日菜子ちゃん!」

日菜子「あ、愛海ちゃん。おはようございますぅ~」

愛海「おはよ~! うひひっ!」

日菜子「事務所入り早いですね~。愛海ちゃんも朝からお仕事があるんですか?」

愛海「いや、今日はお昼からのレッスンだけだよー」

日菜子「そうなんですか? じゃあなんでこんなに早く事務所へ……?」

愛海「うひひ、なんでだと思う?」

日菜子「うーん……あっ、刑罰とかですか?」

愛海「最初に出てくる答えがそれ!?」

日菜子「だって、愛海ちゃんですから~」

愛海「それってどういうこと!? 信用されてるの!? されてないの!?」


日菜子「むふふっ、冗談ですよ♪」

愛海「んも~。ひどいよ日菜子ちゃん」

日菜子「むふふっ。すいません、ついいじわるしたくなっちゃって」

愛海「まあいいや。ということで、あたしがこの時間に事務所にいる答えはこれでした! はいどうぞ!」

日菜子「小さな袋? 日菜子にくれるんですか?」

愛海「うん! 開けてみてよ!」

日菜子「は、はい」ガサゴソ

日菜子「これは……シュシュが2つ?」

愛海「そう! 腕に付けてもよし。カバンに付けてもよし。そして、お団子ヘアーの髪留めにしてもよし!」

日菜子「ああ、だから2つあるんですねぇ~」

愛海「そういうこと! ということで、日菜子ちゃん! お誕生日おめでとう!」


日菜子「むふふっ、日菜子の誕生日覚えててくれたんですね~」

愛海「当たり前だよ! これを渡したくて朝から事務所に来たんだよ」

日菜子「ほんとですか? 祝ってもらえたことだけでもうれしいのに、こんな素敵なプレゼントまで……とってもうれしいです、愛海ちゃん♪」

愛海「うひひ♪ まあ、あたしと日菜子ちゃんの仲だからね! 喜んでる日菜子ちゃんを見れて、あたしも早く来た甲斐があったってもんだよ!」

日菜子「日菜子は幸せ者ですねぇ……このお返しはどうしましょう……」

愛海「お返しくれるの!?」

日菜子「へっ? ま、まあそうですね。いつかの時にでも……」

愛海「そのいつかって、今でもいいの!?」

日菜子「そ、それはいいですけど、いま日菜子は何ももってな……」

愛海「ぐへへ、じゃあ遠慮なく! いただきます!」ピョーン

日菜子「えっ?」

日菜子「(愛海ちゃんが日菜子に向かって飛びかかってくる? 正確には日菜子の胸に飛び込もうとしている……?)」

愛海「うひょー!」

日菜子「(きゃっ! 王子様、助け―――)」


ガシッ


日菜子「(……あれ? 衝撃がない?)」

「朝っぱらから何してんだお前は……」

愛海「え、えへへ」プラーン

日菜子「プロデューサーさん……?」

モバP「おう、おはよう日菜子」

日菜子「お、おはようございます」

P「朝から愛海に襲われるとは災難だったな」

愛海「ちょっとー。あたしを災害みたいに思ってない?」

P「実際災害みたいなもんだろ! 毎度毎度迷惑かけやがって!」

愛海「これは仲良くなるためのスキンシップだから~」ワキワキ

P「相手が怖がってたらそれはスキンシップじゃないんだよ! 少しは反省しろ!」

愛海「はーい。反省しまーす」

P「絶対反省する気ないだろお前……」

愛海「……てへっ♪」


P「これはそろそろキツいお灸を据えなければいけないな……」

愛海「ふっふっふ、あたしがお灸程度で止まるとでも?」

「ほう? お灸程度とな?」

愛海「そうだよ! あたしはこれまで数々の困難を乗り越えてきた……」

