※FGO第2部序章までのネタバレを含むSSです。
※ぐだ子の名前表記を「立香」にしています。
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――――特別会場
マシュ「それは男性と女性のグループが交流を持ち、交際を目的にして行われる『合同コンパ』の略称のことでしょうか」
メイヴ「ええその通り、わざわざ説明ありがとうマシュ。そう、その合コンを今からやるの!」
鈴鹿御前「会場もこうしてすでにセッティング済み。あとは相手を待つだけだし!」
立香「それで、参加者は?」
メイヴ「あら、ここにわざわざ呼んだ時点で理解できないのかしらマスター?」
マシュ「ま、まさか先輩を合コンに!? だ、だめです! そんな、先輩はもっとちゃんとしたお付き合いを」
鈴鹿御前「あ、言っとくけどマシュも数に入ってるし?」
マシュ「えぇ!?」
立香「私はいいけどマシュはだめ」
マシュ「先輩!?」
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メイヴ「そんなこと言わないの。別に私達も意地悪で参加させようっていうわけではないのよ?」
マシュ「では一体どうして……」
鈴鹿御前「すべての特異点を消滅させ、人理を守ったマスターとそのサーヴァント。いい響きだよねー?」
鈴鹿御前「おまけにどっちも美少女ときた。これはもう平和になった世界で男共が放っておくわけないし?」
メイヴ「だから、私達がいる間に、二人には男を手玉に取る技術をできるだけ多く学んでもらおうって考えたの」
メイヴ「なんせ私達のマスターだった女の子と、戦友の女の子が、どこの誰とも知らないクズに誑し込まれたりしたら、つまらないでしょう?」
マシュ「そ、それで合コンですか……?」
鈴鹿御前「今までは特異点で生き残るための技術と知識を優先して身につける必要があったけど、もうそんな必要もないっしょ!」
鈴鹿御前「だから、こっからは女の子らしく生きてくための知識を覚えてほしいじゃん? その手始めに合コンは最適ってダ――」
メイヴ「ま、ホントはクーちゃんとロマンスしてから、カルデアでの生活を終えたい私の欲求を満たすほうが優先だけどね?」
鈴鹿御前「は、話と違うし!? マスターとマシュのためだからってわざわざ協力したのに!?」
メイヴ「それもあるけど、やっぱりこんなのんびりした環境でクーちゃん達と一緒なんて今後もうありえないでしょきっと」
メイヴ「だったら、それを全力で利用しないと女王メイヴの名が泣くわ! でしょ、マスター?」
立香「そのほうがメイヴらしい」
メイヴ「ほらね?」
鈴鹿御前「えぇー」
マシュ「で、でしたらやはり先輩を巻き込む必要はないのでは……」
メイヴ「ううん、第一の理由が私とクーちゃんのロマンスのためだとしても、マスターとマシュに男に慣れてほしいのも本当よ?」
鈴鹿御前「あ、良かったー。流石にそれが嘘だったら私の立場なさすぎだし」
メイヴ「だから、マスターとマシュの参加は絶対。ちゃんと手取り足取りじっくり体に教えてあげるから、そこは信頼してね」
マシュ「いえ、あの、むしろそのほうが余計に心配といいますか……それに先輩ならきっと、外に戻られても大丈夫ですよ!」
鈴鹿御前「あまいあまーい! むしろマスターみたいなタイプが一番危ないし? というかマシュもだけど」ビシッ
鈴鹿御前「二人共優しいんだから、そこに付け込んでくる連中がいたらどーすんの?」
マシュ「そ、それは、言葉で説得すればきっと分かってもらえます。戦闘以外で解決する方法だって、今の時代ならいくらでも」
鈴鹿御前「うーん、やっぱマシュは良い子だわ……良い子すぎて心配だわー」
メイヴ「マシュ? 男は皆結局下半身に従うものなんだから、理性や言葉でどうにかなるなんて幻想よ?」
マシュ「そんなことはありません! 確かにおと――ランスロット卿のようにどうしよもないダメダメな人もいるかもしれませんが」
――――トレーニングルーム
ランスロット「はくしゅ!!」
ガウェイン「おやランスロット卿、風邪ですか?」
ランスロット「う、うむ……なにやらものすごく心が落ち込むような、体が重くなるような……」
トリスタン「サーヴァントが風邪になるなど……これは一大事なのでは?」
ガウェイン「ええ、そのとおりです。急ぎナイチンゲール嬢の所に向かわれるとよいでしょう。我々も付き添います」
トリスタン「決してランスロット卿をだしにして目の保養をしに抜け出そうなどとは考えていませんから、ご心配なく」
ランスロット「心無い笑顔で言われても信用出来ないが……確かに保養は大事だ。では早速」
レオニダス「どこに行こうというのですッ!!」ガシッ
ランスロット「い、いや、どうも風邪を引いたようなので、少しばかり休憩に……」
レオニダス「風邪! 確かにそれが事実なら一大事でしょう! しかし!!」ギリ
レオニダス「私は今日、あなた方をみっちり鍛えてデータを取っておいてほしいとダ・ヴィンチ殿から頼まれたのです!!」ギリギリ
レオニダス「体調不良も貴重なデータ! さぁ、その状態でトレーニングをするとどうなるか調べてみましょう!!」ギリギリギリギリ
レオニダス「他のお二人にもとことん付き合っていただきますよ! さあ! さあ!! さぁッ!!!」ギリギリギリギリギリ
3騎士「「「うわぁああああ!!!」」」
――――特別会場
マシュ「レオニダス王のように、信頼出来る人も大勢いるはずです!」ドンッ
鈴鹿御前「なにか今のマシュの言葉で、天国と地獄にはっきり別れた奴がいそうな気がするし」
マシュ「そ、そうでしょうか?」
鈴鹿御前「まぁマシュが良い子なのは置いといて、やっぱりそれでも覚えておいてほしいことってのはあるの」
メイヴ「いざっていう時のためにね。それとも、私達からなにかを学ぶことは嫌かしら?」
マシュ「嫌というわけでは……! ただやはり、先輩はともかくわたしにそのような機会は訪れないでしょうし……」
立香「そんなことないよ。むしろ私よりマシュのほうが、外に行ってからモテモテになるよ、きっと」
マシュ「あ、ありえません! わたしより先輩のほうが可愛い以上、普通の生活に戻った時大変なのは先輩です!」
立香「いやいや、マシュのほうが可愛いし」
マシュ「いいえ! 先輩のほうが可愛いです!」
立香「マシュのほうが!」
