ケイト「かさなる言葉に、私のスキを感ジテ」 (56)




モバマス・ケイトのSSです。
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20歳・Co
出身地:イギリス(ロンドンより少し北)
趣味:日本の雑誌を見るコト




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スキンシップは自然なことデスヨ?

でも、こんなにドキドキするのは、プロデューサーだからかもしれまセンね♪




* * * * *


ケイト「……ということで今日はココまで! みんな、また次回もヨロシクネ♪」



< はいOK! お疲れ様でしたー

< お疲れ様でしたー



ケイト「お疲れ様デシタ! みなさん今日もありがとうございマス!」



東京、繁華街から少し外れた小さな通りのカタスミ。



今日は街レポのお仕事。

都内のちょっとした小道やロジウラを歩いて、

お店に立ち寄ったり、食べたり、話したり。



ステキな時間を過ごせマシタ!

放送でも、街や人のミリョクがうまく伝わったらいいな。



P「お疲れ様。今日も受け応えバッチリだったよ」

ケイト「本当デスか? よかったデス」



そばで見ていてくれたプロデューサーから優しい言葉をもらい、ひと安心。

何回かやっているレポートだけど、お仕事前はいつも緊張感があるから。

だからこういう言葉、実はとってもうれしいんデスヨ?



P「挨拶と片付けが終わったら移動するよ。すぐ近くのカフェだけど」

ケイト「了解シマシタ!」



レポートしていたお店の方と、

スタッフのみなさんへの挨拶をすませ、現場を離れる。



目まぐるしい日々の中での、

何気ない交流や、新しい発見。

それに優しい言葉ももらえたりして、



「♪」



私の心は踊る。





保奈美「二人ともお疲れ様」

ケイト「ハァイ、お待たせホナミ!」

P「お疲れ様。ごめんな、別の現場から合流させちゃって」

保奈美「ううん、大丈夫。案外近くだったからすぐ来られたし」



駅前のカフェへ。

奥の席で雑誌を読みながら待っていたホナミと合流。

打ち合わせを外でやるのはちょっと新鮮かも。



ケイト「エット、次回の街レポの話デスよね?」

P「そう、今日も収録があったやつね。次回は保奈美もゲストで出ることになったから」

保奈美「嬉しいわ、呼んでもらえて。しかも今度はコンサートホール周辺なのね」

P「そうそう、保奈美がよく通ってるって言ってたから、そこ周辺をとりあげる回にぜひセッティングしたくて。企画段階からお願いしてたんだよ」

保奈美「相変わらず手際がいいのね。ありがとう。ちゃんとできるよう頑張るわ」

P「あまりかしこまらなくてもいいからね。専門的な話も嬉しいけど、メインは二人で街歩きの『楽しさ』を伝えることだから」

ケイト「ホナミとならたくさん発見がありそうデス! いろんな話を聞かせてくださいね♪」

保奈美「ふふっ、私こそレポはまだ不慣れだけど、よろしくお願いします♪」

P「で、現状の予定としてはー」



プロデューサーからの説明を受けながら、みんなで予定を確認。





話が一段落してふと隣を見ると、

ペンを少し口元に寄せながら、

うーん、とメモを見つめ直すホナミの姿が。



保奈美「プロデューサー、ここなんだけど……」



書いた内容を読み返しながらイメージを広げる、彼女の時間。

すぐ行動、は努力家で集中力に秀でたホナミらしいところ。



ケイト「……mm、ホナミはとってもcuteデスネ!」

保奈美「え、急に何?」

P「また唐突だな。まあ、わからなくはないけど」

保奈美「え、プロデューサーさんまで……えっと、そう、かしら?」



恥ずかしがりつつも嬉しさを隠せない彼女。

真面目でまっすぐなcool girlのイメージを持たれがちなホナミだけど、

メモを記しているペンも、明るい色の音楽プレイヤーも、

よく見るととってもイマドキの女の子らしいかわいいモノで。



同じ事務所、同じCoチームに属する彼女。

大人びた印象だけど、実は16歳。

触れるたびに新しい魅力や奥深さに引き込まれる、そんな女の子。

ステキな個性だなって思う。





P「そういうケイトは今日の収録もそうだったけど、知りたいって気持ちが前面に現れているのがすごくよかったし、今後もそういう表情とか気持ちを大事にしていってね」

ケイト「Oh、カワイくできてマシタか?」

P「うん、とってもよかった」

ケイト「ありがとうございマス♪」



自分のことにも触れてもらえて、ちょっと気持ちが暖かくなる。



保奈美「しっかり興味を持って聞いてくれるからかしら。ケイトさんって事務所で雑談している時も、ついいろいろ話したくなる雰囲気があるの」

P「あー、確かにそれはあると思う。あと『きっと楽しんでくれるだろう』って思えるところもそうかもね。何かに触れる瞬間って、大切なケイトの魅力だと思うんだ」

ケイト「うれしいデスね! ホナミもプロデューサーもThanksデス!」



反省も勉強ももちろん大事ダケド、

優しいコトバをもらえるってとてもうれしいし、

それでまた頑張ろうって思える。



私たちCoチームを担当しているプロデューサーは、

本当にいろんなことに気づいてくれる人。

同じチームにもいろんなcolorを持った子がいるけれど、

みんなそれぞれにきちんとフォローしてくれているというか。

優しくて、頼りになる人デス。



ケイト「……♪」

P「どうかした、ケイト?」

ケイト「フフッ、ナンデモないデスヨ?」



日本の文化に興味があって。

留学して、東京の街を歩いていたら

偶然アナタに出逢って、ステキな世界に誘われて。



フシギなコトもあるものデスネ。



20歳になって、

いろんな出逢いや偶然が重なって、

私は今、ここにいマス。



毎日がとってもhappyデス!




