綾瀬穂乃香「Pさんとぴにゃこら太、どちらか片方しか助けられないとしたら……?」 (19)

穂乃香「………」

穂乃香「………」

穂乃香「………」



柚「わーすごい、一時間前に質問したことまだ考えてる」

忍「いや、見てないで止めてあげなよ……」

柚「アタシもキリのいいところで『あーハイハイ、今の質問ナシナシ。どっちも大事だよね~』って言おうと思ってたんだけど」

忍「思ってたんだけど?」

柚「あんまり真剣な顔してるから、ついつい観察したくなっちゃった」テヘペロ

忍「まったく……まあ、確かにものすごーく真剣な顔してるから、邪魔しにくいのはわかるけど」

柚「でしょー? この飽きっぽい柚チャンが何もしないで一時間見つめ続けたんだから相当だよ?」

忍「といっても、そろそろレッスンの時間だから呼んであげないとね。おーい、穂乃香ちゃん」

穂乃香「………」

忍「穂乃香ちゃんってばー!」

穂乃香「………はっ!? し、忍ちゃん!? いつから」

忍「ちょっと前から」

柚「アタシは一時間前からー」

穂乃香「一時間……あ、本当。もうこんな時間……」

忍「すごく悩んでたみたいだね。Pさんとぴにゃこら太、どっちか片方しか助けられないとしたらって話で」

穂乃香「はい……私、どうしたらいいのかと。忍ちゃんならどうしますか?」

忍「いやアタシなら迷わずPさんだけど」

穂乃香「そんな簡単に!?」

忍「そりゃあ、アタシと穂乃香ちゃんじゃぴにゃこら太に対する感情が違いすぎるし……Pさんへの気持ちは同じだと思うけど」

穂乃香「それは確かに。片方だけ同じでは、意味がないですよね」


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穂乃香「Pさんのことを大切だと思っている気持ちは同じでも」

忍「うん」

穂乃香「かけがえのない人だという気持ちは同じでも」

忍「うんうん」

穂乃香「近くにいるだけで胸がドキドキしたり、笑顔を見るだけで顔が熱くなったりするところが同じでも」

忍「うん………うん?」

穂乃香「時々どうしても会いたくなって、いてもたってもいられなくなるような」

忍「う~~ん?」

穂乃香「? 忍ちゃんは感じないんですか?」

忍「えっ……えっと。感じ……る、のかなぁ。もしかしたら、感じる時もあるのかもしれないなぁ」

穂乃香「私は割と頻繁に感じますけど」

忍「頻繁なんだ……すごいね」

柚「これは……感じる。感じるよ、アレの予感を!」

穂乃香「アレ、とは?」

柚「その先は、キミ自身の目で確かめてくれ☆」

忍「ゲームの攻略本じゃないんだから」

穂乃香「私自身の目で……そうですよね。自分の力で成し遂げないと、意味がありませんよね!」

忍「そして穂乃香ちゃんは真面目に受け取りすぎだし」

柚「それなら、早速Pサンのいるところへゴー!」

忍「Pさんなら、さっきあずきちゃんと話してるところを見たよ」

穂乃香「あ、いました」

柚「確かにあずきチャンとなにやら楽しそうにおしゃべりしてますな~」

忍「なんの話をしてるんだろ」




あずき「うっふーん♪ どうどうこのポーズ、セクシーマシマシでしょ?」

P「お~、胸を強調する角度がまたたまらんな!」

あずき「見え方を研究してるからね!」

P「あとはもう少し腕を上げてみたらどうだ」

あずき「腕、どうして?」

P「腋チラが堪能できる」

あずき「なるほど! さっすがプロデューサー、信頼できるね!」

P「そうだろうそうだろう」

あずき「こーんな感じ?」

P「うはー、眼福眼福」




穂乃香「ぴにゃこら太を助けます」キッパリ

柚「おー、即決だね」

忍「まあ、あんな鼻の下伸び切った顔を見せられたらね……」

穂乃香「プロデューサーは替えが効くので」

忍「さっきかけがえのない人って言ってなかった?」

柚(ぴにゃもぴにゃで着ぐるみだから替えが効くと思うけどな……)