マシュ「先輩のほうが!」
――プシュー
レオナルド・ダ・ヴィンチ「はいはい。どっちもこの姿の私には及ばないけど可愛いから喧嘩しなーい」
マシュ「ダ・ヴィンチちゃん! どうしてこちらに?」
ダ・ヴィンチ「せっかく色々のお膳立てをしたのに、一向に合コンが始まらないから様子を見にきたのさ」
メイヴ「……ねぇダ・ヴィンチ。もう正直この二人で仲良く暮らさせたほうが良くない?」
鈴鹿御前「思った。めっちゃ甘々空間作るの得意すぎだし」
ダ・ヴィンチ「んー、でも出来ればそういうことは、マシュも立香ちゃんも平和な世界で色々見てから決めてほしいんだ」
ダ・ヴィンチ「もちろん二人の仲は十分知っているけれど、ほら、それでも二人はまだまだ若いからね」
ダ・ヴィンチ「どういう道を選ぶにしても後悔しないように、教えられることは教え込んでおきたいのさ」
立香「もしかして、合コンの発案もダ・ヴィンチちゃんが?」
ダ・ヴィンチ「その通り。正確に言えば、私が調べたいこととメイヴの悩みと」
ダ・ヴィンチ「そして暇そうにしていた鈴鹿御前を納得させるいい手だから、してみようってなったわけさ」ウインク☆
鈴鹿御前「あれ、私ついで?」
ダ・ヴィンチ「まぁまぁ。このカルデアでもトップクラスに女子力高いサーヴァントの1人といえば君だ」
ダ・ヴィンチ「君くらいになると、合コン中に立香ちゃんやマシュに、男を手玉に取る方法を教えるのも簡単なんだろう?」
鈴鹿御前「そりゃ当然だし!」
ダ・ヴィンチ「だったら安心だ。正直メイヴだけだと、二人が妙な技術まで身につけかねないからね」
ダ・ヴィンチ「そこをうまくバランス取ってくれると、私としても喜ばしいところだ」
メイヴ「妙な技術ってなによ妙な技術って。この女王メイヴの肉体がなくても男を堕とす方法をせっかく――」
ダ・ヴィンチ「だからそこまでは求めてないんだってば。変な男に引っかからない防衛方法くらいでいいのさ」
メイヴ「……変な男、ねぇ」ジーッ
ダ・ヴィンチ「おーっとなにやら意味深な視線! しかし天才はそれを無視しよう。ともかくマシュ、立香ちゃん」
マシュ「は、はい」
立香「……」
ダ・ヴィンチ「せっかく平和な世界で可愛い君たちが生きていくんだ。そのサポートを出来る内に出来るだけさせてほしい」
ダ・ヴィンチ「もちろん、無理強いはしないさ。でも、もういなくなったアイツと同じで、私もいずれここからいなくなる身」
ダ・ヴィンチ「だから、サポートがちょっとくらい無茶な内容になったとしても、許してはくれないかな」
マシュ「……ダ・ヴィンチちゃん……分かりました。そこまで言われるのでしたら、マシュ・キリエライト、全力で合コンを楽しみます!」
ダ・ヴィンチ「ありがとうマシュ。立香ちゃんは?」
立香「私も楽しんでみるよ」
ダ・ヴィンチ「うん、良い返事だ! 流石は人類を救ったマスターとその相棒だ! これで私も実証じっけ――じゃなかった」
立香「今なにか不穏なことを言いかけなかった?」
ダ・ヴィンチ「なんのことかなー? ともかく、合コンをすると決まった以上あとはメンバーだ!」
メイヴ「もちろんクーちゃんは最優先で登録したわよね? ね!?」
ダ・ヴィンチ「いやー、それなんだがね?」キョロキョロ
マシュ「どうしたんですか?」
ダ・ヴィンチ「さっきからカルデア中にこの合コンのことを告知して、参加者の募集をかけてるんだけど……」
鈴鹿御前「全然くる気配ないし?」
ダ・ヴィンチ「おかしいなぁ……流石に円卓の騎士達は合コン相手にはまだ早いと思って、レオニダス王に足止めさせたんだが」
ダ・ヴィンチ「他の面々はなにをしているんだ? 美少女四人が待っているというのに」
立香「ダ・ヴィンチちゃんは参加しないの?」
ダ・ヴィンチ「ほら、私は今後のためのデータ計測の必要があるし、ホームズ達に頼んでいることで急に呼ばれる可能性もあるから」
鈴鹿御前「あー、それって最近格納庫で悪巧み!って感じで色々やってるっぽいやつのこと?」
ダ・ヴィンチ「ふふ、それは秘密だとも。万が一のことを考えてだが、あれは種明かしされないほうがいい部類だからね」
鈴鹿御前「えー、気になるしー」
マシュ「ダ・ヴィンチちゃんは一体なにを……」
ダ・ヴィンチ「天才は常に色々考えているものだよマシュ。ともかく遅い、遅いじゃないか。男子がいないと合コンは始まらないぞ!」
メイヴ「まったくいつまで待たせるのかしら。私がいるのだからクーちゃんなんかは飛んで来てくれてもいいくらいなのに……」
ダ・ヴィンチ「……やはり私が発案したと告知文に書いたのが不味かったのかなぁ」
立香「人が来ない原因それじゃないですか?」
鈴鹿御前「絶対それだし」
メイヴ「ちょっとなに一番やっちゃいけないことしてるのよ!」
マシュ(否定が出来ないのが悲しいです……)
ダ・ヴィンチ「だ、誰一人として擁護してくれない……い、いいさ! このまま誰も来なかった場合は、仕方ない、私が――」
メイヴ「……ん、ちょっと待ちなさい。その必要はなさそうよ。今この部屋に向かって来ている存在を感じるわ」
鈴鹿御前「え、マジで?」
メイヴ「ええマジよ! しかもこの感じ……かなりの勇士ね、とても強い力を感じるわ……!」
鈴鹿御前「そりゃサーヴァントなんて強い連中が多いし当然じゃん?」
メイヴ「そういうことではなくて……ケルトの力を感じるのよ! しかもこれだけの気配……きっとクー・フーリンよ!!」
立香「嬉しそうだねメイヴ」
メイヴ「当然でしょう? 私達をこれだけ待たせておいたとしても、最初に来るのがあのクー・フーリンならそれだけで許せるもの!」
メイヴ「さぁ、どのクー・フーリンが来てくれるのかしら! ランサーの? キャスターの? 若いランサーの? それともそれともバー――」
――プシュー
スカサハ「残念、私だ」
メイヴ「なんでよッ!!」バシッ
スカサハ「はは、そう喜ぶな」ヒョイ
メイヴ「喜んでないわ!! 確かにあんたもケルトでしょうけどなんでよ!! クーちゃん出しなさいよ!!」バシッバシッ
スカサハ「そうは言われてもな。合コンの参加者募集が始まってからクー・フーリン達を含めて男連中は酷く悩んでいたんだぞ」
スカサハ「マスター達との合コンはいいとしても、ダ・ヴィンチが発案でメイヴがいるとなればな、と」
メイヴ「そ、そんな……」ガーン
ダ・ヴィンチ(よ、良かったー! 私だけが原因じゃなかったっ!)