* * * * *


ベテトレ「そこまでー! 交代!」

ケイト「スイマセン、最後のところ、ステップをもう一回確認してイイデスカ?」

ベテトレ「む、いいぞ」

ケイト「コウ……、ah……umm、コウ?」

ベテトレ「もっとゆっくり、先まで伸ばして……そう、そこで一拍」

ケイト「ううん……難しいデスネ。練習しておきマス」

ベテトレ「今回の曲は特に表現力が求められるからな。まあひとつずつだな」

ケイト「ハイ!」



レッスン休憩時。ベテトレさんにアドバイスをもらう。

少し前から、ちょっとレベルの高い、

カワイさいっぱいの曲を練習させてもらうことになって。

私もうれしくて、懸命にガンバっているんだケド、

課題はまだまだイッパイ。



ケイト「フゥ……」

ルキトレ「お疲れ様です。ケイトさんいい動きしてますから、焦っちゃダメですよ」

ケイト「Oh、アリガトウゴザイマス」



ルキトレさんと話しながら一息。

決して簡単な曲ではないから、とは聞いていたけれど。

でも、とってもカワイイ曲でもあるからこそ、

もっともっとうまくできるようになりたい。





惠「♪ ♪ ♪」タンッ タンッ

ベテトレ「そうそう、いい感じ」



交代でメグミが踊っている。

彼女も同じチームで、

ふだんはCoolなイメージだけど。

Cuteなダンスもうまくこなすし、表情もステキ。



惠「♪」



最近、メグミは以前より優しい顔を見せるようになった気がする。

私が知らなかったダケかな?

いや……どうだろう。





ガチャッ



P「お疲れ様。新しい曲はどう?」

ケイト「あ、お疲れ様デス。ンー、まだまだtrial and errorデスネ」

P「そうか。うんうん。でもそれを感じてやっているのはいいことだよ。前向きにね」

ケイト「ハイッ」



少しずつ。少しずつ。



< 交代! 次はCグループ!



惠「……あらプロデューサー、お疲れ様」

P「お疲れ様。好調みたいだね」

惠「フフ、どうかしら?」



戻ってきた惠が合流。

コトバは控えめだけど、パァッっと彼女の表情が明るくなった。

フフ、慕われてマスね。プロデューサー。



惠「このあいだの衣装チェックありがとう。またちょっと相談したいこともあるんだけど、いいかしら」

P「構わないよ。じゃあこのあと向こうで」

惠「わかったわ」





あい「やあプロデューサーくん。来ていたんだね」

P「はい。少し時間が空いたので」

あい「いつもありがとう。見ていて気になったところはあるかい?」

P「いえ、バッチリじゃないですか。かわいい感じのポージングもサマになってるし」

あい「君がいるならもっとアピールするべきだったかな」

P「あいさんの魅力はじゅうぶん伝わってますよ」



アイとプロデューサーの会話はいつもstylish。小粋って言うんでしょうか。

惠とはまた違った信頼関係が見えマス。



みんなそれぞれに魅力的で、とってもステキ。

私もガンバらなくちゃ、ね♪





杏「まだ続くの今日のレッスン。そろそろ終わりにしようよー」グダー



ふと隣を見ると、床に倒れたままのアンズが。



ベテトレ「何言ってんだ、あと2巡するぞ。準備しとけ」

杏「えー」



フフ、相変わらずデスネ。

shrimpのような形のまま器用にドリンクを飲んでるの、彼女らしいというか。

いろいろ言いつつレッスンはちゃんとやるんだから、彼女も素直じゃないデスね。



瑛梨華「3、4、……ハッ!!!」キュッ

美羽「ほっ……はーっ!!!」キラッ



あ、今のカッコイイ。





杏「……ケイトはさぁ」

ケイト「?」

杏「もっとライバル心とか周囲に出すタイプかなって思ってたんだけど、そうじゃないんだね」



アンズに質問されるのは珍しい気がします。



ケイト「Rival、デスカ。モチロン負けたくないし、私もガンバらなきゃって思ってマスよ?」

杏「あー、えっとね。まあそうか、そう言うよね」



質問の意図はそこではなかったみたい。



杏「なんというかね」

ケイト「?」





杏「ケイトってCoのプロデューサーとかなり親しいじゃん? そのへん、チームのメンバーとどうなのかなとか」





ケイト「……それはプロデューサーを好きかとか、そういうイミデスか?」

杏「んー、まあそういう感じ」

ケイト「……アンズもそんな話するんデスネ」



ちょっと予想していない話デシタ。



杏「まぁたまにはね。というか、そう見えてるんだけど、それにしちゃ周りに対してもおおらかだなって思ったから。そのへん大人だよね、ケイトは」

ケイト「フフ、どうデショウ? 私もケッコウ負けず嫌いデスヨ?」



指を口に添えてヒミツ、のポーズ。





ステキな人だと思う。

優しくて、しっかりしてて、アイドル想い。

もちろんトクベツな人だ。



でも「そういう」イミかと言われると、どうだろう。




* * * * *


裕子「ダッ! シャッキーン!!!!!」

雪美「ユッコ……今のカッコイイ……!」

裕子「でしょう! サイキッカーの舞いです! もっと褒めていいですよ!!!」

ベテトレ「堀!!!!! ダンスに勝手なポーズを入れるんじゃない!!!!! 佐城もアホなノリに乗っかるな!!!!!」



いろんな今があって、いろんな輝きがある。

毎日がとってもhappy、それは本当だケド。



いろいろtrial and errorなのも、ホントのこと。




* * * * *


別の日。



「……♪」



事務所から駅ふたつ、

大通りからワキミチに入った少し先に広がる、

ちょっとオシャレなお店の数々。



このあいだ雑誌で読んで知った、ステキな通りがソコには広がっていて。

アイコも言っていたケレド、ロジウラはロマンがいっぱい。



休みの日にこうして街を歩いて、

イロイロ見るのが最近のちょっとした楽しみ。



ザットウ、ケンソウ、ヒトダカリ。

大通りや駅前のそんなフンイキも好きダケド。

こういうロジの小さなハッケンも、とってもワクワクしますネ!