穂乃香「……確かにあずきちゃんはセクシーですけど、あんなだらしない顔をするなんて――」



あずき「フリルドスクエアのセクシー担当として、これからも頑張っていかないとね!」

P「セクシー担当か。だがフリルドスクエアには穂乃香もいるぞ」

あずき「あー、穂乃香ちゃん。確かに強敵だね」

P「澄ました顔して普通におっぱいでかいからな。すごいよなぁ」

あずき「背も高めだし、ナイスバディのお手本みたいな身体してるよね」

P「の割に、自分の身体つきのよさをいまいち自覚してないからな。無自覚にバスト85を揺らしてくるから心臓に悪い」

あずき「無自覚お色気大作戦だ」

P「無自覚な作戦っておかしくないか?」

あずき「あはは、確かに」





穂乃香「………」


穂乃香「やっぱりPさんも助けようかな……」

忍「えっいいの!? 今の会話聞いて評価プラスになるの!?」

柚「忍チャン。よく言うでしょ、『恋は盲目』って」ドヤ

忍「………」

柚「あれ、どしたの?」

忍「柚ちゃんがそんな難しい言葉を知ってることに驚いた」

柚「そんなに難しくないよねっ! 柚もそこまでおバカさんじゃないからね!」

忍「セプテンバー」

柚「12月!」

忍「うん、わかった。よくわかったよ」

柚「わかればよし♪」



その後


P「なに? 俺とぴにゃこら太のどっちか片方しか助けられないとしたら?」

穂乃香「はい……柚ちゃんに聞かれて、考えていたんです。でもなかなか答えが決まらず」

P「へえ。穂乃香の大好きなぴにゃこら太と天秤にかけられて迷ってもらえるっていうのは、ある意味光栄だな」

柚「Pサンポジティブ~♪」

P「そうだ。だったら俺がぴにゃの着ぐるみを着ればいいんじゃないか?」

忍「あ、なるほど。逆転の発想だね」

あずき「着ぐるみ持ってくるね!」タタタッ

柚「これで解決だね、穂乃香チャン!」

穂乃香「あ、キャラクターのイメージが損なわれるのでそういうのはちょっと」

P「真面目だ」

柚「解決してなかった」

あずき「お待たせ! ぴにゃこら太の着ぐるみ持ってきたよ!」

P「でもせっかく持ってきてもらったんだし着るだけ着るか」モゾモゾ


ぴにゃこら太(P)「穂乃香ちゃーん、ぴにゃこら太だよ~」

穂乃香「ぴにゃこら太はそんなこと言いません!」クワッ

ぴにゃ「厳しい」

忍「まあ『ぴにゃ』しか言わないもんね」

あずき「着ぐるみ大作戦、失敗かー」

ぴにゃ「ぴにゃ~~」

穂乃香「もっとかわいい声で!」

ぴにゃ「ぴにゃぁ~~」

あずき「と思ったらプロデューサーは諦めてなかった」

柚「この不屈の精神が、Pサンをプロデューサーたらしめているのサッ」

あずき「なるほど!」

忍「そうなのかな……?」



別の日


穂乃香「ダンスレッスンおわりました、Pさん」

P「ああ、お疲れ。どうだった?」

穂乃香「今日は調子が良くて、トレーナーさんにも褒められ……すん、すん」

P「ん、どうした」

穂乃香「すん、すん……この匂い……タバコ」

P「うっ」

穂乃香「Pさん……また隠れて吸っていましたね?」

P「………はい」

穂乃香「もう……あれだけタバコはやめるって言っていたじゃないですか」

P「ごめんなさい」

穂乃香「次はダメですからね?」

P「はい」

柚「あー、Pサン怒られてる~♪」

穂乃香「私も怒りたくて怒ってるわけじゃないんですよ?」

柚「なんだっけ? Pサンが健康のために禁煙しようとしてて、見張り役を穂乃香チャンにお願いしてるんだっけ?」

P「ああ。自分でやるだけじゃ絶対うまくいかないから、誰かに監視してもらうことにしたんだ」

穂乃香「でも、私のいないところでこっそり吸われてはどうしようもないです」

P「反省してます」

柚「穂乃香チャンは真面目でしっかりしてるし、監視役にはうってつけだね!」

穂乃香「頑張ります」

柚「さっすが~♪ 確か穂乃香チャン、自分のスケジュール管理もちゃんとやってるんだよね」

穂乃香「はい。でもこれについては、Pさんのやり方を参考にしているので」

柚「え、そうなの?」

穂乃香「余裕のあるスケジュールの組み方とか、そういったことのアドバイスは何個かいただいているんです」

柚「へー、Pサンそういうところしっかりしてるんだね」

P「まあな」

柚「気になるからスケジュール帳見せてくれない?」

P「いいぞ、ほら」

柚「ありがと♪ どれどれ~」

柚「おおー、確かにちゃんと細かく書いてる……ん?」

柚「ねえねえ、さりげなく『穂乃香をかわいがる時間』とか入ってるんだけど」

穂乃香「!?」

P「一日一回は穂乃香をかわいがりたくなるからしょうがない」

柚「それはなんとなくわかるケド……ここは『柚と遊ぶ時間』も入れようよ~」

P「検討しておこう」

柚「やった♪」

穂乃香「……『穂乃香をかわいがる時間』だなんて、そんなもの作っていたんですか?」

P「あはは……すまん、つい」

穂乃香「もう……」

穂乃香「スケジュール帳、見せてください。私のスケジュールにも追加しておくので」

P「追加? なにを」

穂乃香「その……Pさんにかわいがってもらう時間を、です」プイ

P「真面目かわいい」

柚「略してマジかわ」

穂乃香「な、なんですかマジかわって!?」



わいわいきゃーきゃー



忍「………」

忍(アタシは優しいので黙っておくけど……穂乃香ちゃんのスケジュール帳には、もともと『Pさん』と書かれているだけのコマ割りが何個かあったりするんだよね)

