オメガモン「ポケモンの世界を侵略しよう」 (168)

マグナモン「いきなり訳の分からない事を言うな、オメガモン」

オメガモン「何を言っている。私は本気だぞ」

デュークモン「落ち着けオメガモン。まずそのポケモンとやらは何か教えろ」

オメガモン「ん?知らぬのか?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371733983

オメガモン「斯々然々」

デュークモン「ふむ。確かにデジモンと被っているような気がしないでもないが」

マグナモン「別に戦う程でもないだろう。そもそも相手側の方が初出だ。その上我々には我々の深刻な問題がある」

デュークモン「デジタルワールドの消滅というな。従ってその為の戦力を送り込む余裕はない」

オメガモン「私もその危機は承知している。徐々にとはいえデジタルワールドが外側から消滅し縮小している現状は
早急に打破すべきだ」

マグナモン「ならどうして?この事態の原因すら分かっていない今、そのような提案をしたのだ?」



オメガモン「実は私は先日の調査で遂にこの危機の原因を突き止めることに成功した」



オメガモン「ポケモン世界の拡大こそがその原因だったのだ」

デュークモン「何だと?」

マグナモン「本当なのか、オメガモン」

オメガモン「ああ。デジタルゲートを応用した異世界観測の結果、判明した。デジタルワールドから消失した空間の規模と
ポケモン世界に発生したの規模の一致が見られたのだ」

デュークモン「デジタルワールドの消滅による危機から逃れ、拡大しているポケモンの世界に移住する訳か」

オメガモン「その通りだ。運良く向こうの世界はデジタルワールドに構成が近い。我々の生存には適している」

マグナモン「お前の言い分は分かった。しかし出兵にはイグドラシルの承認が必要だ」

オメガモン「そう言えばここ最近イグドラシルを見ていないが何故だ?デジタルワールドを見捨てたのか?」

マグナモン「そんな筈は……」



??????「いや、その可能性は十分に考えられる」

オメガモン「……アルファモンか」

アルファモン「……ロイヤルナイツの会議だと聞いて来てみたが、お前たち3人しかいないとはな」

マグナモン「滅多に集まりに来ないお前には言われたくないぞ」

アルファモン「とにかく俺はお前に賛成だ、オメガモン。イグドラシルなぞ捨て置けばいい」

デュークモン「仮にもデジタルワールドの神に向かって凄い言い様だな……」

オメガモン「ふむ、そうさせてもらうか」

マグナモン「おい」

オメガモン「まあ待てマグナモン。奴のことだ。管理する領域が増えるのを悪くは思うまい」

マグナモン「そういう問題では……」

オメガモン「その上この方法は問題の原因をそのまま利用するから再発の確率も低くなるベストに近いやり方だ。
これ以上の方法がお前に有るのであれば是非聞きたい」

マグナモン「くっ……」




*****



オメガモン「取り敢えず私含め4人は賛成と言うことだな」

マグナモン「……ああ」

デュークモン「そうだな」

アルファモン「まあ本当なら欠席した奴が悪いから本決定でも良かったのだがな」

マグナモン「だからお前が言うな」

 ロイヤルナイツ(4人だけ)の会議で取り敢えずの承認を受けた侵略案。後に行われた本会議(12人)でも可決され、
デジタルワールド各地にて開戦の準備が始まった。

今日の投下はここまで




「ロイヤルナイツの軍門に下る!?本当に宜しいのですか!?」




 ここはダークエリア───デジモンの墓場であると同時に闇のデジモンが生を受ける場所───の奥深く、
魔王型デジモンにして七大魔王の一種に数えられるデーモンの居城。
 段差が室内に幾つもあり、その最も高い段に座を構えているのがこの城の主。その二段下から魔王の意を
窺うのが忠臣・メフィスモンだ。