今日も街が、空気が、私のココロが踊り出す。





何軒かのお店を通りすぎ、古メカシイ感じのカフェに到着。

ジュンキッサ、って言ったほうがいいのカナ?

中に入ると、すぐ近くの席からかわいらしく手を振る姿が。



ケイト「お待たせシマシタ、ハスミ♪」

蓮実「こんにちは、ケイトさん」



ロジウラのカフェで待ち合わせなんて、ちょっとromantic。

まるでデートみたい? なんて。



ケイト「今日のワンピースもカワイイデスネ! とってもステキデスヨ」

蓮実「そうですか? ふふっ、ありがとうございます。ケイトさんのチェック柄もとってもキュートですね♪」



ハスミとは事務所でアイドル話を一緒にしたことがキッカケで、最近とっても仲良くなりマシタ。

雑誌を読みながら、昔のアイドルの話を教えてもらったり、ちょっとしたオシャレ情報を交わしたり。

彼女はこういうretrospectiveなトコロに詳しくて、オシャレでキュート。

仕草ひとつひとつに、とってもアイドルってカンジがしマス。



ケイト「まだハスミだけデスか?」

蓮実「もうそろそろって言ってましたから……あっ来ました」



椿「こんにちは! お待たせしましたっ」

ケイト「Oh、ほぼ同じタイミングでしたね、ツバキ♪」

蓮実「こんにちは椿さん。とりあえずお二人も何か頼んじゃいましょ」

椿「ええ♪」



にっこり笑顔のツバキが隣に並ぶ。

首から下げているカメラは本格的なものらしく、

彼女の大切なもののひとつ。

優しい彼女の雰囲気とは一見ミスマッチだけど、

意外にactiveで、明るくてとっても元気。

そして「ステキ」を切り取るのがとても上手。

話すと尽きない写真欲含め、

ふんわりしたコーデからは想像できない彼女の世界に魅了されマス。



二人ともカワイイ女の子。




* * * * *


一枚いいですかとの言葉とともに、

私たちに向けてツバキがカメラを構えた。



椿「どうですか?」



カメラのモニタ画面を見せてくれた彼女。



ケイト「ステキな写真デスネ♪」

蓮実「本当ですね」



手早く撮られたものだったのに、

表情もカフェの雰囲気もしっかり写っていて、

ツバキのすごさを知らされマス。



あんなポーズがとかこんな表情がとか、

話題はそのまま撮影の話になって。



椿「……そういえば、ケイトさんってよくウインクしてますよね?」

ケイト「ンー、そうデスね」



私にとっては、何気ない仕草のひとつでしかないけれど。



蓮実「いいですよねウインク! まさにアイドルって感じで!」



ウインクに急に反応するハスミ。

ハスミは本当にアイドル意識が高い。

カワイイにも敏感だ。



蓮実「こう……何て言ったらいいんでしょう、ケイトさんはポーズしているとかではなくて、自然に出てる感じがいいというか」





ハスミの熱弁は続いた。

いわく、私には私のカワイイがあると。

それは意識もそうだし、スタイルやアクションもそうだし、

何より、周囲の人への触れ方にあると。



ケイト「触れ方、デスカ?」

蓮実「そうですそうです、言い回しとか、仕草とか、あとは距離感とか。みんな含めケイトさんっていう魅力で、素敵さで、かわいさですよ!」



フンスフンスと語り続けるハスミ。

ちょっとおもしろい。

でも私の姿もカワイイって言ってもらえるのは、うれしいことだ。



ケイト「私らしさを大切に、ってプロデューサーも言ってくれてマスからね」



アイドルとして、いろんな機会がもらえているのはステキなことだ。

自分らしさは大事にしていきたいし、

もちろん成長もしていきたい。





椿「そういえば、ケイトさんって担当プロデューサーさんと最近イイ感じに見えますけど、その……特別な何かあったりするんですか?」



熱い語り冷めやらぬハスミの横から、

ツバキが意味深なコトを言ってきた。

そういえば、このあいだアンズにも言われたっけ。



ケイト「フフ、そう見えマスか? うれしいデスネ♪」



慣れた仕草でトボけてみせる。



蓮実「わ、大人な反応! でもそういうところもケイトさんらしいですね」

椿「ふふっ、素敵ですよね。……実際、私はケイトさんとCoのプロデューサーさんの会話してる姿とか、関係とか素敵だなって思いますよ?」



二人とも私とプロデューサーの関係が気になる様子。

こういうところ、とっても女の子デスネ。



ケイト「アイドルが恋愛話なんて、御法度かもデスけどね♪」

蓮実「それはそうですけど……でも、恋する女は綺麗だという言葉もありますし、大切なのは気持ちですよ!」



もちろんスキャンダルはダメだけど、と念を押しつつ、ハスミは強く語る。



蓮実「恋愛をしてほしいってことじゃなくて、こう……いろんなケイトさんの姿がみんな素敵だし、たとえば恋とかしてるのかな……とか、気になったりするんですよ」

椿「わかります、ケイトさんだからこそ、そういうところもきっと魅力なんだっていうか!」



女の子はみんな恋バナが大好き。

それは万国共通なのかもデスネ。



蓮実「ケイトさん、“好き、という字は女の子”ですよ!」

椿「わ、いいですねその言葉♪」



今日はこの後も、私の話題が続いた。





椿「せっかくなので今の表情、もう一枚撮っておきましょうか♪」



コーヒーの薫りと、オールドファッションな空間と。

そして今を生きる、アイドルで、美少女で、普通の女の子の二人と、私。





私の魅力……か。

フフッ、プロデューサーにももう少し甘えてみようカナ? なんて。



ケイト「そろそろ次行きマスカ?」

椿「あ、そうですね。蓮実ちゃんが言ってたアンティークショップって近くなんですよね?」

蓮実「そうです、路地はずれのビルの地下一階なんですけど、すごく時代感があって……」




* * * * *


P「お疲れ様。飲み物でもどう?」

ケイト「Oh、アリガトウゴザイマス。イタダキマスネ」