スカサハ「だから私も見かねて言ってやったんだ。お前達、それでも男なのか! せっかくの機会に何を悩む! とな」
スカサハ「そうしたらどこからか『合コンに呼ばれない歳の人は黙っててくださいー』という声が聞こえてきてしまって」
立香「展開が予想出来るけど、それで?」
スカサハ「……気付いたら意識のある男共が周囲にはいなくなっていてな、不思議なことに。故に私がここに来た」
メイヴ「な……なにやってんのよー!!」バシッバシッ
スカサハ「はは、すまんな。だが並の男が相手するよりは私がいたほうが余程よいだろう、違うか?」ヒョイヒョイ
メイヴ「合コンの意味知ってる!? 私とクーちゃんのロマンスの予定返しなさいよぉ!! うぅ……」ションボリ
マシュ「あの、スカサハさんの周囲にいた方々はご無事なんですか?」
スカサハ「うむ。ナイチンゲールが今は面倒を見ているから心配はいらないぞマシュ」
鈴鹿御前「そりゃ良かったし。けど合コンなのに女が増えたら意味なくない?」
スカサハ「そうなのか? 参加者募集の条件に男限定とは書いてなかったからな、てっきりそういうつもりかと思ったぞ」
メイヴ「合コンの意味を知っていれば、そこは普通書かなくても分かるでしょ……?」
スカサハ「どうだかな。仮に知っていたとしても、マスターを狙う者にとっては関係ないことだろう?」
ダ・ヴィンチ「それは確かに。特に例の三人がこのことを知ったら、何がなんでも参加しようとしてくるはずさ」
立香「そういえば、その三人はどうしたの?」
ダ・ヴィンチ「立香ちゃんのために素材を集めて来て欲しいって頼んでおいたよ。合コンが終わるまでは戻って来られないはずさ」
マシュ「それは……清姫さんが後で怒りませんか?」
ダ・ヴィンチ「嘘は言っていないから心配ないだろう。素材はあるだけ立香ちゃんの役に立つ。違うかい?」
立香「髄液や杭があると泣くほど嬉しいです」
ダ・ヴィンチ「ほらね。特異点は消滅したといってもまだクリスマスが残っている。それを考えたら素材集めも無駄じゃないよ」
鈴鹿御前「予防策としてってこと? うわー、なかなか悪辣~」
ダ・ヴィンチ「なーに、どこかの教授に比べたら大人しいさ。ともかく、あの三人が戻ってくるまでに事を終わらせないと――」
スカサハ「うむ。その三人だが……もう戻って来ていたぞ」
「「「「「……え?」」」」」
――――通路
ガキィン ガキィン! ダダダダッ!
源頼光「そこをどきなさい金時!! 母は、母はこの合コンなるものをやめさせなければいけないのです!!」
坂田金時「いやだからダメだって頼光の大将! 大将が行ったらマスターのためになんネェんだって!!」
頼光「純粋なあの子にふしだらなことなど、私の目が黒い内は許しません!!」シュバッ
清姫「忍びの方……邪魔をするなら貴方から焼いてしまいますよ?」
風魔小太郎「ぐっ……主殿の未来のため、ここを通すわけには……! しかしなんという気迫……この力はどこから……!」
清姫「愛です!!」ゴォッ!
静謐のハサン「わたしも、マスターに合コンをさせたくないだけですから……押し通ります!」
ダァン! ダァン!!
小太郎「……くっ、これでは止めようが!」
金時「諦めんな! マスターが合コンってのを終わらせるまでは、なんとしても頼光の大将達を足止めしねーと!!」
小太郎「金時殿……はい!」
清姫「よそ見は……!」
小太郎「甘いですよ!」シュッ
清姫「後ろに!? しま――」
頼光「清姫さん!」ダンッ
小太郎「くぅ!?」トンッ
清姫「た、助かりました……ごめんなさい、足を引っ張ってしまって……」
頼光「いいえ、そのようなことはありません。頑張って、三人でマスターの元に辿り着きましょうね」
静謐「……ッ! 頼光、あれ」スッ
頼光「なにか――」ハッ
頼光(あれは……あの蟲は……! 酒呑童子、まさか、合コンに参加するというのですか……!)
酒呑童子「~~~♪」スタスタ
頼光「……ッ!!」ギリィ
清姫「頼光様……」
静謐「……」
金時「大将どこ見て……げぇ!? この状況をさらにややこしくしそうな奴があんなとこでなにを!?」
頼光「もはや一刻の猶予もなし……ならば、金時が相手であったとしても、私は……!」キィィ
小太郎「……! 金時殿! これは、この気配は!」
金時「あぁ頼光の大将、こんなとこで宝具をぶっ放すつもりだ! クソ、なんとしても止めねえと!」
静謐「……頼光、その必要はありません」シュタッ
清姫「ここは私達が引き受けます!」ボォォ!
頼光「お二人とも!? し、しかし……」
清姫「元より、合コンを止めるだけであれば、頼光様が単独でここを突破されるほうが確実です!」
静謐「わたし達はそのアシストをします。だから、行って下さい」
頼光「お二人とも……感謝します! しからば、御免!」タンッ
金時「あ、大将待てッ!!」
ギィン!
金時「ちいっ!」
静謐「あなた達の相手は」
清姫「私達です!!」
小太郎「くっ……このままでは……!」
――――特別会場前、扉
酒呑童子(ここが旦那はん達が合コンゆうもんしとる場所のようやけれど)キョロキョロ
酒呑童子「様子見に来たらなんや誰もおらひんのやねぇ……それとも、もう皆中に入ってしもたんやろか……」
酒呑童子(愉しげなことやし、まだ枠余っとるなら茨木放りこんでみるのも面白いやろけど……)チラッ
頼光「酒呑童子ーッ!」ダダダッ
酒呑童子「なんや牛乳女が突っ込んできよるし……ふふ、そやな」トントン
酒呑童子(中からは妙な力も感じるさかい、退屈しのぎに巻き込まれてみるんも一興やなぁ)
頼光「私の前で、マスターに! あの子に! ふしだらなことなどさせは――」
酒呑童子「ほーれ」ヒョイ
頼光「なっ」
――プシュー ゴロゴロ ドゴンッ!
