このssは前作『イタリア百合提督「着任しました」』の続きになっております
お読みになる前に注意事項として…
百合・レズ表現があります
イタリア王国海軍の艦艇がメインになります
このss独自の世界観が含まれています
「艦これ」未プレイですので、実際の「艦娘」とは異なるオリジナルのキャラクターであったりします
更新はひどく遅いです
……もしここまで読んだ中に苦手なものがありましたら、そっと閉じて頂ければと思います
…また、これらの事柄を了解して下さった方は、どうぞお付き合い下さいませ
前スレ
イタリア百合提督「着任しました」
イタリア百合提督「着任しました」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1482850820/)
>>2 さっそくリンク貼ってくれてありがとうございます
まずはあけましておめでとうございます…とりあえず整理をかねて、登場人物やここまでのあらすじなどを投下していきます
…登場人物…
フランチェスカ・カンピオーニ少将
本作の主人公で、いわゆる「提督」
二十代後半にしてローマのスーペルマリーナ(海軍最高司令部)に勤務し、驚異的なスピードで大佐になっていた能力の持ち主だったが、その「華麗な女性遍歴」がスキャンダルに発展しそうになり、上官にあたる「お爺ちゃん大将」のはからいで二階級特進の上、好奇の目や追及の手を逃れるため、南イタリアにあるのんびりした鎮守府「タラント第六鎮守府」に「栄転」、司令官として着任した
イタリア人にしては控えめな顔立ちだが、長身で「ド級戦艦並み」の大きな胸とむっちりしたふともも、艶やかな唇にきれいな指の持ち主…腰まで届く長い髪は金と明るい栗色の中間で、瞳は金色。甘い優しい声は耳に心地よい
特技は艦隊指揮に射撃と料理、「色男でも言えないような」甘ったるい口説き文句に、女性のチャームポイントを見つけること…車の運転も上手い
趣味は可愛い女の子とキスすることと、60~70年代のカンツォーネ(イタリアン・ポップス)を歌う事、それに美味しい物を食べること…意外と機械いじりやメンテなども好きだったりする
母親のクラウディアと、事実婚をしているもう一人の母親「シルヴィアおばさま」のお陰で、幼いころから女性にしか興味がない筋金入りの百合属性
「据え膳はいただき、据えてない膳は持ってくる」「来るものは拒まず、去る者は出さない」などなど、上官・同僚・部下を問わず、いつも誰かを恋人にしている……むっちりした大人のお姉さまが好みだがロリからお姉さままで、長所があればそこを魅力に感じる優しい性格で、選り好みもしない主義
鎮守府では美味しい物を食べ過ぎ、胸やお尻、太ももがきつくなっているが、水泳と射撃以外の運動はたいてい苦手なので、カロリー消費が出来ていないのが目下の悩み
愛車は深青色の「ランチア・フラミニア」の4ドア・ベルリーナ
………
軽巡「ライモンド・モンテクッコリ」
「R・モンテクッコリ」級軽巡のネームシップ。1935年生まれで大戦を無事に生き抜き、戦後は練習艦として1964年まで長くイタリア海軍に在籍していた
「コンドッティエーリ」(傭兵隊長)型と言われる、中世の傭兵隊長たちの名を採ったイタリア軽巡の第三世代。ウンベルト・プリエーゼ造船官による「プリエーゼ式防御シリンダー」の円筒形をベースにした特徴的な艦橋と、バランスのとれた瀟洒(しょうしゃ)なデザインはスマートで美しく、兵装や速度性能も優れていたため以後のイタリア軽巡の基本形になった
…艦名の由来になった「ライモンド・モンテクッコリ」はオーストリア・ハンガリーの軍人で、対オスマン・トルコ戦争やプロイセン皇位継承戦争などを指揮し、現役引退後は戦術研究に明け暮れた研究熱心な「機動の天才」という人物
艦娘の「ライモンド・モンテクッコリ」はほどよく落ち着いた金色の髪を高めのポニーテールに結び、すらっとしつつメリハリの効いた身体をしている高校生ぐらいの女の子。性格はいたって律儀で真面目……当初は提督に優しくしてもらい、憧れと恋心の混じったような感情を抱いているだけだったが、着任早々に大浴場で提督と「愛を交わして」以来百合に目覚め始め、以来生真面目なだけではなく甘い一面や、可愛い嫉妬心なども見せるようになってきた
…提督の付けた「ライモン」という呼び方は気に入っていて、鎮守府の面々からは「妻」や「提督の嫁」と言われてからかわれている
妹の「ムツィオ・アッテンドーロ」はミラノ・スフォルツァ家の開祖の傭兵隊長が名前の由来…「スフォルツァ」(厳しい)性格と言うアッテンドーロの性格は受け継いではいないが、ナポリの巡洋艦戦隊にいたせいか、単刀直入に物を言うさばさばした性格で、何かと生真面目な姉「ライモン」をせっつくこともしばしば…こちらは43年ナポリ港空襲で失われてしまったが、どちらもイタリア海軍の淡いライトグレイをまとった姿が魅力的な軽巡
制服代わりの服も淡いライトグレイのワンピーススタイルで、胸元には白波のようなフリルが少しついたデコルテ、首にはイタリア王国海軍の星章を模した首飾り。すらっと長い脚には黒のニーハイソックスかストッキング…ワンピースは濃淡のグレイで幾何学線模様を描いた迷彩仕様もある
………
戦艦「コンテ・ディ・カヴール」
1915年生まれで、第一次大戦当時の最新鋭戦艦と言う「おばあちゃん」ながら、1933年から受けた大改装で艦の六割を作り変え、見事にモダンなデザインへと生まれ変わったド級戦艦
艦名は「イタリア統一の三傑」(ガリバルディ、マッツィーニ、カヴール)のうち、イタリア独立の支持を取り付けるためにニースやモナコをフランスに割譲した現実主義者で、親フランスの立場を取っていた宰相「カヴール伯」カミーロ・ベンゾから
艦娘「コンテ・ディ・カヴール」は年齢を感じさせないみずみずしい豊満な「ド級戦艦」体形で、長い金茶色の髪は優雅な内向きカールにしている
…少し困り眉で目尻を下げている様子は「甘々なお姉さま」と言う性格を見事に表している。おっとりした優しい性格で提督を甘やかすのが大好き……大戦中はまともに作戦行動をしないうちに「タラント空襲」を受け着底、修理のために北イタリアのトリエステまで移動するも修理が終わらず、イタリア敗戦時にはドイツに渡らないようにと連合軍の空襲で撃沈された……などなど、目立った活躍がないせいか何かと欲求不満で色欲も持て余し気味…ライモン、ドリアなどに続いて提督と愛し合った仲で、現「秘書艦」
…妹は古代ローマの名将の名を持つ「ジュリオ・チェザーレ」(ユリウス・カエサル)で、こちらはチェザーレの著作「ガリア戦記」の影響から一人称が「チェザーレ」な武人で、よく真紅のマントをひるがえしている……髪はローマの屋根瓦のような明るい赤茶色で、髪が薄いのを気にしていたチェザーレの影響か、髪を後ろで束ねただけのシンプルなまとめ方をしていても、セットには時間をかけるなど髪型にうるさい……戦後「ノヴォロシースク」としてソ連に引き渡された影響か、とにかくイタリアに戻って姉に会えたことと、イタリア料理を食べられることが嬉しいらしい
カヴールはよくイタリア海軍の防空識別帯の「赤と白の斜線」が首元に入った淡いグレイのタートルネックとスカート、黒のストッキングとエナメルハイヒールを身につけている……一方チェザーレはタートルネックに肩章の付いた軍人風の上着を羽織り、紅のマントをなびかせている
………
クラウディア・カンピオーニ
提督の母親で、服飾デザイナーだったが「せわしないのに疲れたから」となかば引退し、地元カンパーニア州でのんびり暮らしている…長い金髪とむっちりした豊満な体、それに甘い声がチャーミングな提督のお母さまで、熱心に提督を「教育」した張本人
とにかくキスと女の子が好きで、提督の姉に見えるほど若々しい……趣味の料理はとても上手で、その腕前は提督も歯が立たない
………
シルヴィア・カンピオーニ
提督の「おばさま」で、クラウディアのパートナー…短く切った栗色の髪と、あっさりした物言いが魅力的なきりっとした大人の女性……趣味は射撃と猟で、銃やナイフの扱いがうまい
誰もがほれぼれするような凛々しさは、提督が百合に目覚めたきっかけの一つ
愛車はイタリアン・レッドに塗った初代「アルファロメオ・ジュリエッタ」
………
百合野 深雪(ゆりの・みゆき)准将
通称「百合姫提督」
夏から秋にかけて行うことになった、イタリア海軍主催の「深海棲艦への戦術・知識交換プログラム」のため、海上自衛隊「横須賀第二鎮守府」から派遣されてきた准将で、「タラント第六」に派遣されてきた…提督と同じく二十代後半
(※設定上、階級は「海将補」などではなく、「准将」などと世界基準に統一されている)
豊かな黒髪にきめ細やかな肌、整った涼しげな顔立ちはまさに大和撫子そのもので、声も「横須賀の能登麻美子」とか「鎮守府の菊池桃子」などと言われるほど透き通っていて美しい
…以前ローマに短期赴任した際に、言葉に苦労していたところを提督がアパートに泊めて以来、すっかり「仲がいい」……交換プログラムの際も会えるかどうか定かでないにもかかわらず、日本から百合漫画や郷土のお菓子など様々なお土産を山ほど持ってきてくれた…百合好きなのもあるが、とにかくお姫様のような雰囲気から「百合姫提督」、提督からは「姫」と呼ばれている
一見おしとやかなだけに見えるが、「大艦巨砲主義」によらない戦略や戦術は実戦的で、スピード昇進の理由は「戦績に応じた臨時昇進」以外にも、あまりの切れ者ぶりに「あれは山口多聞の子孫らしい」とか「山本五十六の遠縁らしい」などという噂が広まったためだとか……優れた能力の持ち主ながら、士官学校の論文でイタリア海軍を研究するなど、多少風変りな面があるせいか、呉、舞鶴、佐世保などで戦果を挙げてきたにもかかわらず「いわくつき」の艦娘ばかりを集めた「横須賀第二鎮守府」の司令になっている…おかげで「弾除けのお守りに」と、とある部分の毛を「すっかり剃られてしまった」らしい…が、それを含めて艦娘たちが好きという変態なところも……
…大雪の日に産まれたので「深雪」という名前になったが、特型駆逐艦で唯一戦前に事故喪失した艦が「深雪」なので「縁起が悪い」と、一時期は自分の名前が嫌いだったという
愛車は濃緑色の初代「マツダ・ロードスター」
………
一等巡洋艦(重巡)「足柄」
百合姫提督に随行してきた「妙高」型重巡の艦娘
その、居住性を犠牲にしてまで高性能を追い求めた低いシルエットは、戦前の「スピットヘッド観艦式」へ参加した際、背の高い「州」(カウンティ)級重巡を見慣れたイギリスの記者に「飢えた狼」と皮肉交じりで紹介されたこともある
本来は神戸生まれのハイカラさんで、スピットヘッド観艦式に続いて欧州歴訪をするなど才女でもある…艦娘になっても外国語に堪能で、艶のある黒髪と紫の服に包まれた姿が精悍で美しい
百合姫提督とは当初「エス」的な「大正ロマンあふれる」奥ゆかしいお付き合いをするつもりだった…が、百合姫提督や周りの艦娘たちのおかげですっかり教育され、今では布団の上でも狼に…
………
二等巡洋艦(軽巡)「龍田」
百合姫提督に随行してきた「天龍」型軽巡の艦娘
「天龍」型軽巡自身は大正年間、イギリスで誕生した新しい艦種「軽巡洋艦」のアイデアを早速とりいれ、世界の最先端を行く艦となった艦だが、排水量3500トンはスペースに余裕がなさすぎ、後に5500トン型軽巡を生むことになった……艦のレイアウトはイギリス、主砲はフランス式の「14サンチ砲」と、まだ外国に学んでいた大正初期の日本艦らしい初々しさがある
艦娘「龍田」は短く切った紫がかった黒髪に優しい声が可愛らしい…が、白鞘の日本刀を差し、黒に銀の「昇り龍」の入った着物をはだけているさまは、どう見ても極道の姉御にしか見えないとも…百合姫提督を熱愛しているが、かなりの偏愛で拘束しているように見えることもしばしば……得意な歌は百合姫提督に向けて心をこめた「天城越え」
………
ジェーン・ミッチャー准将
アメリカ海軍「ノーフォーク鎮守府」から派遣されてきた提督
チョコレート色の艶やかな肌と制服からはち切れそうな豊満な体型、ブロンドの髪が印象的
性格は親切かつあけっぴろげで、好き嫌いもはっきりしている……実力もあったが、ビアンで褐色の肌を持っている女性士官、おまけに細かい規則にうるさい「平時の海軍」のせいで何かと脚を引っ張られ昇進が進まなかった…が、太平洋岸の「サン・フランシスコ鎮守府」にいた際、レセプションに連れてきた艦娘に「サービス」しろと言った議員を派手にノックアウトし、それが気短な太平洋艦隊司令官「マティアス中将」の目に止まって気に入られるように…今では制服組トップの海軍作戦本部長(CNO)になったマティアス大将への配慮か、周りも遠慮がちになって鎮守府運営もやりやすくなったらしい……いつも「教養がない」と冗談めかしているが、実は読書家で、タフなだけではない文武両道の提督
…ちなみに戦中の名指揮官「マーク・ミッチャー」提督とは縁もゆかりもないとのこと
レセプションの一件の後、マティアス司令官に「転属先の空きができるまで避難させてやる」と派遣されたナポリで空母入港とかぶってしまい宿をとり損ね、当時ナポリ所属だった提督に声をかけられてアパートへ転がりこむことに……「何かいやらしいことしようとしたらどうする気だったの?」と、提督が聞かれた時は「もし無理に何かしようとしてもノックアウトできるから」と考えてオーケーしたとのこと
指揮下の艦娘たちには常日頃からバーベキューパーティやお出かけなど、様々なイベントを開いてあげているが、食べ盛りの艦娘数百人が所属している鎮守府を指揮しているだけあって財布が追い付かず「いつもピーピー」だという…
射撃の腕は海軍でもトップ二十人に入るほどで、愛用のピストルは自分で数丁分のパーツを組みたてた「コルト.45」こと「M1911」のカスタム銃
愛車はクロームイエローの1971年型「シボレー・バラクーダ」で、趣味は映画
………
空母「エンタープライズ」(CV-6)
ミッチャー提督に随行してきた「ヨークタウン」級空母二番艦の艦娘
艦名「エンタープライズ」としては七代目で、レイテ、マリアナなど太平洋における海戦のほとんどに参加し十数回の損傷を受けながらも生き残った強運と戦績から、通称「ビッグE」や「グレイゴースト」などと呼ばれた
戦訓から学んで数次の対空火器増強を行い、ハリネズミのように40ミリ・ボフォース機銃や20ミリ・エリコン機銃を搭載している…また、装甲甲板こそないもののダメージ・コントロール能力に優れた名艦
アメリカ海軍としては初期の空母ながら搭載機も多く、最大で96機搭載可能と言われる
艦娘のエンタープライズは「ビッグE」だけに「巨大」と言ってもいい高身長で、ブロンドの髪は戦前の流行のようにカールさせている。タイトスカートからはみ出し、はち切れそうなふともも、何かと揺れる爆乳は「ビッグE」とからかわれるが、実際のカップはそれ以上とも……ミッチャー提督のよき補佐役
………
駆逐艦「フレッチャー」(DD-445)
ミッチャー提督に随行してきた「フレッチャー」級駆逐艦の艦娘
フレッチャーは日本の特型駆逐艦…特にその後期型に対抗するべく空前絶後の175隻が整備された大型駆逐艦。建造隻数も多いが一隻ごとの質も極めて高く、37ノット近い最高速度に高い対艦・対空性能、さらにレーダーやVT(磁気感知式)信管など、優れた電子工学機器を搭載した艦隊型駆逐艦の傑作
艦娘の「フレッチャー」は駆逐艦とは思えないメリハリのあるボディに金髪ポニーテールで、雲形迷彩の「メジャー12」を彷彿とさせるブルーグレイとダークグレイのワンピースを着ている。何かと優秀なこともあってミッチャー提督とも親しく話す仲……妹が多すぎ見分けをつけてもらえないことがあるのが悩みのタネ
………
マリー・エクレール大佐
フランス海軍・地中海方面艦隊所属で、南仏にある「トゥーロン第七」鎮守府の司令
淡い金髪に水色の瞳にほっそりした身体、流行のファッションをまとって高級な化粧品を使いこなし、パリ風のお嬢様言葉で話す
そのお洒落でイヤミ、フランス以外を何かと見下す性格はパリジェンヌそのもの…が、実際は「花の都」パリに憧れ、地元を出るために海軍士官になったプロヴァンス出身の田舎娘…ファッションセンスやアクセントはパリで馬鹿にされないために覚えたもので、たいていは見事なパリジェンヌに見えるが、やり過ぎの感もある……理論は一流のフランス海軍だけあって理屈をこねるのは得意だが実戦経験は乏しく、机上の空論になることも多い
パリの海軍司令部に所属している時に「流行しているから」とファッションレズを始めたが、連絡将校の少佐としてローマに派遣された際、提督に口説かれるとすっかり惚れ込んでしまい、一時期同棲するなど深い関係に…
そのせいで提督にはすっかり弱点を知り尽くされていて、「フランスの偉大さ」を鼻にかけたり、「イタリア海軍など物の数ではありませんわ」などと提督に議論を吹っかけるたびにその時のことでからかわれ、場合によっては首輪をつけられ鞭を振ってもらったりとすっかり調教済み…エクレール提督自身も普段は何かと「海軍司令部の意向に沿うように」と、肩がこりそうな完璧な生活スタイルを送っているからか、提督に会うと安心してすっかりデレデレの誘いネコ気質に……
「タラント第六」派遣中、提督が熱を出した時に看病してくれるなど、心根は優しい所もある
愛車は「ド・ゴール大統領も乗っていた」からと、黒のシトロエン「DS19」
……
戦艦「リシュリュー」
エクレール提督に随行してきた「リシュリュー」級戦艦の艦娘
四連装二基、八門の主砲を全て艦首に装備し、後部に艦橋と副砲、水上偵察機の格納庫を設けると言う、イギリスの「ネルソン」「ロドネー」にも似た風変りなレイアウトの超ド級艦……第一次大戦での評価が低く、予算も削られ新戦艦を持っていなかったフランス海軍が、イタリアの「リットリオ」級戦艦建造の情報を受けてこれに対抗するべく計画した…が、開戦時にもだらだらと建造を続け、フランスの敗北が必至となったところで慌ててダカールに脱出、ヴィシー・フランスに属したり、その後連合国に加わったりと時代に翻弄され、戦後も長く「フランスの威信を見せつける」ために在籍していた
迷彩がグラデーションだったり煙突とマストを一体化したりするなど、かなり凝ったデザインをしている
艦名は智謀に優れた名宰相「リシュリュー」から名付けられている
艦娘「リシュリュー」はモノクル(片眼鏡)に白髪のロール髪、実際の艦影を彷彿とさせる前は豪華で後ろは飾り気のないエキセントリックなドレスを着ている…ファッションセンスはともかく、常に利害を考え落ち着いて行動する策士
………
練習巡洋艦「ジャンヌ・ダルク」
エクレール提督に随行してきた練習巡洋艦「ジャンヌ・ダルク」の艦娘
長らく練習巡洋艦に旧式軽巡をあてがっていたフランス海軍が、ようやく専用の軽巡として建造した練習巡洋艦。同時期の優れたフランス軽巡「デュゲイ・トルーアン」級を参考に、速度を27ノット(公試時)まで落として雷装をなくし、客船のようなプロムナード・デッキを設けるなどした以外はほぼ同じ装備でまとめた……長距離航海に向いたバランスのいい練習巡洋艦で、戦後も長く愛された優秀艦
艦娘「ジャンヌ・ダルク」は三つ編みの金髪を頭に巻きつけたお姫様風の髪型に、剣を腰に提げ、銀の胸甲とブルボン王家の「金の百合」が入った白い胸帯、白いドレス…といかにも「ジャンヌ・ダルクらしい」恰好をしている
常にフランスの栄光と神の加護を信じ、思い込みが激しく熱っぽい…が、田舎者だった「ジャンヌ・ダルク」の影響か、お化粧やファッションには自信がない。エクレール提督を「モン・コマンダン」(私の司令)と呼び、熱烈に崇拝している
………
メアリ・グレイ少将
イギリス海軍地中海艦隊「ジブラルタル第二」鎮守府の司令
ふわりと伸ばした金髪と深い茶色の瞳、その顔立ちは古風で美しい。紅茶はダージリンを好み、鼻にかかったようなキングス・イングリッシュを見事なアクセントで話す…「レディ」の称号こそ使っていないが、明らかに貴族にしか見えない優雅な提督……相手が気軽に話せるように気を配っているが、時折さりげないイヤミを言う辺りもイギリス貴族ならでは…
提督とはローマの「戦術・知識交換プログラム」で初めて会ったが、フランスのエクレール提督をやりこめたので興味を持った様子
………
戦艦「クィーン・エリザベス」
グレイ提督の随伴艦「クィーン・エリザベス」級戦艦の艦娘
第一次大戦時の大海戦「ユトランド沖海戦」に新鋭高速戦艦として参加したド級艦
最高速度25ノットは第二次大戦レベルでみるともはや高速ではないが、姉妹艦「ウォースパイト」などと共にノルウェーでドイツ水雷戦隊を壊滅させたり、地中海でイタリア艦隊と交戦したりと活躍を見せた
第二次大戦中エジプトのアレクサンドリア港在泊中にイタリア軍コマンド部隊「デチマ・マス」隊の「SLC」(人間魚雷…吸着機雷付きの水中スクーター)に機雷を仕掛けられ大破、半年ほど行動不能になった
いずれにせよ新戦艦の建造が進んでいたことから、大戦後半はさして暴れ回ることもなく過ごした
艦娘「クィーン・エリザベス」は「エリザベス」だけにどこかの「最凶エレベーターガール」を彷彿とさせ、金髪に金色の目をしていて王冠を被り、宝石の入った王笏を持ち、たいていの提督ではかなわないような凄まじい気迫をはなっている……性格は自称「好奇心を抑えられない愛くるしい性格」らしい…
………
軽巡「エメラルド」
グレイ提督の随伴艦「E」級軽巡の艦娘
第一次大戦中に帝政ドイツ海軍が計画していた高速敷設巡洋艦「ブルンマー」級を捕捉、撃破するために建造された高速軽巡…結局第一次大戦には間に合わなかったが、バランスのいい兵装と細い船体に搭載した二基の駆逐艦用主機のおかげで、計画通りの高速を発揮した…イギリス軽巡で最もスマートな一隻
第二次大戦に入ってもその高速は貴重で、ポケット戦艦「アドミラル・グラーフ・シュペー」追撃戦、地中海戦域などで活躍した
艦娘「エメラルド」は長身のほっそりした身体に、先端がエメラルド色にグラデーションしている銀髪、きれいなエメラルド色の瞳…と、妖精のような姿をしている
………
シャルロッテ・ヴァイス中佐
ドイツ連邦海軍のフレガッテンカピタン(中佐)で「ヴィルヘルムスハーフェン鎮守府」の司令
鋭い灰色の目にプラチナゴールドの髪をそっけなく束ねている
グレイ少将と同じくローマで少し会話しただけだが、口調も厳しく厳格そうな様子は中佐には見えない存在感がある
………
戦艦「ビスマルク」「ティルピッツ」
ヴァイス中佐の随伴艦「ビスマルク」級戦艦の艦娘
ドイツが再軍備宣言をする前から海軍内で密かに計画が進められていた超ド級艦。目的はイギリスを締め上げる通商破壊戦としただけあって、主砲の門数や口径よりも速度や防御に意識が払われている…一見すると地味に見えるスペックながら初期のレーダーを搭載したり、副砲や高角砲を多く搭載したりと実戦向き
ビスマルクは初出撃でイギリスの巡洋戦艦「フッド」を轟沈させ、艤装も間に合わないまま同行していた「プリンス・オブ・ウェールズ」にも被害を与えるなど奮闘したが、「ソードフィッシュ」複葉雷撃機の魚雷攻撃で舵機を損傷、フランスのブレスト港まで百数十キロと言う所で集中攻撃を浴びて撃沈された(ドイツでは自沈したという説もある)
二番艦「ティルピッツ」は大型艦の損失を恐れたヒトラーの命令でノルウェーのフィヨルドに引きこもっていたが、イギリスがイタリア海軍を参考にしたあの手この手のコマンド作戦を受け損傷、最後は「ランカスター」爆撃機の超大型爆弾に止めを刺された
…一番艦「ビスマルク」は言わずと知れた「鉄血宰相」ビスマルク、二番艦「ティルピッツ」は帝政ドイツ艦隊の生みの親である海軍提督の「ティルピッツ」から
艦娘「ビスマルク」は金髪を束ね、鉄血宰相だけに自他を問わず厳格で熱血…妹ティルピッツの事は姉として好ましく思っているが、うまく伝えられていない
艦娘「ティルピッツ」はノルウェーのフィヨルド暮らしが長かったせいか青白い肌に北海のような灰色の髪で、かなり引きこもりがち…爆撃で止めを刺されたせいかとにかく飛行機が嫌い
………
ジュリア・アントネッリ中佐
シチリア島にいるP-3「オライオン」対潜哨戒機の飛行隊長。モトグッツィの大型バイクと黒のライダーススーツが似合う格好いいタイプの女性で、同性によくモテる…本人も無類の女好き
提督とは軍の射撃場で知り合い「濃厚なお付き合い」をしていた関係で、直近の作戦で艦娘たちの支援のために哨戒ルートを変えてくれた
………
ナタリア・カルリーニ大佐
海軍測量部の大佐。提督と付き合っていた「恋人」の一人で、作戦のために海図を優先して回してくれた…美人でアルトの声が色っぽい
………
マリア・ヴィオレッタ少佐
海軍航空隊の作戦課に所属している少佐。数年前、提督と独身宿舎で変態チックな「メイドとお嬢様ごっこ」に興じていたところを海軍憲兵に見つけられ、提督のせいにしようとした…結局知り合いの憲兵だったので見逃してもらえたが、それ以来提督には頭が上がらない
………
ルチア
イタリアでさまざまな福祉活動をしている「社会福祉公社」を通じて、「タラント第六鎮守府」に引き取られた若いメスの保護犬。白いコリー系の雑種でボルゾイの血が強く出ているらしく、脚が普通のコリーよりも長い…避妊手術とトイレトレーニング済みで、可愛らしい上に賢い
………
…夏の日の午後・提督の自室…
提督「ふわぁ…ぁ……」午後の暖かい日差しに照らされながら、ベッドの上で「うーん…」と伸びをする提督……長い髪をベッドに広げ、そのむっちりした裸体を桃色のタオルケットが覆っている…
…この休暇に入る前、日々の哨戒や多少の支援任務以外で初めて「南部イオニア海管区」司令部から命令された大型作戦……しかも難しい作戦だったチュニジア沖「ケルケナー諸島方面」への人道支援物資・輸送作戦…要は輸送潜水艦を使ったイタリア版「東京急行」…と、リビア沖での「輸送船団攻撃」の二作戦を無事に終え、年度末の夏季休暇で久しぶりにカンパーニア州の実家に戻ってきた提督……久しぶりに子供に戻った気分で平らげた美味しい昼食とワインのおかげですっかり眠くなった提督は、母親のクラウディアがそのままにしておいてくれた自室のベッドに転がり込むと、しばらく眠りこけていた…
ライモンド・モンテクッコリ(ライモン)「ふふ…おはようございます」狭いシングルベッドで添い寝をしながら、ちゅっ♪…と「お目覚めのキス」をしてくれたのは軽巡の艦娘「ライモンド・モンテクッコリ」…提督言うところの「ライモン」だった
提督「おはよう、ライモン…私ったらあれからまた寝ちゃったのね」
ライモン「はい…でもいいと思います。せっかくのお休みなんですから♪」
…さっきまで甘ったるいようなキスを交わしていただけあって頬を桜色に染め、気おくれしたように、はにかんだ笑みを浮かべるライモン…普段は高めの位置で結んでいるポニーテールは解かれていて、しなやかで長い亜麻色のような金髪がきらきらと陽光にきらめいた…
提督「それもそうね…でも、せっかく招待してあげたのにそれじゃあつまらないでしょう?」
ライモン「そんな、お気になさらないで下さい…それに、提督の寝顔を見ているだけで嬉しかったですし……///」
提督「あらあら、そんな風に言われたら狼になっちゃうわよ…♪」目を細めてにっこりする提督
ライモン「も、もう…///」
提督「ふふ、冗談よ…さ、起きて庭の散歩でもしましょう?」
ライモン「はい…えーと、それじゃあ提督の着替えを……」
提督「いいの。ここは私の部屋だから自分が一番よく分かっているわ…それにライモンはお客様なんだから、あくせくしなくていいのよ♪」そう言ってウォークイン・クローゼットになっているアルコーヴ(小部屋)に入ると、置きっぱなしだった服をごそごそとかき回し始めた…
ライモン「そうですか、でしたらお言葉に甘えて…」ベッドの上で起き上がり、ヘアゴムで手早く髪をまとめるライモン…提督の部屋は割ときれいに整えてある執務室とは違って、机の上に数冊の本が置きっぱなしになっている……「しゅるっ…ぱさっ」と、提督が衣擦れの音を立てて着替える中、ライモンは小説らしい文庫本を見るでもなしに取り上げた……
提督「…読みたかったら読んでもいいわよ?」
ライモン「いえ…特にそう言うつもりでは……っ///」返事をしながら提督の方を向いた瞬間、真っ赤になるライモン…
提督「うふふっ…お互い普段からずいぶん裸も見ているのに、まだ私の下着姿で赤くなって……本当にライモンは可愛いわ♪」
ライモン「だって…提督、その下着は反則です///」
提督「そう?…そんなに際どいかしら」クリーム色がかった張りのある肌に紺のレースが付いた下着を履いたまま、改めて自分の身体を見おろす提督…
ライモン「いえ…その///」下着自体はおとなしい方ではあったが、日頃過ごしている鎮守府での美食がたたってサイズの合わなくなった生地が、ヒップに食い込んでいる…
提督「あー…そう言われれば確かにこの下着はきついわ…でもどうしようかしら、そうなるとここに置いてある下着はほとんど全滅だし……」
ライモン「出来るだけゆるい物を選ぶしかないのでは…とにかく、何か着てもらえませんか///」
提督「…下着を着ているじゃない♪」
ライモン「いえ、ですから…もう少し刺激の少ない格好をなさってくれませんか」
提督「はいはい…それじゃあちょっと待っててね♪」また小部屋に引っ込むと、今度は前よりも長くごそごそと服をかき回している…
ライモン「…どうですか?」
提督「ふぅ…なんとか見つけたわ、どう?」現れた提督はライムグリーンの縁取りがされた白のサマードレス姿で、ライモンの前でくるりと回ってみせた
ライモン「はい、それなら清楚で可愛らしいです♪」
提督「よかった…それじゃあ行きましょうか」…すっと手を差しだす提督
ライモン「はい…///」そっと差しだされた手を握って、指を絡めた…
…居間…
クラウディア「おはよう、フランチェスカ♪」提督の「お母さま」クラウディアは、もっちりと柔らかそうな身体を白いワンピースで包み、午後のお茶をすすっている…
提督「おはよう、お母さま……もう、こんな時間になる前に起こしてくれればよかったのに」
クラウディア「あら…私はてっきりフランチェスカが「お昼寝中」だと思ったからお邪魔しなかったのよ♪」
ライモン「…っ///」
提督「ふぅ、全く…お母さまは相変わらずね」
クラウディア「ええ、私は今日も朝からシルヴィアと……ねぇフランチェスカ、お母さまが朝からシルヴィアと何をしたか…知りたい?」
提督「聞かなくても分かるわ…でしょう、シルヴィアおばさま?」
シルヴィア「そうね、だいたいいつもの通りよ…もっとも、今日は猟に行くから早くにベッドから出たけれどね」居間に入ってきたシルヴィアはクリーム色のさっぱりしたスラックスに薄手のセーターを着て、手にコーヒーカップを持っている…
提督「それにしても…おばさまは相変わらず猟が得意なのね♪」
シルヴィア「まぁ、そうね…フランチェスカはどう、射撃の練習はしていた?」
提督「ええ、鎮守府に射撃用のレーンがあるから…まぁまぁね」
ライモン「提督は射撃がとってもお上手で…最初は少し驚きました」
シルヴィア「そうかも知れないわ。フランチェスカはあんまりそういうことが得意そうには見えないから」
ライモン「ええ。どちらかといえばお洋服にお化粧とか…」
シルヴィア「でしょうね。まぁ、射撃は子供の頃から私が教えたから経験が長いし…他の運動はあんまり得意じゃなかったけれど」
クラウディア「ふふ、シルヴィアは教え方もとっても上手で…この娘ったらずーっとシルヴィアにくっついていたわ♪」
提督「ちょっと止めてよ…昔の話なんて///」
クラウディア「別にいいじゃない♪…あのころはフランチェスカもお母さまにうんと甘えてくれて……もう、食べちゃいたいほど可愛かったわ♪」
ライモン「……提督はいまでも可愛いですよ///」
クラウディア「…あらあら♪」
シルヴィア「ふ…それもそうね」
提督「…ライモン///」
ライモン「いえ…だって///」
アッテンドーロ「あら、姉さんたちで何を話しているの?」
…そう言って二階から降りてきたのはライモンの妹「ムツィオ・アッテンドーロ」……提督の実家にお邪魔したいと言いたかったものの、なかなか切りだせないでいたライモンにつきあい、夏季休暇の申請を出さずにいた…さらにライモンが「わたし、提督と二人きりになったら絶対我慢できなくなっちゃう」と、いらぬ心配をしていたので「お目付け役」も兼ねてついてくることにした妹…
提督「あらムツィオ…服を着替えたのね♪」
アッテンドーロ「ええ、さっきの格好じゃちょっとくつろげないから」…淡いグレイの柔らかそうなフレアースカートに、あっさりした白のブラウスがスタイルのいい身体によく似合っている
クラウディア「あら、いい色合いのグレイね…よく似合ってるわ♪」デザイナーだけあって、ぱっと気が付く…
アッテンドーロ「どうも…で、姉さんたちは何の話をしてたの?」
ライモン「えーと、提督が子供の頃の話を…」
アッテンドーロ「へぇ…それは私も聞きたいわ」
提督「ねぇ、ムツィオ。私の子供時代の話なんて聞いてどうするの?」
アッテンドーロ「別にいいじゃない…どうせ表はまだ暑いでしょうし、夕食までいい気晴らしになるわ」
クラウディア「うふふ…それじゃあ決まりね♪」
提督「もう…お昼にそう言う話はしたんじゃなかったの?」
クラウディア「もちろんしたけど、もっといっぱい話したいじゃない♪…それに、あなたが眠くなってお部屋に戻ってからは、私もシルヴィアもずっと聞き役に回っていたんですもの♪」
提督「え…」
ライモン「その…すみません、提督……でも、提督が鎮守府でどう過ごしていらっしゃったかと聞かれたら、答えないわけにもいかなくて……」
アッテンドーロ「姉さんってば、そう言う割にはノリノリでいっぱい暴露してたわよ♪」
提督「あー……うん、平気よ。普段の生活は規則正しいイタリア海軍軍人に恥じないものだから、何も心配いらないわ♪」わざとすっとぼけてみせる…
アッテンドーロ「…ぷっ…くくっ♪」
提督「…何かおかしいかしら?」
アッテンドーロ「ええ…ふふっ……だって、おかしくって…くくくっ…お腹がよじれそうよ……あははっ!」
クラウディア「もう、ごまかさなくたっていいのに♪……ライモンちゃんから聞いたわよ、鎮守府ではずいぶんと楽しくやっているみたいじゃない♪」
シルヴィア「いつの間にか、フランチェスカも大人になってたってことね…この間まで小さいちいさいと思ってたのに…」
ライモン「…あ、そうでした。クラウディアさん、シルヴィアさん。よかったら提督が子供だった時のことを聞かせて下さい♪」
クラウディア「あぁ、はいはい…そうでした♪」
シルヴィア「よかったらもう一人の「艦娘」さんも呼んであげたら…コーヒーも淹れたし、ビスコッティもあるわ」
ライモン「そうですね、それじゃあ呼んできます♪」
提督「…お母さま、お願いだからあんまり恥ずかしい話はしないでよ?」
クラウディア「んー、何の事かしら…私にはよく分からないわ♪」
シルヴィア「…大丈夫よ、フランチェスカ。クラウディアに限って、あなたが本気で嫌がるような事を話したりする訳ないわ」
提督「ええ。そう思うけれど一応…ね」
クラウディア「もう、相変わらず心配性なのね…?」
提督「それを言うなら「用心深い」って言って欲しいわ……あ、戻ってきたみたい」
ライモン「チェザーレさんを呼んできました…「少し髪を整えたらすぐ行く」と言ってましたよ」
アッテンドーロ「ふふ…髪にうるさいチェザーレのことだから、きっと洗面台をひっくり返すような騒ぎを起こしてからに決まっているわ」
チェザーレ「……チェザーレの髪について何か言ったか、アッテンドーロよ?」
…階段を下りてきて居間を見渡すようにしながら、堂々たる口調で聞き返した「ジュリオ・チェザーレ」…長身でよく張ったふくよかな乳房、きゅっと引き締まったお腹に長い脚……まるでアスリートのような身体を五分袖のサマードレスに包み、威風堂々とやってきた…
アッテンドーロ「あら、ずいぶんと早かったわ……いえ、まぁ「チェザーレ候は髪に気を配っておられるからお出でになるまで少しかかるのでは」と、言ったまでですよ♪」
チェザーレ「それをナポリ流に砕いて言ったわけであるな…まぁよい。せっかくの機会なのだ、母君には提督が幼いころの話をうんとしてもらおうではないか♪」
クラウディア「はいはい…それと、お昼にもいったけど「クラウディア」って呼んで♪」
チェザーレ「おぉ…申し訳ない、クラウディア」
クラウディア「ふふ、よろしい…それじゃあフランチェスカの子供時代を話してあげましょうね♪」
ライモン「はい、お願いします♪」
アッテンドーロ「待ってたわ♪」
チェザーレ「うむ、「ガリア戦記」と同じくらい興味深いな♪」
提督「……お手柔らかに頼むわ、お母さま」
………
クラウディア「そうね、なら……この子がまだ…いくつの時だったかしら?」
シルヴィア「あの時の話なら確か…五歳とか、そのあたりだったと思うけど?」
クラウディア「うんうん、そうだったわ♪」
アッテンドーロ「提督が五歳のころ……うんと可愛い子供だったろうってこと以外、想像も出来ないわ」
ライモン「そうね、わたしもそう思うわ」
クラウディア「ええ、フランチェスカったらもうとにかく可愛くて♪…それでね……」
………
…提督・五歳の頃…
クラウディア「おはよう、フランチェスカ…ちゅっ♪」可愛らしいぬいぐるみにかこまれて布団に包まれている娘に屈みこみ、頬におはようのキスをするクラウディア…
提督(幼)「んんぅ…おはよう、クラウディアおかあたま……ちゅ♪」くりっとした目に大人しい外見のフランチェスカ(提督)がクラウディアの頬にキスを返す
クラウディア「さ、もう太陽が出ているわよ。朝ご飯を食べにいらっしゃい♪」
提督(幼)「はぁい♪」
提督(幼)「んぁー…がらがらがら……」丸い房飾りのついたパジャマ姿の提督はクラウディアに連れられて洗面台に立ち、顔を洗い、歯みがきとうがいと済ませる…
シルヴィア「おはよう、フランチェスカ…ん♪」食堂でコーヒーをすすりつつ、「コリエーレ・デラ・セラ」紙を読んで朝食を待っているシルヴィア……まだあどけない様子の提督がやってくると、左右の頬にキスをした
提督(幼)「うん、おはよう……シルヴィアおかあたま…ちゅっ♪」身を屈めているシルヴィアに届かせようと背伸びをして、頬にお返しのキスをする提督…
クラウディア「はい、よくできました…それじゃあ、「お母さま」が朝ご飯を持ってきてあげるわね♪」
提督(幼)「うんっ。わたし、おかあたまの作るご飯大好き♪」
クラウディア「あらあら、嬉しい事を言ってくれるわね…♪」…挨拶のキスよりちょっと長めのキスをふにふにと柔らかい桃色の唇にすると、バレエのようにくるりと一回転して台所に入って行った…
シルヴィア「フランカはいい子ね、そうやってお母さまをほめてあげて。えらいわね♪」(※フランカ…「フランチェスカ」の縮めた名前)
提督(幼)「うんっ、だっておかあたまの「ちゅう」は、やわらかくていい匂いがするし…だからいっぱいしてほしいの♪」
シルヴィア「そうね…確かにクラウディアの「ちゅう」は甘くてとろけそうよね……」幼い子供ならではの生真面目な様子で話す提督に微笑を浮かべ、コーヒーカップに手を伸ばした…
提督(幼)「ねぇねぇ、シルヴィアおかーたま…」まだまだ舌っ足らずな口調で「お母たま」の袖をそっと引いた…
シルヴィア「なぁに、フランチェスカ?」
提督(幼)「昨日おかあたまとクラウディアおかあたまがしてた「ちゅう」は、いつもの「ちゅう」とちがってたけど…どうして?」
シルヴィア「……「昨日のキス」って言うと、どこでしていたキスのこと?」(…だからあれほどドアを閉めてからにしようって言ったのに)
提督(幼)「うーんと…わたし、夜にね、お手洗いに行きたくなっちゃったの……それでね、その時におかあたまが「ちゅう」してるのが見えたの」
シルヴィア「うん…それはね、大人同士に使う「ちゅう」なの……だからフランカには使ってあげられないの」
提督(幼)「そうなの…でも、わたしがおっきくなった時にはおかあたまはもっとおっきくなってるよね……?」
シルヴィア「ええ、そうね」
提督(幼)「…それじゃあわたしは、ずーっとおかあたまと「おとなのちゅう」はできないの?」
シルヴィア「大丈夫よ…フランカが大きくなったら私はもっと大きくなっているでしょう、なら「大きい同士」でちゃんとできるわ」
提督(幼)「そっか…よかったぁ♪」
シルヴィア「そうね。…さ、ミルクを飲んでクラウディアお母さまが戻ってくるのを待ちましょうね」
提督(幼)「はぁーい」
………
提督かわいい
>>1
前スレ1000は1のために取らないんだ。取ってこいよ
>>14 そう言うものなのですね…教えて下さってありがとうございます……無事に取ってまいりました
それでは数日かけてクラウディアとシルヴィア×提督(幼)を投下してまいりますので…
クラウディア「……って言うことがあったの…それを聞いたらもう可愛くって♪」
提督「///」
ライモン「ええ……間違いなく可愛いですね///」
アッテンドーロ「もう…最高じゃない……♪」
チェザーレ「うむ、幼い提督も悪くないな……休暇明けに鎮守府へ戻ったら、アルキメーデ級にでも頼んでみるか…」
(※アルキメーデ級…古代・中世の高名な学者を艦名に取った中型潜。艦娘「アルキメーデ」級はおしゃれなケープや飾りのついた帽子、「月と星の杖」などを身に着けていて、どこぞの「錬金術士」たちをほうふつとさせ、日々実験や発明を続けている……有益な発明もあるにはあるが、提督としては鎮守府を「N/A」で吹き飛ばしたりしないよう祈るばかり…)
クラウディア「それでね、この話にはまだ続きがあって…」
………
…
クラウディア「はーい、お待ちどうさま。それじゃあ朝食にしましょうね……どうしたの、シルヴィア?」
シルヴィア「クラウディア、フランチェスカは「昨日の」見てたそうよ…だから言ったでしょう」
クラウディア「だって、仕方ないじゃない……それに最初にしてくれたのはシルヴィア、あなたよ♪」
シルヴィア「はぁ…たしかにそうだけど……でも、止めてくれたっていいじゃない」
提督(幼)「おかあたま…ケンカしてるの?」あどけない顔に少しだけ心配そうな表情を浮かべる…
クラウディア「…いいえ、お母さまとシルヴィアは「とっても仲良し」よ♪」
シルヴィア「そうね、それは間違いないわ」
提督(幼)「じゃあ、おかあたまたちで「ちゅう」できる?」
クラウディア「もちろんよね、シルヴィア…んっ♪」
シルヴィア「んっ…これでいい、フランカ?」
提督(幼)「んー……あっ!」
クラウディア「どうしたの、フランチェスカ?」
提督(幼)「さっきシルヴィアおかあたまが、「あれは『おとなどうしに使うおとなのちゅう』だから」って言ってたの……おかあたまは二人ともおとなだから「おとなのちゅう」じゃないとだめじゃないのかな…?」
シルヴィア「あー…」
クラウディア「ええそうね…お母さまたちは大人だから、ちゃんと「大人のちゅう」じゃないといけないわね♪」
シルヴィア「…ちょっと、クラウディア」
クラウディア「ふふ…大丈夫よ、任せておいて♪」ピンクのフリル付きエプロン姿で、こっそりウィンクを投げるクラウディア…
提督(幼)「……おかあたま?」
クラウディア「あのね、フランチェスカ…「大人のちゅう」はいつもする訳じゃないのよ♪」
提督(幼)「…どうして?」
クラウディア「それはね…「大人のちゅう」はとっても時間がかかるから、いつもしていたら一日が終わっちゃうの……だから、「大事なとき」や時間がある時、それも「大好きな人」や「時間をかけてあげたい人」にだけにするの♪」
提督(幼)「じゃあクラウディアおかあたまとシルヴィアおかあたまは「だいすきなひと」なんだ♪」
クラウディア「ええ、そうよ…」
シルヴィア「……ふぅ」
クラウディア「…だからちょっとだけシルヴィアと「大人のちゅう」をするわね♪」
シルヴィア「え…ちょっと」
クラウディア「いいじゃない…ちょっとだけ♪」
シルヴィア「クラウディア…言っておくけど娘の前なのよ?」
クラウディア「…でも、このまま間違って「あいさつの一つ」なんて覚えるよりは、ちゃんと「大人同士のちゅう」を理解させた方がいいと思うの」
シルヴィア「うーん……まぁそれも一理ある…か」
クラウディア「…それと、娘に「大人のキス」を見せつけるのもなかなかいいと思わない?」
シルヴィア「……おおかたそんなところだろうとは思っていたわ…じゃあ本当に少しだけよ?」
クラウディア「ええ♪…それじゃあフランチェスカ」
提督(幼)「うん」
クラウディア「お母さまがシルヴィアとちょっとだけ「大人のちゅう」をするから…朝ご飯は少しだけまっててね♪」
提督(幼)「うんっ…♪」
クラウディア「それじゃあ…まず「大人のちゅう」は挨拶から始めるの……シルヴィア♪」
シルヴィア「何、クラウディア?」
クラウディア「…秋の夜露のようにそっと耳に届く貴女の声……冬の落ち葉のような栗色をした貴女の髪…それに、春を迎えて開いたばかりのカーネーションのような貴女の唇…それを考えただけで私の胸は夏のティレニア海のようにときめくの…♪」……あっという間に目をうるませ、即興で四季をつづった愛の言葉をささやくクラウディア
シルヴィア「クラウディア……私が貴女の心を夏の海のようにときめかせるなら、きっと私は太陽なんだろうね…じゃあ、おいで……優しく暖めてあげるから…」つとクラウディアの腰に手を回し、そっと抱き寄せる…
クラウディア「んっ……ふ…♪」
シルヴィア「んっ…ちゅっ……ん、んっ///」
クラウディア「んふ…んっ、ん、んんっ♪……ん、ちゅぷっ…れろっ…ちゅっ、ぴちゅっ……ちゅぷ…っ♪」
シルヴィア「んっ、んんぅ…んっく…んっんっ、んぅぅ…!?」
提督(幼)「わぁ…///」
クラウディア「ん、ん、んっ、んちゅ…ちゅるっ、ちゅ…っ……んふっ、ちゅ、んくっ…ちゅぽっ……はぁぁ…っ♪」…絡みあわせていた舌先からすーっと垂れた唾液が、朝の明るい光に照らされて金色にきらめいた……
シルヴィア「ぷはぁ…っ……ちょっと、クラウディア…あなた自分で「少しだけ」って言ったでしょう///」
クラウディア「だって……日差しの中で見るシルヴィアが格別きれいに見えたんですもの♪」
シルヴィア「ふぅ…それにしたって甘すぎるわ///」
クラウディア「ふふっ…フランチェスカ、これで「大人のちゅう」は分かったかしら♪」
提督(幼)「う……うん///」
シルヴィア「……ほらごらんなさい、やっぱりこの子には刺激が強すぎたみたいよ」
クラウディア「…さぁ、どうかしら……ねぇフランチェスカ、お母さまたちの「大人のちゅう」はどうだったかしら♪」
提督(幼)「うん……あのね…」
シルヴィア「…正直に言っていいからね?」
提督(幼)「とっても…きれいだった……///」顔をぽーっと赤らめて、椅子からずり落ちそうなほど脱力して座っている…
クラウディア「あら嬉しい♪…綺麗だったのはシルヴィア?」
提督(幼)「ううん…ふたりとも……お日さまが明るくて、おかあたまたちがきらきらしてみえたの…///」
シルヴィア「そう…あれを「きれいだった」なんて……やっぱりクラウディアの娘だけあるのかも知れないわね…」
提督(幼)「ねぇ、おかあたま…」
クラウディア「なぁに、フランチェスカ♪」
提督(幼)「わたし、おおきくなったらおかあたまたちとけっこんする…それでね、おかあたまたちといっぱい「おとなのちゅう」するの///」
クラウディア「まぁ、嬉しい♪…それじゃあ、お母さまはフランチェスカが大きくなるまで待っていてあげるわね♪」
提督(幼)「うんっ♪…シルヴィアおかあたまも、わたしがおおきくなるまでまっててね?」
シルヴィア「ええ、待ってるわ……あー、何て言うのかしら…朝から今世紀最大の「パンドラの箱」を開けた気分ね…」
クラウディア「もう…こんなに可愛いフランチェスカがどうして「パンドラの箱」なの?」
提督(幼)「おかあたま…またケンカなの?」
シルヴィア「あぁ、大丈夫よ…それより、クラウディアが作ってくれたせっかくの朝ご飯が冷めるわ……さ、朝食にしましょうね?」
提督(幼)「うんっ♪」
………
クラウディア「…って言うことがあったの、まぁ何とも純粋で可愛かったわ♪」
シルヴィア「ちょっと、クラウディア…あの時の愛の言葉、まだ覚えていたわけ?」
ライモン「……それが今の提督を生んだきっかけですね///」
アッテンドーロ「ええ、間違いなくね…」
チェザーレ「うむ……なんと言うか、思っていたより強烈であった…な」
提督「///」
クラウディア「ほら、シルヴィアも何か話してあげたら?」
シルヴィア「そうは言ってもね…たいていはクラウディアと一緒に子育てしていたわけだし……」
提督「…シルヴィアおばさま、お願いだからもう少し大人しい思い出をお願い」
シルヴィア「ええ……そうね、それじゃあ…」
アッテンドーロ「…別の話があるのね♪」
シルヴィア「あるわ…あれはフランチェスカが八歳ごろの事だったわね…」
………
…提督・八歳のころ…
クラウディア「…フランチェスカに射撃を教える?」
シルヴィア「ええ、あの子もいくらか興味を持っているみたいだし……ああいうものは早いうちに覚えた方がいいわ。それに何だって使えて損はしないから」
クラウディア「あなたが教えるの?」
シルヴィア「ええ、そうなるわね…まぁ隣近所がいる訳じゃないし、迷惑はかからないわ」
クラウディア「でも、あの子ったらまだあんなに小さいけど…大丈夫かしら?」
シルヴィア「小さいうちに正しい使い方を覚えた方が事故は少ないわ。馬鹿なことをしでかすのはたいてい付け焼刃の連中って決まっているもの」
クラウディア「うーん…あなたが覚えさせたいなら私は反対しないけど……気を付けてね?」
シルヴィア「もちろん」
…とある日…
シルヴィア「フランカ、ちょっといい?」
提督(幼)「どうしたの?シルヴィアおかあさま」……いくらか大きくなった提督は桃色のフリル付きワンピースを着て本を読んでいたが、子供らしいきょとんとした顔をして首をかしげた
シルヴィア「今日はね、フランチェスカに射撃を教えてあげようと思うの…よかったら私の部屋においで?」
提督(幼)「いいの?……クラウディアおかあさまには聞いた?」
シルヴィア「ちゃんと聞いたわ」
提督(幼)「それで、おかあさまはいいって?」
シルヴィア「ええ…ただし、基本の約束事を守るならね」
提督(幼)「…どんなおやくそく?」
シルヴィア「それは私の部屋で話してあげるわ…汚れてもいいような服に着替えてからおいで?」
提督(幼)「はーい」
………
…シルヴィアの自室…
提督(幼)「…シルヴィアおかあさま、入ってもいい?」…少しよれてきたクリーム色の丸襟付きのブラウスと、茶色のズボン姿でやってきた
シルヴィア「ええ、どうぞ」
提督(幼)「うわぁぁ…すごい……」
…まだ小さいフランチェスカは、シックで大人びたシルヴィアの部屋に入るとあたりを見回した……射撃と猟が得意なシルヴィアだけあって、部屋には子供がいじるには危険なものが色々と置いてある…そのため普段は鍵をかけてあり、提督にとっては入ったことのない「聖域」のようになっていた……壁には数丁の散弾銃が掛けてあり、小さい棚には口径ごとに並べた銃弾メーカー「フィヨッキ」の箱が置いてある…
シルヴィア「さて…と……まず、ここに入ったから時はフランチェスカも大人だから、必ず「銃を扱う時の約束事」を守ること…いいわね?」
提督(幼)「うん…」普段のシルヴィアとは比較にならないほど厳しい顔をしているので、幼い提督にも約束を守らないと怖いことがあるのは理解できたらしい…緊張した面持ちでうなずいた
シルヴィア「よろしい…じゃあ、ここにおいで?」
…天板を痛めないよう木の板が敷いてある部屋の机には、ライトスタンド、すみっこに取り付けてある万力、それに様々なねじ回しや工具箱…それに一挺のほっそりしたライフルが置いてある……部屋には銃の木部に塗る亜麻仁油とガン・オイル、それに少しの硝煙が混じった、独特のひんやりしたような空気が流れていた…
提督(幼)「うん」そっと歩いて机に近寄るとシルヴィアが提督を持ち上げ、自分の膝の上に乗せた…
シルヴィア「これでよし…と。…それじゃあ約束事を言うからね」
提督(幼)「…うん」
シルヴィア「じゃあ一つ目…絶対に撃つ時以外は引き金に指をかけない……ここよ」細身のスポーツライフルの引き金を指差した
提督(幼)「指をかけない…」
シルヴィア「そうよ…引き金に指をかけたら、その時は相手を殺すつもりだと言うことよ……よく冗談で指をかける馬鹿者がいるけど、そうなったら相手から撃たれても文句は言えないのよ」
提督(幼)「…」
シルヴィア「二つ目…絶対に銃口をのぞかない」
シルヴィア「……私は直接見たわけじゃないけど、前に撃発不良の銃を調べようとして銃口をのぞきこんだ人がいてね…片目をなくしたわ」
提督(幼)「…ひっ」
シルヴィア「どんなことがあっても銃口をのぞいちゃいけないわ…いい?」
提督(幼)「うん…絶対にのぞかない……」机の上に置かれた綺麗なライフルをこわごわと見つめる提督…
シルヴィア「じゃあ三つ目…人に銃口を向けない」
提督(幼)「人にむけない…」
シルヴィア「ええ……これは一つ目と同じ。引き金に指をかけるとか、銃口を向けたら「お前を殺す」って言うのと同じよ。そうなったら何をされても文句は言えないわよ…いいわね?」
提督(幼)「うん…わかった」
シルヴィア「この三つだけでいいわ…守らないと死ぬことになるから、絶対にこの三つは守りなさい……いいわね?」
提督(幼)「うん…ぜったいまもる」
シルヴィア「あと、これは私とあなたの約束事ね…銃におかしなことがあったら必ず私を呼びなさい、怒ったりしないし、絶対にすぐ行ってあげるから」
提督(幼)「わかった…なにかあったらシルヴィアおかあさまをよぶね」
シルヴィア「そう…フランチェスカは立派ね、それじゃあそのライフルを触らせてあげる….22口径のスポーツライフルよ」木部は絹のように滑らかで、銃身や金属部はオイルを引かれ、漆塗りのように艶を持っている……
提督(幼)「わ…重い……」
シルヴィア「最初はそうかもしれないわね…じゃあ、操作してみましょうか」ボルトアクションの槓桿(こうかん)を引いてみせた…
提督(幼)「んんっ……くっ…」
シルヴィア「ちょっとあなたの力だと固いかも知れないけど…慣れればスムーズに動かせるようになるわ」
提督(幼)「んっ!」キシンッ!……ボルトが動いて薬室が開いた
シルヴィア「そうそう…そこに弾薬が入るのよ」
提督(幼)「どのたまが入るの?」
シルヴィア「.22ならこれね…ちょっといい?」
提督(幼)「?」
シルヴィア「悪く思わないでね…」小さい5.6ミリ×15(.22口径)の弾を箱から取り出し、その先端を強くふとももに押し付ける…
提督(幼)「っ!……いたいよぉ…シルヴィアおかあさま…ぁ」
シルヴィア「ごめんね、フランチェスカ…痛いでしょう?」
提督(幼)「うん…ぐすっ……」
シルヴィア「こんな痛いものを撃ちだすのよ…軽々しく使わないようにね?」
提督(幼)「うん……」
シルヴィア「さ、私が撫でてあげるから……ね、もう痛くないでしょう?」しばらくふとももに手を置いて、そっと撫でてあげるシルヴィア…
提督(幼)「うん…おかあさまのおててはひんやりしてて、いたいのがなくなったみたい……」
シルヴィア「よかった…じゃあ裏の森に行って練習してみましょうか」
提督(幼)「うん…っ!」
………
…数か月後・裏の森の小さな原っぱ…
提督(幼)「シルヴィアおかーさま、みてみて?」ライフルを優しく台に置いて耳当てを外すと、小走りでボール紙の標的用紙を持ってきた
シルヴィア「どれ…あら、ずいぶん上手になったわね……このままじゃあ私の方が教わる側になりそうね」ベネリの散弾銃を置くと、自慢げに的の用紙を見せに来た提督を眺め、「ふふっ」と笑みを浮かべた…
提督(幼)「そんなことないよぉ…シルヴィアおかあさまはどの銃でもとっても上手だもの♪」
シルヴィア「あら、ありがと…それじゃあそろそろお昼に戻りましょう……遅れたらクラウディアに怒られちゃうわよ」
提督(幼)「うーん……ねぇ、おかあさま」
シルヴィア「なぁに、フランチェスカ?」
提督(幼)「……もうちょっとだけ、撃っていかない?」
シルヴィア「お昼には戻るって言ってきちゃったわよ?……そろそろ片付けないと」
提督(幼)「でも…せっかくじょうずになってきたから……」
シルヴィア「ふー…仕方ないわね。じゃあ、あと弾倉一つ分だけよ……そのかわり、後ろで見ていてあげるから」
提督(幼)「おかあさま、見ててくれるの?…うれしいっ♪」…さっそく銃を置いてある台に駆け戻り、息を整えると耳当てをつける……慣れた手つきで小さい弾倉を込め、肩に銃床を当てるとボルトを動かし、引き金を引いた……
シルヴィア「…うん、上手になったわ……今度はもうちょっと大きい口径の銃にしてもいいかもしれないわ」提督が五発入りの弾倉を撃ちきると、感心したように言った…
提督(幼)「ほんと?」
シルヴィア「ほんとよ…さ、戻ったら手を洗って、それからお昼にしましょうね」
提督(幼)「はぁーい♪」
………
シルヴィア「それ以来ずーっと射撃だけは欠かさずに続けていたわ…森の散策にも必ず持って行ってね」
クラウディア「一度なんか銃にオイルを塗るのに手ごろな布がなかった物だから…食卓用の布巾を持って行っちゃって……」
提督「あー…あの時はさすがに怒られたわね」
クラウディア「それはそうよ、しかもおろして間もなかったから…でも、おかげで射撃と水泳は得意になったわね」
提督「あと料理もね…これはクラウディアお母さまのおかげ♪」
クラウディア「うふふっ…ありがと♪」
提督「…それにしても懐かしいわね、裏の小川とかうちの海岸にある浅瀬でよく泳いだわよね……それで、お母さまの作ったお弁当を持ったシルヴィアおばさまが一緒に来てくれて、泳ぎ方を教えてくれたのよね♪」
シルヴィア「そうだったわね…まぁ、あそこは流れが緩いし、水も温かいから脚もつらないのよ」
提督「…そうだ、よかったらライモンたちも後で泳ぎに行きましょうか♪」
ライモン「それもいいかもしれませんね…あ、でも泳ぐとは思ってなくて…水着を持ってこなかったかも……」
チェザーレ「おやおや。チェザーレは一応持って来たが……貸せるほど似通った体型ではないしな…アッテンドーロ、そなたはどうか?」
アッテンドーロ「私だって持ってこなかったわ…誰も見てないでしょうし、裸で泳げば?」
ライモン「いえ、そんな……いくら泳ぐだけとはいえ、裸で外をうろうろするなんて恥ずかしいです///」
アッテンドーロ「はぁ…相変わらず律儀なことで……じゃあ下着とか?」
ライモン「いえ、それも…///」
クラウディア「んー…ちょっと待っててね♪」ふと立ち上がると、階段をあがって行った…
ライモン「…提督、クラウディアさんはいったい何をしにいったんですか?」
提督「うーんと…多分だけど、どこかに水着の二、三着はしまってあるんじゃないかしら……」
アッテンドーロ「それにしたって…私たちに合うような水着があるかしら……クラウディアのはどう考えたって胸が余るし、シルヴィアは長身すぎるわ」
提督「そうよね…でも、何かしらの物があるから上がって行ったのでしょうし……あ、戻ってきたわ」
クラウディア「お待たせ…っ♪」
…胸を揺らしながら軽やかに階段を降りてきたクラウディアは、何枚かの服をテーブルの空いた場所に置き「じゃーん♪」と両手を広げてみせた…
ライモン「あの…これは?」
クラウディア「水着よ、ちょっと古いけど♪」
提督「ねぇ、これって……」
クラウディア「ええ、あなたの着ていたものよ……ふふふっ、取っておいてよかったわ♪」
ライモン「なるほど……って///」
アッテンドーロ「あら、姉さん…赤くなっちゃってどうしたのよ♪」姉の事となるとなおさら察しのいいムツィオが、妙にニヤニヤしながら聞き出そうとする…
ライモン「もう、分かってるでしょう…提督の水着ってことは……もう、何を言わせるつもり///」
チェザーレ「なるほど、そう言うことか……全く、ライモンドの生真面目なことよ♪」からからと笑って菓子皿のビスコッティをつまんだ
提督「ね?……もっとも、その律儀な所が可愛いのよね♪」
アッテンドーロ「ええ、全く…我が姉ながら時折むしょうに撫でくり回したくなるわ♪」
クラウディア「そうね…ライモンちゃんは純粋で……まるで天使みたい♪」
シルヴィア「こら、娘の連れてきた恋人にちょっかいをかけないの」
クラウディア「……なぁに、妬いてるの?」…小首を傾けていたずらっぽく聞いた
シルヴィア「まさか…クラウディアはどんなに遊んでるふりをしてても、いつも私の所に戻ってくるでしょう……嫉妬する理由がないわ」
クラウディア「まぁ…///」
提督「ふふっ、お母さまたちったら…まだ熱々みたいね♪」ぱちりとウィンクを飛ばした…
………
…夕方…
クラウディア「あら、もうこんな時間…残念だけど泳ぎに行くのは明日にしましょう?…それじゃあ私は夕ご飯の支度に取りかかるから、みんなはゆっくりしていてね♪」
ライモン「あの…わたしもお皿やグラスを並べたりとか、少しはお手伝いしますよ?」
クラウディア「いいのいいの、ライモンちゃんたちはここを実家だと思ってくつろいで…ねっ♪」
提督「そうね、なんて言ったってお客様なんだから♪…お母さま、私が手伝うわ……」
クラウディア「うふふ、フランチェスカもいいの。普段は忙しいんでしょう?…今日ぐらいゆっくりしなさいな♪」
ライモン「その……わたしも提督とお話しをしていたいです///」
提督「ふふ、分かったわ♪…じゃあお母さま、お言葉に甘えさせてもらうわね」
クラウディア「ええ♪……それじゃあシルヴィア、少し手伝って?」
シルヴィア「ええ、今行くわ。フランチェスカ、ちゃんとライモンドたちのお相手してあげるのよ」
提督「分かってます、シルヴィアおばさま♪」
シルヴィア「そう、ならいいわ」
ライモン「…シルヴィアさん、普通にしていても凛々しい方ですね」
提督「ええ、そうね♪……ところで」
ライモン「?」
提督「その水着、合わせてみたら?」
ライモン「…えっ///」
提督「だって明日「泳ぎに行こう」って言っているのに、その場になって身体に合わなかったら困るわ…夕食までまだ間があるし、しばらくお部屋で合わせてみたらいいと思うの」
アッテンドーロ「まぁ、それもそうよね。じゃあ私は部屋で着てみるわ……チェザーレ、よかったら手伝ってくれません?」
チェザーレ「ふふふ、承知した…それではライモンドよ、そなたは提督に手伝ってもらうといい♪」
ライモン「え?…いえ、だって別に水着を合わせるのにそんな付きっきりになるほどの事はないと……あっ///」
アッテンドーロ「提督にしっかり見立ててもらいなさい、姉さん…チャオ♪」指をひらひらさせて「じゃあね♪」の仕草をすると、ちょっと意地悪な笑みを浮かべ階段を上って行った…
ライモン「あの…チェザーレさん……」
チェザーレ「…ライモンドよ、恐れずにルビコン川を渡るのだ……さ、アヴァンティ(前進)♪」…まごまごしているライモンの背中をとんっ…と一つ突いて、階段の方に押しだした
ライモン「えっ、いえ…それじゃあチェザーレさんを呼んだ意味は何だったんです?」
チェザーレ「なに、この老嬢はゆっくり骨休めするつもりで付いてきただけの事よ……しっかりな♪」
ライモン「///」
提督「…さ、行きましょう♪」
ライモン「は…はい///」
…カンピオーニ家・台所…
クラウディア「♪~ふーん…ふふーん……」手早くパセリを刻みつつ、ご機嫌で鼻歌を歌っているクラウディア……薄いセーターの袖をまくりあげ、可愛らしい桃色のエプロンを着ている…指にはめている指環と、手首につけている小さな金時計はちゃんと外して片隅にあるガラス鉢に入れてあり、よく見ると薬指の所に少しだけ白さが目立つ場所がある…
シルヴィア「今日はことさらに機嫌がいいわね。久しぶりにフランカが帰って来たから?」…帆布地のようなしっかりした生地でできた、飾り気のない白いエプロンを首からかけると後ろで紐を結び、それから指環と時計を外して置き場所に乗せた……
クラウディア「ええ、それもあるわ…でもね、それだけじゃないの♪」
シルヴィア「…と、言うと?」
クラウディア「……あの子ったら、あんな素敵な女の子を三人も連れて来て……ふふふっ、なんだか私まで若返った気分♪」
シルヴィア「…それだけ?私はてっきり「あの子ったらすっかり大人らしくなって…これまでは独身宿舎で暮らしているのをいいことに、いろんな女の子たちと遊んでばかりで……」とでも言うのかと思ったわ」
クラウディア「あら、そんなこと言わないわ。優しく手を取ってくれる女性(ひと)がいる限り、私は手を差しだすことに決めてるの♪…だから他の蝶々さんたちに誘惑されないよう、貴女を連れてミラノからここに戻ってきたんじゃない♪」少し身体をくねらせて、下から上目遣いで見上げてくるクラウディア…
シルヴィア「そうだったわね…で、何をすればいい///」
クラウディア「そうねぇ…それじゃあこのカサゴをさばいてもらえるかしら?」
シルヴィア「分かったわ」
…魚のアラ(頭やヒレ)をニンニクの香りをつけたオイルでじゅーっと焼きつけ、そこに白ワインを振り入れる……さらに地元で採れた小さな鯛にカサゴ、イカの胴体や脚、汁気が出るように甘酸っぱいイタリアン・トマトと白インゲン豆など適当な野菜を放り込み、コンソメスープで伸ばしながらぐつぐつ煮こみ、塩や粗挽きの黒胡椒、オレガノなどのスパイスを振り入れる…
クラウディア「さてと…よかったらこれもお願い♪」カウンターの上には伸ばしてあるパスタ生地が置いてある…
シルヴィア「はいはい」棚にしまってある麺棒のような棒を取り出した…よく見るとこの「麺棒」にはギザギザが付いていて、生地を伸ばすように転がすとパスタが切りだせるようになっている……
クラウディア「できた?」
シルヴィア「ええ…入れる?」
クラウディア「ん、お願いね」
シルヴィア「入れたわよ…しばらく手は離せないから、何かお願いされても無理よ」ごぼごぼ言って沸きあがっているパスタ鍋に生パスタを入れる…
クラウディア「ええ、分かってます……よいしょ♪」台所の後ろの方で衣擦れの音をさせながら、何かごそごそやっているクラウディア
シルヴィア「どうしたの、何かちくちくする物でも服に入った?」
クラウディア「いいえ……料理をしているせいか、何だか暑くって♪」
シルヴィア「そう?…別にいつもとさして変わらな……い…」
クラウディア(裸エプロン)「で、パスタはどうかしら♪」…ピンクのエプロン以外の着ている物を全部脱ぎ捨てて、いたずらっぽいチャーミングな笑みを浮かべている
シルヴィア「ちょうど茹で上がったけど…お湯が跳ねたらやけどするわよ///」
クラウディア「茹で上がったならもう大丈夫よ……それに、あなたの愛ほど熱くはないでしょうし♪」
シルヴィア「…そうね、それでお次はどうするの?」
クラウディア「まずはアクアパッツァの味見をしないと…ね♪」大さじで綺麗なオレンジ色のスープをすくい「ふー…♪」と冷ますと軽くすすった…
シルヴィア「どう?」
クラウディア「んふふっ…ちょっと待って、味見させてあげるから♪」もう一度大さじでスープを取って冷ますと、今度は自分の胸に軽く垂らした…
クラウディア「はい、どうぞ♪」
シルヴィア「ふふっ…では試食させてもらうわよ」クラウディアの「たゆん…っ♪」と揺れている柔らかい乳白色の乳房に舌を這わせる…
クラウディア「んっ…お味はいかが?」
シルヴィア「美味しいわよ……そういえば、こっちはどうかしらね」ドルチェ(デザート)に用意してある、とろっと煮こまれた桃のコンポート…砂糖と赤ワインで煮た白桃がボルドー風の紅に染まり、ひんやりと冷やしてある……シルヴィアは深い赤紫色のシロップをすくうと、クラウディアの肩口に垂らした…
クラウディア「んっ、冷たい…っ♪」
シルヴィア「大丈夫、すぐに舐めてあげるから…ん、ちゅ……♪」
クラウディア「…どう?」
シルヴィア「甘くていい香りがするわ…満点ね」
クラウディア「よかった。でも、本当のドルチェは……♪」
シルヴィア「夕食の後…ね。……フランカたちに聞かれても知らないわよ」
クラウディア「ふふっ♪…さっき「熱々みたいね♪」なーんて言われたし、ちゃんと「期待に応えて」聞かせてあげようかなー……って♪」
シルヴィア「全く、親子そろって似たものどうしっていう訳ね…♪」
………
ママ百合すき
>>24 グラツィエ…大人百合やおねロリはなかなか少ないので多めに入れていこうと思っております
あと、一つ訂正なのですが…アクアパッツァ(イタリア版ブイヤベース)はコンソメで伸ばさないみたいですね…魚介と白ワイン、トマトの汁気だけで作るものだとか…ついうっかり書いてしまいました…
…何はさておき、しばらく夏のイタリアで提督たちが百合百合していきますので…
…夕食時・食堂…
クラウディア「あら、みんなちゃんと揃っているわね。えらいえらい♪」何事もなかったかのように微笑んでいるクラウディア…
提督「ふふ、だってお母さまの夕食を食べ損ねたくはないもの…ね、ライモン?」
ライモン「は…はい///」頬を赤くして、内股になっているふとももをもじもじとこすり合せるライモン…
チェザーレ「…で、水着はどうだったのだ?」
提督「それが誂えたようにぴったりなの…胸は少しゆるいけど、問題になるほどじゃないわ」
チェザーレ「そうか、それは何より……ところで、なんともいい香りではないか♪」
クラウディア「うふふっ、せっかくお客様が来てくれたんですもの…うんとごちそうしないと♪」
シルヴィア「そう言うことよ…さ、みんなグラスはある?」
提督「ええ」
ライモン「あります」
アッテンドーロ「こっちもあるわ」
チェザーレ「うむ、ちゃんとあるぞ」
クラウディア「じゃあシルヴィア、みんなに注いであげて?」
シルヴィア「分かってるわ…それじゃあ、まずは乾杯と行きましょう」
クラウディア「それじゃあ、乾杯♪」
提督「乾杯♪」
ライモン「では、いただきます……こくっ、こくんっ」
クラウディア「どう、ライモンちゃん?」
ライモン「美味しいです、何というか…素朴なワインですね」
アッテンドーロ「…そうね、偉そうなワインって言う感じではないけど……食卓に置いておきたいワインね」
チェザーレ「うむ。いいワインであるな」
クラウディア「あら…フランチェスカ、あなたの連れてきたお客様はなかなかの美食家揃いみたいね♪」
提督「あー…鎮守府の食生活を考えるとそうなるわね」
クラウディア「別にいいのよ…うふふっ、むしろその方が張り合いがあっていいわ」
…カンピオーニ家の食堂は明るい白の壁に、いかにもそれらしい唐辛子やニンニクの玉がひもで吊るしてあり、使いこまれたどっしりした木のテーブルと背の高い椅子は何度も拭かれているせいで色がくすみ、少し飴色を帯びている……テーブルの上には前菜として小さくちぎったレタスとカリフラワー、粗めに刻んだベビーコーンを和えたサラダ。それに陶器のつぼに入っている、海産物がどっさり入ったアクアパッツァと、手打ちのリングイネによく絡むローマ風のポモドーロ……濃い色のチーズは太鼓型の塊から切り出したばかりで、しっとりと艶やかな黄色をしている…
提督「ふふ、相変わらず美味しそう…♪」
クラウディア「さぁ、どうぞ♪」…ライモンたちにサラダを取り分け、提督にもたっぷりとよそった
提督「ありがと、お母さま♪」
クラウディア「どういたしまして♪」
アッテンドーロ「んっ…んむ……これ、美味しいわね♪」
チェザーレ「ふむ、なるほど…このさくさくした歯ごたえが心地良いな」
シルヴィア「アクアパッツァもどうぞ…クラウディアの自信作だから」
クラウディア「あんっ、もう……そんなに期待されたら困るわ♪」
アッテンドーロ「ふーん、それじゃあいただくわ…」
クラウディア「どう?」
アッテンドーロ「……美味しいわよ、クラウディア♪」
クラウディア「ほんと?…よかったわ」
提督「お母さまの作る料理にまずい物なんてなかったわ…んっ、パスタもすごく美味しい♪」
シルヴィア「…もう少しワインをどう?」
ライモン「あ、はい…では半分ほど」
クラウディア「…二人ともお皿が空よ、もっと食べる?」
アッテンドーロ「もらうわ……すごく美味しいもの」
チェザーレ「うむ、ちょうだいしよう」
提督「お母さま、チーズを切ってあげましょうか?」
クラウディア「そうね、お願いするわ♪」
…しばらくして…
提督「ふー…美味しかった……やっぱりうちの食事はいいわ」
チェザーレ「うむ…心おきなく食べたな」
ライモン「美味しかったです…でも、少し食べ過ぎちゃいました……」
アッテンドーロ「あー…もう満腹」
クラウディア「あら…せっかくドルチェを冷やしておいたのに……いらない?」
ライモン「…ドルチェですか♪」
アッテンドーロ「そうねぇ…その分くらいはお腹を空けてあるわよ」
チェザーレ「ふむ…チェザーレも甘い物は好物である」
クラウディア「なら決まりね、少し待ってて♪」
提督「…ところでおばさま」
シルヴィア「なに?」
提督「二人でお料理する時は、今でもあの「儀式」をしているの?」
シルヴィア「ええ、してるわ」
ライモン「…儀式?」
アッテンドーロ「…なにそれ?」
提督「ふふ…おばさま♪」
シルヴィア「ええ……実はクラウディアが台所で決めているルールなんだけど「身に着けている装身具は外す」って言うのがあって…」
提督「…うちの鎮守府にも取り入れさせてもらっているわ……いつもつけている指環や時計はどうしても汚れが付いているし、反対にせっかくのアクセサリーに料理の油やごみが付くのも嫌でしょう?」
シルヴィア「クラウディアもそっくり同じことを言っているわ…「料理人がひき肉をこねたりしている時に、指環なんかをしているとあきれる」って……実際にお店でも「指輪がすっぽ抜けて料理に入ってた」なんていうこともあったりするみたいだし」
アッテンドーロ「…じゃあ指環を外すのが「儀式」なの?」
提督「んふふっ、それがそうじゃないの……ね、おばさま♪」
シルヴィア「ええ…それで台所には指環や時計を入れる器があるんだけど……料理を終えたら相手の指に指環をはめてあげて、同時に「誓いのキス」みたいに口づけをするわけ」
提督「それも鎮守府に取り入れようかとは思ったわ♪」
チェザーレ「…別に今からでも遅くはないぞ?」
提督「いいのっ?」
ライモン「…提督」
提督「こほん……でも、「食堂のお手伝いの当番だからキス」というのはなんだかそっけないわね…まぁ止めておきましょう」
ライモン「ええ、それがいいと思います」
アッテンドーロ「そうね…どうせ好きな娘どうしは言わなくたって「キス、キス、キス」でしょっちゅうしてるんだから」
提督「まさに「もう夢chuなの」…っていう訳ね♪」
ライモン「だって、好きな人との口づけは我慢では解決できませんし……」
チェザーレ「なるほど…ライモンドが言うと実感がこもっている分、説得力があるな♪」
ライモン「///」
…食後…
ライモン「…クラウディアさん、ドルチェの「白桃のワイン煮」……美味しかったです♪」
クラウディア「そう、よかったわ。それじゃあ私はお皿を洗うから…その間にライモンちゃんはお風呂でも浴びて来たら?」
ライモン「いいんですか?」
クラウディア「ふふ、いいわよ。私がお皿洗うのを待ってたら遅くなっちゃうもの♪」
ライモン「うーん、それもそうですね……じゃあお言葉に甘えて」
クラウディア「ええ、ぜひそうして♪」
提督「それなら私がバスタオルを持ってきてあげるわね…あと、これ♪」何やら和風のイラストが描いてある箱を手渡した
ライモン「何です?」
提督「百合姫提督にもらった入浴剤…鎮守府へのお土産だけど、少しだけくすねて来たの♪」
ライモン「いいんですか?私が使っちゃって」
提督「もちろんいいわ…おばさまも入る時に使って?」
シルヴィア「ありがとう、楽しませてもらうわ」
ライモン「…あの、提督は?」
提督「私は後で…シルヴィアおばさまとつもる話でもしながら待たせてもらうわ♪」
アッテンドーロ「ほら、私も汗を流したいんだから早く行ってきなさいよ」
ライモン「あぁ、ごめんなさい…ではお先に入らせてもらいます」
シルヴィア「ふふ、ゆっくりでいいからね」
…しばらくして…
ライモン「出ましたよ、提督」…顔を火照らせ、パイル地のシンプルなバスローブに身を包んでいるライモン……しっとり濡れた髪がバスタオルにくるまれ、白い肌はほんのりと桜色に染まっている……
提督「はいはい♪…ムツィオも先に入ってきたら?」
ムツィオ「あら、悪いわね…それじゃあお先に♪」
チェザーレ「うむ、存分に旅のほこりを流してくるといい…それでだな、ポンペイの噴火を調査に行って住民を助けようとしたプリニウスだが……」
ライモン「チェザーレさん、一体何の話をしているんです…?」
チェザーレ「あぁ…ちょうどこの記事にポンペイの発掘調査が行われたとあってな」…数日前の「レプブリカ」紙を拡げてみせた
提督「チェザーレの得意分野ですもの、歴史を勉強をさせてもらっている所よ♪」
シルヴィア「さすが「ジュリオ・チェザーレ」ね。古代ローマに詳しいだけあって面白いわ…うちに置いてあるアンフォラの謎も解けたし」
ライモン「アンフォラ…玄関にあったあれですね」
提督「ええ。チェザーレの見立てによると、あれは古代ローマ時代のワイン輸送用だったみたい…もっとも、あちこちにひびが入っているし、そのままだと底がすぼまっていて立たないから、転ばないように鉄の枠をつけたしてあるけど」
チェザーレ「あれは「B型アンフォラ」というやつだな…カサ立てとは恐れ入ったが」
シルヴィア「まぁね…昔クラウディアがのみの市で「安かったし雰囲気があるから」って買ってきちゃってね……そのままじゃどうしようもないし、私が鉄枠を作って傘立てにしたわけ」
ライモン「傘立てなんかにしちゃって大丈夫なんですか?」
シルヴィア「歴史的価値は全然ないから大丈夫…持ち手も片っぽ取れてるし」
ライモン「なるほど……」
アッテンドーロ「みんな、出たわよ♪」
ライモン「ずいぶん早いのね…?」
アッテンドーロ「だって、ねぇ…提督やシルヴィアには悪いけど、お風呂だけは鎮守府の方が格段に上だわ……だから頭と身体だけ洗って、パッと済ませてきちゃった」大きく肩をすくめてみせる
提督「んー…まぁ、そうよね」
シルヴィア「フランチェスカ…鎮守府のお風呂はそんなにいいお風呂なの?」
提督「ええ、何しろ泳げるくらいだもの」
チェザーレ「うむ。しかも大きい浴槽だけではなくて、熱帯植物の生えている小さな中庭であったり、小さいあずまや付きの風呂がしつらえてあったり……まぁ、ローマの「カラカラ浴場」もかくやと思われるほど立派であるな」
シルヴィア「ならうちのお風呂じゃ満足できないわね…まぁ、狭いなりにさっぱりしてもらえればいいんだけど」
アッテンドーロ「あぁ、ごめんなさい…別にけちをつけるつもりじゃないの」
シルヴィア「別にいいわよ…ま、チェザーレも入って」
チェザーレ「うむ…それではありがたくいただくとしよう」新聞をたたんでテーブルに置くと、堂々とした歩みで浴室に歩いて行った…
提督「……それにしても、ムツィオ」
アッテンドーロ「なに?」
提督「いえ…ライモンもそうだけど、あなたたちって結構着やせするタイプよね」
アッテンドーロ「ちょっと、何言ってるのよ?」
ライモン「て…提督っ///」
提督「だって…こうやって見ていると意外と大きいし……♪」
ライモン「もう…ここで言うことですか?」
アッテンドーロ「本当よね…全く、少しは場所を考えて欲しいわ」そう言ってあきれたように手のひらを上に向けると、寄せられた胸がぷるんっ♪…と揺れた
提督「ここは私の実家なんだし、少しくらい良いじゃない…♪」いたずらっぽいチャーミングな表情を浮かべ、ウィンクを投げた
ライモン「もう、提督ったら…さっきもそんなことを言って……」
アッテンドーロ「へぇ…やっぱり♪」
ライモン「あっ……き、聞かなかったことにして///」
アッテンドーロ「ふふん…姉さんの頼みでもそれは無理ね」
ライモン「もう…ムツィオのいじわる///」
アッテンドーロ「私って隠し事と嘘が苦手なのよ♪」
提督「あらあら…ばれちゃったわね、ライモン?」
ライモン「うー…提督が胸の話なんてするから……」
提督「ごめんなさい…ほら、私が慰めてあげる♪」たゆんっ♪…手招きしながらたわわな胸を寄せる
ライモン「もう、そういうことじゃありませんっ…///」
シルヴィア「ふふ…仲睦まじいわね」
提督「ええ、シルヴィアおばさまとクラウディアお母さまくらいね♪」
ライモン「あの…そういえば」
シルヴィア「…何かしら?」
ライモン「提督がずっと「シルヴィアおばさま」とおっしゃっておられますが…その、どうも関係がよく分からなくて」
提督「あー…私はすっかり馴染んでいるけれど、言われてみればそうね……」
シルヴィア「そうね、ちゃんと話しておいた方がすっきりするでしょうし……ま、昔話はチェザーレとクラウディアが戻って来てからにしましょう」
クラウディア「呼んだかしら?」
シルヴィア「ええ…ちょっと私たちの馴れ初めの話をする必要がありそうだから」
クラウディア「……そうね、このままだとみんなも戸惑っちゃうものね」
提督「あのね…お母さまもおばさまも、無理に話そうとしなくてもいいのよ?」
クラウディア「ううん、いいのよ…私たちやあなたにとっては大事な話だし……それに、シルヴィアの事でうんと惚気を聞かせてあげられる機会だもの♪」
アッテンドーロ「…参ったわね」
チェザーレ「どうかしたのか、アッテンドーロよ?…おや、クラウディアも」頭を拭きながらバスローブ姿で現れた
クラウディア「うふふ、チェザーレは堂々とした立ち姿で本当に惚れ惚れしちゃうわね…さぁ、座って♪」
チェザーレ「うむ…で、一体どうしたのだ?」
シルヴィア「あー、何ていうのかしら…この際だから私とクラウディアの関係をはっきりさせた方がいいと思って……まぁ、あんまり面白い話ではないけれどね」
チェザーレ「ふむ…深いわけもありそうに見えるゆえ、無理にとは言わぬが?」
クラウディア「ふふ、ありがと♪…でも、気持ちのいい性格をしたあなたたちになら……話してもいいと思ったの♪」
チェザーレ「ふむ、さようであるか…」バスローブの胸元を整え、居住まいを正したチェザーレ…
クラウディア「…さてと♪」クラウディアは二階から一冊のアルバムを持って来た…
チェザーレ「これは?」
クラウディア「昔のアルバム。私がミラノでデザイナーをしていて、シルヴィアと出会う前の…ね♪」
………
…提督が生まれる前・ミラノ…
クラウディア「はぁ…」
…一軒のカフェでため息をつき、所在なさげにカプチーノをかき回すクラウディア……華やかなオープンカフェには小粋な格好をしたモデルや奇抜な色合いを着こなしたデザイナー、それに色っぽい女優のタマゴたちや、風変りでエキセントリックな格好をしている美大生などが座っている…時折、向かいあわせに座った二人が指を絡ませて手を握ったり、熱っぽい視線を交わしているあたりが、少しだけ他のカフェとは異なっている…
クラウディア「…」コーヒーをすするでもなく頬杖をつき、ため息ばかりをついている…すると時おり、ひそひそとうわさをやり取りする声が耳に入ってくる……
小生意気なモデル「…信じられないわ、彼女だけはそういうことはしないと思っていたのに……」
つんとしたモデル「…全く……あきれちゃう……」
クラウディア「ふぅ…」
奇抜な格好のデザイナー「…まさか本当に…どうして……」
黒と白の服を着たデザイナー「……どうにかして慰めてあげたいけど…」
クラウディア「はぁ…ぁ……」コーヒーカップの表面にため息を吹きかけながら、ただ座っている…と、一人の女性がふらりと入ってきた…
カフェの店員「…いらっしゃいませ、何になさいましょうか♪」フリル付きスカートをひらめかせ、目のぱっちりした可愛い店員が声をかける
短髪の女性「…カプチーノをお願い。スプーマ(泡)は少な目で甘さは抑えて」…シックなタートルネックセーターに栗色のスラックスを着て、ごくあっさりしたメイクをしている
店員「はい、承知しました…その、相席でも構いませんか?」
女性「ええ」
店員「では……あの、こちらの席でよろしいですか?」
女性「先客の女性がいいなら構わないわ」
店員「はい、うかがってまいります♪……あの」
クラウディア「…あぁ、何かしら?」
店員「相席の方、よろしいでしょうか?」
クラウディア「え…?」視線をあげると、整った凛々しい顔立ちの女性がこちらを見ている…
クラウディア「あっ…ええ、いいですよ///」
店員「では、お客様…こちらへどうぞ♪」
女性「…失礼、座らせていただくわね」
クラウディア「ええ、どうぞ……はぁ…」
店員「お待たせしました…カプチーノ、スプーマは少な目の甘さ控えめです。他に何かありましたら……♪」そう言いつつ小首を傾げ、期待したような表情を浮かべている…
女性「グラツィエ…でも大丈夫よ」
店員「そうですか……なにかありましたらお気軽にどうぞ♪」紺色のスカートをひらひらさせ、足取りも軽く戻って行った…
クラウディア「ふぅ…」
女性「…」静かにカプチーノをすすっている…
クラウディア「…」
女性「…ごめんなさい、少しいいかしら」
クラウディア「あぁ…何か……?」
女性「いえ…出しゃばりかもしれないけど……貴女、ずいぶん気分が沈んでいるようだから」
クラウディア「…まぁ、そうですね……はぁ…」
女性「…何か深いわけがあるようね」
クラウディア「ええ、まぁ……その…」
女性「…よかったら私に話してみない?…別に告解を聞く神父さまでもなければ、心理学者っていう訳でもないけど」
クラウディア「…親切にありがとうございます……じゃあ、少しだけ私の話を聞いてくれますか?」
女性「ええ、いいわよ」
クラウディア「実は…恋人に振られちゃって……それだけならまだ平気だったと思うのですけど、それが原因で知り合いとの関係もぎくしゃくしちゃって……」
女性「へぇ…貴女みたいなきれいな女性をね……そのお相手はずいぶん目がないのね」
クラウディア「いえ…」
女性「…じゃあ私は黙っていてあげるから、好きなように話してみたら?……例のミダース王のお話に出てくる床屋が「王様の耳はロバの耳」ってささやいた穴ぼこだと思ってくれていいわ」
クラウディア「…ふふ、それじゃあ風が吹くと歌になって聞こえてしまいますね」
(※ギリシャ神話…「触ったものを金に変えられる能力」を望んだせいで物を食べたり飲んだりできなくなったミダース王が、「金に変える力」を清水で洗い流してから笛の上手い牧神「パーン」を敬うようになり、神々の演奏比べの時に「パーンの勝ちだ」と意地を張った…すると他の神々に「お前の耳はロバの耳らしいから、ふさわしい耳をつけてやる」と魔法をかけられてしまったというもの……ミダース王付きの床屋は髪を切る以上頭を見ないわけにはいかないが「耳の事を口外したら死刑にする」と脅され、言いたくなるのをこらえるために砂の穴を掘ってささやいた……が、そこから生えたアシが風に吹かれると「王様の耳はロバの耳」と鳴り始め、国民たちにばれてしまったと言う話)
女性「…よかった、やっと少し笑ってくれた」
クラウディア「ええ、ありがとう…この数週間は毎日が灰色だったから……やっと話すだけの元気が出た気がするわ」
女性「そう…」後は促すでもなく、黙ってカプチーノをすすっている女性…
クラウディア「その……恋人に振られたのは、私が「自分の子供が欲しい」って言ったからなの」
女性「それで別れたの?…失礼だけど、子供を欲しがっている彼女を振るなんて……その「恋人」はずいぶんと軽薄な関係を望んでいたようね」
クラウディア「いえ…その、わたしも相手の言うことがよく分かるの……だって、向こうにしてみれば自分の子供じゃないわけだし…」
女性「ん?……なに、その恋人とは別な相手の子供なの?」眉をひそめてカプチーノをひとすすりした…
クラウディア「えーと…その……そういう言い方も出来るけど、こればっかりは今の科学ではどうにもできなくて…」
女性「つまり…相手に子供を作る能力がないって言うこと?」
クラウディア「ええ」
女性「なるほどね…でも別れるなんてよっぽどなのね」
クラウディア「ええ…やっぱり子供を欲しがると、それまでのは単なる「ファッション」だったみたいに思われて……」
女性「ん…?」
クラウディア「……別れる時に彼女も「あのね、クラウディア…貴女の他の部分が嫌いになったわけじゃないの。だから、お友達としてなら仲良くするし、もし他の誰かにイヤミでも言われたら私がかばってあげる」って言ってくれたんです…それに知り合いたちもたいていは理解してくれるけれど……やっぱりいろんな人がいるから…」
女性「なるほどね……って、ちょっと待って?」
クラウディア「?」
女性「今…「彼女」って言った?」
クラウディア「ええ」
女性「あー…なるほど」
クラウディア「えーと…何か?」
女性「いえ…何でもないの……なるほどね」
クラウディア「?」
女性「えーと、まとめるとこうね……あなたと彼女の意見が食い違って、結局二人は別れた。しかもあなたの考えに理解を示してくれない知り合いも多いせいで、どうにもミラノにいると居心地が悪い…と」
クラウディア「ええ…まぁそういうことね……」
女性「ならいいじゃない…そう言う考えに理解のある人を見つけて恋人にすれば」カプチーノをすっと飲み終え、深い色の瞳でじっとのぞきこんだ…
クラウディア「それもそうだけど……なかなか私の知り合いには…///」
女性「……なら、私でどう?」
クラウディア「えっ…///」
女性「…実を言うと、今の今までそんな関係があるなんて考えたこともなかったわ…でも、話を聞いてから貴女の事を改めて見たらとっても可愛いし……意外に女性同士で、って言うのも悪くないんじゃないか…って」
クラウディア「じゃあ…あの、このカフェに入って来たのも全然そう言うつもりじゃなくて……?」
女性「ええ。ちょっと親密すぎる感じで手を握っていたり、少し変わった感じの人が多いようには感じたけど…ファッションやモードの関係者なんて多かれ少なかれ毛色の違ったところがある、くらいにしか思わなかったわ……むしろそう言うお店なの、ここ?」
クラウディア「ええ…だってほら」…そっと視線を向けた先には、さっきオーダーを取りに来た可愛らしい店員に注文をしながら、すべすべのふとももをそっと撫で上げるデザイナーの姿がある……
女性「ふふ、どうやら貴女の話は本当みたいね…そういえば、自己紹介もまだだったわ」
クラウディア「あ…こちらこそ話を聞いてもらったのに……クラウディアです」
女性「私はシルヴィア…よろしくね……」
クラウディア「シルヴィア…ステキなお名前ね」
シルヴィア「そう?…クラウディアだっていい名前じゃない……それにしても「赤ちゃんを身ごもる」って決めた時は、大変な勇気が必要だったでしょう」
クラウディア「ええ…相手の男性はとっても大人しい控えめな方で「いいよ、僕は君に『選んでもらった』っていう思いだけで生きていける」って言ってくれたけど……」
シルヴィア「…貴女の方が大変よね……病院も探さないといけないし」
クラウディア「ええ…だからそろそろミラノを離れようとは思っていて……」
シルヴィア「…実家に戻るの?」
クラウディア「はい…カンパーニア州に」
シルヴィア「じゃあ、こうしましょう……まずはお互いの事を良く知り合うために、もっと時間をかけてお話をする…その上で、私のアパートがあるローマで病院を探すか、カンパーニア州で探すか決める」
クラウディア「ふふ、そうね…でもまずはコーヒーを飲み終えてからにしましょう……もうすっかり冷たくなってるわ」手のひらを上に向けて軽く肩をすくめた
シルヴィア「…なら私が飲むわ。妊婦さんにカフェインは毒だから」
クラウディア「あ、でも私の飲みかけだから……」
シルヴィア「…唇をつけたのはどっち?」カップに手を伸ばすと聞いた
クラウディア「そっち側よ…あ、そっちが口をつけた方……!」
シルヴィア「…コーヒーと間接キスをごちそうさま」
クラウディア「///」
シルヴィア「じゃあ行きましょうか…車はすぐそこに停めてあるの……一応言っておくけど、つつもたせや誘拐犯の一味じゃないわよ」
クラウディア「ふふ…見れば分かるわ♪」
シルヴィア「そう?…じゃあ行きましょう」
………
クラウディア「そうやってお互いに一目ぼれで……今でもそうだけど、シルヴィアったらとにかく凛々しくて素敵だったの♪」
シルヴィア「あー、何ていうのかしら……あの時は「目が覚めた」感じだったわ」
クラウディア「ふふっ…で、生まれたのがフランチェスカっていうわけ……だからシルヴィアはもう一人の母親みたいなものね♪」
ライモン「なるほど…その……なんと言うか…」
アッテンドーロ「…驚いたわ」
チェザーレ「うむ……たまたまカフェで会った相手といきなり結ばれるとは…」
シルヴィア「きっかけはそうだけど、それからお互いに時間をかけて趣味や嗜好を確かめたり……それに家を訪ねてみたりして、一年以上かけて相性がいいか調べたのよ」
クラウディア「そうだったわね…それでお互いに納得して、同棲することにしたの♪」
シルヴィア「あとはもうフランチェスカの知っている通り……クラウディアは優しいし、甘え上手で可愛いわ」
クラウディア「シルヴィアはいつも凛々しくて、いつも私を気遣ってくれるの♪」
シルヴィア「そうね…でも、クラウディアを見ていると「気遣ってあげないといけない」と言うよりも「気遣ってあげたくなる」って言うのが正しいわ」
クラウディア「ふふ…それを言うならシルヴィアも「意識して気遣ってくれる」のではなくて「自然と気遣ってくれている」のよね♪」
提督「…ね、分かったでしょう」
ライモン「その…熱々ですね……///」
提督「私はいつもこういうやりとりを聞かされていたのよ?……もう甘いこと甘いこと」
アッテンドーロ「ご愁傷様…そう考えると、提督は控えめに育ったものね」
提督「ええ、全く…ほら、また始まった……」
クラウディア「…もう、あの時のキスは舌がとろけそうだったわ……///」
シルヴィア「ふふ…それよりもクラウディアが最初に抱きついてきた時「なんて暖かくて柔らかいんだろう」…って思ったわ」
クラウディア「あの時は夢中で触ったりこねくり回したりしてたものね…♪」
シルヴィア「私の乳房は固くて、大きさもあんまりないから……クラウディアのはもっちりして、まるで柔らかいパン生地みたいに指が埋まるようで…おまけにベビーパウダーみたいな甘いいい匂いがするし……」
クラウディア「あらあら♪…でも私はシルヴィアの引き締まった胸……好きよ?」
シルヴィア「ふふ、嬉しい事を言ってくれるわね」
提督「…で、アルバムを見せてあげるつもりじゃなかったの?」
クラウディア「あぁ、そうだったわね……それで、これがその時の写真♪」真っ赤なアルファ・ロメオ「ジュリエッタ」の前でクラウディアの腰を抱き、口元に微笑を浮かべているシルヴィア……
ライモン「これがクラウディアさん…で、こっちがシルヴィアさんですね」
シルヴィア「ええ、そうよ…こうやって見ると、クラウディアはちっとも年齢を重ねていないみたいね」
クラウディア「…シルヴィアこそ♪」ちゅっ♪…と頬にキスをするクラウディア
シルヴィア「ふふ…娘たちが見ているわよ」
クラウディア「…いいじゃない♪」
提督「ふふっ…それじゃあお母さまたちの邪魔にならないよう、私はお風呂に入ってきます♪」
ライモン「そ…そうですね……では、わたしも失礼します…///」
アッテンドーロ「じゃあ私はルチアの様子を見に玄関へ行ってくるわ……鹿肉をもらっていたけど、ちゃんと食べたかしらね?」
チェザーレ「ふむ…しからばチェザーレも髪を整えよう……ライモンド、よかったら手伝ってくれまいか?」
ライモン「あ、はい」
クラウディア「…うふふ、みんな行っちゃったわ……ねぇ、シルヴィア♪」
シルヴィア「もう…せめて寝室に行くまで我慢できないの?」
クラウディア「んー…抱っこして運んでくれるなら我慢するわ♪」
シルヴィア「分かった…それじゃあお姫様抱っこしてあげる……何しろわたしのお姫様だものね」ちゅっ…♪
クラウディア「うふふっ…ありがと♪」
………
ママ百合の濡れ場はありますか?
