明けましておめでとうございます。
おしっこに注目した美優さんとプロデューサーのシリアスSSです。
注意点は複数Pが出る事とおしっこです。
それではどうぞ。
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「ふー疲れた」
自宅に帰って来たプロデューサーを、一人の淑やかな美女が出迎える。
彼女は三船美優、結婚して一年となる彼の妻であり、特別な担当アイドルだ。
「お疲れ様、貴方」
「いやぁ、××プロダクションの会議の長さは異常だね。
長いと噂で聞いてはいたけれど中々本題に入れずに往生したよ」
「ふふ。それで、今度の仕事は?」
「ああ、ちゃんと用意してある。
ライブと歌番組がメインになるけれど、いくつかグラビアの仕事も挟んでるよ」
「グラビア、ですか……恥ずかしいな……」
美優はいつかのアニマルコスプレを思い出して
恥ずかしそうにセーターに包まれた自身の胸に手を当てた。
セクシーな虎の衣装を着て以来、節目節目に彼は
露出の多いグラビア仕事を取ってくるようになった。
しばらくそんな仕事が来なかったので油断していた彼女は頬を赤らめた。
「美優、安心して。君はどこに出しても恥ずかしくない素敵な女性だ。
プロポーションだって維持しているんだから、君はもっと自分の体に自信を持って良い」
「もぅ……それで、どうします? ご飯にします? お風呂にします?」
「そうだな。喉が渇いているから……まず、シッコを用意してくれないか」
美優は軽くうなづいて冷蔵庫から冷やしておいたジョッキを取り出した。
そして、静かに冷気を放つそれをスカートの下に忍び込ませた。
「んっ……っはぁ……、あっ……」
少ししてからショオオオオオ……と爽やかな迸り音がスカートの中から聞こえてきた。
満ちていく排泄欲と羞恥心の間に挟まれ、美優は艶かしい表情を魅せる。
「用意が良いね」
彼女から並々に注がれたジョッキを手渡された。
スパークリングワインを思わせる小さな泡が小悪魔のように喉の期待を煽ってくる。
「貴方が喉を渇かして帰ってくるって、分かっていましたから……
スカートの下、何も穿かないで待ってました……」
彼は美しい妻に感謝し、その黄金の恵みを一気に飲み干す。
喉で爽やかに弾ける気泡、喉越しを良くしてくれる液体と器の温度差
そして鼻をすっと通る、上品でいてコクのある尿素のスメル。
これ一杯さえあれば、一日の疲れなどすぐに消えてしまう。
「……ふー、うまい。うん、やっぱり美優のシッコは喉越し良くて美味しいよ」
夫婦は朗らかに笑い合った。
飲尿健康法が科学的な裏付けの下で誰でもお手軽に出来る
健康法としての地位を確立するとそれは世界的なブームとなった。
商業側もその波に乗り、よりオシッコが飲みやすく
飲尿健康法が続けやすくするようなフレーバーを発明し、売り出した。
そんなしっこブームの中で注目されているのがアイドルたちだ。
美しいアイドルたちが笑顔で野外放尿しているグラビアやCMは
爽快感と共に視聴者の購買意欲を大いに刺激し、売上の伸びに貢献していた。
それに伴い、アイドルの魅力の一つにシッコの質・量・味・匂いといった項目が加えられた。
シッコはただの排泄物ではなく、健康のバロメーターにも
嗜好品にも成り得るものとして輝きだしたのだ。
アイドル三船美優は、それまで人気を独占していた十代のアイドルたちを押し退けて
シッコアイドルの象徴として業界から注目を浴び続けている。
彼女をプロデュースしている夫の手腕も手伝い、ブームは衰退の気配すら見せなかった。
# # #
「やぁっ……止めて下さいっ……!」
「フフフ……イイねぇありすちゃん?
出すもの出してくれたら、お兄さんたちは、悪い事しないよ?」
狭い部屋の中、手首をロープで縛られている黒髪の美少女がいた。
中央に穴の開いた椅子に座らされてから、どのくらい時間が経ったか分からない。
非合法な利尿剤を飲まされた彼女――橘ありすの尿意は既に限界まで来ていた。
彼女の眼前には、覆面をした男たちが交代しながら見張っている。
「あーあ、お兄さんたち、喉が渇いちゃったなぁ……?
さぁ……賢いありすちゃんなら、僕たちがどうして欲しいか分かるでしょ?