翌日午後。

お仕事終わりにひとり、休憩スペースで雑誌を読んでいたところに

プロデューサーがやってきた。



ケイト「今日は忙しくないんデスカ?」

P「まあちょっと時間できたからね。暇……ではないけど」

ケイト「いつも大変デスネ。無理は禁物デスヨ?」



私たちのためにいつも忙しくしてるの、

うれしいけど、ときどき不安にもなる。



ケイト「プロデューサーにはとっても感謝してマスからね」



アナタあっての私デスから。



P「こちらこそ、頑張ってるケイトは励みになるよ」

ケイト「そうデスカ? フフ。一緒に頑張りマショウね!」



やっぱり、優しい人だなって思う。





P「それはそうと、調子は大丈夫?」

ケイト「? 見てて気になるトコロでもアリマスカ?」

P「このあとのレッスンルームの使用許可取ったって聞いたよ。自主練するの?」



さすが、情報が早いデスね。



ケイト「アー、ハイ。少し振り返りをしたいなって」



なかなか習得できないトコロ、

もっと練習しておきたいなって。



P「熱心で前向きなのはいいけど、ケイトこそ無理は禁物だからね」

ケイト「Thanks。大丈夫デスヨ」



私のコンディションを心配しつつも、

信頼してくれるプロデューサー。



やっぱり、アイドルも人と人の信頼関係あってのものデスネ。





P「ふむ……」



何かを考え始めたプロデューサーに手を振り、スペースをあとにする。

よし、今日はもう少しだけガンバリましょう。




* * * * *


キャシー「あ、ケイトねーさんだ。やほー」

美羽「お疲れ様です!」

瑛梨華「お疲れSA・MA・DE・SU☆」

ケイト「ハァイ!」



レッスンルームに向かう途中でキャシーたちと遭遇。

軽く会話を交わす。



美羽「自主練ですか! むむ、じゃあ、私も……!」

瑛梨華「瑛梨華たちはこのあと打ち合わせだゾ☆ O・CHI・TSU・KE!」



ああっそうでした、とわたわたする美羽。

今日も賑やかで元気なメンバー。



美羽「あ、その雑誌わたしも読みましたよ!」

ケイト「Oh、ホントデスか? ステキな三人デシタね!」

美羽「はい! みんなかわいいなぁって……なかでも有香ちゃんが!」

ケイト「Yeah! 私もそう思いマシタ!」



私が持っていた雑誌に美羽が反応した。

昨日買ったばかりのものだ。



今月号は「カワイイの最前線」が特集記事。

いろんな子やグループが紹介されている中に、

同じ事務所の三人組があった。



ユカユカノリコ。

今もっとも「キュート」で「カワイイ大問題」の三人、だって。

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とくにユカは、

カワイイって何だろう、どんなものだろう、って

ずっとあれこれ探して、考えていたってinterviewで語っていマス。

今も探しているカモしれない。きっとそう。



こんなステキな彼女も、一生懸命探したという事実。

そして今の、このキュートでカワイイの彼女がいる事実。



私はクールとか、カッコイイとか、

そう言って褒めてくれる人が多い。

それはうれしいし、私の魅力で個性なんだろうけど、

それだけじゃない自分もどんどん挑戦していきたいなって。



瑛梨華「カワイイって奥深いよねー」

美羽「難しいですね! でもそこがいいというか」



私らしく、でも新しく。

みんな迷いながら、前に進む。

私もきっとそうだ。





キャシー「ケイトねーさんはさ、岡目八目って言葉、知ってる?」

ケイト「オカメ……ハチモク?」



ふいにキャシーが発したコトバは、私の知らないものだった。



美羽「ひょっとこのマネならできますよ!」

瑛梨華「オカメってたぶんそういうことじゃNA・I・ZO!」

キャシー「アハハ!」





キャシーが説明してくれた。

日本のコトバ。

傍目に見ている人の方が、本人よりも気づくことがあるって意味。



なるほど。

そしてキャシーが今それを言うということは。



ケイト「私を見ていて、何か気づくことがあったとイウことデスか?」

キャシー「んー……そうだね」



コトバを探すように間を置いたキャシー。



キャシー「……ごめん、うまい言葉が思いつかないや」

ケイト「Oh、ザンネンデス」



いいフレーズは浮かばなかったみたい。



キャシー「あ、でもね。ケイトねーさんはなんていうかな、もっと担当のプロデューサー頼ったらいいんじゃないかなって思うよ」

ケイト「…………プロデューサーを?」

キャシー「うん」



彼は私がアイドルをやるうえで欠かせない人。

既にとっても頼りにしているし、

いっぱいcommunicationは取ってるケド。



キャシーと目が合う。

何か言いたげな、含みのある笑顔を見せてくれた。





ケイト「……ンー、そうしマスネ♪」



真意は察しきれなかったけれど、

せっかくのキャシーからのmessage。

大事にしよう。



ウインクひとつとポーズでお返し。



瑛梨華「ケイトさんそういうオトナな反応、美羽にも教えてあげて! この子最近Paのプロデューサーとイイ感じになってるのに、二人になるとすぐボケようとするから!」

美羽「えっ、わっ、わたしは今関係ないでしょ!?」

キャシー「ギャグが悪いよギャグがー」

美羽「そんなぁー!」



ワイワイ




* * * * *


ケイト「ふっ、はぁっ……ハッ!」ダンッ



大きめの靴音が響く。

レッスンルーム。



さっきから、同じトコロをずっと繰り返している。

大きなミスがあるわけじゃないケド、

なんだろう。何かがたりない気がする。



ケイト「mmm……」





「あれぇ、ご機嫌ナナメのタイミングだったぁ?」





美里「こんばんはぁ。頑張ってるねぇ〜」

ケイト「Oh、ミサト。お疲れ様デス!」