…二人の寝室…
シルヴィア「ふぅ…よいしょ……ほら、着いたわよ」…どうにか片手でドアを開けるとベッドまでクラウディアを運び、そこで降ろした
クラウディア「ふふ、ありがと……でも私、まだお風呂に入ってないのよ?」ベッドの上で両手を頭の上に投げだし、いたずらっぽい笑みを浮かべるクラウディア…
シルヴィア「私だってまだよ……んっ♪」クラウディアの柔らかな唇に薄い唇を重ねる…ついばむような軽いキスをしながら手をつないだ
クラウディア「んっ…ふ……もっとキスしたくなっちゃった?」
シルヴィア「ええ…でも、キスだけじゃ物足りないわ」
クラウディア「あらあら……シルヴィアったら♪」
シルヴィア「ふふっ…ん、ちゅっ……」
クラウディア「んっ…ちょっと待って……きゃあっ♪」
シルヴィア「待てないかもしれないわ……んちゅ…ちゅ……ちゅっ…れろっ…」
クラウディア「んちゅっ…ん、んっ、んっ……れろっ、ぴちゃ…ちゅるっ……んふっ…♪」
シルヴィア「…それじゃあ、脱がしてあげましょうね」
クラウディア「ええ…♪」
シルヴィア「相変わらず絹のような肌ね……同じものを食べているはずなのに、どうしてこうも違うのかしら」…クラウディアの白くて滑らかな身体を見て、少しだけうらやましそうなシルヴィア……
クラウディア「だって私は家の中にいることが多いし……せいぜいお庭で草花の手入れをするくらいだもの」
シルヴィア「それにしたって…相変わらずしっとりして、手に吸いつくみたいね」むにっ…と乳房を揉みながら感心したような口調のシルヴィア
クラウディア「んんっ…あんっ……あふっ♪」
シルヴィア「少しだけフランカがうらやましいわね…」
クラウディア「んっ、んぅ…どうして?」
シルヴィア「…おっぱいの時期はいつもこの乳房を吸っていたわけでしょう?」
クラウディア「うふふっ……なにそれ♪」
シルヴィア「いえ…見ていたらそう思ったの」
クラウディア「ふふっ…もう出ないけど、よかったら吸ってみる?」
シルヴィア「そうね、せっかくだから……ん、ちゅぅ…っ」
クラウディア「んぁぁっ…あんっ、んんっ……もう、甘噛みはだめよ…んんっ♪」
シルヴィア「ん、ちゅぅ…ちゅぅ……れろっ…」
クラウディア「ひゃうっ、くすぐったい……あんっ、ちょっと♪」しっとりした唇を半開きにして、困ったような表情を浮かべるクラウディア…
シルヴィア「…じゃあこっちも」ベッドの上で体勢を立て直すと座ったような形になり、そのままクラウディアのもちもちのふとももを押し広げた…
クラウディア「ひぅっ…ん、んっ……もう、何をするつもり♪」
シルヴィア「ドルチェをまだ頂いてないから…ん、ちゅっ…じゅるっ……」脚の間に顔を埋めて、舌を差しいれるシルヴィア…
クラウディア「はぁぁ…んっ♪」ぞわぞわとしびれるような感覚に身体をくねらせ、甘い吐息をもらす……
シルヴィア「ここはピンクの真珠みたいな色合いなのね…それに、温かくてとっても気持ちいい……」舌を抜くとゆっくりと自分の指を舐めあげ、それから濡れた花芯に滑り込ませた……
クラウディア「全くもう…んんっ♪」
シルヴィア「……どう、にちゃにちゃ言っているのが聞こえる?」
クラウディア「ええ…もう下半身がじんわりして…すっかりとろとろになってるの……でも、もっと♪」
シルヴィア「…じゃあ、お風呂はまだいいわね?」
クラウディア「…ええ♪」
………
>>34 行き違いのような形になってしまいましたが、シルヴィア×クラウディアの百合を投下してみました…二人の昔話はちょっと重いような気がしていたので、口直しにどうぞ…
…この後は一応提督×ムツィオ、提督×チェザーレ(チェザーレ×提督)…の予定で、その後は提督があんな目やこんな目にあったりあわなかったり……の予定です
…しばらくして・玄関脇…
アッテンドーロ「よしよし…綺麗に食べたわね」アッテンドーロは玄関から入ってすぐの場所…犬には居心地の良さそうな隅っこにしゃがみこむときれいに舐めつくされている餌の皿を見て、それから満足げに寝転がっているルチアに声をかけた……
ルチア「フゥッ…♪」鎮守府で飼いはじめたばかりの真っ白な雑種犬「ルチア」は、コリー系の犬らしい笑顔「コリースマイル」を見せ、気だるげに尻尾を振っている…
アッテンドーロ「…満足した?」
ルチア「ワフッ…♪」組んだ前脚の上にあごを乗せ、軽く返事をする…
アッテンドーロ「そう、ならいいわ……じゃあついでに撫でてあげるわ♪」玄関脇に置いてあったブラシを取り上げると、長い毛足をくしけずりつつあちこちを撫でる…
ルチア「ワフッ……ハッハッハッ…♪」頭や尻尾の付け根をかいてあげると心地よさそうにごろりと転がり、おなかをさらした…
アッテンドーロ「はいはい、かけばいいのね…?」
ルチア「ワフ…ッ♪」
アッテンドーロ「この辺がいいかしら…どう?」
ルチア「♪」ぱたりぱたりと尻尾を振り、存分にかいてもらう……
アッテンドーロ「うわっ……ちょっと、舐めないでよ」心地良いのが気に入ったのか、ぺろぺろとアッテンドーロの手を舐めるルチア…
ルチア「ワゥン…?」
アッテンドーロ「……もう、仕方ないわね…まぁ、どうせ歯みがきもしなくちゃいけないし…また明日ね♪」お休みを言いつつ頭をひと撫でしてやり、洗面所に向かった…
…一方・浴室…
提督「ふー…浴槽こそ小さいけど、なんだか童心に帰った気分♪」…四つ脚の付いた浴槽に長身をどうにかねじ込み、窮屈な体勢でお風呂に入る提督……ふくらはぎから先は浴槽からはみ出し、両腕を浴槽の枠に乗せてシャワーを流している…
提督「さてと…頭も身体もきれいになった事だし、そろそろ出ましょうか……よいしょ♪」ざぁ…っと湯気を立ててお湯が流れ、その中ですっと立ち上がった…
提督「……えーと、タオルは…相変わらずいつもの場所なのね♪」久しぶりの実家ながら、家具や物の配置はほとんど変わっていない…浴室から出ると棚からふかふかのタオルを取り出し、身体に巻きつけようとした……と、ドアが開いてアッテンドーロが入ってきた…
アッテンドーロ「ふふ、何のかのと言って可愛いワン公よね……って///」
提督「あら、ムツィオ…ルチアの様子を見てきてくれたの?」そう言った瞬間に巻きかけたタオルがはらりと落ち、ずっしりした乳房が「たゆんっ♪」と揺れた…
アッテンドーロ「ちょっと、ルチアの事はいいから早くタオルを巻きなさいよ…目のやり場に困るじゃない」(相変わらず豊満な「ド級戦艦」体型ね…胸は大きいし先端もきれいな桃色…ヒップは色つやもよければ張りがあって……って、姉さんじゃあるまいし///)
提督「はいはい♪…それで、ルチアはどうだった?」タオルを拾い上げて巻きつけると、ドライヤーを取り出した…手を洗いたいアッテンドーロのために身体を片側に寄せると、ドライヤーのスイッチを「冷風」に入れ、髪が傷まないように乾かし始めた…
アッテンドーロ「鹿肉は気に入ったみたいね、お皿はすっかり舐めつくしてあったわ…ついでに少し撫でてきてあげたから、今はお休み中じゃないかしら?」
提督「そう、ならよかったわ♪」
アッテンドーロ「そうね」手をせっけんで洗うと持って来た青い歯ブラシを取り出し、歯磨き粉をつけた…
提督「そうそう、わたしも歯を磨かなくちゃ…ちょっと失礼♪」鏡に向かって歯を磨いているアッテンドーロの前に腕を伸ばすと、コップに入っている歯ブラシを取ろうとした…
アッテンドーロ「んー……んっ!」…両手を洗面台に突いてのけぞるように身体をどけた瞬間、歯ブラシが口から落ちた
提督「あ、ごめんなさい……っ!?」慌ててアッテンドーロの歯ブラシをつかもうとして腕を伸ばした途端、バランスを崩した提督…
アッテンドーロ「うわ…っと、大丈夫?」提督が倒れそうになった途端、両手でしっかりと抱き止めるようにして支えた…見た目こそ大人びた高校生くらいとはいえ「艦娘」なだけあって、提督が倒れかかって来てもしっかり受け止めた…
提督「え、ええ……///」(わ…ライモンもそうだけど、ムツィオの身体も細身なのにメリハリがあって……いい匂いがする///)
アッテンドーロ「……ねぇ、提督」
提督「な、何かしら…?」
アッテンドーロ「いつまで抱きついているわけ?」
提督「あっ…ご、ごめんなさい///」甘い匂いを嗅いでいたうなじから顔を離すと、ぎこちなく謝った
アッテンドーロ「ふぅん……それだけ?」
提督「…え?」
アッテンドーロ「…姉さんだけじゃないのよ?……貴女の事が好きなのはね」…ぐっと身体を伸ばして、洗面所の壁に押し付けるようにしてキスをする
提督「んっ……ん、んぅ…♪」…またしても巻いたタオルがはらりと解け、今度はそのまま床に落ちた……
アッテンドーロ「…ん…ちゅるっ………それにしても提督はきれいな瞳をしているわよね…朝日みたいな金色で……吸い込まれるみたい……」ぐっと片膝をあげると、提督の脚の間に割り込ませた…左手は提督のあごに添え、右手の人差し指で鎖骨からつーっ…と身体を撫で下ろしていく……
提督「あっ…あっ……ひうっ///」ぎりぎり触れるか触れないか…と言うような具合で身体をなぞっていく指先に、思わず甘い吐息をもらす提督……
アッテンドーロ「へぇ…提督ったらそんな物欲しげな表情も出来るのね……♪」口の端で「ふふ…」と笑うと、そのまま胸の谷間を滑らせ、S字を描くようにわき腹、へそ…そしてまだ風呂上がりの湯気が残っている秘所へと撫でていった……
提督「あっ…んんぅ……あふっ…くぅ……///」
アッテンドーロ「へぇ…提督ったらもうすっかり濡れそぼっているじゃない……そんなに私としたかった?……それとも…姉さんの事を考えてこんなになったの?」耳元でささやくアッテンドーロ…
提督「んんぅ…もう、そんなこと言わないで……今はそのスマートな姿、ささやく声……それにほっそりした指をした貴女が欲しいの……ライモンと比較するなんてできな…んあぁぁ…っ///」
アッテンドーロ「…そう、ならうんと愉しませてもらうわね♪」くちゅっ…ちゅくっ♪
提督「ひぁぁぁっ!…いいのっ、そこっ……んぁぁ、とろけそう…っ♪」
アッテンドーロ「…ここ?」じゅぶっ、ずちゅ…っ♪
提督「んっ、あぁぁ…っ……ひぐぅぅっ♪」
アッテンドーロ「ここがいいみたいね…それにしても提督の膣内は温かくて…しかも吸い付くようね……♪」
提督「んっ、ふぅ……ムツィオ…///」
アッテンドーロ「そんなに切ないような声を出さなくたって、ちゃんとしてあげるわよ……ほら、脚をあげて?」
提督「ん、んぅ…お願い、じらさないで……ぇ♪」
アッテンドーロ「ふふ、だめよ…美味しい果物はちゃんと皮を剥いて、種を取ったりしないと美味しくないでしょ……ちゃんと下ごしらえをしないと、ね♪」
提督「はぁ、はぁ…はあ…っ♪」
アッテンドーロ「あらまぁ、すっかりトロ顔になっちゃって……仕方ないわね、それじゃあしてあげるわよ♪」…それまで頬や髪をそっと愛撫していた左手と、とろとろに濡れた花芯をまさぐっていた右手を放すと、提督の両脚を小脇に抱え込んで軽く広げた…そしてそのままにじり寄って、ぴったりと濡れた箇所を合わせた……
提督「んっ、んっ、んっ…あっ、ん……あぁっ♪」くちゅっ…にちゅっ……と、貝やカタツムリが張りついたような音を響かせる…
アッテンドーロ「ん、んぅ…提督のここは最高よ……とろとろに濡れて…いやらしい音までさせちゃって♪」
提督「だって……腰がしびれて…とろけそう……はひぃ♪」
アッテンドーロ「そう…じゃあもうちょっとスパイスを……♪」耳元に顔を寄せた…
提督「な…なにをするつもり///」いやらしい責め方を期待して瞳を輝かせ、困ったような照れ笑いを浮かべて顔をそむけている……
アッテンドーロ「愛しているわよ……フランチェスカ♪」そう言った瞬間ほっそりした人差し指をいっぱいに突き入れた
提督「そんなのずる……んはあぁぁっ♪」ぶしゃぁぁ…と粘っこい蜜を噴き出しながら身体をひくつかせ、甘い叫び声をあげた
アッテンドーロ「…ずるいも何もないわ♪……そぉら、もう一回♪」
提督「んひぃぃっ…もっとぉ♪」
アッテンドーロ「んふふっ…道理で姉さんが病み付きになるわけね……ほぉら♪」
提督「ひぐぅぅっ…もう、腰が抜けちゃいそう……んあぁぁっ♪」
アッテンドーロ「なに、これだけしてあげているのに「抜けちゃいそう」なだけ?……何だかくやしいわ…こうなったら必殺の533ミリ魚雷をお見舞いしてあげるわ…ねっ!」ずぶずぶっ…ぐちゅっ♪
提督「はぁぁぁっ♪…ムツィオの指…長いからっ……ひぅぅっ、んあぁぁっ♪」
…しばらくして…
アッテンドーロ「はぁ…はぁ……はぁー…ありがと、提督……姉さんには悪いけど、おかげでうんと愉しませてもらったわ♪」
提督「ひぃ…ふぅ……はひぃ♪…いいの、わたしも身体が溶けちゃいそうなほど気持ちよかったし…それに……ムツィオが求めてくれて嬉しかったわ///」
アッテンドーロ「…そういう歯が浮くようなセリフを吐いていると、二回戦に突入しちゃうわよ?」
提督「二回戦ねぇ……せっかくだからしましょうか♪」
アッテンドーロ「…今日は止めておくわ。姉さんのために体力を取っておきなさい♪」
提督「ふふっ、そうね……それに、歯を磨かないと♪」
アッテンドーロ「ええ、そうね…ほら、提督の歯ブラシ」
提督「…ありがと♪」
………
…とりあえず今日はここまでで、ムツィオ×提督をやってみました……ムツィオは姉のライモンに比べてナポリ風な、少し勝気ではきはきした感じにしたかったのですが、どうだったでしょうか……また、もしかしたら数日ほど間が空いてしまうかもしれませんが、気長に待っていて下さればと思います……
…訂正…
>>6 ミッチャー提督のプロフィールで愛車を「71年型シボレー・バラクーダ」としていましたが、正しくは「プリマス・バラクーダ」です、失礼しました…ちなみにイメージとしては「刑事ナッシュ・ブリッジス」でサン・フランシスコの坂道を駆け抜けているアレです…
…翌朝・提督の部屋…
ライモン「…ど、どうでしょうか///」
…昨夜は提督のシングルベッドに二人で入り、お互いに指を絡めたり、優しく触れるようなキスを交わしながら眠りについた二人…朝食をくつろぎ用のガウン姿のままで済ませると、今は家の脇にから出られる海辺に家族揃って出かけようと着替えている……昨日は軽く身体に当ててみただけだった、十代の頃の提督が着ていた水着を着て、恥ずかしげに立っているライモン
提督「んー…ちょうどいいように見えるわよ。それにとっても可愛いわ♪」
ライモン「可愛い…ですか///」…白いセパレートスタイルですっきりしたデザインの水着に、化粧品や日焼け止めと言ったものが入っている小ぶりなハンドバッグを持ち、麦わら帽子をかぶっている
提督「ええ、とっても…私はその水着が合わなかったからうらやましいわ♪」提督は家に置いてあった黒いシックな水着で、やはり少しきつくなっていたが、ひもを緩めに結んだりしてどうにかこうにか身体を押し込んでいた……足はデッキシューズのような軽い靴で、夏の地中海ならではの眩しい陽光対策にはサングラスを掛けている
ライモン「そうでしょうか…色も涼しげな白で、提督ならとっても似合うように思えますが?」
提督「うーん…デザインは好みだったのだけど……胸回りがすぐきつくなっちゃって…」苦笑いを浮かべライモンをの水着姿を眺める提督…かたわらにはレモネードの瓶や浜辺に敷くシート、大きなバスタオルが詰め込んである柳のバスケットが一つ……
クラウディア「二人とも、準備は出来たかしらー?」
提督「はーい、今行くわ…それじゃあ、行きましょう♪」…階段の下から呼びかけてきたクラウディアに答えると、するりとライモンの指に自分の指を絡ませ
てにっこりした
ライモン「はい♪」
…玄関…
提督「お待たせ…チェザーレ、その水着とっても優雅ね♪」
チェザーレ「うむ、かたじけない」…チェザーレは何ともエレガントなライトグレイのパレオ付きのワンピーススタイルで、頭には豪奢な帽子を傾けてかぶっている
提督「本当の事ですもの♪……ムツィオ、私のお古だけどちゃんと着られた?」
アッテンドーロ「ええ、おかげさまでね…でもちょっと胸がゆるいわ」アッテンドーロの水着は胸元がV字に切れ込んでいる大人びたレオタードスタイルの水着で、左右で白と黒に分かれた生地を中央で重ねたようなデザインが、ヴィヴィッドで高級なイメージを与える…手首には首輪とつながっているリードの輪っかが通してあり、かたわらではルチアが待ちくたびれたように尻尾を振っている
クラウディア「んふふっ、フランカは胸が大きくなるのが早かったから……おかげで私はうんと水着選びを楽しませてもらったわ♪」そう言って目を細めるクラウディアはさっぱりした薄い青のワンピースに大きなバスケットを持ち、嬉しげに頬に手を当てた…
シルヴィア「…確かにクラウディアは毎シーズンごとに、色んな水着を買ってきたりもらったりしてたわね」そう言ってクラウディアを眺めたシルヴィアは巻いたシートとパラソルを小脇に抱え、引き締まったしなやかな身体をホールターネックのブラと綿の半ズボンで包んでいる…
提督「そうそう…で、私も十代の中頃には気が付いて「お母さま、私を着せ替え人形にするのは止めて?」なんて言ったこともあったり……でもまぁ、おかげでライモンたちが水着を着られたわけだし♪」
クラウディア「ね、よかったでしょ?」
提督「んー…まぁ、そういうことにしておくわ♪」
シルヴィア「…昔話はいいけど、早く行かないと熱さが耐え切れなくなるわよ?」
クラウディア「はいはい、相変わらずシルヴィアはせっかちさんね♪」
シルヴィア「そういうクラウディアは相変わらずおっとりしているわね…さ、行きましょう」クラウディアの腕に自分の腕を絡め、ドアを開けた…
…カンピオーニ家の庭はクラウディアの好みに任せ、手前には背の低いクロッカスや小ぶりな花々が華やかに咲き、黄色っぽいレンガで囲われた水道の回りは水っぽい場所を好む水仙がすんなりと伸びている。日当たりのいい場所には淡い桃色や目の覚めるような黄色の花をつけたバラのこんもりした茂みと、涼しい木陰に白い花をつけた背の高い百合、そして古い黄色っぽいレンガ塀にはクレマチスのようなつる性の植物が絡めてある……庭の一部は家庭菜園で、イタリア料理には欠かせないトマトとバジリコが植えてある…
アッテンドーロ「きれいな庭ね…ところで、どう行けばいいのかしら」
シルヴィア「こっちよ。昨日は裏の林の間に流れている小川で泳ごうかと思ったけど、この夏は川の水が少ないから…海岸に行きましょう」…母屋と同じく白い壁と赤茶色の瓦で出来た車庫を脇に見ながら庭を抜けていくと、茂みや岩の間を抜けてくねくねと曲がっている細い道が黄色い小さな砂浜に続いている
アッテンドーロ「ここはシルヴィアたちの海岸なの?」
シルヴィア「ええ。見ての通り陸から続いている道は他にないし、我が家の専用みたいなものね」
提督「そうなの。私も小さい頃からシルヴィアおばさまやお母さまとうんと泳ぎに行って…ふふ、懐かしいわ♪」
クラウディア「そうだったわねぇ、フランカは泳ぎも上手で……それに透けた水着からほの見える白い肌に、濡れた髪をかきあげる仕草が色っぽくて♪」
提督「自分の娘をそういう目で見ないでちょうだい…まぁ、一応褒め言葉として受け取っておくわ」
クラウディア「うふふ♪」
チェザーレ「…さて、この小道を降りていけばよいのだな」
シルヴィア「そう言うこと」
…海岸…
アッテンドーロ「へぇ…小ぢんまりとしてていい感じじゃない♪」
ライモン「可愛らしい場所ですね」
提督「気に入ってくれてよかったわ…さ、まずはパラソルを拡げてシートを敷きましょう♪」…茂みの間を抜けて浜辺に出た提督たちは、パラソルを黄色い砂浜に突きたて、シートを敷いて重しになる石を乗せた
アッテンドーロ「うーん、波は穏やかで風はなし。最高の海水浴日和ね…さ、泳ぎに行きましょうよ♪」
提督「私はまだ準備が出来てないわ。まずは日焼け止めを塗らないと」
アッテンドーロ「あらそう…姉さん」
ライモン「なぁに、ムツィオ?」
アッテンドーロ「…提督に日焼け止めを塗ってあげなさいよ♪」…にやにやと「分かっているわよ」といった笑みを浮かべ、派手なウィンクをした
ライモン「…えっ!?」
提督「そうね、お願いするわ♪」顔や腕に日焼け止めを塗っていた提督も「後ろは自分で塗れないから」と、日焼け止めクリームの瓶を差しだした
ライモン「ごくっ……じゃあ、塗りますね///」
提督「ええ、お願い♪」
ライモン「…まずは……肩口から」後ろから水着のスリップを解くと、肩ごしにたゆんっ♪…と弾む、ずっしりと柔らかそうな乳房が見える……提督の白くてなだらかな肩にとろりと甘い匂いのするクリームをたらすと、ライモンはそっと塗り広げた……
提督「ふぅ、ライモンったら日焼け止めの塗り方まで優しいのね……マッサージみたいで気持ちいいわ♪」
ライモン「そ、それはよかったです…次は背中に塗っていきますね///」
提督「ええ、それじゃあうつ伏せになるわね……んっ♪」肩甲骨の辺りを優しく揉みほぐすようにライモンの手が動いていき、思わず甘い吐息をもらす…
ライモン「///」
提督「んんぅ…んぁ……気持ちいい…♪」
ライモン「き…気持ちいいですか///」
提督「ええ……んっ、あぁ///」
クラウディア「あらあら、フランカったらあんな可愛い娘に日焼け止めを塗ってもらって…うらやましいわ♪」
シルヴィア「クラウディアには私がいるでしょ……ほら、塗ってあげるからサマードレスを脱いで?」
クラウディア「ええ…♪」するりとサマードレスを脱ぐと、下にはビキニスタイルの水着を着ていた…生地は柔らかな身体つきのクラウディアによく似合う桃色で、フリルとサイドリボンが付いている…
シルヴィア「じゃあ塗ってあげるから…」綿のハーフパンツを脱ぐと、その下にはサイドがきゅっと切り上がった白の水着を着ていた…しなやかな脚と引き締まったヒップが、ぴんと生地を張りつめさせている…そのまま後ろに座ると日焼け止めを手に取った……
クラウディア「んっ…シルヴィアに塗ってもらっていると愛撫されているみたいで好きよ……♪」
シルヴィア「そう…ならうんと気持ち良くなってもらわないと」
クラウディア「はぁぁ…んっ……そこ、気持ちいいの…あふっ♪」
シルヴィア「ふふ、そういうとろけるような甘い声を出すところは母娘とも同じね…前もやってあげましょうか?」
クラウディア「…んふふっ、そんなに私のおっぱいを触りたいの?」
シルヴィア「明るい海岸で眺めたり触ったりするのはまた格別だから…で、どうするの?」
クラウディア「うふふっ…お好きなだけどうぞ♪」
シルヴィア「…じゃあ塗るわね」
ライモン「……あ、あんまりそう言う声をあげないで下さいっ///」
提督「…だって、ライモンの手が……んっ、あふっ…ふぁぁ♪」
アッテンドーロ「…これじゃあ海水浴をしに来たのか、浜辺でいちゃつこうと思って来たのか分からないわね、チェザーレ?」
チェザーレ「はは、チェザーレは大方こうなるだろうとは思っていたぞ…それではアッテンドーロよ、ルチアを交えて遊ぶとしようか」
ライモン「…提督、塗り終わりましたよ///」
提督「それじゃあ海に入りましょうか……ライモン?」…ライモンは自分の手を見つめながら開いたり閉じたりを繰り返している
ライモン「…あ、はい///」(提督、相変わらず手に吸いつくような触り心地だった…///)
提督「泳がないの?」ずっしりと豊かな乳房をきつい水着にどうにか包むと、微笑を浮かべて小首をかしげた…
ライモン「い、いえ…提督も一緒に泳ぎましょう」
提督「ここではフランチェスカでいいって言ったでしょう?…ところで、ライモンは日焼け止めを塗らないの?」
ライモン「えっ…!?」
提督「昔は小麦色に焼けた肌の方がいいって言われてたけど、近頃は過度の日焼けは身体に悪いっていうし…どうする?」片手で日焼け止めクリームの瓶を揺さぶりながらにこにこと微笑んでいる
ライモン「えーと…その……フランチェスカはどう思いますか///」
提督「私はどっちでもいいわ…白いライモンも可愛いし、日焼け跡がくっきり残っているライモンも捨てがたいわね♪」いたずらっぽい視線を向け、頭の中ではこんがりと日に焼けたライモンの水着を脱がしているらしい提督…
ライモン「も、もう…じゃあ露出しているところだけお願いします///」
提督「ふふ、お任せあれ♪」
…しばらくして…
ライモン「はぁ…はぁ……もう、これじゃあ愛撫と変わらないじゃないですか///」
提督「ふふ…さっきは私が気持ち良くしてもらったから♪」
ライモン「…も、もう///」
アッテンドーロ「二人とも、まだいちゃついてるの?早くしないと午前が終わっちゃうわよ?」
提督「ふふっ…それじゃあ行きましょうか」
ライモン「はい……いっぱい楽しみましょうね♪」
提督「ごめんなさい、ムツィオ…遅くなったわ」
アッテンドーロ「ま、私はいいけどね…姉さんも入ってごらんなさいよ、水温もちょうどいいわ」
ライモン「ええ…わぁ、暖かくて気持ちいい♪」波打ち際で脚を水に浸し、両手で海水をしゃくって身体に跳ねかけるライモン
アッテンドーロ「ふふ……そーれっ!」いきなり両手で水をかけるアッテンドーロ
ライモン「わっ…もう、いきなり何をするのっ?」
アッテンドーロ「二人でいちゃついていて遅かった罰よ……ついでに提督も…ねっ!」
提督「あんっ…もう、やってくれたわね♪」バシャバシャと海に駆け込み、アッテンドーロに浴びせ返す提督
アッテンドーロ「普段から運動不足のあなたに負ける訳ないでしょう…が♪」
提督「うっぷ…ライモン、二人で挟撃しましょう♪」
ライモン「了解…それっ♪」
アッテンドーロ「あ、姉さんも提督に味方するわけ?」
ライモン「先に浴びせてきたのはムツィオだもの…えーいっ♪」
アッテンドーロ「この…チェザーレ、支援を要請するわ!」
チェザーレ「ふむ、致し方ないな…ルチア、チェザーレと一緒においで」
ルチア「ワンワンッ♪」チェザーレの脇で水しぶきをあげながら駆けるルチア
チェザーレ「さてと…えいやっ♪」のんきなかけ声とは裏腹に、もの凄い勢いで水を浴びせてくるチェザーレ
提督「うわっ…!?」
チェザーレ「それっ」
ライモン「きゃあっ…!?」
チェザーレ「ふむ…それでは支援は終了だ」
アッテンドーロ「え、いくら何でも支援が短くないかしら?」
チェザーレ「うむ、戦艦は被弾しないのが一番なのでな…あとはムツィオに任せる」
アッテンドーロ「ち、ちょっと…!」
提督「はぁー…疲れた」水のかけっこから早々に退却すると、少しばかり水泳を楽しんだ提督……濡れた身体からしずくを滴らせながら海岸に戻ると熱い砂浜に座り込んで、まだ水かけを続けているライモンとアッテンドーロを微笑ましい様子を眺めている
ライモン「もう、負けませんからねっ♪」
アッテンドーロ「私だって♪」
提督「ふぅ…風は気持ちいいし、ライモンたちは可愛いし……言うことなしね」
ライモン「えいっ♪」
アッテンドーロ「この…っ♪」
提督「ふわぁ…日差しが暖かくて気持ちいいし、何だか眠くなってきちゃったわね……でも昼寝するには早いし、何か眠気覚ましでもないかしら…」
ライモン「ムツィオ、これで決着です…きゃあっ///」両手で水をかけた瞬間、はらりと水着の紐が解けた…慌てて胸元を押さえるライモン
提督「ん、一気に目が覚めたわ……それにしてもライモンったら、お日さまの下で見てもきれいな桜色で…ふふっ♪」
アッテンドーロ「姉さん、そのまま待ってて…今付け直してあげる」
ライモン「う、うんっ…お願い」
アッテンドーロ「全く、姉妹のお遊びだって言うのにムキになるから……あぁ、あった」
チェザーレ「…ライモンド、大丈夫か?」
ライモン「え、ええ…提督が学生時代に着ていた水着だったものですから……ちょっと胸がゆるくて」
チェザーレ「そうか…つまりあの乳房は昔から大きかったのだな……まさに「ローマは一日にしてならず」ということか」
ライモン「チェザーレさん、ことわざはいいですから…///」
チェザーレ「なに、そう動揺することもあるまい…どのみちここには婦人しかおらぬし、そもそも隠し立てすることなどない間柄ではないか」
ライモン「そ、それはそうですが…///」
…一方・パラソルの下…
クラウディア「あらあら…ライモンちゃんの胸もなかなか美味しそうね♪」軽く水に入ってひと泳ぎすると、戻ってきてシートの上に寝転がっているクラウディア…脇には遠泳を済ませてきて、まだ胸を上下させているシルヴィアが座っている…
シルヴィア「ちょっと、娘の恋人までつまみ食いするつもりじゃないでしょうね」
クラウディア「さぁ、どうかしら♪」
シルヴィア「…そんな暇があるなら私の相手をしてほしいわ」クラウディアの上に屈みこむと、塩辛い唇でキスをした…
クラウディア「あ…んっ……んちゅっ、ちゅぱ…ちゅぷっ///」
シルヴィア「ちゅる…っ……ふぅ、貴女の口で塩辛いのが中和されたわ」
クラウディア「でも、今度は私の唇がしょっぱくなっちゃった……それに、塩水のせいかしら…こっちもひりひりするの///」砂の付いたふとももをこすり合せ、熱っぽい瞳で見上げる…
シルヴィア「…フランカたちに見られてもいいの?」
クラウディア「ええ…あの娘たちにシルヴィアがどんなに素敵か見せつけたいから///」
シルヴィア「だからってなにも見せつけなくたって…それにクラウディアのとろけた顔は私だけのものにしておきたいわ」
提督「ほーら、ルチア…おいでー♪」
チェザーレ「よーし、いい子だ……それ、この流木だぞ♪」
ルチア「…ワフッ、ワンワンッ♪」
ライモン「ムツィオ、あそこの沖まで泳ぎに行きましょう?」
アッテンドーロ「いいわね…今度は水着が脱げないように頼むわ」
クラウディア「うふふっ…今なら誰も見ていないわ♪」
シルヴィア「もう…仕方ないわね」…水着のへりをずらして、少し骨ばった指を差しいれた
クラウディア「んっ…あんっ♪」
………
提督「はー…疲れた♪」提督はチェザーレと二人でルチア相手に流木を使って遊んであげていたが、無尽蔵に体力があるらしいルチアに走り回らされ、ヘトヘトになってパラソルの下に戻ってきた……全身に心地よい疲労感を感じて、シートに寝転がる提督…
提督「喉も乾いたし…レモネードがあったわよね」バスケットをごそごそとかき回し、瓶に詰めた冷たいレモネードとグラスを取り出した…
提督「ごくっ…ごくっ……ふぅー…」
チェザーレ「…やれやれ、何とも元気なワン公よ」
ルチア「ワフッ…♪」…びしょびしょに濡れた身体をぶるぶるっと身震いさせつつ、流木をくわえて満足そうなルチア……一方のチェザーレは置いてあった優雅な帽子をかぶり直すと提督の脇に座り、長い脚を投げ出した
提督「お帰りなさい、チェザーレ」
チェザーレ「うむ、今戻ったぞ…おや、何やら涼しげなものを飲んでいるな……チェザーレにも一杯もらえないだろうか?」
提督「ええ、そこのバスケットに入っているから好きなだけどうぞ…グラスはここにあるから……」シートの上に出したグラスを一つ取って、チェザーレに差しだした…
チェザーレ「うむ、かたじけない……おっと!」
提督「きゃっ!……チェザーレ、大丈夫?」提督の身体越しに上体を伸ばしてレモネードの瓶を取ろうとしたチェザーレだったがバランスを崩し、寝転がっていた提督の上にのしかかった…
チェザーレ「うむ、チェザーレは平気だが……提督の双丘はなんとも柔らかいな///」…とっさに両手をついたチェザーレだったが、その右手はむっちりと弾力のある提督の乳房をつかんでいた……しみじみと感想をもらしながら、改めて胸を揉むチェザーレ
提督「もう、チェザーレったら…ほーら、早くどいて♪」空いている右手で、つんっ…とほっぺたをつつく提督
チェザーレ「ほう……本当にどいてしまって良いのか、提督よ?」ゆったりと乳房をこね回しながら、ささやくように問いかける…
提督「……ううん、どかないで///」
チェザーレ「そうであろう、こんなにも太陽が眩しいのだからな……んっ///」そのまま顔を近づけ、そっと唇を重ねる二人……ルチアだけがその様子を見ながら、両前足に挟んだ流木をかじっている…
提督「んっ…んふっ……んんっ///」シートの上に押さえつけられながら、口中に熱い舌をするりと入れられた提督…その瞳はとろりと焦点から外れ、身体の力も抜けている……
チェザーレ「んふっ…じゅぷっ……れろっ…ん♪」
提督「んはぁ……はぁ、はぁ、はぁ……///」砂浜からの照り返しで金色に光る唾液の糸をたらしつつ、色つやのいい唇を半開きにしてチェザーレを見上げた…
チェザーレ「砂浜で愛を交わすと言うのも…一興であるな……♪」提督のきつそうな水着をほどくと、たゆんっ…と丸っこい乳房が揺れ、所々についていた砂粒がぱらぱらとこぼれ落ちた……
提督「そうね、せっかくの夏休みだもの……いっぱい愛して…ね///」
チェザーレ「そう言われると…たまらんな♪」くちゅり♪…水着の中に手を入れ、しっとりと湿った提督の秘所に指を差しいれるチェザーレ……
提督「あぁっ…んんぅ♪」
チェザーレ「ふふ…昨夜もライモンドとお楽しみだったであろうに、まだ足りぬのか」
提督「だって……んんぅ、んぁぁ♪」シートの上で身体をくねらせながら、とろけたような表情で続きをせがむ提督…
チェザーレ「全く、チェザーレもずいぶん好色な提督を持ったものよ♪」ぐちゅぐちゅっ、にちゅっ…♪
提督「ひっ、あぁぁっ…んあぁぁぁっ♪」
チェザーレ「おぉ、チェザーレの指がねっとりと粘っこいぞ……どれ、味見でもしようか」じゅぶっ…と指を引き抜き、しげしげと眺める
提督「だ、だめ…恥ずかしいわ///」そう言いつつ期待した表情を浮かべている提督
チェザーレ「なに、お互いに隠すことなどない仲ではないか…んむ、少ししょっぱいな♪」
提督「も…もう、何も言わなくたって///」
チェザーレ「まぁ、よいではないか……さて、今度はもっと奥まで参るぞ♪」
提督「……ええ、チェザーレにいっぱいかき回して欲しいの///」
チェザーレ「……済まぬ、提督よ…そこまで言われると、このチェザーレもこらえきれぬ」…ぐちゅぐちゅっ、じゅぶっ!
提督「あぁぁっ、ひぐぅぅっ♪…もう、チェザーレったら急に激し……んあ゛ぁ゛ぁぁっ♪」
チェザーレ「提督の喘ぎ声も捨てがたいが、ここは一旦静かにしてもらおう……んちゅっ、ちゅぅぅっ♪」
提督「ん゛ーっ、ん゛っ…んんっ……♪」がくがくと腰をひくつかせていたが水着から蜜をたらし、とろりとふとももを濡らした……
チェザーレ「じゅる、じゅるっ…ちゅぽっ……さてと、提督は物わかりがいいからチェザーレがこれ以上言わなくとも静かに出来るな?」
提督「…」かくかくと首を動かしてうなずいた
チェザーレ「うむ、よろしい…おや、ライモンドたちも戻ってきたようだ…」
ライモン「あ、提督はもう戻っちゃったのかしら…?」
アッテンドーロ「かもね。見たところチェザーレとルチアもいないし、クラウディアたちも……///」
ライモン「…せ、せっかくだからもう少しだけ遊んでいきましょうよ…ね、ムツィオ///」
アッテンドーロ「そ、そうね…///」
チェザーレ「ふむ、どうやらここに放り出してある着替えやらバスケットやらで二人からは隠れているらしい……となると、なおさらこんなところを見つかるわけにもいくまいな♪」ずぶっ…ぐちゅっ♪
提督「っ…んっ///」
チェザーレ「おやおや、チェザーレがそう言った矢先にとろりと濡らして…提督はこういうのもお好きか♪」くちゅくちゅっ…ぬちゅっ♪
提督「…っ、んっ……んふぅぅっ♪」唇を噛みしめ、ふとももをびしょびしょに濡らしながら上体を引きつらせて、必死にこらえているように見える…が、その表情はすっかりとろけきっていて、提督自身もすっかりこの状況を愉しんでいる……
チェザーレ「ほほぉ……月並みな表現だが、提督の暖かくてとろりと濡れた花芯がきゅうきゅうとチェザーレの指に吸いついてきているぞ…?」くちゅり…ぐちゅっ♪
提督「…ん……くぅ///」耳元でささやくチェザーレに、提督は脚を閉じてふとももをこすり合せた…
チェザーレ「ふふ…喘ぎ声をこらえる提督の何と愛らしいことよ……しかし、こうしてとろけた表情を見ていると…」
提督「?」
チェザーレ「何というか、こう……むらむらと嗜虐的な欲求が湧きあがって来るな…♪」
提督「…あ」にたりと口角をあげて微笑むチェザーレを見て、ぞくっとするような予感を覚えた
チェザーレ「うむ、決めた。さっきの口づけは大変よかったのでな……提督が秘所を責められつつ、どこまで息を止めていられるか試してみようではないか♪」
提督「……あの、チェザーレ…ちょっと待っ…」
チェザーレ「声を出したら可愛いライモンドやクラウディアたちにばれてしまうぞ?……それでは、始めるとしよう…ん、ちゅぅ…れろっ、んちゅぅぅ♪」同時に人差し指と中指を突き入れ、ぐちゅぐちゅと提督の膣内をかき回すチェザーレ…
提督「んっ、んぐぅ゛ぅっ……ん゛ーっ♪」
………
…しばらくして…
提督「はぁ、はぁ…はあっ……もう、チェザーレったら…危うく窒息するところだったじゃない」
チェザーレ「まぁそう言うな。不意のキスで目を丸くしている提督も可愛くてな…ついやってしまったのだ」
提督「…相変わらず口が上手いんだから」
チェザーレ「弁舌はキケロにも褒められたと言うのが自慢でな……さて、改めてレモネードをちょうだいしよう♪」
提督「はいはい…んっ///」
チェザーレ「ごくっ、ごくっ……どうした、提督よ?まだ身体がうずくのか?」
提督「え…ええ……あれだけされたから、腰がぞわぞわして…んっ///」ふとももをこすり合せるたびに「にちゅっ…」という、まるでタコや貝類を水槽から引きはがしたような音をさせている…
チェザーレ「ふふ…チェザーレは満足したぞ♪」
提督「もう、チェザーレの女たらし…///」
チェザーレ「ふふ、お褒めにあずかり恐縮である…提督、身体が熱いなら海でさっぱりさせたらどうだろうか」
提督「…なら立たせて///」
チェザーレ「承知承知♪それ、肩を貸そう♪」
ライモン「…あれ、提督?それにチェザーレとルチアまで?」
チェザーレ「おぉ、ライモンド…遠泳はどうであった?」
ライモン「気持ち良かったですよ……ところで、今まで何をしていたんです?」
チェザーレ「提督もチェザーレも疲れてしまってな、パラソルの下でぐっすりと寝こけていた所よ……ルチアは退屈だったであろうから、もう少し遊ばせてやってもらえぬか?」
ライモン「あ、はい…ルチア、おいで♪」
ルチア「ワンッ♪」
チェザーレ「…さ、早く海に入ってそのねっとりした愛液を流すことだ♪」
提督「…ええ///」
提督「あー…ひんやりして気持ちいいわ」
チェザーレ「うむ、少し焼けた肌に沁みるが……これも夏らしくて良い」
提督「ええ、そうね♪」…と、クラウディアがライモンたちに向かって「しーっ」と唇に人差し指を当てるジェスチャーをしながら、提督の後ろからそっと近づいた……
クラウディア「…フランカっ♪」ぎゅむっ♪…と後ろから飛びつき抱きついたクラウディア
提督「ひゃあっ!?…って、お母さま?」
クラウディア「うふふふっ…久しぶりの海水浴は楽しいでしょうけど、そろそろお昼にしましょう?」
提督「ええ、そうね……って、どうして裸なの///」振り向いて絶句する提督
クラウディア「さて、どうしてかしら…♪」ふざけてファッションモデルのようなポーズを取ってみせるクラウディア…白く輝く肌、大きくて柔らかそうな乳房にもっちりしたふともも…と、ふっくらと甘く柔らかそうな身体を惜しげなく陽光にさらしている
提督「もう、ライモンたちもいるのよ?」
クラウディア「うふふ…目の保養になるでしょ♪」
シルヴィア「目の保養どころか、その美味しそうな裸を見たら心臓麻痺を起こすわ…さ、死人を出す前にこれを着なさい」後からやってきたシルヴィアが、ゆったりしたパイル地のバスローブを渡した…
クラウディア「もう…シルヴィアったら、そんなに私の身体を見せたくないの?」
シルヴィア「ええ。私は欲張りだから、クラウディアは私だけのものにしておきたいわ」そう言ってぎゅっと後ろから抱きしめる…
クラウディア「まぁ…///」
提督「はいはい。お母さまたちの惚気は素敵だけど、聞いているとお昼を食べないうちにお腹が一杯になっちゃうわ…みんな、そうなる前にお昼をいただきましょう?」
ライモン「…そ、そうですね///」
アッテンドーロ「そうね、今のはかなり『ごちそうさま』だったわ」
チェザーレ「ふふ…まさに「この母親にしてこの提督あり」であるな♪」
提督「あー…ルチアもおやつにしましょうね?」
ルチア「ワフッ…♪」濡れた身体をぶるぶるっ…と震わせると、提督の脚元にまとわりついて尻尾を振った…
ライモン「ええ、ルチアにもちゃんとおやつを用意して……」急に振り向くと水平線に目をこらした
提督「…どうしたの?」
ライモン「今、沖合に何かいたような気がして…すみません、気のせいだったようです」
提督「少し疲れたんでしょう……後で一緒にお昼寝しましょうね♪」
ライモン「も、もう///」
………
…
青白い肌の娘「…見つけた」
全身白っぽい娘「…よろしい、後は接近できる機会を待て」
青白い肌の娘「…了解」
………
…数日後・朝…
声「……く、…とく」
提督「んー…むにゃ……」裸身をくるむ肌ざわりのよいタオルケットの感触と身体を揺すぶるやんわりとした揺れに身を任せ、心地よい眠りを堪能している…
声「…いとく……きてください……」
提督「んふふ……すぅ…」
別の声「…のね、フランカを……ときは……ると目を覚ますわ♪」
声「…かりました……ん、ちゅぅ///」
提督「ん……んっ、んんぅ?」柔らかな感触がいきなり唇に押し当てられ、甘い香りが鼻腔をくすぐった……息が苦しくなってぱっちりと目を覚ました提督…
提督「…ふわぁ…ぁ……」
ライモン「…さすがに効果てきめんですね///」
クラウディア「ね?…おはよう、眠り姫さん♪」
提督「おはよう、お母さま……今の「おはようのキス」はライモン?」
クラウディア「うふふっ、そうよ…さぁ、そろそろ朝食を食べにいらっしゃい♪」
提督「ええ……んーっ、今日もいい天気ね。こういう天気だと朝寝坊も気持ちがいいわ♪」
ライモン「もう、いくら何でもお寝坊ですよ…あんまり提督が遅いので、ムツィオと先に朝食を済ませてきちゃいました」
提督「いいんじゃないかしら…さてと、それじゃあ起きるとするわ♪」
…提督はベッドから「よいしょ」と起き上がると、ウォークイン・クローゼットになっているアルコーヴ(入れこみ)から洋服を取り出し、どうにか身体に合いそうなものを着た……その横では提督のお尻が悩ましげに揺れるのを見ながらライモンが頬を赤らめ、困ったような表情を浮かべている…
提督「それじゃあ私は朝食をいただくとしましょう…ライモン、よかったら食後のコーヒーを付き合ってくれる?」
ライモン「ええ、もちろんです///」
…食堂…
提督「ふふっ、どれも美味しそう♪」
シルヴィア「ええ、美味しかったわよ。何しろクラウディアの料理だものね…ん、ちゅ……おはよう、フランカ」
提督「んっ…おはよう、シルヴィアおばさま♪」
シルヴィア「さ、冷めないうちに食べなさい?」ほっぺたにおはようのキスをすると、また「レプブリカ」紙を読む作業に戻ったシルヴィア…傍らにはコーヒーカップが置いてあり、時折すすっては満足げなため息をついた…
提督「それじゃあ…♪」
…目の前のお皿には、もっちりとしたフォカッチャ風の生地とパリパリの皮が絶妙な丸パン、広げた手ほどもありそうな香味野菜入りハムのスライス……パンにじんわりと染み込んでいる黄緑色のオリーヴオイルに、トマトとナスにズッキーニで出来た冷菜、アンチョビを詰めた酢漬けのオリーブ……果物にはみずみずしいスイカとメロンのスライス……と、南イタリア風の献立がにぎにぎしくテーブルに並んでいる…
提督「…んぅ、おいひい♪」
クラウディア「美味しい?…よかった♪」目の前に座っているクラウディアは頬に手を当て、にこにこと笑顔を浮かべている
提督「んむ……このハムが好きなのも覚えていてくれたのね」…ハムは中に小さく角切りにしたチーズやインゲン豆、脂身が散らしてあって、小さい頃から提督の好物だった
クラウディア「ええ。今年の夏は帰って来るって聞いて、お肉屋さんで買って来たの♪」
提督「ありがとう、お母さま……ふぅ、食べたわ♪」…最後にオリーヴをつまんで口に入れると、食後のコーヒーに取りかかる提督……
アッテンドーロ「で、うちの提督は起きてきたの…って、起きてるじゃない」
提督「おはよう、ムツィオ♪」
アッテンドーロ「おはよう、提督。どうせ昨晩は姉さんとお楽しみだったんでしょう…隠しても無駄よ?」
提督「ええ、もちろん…それに隠す気なんてないわ♪」
ライモン「///」
シルヴィア「ふふっ…ところでフランチェスカ」
提督「なぁに、おばさま?」
シルヴィア「後で射撃でもどう?せっかく戻ってきたんだし、久しぶりにあなたの銃を調整したら?」
提督「そうね、最近この辺りにもお肉が付いちゃったし…姿勢が変わったから照準も合わせないと……」困ったように自分の胸を見おろしつつ、両手で下から支えるようにしてぽよぽよと揺らす提督…
シルヴィア「それじゃあ後でね…ライモンドたちもよかったらいらっしゃい」
ライモン「はい、お邪魔させていただきます」
…シルヴィアの部屋…
シルヴィア「いらっしゃい。さ、入って」
ライモン「お邪魔します…わ、壁に銃が掛けてあるんですね……」
アッテンドーロ「へぇ、シックでいい趣味ね。気に入ったわ♪」
チェザーレ「うむ、丁寧に扱われている道具を見るのは気持ちがよいな」
シルヴィア「ありがとう…どうぞ、そこにかけて?」ライモンたちに椅子をすすめて、自分は作業台の片隅に軽く腰を下ろした
ライモン「…あ、ありがとうございます」…シルヴィアの部屋はシックな濃い茶色の家具と白い壁で統一されていて、ガンオイルと木部に塗る亜麻仁油の匂い、それに少しだけ煙草の香りが漂っている……壁のあちこちには散弾銃やライフルが専用のラックにかけたり、お洒落なヴェルヴェットを敷いたケースに収められて優雅に並んでいる…
提督「この部屋に入るのも久しぶりね…コレクションも相変わらずきれいだし、何だか落ち着くわ」
シルヴィア「褒めてもらって嬉しいわ。あなたの銃は今出してきてあげるからね」
ライモン「提督、提督…」鍵のかかった隣の部屋に入っていくシルヴィアを目で追いながら、ライモンが提督をつついた…
提督「なぁに、ライモン?」
ライモン「いえ…これってかなりすごいコレクションだと思うのですが……」艶やかなクルミ材の銃床も美しい、フランキの垂直二連ショットガンを眺めて言った…
(※フランキ…「ルイージ・フランキ」「ルイギ・フランキ」などとも言われるイタリアの銃器メーカー。散弾銃、狩猟用ライフルが主だが、以前は海軍制式採用の「フランキ・LF-57」短機関銃や「フランキ・SPAS12」散弾銃などの軍用小火器も作っていた)
提督「そうね…この散弾銃も軽く百万は下らないんじゃないかしら」
(※ユーロと復活したリラが並立している設定…リラと円がだいたい同じレートになっている)
ライモン「ひゃ、百万ですか…」
提督「おばさまは華美な飾りを入れないからその値段で済むけれど、もっと高い銃はいくらでもあるのよ?」
アッテンドーロ「…なかなか贅沢な趣味ってわけね。提督、この銃は?」かなり使いこまれているが綺麗に手入れされて、丁寧に壁のフックに載せてある一丁を指差した
提督「あぁ、これ?…ベネリの12ゲージ散弾銃で、おばさまのお気に入りなの……ほら♪」よく見ると引き金の上、機関部の金属に刻印が入っている…
(※ベネリ…イタリアの機械・銃器メーカー。「ベネリ・スーペル90」など軍用散弾銃を多く手掛けている)
アッテンドーロ「えーと、なになに…「シルヴィアへ愛を込めて…クラウディア」って彫ってあるわね」
シルヴィア「そうよ。それは私たちの結婚記念にクラウディアが注文してくれた散弾銃なの、今でも時々使わせてもらっているわ……はい、あなたの銃よ」口の端に笑みを浮かべて嬉しそうに言いながら、ガンケース数個を抱えて戻ってきた
提督「ありがとう、おばさま…さっそく開けさせてね♪」
シルヴィア「あなたのなんだもの、好きになさい…その間に私は隣で他のを手入れするわ」そう言って椅子にかけてあったエプロンをつけた…
チェザーレ「ほう、隣にも銃がしまってあるのか…よかったらチェザーレにも見せてもらえないだろうか」
シルヴィア「…フランカ」
提督「大丈夫よ、口は堅いわ…ね、チェザーレ?」
チェザーレ「うむ、何があってもチェザーレは他言しないと約束しよう」
シルヴィア「そう…ならどうぞ」
提督「せっかくだから私も行くわ…おばさまのコレクションは本当にすごいもの♪」
シルヴィア「ふふ、それじゃあみんなでいらっしゃい」
…隣の部屋…
チェザーレ「おぉぉ…これは素晴らしい……」
ライモン「これだけあったら一個小隊ぐらい楽々とまかなえそうですね…」
アッテンドーロ「あきれた、鎮守府の小火器保管庫よりもたくさんあるんじゃない?…戦争でも始めるつもりなの?」
提督「私も初めて見た時はそう思ったわ……それだけじゃなくて状態もすごくいいの」
シルヴィア「貴重なコレクションだもの…そうね、あなたたちの世代ならこの銃はお馴染みじゃないかしら?」シルヴィアは壁に掛けてある数丁の短機関銃から一丁を選び出し、フックから下ろした…
ライモン「あ、知ってます…ベレッタ短機関銃ですね」そっと受け取って重さを確かめるように抱えた…
シルヴィア「ええ、M1938「モスキト」(蚊)ね…ちなみにどれもちゃんと動作するわ」
ライモン「え…」
提督「そうなの、だからこの部屋にある銃のほとんどは違法よ……民間人のフルオート火器の所有は許可されないし、これだけあるとなおの事…ね」
シルヴィア「まさかこれだけの歴史的遺産をスクラップにしろって言うの?…冗談じゃないわ、余計なお世話よ」…肩をすくめるとラックからカルカノM1891/38歩兵用ライフルを降ろし、きちんと手入れされ暖かみのある木部を撫でた……隣には戦中のドイツ軍が使っていたスコープ付きの「Kar98」狙撃銃がかけてあり、横にはフランキの「LF-57」短機関銃とイスラエル製の傑作短機関銃「UZI」(ウージー)が並んでいる…
アッテンドーロ「確かに綺麗な物ばかりね…」辺りを見回してしきりにうなずいている…
チェザーレ「これに比べたら海軍博物館もかたなしかも知れぬ…うぅむ」
…部屋にある博物館のようなケースにはピストルが並び、ベレッタ・ピストルはシルヴィアが揃えている分を年代順に「M1934・M1935」「M1951」「M84」「M92」と並べている…壁のカルカノ・ライフルは6.5ミリ口径の「M1891」、銃身の長い「M1891/41」など数丁が銃剣と一緒に掛けてあり、狙撃用スコープは棚の引き出しに収まっている……床には古くなった絨毯を敷いてあり、その上には「がらくた」として有名な「ブレダ・M30」軽機関銃が二脚を拡げて据えてあり、その隣にはどうやって入手したのか、大戦中のドイツ軍が頼りにしていた軽機関銃、「1943年製」の刻印もくっきりと入っている、ピカピカの「MG42」汎用機関銃が置いてある……
アッテンドーロ「あー…提督」…しばらく銃を観賞していたアッテンドーロが不意に声をあげた
提督「なぁに、ムツィオ?」
アッテンドーロ「提督が最初にこれを見たのはいつ頃なの?」
提督「あれはたしか……私が高校生ぐらいの頃だったと思うけれど…どうして?」
アッテンドーロ「いえ…初めてライフルを持った頃の話は聞いたけど、十代の頃の提督ってどんなだったのか気になって……」
提督「あー…その頃の私は大人しい「いい子」で勉強もよく出来たし、家庭教師のお姉さんにもうんと褒められていたわね」
アッテンドーロ「大人しいはともかくとして、「いい子」だったって言うのは本当かしら……学校の先生を口説いて色々と「おまけ」してもらっていたんじゃないの?」
チェザーレ「はははっ、提督ならやりかねんな♪」
提督「もう、失礼ね…私がそんなことすると思う?」
ライモン「えーと、申し訳ないですが……こればかりは提督を信じて「その通りです」とは言い切れないですね」
提督「むぅ…シルヴィアおばさま、今の聞いた?」
シルヴィア「聞いているわよ…そうね、フランカの学生時代がそんなに気になるのならクラウディアに聞いてみなさいな。きっと話したくてうずうずしているでしょうし」
提督「そうね、それがいいわ。私とおばさまは銃の手入れにしばらくかかるし、その間お母さまが一人ぼっちではつまらないもの…みんな居間でお茶でも飲みながら聞いてみたら?」
アッテンドーロ「そうね、それはいいかも知れないわ…姉さんはどうする?」
ライモン「うーん…そうね、せっかくだから聞いてみたいわ♪」
アッテンドーロ「じゃあ決まりね…チェザーレはどう?」
チェザーレ「ふむ…この銃器室も名残惜しいが、まだまだ夏休みはある……ご一緒させてもらおう」
提督「ふふ、じゃあ行ってらっしゃい…おばさま、一緒に銃の手入れをしましょう♪」
シルヴィア「ええ」
ライモン「…それでは提督、また後で♪」
提督「はいはい♪」
………
…居間…
クラウディア「…あの子の学生時代?」
アッテンドーロ「ええ、どんな子供だったの?」
クラウディア「そうねぇ……この辺りは小さくて小学校が隣の自治体(コムーネ)にしかなくって…車で送り迎えするにしても小さいフランカには大変だし、授業もそこまで難しくなかったから、必要な分だけ出席したら後は家庭教師のお姉さんを頼んで、あんまり学校には通わせていないの」
ライモン「そうなんですか」
クラウディア「ええ。でもあの子ったらとってもお利口さんで…詩とかオペラの文章、歴史のお話なんて簡単に覚えていたわ♪」
………
…提督・十歳前後の頃…
提督(小)「おかあさま、みてみて♪」…半分にたわめた紙を後ろ手に持ちながらにこにこしている
クラウディア「なあに、フランカ?」新しい服のデザインを考えていたクラウディアは手を止めて小首をかしげた…
提督(小)「あのね、今回の「イタリア全国統一テスト」が返ってきて…結果のところに「歴史と国語がとってもよく出来ています」って書いてあるの♪」レーダーチャートのついた多色刷りの用紙を広げて見せる子供時代の提督…
クラウディア「そう、それじゃあお母さまに見せてね……まぁ、とってもいい成績じゃない♪」よしよしと頭を撫でるクラウディア
提督(小)「えへへぇ…ねぇおかあさま、ごほうびをちょうだい?」きらきらした目で見上げてくる提督
クラウディア「はい、よくできました…ちゅっ♪」
提督(小)「ん、ありがと…それじゃあシルヴィアおばさまにも見せてくる♪」
クラウディア「はいはい…あ、ちゃんとエンリカにも見せるのよ?」
提督(小)「はーい♪」
…しばらくして・提督の部屋…
エンリカ「さてと…統一テストが返って来たのよね?」…フィレンツェの美大を目指して貯金をしている提督の家庭教師「エンリカお姉さん」が椅子に腰かけ、隣にちょこんと座っている提督に尋ねた
提督(小)「うん♪」
エンリカ「その様子だといい結果だったのね?」
提督(小)「あのね「歴史と国語がよく出来ています」…だって♪」
エンリカ「どれどれ…へぇ、確かにほとんど満点ね」
提督(小)「ねぇねぇ、エンリカお姉ちゃん…」チュニックの袖を軽く引っ張る提督…
エンリカ「ん?…なに、どうしたの?」
提督(小)「あのね、クラウディアおかあさまとシルヴィアおばさまにはもらったけど…エンリカお姉ちゃんもごほうびをくれる?」
エンリカ「別にいいけど…「ごほうび」って言ったってお姉さんはお菓子とか持ってきてないし、あげられる物なんて筆記用具くらいしかないわよ?」
提督(小)「ううん…あのね、エンリカお姉ちゃん……」
エンリカ「なに、何が欲しいの?」
提督(小)「わたしね…エンリカお姉ちゃんに「ちゅう」して欲しいの///」
エンリカ「そうね、成績もよかったしそのくらいは……えっ?」
提督(小)「お姉ちゃん……「ちゅう」してくれる?」
エンリカ「えーと…「ちゅう」ってキスのことでいいのね?」
提督(小)「うん、おかあさまとおばさまにはしてもらったけど、エンリカお姉ちゃんにも「よくできました♪」って「ちゅう」して欲しいの……だめ?」
エンリカ「いや…お姉ちゃんがもしフランカちゃんと「ちゅう」したら、クラウディアお母さんやシルヴィアお母さんに怒られちゃう……」
提督(小)「んー…それじゃあお姉ちゃん、この「ちゅう」はお姉ちゃんとわたしで「二人だけのヒミツ」にしよう……ね、それなら大丈夫?」
エンリカ「えーと…あのね……」
提督(小)「おねえちゃん…「ごほうびのちゅう」は算数も出来ないとだめ?」少し悲しげに結果の用紙を眺めている
エンリカ「ううん…これだけできたんだもの、お姉ちゃんがちゃんと「ごほうびのちゅう」してあげる♪」
提督(小)「わぁ、ありがとう……んーっ」顔を上に向けて目をつぶり、唇を軽く突きだす提督…
エンリカ「あ、えーと……それじゃあキスしてあげるからね…ちゅっ♪」額の髪をかきあげてエンリカが軽くキスをすると、提督(小)が目を開けて何やら不満げな顔をしている…
提督(小)「むぅ…」
エンリカ「え、なに…何か間違えた?」
提督(小)「エンリカお姉ちゃん……んっ♪」急に小さいふっくらとした両手でエンリカの頬を押さえ、上体を伸ばして唇を重ねた…ぷにっとした提督の唇の感触がエンリカに伝わってくる……
エンリカ「ぷはっ…ち、ちょっと!?」
提督(小)「あのね…お姉ちゃんとの最初の「ちゅう」は唇にしたかったの……わたしとお姉ちゃんの最初の「ちゅう」だから、だいじにしてね?」瞳をキラキラさせて、いかにも子供らしい生真面目な様子で言った…
エンリカ「…あ、ありがとう……大事にするわ///」
…数年後…
提督(中)「…エンリカ先生、できました♪」…十代も半ばの提督は急に胸もふくらみ、声も小さい頃より甘さが増していた……最初は子供の少ない田舎町で「年齢が近いお姉さん」と言うこともあって家庭教師をお願いしていたエンリカ…彼女も今や高校生になったが、クラウディアたちの好意もあって相変わらず隣で授業を教えている……
エンリカ「どれ、見せて……ふんふん、問題は「この時の主人公の気持ちを書きなさい」…ね」
提督(中)「…これでいいと思いますか?」
エンリカ「ごめん、ちょっと腕をどけて……あっ///」答案をのぞきこもうと身体を伸ばした瞬間に少しバランスを崩し、提督にもたれかかるような体勢になったエンリカ…
提督(中)「きゃっ…!」
エンリカ「ごめんね、大丈夫…?」
提督(中)「…私は大丈夫です。先生は?」
エンリカ「う、うん…私も平気……今どくからちょっと待って」(うわ…今まで数日おきに会っていたから気づかなかったけど、フランカったら凄く柔らかい///)
提督(中)「あの、先生……」
エンリカ「な、何かしら…フランカ///」
提督(中)「…どかなくても、いいです……んっ」
エンリカ「んっ…ん、ん、んちゅ……っ///」
提督(中)「…せんせい……///」
エンリカ「…し、しばらく休憩ね……ん、んちゅ……」
提督(中)「あふっ、んっ……先生」
エンリカ「なに、フランカ?」
提督(中)「私…エンリカ先生の事が好き…もっといっぱいキスしたい……♪」
エンリカ「…これでもし終わらなかったら、次回までの宿題にするからね……ん、ん、ん、んっ……んくっ…ちゅっ……ちゅるっ…んくっ、んぅっ……れろっ、ちゅるっ…///」
提督(中)「あふっ…ん、ん、んくっ…ちゅく、ちゅぽっ…んっ、んんっ……はぁ、はぁ、はぁ……んちゅっ、ちゅるっ…///」
エンリカ「…んちゅっ……はぁはぁ…ふぅ……ほら、休憩はおしまい///」(それにしても何て気持ちいいキス……これじゃあ年下の生徒なのに、丸っきりいいようにされてるじゃない///)
提督(中)「…エンリカ先生、大丈夫?」
エンリカ「大丈夫よ……それにしても、どこでこんなキスを覚えたの?」
提督(中)「えーと…誰にも言わない?」
エンリカ「言わないわ、先生の口が固いのは知っているでしょ?」
提督(中)「じゃあ……実は、お母さまとおばさまに教えてもらったの///」
エンリカ「うぇっ!?……え、映画とかじゃなくて?」
提督(中)「うん…お母さまは私が子供の頃から「いい、フランカ?…良い大人になるには教養が大事よ♪」って言ってて……」
エンリカ「…まぁ、それは大事よね」
提督(中)「それで私が子供の頃は「ピッツァの上手な食べ方」や「フォークとナイフの持ち方」とか…それで、最近は「相手の女の子が悦んでくれるようなキスは「好き」「愛している」って言う気持ちを込めたときにだけできるの♪」って……気持ちはいっぱい込めたけど、先生は……気持ち良くなってくれたかしら?」
エンリカ「えーと…ね、正直に言うと……」
提督(中)「…う、うん」
エンリカ「……とろけるみたいだったわ…ちゅっ、んちゅっ……///」
提督(中)「よかったぁ…ん、んふっ…んちゅっ///」
…さらに一年後…
エンリカ「それにしてもフランカが高校生ねぇ…正直、急にあなたが大きくなったような気がするわ」
提督(高校生の頃)「ふふっ、そんなおばあちゃんみたいなこと言って…せいぜい三つぐらいしか違わないんですよ?……ところで、宿題でもらって来たこの問題が分からなくて…教えてもらえますか?」
エンリカ「ええ、ちょっと待ってね……何これ、最近の子はこんな難しい問題をやってるの?」
提督(高)「いえ、学校の国語(イタリア語)の教科書はちょっと簡単なので……高三クラスの教科書です」
エンリカ「あー、進度によって授業ごとにクラス分けするアレか…ちょっと待ってね……」あごに手を当てて眉をひそめている…
提督(高)「…ねぇ、先生///」そっとふとももに手を置き、耳元でささやいた…
エンリカ「ちょっと…あなたが「宿題が分からないので手伝って下さい」って電話してきたから来てあげたのよ?」
提督(高)「ふふっ…だってエンリカ先生に会いたくって///」
エンリカ「いいけど、宿題が終わらなくて困るのは誰?」
提督(高)「大丈夫です、分からないのはそれだけですから……あ、それともう一問だけ」
エンリカ「ほらやっぱり…なに、どの問題?」
提督(高)「その…先生にキスしてもらうにはどうしたらいいのか分からなくて……模範解答を教えてくれませんか///」
エンリカ「そんなの簡単よ、今みたいにおねだりすればいいわ…ん、んちゅ……ちゅるっ、ちゅぷっ…」
提督(高)「んふっ、んぅ……ちゅるっ…あ、んっんっ…んはぁ……ちゅぅっ…///」
エンリカ「ん…んくっ……んちゅ……んんぅ、舌が…入って……んふっ、んくぅぅ…///」
提督(高)「エンリカ先生……脱がしますね……んちゅ、ぴちゅっ♪」
エンリカ「普段からクラウディアさんみたいなきれいな人を見慣れてるあなたからしたら、私のがりがりの身体は面白くないんじゃ……あっ、んんぅ…ひゃうっ///」
提督(高)「先生の…ちゅっ……身体は、お母さまたちとはまた違うけれど…ちゅぅ…すらっとしてて……綺麗です…んちゅっ…♪」はだけさせたブラウスからのぞくエンリカの肌に顔を近づけ、鎖骨、胸元、脇腹…とキスしていく…
エンリカ「んんぅ…フランカ、あなたこそしっとりして柔らか……ちゅぷっ…んぅっ///」提督のふとももに手を伸ばして下着をずり下げると、絵筆で出来たタコのある指でぎこちなくまさぐった…
提督(高)「んんぅ…エンリカ先生……手もひんやりしてて…んっ、んんっ♪」
エンリカ「…フランカこそ、温かくてとろっとしてる……んあぁぁっ///」
提督(高)「あ……先生はここが弱いんですね…んふふっ、すごい濡れちゃってます…よ♪」
エンリカ「そうなのっ…んぁぁっ、そこっ……んっ、あぁっ///」
提督(高)「それじゃあ…ふとももをのせて……こうして…」
エンリカ「あっあっあっ…それ、いいっ……あぁぁっ!」くちゅくちゅ…と水音を立てて、昼下がりの日差しが照らす床で重なり合う二人……と、急にドアがノックされた…
クラウディアの声「フランチェスカ。エンリカ先生……飲み物を持って来たけど、入っていいかしら?」
エンリカ「…っ!?」
提督(高)「ちょっと待って、お母さま…今問題を解いているところなの♪」…くちゅっ、にちゅっ♪
クラウディア「そう、それならもう少し後にしましょうか?」
提督(高)「ううん、もうすぐ終わるから……そこで待っていてくれる?」
エンリカ「…ちょっとフランカ……んぐぅ!?」何かを言おうと開きかけた口に舌を絡められ、同時に濡れた秘部にほっそりした指を入れられた…
提督(高)「しーっ…ばれないようにがんばろう、先生っ?」
エンリカ「ん、くぅぅ…んんっ……んんぅぅっ///」奥歯を食いしばって身体をひくひくさせるエンリカ…ふとももをつたって蜜がとろりと垂れている……
提督(高)「…んふふっ。もし「お母さまに見られちゃったら」と思ったらすごくどきどきして気持ち良かった……さ、早く服を直さないと♪」
クラウディア「フランカ、そろそろいいかしらぁ…?」
提督(高)「もうちょっと……はい、終わったわ♪」
クラウディア「それじゃあ入るわね…二人ともこんな暑い時間に勉強していたから冷たいものが欲しかったでしょう♪」
提督(高)「ええ。ありがとう、お母さま♪」
エンリカ「ふー、ふーっ…ありがとうございます……」
クラウディア「……フランカ」ふと床に目を留めると、グラスを渡すときにこっそり耳打ちした
提督(高)「…なぁに、お母さま?」
クラウディア「…エンリカ先生の下着、落ちてるわよ♪」すっかりお見通しのクラウディアは、ぱちりと小さなウィンクをしてみせた…
…夕食時…
アッテンドーロ「…って言うような話を聞かされたわ」…夕食に並んだピッツァ・マルゲリータを皿に載せ、さらに卵をたっぷり使った鹿肉のピカタを取る…さっぱりした赤ワインでニンニクの風味が効いた鹿肉を流し込む……
提督「あー…まぁそう言う感じではあったわ。ちなみにエンリカ先生は夢がかなってフィレンツェで芸術家になっているそうよ♪」…提督は薄い生地にチーズがとろりと溶けた、火傷しそうなマルゲリータをふーふーさせながらくるりと丸めて口に運んだ……それから夏場の常備菜になっている、バジルがほどよく使われた野菜の煮込みをたっぷりとよそい、唐辛子入りのオリーヴ油を少しかけた…
ライモン「あの、そう言う問題では…」
チェザーレ「はははっ、チェザーレもこれには参った♪」普段は威風堂々とした武人として提督を支えるチェザーレだが、女たらしで有名だったチェザーレらしく、意外に好色な所もある…今も提督の浮いた話を聞いて「分かっている」といった笑みを浮かべてみせた……
クラウディア「…ところでフランカ、あのつんとしたお嬢さんはどうしてるの?」
提督「どのお嬢さん…もしかしてマリーのこと?」
クラウディア「そうそう、前に一度だけ泊まりに来てくれたじゃない…フランス海軍のマリーちゃんよ♪」
提督「あぁ、マリーね…そう言えばまだ見せてなかったかしら」部屋に戻ると、数枚の写真と細長い箱を持って来た提督…
クラウディア「なぁに…それ?」
提督「この間の交流プログラムで「タラント第六」に来た提督たちの写真よ♪」
シルヴィア「へぇ、三人も来たのね…」
提督「ええ、来訪する提督たちは数の都合で前期と後期の二回に分けてあるのだけど……驚いたことに前期の提督は全員知り合いだったの。で、これがその時の写真♪」…写真には提督を始めミッチャー提督、百合姫提督、エクレール提督と鎮守府の艦娘たちがずらりと勢ぞろいしている…
クラウディア「あらまぁ、この黒髪のお嬢さんはとっても可愛らしいわ…あ、この金髪はマリーさんね♪」
シルヴィア「…こっちの褐色の人はアメリカの提督?」
提督「ええ。このグラマーな女性がアメリカのミッチャー准将…私がナポリにいた時から知り合いで「ジェーン」って呼んでいるわ♪」
クラウディア「それで、このお嬢さんは?」
提督「彼女が横須賀の百合姫提督。で、他の荷物にまぎれて忘れていたのだけど…お母さまたちに姫からのお土産♪」何やら金文字で漢字が印刷されている緑色の箱を渡した…
クラウディア「ねぇ、フランチェスカ…これ、なんて読むの?……シルヴィア、貴女ならわかる?」
シルヴィア「えーと、私も漢字はあんまり強くないけど…とりあえず「清酒」って書いてあるのは分かるわ。つまり日本のお酒ね」
提督「ええ、何でも鎮守府でしか買えないらしいの……えーと、もらったメモがどこかに…あぁ、あった」
クラウディア「開けてもいいかしら♪」
提督「お母さまたちへの贈り物なんだから好きにして?…えーと、このお酒は清酒「友鶴」っていうそうよ……口当たりはいいけどかなり度数が高いお酒だから「『友鶴』だけにひっくり返らないよう」注意してほしいって書いてあるわ」
シルヴィア「それじゃあ後でいただくとしましょう……ね、クラウディア?」
クラウディア「ええ、食後にちょっとずつね♪…あ、そう言えば」
提督「なに?」
クラウディア「この間、街の雑貨屋さんに売れ残った手持ち花火をもらったのだけど…よかったら後でしましょうか♪」
ライモン「わぁ、夜に花火なんてきっと綺麗です♪」
アッテンドーロ「へぇ、いいじゃない…ねぇ提督?」
提督「ええ、いいわよ。それじゃあ花火を楽しみながらワインでも傾けましょう」
クラウディア「それならいっそ、この「友鶴」を砂浜に埋めて冷やしましょう…ね、シルヴィア♪」
シルヴィア「クラウディアの好きなようにしていいわよ…それじゃあ後で浜に行きましょう」
提督「夜は意外と冷えるから、みんな羽織るものを忘れずにね?」
ライモン「はい♪」
チェザーレ「承知した」
アッテンドーロ「ええ、分かってるわ」
………
…夜・海岸…
提督「バケツの準備はいい?」
ライモン「はい、ここにあります…♪」残り火で火事になったり火傷をしたりしないよう用意したバケツを置くと、提督と手をつないで少し恥ずかしげな笑みを浮かべるライモン…
アッテンドーロ「さ、早くやりましょうよ」
クラウディア「ちょっと待ってね…チェザーレもどうぞ♪」
チェザーレ「うむ、かたじけない」
クラウディア「フランチェスカ、あなたにも…はい♪」
提督「ありがと、お母さま。…ライモン、一緒に火をつけましょう?」
ライモン「はいっ♪」
チェザーレ「ふふ、仲睦まじい光景であるな……どれどれ、チェザーレも一つやってみるかな」小さい打ちあげ花火と手持ちの花火が数種類入っていて、チェザーレのは火を付けるとシューッ…と紅い火が空に上っていった…
チェザーレ「おぉ、なかなか綺麗ではないか…♪」
ライモン「ふふ、こういう小さな花火もいいものですね…///」提督にくっつくようにして小さな手持ち花火を眺めている
提督「そうね。あら、ライモン…肩が冷えているわ……ほら」ゆるいガウンをふわりと肩にかけてやり、二人でくるむように羽織った
ライモン「…あ///」
アッテンドーロ「ふぅん…姉さんは提督と熱々のようだから、私は一杯いただくことにするわ……クラウディア、よかったら私にもくれないかしら」
クラウディア「はい、どうぞ♪…んー、このお酒、甘みがあって美味しい♪」
シルヴィア「あんまり飲み過ぎちゃだめよ」
クラウディア「ええ。でも…もし酔ったら抱っこして運んでくれる?」
シルヴィア「もちろん…」波が洗う砂浜に埋めておいた「友鶴」をきゅーっとあおり、ピックにさしたチーズや黒オリーヴ、刻んだタコと言ったおつまみをちびちびとつまんだ…
…しばらくして…
クラウディア「ふふふっ、楽しかったわねぇ…♪」
シルヴィア「クラウディアったら、少し酔っているみたいね……さ、約束通り運んであげるわ。フランチェスカ、悪いけれど後はお願い」クラウディアをお姫様抱っこし、慎重に小道を歩いていく…
アッテンドーロ「こうやって静かにやる花火もなかなかいいものだったわね…さてと、後はもう寝るだけ…と……ふぁぁ」花火のごみを持つとあくびをしながらシルヴィアに続いた
チェザーレ「ふむ、チェザーレはこれから入浴させてもらおう…それから髪の手入れを行わねば♪」
アッテンドーロ「うぇぇ…だとしたら数時間は化粧台の灯りが点きっぱなしね……」
チェザーレ「済まぬな、ムツィオ…しかし、最近はどうも髪の質が気になってな」
アッテンドーロ「別にどうもなってないわよ…するっと指が通るじゃない」
チェザーレ「そう言うな、これもチェザーレなりのたしなみなのだ……」
ライモン「…提督、それじゃあわたしたちも行きましょうか……少し名残惜しいですが///」
提督「ふふ、二人きりになれる機会はこれからもいっぱいあるわ…さぁ、行きましょう♪」優しく唇にキスをすると、そっと肩に手を回した…
…部屋に戻った提督はパジャマ姿のライモンを迎え入れ、化粧台の前に座らせたライモンの髪を優しく梳いてやりながら、穏やかな気分でおしゃべりを続けていた……が、急に額に手を当てるとあきれたような声を上げた…
提督「いけない…っ」
ライモン「どうかしましたか?」
提督「ええ、砂浜に置いておいた「友鶴」を忘れてきちゃったわ……ちょっと取りに行ってくるから、ここで待ってて?」
ライモン「でも、提督はもうナイトガウンですし…明日ではいけませんか?」
提督「あそこだと満ち潮になったら流されちゃうかもしれないし…姫が重いのにわざわざ持ってきてくれたお酒だもの、取って来るわ♪」
ライモン「足元に気を付けてくださいね…?」
提督「大丈夫、懐中電灯を持って行くわ♪」
…再び海岸…
提督「えーと、どこに置いたかしら…」懐中電灯を振りながら波打ち際を探す提督…と、黒く湿った砂の穴に半分埋めてある瓶を見つけた