彼はポインターの先で、身動きの取れないありすの神聖なクレバスを
一寸一寸味わうように、ゆっくりと、執拗になぞっていく。
少し背伸びをした彼女の純白の下着に、彼女の幼い形が静かに浮かび上がり
恐怖の強張りが蜜となって染み込んでいった。
「ジュースだよ、君のイチゴ味のジュースが飲みたいんだ。
……出してくれるかい? くれるよね……ありすちゃん?」
「ううう……!」
ショオォォォォォォ……。
恐怖も手伝ってか、ありすは下着を穿いたまま粗相をした。
羞恥と悔念の色を呈した瞳は涙に濡れている。
彼女は男たちへの憎悪を込めて、震えつつも睨み続けていた。
陰部の下に固定していた女性用尿瓶には
下着で濾された温かな恥蜜がみるみると溜まっていく。
「おおーぅ……これがありすちゃんの生シッコぉ……っっ!」
放尿が収まると男たちはすぐに尿瓶を外した。
そして、我先にとその恵みを手持ちのグラスへ注いで、そのまま一気に喉へと通した。
「グビッ、グビッ、グビッ……! ……ップハァッ!
やっぱり朝一番の搾り立てはコクが違うぜ!」
彼らは口端に垂れた女尿を手の甲で拭い、下卑た笑いを弾けさせた。
<人気アイドル・橘ありす保護!
オシッコドリンクバーとして三ヶ月監禁! 容疑者の男数人を逮捕!>
シッコブームの真っ只中でこの事件は起こった。
美優Pが妻と一緒にプロデュースしていたシッコアイドル・橘ありすはある日、行方不明となった。
彼女はファンクラブに在籍していた青年グループによって
学校からの帰り道にある公衆トイレから彼女は拉致され、そのまま容疑者の自宅に監禁された。
彼女は実に三ヶ月間に渡って、衆人環視の中での放尿を強要されたという。
逮捕された容疑者たちは彼女を非道にもドリンクバーとして扱い
違法的に彼女のシッコを飲み続け、一部のファンたちに
特殊なネットワークを通じて高値で売買していたという。
彼女のものとおぼしきシッコドリンクが密売されているという情報を
入手した警察は、シッコソムリエの捜査員を派遣して味を確認し
後日、特定された監禁場所に踏み込んだそうだ。
保護されたありすは脱水症状にて疲労していたものの、命に別状はなかった。
無論、主犯格である無職の青年(二十四)をはじめとして
事件に関わった者は軒並み逮捕された訳だが
この事件を契機としてシッコの商品販売に自粛する動きが起こった。
当然、シッコを中心としたアイドルの売り出しは規制や世論の的となった。
「そもそも!! 可愛い女の子の尿を飲む、その行為自体が
汚らしい変質者の行為そのものなのですッッ!」
討論番組でフェミニスト代表の神経質に痩せこけて化粧の濃い中年女性は鋭い口調で叫んだ。
彼女が大声を張り上げる度に、頬に出来た化粧の亀裂が醜く伸びていく。
「排出した尿は空気に触れると瞬く間に細菌が増殖しますっ!
そんな他人の尿を飲む事は、病気のリスクを無意味に高める事になるだけですっ!
全くもって理解しがたいっ、唾棄すべき変態的行為ですっ!
現に、そういった変質者による女性の被害は後を絶ちませんっ!
社会的弱者である女性を辱しめて金銭を得る、先進国として恥ずべき行為ですっ!
即刻っ! 国は規制に全力を……っ!」
「異議あり!」
その討論番組にゲストとして出されていたのは
数々のシッコアイドルを世に送り出した
シッコブームの立役者でもある、あの美優Pだった。
「アイドルのシッコを飲む人間すべてが彼らのような変質者ではないのです!
今やアイドルのシッコは嗜好品の一つとして愛されています。
販売における際には雑菌を除去して、シッコ本来の心地よい苦味と共に
より喉越しよくするための工夫を怠らず、安心安全をモットーにしております!
シッコはアイドルとの一体感を簡単に味わえる安価なドリンクであり
中毒性なら煙草や酒よりも低いです!」
すると、嫌尿派で名の知られている男のコメンテーターが
後頭部付近まで後退している富士額に青筋を立てて怒鳴った。
「あんな苦いものを美味しそうに飲む人間にまともな思考が出来るはずがない!
あんたは娘が居ないからそんな事が言えるんだ!
女の小便売り捌いてだ、金なんて儲けているからそんな事が言えるんだよ!
自分の娘がオシッコドリンクバーにされる悲しみなんて分からねえだろ!?