忍「ホント、マジかわだ……」


また別の日


P「………あ、間違えた」

穂乃香「どんまいです。少し前からやり直しましょう」

P「難しいな……」

穂乃香「はじめは誰でもそうですよ。きっと上達します」


あずき「ふたりでなにしてるの?」

穂乃香「あずきちゃん。こんにちは」

P「編み物を教わっているんだ」

あずき「編み物?」

穂乃香「マフラーを作るんだそうです」

あずき「マフラーって、もうすぐ春なのに?」

P「今から作れば次の冬までに余裕があるからな」

あずき「さすがに余裕とりすぎじゃないかな?」

穂乃香「あはは……私もそう思ったんだけど、最終的には本人のやりたいようにやるのが一番だから」

あずき「穂乃香ちゃんは優しいねー」

穂乃香「そんなことは……Pさんには、普段いろいろとわがままを聞いてもらっているので、このくらいは」

あずき「わがまま? あずきとか柚ちゃんならともかく、穂乃香ちゃんが?」

P「さらっと柚を巻き込んだな」

あずき「えへへ~。それで、穂乃香ちゃんの言うわがままってどんなの?」

穂乃香「たとえば……公園でおしゃべりしてほしいとか、お弁当を作ってみたので食べてほしいとか」

あずき「ん~~。それをわがままと表現されると、普段のあずきがしてることって『圧制』とか『支配』とかになっちゃう気がする」

P「大作戦じゃなくて大侵略だな」

あずき「ということで、バランスとるために穂乃香ちゃんももっとわがままになろう!」

P「そっちが控えめにするという選択肢はないのか」

あずき「名づけて『みんなでわがまま大作戦』! どうかな穂乃香ちゃん」

穂乃香「もっとわがままに……うーん」

P「ないなら無理に考えなくていいんだぞ、穂乃香」

穂乃香「Pさんは、いいんですか? 私がもっとわがままになっても」

P「そうだなぁ……まあ、ほかにもっとわがままな子もいるからな。少しくらいなら全然大丈夫だ」

穂乃香「そうですか……なら」

P「なら?」

穂乃香「デートに、連れて行ってくれませんか?」

穂乃香「私、今まで男の人とそういう経験をしたことがないので……お買い物をしたり、遊園地に行ったり、夜景を見たりしてみたいな、なんて」

P「………」

穂乃香「さ、さすがにわがままが過ぎますよね――」

P「明日行くか」

穂乃香「はやっ!?」



あずき「………」

あずき「ふふふ、さすがはあずきだね。『恋愛大作戦』は大成功」

忍「作戦名変えて無理やり成功扱いにするのはどうかと思う」




後日


P「うー……タバコ吸いたい」

穂乃香「ダメです」

P「ダメ?」

穂乃香「ダメです」

P「そうだよな……自分で禁煙するって言ったんだもんな」

穂乃香「そうですよ」

P「けど、どうしても口が寂しくてな……」

穂乃香「それなら、キャンディーを持っているのであげましょうか?」

P「いいのか? ならありがたく」

穂乃香「はい、あーん」

P「むぐ………うん、うまい」

穂乃香「ふふっ、よかったです」


穂乃香「……やっぱり、Pさんですね」

P「え?」

穂乃香「ほら、この前柚ちゃんに聞かれた」

P「ああ。俺とぴにゃ、助けるならどっちかってやつか」

穂乃香「はい。ぴにゃこら太は自分の力でピンチを乗り切ってくれそうなので、私はPさんを助けます」

P「俺は自力じゃ乗り切れないってこと?」