声のする方を見ると、私の様子を伺うミサトの姿があった。

レッスン……をしにきたわけでなさそう。

カジュアルな私服姿だ。

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美里「今やってる曲、難しいもんねぇ」

ケイト「そうなんデスよね。でも楽しいデスヨ!」

美里「それならいいけどぉ……」



ケイト「?」

美里「ね、区切りついたなら少しおしゃべりでもどう?」



トウトツに雑談を切り出す美里。

何か思うトコロでもあるんデショウか。



美里「何の話しよっか。何でもいいよぉ? 最近の楽しかったコトでも。お仕事の話でも。故郷の話でも……」





美里「今悩んでることでも♪」



お見通しだぞ。

そう言われてる気がした。




* * * * *


美里「何かがたりない、ねぇ」

ケイト「Yeah。もっともっとステキなアイドルに、ってネ♪」

美里「そっかぁ。でもケイトは今でもじゅうぶん可愛いし素敵よ?」

ケイト「Thanks」



うれしいけど、それは。



美里「でも、もっとってムズかしいよねぇ」

ケイト「ソウなんデス」



ホントにそう思う。



ケイト「最近とくに、いろんな子のいろんなカワイイに触れてて、学びもイッパイデス。私も……!」

美里「んー……。ね、プロデューサーさんはそのへんのこと、何て言ってるのぉ?」

ケイト「プロデューサーがデスカ?」

美里「うん」



……そういえば。



ケイト「……あまりちゃんと相談していなかったカモ、デスネ」

美里「え、そうなのぉ? なんで?」



なんで、って言われても。



美里「私だったら聞くよぉ? “カワイイ”だって“ステキ”だって、“もっとアイドルらしく”だって、プロデューサーにまず意見聞きたくならない?」



トーゼン、と言いたげな表情で話すミサト。

確かにそうかもしれないケド。



美里「担当してくれて、自分のことを誰より考えてくれて、しかもイチバン身近な異性でしょ?」



……そう、デスネ。





ー 知りたいって気持ちが前面に現れているのがすごくよかったし、今後もそういう表情とか気持ちを大事にしていってね。

ー 何かに触れる瞬間って、大切なケイトの魅力だと思うんだ。

ー それ(trial and error)を感じてやっているのはいいことだよ。前向きにね。

ー 頑張ってるケイトは励みになるよ。

ー 熱心で前向きなのはいいけど、ケイトこそ無理は禁物だからね。





そっか。



ケイト「……私、これまでにもいろんなコトバをもらってマシタ。でも」

美里「うん」

ケイト「今回のコト、ちゃんと聞けてませんデシタ」

美里「そっかぁ。うんうん」

ケイト「……聞かなきゃ、デスネ!」

美里「そうだよぉ。きっといいコトバ、もらえるよぉ!」



キャシーが「もっとプロデューサーを頼っていい」って言ってたの、

ひょっとしてこういうこと、だったのかな。





美里「実は今ここに来たの、Coのプロデューサーさんに会ったからなんだぁ」

ケイト「ヘッ?」

美里「さっき廊下ですれ違って。挨拶だけのつもりだったんだけど、うろうろしてたから気になって」

ケイト「……それって、もしかして」

美里「ケイトの様子を見に行ったんだけど、夢中で踊ってるところだったから声かけるのやめたって」



モウ、来てたなら言ってくれればいいのに!



美里「もしよければ区切りついたところで声かけてあげて、だって。いきなり私に言うんだよぉ? おかしいよね」

ケイト「ホントデスヨ!」

美里「でも、そういうところ含め、Coチームのプロデューサーさんだよねぇ」



わからなくはない。

きっと私のこともホントはちゃんと見ていてくれる、

そんな気持ちになれる人。





ケイト「……ミサト、ひとつ聞いていいデスカ?」

美里「いいよぉ♪」



ニコニコ顔で応えてくれるミサト。

とっても頼もしい彼女にだからこそ、

……

いや、今だからこそ、聞いておきたい。



ケイト「ミサトは、私と、Coのプロデューサーって……ドウ、見えマスカ?」

美里「とってもお似合いだと思うなぁ」



即答。

あまりの反応の速さに、

コトの内容を考えてちょっとドキっとしてしまう。



本当のところはわからないけど、と付け加えるミサト。

それは、その、つまり。





美里「好きとか恋してるとかってとってもセンサイで、アイマイだと思うんだぁ」



彼女の言葉が私の中でrefrainされる。

センサイ。アイマイ。



美里「でも一緒にいる姿は知ってて、とってもイイ関係だなぁ〜って思うし、それってとってもステキだし、それはそれでいいと思うの」



でもね、と彼女は続ける。



美里「その質問をケイトからしてくるってことがねぇ、それがとってもイイなぁって」



言われて少し、頬が熱くなった。

だって、つまり、それは。



美里「きっとケイトは好きなんだよね」



そういうコト、だから。





ケイト「……そういう話、ちゃんと彼としたコトはないデス」

美里「だよねぇ」



んー、とコトバを探すミサト。

ツンとした唇がとってもキュート。



美里「“One of the best”だっけ。英語ってそういう言い方するでしょぉ?」



こちらを伺いながら、少しずつ話し始めた。



恋愛って自分と誰か、一対一のコトだけど。

それだって毎日にたくさんある素敵の中の一つだしぃ。

キッカケなんてなんでもいいし、あったってなくったっていいと思うなぁ。

なんとなく大切で、なんとなく楽しくて、なんとなく好きで、

自分の中の“best”の仲間入りをしたなら、

それだって立派な恋だと思うよぉ。



美里「アイマイな素敵さだってあるもんねぇ」





でもね、とミサトは続けた。



美里「でも一歩近くに寄るからこそ、感じられる素敵さもあると思うんだぁ」



恋って特にそうじゃない?