被害者の女性の事を考えた事があるのか!?」
「聞いて下さいっ、私は……!」
美優Pの反論が終わらない間に、他のコメンテータたちが口々に罵声を浴びせた。
「女性のシッコを売る行為は業界による組織的売春そのものです!
こんな非人道的行為を認めていたら、日本はダメになる!」
「そうだ! 日本を犯罪者だらけの国にするつもりか!」
美優Pは三時間にも渡る討論で徹底的に叩かれた。
メディア側は嫌尿派に肩入れし、シッコ自粛推進を謳っていれば
世論を過熱させて商売になるので、ここぞとばかりにシッコ擁護派を攻撃した。
その槍玉に上げられた美優Pは毎日のように罵倒を浴びせられ
心身ともにみるみると痩せていった。
メディアの猛攻はとどまる事を知らない。
模倣犯だけでなく新しい犯罪者が出るとこぞって、容疑者に飲尿歴がないかを調べた。
シッコブームにある昨今、飲尿歴のない人間はまず居ない。
特にアイドルのシッコが見つかると、犯罪との因果関係や
精神疾患への影響を示唆する偏向的な報道が
待ち望んでいたとばかりに発信されていった。
「そんな!? どういう事ですか!?」
美優Pの前にいるスポンサーは苦々しい顔をしていた。
彼は美優Pの企画した新商品のシッコに対して好意的に捉えていて
援助を惜しまなかった人物だ。
「君には申し訳ないが、私たちの会社ではシッコ関連のCMを自粛する。
新商品の企画も、再考する事になった」
「……。私は高品質のアイドルのシッコとサービスを提供しています。約束します!」
「私は君の言う事を信用している。
君は弊社の期待を一度も裏切った事はなかった。
つまり、サービスや品質が問題ではないのだよ。
上から圧力がかかってね……社長の奥さんが嫌尿派で、商品化の白紙を呼び掛けている。
分かってくれ。君の働きを無下にはしたくないが……」
熱狂的なシッコブームはあの事件により、急速に衰退した。
評判を恐れた事務所側も美優をはじめとするシッコアイドルの活動自粛を命じた。
あれほど流されていたCMもほとんどなくなり
美優Pとかかわり合いを避けるためか仕事の依頼も来なくなった。
何とか歌やグラビアで挽回を図ろうとするも、既にシッコ関連以外の活躍の場は
後輩アイドルたちで占められていて三船美優の出番はなかった。
歌にすら規制がかかり、シッコを賛美する美優の曲は流通量をかなり搾られた。
仕事量はみるみるうちに減り、地方営業すら満足に出来なくなった。
……シッコの暗黒時代へと突入したのだ。
「うう……ゴクゴクゴク……」
「あなた……そんなにシッコを飲んでいたら、体に……」
「……! うるさいッッ!」
プロデューサーが一喝してテーブルを叩いた。
手にしていたグラスから数滴、尿が漏れ出た。
「うう……くそぉ……! みんなして、シッコを目の敵にしやがってぇ……!」
美優Pは新妻のシッコを浴びるように飲んでいく。
納得のいかない世論に振り回され、仕事も干されていた彼らの生活は、荒れ果てていた。
彼はほとんど仕事をせず家でシッコばかり飲んでいた。
そして日を追うごとに彼の飲尿量は増えていった。
「くそっ! 美優っ! シッコだっ! シッコを持ってこいッッ!」
「ダメよあなた……、これ以上飲んだら病気になってしまうわ……」
「何だと!?」
癇癪を起こした彼は、空になったコップを床にぶつけた。
美優は両腕を顔前でクロスして竦み上がった。
「美優までっ……! 俺からシッコを奪うのかッッ!?」
「だって……手が……」
美優が指差したプロデューサーの手は、小刻みに震えて止まる様子がない。
過剰量のシッコを摂取したために、中毒症状が出ているのだ。
「うるさいっ! こんなものっ、シッコを飲めばすぐに治るんだよぉ!」
美優を押し倒した彼は乱暴に彼女のスカートをめくりあげ、その下着を容赦なく破り捨てた。
「やぁっ……! やめてぇ……ッッ!」
「出せッッ! 毎晩利尿剤飲ませてるんだ! 出せ!! シッコをッッッ!!!」
プロデューサーは美優の腹を目一杯押さえつけた。
圧迫された膀胱は溜まっていた彼女のシッコを浅ましく放出した。
「んく、ん……ふん、こんな美味しいもんを出し渋りやがって……」
「うう、ひどい……」
泣きじゃくりながらシッコを漏らす妻を気にする事無く彼はシッコを直飲みする。