提督「あー、こんなところに…ようやく見つけたわ……♪」ちゃぽちゃぽと瓶を振って量を確かめると、砂を軽く払ってから片手にぶら下げた…波打ち際に背を向け、家の方に戻ろうとする提督……と、音も立てずに二つのシルエットが海から上がってくると、そっと提督の背後に近寄った…
青白い姿「…」指を開いたり閉じたりしてハンドサインを送る青白い肌の娘…
白い姿「…」軽く頷く真っ白い肌の娘…胸元には白化したサンゴのような白っぽい首飾りが下がっている……
提督「さてと、それじゃあ戻るとしましょうか…ライモンも待っているでしょうし……っ!?」不意に腐りかけた海藻と潮の匂いが混じったような臭いが鼻をつき、気になって振り向こうとした提督…
白い肌の娘「…!」その瞬間に提督へとびかかり口元を押さえ、同時に昆布かイカのようにぬるぬるした腕で提督の首を締め上げる…
提督「ん、んっ…んんっ、んーっ!」長身の提督がもがいているにも関わらず、びくともしない白い肌の娘…
青白い肌の娘「…急げ」
白い肌の娘「…」ぎゅうぎゅうと首を締め上げ、じたばたと暴れる提督を押さえこむ…
提督「ん゛ーっ!…んっ、ん………」首にかけられた粘っこい筋肉質の腕を意識しながら必死で懐中電灯を振り回し、後ろの相手を引きはがそうとする提督…が、「きーん…」と甲高い音と同時に息が苦しくなり、とうとう視界が真っ暗になった……
青白い肌「…よし、撤収する」
白い肌「了解…」二人は提督を抱えたまま沖合のシルエットに向かって泳ぎだし、最後に「ちゃぽっ…」と水音を残して海に消えた…
…居間…
ライモン「それにしても、提督はずいぶん遅いですね……」
チェザーレ「ふぅー…入った、洗った、出た!」ほかほかと湯気を立てながらバスローブを羽織り、頭にタオルを巻いているチェザーレ…
ライモン「そんな、チェザーレじゃないんですから」
チェザーレ「いかにもチェザーレはチェザーレだが…それよりライモンドはどうしてここに?」
ライモン「えぇと、そう言う意味ではなく……実は、提督が忘れ物を取りに浜に行ってまだ戻ってこないんです。なので今から探しに行こうかと…」
チェザーレ「ほう?…よかったらチェザーレも同行するか?」
ライモン「いえ、わたしだけで平気だと思いますが……」
アッテンドーロ「二人ともどうしたのよ?」
チェザーレ「おや、ムツィオも来たのか…何でも提督が海岸に忘れ物を取りに行って、まだ戻らぬらしい」
アッテンドーロ「そうなの?じゃあ私が見て来るわ。…もしかしたら足でもくじいたのかも知れないし。姉さん、ルーチェ(灯り)を」
ライモン「持ってるわ…それじゃあチェザーレさん、ちょっと待っていて下さい」
チェザーレ「いや、チェザーレもついて行くとしよう…庭からも照らした方がよく見えるだろうからな」もう一つあった懐中電灯を取り上げ、入るかどうか試す…
ライモン「ありがとうございます」
チェザーレ「なに、構わぬよ…まぁ、提督の事だからな。きっと夜空に見惚れていたと言ったところであろう」
ライモン「ならいいですが…」
………
…海岸…
ライモン「…っ、ムツィオ!」
アッテンドーロ「ここにいるわ…これ、提督が持っていた懐中電灯なんでしょ?」
ライモン「うん、お酒の瓶も落ちてるし……それに何より」
チェザーレ「この生臭いような臭い…間違いあるまいな」
ライモン「あぁ、もう…わたしが一緒に行けば良かった……それにもっと早くにおかしいって気づけば…っ!」
チェザーレ「仕方あるまい…こんなことは前代未聞だからな。とにかく、付近を探すことにいたそう」
アッテンドーロ「探照灯でもあればいいんだけど…ねぇ、装具なしで艦を呼び出せると思う?」
ライモン「やってみなければ分かりません…とにかくあのバチあたりな深海棲艦に砲撃をお見舞いしてやります!」
チェザーレ「待て、ライモンド!提督ごと連中を撃沈する気か?…それより近隣の鎮守府に連絡を入れて、この辺りで不審な艦影を捉えていないか聞くのが先決だろう」
ライモン「ですが、このままでは最悪の事態すら…!」
チェザーレ「それはあるまい…もし提督を葬る気ならわざわざ連れて行ったりはせぬはずだ……とにかくクラウディアたちにも事情を説明して、それから対策を立てるのがよかろう」
ライモン「…了解……提督、無事でいてくださいね…」
シルヴィア「…フランカがさらわれた?」
チェザーレ「うむ…こちらも油断していたとはいえ、まさか海から上がって来るとは……」
クラウディア「それで……あの子は大丈夫なのかしら…」
チェザーレ「それについては何とも言いかねる…が、連中がどこの誰であろうとチェザーレは提督を助けるために全力をもってすることを約束いたそう」
シルヴィア「とりあえずはそれで十分よ…で、何か必要なものは?」
チェザーレ「まずは電話をお借りしたい。近隣の鎮守府に敵影を捉えていないか聞いて回るつもりなので…それに、場合によっては我が鎮守府の面々にも動いてもらうことになるやもしれんからな……」
ライモン「いえ、たとえ戦艦だろうと空母だろうとわたしが切り込んで海の底に送り返してやります!…提督、心配しないで下さいね。貴女のライモンが必ず助けに行きますから……」
アッテンドーロ「姉さん、少しは落ち着きなさいな…提督だって子供じゃないんだから、きっとうまい脱出の手段を考えているわよ」
ライモン「うぅ、それはそうですけど……」
シルヴィア「とにかく電話と…もし銃が必要なら好きなのを持って行きなさい」
チェザーレ「かたじけない…」
…一方・海中…
青白い肌の娘「こちら「トーベイ」…目標を確保、帰投する」…あちこちに白化したサンゴや牡蠣殻がくっついた幽霊船のような艦内で、通信用アンテナを伸ばして電文を発信する、戦時のイギリス潜「T」級第一グループの深海棲艦「トーベイ」……
白い肌の娘「こちら「タリスマン」……対象は気を失うも無傷、現在追撃なし」…同じく「T」級潜の深海棲艦「タリスマン」……胸に下げたタリスマンを片手でもてあそびながら、寝台に横たえた提督を眺めている……
トーベイ「これでキーズ大将もお喜びになることだろう…」感慨深げに腕組みをしつぶやくトーベイ…
タリスマン「ふふ…ロンメルほどの大物ではないにしろ、これならヴィクトリア・クロスも夢ではないな…それにしても、ムッソリーニの提督には女もいるのか……?」いぶかしげに眺めているタリスマン…
…カンピオーニ家・居間…
チェザーレ「あぁ、ドリアか…夏休み中だと言うのに済まぬ、実はな……」クラウディアの仕事部屋にある電話機を持ってきてもらい、事情を説明するチェザーレ…
チェザーレ「そうなのだ、おそらく連中にさらわれたらしい……何、出撃する?…出撃してどうするのだ、連中ごと提督を沈める気か?」
チェザーレ「さよう…もし皆がそれを聞いても動揺しないよう、ドリアには落ち着いてふるまってもらいたい」
チェザーレ「うむ、よろしく頼む」受話器を置くと、すぐ次の電話に取りかかった…
ライモン「チェザーレさん、わたしにも何かお手伝いをさせて下さい…何かしていないとわたし、心配で心配で…不安ばかり大きくなって……」
チェザーレ「承知した…ではライモンド、そなたは提督の携帯電話や手帳を見て、手を貸してくれそうな人を探してもらいたい」
アッテンドーロ「チェザーレ、私は?」
チェザーレ「ムツィオ、そなたはライモンドの見つけた人物のリストを作ってチェザーレに教えてくれ」
アッテンドーロ「了解…それなら姉さんのそばにいてやることも出来るわね」
チェザーレ「うむ…そうしてやってくれ」
………
…一応、本編を進める前に解説を入れておきます……かなりのスロウスタートで申し訳ないですが、引き続きがんばりますので…
英潜「T」級…イギリス海軍が1930年代に整備していた「O」「P」「R」級を更新するために計画した複殻式船体を持つ哨戒用潜水艦で、ロンドン条約のあおりを受けてサイズを縮めなければならなくなったが、その分隻数を増やし、無難で堅実な設計が幸いし、イギリス潜水艦隊の中核を担った……大戦中は改良を加え続け、隻数はグループ合わせて53隻にも上る
基準排水量は1090トン、主機はディーゼル2500馬力(水上)・電動機1450馬力(水中)で速度15.75ノット/9ノット。
兵装は21インチ(53.3センチ)魚雷発射管を10門(艦首6門、艦首水上発射口2門、司令塔脇の舷側水上発射口に2門)、司令塔前面張りだしに4インチ(10.2センチ)砲Mk12(MkⅩⅡ)1基、他にブリティッシュ.303口径(7.7ミリ)の機銃3基を装備…魚雷16本は二回分の斉射に足りないので継戦能力は低い代わりに、一回に十発を同時斉射できるので大型艦でも撃沈できる
…大戦中はその優れた実用性のおかげか本来の哨戒、攻撃以外にもイギリスらしい様々なコマンド作戦や「奇想天外なびっくり作戦」の母船として駆け回り、ノルウェーに潜んでいた戦艦「ティルピッツ」に対する小型潜水艦による特殊作戦「ソース作戦」では豆潜水艦「X艇」の曳航などに活躍した
…「T」級第一グループの「タリスマン」「トーベイ」も1941年11月17日(ゴムボートでの上陸自体はその数日前)、英軍の攻勢の前に「敵の指揮官を取り除き、ドイツ軍をパニックに陥れる」ためのコマンド作戦、リビアのイタリア植民村だった「ベダ・リットリア」に居を構えたロンメル将軍の司令部を襲撃する作戦で、隊員を輸送する任務を請け負った……が、「砂漠のキツネ」ロンメル将軍は数か月前に前線近くへ移動しており不在、同じくらい重要な補給部の幹部将校もいたがメンバーの早とちりや指揮官の負傷などでこれも襲撃に失敗……この作戦の立案者でもあったイギリス・コマンド作戦の計画責任者キーズ提督の息子も戦死と、作戦は完全な失敗に終わった…
(詳しい資料としては当事者に取材しているパウル・カレルの「砂漠のキツネ」がある)
…どこかの洞窟…
提督「むぅ…ん…」ずきずきする頭を抱え、うっすらと目を開けた提督…辺りは磯臭い湿った洞窟で、雫が滴るような岩が天井を形作り、湿っぽい粗末なマットレスを敷いた素っ気ないパイプベッドの上に寝かされていた……
タリスマン「おや、お目覚めか…」
提督「ええ。どうやらお客様としてお招きされたようね……招待状をもらっていたら、ちゃんとドレスを着てきたのだけど…」
タリスマン「冗談が言えるなら大丈夫だろう…私の後についてこい、陛下がPOW(捕虜)の話を聞きたいそうだからな」
提督「分かったわ…その前に化粧直しをさせてもらえる?」
タリスマン「髪をとかしたいならそこに櫛がある……言っておくがその櫛でどうこうできるほどこちらはひ弱ではないから、無駄な抵抗はするな」
提督「分かってるわ…まだ首が痛いもの……」どこかから流れ着きでもしたのか、柄が半分ほど折れているプラスチックの櫛で髪をとかす…鏡はないので仕方なく、岩のくぼみの水たまりで身づくろい出来たかを確かめる……
タリスマン「もういいだろう…」
提督「はいはい…全く、英国人はせっかちなのね……」提督は「深海棲艦由来」のねばねばした粘液が付いたナイトガウンを見おろして肩をすくめた…
…洞窟の廊下は意外と乾いた砂で出来ていて、所々に拾い物らしいランタンやランプが置いてある……時々行きかう深海棲艦はどれもセーラー服や英国風のドレススタイルに見えなくもない格好をしていて、色はいずれもイギリス地中海艦隊の迷彩にそっくりな、白っぽい地色に明るい灰白色と薄いグリーンの迷彩をしている…が、よく見ると地の色はすっかり白化したサンゴや波に洗われてしまった貝殻、灰色の部分は牡蠣殻やフジツボ、グリーンの部分はぬめぬめした藻類が張りついていて、まるで幽霊船に取り込まれ呪われた海賊たちのように見える……しばらくタリスマンに連れられて歩くと、急に天井の高い場所に出た…
タリスマン「陛下、例の捕虜を連れてきました」
女性の声「よろしい…トーベイ、タリスマン……ご苦労であったな」
提督「…」周囲にずらりと並んだ深海棲艦たちに多少緊張感を覚えつつも提督がじっと見つめると、広い空間の一番奥に岩棚が削れてできた玉座のような場所があり、そこに宝冠をかぶった深海棲艦が座っているのが見えた……と、その深海棲艦が座ったままラインダンスのように脚を上げると、ぬめっとした脚から何かを外した……
宝冠の深海棲艦「これをタリスマン、トーベイに与えよ…そなたらの働きに対する感謝の念であると…」お付きらしい深海棲艦にそれを渡し、そのお付きが二人に仰々しく授ける…
タリスマン「…身に余る光栄です、陛下」
トーベイ「これからも陛下と大英帝国のために、身命を尽くしてまいります…」
提督「…いったい何かしら……って、ガーターベルト…?」(もとよりガーター勲章はそう言う経緯で生まれたって言うけれど…ちょっと時代錯誤じゃないかしら)
深海棲艦たち「「ジョージ国王陛下、万歳!大英帝国に栄光あれ!」」
宝冠の深海棲艦「ありがとう、皆……ところで誰か、その捕虜を余の近くに連れてまいれ…話が聞きたい」
深海棲艦「さぁ、陛下の前へ…」大柄な深海棲艦に軽く腕をつかまれ、丁寧ながら否応なしに歩かされる……近くで見ると、岩でできた「玉座」には豪奢なクッションが置かれ、真っ白な深海棲艦の宝冠には綺麗な珊瑚珠(サンゴを磨いたもの…綺麗な紅や欧州で珍重されるピンク色がある)や真珠、小粒ながら見事なダイヤモンドがちりばめてある…
提督「………」冷たい目でじっと見られ、このままマストにでも吊るされるのかと思うとぞっとして、すくみあがりそうになる提督…
宝冠の深海棲艦「さて……」
提督「…ごくっ」
宝冠の深海棲艦「…まずは余の部下が手荒な真似をしたことをお詫びいたしましょう、カンピオーニ少将。…余はクィーン・エリザベスです」
提督「…その、女王陛下……そちらの招待の方法にはいささか驚きましたが…まだ無事でおりますから」
クィーン・エリザベス「…イタリアの提督に指揮能力があるかは存じませんが、少なくともユーモアのセンスがあるようですね」
提督「…お褒めいただき光栄です……それで、私のような一介の少将にどのようなご用でしょうか」
クィーン・エリザベス「あぁ…それはですね……」
………
乙々のんびり読んでる。(スロウスタート面白いよね)
>>59 グラツィエ。こちらも南イタリアらしく、ゆったりじっくりのーんびり…で進めていきます。あとは基本的にシリアスや無理やりなえっちはしません…
日々の疲れをほどよく癒してくれますね。えーかむの二人可愛いです……ちなみに「クラウディアお母さま」はえーこちゃんが大人になったようなふんわりした女性を想像してもらえるとだいたいイメージ通りです…
…しばしさらわれた提督の救出作戦が続きますが、特に命の危機にさらされたりはしませんのでご安心を……身体の方はともかくですが…
ちなみに節分なので豆を撒いて邪気を払いロールケーキで糖分を摂取したおかげか、いくつか百合小ネタを思いつきました…今後使う予定でいます
…深夜…
ライモン「チェザーレさん、次はこの方です…ナポリ第十二鎮守府……駆潜艇隊ですね」
チェザーレ「うむ、駆潜艇隊か…潜水艦相手ならちょうどいいではないか」
…武人の迫力と雄弁、それに持ち前の女たらしの能力をフルに活用して提督の手帳に載っている提督や司令、それに力を貸してくれそうな軍内の愛人やら恋人たちに片っ端から電話をかけるチェザーレ……交換手がいた頃の壁掛け電話よりずっと近代的なボタン式の電話を慣れない手つきでぎこちなく押しながら、少し息を整える…
チェザーレ「むむむ、まだ出ないか……」
チェザーレ「…もしもし、タラント第六のジュリオ・チェザーレですが…夜分遅くに申し訳ない……いかにも、司令はカンピオーニですが…」
チェザーレ「…いえ、実を言うと司令どのにちょっとした「個人的」頼みごとを…この数日、そちらの担当海域で深海側の潜水艦を捕捉あるいは探知したことは……」
チェザーレ「…確かにこんな時間ではなく昼間に電話を差し上げればよかったのでありましょうが、カンピオーニは年度末の戦果報告書を仕上げている最中で、差し戻しをうけてしまい…当方で損傷を与えた潜水艦がティレニア海方面に離脱したまでは分かっておるのですが、それが確認されないと戦果として公認できないと……ええ、いかにも…」
チェザーレ「…ちなみに、司令どのにカンピオーニから伝言もうけたまわっておりまして「ごめんね…でも、夜の方が貴女と近づけるような気がして♪」と……さようですか、この数日は潜水艦の艦影はなし……承知いたしました、そちらの愛の言葉はカンピオーニにも伝えておきますゆえ…では」
ライモン「どうでした?」
チェザーレ「駄目であった、しかし提督の腕前は大したものよ…いかにも眠そうで不機嫌な声が、「カンピオーニ」の名前を聞いた途端跳ね上がったぞ」
アッテンドーロ「で、あの愛の言葉は即興で?」
チェザーレ「いかにもチェザーレの即興よ…面倒をかける手前、何かくすぐったい言葉の一つもつけてやらんと……で、次は誰にかけるのだ?」
ライモン「あぁ、はい…次は……」
………
…一方・洞窟の大広間…
提督「…話を聞きたい、ですか?」
クィーン・エリザベスの深海棲艦「ええ…先ごろそちらの捕虜になっていたG級駆逐艦が帰投し、なかなか興味深い話を携えて参りましたので……ぜひ他にも色々とお聞きしたいと思いまして。それと、そちらではなかなか厚遇して下さったようで、そのお礼も…彼女をここへ」
G級の深海棲艦「…グッド・イヴニング、アドミラル」
…真っ白な身体に牡蠣殻の付いていない彼女は、以前の作戦で鎮守府の艦隊と交戦・大破しても救助を拒んで抵抗し、とどめを刺されて沈んだと思っていたイギリス・「G」級の深海棲艦……その場では艦と一緒に沈んだと思われた彼女は、ぬらぬらした海藻のような髪をチェザーレのスクリュー軸に巻きつけ鎮守府までこっそりついてくると、出迎えていた艦娘たちや提督に襲い掛かって暴れ回り、最後は歓迎のために鎮守府の重巡「ポーラ」が用意した「五十年もの」のシェリーの瓶で後頭部を一撃されてようやくノックアウトした…提督はその後数日間、G級を鎮守府の空き部屋で寝泊まりさせ、最後は衣服数枚を渡し、鎮守府の中型潜水艦「フィリッポ・コリドーニ」も防水加工した写真などを手土産に持たせ海に帰してあげた…
提督「こんばんは…それで、一体どのようなことをお聞きになりたいのでしょう……」
クィーン・エリザベス「ええ…G級から聞いたところによると今は大戦も終わっているとか……面白いおとぎ話ですから、ぜひ聞かせて欲しいのです」
提督「お、おとぎ話ですか…」
G級「…前に言ったでしょう、心にも厚く貝殻が付いているからまだ大戦が続いているつもりなのよ」
クィーン・エリザベス「ふふ…証拠さえあれば余も信じますよ?」
提督「えーと…少しお耳を拝借」…周囲で瞳をぎらつかせている深海棲艦たちを見て、うかつなことを聞こえるように話す訳にはいかないと顔を近寄せた……
クィーン・エリザベス「…それで、今は何年だとおっしゃったのかしら…燃料の乏しいイタリア王国海軍がまだ活動しているのですから、きっと1941年あたりでしょうね?」
提督「失礼ながら……年です」
クィーン・エリザベス「まぁ、ふふ…面白いことをおっしゃる……ですが証拠がありません」
提督「…私を見てどう思いますか」
クィーン・エリザベス「ふふ…白くて柔らかい女性ね、可愛らしいですよ……それが?」
提督「…大戦中は女性が提督になれましたか?」
クィーン・エリザベス「いいえ…ですが敵国の事は分かりません、そうでしょう?……それにあなたの名前も聞いたことがありますよ、カンピオーニ提督」
提督「あー…私は戦中のカンピオーニ提督とは縁もゆかりもないのです」
クィーン・エリザベス「そう言って取引に使われないようにしているのですね…なかなか殊勝な心がけです」
提督「むぅ…話がまるで通じないわ……」
クィーン・エリザベス「…それでは英国の話をなさってみたらいかが?それなら余も知っていることが大いにありましょうから」
提督「では、そうさせていただきます…えーと、英国は無事に戦勝国となりました」
クィーン・エリザベス(以下クィーン)「それは余も予見しております…いつでも英国は統治する(ルール・ブリタニカ)のですから」
提督「いえ…それが……」戦後のイギリスがたどった道をかいつまんで説明する提督…
クィーン「なるほど…」
提督「いかがでしょう、これでお分かりになられたでしょうか…」
クィーン「ふふ、なかなかうがった物の見方と優れた脚本でできた物語ですね…ですがジョージ国王陛下のもとにありながら、この大英帝国がそこまで衰微するはずがないではありませんか」…冷たい瞳をきらりとひらめかせ、口もとに形ばかりの笑みをうかべた
提督「いえ、先ほども申しあげたとおり、今はエリザベス女王の治世なのです……現に「クィーン・エリザベス」級という新型空母も建造されております」
クィーン「ふふ、余の気を引こうとそのような可愛らしい戯れ言を…構いませんよ、気持ちはありがたく受け取っておきます」
提督「むぅ…あ、そう言えば」G級を見て何かを思い出した提督…
G級「…私の顔を見てどうしたの、何かご用?」
提督「ええ。前回さよならしたときにコリドーニが写真を渡していたでしょう…あれを持ってきてもらえる?」
G級「別にいいけど……陛下、よろしいですか?」
クィーン「結構ですよ、今度はどんなお話を聞かせてくれるのか楽しみです」
G級「……持って来たわ…これで陛下の意見が変わるとはとても思えないけど」提督に向けてあざけるような冷笑を浮かべるG級…
提督「さぁ、どうかしら……クィーン、この写真を見てどう思いますか?」
クィーン「どう思うか、ですか……暖かい陽光に照らされて、貴女が笑顔を浮かべている…楽しげな写真ですね」
提督「こんなきれいなカラー写真や、水につけても濡れない写真の加工法が大戦中にありましたか?」
クィーン「そうですね…我が方にはありませんでしたが、もしかしたらあなた方の国にはそうした技法があるのかもしれませんね」
提督「…クィーンはなかなか頑固でいらっしゃいますね」
クィーン「頑固なのではなく、堅実なのです…余は自分で見聞きしたものしか信じないだけですよ」
提督「これでも駄目ですか……って///」
…艦名の由来がムッソリーニとも親交のあった右派のジャーナリスト・作家だけあって、鎮守府の新聞や書き物、紀念写真などを一手に取り仕切っている中型潜「フィリッポ・コリドーニ」…彼女がG級へ手土産として渡した写真にはコリドーニ言うところの「鎮守府の士気を高める商品」こと、提督があられもない姿になっている合成写真も入っていた……写真の提督は鎮守府の執務机の上に制服を脱ぎ散らかし、裸体をさらして気恥ずかしげな笑みを浮かべている…
クィーン「どうなさいました…失礼?」すっと指でつまんで写真を取りあげるクィーン…
提督「あっ…///」
クィーン「まぁ…なかなか刺激的ですね……ご自分で志願されたの?」
提督「いえ…その……///」
クィーン「勝手に作られたのですか…確かにそちらはそう言ったプロパガンダや写真の合成がお得意ですものね」イギリス人らしい皮肉をたっぷりきかせつつ、興味深げに写真を眺めている…
提督「その、クィーン…あまり見ないで下さい……鎮守府の娘がいたずらで作ったものなので///」
クィーン「さようですか……さて、もっとお話したいのはやまやまですが余は執務もありますし、とりあえず今日はここまでにしておきましょう……また明日、今度はお茶でもご一緒しながら楽しい物語を聞かせて下さいね…改バーミンガム、そなたとG級のあなたは彼女をお部屋にお連れしてあげなさい。…丁重に扱うのですよ?」
長身の深海棲艦「はい、陛下…さぁ、こちらへ」
G級「ほら、だから言ったでしょう……まぁいいわ、私も一緒について行ってあげる」
提督「ふぅ…まるで話の通じないおばあちゃんね」
G級「…このブラッディ・フール(大間抜け)!…ここでそういうことを言うなんてどういうつもりよ……私からもお願いするわ、今のは聞かなかったことにしてもらえる?」
軽巡「改バーミンガム」級の深海棲艦「…そうね、聞かなかったことにしてあげます……代わりに…」
G級「…あれを回せばいいんでしょう?」
改バーミンガム級「そう、それでいいわ…」青ざめた色をした「改バーミンガム」級の深海棲艦はやせた身体とアンバランスな長身をゆらゆらさせながら、片手で提督の腰を押して部屋まで案内した…
改バーミンガム級「それでは、何か必要なものがあったら声をかけるよう…それと陛下のお召しがあってもいいよう、なるべく身ぎれいにしておくように……では、グッド・ナイト(お休み)」
提督「…ええ、そうさせてもらうわ」湿っぽい部屋とじっとりと濡れたマットレスを見て、ため息をつく提督…
………
…数時間後…
提督「うぅ…ん……」寝心地の悪いベッドからマットレスを外し、直接砂の上に置いて寝ようと試みた提督……が、カビ臭いマットレスに湿っぽい岩屋のせいで、うなされるような夢ばかり見る…
………
…
アンドレア・ドリア「あんっ…もう、提督ったらくすぐったいです♪」
提督「うふふっ、いいじゃない……あら、おはよう。ライモン♪」鎮守府の提督寝室に据えてある天蓋付きベッドで、むちむちの戦艦「アンドレア・ドリア」といちゃいちゃしながら朝寝をしている…と、ベッドの脇にライモンが立っている……
ライモン?「おはようございます、提督…ドリアさんと朝から添い寝ですか……良かったらわたしも交ぜてくれませんか?」急にずるりとライモンの身体が崩れ、緑色に腐乱した腕が提督の頬を撫でる…
提督「えぇと…いえ、だって……ライモンのその身体も悪くはないと思うけど…抱いたら崩れてしまいそうで……」
アッテンドーロ?「ふふ、遠慮なんてしなくていいわ……ほら、わたしとも仲良くしましょうよ♪」反対側には青ざめてぬるぬるとした深海棲艦のような姿をして、手招きするムツィオ…
提督「え、ちょっと待って…あぁぁっ!」
………
…
提督「……えぇ…と、みんな揃ってどうしたの?」今度は白いマーメイド・スタイルのウェディングドレスに身を包んで白百合の花束を抱え、どういう訳か鎮守府の食堂に立っている……周囲に立っている艦娘や提督たちも全員ウェディングドレス姿で、それぞれ手を差し伸べている…
カヴール「うふふっ、今日は私と提督の結婚発表会見の日ではありませんか……すでに大統領と首相もいらしておりますよ♪」
ドリア「あら、カヴール…提督は私と結婚するんですよ?……何しろヴァチカンのサン・ピエトロ寺院の真ん中でえっちした仲ですし…///」
ライモン「お二人とも、今日はわたしと提督の結婚式ですよ?…見て下さい、全イタリア海軍の艦艇が白塗りになって……新婚旅行はどこにしましょうか♪」
アヴィエーレ(駆逐艦「ソルダティ」級)「ふふっ…悪いけど提督は「操縦士」の私が連れて行くよ……式は成層圏であげて、イタリア中に結婚報告のビラをばら撒こう」
エクレール提督「あら、フランチェスカはわたくしと結婚するんですのよ……結婚式の引き出物として、フランスからコート・ダジュールとコルシカ島を差し上げますわ♪」
百合姫提督「フランチェスカ、子供の出生届けに書く名前はどうすればいい?…やっぱり「雪風」がいいかしら?」
ミッチャー提督「あははっ、相変わらずモテモテだね…でも大丈夫、うちの大統領からマリーン・ワン(大統領専用ヘリ)とシールズの連中を借りてきたから……ここから「ゲッタウェイ」としゃれこむわよ♪」
提督「え、えぇと……」
足柄「…まさかうちの提督を袖にする気じゃないでしょうね?」
龍田「あらぁ…そんなことをしたら……うふふっ♪」まさに「抜けば玉散る氷の刃」…すらりと白鞘の日本刀を抜き放つ龍田……
………
…
提督「ひぃっ!……はぁ、はぁ、はぁ…」心臓をどきどきさせ、汗をびっしょりとかいて目を覚ました提督…海の匂いがする湿っぽい空気は相変わらずで、洞窟の中なので時間も分からない……と、やせこけて真っ白な肌をした深海棲艦がのしかかるようにして提督にまたがっている…
提督「ひぅ…っ!?」
深海棲艦「起きなさい、朝食の時間よ……しかも陛下が同席を求めているわ」
提督「あ、あぁ…そうだったのね……すぐ準備するわ」
深海棲艦「ん、それでいい…あまりお待たせしない事ね」
提督「ええ……うわ、なんだか身体がぬるぬるする…」昆布やめかぶのようなぬるぬるが全身にまとわりついていて、さらわれた時に着ていたナイトガウンがぐっちょりと張りついている……
深海棲艦「何をしているの…?」
提督「いえ…少しだけ向こうを向いていてもらえる?…身体を拭きたいから」
深海棲艦「それならシャワーでも浴びたらどう…あんまり時間をかけないなら連れて行くわ」
提督「シャワーがあるの?……それならお願いするわ」
深海棲艦「いいわ…ついていらっしゃい」
…洞窟の一角…
深海棲艦「さぁ、どうぞ」
提督「えーと…これ?」
深海棲艦「これが何か?…真水よ?」
提督「あー…そうね、海水じゃないだけでも贅沢よね……はぁ…」水が流れている岩の間に木箱が挟んであり、箱にはじょうろのハス口のような細かい穴があけてある…下に立ってかたわらにある紐を引くと、箱から冷たい水が降りかかる仕組みになっている……
提督「その…見ないでいてもらえると助かるのだけど……」
深海棲艦「…脱走しないよう監視せよとの命令を受けている」
提督「…分かったわ……よいしょ……」しゅるっ…
深海棲艦「…」
提督「あの…そんなにじっと眺めることもないでしょう///」
深海棲艦「…その身体は実に興味深いわ」…よく見ると何人かの深海棲艦が食い入るように提督を見つめている……
提督「…わ、冷たっ……」青白かったり蒼白だったりとどれも血色の悪い深海棲艦たちに見られながら冷たい水を浴び、ぶるぶるっと身を震わせる提督…
やせこけた深海棲艦「…先端のサクランボは桃色ね……くふふっ…」
青白い深海棲艦「…ふふ、マカロニの女は柔らかそうね…「アレ」を見た後だとなおの事興味深いわ……」
提督「…もう」身体を舐めまわすような視線を浴びつつそそくさとシャワーを浴びると、用意されていた着替えに袖を通す…
深海棲艦「準備できたわね…ついて来なさい」
…大広間…
クィーン「グ・モーニン……よく眠れました?」豪奢なドレス…あるいはそう見える外装に身を包み、ずらりとそろった深海棲艦たちにかしずかれている…
提督「寝具に着替えと、数々の親切痛み入ります…慣れないベッドでしたがどうにか眠れました……」あてがわれた席に腰かけ、目の前の皿を眺めた……どうやら最近沈没した客船から拾い上げたり、航行中の貨物船から分捕ったりしたものらしく傷んではいない…
クィーン「それは結構…普段はあまり空腹を感じないのですが、今朝は余も朝食の席をお付き合いしましょう」上品にスプーンを取り上げ、料理を口に運んだ…
提督「…あ、ありがとうございます……んむっ…」皿に載せられていた茶色の「何かを煮込んだもの」にスプーンを入れ、おそるおそる口に運ぶ…味は大豆のようだが、もはや形も残らないほどに煮えている……
提督「あー、その…喉ごしのいい食べ物ですね……」皿の上にぐしゃりと盛られている「豆のペースト」を眺め、どうにか失礼でない感想を探す…
クィーン「ふふ、イングリッシュ・ブレックファーストは美味しいでしょう」冗談なのか本気なのかも分からないポーカーフェイスで、口角だけかすかに吊り上げて微笑みらしいものを見せている…
提督「さ、さようですね…」小ぶりなボウルには白いお粥状のものが入っている…そーっとしゃくって慎重に食べる……
クィーン「オートミールはいかがですか?」
提督「え、ええ…」(甘くもしょっぱくもない……おまけに燕麦がごそごそする…)
大柄な深海棲艦「…美味しいでしょう?」
提督「ええ…まぁ……」
大柄な深海棲艦「これこそ我が英国海軍の力の源ですからね…捕虜とはいえ海の者同士で遠慮は無用、うんと食べなさい」ほとんど減っていない朝食のプレートへさらにおたま一杯分の泥土…のようなペーストを盛った…
提督「…」それだけでも十分げんなりしているところへ追い打ちをかけるように、大皿の脇には脂がギトギトで、しかも焦げてチリチリになっているベーコンが数枚と、火をくわえ過ぎてすっかり固くなっている卵二つ分の目玉焼きが載っている……
クィーン「…朝はあまり食が進みませんか?」
提督「……ええ、まぁ」パンも湿っぽい洞窟の中にあったせいか磯臭い臭いがする上にかなり焦げ、そこにこってりとバターが塗りたくってある…
大柄な深海棲艦「さぁさぁ、遠慮はいりませんよ?」
クィーン「…無理強いはいけませんよ、カウンティ級……」
「州」級重巡の深海棲艦「はっ。…申し訳ありません、陛下」
クィーン「分かればよいのです…ですが彼女の言うとおり、捕虜であっても遠慮はいりませんよ」
提督「は、はい…もう充分堪能いたしました」(…全く「イギリス料理らしさ」を充分に味わわせてもらったわ……下手な尋問よりよっぽど効果があるんじゃないかしら…)
クィーン「そうですか、なら食後のお話をしていただきましょう」
………
…昼食時…
提督「これも信じて頂けませんか…」
クィーン「ええ、証拠にはなりませんね」どうやら提督に議論を吹っ掛けるのを楽しんでいるらしいクィーン…と、そこにティーセットが運ばれてきた…
改バーミンガム級「陛下…お茶の時間です」
クィーン「おや、もうそんな時間ですか…よかったらご一緒にいかが?」
提督「はい、ありがとうございます」(イギリスのお茶は美味しいし、きっとこれなら…)
クィーン「さぁ、スコーンをどうぞ?」
提督「いただきます…んむ……んむ…」朝食よりはずっと美味しいスコーンではあったが、どういう訳か入っているドライフルーツにシナモンが効きすぎていて、提督の好みではなかった…痛みかけているらしく多少酸っぱいクローテッド・クリームをつけてどうにか口に入れる提督…
G級「給仕をします……どう、英国の味は?」小声で聞いてくるG級…
提督「世界で一番薄い本の題名が「英国の美味しい料理」なのがよく分かったわ……」
G級「さすが無知なイタ公ね。衛生って言うものを知らないのかしら?…生焼けや生煮えは食中毒の危険があるからよくないのよ?」
提督「…だからって焦げるまで焼く必要はないでしょう?」
G級「ふん、まぁいいわ…しばらくはごちそうを出すんだからクィーンに感謝して欲しいわね」
提督「ごちそうねぇ……何だか不安でしかないわ…」
改バーミンガム級「…ところで、紅茶の味はいかがですか?」
提督「ええ、美味しいです…ダージリンですね?」
改バーミンガム級「いかにも。勝利の味とダージリンの香り……まさに紳士の特権ですからね」真っ白な髪をいじくりつつ、ちょっと高慢な表情を浮かべた…
提督「なるほど…ごちそうにあずかり感謝しています」そう言って湿っぽいきゅうりのサンドウィッチをぱくついた…海水のせいで今一つの食感になっているが、味の方はほどほどに塩気が効いている…
クィーン「ふふ、朝はあまり食べられなかったようですからティータイムがあってよかったでしょう…ですがせっかく来ていただいたのですから、伝統あるイギリスの晩餐に期待していて下さいね?」
提督「ええ、楽しみです……はぁ…」
………
…夕食時…
提督「…見事な装飾ですね」
クィーン「お気に召しました?」
…大広間にはしまってあったらしい銀の燭台や拾い物らしいキャンプ用のランタン、古い木箱を薪に使った暖炉の火が揺らめいて、そこに白や灰色、淡い緑色の地中海仕様の迷彩になった服(甲殻?)をまとった深海棲艦たちがずらりと居並んでいる……クィーンの脇にはもう一人、昼には見かけなかった大柄で高貴そうな深海棲艦が座り、じっと提督を眺めている……岩壁には「ホワイト・エンサイン」(イギリス海軍旗)が掲げられ、きらきらと銀の食器が火に照らされて輝いている…
クィーン「…さぁ、どうぞ」
提督「感謝します……」どこかから手に入れてきたらしい古めかしい白いドレスを着せられ、多少カビ臭い白手袋をつけている提督…食卓につくと目の前に埃をかぶったワインの瓶が置かれ、切子細工のワイングラスに注がれると、年代ものらしい見事な紅色をしたワインが香りを放った…
クィーン「それでは、わが方の勇敢なる「T」級潜水艦、「トーベイ」「タリスマン」がお連れしたイタリア王国海軍のアドミラル…カンピオーニ少将に乾杯いたしましょう……彼女は燃料不足の中、劣勢のイタリア艦隊をもってよく戦いました…今や囚われの身となりましたが、その戦いぶりに惜しみない称賛を与えようではありませんか…それでは、乾杯♪」
深海棲艦たち「「乾杯…!」」
提督「…感謝いたします、クィーン」
クィーン「いいえ。破れた敵とはいえ敬意を表すべきところには称賛を惜しまない…それがロイアル・ネイビー(英国海軍)のやり方ですので……さぁ、うんと召し上がれ」給仕係らしい駆逐艦クラスの深海棲艦が次々と皿の蓋を開ける…
提督「………」深海棲艦の提供するイギリス料理とはいえ、「ごちそう」と聞いて多少は期待していた提督…が、目の前にある料理は見た目からしてかなり衝撃的だった……
提督「これは…その……」
クィーン「イール(ウナギ)のゼリー寄せですね…お取りしましょうか?」灰色のぶるぶるしたゼラチンの塊の中に、ぶつ切りのウナギが散らばっている…
提督「いえ…別のものにさせていただきます……これは…」やはり灰色で、ふくれた風船のようなものを凝視している……
軽巡らしい深海棲艦「こいつはハギスだ…スコッツ(スコットランド人)がよだれをたらす料理さ……食うか?」…牛の胃袋に細切れの臓物やひき肉を詰めて茹でた料理…と聞いていた提督は現物を見てさらに食欲をなくした……隣には固いパンかタルトの底だけを焼いたような「ヨークシャー・プディング」が山ほど置いてある…
クィーン「何か取って差し上げましょうか…?」
提督「え、えぇと……」
…今日はここまでで、しばらくは提督がイギリスの「ごちそう」に悪戦苦闘する予定です…食べたことがないのにイギリス料理を悪くえがいてしまい申し訳ないですが、深海側の調理が悪かったとか、美食に慣れた提督からの主観が入っていると言うことで……
…あと訂正を一つ…(どうでもいいかもしれませんが)ハギスは牛ではなく羊の胃袋に詰めるものらしいです……どちらにせよ美味しそうには見えないですが…他には「まずい」カレーやローストビーフが提督に出されるイギリス料理の候補になっています、ご期待ください…
軽巡「カヴェンディッシュ」級(改バーミンガム級)「ならローストビーフは…?」
提督「ええ、では数枚下さい…」(ローストビーフなら不味いなんてことはないはず…)
カヴェンディッシュ級「…どうぞ」
提督「センキュー…あむっ……」
カウンティ(州)級重巡「で…どうだ?」
提督「…ごくん……美味しいですよ」(お洒落なソースも飾りもなし、おまけにすっかり脂が抜けきってパサパサだけど…他の物よりはまぁ美味しいわね…)
カウンティ級「そうかそうか…もっと彼女にローストビーフを!」
提督「あ、いえ…」
カウンティ級「なに、遠慮はするな…さようですな、陛下?」
クィーン「いかにも…さ、ワインを注いであげなさい……それともスコッチ・ウィスキーにしますか?」…と、別の席で騒ぎ声が上がる……
見た目の整った深海棲艦「ふざけないでよ、アイルランドの酒がないじゃない!」
同クラスらしい深海棲艦「落ち着きなさい、ベルファスト…ギネスの黒ビールがあるでしょう」
軽巡「ベルファスト」の深海棲艦「ん、ならよし…うぃ……ひっく」適当にハープを奏でつつ詩を口ずさみ、時折周囲の深海棲艦に絡んでいる…
軽巡「エディンバラ」の深海棲艦「やれやれ…」
提督「…」
クィーン「お見苦しい所をご覧に入れてしまいましたね……さ、もう一杯いかがですか」
提督「感謝します…」
…しばらくして…
駆逐艦「チーズをどうぞ…」
提督「ありがとう…ふぅ、何だか暑くなってきたわね……」
…食べ物がどれも絶望的な中でワインとウィスキーだけは上等だったことと、クィーンの杯を断ったらどうなるか分からないこともあって、ついグラスを重ねてしまった提督…晩餐も終わりに近づき、見た目も固さも薬用せっけんそっくりなレッドチェダー・チーズを食べる頃にはかなり量を過ごしていた…
カウンティ級「ふふふっ、貴官はロンドン橋を見たことがあるまい…ビッグ・ベンの鐘の音も!」わめいているのはどうやら重巡「カウンティ」クラスの一グループ「ロンドン」級のネームシップ「ロンドン」のようで、しきりに自慢話を聞かせてくる…
提督「…そうですか。でもロンドンがいかに素晴らしくとも、ローマほど古く美しい都市はありませんよ……何しろイギリスが未開の原野だったころからありますし♪」酔いが回っているせいか、つい切り返してしまう…
ロンドン「…ぐっ」
ベルファスト「ははっ♪…そうだ、いまいましいイングランドの街なんぞアイルランドにはかなうまい……!」
ロンドン「何を…アイリッシュのくせに」
ベルファスト「それのどこがいけないって言うんだい、少なくともここには熱いアイリッシュの魂があるのさ…装甲もペラペラの「重巡」とは訳が違うのよ」
ロンドン級「なにやら…失礼な軽巡ね」
ベルファスト「へぇぇ、ならどうする?」
ロンドン「…余人は手を出すな、さしでケリをつけてやるから……さぁ、どうした?」
G級「あーあ…またイングランドとそれ以外の喧嘩が始まった……酒が入るとすぐこれなのよね…」
提督「ねぇ…そう言えばデザートは何かしら♪」
ベルファスト「え?」
ロンドン「えぇと、そうだな…きっとパウンドケーキだろうが……いったい何が用意されているのか、アドミラルにお答えせよ」
駆逐艦「はっ…パウンドケーキかジャム入りプディングです」
ロンドン「よろしい…ではアドミラル・カンピオーニに持ってくるように」
提督「…良かったら一緒にいかがですか」
ロンドン「あ、あぁ…ではご一緒しようか」
ベルファスト「ふんっ…イングランドのくだらないケーキなんぞ欲しくないわ……アイリッシュ・ウィスキーを持ってきなさい!」
クィーン「…では、余も一切れいただきましょう」
………
…食後・廊下…
クィーン「先ほどは場をしずめて頂いて感謝しております…」
提督「いえ…私も巻き込まれるのは遠慮したいところでしたから」
クィーン「ふふふ…さてと、それでは食後にまたお話を聞かせてもらいましょうか……大広間は彼女たちが飲んでいますから、別の場所で」…そばに控えている軽巡「カヴェンディッシュ」級と一緒に階段を上るクィーンと提督…
提督「はい……っと…」ドレスの裾で足が隠れているせいか目算を誤り、石の段差にけつまずいてクィーンに腕を押さえてもらった提督…ぬるりとした氷のように冷たい手が腕をつかみ、思わず背筋に寒気が走る…
クィーン「…貴女はずいぶんと熱いのですね…まるで焼けてしまいそうなぐらい……」
提督「ええ、イタリアの女は情熱的なのです…」ぞっとするほど感情のないクィーンの目を見て、慌てて冗談めかしたウィンクを投げる提督
クィーン「ふふ…さ、どうぞお入りなさい……下がってよろしい」
カヴェンディッシュ級「…では失礼します、陛下」
…クィーンの部屋…
クィーン「…いかがですか、余の部屋は」
提督「ええ…大変豪華なお部屋でいらっしゃいます」…映画の幽霊船のようにホコリにまみれクモの巣が張っている部屋を想像していた提督だったが、岩をくりぬいたような部屋には立派な執務机、金の六分儀に宝石を散らしたサーベル、それにふっくらと柔らかそうな布団が敷いてある天蓋付きベッドが鎮座していた…
クィーン「さようですか…さてと、それではお話を聞かせてもらいましょう……」灰色のマントを椅子にかけ、白骨のように真っ白な笏と宝石をちりばめたティアラ(宝冠)を所定の場所らしい台の上に置いた…
提督「えぇ…と、どのような話がよろしいですか?」
クィーン「何でも構いませんよ…イタリア王国海軍、地中海の暮らし……貴女のいる司令部の話でも…いずれにせよ、余が信じるにはそれなりの証拠が必要ですが」
提督「ふぅ…ここに連れて来られてからと言うもの、そうしたことは毎日のように説明している気がするのですが……とはいえ私も身体一つで来てしまったので、何か証拠になりそうな物を示すことが出来ないのがもどかしいです…」
クィーン「さようですか…ところで、この写真ですが……」提督があられもない姿になっている合成写真を卓上から取り上げた…
提督「…うわ///」
クィーン「…帰投してきた折にG級から、そなたの艦隊にいる「艦娘」とやらの話を聞きました……どうやら余、あるいは余の部下たちと同じように娘の姿をしていながら、そなたと夜も共にしているとか…どうも聞き違いでもなさそうですが、説明してもらえますか?」
提督「説明…と、言いますと?」
クィーン「つまり…それは指揮官に対する「信頼」と言う意味なのですか?」
提督「ええ、まぁ…それもあります///」
クィーン「それで寝床を共にする…あるいは情を交わす……どうも理解できかねます…」
提督「えぇと…それはつまり……」
…言い回しの難解なイギリス英語と、提督の言うことを信じようとしないクィーンの頑固な態度…まずい食事のせいもあってワインや高級なウィスキー、ブランディと言ったお酒を飲みすぎた提督は、クィーンの取り澄ましている貴族的な様子にいい加減飽き飽きしてカーッとなっていた…
クィーン「…つまり、どういうことですか?」
提督「つまり……こういうことです…っ!」
クィーン「…んむっ!?」
提督「んっ、んんっ…ぷはっ……分かって頂けましたか?」クィーンの青ざめた冷たい唇に自分の唇を重ね、キスを済ませると手の甲で唇を拭った…
クィーン「…なるほど…確かに余の時代にこんなことは滅多にありませんでした……」
提督「…やっと信じてもらえましたか」
クィーン「ええ…それにしてもなかなか大胆ですね……捕虜が敵国のクィーンたる余の唇を奪うとは」かすかに笑みを浮かべて見せるクィーン…
提督「ここまでしないと信じて下さらないのですから…仕方ありません」
クィーン「…とはいえ、貴女は捕虜の身でありながら余の唇を奪ったのです……それ相応の罰を与えねばなりませんね」
提督「あっ…」(罰ね……きっとマストに吊るしたりするつもりなのね…ごめんなさい、ライモン…もう会えないかもしれないわ……)
クィーン「では、刑を申し渡します……もう一度口づけしてみて下さい。どういうものなのか一瞬では理解できかねましたので」
提督「…え?」
クィーン「聞こえませんでしたか?」
提督「いえ、よく聞こえましたが……本気で…?」
クィーン「余に二度も繰り返させるつもりなのですか、アドミラル?…イタリア人は色恋の戦術には優れていると聞きますが、それも敵国向けの宣伝ですか?」
提督「…いいえ、イタリア人は恋も海戦も一流です♪」ちゅっ、ちゅぅっ…♪
…しばらくして…
クィーン「ん…んちゅぅ……ちゅぅぅ…ん///」蒼白な舌から唾液を垂らし、さっきまでの冷たい表情も崩れて目をとろんとさせている…
提督「はぁ、はぁ……どう、なかなか気持ちいいものでしょう…?」(味は…痛みかけた貝類みたい……さっきのイギリス料理といい勝負ね…)
クィーン「いいえ…今が大戦中でない事は信じてもよろしいですが、余が捕虜の小娘ごときにいいようにされるようでは艦隊に示しがつきませんので……そちらこそあきらめて「お得意の」降伏をなさったらいかが?」
提督「あら、そうですか……それなら私も女としての意地をかけて、クィーンがはしたなく喘ぐまでやってあげます…っ♪」
…カビたシルク生地が傷んでいて、あちこちに擦れもある古いドレスの胸元を引っつかむと力いっぱい引き裂く提督…ビリッ…ビビィィ…ッ……と音を立てて生地が破れると、「たゆん…っ♪」と白いもっちりした乳房が弾んだ…
クィーン「…何をなさるつもり……?」
提督「…私の愛がこもった乳房に包まれたら、その皮肉で冷たい態度もどうにかなるかと思いまして…っ!」むにっ…♪
クィーン「んぷっ…んむっ、むぅ……」提督の谷間に顔を埋めさせられ、後頭部を押さえられているクィーン…
提督「はぁぁ…お酒のせいで身体が火照っていたのだけど、冷たい顔が当たって気持ちいいわ……それで、私の谷間はいかが?」
クィーン「…んぅ……むぅ…っ!」頭を押さえつけていた提督の手を振り切り、提督をじっと凝視する…
提督「…で、ご感想は?」
クィーン「……がした」
提督「んっ?」
クィーン「…あ、アップルティーのような甘い香りがしました……余が忘れていた感覚を思い起こさせるような…///」
提督「そう…よかった♪」
クィーン「よくありません…こんな気持ちは国王陛下に仕える者には不要…むしろ判断を鈍らせ、雑念を招きます……こんな感情は一体どうすればよいと言うのです…///」ふいっ…と提督から目をそむけた途端、卓上に置いてあった提督の合成写真が視界に入り、また視線を動かした…
提督「んー…それなら一度、思い切り発散してみたらいかがですか?」
クィーン「そしてそれを「艦隊中に知られてしまえ」と…?」
提督「うふふっ……でしたら私とならいかが?」
クィーン「……物好きにもほどがあるようですが」
提督「いいえ…えっちの事になると急におどおどしているクィーンを見るの……結構愉しいですから♪」
クィーン「…余をおもちゃにしようと言うか……面白い。海戦であろうと夜伽であろうと余は「クィーン・エリザベス」…小娘、そこまで言うならイタリア女らしく余を愉しませてくれるのでしょうね…?」固いコルセットのようになっているドレス、あるいは「殻」を脱ぐと、ぬるりと粘っこい糸を引いた真っ白な身体が出てくる…
提督「…ええ、きっとクィーンがアレクサンドリアでなったように、腰が砕けてベッドに着底することでしょう♪」
クィーン「あとでその言葉を思い出させてあげましょう…!」提督を引きずり、布団に押し倒すクィーン…
………
…数時間後…
クィーン「あふっ、ひぐっ……こんな………はぁぁぁっ…」ギシッ…キシィ……ギィ…
提督「ふふっ……クィーンの指ったら冷たくって、私の花芯もきゅうきゅう疼きました…♪」クィーンの身体をすみずみまでこねくり回し、ぬらぬらした身体をいじくり倒す提督…傷んでいるベッドをきしませながら、甘ったるい笑みを浮かべてクィーンにまたがっている…
クィーン「余は…余はクィーン・エリザベスです……レナウンたちに見つかったら、あなたは八つ裂きにされてもおかしくないのですよ?」
提督「あー…クィーンの隣に座っていた深海棲艦は「レナウン」でしたか…「アーク・ロイヤル」はいました?」
クィーン「余の右側にいた背の高い…んんっ、余の話している時に……」
提督「ふふ…だってクィーンの胸が話すたびにふるふる揺れて……先端は青っぽいのね♪」いたずらっぽい笑みを浮かべ、固い先端を指でピンッ…と弾く提督
クィーン「んんっ…どうして……余がこんな、マカロニの提督ごときに…///」
提督「うふふっ…イギリス海軍はいつも不意打ちには弱いようですから……ね、クィーン♪」にちゅっ…ぐちゅ、ぐちゅ…っ…♪
クィーン「あっ…あ゛あ゛ぁぁっ!」
提督「んふふっ、ほら…腰が砕けてベッドに着底するって言ったでしょう♪」
クィーン「んはぁ、はぁ、はぁ、はぁ…ふぅ、はぁ……」
………
…しばらくして…
クィーン「…余も明日の執務があります。そろそろ部屋に戻りなさい…それと、このことは口外しない事……よろしいですね?」
提督「はい、クィーン…それと、こちらの約束もお忘れなく♪」ぱちりとウィンクをして、びりびりに破いたドレスを取り繕いながら着る提督…
クィーン「余は約束したことは守ります…さぁ、行きなさい」
提督「ええ、それでは…グッドナイト♪」
…廊下…
カヴェンディッシュ級「……部屋に戻るのだな?」
提督「ええ…♪」
カヴェンディッシュ級「…それで」
提督「なぁに?」
カヴェンディッシュ級「……その、陛下があんなになるとは…「情を交わす」とはそんなにいいものなのか…」(陛下があんな獣のような声を…それに何ともみだらな光景だった……)
提督「もう…「下がれ」って言われていたはずでしょう?それなのにのぞいていたの?」
カヴェンディッシュ級「バカを言うな。ただ、陛下のただならぬお声が廊下に聞こえてきて……それで、陛下の身を案じて…」
提督「非力な人間の提督が深海棲艦のあなたたちにかなう訳ないじゃない…それなのにのぞくなんて」
カヴェンディッシュ級「し、仕方あるまい…軽巡は索敵が任務の一つなのだ……」
提督「…キスだけでよかったら」
カヴェンディッシュ級「なに?」
提督「私も疲れたし…キスだけでよかったら、してみる……?」
カヴェンディッシュ級「……では」
提督「了解、それじゃあ…んっ…んっ、んっ……んちゅっ///」
カヴェンディッシュ級「んんっ!?……ん、んんぅ…んはぁ」
提督「どうだった…?」
カヴェンディッシュ級「…お、おかしい……私は地中海艦隊の一隻として、それに「エリザベサン」級ともされるこの級名に恥じぬよう陛下にお仕えし、大英帝国の勝利の日まで任を全うすることこそが本義のはず……なのに…」
提督「愛は任務なんかよりもずっと大事よ?…それじゃあ、着替えて寝るから……ドレスは片づけてもらえる?」
カヴェンディッシュ級「ああ、承知した…」(…今までこの女が着ていたドレスか……)
………
…翌朝?…
提督「うぅ…ん…」妙に肌寒い気がした提督は眠気にあらがって薄眼を開けた…と、なぜか寝巻き代わりに渡されたはずのキャミソールと湿ったブランケットが引きはがされている……その上、数人の深海棲艦が周囲を取り囲むようにして立ち、提督の裸体を食い入るように見つめている…
提督「…え!?」慌てて跳ね起きると毛布で身体を隠した…
駆逐艦クラス「!?」
軽巡クラス「…!」
提督「…ちょっと、どういうつもりなの?」
軽巡「ふん、少しイタ公の身体を眺めてみたくなったのだ…安心しろ、別に取って食ったりはしない……」
提督「ねぇ…もしかしてこの間私の身体がねとねとだったのもそういう訳なの?」立ち上がると腰に手を当てて問い詰めた…
軽巡「…捕虜に答えてやる義務はない」
提督「私とクィーンでお話しする機会はまだまだありそうだけど…今度は何を話題にしようかしら♪」
軽巡「あ、あれは私ではない…駆逐艦の数隻が……だいたい、あの宣伝写真のせいなのだから、そちらにも責任の一端はあるのだ…」
提督「え…あれをみんなで見たの……?」
軽巡「ウェ…ル(えーと…)」
駆逐艦「まぁね…出撃がない時は手持無沙汰だし、ここの酒保には大して買えるものもないから……触ったりした連中はいたってことよ…」
提督「あー、もう…信じられないわ///」
…朝食…
提督「それはそうと…」周囲にそっと視線を走らせる…
…連れてこられた時は敵意を持った視線や「マカロニの捕虜」に対する冷笑をひしひしと感じていた提督…が、この数日は深海棲艦同士で回して見たらしい「例の写真」やクィーンとの「交流」があったせいか、食卓に並んでいる深海棲艦たちの視線が心なしか欲情したような、どこかぎらぎらしたものに変わっている……時折胸やふとももに向けられた視線を感じて、別な意味で危険を感じている提督……
G級「…なにか?」
提督「…いえ」あきらめて食卓に視線を戻す提督…相変わらず縁がチリチリになったハムと、ゴムそこのけに固くなった卵で出来たハムエッグス……そこについている焼きすぎのトーストに煮込みすぎて形もないベイクドビーンズ……おまけに卓上には黒い樹脂のようなものが鎮座している…
ケント級「…あむっ…むしゃむしゃ……」あまり空腹を感じないらしい深海棲艦たちは数日に一度の食事で済むらしく、今朝は三人の重巡「カウンティ」級とC級軽巡グループでも「ケープタウン」級に属する「カイロ」、パース級軽巡「シドニー」、大型の駆逐艦「トライバル」級が数人座っている…
軽巡シドニー「カイロ、それを取ってくんなよ」
C級軽巡「どうぞ」
シドニー「おーし、やっぱり『ベジマイト』がないと始まらないってもんよ…ずずずぅ…」マナーもへったくれもない様子で片脚を上げたまま「ベジマイト」を塗りたくったパンをがつがつと胃に放り込み、イギリス海軍伝統のホットココアで流し込む…
(※ベジマイト…野菜と酵母を発酵させて作るオーストラリア特産のスプレッド。ビタミンが多いらしいが味は「オーストラリア人専用」とのこと……)
提督「………」
G級「…早く食べないと冷めるわよ、アドミラル?」
提督「…ええ」
………
…昼食…
クィーン「今日はインド風昼食ですか、カイロ…見ているだけで「タージ・マハール」が目に浮かぶようです」
カイロ「ありがたきお言葉…どうですか、本場で仕込んでイギリス風にアレンジしたカリーは美味しいでしょう…」
提督「え、ええ……」辛さも今一つで水っぽく、風味もピンとこない不味いカレーを前にげんなりしている提督…仕方なしに濃いストレートティーを飲みながら黙々と食べる…
デリー(D級軽巡)「美味しい、これこそ故郷の味ね…」
クィーン「ふぅ…美味でしたよ、カイロ」
カイロ「恐縮です、陛下…」
………
…夕食…
ロンドン「…さて、我々の捕虜とはいえせっかくの機会ですから…アドミラルには世界の中心地、ロンドンの味を食べてもらわないと」
提督「…」目の前にドシンと置かれた大皿には、種類も選ばずぶつ切りにして焦げそうなほどガリガリに揚げた数種類の魚と、油っぽいポテトフライが載っている…
提督「えーと…これは「フィッシュ・アンド・チップス」でいいのかしら?」
ロンドン「いかにも…高尚な食べ物ではないが、ホワイトホール(イギリス海軍省)に行くまでの小腹ふさぎにと、若手の士官たちもつまんでいたものよ」
提督「…い、いただきます」ひくひくと口もとを引きつらせながら、魚のフライに取りかかる…
ロンドン「どうだ、ロンドンっ子の力の源は?」
提督「…あの、この魚ってウナギ?」ぶつ切りにされたウナギをぬめりも取らずに衣をつけ、すっかり固くなるまで揚げてある……
ロンドン「知らん。とにかく魚を揚げればいいのだからな」
提督「……ちょっといいかしら」
G級「何?」
提督「ここにも厨房とか食料庫はあるのよね?…明日必ずそこに連れて行きなさい。いいわね?」
G級「わ、分かったわよ…ずいぶんな剣幕だこと……」
提督「…ごちそうさまでした、もういいわ……」
ロンドン「そうか、なら私が……んぐ…何だこの魚は、えらくマズイな……」
提督「あー…きっとそう言う魚なんでしょうね…」(…ウナギを「フィッシュ・アンド・チップス」に使うからでしょうが…やっぱりイギリスの深海棲艦はセンスもイギリス流なのね…きっと永遠に分かり合えないわ……)
………
…翌日…
提督「それじゃあ昨日言った通り、厨房に案内してもらうわね」
G級「全く、捕虜のくせにいちいち面倒な事を……せっかくクィーンが許可してくれたのだから、脱走を試みたりしないことね…」
提督「はいはい…どのみち出口の場所も知らないのに脱走も何もないわ」肩をすくめて案内されるままに廊下を進む提督…
G級「ほら、ここよ…」
提督「えーと…なにこれ……」
G級「厨房よ。私たちはそんなにお腹もへらないし、これだけあれば充分なの…」
…洞窟の一角にある「厨房」の天井には煙突のような空気穴が抜けていて、提督の目の前で数人が何かを作っている……が、置いてある厨房用具は岩の張りだしの上に置いてあるまな板らしい板切れとナイフ数本、明らかに拾い物のアルミ鍋とフライパンがいくつか…水道代わりにちょろちょろと流れている水をためている隅っこのドラム缶、それに海岸から流れてきた…あるいは捨てられたものを拾ったかしたキャンプ用のグリル台と、暖炉のような直火の調理台だけしかない…
提督「…」
G級「で…ご感想は?」
提督「とりあえず使える道具の種類は分かったわ…今度は食料庫に案内して?」
G級「はぁ、面倒ね……出来上がったら私にも分けるのよ?」
提督「ええ、これは相当頑張らないといけないわね…」
…食料庫…
G級「で、こっちはどう?…マカロニの提督ならきっとすごいものが作れるわよね」
提督「ええ、そうね…」相変わらず皮肉な言い方は変わらないG級をよそに、提督は箱や缶詰の間にしゃがみこんで周囲をごそごそとかき回している……まず拾い上げたのは難破した貨物船あたりから回収したのか、外箱がすっかり壊れているスパゲッティの青い袋…
提督「これでとりあえずパスタが作れるわね、後は…んー……あ、トマト缶♪」賞味期限は明らかに数年前ながら「まだどうにかなりそう…」と、拾い上げて小脇に抱える…
G級「持っててあげるわよ…」
提督「ありがと♪……それに…わ、アンチョビがあるわ♪」しゃがみこんでアンチョビの缶を拾い上げる…
G級「ふぅん…艦隊指揮はからっきしなのに、イタリア人って言うのは料理の事になると手際がいいのね」
提督「かも知れないわね…あとは……」G級のイヤミに生返事をしながら缶詰や瓶詰を選び取る…
提督「…うん、これでどうにかなりそうね♪」
G級「あらそう、よかったわね…」
提督「ええ、ようやく人間の食べるものが食べられるわ…♪」途端にきゅぅ…とお腹が鳴る……
提督「もう、私のお腹ったら素直だこと…///」
…厨房…
提督「さてと…♪」与えられたよれよれのキャミソールを着ている提督は手を洗うと、深海棲艦に鍋を借りた……漂着物の拾い物らしい鍋は「取っ手が取れる」が売りのフランス製でもないのに柄が行方不明で、おまけにあちこちへこんでいる…
提督「…まぁいいわ、とにかくお湯を沸かしましょう♪」…久しぶりにまともな料理が食べられそうとあって、うきうきした様子の提督…深鍋にお湯を沸かしつつ、塩を小さじ二つほど入れる…
提督「それから…と♪」
…これもずいぶんゆがんでいるフライパンにオリーヴオイルを注ぎ、赤唐辛子と刻んだニンニクひとかけを入れて温める……赤唐辛子の辛さは油に溶け出すので焦げやすいニンニクよりも先に入れ、じっくりと風味を出していく…しばらくしてニンニクがカリカリといい音を立てはじめたら、食料庫にあったアンチョビの缶詰に黒オリーヴの輪切り、ケイパーの塩漬けを入れて木べらでほぐしていく…
深海棲艦「…ふんふん」冷たい表情は相変わらずながら、興味深そうに香りを嗅ぐ数人…
提督「んー…いい香り♪」
…ほど良くほぐれたアンチョビと黒オリーヴの所にトマト缶を空け、焦がさないよう注意しながら濃い赤が鮮やかな柿色になるまで火にかける……最後に茹で上がったスパゲッティを絡めて黒胡椒を振ると、恍惚の表情を浮かべながら香りを胸いっぱいに吸い込み、さっと大皿に盛りつけた…
G級「へぇ…それで、この料理の名前は?」
提督「スパゲッティ・アッラ・プッタネスカ(娼婦のスパゲッティ)…「水商売のお姉さんが活力を付けるために作った」とか、そう言うお姉さんたちと同じで「たまにならいいけど毎日だと飽きるから」とか言われるナポリの味よ……あぁ、空腹にはたまらない香りね♪」
G級「椅子ならここにあるわよ…」古いオレンジの木箱を持ちだしてきた…
提督「ありがとう。それじゃあさっそくいただくわね……んーっ、美味しい♪」身もだえしながらスパゲッティを口に運ぶ提督…
G級「…ごくっ」
深海棲艦「…」
………
…そのころ・提督の実家…
チェザーレ「うむ、了解…大佐どの、改めてカンピオーニからもお礼を贈らせていただきます……それでは」受話器を置くと肩を回した…
ライモン「…チェザーレさん、まだ提督の行方について手がかりはなしですか?」
チェザーレ「うむ…提督の手帳にあった名前からラ・スペツィア、ナポリ、サルデーニャ島のカリアリ…シチリア島のアウグスタとメッシーナ…イオニア海管区のレッジョ・ディ・カラーブリア、タラント……もしかしたらアドリア海方面に誘拐されたかもしれぬからブリンディシとヴェネツィアにも電話はかけた……後はパレルモ航空隊のアントネッリ中佐は提督の「親しいお友達」なのでな、色々調べてくれたぞ」
ライモン「なのにかいもく見当がつかないなんて…いったいどこにさらわれてしまったのか……うぅ、きっと今頃深海棲艦に取り囲まれてあれこれと厳しい尋問を受けているに違いありません…」
チェザーレ「まぁ落ち着け、ライモンド…提督はなかなか頭の回転が速い。きっと脱走の機会をうかがうか、さもなければここに返してくれるように深海の連中に掛け合っているはずだ……それにあの提督に限って愛しい女性を悲しませるような事をする訳があるまい。違うか?」
ライモン「…そ、それはそうですが///」
チェザーレ「そうであろう?……それにさっきムツィオが手伝っていたからな、そろそろあのナポリ鎮守府のカント水偵が離水できるはずだ…行ってその目で捜索してくるといい」
ライモン「はい。それでは留守をお願いします」
チェザーレ「任せておけ。…必要ならこのチェザーレが賄賂だろうが何だろうが用意してみせるから、後ろにローマ軍団が付いているつもりでいればいい」ポンと肩を叩き、口元に笑みを浮かべて見せた…
クラウディア「…必要なものがあったら何でも言ってね?」
シルヴィア「もし銃がいるようならいくらでも出してあげるから、そう言いなさい…あと、これ」装填済みのベレッタ・M1938短機関銃を渡した…
ライモン「これは?」
シルヴィア「お守り代わりに一応……「ウサギの脚」よりは効果があるでしょうし」
ライモン「ありがとうございます…それでは、しばらく上空から探してみます」
アッテンドーロ「姉さん、水偵の準備が出来たって」
ライモン「分かったわ…それでは、上空から捜索してみます」…ライモンは短機関銃を肩にかけると岸辺に着水している三発エンジンのフロート機、カントZ506「アイローネ」(※Airone…アオサギ)の後部席に乗り込み、しばらくするとカント水偵は浜辺に砂と波を巻き上げて離水していった……
チェザーレ「…提督、もし戻ってこなかったらライモンドに代わってチェザーレが怒るぞ……?」
………
…一方・深海棲艦の洞窟…
G級「…んむ……んむっ…まぁ美味しいんじゃないの?」提督にパスタを分けてもらうと勢いよく食べ、口の端にトマトの汚れまで付けていながら辛口の評価を下す…
ケント級重巡「ふむ、なかなか美味い…」一方の重巡「ケント」級はさすがの貫録で、無表情ながら一応感心したような声を上げた…そのうちにいい匂いに誘われたのか、次々と厨房に姿を見せる大小の深海棲艦たち……
提督「ふぅ…まさかせっかくの夏季休暇を深海棲艦の司厨長として過ごすになるとは思ってもみなかったわ……」次々と顔を出してくる深海棲艦たちに汗だくで「スパゲッティ・アッラ・プッタネスカ」をごちそうする羽目になっている提督…
クィーン「…何事ですか」
C級軽巡「…陛下、このような場所にまでお越しになるとは……お気遣い、痛み入ります」
クィーン「余はあらゆるものに目を通さなければなりませんから。で、何をしているのですか…アドミラル?」
提督「えぇ…と、料理を作っておりました……良かったらいかがですか、クィーン♪」
レナウン(巡洋戦艦)「陛下に対してそのような口を利くなんて失礼よ…?」
クィーン「よいのです、レナウン…イタリア人の捕虜なのですから、礼儀を知らずとも致し方ないでしょう……?」さりげなく失礼なことを言うクィーン…
提督「む……クィーン、これは『娼婦のスパゲッティ』などと申す一品で、はなはだお口汚しかと思いますが…よろしければお召し上がりになられますか?」
クィーン「…そうですね、それでは味見程度に頂戴いたしましょう……」さっと用意された椅子に軽く腰掛け、ほんの少しだけパスタを巻きとって口に運んだ…
提督「…」
クィーン「……なかなか美味しいではありませんか」
提督「感謝します、クィーン」
クィーン「いいえ…ところでアドミラル」
提督「はい」
クィーン「あとで話がありますから、余の部屋へお越しいただければと思います……それでは…」しゃなりしゃなりと優雅な歩みで出ていくクィーン…
提督「…分かりました」(…まさか「『娼婦のスパゲッティ』なんて言うものを食べさせて、無礼だから処刑する」とかじゃないわよね……)
…しばらくして・クィーンの部屋…
G級「連れて参りました、陛下」
クィーン「ご苦労様です…下がってよろしい……」
提督「…それで、私にどのようなご用でしょうか?」
クィーン「ええ…実を言いますと、そろそろアドミラルにはお帰りになって頂きたいと思っているのです……」
提督「そうですか」(ふぅぅ…これでようやくライモンに会えるし、深海棲艦の作るイギリス料理ともおさらば出来るわね♪)
クィーン「はい……この一週間ばかりアドミラルを「捕虜」とはいえ我が方でもてなしておりましたが、あまりアドミラルにいられると余の部下たちに悪影響があると考えているのです…したがって、余はアドミラルを数日中に潜水艦に乗せてお返しするつもりです……」
提督「悪影響ですか…「あまり美味しいイタリア料理を食べさせるな」という訳ですね♪」
クィーン「ふふ……それもありますが、アドミラルもお気づきでしょう…彼女たちの態度を」
提督「…と、言いますと?」
クィーン「アドミラルの写真を回しては色欲を覚えている者たちがいるのですよ…なかなか刺激的な写真ですから……」
提督「あ、あれは…その…///」(もうあちこち触られたりしているけど…)
クィーン「…存じております。とにかく余は地中海での勝利のために戦っているのですから、イタリア料理や数枚の写真のせいで戦意を失ったり、集中を乱されては困ります……それに、なかなかあのG級を手厚くもてなしてくれたそうですから、その礼として解放することに決めました……ついてはこれを」一枚の便せんとペンを差しだした
提督「…これは?」
クィーン「受け渡しに際して余の部下を攻撃しないようアドミラルの艦隊に伝えるのです…さぁ、お書きなさい」
提督「はい……これでよろしいですか?」
クィーン「よろしい…余に嘘をついていればわかりますから。では、どうぞお戻りなさい……」
提督「はい、クィーン」(…あぁ、やっと太陽の下に戻れるのね♪)
クィーン「それと言っておきますが、ここにも日の当たる場所はありますよ…」
提督「…え?」
クィーン「…聞かれませんでしたから余も言いませんでしたが、廊下の石段を登って行けば見張り台があります……」
提督「…では後で日光浴をさせてもらいます」
クィーン「ええ、ご自由に…」
………
…その日の夜・カンピオーニ家の海岸…
ライモン「…ふぅ」青っぽい明るい月を眺めながらため息をついているライモン…横には提督にもらった豪奢なナイトガウンを羽織ったチェザーレが立っている……
チェザーレ「ライモンド、今日はもう疲れたろう…もう休むことだ」
ライモン「ええ……ですが提督もどこかであの月を見ているかもしれないと思うと、なかなか戻れなくて…」
チェザーレ「うむ、気持ちは分かるが……ん?」ふと視線を落とし、波打ち際に揺れている瓶を見つけたチェザーレ
ライモン「どうしました?…あ、瓶ですね……中に何か入っています…」
チェザーレ「うむ、手紙のようだが……ちょっと待て、ライモンド。この字は提督のものではないか?」
ライモン「!?」慌てて瓶の外から見える字を月明かりにかざす…
チェザーレ「どうだ?」
ライモン「…はいっ、間違いありません!……ムツィオ、クラウディアさん、シルヴィアさん!」瓶をしっかり抱えると、家に通じる小道を駆け上がっていく…
チェザーレ「…ふふ。それにしても、さすがチェザーレたちの提督よ…「瓶に入った手紙」とはなかなかロマンティックではないか……ライモンド、そう慌てると転んでしまうぞ?」ライモンの後を追って小道を上るチェザーレ…
…居間…
アッテンドーロ「…それじゃあ姉さん、内容を読んでよ」
ライモン「ええ……「愛しのみんなへ…」もう、こんな時にまでこういうことを言うなんて提督らしいですね///」
シルヴィア「ふふ、それだけ愛されているのよ」
ライモン「///」
アッテンドーロ「で、続きは?」
ライモン「ちょっと待って…「今、深海棲艦たちの巣窟の中でこれを書いています。ずっと太陽の見えない場所にいたので何日経っているのかもわかりませんが、とりあえず身体に問題はありません…どうやら深海側は、以前の作戦で鎮守府が「捕虜」にした「G」級の扱いに感謝し、お礼を言いたかったようです」…と書いてあります」
チェザーレ「全く。深海棲艦の奴ばら、いらぬところで律儀な真似を…心配で夜も眠れなかったというのに……」
ライモン「えーと…「とりあえず数日中に帰してくれるそうなので、私を乗せた深海棲艦を攻撃したりしないよう手はずを整えておいてください。搭乗するのはおそらく深海側の潜水艦「T」級になるはずです…」ですって!」
クラウディア「まぁまぁ…フランカが無事でよかった、うんとごちそうを用意しないと♪」
アッテンドーロ「じゃああのふざけた連中を沈めたりしないように準備しないとね…チェザーレ、また電話することになりそうですね?」
チェザーレ「提督が無事に帰って来るなら電話くらいお安いものだ…他には何か書いてあるか?」
ライモン「はい…「みんなにうんと心配をかけた分、休暇の残りは好きなだけわがままを聞いてあげるつもりでいます…とにかく無事にみんなに会うこと、それと温かいお風呂、美味しい食事が待ち遠しくてなりません」…だそうです」
クラウディア「ふふ、そうだろうと思ったわ♪」
シルヴィア「ふぅ…これでようやく安心して過ごせるわね」提督のいない間寂しげに鳴いていたルチアの頭を優しく撫でる…
ルチア「クゥーン…?」
………
…数日後・深海棲艦の洞窟…
クィーン「…数日前に申し上げた通り、準備していた捕虜返還の手続きが整ったので…本日をもってアドミラル・カンピオーニをイタリア側に返還することとなりました……」
タリスマン「それは残念だ…せっかく捕虜にしたのに」提督の側に座っている「タリスマン」がぼやく…
トーベイ「仕方あるまい……まぁまた捕虜にすれば良いではないか。わが軍はこれまでもイタリアの将官など網ですくえるほど捕えているのだから」