「仕方あるまい。此度の災、その煽りを最も受けておるのが我が眷属、ナイトメアソルジャーズであるが為よ」

 災、つまりデシタルワールドの消滅。どのエリアも一定の被害を受けているが、その中でも際立つのが
ダークエリアの消失であった。何と面積にして4割ほどが既に消えてしまっているのだ。
他所者にとっては地獄のような地ではあるが、それでも悪魔型デジモン達にとっては重要な居住区。
消失に飲み込まれたデジモンは皆消滅、デジタマによる転生の機会さえ与えられなかった。

 ロイヤルナイツ
「  奴ら   に歯向かえる程の戦力は今の我が領地には在らず。その上災害での被害も大きい。
ならば奴らに加担して安住の地を手に入れるのが良作であろう。」

 デーモンの説を聞いてメフィスモンは心苦しく思っていた。君主に、強大な魔王に、そのような
従属案を述べさせてしまう自分を始めとする臣民の力不足を。

 魔王型デジモンは自らの野望の為だけに部下を動かす者が多いが、このデーモンは違った。
戦では先陣を切り、兵の士気を上げ、弱く虐げられている者の為に法を作るといった、万民に対し情の厚い王であった。

 臣民の多くは彼を敬愛しており、メフィスモンをまた例外ではない。だからこそ辛いのであった。

「……承知しました。しかし今回の戦い、デーモン様はこの城に」

 メフィスモンはそう述べた。非常事態だからこそ、民を落ち着かせるため、領地内に王がいるべきであるからだ。

「……貴様の意は受けとったぞメフィスモン。不本意ではあるがこの城にいよう」

 メフィスモンの表情からその旨を理解したデーモンはそう答えた。

>>24
○メフィスモンもまた例外ではない
×メフィスモンをまた例外ではない

 所変わってデジタルワールドの原生林。多くの獣型デジモン、昆虫型デジモン、植物型デジモンが息づくここでも、
ポケモン世界への侵攻が話題に挙がっていた。

「でさ、お前らはどうすんだよ?」

 青い体毛と左腕の装備が目立つ獣人型デジモン・ワーガルルモンが自分が集めたデジモンに尋ねた。

「そりゃあ、行くにきまってんだろ。新天地で豊かな生活が俺を待ってるからな」

 灰色の体色と大顎が特徴的なオオクワモンが答え、続けていった。

「しかも『デジモン』同士で戦うってのも飽きてきたしな。ま、この森で最強なのは俺に違いないけどなwwwwww」

「お前ごときが最強wwwwww笑わせんなクワガタ野郎wwwwww」

 そう言ったのはアトラーカブテリモン。赤い体色のカブトムシのようなデジモンだ。

「あ?そんなに自慢の一本角へし折って欲しいのか?」

「できるもんならやってみやがれwwwwwwそのナマクラ鋏でなwwwwww」

「おい、2人ともやめろ!」

 マスターティラノモンが慌てて仲裁に入りに行くが、それ以外のデジモンは話を続けている。

今日はここまでです

───カントー地方・7の島

「ヘルガー!『かみくだく』だ!」

「甘い!ソーナンス、『カウンター』」



 ここ、7の島は特にポケモントレーナーが多い島だ。トレーナータワーは勿論、屋外の渓谷でも盛んに
ポケモンバトルが行われている。ナナシマの腕に覚えがあるトレーナーはまずここに来ることが多い。
 渓谷には野生のポケモンが棲息しており、それ目当てで訪れるものもいる。