愛海「だから、何が来てもあたしは止まらないよ! あつみんは自分を曲げないよ!」

「いい返事だ、棟方」

日菜子「あ、マスタートレーナーさん。おはようございます」

マストレ「ああ、おはよう。喜多」

愛海「……へ? マスタートレーナー?」


P「マスタートレーナーさん、この通りなんですけど、愛海を預かってもらってもいいですか?」

愛海「んな!?」

マストレ「ああ、むしろこちらからお願いしたいくらいだ」

P「朝早くからすいません」

マストレ「気にするでない。私もちょうど早く来すぎて暇をしていたところだ」

愛海「あのー、えーっと、そのー」

マストレ「そういうわけだ。こんな朝早くから元気があるのは良いことだ。じゃあさっそくレッスン場へ行くとしようか」ガシッ

愛海「あ、あぁ……あああぁぁ……」

日菜子「愛海ちゃん、生き残ってくださいね」

マストレ「じゃあ棟方、みっちり特訓してやるから覚悟するように!」

愛海「いーーーやーーーだーーー……」ズルズル



P「……」

日菜子「……」

P「なんというか、嵐のような時間だったな……」

日菜子「ですねぇ……」


日菜子「改めてですけど、おはようございます。プロデューサーさん」

P「ああ、おはよう。そして、朝早くから来てくれてありがとう」

日菜子「いえいえ~、大事なお仕事ですからね。ところで、いま事務所には誰もいない感じですか?」

P「そうだな、愛海以外まだ誰も来てないな」

日菜子「なるほど……つまり、今この事務所には日菜子とプロデューサーさんだけ……」

日菜子「あぁ! いけませんよプロデューサーさん……むふっ……」

P「なにが『なるほど……』だよ。嵐が過ぎてから10秒も経ってないぞー、帰ってこーい」

日菜子「むふ……っは! す、すいません、妄想が暴走するところでした……」

P「毎度のことながら、妄想の世界に入るスピードが速いなぁ」

日菜子「むふふ♪ 妄想なら誰にも負けない自信がありますよぉ~」

P「ああ、それは間違いないな」

日菜子「まあ今回は、まだ妄想に入ってないのでセーフですぅ。妄想未遂です」

P「妄想未遂ってなんだ妄想未遂って」


P「というか、日菜子の中で俺はどんな扱いなんだ……」

日菜子「それは……どうなんでしょうね?」

P「『どうなんでしょうね?』って、そんな他人事みたいに」

日菜子「プロデューサーさんは、日菜子の妄想の中ではいろんな役で出てきてくれるんですよ~」

P「便利屋とかその辺なのか?」

日菜子「うーん、あながち間違ってないかもですね」

日菜子「あ、でもプロデューサーさんといるとすごく妄想が捗りますねぇ」

P「活性剤とかなのか? まあ、俺は妄想の中でも裏方なんだな」

日菜子「普段が王子様っぽくないですからね~」

P「手厳しいなぁ」

日菜子「むふふっ♪」

P「まあ、日菜子の役に立ってるならプロデューサー冥利に尽きるってもんかね」


P「よし、じゃあ今日の予定を再確認するぞ」

日菜子「はい~。今日は、これから車で撮影のスタジオに、午後からはここへ帰ってきてダンスレッスン……合ってますか?」

P「おう、ばっちりだ」

日菜子「むふふっ」

P「じゃあ俺は出発までもう少し時間があるから資料をまとめたりしてくる」

日菜子「じゃあ、日菜子はそれまで向こうのソファで妄想に耽ってますねぇ」