提督「…陸軍はともかく、海軍は別よ?」
クィーン「皆、静かに。それでは乾杯するとしましょう……アドミラル」
提督「あぁ、はい」グラスを持って立ち上がった…
提督「えーと…なにはともあれ、イギリス地中海艦隊のもてなしに感謝しております。少なくとも今回は砲弾ではなくウィスキーでしたから」提督の冗談にそこそこ笑いらしいものが漏れる
提督「それでは、お互いに武運長久を願って…げほっ、ごほっ!?」グラスを持ち上げ透明な液体を一気に流し込んだ提督…と、カッとするような味が喉を焼いた……
ベルファスト「…へへっ、うまくいった」数人が底意地の悪い笑みを浮かべている…
提督「…なに、これ……!?」
クィーン「…三倍量(トレブル)のジンに純アルコールを数滴……そうでしょう?」
ベルファスト「ええ、クィーン…どう、アドミラル。ダイナマイトでしょう…?」小さいハープを片手にイェーツの詩か何かを口ずさんでいる…
提督「うぇぇ…ひどい味……」顔をしかめている間にも意識がぼんやりして、目の前が揺らぎ始める提督
クィーン「…余も出口の場所を見られるのは好ましくありませんので……許しなさい、アドミラル…」今度はいきなり背後から目隠しをされ、ひょいと誰かに持ち上げられた…
提督「えっ、もう出発ですか…?」
クィーン「いかにも…それでは、よい航海を……」
提督「うぅ…ん」…急に持ち上げられたりしたせいでアルコールが回り、ふっ…と意識を失くした提督
クィーン「それでは頼みましたよ…」
トーベイ「了解…トーベイ、出撃します」
………
…数日後・深夜…
ライモン「それにしても…深海棲艦たちは本当に約束を守ってくれるでしょうか?」ざぁぁ…っ、と波音だけが響く浜辺に立って合図の懐中電灯を持ち、不安げな表情のライモン……
チェザーレ「…ブリタニアの二枚舌が信用できないか、ライモンド?」
ライモン「ええ…いきなり提督をさらっていくような相手ですし」
アッテンドーロ「まぁね、姉さんの言うことも分かるわ。でもわざわざ瓶入りの手紙まで送りつけておいて「嘘でした」って言うことはないんじゃない?」
ライモン「うん…わたしもそう思うけど……」
アッテンドーロ「じゃあ姉さん、合理的に考えてみましょうよ…私たちに提督を返すふりをすることで、あちらさんが何か得をすることがある?」
ライモン「うーん……わたしたちがショックを受けるとか」
アッテンドーロ「それだけならこんな回りくどいことなんてしないわよ…ね?」
ライモン「そう言われてみればそうかも…でも提督が戻って来るまでは安心できないわ」
アッテンドーロ「まぁね……って姉さん、あれ!」…沖合に浮上した潜水艦のぼんやりしたシルエットが霞んで見え、豆電球のようなぽっちりした明かりが点滅した
チェザーレ「合図で間違いないようだ…ライモンド」
ライモン「は、はいっ…!」懐中電灯を点滅させ、合図を返す…
チェザーレ「…さて、どこから来るのやら」
ライモン「そうですね……あ!」浮上した潜水艦とは別の方向から一隻のゴムボートが近づいてきて、砂浜に乗り上げると誰かが降りてきた…
タリスマン「……捕虜の返還に来た」
ライモン「…提督、提督っ!」
提督「…」くしゃくしゃで染みだらけになったナイトガウンを羽織り、タリスマンに担がれてきた提督…
アッテンドーロ「…提督におかしな真似はしていないでしょうね?」
タリスマン「ああ…少し気を失っているだけだ、すぐ回復する……それと…」
チェザーレ「何だ?」
タリスマン「陛下からのアドミラル宛ての親書がある…後で渡してもらいたい」
チェザーレ「うむ、なら受け取っておく…これでよいな?」
タリスマン「結構だ……では失礼する、次に見るのは照準器越しだろうな…」
アッテンドーロ「それはこっちの台詞よ…もう用はないからとっとと海の底にでも帰りなさい」
タリスマン「言われなくとも……それでは…」ゴムボートを押して浜から出すとひらりと乗り込み、そのまま沖合に消えて行った…
チェザーレ「なかなか素早かったな…ところで提督は?」
ライモン「いま起こしています……提督、提督っ!」
アッテンドーロ「ちょっと、本当に無事なんでしょうね……」
提督「…う、うぅん……」
ライモン「提督…っ!」抱きついて砂浜に押し倒し、あたり構わず身体中にキスを見舞いつつ涙をこぼした…
提督「…ただいま、ライモン……泣かないで、ちゃんと私は戻ってきたわ…ん、ちゅ…っ……」提督は綿のように疲れ切っていたが、それでもライモンにキスを返し、アッテンドーロとチェザーレにもうなずいた…
ライモン「あぁ、よかった……本当に心配で心配で…わたし、どうにかなっちゃいそうでした……」
アッテンドーロ「本当よ、まったく…姉さんったら自分を責めるわ、艦隊のみんなに電話をかけようとしたりで、もう大変だったんだから」
チェザーレ「まぁ、何はともあれ「終わりよければすべてよし」と…しかし、よく返してもらえたものだな?」
提督「あー…うん。それがどうも、私が料理を作ったり現代の事を色々教えたりしたら「戦意高揚の邪魔」になるって思ったみたい」
チェザーレ「なるほど…確かに美味い物を食って、恋だの愛だのを知ったら深海暮らしなどやってられんだろうからな……」
提督「ええ、そう言うことだったみたい……ライモン、んーっ♪」
ライモン「はいっ…ちゅぅぅっ……んっ?」
提督「…どうかしたの?」
ライモン「…何だか今日の提督は変な味がします……もしかして深海棲艦ともしたんですか?」
チェザーレ「あー…ところで提督よ、ひどく磯臭いな……クラウディアが風呂を沸かしているはずだから、汚れを落としてさっぱりしたらどうか?」
ライモン「むぅ…チェザーレさん、わざとですか?」
チェザーレ「何がだ、ライモンド?…とにかく提督を家まで運ぶのが先決ではないのか?」
ライモン「あっ、そうでした…提督、わたしにつかまって下さい」
提督「うん、ありがとう……よいしょ…」むにゅ…と提督の柔らかい乳房が背中に当たり、頬を赤らめながら肩を貸すライモン……
…カンピオーニ家・玄関…
ライモン「よいしょ…ここまでくればもう大丈夫ですね?」
提督「ええ、チェザーレも、ムツィオもありがとう…ちゅっ♪」
チェザーレ「…なに、愛しい提督のためならこのくらい構わぬよ♪」
アッテンドーロ「ええ…姉さんにばっかりキスしてるから、私たちの事は忘れているのかと思ったわ」
提督「ふふ、そんな訳ないでしょう…」と、玄関先にシルヴィアとクラウディアが立っていて、足下に寄り添うようにルチアも座っていた……
クラウディア「…フランカ!」
提督「ただいま、お母さ…んむっ!」いきなり抱きつかれ、甘い匂いのする胸元に顔を押し付けられる提督…
クラウディア「もう、無事でよかったわ…怪我はない?…お腹が減ったでしょう。お風呂も準備してあるわ…それより一晩寝たいかしら?」
提督「んー…んーっ……」
シルヴィア「いいけど、とりあえず放してあげたら?…フランカが窒息するわよ」
クラウディア「あら、いけない///」
提督「ぷはぁ……改めて迷惑をかけてごめんなさい、お母さま、シルヴィアおばさま…でもどうにか無事で済んだわ」
シルヴィア「いいのよ、ちょっとぐらい迷惑をかけるぐらい……クラウディア、これでようやく安眠できるわね?」
クラウディア「ええ。ところでシルヴィア…私、安心したら人肌が恋しくなっちゃったわ……///」
シルヴィア「はいはい、まずはフランカの面倒を見てからね」
ルチア「ワンワンワンッ…!」尻尾をちぎれそうな勢いで振り、提督に飛びつくルチア…
提督「あー、よしよし…ごめんね、ずっと心配させて」
ルチア「ワフワフッ…♪」
…しばらくして・浴室…
提督「…あいたた」洞窟の中で過ごしていたせいか、あちこちに擦り傷やちょっとした切り傷を作っていた提督…後ろからライモンに洗ってもらいながら、痛みに顔をしかめている…
ライモン「大丈夫ですか?…深海棲艦たちに拷問とか、ひどい目に合わされたりしませんでしたか?」
提督「拷問はなかったけれど、ひどい目にはたびたびあったわね…」
ライモン「一体どういう目にあったんですか、提督?…今度深海棲艦を捕まえたら同じ目にあってもらいますから」
提督「ありがとう、ライモン…気持ちは嬉しいけど、イギリス料理じゃ深海棲艦には効果ないでしょうね」
ライモン「えっ?…あー、イギリス料理を食べさせられたのですか……」
提督「ええ、出来るものなら二度と経験したくない味だったわ…あっ、そこ気持ちいい……あふっ♪」優しく谷間を撫でるライモンの手に甘い吐息をもらす…
ライモン「も、もう…あんまり甘い声を出さないで下さい……提督?」
提督「すぅ…すぅ……」
ライモン「あ、寝ちゃいましたか……仕方ありませんね…」そっと残りの部分を洗うと優しくタオルで拭き、寝室のベッドまでお姫様抱っこで運ぶ…
提督「…んぅ、ライモン……」
ライモン「はい、わたしはここですよ…///」そっと服を脱ぐとベッドにもぐりこみ、お風呂上がりでまだ暖かい提督の身体にぴったりと寄り添った…
提督「んふふ……すぅ…」
………
…思っていたよりずっと時間がかかってしまいましたが、これで「提督が深海棲艦に捕まる」ネタは完了ですね…
…ちなみに深海棲艦たちのモデルになった艦はそれぞれ……
戦艦…クィーン・エリザベス級
第一次大戦時の最新鋭高速戦艦。四隻の計画であったが英領マレーからの献金で建造された「マレーヤ」を含む五隻に。第一次大戦時には史上最大の海戦「ジュットランド海戦」などに参加し奮戦。
第二次大戦に際しては「長門」型のような舷側副砲を廃止して4.5インチ(11.4センチ)連装高角砲の搭載など近接対空火力増強の改修、一本煙突化による甲板の有効利用、ウォーラス水偵の格納庫を増設するなど航空艤装の強化を受け、ノルウェイ、地中海、インド洋と転戦。特に「ウォースパイト」の活躍が有名
巡洋戦艦…リパルス(レパルス)級
第一次大戦時の第一海軍卿(海軍司令長官)フィッシャー海軍卿の肝いりで建造された巡洋戦艦の一つ。
帝政ドイツ海軍の巡洋艦を捕捉・撃破できる火力と29ノットと言う高速を求めた分装甲は薄かった…が、ジュットランド海戦では戦艦隊到着までのつなぎ、あるいは高速戦艦の扱いを受けてドイツ主力艦隊と交戦。数隻が火薬庫の引火で轟沈するなど防御面の不足が目立ち、第二次大戦前に舷側装甲や航空艤装の追加など数々の近代化改修を受けている。
リパルスは極東艦隊の一隻としてマレー沖海戦に参加、「プリンス・オヴ・ウェールズ」と共に一式陸攻や九六陸攻の猛攻を受け戦没したが、その優れた指揮と高速で多くの魚雷をかわしてみせた。一方、二番艦の「リナウン」は本国艦隊や地中海艦隊などを歴任し無事に退役。
重巡…「カウンティ」(州)級
ワシントン条約の範囲内で七隻を建造した「ケント」級、その改良型で四隻建造の「ロンドン」級、最終型として二隻建造された「ノーフォーク」級と、「ロンドン」をのぞいていずれもイギリスの州から名前を取っている8インチ(20.3センチ)砲重巡。
広大な植民地警備のため安くて小型の軽巡を多数整備したイギリスながら、敵の軽巡や仮装巡洋艦を撃破するため8インチ砲を搭載し、長い航続距離を持つ重巡として整備したクラス。
通商ルート保護のための遠距離航海が多くなることを想定していたため居住性や航続距離はよかったが、予算や隻数の都合で「一万トン以内」に押さえようとしたことから防御を削り、重巡でありながら舷側装甲が25ミリという弱体な艦に…第二次大戦前にそれぞれ対空火器や装甲の増設を行っているが、どの艦もバランスが悪かったり、後発組だった日米独伊などの重巡に比べて能力が劣るので評価自体はあまり良くない
スピットヘッド観艦式で日本の「足柄」と比較され、「客船」などと言われたのもこのクラス
軽巡…「C」級
第一次大戦から似たような艦を連続して建造していたイギリス「C」級軽巡のうち、第二次大戦に投入された「カレドン」級四隻に「シアリーズ」級五隻、「ケープタウン」級五隻。
4000トン余りの小ぶりな艦に6インチ(15.2センチ)単装砲をおおよそ5基、21インチ(53.3センチ)連装魚雷発射管4基と言った火器を搭載していた…が、第二次大戦時には旧式化していたため、当時は珍しい防空軽巡として改装、各国海軍の注目を浴びた。特に陸が近く空襲の激しい地中海方面に投入されて多くが戦没している
軽巡…「カヴェンディッシュ」(改バーミンガム)級
第一次大戦にイギリス海軍を振り回した仮装巡洋艦や通商破壊任務を帯びた艦を捕捉・撃破するために整備された巡洋艦。一万トン近い大柄な艦形に敵艦をアウトレンジ出来る7.5インチ(19.1センチ)砲を7基搭載し、速度も30ノットに届こうという強力な「軽巡」……だったが、第一次大戦後の海軍軍縮条約で「6インチ砲以上の艦」と言うことで「重巡」扱いを受けたり、大型の船型から何かと実験に使われ、ネームシップの「カヴェンディッシュ」が一時期空母「ヴィンディクティブ」になったりと忙しかった…第二次大戦では対空火器を増強して船団護衛などで活躍
クラス名もネームシップから「カヴェンディッシュ」級、二番艦から「ホーキンズ」級、軽巡「バーミンガム」級の改型と言うことで「改バーミンガム」級、エリザベス一世時代の提督名から来ていることから「エリザベサン」級などとさまざま…
軽巡…「エディンバラ」級
町の名前を冠した戦前の新型軽巡「タウン」級の最終グループで、「エディンバラ」と「ベルファスト」の二隻。
竣工が1939年と第二次大戦勃発時には最新鋭艦で、三連装6インチ砲を四基搭載した一万トンクラスの堂々とした軽巡。公称32ノットと言う速度に甲板防御、舷側防御を増した船体はマルタ島を救援する輸送船団の護衛役として最適だった。ネームシップ「エディンバラ」は戦没したが、「ベルファスト」は戦後も生き延び、テムズ川で記念艦になっている
ちなみに深海棲艦「ベルファスト」が竪琴を持っているのは1586年に「アイルランドのシンボル」としてエリザベス一世が選んだ「ブライアン・ボル・ハープ」という竪琴から…モデルの竪琴はダブリンの「トリニティ大学博物館」にあるということで、アイルランド生まれのビール「ギネス」にも描かれている…
…翌朝…
提督「…ん、んんぅ……朝の光が眩しいわね」一週間近くもの間、ずっと洞窟のような場所にいたせいか日差しが目を射る……目を細めてサングラスを探す提督…と、ベッドで寝息を立てている可愛らしいライモンの姿が目に留まった…
提督「…♪」いたずらっぽい笑みを浮かべると化粧台をから何かを取りあげてライモンに近づき、それから下の階に下りて行った……
…食堂…
提督「おはよう。お母さま、おばさま…それにチェザーレ♪」ちゅっ…と頬にキスをすると、食卓についてコーヒーと新聞を取った…
チェザーレ「うむ、おはよう…この何日かはチェザーレはなかなか寝つかれなくてな、昨夜は泥のように眠らせてもらった……アッテンドーロもまだぐっすり眠っているぞ♪」
提督「ごめんね…心配をかけたわ」
クラウディア「いいのよ、フランカが無事に戻って来ただけで充分…はい、朝ご飯よ♪」
提督「ありがと、お母さま♪」
シルヴィア「ま、いい刺激になったわね…」
提督「ふふっ…おばさまったら♪」
ライモン「…ふわぁぁ……提督、こちらでしたか…おはようございます♪」珍しく寝ぼけまなこで下りてきたライモンは、左右の頬にキスをしてから食卓につこうとする…
チェザーレ「ほう…なかなか大胆だな♪」
クラウディア「あらあら…うふふっ♪」
シルヴィア「へぇ…」
提督「…くすっ♪」
ライモン「あの……わたしの顔に何かついてます?」
チェザーレ「ふふふ、鏡を見てみるといい…♪」手鏡を差しだすチェザーレ
ライモン「…鏡ですか…って、あぁっ///」ほっぺたに濃い紅のルージュでキスマークが付けられている…
提督「くっ…ふふっ、あははっ♪」
チェザーレ「ははははっ、傑作だ♪」
ライモン「も、もう…提督がさらわれてからというもの、わたしが寝ずに頑張っていたのにこのいたずらですかっ……///」
チェザーレ「と、口で言う割にはにやけているな…♪」
クラウディア「もう、フランカったら……ほら、ライモンちゃん。メイク落としを貸してあげるから…」
ライモン「…そ、そうですね……でも少しもったいないような///」
シルヴィア「ふぅ…朝から甘いわね……」
…食後…
提督「はぁぁ…美味しかったぁ……幸せ…♪」
クラウディア「うふふ、お昼にはフランカの好きなものをいっぱい作ってあげるから…ね♪」
チェザーレ「うむ、無事に戻ってきたお祝いという訳だな…ところで……」名前が並んでいる紙を渡される…
提督「なぁに、これ…みんな私の知り合いばっかりだけど?」
チェザーレ「いかにも…このリストに書いてあるのは提督が連れ去られてから情報を聞き出したり、「損傷を与えた敵潜の撃沈確認」と言う名目で手を借りた軍のお知り合い方だ」
提督「こんなに聞いて回ってくれたの……本当にありがとう…///」
チェザーレ「うむ…が、間違っても公にすることも出来ぬ事ゆえこの方々には本当の事情は伏せておき、その上で「提督からの個人的な頼み」と言うことにして聞き出したのだ……つまり、「見返り」が必要という訳だな」
提督「…え、ちょっと待って」
チェザーレ「…夏季休暇の残り数日はプレゼントの購入とお礼の電話にかかりきりになってもらうのでな、よろしく頼むぞ…♪」
提督「…うぇぇ」
…夏季休暇最終日…
提督「はぁ…ふぅ……ひぃ…」暑い夏の最中にランチアと自宅を往復する提督…隣にはシルヴィアのオープンクーペ、綺麗なイタリアンレッドの「アルファロメオ・ジュリエッタ」が停まっていて、クラウディアもリボンやおしゃれな包み紙に包まれた贈り物をトランクから降ろしている……
チェザーレ「やれやれ…これでようやく全部用意できたな」
アッテンドーロ「私たちに心配をかけたんだから、そのくらいはしてもらわないとね」
提督「それにしたって…お礼の電話と礼状、それにプレゼントのお買いもの…まったく、これじゃあちっとも夏季休暇にならないわ……」
ライモン「まぁまぁ、またお世話になることもあるかも知れませんし…ね?」
提督「ええ、そうね…はぁぁ……」
クラウディア「うふふっ、お疲れさま…それじゃあこれは宅配便にお願いしておくから、宛て名とあなたの任地だけ書いておいてね♪」
提督「はぁーい……お母さま、おばさま…買い物につき合ってくれてありがとう」
クラウディア「いいのよ、お買いものするの楽しかったもの♪」
シルヴィア「それにしても時間がかかったけれどね…ま、たまには「ジュリエッタ」も走らせてあげないといけないし」
提督「車を出してくれて本当に助かったわ、シルヴィアおばさま」
シルヴィア「別にいいわよ…さ、お昼にしましょう?」
提督「はぁい♪」
…翌朝…
提督「それじゃあ忘れ物はなーい?」抜けるような快晴の空の下、すっきりしたサマーワンピースとサングラス姿の提督
ライモン「はい、大丈夫です」
アッテンドーロ「同じく、ばっちり準備したわ」
ルチア「ワフッ…♪」後部座席の床に寝そべり、ムツィオに頭をかいてもらっている…
チェザーレ「うむ…それに忘れていることに気づいたら忘れ物ではあるまい」
提督「そういうことを言わないの…それじゃあ、お母さま、おばさま……また冬の休暇の時にでも戻ってくるわ。あと、秋の初めに基地祭があるから、よかったら来てね♪」
シルヴィア「そうね、その時にはお邪魔するわ…」
クラウディア「ええ…あ、そう言えば♪」
提督「なぁに、お母さま?」
クラウディア「よかったらこれを持って行って?」口にテープを貼って閉じてある大きな紙袋を渡した…
提督「これ、なあに?」
クラウディア「ふふっ、それ?お母さまから可愛いフランカへ悪ふざ……フランカが艦娘の女の子たちと親睦を深めるのに使えるように用意したの♪」
提督「今、「悪ふざけ」って聞こえた気がしたのだけど…」
クラウディア「ふふっ、そんな訳ないじゃない♪…それじゃあ、タラントについたら電話をちょうだいね?」…ちゅっ♪
提督「ええ、そうするわ…それじゃあ、行ってくるわね」
シルヴィア「行ってらっしゃい…♪」
提督「ええ、行ってきます♪」運転席から手を出してクラウディアとシルヴィアに手を振ると席に座り、滑らかにアクセルを踏み込んだ…
ライモン「おかげで忙しい夏休みでしたが、なかなか刺激的でしたね…?」
提督「ええ、それにしても刺激的すぎたけど……さ、タラントまで飛ばして行きましょう♪」
…鎮守府…
提督「はぁぁ…着いたわね」電動ゲートに暗証番号を入れて門を開けると、ランチアを鎮守府の道に乗り入れる…
ライモン「ふふ、なんだか懐かしいですね♪」
アッテンドーロ「あーあ、これで夏休みも終わりなのね…改めて実感しているわ……」
チェザーレ「そう言うな、ここでもたいていはゆっくり出来るではないか♪」
アッテンドーロ「まぁね…それより、施設の掃除とか電源の立ち上げとかしないといけないんでしょ……提督、私も手伝いましょうか?」
提督「お願いできる?」
アッテンドーロ「いいわよ…それに電気と水道なしじゃ困るのはこっちだもの」
提督「ありがと♪」
…そう言っている間にも提督のランチアは入り口側に建っている「事務棟」こと、無機質なコンクリート二階建ての建物を回り込み、一変して花の咲いている前庭と建物の明るい黄色が陽光に映える、両翼の広い別荘風の「本館」前に車を停めた……提督は三人と一匹に降りてもらうと横手の車庫にランチアを入れ、入り口の石段に荷物を降ろすと、大きな観音開きの玄関を開けた……途端にむっとした空気が押し寄せてくる…
ライモン「うわ…!」
チェザーレ「むむむ……」
アッテンドーロ「ちょっと、ひどく空気が蒸れているわね…」
提督「本当ね…それじゃあ手分けして全部の窓を開けましょう、ルチアはゆっくりしてて良いわよ♪」
ルチア「ワンッ♪」提督の足下にまとわりついて尻尾を振る…
提督「あらそぉ?それなら一緒に行きましょうねぇ♪」
チェザーレ「相変わらずルチアと一緒になると甘ったるい話し方になるのだな…」
ライモン「…全くです」
…しばらくして…
ライモン「ふぅぅ…全部の窓を開けてきました……やっぱり海風が入ってくると涼しいですね♪」
提督「そうね。それじゃあ次は蛇口を開けて水を流して、あと建物のブレーカーを入れないと」
アッテンドーロ「電源ってレーダーは別なのよね?」
提督「ええ、あれは別に電源があるし、通信室と冷蔵・冷凍室はいつも稼働状態だから…あくまでもみんなの部屋の分ね」
アッテンドーロ「だったらなおの事ね…とっとと入れて来るわ」
提督「あ、電源は私がやるから水道をお願い♪」
アッテンドーロ「了解…はぁ、みんなにも早く戻ってきてほしいわね」
提督「あら、誰に会いたいの?」
アッテンドーロ「そういうのじゃなくて、色々やることが多いからよ…とりあえず、水道の栓を開きっぱなしにすればいいのね?」
提督「ええ。…それと、手伝ってくれたムツィオたちには私の特製パスタをごちそうしてあげる♪」
アッテンドーロ「ならいいけど……格別美味しいのを頼むわよ?」
提督「はいはい♪」
…お昼時…
提督「それにしても三人ともごめんなさいね、私と一緒だと一日は休暇が短くなっちゃうのをすっかり失念していたわ…」
チェザーレ「なに、構わぬよ。提督と一緒だとなかなか愉快であるからな」
ライモン「ええ…それに、提督と一緒にいられるならどこだって嬉しいです///」
提督「まぁ…ライモンったら///」
アッテンドーロ「へぇ、姉さんもやっと愛の言葉を言えるようになってきたわね♪」
ライモン「もう、からかわないで///」
提督「うふふ…それじゃあ愛情たっぷりのお昼にしましょうね♪」
チェザーレ「うむ、チェザーレも手伝おう」
…厨房…
提督「さーてと…何があるかしらー……と」ごそごそと冷蔵庫と奥の食料庫を探し回る提督…
提督「…あ、パルメジャーノ・レッジァーノがあるわ♪」奥の冷蔵室に入っていたパルメジャーノ・レッジァーノ(パルメザン)チーズの塊を見つけ、ニンニク一個と唐辛子数本を一緒にカゴに入れ、意気揚々と厨房に戻ってくる…
ライモン「何かありました?」
提督「ええ、チーズにニンニク、唐辛子、冷凍の海老とイカが少し……菜園のトマトとバジルはまだ残っているかしら?」
ライモン「わたしが見てきます…ムツィオ、一緒に行きましょう?」
ムツィオ「ええ、姉さん♪」
提督「お願いね、その間に準備しておくから♪」
…冷凍になっていたシーフードをビニール袋ごと水につけて解凍しながら、手際よくニンニクを刻み、唐辛子を輪切りにする……すでに大きなパスタ鍋にはお湯がかけてあり、フライパンも準備してある……と、厨房の片隅でカサコソ言う音が聞こえる…
提督「…?」材料を刻むと音のする方に視線を向け、途端に固まった提督……
提督「チェザーレ…来て!」
チェザーレ「提督、どうしたのだ?」
提督「えーと…厨房の床に……私、あれだけはどうも苦手で…」イタリアやスペインで言うところの「ラ・クカラーチャ」を見て引け腰の提督…
チェザーレ「どれ…あー、確かにいるな……少し待っておれ」食堂の片隅に置いてあったローマ風の長剣を持ってくると鞘ばしる音もさせずに抜き放ち、猛烈な突きを放った…
チェザーレ「…えいっ!」
提督「…ど、どう?」
チェザーレ「うむ、仕留めた…ほれ」
提督「あー、わざわざ見せなくていいから捨ててきて……後で殺虫剤でも撒かないと」
チェザーレ「…提督、捨ててきたぞ。それにしてもあれが苦手とはな、よく森の中にもいるではないか」
提督「森の中なら別にいいの…でも屋内にいるのは勘弁してほしいわ」
チェザーレ「細かいのだな…ところでな、パスタの湯が噴きこぼれそうだぞ?」
提督「わ…いけない!」
ライモン「提督、トマトをもいできましたよ。…どうしたんです、チェザーレさん?抜き身の剣なんか持って?」
アッテンドーロ「ネズミでもいたの?」
チェザーレ「あぁ、近いな…実はさっきそこに……」
提督「…ライモン、そのトマトをちょうだい」
ライモン「あっ、はい」
提督「それで…と」
…解凍された海老とイカは鎮守府の厨房を取り仕切る「ディアナ」が下ごしらえをした上で冷凍しておいてくれたものだったので、海老の背わたも取ってあった……それをさっとレモンと胡椒で揉んで、生臭さを取る……ニンニクと唐辛子の香りが空腹を誘うフライパンにイカと海老を入れて白ワインを注ぎ、軽く火を通すと一旦どけて、今度はもいできたばかりのトマトを刻んで入れ、形が無くなるまで煮詰めるようにしていく……ほとんどトマトの形が無くなったところにイカと海老を戻し、塩と粗挽き胡椒、オレガノで軽く風味をつける…
提督「はい、フェデリーニのペスカトーレ完成♪」くるりと巻くように大皿に盛りつけ、可愛らしくバジリコの葉っぱを上に載せる…
ライモン「わぁ、美味しそうですね♪」
アッテンドーロ「いい匂いね…たまらないわ」
提督「ふふっ…待っててね、もう一品作るから♪」
…今度はトマトのヘタを落とし串を刺すと、お尻の部分から皮に軽く十字の切り込みを入れ、湯剥きにする……極細のカッペリーニを茹でて軽く冷水で締めると、同時に作っていたトマトとニンニクだけのあっさりしたソースに軽く絡める。できたパスタをガラスの大皿に盛ったところへ氷水で冷やした湯剥きトマトを載せ、上からチーズおろしでパルメジャーノをかけると、すっきりした「トマトの冷製パスタ」が出来上がった…
チェザーレ「おぉ、なかなか洒落た一品ではないか」
アッテンドーロ「さすが、「パスタ大好き提督さん」ね…それじゃ、頂くとしますか♪」
提督「ふふっ…遠慮せずにどうぞ、ルチアには茹でたパスタに白茹でのお肉を乗せたのがあるからね♪」
ルチア「ワフッ…フガフガ……」
チェザーレ「ん、美味いな…カッペリーニはあっさりしていて、トマトの酸味がよく効いているな」
アッテンドーロ「こっちのペスカトーレも…んむ、美味しいわ」
ライモン「うーんっ…おいしいです♪」
提督「そう、よかった♪」
アッテンドーロ「それにしてもこれだけ広い場所に四人と一匹って言うのは少し静かすぎるわね…みんな戻ってこないかしら」
チェザーレ「うむ、ローマ観光に行ったガリバルディたちの土産話も聞きたいものだな」
ライモン「そうですね、みんなが帰ってきたら色々お土産も渡してあげないと」
提督「ふふ、そうね…♪」
ルチア「ワフッ」
………
…その頃・どこかの薄暗い部屋…
渋い男「…これが今回の目標だ」きっちりした姿の中年男が一冊のファイルを渡し、低い声で言った
女「なるほど……しかし、それほどの人物には見えませんが」女の方はきっちりとまとめた髪に眼鏡姿で、服にはチリ一つ付いていない…ファイルに記載された顔写真や経歴を読み進め、時々手元の手帳に何やら書き留める……最後にファイルを閉じて男に返すと切り捨てるように言った…
男「見た目から判断するな。一見穏やかそうだが、これまでに担当した三人が使い物にならなくなっている」
女「それで…開始はいつですか?」
男「ああ、今度の週明けからだ…うまくやれ」
女「了解」
………
…翌日…
ライモン「あ、ナポリからのバスが来ました…みんな元気そうですね」門の前で海軍の借りたバスから降りると、両手いっぱいに荷物を持って入ってくる艦娘たち…中の数人は出迎えの提督たちに向けて大きく手を振っている
提督「休暇中何もなかったようでよかったわ…おかえりー♪」提督が手を振りかえすと、スーツケースを後ろに引き、手にも紙袋や箱を抱えているリットリオが真っ先に近寄ってくる
リットリオ「ただいまです、提督っ!……んちゅ、んふ…ちゅっ……じゅるっ…♪」荷物を地面に置くと提督に抱きつき、うなじに両手を回して押さえつけると、熱い口づけを交わす…
提督「んぅ、んちゅ…んふぅ……もう、リットリオったら…こんな熱いキスは…お昼にするものじゃないわ……♪」
リットリオ「だって、提督とキスしたかったんです……ふふ、あまーい味がしますね♪」
提督「ええ、ドルチェにカスタードのロールケーキを食べたから…お帰りなさい、リットリオ」
リットリオ「はいっ…♪」
エマニュエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ(アオスタ)「提督。軽巡アオスタ、ただいま戻りました」
提督「お帰りなさい、アオスタ…ナポリはどうだった、楽しかった?」ちゅっ…と左右の頬にキスをして、いたずらっぽくウィンクをする
アオスタ「ええ。途中でコレオーニがはぐれそうになったり、お店で勘定を間違えられそうになったりしましたが…こうしてちゃんと戻ってきました」
提督「ふふ、何はともあれ楽しそうでよかったわ♪」
アオスタ「それはもう…予算もオーバーしませんでしたし、提督へのお土産もちゃんと買えましたから」…戦後賠償艦としてソ連に引き渡されたせいもあってか理詰めの委員長気質で、何にせよきっちりした性格のアオスタ
提督「ありがと…あ、ローマからのバスも戻ってきたわ♪」楽しげに談笑しながらバスから降りてくる数人…と、カヴールが同行していた軽巡ガリバルディに荷物を預けてやってきた…
カヴール「…提督っ!…深海棲艦に誘拐されたと聞きましたが大丈夫でした?…身体に不調はありませんか?」
提督「心配させてごめんなさいね…大丈夫よ……ちゅっ♪」提督より大柄なカヴールの頭をつま先立ちして撫でると、キスを交わす…
カヴール「よかった…チェザーレから電話で聞いた時は心臓が止まるかと思いました……私を心配させるいけない提督にはお仕置きです♪」…さわっ♪
提督「きゃあっ♪…もう、いきなりどこを撫でているのっ……///」そう言いつつもちっとも嫌がっている様子はない提督…
カヴール「うふふっ♪…それはもう、提督のむっちりしたヒップを……また一段とむちむちになりましたね♪」
提督「もう…カヴールのえっち♪」
ガリバルディ「ねぇカヴール、よかったら私にも触らせてくれる?」
カヴール「あぁ、はいはい……ふふっ、独り占めはいけませんものね♪」
ガリバルディ「そう言うこと…提督は相変わらずいい手触りね♪」むにっ…♪
提督「あんっ、もう…♪」
ロモロ「…ねぇ提督、私たちのことを忘れてない?」
レモ「ほんとだよ、レモだってローマのお土産を買ってきてあげたんだからねー?」狼の乳で育ちローマを建国したと言う伝説上の双子を名前に取った「R」級大型輸送潜水艦、「ロモロ」と「レモ」が潜水艦とは思えない巨乳を提督に押し付ける…
提督「大丈夫、忘れてないわ…お帰り、ローマは相変わらずだったでしょう?」
ロモロ「そうね、むしろずいぶん立派になってて驚いたかも……うん、久しぶりの提督はいいねぇ…♪」ふとももを撫で回すロモロ…
レモ「でも車が多くてほこりっぽかったなぁ……物の値段も高くて、レモびっくり」
提督「うんうん…さ、荷物を置いて着替えていらっしゃい♪」
ロモロ「了解♪」
レモ「はぁーい♪」
ライモン「提督、ヴェネツィア組も帰ってきましたよ」
提督「そうみたいね…ずいぶんと肌が艶めいているようだけど……」
アミラーリオ・ディ・サイント・ボン「提督、サイント・ボン帰投いたしました」水中で2000トンを超える大型潜水艦、「カーニ」級大型潜の「サイント・ボン」がピシッと敬礼をする…と、「R」級と同じように潜水艦とは思えないわがままボディが「たゆん…っ♪」と揺れる…
提督「お帰りなさい、ヴェネツィア海軍博物館は面白かったかしら?」
サイント・ボン「ええ…色々と勉強になりましたし、案内の士官さんも丁寧でした」オーストリアに惨敗した「リッサ海戦」以降のイタリア王国海軍を復活・躍進させた偉大な海相の名前を取っただけあり、立っているだけで立派な存在感があるサイント・ボン…
提督「それはよかったわ…お帰りなさい、マルチェロ級のみんな。…その様子だとたっぷり休養できたみたいね♪」
ロレンツォ・マルチェロ「いかにも。なかなか刺激的でいい休暇になった…おっと、マルチェロ級大型潜マルチェロ、ただいま帰投!」
アゴスティーノ・バルバリゴ「同じくバルバリゴ、ただいま帰投…提督にも後で聞かせてあげよう♪」
アンジェロ・エモ「同じくエモ、帰投しました!……まったく、お姉ちゃんたちったらあんな騒ぎを起こして…」
エンリコ・ダンドロ「同じくダンドロ、帰投!相変わらず提督はしゃぶりつきたくなるような美人だな♪」
提督「うふふっ…もう♪」ヴェネツィア出身の中世の提督たちを艦名に取った「マルチェロ」級大型潜水艦たちが形のいい敬礼をする…提督はきりりと表情を引き締めて答礼すると、急に表情を崩して抱き寄せた……
フランチェスコ・モロシーニ「おい、抜け駆けとはずるいぞっ…!」
ラッツァロ・モチェニーゴ「待て待て、本官にも抱かせろ♪」
提督「大丈夫よ、逃げたりしないから…それより手を洗って来たらお茶にしましょうね♪」九人のマルチェロ級をやってくる順に次々と抱きしめる…と、今度は可愛らしい二人が荷物を抱えてやってきた…
クィンティノ・セラ(セラ級駆逐艦)「…ならヴェネツィア土産のお菓子がありますから、一緒に食べましょう…ね、提督♪」
フランチェスコ・クリスピ「そうね」
提督「あ、セラにクリスピ…ちゃんとMTMは見学できた?」
…排水量955トンの小さな駆逐艦「セラ」級はセラとクリスピの二隻で、41年にはクレタ島に隠密接近し、乗員が体当たり直前に脱出する危険な爆装モーターボート「MTM」(爆装艇)6隻を発進させると、イギリス重巡「ヨーク」とタンカー、貨物船を大破・撃沈させている……いつもは人の少ない時間に大浴場で「MTM」のラジコンを走らせているが、今度もお土産に買ったらしい「MTM」艇のプラモデルが入っている箱を抱えている…
提督「あら、イタレリの爆装艇?」(※イタレリ…イタリアのプラモデルメーカー。日本のタミヤとも協力関係にある)
セラ「そうなんです、おおきいスケールで見つけたので買っちゃいました…作るのはアヴィエーレに教えてもらおうと思って///」少し気恥ずかしそうにもじもじしている…
提督「いいじゃない、とりあえずそれは部屋に置いていらっしゃいね」
セラ「はい♪」
提督「ふふ、可愛いわね…お帰りなさい、ドリア、デュイリオ♪」
ドリア「戦艦ドリア、戻りました……んっ、ちゅぱ……ちゅぅ♪……もう、心配したんですからね?」
提督「んぅ、ぷはっ…ごめんなさい、心配をかけて♪」
デュイリオ「んふふっ♪…いいんですよ、提督……ちゅっ、じゅる…っ、んちゅ、れろっ…♪」
…1915年生まれの「おばあちゃん」ながら戦前の大改装で艦の6割を改造、新戦艦なみのぴちぴちな姿に一新されたお洒落なド級艦「カイオ・デュイリオ」と、やはり大改装を受けたむちむちの美魔女、1916年生まれの戦艦「アンドレア・ドリア」…どちらも提督には甘々で、その豊満な身体と燃料不足の影響で力を持て余していた戦前の記憶からか、むらむらと湧きあがる色欲を思う存分ぶつけてくる…
提督「んちゅぅ…もう、こんなところでは駄目よ……まずは荷物を置いて、着替えてからにしましょう?」
デュイリオ「はい…それでは、午後のお昼寝の時間にお邪魔します♪」
ドリア「…あら、私もお邪魔しようと思っていたのに」
デュイリオ「それなら二人一緒にお邪魔したらどうかしら…ね、ドリア♪」
ドリア「まぁまぁ、それも楽しそうね…ふふっ♪」
提督「…さっそく身体中の関節がきしむことになりそうね」
ライモン「そう言いながら顔がにやけていますよ、提督」
…しばらくして・食堂…
ガリバルディ「スペイン広場は大変な人混みで…ジェラートの屋台も辺りを散らかすからって移動させられていたけど、私たちはカフェで食べてきたの」
提督「あら、そうだったの♪」美味しいコーヒーとお菓子を前に談笑する艦娘たちは、それぞれお土産や贈り物をあげたりもらったりしてはきゃあきゃあ言ってはしゃいでいる…と、チェザーレがいくつもラッピングされた包みを持って明るい大食堂を歩き回っている……
チェザーレ「おぉ、アヴィエーレ…ちょうどいい」
アヴィエーレ(ソルダティ級駆逐艦)「どうしたんだい、チェザーレ…私に用事かな?」艦名が「航空兵」だけにローマの航空ショーとガルダ湖畔の博物館で戦闘機尽くしの時間を過ごしてきたアヴィエーレ…相変わらずサングラスとオールバックの髪に、革のブーツで格好よく決めている…
チェザーレ「うむ…実は、アヴィエーレにこれを渡したくてな…よかったら受け取ってもらえるか?」手に乗る程度の大きさをした、細長い包みを渡す…
アヴィエーレ「もちろんさ、どうもありがとう…開けていいかい?」
チェザーレ「うむ、チェザーレなりに吟味したつもりなのでな…喜んでもらえると嬉しい」
アヴィエーレ「どれどれ…って、これは」包み紙を剥がすと、銀色の精密そうなピンセットのセットが入っていた…
チェザーレ「うむ、模型用のピンセットなのだが…アヴィエーレはよく飛行機模型を作っているだろう?チェザーレの気持ちがこもったこれを手許に置いてもらえたら…そう思ってな」
アヴィエーレ「このピンセット、前から欲しいと思っていたんだ…嬉しいよ、チェザーレ///」
チェザーレ「うむ、愛用してもらえると嬉しいぞ…」
提督「……チェザーレ、最後の数日間ですごい額の買い物をしていたけど…まさかね」
チェザーレ「ディアナ、そなたに贈り物があるのだが…」
ディアナ「あら、ありがとうございます…何でしょうか?」優美なデザインで最大32ノットを出していた高速スループ「ディアナ」は重要物資の輸送任務が多かったが、鎮守府では食堂をきりもりしている…艦娘「ディアナ」はボリュームのある淡い金髪で「ディアナ様」だけに水色の瞳に水色の口紅を引いている…
チェザーレ「うむ…これなのだが」
ディアナ「まぁ、ミラノ製の調理道具セット…わざわざ買ってきてくれたのですか」
チェザーレ「いや、他に思いつく物がなくてな……これでディアナが楽に調理できるようになれば嬉しいぞ」
ディアナ「ええ、大事に使わせてもらいます♪」
提督「…」
チェザーレ「…ポーラ、構わぬか?」
ポーラ(ザラ級重巡)「はぁ~い、何でしょ~♪」
…重防御と攻撃力、ほどほどの速力をバランスよくを兼ね備えた重巡ながら、淡いグレイの髪にえんじ色のフレアースカート、淡い灰色のブラウスとふんわりとした印象のポーラ……ワインや洋酒に関してはかなりの目利きで、食卓にのぼるワインやリキュールの発注や時々ある押収品の競売では競り落とし役なども任されている…また、姉妹のザラ、フィウメ、ゴリツィアたちとは「あの時」の悲惨な結末の反動もあって一緒に過ごせることが嬉しくてたまらず、昼夜問わずにかなりの姉妹愛を育んでいる。最近はザラ級の改修型で一人っ子の「ボルツァーノ」もその渦に巻き込まれつつある…
チェザーレ「いや…ちょっとした贈り物なのだが……」
ポーラ「贈り物ですかぁ~、嬉しいです~♪」
チェザーレ「ふっ、中身を見たらもっと喜んでもらえるはずだ…さ、開けてみてくれ」
ポーラ「はぁ~い……わぁぁ、五つ入りのグラスセットですねぇ♪」
チェザーレ「うむ…銀製でフィレンツェのアンティークなのだ。これなら落としても割れぬから、姉妹の愛と友情をずっと祝い続けてくれるだろう…それと五つ目は仲良くしてくれているボルツァーノのために、そう思ってな」
ポーラ「ポーラ、嬉しいですっ…♪」
チェザーレ「…なに、たまたまチェザーレの目に留まってな……姉妹でワインを傾けるときにでも使ってくれ」
ポーラ「ありがとうございます、チェザーレ♪」
提督「…道理でお財布がすっからかんな訳ね……」
チェザーレ「…トリチェリ、素敵な錬金術士に似合いそうなケープを欲しがっていたであろう……チェザーレの見立てなのだが、着てみてくれぬか?」
トリチェリ(ブリン級大型潜)「そんな、こんな高そうな……ふんわりと軽くて、とっても馴染みますね……ガリレイ先生、チェザーレさんからこんな立派なケープを頂いてしまいました♪」
…フランコのナショナリスタ側スペインに引き渡された先代に続く二代目の「トリチェリ」は浮上砲戦に追い込まれ駆逐艦三隻、スループ艦一隻と交戦しながらも乗員の脱出・自沈までに英駆逐艦一隻を撃沈、一隻を損傷させるなど勇敢な艦で、名前をガリレオの弟子で物理学者の「エヴァンジェリスタ・トリチェリ」から取ったことから鎮守府の「錬金術士」組として淡い桃色と水色のケープや、クリーム色とセージグリーンのマントなど、お洒落な格好をしていることがある…
ガリレオ・ガリレイ「あら、よく似合ってる…チェザーレ、トリチェリに素敵なケープをありがとう♪」
チェザーレ「ふふ…ガリレイにはこれを使ってもらおうと思ってな」
ガリレイ「あ、素敵な帽子♪」
チェザーレ「…羽飾りがいかにも「錬金術士」らしいと思ってな。ぜひ使ってくれ♪」
ガリレイ「まぁ、嬉しい。しかも大きさもぴったり……今度、ぜひ「ガリレイのアトリエ」まで来て?…色々おもてなししてあげるから♪」
チェザーレ「そうか、では今度お邪魔させてもらおう…♪」
提督「…古代ローマのチェザーレは女たらしで有名だったって言うけれど……うちのチェザーレもいい勝負ね…」
マルチェロ「あれは天才のなせる技よな…ところで提督、隣に座ってもよいか?」
提督「ええ、どうぞ♪」
ライモン「コーヒーもどうぞ、マルチェロ」
マルチェロ「かたじけない……いや、せっかく行って来たのでヴェネツィアの話をしようと思ってな…このように写真もあるぞ♪」
提督「どれどれ…あら、上手♪」
バルバリゴ「全く、ずいぶんと羽目を外させてもらったよ…あれは楽しかったな♪」
提督「そんなに楽しかったの…よかったわね♪」
プロヴァーナ「何しろヴェネツィアで味わえる歓楽は全て堪能したのでな…痴態の限りを尽くしたと言ってもいいかも知れん♪」
提督「まぁ、そんなに遊んだの?」(ふふ、マルチェロたちは大げさなんだから…♪)
エモ「それにしたって…さすがに警察沙汰になったのはまずかったですよ……」
提督「…え?」
モロシーニ「こらこら、話の一番いい所をばらしてどうするのだ……マルチェロ、先任として提督に話してあげてくれ♪」
マルチェロ「分かってる、実はヴェネツィアでな……」
提督「…なんだか聞かないでおいた方がいいような……」
………
…夏季休暇数日目・ヴェネツィア…
マルチェロ「…これで海軍博物館も観たし、美術館も巡り、買い物もしたな♪」明るい午後のヴェネツィアを堂々と闊歩するマルチェロたち…
ダンドロ「いかにも…ヴェネツィア人の教養はだいたい済ませたな……もう言うことなしだ♪」
エモ「本当ですね、カナル・グランデ(大運河)も相変わらずですし…もっとも、こんなに外国の観光客が多いとは思いませんでした♪」
マルチェロ「おいおい、何を寝ぼけたことを言っているのだ……諸君、まだ少し足りんものがあるだろう…違うか?」
ヴェニエーロ「ほう…何です、マルチェロ提督?」
マルチェロ「それはもちろん、ヴェネツィア美人を抱くことに決まっている…気に入らなければ王侯貴族でも相手をしないと言う『クルティザン』のお姉さま方を口説かなければいかんだろう♪」
(※クルティザン…ルネサンス期ヴェネツィアにいた超高級娼婦のお姉さま方。大変教養がありながら橋の上で堂々と胸を露出したり、乳房を大きく見せるファッションで美しい身体であることを誇っていた。王侯貴族の愛妾になった女性も多い)
エモ「えっ…いいんですか?」
マルチェロ「何がいけないのだ、ヴェネツィアと言えば…クルティザンだろう。提督もいいがたまには違う味も楽しまんと……な♪」そう言って歓楽街に足を向ける…
ヴェニエーロ「ははは、昼からとはマルチェロ提督は大変な助平でいらっしゃるな♪」
マルチェロ「何をいうか…ヴェネツィア美人の柔らかな身体を触らずに鎮守府に戻るなど……っと!」
若いあんちゃん「…あ、ぶつかっちってすんません!」慌てているようで足早に立ち去ろうとする…
マルチェロ「構わんよ……が、この手は何だ?」
あんちゃん「…」
マルチェロ「この生粋のヴェネツィア人から財布をすろうとはなかなか向こう見ずだな…?」
あんちゃん「ちっ…おい、あんまりでかい口叩くなよ……お嬢ちゃんよぉ!」
ちんぴら「おうおう、やろうって言うのかよ!」
ちんぴらB「いい度胸だぜ!」…それぞれ折り畳みナイフを抜いて構えた
マルチェロ「…おや、仲間連れか……スリの腕も二流なら追いはぎに早変わりと言う態度も気に入らん…諸君!」腰に差していた金の鞘をしたサーベルに手をかける…
エモ「マルチェロ、一般人相手の抜刀は禁止ですよ…っ!」
マルチェロ「そう固い事をいうな、アンジェロ…先に抜いたのはあっちだぞ?」
スリ男「…がたがたうるせぇんだよ、畳んじまえ!」
チェザーレ「ほう、面白くなってきたな…それで、その不届き者はどうなったのだ?」
マルチェロ「まぁまぁ、物語は順を追っていかないと…♪」
アオスタ「一般人相手に喧嘩なんて…私たちは本気になったら力が違うんですから、そういうことはしてはいけないって言われているでしょう……」
ジャコモ・ナーニ「まぁまぁ、今はマルチェロの活躍を聞いてあげて下さい…♪」
………
スリ男「おらっ…!」
マルチェロ「ふんっ…本気でヴェネツィアの海軍提督にかなうと思っているのか……?」手刀で手首を一撃してナイフを弾き飛ばすと、みぞおちに見事な蹴りを叩きこむ…
スリ男「ぐえっ…!!」
ちんぴら「てめぇら…!」オープンカフェの看板をひっくり倒しつつ、少し気弱そうなエモに向かってナイフを突き上げる…
エモ「…いやっ!」身をかわしつつ、とっさに急所を蹴り上げるエモ
ちんぴら「う゛ぉ…っ!」
ちんぴらB「くそぉ、小娘だからってもう容赦しねぇぞ!」
ダンドロ「よーし…来いっ♪」サーベルを鞘ごと持ってナイフを受け止めると、腕をねじってから鞘で喉元を締め上げる…
ちんぴらB「ぐぇ…っ……」
ダンドロ「…片付いたな、マルチェロ」
マルチェロ「全く、何とたわいのない……襲う相手を間違えたな」…辺りからは「生粋のヴェネツィア人」への喝采と同時に「警察を呼んだから引き渡しておくよ」という親切な声も聞こえる
マルチェロ「…親父さん、看板は済まなかったな。取っておいてくれ」ひっくり返ったテーブルや看板を見て、数枚のリラ札を取り出すマルチェロ
カフェのオヤジ「あぁ、悪いね…それにしても「艦娘」って言うのはすごいもんだ、身体はそんなに大きい訳でもないのに……あっという間にちんぴら三人を片づけちゃったよ」
マルチェロ「はは、少しばかり鍛え方が違うんでね…それに生粋のヴェネツィア人って言うのは「弱きを助け、強きをくじく」じゃないと」
オヤジ「ああ、全くだね…もっとも、あんなおっかない連中を張り倒すなんて俺にはできないが……」
マルチェロ「なに…必要ならいつでもやってあげますよ……そうだ♪」運河を行き来する、艶のある木の外板も美しいモーターボートの水上タクシーに目を付けた…
エモ「どうしたんです、マルチェロ?」
マルチェロ「せっかくのヴェネツィアだから、水上タクシーで運河めぐりをしよう♪」
モチェニーゴ「そりゃまた急に…クルティザンのお姉さんと遊ぶんじゃなかったのか?」
マルチェロ「いや、そこに伸びているやつを少し綺麗にしてやろうと思ってね…♪」
ナーニ「あっははは、それはいい…おーい、そこのボート♪」
…数分後・運河…
水上タクシーの艇長「あの、お客さん…」
マルチェロ「どうかしたか、艇長?」ヴェネツィア民謡「ヴェネツィアの舟歌」を口ずさみながらご機嫌のマルチェロ…
艇長「いえ…ね、そろそろやめてあげたらどうですか?」
スリ男「がぼがぼ…ぶはぁ!……うえっ…がぼがぼ…ごぼ…」スリ男はボートの舷側から運河に頭を突っこまれ、時々髪をつかまれては息継ぎに頭をあげさせられている…
マルチェロ「そうか?…中世の艦隊では盗みは鞭打ち…追いはぎは吊るし首だったのだから、ずいぶん優しいと思うがな?」
艇長「いえ、そりゃそうかもしれませんがね…」
マルチェロ「まぁよい、ちょうど一周したからな…次で降りる♪」
艇長「毎度あり…今度はこういうのは無しで頼みますよ」
マルチェロ「了解だ、艇長…いい舵さばきだったぞ♪」
ダンドロ「ははは、これでこやつも海軍提督を襲うとどうなるか身に染みたろう♪」
モチェニーゴ「身体もきれいになっただろうしな♪」
マルチェロ「…それでは、お待ちかねのヴェネツィア美人としゃれこもう♪」
エモ「お、おー…」
ヴェニエロ「よしきた♪」
…ヴェネツィア・歓楽街の橋…
マルチェロ「おーおー…いるいる♪」
モチェニーゴ「美人が多いのは相変わらずだ…もっとも、百合専門のお姉さまたちがいるとは……いい時代だな♪」
ナーニ「ふふ、それではここからは単独行動だな…お互いに大漁を♪」
エモ「…う、うん……ほんとにいいのかな…」
娼婦のお姉さん「…あら、可愛い水兵さんね……でもね、こんなところをうろついてちゃ駄目よ」…お姉さんは金のバックルが付いたラメ入りの黒いベルト付きミニワンピースと紅いエナメルハイヒールを着こなし、肩からグッチのバッグをかけている…冷たいつんとした顔だが、少しだけ驚いたような表情とからかうような声が混じっている…
マルチェロ「はは、ヴェネツィアのヴィーナスはなかなかきついことを言う。ま、せっかくこうして声をかけてもらえたのだ……海軍さんでよければ、少しおしゃべりをさせてもらおうか」橋の欄干に背中を預け、行きかうゴンドラや水上タクシーを眺めている…
お姉さん「別にいいけど……会話もできないような野暮な人は嫌よ?」
マルチェロ「そう言われると自信がないな…そのお洒落な服はヴェルサーチかな」
お姉さん「惜しいわね、フェンディよ」
マルチェロ「おやおや…黒のドレスだからそう言ったのだが……」
お姉さん「ふふ、でもなかなかやるじゃない…遅いお昼くらいなら付き合ってあげてもいいけど?」
マルチェロ「それは光栄だ、では「ボッタルガのスパゲッティ」でもいただこう♪」(※ボッタルガ…カラスミ。ヴェネツィア周辺の名物)
お姉さん「あら、分かってるわね…アメリカナイズされた「ピザ」とか言ったら帰るところだったわ……フローラよ」
マルチェロ「フローラ…確か、片方の乳房を出してこちらを見ているパルマ・イル・ヴェッキオの描いた美人絵にもそんな名前の女性がいたな……しかしだ、私はどこか媚びるような「彼女」の絵より、凛とした君の方が好きだぞ?」
フローラ「へぇ、海軍さんはお上手なのね…いいわ、お昼は私がおごってあげる」
…一方…
エモ「…あの、私でいいんですか?」
お姉さん「ええ、いいわよ…お名前は?」
エモ「アンジェロ・エモです…えーと、お姉さんは……」
お姉さん「『ルクレツィア』よ♪」艶やかな笑みと明るい色気を振りまきつつ、エモの腕に自分の腕を絡める…薄いドレス越しに小ぶりな胸の感触が伝わってくる…
エモ「…ルクレツィア……ボルジア家にもそう言う名前の方がいましたね」
ルクレツィア「そう、正解よ…エモは歴史にも詳しいのね♪」
エモ「いえ……あれ、でもルクレツィア・ボルジアって…///」
ルクレツィア「そう。夜毎に相手を取りかえると言われて、みだらな女で有名だったのよ…利用されていただけとも言うけれど、真相は分からないわね……」
エモ「詳しいんですね、ルクレツィアは…///」
ルクレツィア「ええ。私、普段は中世史の研究をしているの……よかったら、しばらく歴史散歩でもしましょうか♪」
エモ「は、はい…///」
………
しばらく投下できずにいてごめんなさい、インフルエンザって怖い……身体に相談しつつちまちま投下していくので、よかったらお付き合い下さい…
…ちなみにもう少しでイギリスのグレイ少将とドイツのヴァイス中佐が登場してきます
いっち、ちゃんと食べろよー
>>93 グラツィエ…土曜日辺りは暖かい紅茶に砂糖とレモン、ラム少々を垂らしたものやショウガ入りスープで過ごしていましたが、おかげさまでこの数日は口も開くようになり、ちゃんと食べてます……とりあえず、せっかくなので少し投下していきます…
提督「じゃあマルチェロたちはクルティザンのお姉さんたちと刺激的なひとときを過ごしたわけね♪」苦笑しながら両手を上げ、肩をすくめた提督
マルチェロ「いや、それで済めば良かったのだがな……本官がフローラ嬢のお店にお邪魔していた時に…」
提督「…え、まだ何かあるの?」
………
…ヴェネツィア・高級娼館「白百合館」…
マルチェロ「…ふぅぅ……何とも刺激的であったな……さすがに…息が…切れた……」ベッドにあお向けにひっくり返り、美しい天使と女神たちがみだらな行為にふけっているルネサンス風の天井画を眺めている…
フローラ「そう、ならよかったわ。こっちも愉しませてもらったし…」黒いガーターベルトだけの姿で吸い口をはめた細いシガレットに火を付け、しばらく紫煙をくゆらせると、脱ぎ散らかしたマルチェロの服や綺麗に畳んであるフローラ自身の服、ベッドに放り出してあるべとべとになった玩具や道具を片づける…
マルチェロ「…そうか、それはよかった……ところで、これだけの美女と愉しませてもらったのだ…それ相応の物が必要だろうな……?」たっぷりとリラ札を詰めてきた財布をちらりと眺めた
フローラ「…あぁ、いいのよ。さっきの分で充分だわ」
マルチェロ「そうか?…ところで皆はどうしているかな」
フローラ「ふふ、それぞれうんとお楽しみなんじゃないかしら……特にルクレツィアにつかまってたあの娘…きっと腰が抜けてるわ」
マルチェロ「はははっ…あの可愛いエモがか……見られなくて残念だな♪」…と、せわしないノックと同時に「開けて下さい!」と命令口調の声がする
フローラ「…はぁ……こんな時に風紀課の手入れかしら」
マルチェロ「…よかったら本官が時間を稼ぐが?」
フローラ「大丈夫よ、どうせこの辺りの婦警はみんな骨抜きにしているんだから……どなた?」
…ドアを開けると白の制服をかっちり着こなした女性二人が立っていて、一人がドアの外に立つと、もう一人がずかずかと入ってくる…マルチェロは入ってきた女性の格好からすぐに憲兵隊だと察しを付けた…
フローラ「…なに、警察じゃないの?」
憲兵「海軍憲兵です…貴女ではなくそちらの艦娘に用があります……とりあえず何か身に付けてください」マルチェロにむかって言った…
マルチェロ「そうか、お役目ご苦労…本官に何か用か?」全裸でベッドの上に起き上がると、中世の提督らしい三角帽子だけをかぶって敬礼した…
憲兵「はい。一時間ほど前に市警察から連絡がありましたが……運河沿いで一般人ともめ事を起こしたそうですね?」
マルチェロ「一般人…あぁ、スリに財布を盗られそうになって取り押さえようとしたら、けちなナイフを抜かれてな……正当防衛だと思ったが」
憲兵「武器を取り上げるだけなら正当防衛ですが…その後何かしませんでしたか?」
マルチェロ「さて…どうだったかな……美女ならともかく、あいにくちんぴらに割ける時間はなかったのでな。そこらのカフェの店主たちに預けておいた」
憲兵「…そう言う時は警察か憲兵隊、カラビニエーリに通報するのが義務です。それに水上タクシーに乗り、くだんの人物を水に突っこんでいたという証言もありますが?」
マルチェロ「ふむぅ……何かの勘違いではないか?本官は橋の上でこちらの春のように可憐な女神と談笑していたのだ…そんなむさくるしい連中と一瞬でも長く付き合おうとは思わんが」
憲兵「…まぁ良いでしょう。幸い市警察からも「街の風紀を乱す連中を懲らしめてくれた」と言うことで、大目に見ると言ってきていますから……ただし、規則ですから所属の管区には報告を送ります。身分証はありますか」
マルチェロ「あぁ、ここにあるぞ…それ」
憲兵「なるほど…イオニア海管区の「タラント第六」ですね……話は以上ですが、今後はそう言ったことはしない事です。それでは」
マルチェロ「承知した……たわけめ、情事の余韻にしかめ面で入って来おってからに…」憲兵が帰るとしきりに文句をいうマルチェロ…
フローラ「ふふっ…それじゃあ、もう一回してあげましょうか……お代はその「面白そうな話」を聞かせてくれるって言うことで…どう?」
マルチェロ「うむ…それでは気分直しにもう一戦と行こう♪」フローラにまたがってもらうと、陶器のような肌に手を這わせた…
………
マルチェロ「…という訳で、素敵な時間の最中だと言うのに無粋な憲兵に踏み込まれた……という訳なのだ」
提督「…」
リットリオ「ふふっ、それもいい思い出ですよ♪」
ガリバルディ「そうよ…それにそのちんぴらを運河で「洗ってやった」話、痛快でいいわ♪」
トレント(トレント級重巡)「そうですね…少しはらはらしましたけど、なかなか面白いお話でした」
スクアロ(スクアロ級中型潜)「…私ならもっとシンプルにかたをつけていただろうがね……たとえばそのスリが逃走中に「不慮の事故」で橋から転落するとか……いずれにせよお楽しみの最中に憲兵とは…興ざめだったろう」
…艦名がサメ(海のギャング)にちなんでいるからか、びしっと決めたスーツ姿だったり「ゴッドファーザー」に出てくるアル・パチーノの物真似が得意なスクアロは、物騒な事をさらりと言ってのける…
コルサーロ(ソルダティ級駆逐艦)「あぁ、そいつはまったく災難だぜ…だいたいあたしに言わせれば、憲兵だの警察だのって言うのはガミガミ言ってばかりでロクな事をしやがらねえ」兵種を艦名にしているソルダティ級の中では珍しい名前の「コルサーロ」(アラビア海賊)が息巻いた…
エモ「…でも、お姉さんたちはすごかったから///」
ダンドロ「いかにも…相変わらずヴェネツィアのクルティザンたちは素晴らしかった♪」
モチェニーゴ「ああ、あれだけの女性たちを抱けるなら……提督、どうかしたか?」
提督「はー……あなたたち、憲兵隊と揉めてくれたわけね…」
マルチェロ「…まずかったか?」
提督「まずいとは言わないけど…憲兵隊の事だから、きっと査察か特別監査か……参ったわ」
マルチェロ「あー…本官が至らないばかりに迷惑をかけてしまった……申し訳ない」
提督「あぁ、いいのよ…むしろ聞いていて面白かったわ」
マルチェロ「そうか?」
提督「ええ…ただし、今度はスリを捕まえても「水浴び」をさせたりはしないようにね?」
マルチェロ「了解した♪」
………
…数日後・執務室…
カヴール「提督、年度替わり最初の書類が届きました」
提督「はぁぁ…相変わらずどっさりね……」
カヴール「まぁまぁ、私も手伝いますから…ね?」
提督「ありがとう……実際、一人で片づけられる量じゃないわよね」
カヴール「そうですね…よかったらライモンドとドリアも呼びましょうか?」
提督「そうねぇ、しばらくだけ手を借りましょうか……はぁい?」軽いノックの音に返事をする
リットリオ「提督、いいですかぁ?」
提督「あら、リットリオ…そうね、お話くらいならいいけれど、この書類が片付くまでそれ以上の事は出来ないわよ?」
リットリオ「それならリットリオも手伝いますよ?」
提督「あら、本当?…ありがとう、助かるわ♪」
リットリオ「…ふふっ、提督にキスしてもらっちゃいました♪」
カヴール「おかしいですね……私はさっきからお手伝いしているのに」
提督「貴女は秘書艦でしょう?…でもいいわ♪」…ちゅっ♪
カヴール「うふふっ、これでまた頑張れます♪」
提督「そうね、協力して片づけましょう」
…しばらくして…
カヴール「はい、この書類は処理できました」
提督「ありがとう、カヴール」
リットリオ「…ふーん、ふふーん♪」てきぱきと書類を片づけるカヴールと、少し飽きっぽい代わりに速度の速いリットリオ…
提督「ふぅ、そろそろ五分の一は終わりそうね……って、やっぱり…」
カヴール「どうなさいました?」
提督「あー…これを見て」ひらひらと振ってみせた大仰な海軍の紋章入り書類には「特別監察の実施について」とある
カヴール「あらあら、憲兵隊の……ふふっ、悪いことはできませんね?」にこにこしながら冗談めかすカヴール
提督「笑えないわ…きっと何につけてもねちねちと文句を言ってくるつもりでしょうし……まぁいいわ、今日はこれでおしまい♪」残りの書類を「未決」の箱に乗せると、椅子の上でひっくり返った…
カヴール「お疲れさまでした、提督♪」
提督「いいえ。二人のおかげでずいぶん助かったわ…さぁリットリオ、ご用はなぁに♪」執務机に腕をおいて頬杖をつくと、小首を傾げてリットリオの方を向いた…
リットリオ「はいっ、実は……妹が欲しいんですっ♪」
提督「そうねぇ…妹、いいじゃない……って、ちょっと待って」
リットリオ「はいっ。私の妹たちを鎮守府に迎えてくれませんか?」
カヴール「リットリオ級と言うことは…」
提督「未成艦の「インペロ」をのぞいた二隻ね…一応建造枠は余してあるけれど、出るかどうかは確約できないわ……」
リットリオ「ですから、試してもらえませんか?やっぱり一人ぼっちだと部屋が広すぎますし、姉妹で楽しく過ごしたいです」
提督「まぁ、それもそうね…いいわ、今度の建造の時に試してみましょう」
リットリオ「わぁぁ…やっぱり提督は優しいですねっ♪」…ぎゅっ♪
提督「ふふっ、いえいえ…♪」さわっ…♪
リットリオ「あんっ、提督ったらどこを触ってるんですかっ♪」
提督「それはもうリットリオのすべすべな船底のバルジを…」そう言いながらスカートの中に手を差しいれ、すべすべのヒップの感触を楽しむ提督…
カヴール「…そうですよね、やっぱり新型戦艦の方が旧式の改装戦艦よりもいいでしょうね」
提督「もう…カヴールは堂々たるド級艦でしょう?そう簡単にすねないの♪」
カヴール「でしたら私の機嫌がよくなるような一言を下さいな、提督?」
提督「んー、そうねぇ……大人の女性って素敵よ、カヴール♪」…ちゅっ、と頬にキスをしながら耳元にささやいた
カヴール「うふふっ…いいでしょう。ただし、後でお昼寝もご一緒させてもらいます♪」
提督「ふふっ、了解…♪」
…夕食時…
ムレーナ(フルット級中型潜)「それにしても査察か…なんなら私が片を付けようか」
…滑らかに波打つ金褐色の髪がウツボの尾びれのように背中に流れているフルット級中型潜の「ムレーナ」(ウツボ)……級名が「波」の優雅な言い方から来ている「フルット」級だけあってどの娘も端正な身体付きで、顔もミュシャの絵のように美しく、実際の性能もイタリア中型潜の中でも最も優れていたとされる……スクアロ級の「スクアロ」がしていたアル・パチーノの物真似は「本家」ムレーナの物真似で、こちらの物真似は絵のように美しい顔立ちもあいまってすごみもある…
提督「駄目よ、憲兵相手にもめ事をおこしちゃ」
ムレーナ「そうか…必要ならボート遊びに連れ出して、沖でこうしてもいいのだが……」しゅっ…と喉を切り裂く仕草をしてみせる
スクアロ「あぁ、そうね…内勤ばかりの憲兵に喰らいついて……柔肉を食いちぎる…ふふっ♪」
デルフィーノ(スクアロ級中型潜)「だからなんでそんな怖い話をするんですかぁ…もう、提督ぅ!」
提督「はいはい、こっちにいらっしゃい♪」
デルフィーノ「もう、スクアロったらひどいんですよぅ…帰ってきて早々にホラー映画を見せて来るし!」…頭がよく愛嬌のあるデルフィーノ(イルカ)はいたずらでよく姉のスクアロに怖い目に合わされている……が、イルカだけに自慰にふけってしまう性質であったりもする…
提督「もう、スクアロもいい加減止めてあげなさい?」
スクアロ「ふふっ…デルフィーノの怖がる姿を見るとむらむらして…♪」
提督「デルフィーノは可愛いものねぇ…一人で喘いでいるのを聞くと私だってぞくぞくしてくるもの…♪」ひざの上に大き目な中学生くらいの「デルフィーノ」を乗せ、綺麗な淡灰色の髪を撫でている…
デルフィーノ「…だ、だって///」
ポーラ「いいじゃないですかぁ~…ね、デルフィーノ♪…一人でするのも刺激的ですよねぇ?」
デルフィーノ「は、はい…///」
ザラ「それにしたってポーラ、あなたは少し頻度を考えなさい?」
ポーラ「……そう言っておきながら、いつも一番乗り気なのはザラ姉さまじゃないですかぁ~♪」
ザラ「う…だってポーラたちが可愛くって仕方ないんだもの……姉妹えっちだって気持ちいいし///」
ポーラ「あー、ザラ姉さまったら赤くなってますねぇ~…か~わいいっ♪」…ちゅっ♪
フィウメ「ザラ姉……私もザラ姉のこと、好きですよ♪」
ゴリツィア「私もです…姉様たちの事……離したくないくらい///」
デュイリオ「あらあらぁ、見せつけてくれますね……ドリア、お部屋で私と一杯いかが?」
ドリア「ふふっ、そうですね…今日はデュイリオだけに熱々のドリアを振る舞ってあげましょうか……♪」
デュイリオ「まぁ、それは美味しそうね……きっと中はとろっととろけて…♪」
ドリア「ねっとりと絡みつくような…さ、行きましょう♪」二人は指を絡めて手を握ると、意味ありげな笑みを交わしながら出て行った…
提督「…さーて、私もお風呂にしましょう……エリトレア、今日の夕食も素敵だったわ♪」
エリトレア「はいっ、満足してもらえて嬉しいですっ♪」
…植民地用スループと言うことで航続距離はあったが低速の「エリトレア」はそこそこの性能の割にはかなりの幸運艦で、エリトレア・マッサワ港から東南アジアへの脱出を阻止しようとする英海軍や、反対にイタリア敗戦後には東南アジアのサバンからインドの英海軍に投降しようとして日本の軽巡「球磨」に追われ、それも振り切るなどなかなかの幸運の持ち主でもあった……今はディアナと交代で厨房を担当していて、戦時に駆け回っていたせいか東アフリカ風料理や、エスニックな東南アジア風料理が得意だったりする…
提督「それじゃあ、バーカウンターの店じまいはいつも通り0100時までにね♪」…食堂の隅っこに作られているバーカウンターでシェーカーを振っているフルット級「ヴォルティーチェ」(渦・渦動)に声をかけると、ライモンを連れて大浴場に向かった
…ある日…
提督「はぁ…海外の提督さんたちが来る前に特別監察なんて……まったく、憲兵隊には私の事を恨んでいる誰かがいるに違いないわ」優雅な姿勢でコーヒーにグラッパ(※ぶどうの絞りかすブランディ…イタリア特産)を垂らすと、香りを楽しんでからすすった
チェザーレ「提督ほどの女たらしならそれは恨まれるだろうな…んっ!」
提督「だとしてもそれを特別監査でぶつけてくるなんて…まったく、底意地が悪いわ」
チェザーレ「かもしれぬな…ぐぅっ!」
提督「…チェザーレ、さっきから剣の鞘を背中に回して何をしているの?」
チェザーレ「いや…どうにも肩甲骨の下あたりがかゆくてな……手も届かぬし、長剣の鞘ならと思ったのだが…」
提督「ふふ、そんなことなら私が…」
ダ・ヴィンチ(マルコーニ級大型潜)「…ちょっと待った!この不世出の天才「レオナルド・ダ・ヴィンチ」が新しい発明を持ってきましたから、ぜひ試してみて下さい♪」
チェザーレ「…ダ・ヴィンチか、今度はどんな発明品なのだ?」
ダ・ヴィンチ「ふふ…気になりますよね?……はい、どうぞ使ってみて下さい♪」木でできた板状のものを渡した
チェザーレ「あー…チェザーレの目には薄い木のヘラにしか見えぬが」
ダ・ヴィンチ「んー、惜しい…よく見て♪」
チェザーレ「…よく見ると片方に曲線が付いているな、そしてそこに刻み目が入れてある……これで背中をかけばよいのか?」
ダ・ヴィンチ「はい、そうですよ…さぁさぁ、遠慮せず♪」
チェザーレ「ふむ…なるほど……おぉぉ…まさに「かゆいところに手が届く」な♪」
ダ・ヴィンチ「そうでしょう、まさに大発明です♪」
ジュセッペ・フィンチ(カルヴィ級大型潜)「待て、ダ・ヴィンチ…たしかジァポーネにはそう言う道具があるぞ」
…声をかけたのはカルヴィ級大型潜の「ジュセッペ・フィンチ」(フィンツィ)…フランス・ボルドーの前線基地から日本まで物資輸送任務に就く予定で改造されたがその前にイタリアの休戦を迎え、ドイツ潜「UIT.21」として戦没した経歴がある……そのせいかドイツ風の革長靴とかっちりした物腰、それに妙に間違った日本の知識をため込んでいる自称「日本通」で、鎮守府には実際に神戸まで到着した「ルイージ・トレーリ」などがいるにも関わらず、相変わらず的外れなことばかり言っている…
ダ・ヴィンチ「そうなんですか…ジァポーネに先を越されましたか」
フィンチ「いかにも!それはジァポーネで言うところの「猫の手」というもので、ことわざにも「猫の手でも借りたい」と言う風に名前が出てくるのだ」
ダ・ヴィンチ「なるほど…」
ルイージ・トレーリ(マルコーニ級大型潜)「…あの、フィンチ」
フィンチ「何だ、トレーリ。ジァポーネにこういう道具はあっただろう?」
トレーリ「ええ、ありましたが…これの名前は「孫の手」で、猫の手じゃありませんよ……」トレーリは1000トン越えの大型潜らしい高校生くらいに見える姿と豊満な胸、きゅっと引き締まった腰、それに可愛らしい顔立ちながら、イタリア・ドイツ・日本の軍籍に属しただけあって三カ国語もぺらぺらで物腰も礼儀正しい…と、非の打ちどころがなく、滑らかな髪には日本らしいヒスイと銀の髪飾りをつけている…
フィンチ「そうか…間違えてしまったな……とにかく、こういった道具はジァポーネに古くからあるのだ」
ダ・ヴィンチ「それは残念…新発明だと思ったのに」
チェザーレ「ふむ…最初の発明者ではないにせよ、背中はかけるし良い道具だと思うぞ。ダ・ヴィンチ」
ダ・ヴィンチ「チェザーレ、ありがとう♪…それではもっとたくさん発明しますから、ぜひ実験につき合ってくださいね♪」
チェザーレ「う、うむ……参ったな」弾むようにアトリエに戻っていくダ・ヴィンチを見てげんなりしている
提督「チェザーレも大変ね?」
チェザーレ「うむ…」
バンデ・ネーレ「どうかしたの?」…相変わらず「黒備えのジョバンニ」だけあって黒一色の格好をしているジュッサーノ級軽巡「ジョバンニ・デレ・バンデ・ネーレ」……中性的な顔立ちで背が高く、かなり華奢な身体付きをしている…
提督「いえ、ダ・ヴィンチの発明品の話…そういえば、ミラノはどうだった?」
バンデ・ネーレ「うん、楽しかった。いっぱい買い物もできたし、黒い服もうんとあって…そうだ、ちょっと着替えて来る♪」…部屋に駆けていくと、しばらくして戻ってきたバンデ・ネーレ
バンデ・ネーレ「どうかな…ボクに似合うって店員さんは言ってくれたけど」黒のしっとりしたスカートに袖なしのハイネックセーター、それにオニキスをあしらった銀のアクセサリー…
提督「…とっても綺麗よ、バンデ・ネーレ……同じ黒でも、すーっと吸い込まれそうな艶のある黒ね」
バンデ・ネーレ「…て、照れるな///」
提督「ううん、お世辞じゃなくてよく似合うわ…♪」
チェザーレ「うむ…ぐっと大人びた魅力が出ているぞ」
バンデ・ネーレ「ありがとう、でももういいよ…これ以上言われたら顔が火照ってきちゃうから///」
提督「…あらあら、行っちゃったわ♪」
チェザーレ「ふふ、可愛いものだな」
リベッチオ(マエストラーレ級駆逐艦)「どうしたの?」
…今度は褐色の駆逐艦「リベッチオ」が提督の横からひょいと顔をのぞかせた…北アフリカ向け船団護衛任務に就いた艦が多い中でどうして「マエストラーレ」級だけが褐色なのは謎ではあったが、少し船型を拡大した以外はほぼ同じ姿をしている「オリアーニ」級の艦娘たちと見分けがつきやすいので、提督としては便利ではあった…
提督「あら、リベッチオ…日光浴はもういいの?」
リベッチオ「うんっ、いっぱい太陽を浴びてきたから♪」
提督「そう、よかったわね♪…相変わらず裸で日光浴をしているの?」いたずらっぽい笑みを浮かべて聞いた
リベッチオ「そうだよっ、だってその方が気持ちいいもの…相変わらずマエストラーレお姉ちゃんは水着を着ているけど♪」
提督「ふふっ、もったいないわよね♪」
リベッチオ「そうだよね♪それじゃあ、また後で♪」
提督「ええ♪」
ライモン「…にやけていますよ、提督」
提督「だってねぇ…あのぷりっとした玉のような肌をしたリベッチオたちが全裸で日光浴をしていたら表情も緩むわ♪」