 そんな島の日常の光景がこの日もまた繰り広げられ、そのまま過ぎていく







筈だった───

「ん?何だあれ」

 1人の島民が空の一点を指差した。その先にあるものは黒い影。
 何となく二足歩行とわかる体制で滞空しており、黒い金属質のフレームで体が覆われている。





「この島の人間に告ぐ。ポケモンを含む武装を放棄せよ。この島を我々の植民市とする」

 知性の存在を感じさせる、人間に通じる言語。それが上より聞こえた。殆どの島民は気づいたのか、上を見上げている。

「今しゃべったのってあれか?」

「あんなもん見たことねえぞ」

「ポケモン?人間?ロボット?」

「馬鹿言え。あんなデカい人間いてたまるか」

「でもなんかかっこよくね?」

「再度通告する!ポケモンを含めた武装を放棄せよ。放棄された武装はこちらで処分する。
従わない場合、命の保証はない」

 黒い物体、よく見れば何処か竜を思わせるフォルムだ。背中からはエネルギーのようなものが噴出しており、
それで飛行していることが伺える。右腕には機械に使われるような太いケーブルが見られ、槍状のものに通じている。



「ポケモンを放棄しろだと?」

「処分ってどういうことだ!」

「降りて来やがれ!」

「ポケモンを物扱いしやがって、ただで済むと思うなよ!」

 島のポケモントレーナーは従うそぶりを見せず、徹底抗戦の構え。それを察した黒い影は声の調子を変えた。

「こちらダークドラモン。デジタルゲートのオープンを要請する。そしてD-ブリガードへ、
オープンと同時に降下せよ。この島を制圧する」

 戦車のような完全体デジモン・タンクドラモン、暗殺を得意とする成熟期デジモン・シールズドラモン、
迷彩柄の皮膚をもつ爬虫類型ベースのサイボーグ型成長期デジモン・コマンドラモン。
この三種がダークドラモンの周囲のデジタルゲートから出現。タンクドラモンは自由落下、
シールズドラモン、タンクドラモンはパラシュートを開いて降下する。

「戦る気か!?迎え撃つぞ、カメックス!」

「いけ!ウツボット!」

「頼むぞ、ラッタ!」

 ポケモントレーナー達も応戦するためにポケモンを繰り出す。




 ここでポケモントレーナー達はあることを失念していた。それはポケモンバトルの「ルール」に依るものだろうか。

 バトルではなく、命のやり取りであることを。ルールなどない、殺し合いであることを、
戦う力があるのはトレーナーではなく、ポケモンだけであることを。

 降下中の多数のコマンドラモン達は自らの自動小銃を構え、攻撃対象を狙い、そして引き金を引いた。







タ タ タ タ タ タ タ タ タ タ タ タ







弾幕がポケモンを、








トレーナーを襲う。






「がはっ……」


「ごぼはっ……」


「げほっ………ごはっ……」


ビチャッ、ヌチャッ


バタッ

バタッ


バタッ

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

「うっ、うわああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 他のトレーナー達が、惨状を見て悲鳴を上げた。

 何人ものトレーナーが被弾し、倒れている。中には銃弾が急所に命中し、既に絶命している者もいた。

 島は大混乱に陥っていた。トレーナーが多く銃弾に倒れ、残った者もショックで戦闘どころではない。

 それを見逃す敵ではない。

 降下を終え、着地したシールズドラモンが残ったトレーナーに高速で接近。そして

ズバッ


スパッ





プシュウウウウウウ


ブシャアアアッ



「うっ…………」


「……うあ…………」



斬り伏せた。

 残されたポケモンもまた何をすればいいのか分からず、まごついている。



「ブラストガトリング……発射!!」

 タンクドラモン達は大口径のガトリング弾を戸惑うポケモンに向け、放った。

ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ

ブシャ グシャ ドシャ ズギュン ゴシャッ

「ガメ……ッ」

「ウヅ……」

「ラッ………」



弾はポケモン達の体を抉り、貫き、破壊した。

 攻撃の一部始終を空中で眺めていたダークドラモンが遅れて地上に降り立った。

「」

 攻撃の一部始終を空中で眺めていたダークドラモンが遅れて地上に降り立つ。

「2/3で渓谷の残党を殲滅しろ。残りはあの建物の制圧だ」





 まだ、戦いは始まったばかりだ。

本日の投下完了。

>>46は誤送信です。

生きてまーす

ジラーチ「ボクに勝てると思う?」

ギラティナ「反物質による対消滅で」

ポリゴン・2・Z 「デジタルと聞いて」

午後から投下します

───一の島



 平和だった島は、突然の侵略によって騒乱の中にあった。

 響き渡るのはポケモンの断末魔、トレーナーの悲鳴。ごく稀に腕の良いトレーナーが
善戦しても、大勢を変えることは出来なかった。こんな小さな島に、
この軍勢を退ける戦力は無い。