P「おう、ほどほどにな。また呼びにいくから、いつでも出れるよう準備をよろしくな」

日菜子「わかりましたぁ~。じゃあ日菜子はもう行きますよ?」

P「おう、もう行っていいぞ」

日菜子「……行きますよ?」

P「? どうぞ?」

日菜子「はぁ……」

P「な、なんだよ。ため息なんかついて」


日菜子「(やっぱりプロデューサーさんはモブとか脇役とかがお似合いですねぇ)」

日菜子「(日菜子の王子様だったら、お姫様抱っこでソファまで運んでそれから……)」

日菜子「それから……むふ、むふふっ……」

P「よいしょっと」ヒョイッ

日菜子「むふ…………え?」

P「向こうのソファまででよかったか?」

日菜子「え!? あ、は、はいぃ!」

P「んじゃ動くぞ」

日菜子「(どどどどういうことですか!? プロデューサーさんが、日菜子に、お、お姫様抱っこを……!)」

P「ん? どうかしたか?」

日菜子「い、いえ! なんでもないですぅ!」

日菜子「(いったいなにが起こってるんですかーーーーーー)」


P「着いたから降ろすぞ」

日菜子「あ、ありがとうございます……」

P「それじゃまた呼びにくるぞ。あと10分くらいかな? それまでゆっくりしててくれ」
日菜子「は、はい」

P「それじゃ、またあとで」

日菜子「はいー……」

日菜子「……」

日菜子「(え? 夢じゃないですよね? 何だったんですか?)」

日菜子「(いきなりお姫様抱っこされて……いや、確かにさっきはお姫様抱っこされたらなぁって妄想しましたけど……いきなりというか、不意打ちというか……)」

日菜子「(というか、プロデューサーさんは当たり前のことをしたって感じで向こうに行きましたし……)」

日菜子「(いったい何だったんでしょう……)」

日菜子「……顔が熱いですぅ」

日菜子「何が起きたかわかりませんが、今は余韻に浸りましょう……♪」


~10分後~


P「日菜子ー、そろそろ出るぞー」

日菜子「はい~。日菜子はいつでも行けますよ~」

P「よし、じゃあ駐車場に向かおうか」



[廊下]

日菜子「……で、その友達にこう言われたんです」

P「なんて言われたんだ?」

日菜子「『アイドルになったのは妄想じゃなかったんだね』って」

P「はっはっは! それは一本取られたな!」

日菜子「ひどいですよねぇ?」

P「まあ、確かにその友達の言いたいこともわかるぞ」

日菜子「むぅ! プロデューサーさんまで!」

P「ははは、すまんすまん」

日菜子「……」

日菜子「(プロデューサーさんの様子は、普通ですねぇ)」

日菜子「(さっきの突然のお姫様抱っこはいったいなんだったんでしょう……)」

日菜子「……」ジー

P「ん? どうした? 俺の顔に何かついてるか?」

日菜子「いえ、なんでもないですよぉ~」

P「?」


日菜子「(むふ? 向こうから山積みの段ボールを運んでいる人が……台車に入りきってないけど大丈夫ですかね?)」

日菜子「(あ、でもあの段ボールの山が日菜子に襲いかかってきて、それを間一髪のところで王子様が助けてくれるのも……そして、そのまま被さるように倒れた2人は……むふふ♪)」


カラカラカラ……バキッ


???「あっ」グラッ

日菜子「…………え?」

日菜子「(ほんとに荷物が倒れて……さ、避けなきゃ……あっ、これ間に合わな―――――)」

日菜子「助け―――」

P「危ない!!!」


ドサドサドサッ



チュッ


[車内]