彼がこのような行為に走るのは一度や二度ではない。
無理やり放尿をさせられる美優は、羞恥にまみれた日常で
脱水症状をよく起こすようになった。
しかし、彼の生活が変わる事はなかった。
「……美優……?」
翌朝、美優Pは一人部屋の真ん中で目を覚ました。
昨夜は例の如く、浴びるように美優のシッコを飲んだ後、そのまま寝た。
いつもなら朝食の準備をしている妻の姿がなかった。
何か食べるものはないかと台所に向かうと、テーブルの上にメモが置いてあった。
<家を出ていきます。ごめんなさい貴方 美優>
そのメモを手に取った美優Pは眠気も忘れて部屋中を走り回り、妻の姿を探した。
「美優!? 美優――っ!?」
彼は部屋着のまま外を駆け回った。
事務所や仕事場にも連絡したが、彼女の姿はないという。
「俺が、悪かった! 帰ってきてくれ、美優っ!」
彼は警察に捜索願いを出した。しかし、それでも美優は見つからない。
突然の売れっ子アイドルの失踪にファンや業界人は衝撃を受けた。
何より当の夫であるプロデューサー自身が、妻の失踪を受け入れられないでいた。
三ヶ月経っても、半年経っても、三件程の目撃証言だけで美優は見つからなかった。
妻を失ったプロデューサーは茫然自失としていた。
どれだけ彼女を傷つけていたか、彼は充分過ぎるほど分かっていた。
しかし、分かっていても、自分に降りかかるバッシングの雨に堪えられなかった。
仕事を干されていく不安、焦燥感、怒りが抑えきれなかった。
そんな自分のどうしようもない弱さを彼は知っていた。
そして自暴自棄な自身を許してくれる妻の優しさに甘えきっていたのだ。
「美優……っ……、ごめん……っ……ごめん……!」
地面にうずくまった美優Pは、胸を圧迫する悲しみを感じながら
血が流れるまで指でアスファルトを掻き毟って、泣いた。
涙が枯れるまで泣いた後、彼はそのまま休職届けを提出した。
しかし愛妻を自身のために失い、生きる屍と化していた彼は
禁尿の禁断症状に苦しみながら、世捨て人のように生きていた。
美優が消えて、早くも一年が過ぎようとしていた。
体に回っていた毒気が涙と共に流れて、ただ空虚な悲しみだけ残った。
やけになっていた美優Pはある日、失意の中で栄養失調で道端に倒れた。
# # #
「……ん……」
美優Pは部屋の中で目を覚ました。自宅でも病室でもない。
すると台所の方から容姿端麗な男が寄ってくる。
「目を覚ましたか……?」
「……凛P……」
トップアイドルの渋谷凛のプロデューサーは
男にしておくには惜しい程に眉目秀麗な人物として知られていた。
しかし、一時期はアイドルの勧誘すら受けた彼にはある一つの性癖があり
それが美点に影を落として霞ませていた。
アイドルと、彼女たちの産み出すウンウンを、彼は愛していた。
彼はウンウンに秘められた可能性について日夜模索を続けていた。
シッコブームの真っ只中でさえ、リベラルな思考の持ち主として彼は煙たがれていた。
以前彼は、765プロで同僚の美優Pと共に
互いの夢を語り合い、切磋琢磨していた時期があった。
346プロに二人してヘッドハンティングされても、その関係は変わらなかった。
いつか世界が、ウンウンやシッコを排泄物としてでなく
アイドルという天使のもたらした福音として人々が受け入れる日がやってくる。
二人は、そう信じていた。
やがてオシッコブームが起こった時
売れっ子プロデューサーの名を欲しいままにしていた美優Pは
実入りのいいシッコへの誘いを拒み、ウンウンに固執する凛Pの頑固さに呆れていた。
……あの時期と比べて二人の身なりは大きく異なっている。
オシッコバッシングが続いた時も、その規制の余波を受けていた凛Pは
ひたすらアイドルのウンウンに関する布教活動を止めなかった。
そして数年が経ち、彼の行動は見事に実り、資金力のあるパトロンを抱えて
アイドルのウンウンを高級嗜好品にまで高めたのだ。
「……凛P、俺はお前に謝りたい……成功者として
俺はあの時、お前をどこか見下していた……
お前の積み重ねてきた、苦悩や努力を見ずに……」
「……ふっ、そんな事か……」
凛Pは甘い笑みを浮かべた。
「美優P……俺はな、お前の弱音を聞くために助けた訳じゃない。
俺は今だって、お前の事を親友と思っているし、越えるべき壁だと思っている。