 近隣の島々は既に助けを呼ぶ前に蹂躙された。拠って、助けもこない。

 ここにも戦いで傷ついた主従が一組。そして



「……中々に、手こずらせてくれたな」



サイボーグ型デジモン・アンドロモンが立ちはだかっている。




 アンドロモンが口を開いた。

「今からでも遅くはない。ポケモンを捨てて降伏……」

「うるせえ!!ポケモンを見す見す渡すトレーナーがいる訳ねえだろう!!」





 このトレーナーは知っていた。手放したポケモンが敵に殺処分されることを。

「しかし、このまま戦いを続けてお前諸共殺されるか、ポケモンを渡してお前だけでも
助かるか。どちらがマシか解らないお前ではないだろう」

 それでもアンドロモンは語りかける。

「……無意味な殺生は好きではない。決断しろ」



 空手王の男は噛み締めていた唇を開いて言い放つ。

「何が無意味な殺生だ!それならポケモンを殺すことは有意義なことだとでも言うのか!」

「大体お前たちはなんなんだよ!いきなり現れたかと思えば俺たちを攻撃し始めて……こんなのは……」

 理不尽。彼らにとって、この侵攻は、まさにその一言だった。



「……理不尽、確かにお前たちにとってはそうだな。しかし私たちにも理不尽な事情がある。
退くことはできない」

「……そうかよ。なら……」

 男は懐から傷薬を取り出し、カイリキーに吹き付けた。



「てめえをぶっ飛ばして、島の外に助けを呼びに行かせて貰う」

 カイリキーは再び立ち上がる。生き延びる為に。トレーナーの意気の為に。



(奴の攻撃は殺傷力が大きい。くらえば流血もんだ。しかし……)



 男には1つ疑問があった。何故か自分のポケモンの攻撃が、他者のポケモンの攻撃に比べ、
アンドロモンに効果的なことだ。

(何が違うってんだ。トレーナーとしての実力なら、島にはもっと強い奴がいた)

 思考を巡らせる作業をしていると、アンドロモンが口を開いた。

「そうか。ならば仕方ない。どうやら抵抗しているのはお前が最後のようだ」

「おお、そうかよ。まあそうだと思ったぜ。俺がこの島で最強だからな」

 嘘。確かに最後だとは薄々考えていた。しかしそれは自分より強い筈のトレーナーが
敗北するのを見たことによる考えであり、
前述の通り自分が最強だなどとは微塵も思っていない。

 それでも男は最強を自称する。パートナーのカイリキーの為に、敵に自分が感じた
疑問を浮かばせない為に、敵に余裕を与えない為に、自らの勝利を確実にする為に。

「行くぞ、人間!」

 口にすると同時にアンドロモンが向かって来た。

(見当は既についている。検証するだけだ!)