P「い、いやー……さっきは災難だったな」

日菜子「そ、そうですね! でも、ぎりぎりのところでプロデューサーさんが庇ってくれたので助かりましたよぉ!」

P「アイドルを守るのもプロデューサーの仕事だからな! 怪我がなくてほんとよかった!」

P「はははっ……」

日菜子「……」

P「に、荷物を積んでた台車のキャスターがいきなり取れたんだってな」

日菜子「そ、そうみたいですね……」

P「そう、さっきのは事故なんだ!」

日菜子「そうです! さっきのは事故なんです!」

P「だ、だから、さっきの覆いかぶさる形になったのも、やむをえなかったというか、不慮の事故というか……」

日菜子「わ、わかってます! わかってますよぉ!」

P「……すまん」

日菜子「き、気にしてないですから! 日菜子は全然気にしてないですから!」

日菜子「さっきのキスは不可抗力ですから!」

日菜子「……あっ」

P「……」

日菜子「……」カァァァァァァ

日菜子「む、むしろ貴重な体験でしたからっ……」

P「う、うん……」

日菜子「(不慮の事故とは言え、プロデューサーさんと、き、ききき、キスを……)」

日菜子「(ああ、さっきの光景を思い出してしまいますぅ~~~~~~)」

日菜子「(これはダメです。意識しないようにしましょう……)」

日菜子「(あ、でもさっきの唇の感触、もうちょっと感じていたいかも……)」


P「……コンビニに着いたが、何か欲しい物とかあるか?」

日菜子「いえ、特にはないので日菜子は車の中で待っておきます」

P「そうか。じゃあ、飲み物を買ってくるからちょっと待っててくれ」

日菜子「わかりました~」

P「すぐ戻る」

日菜子「(結局あれから会話はなく、気まずい空気のままここまで来てしまいました)」

日菜子「これからお仕事なんですから、気持ちを切り替えないとですねぇ……」

日菜子「それにしても、今日は不思議なことがよく起こりますねぇ」

日菜子「まるで『日菜子の思っていることが現実になってるみたい』ですねぇ~」

日菜子「……」

日菜子「突然のお姫様抱っこ……倒れてくる荷物……これの前には日菜子の妄想があって……」

日菜子「ま、まさかですよね……? 日菜子はサイキッカーではなく、ただの夢みる乙女……」

日菜子「でもそうだとすると、これまでの出来事に辻褄が合います……」

日菜子「……試してみましょうか」


日菜子「えっと、いつものように妄想すればいいんですよね?」

日菜子「妄想の内容はどうしましょう……」

日菜子「あ、今日は誕生日……これです!」

日菜子「誕生日……誕生日……むふっ、むふふっ♪ あぁ、昂ってきましたぁ~♪」

日菜子「(今日のお仕事とレッスンが無くなって、途方に暮れる日菜子。そこに現れる王子様。いつもがんばってる日菜子にご褒美の……むふ……むふふっ……)」

日菜子「あぁ! そんな大胆な……ダメですよぉ!」

日菜子「むふふふふ……」


P「おーい、日菜子ー」

日菜子「…………っは! プロデューサーさん?」

P「妄想中のところ悪いんだが、連絡がある」

日菜子「はい、何ですかぁ?」

P「急ですまないんだが、今日の撮影は延期だ」

日菜子「……へ?」

P「さっき、スタジオの方から連絡があって、今日使うスタジオの天井が突然崩れたんだと」

日菜子「……」

P「それで、その下にあったセットも一緒に壊れて撮影ができなくなったらしい」

日菜子「……」

P「だから、ここまで移動した後で悪いが、今日の午前中の仕事はなくなった」

日菜子「そ、そうですか……」

P「というわけで、これから事務所に引き返そうと思うが……」


ピリリリッ ピリリリッ


P「……っと、すまない。話の途中だが電話みたいだ」

日菜子「……電話に出てください」

P「おう、すまないな。って、愛海から? なんかあったのか?」ピッ

P「はい、もしもし……おう俺だが…………えっ!? レッスン場が突然の水漏れで封鎖された!?」

日菜子「……」ピクッ