エウジェニオ「そうね、まるでレスボス島で愉しんできた私みたいにね。そうでしょう…て・い・と・く?」…後ろから背中にくっつくと、耳元に息を吹きかける軽巡「エウジェニオ・ディ・サヴォイア」…
…エウジェニオは「R・モンテクッコリ」級に始まるイタリア軽巡の華とも言うべき新型軽巡の一隻で、艦娘としても整ったしなやかな肢体に白い肌、長いまつげに玉を転がすような涼しげな声が特に優美で美しい…が、戦後をギリシャで過ごしたせいかすっかりビアン気質が染みつき、鎮守府の艦娘という艦娘を誘惑している…
提督「あら、エウジェニオ…ギリシャはどうだった?」
エウジェニオ「一言で言えば最高だったわ…綺麗な女性から可愛い女子学生まで食べ放題で……ふふっ、久しぶりに別名で遊んできたわ♪」
提督「…別名って?」
エウジェニオ「あぁ、私の別名は「エリ」っていうの。戦後賠償でギリシャに行ってからつけられた名前だけど、今回はうんと活用させてもらったわ…♪」
提督「あら、本名を隠してだなんて…いけない娘ね♪」
エウジェニオ「いいじゃない、おかげで欲求不満そうなフランスの小娘からギリシャの花売り娘まで巻き込んでうんと遊ばせてもらったわ♪」
提督「まぁまぁ…憲兵隊の査察の時は黙っていた方がいいわね♪」
エウジェニオ「あら、憲兵なんて私にかかればすぐベッドの上で撃沈させてあげるわ。それじゃあ、アオスタ姉さんを待たせているから…チャオ♪」軽く提督の耳たぶを甘噛みすると、足取りも優雅に出て行った…
提督「もう、エウジェニオったら相変わらずなんだから…♪」
ライモン「提督。コーヒーの時間もいいですが、そろそろ書類の整理に取りかからないと査察の時に困りますよ?」
提督「分かったわ…はぁ……それじゃあね、チェザーレ」
チェザーレ「うむ、チェザーレも時間が出来たら応援に参るぞ」
提督「ありがとう。…それじゃあライモン、行きましょうか」
ライモン「はい」
…数日後・食堂…
提督「……いよいよ特別監査の日ね。ライモン、準備はいいわよね?」
ライモン「はい、万全の態勢を整えてあります」
提督「助かるわ…みんな、今日は海軍憲兵隊の査察があるから、くれぐれも粗相をしたり裸でうろついたりしない事……廊下でキスしたりもダメよ」
エウジェニオ「あら、あいさつもいけないの?」
提督「あんまり唇に近いのはね。とにかく、真面目に振る舞っておくこと…いいわね?」
一同「「了解」」
提督「よろしい…そろそろ到着時間だと思うけど……」
ドリア「提督、門に憲兵隊の車が来ました」
提督「了解、すぐ行くわ」
…鎮守府・門…
提督「よくいらっしゃいました…さぁ、どうぞ?」…海軍カラーに塗られた「フィアット・パンダ」を迎え入れる提督
憲兵「ええ、少将」女性の憲兵隊士官はかっちりまとめた髪、シワ一つない制服と眼鏡姿で、採点するように提督を眺めた…
提督「…」(うわ…この人今までに笑った事ってあるのかしら……)
憲兵「ここが鎮守府の本棟ですね?」
提督「え、ええ…そうですよ。それで少佐のお名前は…?」
憲兵「私の名前が必要ですか、少将?」
提督「ええ、まぁ…いつまでも「少佐」では肩が凝りますし」
憲兵「そうですか?……まぁ良いでしょう。憲兵隊少佐、アンジェリカ・カルディナーレです」
提督「フランチェスカ・カンピオーニです…よろしくお願いします、カルディナーレ少佐♪」
カルディナーレ「ええ、よろしくお願いします」
提督「…長旅でお疲れでしょうし、まずはコーヒーでも……」
カルディナーレ「いえ、結構です。各鎮守府での「もてなし」は受けるなとの指示がありますので」
提督「あら、そうですか…」
カルディナーレ「それより、司令官の執務室に案内していただきたいのですが」
提督「…どうぞこちらへ」
…執務室…
提督「どうぞ、おかけになって下さい」小さいテーブルを挟んで椅子を二脚並べてあり、カルディナーレ少佐の方には鎮守府の中で一番座り心地の悪い椅子を用意しておいた提督…
カルディナーレ「失礼します」椅子に座ると早速ファイルとペン、ノートパソコンを取り出した…
ライモン「…良かったらどうぞ」コーヒーとお茶菓子を置く
カルディナーレ「いえ…そう言ったもてなしは結構ですから」
提督「…そう言わずに。せっかく淹れたコーヒーを無駄にしたくないですから」
カルディナーレ「いえ、ですが指示がありますので…」
提督「その指示は鎮守府で酒食をごちそうになり、査察の基準が鈍るといけないという判断からでしょう?……私はカルディナーレ少佐を「コーヒー一杯で手心を加えてくれるような不真面目な方」だとは思っていませんよ?」(…普段生真面目な女性は真面目さや律儀な所を素直にほめてもらうと喜ぶのよね♪)
カルディナーレ「それはもちろんです」
提督「でしたら冷めてしまわないうちにどうぞ」
カルディナーレ「…いただきます……いいコーヒーですね」
提督「ええ、いつも艦娘たちは激しい任務に就いていますので…せめてコーヒーぐらいは美味しいものを飲ませてあげたいですから」
カルディナーレ「…なるほど」
カルディナーレ「それでは早速ですが…カンピオーニ少将」パラパラとファイルをめくる…
提督「何でしょう?」
カルディナーレ「これからいくつか質問をさせていただきます…別に公式な査問という訳ではありませんが、正直にお答えください」
提督「ええ、どうぞ」
カルディナーレ「…まず、あなたの経歴ですが……士官学校を優秀な成績で卒業。運動は全般的に不得意ながら水泳と射撃は成績上位で、座学では特に海軍史、文学で優秀な成績。卒業後はフリゲート「インパヴィド」級での海上勤務を始め、ナポリ、ミラノ、ジェノヴァ、ヴェネツィア、ローマなど主だった司令部や基地で勤務していますね」
提督「ええ」
カルディナーレ「さらに士官学校卒業からここに着任するまでに「卓越した指揮および勇敢な行動」により勲章および感状数回…特進も二回ありますね」
提督「ええ、そうですね」
ライモン「…♪」(やっぱり、提督ってすごい人なんだ…♪)
カルディナーレ「ですが同時に…」
提督「……ほーら来た」
カルディナーレ「何か言いましたか?」
提督「いえ、別に」
カルディナーレ「そうですか…とにかく、士官学校在籍時に「候補生同士で不適切な関係を結んだ」という嫌疑が数回」
提督「はい」(本当は教官も含めて「数回」どころじゃなかったけど…ふふっ♪)
カルディナーレ「少尉の時に女性士官宿舎で「みだらな行為をしているようだ」と憲兵隊への通報数回…中尉、大尉時にも同様の通報ありとなっていますが」
提督「あー…それにはいずれも「誤報」とあるはずです。…事実、私の部屋で持ち寄りパーティを開いていたり、ワインを飲みすぎた同僚が少し騒いだだけなんです♪」(…あの時は憲兵さんがそういうことにしてくれたのよね♪)
カルディナーレ「…しかしこれだけ回数が重なると、間違いにしても疑わしく思えてきますが」
提督「疑わしいだけで取り調べを受けるのですか?」にっこり微笑んで切り返す…
カルディナーレ「いえ…さっきも申しあげた通り査問ではありませんから。単にお尋ねしているだけです」
提督「そうですか…ではもうよろしいですか?」
カルディナーレ「そうですね……あぁ、あともう一つだけ」
提督「何でしょう?」
カルディナーレ「カンピオーニ少将…着任以来、鎮守府の「艦娘」たちと不適切な関係は結んでいませんね?」
ライモン「…っ///」
提督「ええ、もちろん節度をわきまえております♪」(執務中はえっちしないもの…♪)
カルディナーレ「そうですか…質問は以上です」パタンとファイルを閉じた
提督「そうですか…それで、この後は?」
カルディナーレ「鎮守府の査察を行いますから、案内をお願いします」
提督「分かりました…それじゃあライモン、一緒に行きましょうか」
ライモン「はい」
カルディナーレ「ライモン?…個人的なあだ名をつけるとは、少将と「ライモンド・モンテクッコリ」はずいぶんと親密なようですね?」
提督「そうですか…通信でも聞きとりやすいですし、便利だと思って呼んでいるのですが?」そっとライモンにウィンクをする提督
ライモン「///」
カルディナーレ「ふぅむ…まぁ良いでしょう……」
…鎮守府・廊下…
カルディナーレ「それにしても立派な施設ですね、手入れもよく行き届いているようです」
提督「ええ、毎日過ごす施設ですから…まずはどこを見たいですか?」
カルディナーレ「そうですね、まずは通信室を」
提督「分かりました…あら、ルチア♪」
ルチア「…ワフッ♪」
カルディナーレ「…い、犬ですか」そっとルチアから距離を取り、意識せず提督に近寄る形になったカルディナーレ…
提督「犬は苦手ですか?」
カルディナーレ「いえ…ですがこんなに大きい犬は初めてで……」
提督「大人しい子ですから大丈夫ですよ…ね、ルチア♪」(…あら、カルディナーレ少佐ったらなかなかいい匂い♪)
ルチア「♪」ぱたりと尻尾を振りながらカルディナーレの匂いを嗅ごうと鼻を寄せた…
カルディナーレ「…ひゃっ!」タイトスカートの中へ鼻を突っこもうとするルチアにすっとんきょうな声を上げる
提督「あぁ、こらっ…大丈夫ですよ、カルディナーレ少佐」
カルディナーレ「あぁ、どうもありがとうございます…」
…しばらくして…
提督「通信室、建造施設を見ましたが…次はどうしますか?」さりげなく後ろの方にディアナが付き従っている…
カルディナーレ「そうですね……使用頻度が高い食堂や体育館を見るつもりですが、その途中で艦娘たちの部屋を見させてもらいます」
提督「分かりました。それでは、どの娘の部屋にしましょうか?」
カルディナーレ「では、まずは一番近い部屋を」
提督「それでしたら駆逐艦「ソルダティ」級の部屋ですね…駆逐艦では最も姉妹艦の多いクラスですよ」
ディアナ「…」すっと離れて角を曲がった…
…ソルダティ級の部屋・共有スペース…
ランチエーレ「あー…庭で駆け回れないのは退屈ね」
コルサーロ「全くだぜ、あたしも…アヴィエーレ、何を読んでるんだ?」
アヴィエーレ「んー…漫画さ」
コルサーロ「漫画なのは分かってるって…何の漫画だって聞いているんだよ」
アヴィエーレ「架空戦記ものだよ…「エリア八八艦隊」ってやつ」
コルサーロ「面白いのか?」
アヴィエーレ「死ぬほど面白いよ……「坂井」とか「ヒゲだるま」とかいろんなあだ名のエースが出て来てね」
コルサーロ「へぇ…よかったらあたしにも……」と、ジリリリン…ッと電話が鳴った
ランチエーレ「わっ…はい、ランチエーレ……はい、了解」
アヴィエーレ「どうした?」操縦士だけに電話の音を聞くと身構えてしまう…
ランチエーレ「憲兵の査察よ、漫画を片づけて!」
カラビニエーレ「任せて、私からすれば同業者みたいなものだから…よし、これでいいわ」艦名が「カラビニエーリ隊員」だけにきっちりした性格のカラビニエーレがあちこち手直しする…
…廊下…
提督「ここがソルダティ級の部屋です…ちょっといいかしら?」ノックをする提督
カラビニエーレ「どうぞ!」
提督「それじゃあ、ご覧になって下さい♪」
カルディナーレ「…失礼します……なかなか片付いているようですね」
アヴィエーレ「~♪」
提督「ええ。艦娘たちはみんな真面目ですし、私も「イタリア海軍の名に恥じぬよう行動せよ」と常々訓示しておりますから…♪」カルディナーレに見えないよういたずらっぽく笑ってウィンクした
ランチエーレ「ぷっ…♪」
提督「次はどうしますか?」
カルディナーレ「そうですね…重巡ザラ級の部屋はどうなっていますか?」
提督「ザラ級ですね、ではこちらへ…♪」
ガリバルディ「…」ガリバルディがすっと手近な部屋に入って行った…
…ザラ級の部屋…
ザラ「あぁぁ…んっ♪……んぁ、あぁぁぁっ♪」
ポーラ「ザラ姉さま…ぁ、明るい所だとザラ姉さまの綺麗なあそこがよく見えますよぉ~♪」くちゅっ、じゅぶっ♪…蜜をとろとろとしたたらせているザラのふとももに頬ずりしながら、すんなりした白い指で秘所をまさぐるポーラ…
ザラ「あっ、ひぅっ♪…いいっ、そこっ……いいのぉ♪…ポーラ、ポーラもっと…ぉ♪」立って壁に背中を預けながら両手でスカートをたくし上げ、腰を突きだして愛蜜を垂らすザラ…
フィウメ「…もう、ザラ姉の妹はポーラだけじゃないんですよ……それっ♪」じゅぶっ…♪
ザラ「あぁぁっ、いぃっ…ひぐぅぅっ♪」ぽたぽたっ…とろっ……♪
ゴリツィア「私も…お姉さまたちの事……大好きです…///」ぬちゅっ…くちゅっ、ずりゅっ……♪
ザラ「あぁっ、んぅ…ゴリツィア……そこ、気持ひいぃ……♪」
ポーラ「えへへぇ…ザラ姉さまぁ~♪」…んちゅっ、ちゅっ♪
ザラ「ん、ふ…待って、ポーラ…電話が……」
ポーラ「もぉ~、興ざめもいい所ですねぇ~……もしも~し、はい…分かりましたぁ~♪」ガチャリと受話器を置いた
ザラ「…はぁ………ふぅ…で、何だったの?」
ポーラ「憲兵さんの視察だそうですよぉ~…さぁ、片づけましょ~♪」
ザラ「嘘でしょ…早く着替えないと……んっ、く!」ぐちゃぐちゃに濡れて肌に張りつく下着をどうにか引きおろし、代えの下着に脚を通すザラ…
提督「…ザラ、お邪魔してもいいかしら?」
フィウメ「わっ、提督!?…ちょっと待ってくださいね!」
…廊下…
提督「ふふ…きっと何かおもてなしの準備でもしているのでしょう♪」
カルディナーレ「そう言ったものは不要と先ほどから…」
提督「あ、準備が整ったようですよ♪……もういいかしら?」
ザラ「は、はい…どうぞ……」
カルディナーレ「失礼…なんだか甘酸っぱいような刺激的なにおいがしますね」眉をひそめる
フィウメ「えーと…それはきっと……」
提督「家具の一部は仕立てなおしたものなので、どうしても接着剤の臭いがしたりするんです…それをどうにかしようと思って香水を撒いてみたりするんですが、どうにも……ね?」
ポーラ「そうなんですよぉ~…もっといい家具をそろえて欲しいですねぇ~♪」
カルディナーレ「それは私ではなく主計官の方にお願いして下さい…なるほど、小ざっぱりしていて掃除は行き届いていますね」
ザラ「…ふぅ」
提督「それではここはもういいですね?」
カルディナーレ「ええ…次は食堂に案内してください」
提督「ええ…お邪魔したわね、ザラ♪」
ザラ「…は、はい///」
ライモン「///」
………
…食堂…
提督「ここが食堂です…食事の邪魔になるのでテレビは置いてありませんが、レコードとCDのプレーヤーは置いてあります」…さりげなく隅のバーカウンターには布をかけて、見えないようにしてある
カルディナーレ「そうですか…そう言えばちょうどお昼時ですね」
提督「…よかったらお昼を食べていきませんか?」
カルディナーレ「いえ、結構です……昼食は査察を終えてから、来る途中にあった町で食べますので」
提督「そうですか?…まぁ、断食をなさりたいならそれでもいいと思いますが……」
カルディナーレ「…は?」
提督「いえ…いくらタラントの近くとはいえ、ここは南イタリアの田舎ですよ?昼の時間を過ぎて料理屋が開いている訳ないじゃありませんか♪…シエスタ(お昼寝)の時間ですからお店は軒並み閉まっていますよ」
カルディナーレ「え…ですがちょっとしたレストランやピザ店ぐらいなら探せば……」
提督「そんなローマやナポリみたいな観光客向けのお店なんかありませんよ?人のいいおじさんがやっている料理屋とカフェが数軒があるだけです」
カルディナーレ「…そ、そうですか」
提督「ですからどうぞここで食べていって下さい…なんならかかった材料の分の請求書だって書きますよ?」
カルディナーレ「いえ、そこまでは不要で……///」きゅう…とお腹が鳴り、耳を赤くするカルディナーレ
提督「ふふっ…さぁ、ここにおかけになって?」カルディナーレの肩を押さえて椅子に腰かけさせると、厨房に入って行った…
カルディナーレ「ところで…さっきの話は本当ですか?」
ライモン「お店の話ですか?まぁ本当ですね」(…多分、おじさんを起こして頼み込めば何か作ってはもらえるでしょうけど)
カルディナーレ「はぁ…つくづく南イタリアと言うのはのんきなものですね」
提督「…お待たせしました。さぁ、召し上がれ♪」コトリと置かれたのは大皿に入ったパスタで、細めのフェデリーニに緑も鮮やかなキャベツと紅い唐辛子、それにカラリと揚がっているニンニクの薄切りが散らしてある…
カルディナーレ「キャベツ入りペペロンチーニですか。いただきます……」くるりと巻いて口に運び、途端に不思議そうな表情を浮かべる
提督「いかがですか?」
カルディナーレ「…美味しいです。ただのペペロンチーニではないようですね?」
提督「ええ、オイルサーディンの缶詰が残っていたので…ニンニクの香りが効いたオリーヴオイルの中でほぐして、茹で上がったパスタに絡めただけですよ♪」
カルディナーレ「いえ…本当に美味しいです、仕上げの粗挽き胡椒も風味が効いていますし……んっ!」
提督「あ、喉に詰まって……さ、飲み物をどうぞ」グラスを差し出す
カルディナーレ「んくっ、んっ……はぁ、失礼しました」
提督「いいえ。パスタの一口目って時々のどに詰まりそうになりますものね♪」
カルディナーレ「ええ…って、ワインですか」
提督「すみません、どうしてもこの辺りは水道水があまり良くないので……つい」(本当はミネラルウォーターもあるけれど…♪)
カルディナーレ「…なるほど、それでは仕方ありませんね……でも少しにしておいてください、帰りも車なので」
提督「ええ、それでもパスタを流し込むだけに飲んだこの一杯だけと言うことはないでしょう…どうか二杯目はちゃんと味わって下さいね?」
カルディナーレ「ええ、それはそうかもしれませんが…ではその一杯だけで……///」空腹だった上に普段飲みつけない高級なワインがしっとりと喉を流れ落ち、ぽーっと頬が紅くなる…
提督「パスタのおかわりが欲しくなったらそう言って下さいね♪」
カルディナーレ「いえ…もう結構れす……失礼///」少し舌が回らなくなり、慌てて謝る…
提督「いいえ♪…良かったら酔いが覚めるまで空き部屋でお休みしたらいかがですか。その状態で運転はまずいでしょう?」
カルディナーレ「…ええ、それもそうですね……ですがまずは査察を終わらせましょう」
提督「ええ、そうですね…♪」
…鎮守府・廊下…
提督「ではこれから体育館の方へ…」
カルディナーレ「ええ…///」頬が桜色に染まり、しきりに眼鏡をずり上げては目をぱちくりさせている…
提督「どうかしましたか?」
カルディナーレ「いえ…どうも先ほどのワインが思っていたよりも効いてしまったようで……」
提督「あらあら…気分が悪くなったりしたらすぐ言って下さいね、どこかで休憩を挟みますから」
カルディナーレ「大丈夫です」
提督「そうですか、なら心配いりませんね…♪」そっと手を重ねる提督…
カルディナーレ「…どうして手を?」
提督「いえ…腰や身体ですとなれなれしいかと」(…こういう場合「真面目な女性は無理に親しさを装って触ったりし過ぎてはダメ」なのよね、おばさま♪)
カルディナーレ「…ええ、そうですね」と、ルチアがいつも一緒に歩くときのように提督の脇へとすり寄ってきた…
ルチア「ワフワフッ…♪」
提督「あら、ルチア…遊んでほしいの?今は駄目よ」
ルチア「ワンワンッ!」構ってもらいたいルチアが提督とカルディナーレの足元にまとわりついてウロウロする…
カルディナーレ「本当に大きい犬ですね……っ、きゃあっ!?」ルチアが踏み出した脚の間へ入り込むような形になってたたらを踏む…
提督「…っ、アンジェリカ!」…ぽすっ
カルディナーレ「……あ、ありがとうございます///」見事に提督の腕の中に収まったカルディナーレ…オーバルレンズの眼鏡が胸の谷間で斜めにずれて、鼻にかかっている……
提督「いえ…もう、ルチアったら!」
ルチア「クゥーン…」
提督「仕方ない子ね…ライモン、悪いけれどルチアを散歩にでも連れて行って?」
ライモン「はい。…もう、提督の邪魔をしたら駄目ですよ。さぁ、散歩にでも行きましょう?」
ルチア「ワフッ…♪」
提督「ふぅ…うちのルチアは可愛いですしたいていはお利口なんですが、時々ああいう子供みたいなところがあるんです」
カルディナーレ「…それより、少将///」(…今、私の事を「アンジェリカ」って///)
提督「はい、何か?」
カルディナーレ「…そろそろこの体勢を止めませんか……どうにも恥ずかしいので///」
提督「…そうですか?」カルディナーレの両手に自分の手を重ねると指を絡ませ「恋人つなぎ」にする提督…
カルディナーレ「あの…っ///」
提督「…アンジェリカ、私……貴女の事が好きみたいです///」
カルディナーレ「…じ、冗談は止して下さい。まだ数時間しか会ってもいない相手に……」
提督「いいえ…だってアンジェリカは……」
カルディナーレ「…なんですか?」(…どうせ「私の前に舞い降りた天使(アンジェ)のような女性だから♪」とでも言うのでしょう?…はぁ、そう言うのは聞き飽きてます)
提督「…とっても律儀な人だから」
カルディナーレ「…えっ!?」
提督「キンキン声で話す子供みたいな女性や、頭の悪い可愛いコぶっている女の子なんかと違って…真面目で、真剣で……///」
カルディナーレ「あ、あの…っ///」
提督「よかったら…貴女の手にキスさせて下さい……」
カルディナーレ「…いえ、こんな所で……誰かに見られたら…っ///」
提督「でしたら…こちらへ……///」目を伏せてそっとカルディナーレを見上げ、まつ毛をぱちぱちさせつつ角を曲がる…左右に人気がないのを確認してからそっとカルディナーレの薄い唇に自分の唇を重ね合わせた…
カルディナーレ「んっ…ふ……ん、ちゅっ…///」
提督「ちゅっ……素敵でしたよ、アンジェリカ…♪」
カルディナーレ「…ふぁぁ///」
………
…しばらくして・執務室…
カルディナーレ「…それにしても、カンピオーニ少将」床にひざをつき、提督の膝の上にあごを乗せていたカルディナーレがおもむろに口を開いた…
提督「んー?」椅子に座ってカルディナーレの頬を優しく撫でながら小首をかしげる…
カルディナーレ「さっきの言葉ですが…正直私にそこまでの魅力があるようには思えません」
提督「そんなことないわ♪」
カルディナーレ「では到着してからのほんの数時間で、どんなところに魅力を感じたというのです?」
提督「そうねぇ…最初に質問をしてきたときかしら。指がとっても綺麗だし、手もすべすべで……愛撫されたいと思ったわ///」
カルディナーレ「///」
…一方・ドアの外…
ドリア「まぁ…提督ったら相変わらずお上手♪」
エウジェニオ「…ふふっ、いい口説き文句ね。今度私も使わせてもらおうかしら」
カルロ・ミラベロ(ミラベロ級駆逐艦)「そうね、あんなことを言われたら身体がうずいちゃう…♪」…駆逐艦の中でも特に小さい1000トン未満の船型から小学生にすら間違われそうな身体ながら、1916~17年に就役した第一次大戦型の駆逐艦だけあってめっぽう耳年増なミラベロ級……ドリアたちと一緒にドアの隙間から漏れてくるやり取りに耳を傾けながらぞくぞくしたような表情を浮かべ、ふとももをこすり合せている…
…
提督「アンジェリカ…もう帰るの?」
カルディナーレ「ええ、査察は済みましたし…そろそろ戻らないとローマへの飛行機に乗り遅れてしまいますから」
提督「そう…残念ね……せめてお別れにキスだけさせてもらえないかしら」
カルディナーレ「…いえ、ですが///」
提督「一回でいいわ…貴女と出会えた思い出に、私の唇を捧げたいの///」
カルディナーレ「で、では…一回だけ……」顔を上に向けると、提督の方に近寄せる…
提督「ん…ちゅっ……ちゅ、ちゅぷっ…♪」
カルディナーレ「んふっ…あむっ……ちゅる…っ……んちゅ…っ♪」
提督「んんっ…んぅ……あふっ…んあぁ……ちゅ…ちゅぽっ…れろっ……ちゅぅ♪」
…
ドリア「まぁまぁ…提督ったらあの堅そうな憲兵さんをすっかりその気にさせてしまいましたね♪」
エウジェニオ「ふふ、百合の香りからは逃れられないのよ…♪」
ミラベロ「もう…あんなキスされたら腰が砕けちゃうわ……きっと♪」
…
提督「ぷは…ぁ……ふぅ、はぁ…とっても熱いキスだったわ、アンジェリカ♪」
カルディナーレ「あっ…いえ、つい夢中になって……はしたない真似を///」
提督「いいえ、いいのよ?…恋は理性でどうこうできるものでもないし、それに……禁断の愛であるほど甘い味がするものよ♪」ぱちりとウィンクを決めると、手を取って立ち上がらせた
カルディナーレ「///」
提督「…それでは、本日は監査のためにおいでいただき、まことにご苦労さまでした」
カルディナーレ「あぁ、はい……こちらの鎮守府には何も問題ありませんでした。上官にはそう報告する予定です」
提督「それはよかった…では、気を付けて帰ってくださいね♪」
…
ミラベロ「いけないっ、憲兵が出てくるわ…」
ドリア「ふふふ…っ♪」
エウジェニオ「…素敵なひと幕に感謝するわ、提督♪」そっとドアの前から立ち去る三人……
………
なかなか進まないのですが、今日はこの辺で投下を止めます……時間がかかりましたが、いよいよイギリス海軍のグレイ少将にドイツ連邦海軍のヴァイス中佐が出てきます
…ちなみに前スレでグレイ提督の愛車を何にするか迷っていたところ、「アストンマーチン・DB4」辺りがいいのではというリクエストがありましたので、それを採用するつもりでおります。またヴァイス中佐は紺の無難な「BMW・320i」です
あと、銃は多分グレイ提督が(いつもは)制式のSIG・P226辺りの軍用オートマティックで、趣味として.38ブリティッシュ口径のウェブリー&スコット・リボルバー…ヴァイス中佐はやっぱり軍用のSIG・P226かワルサー・P1(名銃ワルサー・P38の戦後型)辺りだと思っています…
…数日後・執務室…
提督「メイク…完了。制服……よし。軍帽…よし」髪はアップに結い上げ、頬には軽くファンデーションをのせ、唇には自然な感じに見えるピンクのルージュを引く…そして豪奢な白い礼装に身を包むと、鏡の前で糸くずが付いていたり、金モールのよじれがないか確かめる…
カヴール「背中は大丈夫ですよ…よく似合っていらっしゃいます♪」
提督「ありがとう、カヴール…でも少しふとももがきついかも……」お洒落にうるさいイタリア軍だけあって、軍服のシルエットはどれも細めに出来ている…が、鎮守府着任以来の食生活がたたって白のスラックスがぱつぱつに思える提督…
カヴール「でしたらタイトスカートになさったら?」
提督「そ…そうね、そうしましょう」
ライモン「提督、お客様の到着予定時刻まであと数十分ですよ」
提督「ええ、ありがと。…時間が少ないしちょっと急がないと…カヴールは大丈夫?」
カヴール「ええ、もちろんです……年を取るとせっかちになりますからね♪」…ころころと甘い声で笑うカヴールはボリュームたっぷりの長身をイタリア海軍らしい、白に近い淡いグレイの上衣と膝丈のプリーツスカートでまとめている
提督「ごめんなさいね。まさかここまでバタバタするとは思わなかったわ…」
カヴール「いいえ…それに前回は提督のお知り合いでしたから、あまり肩が凝るような準備は必要なかったではありませんか♪」
提督「ええ、そうね…それに引き替え今度はイギリス海軍の少将にお堅いドイツ海軍の司令だもの……あー、今から胃が痛むわ」
カヴール「ふふっ、話してみたら存外いい人かもしれませんよ?…はい、大丈夫です」
提督「ありがとう、助かったわ…さぁ、行きましょう♪」
…しばらくして・庭…
カヴール「全体、アテンツィオーネ!(気を付け!)」ずらりと並んだ艦娘たちと提督が敬礼する中、軍が用意した二台のマセラッティからイギリス海軍のグレイ提督とドイツ連邦海軍のヴァイス提督(正しくは司令)、それにそれぞれの随伴として艦娘二人づつが降りてくる…
…鎮守府本棟の前に立っている国旗掲揚のポールにするすると「ユニオン・ジャック」(イギリス国旗)と、「シュヴァルツ・ロート・ゴルト」(黒・赤・金…ドイツ国旗)がタイミングよく昇って行く……提督の敬礼に二人の提督が答礼すると、レコードプレーヤーから「ハート・オヴ・オーク」(樫の心…英海軍唱歌)、続いてドイツ連邦国家が流れた…
提督「…この度はわが鎮守府までお越しいただき、大変光栄に思っております。栄光ある大英帝国海軍の皆様、それに質実剛健なドイツ連邦海軍の皆様…本官を始め、タラント第六鎮守府は皆様を心より歓迎いたします」
グレイ提督「…感謝いたします、カンピオーニ提督。わたくし、イタリア海軍の独創性には常々学ぶところも多いと思っておりました…この機会を大いに有効活用させていただきたいと存じます」
ヴァイス提督「少将閣下を始め、貴鎮守府の心よりの歓迎、感謝いたします…本官も多くを学ぶべく尽力いたしますので、なにとぞご教授下さい」
提督「こちらこそ、ロイヤル・ネイビー(英海軍)とブンデスマリーネ(連邦海軍)の皆様を迎えられて嬉しく思います…」
ティルピッツ「…う、うぇっ……」
ビスマルク「…おい」青ざめた顔で直立不動の姿勢を取っている艦娘「ティルピッツ」と、それを横目でちらりとにらんでから厳格な表情に戻る姉の「ビスマルク」…
提督「……以上で、歓迎式典を終わります」
カヴール「気を付け!」
提督「…ではグレイ提督、ヴァイス提督……紅茶が用意してありますから、こちらへどうぞ♪」
グレイ提督「ふふ、ありがとう…♪」
ヴァイス提督「はっ」
………
…午後…
提督「…ヴァイス提督」式典を終えると礼服を脱ぎ、ブラウスにスカートの軽い制服に着替えてきた提督は、食堂前の廊下でヴァイス提督を見つけて話しかけた…
ヴァイス提督「はい、カンピオーニ提督」
提督「あー…私の事は気軽にフランチェスカと呼んで下さって構いませんよ」
ヴァイス提督「いえ、たかが中佐が少将に向けて呼び捨てなどしたら規律が乱れてしまいますから。…それで、何かご用でしょうか?」
提督「ええ、ティルピッツの事で…多少顔色が悪そうでしたから、何でしたらお薬でも……?」
ヴァイス提督「…大丈夫です、お気になさらず。今正装を脱いでいる所ですから」
提督「そうですか?」
ヴァイス提督「ええ…彼女は北海での作戦行動が多かったので顔色が白く見えますが、いたって健康ですので」
提督「ならいいのですが…もし具合が悪いようでしたら遠慮せずに言ってくださいね?」
ヴァイス提督「はっ、感謝します」
提督「私は無帽なのですから敬礼は不要ですよ…ヴァイス提督♪」
ヴァイス提督「…失礼しました///」
…一方・ドイツ艦の客室…
ティルピッツ「…だいたい、イタ公の運転手は飛ばし過ぎだ……マセラッティだか何だか知らないがラリーみたいに…うぇぇ…」洗面台に屈みこみ、蒼白になっているティルピッツ…
ビスマルク「全く、車酔いとは情けない……それでもドイツ海軍の戦艦か?」コップに水を満たし洗面台に置くと、酔い止め薬を差しだすビスマルク…反対の手で背中をさすってやりながら、あきれたように首を振った…
ティルピッツ「仕方ないだろう…姉上もよくご存じのはずだ、私は身体が弱いんだ……うぇ…っ」
ビスマルク「だらしないな、ティルピッツ提督が泣くぞ?…ほら、飲め」
ティルピッツ「ごくっ…ごくっ……ダンケ(ありがと)、姉上」
ビスマルク「ビッテシェーン(どういたしまして)…さぁ、食堂のティータイムに顔を出さんと英国海軍の奴に気どられるぞ」
ティルピッツ「うん……ふぅ、少し元気になった」
ビスマルク「全く…世話の焼ける妹だ」
…同じ頃・食堂…
提督「グレイ提督は紅茶とコーヒー、どちらになさいますか?」
グレイ提督「わたくしは紅茶を…♪」かっちりした正装でなくても常に姿勢が正しく、生まれながらにして優雅なグレイ提督…隣には無言の威圧感がある戦艦「クィーン・エリザベス」と、端正でエルフのように美しい軽巡「エメラルド」が控えている…
提督「お二人は?」
クィーン・エリザベス「わたくしも紅茶をお願いいたします…♪」
エメラルド「私も同じく…」
提督「それじゃあ、ディアナ…お願いするわ♪」
ディアナ「承知いたしました…♪」しばらくしてティーセットがテーブルに並ぶ…提督はよくティータイムに見られる「銀の鳥かごのようなアレ」がティーセットを広げられない貧乏貴族の家で使われるものと知っていたので、わざとテーブルいっぱいにお菓子ときゅうりのサンドウィッチを並べさせた…
グレイ提督「まぁ…イタリアのお菓子は色鮮やかで綺麗ですこと。よかったら紅茶を頂いてもよろしいでしょうか?」
提督「ええ、ダージリンですが…お好きですか?」
グレイ提督「あら、わたくしの好みです……この香りはトワイニングですね?」
提督「ええ…フォートナム&メイソンは手に入らなかったので、我慢して頂けますか?」(※フォートナム&メイソン…高級紅茶ブランド)
グレイ提督「いえいえ、トワイニングは肩の凝らないお茶の時によく飲むので好きですよ♪」
提督「ならよかったです」提督はポットで淹れた紅茶を漉してティーサーバーに移すと改めてグレイ提督のカップに注ぎ、ほどのいい所でグレイ提督はミルクポットから常温のミルクを入れる…
クィーン・エリザベス「わたくしも紅茶は大好きです…それに何と可愛らしいお菓子たち……このエリザベス、視線が迷ってしまいます♪」
エメラルド「そうですね…でもやっぱりスコーンを……♪」
提督「それにしてもいい天気でよかったですね♪」
グレイ提督「ええ…出撃にうってつけの好天ですね」(※好天艦隊…大戦中の英首相チャーチルがイタリア艦隊を指して言った皮肉)
提督「…そうですね♪」
ライモン「…」
カヴール「…さぁ、お菓子はいかがですか?」
クィーン・エリザベス(エリザベス)「ええ、美味しゅうございますね…♪」
カヴール「あまり食べ過ぎて速度が落ちないようになさってくださいね♪」
(※クィーン・エリザベス級…25ノット。コンテ・ディ・カヴール級…公試速力27ノット)
提督「…こらこら、カヴール♪」
ライモン「…ふふっ♪」
ヴァイス提督「あー……カンピオーニ提督、このお菓子は何と言うお菓子ですか」
提督「それはカンノーロ(カンノーリ)です。筒状の生地を揚げて中にクリームを詰めたものですよ」
ヴァイス提督「なるほど…ところで、イタリア戦艦の測距儀についてですが……」
提督「ふふ、お茶の時間にですか…♪」
ヴァイス提督「あ…いえ、すみません///」
提督「いいんですよ、ヴァイス提督…階級はあんまり気になさらないでくつろいで下さい♪」
ヴァイス提督「はっ。お気遣い痛み入ります、そろそろビスマルクたちも来るころかと…」
ビスマルク「エントシュルディゲン(失礼)…着替えに少々手間取りまして」あまり軍服と変わらないようなダークグレイのブレザーとスラックス、ホワイトのシャツ、それにグレイグリーンのネクタイを締めている…
ティルピッツ「…申し訳ない」こちらはジャーマングレイのスラックスに淡い灰色のブレザー、白のシャツとペールブルーのネクタイで、まるで北海用の迷彩を選んだように見える…
グレイ提督「…なかなか渋いお召し物ね」
エリザベス「…」かすかに眉をひそめるグレイ提督と随伴の艦娘たち…
提督「えーと…二人は紅茶とコーヒー、どっちがいいかしら?」
ビスマルク「司令と同じものを」
ティルピッツ「姉上と同じものを」
提督「ふふっ…なら紅茶ね?」
………
…しばらくして・執務室…
提督「あー…肩が凝ったわ」肩を回し、げんなりしている…
ライモン「…わたしも疲れました、緊張した雰囲気でしたから……」
カヴール「ええ、それにイギリスの提督はなかなか皮肉がお上手で…♪」
提督「まぁまぁ、カヴールも一本取ったんだから…それにしても参ったわねぇ」
カヴール「絵に描いたような貴族のグレイ提督と「典型的ドイツ人」のヴァイス提督…ですか?」
提督「うーん…グレイ提督はさすがに「ホンモノ」の貴族だけあって上手く空気を和ませてくれるけど…クィーン・エリザベスがね……」
ライモン「もの凄い威圧感でしたね」
カヴール「それにドイツ艦の二人も…まるで棒を飲みこんだようでしたね」
ライモン「…あれでくつろげるものなんでしょうか?」
提督「ヴァイス提督もお話しのタネに困っているようだけど…まさかお茶の時間に『ガリレオ社製トリプル・ファインダー測距儀』の講義をさせられそうになるとは思っていなかったわ」
カヴール「夕食でワインが入って、少しは変わるといいのですが…」
提督「そうね…今夜はディアナに言ってうんと美味しいものを作ってもらうわ」
………
ドイツいいね
>>112 ダンケシェーン…ドイツ艦の方は知識が未熟なので資料を読み漁りつつ小ネタを収集しております。そのうちにヴァイス提督以下のエピソードもお送りする予定です
今後は一応「基地祭」でのネタと、その前後で提督×ドイツ組、あるいはイギリス組での百合を投下する予定ではいます、提督同士になるか提督×艦娘になるかはその時の勢いと気分ですが……それでは少々投下させていただきます
…夕食前…
提督「手伝いに来たわ、ディアナ♪」…半袖のチュニックと適当なチノパンツ姿でやってきた提督は手を洗い、腕時計やアクセサリーを外すと白いエプロンをかけた
ディアナ「まぁ、提督…助かります」
提督「ふんふん…いい匂いね。今日の献立はなぁに?」
ディアナ「まずはパプリカとカリフラワーで色彩豊かな夏のマリネ…それとペンネ・アラビアータ、サーディンの重ねパン粉焼き……メインはローストした牛のあばら肉をトマトのスープと一緒に煮詰めたものと、魚介たっぷりのアクアパッツァ……ドルチェはティラミスかシャーベットを…いかがでしょう?」
提督「ふふ、とっても美味しそうね…特にサーディンのパン粉焼きはタラントの味だものね、私も手伝うわ♪」
ディアナ「よしなに…♪」
…重ね焼きは開いたサーディン(いわし)を深めの焼き皿に並べ、塩やオリーヴオイルをまぶしパン粉を振りかけ、その上にまたサーディン……と重ねて行き、刻みパセリや粗挽きの黒胡椒でアクセントをつけ、オーブンでこんがりと焼き上げるだけのシンプルな一品…臭みのない新鮮なサーディンがたくさん取れるタラント周辺で生み出された、飽きの来ないごちそうがパリパリといい具合に焼きあがっていく…
提督「んー…いい色♪」オーブンミトンをはめて焼き皿を取り出し、美味しそうな香気をいっぱいに吸い込む。それからおもむろに端っこの形が崩れた部分に指を伸ばす…
提督「ちょっと味見させてもらおうかしら……っ!」手を慌てて引っ込める提督
ディアナ「大丈夫ですか、提督っ?」
提督「ノン・ファ・ニエンテ(何でもないわ)、指先が少しだけ焼き皿に触っ……ディアナ?」
ディアナ「火傷するといけませんから…ん、ちゅぽっ…ちゅぅ///」
提督「それだったら冷水にさらすのが正解だと思うけれど…あ、でも気持ちいい……んっ///」ディアナのしっとりした舌が指先を優しく舐めてくれる…
ディアナ「…はい、わたくしの応急処置はお終いです……さぁ、後は冷水にどうぞ。手が冷たくなったら時々出していいですから、十分はそうしていて下さいませ」氷水を張ったボウルに手を優しく浸けてくれる…
提督「ありがとう、ディアナ///」
…夕食時…
提督「それでは改めて…ようこそ、タラント第六鎮守府へお越しくださいました」礼装ではないものの白の制服に身を包み、演説台で歓迎のスピーチをする提督…が、一部の艦娘たちはごちそうをにらみつつじりじりしていたり、それなりに長い各提督のあいさつに飽きてもぞもぞしている……
提督「…これで、歓迎晩餐会のあいさつを終わらせていただきます。どうぞグラスを持ってご起立ください」…ガヤガヤ
提督「では……この交流が素晴らしいものになりますよう、そして英海軍とドイツ海軍の旗が輝かしい戦果で飾られることを祈って…乾杯!」
一同「「乾杯!」」
提督「んくっ、こくんっ……ふぅ」爽やかな喉ごしのシャンパンを喉に流し込み、席に着く提督…向かいにはグレイ提督とヴァイス提督が制服姿で座っている……
グレイ提督「ふふ、素晴らしいあいさつでいらっしゃいましたね」
ヴァイス提督「見事なものでした」
提督「いえいえ…さ、アンティパスト(前菜)をどうぞ♪」マリネ以外にも生ハムとメロンの盛り合わせや、ピック(楊枝)で刺したオリーヴとチーズ、輪切りにしたナスの揚げ焼きなどがこぎれいに並んでいる…
グレイ提督「では失礼して…まぁ、美味しい♪」貴族らしく社交術に長け、場の空気を和ませるのも上手なグレイ提督はさっそく前菜を摘まんで、奥ゆかしい驚きの声を上げてみせる…
ヴァイス提督「あ、では私も同じものを…」一方、少将二人に挟まれてがちがちになっていたヴァイス提督はその声を聞いてようやく取り皿に前菜を載せ始めた…
提督「ふー…カヴール、私にもナスをもらえる?」
カヴール「はい♪」
…左右の横に座っているのは戦艦カヴールとフルット級潜水艦「フルット」で、カヴールはふわりと髪をカールさせ、ロココ調のような甘く優雅な桃色のドレスがおっとりした優雅な貴婦人のように見える。一方フルットはメリハリの効いた細身の身体にしっとりと張りついている淡いブルーグレイのドレスで、それがすっきりとした美しさを引き立てる…
ヴァイス提督「…」
グレイ提督「カンピオーニ提督、こちらも美味しいですね」
提督「それは何よりです…よかったらワインをどうぞ?」
グレイ提督「ええ、それではいただきましょう♪」
ヴァイス提督「…」
提督「ヴァイス提督は白の方がお好みですか?……リースリング種を使ったモーゼルですよ?」
ヴァイス提督「え、ええ…それでは白を」
提督「ふふ、分かりました♪」キュポン…ッ、とコルクを抜き、金色がかった綺麗なワインを静かに注ぐ…
ヴァイス提督「ダンケシェーン(ありがとうございます)」
提督「ビッテシェーン(どういたしまして)♪」
…しばらくして…
提督「んー…美味しい♪」
グレイ提督「ええ、とても美味しゅうございますね……噂や冗談と言ったものにも、一抹の事実が含まれているのかもしれません」(※冗談の一つで「飯の美味い国は戦争が弱い」)
提督「ふふ、かもしれません…ですが、いくら戦いに勝っても食事が貧しいのでは何のための勝利か分かりませんね♪」
グレイ提督「ふふ、そうかもしれません…あ、でしたら腕のいい料理人を連れて来ればよいのですよ」
提督「なるほど……ところでイギリスにはインド料理店が多いそうですね♪」
グレイ提督「ええ。わたくしが思うに…イギリスは他国のいい所を取り入れて、自国の風土に合わせてアレンジするのが得意なのです♪」
提督「イギリス風になるわけですね?」
グレイ提督「ええ♪」
提督「…それであんなに……いえ、何でもありません♪」(…さすがに深海棲艦の作ったカレーを食べただけで「だからイギリスのカレーは不味いのですね♪」っていう訳にもいかないわね)
グレイ提督「ふふ…ところでヴァイス提督、ドイツの料理はどんなものがあるのですか?よかったらわたくしに教えて下さいな」
ヴァイス提督「ドイツ料理ですか……代表的なのは白ソーセージや「血のソーセージ」、ザワークラウトなどがありますが」
グレイ提督「まぁ、美味しそうですね…それで、それを「使った」どんなお料理がありますか?」
ヴァイス提督「え…あー、その…私はあまり料理が得意ではないもので……」グレイ提督が放つイギリス流の皮肉を浴び、答えに詰まる…
提督「まぁまぁ…ヴァイス提督、良かったらイタリアの味を試してみて下さい♪」たっぷりとペンネ・アラビアータをよそってあげる提督
ヴァイス提督「ど、どうもありがとうございます…美味しいです」
提督「あぁ、それはよかったです……お飲み物は?」
ヴァイス提督「いえ、ワインを頂いておりますので…こんなにいいワインを飲んだのは初めてかもしれません」
提督「よかったらビールも用意しておきましたが?」ちらりとビスマルクたちの方に視線を向ける…
ヴァイス提督「?」
…テーブルの中央部…
ビスマルク「あー…いい心持ちだ、やっぱり飲み物は泡を引くビールに限る!」中くらいのジョッキに注がれた「レーヴェンブロイ」をぐいぐいと傾ける…
ティルピッツ「ですね…んっ、んっ、んっ……ぷは…ぁ♪」
チェザーレ「おぉ、見事な飲みっぷりではないか♪」(…さすが未開の地ゲルマニアに住まう原始人たちだ、まともなワインも知らないのだろう♪)
ポーラ「よかったらぁ、もう一杯いかがですかぁ~?」ポン♪…と瓶の王冠を抜いてジョッキに近づける…
ビスマルク「あー…気持ちは嬉しいがな、フロイライン(お嬢さん)…さすがにビールばかりがぶ飲みしていてはどうかと思われるので、もう結……」
ポーラ「えへへぇ…ポーラはぁ、練習して上手な泡を出せるようになったんですよぉ~♪」
ビスマルク「たしかにきめ細やかな泡が実にいい……では、もう一杯だけもらおう!」
ティルピッツ「あ、姉上…」袖を軽く引っ張るティルピッツ…
ビスマルク「…なんだ!?……このビスマルクがビールの数杯で不覚を取るとでも思ったか?」
ティルピッツ「い、いえ…」
ビスマルク「ならよし…うぅむ、いい泡だ」
…
ヴァイス提督「…シャイス(くそっ)」
提督「何か?」
ヴァイス提督「いえ…では一杯だけもらいます」
提督「ええ、どうぞ♪…グレイ提督には「イギリスらしく」ギネスの黒がありますが、どうします?」(ふふ、もちろん「ギネス」はアイルランドよね♪)
グレイ提督「ふふふ、「ギネス」はアイルランドのビールですよ♪」(イングランドとアイルランドを一緒にするなんて、なかなか皮肉の効いた冗談がお好きなようね♪)
提督「あ、これは失礼しました…♪」
カヴール「まぁ…提督ったら♪」
フルット「ふふ…っ♪」
………
…しばらくして・提督寝室…
提督「はぁぁ…いい気持ちだったわ……」
…お風呂上がりの提督はパイル地のバスローブ一枚で椅子に腰掛け、脚をもう一脚の椅子に載せてくたっとしている。手元には小さい冷蔵庫に入っているミネラルウォーターのペットボトルがあり、思い出したようにそれをあおる……提督の足元にはやはりほかほかと湯気を残し、肌もほのかに桜色になったカヴールがいて、爪ヤスリで提督の爪を磨いている…
カヴール「…うふふっ♪」
提督「なぁに、その含み笑いは?」
カヴール「ふふ……これからもっと気持ちいい事をするのにそんなにだらけていられては、張り合いがありませんね♪」
提督「んー…私もさすがに疲れたし、今日はしないわよ?」
カヴール「これはまたご冗談を。提督がひと晩でも誰かの添い寝なしで寝られるとは思えません♪」
提督「失礼ね♪……まるで私をさかりのついた猫みたいに言って」そう言いながらカヴールに爪を磨いてもらっていると、ギャング映画のドンが床屋ときれいなブロンド女性に身だしなみの手入れをしてもらっている光景に似ていないこともない……と、そこに内線電話が「リリリン…ッ」と鳴った
提督「何かしら……はい、執務室」
ディアナ「もしもし、提督…申し訳ありませんが至急食堂までおいで願えますか……少々厄介な問題が起きておりまして」
提督「厄介な問題…?」
ディアナ「ええ…火元はドイツ、イギリスの艦娘たちなのですが、放っておくと「黒歴史」になりそうな勢いで……こればかりは提督のどなたかでないと収まらないかと」
提督「分かった、すぐ行くわ」
カヴール「…どうやらベッドに入るのはもう少し後になりそうですね。私も一緒に行きましょうか?」
提督「いいえ、大丈夫よ…もし眠くなったらベッドに入っていても構わないわ」
カヴール「はい…それでは提督のベッドを暖めておきます♪」
提督「はいはい♪」
…食堂…
提督「ディアナ、どうしたの?」厨房寄りのドアからさりげなく食堂に入って、心配顔のディアナに話を聞いた…
ディアナ「いえ、それが……わたくしにもどうにも止められそうにないのです…」
ビスマルク「……ほぅ、この「鉄血宰相」にかなうと思うのか…「フッド」の二の舞にしてくれん!」
エリザベス「このエリザベス、いささか荒事の心得もございます…遠慮はございません。どうか撃沈させるつもりでおいでくださいませ」
提督「あー…まるでノルウェー沖の海戦みたいね」
ディアナ「はい、しばらく前までは大人しく飲んでおられたようなのですが……」
…数十分前…
ビスマルク「重巡「ポーラ」……だったか、貴様はいい奴だな…そんな貴様のために一曲かけよう!」ビールとキルシュヴァッサーと白ワインですっかり出来上がったビスマルクがポーラの肩を抱き、酒臭い息で声を張りあげる…
ポーラ「わ、わぁ~い…ポーラ、嬉しいです~……」
ビスマルク「なに、イタリア海軍がやる気に欠けるからとて卑屈になることはない…よし、「ヴィールファーレン・ゲーゲン・エングランド」を頼む!」(※ヴィールファーレン・ゲーゲン・エングランド…軍歌「いざ英国に進撃せん!」)
フィウメ「いえ、その曲のレコードはさすがにここには……」
ビスマルク「ないのか…仕方ないな、なら伴奏なしでも歌うぞ……ティルピッツ、一緒に歌え!」
ティルピッツ「ヤヴォール!」
エリザベス「……何とも無粋な歌でございますね。不屈のジョンブル魂はドイツ軍の空襲でも…まして軍歌ごときでは揺るぎもしないことを証明いたしましょう」ちびちびとブランデーを傾けていたが、わずかに眉をひそめた…
エメラルド「では「ハート・オヴ・オーク」を?」
エリザベス「無論でございます…さぁ、エメラルドもご一緒に♪」
………
提督「で、今に至る…と」
ディアナ「はい…グレイ提督は先に部屋へお戻りになられ、ヴァイス提督もお部屋で今日の報告書を書き上げてから戻ると……」
提督「あー…ディアナ、一応二人の提督に再度連絡をお願い……その間にどうにか止めてみるから」
ディアナ「承知いたしました」
提督「とはいえ……」
ビスマルク「貴様…ぁ」ゴゴゴ…
エリザベス「…ペルソナカード…ドロー♪」ゴゴゴゴ…
提督「うかつに割って入ったら火傷じゃ済みそうにないわね……」
ザラ「提督、そんなこと言ってないでどうにか止めさせてよ…あそこにはポーラもいるのよ?」
ポーラ「…ひぃぃ」
提督「確かにテーブルの下で這いつくばっているわね……はぁ、あんまりやりたくはないけれど…仕方ないわ」
ザラ「何かいい案が?」
提督「ええ…ザラ、ちょっと私の寝室までひとっ走りして、「実家でもらった手土産の紙袋」をカヴールから受け取って来てもらえる?」
ザラ「紙袋?」
提督「ええ…英独の開戦を防ぐためだもの、こだわっているわけにもいかないわ」
ザラ「よく分からないけど…とりあえずカヴールから「実家の紙袋」をもらって来ればいいのね?」ぱっと廊下に飛び出していくザラ…
提督「ええ、よろしく……ディアナ」
ディアナ「はい」
提督「グレイ提督たちはつかまった?」
ディアナ「いいえ…ですから、わたくしが直接お部屋にお伺いしようと存じます」
提督「お願い。ぜひとも32ノットの高速を発揮して?」
ディアナ「よしなに…」
ザラ「…提督っ、戻りました!」
提督「早かったわね…それじゃあ私は廊下で「準備」しなくちゃいけないから、ザラは合図したら食堂の灯りを落とせるようにしておいて?」
ザラ「了解」
ビスマルク「…むむむ!」
エリザベス「ふっ」
アブルッツィ「今度の当番の分をビスマルクに♪」
エウジェニオ「そう…なら、私はエリザベスに賭けるわ♪」にらみ合いが続いているテーブルの中央と、その周辺から離れてざわめいている艦娘たち…と、急に電気が消えた
ビスマルク「なに、停電か?…もっとも、私には優秀なレーダーがあるが」
エリザベス「わたくしも多少ならお相手できますので、夜戦と致し……」
提督「ザラ、ルーチェ!(灯り!)」
ザラ「はいっ!」急に演説台の周りだけ明かりがともり、全員の視線がそちらに集中する
ミラベロ「…へぇ、やるじゃない♪」
バリラ(大型潜バリラ級)「まぁまぁ…提督ったらお母さんにそんな姿を見せちゃって♪」
ザラ「え!?…ちょっと、紙袋の中身って///」一段高くなっている箱状の演説台に立って、灯りに照らされている提督…
提督(バニーガール)「えー……せっかくなので余興として私が一曲歌いたいと思います///」むっちりしたふとももや丸っこい胸が今にもこぼれ落ちそうな網タイツと黒いハイレグのバニーガール姿で、少し恥ずかしげにヒップの食い込みを直そうとする提督……
リベッチオ「提督、可愛いよぉ!」
エウジェニオ「ふふ、ちょっと露骨なお誘いだけど……そう言うのも嫌いじゃないわ♪」
提督「///」
ビスマルク「な、何だ…!?」
エリザベス「まぁ///」
ティルピッツ「!?」
エメラルド「///」…と、そこに冷たい怒りの表情を浮かべて駆け込んでくるヴァイス提督
ヴァイス提督「ビスマルク!ティルピッツ!お前たちは一体どういう……か、カンピオーニ提督!?…その格好は///」
提督「あー…開戦を阻止しようと頑張っていたところです///」
…しばらくして・執務室…
ヴァイス提督「…お邪魔して早々に大変ご迷惑をおかけしました……お前たちも早く謝らないか」小声で叱り飛ばすヴァイス提督
ビスマルク「全く申し訳ない…我々姉妹がイギリス艦ごときの挑発にやすやすと乗ってしまい、大変ご迷惑をおかけした」
ティルピッツ「…いや、でも元はと言えば姉上が酔った勢いで「ヴィールファーレン・ゲーゲン・エングランド」をかけろなどと言わなければ……」
ビスマルク「…何か言ったか?」
ティルピッツ「いえ……とにかく申し訳ありませんでした、カンピオーニ提督」
提督「いいの、気にしないで…何はともあれ喧嘩になったり、怪我をしたりしないでよかったです」
ヴァイス提督「それについてはいくらお礼を述べても足りません……あんな格好までしていさかいを止めていただき、どう謝罪をすればいいか…」
提督「えーと、まぁ……とにかく全員無事で良かったですし、謝罪もこれで充分ですから…どうぞお休みになって下さい♪」(恥ずかしかったのは嘘じゃないにしても「あんな格好」って言われたわ…)
ヴァイス提督「はっ、それでは失礼いたします……二人とも、後で私の所に来るように」
ビスマルク「…ヤヴォール」
ティルピッツ「うぇぇ、どうして私まで…」
ヴァイス提督「…連帯責任と言う言葉を知らないか!……全く、お前たちは……」さっそく廊下でお説教が始まり、それがだんだん遠のいていく…
提督「ふぅ…」
カヴール「うふふっ、お疲れさまでした…それにしても提督の可愛いバニーガール姿を見損ねてしまうなんて、つくづく残念です♪」
提督「もう、止してよ…結構恥ずかしかったんだから」
カヴール「あら、私と裸でいるのは大丈夫なのにもかかわらず……ですか?」
提督「だって…あれは好きな人と一緒にいる訳だから///」
カヴール「あら♪」
提督「さぁ…グレイ提督も謝りに来て、ヴァイス提督も来たわけだから……寝る前にもう一度お風呂に入って来るわ」
カヴール「ふふ、嫌な汗をかきましたか?」
提督「まぁね…疲れたからお風呂で身体を伸ばすわ…」
カヴール「はい…ではバスローブを用意しておきます♪」
…大浴場…
提督「あー……」ちゃぽ…っ……
…時おり源泉の色が変化する不思議な温泉の湯は淡い緑白色に濁っている……浴室の工事中にいきなり現れて、工兵隊に素晴らしいインスピレーションと設計図を残していった謎の古代ローマ風の男「ルシウス」が残したアイデア通りローマ建築と異国風が上手く融合した大浴場は、丸天井のついたあずまや風の個室風呂だったり、冷水浴の浴槽だったり、はたまたアクセントの蘭や観葉植物の植え込みが湯気の中で煙っていたりする……鎮守府の艦娘たちも古代ローマの雰囲気に合わせようと、基本的に水着を着ないで入ることになっている……提督も今ではすっかり裸での入浴に慣れ、たわわな乳房にお湯を跳ねかけている…
提督「うぁー…」と、大浴場の湯気の向こうに誰かのシルエットが霞んで見える
提督「?」
ヴァイス提督の声「全く……ビールを飲みすぎて喧嘩騒ぎを起こすなど…ハンブルグやキールの連中じゃあるまいに…」
提督「…ヴァイス提督も大変ね」小声でつぶやくと、ぱちゃぱちゃとお湯をすくった
ヴァイス提督の声「…それにしても立派な浴室だ…うちの浴室の数十倍はある……イタリア海軍は肝心の装備よりもこう言うところにお金をかけると言うが…本当だな」
提督「…余計なお世話です」
ヴァイス提督の声「…それに裸で入るのが規則だとか……あの艦娘に教えてもらって間違わずに済んだのはいいが…どうにも恥ずかしいな…」
提督「誰かしら…」
ヴァイス提督の声「あの艦娘…「カイオ・デュイリオ」だったか……旧式のド級艦を改装した中型戦艦で、確か主砲は32センチ……6割も改装するぐらいなら、いっそ新型戦艦を作った方が効率的だと思うが…」
提督「…そう思う人は多いわね…でも当時のイタリアはお金やら資源やらで色々と事情がありまして……」
ヴァイス提督の声「…それにしても彼女は…なんであんな微笑を浮かべて私の裸をちらちら見ていたのだろう……そんなに私の身体はおかしいだろうか…?」
提督「もう…デュイリオったら……♪」
ヴァイス提督の声「……ふむ、別に胸や腹周りにも変なたるみや贅肉はないし……下の毛だってはしたなく見えないように整えてあるしな……」
提督「そうね…制服の上から見ても引き締まっていて、アスリートみたいな身体つきだったわね……」
ヴァイス提督の声「…そもそもここの提督や艦娘は、お互いに礼儀を欠いているように見えるほど親しげだが…やっぱりイタリア海軍はラテン民族なのだな……カンピオーニ少将もあいさつの時に頬にキスしてきて…儀礼にしてはずいぶん優しいキスだったが……ヴィルヘルムスハーフェンで私があんなことをしたら、頭がおかしくなったと思われかねないな……」
提督「…ふふ、冷たいけれどしっとりした肌だったわ……♪」
………
…数日後・午前…
提督「さーてと、おかげで憲兵隊の特別監査も終わったことだし…もう心配なことは何もないわね♪」
ライモン「提督、数日後には年度初めの備品確認がありますが」
提督「あー…憲兵隊の次は主計部っていうわけね……はぁ、嫌になるわ」
ライモン「提督の着任前はそこまであれこれ買ってもらえなかったせいもあるでしょうが…そんなにですか?」
提督「ええ。憲兵隊もたいがいだけれど、何しろユーモアが通じないわ」
ライモン「そうですか…」
提督「ええ」
ライモン「なるほど…でも提督は書類をちゃんと片づけていますし、きっと大丈夫ですよ」
提督「ありがとう。でも考えると気が滅入るわ……楽しみにしていた百合漫画が急に終わってしまうくらいね」
ライモン「それほどですか…だいぶ重いですね」
提督「ええ……まぁいいわ、ちょっと運動がてらみんなの様子を見て回りましょう?」
ライモン「では、お供します」
…駆逐艦「ナヴィガトリ」(航海者)級の部屋…
提督「もしもし…入ってもいいかしら?」ノックをして声をかける
ニコロソ・ダ・レッコ(通称ニコ)「提督?…もちろんいいよ」
提督「ありがと、お邪魔するわね♪」
ニコ「あ、ライモンドも…どうぞ座って?お茶でも出そうか?」部屋の共有部分には相変わらず昔の地球儀や羅針盤、六分儀に真鍮の伸縮式望遠鏡が飾ってあり、ニコ自身も昔の航海者らしく見えるような三角帽子に燕尾のついた上着、白のぴっちりした半ズボンを着ている…
提督「いえいえ、ちょっと見に来ただけだから……何を読んでいたの?」
ニコ「うん、日本の漫画なんだけどね…「キソの旅」って」
提督「あぁ、タイトルだけなら百合姫提督から聞いたわ。…確かシニカルな軽巡「木曾」が日本の軍用オートバイ「陸王」に乗って、腰には「南部十四年式拳銃」と「ブローニング・M1910」を下げているって……」
ニコ「詳しいね、その通りだよ…ま、どうぞ♪」
提督「あら、ありがと♪」出された小さなパイをつまむ提督
アントニオ・ダ・ノリ「ニコ、誰か来てるの?……って、提督♪…よかったらお菓子でも食べる?」
提督「あらまぁ…ごちそうさま♪」中心にジャムのついた円盤状のクッキーをもらう提督…
ライモン「あの…あんまり提督に餌付けしないでもらえますか」
ニコ「…だそうだよ、提督♪」
提督「はーい…それじゃあまたね」
ダ・ノリ「いつでもどうぞ♪」
…廊下…
提督「今度はどこにしましょうか」
ライモン「そうですね…姉妹艦のいない重巡「ボルツァーノ」とか大型潜の「エットーレ・フィエラモスカ」あたりがよいのでは?」
提督「なるほど、いい考えね♪」
…重巡「ボルツァーノ」の部屋…
提督「…いないみたいね?」
トリエステ(重巡トレント級)「提督、どうかしました?」
提督「あ、トリエステ…いえ、ちょっとぶらぶら歩きを兼ねてボルツァーノの所に来たのだけど……どうやらお留守みたいね?」
トリエステ「あぁ、そういうことでしたか…ボルツァーノならさっきザラ級の四人と一緒にお庭へ行きましたよ?」
提督「そう、ならいいわ……トリエステ、よかったら私たちとおしゃべりする?」
トリエステ「あー…ごめんなさい、提督。「それはぜひ」と言いたいのですが、ちょうどトレント姉さんと泳ぎに行くところなので……」
提督「あら…ならトレントと一緒の方がいいわ。二人で仲良くしていらっしゃい♪」
トリエステ「はい、それでは」
提督「チャオ♪」
ライモン「フィエラモスカさんも潜水艦たちに戦術の講義中…ボルツァーノもザラ級のみんなと一緒……他に姉妹のいない艦と言いますと…」
提督「そうねぇ…あ!」
ライモン「どうしました、急に大きい声を出して?」
提督「いえ、姉妹で思い出したけれど…リットリオに頼まれていたことを思い出したわ」
ライモン「あ、そういえば「妹が欲しいの♪」って言ってましたね」
提督「ええ、もう建造許可は下りているし……さ、リットリオの部屋に行きましょうか♪」
…戦艦「リットリオ」の部屋…
提督「…リットリオ、いるかしら?」
リットリオ「はぁい、どうぞ」
提督「失礼するわね…まぁ、可愛い♪」
…部屋に入ると、波打つ明るい茶色の髪をポニーテールに結い上げたリットリオが夏季休暇のお土産らしい服に袖を通していた……淡いグレイのブルゾンを羽織り、白い薄手のタートルネックと明るいイタリアンレッドのプリーツスカート…そして頭にはちょこんとパールグレイのベレー帽がのっている…
リットリオ「可愛いですか?」
提督「ええ、可愛いわ…そうね。ちょっとしたネックレスとハンドバッグでもあればぐっと大人の女性らしく見えるし、バスコ(ベレー帽)を麦わら帽子みたいなつば付きの物に替えればもっとチャーミングな感じになるわ♪」
リットリオ「わぁ、提督ったら洋服の事も詳しいんですね♪」
ライモン「それはもう…提督のお母様は服飾デザイナーですから」
提督「んー…と言うより、そう言う服を着たリットリオを想像したら可愛いな……って♪」
ライモン「あー…そっちですか」
リットリオ「ふふ、でも嬉しいですよ…ところで、何のご用ですか?」
提督「ええ…実は、あなたが私に頼んでいた「リットリオ級」の建造にそろそろとりかかろうと……って、んっ///」
リットリオ「提督っ、嬉しいですっ!……んー、むっ♪…むちゅぅぅっ♪」
提督「ちょっとちょっと…別にそんなにキスの嵐を浴びせなくても……んぅぅ♪」
リットリオ「だって、やっと私にも妹たちがやって来るんですもの…嬉しいに決まってます♪」そう言いながら提督のヒップに手を伸ばし、もちもちしたお尻の肉を優しくこねるようにつかむ…
提督「だからってそんなに……あんっ、もうっ♪」まんざらでもない様子でリットリオを見つめる…
リットリオ「…提督、まだお昼前だけど……嬉しい気持ちが一杯なので愛し合いたいです///」
ライモン「こほん…リットリオさん」
リットリオ「あっ…ごめんね、ライモンド♪」
ライモン「とにかく、建造するにしても日にちを考えませんと…でしょう?」
提督「それもそうね……えーと、リットリオ。とりあえず建造に取りかかるのは数日後になると思うから、その時はお手伝いをよろしくね?」
リットリオ「はいっ♪」
…えー、という訳で次回の投下でリットリオ級二番艦「ヴィットリオ・ヴェネト」と三番艦「ローマ」を建造する予定です……のびのびにしていて申し訳なかったですが、ようやくですね……次回は数日後になってしまうかもしれませんが、コツコツ投下していきます…
…他に「基地祭」での小ネタ少々に追加して「提督の百合談義」、それと外国提督たちとの交流ネタは多少思いついています
…数日後…
リットリオ「それじゃあ、頑張りましょう♪」
提督「ええ」…手元にはリットリオお手製の「ヴィットリオ・ヴェネトおよびローマ建造の手引きマニュアル」が握られている
ライモン「何と言うか…ここまで準備が必要とは思いませんでした」
提督「そうね、必要な書類を読んでいるとこの前の作戦を思い出すわ」
ライモン「ヴィットリオ・ヴェネト(Vittorio Veneto)作戦……『V・V作戦』では長いですし、『V作戦』と言ったところですね」
提督「なんだか聞いたことのあるフレーズだけど…まぁ良いわ、とにかくヴィットリオ・ヴェネトとローマの建造を準備しましょう」
リットリオ「おー♪」
………
提督「むぅ…まずはイオニア海・軍管区への理由説明ね……まぁ、どうにか思いついてみましょう」
リットリオ「うーん…」
ドリア「失礼します。提督、良かったら一緒にお茶でもいかがですか♪」
提督「ありがとう、でも今はいいわ…申請書類を書かないといけないから」
ドリア「そうですか……それではまた後で♪」
提督「ええ。……そうねぇ、『カヴール級およびデュイリオ級では火力・防御面において深海側の戦艦群に対しいささかの不満なしとせず…また、リットリオ単艦では運用上、艦隊の編制はなはだ難しく……』とでも書きましょうか」
リットリオ「なるほど、お上手ですね♪」
提督「まぁね。少尉になりたての頃から需品の申請なんかでよく代筆したものよ…さてと、次に……」
………
提督「あー…今度は主計部に申請書を出さないと……ふぅ」
リットリオ「…軽く数十枚はありますね……さすがに疲れました?」
提督「大丈夫よ、日課の書類はカヴールとライモンに任せてあるし…それにリットリオの可愛い妹たちのためだもの♪」ちゅ…♪
リットリオ「提督…っ♪」
提督「ふふ、いいのよ♪」
ドリア「……あの、提督…よかったら午後のお茶でも……提督のお好きなお菓子を用意しておきましたよ?」
提督「あら、わざわざ気を使ってくれてありがとう…でも今日はいいわ、この申請書類を片づけないといけないの……ごめんなさいね」
ドリア「いえ…いいんですよ、でしたらお菓子だけお届けしますから」
提督「ふふ…ありがと♪」
………
ヴァイス提督「…という訳で、この時に「アトミラル・ヒッパー」「リュッツォウ」以下の戦隊が敵艦に対し果敢に攻撃を敢行していれば、間違いなく『JW51B』船団は壊滅していたはずです」
提督「それはあくまでも後知恵に過ぎないと思います……何しろクーメッツ提督とシュタンゲ大佐は「どのような形であれ艦の損害を避けよ」と厳命され、「同等の戦力であっても慎重に作戦すべし」と指示されていたのですから」
グレイ提督「対し我が方のシャーブルック大佐…彼が負傷してからも直接護衛の駆逐隊は「見敵必戦」で戦闘を行うよう意識づけされており、またノルウェーで長らく停泊していたドイツ艦と違い、常に戦闘行動を行い自信をつけておりました…特に「オンスロウ」「オーウェル」の擬似魚雷攻撃はそれだけでドイツ艦の動きをすくませておりますね」
提督「いずれにせよ、英駆逐艦の積極的な行動はドイツ側に疑念を抱かせ、結局は反転する結果をもたらしたと言えるでしょうね……以上でよろしいですか?」
ヴァイス提督「ええ…しかしどうも、イギリス海軍は強力な敵と分かっていても戦闘をあきらめない傾向があるようですが……理論的には12.7センチ砲の駆逐艦は20.3センチ砲の重巡には勝てないはずです」
グレイ提督「きっと…そちらがそう思っている所に駆逐艦が攻撃を敢行するから、面食らってしまうのでしょうね」
ヴァイス提督「なるほど……これもまたよく練られた心理的な戦術なのですね」
提督「と言うより、イギリス人のやせ我慢…あるいはこれが『ジョンブル魂』なのでしょうね♪」
ドリア「…提督、お疲れさまでした。よかったら夕食の席をご一緒して……」
ヴァイス提督「失礼…カンピオーニ提督。提督は先ほど「ヒッパー」の動きについて興味深い事をおっしゃっておりましたが……」
提督「あぁ、それは…ゴメンなさい、ドリア」
ドリア「……ええ」
………
…工作室…
提督「それでは…カンムスカード……ドロー!」…青いラピスラズリのような光が辺りを照らし、提督はずっしりした図鑑のような「艦娘全書」を左手に持ったまま、右手で投げ上げた白紙のカードを受け止める
グレイ提督「イタリア海軍はその青いタロットのようなカードで建造できる艦や装備が分かるのですか…面白い仕組みですね」
ヴァイス提督「我が方は機械的に生成される艦種や装備が各鎮守府の戦力や方向性に基づいて配布されますから…なかなか斬新ですね」
リットリオ「どうですかっ、提督♪」
提督「だめ…37ミリ・ブレダ対空機銃」
リットリオ「がんばって下さい、リットリオも応援してますから♪」
提督「ええ…ドロー!」
リットリオ「どれどれ…むぅ、20ミリブレダ連装機銃ですね」
提督「大丈夫、頑張ってみるわ」
リットリオ「はいっ♪」
提督「ドロー…!」
ライモン「あの、提督…」
提督「なぁに、ライモン…急ぎの用かしら?」
ライモン「急ぎ…ではないですが」
提督「んー、それだったらお昼の後でいいかしら?……もうちょっとでヴィットリオ・ヴェネトが出そうな気がするの♪」
ライモン「…そうですか」
提督「ごめんなさいね、この数日ヴィットリオの建造にかかりきりで」
ライモン「いえ、わたしは平気ですから」
提督「そうなの?…ん、今「わたしは」……って言った?」
ライモン「え、ええ」
提督「って言うことは、「わたし」以外で平気じゃない人がいるのね?」
ライモン「平気ではない…と言いますか、このところ提督がご一緒してくれなくて「さみしい」と言っている方が数名……」
提督「言われてみれば…リットリオと建造の準備、グレイ提督たちと有名な海戦の図上演習と戦術論…それに書類の片づけ……食事時以外はあんまりみんなとお話してなかったわね」
ライモン「はい、忙しいのですから仕方ないですが…」
グレイ提督「…カンピオーニ提督、よかったらお茶にしましょう?」
提督「…そうですね。では建造の様子は、また後でお見せします」
グレイ提督「ええ、ぜひそうなさってくださいな」
提督「それじゃあライモン…行きましょう」
ライモン「はい…っ♪」提督の差しだした腕に自分の腕を絡めて寄り添うライモン…反対側にはリットリオが同じようにくっ付いている……
………
…執務室…
提督「…それじゃあお茶の時間にふさわしく、少し軽い格好に着替えるわ」
ライモン「はい、でしたら先にお茶の用意をしてきます」
リットリオ「私は提督のお側にいたいです…いいですか?」
提督「ふふ、いいわよ…まったく、リットリオったら立派な戦艦なのに甘えん坊さん…ね……」ドアを開けて固まった提督…
ドリア「あら、提督……今日もリットリオと一緒なんですね。まぁ私のようなおばあさんとちがって可愛いですものねぇ♪」にっこりと笑みを浮かべるドリア…が、その表情は強ばっている……
ポーラ「えへへぇ…提督のベッド、いい匂いがしますねぇ…ん、んっ♪」…くちゅくちゅっ♪
ジョスエ・カルドゥッチ(オリアーニ級駆逐艦)「んはぁ…すぅ……はぁ……提督、提督っ……///」
…開いている寝室へのドアからは、クローゼットの下の引き出しに顔を埋めてランジェリーにまみれているカルドゥッチが見え、ベッドで喘ぎ声をあげているポーラの嬌声も聞こえる…
提督「あー…」(これはアレね…一つでも間違ったら間違いなく刺されるわ……)
リットリオ「ひっ…!」
ドリア「どうしました、リットリオ…別に怖がることなんてないじゃありませんか、私みたいな「おばあさん」なら簡単に沈められますもの……ね、そうでしょう♪」
提督「ち、ちょっと…ドリア」
ドリア「はい、何でしょうか……提督♪」
提督「あ、あー…リットリオ、ちょっと外してもらえる?」
リットリオ「は、はいっ……!」
提督「…これでよし、と」ポーラたちはそのままに寝室のドアを閉めた
ドリア「…提督、別に構いませんよ……私の用事なんてリットリオのお願いに比べたら大したことなんてないですものね♪」
提督「もう…ドリアったら」…ぎゅっ♪
ドリア「ふふ、リットリオの張りのある肌に比べたら……わたしの身体なんて樽みたいなものでしょう?」
提督「もう…ドリアったら何を勘違いしているの?」
ドリア「…あら、この期に及んで言い訳ですか」
提督「あのね……このところリットリオとばかりいて、ドリアのお誘いを断って来ちゃったわよね?」
ドリア「ええ…別に構いませんよ……リットリオの方が若くて可愛いですからね」
提督「ふふ、すねないの……あのね、そうでもしないと見境が無くなりそうだったんだもの……///」
ドリア「…」
提督「だって……グレイ提督とヴァイス提督が来ている手前、あんまりドリアとえっちしてる訳にも行かないじゃない?」
ドリア「そうですか…でも、リットリオとならいいんですか?」
提督「ふふ…リットリオは超ド級艦だけあって、あの色欲でしょう?…放っておいたら発情して何をしでかすか分からないわ。だから手元において手綱を取っていたわけ♪」
ドリア「でも…私だって提督と……///」
提督「分かってます。我慢させちゃったのは悪かったわ……でも、ドリアは大人の女性だし、デュイリオもいるからどうにかしてくれると思っちゃったの…寂しくさせてごめんなさいね?」
ドリア「提督……提督っ!」
提督「きゃあっ///」
ドリア「もう、寂しかったんですからね…っ!」んちゅっ、ちゅむ、ちゅぅぅっ……ちゅぷっ♪
提督「んぅ、んっ…ん……ドリア…私も……我慢できないの///」
ドリア「ふふ…それじゃあ「年増の魅力」をうんと教え込んで差し上げます♪」ぬちっ…ぐちゅぐちゅっ!