「カイリキー、『バレットパンチ』だ!」

 アンドロモンが生物離れした瞬発的加速で一気に距離を詰める。しかし、

「リキッ!!」



ガ ゴ オ オ ン 

先に届いたのはカイリキーの鋼の拳。

「ッ!?」

 思わぬ一撃に一瞬怯むアンドロモン。だが、



「先程までの威力はどうした!」

そう叫んだのち、カイリキーを逆に殴り飛ばした。

「リキィッ!」

 ただでは倒れまい、と、カイリキーは受け身をとって、すぐさま体勢を立て直した。

「『スパイラルソード』!」

 隙を突かんと必殺の刃で斬りかかるアンドロモン。

「よけろ!喰らったら一巻の終わりだ!!」

 カイリキーは自らが最小限に留めた隙で、

ダ ン

四肢ならぬ六肢を使って大地を蹴り、

シ ュ ッ ッ



「ちぃっ!」

襲いかかる剣を間一髪で避けた。

(あっ、あぶねー。戦闘前にドーピングアイテム使いまくって良かったぜ。スピーダーとかスピーダーとか)

 誇張一切なしの間一髪。少し遅ければ五体満足(七体満足)では済まなかった。

(だが、ピンチの後には……)

「カイリキー、『けたぐり』!」

 空振りで出来た隙を見逃さず、仕掛けていく。カイリキーはスライディングのように飛び出し、

「ノッポのガラクタ野郎!足がお粗末なんだよ」



「しまっ……!?」

アンドロモンの脚を苅った。





ッ ガ キ ィ ン

「ッ!?」

ド シ ャ ァ ッ



「うがあっ、ぐああああああ?!!!」

 アンドロモンは苦痛に叫んだ。とてもただ転んだだけの痛がりようではない。

(『けたぐり』は敵の体重が大きいほど破壊力が増す!てめえらみてえなポケモンより図体が
デカい輩には最高の技ってもんだそして何より……)



「な、何なんだ今の威力はっ……さっきのパンチからは全く……」





(こいつらにもタイプ相性は通用する!)

「ぬ、抜かった……」

 アンドロモンは驕りを悔いていた。

(何てことだ……。完全にここの敵を舐めていた。単独でこの島の南方を制圧しようとしたこと、
驕りと言わずして何と言う!今から他のデジモンを呼んでも、恐らく決着には間に合わない……)

 単独でこの敵を撃破する。その選択肢のみが残されていた。

 一方、空手王は策が当たったのを喜んでいた。

(我ながら大胆過ぎる仮説だぜ……)

「諦めろ、ガラクタ野郎。勝負はついたもうお前はボロボロ……」

「黙れ!!まだ終わっていない!お前たちを殺す迄はな!」

 アンドロモンは叫ぶように言い返すと、カイリキーを無視して飛びかかる



バ チ ッ  バ チ ン バ チ バ チ ッ

筈だった。

「うっ、ぐあっ……。何と言うことだ、脚が……」



 アンドロモンの脚の関節から火花が飛び散る。限界を告げる音がした。

「だから言った筈だ。そうなる前から既にお前の動きはズレていたから分かったよ。
伊達に空手王やってねえからな」

 それでも機人は、不自由な脚で何とか歩き、迫ろうとする。

「そう……か、……だが私は……諦める訳にはいかない……お前たちを斃す……責任と……
使命があるからだ。お前がもう私の顔を拝みたくないと言うのなら……分かるだろう……?」

 諦めない、と言いつつ、半分悟ったような顔をしている。

「敵に……言うのも……何だが、私には最後まで闘う理由がある」

 自慢の剣を、届かないとわかりつつも空振る。

「それは、……ポケモンを殺すことに……繋がるだろう……だから、
……お前……君たちも殺すつもりで来なさい。そうでないと、割に合わないだろう?」

 何処か優しい、保護者のような声で語りかける。

 

 空手王も、何処か機人の本性を見た気がした。

 僅かな脚の動きすら止まった。もう動かない。

「ほんと、……私には辛い仕事だったなあ……割に会わないよ」



『アンドロモンは弱いものの味方なの!』

『正義の味方だって、かっけーよな!』



(正義の味方の筈の僕が、やったことって何だろうか。大義名分はあっても、
向こうからみれば、ただの殺戮の徒じゃないか。でも)

「君も……殺すことには……抵抗があるかもしれない……だけど……この先、生き延びるためには」



「(やらなきゃいけない、だからやるんだ……」)