――――特別会場
――プシュー ゴロゴロ ドゴンッ!
頼光「――……くぅ……私としたことが、避けられてしまう攻撃をしてしまうなど……!」フラフラ
立香「頼光、大丈夫?」
頼光「マスター!? あぁ良かった、ご無事ですね!? 母はあなたがふしだらなことをしているのではないかと心配で!」
立香「う、うん、まだしてないから大丈夫」
頼光「えぇ、ならば早くこのような場所から離れましょう! 合コンなど! あなたにはまだ早すぎます!」
鈴鹿御前「ちょ、いきなり色々全否定しないでほしいし!? マスターもそろそろ色恋の1つや2つは知っとくべきっしょ!」
頼光「必要ありません! マスターにはマシュがいます! それで十分ではありませんか!」
マシュ「え、え、ええ!?」
酒呑童子「おやまぁ、牛がなんやいっちょ前に人の恋路を語っとる。おかしいわぁ」
頼光「黙りなさい蟲! 鬼の娘にこそ、そのようなことを言われる筋合いは……!」
メイヴ「ちょ、ちょっと待って!? 勢いに流されそうになったけれど、今この部屋何人いるの!?」
スカサハ「うん? 今入ってきた酒呑童子を含めるなら丁度8人のはずだが」
メイヴ「ってことは……!」
ダ・ヴィンチ「……しまった、完全に出るタイミングを逃した……! これでは!」
アナウンス『規定人数の入室を確認しました。扉をロックします』
――ガチンッ!
マシュ「……ダ・ヴィンチ所長代行、今の音はなんでしょうか」
ダ・ヴィンチ「部屋にロックがかかる音だね」
立香「そんな機能聞いてないんだけど……」
メイヴ「いやほら、もしも仮にクーちゃん達が来てくれたとしても、合コンでやること知って逃げられちゃうと困るから」
メイヴ「ダ・ヴィンチに頼んで参加者8人全員が、王様ゲームでなにかしないと部屋から出られない仕掛けにしてもらったの♡」テヘペロ
鈴鹿御前「え、なにそれ初耳」
スカサハ「お主やはりバカか」
頼光「つ、つまりこのままでは、マスターも、誰もこの部屋から出られないと……?」
メイヴ「だ、だってしょうがないでしょう! クーちゃん達との合コンと、あとマスターとマシュに色々教え込むのを夢見てたのに!」
メイヴ「こんな凶暴そうな女子(?)メンバーが揃うなんて想定してなかったのよぉ!」
メイヴ「というか、これだともう完全に合コンじゃなくて女子会じゃない!! 私のロマンスはどこに行ったの~!?」
スカサハ「そんなものは最初からない、諦めろ」
メイヴ「ぐはっ」
マシュ「なんとか部屋から出られるようにすることは出来ないんですか、ダ・ヴィンチ所長代理」
ダ・ヴィンチ「微妙にマシュから冷たさを感じるなー。いや私も悪いのは分かってるよ? けれど流石私、天才だね」
ダ・ヴィンチ「条件を満たさない限り、この部屋からは絶っ対に誰も出られないと断言しよう!!」ニコッ
頼光「そのようなこと……! 大丈夫ですマスター、この頼光がこのような扉すぐにでも斬り刻んで」
――バシィ!
頼光「きゃう!?」ビリリッ
ダ・ヴィンチ「あー、言い忘れてたけど、閉鎖空間になるのを利用して、サーヴァントに必要なリソースの最低値の調査とか」
ダ・ヴィンチ「色々と実験をこの瞬間もやっているから、下手に部屋を壊そうとするとガンドのペナルティが来るよ」
頼光「は、早く、言って、下さい……」フラフラ
立香「頼光、大丈夫……?」
立香(アトラス院制服か月の裏側の記憶を着ておけば良かったな……)
酒呑童子「つまり、ほんまにこの部屋から出るには、王様ゲームをやらんとあかんのやね?」
ダ・ヴィンチ「そういうこと。うーん、まさか私まで巻き込まれることになるとは予想していなかったからねぇ」
頼光「実はどこかに、緊急用の脱出口があるなどは……?」
酒呑童子「諦めたほうがええで牛乳女。そもそも、あんたはんが突っ込んで来たんが悪いんやしなぁ」
頼光「くっ! しかしその後に蟲が入ってこなければ、このようなことには!」
酒呑童子「おやおや、源氏の大将はんは自分の過ち認めんで、人のせいにするんやねぇ……マスターもこれはがっかりちゃうん?」
頼光「は……! ち、違うのですマスター!! 今のはその、言葉のあやというもので、母は決してそのようなつもりで」
立香「大丈夫、分かってるよ」
頼光「ほ、本当ですか……? うぅ、なんて優しい子なのでしょう……母は、泣いてしまいそうです」グスッ
鈴鹿御前「泣いてる泣いてる」
スカサハ「ともかく、部屋から出るならさっさとしたほうがいいだろう」
スカサハ「我々サーヴァントはともかく、マスターとマシュをいつまでも閉じ込めておくわけにもいくまい」
メイヴ「そうね……あ~あ、ほんっとここは私の思惑通りに事が進むことがないわね。ま、それが楽しくもあるけれど!」
鈴鹿御前「同感同感! 合コンにはならなかったけど、王様ゲームにマスターとマシュを慣らさせるなら丁度いいメンバーじゃん?」
メイヴ「そうね。女だけってのもたまにはら……く……ダ・ヴィンチは女として扱っていいの、これ?」
スカサハ「なに。中身がどうあれ見た目が女であれば女でよかろう。性別など細かいことだ、気にするな」
スカサハ「どうしても気になるというのであれば、ルーンで色々弄ってしまおうか?」
ダ・ヴィンチ「そ、それは勘弁しておくれよ! 流石にこの体を好きなやつ以外に弄らせる気はないからね!」
スカサハ「ほぉ。稀代の天才もそういう所にはこだわるか、意外だな」
ダ・ヴィンチ「当然さ。この体は美しくあるように計算して作ったんだ、それを乱して良い奴がそういてたまるか」
立香「私やマシュはいいの?」
ダ・ヴィンチ「そりゃもちろん二人ならいいとも。歓迎するくらいさ! どう、触ってみる?」
マシュ「ダ・ヴィンチ所長代理、そろそろ状況を考えて下さい」
ダ・ヴィンチ「はーい。マシュにも怒られたし、そろそろ王様ゲーム、初めてみよっか! くじの準備はもうしてあるよ」
鈴鹿御前「よーし、そんじゃ、どの順番でくじ引くし?」
頼光「そ、その前に……あの、王様ゲームとは一体なんなのでしょうか……?」
…………シーン