提督「あっ、ふあぁぁっ……あ゛っ、んあぁぁぁっ♪」ドリアに抱き上げられ、多少乱暴に指をねじ込まれる…柔らかなドリアのもち肌にしがみつき、口を開けて喘ぐ…
ドリア「……しばらく放してあげませんから♪」
提督「…あ゛ぁ゛ぁぁっ、いいっ…んぁぁっ、あふっ……ひぐっぅぅっ♪」ぐちゅぐちゅっ、とろっ…にちゅっ♪
………
…翌朝・食堂…
グレイ提督「モーニン。アドミラル・カンピオーニ……ご機嫌はいかがですか?」
提督「……どうにか生きています」どこか嬉しげながらもすっかり疲れた顔で、よたよたと朝食の席にやってきた提督
グレイ提督「ふふ、面白いお返事ですこと…よろしければ隣でご一緒なさいませんか?」
提督「え、ええ……あいたた…」
グレイ提督「…どうかなさいましたの?」
提督「えぇ、少し腰が…」そーっとテーブルにお盆を置き、牛乳を飲み干す提督…と、機嫌の良さそうなドリアを始め数人が何くれとなく世話をしてくれる……
グレイ提督「あらあら…カンピオーニ提督は艦娘たちに慕われておりますのね?」
エリザベス「仲がよろしいようで何より…でございます」
エメラルド「そうですね……それにしてもずいぶん親しげで…もしや……?」
グレイ提督「…ふむ」
提督「あ、あー……そう言えば、今日こそはリットリオ級戦艦の建造をお見せしますよ」
グレイ提督「ふふ、それは楽しみです…あの古い電話ボックスのようなお洒落な機械が動くのですね?」
提督「ええ、そうです」結局一睡もさせてもらえなかった前夜の猛烈な「夜戦」のせいで、お腹が背中にくっつきそうなほど空腹な提督…
…朝食は生クリームとチーズのリゾット、中にマッシュルームが混ぜ込んであるふわっとした卵二つ分のオムレツに、昨夜の残りのチキンが化けた美味しい冷肉……鶏モモ肉のローストを裂いて、そこに粗挽きの黒胡椒とバジルを散らしたもの……それを取ってもらうと、丸パンと一緒に食べ始めた…
グレイ提督「ふふ、朝からたくさん召し上がって……見ていて微笑ましいですね」…グレイ提督が「労働者階級は朝からうんと食べ、貴族や有閑階級は朝をほとんど食べない」ことをさりげなくあてこすってくる……
提督「ええ、何しろイタリアの朝食は美味しいですから…もっとも、「朝食だけ」ではなく昼も夜も美味しいですが♪」提督もサマセット・モームの言った「イギリスで美味い物を食いたかったら朝食を一日三回食べろ」を引用してやんわりとやり返す……と、テーブルの一角にきっちりと座っているヴァイス提督とドイツ艦たちに目が行った…
ビスマルク「…イタリア人と言うのはいつも祭日のような食べ物を食べているのだな…むしゃむしゃ……しかしだ…ドイツの食事だって美味いから、そこまで気を引かれるわけではないが……作ってもらっている以上、義務として味は見ておかないといかん……むしゃむしゃ…」
ティルピッツ「…これも美味しい……姉上、よかったらこれもどうぞ」
ヴァイス提督「…えーい、全く揃いもそろって食い意地ばかり……」
ディアナ「ビスマルク、イタリアの食事はいかがですか?」
ビスマルク「ふむ…何とも豪華で美味な食事である、このビスマルクが褒めてつかわそう」
ディアナ「ふふ…よしなに♪」
提督「あー…ヴァイス提督、食事の方が済みましたら今日こそ建造に取りかかりますので」
ヴァイス提督「ヤヴォール……おい、いい加減にしないか…」
ビスマルク「待て、戦闘前には腹に燃料を詰め込んでおかなくてはならん」
グレイ提督「ふふ…わたくしは待っておりますから、『以前食べられなかった分』もいっぱいお食べになって?」(※ビスマルクは派遣されたタンカーと合流する前に撃沈された)
提督「あー…ヴァイス提督。こちらもゆっくり準備をしますから、もうしばらくたったら工作室に来てください」
ヴァイス提督「失礼ながらカンピオーニ提督…もうしばらくとは何時ごろでしょうか、指定をお願います」
提督「えっ?……えーと、それでは0930時頃にお願いします」
ヴァイス提督「ヤヴォール。……二人とも、もういいだろう。これから支度に二十五分はかかるのだ…あと五分で朝食を終えろ」
ビスマルク「む、仕方ない…ティルピッツ、切りあげろ」
ティルピッツ「ですがまだ朝の甘い物を……」
ヴァイス提督「…部屋にバウムクーヘンがあるからそれですませておけ……残り三分だぞ」
ティルピッツ「…ヤヴォール」
提督「…」
…しばらくして・工作室…
提督「…で、後はこのレバーを引けば建造が開始されるわけです」…相変わらず「ド○ター・フー」に出てくる電話ボックスとお洒落なクローゼットのあいのこ……のようなデザインをした建造装置の前に立ち、説明を終えた
グレイ提督「なるほど」
ヴァイス提督「ふむ、そう言う仕組みなのですか」
提督「ええ…では実際にお見せしましょう。リットリオ?」
リットリオ「はいっ♪」提督がレバーに置いた手の上に指を重ね、横目で愛おしむように提督を見た…
提督「では、建造を開始します」レバーを引き、周囲に低い機械音が響き始めた…
………
…
提督「さてと…あのカウンターがゼロになったら建造が完了します」
グレイ提督「ふふ、それにしてもお茶の時間を挟んだ上でまだかかるとは思いませんでした……さすがに戦艦ともなると時間がかかるのですね♪」さりげない口調ながら、それも「イタリアの造船所は能力が低いから」という意味での皮肉であることにピンと来た
提督「その分斬新なアイデアと進取の姿勢は持ち合わせておりますから♪」
グレイ提督「ふふ、言われてみれば……ド級艦のアイデアも、もともとそちらの物でしたものね」
ヴァイス提督「性能のバランスが取れていて、短距離の作戦では優秀な性能を発揮しうると思います」
提督「そうですね……さぁ、出てきますよ♪」
リットリオ「やっと二人に会えます……もう嬉しくてたまりません…っ♪」
…建造装置の上についているカウントダウンのタイマーがゼロになると、相変わらず目を開けていられないような瑠璃色、あるいは群青色の強烈な光が目を眩ませ、同時に建造装置のドアが中から開かれた…
明るい茶髪の艦娘「…」
栗色の髪と眼鏡の艦娘「…」
…リットリオ級の二人は長身で、メリハリの効いた身体は張りがあり、胸を強調するような淡いグレイのブラウスに黒のコルセット、折れ線の幾何学迷彩を意識した淡いグレイと濃いグレイのプリーツスカート、それと艦首を1.7メートル延長したことがあるせいか、黒いエナメルハイヒールを履いている…片方は髪を三色旗のリボンでアップに結い上げ明るい笑みを浮かべていて、もう片方は栗色の髪で眼鏡をかけ、なぜか多少不機嫌そうに目を細めている…
提督「初めまして、お二人とも…ようこそ♪」
茶髪の艦娘「ボンジョルノ……えーと…?」
提督「タラント第六鎮守府司令官のフランチェスカ・カンピオーニ少将です…よろしく♪」挨拶として左右の頬にキスをし、リットリオと同じような甘い匂いと張りのある肌を楽しむ提督…
茶髪の艦娘「それでは私も…リットリオ級戦艦二番艦、「ヴィットリオ・ヴェネト」です。活躍させてくれると嬉しいです♪」
眼鏡の艦娘「同じくリットリオ級三番艦。戦艦「ローマ」です。好きなものは『永遠の都』ローマに関わること全般、嫌いなものは航空攻撃と誘導爆弾です……よろしくお願いします、提督」
提督「ええ、よろしくね…あの、ローマ?」
ローマ「何ですか?」
提督「私が何かしたかしら?」
ローマ「いいえ、別に…いったいどうしてです?」
提督「だって……なんだか不機嫌そう」
ローマ「いえ、むしろ上機嫌ですよ……ただ、眼鏡の度が強くて…」
提督「あらあら……そのうちに直してもらいましょうね♪」
ローマ「そうして頂けると助かります」
ヴィットリオ・ヴェネト「それで、提督さんは……きゃあ!?」
リットリオ「んー、ちゅうぅっ!……よく来てくれましたねぇ、お姉ちゃんですよっ♪…覚えてます?」
ヴェネト「わ、分かってます、分かってます!……リットリオ姉さまでしょう?」
リットリオ「そうですよっ…わぁぁ、懐かしいですねぇ……はい、ローマも……んーっ♪」
ローマ「…ん、んんっ!……も、もう…リットリオ姉様は愛情表現が過激すぎです、もっとこういう物は時間をかけて…///」
リットリオ「そうかしら、いつも提督にしているのにくらべたらこんなの……あっ」
ヴァイス提督「…な、何!?」
グレイ提督「…なるほど、それで納得がいきましたわ」
提督「あー…」
…しばらくして…
グレイ提督「…なるほど、それで納得がいきましたわ」優雅にティーカップのダージリンをすすりつつ眉を上げて見せた
ヴァイス提督「まぁ…その……とにかく、カンピオーニ提督が鎮守府の指揮を見事にこなしていることは間違いありません」
提督「…ヴァイス提督」
ヴァイス提督「は、はっ!……何でしょうか」
提督「あー…そこまで態度がぎこちないと、さすがに私も悲しくなります」
ヴァイス提督「も、申し訳ありません…」そう言ってちらりと提督の奥に目をやる…
リットリオ「はい、あーんっ♪」
ローマ「別にあーんしてもらわなくても食べられます……あーん///」
リットリオ「ふふっ、じゃあ今度はヴェネトね…「あーん」して?」
ヴェネト「あーんっ♪」
リットリオ「えへへっ…美味しい?」
ヴェネト「ええ、とっても♪」
ヴァイス提督「…」
提督「…可愛いですよね、リットリオたちは♪」
ヴァイス提督「いえ、そのっ!……別に私はそう言う目で見ていたのではなく…カンピオーニ提督から「そう言う関係である」と教えて頂いてから改めて観察すると……」
ザラ「…もう、口の端にクリームが付いてるわよ♪」
ポーラ「じゃあとってください、姉さま♪」
ザラ「はいはい…♪」ぺろっ♪
ポーラ「あんっ、もうザラ姉さまったら…///」
グレイ提督「確かに……皆さんずいぶんと親しげな感じがしておりましたが、これもまた「イタリアらしさ」なのかと思っておりましたわ」
提督「いえ…ここが特別に「仲良し」なだけで、中にはお互いに素っ気ない鎮守府もあると聞いております」
グレイ提督「なるほど…ところでカンピオーニ提督」
提督「はい、何でしょう?」
グレイ提督「よかったらわたくしに「百合」について教えて下さらない?」
ヴァイス提督「!?」
提督「別に構いませんが…グレイ提督にその趣味はないのでしょう?」
グレイ提督「ええ、今まで特に感じたことはありませんわ……ですが、イギリス海軍内にも様々な趣味の提督たちがおりますし、予習しておくのはいいことですから」
ヴァイス提督「…で、でしたら私も……」
提督「嫌なら別にいいんですよ、ヴァイス提督?」
ヴァイス提督「いえ、とんでもない…ただ、カンピオーニ提督からそれを聞いて、どうお付き合いすればよいのか少し……」
提督「別に、今までと変わりなく話しかけてもらってかまいませんよ……いきなり取って食べたりするわけじゃありませんもの♪」いたずらっぽいチャーミングな笑みを浮かべると、指先ですっと頬を撫で上げる…
ヴァイス提督「…り、了解」
チコーニャ(ガッビアーノ級コルヴェット)「…はい、あーんしてください♪」赤ん坊を連れてくるという「コウノトリ」だけあって、いつも何かしらのお菓子や食べ物を持っているチコーニャ…
ガッビアーノ「むぐむぐ……とても美味しいよ、もう一口欲しいな」澄んだ黄色の目をしたガッビアーノは「カモメ」らしくぼーっと海を眺めていたり、寂しげに漂っているような様子に見えるが、実は食い意地が張っていて何でもよく食べる……
チコーニャ「はい、どうぞ……あんっ、指まで食べちゃだめですよぅ♪」
ガッビアーノ「ふふ、美味しそうなものだから…つい♪」
チコーニャ「もう…お姉ちゃんたらぁ♪」ちゅ…っ♪
ヴァイス提督「…あんな小さな娘なのに、大胆というか…私だってあんな真似はしたことがないぞ……」
ビスマルク「…全く、度し難いな」
ティルピッツ「……私も姉上とあんな風に……いやいや、私は何を考えているんだ///」
…しばらくして・会議室…
提督「さてと…まずはどれから始めましょうか」
ライモン「うーん…これなんかどうですか?」図書室や提督の寝室から十数冊ばかり漫画を持ってきてくれたライモン…
提督「なるほど。「あの子にキスと不知火を」ね?」
エウジェニオ「そう?…私としてはやっぱりこっちの方がいいと思うけど♪」エウジェニオはとある「いちごパニック」な漫画を取り上げる…
グレイ提督「なるほど、結構こうした分類の漫画や小説も多いのですね」パラパラとページをめくりながら、感心したように百合本の山を眺める
エリザベス「何とも……興味深いものでございます」
エメラルド「…で、でもこんな風にキスしたりするなんて……///」
提督「まぁまぁ、「桜に錨Trick」はキスシーンが多めだから…でも絵柄は可愛い感じだし、入門にちょうどいいでしょう?」
ビスマルク「こ、これが入門なのか…!?」
ティルピッツ「…う、うわぁ///」
提督「ふふ、好きなのを選んでね?…もし必要なら訳して読んであげるわ♪」
デュイリオ「あらあら、ビスマルクにティルピッツ……貴女たちにはまだ早いかしら♪」
エリザベス「何しろ二人ともお若くていらっしゃるものね…♪」
ビスマルク「む……このビスマルクが何かで遅れを取ることなどあり得ん。ましてや漫画ごときではな!」
デュイリオ「…でしたら一緒に読みましょうか♪」
ビスマルク「あぁ、ぜひそうさせてもらう!」
提督「…それではヴァイス提督、私と一緒に読みませんか?」
ヴァイス提督「え、ええ…漫画など読むのは子供のころ以来ですが……ドイツの物に比べてカラフルで綺麗ですね」
提督「そうですね、ここにあるのはだいたい日本の漫画ですし♪」ヴァイス提督の横に座ると肩を寄せ、ぱらりとページをめくった…
ヴァイス提督「///」
…しばらくして…
提督「いかがでした?」
ヴァイス提督「…あー…その……何と言いますか///」
グレイ提督「ふふ、なかなか面白かったですわ」
エリザベス「わたくしもこの胸の内にあふれる好奇心をくすぐられましてございます…♪」
エメラルド「…はぁぁ、世の中にはこんな世界があるのですか///」
デュイリオ「ふふ、面白かったでしょう?」
ビスマルク「し…しかしどうして女同士で……その…ベッドを共にするのだ……///」
デュイリオ「ふふ、それが愛というものです…理屈なんてないのですよ♪」
ティルピッツ「うぁぁ…なんだか恥ずかしくて、姉上を直視できない…っ///」
提督「あらまぁ…良かったらアニメもあるけれど、見る?」
ビスマルク「いや、もう結構だ…!」
ティルピッツ「……わ、私はもう少しだけ見ていきます…その、せっかく用意して下さったのですから///」
提督「じゃあこの席の方がよく見えるわ…さ、どうぞ♪」
ティルピッツ「…ダンケシェーン」
エウジェニオ「ふふふっ…隣、失礼するわね?」
ティルピッツ「…あっ、あぅ……///」
ヴァイス提督「わ、私も一応見ていく…その、途中で退席するのも規則に反しているような気がするので……」
ビスマルク「規則か……なら私もとどまるぞ、最後の一発まで忠誠は失わぬ…!」
提督「ふふ、どうぞごゆっくり♪」
………
…数時間後…
提督「…いかがでした?」
グレイ提督「ええ、なかなか面白かったですわ……なんと申しましょうか…これからは愛情に近い感情を持って、より一層わが艦隊の娘たちに思いやりを持ってあげられそうですわ」
提督「それはよかったです♪…ヴァイス提督、どうしました?」
ヴァイス提督「いえ、何でもありません……うぅ、顔が熱い///」
エウジェニオ「あらあら…いつもは厳格なドイツの海軍将校が真っ赤になって……可愛いわね♪」
デュイリオ「ふふ、それを言ったらビスマルクも顔を赤くして…うふふっ♪」
ビスマルク「し、しかし……むしろあんなのを見て平然としている貴様の方がどうかしているのではないか!?」
デュイリオ「まぁまぁ、ずいぶんと怖い表情ですこと…♪」
ビスマルク「お、おのれ…イタリアの年増女がこの『鉄血宰相』ビスマルクを愚弄するとは……!」
デュイリオ「あらあら…可愛いちっちゃなビスマルクが何か言ってますね……そう言えばビスマルク」
ビスマルク「何だ!?」
デュイリオ「実を言うと私、年下の娘が好きなのですが……ビスマルクは顔が整っていますし、身体も引き締まっていて……うふふっ♪」
ビスマルク「!?」
ティルピッツ「待て、姉上は私の物だ!」
ビスマルク「……ティルピッツ、今何と言った?」
ティルピッツ「あっ…いや、それは同型艦、あるいは姉妹としてと言う意味で……///」
エウジェニオ「ふぅん…仲睦まじいのはいいことよね♪」
提督「エウジェニオのそれはちょっとオーバーだけれど…ね♪」
グレイ提督「まぁ……百合は姉妹であっても成り立つのですか」
提督「ええ、むしろお互いの事を知り尽くしている姉妹だからこそ…だと思います」
グレイ提督「だんだんと話が難しくなってきましたが…つまり百合と言うのは姉妹・母娘・友人・上司と部下・その他もろもろ……いずれにおいても成り立つと?」
提督「ええ、もちろんです」
グレイ提督「…そうですか……ところで」
提督「何でしょう?」
グレイ提督「もしぶしつけな質問でしたら許して下さいね……このイラストですが…」
提督「二人がキスをしているところを見られている…これですか」
グレイ提督「ええ……それで、この二人は誰を見て驚いているのですか?」
提督「んー…それはきっと二人のお姉さんかもしれませんし、あるいは母親…背景は礼拝堂みたいですし、もしかしたら修道女かもしれません……それを想像するのも楽しみの一つでしょうね♪」
グレイ提督「なるほど…」
ヴァイス提督「…ど、どうすればいいのだ……あれだけ色々見せられた後だと、全員の仕草一つひとつが意味ありげに見えてきてしまうな……」
提督「ヴァイス提督?…よかったら冷たいお飲み物でもいかがですか?」
ヴァイス提督「い、いえ……それより少し体育館を使わせていただきたいのですが///」
提督「ええ、遠慮なさらずにどうぞ♪」
ヴァイス提督「は、ありがとうございます…二人とも、行くぞ」
ビスマルク「ヤヴォール」
ティルピッツ「り、了解…///」
グレイ提督「では、わたくしたちも失礼いたします」
エウジェニオ「……くふふ、ビスマルクたちは真っ赤になってたわね♪」
提督「こぉら、あんまりからかわないの……でも、ヴァイス提督も普段は厳格な女性なのに、漫画数冊であんなになって可愛かったわね♪」
デュイリオ「うふふ…色々教えてあげるのが楽しみです♪」
ライモン「…みなさん悪い笑顔になってますね……」
めちゃめちゃどうでもいいかもしれんが前作で提督の実家に戻るときにガソスタで会った奴って某英国のハゲだよな…?
>>130 いえいえ、前作から読んで下さっている上に気づいてもらってうれしいです……もちろんその「英国のハゲ」ですよ(笑)
投下がなかなか進みませんが、基地祭のネタに絡めて百合姫提督と「横須賀第二鎮守府」の日常も多少お送りしようかとは考えております…ご期待下さい
…夕食時・食堂…
エリトレア「えー…という訳で、今日はお客様に合わせてイギリス・ドイツ料理を作ってみました…わー、ぱちぱちぱち♪」自分で拍手と歓声を上げるエリトレア
チェザーレ「うーむ、まさか食事が不味い国の上位二つが揃うとは……チェザーレは出された物は食べるとはいえ、好んで手を出したくはないな……」
ドリア「…焼野原の方がまだ食欲をそそりますね」
カヴール「少なくとも焼野原ならセンスのなさはありませんからね……」食べ物にはうるさくないチェザーレさえ眉をひそめ、日頃から美食でならしているドリアはかなり辛辣な意見を吐いている…
提督「あー……たしかにいつもとは雰囲気の違う料理が並んでいるわね」トマトの赤にバジルやズッキーニの緑や黄色で特にカラフルな南イタリアの料理に比べ、食欲の出ない地味な色合いの料理が並んでいる……
ヴァイス提督「おぉ…グラーシュがある」(※グラーシュ…あるものを色々と入れて煮込むドイツ風シチュー。一方ハンガリーではパプリカパウダーで紅も鮮やかな世界最高のスープ「グヤーシュ」がある)
ビスマルク「白ソーセージか…ビールがないとな」
ティルピッツ「それならやっぱりピルスナーでしょうか…コミスブロートもありますね」(※コミスブロート…ドイツ黒パン。酸味があって胃に溜まる感じのする重いパン)
グレイ提督「…スターゲイザー・パイもありますね」(※スターゲイザー・パイ…「星を見るもののパイ」パイ皮の表面からニシンの頭が林立しているパイ。味も見た目もイギリス人専用とか)
エリトレア「それだけじゃありませんよ…じゃーん♪」オーブンミトンを両手にはめて、大きな四角いパイ皿をグレイ提督たちの方に向ける……パイ皿にはこんがりと焼けたパイが収まっているが、表面をよく見ると飾りとして細く切ったパイ皮の帯を縦・横・斜めに乗せて焼いてあり、パイが見事な「ユニオン・ジャック」(英国旗)になっている
グレイ提督「まぁ♪」
エメラルド「それで、中身は何なのでしょう…♪」
エリトレア「はい、中身はステーキ・キドニー・パイですっ…初めて作ったのですが、きっとうまく出来てますよっ♪」(※ステーキ・キドニー・パイ…牛の内臓や尻尾など、普通に食べるには難しい部分を煮こんだりして詰めたパイ)
エリザベス「まぁ、それは楽しみですわね」
ローマ「……もし着任早々の食事がこれだけだったら自沈するわ」
ヴェネト「まさか、そんなことはないですよ……ね?」
エリトレア「もう、大丈夫に決まってるじゃないですか…ローマ風の四角いピッツァもばっちり焼きあがってますって♪」
提督「ふふ、私の特製カルボナーラもね…熱々のフェットチーネに絡めてあるわ♪」
ヴェネト「グラツィエ!……提督は素晴らしい女性ですね♪」
ローマ「ええ、そのようね…ところで提督」
提督「ええ、なぁに?」
ローマ「貴女の階級は?」
提督「海軍少将だけど?」
ローマ「ふーん…海軍少将って「アミラーリオ・ディ・ディヴィジォーネ」と同じ階級で合ってるのね?」(※Ammiraglio di Divisione…旧イタリア海軍少将)
提督「ええ……私の階級がどうかした?」
ローマ「どうして海軍少将が自分でエプロン付けてパスタなんて茹でていたの?」
提督「んー…海軍少将はエプロンをつけてパスタを茹でたらいけないの?」
ローマ「いけなくはないけど…少なくとも私の知っている限りでは例がないわね。だいたい、旧王国海軍で提督だけ……しかも女性しかいない司令部なんて聞いたこともないわ」
提督「まぁね…とはいえここは比較的のんびりした鎮守府だから私と秘書艦の娘だけでも書類は片づけられるし……それより、早くしないとパスタが冷めちゃうわよ?」
ローマ「それはいけないわね…では……」くるりとフェットチーネを巻きとり、口に運んだ…と、口の端にえくぼが浮かぶ……
提督「…お味はいかが?」
ローマ「ボーノ…とっても美味しい♪」手を口もとに当てて「おいしい」と、投げキッスのような仕草をする…
提督「ふふ、よかった…ヴィットリオは?」
ヴェネト「もちろん美味しいです……ワインも最高級で言うことなしです♪」
リットリオ「ふふっ…だって二人のために数十年物のキァンティをポーラに見立ててもらいましたから♪」
提督「私までお相伴にあずかっちゃって悪いわね……んー、本当に美味しい♪」
ロモロ(「R」級大型輸送潜)「どころか私までごちそうになっちゃって……ふぅ」
レモ「レモ、頭がぼーっとしてきちゃったぁ…提督、もたれかかってもいーい?」
提督「あらあら…どうぞ♪」排水量2000トンはある「R」級潜水艦の艦娘だけに「ばるん…っ♪」……と弾むたわわな胸とむっちりした豊満な身体で、提督にもたれかかってくる…そのもちもちした肌触りに思わず顔がほころぶ提督……
カヴール「むぅぅ……リットリオの次はロモロとレモですか」
ライモン「相変わらずですね…」
開発で是非サボイアs21(見た目はマッキm33)を出して頂きたい…
>>133 それならきっと真っ赤に塗った「シュナイダー・トロフィー・レース」仕様でしょうね……大戦中のイタリア水偵はたいてい「カント25AR」飛行艇か「メリジオナーリ・Ro43」水偵でしたからなかなか機会がありませんが、駆逐艦「アヴィエーレ」の模型飛行機か、開発時に一種の「ハズレ」カードとして出したいものですね……
…後はザラ級重巡フィウメ(あるいはポーラ)が戦前にスペインの「ラ・シエルヴァ」ジャイロコプターの発艦試験を行ったとか……そうしたちょっとした「こぼれ話」も機会があれば小ネタに取り入れていく予定です
…今日はちょっと投下できませんが、この後はヴァイス提督の苦労話を聞いてあげる提督(場合によっては提督×ヴァイス提督)や、百合姫提督の鎮守府から小ネタを……などと思っています
…食後・バーカウンター…
グレイ提督「…あら、グレンリベットがありますね。ストレートで頂きましょう」
ポーラ「はぁ~い、どうぞ♪」
エリザベス「わたくしはビーフィーター・ジンを…ダブルで」
エメラルド「えーと…それではグロッグをお願いします」(※グロッグ…ナポレオンの時代から英国海軍の伝統だった水割りラム酒。水で割ったラムを配給させた提督に対する皮肉から、その提督の着ていた上衣の生地から名前を取ったとも。…ちなみにオーストリアのピストルは『グロック』で、全く関係はない)
ポーラ「はぁ~い♪」
ビスマルク「よし、シュナップスだ!」
ティルピッツ「姉上…また騒ぎを起こしたら怒られますよ?……キルシュヴァッサーを頼みます」(※キルシュヴァッサー…ドイツ産チェリーブランデーの一種)
ビスマルク「なに、この前は少し飛ばし過ぎただけだ…今度は間違い(アクシデント)など起こさん!」
エリザベス「あれがアクシデント…ふふ、あれは貴女の虚栄心が生んだ必然……でございます♪」
ビスマルク「…なめるな!」一気にシュナップスをあおってみせるビスマルク
グレイ提督「おやめなさいエリザベス……それにビスマルクも」
エリザベス「失礼いたしました、何しろビスマルクが簡単に乗ってくれますので……このエリザベス、ついからかってしまいましてございます♪」
ビスマルク「……おのれ、老いぼれのアルビオンめ」
グレイ提督「こほん…そう言えば、ヴァイス提督はどちらに?」
ティルピッツ「は、何でもカンピオーニ提督とお話があるとかで…」
ビスマルク「……そのままイタリア娘に手籠めにされなければいいが…ちゃんとピストルは持って行っただろうな?」
チェザーレ「…なかなか失礼な小娘であるな…そなたの目には、チェザーレたちの提督が嫌がる女を無理やり抱くように見えるのか?」
ビスマルク「常に女をはべらせ、にやけているあの様子ではやりかねんだろうが?」
チェザーレ「ビスマルク…提督に限ってそんなことはない。安心いたせ」
ビスマルク「そうか?……よし、カエサルがそこまで言うなら信じてもよいぞ」
チェザーレ「結構。…ただし口説き落としてベッドに連れ込むかどうかについては保証できぬが♪」
ビスマルク「…なんだと?」
チェザーレ「ポーラよ、チェザーレにカンパリソーダを」
ポーラ「はぁい♪」
ビスマルク「おい…!」
グレイ提督「わたくしにもう一杯…♪」
エットーレ・フィエラモスカ「うぃー…先生にチンザノを下さいな…♪」大型潜「エットーレ・フィエラモスカ」は姉妹のない単艦で、戦前は長距離航海や記録作りでならしていたが、大戦時にはすっかり旧式化していたこともあり訓練用潜水艦として過ごしていた…そのせいか、鎮守府では潜水艦組の先生として定着している……
ポーラ「あまり飲むと毒ですよぉ~?」
ザラ「貴女が言えたことじゃないでしょうが…」
ポーラ「えぇ?…でもぉ、ポーラはぁ~……自分で限界が分かってますっ♪」
フィウメ「確かにポーラ姉さんはいくら飲んでも絡んだりしませんよね」
ザラ「うーん……そう言われると吐いたこともほとんどないわね」
ポーラ「だってぇ~、吐いたらもったいないじゃないですかぁ~……えへへぇ♪」手早くカルーアミルクを作るときゅーっと飲み干す…
ザラ「ふぅ…仕方ないわね。それじゃあ私にカンパリ・オレンジを一杯ちょうだい?」
ポーラ「はぁ~い、りょ~うか~い♪」
ザラ「…それにしても提督は何の話をしてるのかしらね?」
…そのころ・執務室…
提督「…それで、私に聞きたいこととは何でしょう?」いつもならみんなとおしゃべりとカクテルを楽しんでいるか、ゆっくり入浴しつつ身体をほぐしているか、あるいは誰かとベッドに入っている提督……が、真剣な表情のヴァイス提督に相談事を持ちかけられ、執務室で略装の白ワイシャツとタイトスカートのまま座っている…
ヴァイス提督「は、それが……」
提督「それが…?」
ヴァイス提督「…どうやったらあのように艦娘たちと打ち解けられるのでしょうか……ぜひともやり方を教えて頂きたい」
提督「うーん…そうは言っても私が着任してすぐにあの娘たちのほうから『仲良く』してくれたので……私は特に何かをしたと言うほどでも…」
ヴァイス提督「いえ、そんなことはないと思います。…もちろん本官も命令を下す立場であり、規則の上でも、あまり公私をわきまえぬような付き合いはどうかと思いますが……それでも、ビスマルクたちを始め所属の艦娘たちには常々信頼していることを伝えたいと思っているのです」
提督「あー…」(別に意識をしないで言っているのでしょうけど……絶賛公私混同中の私の耳にはちょっと痛いわね)
ヴァイス提督「いかがでしょうか、カンピオーニ提督……無論このような相談事を他国の少将にお尋ねするなどあり得ないことかと思いますが、同僚や上官にはなかなか相談しづらいもので…」
提督「いいえ、構いませんよ♪……えーと、それでは何か「感謝の意を表せるような贈り物」はどうでしょうか?」
ヴァイス提督「贈り物ですか…これまでにも幾度か試みてはみたのですが、やはりそれが一番ですか」
提督「そう思いますよ?やっぱり、何かをもらえると言うのは嬉しいものですし♪」
ヴァイス提督「なるほど……しかし我が方の鎮守府全員に贈るとなると数十個は必要か…とすると予算を一人当たり10ユーロとまでとして……」
提督「あの…ヴァイス提督、贈り物は全員にではなく数人に贈るのですよ?」
ヴァイス提督「…しかし、それはえこひいきなのでは?」
提督「ふふ…そうは言っても全員に同じプレゼントをあげたら、「特別さ」が薄れてしまうでしょう?……ですから、何か理由をつけて数人にだけ贈るか、一人一人の好みに合わせて違うものを贈ってあげるのがいいかと思いますよ?」
ヴァイス提督「…なるほど……」手帳にペンを走らせる…
提督「たとえばビスマルクの趣味は何かありますか?」
ヴァイス提督「趣味、ですか…」
提督「ええ。私室に何か……たとえば花とか、絵画とか…宝石とか♪」
ヴァイス提督「いえ、鎮守府で黒ネコは飼っていますが……部屋にはティルピッツやヒッパーたちの写真があるくらいで」
提督「…それならカメラはどうでしょう?「今度ティルピッツと一緒に撮るといい」と言ってプレゼントしたら喜ぶと思いますよ?」
ヴァイス提督「いえ…あくまで着任時のアルバム写真ですから、自分で撮るわけではないかと」
提督「あー…」(…こういう時はドイツ人の生真面目さがうらめしいわ)
ヴァイス提督「…」
提督「えーと……でしたら、何かスポーツは?」
ヴァイス提督「あぁ…ティルピッツはスキーを良くします」(※スキー…ティルピッツがノルウェーで無駄に係留されていた間、乗員はスキーに興じるのが唯一の楽しみだったという)
提督「それならビスマルクとティルピッツを連れてスキー旅行に連れて行ってあげるとか…どうでしょうか?」
ヴァイス提督「…なるほど」
提督「もちろん軍の施設などではなくて、観光ホテルにでも泊まって…そうすればきっと親しみやすい部分も出てきますよ♪」
ヴァイス提督「ふむ…参考になります」
提督「あとは……私の場合はよくキスをしたり、抱きしめてあげます♪」
ヴァイス提督「いえ…それは私には無理です……軍規にも『艦娘たちと必要以上に親密になることは好ましくない』とありますから」
提督「ええ、ですから「必要以上に」親しい状態にならなければいいんですよ……何しろこちらの規則にも『艦娘たちと不純な交友関係を持つことを禁じる』とありますし」
ヴァイス提督「しかしカンピオーニ提督は……こほんっ」
提督「ふふ、ですから私も執務中にえっち…つまりレズセックスはしないと決めています♪」
ヴァイス提督「…と、言うことは……その…///」
提督「ええ、ですから書類仕事の時はこうやって……はい、これで執務中ではありませんよ♪」書類を取り上げると、改めて執務机に置いてみせた
ヴァイス提督「…ず、ずいぶん規則を柔軟に運用しているのですね」
提督「ええ、結局「鎮守府の艦娘たちがどれだけ暮らしやすいか」ですから…ね♪」
ヴァイス提督「な、なるほど……では相談ついでに、もう一つだけよろしいですか」
提督「ええ、どうぞ♪」
ヴァイス提督「実は、以前キールに赴任していたのですが……」
提督「キールと言うと…潜水艦戦隊ですね?」(※Unterseeboot・flotte…潜水艦戦隊)
ヴァイス提督「ええ…と言っても戦前の編制と違って各Uボート群から戦果に応じて艦を選り抜いたり、組み換えているので同じではありませんが……」
………
…数年前・キール潜水艦戦隊…
ヴァイス大尉(当時)「…さて、いよいよここの艦娘たちと話す訳だ……全員無事に帰投させ、かつ戦果を残せるように努力せねば…!」前任者との交代式典を終えたばかりの、真っ白なチリ一つない制服に身を包み、艦娘たちが待っているはずの「食堂」と書かれたドアを開けた…
ザール(潜水艦母艦)「…大尉、そのようにあまり気負われますと……」
Uボートの艦娘「…あっははは!…何しろ私は「イギリスの女王」を手籠めにしてやったからな!」(※エンプレス・オブ・ブリテン…42350トンと言われる元豪華客船。兵員輸送船になっていたがⅦA型「U32」に撃沈さた。Uボートの撃沈史上最大の商船)
鼻息の荒いUボート艦娘「うわっははは、違いない!…こっちは「王室の樫」をへし折ってやったけどな!……で、何だっけ…あぁそうだ、トミーのやつらはこっちのPK(宣伝中隊)そこのけに大ぼら吹きだ!…二隻目を水上機母艦の「ペガサス」だなんて言いやがって。あんなちっこいオンボロ汽船をリパルスと見間違う訳ないだろ!」(※王室の樫…ロイアル・オーク)
芝居がかったUボートの艦娘「…さてさて、ではこの私がいかにしてあの船団をこましてやったか……とくとお聞かせしよう!」
Uボートの艦娘「ははは、そんなことを言ったら私なんて映画のモデルになったよ!」
物静かなUボートの艦娘「……一雷一殺。…隠密接近して外周の護衛艦艇をすり抜けてから雷撃する。それだけだ……」
大柄なUボートの艦娘「…おいおい、たぷんたぷんのいい身体をしてるじゃないか……ほぉら、「乳牛」なんだったら吸わせろよ…こちとら遠距離航海で喉が渇いているんだからな…っ♪」…もみっ♪
ぽっちゃりしたUボート「あんっ…いやぁぁ♪」
…広い食堂には中学生か高校生くらいに見えるUボートの艦娘たちが百人近く座っている……が、あたりは雑然としていて、シガレットの煙がたちこめる室内にはビールとブランデーの空き瓶が転がり、食べかけのジャガイモやサーディンの皿はひっくり返り、果ては床に落ちたテーブルクロスの上で寝ている艦娘までいる…
ヴァイス大尉「…アハトゥング!(気を付け)」
Uボート「おいおい、何だぁ…?」
Uボート「おや、新任の大尉さんじゃありませんか…「ウェッジゲン潜水クラブ」に何かご用ですか…ってね♪」(※キールの第一潜水隊は第一次大戦のUボート・エースの名前から「ウェッジゲン潜水隊」と呼ばれていた)
Uボート一同「「あっはははっ…!」」
ヴァイス大尉「……一体全体なんだ、このざまは!」
芝居がかった艦娘「…これはこれは見目麗しきフロイライン(お嬢さん)に、見苦しいものをお見せしました……わたくしめは「ⅦB型」Uボート、U100にございます…して、何かご用ですかな?」よれた革のコートに白の艦長帽をかぶり、ニヤニヤしながら一礼すると拍手喝采が上がる…
ヴァイス大尉「貴様がU100か…なぜきちんとした格好をしないか」
U100(ⅦB型…艦長シェプケ)「おやおや…われらUボートに戦艦のような白制服と金モールをお望みで?」
U99(ⅦB型…艦長クレッチマー)「…ふん、格好で戦果が上がるわけでもあるまいに。…下らんことを言う」…物静かで宣伝を嫌った「沈黙のエース」クレッチマーらしく静かに言う
鼻息の荒い艦娘「はんっ、戦果ならうんと挙げてるが?」…わざとらしく首元にかけている騎士十字章をチャラチャラいわせる
ヴァイス大尉「…誰だ」
鼻息の荒いUボート「私か、ⅦB型Uボートの「U47」だ…ご存じないかな?」
ヴァイス大尉「…ギュンター・プリーンの『ボート』か」
U47(ⅦB型…艦長プリーン)「いかにも!」
Uボート「…そうそう、「スカパ・フローの牡牛」さ♪」
ヴァイス大尉「…」唇をきっと噛みしめ、めちゃくちゃな食堂の中をにらんでいる…
………
ヴァイス提督「…と言うことがありまして、どうにか規律を守らせようとしたのですが……」
提督「あー…何と言うか……新任の大尉さんにはつらい鎮守府でしたね」
ヴァイス提督「ええ、何しろ……」
………
ヴァイス大尉「よし、順番に艦名を名乗れっ!…これからはドイツ連邦海軍の一員として、規則をきっちりと守ってもらう!」
U32(ⅦA型)「ⅦA型Uボート、U32…そういう訳で、「エンプレス・オブ・ブリテン」をレズレイプ…になるのかな?……とにかく、あの高慢な女王を犯してやったのは私さ…戦果を挙げている以上、文句を言われる筋合いはないね♪」
U38(ⅦA型)「同じくⅦAUボート、U38!……あたしはね、リーベ大尉やシュッヒ大尉と一緒に戦って来たんだ!戦艦の連中じゃあるまいし、新任の大尉さんに格好の事までうだうだ言われたくないね!」
(※ハインリッヒ・リーベ大尉…Uボートエース第十位の艦長。スコアは撃沈30隻。162333トン。U38は他の艦長とも出撃し、35隻、187077トンを記録…敗戦時ドイツの軍港にあり乗員が自沈させた)
U47「さて、改めて自己紹介が必要なようだな!…本来は「第七潜水隊」所属なのだが、今はここに配備されている「U47」だ!」プリーンのあだ名と第七潜水隊の紋章にもなった「鼻息を吹く牡牛」のイラストを基にした記章が、よれた革ジャケットの胸につけてある……
U99「…ⅦB型、「U99」だ」白い艦長帽はシミだらけで、長い金髪は後ろでしばって垂らし、黒の革ジャケットに双眼鏡を胸から下げ、黒のよれよれスカートをはいている…
U100「それではわたくしも…改めましてU100でございます、港に居並ぶスマートで小ぎれいな戦艦や重巡の『お姉さま』たちには格好でこそ劣りますが、その分戦果を挙げておりますのでなにとぞご勘弁を♪」…何事も芝居がかっていたというシェプケ大尉を真似ているのか、おどけたように一礼した
U96(ⅦC型)「ウンターゼーボート「ⅦC」型のU96だ……西ドイツの映画になったのは私さ!」名作映画「U・ボート」のモデルになったとされるU96は、映画の「デア・アルテ」(※おやじ…艦長のこと)と同じようにボロボロになった私服のタータンチェックのシャツに鉄十字章をぶら下げ、ジャーマングレイの薄汚れたズボンをはいている…
U66(ⅨC型)「あたしはⅨC型のU66…アメ公の護衛駆逐艦となぐり合ったのはあたしだ、文句があるならあとで勝負しな!」
(※U66…小説・名作映画の「眼下の敵」でモデルになったと思われるUボート。1944年5月6日の深夜、護衛空母「ブロック・アイランド」を中心にした対潜空母グループに捕捉され、航空攻撃の間に隠密接近したTE級護衛駆逐艦「バックレイ」の砲・銃撃の後、衝角攻撃を受け絡み合ってしまい、「総員退艦」をかけてから「バックレイ」の乗員と小火器などで交戦した。「バックレイ」側もピストルからげんこつ、空薬莢、コーヒーカップなどで応戦し、最後は損傷したU66が沈没)
胸を揉んでいた艦娘「わたしは「ⅨC」型のU510だよ、遠路はるばる日本の神戸まで行って、しかも帰りだってどうにかフランスまでは戻ってきたんだ……ちょっとくらいだらしない格好だからって怒らないでほしいもんだね♪」
(※U510…おもにインド洋などで作戦し、1944年には神戸まで到着。45年1月になって故国に戻ろうと厳しい警戒をくぐり抜け、何とフランスまで到着した……が、燃料が尽きサン・ナゼール港でフランス軍に降伏。戦後も59年までフランス潜として活躍した)
揉まれていた艦娘「…私は補給型Uボート、Uタンカーの「ⅩⅣ」(14)型、U459です……「乳牛」なんて言われることもあります」…ぽっちゃりとしたお腹や、ばるんっ…と揺れる乳房は、誰が見ても補給に活躍し潜水艦隊に愛された「Milchkuh」(乳牛)にふさわしい……
ヴァイス提督「うむむ……では、今日の所はひとまず解散!明日からはちゃんとした制服を着用のこと!」
U47「ヤヴォール」
U100「はいはい、了解りょーかい」
U96「…ビールの気が抜けた……ザール、おかわりを!」
ザール「…は、はいっ!今すぐ!」
ヴァイス提督「……秘書艦がこれでは規律を正すのは到底無理か……仕方ない、こうなったら戦艦でも何でも呼んで規律を整えさせるしかないな…」
………
…
提督「…それで戦艦を配属してもらったのですか?」(…いやーな予感)
ヴァイス提督「ええ…ところが……」
ヴァイス大尉「本日をもって秘書艦を潜水艦母艦「ザール」からこの「ティルピッツ」に交代する!…今後は厳格に規律を励行し、違反があれば容赦なく罰則を与える!」
ティルピッツ「…秘書艦となったビスマルク級二番艦「ティルピッツ」です。司令のおっしゃる通り、今後はきちんとしてもらいます!」
U100「結構なことでございますな……ところでお美しいティルピッツどのは撃沈何隻、何トンになりますので?」
ティルピッツ「いや…それは……」
U47「…何度も出迎えはしてくれただろうが、出撃したことはあるのか?」
Uボート一同「「あっはははは!!」」
ティルピッツ「うぅ…これでもビスマルク級の二番艦としてノルウェーからにらみをきかせていたんです!」
U100「…スキーと海水浴を楽しみながら?」
ヴァイス大尉「…いい加減にしないか!……規則に文句があるなら私が相手になるが!?」
U100「いえいえ…とんでもございません、わたくしどもはこの美しいユングフラウ(若い乙女)の活躍を聞きたかっただけなので♪」
U38「…けっ、図体ばかり大きい戦艦が」
U47「……ロイアル・オークの代わりにG7e魚雷で沈めてやってもいいかもな」
U96「…私みたいに銀幕デビューしてから言って欲しいね」
U510「…こっちは日本まで行ってきたんだから、あんまり指図されたくないね」
ティルピッツ「うぅぅ…」
ヴァイス大尉「もういい!…以上、解散っ!!」
ティルピッツ「…司令、この任務は私に向いてないのではないでしょうか……」
ヴァイス大尉「気にするな。ティルピッツは職務にまい進すればいい」
ティルピッツ「……は、命令とあらば頑張ってみせます!」
…
………
提督「あー…やっぱり」
ヴァイス提督「ええ…それで数週間もすると……」
………
ヴァイス大尉「一体どうなっているのか…ザール!」
ザール「は、はいっ…!」
ヴァイス大尉「これで規律が保たれていると言えるのか?」
…艦娘用の食堂には大音量でUボートの歌が流れ、同時にエディット・ピアフのシャンソンやララ・アンデルセンの「リリー・マルレーン」もかけられている。…皮肉で現実主義者なUボートの艦娘たちはビールやコニャック、シュナップスを浴びるように飲みながら、胸を強調するようなドイツの民族衣装を着せられ、きゃあきゃあと嬌声をあげているU459たちⅩⅣ型「乳牛」の身体を揉みしだいている…
ザール「い、いえ…」
ヴァイス大尉「ティルピッツ!……ティルピッツは?」
U100「どうやらおねんねの時間みたいですなぁ…♪」一同が爆笑する
ヴァイス大尉「…U100、ティルピッツに何かしたのか?」
U100「いいえ…♪」
ヴァイス大尉「…ふむ、いずれにせよ諸君は規律を守る気がないようだ」
U99「規律はともかく戦果は挙げています…一魚雷につき一隻で」
U47「私の牡牛の角だって相変わらず冴えわたっている…レッド・エンサイン(※英商船旗…赤地の旗の隅にユニオン・ジャックが入っている)があれば突進してやるさ!」
U29(ⅦA型)「…うまいっ、私が「カレイジャス」を撃沈した時みたいに冴えてるな!」(※カレイジャス…英空母。1939年9月17日に撃沈された)
ヴァイス大尉「…もう結構。この調子なら私も他の手を考えさせてもらう」
………
提督「…それで?」
ヴァイス提督「ですが結局のところ、ひんぱんに長期の出撃をさせられて、かつ戦果もあげているUボートたちが唯一持てる休息時間であることを考えると強く出ることも出来ず…ティルピッツも戦果が少なかったことからUボートたちにはにらみがきかないままで……」
提督「…そのまま転属に?」
ヴァイス提督「ええ……昇進はしましたが、結局キールの潜水艦隊では勝手放題されたままで終わってしまいました。ティルピッツもそのせいでより病弱になってしまい……カンピオーニ提督はどうやってあんなに和気あいあいと艦娘たちを仲良くさせているのですか…っ!?」
提督「落ち着いて下さい、ヴァイス提督…ね?」よく見るとヴァイス提督の頬がほのかに紅くなっている…食事中に出した美味しい白ワインと質量ともにたっぷりの夕食がついついグラスを誘い、飲みすぎてしまったらしい……
ヴァイス提督「しかし…っ、カンピオーニ提督は一見すると何も厳しいことは言っていないのに、どうしてこのように上手く……くっ!」テーブルの上に出してあったワインを一気にあおるとくやしげな表情を浮かべた……
提督「…シャルロッテも大変だったのね……よしよし」そっと席を立ってぎゅっとヴァイス提督を抱きしめると柔らかなプラチナ・ゴールドの髪を撫でつつ、そっと髪を束ねていたゴムを外す…
ヴァイス提督「…カンピオーニ提督…っ」
提督「……よかったら、髪をとかしてあげますね」寝室の化粧台からヘアブラシと香水を持ってきて、ヴァイス提督の後ろに立った…
ヴァイス提督「あ…いえ、そのようなお気遣いは不要です……///」
提督「まぁまぁ…」さらさらでくせのない髪に優しくブラシをかける……
ヴァイス提督「こんな…恥ずかしい物語まで聞いていただき、その上で少将に髪をくしけずらせるなんて……」
提督「ふふ、かまいませんよ…ヴァイス提督はまるでレーヴェ(ライオン)のように誇り高く、芯の強い方なのですね♪」
ヴァイス提督「……そ、そんなことは///」
提督「…ありますよ。さ、せっかくですからお化粧もしてみましょう?」ヴァイス提督の髪に、さっぱりしたシトラス(citrus)系の香水をひと吹きし、寝室に案内する…
ヴァイス提督「いえ…私に化粧など似合いませんから……」
提督「そう言わずに…私も気分が落ち込んだ時はお化粧に時間をかけて集中するんです。いい気分転換になりますし、何よりお化粧は女性の特権みたいな物ですから♪」
ヴァイス提督「……そこまでおっしゃるのなら、お願いします」
提督「ええ♪」
…提督寝室…
提督「さて…と」化粧台の前に座らせ、チークの粉やルージュが制服に付かないように、適当なバスタオルを首からかけた…
ヴァイス提督「…化粧品だけでこんなに……これだけの物をいったいどこに使うのですか?」
提督「んー…いつも使うのはほんの数種類で、ここに並べてある化粧品はたいていもらい物なんです」
ヴァイス提督「もらい物…男性からのプレゼントですか?」
提督「いいえ?…ここにあるのは基本的にお付き合いのあった以前の恋人たちや、軍の上官や同僚……元部下の娘たちや、私が親たちからもらったものもあります♪」
ヴァイス提督「えーと…しかし、時には男性士官からもらうこともあったのでは?」
提督「お付き合いできない方に贈り物をもらうのは申し訳ないので、全てお返ししています」
ヴァイス提督「……そ、そうですか」
提督「ええ…さ、まずは下地を作りましょうか♪」すっ…と指先で頬を撫で、後ろから身体を寄せる
ヴァイス提督「…うわっ」
提督「ふふっ…大丈夫ですよ、とって食べたりはしませんから♪」パフで下地をのせて行き、暗くなりがちな喉元や頬骨の下のエリアへ軽く白粉をはたく…どちらかと言えば白っぽく血色の悪いヴァイス提督の頬には軽く頬紅をのせ、目の下も暗くならないように明るい色を置く……上まぶたにはパッと明るいパステルピンクのラメ入りアイシャドウを引き、厳しい表情を少しぼかす…
ヴァイス提督「…なんだか、自分の顔が変わっていく気がします」
提督「ふふ、これは新型の迷彩ですから…少し時期外れですが、華やかな花畑でクロッカスやアネモネに偽装できるような春用の迷彩ですよ♪」…きゅっと引き締まっている薄い唇には華やかで優しいピンクパール色のルージュを引き、こてをあてて髪を軽くウェーブさせる…
提督「さぁ、できました…どうですか?」
ヴァイス提督「…何と言うか、軍人にはふさわしからぬ雰囲気ですが……休暇の時に時間があれば、こうした格好をしてみるのもいいかもしれません」
提督「ふふ、それじゃあせっかくの機会ですし…時々ここに来てもらって、戦術以外にお化粧も覚えていったらどうでしょう♪」
ヴァイス提督「…いえ、そこまでしていただくのも……そもそも今回のプログラムでは戦術論を学習し、帰国してからの艦隊行動に活かすために来ているのですから」
提督「ふふ、分かっています…でも、覚えられる事を覚えないで済ますのは「時間の有効活用」を考えるとひどくもったいないでしょう?」
ヴァイス提督「…たしかに。たかが化粧と言えども、何の役に立つかは分かりませんね」
提督「でしょう?」
ヴァイス提督「……分かりました。とりあえず今日は話を聞いて下さって、ありがとうございます」
提督「どういたしまして♪」
…翌日…
ヴァイス提督「…昨夜は申し訳ありませんでした、少将閣下!」直立不動の姿勢で提督に平謝りしているヴァイス提督に、食堂で午前のコーヒーや紅茶を楽しんでいる艦娘たちは何事かと注目している…
提督「そんな、お気になさらず……私と『親しい』日本の提督も「困ったときはお互いさま」ってよく言っていますし…ね?」
ヴァイス提督「いえ…昨夜は夜分遅くにもかかわらずお部屋にあがり込んで、大変ご迷惑をおかけしました……さらに化粧品までいただいてしまい、申し訳ない限りです…!」
提督「ふふ、いいんですよ……差し上げた化粧品は私にはあまり似合わない、きりっとした雰囲気の物でしたから…ヴァイス提督に使ってもらった方が「効率的」でしょう?」
ヴァイス提督「それは……まぁ、たしかに効率的で無駄がないですね」
提督「でしょう?…ところで、よかったら一緒に午前のお茶でもいかがですか♪」
ヴァイス提督「は、それではちょうだいいたします……」
提督「…どうかしました?」
ヴァイス提督「いえ…どうも先ほどから艦娘たちからの視線があるのですが」
ライモン「……あの、カヴールさん…今の、まさかとは思いますけど…」
カヴール「ええ…ヴァイス提督が確かに「夜分にもかかわらず上がり込んで迷惑をかけました」とおっしゃってましたね…これはどういう意味か提督にお聞きする必要がありそうですね♪」
リットリオ「もぉ、私が妹たちと「仲良く」している夜に限ってドイツの提督を部屋に連れ込むなんて……提督もなかなか捨てておけないんだから♪」
ローマ「…っ///」
ヴェネト「もう、姉さんったら…みんなに聞かれちゃう///」
デュイリオ「あらまぁ♪……それはそうと、ヴァイス提督のかけた「迷惑」とやらについて、今夜はたっぷりと提督に尋ねないといけないわ♪」
提督「…あー」
ヴァイス提督「その…申し訳ありません。私がお邪魔したせいで何か艦娘たちと予定していたことが出来なくなってしまったのですね?」
提督「えーと…ヴァイス提督の考えているような真面目なこととはおそらく違いますからお気になさらず……それで、飲み物は…」
ヴァイス提督「カンピオーニ提督と同じものを」
提督「ええ、分かりました……エリトレア、私とヴァイス提督にカプチーノの砂糖二さじ、ミルクはぬるめでスプーマを(泡)多めにして、濃く淹れたものをお願い♪」
エリトレア「はぁーい♪」
ヴァイス提督「あの…カンピオーニ提督……」
提督「ええ、なんですか?」
ヴァイス提督「今頼んだのはコーヒーですか?」
提督「そうですよ?」
ヴァイス提督「イタリアではコーヒー一杯にそんなに色々言わないといけないのですか……」
提督「えーと…私は注文の少ない方なのですが……そんなに多かったですか?」
ヴァイス提督「ええ…そう思えました」
提督「ふふ…それじゃあきっと「お国柄」でしょうね♪」カプチーノを受け取ると眺めのいい席に座り、鮮やかな海を眺めつつゆっくりとすすった…
提督「…ふぅ、美味しい♪」
ヴァイス提督「…確かに美味しいです」
アヴィエーレ「やぁ提督……隣、いいかな」
提督「あら、アヴィエーレ…今日もエースパイロットみたいで格好いいわね♪」アヴィエーレは毛皮の襟付き革ジャケットとサングラス…グレイグリーンの乗馬ズボンの裾は黒の革長靴につっ込んであり、航空チャートも一緒にねじ込んである…
アヴィエーレ「グラツィエ…ところで提督、ちょっと欲しいものがあるんだ」
提督「欲しいものねぇ……家具とか?」
アヴィエーレ「いや、家具は充分にあるよ……ふふ、何が欲しいか分かるかな♪」
提督「なら香水とか…でもアヴィエーレはあんまり香水や化粧品は使わないものね……じゃあプラモデルの道具や機材とか…でも休暇で一杯買って来たのよね?」
アヴィエーレ「あぁ、そうだね…どうだい?」
提督「うーん、何かしら……だめ、降参するわ♪」両手を上に持ち上げて肩をすくめた
アヴィエーレ「そっか、なら教えるよ…♪」ちゅっ♪…と頬に軽くキスをしてから、ぐっと身を乗りだした……
提督「…なるほど。「戦前の飛行艇を開発で出せないか」……ねぇ?」
アヴィエーレ「ああ、そうなんだ…ほら、提督がこの間「ここの基地祭がある」って言っていただろう?」
提督「ええ、まだひと月は先だけど……それで?」
アヴィエーレ「いや、せっかく基地祭があるんだから、私の作ったプラモデルでも並べようかと思ったんだ…だけどね、1/72スケールの飛行機じゃ並べてみてもちょっと小さいし、お客さんの印象に残らない気がするんだ……で、開発用のタロットで少し「いたずら」できないものか…とね♪」
提督「なるほど…それにしてもアヴィエーレは今から基地祭の事を考えてくれているのね♪」
アヴィエーレ「なぁに、操縦士って言うのは派手なのが好きだし…我が国のアクロバットチーム「フレッチェ・トリコローリ」と言えばなかなかの物だから、ここでもちょっと真似事みたいなことが出来たら楽しいだろう?」
提督「なるほど……でもここには滑走路がないから、海面から離水できる飛行艇や水上機が欲しい…と」
アヴィエーレ「そういうこと…で、どうかな?」
提督「うーん…主計部の査察はあるけど、「カンムスカード」で外れが出ることはままあるし……いいんじゃないかしら♪」
アヴィエーレ「よしっ……実は出してほしい機体もある程度決まっているんだ♪」
提督「あら、そうなの?」
アヴィエーレ「あぁ…この飛行艇なんだけど……提督でもさすがに知らないかな?」革ジャケットのポケットからモノクロ写真を取りだした…水面に浮かんでいる飛行艇は流麗な胴体と速度の出そうな薄翼、それに胴体の支持架に取り付けられたエンジンが特徴的で、モダンでスマートなスタイルが美しい…
提督「えーと……この機体は確か、「マッキM33」よね」
アヴィエーレ「お…さすが提督だ。正解者にはアマルフィ海岸の旅を一週間……と言いたいところだけど、チケットがないからね…代わりにキスをあげよう♪」
提督「あら、ありがと…♪」ちゅ…っ♪
ヴァイス提督「…これがイタリアでは普通なのか…わが国では考えられんな……」コーヒーをすすりながらなかばあきれ、なかば感心した様子のヴァイス提督…
提督「それにしても「マッキM33」ねぇ…25年のシュナイダー・トロフィーだったかしら?」
アヴィエーレ「ああ、そうだよ…二機制作されて一機はレースで三位に食い込む腕の冴えを見せたんだけど、エンジンに他国のお下がりを買ってくるようなフトコロ具合だったからね……それにアメリカのパイロットはあのドゥーリットルだったはずだし」
(※ドゥーリットル…太平洋戦争初期に米国民の士気を高揚させるべく、空母「ホーネット」からB-25「ミッチェル」中型爆撃機を発進させ東京を爆撃する「トーキョー・エクスプレス」を実行した飛行隊長。米軍屈指の腕利きパイロット)
提督「なるほど、それは分が悪かったわね」
アヴィエーレ「ああ…だからもう一度飛ばしてあげたいのさ♪」
提督「分かったわ……それじゃあ、今度の建造の時にやってみるから一緒に来て?」
アヴィエーレ「了解♪」
提督「…さてと、それならしばらく午後の映画は飛行艇の映画にしましょうか♪」
ヴァイス提督「…それはそうと構わないのですか」
提督「何がです?」
ヴァイス提督「開発に使うべき資材や労力をそのようなことにつぎ込んでしまって、鎮守府運営の妨げになりませんか」
提督「妨げになるようなら許可しませんし…それに、いつも戦闘のためにだけ労力を割いていたのでは気が休まらないでしょう?」
ヴァイス提督「なるほど…そう言う考え方もあるのですか」
提督「ええ…もっとも、陸軍と違って砂漠でパスタは茹でませんが♪」
ヴァイス提督「…そのエピソードは聞いたことがあります……が、本当なのでしょうか?」
提督「ふふっ、もちろん冗談に決まっていますよ♪…だいたいイタリア王国陸軍の主食は軍用ビスケットでパスタではありませんし、陸軍は補給が乏しかったのでパスタにありつけるような事はあまりなかったはずです」
ヴァイス提督「なるほど…てっきり本当の事かと思っていました」
提督「まさか…ヴァイス提督だって「ドイツ人は朝・昼・晩とジャガイモを食べている」なんて言われたら冗談だって分かるでしょう?」
ヴァイス提督「ええ、それは明らかに冗談ですが……でも、ちょっと待ってください…」手帳をめくり始めるヴァイス提督…
提督「?」
ヴァイス提督「いえ…出発前の食事ですが……朝食にポテト・パンケーキ、昼は焼きジャガイモとソーセージ…夜はアイントプフでジャガイモが入っていました……」(※アイントプフ…ポトフのような具の多いスープ)
提督「…」
………
…工作室…
提督「さてと…ジャガイモの話は忘れて開発にいそしむとしましょう♪」
アヴィエーレ「ああ、そうしよう…じゃあまずはイメージトレーニングをしてもらおうか」有名な「紅の飛行艇を駆るブタ」が主人公の漫画を取り出し、提督の手に押し付ける
提督「はいはい、分かりました♪……よいしょ」隣の船渠でたゆたうさざ波からの照り返しがちらちらと天井を彩り、涼風が吹き抜ける…
アヴィエーレ「…どうだい?」
提督「ええ……前に読んだことはあったけれど、相変わらずこの作中に流れているエスプリ…っていうのかしら、雰囲気がとっても好きよ♪」
アヴィエーレ「だね…私も操縦が出来たなら提督を前席に乗せてあげるんだけどね」
提督「ふふ、ならシュパンダウ機銃を一丁降ろさないと♪」
アヴィエーレ「ははっ、そうだね……もっとも、提督は小島の持ち主でシャンソンを歌っている方がいいかな…そうすればここの艦娘はみんな提督に恋をすることになるからね♪」
提督「それは嫌よ…だって、好きになった人に限って空に上がって行ってしまうんだもの……でしょう?」ぎゅっとアヴィエーレの手を握りしめる…
アヴィエーレ「…ふっ、そう言われると返す言葉もないよ……提督…///」ぐっと提督のあごを持ち上げ、唇を近寄せる…
提督「…ん///」…と、そこに三角帽と燕尾付きの上衣だったり、白の詰襟だったりする艦娘の一団がどやどやと入ってきた……艦名に提督や艦長、あるいは海相の名前が付いている潜水艦たちで、わらわらと提督を取り囲む…
マルチェロ(マルチェロ級大型潜)「…さてさてカンピオーニ君、ご機嫌いかがかな……潜水艦を建造すると言うのに本官に教えんとは水くさいではないか♪」
エモ(マルチェロ級)「提督、私でよかったら何でも言いつけて下さい♪」
ファー・ディ・ブルーノ(カッペリーニ級大型潜)「私にもぜひお手伝いさせてもらいたいですね」
ベネデット・ブリン(ブリン級大型潜)「いかにも…本官もお手伝いいたします。何しろ「ベネデット・ブリン」と言えば造船中将としてそこそこ有名でしたからな♪」
サイント・ボン(カーニ級大型潜)「提督。マルチェロたちに聞きましたが、何でも新しく建造を行うそうですね……本官も今は「イタリア王国海軍を育てた海相」としてお手伝いに参りましたぞ♪」
アヴィエーレ「…やれやれ、とんだ邪魔が入ったね」
提督「ええ…でも後の楽しみが出来たじゃない♪」
アヴィエーレ「ふふ…かもね。……さ、それじゃあ開発にいそしもうか!」…白紙の「カンムスカード」と青い図鑑のような「カンムス全書」を机に置いた
提督「ええ…それじゃあ行くわよ……ドロー!」さっと群青色の光が辺りを照らすと提督は「カンムス全書」を左手で持ち、カードを右手で投げ上げる……
アヴィエーレ「うーん…カント25AR飛行艇だ……大戦初期の割とありふれた水偵だね…」提督はパシッとつかんだカードをアヴィエーレに渡し、二人で絵柄を確認する…
提督「まぁ、そんな簡単には出ないわよね…じゃあ、もう一回……ドロー♪」
アヴィエーレ「今度はRo43水偵か…アルカナは「航空兵装」だから近いとは思うんだけど……」
提督「思っているカードが出ないのも何だかすっきりしないわね…せーのっ、ドロー♪」
アヴィエーレ「むむ……またRo43か…せめて飛行艇が来ないかな」
提督「んー…意識はすっかり紅の飛行艇になっているんだけど……頭の中で「ウォォォォ…」っていうエンジン音の描きこみまで再生されているのよ?」
アヴィエーレ「じゃあもう少しなのかね……応援してるから頑張って」
エモ「うーん…何が欲しいのかは知りませんが、私も応援してますよ♪」
ブリン「本官も応援しております。何しろそれが終わらんと、潜水艦の建造に取りかかれないのですから♪」
プロヴァーナ「全く同感ですな…それに、提督には憲兵の特別監査の時ずいぶんかばってもらった恩義があるので♪」
モロシーニ「ヴェネツィアでちんぴらの頭を冷やしてやったり、クルティザン(高級娼婦)のお姉さま方と遊んだのがそんなに「いかん」と言われるとは、何とも理解に苦しむがな……とはいえ、提督に迷惑をかけた分はちゃんとお返しせねばならん」
バルバリゴ「いかにも…真のヴェネツィア人は律儀で情に厚く、強きをくじき弱きを助ける好漢揃いなのだ!」
提督「ふふ…ありがと♪」
アヴィエーレ「…ふふ、何とも言い話じゃないか……って、「ピアッジョP7」だって!?」ひょいと受け取ったカードを脇に置こうとして、慌てて絵柄を見直す
提督「ピアッジョP7……って、あの「手が四本必要」な飛行艇?」
アヴィエーレ「ああ…それにしてもこんな珍しいのが来るとは驚いたなぁ!」
提督「…ちょっとよそ見をしているくらいの方がいいのかもしれないわね」
アヴィエーレ「ああ…それじゃあ……ちゅっ♪」
提督「…んっ!?」
アヴィエーレ「…さて、結果はどうかな……っと」
提督「もう…さっき「後でしてあげる」って言ったのに……ふふっ///」
アヴィエーレ「あー…提督」
提督「なぁに、アヴィエーレ♪」
アヴィエーレ「今度から開発の時はあさっての方を向いてやった方がいいんじゃないかな……出たよ」
提督「……嘘でしょ?」
アヴィエーレ「嘘なもんか…ほら」真っ赤に塗られたマッキM33飛行艇が、まさに離水しようとしている絵柄のカードを見せた…
提督「…これはまた、ずいぶんとあっさりできちゃったわね……」
アヴィエーレ「ま…できたんだから文句なし……お礼に私の唇をあげよう♪」着ている物も態度も格好いいことは間違いないが、駆逐艦だけにどうしても背の高さが足りないアヴィエーレ…提督を腰掛けに座らせると、少し身を屈めてキスをした……
提督「んっ…ふふ、それじゃあさっそく飛ばして来たら?」
アヴィエーレ「ああ、そうさせてもらおう…チャオ♪」人さし指と中指の二本でキザっぽい敬礼をすると、足取りも軽く出て行った……
ブリン「行ってしまいましたな……それでは、今度はこちらの方に努力してもらいましょう♪」
提督「ええ…でもちょっと待って……さすがにくたびれたわ」椅子に腰かけたままアイスティをすすり、棚のあちこちを見回した…
バルバリゴ「……どうしたのだ?」
提督「ええ、何か甘い物が…ここにクッキーがあったはずよね……」
エモ「それは「夏季休暇の間にネズミや虫がたかったりしないように」…って言って、バカンスの前に食べちゃいましたよ?」
提督「あー…じゃあここにあった板チョコレートは?あれは休暇の後に入れたのだけど」…スパナやレンチの入っている引き出しの中に、一つだけ小ぎれいな紙が敷いてある引き出しが入っている……
ファー・ディ・ブルーノ「…あぁ、それでしたらこの間の掃海任務の後「ガッビアーノ」と「チコーニャ」がもぐもぐしておりましたな」
提督「……このティーセットと一緒に入れておいたピスタチオ入り焼き菓子は?」
サイント・ボン「申し訳ない。そのお菓子なら昨日の訓練後に食べてよいかオリアーニたちに聞かれ「別にいいのでは」と本官が言ってしまった……」
提督「むー……お菓子なしで建造なんかできないわ、何かないの?」
モロシーニ「と言ってもなぁ…我々は菓子など持ち合わせてはいないぞ」
バルバリゴ「食堂に電話をかけたらどうだ?」
提督「うーん…」
チコーニャ「提督、ライモンドから書類の事で……って、どうかしたんですかぁ?」
提督「あ、ちょうどいい所に…ねぇチコーニャ、何かお菓子を持っていないかしら?」
チコーニャ「お菓子…れふか……ちゅぱ…手持ちはちょっと…」口の中で何かを動かしている…
提督「そう…じゃあ口に入っているそれは?」
チコーニャ「えーと、アメ玉れふよぉ……」
提督「ねぇ、チコーニャ…私、そのアメが欲しいのだけど♪」
チコーニャ「ふぇ…っ!?」
提督「開発で体力を使ったから甘い物が欲しくて仕方ないのに、ここにあったお菓子がみんな食べられちゃっているんだもの……ね、いいわよね?」
チコーニャ「でも…ちゅぱ……これ、私の食べかけですよぉ?」
提督「全然かまわないわ…むし歯なんてないでしょう?」
チコーニャ「はい……でも、本当に?」
提督「ええ…ぜひとも私にちょうだいな……♪」
チコーニャ「分かりました…それじゃあ何かお皿を……」
提督「ふふ、直接ちょうだいするから必要ないわ……れろっ…ぬちゅ……あむっ…♪」
チコーニャ「んちゅ…んんっ、ちゅる……ん♪」てろっ…と唾液の糸を引きつつ、大きなガラス玉のようなアメを口移しする……
提督「ちゅぱ…うん、おいひい……♪」
チコーニャ「き、気に入ってもらって何よりです…っ///」
ブリン「……さて、それではいい加減建造に入ってもらおうかな」
提督「ふぁ…い」
提督「…それじゃあ、レバーを引くわね」
ブリン「そうしよう♪」
サイント・ボン「準備は出来ておりますよ」
提督「トーレ(さーん)…ドゥーエ(にーい)…ウーノ(いーち)……建造開始♪」…と、そこにグレイ提督が優雅な足取りで入ってきた
グレイ提督「…あら、ちょうどいいタイミングだったようですね」
提督「グレイ提督…どうなさいました?」
グレイ提督「いえ、わたくしもちょうど報告書を書き終えたところでしたので……よろしかったら少しお話でも致しませんか?」
提督「ええ、いいですよ…お菓子はありませんがアイスティをどうぞ?」
グレイ提督「あら、これは涼しげで結構ですね……ちなみに、アイスティはアメリカ発祥の物なのですよ」
提督「えーと…確か万博か何かの暑い日だったそうですね?」
グレイ提督「ええ、さようです……ふぅ、それにしても南イタリアは色彩が豊かで…素晴らしい保養地ですね」
提督「ふふ、堅苦しい話なんてできなくなるでしょう?」
グレイ提督「ええ。むろんヴァイス中佐は別でしょうが…♪」
提督「そうですね……ところでグレイ提督は映画を見ますか?」
グレイ提督「ええ、多少は見ますよ…何か?」
提督「いえ、毎日午後に流している映画なのですが、せっかくイギリスとドイツからお客様がおいでになったのですから、それぞれの国の映画を流そうと…」
グレイ提督「なるほど、いいですね」
提督「で、せっかくですから「007シリーズ」でも流そうかと…どれがお勧めですか?」
グレイ提督「なるほど…でしたらやっぱり「ドクター・ノー」か「ムーンレイカー」が一番ですわ」
提督「そうですか?」
グレイ提督「ええ…わたくしもシリーズは通して見ておりますが、特に「ドクター・ノー」は数十回ほど見ましたもの」
提督「あー…」(…まさかグレイ提督が007好きとは……これは話が長くなるわね)
グレイ提督「何しろ時代が時代でしょう?…最初は「ボンドカー」に防弾ガラスが付いているだけで大変な仕掛けだったわけですわね、それが次第に水中に潜ったり宇宙に飛び出したりと、どんどんアクションや表現が過剰になっていくわけですわね……と言っても時代を考えると「近未来の装置」やガジェットは大変にリアリティがあってよろしいですし、わたくしはどの作品も面白く拝見させてもらっております…が、やっぱり初期の大きなサイレンサーをつけたワルサーPPKで活躍している頃が最もリアルでそれらしいと、わたくしの『友人』も申しておりましたわ。後はやはり女性の誘惑に弱い所がスパイらしからぬところではありますが、それもまたショーン・コネリーが斜め上を見上げた時に浮かべるあの笑顔があると不思議と許せてしまう物なのですね……ちなみに…」
提督「…あー、はい」
グレイ提督「わたくしの車についてはまだお話しておりませんでしたわね?」
提督「ええ、そう言えばそうでしたね……グレイ提督はやっぱりロールス・ロイスですか?」
グレイ提督「実家は「ロールスロイス・ファントムⅣ」ですわ…とはいえわたくしが自分で運転するのにRRは少しおっくうですし、「ボンドカー」にあこがれたこともあって、気軽に使える「アストン・マーチン・DB4」にしております」
提督「…DB4が気軽に使える車……ですか」
グレイ提督「ええ…だってセバスチャンに……失礼、セバスチャンは実家の執事のことですわ……とにかくセバスチャンに運転をお願いしないで済みますもの」
提督「あー…なるほど」
グレイ提督「ええ、それに当時は免許も取りたてで「自分で運転してみたい」と思っておりましたし…車を走らせるのは楽しいものですわ」
提督「…免許取り立てでアストン・マーチンに……?」
グレイ提督「ええ…幸い父が運転教官を雇って下さいまして、実家の周囲で練習をしたのです……一周ほんの数マイルほどでしたから、乗馬の代わりによく練習したものですわ」
提督「…」
ブリン「…これが「ホンモノのイギリス貴族」というものですな……」
提督「あー…グレイ提督、そろそろ建造が完了しますよ」
グレイ提督「まぁ、それは楽しみですね……ヴァイス中佐にはもう声をおかけしましたの?」
提督「ええ、もうすぐ来ますよ」
ヴァイス提督「…申し訳ありません、遅くなりました」かちっ!…とかかとを鳴らし、滑らかに敬礼する
ビスマルク「遅れて失礼した……が、肝心な所には間に合ったようだな」
ティルピッツ「ええ…大事な場面に間に合ったようで何よりです……」
提督「そうね…さ、こちらへどうぞ♪」
…カウンターの時間がゼロになり、「クローゼット」の中からまばゆい光が射しこむ……やっと目を開けられる程度に光が薄れると、そこには中学生程度の艦娘たちが七人と、その七人よりちょっと大柄で、いささか印象の異なる二人が並んでいる…七人の方は淡い灰色のぴっちりした水着姿で、淡い水色や紫の瞳と艶のある肌が透き通るような美しさだが、中の数人はサッキュバスのような際どい色っぽさを醸し出している……もう二人は文学者か何かのようで、ペンと本を抱えている…
銀白色の髪をした艦娘「ボンジョルノ!……あなたがここの司令官ね?」
提督「ボンジョルノ♪…ええ、私がここの提督。フランチェスカ・カンピオーニ少将よ♪……それじゃあ自己紹介をしてもらえる?」
銀白色の艦娘「了解したわ!……私はアルゴナウタ級中型潜、ネームシップの「アルゴナウタ」よ!…艦名は「アルゴー号の乗組員」って意味ももちろんだけど、イカの一種って意味もあるの。敵の船なんて巻きついて沈めてあげちゃうから♪」…どうやらイカの触腕をイメージしているらしく、左右のこめかみからひと房ずつ髪が長く伸びていて、透明感のある肌はまるで新鮮なヤリイカのように見える……
提督「傑作中型潜「600」型の第一弾ね……お迎え出来て嬉しいわ♪」ちゅっ♪
アルゴナウタ「あんっ…提督はなかなか大胆なのね。唇も柔らかだし、気に入ったわ♪」
提督「ふふ、ありがと…」
淡いスミレ色の髪をした艦娘「…いいですか、提督?」淡いスミレ色の髪がずいぶん長く伸びていて、透明感のある肌は艶やかでみずみずしい…全体的にはかなげな印象で繊細な感じに見える…
提督「ええ、お願い♪」
スミレ色の艦娘「では…私はアルゴナウタ級、「フィザリア」です…一見弱そうに見えるでしょうが、騙されると痛い目に遭いますよ♪」
提督「…なるほど、それで……刺されないように気を付けないといけないわね♪」…フィザリアは猛毒のクラゲ「カツオノエボシ」で、その夢のような美しい外見からは想像できないほど危険だったりする……
フィザリア「ええ…キスしてもいいですけど……毒かもしれませんよ♪」
提督「ふふ、刺さないでね…?」ちゅっ…♪
薄物を羽織っている艦娘「初めまして、提督…アルゴナウタ級、「ジャレア」です…艦名はゼリーだとか、「クラゲ」の事を指していると言われています……」ゆらゆらととらえどころのない雰囲気ではあるが、夢見るような表情は幻想的で美しい…
提督「それでそのシースルーのケープを羽織っているのね?」
ジャレア「はい……それではごあいさつに…ちゅっ♪」