アイマイでも、ぼんやりでも素敵だけど。

でも、だからこそ、

いつもありがとうとか、

一緒にどこか行きたいなぁとか、

好きです、とかって言いたくならない?



美里「そしたらもっと素敵な何かが広がってそう、って思うから」



もっとステキな。

まるで私が今詰まっていたカワイイの話みたいだ。



そうか。

コレもひとつづきの話、なんデスネ。





ー 何かに触れる瞬間って、大切なケイトの魅力だと思うんだ。

ー 頑張ってるケイトは励みになるよ。



アンズやツバキに聞かれたトキにもこんな反応はしなかったし、

彼と話しているトキにもこんなことはなかったのに。



どうしよう。

これまでの彼との会話が蘇って、繋がって。





……私、ドキドキしている。



美里「ふふ。ケイトもそんな顔するんだねぇ♪」

ケイト「エ、mm……モウ、ミサト!」



顔がずいぶん熱くなってるのがわかる。

でも、なんだろう、ドキドキも、ワクワクもしてる。



彼に会いたい。





美里「楽しくて、幸せで、素敵な今ならそれはもう恋だし、それってとっても素敵じゃない?」



彼女は得意げににこりと笑って見せた。



美里「とびっきりのカワイイを、一度プロデューサーにちゃんと見せてあげようよぉ♪」



同い年の美里がとっても大きく見えた。

彼女は私が思っていたよりずっと大胆で、明るくて、

そしてとってもキュートだった。




* * * * *


ガチャッ



ケイト「お疲れ様デス」



レッスンルームをあとにして。

事務所に戻ってきたけど、誰もいない。



プロデューサーも帰っちゃったんデショウカ。

ザンネン。



< マア、ソレハタシカニ。

< デショウ?



と思っていたら、向こうの給湯室のところで雑談の声が。

誰か残っているカナ?



千夏「ケイト、最近いろいろ試行錯誤中みたいね」

P「千夏さんもそう思いますか」

千夏「ええ」



チナツとプロデューサーだ。

え、私の名前が出た。なんのコト、デショウ。



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パーテーション越しに、そっと耳を近づける。



P「最近のケイトは本当にいいですよ。何かが噛み合うちょっと前、みたいなところだと思うんですよ」



カミアウ、マエ。

わかるような、わからないような。



千夏「本当に信頼してるのね」

P「なんというか、“様になってきている”のがわかるんですよ」



……サマに、なる。



P「ファンとの握手会ではキュートで可愛い笑顔で。ライブのステージではカッコよくて華やかで。レッスン時は懸命で凛々しい姿で。プライベートでは優しい表情で。『こうありたい』『こんな姿なら素敵』をイメージして、やってみて、アドバイスをちゃんと活かして、どんどんよくなっていってる」



プロデューサーの熱弁が届く。

…………エット、そんなに、ソウ……デスカ?



P「きっとそんなケイトの姿を見て、こんな風になりたいって思った子もいるはず。そのくらい魅力的だし、どこかできっと、彼女の魅力が加速度的に広がるタイミングがきます。それは決して遠くない」

千夏「フフ。たいした自信だこと」

P「……ま、僕がそんな彼女に見合った仕事をもっと取ってこないとって話なんですけどね」



自嘲的にトボけた空気を出すプロデューサー。

でもパーテーション越しの私はモウ、恥ずかしくて。

そして、それ以上に、うれしくて。





千夏「それで最近、企画書をまとめたり外回りしたり忙しくしてるのね」

P「もちろん他のみんなのことも含めてですよ? 千夏さんだって今度ライブなんだし」

千夏「どうかしら。私のことなんて放ったらかしなのかと思ったわ」

P「ちょっと、そんなわけないでしょ、千夏さん」

千夏「ふぅん」ジロリ

P「千夏さんってば」



コミカルな会話に変わった。

そうだ、彼はCoチームみんなのコトをいつだって忘れない。

もちろん私のコトも。



千夏「……でも確かに、ケイトはふだんの表情もよくなってる感じがするわ」

P「でしょう。もともと端正で綺麗な顔立ちだけど、それだけじゃなくて。アイドルをやりだしてからアイドルらしく、女の子らしく、素敵な表情がもっともっと魅力的になっていってる」



それはみんなのおかげ。

そしてきっと、アナタのおかげデスヨ?





千夏「プロデュースへの熱い想いは相変わらずね。そういうところ、あなたも魅力的よ」

P「あはは、ありがとうございます」

千夏「……でもね。もう少し、本人と話してあげてもいいかも」



千夏が空気を整える。



P「……というと」

千夏「今の言葉、ちゃんとケイト本人に話してあげなさいよ。きっと何より彼女の励みになるわよ」




* * * * *


千夏「しっかりしてる、頼もしくて凛々しい子だと思ってるんでしょう。でもあの子もまだ20歳の女の子なのよ」

P「千夏さんだって23歳だし、近いところありますよね」



それはいいから、と制する千夏。



千夏「異国の地で、偶然あなたに見つけられて、一緒に寄り添って歩んできたあなたが。彼女のここ一番の試行錯誤の今、信じて見守ってるだけ……なんてロマンに欠けるわよ?」