頼光「わ、私なにか変なことを聞きましたか? 無言はやめて下さい……」
酒呑童子「牛乳女……まさかそないなことも知らんとここに来たん……?」
頼光「ですからこの部屋に入ってしまったのはあなたのせいだと!」
立香「…………えっと、私も実は詳しく知らなくて」
マシュ「…………言い出せなかったんですが、私も……」
頼光「ほら見なさい! 純粋な子ほどそのようなふしだらな遊びは知らないという事実が、ここに示されましたよ!!」
酒呑童子「はいはい、良かったなぁ~」ニコッ
頼光「あぁもう、この部屋に来てからマスターをふしだらな行為から守るどころか、逆に遊ばれている気がします……!」
鈴鹿御前(いやこれ完全に遊ばれてるっしょ)
スカサハ(遊ばれてるな)
メイヴ「頼光の話は置いといて。マスターも知らないなら仕方ないわね。ルールを簡単に説明してあげるから、よく聞きなさい?」
メイヴ「やることは簡単よ。まずダ・ヴィンチの用意した箱から全員くじを引くの。順番は適当でいいから、さ、引きなさい」
――ゴソゴソ ゴソゴソ
メイヴ「引いたわね? なら次は参加者全員で『王様だ~れだ?』って言って、引いたくじに王様って書かれていた人が名乗り出るの」
頼光「あ、王様は私みたいです!」
メイヴ「……はーいくじやり直し♡」
頼光「えぇ!?」
メイヴ「参加者全員で『王様だ~れだ?』って言う前に名乗りでちゃダメなのよ頼光?」
頼光「そ、そうだったのですか……」ションボリ
酒呑童子「ふふっ、文句言っとった割には楽しんどるやないの」
頼光「……なっ、ち、違います! これは、マスターを少しでも早く部屋から出したいだけです!」///
酒呑童子「はいはい。ほならさっさとくじを箱に戻しや」
頼光「分かっていますよ……!」
メイヴ「よし、全員箱にくじを戻したわね? じゃあちょっと箱を揺らしてかき混ぜて……」
メイヴ「これでいいわ。さ、全員もう一度くじを引いて?」
――ゴソゴソ ゴソゴソ
メイヴ「それじゃあ改めて、掛け声全員で一斉に言うのよ? せーの」
全員「「「「「「「「王様だ~れだ?」」」」」」」」
メイヴ「――それはもちろん当然! この! 女王メイヴのことよ!!」
スカサハ「ふぅん、良かったな。くじだけでも王様になれて」
メイヴ「あんたあとで蹴飛ばすわよ? ともかく、こうやって王様が決まったら、最後は王様が命令するのがこのゲームのルールね」
マシュ「命令……ですか」
メイヴ「ええ。みんなが持っているくじには番号が書かれていると思うけど、王様が指定した番号のくじを持っている人……」
メイヴ「例えばそう、6番のくじを持っている人は、王様にご奉仕すること! って命令をだしたとするでしょう?」
スカサハ「……っ!?」
メイヴ「そうしたら、6番は必ず王様にご奉仕する必要があるの」
頼光「……な、なんと恐ろしい遊びなのですか!? それはつまり、王が死ねと命令すれば、死なねばならないと……!」
メイヴ「いやこれ、男女がイチャイチャするための遊びだから。そんな物騒なことにはならないわよ、普通は」
ダ・ヴィンチ「むしろそんな恐ろしい質問をしたのは、君が初めてだと思うな頼光」
頼光「し、しかし、マスターの身の安全を考えるのであれば、万が一の可能性も潰しておきませんと!」
鈴鹿御前「いや、言ってもゲームだし? 嫌ならちゃんと嫌って言えばいいだけっしょ。心配しすぎ!」
スカサハ「……そのとおりだな。それでメイヴ、お主は誰にどんな命令をするつもりだ?」
マシュ「え? 確かメイヴさんは先程……」
スカサハ「あれは例えで出しただけだからな、ちゃんとした命令をしなければ、ゲームは終わらんだろう?」
メイヴ「……ふーん?」
スカサハ「さぁ、メイヴ。さっさと命令を出すがいい。マスターを部屋から出すのが遅くなると、外が面倒なことになりかねんぞ?」
メイヴ「そうねぇ……じゃあ、命令はそのまま『6番は王様にご奉仕すること』よ♡」
スカサハ「ぬぐっ……!」
メイヴ「さぁ6番は誰かしら~? この私にご奉仕出来る幸せ者なのだから、早く名乗り出たほうがいいわよ~!」
マシュ「もしかして、先輩ですか……?」
立香「違うよ?」
ダ・ヴィンチ「私でもないね」
酒呑童子「うちのは2って書いてあるなぁ」
頼光「私は5ですね」
鈴鹿御前「私も違う……って、ことは?」
メイヴ「ほーら6番の人ー?」
スカサハ「……お主……!」キッ
メイヴ「あっはは! クーちゃんとの合コンができなくなった時は落ち込んだけど、代わりにとんでもない事が起きたわね!」
メイヴ「影の国の女王スカサハ! あのクー・フーリンの師匠が、この女王メイヴにご奉仕する日が来たのよ!!」
メイヴ「あぁ! こんなにも心が躍ることがまだあったなんて、今日はなんて素敵な日なのかしら!」
スカサハ「おのれ……! やはり誰か1人クー・フーリンを放り込んでおくほうがよかったか……!」///
メイヴ「さぁどうするのかしらスカサハ? もちろん、これはただのゲームよ。貴女は拒否してもいいわよ~?」
メイヴ「ただし、拒否した場合はそれはそれでカルデア中に喧伝させてもらうわ。あの影の国の女王が、私からの勝負を逃げたって!」
スカサハ「……くぅ…………よかろう……マスターの前だ、受けてたとうではないか。その挑戦を!」
メイヴ「……え、ホントに?」
スカサハ「このスカサハに二言はない! さぁ、言え! ご奉仕とは具体的になにをすれば良い!」
ダ・ヴィンチ(これは凄まじい物が見られる予感……! あー、どうせならカメラで記録するようにしておけば良かったなぁ)
マシュ「あ、あの、スカサハさん、無理はされないほうが……」
スカサハ「無理だと? マシュ、いいや、私は無理などしていない。ああ、少しもな」
メイヴ「うふ……そう、そうなの? いいのね? なら、ご奉仕とは具体的にどうするか? 簡単よ。マスター」
立香「はい?」
メイヴ「この私に言うべき最も大切な言葉、あなたなら分かるでしょう? さぁ、言ってみて」
立香「――メイヴちゃん、サイコー!」
メイヴ「えぇ、そのとお――」
――シャキン! バシィ!