お前はアイドルの排泄物を嗜好品のレベルにまで押し上げてくれた。
お前の信じていたシッコの可能性を、俺に示してくれた。
そう、かつて伊織P先輩が俺たちに示したようにな……」
「凛P……」
凛Pはそっと美優Pにグラスを差し出す。
上品な黄色の液体が彼の目を楽しませた。
「凛のシッコだ。お前にはこれの方が喉に合うだろう」
美優Pはそれを一気に飲み干した。
アイドルのシッコは現在企業が自主規制していて市場に出回っていない。
久しぶりに飲む美少女アイドルのシッコは胃に深く染みた。
「覚えているか、伊織P先輩の事を……」
「……忘れないさ」
二人は思い出に花を咲かせた。
まだ765プロの新入社員だった頃、伊織Pは二人にある飲み物を飲ませた。
薄めたお茶にも似た色合いのそれはオレンジの薫りが漂い
甘い中にも溌剌とした味わいを若い二人に与えた。
「先輩、このお茶はどのメーカーのものですか?」
「こんな美味しいのは飲んだ事がありません」
彫りの深い、日本人離れした美男で知られた伊織Pは
どこか英国紳士を思わせる、穏やかな人物だった。
「いおりんのオシッコだ」
それを聞いた二人は反射的に咳き込んだ。
「なっ……何てものを飲ますんですか!?」
「酷いですよ、先輩!」
「……酷い? さっきまで君たちは美味しいと言って飲んでいたではないか」
伊織Pは新しくその液体をティーカップに注ぎ、ぐっと飲み干した。
「……味覚は決して嘘をつかない。
先入観、固定観念、思い込み……そうしたものは
いつだって物事の判断を誤らせる。違うかね?」
「……」
「なるほど、確かにオシッコは汚い、臭い、つまらないもの。
私たちは子供の頃からそう『刷り込まれて』きた。
それは『常識』となって私たちの中にこびりついている。
だが、そのような思い込みは真実の姿を視る目を曇らせてしまうのだ。
実際、私が最初にこれがいおりんのオシッコだと打ち明けたら
君らはこれらを美味しいと感じただろうか? そもそも、飲もうとしただろうか?」
「……!? それは……」
「オシッコだけではない。人種、性別、宗教、生まれた場所……
私たちは生きていくうえで様々なものを知らないうちに
そんなフィルターを通して見ている。
そしてそれはしばしば物事の真実を隠し、捻じ曲げる。
世間一般で『常識』と呼ばれるそれらを取り除き
真実のみを見抜く力――それこそが、次代のアイドルマスターに必要なものだ。
そう、私は思うのだ」
「先輩……」
伊織Pはティーカップ中の液体に映っている自身の顔を見つめた。
「このティーカップの中にあるもの――それは目の曇っていた私にとって
初めて触れた真実、そのものなのだ。
これを飲ませてくれた私の可愛い天使――いおりんには深く感謝をしている。
そして、誓った。この真実を視る目をもって彼女を高みへ――トップアイドルに導こうと」
この発言から数年、見事SSSランクのトップアイドルに水瀬伊織を導いた伊織Pは
不幸にも交通事故に遭い、そのまま帰らぬ人となった。
だが、彼の崇高な魂は消える事なく、次代の若者へと受け継がれていく。
美優Pと凛P――共に伊織Pから世界の真実を視る術を学んだ若き二人は、やがてそれぞれの道を歩み始める。
美優Pはシッコを、凛Pはウンウンを通じて世間の固定観念を破り
真のアイドルマスターを追い求めていこうとした。
「俺たちはそれぞれ異なる道を歩んだ。
だが美優P、俺たちの目指す最終地点は変わらないはずだ。あの時からな……」
「……。アイドル、マスター……」
凛Pはスーツを着込んで立ち上がる。
「さて、俺は今夜、お偉いさんと共に
アイドルのウンウンステーキ実食パーティーに行く。……来るか?」
「……。いや……凛P。悪いが誘いはまた今度にしてくれ。
俺は、やらないといけない事がある……それに、やっと気づいたんだ……」
凛Pは察したかのように微笑した。
「ふ……そうか」
「凛のシッコを、ありがとう。魂に沁みたよ。
俺はもう一度……『プロデューサー』として、頑張ってみる」
凛Pは美優Pの瞳に光を見た。挑戦心に充ちた、昔よく見たあの眼差しに戻っていた。
「少しは顔がマシになったようだな。……それでいい。
……またお前と語り合える日を、楽しみにしている」