P「ふむ、ふむ……業者を呼んだからひとまずは大丈夫だと…………それで、今日1日レッスン場が使えなくなったという連絡をアイドル達に回してほしいと……」

P「わかった。すぐに回しておく…………おう、連絡ありがとな。それじゃ」ピッ

P「聞いてたか?」

日菜子「……はい」

P「まあ、そういうわけだ。午後の予定もなくなった。ほんと、すごい偶然だな」

日菜子「そ、そうですね。すごい偶然ですね」

P「とりあえず、俺はみんなに連絡を入れるからちょっと待っててくれ」

日菜子「わかりました」


日菜子「(これはもう偶然……ではないですよねぇ)」

日菜子「(ほんとに日菜子の思ったことが現実に……)」

日菜子「(そして問題なのが、これによって物が壊れたりなどの被害が出ていること……)」

日菜子「これは、少し危険ですね……」

日菜子「……よし、決めました」


日菜子「日菜子、今日は妄想を封印しますぅ!」


日菜子「(妄想を封印……それは、日菜子のアイデンティティがクライシスするということ……)」

日菜子「(それでも日菜子は……日菜子は……)」

日菜子「成し遂げてみせますよぉ!」


P「……なあ、日菜子」

日菜子「……なんですかぁ?」

P「……夕焼けがきれいだな」

日菜子「……はい。とっても綺麗ですねぇ」


ザザーン……ザザーン……


P「……」

日菜子「……」


ザザーン……ザザーン……


P「……なあ、日菜子」

日菜子「……なんですかぁ?」

P「なんで日菜子はドレス、俺はタキシードを着て、二人で白馬に乗って、海沿いを歩いてるんだろう……?」

日菜子「……なんでですかねぇ」

日菜子「(プロデューサーさん、ごめんなさい。やっぱり……妄想には勝てなかったですぅ……)」


P「どうしてこうなったんだっけなぁ……」

日菜子「……」

P「確か、昼ご飯を食べようとして入ったデパートで累計来店者100万人に選ばれたんだよな」

P「それで、特典としてドレスとタキシードを着て記念写真を撮れるっていう権利をもらったのが始まりだったな……」

日菜子「……」


日菜子『(今から入るこのデパートで累計100万人記念に選ばれたり……そして、王子様と仲良く記念写真を……むふふっ♪)』



P「次は、その撮影中に強盗犯が乱入してきて、日菜子が人質に取られたんだっけ……」

P「俺は決死の覚悟で強盗と格闘、そして日菜子を無事救い出すことができた。我ながらよくやったと思うよ」

日菜子「……」


日菜子『(写真撮影中……きれいに着飾った日菜子は突如現れた強盗犯に人質に取られてしまうんです。そして、王子様が颯爽と現れて日菜子を助けてくれるんですぅ♪)』


P「写真を撮り終わったのもつかの間、今度は違うグループに日菜子が誘拐される。車で逃走する誘拐犯とのカーチェイスが始まって、その途中、俺の車がエンジントラブルで止まってしまう」

P「だが、そこに現れた野生の白馬に乗って無事日菜子を救出」

P「そして今に至る、と」

日菜子「……」


日菜子『(強盗のあとは誘拐犯に誘拐されるんです……絶体絶命のピンチに白馬に乗った王子様が日菜子を……むふふふふ♪)』



P「振り返ってみたけど、非日常の一言に尽きるな。漫画みたいな1日だ」

日菜子「ははは……」

P「町中を歩いてただけだったんだがな……なんだよ、野生の白馬って……なんか、すごく俺に懐いてるし……」


日菜子「(プロデューサーさん、ほんとにごめんなさい……)」


P「……」ピタッ

P「なんだあれ?」

日菜子「むふ……? 観覧車、ですかね?」

P「ここ海辺だぞ……? しかも遊園地でもなく観覧車だけがポツンとある……」

日菜子「ですねぇ……」

P「いつもなら驚いてるんだろうけど、今日はなんかもう驚かないな。慣れって怖い」

日菜子「……プロデューサーさん、あの観覧車乗りませんか?」

P「えっ? まあ、日菜子が言うなら……」

日菜子「ありがとうございます。じゃあ、さっそく行きましょう~」


[観覧車内]