提督「よろしくね、ジャレア…♪」
淡い紫色の瞳をした艦娘「初めまして、アルゴナウタ級の「ジャンティーナ」です……好きなのは海面に漂っていることと、フィザリア(カツオノエボシ)を食べることです…♪」どこかのんびりしたようなとろんとした目つきで、頭には淡い紫のカタツムリのような髪飾りをつけている…
フィザリア「や、止めてよ…恥ずかしいから///」
提督「ふふっ、ジャンティーナだけに…ね♪」…薄紫のカタツムリのような殻を持ち、自分であぶく作って浮きにすると海面をふわふわ漂って、カツオノエボシやクラゲを食べる「ジャンティーナ」(アサガオガイ)…それだけに、よく見ると片手にシャボン玉の入れ物を持っている……
ジャンティーナ「はい…フィザリアは大好きです……♪」
提督「それで…貴女が……っ!?」隣の艦娘と視線が合った瞬間、身体が麻痺したようになる提督……相手の艦娘は何とも美しいが髪を振り乱していて、首元につけた金の蛇をかたどった首飾りに、伸びた爪と紅いルージュがどこかぞっとさせるような毒々しさを含んでいる…
髪の乱れた艦娘「初めましてねぇ…提督さん……アルゴナウタ級の「メドゥーサ」よ…クラゲって言うような意味もあるそうだけど♪」つぅーっ、と提督の頬を指先で撫で上げる…
提督「はぁ…はぁ……んはぁ…」
メドゥーサ「ふふ…石になったりはしないから安心なさいね♪」
提督「くはぁ…はぁ……ふぅ…え、えーと…それで、あなたが……」
透明な感じのする艦娘「アルゴナウタ級、「サルパ」です…クラゲの一種とでも覚えておいてもらえれば大丈夫です♪」
提督「よ、よろしくね…♪」
サルパ「はい♪」
提督「それであなたが……んっ!?」いきなりするりと絡みつかれ、ぐっと抱きしめられる…軽く締め付けられているだけのはずが、しなやかな筋肉質の身体をしていて引き離せない…
しなやかな艦娘「…ふふ、アルゴナウタ級「セルペンテ」……海蛇の事ね。メドゥーサとは似ているけれど、間違えないでね…♪」
提督「だ、大丈夫よ……は、離してもらえるかしら?」
セルペンテ「あら残念…もっとぎゅっとしてあげてもよかったのに……♪」
グレイ提督「…なかなか独特の艦娘たちですこと」
ヴァイス提督「な、何なんだ…この、大きさに似合わぬ妖しい雰囲気は……」
ビスマルク「…イタリアのUボートは……全員こんななのか…?」
ティルピッツ「…あ、姉上…私を守ってください……何とも恐ろしい相手で…」
ビスマルク「…貴様も戦艦だろうに、たかがUボートにおびえることがあるか……全く、鉄血精神が足らんのだ…!」
ティルピッツ「…姉上は動けないでいる時に潜水艦が忍び寄ってくる恐怖を知らないんです……!」
ヴァイス提督「…馬鹿っ、こんなところで恐れをなしていてどうする……私が付いているんだからしっかりしろ…!」
提督「……えーと、それでお二人が…?」
ペンを持っている艦娘「あー…はい。セッテンブリーニ級中型潜、文学者で愛国者の「ルイージ・セッテンブリーニ」です。イタリアに栄光を♪……申し訳ない、ごく普通のあいさつになってしまって…」
提督「あー…いいのよ、それが普通なのだから……とりあえず、これから一緒に頑張りましょうね」
セッテンブリーニ「はい、なにとぞ…///」
提督「ええ。それであなたが…」
豪華なケープをまとった艦娘「…セッテンブリーニ級の二番艦、古い政治家から名前を頂いた「ルッジエーロ・セッティモ」です。よろしく頼みます♪」親しげにニコニコしながら提督の肩を抱いて背中を軽く叩き、左右の頬にキスをする…が、その目は鋭く、権謀術策や暗殺が渦巻いていたイタリアの政治を渡ってきた策略家らしさが見える……
提督「よろしくね、セッティモ…それじゃあ全員お腹が空いているでしょうし、食堂に行きましょうか♪」
アルゴナウタ「それは助かる…何しろ腹ペコだ♪」
メドゥーサ「そうね…♪」
セルペンテ「ふふ、新鮮な魚が食べたいわ…♪」
提督「それじゃあ鯛のカルパッチョか、それともパスタにペスカトーレでも作りましょうか♪」
ジャンティーナ「どちらも美味しそうです…♪」
ブリン「うむ、ここの食事は大変美味しいぞ。保障しよう♪」
ジャンティーナ「えーと…提督のような恰好ですが……貴女は?」
ブリン「これは失礼、本官はブリン級大型潜の「ベネデット・ブリン」…きっと名前は聞いたことがあるでしょう」
ジャンティーナ「あぁ、はい…光栄です♪」
メドゥーサ「…それで、貴女はどなたかしら…ねぇ?」
サイント・ボン「本官はアミラーリオ・ディ・サイント・ボン…商船攻撃用大型潜「アミラーリオ・カーニ」級です」
メドゥーサ「あらぁ…偉大な海相の名前を頂いた艦なのね…ふふ、頼もしいわ……♪」
サイント・ボン「あー…うむ、頼って頂ければ本官も嬉しく思いますよ……」
メドゥーサ「ええ…ぜひそうさせてもらいたいわね……」
………
…艦娘紹介…
潜水艦
中型潜「アルゴナウタ」級。1932~33年生まれ。七隻
イタリア王国海軍の沿岸用中型潜で、排水量は650トン(水上)/800トン(水中)。単殻・サドルタンク式
30年竣工の中型潜「バンディエラ」級や31年竣工の「スクアロ」級などに連続するように建造された中型潜。
一部性能の不満足だった「バンディエラ」級と、その弱点を残していた改正型の「スクアロ」級よりも一回り小型で性能が優れ、カタログ値以外の実績もよかったことから以後の中型潜のモデルタイプになり、戦前に海外への輸出も行われた優秀艦
水上排水量が600トン前後だったことから「600」型と総称され、実用上の改修を次々と加えられていき、最終型の「フルット」級、およびイタリア敗戦で完成しなかった「フルットⅡ」級や「フルットⅢ」級まで計画されるなど実質的な主力潜水艦として扱われ、多くの改修型や準同型を擁する中型潜シリーズとなった
主機は1200馬力/800馬力で、速度は14ノット/8ノット…武装は533ミリ魚雷発射管4門(艦首)/2門(艦尾)と、102ミリ単装砲一基、13.2ミリ・ブレダ単装機銃2基といたって平凡
…性能もなかなかで大型潜に比べ燃料消費も少なかったことから地中海での激戦に次々と投入され、43年の休戦時に残っていたのは「ジャレア」「セルペンテ」だけ…さらに「セルペンテ」はドイツ側に渡すまいと乗員が自沈させたので、戦後まで残ったのは48年除籍の「ジャレア」だけだった
艦名はいずれも海の生き物で、特に「クラゲ」や「イカ」「海蛇」など魚以外の物が多い
…艦娘の「アルゴナウタ」級は中学生程度の小ぶりな艦娘で、クラゲに関係する名前が多いせいか気ままでゆったりとしている娘が多い…が、毒のある「フィザリア」(カツオノエボシ)や「メドゥーサ」(美しさが女神に勝るとあざけり、呪われて髪が蛇になってしまった三人姉妹の妖女。唯一殺せる末妹メドゥーサは退治された)など恐ろしい名前の艦娘もちらほら……可愛い娘とあなどると、提督でさえ容赦なく餌食にされてしまうかも…
………
中型潜「セッテンブリーニ」級。1932年生まれ。二隻
1929年に単殻・サドルタンク式の「ピサニ」級と性能比較のため建造された部分複殻の「マメリ」級の改型。938トン/1135トン、部分複殻式
…1929年以来、性能そのものは「マメリ」級の方が優れていたにもかかわらずなぜか「ピサニ」級系統の潜水艦が建造されていたが、ここに来てなぜか二隻だけ「マメリ」級系統の設計を受け継いで建造された中型潜。性能は「よくなっていた」と言うが、そこまでの進歩は見られないとも…特に凌波性や復原力に難ありだったという
中型潜にしては1000トン前後とかなり排水量があり、主機も3000/1400馬力で、速度17.5ノット/7.7ノットと、カタログ値ながら水上ではかなり優速。武装も533ミリ魚雷発射管4門(艦首)/4門(艦尾)、102ミリ単装砲一基、13.2ミリ単装機銃二基と豊富ではある
二隻とも43年の休戦まで健在で、連合軍側に付いてからは米海軍の対潜訓練用として仮想敵を務めていたが、一番艦「ルイージ・セッテンブリーニ」は44年11月、訓練相手の米護衛駆逐艦に誤って衝突され沈没。幸い二番艦「ルッジェーロ・セッティモ」は47年の除籍まで無事に過ごした
艦名は一番艦が文学者で愛国者の「ルイージ・セッテンブリーニ」二番艦が中世の政治家「ルッジェーロ・セッティモ」から
…艦娘「セッテンブリーニ」級はごくごく普通の文学娘の「セッテンブリーニ」と、深慮遠謀をめぐらせている「セッティモ」の二人で、中型潜にしては意外と大柄……
…食後…
セッテンブリーニ「…うーん、このワインの紅の何と美しいこと……夕日かルビーか、はたまたアンタレスのきらめきか…♪」(※アンタレス…戦の神「アレスに対抗する者」さそり座の主星で火星(アレス)と同じく紅いことから)
提督「ふふ、さすが文学者。言うことがお洒落ね」
ポーラ「それでしたらポーラも……一杯ワインを傾ければぁ~、それは暖かなぬくもり…ぃ♪」くぃ…っ♪
提督「…なら、二杯傾けたら?」
ポーラ「それはぁ、生きている喜び~…えへへぇ♪」くーっ…♪
提督「ふむふむ…じゃあ三杯目は?」
ポーラ「それはぁ…幸せぇ~…♪」きゅーっ…♪
提督「なるほど…四杯目は?」
ポーラ「それはぁ、ふわふわと夢心地~♪」こくん…っ♪
提督「なかなか上手ね…それじゃあ……」
ザラ「提督、あんまり飲ませないで…ポーラがうまいことを言うたびに飲ませてたら酩酊待ったなしよ?」
ポーラ「えへへぇ…ばれちゃいましたかぁ~♪」
提督「ふふ、いいから好きなだけ飲みなさいな♪…ポーラが自分の限度をわきまえているのは知っているもの」
ザラ「ちょっと、提督…っ!」
提督「ふふ、それと私も一杯もらおうかしら…♪」
ポーラ「はぁ~い、どうぞ~♪」
カヴール「ふふ、いっぱい食べたり飲んだりできる…何とも素晴らしい時代です」
提督「そうね……ところでみんな、少しだけいいかしら?」
カヴール「…あら」
ライモン「…なんでしょうか?」
提督「えーと……実はひと月以上も先の話なんだけれども、ここの基地祭があります……で、よかったら何か出し物や屋台のアイデアを考えて欲しいの♪」と、同時に全員が「わいわいがやがや」と一斉にしゃべり始める…
ヴァイス提督「…食事の席で意見を募るとはイタリアらしいな…私の所だったら一人づつ順番に直立不動で発表させるところだ」
ビスマルク「……全く。それに一斉にしゃべってやかましいことこの上ない…」
ダ・ヴィンチ「ふむふむ…基地祭なら、このレオナルド・ダ・ヴィンチが得意の発明で何か……」
グリエルモ・マルコーニ「よしなさいって…この間も全自動……なんだっけ?」
ダ・ヴィンチ「全自動パスタ茹で機ね…あれはちょっと失敗だったわ」
マルコーニ「ほら見なさい…まったくダ・ヴィンチったら……トン・ツー・トトト・トントン……」無線電信の生みの親だけあって、指で机を叩きはじめる…
ダ・ヴィンチ「む、この私に向かって「ヘボ発明家」とはおっしゃってくれるわね」
提督「はいはい、喧嘩はしない…それで、何か素敵なアイデアのある娘はいる?」メモ帳を机に置いてペンを手に取った…
チェザーレ「とりあえず艦隊の活動を簡潔な文章にすればよいのではないか?…チェザーレもかつてそうしたように」
提督「まるでガリア戦記ね…他に?」
ローマ「ローマ風ピッツァの屋台と言うのはいかがでしょう?」まだ眼鏡の度を直していないので目を細め、それがつんとした表情に見えるローマ…
提督「なるほど♪」
ドリア「でしたら私もお料理の屋台を開きましょう…美味しいものを作りますよ♪」
提督「ふふ、ここには料理上手が多いからお料理の屋台は多そうね……屋台以外で何かあるかしら?」
デルフィーノ「あの…オペラや歌劇なんてどうでしょうか?」
提督「なるほど…いいかもしれないわね♪」
フルット「でしたら歌祭りなどと言うのもよろしいのでは…?」
提督「了解、書き留めたわ…後で思いついた娘がいたら、私に教えてね……以上♪」
グレイ提督「…基地祭ですか……ジブラルタルでも何度か行いましたが、存外面白いものですよ?」
提督「そう聞いています…でも、見る側は経験がありますが実行するのは初めてなので……」
グレイ提督「…よろしければ私もお手伝いして差し上げますわ」
グレイ提督の隠れSを期待してます
>>150 むむむ、先読みされてしまいましたね…明日以降にまた投下していきますが、イギリスには犬の着ぐるみを着てリードを付けてもらい散歩するストレス解消法があるなど「様々な嗜好」の方がいるそうなので、きっとグレイ提督も何かあるでしょう……
ちなみに次こそ百合姫提督の所が出てきます…提督が基地祭の出し物についてアドバイスを受けるためですが、それにかこつけて百合姫提督と日本の艦娘たちの和気あいあいとしたところを少し書こうかと……
…午後・執務室…
提督「むぅ…」各艦種から数人づつ代表に来てもらってあれこれとアイデアを出し合う提督……執務机には大きな紙に色々なアイデアやスケッチが書かれている…
ライモン「…ずいぶんと悩んでおられますね、提督?」
提督「ええ、だってここで初めての基地祭だもの…もちろん、私にとってもね♪」
カヴール「それで、どの案を採用します?」
提督「まぁ、いくつかできそうな物があるわね……とりあえずみんなの得意な各地の料理や飲み物の屋台をいくつか出して「イタリア料理全国ツアー」と、ステージを作ってやるような歌劇や歌、ちょっとした喜劇みたいな軽い出し物……あとは「お堅い」展示としてイタリア艦隊のあれこれをパネルにしたり、アヴィエーレがこれまで作ったプラモデルをケースに入れて展示しようかなー…って言ったところかしら」
ルイージ・トレーリ(マルコーニ級大型潜)「なるほど…いいと思いますよ。よかったら私も「日本つながり」で、ちょっとした和食でも作ってみましょうか?」…イタリア潜として輸送任務に就き、見事に神戸へと到着するも、数奇な運命で伊・独・日と所属を変えた大型潜「ルイージ・トレーリ」…そのせいもあってか物事の調整が上手で三カ国語を流暢に操り、その上優しげな顔立ちとメリハリの効いた抜群のスタイルを持っている…髪にはトレードマークとして日本らしい銀とヒスイの髪飾りをつけている…
提督「なるほど、いいかも知れないわ。ドイツ料理はさておき「和食を食べてみたい」っていう人は多いでしょうけど、ここみたいな田舎ではなかなかその機会もないものね」
トレーリ「ええ、お魚は手ごろな値段で手に入るわけですし……たとえばお寿司の屋台とか♪」
提督「お寿司ね。でも暑い盛りに生魚だと痛むかも知れないわね…」
トレーリ「確かにそうですね…それならかき氷なんてどうでしょう?かき氷ならかき氷機もあるわけですし、食料庫の冷凍室に氷をうんと作っておけばいいですもんね?」
提督「ふふ、なるほどね…ザラはどう?」
ザラ「そうねぇ…今の所どれも納得のいくアイデアだと思うわ。むしろ歌劇は何をやろうかしら♪」
アルフレド・オリアーニ(オリアーニ級駆逐艦)「そうね…やっぱり「ロメオとジュリエッタ」とかじゃない?」
ガッビアーノ(ガッビアーノ級コルヴェット)「なら提督がロメオで決まりかな…」
カヴール「でしたら私がジュリエッタを…と言いたいところですが、私はおばあさんなのでおしゃべりな「ジュリエッタの乳母」でいいですよ♪」
ライモン「…な、ならわたしは……いえ、何でもないです///」
提督「はいはい、脱線しないの…それより本当に、予定はこれだけでいいものかしら……」
ガリバルディ「ふふ…ねぇ提督?」
提督「なぁに、ガリバルディ?」
ガリバルディ「提督の手元にあるその電話とコンピューターは何のためにあるのかしら…日本の百合姫提督やアメリカのミッチャー提督、ことによってはフランスのエクレール提督に聞いてみればいいじゃない♪」
提督「あー、その手があったわね…それに姫なら交換プログラムの後半で「ヴェネツィア第三」にいるから時差もないわ……それじゃあさっそくかけてみましょうか♪」電話帳と受話器を取り上げ、番号を探す…
ガリバルディ「ええ、それがいいんじゃない?」
シロッコ(マエストラーレ級駆逐艦)「…それじゃあ私が「歴史の立会人」になってあげる♪」
提督「ふふ、そんな大げさな……もしもし、ヴェネツィア第三ですか?…こちらはタラント第六司令官のカンピオーニですが……ふふ、こんにちは♪」
ライモン「…お知り合いの方ですか?」
提督「ええ。ヴェネツィア第三は「シモネッタ大佐」って言う、年上好みの私と違ってぺったんこな幼女が好きな………はーい、そっちは艦娘の娘とうまく行っている?…そう、それは何よりね♪……ところでそちらを訪問中の百合野准将を……ええ、お願い♪」
カヴール「百合野提督はいらっしゃいました?」
提督「ええ、すぐ出ますって♪」
…アドリア海管区・ヴェネツィア第三鎮守府…
シモネッタ大佐「…はいはい、ちょっと待ってね……リベッチオ、ちょっと私から降りて?」…制服のワイシャツだけでベッドに寝転がっていたが、片手を伸ばして電話を保留にした……それから胸元に抱きついている褐色の艦娘「リベッチオ」に声をかける…
リベッチオ(ヴェネツィア第三)「やーだ、提督と一緒にいるのぉ……♪」
シモネッタ「んふふ…そう言うわがままを言うとまたまたイかせちゃうわよ…いいの?」
リベッチオ「ふふーんだ…いいよ、むしろごほうびだもんっ♪」
シモネッタ「もう、仕方ないわね…じゃあパンテーラ、ちょっと百合野准将を呼んできて?」
パンテーラ(レオーネ級駆逐艦・ヴェネツィア第三)「いやよ、ずっと提督の脚にすりすりしてたいもの♪」
シモネッタ「でもこれじゃあ百合野准将を呼べないじゃない…あぁ、もう仕方ない♪」電話を内線に切り替え百合姫提督に電話を取るように頼む…それが済むと受話器を置き、また駆逐艦たちとたわむれはじめた…
リベッチオ「ねぇ提督ぅ?」
シモネッタ「うーん、どうしたの…?」
リベッチオ「今の電話はお友達からの?」
シモネッタ「ええ、いいお友達からよ…「母親みたいな年をした胸の大きい人が好き」って言うのがたまにキズだけどね♪」
………
…ヴェネツィア第三・百合姫提督の客室…
百合姫提督「もしもし、お電話かわりました…あら、フランチェスカ♪」隣にいる随伴艦の「足柄」と「龍田」のためにスピーカーへ切り替える
提督「…こんにちは、姫♪」
百合姫提督「ええ、こんにちは…お電話をくれて嬉しいわ、足柄と龍田も一緒よ♪」
提督「ふふ、そんなことを言ったって先週も電話をしたじゃない♪…それと、こんにちは足柄、龍田♪」
足柄「ええ、こんにちは…相変わらず元気そうね?」
龍田「うふふ、あんまり鎮守府の艦娘と「演習」ばっかりしちゃだめよぉ?」
提督「ええ、一日一回くらいだから安心して?」
龍田「十分すぎるわねぇ……とにかく提督に用事なのよねぇ、どうぞ?」
提督「ありがと。まずは姫の声が聞けて嬉しいわ……お邪魔じゃなかったかしら?」
百合姫提督「ふふ、フランチェスカからの電話ならいつだって大丈夫よ…それで、今日はどんなお話があるのかしら?」
提督「ふふ…今日は私じゃなくて、姫に聞きたいことがあって電話をしたの♪」
百合姫提督「…私に?」
提督「そうなの……姫は大尉になってからずっと、各地の鎮守府で司令官をしていたわよね?」
百合姫提督「ええ…最初は駆逐隊司令から始まって、呉、舞鶴、佐世保、館山、新発田……だいたいの鎮守府は巡ってきたと思うわ」
提督「ならちょうどいいわ…日本の鎮守府には「基地祭」みたいなイベントはあった?」
百合姫提督「ええ、たいていあったわ…それがどうかした?」
提督「……実を言うと…」
………
…
百合姫提督「…なるほど、それでどういう出し物があればいいか困っているわけね?」
提督「ええ。何しろアイデアはたくさんあるのだけど、準備や予算の都合もあるし…どんな催しものがいいか教えてもらえる?」
百合姫提督「分かったわ、それじゃあ一番最近やった横須賀での話をするけれど……それでいいかしら?」
提督「ええ、お願い♪」
百合姫提督「はいはい…それじゃあ足柄と龍田も付けたしがあったら言ってね♪」
足柄「了解」
龍田「ふふ、分かったわぁ…♪」
………
…一年前・横須賀第二鎮守府「基地祭」にて…
百合姫提督「ふふ…今年も大盛況ね?」
足柄「ええ、そうね……もっとも今日は連休だし、提督は顔も可愛いから広報受けがいいんじゃないかしら?」
百合姫提督「ふふ、別に顔で艦隊運営するわけじゃないのにね?」
足柄「とは言ってもそこはやっぱり写真写りのいい美人や二枚目の提督さんじゃないと、候補生の募集にも差し支えるってものよ……で、出し物の具合はどうなのかしらね?」
百合姫提督「んー…みんな上手く切り盛りしているみたいだけど、よかったら二人で巡ってみましょうか♪」にっこりと微笑む百合姫提督…
足柄「そ、そうね……あー、えーと…その、混みあっているから……手をつないだ方がいいんじゃないかしら///」
百合姫提督「ええ、そうしましょう♪」
足柄「///」
百合姫提督「…受付ご苦労さまです」丁寧に受付兼荷物チェックの警務隊に挨拶する……入り口の門にはにぎにぎしく紙の花やリボンが飾ってあり「横須賀第二鎮守府」の看板の脇には「横須賀第二鎮守府『横二祭』」と看板が立ててある…
警務隊「は、わざわざご足労いただき感謝いたします!」長机を両側に置き、そこで手荷物を開けてもらってチェックをする警務隊…
百合姫提督「いえいえ…人出はどうですか?」
警務隊「それはもう芋を洗うようで……今日の「横二祭」には何でも人気の声優さんだかが来るそうですし、もう大変ですよ」
百合姫提督「そうですね…終わったら詰所の冷蔵庫にお茶を買っておきましたので」
警務隊「は、助かります……はい、二列に並んで!手荷物のチャックは先に開けておいて下さい!」
百合姫提督「…それじゃあ行きましょうか♪」
足柄「ええ」
…鎮守府・構内…
百合姫提督「雪風、売れ行きはどう?」
…構内には道路に沿って十数軒の屋台が並んでいて、近隣住民や観光客、海自関係者、地方新聞や広報部の記者、それに「艦娘友の会」の花飾りを付けた会員などがひしめき合っている……くじで決めた屋台の順番で入り口すぐにあったのは「雪風のかき氷」で、暑い中やってきた上に、入り口でずいぶん待たされる来客を相手に飛ぶように売れている……
雪風「それはもう大変です…幸い扇風機はありますから熱中症にはならないでしょうけど……はい、いらっしゃい♪」
百合姫提督「…大変な人気ね♪」
足柄「何しろ暑いもの……アスファルトの照り返しで焦げ付きそうよ」
百合姫提督「一個買ってあげましょうか?」
足柄「わざわざ混んでいる所で買わなくても、向こうにもかき氷の屋台はあるじゃない…でしょ?」
百合姫提督「それもそうね……あ、ここは吹雪の屋台ね」
吹雪「…あ、二人ともよかったら一つどうぞ、蒸したてですよ♪…もっとも、こんなに暑い日だと知っていたらやらなかったですが…ふぅー、暑い……」駆逐艦「吹雪」の屋台は名前にかけた「吹雪まんじゅう」で、ふっくらと蒸し上がった生地から透ける、こしあんたっぷりの吹雪饅頭がせいろに並んでいる……が、暑い最中に蒸し物をしているせいで汗だくになり、扇風機の風に加えてばたばたとうちわで扇いでいる…
足柄「弱音を吐かないの…フィリッピンに比べたら大したことないでしょうが?」(※フィリッピン…比島。「フィリピン」ではない所がミソ)
吹雪「それはそうですが…機関科の苦労が身に染みますね……はい、どうぞ」
足柄「あら、ありがと…あつっ!…はむっ、はふっ、んむ……砂糖を「おごった」わね、とっても甘くて美味しいわよ?」
吹雪「ふふ、気に入ってもらって何よりです……いらっしゃいませー!」
百合姫提督「ふふ、一口ちょうだい…?」
足柄「それじゃあ…はい♪」ふわりと饅頭を割って、ほかほかと湯気を立てる半分を渡す…
百合姫提督「ふふ、ありがとう…では、いただきます……あ、美味しい♪」
足柄「そうね…提督、ここは混みあっているからもうちょっと奥に行きましょう?」
百合姫提督「ええ…♪」
足柄「ふー…ようやく人ごみを抜けられたわね……大丈夫?」
百合姫提督「ええ、おかげさまで…足柄はエスコートが上手なのね♪」
足柄「よ、止してよ…ほら、かき氷でさっぱりさせましょう?」
赤城「あら、いらっしゃい…仲良く見回りですか?」
足柄「…っ///」
百合姫提督「ええ…売れ行きはどう?」
赤城「おかげ様で上々です…ね♪」
時雨「うん、赤城がかき氷機を回してくれるおかげで助かってるの……提督もいかが…?」
…のぼりには「かき氷」とあり、イチゴ味の「赤城しぐれ」を売っている……なぜか横ではおつまみに良さそうな「牛の時雨煮」のパックと、酢醤油か辛子味噌でいただく「刺身こんにゃく」まで売っているが、そこは「時雨煮」の「時雨」と、こんにゃくの産地である群馬の名峰から名前を取った「赤城」なので仕方がない…
百合姫提督「ありがとう、それじゃあ三百円…♪」
時雨「毎度あり……それにしても…」
百合姫提督「ん?」
時雨「いや、三百円ねぇ……昔だったら三百円で料亭を貸し切りにしてどんちゃん出来たろうなー…って思って…」
足柄「あー…分かるわね、それ……」
赤城「…うんと美味しいお酒と天ぷら…それにきれいどころの芸者をあげて…ですね♪」
百合姫提督「うーん…三百円で料亭は無理だから、後でサイダーでも買ってあげる」
時雨「ふふ、ありがと……それじゃあまた後でね…」
百合姫提督「ええ…♪」
足柄「……ねぇ提督、何だかすごく美味しそうな匂いがしない?」
百合姫提督「…確かにするわね、行ってみましょうか……」
龍田「…はーい、いらっしゃーい」海軍独特の「ねずみ色」をしたエプロンをかけ、じりじりと熱気の立ちのぼる揚げ鍋の前に立っている…姉の「天龍」も手を貸していて、注文を受けると手早く会計を済ませている…
足柄「道理で…竜田揚げの屋台だったのね……美味しそうじゃない♪」
龍田「ふふっ、とっても美味しいわよぉ…おひとついかが?」…竜田揚げの語源になったとも言われる軽巡「龍田」の竜田揚げは衣に使う小麦粉を切らした司厨長の苦肉の策とも言われる…が、からりと揚がったそれはいかにも美味しそうにぷちぷちいっている……
足柄「それじゃあおひとつ…って、何よこれ……」一口大に切った普通の竜田揚げが入っている透明なパック…の脇に、モモ肉一枚を丸ごと使った竜田揚げが数枚入った、特大のパックが鎮座している……
天龍「あぁ、それ?」
足柄「ええ…すっごい大きさだけど……」
天龍「それはうちらの排水量にちなんで3500トン…は無理だから、3500グラムの竜田揚げ……どう、よかったら買って行かないか?」
足柄「そんなの食べたら胃がもたれてしょうがないわよ…普通のをもらうわ」
天龍「毎度ありぃ…またどうぞ♪」
百合姫提督「じゃあそれはお昼に食べましょうか……あ、ここは最上の屋台ね♪」
最上「提督、来てくれたんだ…嬉しいな♪」
…重巡「最上」は駆逐艦「五月雨」と一緒に「最上の最中」とだじゃれのようなのぼりをたてて最中(もなか)を売っている……改修前は少し頭が重くバランスの悪かった「最上」ではあるが、俳句の「五月雨を集めて早し最上川」と詠まれたこともあって、鎮守府では風流で通っている…
百合姫提督「…ええ、せっかくだから一つ下さいな♪」
五月雨「はいどうぞ…足柄さんと仲良く分けて下さいね♪」
百合姫提督「ふふ、ありがと……この後はどうしましょうか?」
足柄「うーん……中は冷房が入っているから涼しいだろうし、残りの屋台は午後に回ることにして涼みましょうよ?」
百合姫提督「ええ…それもそうね♪」
………
百合姫提督「…ふぅ、やっぱり中は涼しいわ」
…鎮守府の一部はエアコンを効かせ、涼みがてら入場できるように開放してある……その上であちこちに「横須賀のこれまで」や「横須賀第二鎮守府の歩み」と言ったパネル展示と、ガラスケースに納められた古い軍旗や写真と言った骨董品、それと海を模した青いプラ板の上に「横須賀第二鎮守府」所属艦艇を揃えたウォーターラインの艦船模型コレクションが並んでいる…
足柄「ええ、そうね…そう言えば中でも催し物があったわよね?」
百合姫提督「ええ、よかったら見ていきましょうか?」
足柄「そうするわ」
那智「……あら、提督に足柄も」涼しい部屋では折り目正しく浅葱色の着物をまとい、ちょっとした雑談を交えながらパチリと碁を打つ重巡「那智」がいた…相手は来場者のお爺さんで、その周りにはやいのやいのと指図したりあれこれ戦法を教えている数人の野次馬がいる……何しろ「那智黒」と言えば碁石として有名で、鎮守府一の棋士でもある「那智」だけに、お爺さんたちは旗色が悪い…
お爺さん「うむむ…なぁ、どう思うね?」隣にいる白髪のお爺さんに助けを求める
白髪のお爺さん「あーん、こりゃ難しいな…」
那智「……ごゆっくりどうぞ。提督は見回りですか?」
百合姫提督「ええ…そっちはどう?」
那智「五分五分ですよ……さっきは小学生と一局していました。おしゃべりも交えて気軽に対局してますよ」
百合姫提督「そう、それじゃあ頑張ってね…対局中に失礼しました」お爺さんたちに一礼してその場を後にする…
足柄「和やかで何よりね……こっちは潜水艦の出し物ね」
百合姫提督「じゃあ寄っていきましょう」
伊一六八(海大6a型・旧「伊六八」潜)「あ…提督、来てくれたんですね。忙しいでしょうけど楽しんでます?」室内には墨色も淡い仮名文字で書かれた和歌や俳句が飾ってある…
百合姫提督「ええ、おかげさまで…「いろは」はどう?」(※「いろは」…百合姫提督が「伊一六八潜」につけた通称。168の番号から「いろは」)
伊一六八「楽しんでます…昔の「かな」を読もうって言う企画を「伊二三」とやってるんですよ♪」
百合姫提督「うんうん、そうだったわね…「ふみ」はどう、上手く行ってる?」(※「ふみ」…同じく百合姫提督のつけたあだ名、艦番号の23から「ふみ」)
伊二三(伊一五型)「おかげ様で、結構人も来てくれたの…後は午後まで休憩♪」大型で水偵搭載機能を持っていた伊一五型(乙型)の「伊二三」潜が椅子に座ると扇子を取り出し、心地よさ気に目を細めて扇いだ…
百合姫提督「そう、いいわね…ところで足柄?」
足柄「うん?」
百合姫提督「……少しお腹も空いてきたし、もう一度表に出て何か買いましょう?」
足柄「分かったわ…正直出たくはないけれどね」
伊一六八「それじゃあまた後で」
百合姫提督「ええ…またね♪」
…鎮守府・屋台村…
足柄「うぇ、やっぱり暑いわね……手早く食べ物を買って室内に撤収しましょう?」
百合姫提督「ええ…それじゃあ二人で手分けして……あら、利根の屋台があるわね♪」
利根「はい、らっしゃい!…提督もよかったら利根の太巻き寿司を買ってく?」…日本三大暴れ川の「坂東太郎」だけあって威勢のいい重巡「利根」は着流しに鉢巻き姿で、桜でんぶやかんぴょうを巻いて花柄に仕上げる千葉県名物「太巻き寿司」を売っている……
百合姫提督「ええ、おひとつ下さいな♪」
利根「あいよ、毎度ありぃ!」
足柄「…じゃあ私も……ねえ高雄、それって焼きそば?」
高雄「ううん、「高雄」だけに台湾ビーフンなんだけど…どう?」
足柄「もらうわ…それにしてもこういうのを見ると南支方面を思い出すわよ……」
高雄「まぁまぁ、しみじみしちゃって…♪」
百合姫提督「あら、甘酒ね…二杯ちょうだい?」
酒匂「はぁーい……ひっく…♪」軽巡「阿賀野」型の「酒匂」はたちこめる酒気でほろ酔い状態になりながら甘酒を売っている…
足柄「お昼は買えたわ…さ、座れる場所を探しましょう♪」
百合姫提督「ええ…それじゃあみんなも無理せずに、休憩しながらお店をやってね?」
………
百合姫提督「…と、いう訳でたいていは食べ物や飲み物の屋台だったわ……後は割り箸鉄砲で射的とかも♪」
提督「……割り箸鉄砲?」
百合姫提督「あー…えーと、割り箸を輪ゴムで銃の形に組み立てて…引き金に当たる部分に挟んだ短い割り箸の棒と、先端に付けた刻みに弾の輪ゴムを引っかけて……」
提督「えーと…つまり昔のクロスボウ(弩)みたいな形で打ち出すの?」
百合姫提督「だいたいそう言う感じね…もっとも、引っ張られるのは「弾」にあたる輪ゴムの方だけど…」
提督「うんうん…それで?」
百合姫提督「ええ、それでね…」
………
…
百合姫提督「ふー…美味しかったわね」
足柄「ええ、ちょっとまだ物足りないけど…あれだけ混んでいるんだから、そう文句をいっちゃあいけないわよね」
百合姫提督「それにしても……太巻きに五目ビーフンに…」
足柄「行列が途切れていたから買えた「明石」のタコ焼き…明石ときたら相変わらず駆逐艦から重巡まで何人もはべらせて、満面の笑みでにやけてたわ……」
百合姫提督「工作艦だけにお世話になった娘も多いもの、仕方ないわ…確かに嬉しそうだったけれどね」
足柄「でしょう、あの女ったらしには参るわ……で、後はライスカレー…と言いたかったんだけどね」
百合姫提督「みんな考えることは同じね…もしお祭りが終わって残ってたらいただきましょう♪」
足柄「まぁ良いわ…どうせ土曜日…いえ、最近は金曜だったわね……じゃないし、カレーの気分じゃないわ」
百合姫提督「ふふ、負け惜しみを言っちゃって…♪」
足柄「別に負け惜しみじゃないわよ…それに私だってカレーには一家言あるんだもの、わざわざ誰かのを食べなくたっていいわ」
百合姫提督「ふふ…それじゃあもう少し見まわりをして、それから私は本部に戻るわ♪」
足柄「了解」
百合姫提督「……で、ここは射的なのね?」
秋月「はい、秋月型だから対空戦…という訳ではないですが、ゴム鉄砲を撃って、天井につるしてある的が落ちて来れば景品がもらえますよ」
百合姫提督「それにしても…射的「小園中佐の射撃場」……「目指せ黒鳥少尉!」ね」
(※小園安名…斜め銃の生みの親。最初は使いどころのなかった「月光」を有効活用するために発案したが、最後は単発の局地戦闘機「雷電」など、B-29の飛行高度まで届かないありとあらゆる機体に斜め銃を積ませるなどいささか過度な斜め銃信奉者に……黒鳥少尉は「月光」のエース。当時にありがちな大本営の水増し発表ではっきりしないが、9機前後のB-29を撃墜・撃破している)
秋月「よかったらどうですか?」
足柄「やっていきなさいよ、提督…腕の冴えに期待しているわ♪」
百合姫提督「ふふ、じゃあ頑張ってみます……えい!」パチン…ッ!
秋月「んー、惜しいですね…まぁ、弾は十発ありますから頑張って♪」夏季制服に身を包んだ百合姫提督が真剣な表情でゴム鉄砲を次々に撃つ…
百合姫提督「……んー…やっ!」
秋月「…おー、最後の一発で見事射止めましたね…はい、どうぞ♪」
百合姫提督「ええ、ありがとう…♪」駄菓子の袋をもらってどこか満足げな百合姫提督…
足柄「それじゃあ本部はこっちよね…また後で……」
百合姫提督「ねぇ足柄、せっかくだからあれもやっていきましょうよ♪」…視線の先には「二式大艇揚収ごっこ」とある
足柄「あー、はいはい…秋津洲、提督がやりたいそうよ」
秋津洲「はい、分かりました…やり方はいわゆるヨーヨーすくいと同じです。まずは私がやってみせましょう」…旧海軍では珍しく複雑な迷彩を施し、砲術に詳しかった艦長が独自に編み出した回避運動で度重なる空襲を幾度もかわし、長く飛行艇乗りたちの「憩いのフネ」だった水上機母艦「秋津洲」(あきつしま)…その秋津洲がデリックにそっくりな割り箸で器用に二式大艇……の代わりを務めるヨーヨーをすくい上げる
百合姫提督「まぁ、上手ね」
秋津洲「何しろ一個も揚収できない方もいるので、お手本を見せてあげないと……では、どうぞやってみて下さい」
百合姫提督「ええ、よいしょ……あ、上手く取れたわ♪」
足柄「全く…なんのかのですっかり満喫してるわね」
………
…
百合姫提督「と言うような感じだったの…大変だったけど結構面白かったわ♪」
足柄「ほんと、大変だったわよ……迷子が出たりしてね」
龍田「よりにもよって「金剛」が当番の時に本営にきちゃったのよねぇ……」
提督「金剛って巡洋戦艦……あー、それとも高速戦艦…よね?何か悪いことがあるの?」
百合姫提督「あー…うん、他の鎮守府にいる「金剛」は別に普通の戦艦なんだけど……うちの金剛は…」
………
…鎮守府本営…
大淀「提督、戻られました!」
百合姫提督「ええ、戻ったわ…何も問題はない?」
大淀「え、えぇーと……それが…迷子のお子さんが一人……警務隊にも親御さんの捜索を要請済です…」
百合姫提督「なら見つかるまで迷子係の娘にあやしてもらって…どうしたの、複雑そうな顔をして?」
大淀「それが…松型の「松」や「梅」だったらよかったのですが、さっき交代してしまいまして…」
百合姫提督「それじゃあ、今は誰が?」
大淀「……山城と金剛です」
百合姫提督「…すぐ様子を見てきます」
…迷子預かり所…
百合姫提督「失礼するわね…金剛、迷子の様子は……」
迷子「うわぁぁぁ…ん!!」泣きわめきながら百合姫提督のもとに飛び込んでくる、小学生くらいの女の子……
百合姫提督「きゃ…っ!?」
金剛「大丈夫、お姉ちゃんは怖くなんかないですよ……ぅ♪」長い黒髪はねじれて胸元に絡みつき、銀の蛇がのたうつ模様の着物に、真っ赤なルージュを引いた唇をわずかに持ち上げた微笑み…
百合姫提督「金剛、こんな小さい女の子を泣かせちゃあだめでしょう?」
金剛「別に泣かせるつもりなんてないですよ……ほぉら、お姉ちゃんと一緒に仲良く遊びましょ…♪」するりと細い指で子供の涙をすくい上げる…その手つきがまた鬼気迫るものがあり、女の子の背筋が凍りつく…
迷子「ふわぁぁ…あぁぁん!!」
百合姫提督「その笑い方は怖すぎるわよ…まるで「シャイニング」じゃない……もう一人は?」
山城「お呼びですか、提督…さっきからあやしてあげているのにちっとも泣き止んでくれなくて……はぁ、最近の子供はこらえ性がないですね」…側頭部に般若の面をつけ、白い八重歯もぎらりと鋭い戦艦「山城」……泣く子も黙る「鬼の山城」「蛇(じゃ)の金剛」が揃い踏みをしていて、女の子はすっかり震え上がっている…
(※「鬼の山城、蛇の金剛」…旧海軍で一番しごきが厳しかったと言われる艦。他にも「長門」「霧島」などで言われることも)
百合姫提督「あぁ…もう、二人とも本営の方をお願い……大丈夫?」
迷子「うえぇぇ…ひぐっ…ぐすっ……」
百合姫提督「だいじょうぶ、あのお姉ちゃんもいい人たちだから怖くないわ……ね?」
迷子「…うん……ぐすっ…」
百合姫提督「……大淀、誰か駆逐艦あたりで手すきの娘がいないかしら…大きい艦娘より、やっぱり年恰好が近い方が安心すると思うの」
大淀「了解、放送をかけますね…」
金剛「おばあちゃん呼ばわりはやめてほしいですね…この輝くような私に!」入り口から笑顔をのぞかせる金剛(※金剛石…ダイアモンド)
迷子「ひっ……わぁぁ…ん!!」
百合姫提督「ほら、また…分かったから向こうの当番をお願い」
金剛「むぅ…あれが子供でなきゃお尻に精神棒なのにね、まったく……そうよねぇ、山城…?」
山城「全く、失礼してくれますよね…誰もかれも揃って「鬼」だの「般若」だの「夜叉」だの「羅刹」だの……ぶつぶつ…」
………
提督「その女の子は災難だったわね」
百合姫提督「ええ…ともかく、基地祭は屋台みたいな出し物を中心に、舞台で歌舞伎をやったり……」
提督「…歌舞伎ね、いかにも日本らしいわね」
百合姫提督「何しろ艦娘の娘たちにとっては昔の物の方がなじみ深いものね…おかげで歌舞伎や落語、川柳や狂歌にはうんと詳しくなったわ」(※狂歌…五・七・五・七・七で詠む面白おかしい句)
提督「なるほど…ありがとう、色々参考になったわ♪」
百合姫提督「いえいえ、こちらこそお役にたててうれしいわ。それじゃあね」
提督「ええ、またね♪」
ライモン「……なるほど、屋台に出し物に…展示もあるのですね」
カヴール「せっかくですしオペラはやりましょう♪」
オリアーニ「ええ、賛成!」
提督「それじゃあ……後は夕食の後でグレイ提督にも聞いてみましょう♪」
ライモン「はい」
カヴール「それではいったん解散です…みんな、お疲れさま♪」
オリアーニ「じゃあ駆逐艦のみんなには話を通しておくわ…私が言うんだから、きっと文句なしだけど!」
ザラ「重巡には私から伝えておくわ」
提督「お願いね……さーてと♪」
カヴール「何ですか、にこにこして?」
提督「いえ…せっかく暖かくて気持ちのいいお昼だもの……ちょっと水着で庭にでも行こうかな、なんて♪」
カヴール「それなら麦わら帽子をかぶって行って下さいね、まだ暑いですから…♪」
提督「ええ」
…しばらくして・庭…
提督「んーっ…ちょっと日差しが厳しいけど、風が気持ちいいわ♪」
マエストラーレ「…提督も海水浴?」
提督「ううん…海水浴じゃないけれど、ちょっと日向ぼっこをね♪」
マエストラーレ「そうなの、じゃあ私はひと泳ぎしてくるわ…チャオ♪」
バリラ(バリラ級大型潜)「あらぁ、提督…♪」
提督「バリラは日向ぼっこ?」
バリラ「いいえ、お母さんもちょっと遠泳してくるわ…それからシャワーを浴びて、夕方までお昼寝♪」
提督「素敵な時間の過ごしかたね……うーん、やっぱり泳ごうかしら」
バリラ「せっかく水着なんだもの…泳ぎましょう?」
提督「そうね、どうせ運動しないとライモンに「運動するか食事を減らすかのどちらかですよ」って、やいのやいの言われるもの……じゃあ証人になってね?」
バリラ「ええ、いいわよぉ♪」
………
…夕食後…
提督「グレイ提督…少しお話をよろしいですか?」
グレイ提督「ええ、どうぞ♪」
提督「じつは、基地祭のことで……ジブラルタルではどんな具合だったのか教えてもらえませんか?」アドバイスを求める提督…
グレイ提督「なるほど…そういう事でしたらお手伝いして差し上げますわ」
提督「それは助かります♪」
グレイ提督「では…お部屋に参りましょう♪」グレンリベットをじっくり味わい、それから優雅に立ち上がった…
提督「はい」
グレイ提督「よろしければエリザベスとエメラルドも同行させて構いませんか?」
提督「もちろん構いませんよ♪」
グレイ提督「分かりました…エリザベス、エメラルド。少しいいかしら?」
エリザベス「無論でございます…♪」
エメラルド「何でしょうか」
グレイ提督「カンピオーニ提督がわたくしたちに、基地祭の事でお尋ねしたいことがあるそうなので……もし取り急ぎの用がなければ同道をお願いしたいと思うのだけれど…よろしいかしら?」
エリザベス「無論でございます…このエリザベス、いつ何時でも提督のお側におりますわ」
エメラルド「私もです」
グレイ提督「結構、それでは参りましょう…♪」すっと提督に腕を差し出し、慣れた様子で提督の執務室に向かう…
…執務室…
グレイ提督「さて、それでは…何でもお好きな事をうかがってくださいな?」
提督「ええ……でしたら…」
グレイ提督「…ふむ、だいたいの所はこれでよろしいと思いますわ。後は主計部相手に予算が降りるかどうか…だけですわね」
提督「グレイ提督の目から見ても大丈夫そうに見えますか?」
グレイ提督「ええ、わたくしの目で見ても「大丈夫そうに」見えますわ…♪」奥ゆかしい笑みを浮かべ提督を眺める…
提督「ふふ、それはよかったです…グレイ提督からみても大丈夫なら安心できます♪」
グレイ提督「ええ……それにしても素敵な執務室ですわね」
提督「そうですね。私にはもったいないほどです」
グレイ提督「いえいえ…執務室に立派な家具があると、それだけで身が入ると言うものですから」
提督「…あの…よかったら……」
グレイ提督「何でしょうか?」
提督「寝室もご覧になりますか…?」
グレイ提督「あら…ふふ、わたくしに寝室まで見せてくださいますの?」
提督「え、ええ…せっかく執務室まで来て下さったのにお茶の一杯もお出ししないなんて失礼ですし、ティーセットは寝室の方にあるので……」
グレイ提督「ふふ、それではお言葉に甘えることにいたしましょう…エリザベスとエメラルドもよろしいでしょうか?」
提督「もちろんですとも…さぁ、どうぞ♪」
グレイ提督「ふふ…それでは失礼いたしますわね」
提督「どうぞ…椅子もありますし、お嫌でなかったらベッドに腰掛けて下さっても構いませんよ?」椅子をグレイ提督たちにすすめると、自分はベッドに腰掛ける提督…
グレイ提督「ええ、ありがとうございます……まぁ、可愛らしいベッドですこと」まるで物語のお姫様が使いそうな、華やかなパステルカラーのカーテンが付いたロココ調の天蓋付きベッドを見て「ふふっ」…と微笑むグレイ提督
提督「いえ、これは着任したときからここにあったものでして……///」
グレイ提督「いえいえ、別にからかっているわけではありませんのよ?……こんな素敵なベッドはわたくしのどの任地にもありませんでしたから、少々うらやましいだけですわ♪」
提督「でしたら…どうぞ座ってみてください♪」
グレイ提督「ええ、それでは失礼いたしますわ。……まぁ、ふわふわで柔らかい…まるで雲の上に座っているようですわね」提督の横に座り、そっと肩を寄せる…
提督「お気に召しましたか?」
グレイ提督「ええ…それに甘いいい香りが致しますわ……あら、この香りはフランスの「レール・デュ・タン」ですわね」
提督「ええ…実はフランス海軍の友人にもらったものでして……覚えておいででしょうか、ローマでグレイ提督とも少しお話しした「トゥーロン第七」のエクレール大佐なのですが…」
グレイ提督「あぁ…あのいかにも「パリジェンヌ」と言った方でしたわね」イギリス貴族らしく、一言で的確かつ見事な皮肉を交える……
提督「ふふっ…そのエクレール大佐です♪」
グレイ提督「…そうでしたか。てっきりカンピオーニ提督とは好敵手だとばかり思っておりましたわ」
提督「いいえ…屁理屈こそ多いですが、むしろ良い「友人」です♪」
グレイ提督「そうでしたの……ふふ、と言うことは…お二人はきっと「親密な関係」で、こちらに訪問されていた際はよく「仲良く」なさっていたのでしょうね?」意味深な微笑を含ませるグレイ提督…
提督「ええ…何しろ彼女と過ごすと「とっても愉しい」時間を過ごせますから♪」
グレイ提督「そうでしたの……ところでカンピオーニ提督?」
提督「はい、グレイ提督?」
グレイ提督「ふふ、メアリで結構ですわ…♪」
提督「でしたら私もフランチェスカ…フランカでも結構ですが…そう呼んで下さいな……ね、メアリ♪」
グレイ提督「ふふ…いかにもイタリアらしい名前ですわね……フランチェスカ」
提督「何でしょう、メアリ…?」
グレイ提督「実を申しますとね…わたくし「ガンルーム」の頃ジブラルタルで、少々「愉快な遊び」を教わりましたの……三人いれば出来る遊びですし、よろしかったら試してみませんか?」(※ガンルーム…若手士官。ナポレオン時代は反乱予防のため武器庫のそばに士官室があったことから)
提督「面白い遊び…ですか?」
グレイ提督「ええ…貴族の青年士官はジブラルタルやアレックス(アレクサンドリア)で老練な下士官たちに「ハメの外し方」を教わるものなのですが……わたくしは女性でしょう?…ですから、女性下士官に連れられて……ふふ、もう言わずともお分かりの事でしょうね♪」
提督「あー…英国海軍のしきたりだそうですね……王室や貴族の子弟は、痛飲の仕方から「遊ぶべき」お店までこっそりと教わるとか…」
グレイ提督「ふふ、よく御存じですわね…いかにもその通りですわ。……そこでわたくしもジンの飲み方から、「様々な女性」との遊び方まで教えてもらったものですが…さ、お立ちになって♪」
提督「はい…それで、この後は……?」
グレイ提督「ふふふっ…エリザベス、エメラルド……よろしいかしら♪」
エリザベス「ふふ、まさかいきなり「アレ」をなさるおつもりとは……このエリザベス、恐れ入りましてございます」
エメラルド「あぁ…「アレ」ですか……少々恥ずかしいですが…///」
提督「…?」
グレイ提督「これは女性士官が海上勤務に就くようになった最近になって生まれた「女性だけで出来る」遊びなのですが…ふふっ、フランチェスカはどうぞ二人に身を任せてくださいませ♪」
エリザベス「それでは「ロンドン・ブリッジ・フォーリング・ダウン」…上に参りまぁーす♪」着ている青い服の前ををはだけ、形のいい乳房をあらわにすると、がしっ…と提督の脇に手を入れ、脚を持ったエメラルドと一緒になって水平に持ち上げた…
提督「えっ、ちょっと二人とも…きゃあ!?」
エリザベス「それでは…♪」…童謡「ロンドン・ブリッジ・フォーリング・ダウン」の歌に合わせて提督を眼前まで持ち上げ、口もとにキスをする…
エリザベス「♪~ローンドンブリッジ・フォーリン・ダウン……」ちゅぅぅっ…♪
エメラルド「♪~フォーリンダウン、フォーリンダウン…」
提督「んんぅ、んあ…っ♪」
エリザベス「おや、いとも簡単にそのような甘い顔をされてしまいますと…このエリザベス、愉しみが無くなってしまいます♪」
提督「だ、だって…あんっ♪」
エリザベス「さてさて…胸元までやってまいりましたね……ちなみにこの歌のタイトルは諸説ありますが、本家の「マザーグース」に載っているものは「ロンドン・ブリッジ・イズ・ブロークン・ダウン」の方が正解とされるそうでございます……それではご一緒に…さん、はい♪」
提督「そ、そんなこと言ったって……あんっ、んぁぁっ♪」
エメラルド「♪~ローンドン・ブリッジィズ・ブロークン・ダウン…ブロークン・ダウン……」両肩に提督の脚を乗せると秘所に舌を這わせるエメラルド…
提督「んひぃ…エメラルド、だめよ……ちゃんとお風呂は入ったけど…あぁぁっ、んっ♪」
エメラルド「…入浴したのなら大丈夫ですとも……それより、下着をつけておられないのですね?」
提督「あふっ、ひぅんっ……だって、もう寝るから必要ないと思って…っ///」
エリザベス「♪~ローンドン・ブリッジィズ・ブロークン・ダウン……マイフェア・レディ♪」歌詞が進むと同時に提督の身体は地面に近くなっていき、腕と脚を持った二人の責め方も場所ごとで変わってくる…
グレイ提督「あら、もうそこまで来ましたのね……面白いでしょう?」
提督「んふぅ…んぐぅ、んむっ……///」…顔をエリザベスのふとももに挟まれ、濡れた花芯をエメラルドと重ね合っている提督
グレイ提督「さぁ、エリザベス…その辺にして放してあげないと、フランチェスカが窒息してしまいますわ♪」
エリザベス「…おや、それは残念でございますね」
提督「ぷはぁ…はぁ、はぁ……これがイギリス流の「愉快な遊び」ですか…ふぅ」
グレイ提督「お気に召しまして?」
提督「…と、とっても気持ちはよかったです……でも、息が切れて……///」
グレイ提督「ふふ、エリザベスはついやり過ぎてしまいますの…それにしても、そのように火照ったお顔をしておられますと……わたくしも交ぜて欲しくなりましたわ♪」優雅に椅子から立ち上がると、すっ…と頬を指で撫で上げた……
提督「もう…メアリ///」
グレイ提督「ふふ、貴女からそう呼ばれると自分の名前なのに新鮮な感じがしますわ……さてと、きっとフランチェスカも何か「面白い遊び」をご存じなのでしょうから…ぜひわたくしたちに教えて下さいな」
提督「え…えーと」
グレイ提督「遠慮はいりませんわ……さ、おっしゃって?」
提督「そ、それなら…少しよろしいですか……///」グレイ提督たちに向こうを向いてもらう間にクローゼットの中をひっかき回し、ついでに実家のクラウディアから受け取った紙袋も取り出す…
グレイ提督「…もうよろしいかしら」
提督「はい、大丈夫ですよ///」…半ばやけっぱちで、いつぞや着るはめになったバニーガールの衣装やメイド……クラウディアの手づくりながら、やたら本物そっくりな憲兵隊の制服や何かをベッドに並べ、はにかんだような表情の提督…
グレイ提督「あら、フランチェスカはそんな道具もお持ちですの……ふふ、楽しそうですこと♪」
提督「あー…よかったら着てみますか?」
グレイ提督「ええ、せっかくですものね♪」
提督「え……着るんですか?」
グレイ提督「だって、わざわざしまってあったものをお出しになって下さったのですから…これ、よろしいかしら?」しばらく前に提督がエクレール提督相手に使った、全て本革の黒いコルセットと際どい黒のスカート、それと揃いになっている網タイツとガーターベルト…それに長い黒革の一本鞭とハイヒールの革長靴……
提督「え、ええ…着替えている間は向こうを向いていますから……」
グレイ提督「ふふ…それではしばしお待ちを♪」
エリザベス「……まぁ、よく似合っておりますこと」
エメラルド「…まるで冷酷な女王様です……私も…隷属させられたい気分になってしまいます…♪」
グレイ提督「…結構胸が余ってしまいますわね…ふふ、フランチェスカは豪奢で豊かな身体をお持ちだから致し方ありませんわね……はい、よろしいですわ」
提督「それじゃあ失礼して……うわ///」
グレイ提督「いかがでしょうか…似合っておりますかしら?」…すっきりとした身体つきのグレイ提督だけに、ヒール付きブーツを履くとぐっと背が高くなったように見える…おまけに酷薄な冷笑ともとれる微笑みが「狂女王」と言った雰囲気を出している……
提督「と…とっても似合っております///」
グレイ提督「まぁ嬉しい……いえ、違いましたわ「よろしい、褒めてつかわす」…ですわね」ひゅん…と鞭を鳴らし、見下したような視線を投げるグレイ提督……
提督「…っ///」じゅん…っ♪
グレイ提督「…ところで、わたくし乗馬以外で鞭を振るうなど初めてですが……よろしければやり方を教えて下さいな?」
提督「あぁ、そうですね…えーと、振るう時は手首のひねりを効かせて……あんまりきつく振るうと腕が疲れますし、相手にも痕が残ってしまうのでほどよく…ちょっと練習してみましょうか」グレイ提督の手に自分の手を重ねて「ひゅん…っ」と鞭を振るってみせる…
グレイ提督「なるほど、この程度の振り方でよろしいのですか…理解いたしましたわ」
提督「そうですか……では、えーと…」
グレイ提督「ええ、よろしければ床にお手をついていただいて……どうかいたしましたの、エリザベス?」
エリザベス「…私も何かお手伝いいたします。このメイドに何でもお申し付け下さいませ♪」
グレイ提督「ふふ、失敬。わたくしったら目新しいことに夢中で、貴女たちの愉しみを考えておりませんでしたわね……そう、フランチェスカには目隠しをお願いいたしますわ」
エリザベス「承知いたしました…では失礼いたします、カンピオーニ様♪」しゅるしゅる…っ、と柔らかい布で目隠しと猿ぐつわをかまされ、ついでにバスローブについているシルクの帯で両手を拘束される……そのまま四つん這いにされてナイトガウンの裾をめくりあげられると、とろりと濡れたふとももがひやりとした外気に触れた…
提督「…んー…んんぅ……///」
グレイ提督「ふふ、これはなかなか素敵な眺めですわね…さてと……こちらがよろしいのかしら?」ひゅん…っ!
提督「んーっ…んんぅ♪」
エリザベス「まぁまぁ、何とも愉悦を感じさせるお声ですこと…陛下、お済みになりましたらわたくしにもやらせて下さいませ」
グレイ提督「ええ…もちろんですわ……それ♪」ぴし…っ!
提督「んぐぅ…♪」
グレイ提督「さて…とはいうもののただ鞭を振るうだけでは情感がこもりませんし、何か「物語」が必要ですわね…」
エメラルド「でしたら…せっかくエリザベスもハウスキーパーの格好をしているのですし「ミスをしてハウスキーパーに連れてこられ、貴族のご主人に折檻されるメイド」にしたら如何でしょうか///」
グレイ提督「なるほど、では……「わたくしの大事にしているティーカップを割ってしまうなんて、何という失態なのかしら」…サディスティックな伯爵なら、きっとお仕置きするような場面でしょうね?」ぱしん…っ!
提督「ふぅぅ…んんぅ///」
グレイ提督「そう、それに…割ったのならそう言えばいいものを、どうして嘘をついたのです?……わたくしはカップを割られてしまった事より、嘘をつかれることの方が不愉快ですわ」ひゅんっ…!
提督「んんぅ…ふぅぅ……んぅ///」
グレイ提督「ふぅ…それでいながらフランチェスカ、貴女は鞭うたれて悦んでいるのですか?……全く度し難いイタリア人メイドですこと♪」ぴしっ…!
提督「んふぅ…んんぅ……♪」
グレイ提督「ふむ、何か言いたいことがあるようですわね…「ベス」外してあげなさい♪」
エリザベス「承知いたしました…さ、「女伯爵さま」にちゃんと謝るのですよ、フランチェスカ♪」
提督「はぁ…はぁ、ふぅぅ……///」
グレイ提督「あら「鞭うたれておきながらそんなに秘所を濡らして…はしたないと思わないのですか?」……ふふ、なかなか愉しいですわね♪」
提督「はひぃ…ふぅ……「申し訳ありません…伯爵さま」…んっ///」
グレイ提督「ふむ、では謝罪したことは認めましょう。……とはいえここまでの度重なる不行き届き、謝罪だけでどうにかなるものでもありませんわ…そうでしょう?」もっちりした丸いヒップにそっとヒール付きブーツのかかとを乗せるグレイ提督…
グレイ提督「……痛くはありませんね?」踏み台のように片足を乗せてはみたものの、上半身を傾けるとそっと提督に耳打ちした
提督「…ふふ、大丈夫ですから続けて下さい///」
グレイ提督「では……こうやって踏みつけられてまだ悦んでいられるか試して差し上げます!」ぐい…っ!
提督「あぁ…っ、んんっ……くぅぅ…んぁぁ♪」
グレイ提督「全く、踏みつけにされてまで愉悦に浸っているとはどこまではしたないのですか…このだらしのないメイドは」ひゅんっ…!
提督「んひぃ…あんっ♪」
グレイ提督「そうですわね…ベス、貴女たちからもきちんと罰を与えなさい」
エリザベス「承知いたしました…では♪」ひゅん…っ!
提督「ひぅぅ…んぅ♪」
エメラルド「…ごめんなさい、フランチェスカさま…私が至らないばっかりに…でも、女伯爵さまの言いつけには逆らえないんです……」ぴしっ…!
提督「あんっ…んあぁぁっ……♪」
………
…数時間後…
提督「はぁ、はぁ、はぁ…ふぅー……メアリ、先ほどはずいぶんと激しくなっておられましたね///」
グレイ提督「…ええ。わたくしとしたことが我を忘れて、ずいぶん愉しませていただきました……ところで貴女は大丈夫ですか、フランチェスカ?」部屋へ来た時に着ていた普段着に戻ったグレイ提督は、提督が淹れた紅茶を優雅にすすっている……さっきまでは這いつくばった提督を相手に思う存分鞭を振るっていたが、わずかな頬の赤み以外は何も変わらない…
提督「ええ、加減してもらったので……少し叩かれたところがひりひりしていますが…」鞭うたれたり、平手で叩かれたりしたお尻をさすりながらベッドに腰掛け、少し顔をしかめる提督…
グレイ提督「申し訳ありませんわ…あまりにも貴女の声が悩ましいもので、つい……座れますか?」
提督「ええ、平気です……痛っ…」
グレイ提督「おや…何かお薬でも塗った方がよろしいのではありませんか?」
提督「そうですね…それなら、薬箱がそこに……」
エリザベス「薬箱……こちらでございますね?」
提督「ええ…その中に痛み止めクリームが……あぁ、それよ」
エリザベス「ではわたくしが塗って差し上げましょう…さぁ、どうぞベッドの上でうつ伏せになってくださいませ……♪」
提督「ごめんなさいね、エリザベス?」
エリザベス「この程度の事、何でもございませんわ……では失礼して…♪」
提督「んぅ…それにしてもグレイ提督は、もしかしてかなりの嗜虐趣味をお持ちなのかもしれませんね?」日焼けした後のようなひりつく痛みに、エリザベスのしなやかな指先と冷たいクリームが心地よい…
グレイ提督「ええ、かもしれませんわ……何と言うか、貴女が目隠しをされて四つん這いになっているのを見て…背徳感、あるいは征服欲と申しましょうか…とにかく、心の底から湧きあがる「どろりとした感情の高ぶり」にぞくぞくいたしましたもの」
提督「あー…もしまた機会があったとしたら、どうぞお手柔らかに……」
グレイ提督「ええ…ぜひともそうさせていただきますわ♪」
エリザベス「そうですね、カンピオーニ提督はなかなかそそるものがございますゆえ……このエリザベスも、ついついお茶目なイタズラ心をくすぐられてしまうのでございま…す♪」ぱちんっ!
提督「ひぃん…っ!?」
エリザベス「これは失礼、つい丸くてすべすべのヒップが目の前にあったものですから…♪」
提督「だからって……もう///」
グレイ提督「まぁ、エリザベスったら。そんなことをしてはいけませんよ…ふふ」
エメラルド「…はぁぁ、何て甘い喘ぎ声なんでしょう……///」
提督「…」
グレイ提督「…ところで、フランチェスカ」
提督「ええ」
グレイ提督「そのままの姿勢で結構ですから、少しおしゃべりでもいたしましょう?」
提督「ええ、構いませんよ…夜はまだまだ長いですものね♪」
グレイ提督「そう言うことですわ……さ、よろしければお話しになって?」
提督「はい…メアリも後で話して下さいね♪」
グレイ提督「もちろんですわ」
………
グレイ提督のSMをもっと見たいのですが
>>165 まずはコメント感謝です…が、百合姫提督の小エピソードを出す予定だったのでちょっと間隔が空いてしまうかもしれません。せっかくのリクエストなので書きますけれど……他にカップリングやシチュエーションで何かご要望があればそれも出来るだけ頑張ります
提督「…それで、基地祭で「マクベス」を?」
グレイ提督「ええ、何しろシェークスピアの名作ですから……カンピオーニ提督はどんな出し物にするおつもりですか?」
提督「そうですねぇ…きっと「ロメオとジュリエッタ」になると思います♪」
グレイ提督「あら、素敵ですわね。でしたら「…あれはナイチンゲールの声ですわ、ロミオ様」ですわね?」
提督「ええ、そうです…「ならば私は死をも恐れない…さぁ、残酷なる運命よ来たれ」と言うところですね♪」
エリザベス「ふふ、お二人ともお似合いでございます♪」
提督「もう、止めてよエリザベス…もし私がロメオでメアリがジュリエッタなら、さらってでも連れて行くわ♪」
グレイ提督「まぁ…お上手ですこと」
提督「ふふ、だって好きな女性といられないなんて……あ、そう言えば百合姫提督の所でも舞台劇をやろうとしたとか…」
グレイ提督「日本の百合野准将ですか…どんな劇だったのです?」
提督「何でもペローやグリムの童話にある「赤ずきん」だとか……百合姫提督が言ってました」
グレイ提督「あら…でも「やろうとした」と言うのは?」
提督「あー…それがなんでも色々あったそうで……」
………
…一年前・横須賀…
百合姫提督(赤ずきん)「…それじゃあ「赤ずきんちゃん」の舞台練習を始めましょうか……いい歳をした提督が「この格好」って言うのは、ちょっと恥ずかしいけれどね…///」
大淀「まぁまぁ、せっかくの基地祭ですし…それに可愛いですよ♪」
龍田「よく似合っているわよぉ…♪」
百合姫提督「もう、みんなしてそういうことを言うんだから…///」
大淀「まぁまぁ…それでは、よーい……はじめ!」
長門(ナレーション)「あるところに、赤ずきんちゃんというとても可愛らしい女の子がおりました……」
間宮(赤ずきんのお母さん)「…それじゃあ赤ずきんちゃん、おばあさんの所にケーキとぶどう酒を届けて来てね。途中で寄り道してはいけませんよ?」
百合姫提督「はぁい、それじゃあ行ってきます♪」
長門(ナレーション)「ケーキとぶどう酒を入れたかごを持ち、おばあさんの所に向かう赤ずきんちゃんでしたが、森にさしかかると…そこには悪い狼がおりました」
足柄(悪い狼)「おや、赤ずきんちゃん…どこに行くの?」
百合姫提督「あら、狼さん。病気のおばあさんにケーキとぶどう酒を持って行ってあげるのよ?」
足柄「そう、それは感心ねぇ…ならついでに森でお花を摘んで行ったらどうかしら、綺麗なお花を持って行ったらおばあちゃんも喜ぶと思うわよ?」
百合姫提督「うーん、それもそうかしら……それじゃあ案内してもらえる?」
足柄「もちろん…さぁ、こっちよ♪」
長門「狼が悪者であることを知らない赤ずきんはすっかり騙されてしまいました……もちろん最初は数本の花を摘むだけのつもりだった赤ずきん。とはいえ、森には花が咲き乱れ、ついついあちらこちらと目移りしてしまいます……その間に足の速い狼はおばあさんの家に向かいました……」
宗谷(おばあさん)「うー…暑い……こほこほ…っ」
足柄「おばあさん、こんにちは…」
宗谷「うーん…外にいるのは誰ですか?」
足柄「私、赤ずきんよ…ケーキとぶどう酒を持ってきてあげたわ……♪」
宗谷「あぁ、ありがとね……ドアは開いているからノブを回して入っていらっしゃい」
長門「…狼はドアを開けると、病気でふせっているおばあさんを丸飲みにしてしまいました。そしておばあさんの衣服を剥ぐとそれをまとい、ベッドにもぐりこんでおばあさんのふりをして、赤ずきんを待ち受けます……」
長門「…その間に森でたくさんの花を摘み、すっかり遅くなってしまった赤ずきん…ようやく用事を思い出し、持ちきれないほどの花束を抱えておばあさんの家に向かいます……」
百合姫提督「いけない…すっかり遅くなっちゃったわ……おばあさん、いますか?」
足柄「…」
長門「狼はおばあさんのずきんを目深にかぶり、布団に包まっていますが…そうと知らない赤ずきんはベッドに近寄ります」
百合姫提督「…おばあさん、赤ずきんですよ……おばあさん、今日はずいぶんとお耳が大きいのね?」
足柄「…お前さんの言うことがよく聞こえるようにね」
百合姫提督「おばあさん、今日はずいぶんとお目々も大きいのね?」
足柄「…お前がよく見えるようにね」
百合姫提督「それに、なんて大きな手をしているんでしょう…!」
足柄「お前さんを上手く掴まえられるようにね…♪」
百合姫提督「それに…なんて大きなお口をしているんでしょう」
足柄「それは…お前を良く食べられるようにさ!」いきなりベッドから跳ね起き、百合姫提督に掴みかかる足柄…
百合姫提督「…きゃぁ!」掴みかかられた勢いで尻もちをつき、やわな手製の衣装が縫い目からひどく破れた……床にへたり込み、半分脱げた赤ずきんの格好で足柄を見上げる百合姫提督…
長門「うわっ…二人とも大事ないか?」
百合姫提督「え、ええ…でも衣装が破れちゃったわ///」
足柄「………」
宗谷「大丈夫ですか二人とも……って、どうしたんです?…足柄…さん?」
足柄「ふーっ…ふぅぅ…っ……!」
百合姫提督「あの、足柄……どうしたの?」
足柄「ふーっ…あのね、先に言っておくけど……そんな風に誘ってる提督が悪いのよ…っ!」んちゅぅぅ…♪
百合姫提督「んんぅ…!?」
足柄「はぁ、はぁっ…いくら神戸生まれのお嬢さまだからって、こんなやらしい格好を見せつけられて我慢できるほど私は出来ちゃいないのよ……っ♪」びびっ、びりぃ……っ!
百合姫提督「ちょっと、足柄…っ///」
長門「お…おぉ///」
宗谷「うわわ…ぁ///」
龍田「あらぁ…足柄ったら♪」
間宮「ち、ちょっと子供には見せられない「赤ずきんちゃん」ですね…///」
大淀「あ…あー……///」
百合姫提督「ひぃやぁぁぁっ…んぁぁぁっ、あふぅ……だめ、だめぇ…っ♪」
足柄「だめっていいながら…どうしてしがみついているのよ……っ♪」
百合姫提督「あぁぁっ、だって…いいの、いいのぉ…っ……あぁ、イくぅぅ♪」
長門「おぉ、これは……なんとも過激で……おぉぉ///」
百合姫提督「見てないでっ、誰か……あひぃぃんっ♪」
長門「……えー、こうして赤ずきんは悪い狼に食べられてしまいましたとさ……よし、邪魔をするのは野暮だから戻ろう///」
飛龍(狩人)「えっ、私の出番は…?」
………
提督「…と言うようなことがあったとか、なかったとか……」
グレイ提督「ふふ、面白いお話ですこと…ところで」
提督「何でしょう?」
グレイ提督「今宵は月が明るくて素晴らしいですし、ここの庭園はとても綺麗ですから…お休みになる前に、少々お散歩にでも参りましょう♪」
提督「ふふ、それもいいですね…では、何か着るので少し待ってくださ……」うつ伏せの状態から起き上がり、羽織っているナイトガウンの帯を締め直そうとする…と、グレイ提督のほっそりした白い手が優しく提督の手をつかんだ
グレイ提督「…別に着るものは必要ありませんわ。そうでしょう?」
提督「え///」
グレイ提督「せっかく綺麗な身体なのですから、隠すことなどございませんわ……ところで、もしよろしければ貴女方も一緒に……?」片方の眉をそれとなく上げてみせる…
エリザベス「いえ、わたくしは結構でございます…どうぞお二人で、行ってらっしゃいませ」
エメラルド「ええ…私は紅茶がまだ残っていますし、戻ってくるのをお待ちしております」
グレイ提督「そう、でしたら二人だけで参りましょう♪」
提督「あ、あの…///」するりと優しい手つきでナイトガウンを脱がされ、はにかんだような表情の提督…と、それを見て優雅な微笑みを浮かべるグレイ提督……
グレイ提督「とはいえ……さすがに何も着ていないのは心細いですものね、どうぞこれをお召しになって?」
提督「ありがとうございます、メアリは優しいですね……って、これだけですか///」白いレースのストッキングとガードル、ガーターベルトを渡される提督…
グレイ提督「あら、もしお召しにならないのでしたら…」
提督「…着ます」
グレイ提督「ふふ、そう言うと思いましたわ……あぁ、そうそう…お散歩にはこれもつけませんと♪」ベッドの上に散らかっている道具や衣装のなかから首輪のような黒革のチョーカーを取り出すと、丁寧に首元に留めた…それから提督の足元に紅いハイヒールを揃えて出した
提督(首輪つき)「…もう、最初からこうするつもりだったのですね///」
グレイ提督「ふふ、何のことやら……では、参りましょう?」チョーカーのリングにリード代わりの紐を通し、提督を歩かせるグレイ提督…
…鎮守府・廊下…
提督「あの…メアリ?」
グレイ提督「何でしょう?」すべすべしたシルクのナイトドレスに優雅なガウンを羽織り、片手には提督の首輪に繋がっているリード、もう片方の手には鞭を持っている…
提督「もしかして、ですが…こういった経験があったりします?」かたや下半身のみランジェリー姿のほぼ裸で、意外に涼しい夜風に肩をすくめている提督…
グレイ提督「あら、何のことでしょう?」
提督「…」
グレイ提督「……わたくしの実家には犬がおりますから、そこから思いついただけですわ♪」
提督「あら、メアリも犬を飼っているんですか…どんなわんこなんです?」
グレイ提督「ウェルシュ・コーギー・カーディガンと、黒いラブラドール・レトリーバーですわ」
提督「ふふ、どちらも可愛い犬種ですね…♪」
グレイ提督「ええ…とっても可愛いものですわね……」正面玄関を開けて、表に出る二人…外は青い月光が降り注ぎ、静かに波音が響いている……
グレイ提督「……ふぅ。夜にお散歩するのも、なかなか気持ちがいいものですわね…とっても月が明るくて、本も読めそうなくらいですし」
提督「ええ、そうですね…///」
グレイ提督「ふふ…さぁ、参りましょう?」くいっ…とリードを引っ張るグレイ提督
提督「んっ…く」
グレイ提督「あら、少し苦しかったですか?」
提督「けほっ…いえ、急に引っ張られたもので……///」
グレイ提督「それにしても夜風が心地いいですわ…ね、フランチェスカ?」
提督「え、ええ///」
グレイ提督「まぁ、夜だと言うのにこの庭の綺麗なこと…さ、こちらでよくご覧になって♪」くいっ…
提督「んっ…けほっ、こほっ!」
グレイ提督「あら、わたくしったら……また引っぱってしまって♪」
提督「いえ、平気です……それより、背中が少しぞくりとして…」
グレイ提督「あら、それはいけませんわね。寒いのですか?」
提督「ええ少し…気温は暖かいのですが、風が少しひんやりして……」
グレイ提督「それはいけませんわね……何か身体を暖める方法が…あぁ、それでしたら血の巡りを良くすればよろしいのでは?」
提督「…私は一枚のタオルすら持っていませんが、乾布摩擦でもすればいいのですか?」両手を上に向けて皮肉る提督…
グレイ提督「あら…フランチェスカは何もお持ちでないの?」
提督「ええ、あいにくと…♪」
グレイ提督「なら致し方ありませんわね。ところで…わたくし、何かの本で「刺激を与えると血流がよくなる」と聞いたことがありますから、よろしければお手伝いいたしましょう」ひゅん…っ!
提督「んっ…!」
グレイ提督「こうして軽く叩けば、すぐ暖かくなると思いますわ…♪」ぴしっ…!
提督「んくぅ…♪」
グレイ提督「幸い波音でかき消されておりますから、屋内に聞こえる心配はありませんし…わたくし、フランチェスカが暖かくなるまで頑張ってみせますわ」ぱしん…っ!
提督「んんぅ…あんっ///」
グレイ提督「まぁ、ここのお庭で生えているミントの香りが漂ってきて……とても甘くていい香りですわね♪」ひゅん…!
提督「ええ、そうですね…んっ///」
グレイ提督「…どうでしょう、これで少しは暖かくなりました?」
提督「あの…できたらもうちょっと……んっ///」ふとももをこすり合せつつ、上目づかいで甘えるような声を上げる…
グレイ提督「あら…お気に召しまして?」
提督「メアリみたいに加減をわきまえていてくれる方なら……ですけれど♪」
グレイ提督「まぁまぁ…嬉しいお言葉♪」ひゅん…っ!
提督「くっ…今のは少し強かったです……///」
グレイ提督「あら、失礼…♪」ぴしぃ…っ!
提督「んぅぅ…///」
グレイ提督「……今度はいかが?」
提督「もう…メアリのいじわる……♪」
グレイ提督「ふふふ…そうやって甘い声を出されてしまうと、わたくしの中の嗜虐的な部分が刺激されてしまいますのね」ひゅん…っ!
提督「あひぃ…んっ……///」
グレイ提督「…ふふ、貴女がふとももをこすり合わせるたびにねちっこい水音が響いて……何とも刺激的な光景ですわね♪」
提督「だって…こんな姿で庭にいると思うと……っ///」
グレイ提督「あらあら…月明かりだけでもとろとろに濡らしているのがよく分かりますわね……よろしければそこの草の上でしてあげますわ?」
提督「んぅぅ…メアリ……///」草地にひざを付き四つん這いになると、片手で秘所をまさぐりつつ甘い声を上げる…
グレイ提督「はいはい…♪」ぴしっ…!
…しばらくして…
提督「んぅ、あふんっ♪」
グレイ提督「ふふっ……それ♪」ぱしっ…!