二人は固い握手を交わした。その瞳には同じ理想を宿していた。
# # #
凛Pによって過去を見つめ直した美優Pは
アイドルのシッコではなく、その時の表情に注目した。
我慢した尿を一気に放つ時の解放感は誰しも経験していると思う。
その表情なら飲尿と同じくらいアイドルと喜びを共感できるのではないか。
そして規制もそこまでは伸びないのではないか。
このアイデアは白坂小梅のアイドル写真集で日の目を見た。
人目のつかない暗く陰湿なスポットで人知れず粗相をしてしまった
そんなコンセプトで撮影された小梅の表情は愛らしくもどこかセクシーで
写真集はイメージビデオ付きの限定版一万円で飛ぶように売れた。
「お漏らしの時の小梅ちゃんの演技、良かったなー」
「演技じゃなしに実際オシッコしながら撮ったという噂だぜ?」
「絶対特典付き限定版の方がいいよ。
小梅ちゃんの可愛くもおどろおどろしいナレーションは勿論
あのお漏らしボイスを聴きながら写真集眺めていると
いけない気分になってくるんだ」
この写真集のミリオンヒットは、シッコを健康飲料や嗜好品ではなく
芸術や人間賛歌をもたらすものとして扱う第二次シッコブームを作り出した。
逆境から数年、美優Pは見事返り咲いたのである。
「ふっ……なるほど……規制を巧みに回避しつつ
放尿がもたらす幸福感、その芸術的側面に着眼点を当てた訳、か」
ライブを前に凛Pは楽屋裏で、美優Pのプロデュースした写真集を眺めていた。
「そうだ、それでいい……お前はそれでいいんだ……」
「プロデューサー、いよいよだね」
美しいドレスに身を包んだ凛が話しかける。
今日渋谷凛はモンスターメタルバンドに『アオ』という名のゲストとして呼ばれている。
青のベネチアンマスクをつけた謎の地下アイドル『アオ』は彗星のごとく現れ
既にアンダーグラウンドでスカトロプリンセスとして熱狂的な支持を受けていた。
――まさか彼女が、表舞台のトップアイドル『渋谷凛』と同一人物とは
どちらのファンも、夢にも思っていない。
ボルテージ最高潮の時、彼女はステージに上がりマスクを外し
メタルバンドの要望通りステージ上で過激な放便パフォーマンスをする。
それはマスメディアの無理解で一方的な排泄規制に対する明確な反抗のメッセージだった。
「ああ、もうすぐ世界が変わる……俺たちが、世界を変えるんだ……」
高級嗜好品から社会へのメッセージという
新しいステージに進むためのリベラルな挑戦……
思えば凛Pは、安泰なプロデュースを拒み、常にそんな危うい場所に身を置いてきた。
しかし、ウンウン愛好家としては稀な成功者となった今
凛とアオの創り出した表裏のイメージを一致させるのに躊躇いがあった。
間違えれば、今まで積み重ねていた黄金の塔が
世論によって粉々に崩されてしまうだろう。
「プロデューサー……」
凛Pはハッとした。
凛のたおやかな手が彼の手甲に添えられている。
「手が、震えていたから……」
「……。ああ、済まない……」
凛はプロデューサーの頬に口づけした。
彼女の上品な桜色のリップが彼の頬に優しい痕を残す。
「……なんとなくで走り始めたのに、気づけば結構遠くまで来ちゃったね」
「そうだな」
「でも、私、まだまだ先の景色を見たいんだ。
だから……行くよプロデューサー!」
プロデューサーは笑った。
自分は何を悩んでいたのだろうか。
今までの向かい風すら凛と一緒に立ち向かい、克服してきたじゃないか。
今までも、そしてこれからも、自分は凛と一緒に信じる道を進んで行こう。
「じゃあ、行くね」
抜いたアナルプラグをプロデューサーに手渡し
心地良い便意を尻に秘めつつ、凛は笑顔でステージへと歩いていった。
彼らの活躍は日本だけでなく世界すらも震撼させる事となるが、それはまた別の機会で話そう。
# # #
「何だ、まだ残っていたのか?」
寂しい事務所の扉を開けたのは、一人の女性だった。
黒髪を背中に流したクールビューティーは、春菜に貰ったその眼鏡に知性の炎を灯し
事務所に残って仕事に励む美優Pに話しかける。
「ああ、ありすP。君も残業か?」
「生憎だが、忘れ物を取りに来ただけだ」
ありすPはツカツカと高いヒールの音を鳴らしながら
自身のデスクからペットボトルを取った。
その中にはありすの入れた美味しいシッコが入っている。