メイヴ「……!」(←髪が数本斬れた)
頼光「……次に、マスターにそのような事を言わせたら……首を、落とします」フラフラ
立香「頼光!?」ダキッ
ダ・ヴィンチ「カルデア製のガンドを二発も喰らうなんて、無茶なことを……!」
頼光「我が子が辱められて黙っていられるとお思いですか……!」ギュッ
メイヴ「……鈴鹿、私の首、繋がってる?」
鈴鹿御前「う、うん、なんとか無事っぽい」
メイヴ「……一瞬本当に死んだかと思った」
スカサハ「良かったではないかメイヴ。この部屋を出た後に起きる出来事を、先に一瞬でも経験できて」
メイヴ「は?」
スカサハ「影の国の女王に奉仕をさせるなど、それ相応の報いがあってしかるべきだろう?」ニコッ
メイヴ「……あ、待って、やっぱ6番のご奉仕取りやめ! しなくていい! いいから! 王様命令!!」
スカサハ「なに、遠慮するな。すでにお主からの挑戦は受け取った。影の国の女王は逃げはしない、安心しろ」
スカサハ「というわけでよく聞いておけ、一度しか言わんぞ! すぅ――『メイヴちゃん、サイコー!』……くっ」カァァ///
メイヴ「んぅ……!」
スカサハ「……ふぅ…………コレでよし。部屋から出た後は覚悟しておけ? それはともかく、感想は?」
メイヴ「マスターとは別の感じで悪くなかったのがムカつく。いい声してるじゃない、私ほどじゃないけど」
スカサハ「当然だ、私だからな。というか、声も私のほうがいいだろう? クー・フーリンに聞けば分かるぞ」
メイヴ「あーはいはいそうですか。まったく……部屋から出たらどう逃げるか考えておかないと」
スカサハ「さて、次だ次。こういったことはさっさと流してしまうほうがいい。ほら、くじを引き直せ!」
――ゴソゴソ
酒呑童子「ふふっ、なんや楽しいわぁ。普段と違うことさせてもその場はお咎め無しやなんて……今度、小僧と一緒にやってみよか」
頼光「今ここで潰してしまってもいいんですよ、蟲?」
酒呑童子「さっきから童みたいに楽しみよる女に言われても怖ないで~?」チラッ
頼光「……ふっ、そう言っていられるのも今のうちですよ。先程ので分かりました、王様になれば、あなたなど……!」
――ゴソゴソ
酒呑童子「そら無理やなぁ。なにせ」
スカサハ「くじを引き直したな? では改めて号令だ、いくぞ、せーの!」
全員「「「「「「「「王様だ~れだ?」」」」」」」」
酒呑童子「――うちが王様やさかい」
頼光「な……!?」
マシュ「今度の王様は酒呑童子さんですか、これはこれでなんといいますか」
立香「王様ってのも似合うね酒呑童子」
酒呑童子「ほんまに? おおきに。旦那はん達に褒められると照れるわぁ。けど、そういうんは茨木に言ってやり、きっと喜ぶで」
鈴鹿御前「それで、鬼の王様は誰にどんな命令をするし?」
酒呑童子「うーん、うちは巻き込まれのお邪魔虫みたいな入り方してもうたしなぁ……せやから」ニヤッ
酒呑童子「『2番と4番がポッキーゲームする』でええよ? ええもん、見せてなぁ?」
マシュ「ポ、ポッキーゲーム……!? スティック状のお菓子の両端を咥えて同時に食べ進むあのポッキーゲームですか!?」
立香「マシュ、詳しいね?」
マシュ「初めてこのゲームの存在を知ってから、先輩としてみたい行為第5位にランクインしていますから! ……あっ、その、ちが///」
立香「そっか……じゃあ今度しようね」
マシュ「はい…………え、ええっ!?」カァァァ///
酒呑童子「今度やのうて今やればええよ?」
立香「私、3番だから」
マシュ「わたしは1番です」
酒呑童子「あらぁ、旦那はん達にええことしてもらおう思うとったのに、ちょいずつ外れてしもうとる……堪忍なぁ」
マシュ「い、いえ大丈夫です! そ、それで、2番と4番は一体どなたが……」
鈴鹿御前「はいはーい! 2番は私だし! けど相手がマスターじゃないの確定なのはちょっと悲しいかも」
マシュ「え、鈴鹿御前さん……まさか」
鈴鹿御前「マスターが相手だったら、マシュが喜ぶ唇の動きをマスターに教えられたのに……残念じゃん?」
立香「それは私も残念かも」
マシュ「先輩! もぉ! 鈴鹿御前さんもからかわないで下さい!」カァァ///
鈴鹿御前「あはは! ごめんごめん、それで、私の相手になるのはマジで誰?」
スカサハ「私とメイヴ、ダ・ヴィンチが違うことは確認したぞ」
鈴鹿御前「てことはー」
頼光「……!」プルプル
酒呑童子「へぇ、またおもろいことになったなぁ……さ、源氏の大将はん? 旦那はんが部屋から出るために頑張り」ニコッ
頼光「く、こ……の……!」キッ
酒呑童子「そないに睨まれても困るわぁ。王様と4番がポッキーゲーム、なんて言わんかっただけ感謝してな?」
頼光「…………いっそあなたとであれば……」
酒呑童子「……うん?」
頼光「酒呑童子……あなたとであれば……良かったのに」
酒呑童子「……頼光?」
鈴鹿御前「え、え、え? なになになに! 私お邪魔? 宿敵同士が実はみたいな!?」
ダ・ヴィンチ「おっと、これはなかなかいい光景が生まれるんじゃないか? 怪我の功名とかいう奴で!」
頼光「この遊びをしたのが蟲とだったなら、それを理由に部屋を出た瞬間、首を落とせにいけたのに……」
鈴鹿御前「ガクッ……」
ダ・ヴィンチ「ああ、うん、そんなことだろうと思った。知ってたさ、うん、私は天才だからね」
酒呑童子「……あんたみたいな年増とポッキーゲームしとったら、口腐ってまう所やったのに、頭まで落とされたら敵わんなぁ」
頼光「ええ、全く残念です。しかし、こうなってくると今度は鈴鹿御前様にご迷惑が……」
鈴鹿御前「へ、なんで?」
頼光「私のような者と、その、かなりふしだらな遊びをしてしまうのはご迷惑なのでは……?」
鈴鹿御前「いやいやいや! 難しく考えすぎっしょ!? いいのいいの、軽い息抜きと思えば!」
頼光「ですが……」
鈴鹿御前「別にこれ以上は無理! ってなったら先にポッキーから口を離せばいいだけだし? 問題ないって」
酒呑童子「ま、旦那はん達にさせれんかった時点でどうでもええわ。ほら、茨木からもろたポッキーつこてさっさとやり」スッ
鈴鹿御前「その切替っぷりは流石って感じ。じゃ、頼光ちゃん、さっさとすませるとするし!」モグッ
頼光「は、はいわかりま……!」
鈴鹿御前「ふぉひはの? ふぉら、はやくふやえて咥えて!」
頼光「あ、え、あの、その、思っていた以上にこれは恥ずかしいといいますか。同性同士であってもためらうべきのような……」
酒呑童子「ふぅん? 逃げるん?」
メイヴ「うわ煽るわねー」
スカサハ「お主が言うな」
頼光「な、に、逃げるわけないでしょう!? 分かりました! このような遊び、すぐに終わらせてみせます!」パクッ
鈴鹿御前「ふぉの意気その意気! そんじゃ、始めっと!」
――サクサクサクッ
マシュ「鈴鹿御前さん、食べるのが早いです!?」
ダ・ヴィンチ「なかなか攻めるねぇ。対して頼光はどう出るか……」
頼光「……?! ……!」プルプル
――パキィ!