 最期に思い浮かべたのは郷里、鉄臭くて、でも懐かしくて、暖かい、
親愛なる者たちが住む場所、そして何より守りたかった場所。



「カイリキー、『ばくれつパンチ』」

投下おしまい。長ったらしくてすみませんでした。後から書きたいことが湧いてきて、
最早書き溜めの意味がありませんでしたね。失礼しました。

この空手王の名前募集しまーす。今後も出るにあたり名前がないと不便ですしね。

条件
・カタカナ5字以内
・下の名前
・下ネタは×
・他国語のファーストネームも可

あと、男の名前で

他にもあれば午前中までにどうぞ。

1.ドッポ
2.カツミ
3.ゴウキ
4.レツ
5.テツヤ
6.テンドウ

明日の10:00までに多いのにします。

からておうの ゴウキ に決定。

投下しまーす。

───デジモン領1の島



 あの戦いから1日。多くのポケモンと、抵抗したトレーナー、そして
少数のデジモンの亡骸が野晒しにされていた。デジタルワールドでは自然に消滅する
遺体も、理の違う世界では残ったまま。

───デジタルワールド軍駐屯地

「あのアンドロモンがやられたのか!?」

 大柄な鳥人型デジモン・ガルダモンは、昆虫型デジモン・ジュエルビーモンに問いかけた。

「ああ、本当だ。俺も驚いたぜ。定期的に連絡を取り合っていたんだが、
『最後の抵抗者』との交戦開始を報告したのを最後に連絡が途切れた。
気になってあいつが担当してたこの島の南部に来てみたら……アンドロモンが
倒れてたんだ……」

 ジュエルビーモンは友人であり戦友でもある者の死を惜しみつつガルダモンに伝えた。

 7の島と6の島の戦闘を経て、ナナシマの占領に対する戦力の見積もりが過剰であったと
考えた上層部はD-ブリガードの投入を中止し、各所から寄せ集めた完全体、
成熟期デジモンで組まれた部隊の投入を決定した。ポケモントレーナー達を相手取るのには
そこまで組織化されていない混成部隊でも十分と考えたのである。

「確かに戦力を絞ったせいで戦闘はキツくなった。でもまさかあいつがやられるなんてな……」

「成熟期は確かに犠牲になる奴は多かった。しかし完全体の俺たちにとっては
負ける相手ではなかった筈だが……」

「君がジュエルビーモンかな?」

 仲間の戦死について話していた2体の前に、黄金の鎧を纏ったデジモンが姿を現した。

「ああ、そうだが。見ない顔だな」

「今日から君たちの部隊の指揮を取らせてもらう、グレイドモンだ。よろしく」

「こちらこそ」

 握手するジュエルビーモンとグレイドモン。

「いきなり俺たちの上に立つってことは、ロイヤルナイツや三大天使の直属といったところか?」

 少しばかり怪訝な顔をするジュエルビーモン。ロイヤルナイツはイグドラシルの
命で動くことも多く、デジモンたちの憎まれ役になることが多い。

「まあ、そんなところだ。で、君は?」

「俺はガルダモン、2の島制圧担当の部隊に所属している」

「……そうか。なら丁度いい。1から5の島までの部隊は俺の指揮下に入ってもらうからな」

「ほう」(さっきまでの話といい初耳だな)

「よろしく頼む」

 グレイドモンが手を差し出し、ガルダモンもそれを握った。内心にある思いは
さて置き、取り敢えず……といったものではあったが。

────────





「どうしてこうなった……」

 クチバシティの警察署の保護室で頭を抱えているのは1人の空手王。

 保護室とは街中で何かやらかしかねない酔っ払いなどを警察で保護するための部屋。
つまりこの空手王──ゴウキはそれに準ずる扱いを受けていることになる。

「誰も俺の話を信じちゃくれねえ……」

 あれからゴウキはどうにか船(停めてあった他人のモーターボート)を無理矢理操り、
島からの脱出に成功。クチバシティに着いた。そして本来の目的通り助けを求めたのだが……、
結果は彼が嘆いている通りだ。そして保護室にいるのは船舶の無免許運転と重窃盗の容疑をかけられた為。