穂乃香「どちらかといえば、です」

P「ははは……そうか。頼りがいのある男にならないとなぁ」

穂乃香「……まあ、私が支えたいのはどちらか、ということなのかもしれませんけど」

P「え?」

柚「ふぉっふぉっふぉ、ついに答えを出したようじゃな、穂乃香チャン」

穂乃香「柚ちゃん。はい、時間はかかっちゃいましたけど」

柚「うむうむ。それでは間髪入れずに第二問!」

P「ひょっとしてずっと待ってたのか。第二問言うタイミング」

柚「Pサンとぴにゃこら太、ふたりに同時にプロポーズされたらどうする?」

穂乃香「!?」

P「おいおい」

穂乃香「うーーーーーん………」

柚「おーっと穂乃香選手またも長考だー! 果たしてどちらを選ぶのか!」

P「穂乃香も、そんなに真剣に考えなくても」

穂乃香「い、いえ。どちらを選ぶかで迷っているわけではないんです。ただ、OKを出す時期の問題が」

穂乃香「一応私は結婚できる年齢ですけど、アイドルですし……Pさんのご実家にも挨拶にうかがわないといけないし……」

P「……え?」

柚「ということは、プロポーズされたら受けることは確定なの?」

穂乃香「………」

穂乃香「………」


穂乃香「い、いえっ!? そ、そそそういうわけではなななくて」カアァ

柚「これは、軽い気持ちでとんでもないことを知ってしまったかも……」

穂乃香「うわあああ~~~!!」

P「……マジかわ」

………

……



P「なあ、穂乃香」

穂乃香「なんですか?」

P「俺とぴにゃこら太、どっちが好き?」

穂乃香「ふふっ、なんですかそれ。めんどくさい彼氏の真似?」

P「いや。なんとなく昔を思い出してな。一時期柚がこんな感じの質問しまくってなかったか?」

穂乃香「そうでしたか? 細部に結構違いがあるような」

P「細かいことはいいじゃないか。しかし、あのブサイクなやつも何年も人気あるんだからすごいよなぁ」

穂乃香「当たり前ですよ。あんなにかわいいんですから」

P「かねぇ……ああ、そうそう。昔といえば、こんなものを見つけた」

穂乃香「……これ、いつかの黒猫の衣装じゃないですか」

P「また黒猫穂乃香が見たいんだけど……着てくれないか?」

穂乃香「さすがにこの歳になってこれは……アイドルをやっていた頃ならまだしも、今は身体つきもだらしないですし」

P「そんなことない。今でもナイスバディだぞ」

穂乃香「……本当にそう思います?」

P「思う」

穂乃香「……わかりました。ただし、条件があります」

P「条件?」

穂乃香「本当に、まだナイスぼでーだという自信を持ちたいので……今夜、確かめてもらえませんか? 私の、身体を」

穂乃香「できれば、その。一晩かけて、じっくりと……」

穂乃香「そんな感じで、うまい具合に主人にコスプレさせられちゃって」テレテレ

忍「ぴにゃ~~~」(のろけに言葉を失っている)



おしまい

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
綾瀬さん、胸大きいし黒タイツだし無敵感ある

過去作
佐藤心「お前もツインテールになるんだよ☆」 二宮飛鳥「えぇ……」
ミリP「しずかわいい」

などもよろしくお願いします

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