「忘れ物はそれか?」
「ああ。癖になるといけないが、これを飲まないとどうも疲れが取れないのだ。
ありすの作ってくれたイチゴクッキーと相性もいいしな」
彼女はくいっとそれを一口飲んで喉の乾きを癒した。
「ありすP、今俺がこうして仕事が出来るのは君のお陰でもある。ありがとう」
「何だ、告白ならありすの言葉で間に合っているぞ?」
ありすPはルージュのついた唇から白い歯を見せた。
美優Pが復活できた背景には、彼女の存在も大きかった。
あの悲しい事件から、すぐにありすは彼から引き離され、彼女に預けられた。
当時から才女として知られた彼女は
美優Pの仕事を引き継いでありすをトップアイドルに押し上げた。
女性という立場から、彼女は最近まで嫌尿派と見なされていた。
美優P自身も、彼女のプロデュースにシッコの色がない事から反発されていると考えていた。
しかしある時、彼女は公衆の面前でありすのシッコ入りペットボトルを飲み干した。
彼女を強い味方として数えていた嫌尿派はこれを境に結束を弱め
結果として美優Pへの活動再開を大いに助けた。
「勘違いされてはいたが、私は君の売り出し方に反対していた訳ではない。
シッコはありすの魅力の一つであり、推していくべき様々な価値を秘めている。
プロデューサーとして、ふらついた世論によって安易に切り捨てるものではない」
「はは。それでも、感謝してるんだ。俺は」
「……ふ、おかしな奴だ」
日も暮れた誰もいない事務所にて、ありすPが去った後も
美優Pは一人、パソコンと企画書を交互に見比べて励んでいた。
(今期一番人気のシッコアイドルは楓さんか……)
高垣楓はその歌唱力と美貌もさることながら
親しみ易さもある、ミステリアスなアイドルだ。
彼女は酒量も多いので、複数の排尿を伴う活動もこなせられるため
その稼ぎは事務所でも白坂小梅と並んでトップクラスだ。
彼女や小梅にシッコプロデュースを集中させれば、収益も安定するだろう。
しかし、彼はもっとシッコに多様性を持たせ
未知なるシッコアイドルのスカウトと育成に情熱を燃やしていく。
「ふふふ、だーれだ?」
後ろから美優Pの目を手で覆い隠した女性がいた。
「……楓さん?」
「プロデューサー、お疲れ様です」
彼女は会釈した。
「お疲れ様です。えっと、今日はレッスン帰りに瑞樹さんと飲みに行くと聞いてましたが……」
「ええ。ですが、……その前に返事、聞かせてもらいたくて……」
うつむく楓を前にして、美優Pは思い悩み、目を閉じる。
彼女は彼の売り方に理解を示し、プロジェクトの先陣を切って活動し続けていた。
そして、その献身的とも言える行動が、自分への好意から来るものだという事も知っていた。
しかし、彼は今まで忙しさを理由にして返答を先延ばしにしていたのだ。
「……。楓さん、貴方の気持ちは俺なりに分かっています。
……ですが……」
「……。美優さんの事、忘れられないんですね?」
美優Pはうなづいた。美優が居なくなって数年、彼女の消息は分からない。
新しい恋を見つけろとアドバイスする上司もいる。
そしてその相手に楓はこの上ない相手だった。
「……。すみません……」
あれから六年間、とうとう彼は美優が忘れられなかった。
初めてプロデュースし、CDの売り上げに一喜一憂した
あのセピア色の記憶はまるで昨日の事のように思い出す。
この手の中に温もりがなくても、彼女の存在は既に彼の一部となっていた。
「……。いいえ、あれだけ愛していたんです。
そんな一途な貴方の姿に、私は……」
「……。楓さん。貴方の気持ちに応えられませんが
貴方が最高のアイドルである事には変わりありません。
ですから、これからも……」
「……ええ。また、明日から素敵なパートナーとしてプロデュースしてください」
「はい……」
「では、私はこれで……」
美優Pは去っていく楓を止めようとする手を引っ込めた。
振ったばかりの女性を止めて何になるだろうか。
そして、彼女を慰めた所で彼の気持ちが変わる訳でもない。
拭いきれぬ罪悪感に締め付けられつつ、遠くなっていく彼女の足音を彼は聞いていた。
「楓ちゃん」
事務所の外では彼女の同僚である川島瑞樹が佇んでいた。
「フラれちゃいました」
楓は笑顔を瑞樹に向ける。
「気を落とさないでね」