ダ・ヴィンチ「あっ」
マシュ「え?」
立香「……もう折ったの?」
鈴鹿御前「……え、マジで? 終わり? ガチで?」
頼光「す、すぐに終わらせると申しましたから! これくらいで遊びなど丁度よいのです、ええ!」///
酒呑童子「……はぁ~……ほんま牛乳女の考えはつまらんなぁ」
頼光「蟲は黙りなさい!」
鈴鹿御前(こんなに早いと若干ショックなんだけど……ま、部屋から早く出るために、ここは黙っとこ)
酒呑童子「おおこわ……けどこの年増にしてはポッキーゲーム頑張ったほうやし、良しとしときまひょ。さ、次や次」
ダ・ヴィンチ「おっとそうだった。忘れるところだったが、これは部屋から出るためにしていることでもあったんだっけ」
マシュ「忘れそうにならないで下さい!?」
スカサハ「……そういえば、部屋から出るためだけなら、最初に王になったメイヴを全員で奉仕するのが一番早かったのではないか?」
頼光「……は?」ギロッ
メイヴ「あなたどうしても私を殺したいみたいね……?」
スカサハ「冗談だ。私もマスターがお主に傅く姿を見るのはあまり好きではないからな」
鈴鹿御前「ま、どうあれこれで王様ゲームでなにもしてない残りの人は、マスターにマシュ、それに」
ダ・ヴィンチ「私だね! うんうん、とてもいい残り方をしたものだ。これは少々王様になりたい気持ちが出てきたよ」
メイヴ「王様になったらどうするつもり?」
ダ・ヴィンチ「それはもちろん立香ちゃんとマシュに――」
頼光「良からぬことを考えているのでしたら、斬りますよ?」
ダ・ヴィンチ「か、考えてないから安心したまえ!」
鈴鹿御前(怪しい)
スカサハ(怪しいな)
酒呑童子(ほんまにぃ?)
メイヴ(絶対なにか変なこと考えているわね)
頼光「……信用はしたいのですが……」
ダ・ヴィンチ「どうして私はこうも疑われることが多いのだろうね立香ちゃん……」
立香「普段の行いがフリーダム過ぎるからじゃないですか?」
ダ・ヴィンチ「……くすん」
マシュ「え、ええと! ダ・ヴィンチちゃんも悪気があるわけじゃないんです! きっと! 恐らく……多分……ちょっとは……?」
ダ・ヴィンチ「ありがとうマシュ。だんだん自信をなくしながらも慰めてくれただけ嬉しいよ。さぁ、とにかくくじを引こうか!」
――ゴソゴソ ゴソゴソ
ダ・ヴィンチ「全員引いたね? そろそろこの部屋から出られるように、いい結果を目指そう! では」
全員「「「「「「「「王様だ~れだ?」」」」」」」」
マシュ「……え、ええと……わたし、です!」
ダ・ヴィンチ「なんと、マシュが王様か! ふふ、これは面白い」
ダ・ヴィンチ(アイツがいたら、さぞ笑っただろうな。あのマシュが、こんなことまでするようになったんだって)
頼光「これは……なるほど、マシュ、でしたら私の数は」
鈴鹿御前「ちょ、ちょっと待つし! こういうの、番号持ってる側から王様に教えたらダメなんだってば!」
頼光「そ、そんな……!? それでは」
鈴鹿御前「そう、マシュは自分の力でマスターとダ・ヴィンチちゃんの番号を当てる必要があるってこと」
頼光「それは難しいのではありませんか……?」
酒呑童子「あんたはん、小僧と意思疎通する時、毎回言葉が必要なん?」
頼光「そんなことはありません。金時とでしたら、言葉をかわさずとも息を合わすことが出来ます!」
酒呑童子「やったらあの三人もそれが出来ると思うとかな。うちらのマスターの一番の組み合わせやで?」
マシュ「その通りです! 頼光さん、わたしなら、きっと先輩とダ・ヴィンチちゃんの番号を当てられます!」
頼光「……そうでしたね。これは私が失礼なことをしました。どうぞマシュ、あなたの望むように」
マシュ「はい! それでは…………1番と4番の人は、王様の命令を聞いて下さい!」
メイヴ「さぁその番号は誰! 私は違うわよ!」
スカサハ「黙って見ていろメイヴ。大事な瞬間なのだぞ」ムギュー
メイヴ「いだだっ! ちょ、女王の頬を気安く……いたーい!」
ダ・ヴィンチ「まったく賑やかなことだね。そしてマシュ、流石だよ。4番は私だ!」
マシュ「や、やった! では1番は……!」
立香「当然私!」
マシュ「……っ!! や、やりました! マシュ・キリエライト、ちゃんと先輩とダ・ヴィンチちゃんの番号を当てられました!」
鈴鹿御前「いよっ、おめでとう!」パチパチ
頼光「お見事ですマシュ!」パチパチ
マシュ「あ、ありがとうございます、皆さん!」
メイヴ「うーん。合コンで男を教えるつもりが、結局こうなる辺りなんというか」
スカサハ「いいではないか。それだけ強い運命なのだろう、あの三人は」
酒呑童子(ここまで来ると、運命だけやのうてあの三人を結びつけるもんが、他にもあるのかもしれへんなぁ)
鈴鹿御前(あれに割り込めるとしたら、どこまでも優しい男か、ひたすら面倒な男か、うんざりするくらい意志の固い男だけっしょ)
ダ・ヴィンチ「それで、マシュは私達になにを命令するんだい?」
立香「なんでも聞くよ」
マシュ「えっ!? あ、そ、そうでした、王様ゲームですからね……何か、命令、ええと……」
鈴鹿御前「好きなように甘えちゃえばいいじゃんマシュ! 悩まない悩まない!」
マシュ「甘える……そんな、これまでも十分先輩とダ・ヴィンチちゃんには甘えて来ましたから、これ以上は……」
ダ・ヴィンチ「いやいや、足りないくらいさ! ねぇ立香ちゃん!」
立香「マシュにはもっとワガママになってほしい」
マシュ「そ、そうは言われましても……ええと、うぅ……そ、そうだ……ダ・ヴィンチちゃん!」