「早くしないとヤバいことになるぞ……」

 脳裏に浮かぶのはあの惨状、そして侵略者たち。

(あのガラクタが言った通りならあれで終わる訳がねえ。カントー本土にもいずれ……)

「事情聴取だ。ついてこい」

 思考を遮ったのは署員の声だった。



───取り調べ室



 取り調べ室に連れられた俺は、そのまま椅子に腰掛けた。そして机を挟んだ正面には中年の男が座った。
スーツの上にコート──いかにも刑事ドラマに出て来そうな格好をしている。

「クチバシティ警察署のススムだ。君の取り調べを担当する」

 俺は捕まったときと同じことを話した。『奴ら』の攻撃、多くのポケモンが殺されたこと、
抵抗したトレーナーも同じく殺されたことを。しかし……、



「……君、やっぱり何処かおかしいんじゃないのか?」

やはり信じてもらえない。

「そもそも君、ブタ箱じゃなくてトラ箱にぶち込まれてる時点でわかるだろう。俗に言う、
責任能力云々ってやつだよ。君はそれを疑われてる訳だ」

「おいおい、仮にも警察関係者が人前でブタ箱とか言っていいのか?」

「平気平気。可視化されてないし」



 このおっさん、大丈夫なのか。

「君も早くゲロっちゃいなよ。『船盗んで逃げて来ました』って」

「さっきから俺の話聞いてんのか!?緊急事態だから仕方なく乗って逃げて来ただけだっつんてんだろ!」

「言った方が互いに楽だぞ?俺は早く仕事が減るし、君は正直に言った方が罪がかるくなるし、
win-winってことだ」

 駄目だこの怠慢刑事。

「大体俺は生まれも育ちも1の島。島外にアテがないのにどうしてクチバに盗んだ船を持ってくる必要が
あるんだよ!」

「……まあ、確かにね」

 ……今度はあっさり引いたな。あれ、いけるんじゃね?

───どうにもこの空手王のあんちゃんが怪しい。いや、あんちゃんが怪しいというより、
「あんちゃんがモーターボートに乗って、ナナシマからクチバシティまで、無事に着いた」
という事実が怪しい。

 というのも本土とナナシマは数日前から連絡がとれなくなっていた。原因は「ナナシマに大型の台風が来たから」。

 あんちゃんが乗ってきたモーターボートの航続距離を調べたところ、クチバシティと
ナナシマの距離をクリアしている。それは問題ない。しかし、考えてみて欲しい。





通信を妨げる程の大規模な台風の中、どうしてモーターボートが無事に航行できたのか。

それ程の台風では当然海は荒れる。そんな中では大型の漁船でさえ転覆することがある。
こんな小さなモーターボートでは尚更だ。しかも、このあんちゃんは無免許運転。嵐の中を無事に航行する
技術があったとは思えない。



 あんちゃんの供述はその辺の疑問に妙にマッチする。

連絡が取れない原因が嵐でなく、何者かの攻撃であるのならば、目の前の事象に矛盾が無くなる。

「ところであんちゃん、1の島の天気はどうだった?」

「?、どうしたんだ。いきなりそんなこと聞いて」

「いやいや、最近カントーも暑くてね。ナナシマでは尚更だろうと思ってさ」

 いきなりの天気に関する質問。しかし、あんちゃんは少しの迷いもなく言った。



「あの日は、雲一つ無い快晴だったよ」



 何気ない、しかし本当のことを語る顔。嘘のつきようがない当たり前のことを話す声調。
長年やってるから分かる。



台風など無かったのだ。



点と点が線で結ばれる。

 同時に、連絡を妨げる別の要因を認めざるを得なくなる。



 上は上で、恐らく知っている。パニックを避ける為に事実を隠し、塗り替えた。そして混乱の原因に
なる程のことといえば……。

『1の島が、ポケモンでも人間でもない、何かに襲われたんだ。嘘じゃない』

 あんちゃんの言葉を、少し信じてみるか……!