P「なんか、今日初めてゆっくり座った気がするよ」

日菜子「むふっ、言われてみればそうですねぇ」

P「今日はいろんなことがあった1日だったな」

日菜子「ありましたね~」

日菜子「(まあ、半分以上日菜子のせいなんですけど……あっ)」

日菜子「わぁ♪ 見てくださいプロデューサーさん。きれいな景色ですねぇ」

P「そうだな。まだ最高点の半分もいってないのに、街を一望できるいい眺めだな」

日菜子「はぁ、きれいです……」


日菜子「(こうしてプロデューサーさんと観覧車に乗るのはあの時以来ですかねぇ)」

P「こうして日菜子と観覧車に乗るのは2度目になるな」

日菜子「へっ!? そ、そうですね」

P「どうかしたか?」

日菜子「い、いえ。日菜子もいま同じこと考えていたので、ビックリしちゃって」

P「ははは、考えることは同じか。まあ、あの時は昼で空が明るかったが」

日菜子「そうですね~。それに、あの時はお仕事で訪れた遊園地でしたから、完全にオフの今とはシチュエーションも違いますねぇ」

P「思えば、あの遊園地のパレードが最初の大きな仕事だったなぁ」

日菜子「あそこから日菜子のアイドルとしての道がスタートしたんですねぇ」

P「そうだなぁ。ほんと、日菜子はよくここまで成長してくれたよ。ありがとな」

日菜子「むふっ、日菜子をスカウトしてここまで育ててくれたのはプロデューサーさんですよ? お礼を言うのは日菜子の方です。ありがとうございます」

P「……なんか恥ずかしいな」

日菜子「はい、顔が熱いですぅ……」


日菜子「(あれ? なんかいい雰囲気になってます?)」

日菜子「(よく考えたら、密室に男女で二人っきり……いけない……妄想が溢れ出して……暴走しちゃいます……)」

日菜子「(ここでプロデューサーさんが日菜子の横に座って……)」

P「日菜子、横に座ってもいいか? 自分でもよくわからないんだが、とてもそうしたいんだ」

日菜子「……どうぞ」

日菜子「(そして、見つめ合う2人……)」

P「日菜子……」

日菜子「……はい」

日菜子「(2人の顔と顔の距離は徐々に縮まって……)」

P「……」

日菜子「……」

日菜子「(そして、最後には唇と唇が……)」

日菜子「……や、やっぱりダメですー!」ドンッ

P「うおっ!?」

日菜子「って、あ! ついプロデューサーさんを押しのけてしまいました! 大丈夫ですかぁ!?」

P「ああ、なんとか」

日菜子「ごごごごめんなさい!」

P「い、いや。正直押しのけてもらって助かった……そのままいってたら取り返しのつかないことになってた……気がする」

P「やっぱり、今日は何かがおかしいし。地上に着いたらすぐ帰ろう」

日菜子「……そうですね。そうしましょう」


[日菜子宅前]


P「ふう、なんとか日菜子の家の前まで帰ってこれたな」

日菜子「ですねぇ~」

P「じゃあ、今日1日お疲れさん。また明日から仕事だけど、よろしくな」

日菜子「はい! プロデューサーさんもお疲れさまでした♪」

P「あ、そうだ! 日菜子に渡すものがあるんだった!」

日菜子「渡すもの?」

P「ああ、これなんだが……受け取ってもらえるか?」

日菜子「え、あ、はい。えっと、この箱は?」

P「開けてみてくれ」

日菜子「はい……」パカッ

日菜子「うわぁ、きれいな真珠のネックレス……」

P「というわけで、誕生日おめでとう! いつも頑張ってくれてる日菜子にプレゼントだ」

日菜子「……」

P「あ、あれ? もしかして迷惑だったか?」

日菜子「あ、違うんです! ちょっと不意打ちで言葉が出なかっただけで……とても、とてもうれしいですっ!」

P「よかった……普段プレゼントとかしないから心配だったんだよ」

日菜子「ありがとうございます。最高のプレゼントです♪」


[日菜子の部屋]


日菜子「はぁ……今日は、さすがの日菜子でも疲れました……」

ピコンッ

日菜子「メッセージ? 誰からですかねぇ」


P『今日は日菜子の誕生日だっていうのに、ドタバタした1日になってすまなかった。明日もまた仕事だが、よろしく頼む。最後に改めて、誕生日おめでとう!』


日菜子「……プロデューサーさんはこういうところ、マメですよねぇ♪ むふふ♪」


日菜子「しかし、ほんとに今日は何だったんでしょうねぇ~」

日菜子「まあ、おかげで一生忘れない誕生日になりましたけど」

日菜子「ピンチの日菜子を助けてくれるプロデュー……サー……?」

日菜子「あれ? そういえば、日菜子がしたお願いや妄想は『王子様』だったような……」

日菜子「そして、今日は1日一緒にいたのはプロデューサーさん……」

日菜子「最後の観覧車の時は『プロデューサーさん』で妄想してたような……」

日菜子「王子様……プロデューサー……?」

日菜子「……………………むふ……むふふ」

日菜子「むふふふふふふふ!!!」

日菜子「もう日菜子は寝ます! これ以上はダメです!」

日菜子「……」

日菜子「あ、明日も朝早いですからね! おやすみなさい!」

日菜子「……」

日菜子「うぅ……明日からプロデューサーさんにどんな顔で会えばいいんですかぁ……」






1日遅れましたが、日菜子誕生日おめでとう!

以上です。ありがとうございました。

喜多は流石に今回の選挙で声つくだろうなと思っているよ応援している

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