ダ・ヴィンチ「はーい!」
マシュ「ダ・ヴィンチちゃんとは、今年でお別れ……なんですよね」
ダ・ヴィンチ「……そうだね、年末にはもう今のカルデアではなくなってしまう。そうなれば、私もここから退去するよ」
マシュ「でしたら『ダ・ヴィンチちゃんは最後までわたしと楽しい思い出を作ってくれる』……は、ダメ、です、か……?」カァァ///
ダ・ヴィンチ「…………」
マシュ「あ、あの、ダ・ヴィンチちゃん……なにか言って下さい……///」
ダ・ヴィンチ「……マシュは可愛いなぁ」
マシュ「へ!? あ、あの」
ダ・ヴィンチ「もちろんいいとも! およそ私は万能だからね! 楽しい思い出をたくさんマシュに贈ると約束しよう!」
ダ・ヴィンチ「そしていつかアイツに言ってやるのさ。『どうだ! ロマンある生き方をマシュにさせてやったぞ!』ってね」
マシュ「……はい!」
立香「あの、マシュ、私には……?」
マシュ「え!? あ、その、先輩に命令なんてとても出来ません! はい、ゲームであっても!」
立香「ええー……」
マシュ「だから、命令ではなくて、お願いになるんですが……その」
立香「……?」
マシュ「これからも……ずっと側にいて、いいですか……?」
立香「……当然だよ! これからもよろしくね、マシュ!」
マシュ「……っ! はい……! よろしくお願いします、先輩♪」
アナウンス『条件が達成されました。ロックを解除します』
――ピピッ カチッ
スカサハ「ふむ、扉が開いたようだな。よしメイヴ、早く出ろ。この幸せ空間の側でお主を殺すのだけは――いないだと!?」
鈴鹿御前「メイヴなら扉が開いた瞬間笑顔で出ていったし?」
スカサハ「くっ……幸運EXめ! だが逃さん、必ず仕留める!」タタタッ
頼光「……では私も、眼の前にいる蟲を改めて排除するとしましょう!」
酒呑童子「ほんま風情っちゅうもんがあらへんなぁ。ま、ええよ。今は気分がええさかい、年増に付きおうてあげるわ♪」
――キィン! キィン! キィン……
マシュ「……あ、あの、冷静に考えたら私とんでもないことを言った気がするのですが……///」
立香「冷静に考えなくてもとんでもないことに返事した気がする///」
鈴鹿御前「いやほんと、こりゃ合コン云々は初めからお節介すぎたみたいだし。うんうん、こりゃマスターもマシュも心配ないっしょ」
ダ・ヴィンチ「ああ。本当にね……さて、では外に出られるようになったし、またいつものの生活に戻るとしようか」
マシュ「はい! 先輩も早く行きましょう! 皆さん待ってますよ!」
立香「そうだね。行こう!」
立香(こうして私はマシュと一緒に部屋の外に出た。それまで起きていた出来事はまるで夢のようで、今でも実感が……)
立香(……夢?)
――ガコン!
立香(っ!?)
巌窟王(((そうだ、夢だ! おまえが見ていた物は、もはや終わったことだ!)))
立香(巌窟王……?)
巌窟王(((そして奪われた物があるのならば! 足掻き続けろ! 取り返すため! 目を覚まし、歩け!)))
立香(……うん)
巌窟王(((お前ならばそれが出来るはずだ! 我が共犯者! 一度は世界を救いし者よ!)))
立香(うん……!)
巌窟王(((俺は今、言葉しか送れぬ……だからこそ、俺は再びこう言おう!)))
巌窟王(((”―――待て、しかして希望せよ”と!)))
――――シャドウ・ボーダー内
――ガコン!
ゴルドルフ・ムジーク「お、おいまた揺れているぞこの車! ほ、本当に大丈夫なのか!? 突然消失したりしないだろうな!」
アナウンス『もー、誰かそこのおじさん黙らせて。操縦の気が散る!』
立香「……んぅ」
シャーロック・ホームズ「お目覚めかねミス立香。マシュはまだ眠っているが、キミはよく眠れたようだね」
立香「はい」
ゴルドルフ「ぬ!? 起きたのか貴様。この状況で眠れるなど一体どういう神経をしとるんだ……?」
立香「慣れてますから」
ゴルドルフ「こんな事態に慣れるなど、どんな生活をしていればそうなる……」
立香「それより、状況は」
ホームズ「シャドウ・ボーダーの虚数潜航がもうすぐ終わり、我々は新たな場所に出る……予定だ」
ゴルドルフ「予定だと!? そんな曖昧な話があるか!?」
ホームズ「仕方ないだろう。なにもかもが初めてかつ情報不足な状況で、物事を断言することは難しいよ」
ゴルドルフ「ぬぅぅ……世界で最も有名な探偵の名を持っているのならば、もう少し希望のあることを言ってみせんか!」
ホームズ「現時点で希望のあることと言えば……やはりミス立香の目が死んでいないということくらいだろうか」
ゴルドルフ「こやつの目が死んでいないからどうというのだ! それでなんとかなるとでもいうのか?」
立香「無責任なことは言えません。でも――」
立香「―――待て、しかして希望せよ、って、こういう時は言うんです!」
立香(そうだ。そして帰るんだ、マシュと、皆と一緒にカルデアに!)
――そして、シャドウ・ボーダーは浮上する。反撃を開始するために。
〈終〉
ついにFGO第2部が開始する月が決まったので、今のうちにしてくれてたらいいな展開を書いておく。
皆も空白期間でぐだやマシュがなにしてたか妄想したならSSや絵にしてみようぜ!
でも本当に待った、序章から間が空きすぎて本当に辛かった。4月中旬くらい開始だと嬉しいんだけどな……
読んでくださった方ありがとうございました
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