すごいphraseだ。

いや、でも、それは、その。



P「いろいろ話してはいるつもりだったんですけど……そういうものですかね」

千夏「そういうものよ」



そういうもの……だといいなって、

私も思いマス。



千夏「彼女の運命的な出逢いを彩ってきたのはあなたよ。もっと向き合ってあげなさい」



聞いていられない。

だけど、離れることもできなくて。



あと、チナツってこんなにステキなんだって。

ミサトといい、人にはまだまだ知らない魅力がいっぱいデスネ。

きっとみんなも。

そして彼も。

できれば私も、そうだといいな。




* * * * * 


千夏「そろそろ行くわね。今日もお疲れ様」

P「あ、ああ。お疲れ様」



あ、マズイ。

離れないと。



千夏「そうそう、ひとつ教えてあげる」

P「?」



……マダ何か、あるのかな。



千夏「『壁に耳あり障子に目あり』って諺、あれ英語圏にもあるんですって。“The walls have ears.”って言うらしいわよ。目の言及はないけれど、耳はそのままなのね」

P「……?」



……?



千夏「ウワサ話は誰がどこで聞いてるかわからないから、気をつけてね。フフッ。それじゃ」



給湯室から出てきたチナツがしゃがんでいる私を見て、ウインクひとつ。

そのまま何気ない様子で去っていった。



……気づいてたんデスネ。






どうしようか少し考えた末、

プロデューサーに話しかけることにした。



ケイト「……お、お疲れ様デス」

P「あ、ケイトお疲れ。戻ってたんだね」



コーヒーのおかわりを淹れようとしていた彼と顔をあわせる。



ケイト「は、ハイ」

P「?」



ケイト「あ、いや、なんでも……ないデス」



いろんなことが話したくて。

いろんな彼に触れたくて。

そう思っていたけれど、コトバが出てこない。





どうしようってモゾモゾしていたとき、

ポケットの音楽プレーヤーが手に触れた。



ケイト「……」

P「ケイト?」



ケイト「……プロデューサー、チョット変な質問してイイデスカ?」 

P「? いいよ?」






ケイト「……プロデューサーは、“一目惚れって信じますか?”」

P「…………また唐突な話だね」

ケイト「どう、デショウ」



目をそらしつつも一応、air quotesの仕草をしながらコトバを投げたつもり。

わかってくれただろうか。



P「んー……。そうだね、“いつだってあると思ってる”かな」

ケイト「!」



ああ、ああ。

こういうトコロ、やっぱり。



ケイト「……アリガトウゴザイマス!」



うれしくなって、

改めて彼に向き直る。



P「……求めてた答えだった?」

ケイト「Yes! バッチリデス!」



別にこんなコトまでキッチリ私を汲まなくても、

たとえそれでも彼への信頼は変わらない。

でも、そこをきちんと拾ってくれる彼が、

とっても好き。

ワガママ、デスカネ?



ケイト「フフ、Thank you very much、プロデューサー♪」





あの偶然の出逢いは、

私のアイドルの始まりで。

素敵な物語の始まりで。

好きの始まり、だったのカモ。



それも“一目惚れ”なんデスカネ?