投下終わり。

暇なんでデジモンを知らない人のための紹介コーナーでも始めようかと思いまーす。

基礎知識
・デジモンは一般的に、幼年期I→幼年期II→成長期→成熟期→完全体→究極体の順で進化する(例外有り)。
・基本的に進化段階が進む程デジモンは強い。しかし完全体にして並の究極体を凌ぐ強さのデジモンがいる等、例外がある。
・成熟期までは多くのデジモンがなれるが、完全体以後はより強いデジモンしかなることができない。

・デジモンは死後、アヌビモンという究極体デジモンに裁かれたのちにデジタマ(デジモンの卵)となって転生する。

・デジモンの属性はウィルス種、ワクチン種、データ種の3つが大部分を占めている。
・ウィルス種はデータ種に強く、データ種はワクチン種に強く、ワクチン種はウィルス種に強い。

・デジモンには『ウィルスバスター』、『ドラゴンズロア』といったフィールド別の所属がある。
・デジタルワールドには『七大魔王』や『ロイヤルナイツ』等の組織があり、凌ぎを削ったり、協力したりする。

大まかな基礎知識はここまでにして、次はここまで登場したデジモンの説明を。

コマンドラモン
・世代:成長期
・分類:サイボーグ型
・属性:ウィルス種
・機械化旅団『D-ブリガード』の一般兵デジモン。装備している小銃により、同世代の他のデジモンよりも
実戦に耐えうる仕様になっている。
http://i.imgur.com/af65Ksg.jpg

シールズドラモン
・世代:成熟期
・分類:サイボーグ型
・属性:ウィルス種
・コマンドラモンが成熟期に進化した姿。暗殺や諜報などの隠密行動を得手としている。
体の各所の刃と俊敏な動きで敵の命を断つ。
http://i.imgur.com/UohIKZx.jpg

タンクドラモン
・世代:完全体
・分類:マシーン型
・属性:ウィルス種
・シールズドラモンが完全体に進化した姿。D-ブリガードの主戦力。同時に30もの目標を捕捉でき、
またその情報をD-ブリガード間で共有することができる。必殺技は多数のミサイルをロックされた
遠距離の目標に放つ『ストライバーキャノン』。

http://i.imgur.com/WbyVZkB.jpg

ダークドラモン
・世代:究極体
・分類:サイボーグ型
・属性:ウィルス種
・コマンドラモンの最終形態。D-ブリガードの首領にして決戦兵器。右腕の槍・『ギガスティックランス』は
ロイヤルナイツの実力者・デュークモンの聖槍『グラム』に比肩する破壊力を持つ。必殺技は
ダークマターをエネルギー弾として相手に撃ち込む『ダークロアー』。
http://i.imgur.com/htaAdsN.jpg

今日はここまで。他に何かあればどうぞ。

乙期待してる

デジモン側のメンツが強過ぎてポケモン側は伝説のポケモンが徒党を組まないと最終的な勝ち目が無い気がするな
でもポケモン側はタイプ相性の知識があるから何とか抵抗出来るって感じにしてあるのが非常に上手いと思ったわ
つーかゴウキさんカッコええわw

ちなみにポケモン側はゲームに出て来るトレーナーとかの名前有りのキャラって登場するの?

>>157
アリシャス!

>>158
ジムリーダーや四天王ぐらいなら恐らく登場します。ただ流石に「○番道路に出てくる短パン小僧」なんかの
名前は覚えていませんので出てきません。ご了承下さい。

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