「大丈夫です。奥さんのいる男性に惚れたのは、私ですから……」
「……」
「美優さんの居ない間にプロデューサーを盗っちゃおうとして
……ワルい女ですね、私……」
「……。楓ちゃん」
瑞樹は何も言わずに彼女を抱いた。
楓は、小柄な瑞樹に抱かれ、その肩の向こう側を見ている。
「こうしていると、顔、見えないでしょ? ……泣いて、いいからね?」
瑞樹の温かな抱擁と優しい声を受けた楓は、その麗しいオッドアイを涙滴で滲ませた。
クール然としていた彼女の顔に悲しみと悔しさが溢れ出てくる。
「……うぅ……! 瑞樹さぁん……っ!」
悲しみがはじけ、子供のように泣きじゃくる楓の背中を瑞樹はそっと何度も撫でた。
「よしよし。頑張ったわね。お姉さんの胸の中で、思い切り泣きなさい」
「うんっ……! ううっ……チーン……ッッ……!」
「……服で鼻かんでいいとは、言ってないわよ?」
仕事が終わり、すっかり暗くなった街を、美優Pは一人で歩いていく。
うつむきながら胸に去来するのは、今も色褪せない妻、美優との思い出だった。
この場所で貰ったバレンタインデーのチョコレート。
あの場所で渡したガラスの靴。
この街は彼女との思い出に充ちていた。
(ありがとう、美優……正直、君がいなくなって悲しかった。だが、今なら分かるよ。
何故、あの時居なくなったのか……きっと気づいていたんだろう。
ボロボロになっていた俺が、君にいつまでも甘えてしまうのを。
素の自分を晒し出せる存在は優しい君以外に居なかった。
そして、優しい君も、俺をいつまでも甘えさせていただろう。
あのままだと、俺も君も、二人ともダメになっていた……だから、君は姿を消した。
……依存し合う関係をリセットし、新たに立ち上がる力が育つまで……。
あれからもう六年、俺はやっと立ち直る事が出来た……美優、君のお陰だ。
でも、時々思うんだ。この季節になると決まって君が恋しくなる。
また……君と会えないだろうか……)
その時、肩が向かいから歩いていたコート姿の人間とぶつかった。
「すみません……」
「……いえ……」
女性だろうか。目深にかぶった帽子の中から澄んだ声色が漏れた。
(……!? まさか、いや……しかし……っ!)
美優Pは、ふっと振り返る。
変わらぬ冬の雑踏の中で、それは消えそうになっていた。
懐かしいあの香水の匂い、想い出を蘇らせるあの匂い。
そして優しくはかなげなあの声――。
彼は走った。
探しているものすら分からないままに、それを辿るように人混みを掻き分けていく。
途中何度も人にぶつかり、転びながらも、彼は臨海地区まで走った。
しばらくして前方にあの人間が見えた。
「……! 待ってください、君は……!」
美優Pはすぐ相手に追い付いた。
「ずっと、ずっと探していたんだ! ……美優!」
プロデューサーは追い付いた女性の手を握った。
風が帽子を拐い、隠れていた美貌が露になる――美優だった。
「……貴方……」
「済まない、美優! ずっと君を苦しめて……俺は最低の男だ!」
プロデューサーはひしと彼女のたおやかな身体を抱きしめた。
「だが、忘れられないんだ! 忘れられなかった!
いつも君の夢を見ていた、いつも君の姿を探していた……
俺がここまでやり直せたのは、優しい君のお陰だ! 美優!
頼む、もう一度……俺とやり直してくれ……!」
しばしの沈黙の後で、彼女は小さく抱き返した。
「……。私も、ずっと貴方を忘れられなかった。
忘れようとした……けど、出来なかった……。
別れる前より、別れた後の方が、ずっと
……ずっと苦しかった……っ……!」
「美優……!」
「貴方……!」
海の向こうには遠くにネオン街のライトが宝石のように光っていた。
その手前にある二人の影、ずっと互いを想い合っていた夫婦のシルエットが重なり合う。
――美優
はい、貴方――
――また……君のシッコを飲ませてくれないか?
以上です
注:
実際他人の尿を飲んでも飲尿健康法としては効果がありませんので
皆さんは必ず自分の出したおしっこ(朝一番の濃尿は飲みにくいので昼ごろ出したもの)
をコップ一杯分だけ飲んで下さい
飲尿健康法で今年も元気に過ごしましょう
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