ケイト「……ね、プロデューサー。少しゆっくりお話シマセンカ?」



真実はわからないケド、ダイジョウブ。

だって物語はとっくに始まっているんダカラ。




* * * * * 


別日。


ケイト「ホッ……ハッ!!!」ダンッ

ベテトレ「そこまでー! 休憩!」

ケイト「ハイッ」



ベテトレ「いい感じになってきたなケイト。抑揚もあって綺麗な動きができてる。反復の甲斐があったな」

ケイト「Oh、アリガトウゴザイマス!」



少しずつ、少しずつ。

それでも時が経つように、

私たちも少しずつ、前に進む。



ルキトレ「はいタオル! うまくなりましたね! バッチリですよケイトさん!」

ケイト「Thank you! だんだん曲の魅力もわかってきました。私とってもこの曲好きデス!」

ルキトレ「うんうん、ですよね! やっぱりそういう愛着って大事ですよ! スキとステキって近いですからね!」

ケイト「How nice! イイコトバデスね!」

ルキトレ「でしょー♪」



ベテトレ「こらこらバカな話はあとだ。お前はあっちのグループもフォローしてやれ」

ルキトレ「わ、ごめんなさい! すぐ行きます!」



ドタバタ





私も、私たちも。

みんなに物語はあって、

みんなそれぞれ、

楽しくて、ステキで、キラキラした

自分たちのステージを目指して走る。






ケイト「戻りマシター」

ちひろ「おかえりなさい」



小梅「お、お疲れ様……あの、ケイトさん、このあいだの雑誌、また続きが出たんだけど、読む……?」

ケイト「エ、mmm……エット、あの、今度のは怖さは抑えめデスカ……?」

小梅「あ……うん、ふふ、きっと大丈夫だよ……」

ケイト「……ホントに?」



菲菲「ケイトー、このあいだ話してた料理が載ってる本、あったヨー!」

ケイト「Wow、アリガトウゴザイマス!」

菲菲「一緒に食べてみたいネ。いちどふぇいふぇいが作ってみるカー?」

ケイト「ホントデスカ? フフ、じゃあお願いしマス♪ お手伝いしマスよ?」



惠「ケイト、これ昨日話してた旅行プランの資料よ。参考になるかしら」

ケイト「Oh! もうデキたんデスか? 惠は仕事が早いデスネ、感謝デス!」

惠「お仕事のスケジュールもあるし、またプロデューサー込みで話したいところね」

ケイト「Yes! そうしまショ♪」



ワイワイ



今日も事務所は賑やかで、みんなとっても楽しくて。

アイドルとして、トモダチとして、交流の時間は大切なひととき。

私もみんなと一緒にレッスンを学んで、楽しんで、

そしてもっともっと、アイドルで活躍していきたいデス。





ケイト「プロデューサー、お菓子もらったんでおすそわけシマス! ハイッ」

P「ん? ムグッ! ……こら、いきなり放り込まない」モグモグ

ケイト「エヘヘ、ゴメンナサイ」

P「……あ、でもおいしい」モグモグ

ケイト「デショ?」

P「いちご味かな? おもしろいね、ありがとう」

ケイト「よかったデス。ドウイタシマシテ♪」





杏「……ケイトと比奈って同い年だよね」グデー

比奈「ええ、まあ」グデー

杏「ケイトはハツラツとしてるなぁ……。若さだよ若さ」

比奈「そっスねぇ……」

杏「だらしないなぁ比奈は」

比奈「杏ちゃんがそれ言うんスか」



ライラ「おふたりともー、レッスンの時間でございますよー。だらだらさんはまた後にしてくださいー」ガンガン

比奈「あーもうそんな時間……了解っス」

杏「やだ〜〜〜〜〜」

比奈「こらこら、子どもみたいな反応しないの」

ライラ「おふたりともー」ガンガンガン

比奈「はいすいません、行くっス行くっス」

杏「ライラはその一斗缶どこから持ってきたの」

ライラ「アキハ博士がくれましたですよー。ロボで使わなかったものだとか。反響するからいい音がしますですねー」ガンガンガンガン

杏「やめて近くで叩かないで、行くから行くから」





みんなのいろんなステキに触れて。

みんなと一緒に。

彼と一緒に。

私も走る。




* * * * *


「あ、あの……サイン、お願いします……!!」



翌日。撮影終わりに声を掛けてくれたのは、一人のかわいらしいティーンの少女デシタ。



ケイト「私デスカ? プロデューサー、イイデスヨネ?」

P「いいよ、ぜひぜひ」



プロデューサーの了解を得て、笑顔を交わしながら色紙に文字を走らせる。



「あ、番組観てます……!! わ、私……ケイトさんに憧れて、すごくカッコイイって思って、その、最近は英語の勉強を頑張るようになったり、その、えっと……クールで、明るくて、すっごくカワイイし……とにかく、あの、応援してます……!!!」



緊張しているのカナ? オドオドしながらも早口でいろいろ話そうとしてくれる彼女。情熱的な想いが伝わってきマス。



ケイト「私に憧れて英語の勉強を? Wow、うれしいデス! じゃあ私もアナタのガンバリを応援シマスネ♪」



ぎゅっ、と。

しっかり握手と一緒に、私も精一杯のコトバをお返し。

彼女は顔を赤らめ、なんどもお礼のコトバとお辞儀をしながら

駆け足で去って行きマシタ。





ケイト「彼女、喜んでくれたデショウカ?」

P「じゅうぶんだと思うよ、彼女には素敵な思い出になっただろうね」

ケイト「……プロデューサーがそう言うなら、安心デス♪」



応援してもらえるコトはとっても幸せだから。

もちろんどんな言葉もうれしいんだケド。



ケイト「カワイイって言ってくれるのは、特にうれしいデスネ」

P「やっぱりそういうもの?」

ケイト「もちろんデス! フフ、私も女の子デスヨ? それに」



やっぱり、アイドルといえば “カワイイ” でしょ?



持っていた雑誌を開いて見せる。巻頭にはあの特集記事が。

ユカユカノリコ。



ケイト「プロデューサーは、カッコイイ私とカワイイ私のどっちが好きデスか?」

P「答えに困る質問だなぁ……俺からはどっちも大事だよ、としか」

ケイト「フフッ、プロデューサーは優しいデスネ」



思っていた通りの答えをくれる彼にちょっとうれしくなる。



故郷って、街だったり人だったりするんデス。

私にとって、第二の故郷は日本デスケド、

それはこの街のことだったり、友達のことだったり、

あるいは、プロデューサーのことだったりするのかもしれまセンネ。




* * * * *


ケイト「プロデューサー、今日のネクタイもキマってマスネ!」

P「え、そう? ありがとう」

ケイト「Yeah、いつものもイイデスケド、今日のNavy colorもGood accent!」



少しダケ曲がっているのを、

そっと直してあげる。



P「あ、ありがとう」



そのまま、横に寄り添って。



ケイト「プロデューサー、チョットイイデスカ?」

P「ん?」

ケイト「イェイ♪」



カシャリ、とスマホの音が鳴る。

バッチリの私の笑顔と、キョトンとしたプロデューサーの表情。



P「どうしたの急に、写真なんて」

ケイト「故郷の母が、プロデューサーってどんな人? って言ってマシタ。だから一枚送っちゃおうって♪」



「!?」「!?」「!?」



にわかにざわめく事務所。

フフッ、周囲からの視線も熱イデスネ?





P「えぇ……大丈夫? 俺変な顔してなかったかな?」



(((そこじゃないだろ!!!)))



周囲のみんなからツッコミが入りそう。

でもそんなトボけた答えもアナタらしい。



ケイト「フフッ、バッチリデシタよ!」



そんなアナタを信じて、私は走る。

Trust。信頼。いつでも感じてマス。ネ、プロデューサー。

今も、これからも。



ケイト「いつもアリガトウゴザイマス、プロデューサー♪」

P「……こちらこそ?」



今が好き、アイドルが好き。

きっと、アナタが大好き。



かさなる言葉に、いつか私のスキを感ジテくれたらうれしいな。



ケイト「……それとも、もう一枚撮っておきマスカ?」



もう一度そばに寄って。

鼓動が高鳴る。



スキンシップは自然なことデスヨ?

でも、こんなにドキドキするのは、きっとプロデューサーだからデスね♪



I think it maybe “You had me at hello”、なんてネ♪





以上です。

過去に
・みちる「もぐもぐの向こうの恋心」
・蓮実「いっぱいの好きを、あなたともっともっと」
・惠「悠久の時を超えて、あなたを好きになる」
など書いています。

ありがとうございました。


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