提督「あぅん…っ///」
グレイ提督「さてと…良かったら撫でて差し上げましょう、お腹を出して下さいな♪」
提督「もう、メアリったらいやらしいんですから…っ♪」夜露の降りた青草の上に寝転がり、両手を投げ出して物欲しげな顔をする…
グレイ提督「ふふ、そうなったのは貴女のせいですわ…どうかしら?」サンダルを脱いでつま先でお腹をくすぐり、胸の谷間に脚を乗せる…そして提督を見おろし、イギリス貴族でなければできないような優雅な笑みと、かすかな軽蔑の混ざった表情を浮かべている……
提督「んふふっ…ぴちゃ、ぺろっ……♪」両手で真っ白なつま先を抱え、とろけたような表情のまま舌を這わす…
グレイ提督「ふふ、くすぐったいですわ……おやめなさいな?」口ではそう言いつつも、靴磨きでもさせるように片脚を出して微笑んでいる…
提督「ふふ…と、言いながらちっとも嫌がっていませんね♪」
グレイ提督「あら…わたくしはもう止めて頂きたいのに、貴女が離さないせいですわ」
提督「んふふっ、さすが口の上手いイギリス人ですね……ちゅぱ…ぴちゃ……っ♪」
グレイ提督「ふふふ…」
提督「んふふっ…♪」
グレイ提督「うふふふ…♪」
提督「ふふっ、くすくすっ…♪」
グレイ提督「ふふっ…ふふふふっ♪」
提督「あー、おかしい……いい歳した提督二人が夜の庭で、こんな変態じみた事をしながら仲良くおしゃべりなんて…うふふっ♪」
グレイ提督「ええ、全くですわね…しかもわたくしに至っては、こちらでもてなしてもらっている立場だと言うのに……ふふ」
提督「いえいえ、お客様には美味しいイタリア料理とワイン、コーヒー……それと、これもその一つですから…お気に召しましたか?」
グレイ提督「ええ、とても…♪」
提督「それじゃあそろそろ戻りましょうか。さっきからふとももが冷たくて…///」
グレイ提督「ふふ、あれだけ蜜を垂らしていればそうでしょうね……後でシャワーを浴びることですわ」
提督「ええ、そうします。うっ、背中も冷たい…っ」
グレイ提督「夜露が降りてましたものね……よかったらわたくしのガウンをお貸ししましょうか?」
提督「あー…もう戻るだけですし、綺麗なガウンに土や草の葉っぱが付いてしまいますから…それより///」
グレイ提督「何でしょう?」
提督「ごめんなさい…少しリードを放してもらえませんか///」
グレイ提督「別に構いませんが……どうかなさいましたの?」
提督「いえ…それが、その……冷たい地面に寝転がっていたので…///」
グレイ提督「あぁ…「お花を摘みに」行きたいのですか?」
提督「え、ええ…ですから……///」
グレイ提督「ならわたくしが見ていて差し上げますわ…さ、どうぞそちらのバラの木陰で……♪」
提督「い、いえ…あの……っ///」
グレイ提督「どうか遠慮なさらず…かつてウィンストン・チャーチルも言ったように「私は友人に対して隠しごとなど一切ない」……でしょう?」
提督「いえ、その気持ちは嬉しいですが…っ///」
グレイ提督「さぁさぁ、早くしないともっと恥ずかしいことになってしまいますわ……どうぞお構いなく」
提督「うぅぅ…それでは……///」
グレイ提督「ええ……ふふふ♪」
提督「もう、メアリったらやっぱり意地悪ですね…///」
グレイ提督「はて、何の事でしょう…♪」
………
…という訳で、グレイ提督×提督を頑張ってみました……書いているうちにグレイ提督のSっ気がどんどん加速していたような…
…この後は重巡のエピソードや艦娘のお誕生日ネタなど、ちょっとしたものを交えながらのんきに過ごしつつ基地祭を迎え、同時に士官学校時代の提督を書こうかと……ちなみに提督の両親「婦妻」、クラウディアとシルヴィアも来てくれる予定です
後は「600」(セイチェント)型と言われた名作中型潜シリーズがまだまだいるので、彼女たちを建造することになります…勇敢なエピソードも多いので、キャラクターとしても動かしやすいはずです。ちなみに中の一隻は戦艦「クィーン・エリザベス」とも浅からぬ因縁があったりするので、その辺で「ロリおね」のカップリングも書く予定ではあります……
…ある朝・食堂…
リットリオ「ふーん、ふふーん♪」食パンにイタリア生まれで圧倒的人気のヘーゼルナッツ入りチョコレートスプレッド「ヌテラ」を塗りつつ、ひどくご機嫌なリットリオ…
提督「あら。ずいぶんご機嫌ね、リットリオ?」
リットリオ「ふふふっ、分かっちゃいますかぁ?」
提督「それはそうよ…私にも頂戴?」
リットリオ「はいはーい♪」ヌテラをスプーンでしゃくってパンに塗ってくれるリットリオ…
ライモン「あ、わたしにも一口……そう言えば」
提督「んー?」
ライモン「みなさんはこれの名前…なんて呼んでます?」(1964年解役)
提督「え?…「ヌテラ」だけど?」
ライモン「カヴールさんは?」
カヴール「そうねぇ…「スーペルクレマ・ジャンドゥーヤ」かしら……美味しいわよね?」(1945年トリエステ港で戦没)
ライモン「やっぱり…ガリバルディはどうですか?」
ガリバルディ「え、私は「ヌテラ」だけど?」(1972年解役)
ライモン「そうですよね…あ、グレカーレはどっちですか?」
グレカーレ(マエストラーレ級駆逐艦)「あー、ライモンドの言いたいことが分かったかも…ちょうど私がお役御免になった年に名前が変わったんだよね♪」(※グレカーレ…1964年解役。この年「スーペルクレマ・ジャンドゥーヤ」が「ヌテラ」へ品名変更)
提督「もしかして、微妙な世代ごとのギャップ…ってこと?」
ライモン「ええ、そうなんですよ…いつもはなんて言うこともないんですが、時々話が合わなくて……ですよね、グレカーレ?」
グレカーレ「うんうん、それは分かるかも…私だって、お姉ちゃんたちがお菓子のプラスチック容器とかを取っておくの理解できないもん」
ガリバルディ「あー…それ、アブルッツィもやってたわ……「プラスチックって軽くて透明ですごいわよね!」とか言って」
ライモン「失礼ながら…カヴールさんはプラスチックではなくて「ベークライト」ってよく言いますよね」
カヴール「むぅ…おばあちゃんで悪かったですね」
提督「なるほどね……で、結局リットリオはどうしてそんなに嬉しそうなの?」
リットリオ「それはですねっ、夏季休暇で買ったものが今日届くからなんです♪」
提督「へぇぇ…それにしてもずいぶん時間がかかったわね?……夏休みが明けて、もうかれこれ二週間は過ぎているのに」
リットリオ「いえいえ、ちょっと大きめの買い物でしたから♪」
提督「そう、もしよかったら見せてね♪」
リットリオ「もちろんですっ…ね、ローマ♪」
ローマ「ええ…それにしても、姉さんったらお店から連絡が入って以来ずっとこの調子で……可愛いけどいい加減飽きてきたわ…」
提督「まぁまぁ…楽しみなことが待っているなんて良いことじゃない♪」
ヴェネト「ですね…それに私もその恩恵にあずかる予定なので、なおの事楽しみです♪」
提督「姉妹仲良しで何よりだわ…ディアナも一緒にコーヒーをどう?」
ディアナ「せっかくですし頂きます…よしなに♪」
提督「ディアナも相変わらず弓は冴えているみたいね?」(※ディアナ…ギリシャ神話ではアルテミス。狩りと月の女神で処女とされ、裸を見たりすると無慈悲な報復に遭う)
ディアナ「ええ、とてもよろしい具合です」
提督「結構…ところで哨戒組は?」
カヴール「まだお風呂ですよ…汗をかいた後のお風呂は気持ちいいですから♪」
提督「まだまだ暑いものねぇ……それなのに…」ちらりと食堂の一角に視線を向ける…
ヴァイス提督「本日は私が0930時より図上演習。その間に二人は1030までギムナジウム(運動場)で体力トレーニングに励め。メニューは私が作成してある…30分経過した所で五分休憩を挟み、水分200ミリリットルを摂取すること……昼食後は各自の判断で過ごしてよろしい、以上だ」
ビスマルク「ヤヴォール!」
ティルピッツ「ヤヴォール!」ピシッとプレスのきいた濃い灰色のスラックスにネクタイを締め、かちりとかかとを合わせる艦娘二人…
提督「…暑苦しいことこの上ないわね……」
…午前・執務室…
提督「ふぅぅ…図上演習も終わったし、あとは突き返されてきた書類の訂正だけね」
カヴール「あら、また主計部から差し戻しですか?」
提督「ええ……それでもあなたとライモンが手伝ってくれるから、ずいぶん少なくなったけれど」
ライモン「ふふ、そう言ってもらえるとやる気が出ます♪」
提督「そう?…それにしても主計部ときたら……ちょっと間違えただけなのに差し戻しなんて意地が悪いわ」
カヴール「ふむ…今回は何が悪かったのでしょう?」
提督「えーと…「鎮守府の需品向け予算で艦娘用の家具を購入した場合には、家具の用途、材質、縦・横・高さ、値段とその特徴を別紙に入力し、場合によっては家具の写真データと領収書を添付すること」だそうよ……あきれたわね」
カヴール「なるほど…で、何が足りなかったのでしょう?」
提督「それが「家具の用途が書かれていません」…だそうよ」
ライモン「それって、何を買った時のでしたっけ?」
提督「前にヴェネトとローマのために買ったクローゼットよ……全く、クローゼットに「服をしまう」以外の用途があるならうかがいたいものよね?」
ライモン「……身を隠す、とか?」
カヴール「中でえっちしてもいいかもしれませんよ…♪」
提督「はぁ…まったくもう、カヴールも最近デュイリオやリットリオに似てきたわね……」
カヴール「あら、そうですか?」
提督「まぁいいわ…そう言えばリットリオの言っていた「お届け物」がそろそろ来たころね、見に行きましょうか♪」
ライモン「はいっ♪」
…鎮守府・庭…
提督「それで、買ったものはどこにあるの?」
リットリオ「ふふふっ、こっちですよ…っ♪」あたりには暇な艦娘たちが集まってわいわい騒いでいて、リットリオはその中をかき分けつつ提督を引っ張り、車庫の方に連れて行く…
提督「……車庫に置いてもらったの?」
リットリオ「はいっ、何しろ…じゃーん♪」数台分のスペースがある車庫の手前に、綺麗な「フィアット・NUOVA500」(二代目チンクエチェント)が停めてある…
提督「え…リットリオのお買い物って、「フィアット500」だったの?」
リットリオ「ええ、そうなんですっ…これで近くの町まで行くのに、提督をわずらわせずに済みますよ♪」
提督「いや…綺麗なフィアット500だけど……」陽光に照らされた紅い車体のボンネットの隅には、右斜め上に向けて銀色の流麗なイタリックで「Littorio」という文字が塗装されている…
リットリオ「ふふっ、ヴァカンス中に車の免許を取って…ついでに買っちゃいました♪」
提督「それにしたって高かったでしょうに…」
リットリオ「そうですねぇ、色の塗り直しは別として五十万リラくらいでしたけど……すぐ買えちゃう値段だったので、現金で払っちゃいました♪」
提督「あー…まぁ艦娘の手当ならそうかもしれないわね」
ローマ「全く、姉さんったら前後の見境もなく車なんて……まぁ、一緒にお出かけできるのは嬉しいことだけど///」
ヴェネト「そうね♪…そう言えば姉さん、まだエンジンを試してないじゃない。せっかくだから鎮守府だけでも一周してみたら?」
リットリオ「ふふ、そこを提督に見せようと思って…それじゃあ提督、見ていて下さいね♪」
提督「はいはい…♪」
リットリオ「ふふっ♪」乗り込むとクラクションを鳴らし、窓を開けて手を振るリットリオ…
ムレーナ(フルット級中型潜)「あっ……止めろ、リットリオ!」相変わらず「ウツボ」だけに美しいがすご味のある顔立ちと、パリッとした背広姿がギャングのボスのようなムレーナ……と、急にリットリオに向けて叫んだ
リットリオ「えっ…?」エンジンのキーを回すと、何事もなくエンジンがかかる…
提督「…どうしたの、ムレーナ?」
ムレーナ「いや、爆弾でも仕掛けてあるんじゃないかと…ね」
提督「あー……映画でそんなシーンがあったわね」(※「ゴッドファーザー」パート2)
リットリオ「もう、おどかさないで下さいっ♪」
ムレーナ「…すまなかった」
リットリオ「それじゃあ改めて♪」ヴォロロロ…ッ
提督「うーん、この独特のエンジン音に丸っこいデザインはいいものね……ドリア、どうしてそんなに怪訝な顔をしてるの?」
ドリア「いえ、提督が先ほどからあの車を「フィアット500」と…新型モデルなんですか?」
提督「いいえ。それどころかかなりの旧式よ……どうして?」
ドリア「いえ…私の知っているフィアット500「トポリーノ」(ハツカネズミ)とは違いますので……」
(※トポリーノ…戦前生まれの初代「フィアット500」についた愛称。両目に見える位置の高いヘッドライトと、小回りが効きハツカネズミのようにちょこまか動き回る様子から名づけられ、フランスでも「シムカ・5」(シムカ・サンク)としてライセンス生産された。映画「ローマの休日」でグレゴリー・ペックとオードリー・ヘップバーンがドライブしたときにも使っていた、イタリア大衆車の元祖)
ライモン「…やっぱり時代の差が……」
提督「あー…ドリアの世代だとそうなるのも無理ないわ。リットリオの500は戦後生まれの二代目「NUOVA」で、今では三代目が主流なの…トポリーノは初代よ」
ドリア「なるほど、そうでしたか…」むっちりした張りのある身体をしていながら「やれやれ」と、おばあちゃんのように首を振るドリア……
提督「ええ…あ、戻ってきたわ」
リットリオ「ただいま戻りました、提督」
提督「お帰りなさい、調子はどう?」
リットリオ「おかげ様でいい調子ですっ♪」
提督「そう、それなら車庫はまだ空いてるから……駐車は大丈夫?」
リットリオ「はいっ、それはもう…よいしょ♪」かなりぎくしゃくしながらも車庫の空きスペースにフィアットを入れる…
提督「はい、お上手…それじゃあそろそろお昼にしましょうね♪」
リットリオ「はいっ♪」
ローマ「お昼は何かしら…たまには北部風の料理が欲しい所ね」
提督「んー、それは料理担当のディアナかエリトレアに言うしかないわ……今度でよければ私が作ってあげるけれどね♪」
ヴェネト「じゃあ今度お願いします…ね、ローマ?」
ローマ「そうね…たまにはフェットチーネに絡まる濃厚なカルボナーラが食べたいのよね」
提督「ふふ、北イタリアの料理はカロリーが怖いわよ?」
ローマ「赤ワインを飲んでいれば大丈夫よ…それより提督こそ、ふとももとお尻に気を配った方がいいんじゃない?」
ライモン「…全くですよ。提督ったら気が向いた時に海で泳ぐか、私やカヴールさんがやいのやいの言ってようやく運動するだけなんですから」
提督「それは、だって…ほら、執務もあるし……」
ライモン「…そんなに忙しいですか?」
提督「いえ…まぁ、それだけじゃなくてみんなとの交流も必要でしょうし…グレイ提督とヴァイス提督をもてなさないといけないし……」
カヴール「それにしても提督はのんびりなさっておられます……朝食を済ませたらお茶とお菓子…執務を少々こなして、昼食の後はお昼寝…午後はちょっとした執務の後にコーヒーや紅茶を味わい…その後は会議室で流す午後の映画を見るか、料理を手伝いつつ「味見」をなさって…さもなければ艦娘のみんなとおしゃべりに興じる……なかなか素敵な一日の過ごし方ですね♪」
提督「…なかなか手厳しいわね」
カヴール「うふふっ、私はただ「たまには運動の一つくらいなさった方がよろしいですよ」…と、申したかっただけです♪」
提督「了解…それじゃあ今日の午後はトレーニング室へ行くことにしましょう……はぁ、士官学校を卒業してようやく「腹筋」だの「腕立て伏せ」だのっていう運動からおさらばできたと思ったのに、まさかカヴールから「お小言」をいただくとは思わなかったわ…」
チェザーレ「そう言う時こそ「カヴールよ、お前もか!」と言うべきであるな♪」
提督「ふぅ…全くね」
カヴール「まぁまぁ……ちゃんと運動したら私からごほうびをあげますから…♪」にっこりと笑みを浮かべるカヴール
提督「…それじゃあうんと期待させてもらうわよ?」
カヴール「ええ、カヴールにお任せあれ…です♪」
ライモン「わたしも…頑張っている提督の事が好きですよ///」
提督「そう……なら腹筋の三十回くらいこなしてみせないといけないわね♪」
リットリオ「ふふっ…その意気ですよ、提督っ♪」
ローマ「ま、応援してるわ…♪」
…しばらくして・トレーニング室…
提督「はぁ…はぁ……はぁ…」薄いTシャツとジャージのトレーニングパンツ姿で腹筋に励む提督……まだまだ暑い盛りの南イタリアだけに、汗がぽたりぽたりと滴り落ちる…
リットリオ「さぁ、あと数回ですよっ♪」
アルマンド・ディアス(カドルナ級軽巡)「なかなかいい調子に見えますよ…提督、フォルツァ(頑張れ)♪」
提督「ひぃ…ふぅ……何で…こんな……串焼きの鶏みたいに……たらたら…汗を流さなきゃ……いけないのよ…!」
ライモン「運動は身体にいいですよ?」
チェザーレ「それに、たくさん汗を流すと一緒に老廃物が出るからな…頭皮にもいいと聞くぞ♪」数列あるフェンシングの試合レーンから出て防具を外した
提督「…んひぃ…ふぅ……」
コルサーロ(ソルダティ級駆逐艦)「へぇ、なかなか踏ん張ってるじゃねえか…あたしはてっきりすぐ音を上げるかと思ってたぜ♪」腕の立つチェザーレを相手に脚払いをかけたり締め上げたりと、「コルサーロ」(アラビア海賊)だけにルール抜きの猛烈な「海賊流フェンシング」を終え、感心したように声を上げる……
ボレア(トゥルビーネ級駆逐艦「北風」)「そうね、なかなか感心するわ」
シロッコ(マエストラーレ級駆逐艦)「…いいから。私と一戦交えるんでしょ?」どういう訳か妙に勘がいい褐色の駆逐艦「シロッコ」(砂漠から吹く強い南の季節風)が、練習用サーベルを取りあげる…
ボレア「はいはい…私の「北風」が乗った剣先をかわせるかしら?」
シロッコ「ふぅーん……ボレアこそ、この「歴史の立会人」に勝てると思ってるの?」防具をつけ、さっそく剣先を交える…
アントニオ・ピガフェッタ(ナヴィガトリ級)「…じゃあ、いいかな?」
アルピーノ・バニョリーニ(リウッツィ級大型潜)「もちろん…私は手の速さにかけては一流さ♪」大戦中のイタリア潜初の戦果として英軽巡「カリプソ」を沈めたバニョリーニ……そのせいもあってやたら手が早く、すぐに女の子を口説く癖がある…ピガフェッタに向けて白い歯を見せて笑いかけると、ぱちんとウィンクをした…
(※「カリプソ」…ギリシャ神話。漂着したオデュッセウスに恋をし「一緒にいる限り永遠の命と若さを与える」と言い、七年を一緒に過ごした巨人アトラスの娘。最後はオデュッセウスが故郷へ帰れるよう彼を手放せとヘルメス神に命じられた)
提督「ふぃー…ひぃ…はぁ…もうだめ…」マットの上にひっくり返る提督…白地に「R・モンテクッコリ」級軽巡のシルエットと、斜めに「Raccolta flotta d'italia」(イタリア艦隊これくしょん)と描かれたプリントTシャツが汗でびっしょりと濡れ、乳房に張りついている…
リットリオ「お疲れさまでしたっ…さ、どうぞ♪」
提督「ありがと…はぁぁ……」
ライモン「それはそうと…あの、提督…?」
提督「なぁに?…はぁ……ふぅ……」
ライモン「その…ブラは……お付けになってないのですか……///」張りついたTシャツから、ピンと乳房の先端が突き出している…
提督「ええ…腹筋する時にブラジャーなんて付けていたら蒸れて仕方ないもの」
ライモン「ま、まぁそれもそうですね…では、シャワーを浴びて着替えを……///」
提督「ええ、そうするわ……あー、こういう時は長髪を止めようかと思うわね。熱気がこもって暑いし…」
レオーネ(レオーネ級駆逐艦)「ふむ、それも悪くないかもな」なりは駆逐艦の中でもかなり小さいが、艦名が「ライオン」だけに迫力があり、いつも金茶色の髪がたてがみのようになっているレオーネ…
提督「んー……でもやっぱり切らないでおくわ。せっかく士官学校の卒業からずっと伸ばしてきたんだもの♪」
レオーネ「好きにするといい……それに提督の髪はいい匂いだ///」
提督「ふふ、ありがと…♪」ライモンに手を貸してもらい、トレーニング室から本棟に戻る小道へ出た…
………
…屋外射撃場…
提督「それにしてもまだまだ暑いこと…シャワーを浴びたら冷たいレモン水で決まりね」黄色いレンガで舗装された小道は途中で耐爆仕様の半地下式弾薬庫と、屋外射撃場の脇を通っている……と、誰かが射撃にいそしんでいるのか、からりとした夏の空気に余韻を残しながら銃声が響いている…
ライモン「そうですね、食堂でいただきましょう……射撃場にいるのは誰でしょうね?」
提督「そうね、誰かしら…って、メアリ?」…射撃場には防音の耳当てをつけ、白いシャツに袖なしの茶革のベストと栗色のスラックス、チェックのハンチング帽と「典型的イギリス人」スタイルで身を固め、綺麗な姿勢で散弾銃を構えているグレイ提督がいる…
グレイ提督「…」ダァァ…ン
エリザベス「相変わらずお上手でございますね…♪」
グレイ提督「…ふふ」バァ…ン
提督「…」射撃の邪魔にならないよう後ろから見学する提督……と、グレイ提督が数発撃ち終わって銃を置き、微笑みを浮かべて振り返った
グレイ提督「ごきげんよう……その様子ですと、体力トレーニングにいそしんでいらっしゃったのかしら?」
提督「ええ、何しろうちの艦娘たちが「運動しろ」とせっつくものですから…ちょっとのぞかせてもらいましたが、邪魔ではありませんか?」
グレイ提督「ええ、構いませんわ。ですが見学なさっても、わたくしの射撃ではあまり参考にならないでしょう」
提督「いいえ、絵に描いたように綺麗でした…♪」
グレイ提督「まぁ、嬉しいお言葉ですわ……せっかくですからカンピオーニ提督も数発試してみてはいかが?」…にこやかに垂直二連式ショットガンの薬室を開き、提督へ差しだすグレイ提督……美術品のような美しい木製ストックに、機関部のサイドに彫られた見事な彫刻…射撃台の上には渋いデザインの立派なガンケースが置いてある…
提督「これは見事な散弾銃ですね……って、「パーディ」ですか…!」触らせてもらおうとしてひと目見た瞬間、慌てて手を引っ込める提督…
(※パーディ…ロンドンで「ホランド&ホランド」と並ぶ最高のショットガンメーカー。仕上げの良さと性能は王室御用達クラスで、値段も王室御用達レベル)
グレイ提督「ええ…カンピオーニ提督は射撃がお上手ですし、どうぞお試しになって?」
提督「いえ、さっき運動してきて汗だくなので……銃を汚してしまいます」
グレイ提督「そう遠慮なさらずに…さ、どうぞ♪」
提督「……本当にいいんですか?」耳当てをしながら念を押す…
グレイ提督「ええ、どのみち後でクリーニングしますから♪」
提督「では失礼して……わ、わぁぁ……///」ほっそりと女性的で滑らかなストックに、しっかりと腕の中に納まるような素晴らしいバランス…感嘆のため息をつきながら眺め、肩づけして構えてみる…
グレイ提督「どうぞ?」…すっと数発の散弾を差し出すグレイ提督
提督「…ええ、ありがとうございます」銃身に二発を込め、的を狙って引き金を引く…
グレイ提督「まぁ、お見事ですわ」
提督「ふふ、銃がいいからですよ……ありがとうございます…」マナー通りに薬室を開いて返す提督…と、射撃台の上に骨董じみたリボルバーも置かれている…
グレイ提督「ふふ…お気づきになられました?」
提督「……ウェブリー・スコット、ですか」シャーロック・ホームズが持っているようなデザインの、かっちりしたリボルバーをしげしげと眺めた…
(※ウェブリー・スコット・リボルバー…第二次大戦頃まで軍用として長らく使われていた中折れ式リボルバー。口径はイギリス独特の「.38ブリティッシュ」で、中折れ銃身にする都合から威力は低めに抑えられている。後にエンフィールド造兵廠がコピーし訴訟騒ぎになっただけあり、刻印をのぞいて瓜二つ)
グレイ提督「ええ、ウェブリーの4インチですわ。最近のオートマティックはあまり……何といいましょうか、好みに合わないものですから」的に対して真横を向くように立ち、片腕を目一杯伸ばして構える……
提督「えーと、それは何とも…」
グレイ提督「ふふ、それでは参りますわ……」パンッ!…と軽い銃声がすると同時に、的の真ん中に穴が開く…
提督「お見事です」
グレイ提督「ふふ…ありがとう♪」
提督「……よかったら後でヴァイス提督も誘って、鎮守府にある銃の撃ち試しでもしませんか?」
グレイ提督「まぁ、それは面白そうですわね……ここの屋内射撃場にあるベレッタも、せっかくですから試してみたいと思っておりましたの」
提督「分かりました…それじゃあシャワーを浴びてきます♪」
グレイ提督「ええ、それではまた後で…」そっと提督の手を包むと、微笑を浮かべてから手を放した…
提督「///」
………
…提督たちの射撃トークばかりであんまり進んでいませんが、グレイ提督の貴族ならではのガジェット「パーディのショットガン」を登場させるためなのでご容赦ください…本当は「ウェブリー・フォスベリー・オートマティック・リボルバー」などと言う(…某スチームパンク・アニメで「黒蜥蜴星」出身の少女スパイが使っていた)珍品を出してもよかったのですが、さすがにグレイ提督は使わないだろうと……
…あと、書いている当人は海軍用語とパスタの名前、それにカンツォーネの歌詞で覚えた単語以外はイタリア語が出来ないので、提督の「イタリア艦隊これくしょん」Tシャツ「Raccolta flotta D’Italia」は合ってるかどうか……まずそもそも「D’Italia」の「I」は大文字でした、ごめんなさい……
………
乙。むこうでもSっ気がまじってて歓喜
>>181 どちらも読んで下さってありがとうございます……想像力が足りないためか似通った場面や表現が多いですし、まったく遅いですがが楽しんでもらえれば幸いです
……感想を見るとSっ気のある百合とおねロリが好きな方が多いようですから、頑張ってそう言った要素を入れていきたいと思います
…昼頃・食堂…
提督「…という訳でヴァイス提督、午後になったら一緒に射撃でもしませんか?」運動の分を帳消しにする勢いで美味しい海鮮のパスタ「ボンゴレ・ビアンコ」を口に運んでいる……
ヴァイス提督「なるほど…しかし私は軍の訓練以外で射撃をすることなどほとんどありませんし、気の利いた話も出来るような性格ではありません……お二人の邪魔になってしまうのではありませんか」
提督「ふふ、そんなことありませんよ。どのみち射撃の時は集中していますからおしゃべりは必要ありませんし、射撃をしていないときは当たったか外れたかで相手をほめるか「惜しかったですね」とでもいえばいいのですから…ね♪」
ヴァイス提督「そうですか…では参加させていただきます……」急に苦りきった表情でビスマルクたちの方を眺めた
提督「…どうしました?」
ヴァイス提督「いえ……あの馬鹿め……」
…ビスマルクたちの席「軍人たちのテーブル」…
…いつもめいめいの好きなように座っている昼食の席ではあったが、時々は違う相手ともおしゃべりできるようにと席次が決まっていることもある…今回は艦名の由来ごとに「生き物」や「天気」「神話」「学者」「作家・記者」などにカテゴリー分けされ、ビスマルクたちは「軍人・政治家」の席に座っていた…
ビスマルク「うむ、これは美味いステーキだ……んぐっ、はぐっ、むしゃむしゃ……んぐっ、ごくっ、ごくっ…♪」…ディアナがビスマルクのためにと、ほど良く焼いたミディアム・レアのステーキに半熟の目玉焼きを乗せた「ビステッカ・アッラ・ビスマルク」(ステーキのビスマルク風)を出すと、勢いよくがっつきながらビールで流し込む……
チェザーレ「……やはりゲルマニアの蛮族だ。うむ、間違いない」
ドリア「…美食とは食べ方も含めて美食なのですが……あれでは味も分かりはしないでしょうね」艦名が美食家の「ドリア候」だけに困惑しているようなドリア…
ガリバルディ「あきれてものも言えないわ…食べっぷりだけは大したものだけどね♪」
ビスマルク「ん…諸君、私がどうかしたのか?」
ドリア「いいえ…♪」
チェザーレ「うむ、チェザーレは何も言っておらぬぞ」
ガリバルディ「さすが鉄血宰相…胃袋も鉄でできているみたいね」
ビスマルク「ふむ。美味い物は好きだ……いくらでも食える!」
(※肉や卵、牡蠣やキャビアや鮭・鱒類が大好きだったというビスマルクの暴飲暴食は有名だったらしく、「牡蠣を150個以上食べた」とか、「一回の食事に卵15個を食べていた」、「食事をワインで流し込む食べ方を呆れられたことがある」などと言われる……イタリアではビスマルクの卵好きな所から半熟卵を乗せたピッツァやステーキを「ビスマルク風」という)
ディアナ「ふふ、そうやって「おいしい」と言って綺麗に食べて頂けるのは嬉しいことです…もう一枚焼きましょうか?」隣のテーブルから声をかけるディアナ…
ビスマルク「すまんな、ぜひ頼む!」
ドリア「…一枚200グラムはありましたが……これで四枚目ですか」
ティルピッツ「…姉上の食事量は私でもあきれます……ヴァレンタイン・デーもそうでした」
アミラーリオ・カーニ(カーニ級大型潜)「あら、そうなんですか?」
ティルピッツ「ええ。何しろ姉上の進水したのが39年のヴァレンタイン・デーなので……ヴィルヘルムスハーフェンでは姉上の「誕生日」と言うこともあって、数十人から贈り物を受け取っていたのですが……」
カーニ「ですが…?」
ティルピッツ「…姉上は事前に「花なんかいらん。すぐにしおれるし予算の無駄だ…宝石や飾り物もいらん。金や銀より鉄の方が戦の役に立つし、そんなにネックレスだの何だのを付けたら首が折れる…くれるなら何か飲み食いできるものにしてくれ」と…」
ゴフレド・マメリ(マメリ級中型潜)「ふふっ、なかなか面白い意見だ…そう思いませんか、ガリバルディ?」イタリア統一運動でガリバルディと共闘しただけあって、常にガリバルディを尊敬しているマメリ…
ガリバルディ「ええ、それでよく女心を射止められるものね……大したものだわ」両手を上げて肩をすくめた…
バニョリーニ(リウッツィ級大型潜)「ふふ、「いい女」って言うのはそういう物なのさ…ぜひとも見習いたいね♪」大型潜「バニョリーニ」(アッティリオ・バニョリーニ)はさわやかな笑みを浮かべて見せた……当然のように片手は隣のカッペリーニ級大型潜「コマンダンテ・カッペリーニ」のふとももに置かれている…
コマンダンテ・カッペリーニ「…バニョリーニはもう教わらなくても大丈夫でしょうに///」…後に「ルイージ・トレーリ」などと同じように物資を搭載して東南アジア方面まで長躯、ドイツ潜「UIT.24」から日本潜「伊五〇三」と所属を変えたカッペリーニだけあり、伊・独・日のいい所をあわせ持っている……バニョリーニにふとももを触られると、頬を桜色にして日本風の恥じらいの表情を浮かべた……
アレッサンドロ(マルコーニ級大型潜)「…私も。ぜひともそのやり方を知りたいものだね♪」大西洋進出後に初の戦果を挙げたアレッサンドロ(アレッサンドロ・マラスピーナ)だけに「全イタリア潜初戦果」のバニョリーニと張り合うように女の子を口説くのが上手で手が早い……こちらもさりげなくブラガディン級中型潜「マルカントニオ・ブラガディン」と椅子を近づけ、そっとふとももをくっつけている
ブラガディン「…私なんかにこんないい目があるとは///」…援軍もなしにオスマン・トルコから一年以上もキプロスの要塞を守り、最後は命の保証と引き換えに降伏したものの裏切られ吊るし切りの惨殺…とひどく悲運な中世の提督を名前に持つ「ブラガディン」だけに、アレッサンドロの優しい触れかたにとろけきっている…
ティルピッツ「…それでですね、当日になったらワインやシャンパン、チョコレートを山のように受け取って……しかも姉上は「感想だの礼だのを言わんといかんから、全部翌日までに食べきる」と言って……」
ルイージ・トレーリ(マルコーニ級大型潜)「はぁ…それは何と言いますか……そんなにチョコレートを食べたら鼻血が出そうですね?」
ティルピッツ「それが何ともないのですから姉上はすごいです…もっとも、最後の方は「誰もかれもチョコレートや菓子ばかりで口の中が甘くて仕方ない…たまにはガチョウとか、白ソーセージとビールを贈ってくれてもいいではないか」とぼやき通しでしたが…私もお相伴にあずかりましたが、量が多すぎてとてもとても……」
アブルッツィ「うへぇ…」
ビスマルク「うむ、美味いっ…もう一杯もらおう」バーカウンターにあるビール瓶を数本つかんで持ってくると、数本をまとめてピッチャーに空けてぐいぐいとあおる…
カヴール「…」
………
…食後・バーカウンター…
提督「…ビスマルク、食事は美味しかった?」
ビスマルク「あー、それはその……実に美味かったな!」
提督「そう、それはよかったわ♪」(…ディアナの手料理を味わわないで胃に放り込んでいたのね……)
ビスマルク「うむ、実に結構だった」
ヴァイス提督「…お話中に失礼、カンピオーニ提督。…少しビスマルクに用が……こっちに来いっ…!」耳をつかんで引っ張っていきそうな勢いでビスマルクを食堂の入り口まで連れて行く…
ビスマルク「…何だ?」
ヴァイス提督「全く…「何だ」も何もあるか!飢え死にしかかった狼みたいにがっついて……イタリア艦の食べ方と比べてまるで原始人ではないか…ドイツ連邦海軍の代表としてここにいることを忘れるなと、あれほど訓示したろうが…!」…どうやら小声で叱り飛ばしているヴァイス提督
ビスマルク「仕方あるまい……艦を操り、考えを巡らせるには栄養がいるのだ」
ヴァイス提督「別に私も「食うな」とは言っていない…が、食べ方をわきまえろと言っているのだ。あれほどテーブルマナーを教えただろう…!」
ビスマルク「それは私も分かっている……が、空腹の時はそこまで頭が回らんし…そこまで考えが回る時にはもう食べ終わっているのだ」
ヴァイス提督「……では今度からより一層注意するようにせよ。以上…!」
ビスマルク「ヤヴォール!」
グレイ提督「……ヴァイス中佐はいったいどうなさったのかしら」隣のストゥールにそっと腰かけるグレイ提督
提督「あら、メアリ…いえ、きっと何か気になることがあったのでしょうね」
グレイ提督「かもしれませんわね……どうでした、エメラルド?」
エメラルド「はい、やはりヴァイス中佐は食事時におけるビスマルクの振る舞いを叱責されているようでした」
グレイ提督「ふふ、やはりそうでしたか…ご苦労さま」
エメラルド「はい、それでは失礼いたします…」
提督「…あの」
グレイ提督「ふふ、他国の様子には常に関心を持っておりませんと…ね♪」
提督「…」
グレイ提督「さてと…せっかくですもの、ビールでもいただきますわ」
エリトレア「はぁい、何にしますかっ?」
グレイ提督「そうですわね…ではそのエールを一パイント」(※英パイント…570ミリリットル)
エリトレア「…えぇ…と?」
提督「570ミリリットルよ、エリトレア……面倒な言い方をするわよね?」
グレイ提督「…ふふ、何かおっしゃいまして?」
提督「いいえ、何でもありませんよ」
グレイ提督「そうですか?」長いビールグラスになみなみと注がれたエールをゆっくりと傾けるグレイ提督…と、そこにポーラたちザラ級が揃ってやってきた……
ザラ「私に赤を一杯ちょうだい……それにしてもいい天気ね。暖かい日差しの下でワインが心地よくお腹に収まってるわ♪」
フィウメ「こんな日はほろ酔い気分で昼寝としゃれこむのもいいですね…「ナポリを見て死ね」ではないですが、同じ沈むならこんな天気の日がよかったですよねぇ」
ポーラ「そうですねぇ…それにしても「我らザラ級、生まれた時は違えどもぉ…沈む時は同じぃ~」……な~んて言ってたら、まさかの本当になっちゃいましたものねぇ…しかもポーラのせいでした、ど~もすみませ~んっ♪」ぺろりと舌を出して自分の頭をコツンとやってみせるポーラ…
ゴリツィア「しかも私だけ置いてけぼりなんですからねぇ…あははっ♪」
提督「あー……ブラックユーモアにしてもなかなかきついわね。そんなに悪いワインだった?」
ザラ「ふふっ、そうじゃなくて…おかげさまでこんな可愛い姿になった妹たちと再会できたし、まるで「生まれ変わった」ようなものだからお互いに茶化してるのよ……ちなみにこの後は姉妹で昼下がりの「ベッドシーツ沖海戦」で決まりね…ボルツァーノ、あなたもよ♪」
ボルツァーノ「…えっ、私まで巻き込まなくたって///」
ポーラ「いいじゃないですかぁ~、ボルツァーノはポーラたちの妹みたいなものなんですからぁ……お姉ちゃんが優しくしてあげますねぇ~♪」
ボルツァーノ「…もぅ、そう言うポーラが一番激しいんですから……///」
提督「…うふふっ、あきれた♪」
グレイ提督「ふふふ……ではわたくしたちは射撃で汗を流しましょう。いったん失礼いたしますわ」最後の一口を飲み終えて、支度をしに部屋に戻って行った…
提督「それじゃあ私も失礼するわ…あんまり頑張り過ぎちゃだめよ?」
ポーラ「分かってまぁす…えへへぇ♪」
…夕方・屋外射撃場…
提督「…お待たせしました、グレイ提督♪」約束の時間に数分ほど遅れ、さっぱりとした開襟ワイシャツと軽いグレイのスラックス姿でやってくる提督…
グレイ提督「いえいえ、「待つ」と言うほど待ってはおりませんよ」そう言いつつ、銃置き用の台にはすでにウェブリー・スコット・リボルバーが用意されている…元はと言えば無骨な軍用ピストルではあるものの、グレイ提督のウェブリーはよく手入れされているらしく金属は深い青色で、改めて取り付けたらしい黒檀の握りは、ほんのりと艶を帯びている……
ヴァイス提督「私も大丈夫です、その間に準備をしていましたから」ヴァイス提督もさっぱりした半袖ワイシャツと制服のスラックスと言った格好で、台に官給品の銃を載せてある…
提督「ならよかったです……わぁ、「ワルサーP38」とは懐かしい銃ですね♪」
(※ワルサーP38…「ルパン三世」の愛銃としてもお馴染みのダブルアクション・軍用ピストル。第二次大戦時にはドイツ軍に採用され、戦後も「P1」と名前を変え、長く軍用として使用された。9×19ミリ口径。装弾数8+1発)
ヴァイス提督「今は「P1」と言う名称になっていますが、私はそこまで銃にこだわりはないので…軍内ではヘックラー・ウント・コッホの「P7」の方が性能がいいと聞きますし」
(※H&K「P7」…「MP5」サブ・マシンガン・シリーズなどで世界的に有名なヘックラー・ウント・コッホ(ヘッケラー&コック)の軍・警察用ピストル。「スクイーズ・コッカー」という独特な機能を持ち安全性に優れる。口径9×19ミリ。装弾数はモデルによって8+1発か、13+1発)
提督「無理を言ってはいけませんよ、名銃とはいえ戦前に生まれたモデルですし…触ってもいいですか?」
ヴァイス提督「ええ、どうぞ……ピストル一丁でそんなに喜んでもらえるとは思いませんでした」
提督「だって、なかなか実物にお目にかかる機会がなくて…わぁ、手によく馴染みます♪」弾倉を抜き、薬室にも弾が入っていないかスライドを引いて確認すると、頬ずりしそうな様子でワルサーを撫でまわす提督…
ヴァイス提督「そうですか…それはよかったです」
提督「あ、そうでした……私も「イタリア代表」のピストルを何丁か持ってきました♪」ケースを開けて数丁のピストルを取り出す提督…
グレイ提督「あら、この銃は存じ上げておりますわ…ベレッタのM1935でしょう?」
(※ベレッタM1934・M1935…世界で最も有名な小火器メーカーの一つ「ピエトロ・ベレッタ」社が戦前に警察・軍用として生産した中型オートマティック・ピストル。シンプルな構造で故障が少なく、仕上げも丁寧なことから、イタリア将校・下士官を捕虜にしたイギリス軍将兵は真っ先にこれを取り上げて「お土産」にした名銃…1943年のイタリア休戦後、北イタリアを占領したドイツ軍が生産ラインを接収・再生産したほどだが、急造しすぎてイタリア時代のものに比べ仕上げがずっと雑になったと言われる……戦後も1980年代まで生産され、100万丁とも言われる生産数を誇る大傑作ピストルに。口径9×17あるいは7.65×17ミリ。装弾数7+1発)
提督「ええ、よく御存じですね♪」
グレイ提督「いえ、わたくしの祖父が大戦中にイタリア兵の捕虜から「お土産」として手に入れたものが実家にありますので…♪」
提督「そうですか……まぁ世界に名を轟かす傑作ピストルですから「まともなオートマティック・ピストルのなかった」イギリス軍には特に好評だったようですね♪」
グレイ提督「ええ…それにイタリア将校の捕虜には事欠きませんでしたから♪」
ヴァイス提督「あの、楽しげなところ申し訳ないですが…カンピオーニ提督、その銃はそんなに有名なのですか」
提督「!?」
ヴァイス提督「いえ、私も教本や資料で名前と性能は知っていますが…私は家に銃のコレクションがあるわけでも、射撃場に通ったりと言うこともないので……」
提督「あー…そういう時は数発試してみたら分かりますよ」
グレイ提督「…それがよいですわ♪」
ヴァイス提督「それでは、えーと……」見慣れないピストルにまごつくヴァイス提督…
提督「ふふっ…弾倉はワルサーP38と同じように「爪」になっていますから、指で爪をずらしてあげて……♪」むにっ…♪
ヴァイス提督「…っ///」提督が後ろから操作を説明すると同時に、ヴァイス提督の背中にむっちりした乳房が押し付けられる……
提督「…それで、弾倉を押し込めば……はい、後はスライドを引くだけで撃てますよ」
ヴァイス提督「ダンケシェーン…それでは」耳当てをつけ、一生懸命に構える…
ヴァイス提督「…っ!」パンッ!
グレイ提督「まぁ、ずいぶんお上手ですわ」
提督「ええ…大口径のピストルではないですし、あまり力まずに構えた方が上手く撃てますよ」
ヴァイス提督「なるほど…それでは、撃ちます」パン!
提督「ふふ、さっきよりもずっと良くなりました…それとベレッタ1934は小ぶりなピストルですから、こうやって……」後ろから抱きつくようにしてあれこれと姿勢を直す提督と、薄いシャツを通して肌に伝わる柔らかな胸と乳首の固い感触、ほのかな甘い香りに真っ赤になっているヴァイス提督…
グレイ提督「まぁまぁ…ふふふ」
提督「お相手をせずに失礼しました……グレイ提督もお好きなのをどうぞ?」
グレイ提督「そうですか…でしたらわたくしもベレッタ1934にいたしましょう。一番落ち着く時代の銃ですので」
提督「イギリスの方は好みが保守的ですものね♪」
グレイ提督「保守的なのではなく、長く残っているということはそれだけの価値がある…と考えておりますわ。お二人には申し訳ありませんが、イタリアやドイツ……あるいフランスの方がお好きな「新奇のこころみ」は面白くても長続きしない物ですし…もし価値があるのなら、その時になって取り入れればよいのです」
提督「なるほど…ではぜひ「新奇のこころみ」も試してみて下さい♪」イタリア軍制式オートマティック・ピストル「ベレッタM92」を銃把を向けて差しだした
グレイ提督「ええ、そうですわね……っ!」パァン!
提督「…悪くないでしょう?」
グレイ提督「グリップが少し分厚く無骨な感じで握りにくいですし、スライド上面が切り欠いてあるので強度が心配になりますわ…まぁ悪くはないと存じます」
提督「ふふ、やっぱり褒めてはくれないのですね…?」
グレイ提督「いいえ、わたくしベレッタ・M1934はイタリアの中では「好みのピストル」と申し上げてもよろしいほどですもの」
提督「相変わらず頑固ですね♪」
グレイ提督「…安定感があるとおっしゃって欲しいですわね♪」
提督「でしたらウェブリーを貸していただけませんか…そんなに安定感があるのか試してみたくなりました」
グレイ提督「ええ、どうぞ」
提督「なるほど……グリップは小ぶりで女性の手にもちょうどいい具合ですし、銃自体のバランスも片手で持つと一直線に伸びるようで……」
グレイ提督「古い決闘用ピストルの流れから生まれたバランスの良さですわね」
提督「うーん……撃鉄も無理なく親指が届きますし…」カチリ…と撃鉄を起こして引き金を引いた
グレイ提督「…いかがですか?」
提督「なかなか見事なピストルです……確かにイギリスの将校がやっていたように片腕をいっぱいに伸ばして構えると、ちょうどいい具合になりますね…」
グレイ提督「そう言う風に出来ているものですから…せっかくですから、ワルサーもよろしいかしら?」
ヴァイス提督「はい、どうぞ」
グレイ提督「ありがとう……ふむ、なるほど…握り心地の良さはなかなかですわね。とはいえ、安全装置がスライド側面にあるのは親指を伸ばさなければならないですから不便ですし、グリップも前後の長さと厚みのバランスが少々悪いですわね?」
ヴァイス提督「そうですか…私は別に気になりませんでしたが」
提督「気にしないで大丈夫ですよ、ヴァイス提督……グレイ提督に限らず、イギリス貴族は皮肉と嫌味を言わないと生きていけない人種なんです♪」
グレイ提督「ふふ、イタリアの方ならではの面白いご冗談ですわね♪」
提督「うふふっ…射撃が済んだらもっと面白い話を聞かせてさしあげます♪」
グレイ提督「まぁ、それは楽しみですわね……♪」パンッ!
提督「んー、惜しい…ちょっと左上に跳ねましたね」
グレイ提督「ふふっ、皮肉を言っておくとこういう時に役立つのですわ…「わたくし撃つ前に申しましたが、グリップのバランスが悪くて…反動を抑えられるよう上手く握ることができませんでしたの」とね♪」
提督「ふふふふっ…なるほど♪」
ヴァイス提督「なるほど、それで何かにつけて……参考になります」
グレイ提督「ふふ、冗談ですから本気になさらないで?…それよりわたくし、カンピオーニ提督の面白いお話が聞きたいですわ♪」
提督「それじゃあ日も傾いて来ましたから、もうちょっと撃ち試しをしてから戻りましょうか?」
グレイ提督「ええ、それがよろしいですわね♪」
ヴァイス提督「分かりました」
提督「それではもう一発……」パン!
グレイ提督「まぁお上手…♪」にこやかに笑みを浮かべて小さく拍手するグレイ提督
提督「ふふ…ありがとう、メアリ♪」銃を置くと頬にくちづけをする…
グレイ提督「まぁまぁ、そのようなおいたをしてはいけませんわ…めっ♪」提督の唇に人差し指を当てて、茶目っ気のある言い方で叱る…
提督「んふふっ、ごめんなさい…っ♪」唇に当てられた人差し指に改めてキスをする提督
グレイ提督「全くもう…イタリアの女性は積極的ですわね」
ヴァイス提督「///」
提督「ふふっ…それでは戻りましょうか。美味しい夕食が待っていますよ」
…夕食時…
提督「ふぅぅ、シャワーを浴びてさっぱりしたら…急にお腹が減ってきたわ♪」
カルロ・ミラベロ(ミラベロ級駆逐艦)「ふふ、提督はいつもお腹を空かせていると思うわ……こっちの方でもね♪」ふとももを愛撫するミラベロ…
提督「ふふ…またお仕置きされたいのかしら。手はおひざの上にどうぞ?」ミラベロの小さい手をとって膝の上に戻す提督…
ミラベロ「あんっ、もう…♪」そこそこの高さがある椅子だけに、床へ届かない脚を空中でぶらぶらさせているミラベロ…
…一見すると小柄でいかにも幼いが、第一次大戦時に計画された駆逐艦が第一次大戦後の20年代になって完成したとあって駆逐艦勢のなかでは最年長……のはずが、やはり見た目のせいで耳年増でませているように見えるミラベロ級駆逐艦の「カルロ・ミラベロ」「アウグスト・リボティ」の二人……
ポーラ「…カクテルは何にしますかぁ~?」提督たちのテーブルへやって来て食前酒の注文を聞くポーラ…
グレイ提督「…それでは、ピンク・ジンをいただきますわ」
(※ピンク・ジン…カクテル。ジンに数滴の「アンゴスチュラ・ビターズ」(赤色を帯びた薬酒)をたらしステアあるいはシェークしたもの。イギリス海軍は長くジンを配給していたことから士官の食前酒として愛飲されていた)
提督「じゃあ私は……白にしておくわ」
ポーラ「えへへぇ、了解しましたぁ~。…ヴァイス提督は何になさいますかぁ~?」
ヴァイス提督「あ、あー…レーヴェンブロイをお願いする」
ポーラ「はぁ~い、お待たせしましたぁ♪」…しばらくするとグラスや瓶を盆に載せて戻ってきた
提督「……それでは」
グレイ提督「ふふ「君の瞳に乾杯」…♪」
提督「まぁ…「カサブランカ」とは素敵ですね♪」
グレイ提督「ふふ。ところがわたくしはカサブランカより先に「007/ムーンレイカー」で知ったのです……ふふっ、おかしいでしょう♪」
(※「007/ムーンレイカー」に出てくる悪役「ジョーズ」が訳ありながら結果的に007を助けることになり、007の脱出後に、ジョーズが一目ぼれしている「メガネでおさげ」の目立たない娘にシャンパンをごちそうしようと「ジョーズ独特な」やり方で栓を開けてから、カサブランカの名セリフを引用して言う…見た人はなにかと驚く場面)
提督「うっふふふ、それじゃあ私はあのメガネでおさげの娘ですか?」
グレイ提督「ジョーズよりはいいではありませんか…でしょう?」
提督「ふふふふっ、それはそうですが…♪」
ヴァイス提督「失礼……お二人とも一体何の話をなさっているのですか」
グレイ提督「え?…あの、まさかとは思いますが……ヴァイス中佐は「007」をご存じないのですか?」
ヴァイス提督「いえ、スパイアクションの映画であることは知っていますが……別段興味を引かなかったもので見ませんでした」
グレイ提督「まさか…ふふ、きっとご冗談ですわよね」
ヴァイス提督「いいえ。私は別段フィクションを見たいと思うことはありませんから……現実にある事を描いたドキュメンタリーの方が、色々と考えさせられるので好みです」
グレイ提督「…わたくしもドキュメンタリー映画は嫌いではありませんわ……ですが英国が生んだ最高のスパイ映画をご覧になったことがないなんて」イギリス貴族の女性でしかできないようなキングス・イングリッシュのアクセントに見事なほど軽蔑と皮肉を込めて「嘆かわしい」と言うように声を上げた…
提督「…」
グレイ提督「どうして見たいと思わなかったのかしら……車の趣味…いえ、それとも銃の趣味かしら……でも「PPK」はドイツのピストルですもの、と言うことは銃の趣味ではありませんわね…それでは「奇想天外な秘密兵器」のせいでしょうか?」
ヴァイス提督「…いえ、そもそもああいった「色男」が出て来る映画と言うのが……別に格好いい男性は嫌いではありませんが、やさ男と言いますか…女たらしのようなキャラクターは女性を手もなく口説くことが出来ると思い込んでいるような感じがして…ですから好みではありません」
提督「ふふ…シャルロッテとはもっと仲良くなれそうです♪」(…私も時々007が女性だったらいいのにと思っていましたから♪)
グレイ提督「…なるほど……しかしそこを差し引いても痛快な所が007の魅力ですもの。機会がありましたら…と言うより、わたくしからそちらの鎮守府にセットをお送りしておきますわ」
ヴァイス提督「だ、ダンケシェーン…」
提督「それでは話も済んだことですし……アンティパスト(前菜)はオリーブとトマトのざく切り、それにカッテージチーズを合わせた南イタリアらしいサラダ…それとムール貝のワイン蒸しですよ♪」
グレイ提督「まぁ、綺麗なものですわね…それではムール貝をいただきたいですわ♪」
提督「ええ、どうぞ…♪」
ヴァイス提督「では、私もムール貝を…」
提督「はい♪」
ミラベロ「ねぇ提督……提督は私のおへそにムール貝を載せて「ちゅるっ」ってしたいんじゃない…?」背中を伸ばして提督の耳にささやきかける…
提督「ふふ、全くもう…そういうことをする時は生牡蠣よ♪」
ミラベロ「あら、ごめんなさい…♪」
グレイ提督「ところで、カンピオーニ提督」
提督「ええ、何でしょう?」
グレイ提督「よろしければその「面白いお話」と言うものをぜひ伺いたいところですわ」…苦手なのか「タコのマリネ」には手を出さずに次の一品…ピリリと唐辛子の効いた「パスタ・アラビアータ」をよそってもらうグレイ提督
提督「そうですね、せっかくですしお話しましょうか……これは海軍航空隊の「とある友人」から聞いたのですが」
グレイ提督「ええ」
提督「…ある夏の日の事、その友人は軍の射撃場で規定された分のピストル射撃を行っていたのですが……」
グレイ提督「ふむふむ…」
提督「暑いからと軍用シャツの腕をまくり、胸元も大きく開けて的に向かっていたそうなのです」
グレイ提督「なるほど、それで…?」
提督「…ところが、私がよく知っているその友人は胸のボリュームがかなりありまして」
グレイ提督「ほう」
提督「何発か撃ったところで弾きだされた空薬莢が胸の谷間に飛び込んできた…と♪」
グレイ提督「まぁ……ふふ♪」
ヴァイス提督「…それで、火傷はしなかったのですか?」
提督「ええ、幸い火傷の痕が残るほどではありませんでしたが…しばらくは触ると痛がっていましたよ♪」
ヴァイス提督「触ったのですか……他の人の胸を?」
提督「ええ。何しろ「親しい友人」ですので、谷間以外にもいろいろな場所を……ふふっ♪」
ヴァイス提督「あっ…」
グレイ提督「ふふ…きっとずいぶん「親しい関係」でいらっしゃるのね♪」
提督「まぁそういう事になりますね……せっかくですし、グレイ提督も何かお話をしてくださいませんか♪」
グレイ提督「そうですわね、わたくしが知っている面白いお話……ちょっとした冗談でも構いませんかしら?」
提督「ええ、軽い冗談は好きですよ♪」
グレイ提督「さようですか。でしたら……スコットランドに薬屋を営む正直な男がおりました」
提督「ええ」
グレイ提督「ある時にお客が駆け込んできて、数ペンスの安い薬を買うと1ポンド札を置いて、お釣りももらわずに飛び出していきました…」
提督「それで?」
グレイ提督「薬屋の男は1ポンドは惜しかったものの正直な男でしたから、お客を呼びとめようと決意をし……カウンターをスポンジで叩いてお客を呼びとめようとしたそうです…♪」(※スコットランド人…イングランド人いわく「ケチ」だとされる)
提督「ふふっ…うふふふっ♪」
ヴァイス提督「あぁ…なるほど、スポンジで叩いても音が鳴らないからか……」
グレイ提督「ええ、その通りですわ……ところでカンピオーニ提督はまだまだ面白いお話をご存じに見えますわ、どうか聞かせて下さいな?」
提督「ええ、分かりました…実はこの間、海軍憲兵の「特別査察」を受けてしましまして」
グレイ提督「まぁ、それは災難でしたわね…それで、具体的にはどのような?」
提督「実は夏季休暇(ヴァカンス)中にうちの鎮守府の娘たち数人がちょっとした「トラブル」を……」そう言って中世ヴェネツィアの提督たちを艦名に取った潜水艦「マルチェロ」級に軽く手を振った…
マルチェロ「おや…諸君、我らが提督が私たちに向けて「見送りに来てくれたヴェネツィア美人」のように手を振ってくれているぞ?」
エモ「わぁ、嬉しいです♪」
バルバリゴ「全くだな。しかし提督はいつみても抱きたくなる…あんな美人がヴェネツィア生まれでないのが不思議なくらいだ」
リボティ(ミラベロ級)「だってさ、提督……でも確かに、提督は私たちのもとに舞い降りたアンジェリータ(小さな天使)だよ♪」
…ミラベロと同じように小さい身体で耳年増、おまけに歯の浮くような口説き文句を平気で言える妹の「アウグスト・リボティ」……裾に白いレースをあしらった黒いクラシカルなワンピーススタイルで、髪をパールグレイのリボンでツインテールに結んでいる…
提督「…ふふっ、ご丁寧にどうも♪」
…食後…
提督「ふー…とっても美味しかったわ♪」
ディアナ「ありがとうございます」
提督「いいのよ。それにしても、いつもなら駆逐艦や潜水艦の娘たちがお菓子や何かをねだりに来ているはずなのに……珍しいわね?」
ディアナ「そうですね…何でも会議室でアニメの「上映会」だそうですよ。わたくしもお呼ばれしております」
提督「あー、そう言われれば私も声をかけられていたわ……それじゃあちょっとのぞいてみようかしら」
ディアナ「それがよろしいかと…わたくしもお皿を流しに浸けたら参ります」
提督「必要なら後で私も手伝うわ。…グレイ提督もよかったらいかがですか?」
グレイ提督「嬉しいお申し出ですが…わたくし、少々用事がございまして」
提督「それでは仕方ないですね。ヴァイス提督?」
ヴァイス提督「申し訳ない、私も予定がありまして…ですが、よろしければビスマルクとティルピッツを招待してもらえますか。食後には特に予定もありませんので」
提督「ええ、喜んで…エリザベスとエメラルドはいかがでしょうか?」
グレイ提督「ふふ、あの二人はドイツ艦のお二人に近づけるときっとご迷惑をおかけしてしまいますから……お気持ちだけ受け取っておきますわ」
提督「そうですか…それではヴァイス提督、二人をエスコートさせていただきますね」
ヴァイス提督「は、よろしくお願いします」
………
…会議室…
提督「こんばんは、お邪魔するわね♪」
シロッコ(マエストラーレ級駆逐艦)「あ、いらっしゃい……ビスマルクとティルピッツもね♪」紙の入れ物に入った塩味のポップコーンや爪楊枝に刺したオリーヴ、あるいはプレッツェルと言ったおつまみが用意され、部屋は薄暗くしてある
提督「…それで、今日のアニメは何を流すの?」
フォルゴーレ(フォルゴーレ級駆逐艦)「えーと…日本の有名なシリーズものなんだけど、その何作かをこの間買ったの」
…艦名がいずれも「雷」や「稲妻」だけあって、雷のような金髪の房が頭からはねている「フォルゴーレ」(稲妻)…姉妹艦もみんな電光のような形をした特徴的な髪の房やアホ毛が、つむじやこめかみから伸びている…
提督「へぇ…それじゃあここに座らせてもらっていいかしら?」
シロッコ「ええ、どうぞ…お二人もね」
ビスマルク「うむ、済まんな!」
ティルピッツ「…ダンケシェーン」
ディアナ「ふぅ、遅ればせながらわたくしも参りましたわ…シロッコ、お招きして下さってありがとう」
シロッコ「いえいえ……それじゃあそろそろ始めるわ♪」
ストラーレ(フレッチア級駆逐艦)「待ってました!」
アルフレド・オリアーニ(オリアーニ級駆逐艦)「もう、手順が悪いんだから」
提督「まぁまぁ…わぁー♪」軽く歓声を上げて拍手する提督…
シロッコ「…まずは「機動戦姫カンムス1940・ポケットサイズの戦艦」…通称「ポケ戦」から行くわよ」
提督「ふんふん…ドイツ艦が主役なのね」
シロッコ「ええそうよ…ビスマルクたちも来てくれたことだから、とっつきやすいように……さぁ、始まるわ」
…しばらくして…
アニメ「…悲しいけど、これでもドイツ軍人なんだよなぁ……!」
ビスマルク「…」
ティルピッツ「…ううっ」
提督「…」
シロッコ「うーん……何とも悲しい話だったわね。でも戦闘シーンの派手さは大したものだったわ」
ティルピッツ「ううっ…「絶対死ぬんじゃねえぞ…お前がいなくなったら威張れる相手がいなくなっちまう」の場面は涙せずに見られませんでした」
ビスマルク「いや、「このままでは間に合わない!」のシーンも身に摘まされる思いだった…!」
フルミーネ(フォルゴーレ級「電撃」)「ねぇシロッコ、次も見よう?」
シロッコ「んー…とはいってももうだいぶ時間がたったから、次は明日ね」
提督「そうね、それがいいわ…みんなお風呂だってまだなんでしょう?」
サエッタ(フレッチア級「電光」)「大丈夫、雷みたいな速度ですぐ入ってすぐ出ちゃうもの!」
提督「もう、ちゃんと洗わないとダメよ……私もお風呂がまだだし、一緒に行きましょうか」
ダルド(フレッチア級「雷光・矢」)「ええ、行きましょ!」
提督「それじゃあ行きましょうか。…ところでビスマルクとティルピッツは、もうお風呂を済ませた?」
ビスマルク「いや、まだだが…」
ティルピッツ「え、ええ…///」
提督「お風呂…一緒に入らない?」
ビスマルク「!?」
ティルピッツ「いえ…そんな他人に裸を見せるなど……///」
フォルゴーレ「いいじゃない、一緒に入りましょうよ♪」
ランポ(フォルゴーレ級「雷」)「うん、それがいいわ。それとも…そんな大きいなりをしているのに、私たちとお風呂に入るのが怖いとかー?」
ビスマルク「な…馬鹿をいえ、この「鉄血宰相」ビスマルクに怖い物などあるわけがあるまい!」
フレッチア(フレッチア級「閃光」)「なら行こっか!」姉妹四人で取り囲み、大きなビスマルクの腕をつかんで引っ張ったり、背中を押したりするフレッチアたち……ティルピッツはフォルゴーレ級の四人に押したり引いたりされながら「連行」されている…
ゼフィーロ(トゥルビーネ級駆逐艦「春の西風」)「それなら私たちも行こう…?」
ネンボ(トゥルビーネ級「雨雲」)「そうね……ねぇ、私たちも一緒に行くわ♪」
ナザリオ・サウロ(サウロ級駆逐艦)「もう…みんなせっかちなんですから」
提督「ふふ、何しろフレッチア級とフォルゴーレ級はみんな「雷」に関係する名前だものね♪」
…大浴場…
フレッチア「…それじゃあ流してあげるわね♪」
ビスマルク「いや結構だ…そのくらいは自分で出来る!」
フレッチア「まぁまぁ、これでも私は「フレッチア」級の長女なんだから大丈夫…ねっ♪」
ビスマルク「そう言う意味ではない、裸体を見られたり触られたりするのが気恥ずかしいだけだと言っているのだ!」
サエッタ「そんなことないですよ、白くてとっても綺麗ですもん♪」
ビスマルク「えぇい……カンピオーニ提督、この小娘たちはどうにかならんのか!?」
提督「んー…どうにもならないわ♪」
ビスマルク「ちぃっ…えい、そうまとわりつくな!」
ティルピッツ「姉上、どうにかして下さい…っ///」
ランポ「まぁまぁ、そう固いことを言わずに……って、もうここは硬くなってるわね♪」
ティルピッツ「…っ///」
フォルゴーレ「うんうん、それじゃあ私たちで優しく洗ってあげますから…♪」身体用のスポンジでもこもこと泡を立て、優しく背中をこすっていくフォルゴーレ……普段はほとんど「蒼白」といっていいほど色の白いティルピッツは真っ赤になり、力なく「イヤイヤ」をするように首を振っている…
バレーノ「はいはい、動かないうごかない…それじゃあ前も洗いますね」
ティルピッツ「ナイン(だめ)、前は自分で出来るから…!」
フルミーネ「とか言って全然洗わない気でしょう……ドイツ人はお風呂もまともに入らないものね」
ティルピッツ「そんなことはないから、スポンジを貸して!」
フォルゴーレ「だーめ、綺麗に洗わないとヴァイス提督に嫌われちゃうわ…私たちで満艦飾みたいにおめかししてあげる」
バレーノ「ここがいいですか…それとも、ここ?」
ティルピッツ「ひうっ…んくっ、んんっ…///」ふとももをこすり合わせて声を抑えるティルピッツ…と、浴槽のふちに組んだ腕を置き、そこにあごを乗せてにんまりとだらしない笑みを浮かべている提督……
提督「そうそう、綺麗に洗ってあげてね…ふふっ♪」
ティルピッツ「ひぅん、あふっ……んあっ///」
フォルゴーレ「はい、おしまい…「稲妻」だけに早かったでしょ?」
ティルピッツ「んっ…もう、おしまい……?」
フォルゴーレ「なに、もっとして欲しかったの?」
ティルピッツ「いや、とんでもない……早くお湯に浸かりたかったから///」慌てて浴槽に身を沈めるティルピッツ……提督ほどでもないが、つんといい形をした乳房がお湯を弾きつつぽっかりと浮かぶ…
提督「…ふふ♪」
ビスマルク「…いい加減うっとうしいぞ、そこを退け!」
フレッチア「ふぅーん…ビスマルクはそういうことを言うの?」
ビスマルク「当たり前だ、貴様らのような小娘どもに好き放題されて黙っているこのビスマルクではないわ!」
フレッチア「…」
提督「あー……ティルピッツ、少しお湯の中に「潜航」していた方が得策かもしれないわよ?」
ティルピッツ「…と、言いますと?」
提督「まぁ、見ていたければどうぞ……ぶくぶくぶく……」鼻のあたりまで浴槽に身体を沈め、目と耳だけを出している提督…
フレッチア「……誰が小娘よ!!」腰に手を当てすっくと仁王立ちになると、雷に関係のある「フレッチア」級だけに、見事な「雷」を落とした…
ビスマルク「!?」
フレッチア「だいたいビスマルクは何年生まれ!?」
ビスマルク「…せ、1939年」
フレッチア「私は1931年生まれよ!…つまり、私の方が「お姉さま」なんだから言うことを聞きなさいよ!!」
ビスマルク「し、しかし私はドイチュラントを代表する戦艦で、貴様らはたかだか駆逐艦…」
フレッチア「私の魚雷は533ミリだけど、ビスマルクの主砲はそれより大きいわけ!?」
ビスマルク「い、いや…しかし……」
フレッチア「せっかく私たちがドイツの野暮ったい堅物をきれいに洗ってあげているのに、文句があるって言うの!?」
ビスマルク「い、いや……いくら何でもその言い方はだな!」
フレッチア「ドイツ艦ふぜいがごたごた言わないっ!!」
ビスマルク「ヤ、ヤヴォール…」
フレッチア「よろしい……それじゃあ全身をきれいに洗ってあげるわ。そうよね?」
ダルド「はい♪…それにしてもお姉ちゃんが雷を落っことす所、久しぶりに見ました……相変わらずドカンと来ましたね」
フレッチア「だってビスマルクがあんまりにもワガママなんだもの…」
ビスマルク「わ…私のせいなのか……」ピシッと背筋を伸ばし、おそるおそるフレッチア級に身体を預けている…
フレッチア「……うん、乳房も綺麗になったわね…えいっ♪」ぴんっ…とビスマルクの先端を弾く
ビスマルク「んっ///」
…風呂上がり…
ビスマルク「……失礼、カンピオーニ提督」
提督「んー?」バスローブを肩から羽織り、天井に吊るされた木の羽根の扇風機の下で涼んでいる…
ビスマルク「あの、さっきのフレッチア級だが……いつもああなのか?」
提督「いつも…ではないわね。ただし「小さい」とか、子供扱いしたりだとか……他にもうかつなことを言うと雷を落として来るわね」
ビスマルク「それにしてもあの大きさであの迫力か…」
提督「まぁ、言い合いになったらドイツ人じゃあイタリア人に勝てないから止めておきなさいね…はい、牛乳」鎮守府に来訪していた百合姫提督が教えてくれて以来、脱衣所にはガラス張りの小さな冷蔵庫が置かれて、牛乳の水差しがレモン水の水差しと共に冷やされている……グラスになみなみと注ぐとビスマルクに差しだす提督…
ビスマルク「うむ、頂こう……んぐっ、ごくん…ごくっ」
提督「美味しい?」
ビスマルク「ああ、よく冷えていて美味いな……んぐっ、ごきゅっ…」
提督「よかった…それにしてもビスマルクもティルピッツもいい形のおっぱいをしているわよね♪」
ビスマルク「ぶはぁ…げほっ、ごほっ!」
提督「ふふっ、どうしてそんなにむせているの…褒めてるのに♪」
ビスマルク「いきなりそんなことを言われてむせない女があるか……いや、ここにはたくさんいそうだが…」
提督「かもね…ところでビスマルク」
ビスマルク「今度は何だ…!?」
提督「……牛乳、こぼれてる」両手でほっぺたを包み込むようにして、噴き出した牛乳のついているあご先から口元をそっと舐めあげた…
ビスマルク「な…何をっ……///」
提督「黙って…♪」ちゅ…♪
ビスマルク「あ…あ……その、一体どういう…!」
提督「……ふふ、綺麗になったわ♪」
ビスマルク「///」
提督「もう少し肩の力を抜いて…ティルピッツも貴女の事が好きみたいだから、時には優しい言葉の一つもかけてあげるといいわ♪」
ビスマルク「しかし、それが上手く行かないから困っているのだ…私は一生懸命になって大事に思っていると伝えているつもりなのだが……」
提督「ふふ……時には思いを伝えるだけじゃなくて、姉妹だけの時にしか見られない「くだけた面」でも見せたらいいかもしれないわね」
ビスマルク「くだけた面か……なかなか難題だな」
提督「かもしれないわね…いずれにしても、私はビスマルクとティルピッツがもっと仲良しになってくれれば嬉しいわ♪」
ビスマルク「ダンケ……しかしだ」
提督「なぁに?」
ビスマルク「私の前でこうして優しい振るまいと「くだけた面」を見せると言うことは……///」
提督「うふふっ…ビスマルクも分かってきたわね♪」
ビスマルク「!?」
提督「ふふ、冗談よ…」
ビスマルク「ふぅ…それならいいが」
提督「…ティルピッツって色白で病弱な感じがそそるわよね♪」
ビスマルク「…おい」
………
…提督寝室…
提督「ふわぁ…今日も疲れた……と言うほど疲れてはいないけれど、やっぱりお客様がいると気を使うわよね…肩が凝ったわ」ひとり言を言いながらナイトガウンを脱いで椅子の背にかけ、自分の裸体を姿見で確かめる……
提督「うーん…やっぱりもうちょっと食事に制限をかけた方がいいのかしら……特にスプマンテ(イタリアン・シャンパン)やカクテルは爽やかに飲める上にカロリーが多いものね……とはいえ今日はちゃんと海で泳いだし、チョコレートケーキも一切れで我慢して……でも代わりにカスタードのタルトを食べたのよね……むぅ」渋い顔でふとももの肉をつまむと、今度は振りかえってみてヒップや腰回りを確認する…
提督「……まぁ良いわ、明日出来ることは今日やらなくてもいいものね♪」…ふわふわの布団に「ぼふっ」…とダイブする提督……
?「むぎゅっ…!?」ダイブした瞬間、布団の中に潜りこんでいた誰かに思い切りのしかかる形になり、くぐもった悲鳴が聞こえた…
提督「うわ!?」慌てて跳ね起きて布団をめくる……
セルペンテ(アルゴナウタ級中型潜「海蛇」)「ふふっ、いきなりボディーブローとは恐れ入ったわ。でも……激しいのも嫌いじゃないの…♪」黒いシースルーのベビードール一枚で、しなやかに身体をくねらせるセルペンテ……
提督「えーと…何で私のベッドにいるのかしら?」
セルペンテ「ふふ、なんでだと思う…?」水上排水量で600トン余りの中型潜だけに、一見すると中学生にも見えなくはない身体つきながら、「海蛇」らしく蠱惑的(こわくてき)でみだらな表情を浮かべてみせる……
提督「そうねぇ…姉妹の寝相が悪くて寝られないから泊まりに来た……とか?」
セルペンテ「ふふ…ざーんねん……♪」ベビードールを徐々にたくし上げ、裾を両手で持ってベッドに寝転ぶ…
提督「…あー」
セルペンテ「ほら…早く来て、蛇は寒いのが苦手なんだから……ね♪」
提督「えーと……それじゃあ失礼して」いそいそと布団にもぐりこむ提督…
セルペンテ「もぅ提督…そう言うことじゃないのよ?」布団をはねのけて提督の上にまたがると、お腹周りを愛撫するセルペンテ…
提督「分かってるけど……今日はくたびれちゃって…あ、そこ気持ちいい♪」
セルペンテ「もう、仕方ないわね……それじゃあ特別に私が「優しく」揉んであげる♪」
提督「ええ、ありがと。はぁぁ……セルペンテの指、しなやかでいいわ……」ねっとりとほぐすように身体を揉みしだかれ、全身の力が抜けていく提督…
セルペンテ「ふふ、悦んでもらえて何より……ここもかしら?」
提督「ええ…そこもいいけれど、背中もお願い……」
セルペンテ「仕方ないわねぇ……ほぉら、うつ伏せになって…?」
提督「ええ、ありがとう……はぁ、ふぅ…んぅっ♪」
セルペンテ「あらぁ、いい声を出してくれるじゃない……ふふ、そう言う甘ったるい声を出してくれるとやる気が出るの……れろっ♪」背中をじゅるりと舐めあげる……
提督「んんっ…くすぐったいわ///」
セルペンテ「ふふ、いいじゃない…それに提督の味、美味しい……♪」肩甲骨周りをゆったりとほぐし、腰は外向きの円を描くように揉みほぐしていく……
提督「あぁぁ…気持ちいぃ……ごめんなさい、他にも褒めようがあると思うのだけれど…頭が回らなくって……」
セルペンテ「いいのよ、頭を空っぽにして……それに身体の力も抜けていくでしょう…♪」提督から見えない位置で、にやりと笑みを浮かべる…
提督「ふわぁぁ…セルペンテは本当に上手ね……本当に身体がふにゃふにゃになっていくみたい…」
セルペンテ「気にしないでいいのよ…私がしてあげたいだけだから……ほーら、だんだん提督は私に逆らえなくなーる…♪」
提督「ええ…こんなに身体がとろけちゃうと……逆らえないかもしれないわ……はぁぁ…」
セルペンテ「ふふ、蛇の瞳は相手を魅了するって言うでしょう……」
提督「んっ、んぅぅ…確かにセルペンテに触られているだけで下半身がじんわりうずいて……んくぅ///」
セルペンテ「ふふ、濡れてきちゃった…?」
提督「え、ええ……今夜はそんなつもりじゃなかったの…に///」
セルペンテ「いいのよ……全部私に任せて…♪」
提督「それじゃあ…お願い……///」あお向けになって両手を投げだし、とろけたように口を半開きにしている提督…
セルペンテ「それじゃあちゃんと雰囲気も作らないと…ね♪」ナイトスタンドの黄色い灯りを絞ってろうそくのような明るさにし、提督にまたがった…
提督「んくぅ…んんぅ、あふぅ……♪」
セルペンテ「あら、もうそんなに濡らしてるの…?」きらりと光るセルペンテの瞳が提督を見おろす…
提督「だって……♪」
セルペンテ「ふふ、いいわ……それじゃあ…♪」くちゅ…っ♪
提督「ふわぁぁぁ…あぁ…♪」
セルペンテ「ふふ、提督ったらとろけた顔がとってもいやらしい…♪」
提督「だって……ふぁぁ♪」
セルペンテ「ふふっ…」ねっとりと絡みつき、首筋をチロチロと舐めあげつつ秘所に指を差しこむ…
提督「あふぅ…はひぃ、んぁぁ……はぁぁ、きもひいぃ……♪」
セルペンテ「みたいね、すっかり濡れそぼって……ほぉら、聞こえる?」にちゅっ、くちゅ…♪
提督「ええ…聞こえる……はぅ…ん♪」
セルペンテ「ねぇ提督、もっと私と……したい?」
提督「ええ…///」
セルペンテ「それじゃあ仕方な……あひぃ゛ぃっ、いぐぅっ!?」
提督「……セルペンテ?」
メドゥーサ「残念、セルペンテはそこでお休みしているみたいね……代わりに…私がイかせてあげ……る♪」じゅぶ、ぐちゅぐちゅぅ…っ!
提督「んひぃっ…ひぅっ!?」
メドゥーサ「どう、気持ちいいでしょう…セルペンテはたかだか「海蛇」……それに引き替え私は人を石にする「メドゥーサ」だものね…♪」
提督「メドゥーサ、一体いつ来たのっ…んひぃぃっ♪」
メドゥーサ「ふふ、だいたいセルペンテが貴女を押し倒した辺りに……ふふ、あそこもほど良く濡れていい具合ね…♪」
提督「気づかなかったわ……んぁぁぁっ///」
メドゥーサ「何しろメドゥーサだもの…それにしても提督のよがるさまはなかなかいいものね……ふふ」人差し指を舐めあげて濡らすと、提督の秘所に沈めて行く…
提督「はひぃ、んんぅ……いいのっ、そこきもひいぃ…っ♪」ぷしゃぁぁっ♪
メドゥーサ「ふふ、もうイっちゃったの?……もっと遊ばせて欲しいわねぇ…♪」
提督「…の///」
メドゥーサ「なぁに?」
提督「私も……もっとメドゥーサにして欲しい…の///」
メドゥーサ「んふふ、提督はそう言うみだらな女なのね……好みよ♪」
提督「だって……身体の芯がじんわりうずいて…んんぅ♪」にちゅっ…♪
メドゥーサ「仕方ないわねぇ…それじゃあ私からしびれるような甘美な毒を……んひぃぃっ!?」
セルペンテ「ふぅぅ……私がせっかく提督と愛をかわそうとしていたのに、邪魔するなんていけませんよね…ぇ?」メドゥーサの秘部に指をねじ込み、後ろから抱きついた…
メドゥーサ「別にいいでしょう…獲物を奪われる方が間抜けなのよ……んぁぁっ!」ぐちゅぐちゅっ…♪
セルペンテ「ふぅん、じゃあ私がメドゥーサから提督を奪ってもいいわけですね……ではたっぷりイかせてあげますから、そこで這いつくばっていてね…お姉さま♪」
メドゥーサ「んひぃ、ひぅぅ…んひぃぃぃっ♪」
提督「…」
セルペンテ「ふぅ、ふぅぅ…さぁ提督、お待たせしたわね……んひぃ゛ぃっ!?」
メドゥーサ「はぁ、ふぅ……さっき言ったはずよ、「海蛇」と「メドゥーサ」では格が違う……って!」ぐちゅっ、じゅぶっ…♪
セルペンテ「はひぃ、ひぅぅ……はへぇ…」
メドゥーサ「…ふぅぅ。とんだ邪魔が入ったけれど……今度こそ、私がたっぷり可愛がってあ・げ・る…♪」
提督「ねぇ…メドゥーサもセルペンテも///」
メドゥーサ「なに?」
セルペンテ「はひぃ……なに…かしら…?」
提督「……いっそ仲よく分けっこしたらどうかしら…私も焦らされてばっかりで、もう…んくぅ///」
メドゥーサ「ふぅん…提督ったら蛇二匹に絡まれて愉悦に浸ろうなんてね……いいわよ♪」
セルペンテ「…独り占めできないのは残念ですけれど……でも提督のいやらしい顔が見られるなら……それもまた面白いことになりそうね…ふふ♪」
メドゥーサ「ふふ…それじゃあまずは私が上を……♪」
セルペンテ「なら私は下を…ふふっ、とろとろにしてあげる……♪」
提督「んひぃ、ひうっ……んあぁぁ///」慎ましやかな身体の割に妖しげな魅力を放つ二人…メドゥーサは提督の乳房をこね回し、セルペンテは足元にまとわりつきながら花芯に指を入れてゆっくりとかき回す……
メドゥーサ「あら、こんなところを石化させた覚えはないわ…よ♪」こりっ…と乳房の先端を甘噛みする
提督「ふぁぁ…あふぅ、んくぅぅ……♪」とろりと蜜を垂らしながら甘い喘ぎ声を上げる提督……メドゥーサとセルペンテの瞳が妖しく爛々と輝き、その目で見られるたびに電撃のような痺れを覚える提督…
セルペンテ「ほぉら、気持ちいいわよね…いいのよ、素直になって……♪」
メドゥーサ「ふふ…こうして撫でるたびにひくひく身体が跳ねて……可愛いわねぇ」
提督「はひっ、あふっ…気持ひいぃのぉ……もっとぉ…♪」
メドゥーサ「欲張りな提督さんね……いいわ、それじゃあ交代しましょう…♪」
セルペンテ「うっふふふ…もうびしょびしょに濡らしちゃってるもの、今さらメドゥーサのやることなんてないけれど…ね」
メドゥーサ「ふふ……提督、ここからまた何回イかせられるか……想像しただけで楽しみでしょう?」
提督「あふぅ…ひうぅ……んっ、くぅぅ///」
メドゥーサ「ふふ…こんな小さな娘に好き放題されて、涎を垂らしながらおねだりして……本当にいやらしい提督ね♪」
提督「んぁぁ…そんないやらしい提督に二人は…もっと色々……してくれるのよね?」
セルペンテ「ええ、してあげる♪」
メドゥーサ「……私なしでいられないくらい…ね♪」
提督「んふふっ、期待してるわ……んちゅっ、れろっ…んぁぁっ♪」
………
…あくる日…
ライモン「…で、こうなったわけですか」腰に手を当てて仁王立ちしているライモンと、平謝りしている提督…
提督「ごめんなさい……」
ライモン「いえ、わたしは別にいいんですよ?……ただ、「明日は建造の予定があるから」とおっしゃって、早くお休みになるはずが徹夜…と言うのはさすがにいかがなものかと思いますが」
提督「ええ、分かっています…本当にごめんなさい」
ライモン「ふぅ、まぁいいでしょう……それで、二人も徹夜をしたのですか?」
セルペンテ「いいえ、空が明るくなる頃には疲れきって寝たわ…多分0500時ころじゃないかしら」
ライモン「そんなの徹夜と変わりません。メドゥーサは?」
メドゥーサ「私は最後まで提督と愉しませてもらったわ…♪」
提督「ええ…全身好き放題されて、もうとろとろのくたくた……時間がたったオムレツの気分ね…」
ライモン「そうですか……それでは提督は浴室でシャワーを浴びてすっきりなさってください…メドゥーサ、セルペンテ」
メドゥーサ「なぁに、ライモンドもしたいのかしら…ぁ?」ぺろりと人差し指を舐めあげ、ぞくりとするような妖しげな瞳で流し目をくれた…
ライモン「結構です。二人はそこのぐしゃぐしゃになった寝具を洗濯機に入れてきて下さい」
セルペンテ「えぇ…仕方ないわねぇ……入れて来ればいいんでしょう?」
ライモン「不満そうな顔をしないで下さい、元はと言えばお二人のせいなんですから……それが終わったら朝寝をしても構いませんよ」
メドゥーサ「ええ……それじゃあね、提督…♪」
セルペンテ「したくなったらいつでも呼んでね。待ってるわ♪」
提督「ええ、こんなに激しくないなら……また後でね♪」ぱちりとウィンクを送ってから、力の入らない足腰でよろよろと浴室に入った…
ライモン「……もう、そうと知っていたらわたしがお邪魔すればよかった…///」
提督「何か言ったー?」
ライモン「いいえ、何も…タオルは椅子の背にかけておきますね」
提督「ええ、ありがとう……今度はライモンだけ招いてあげるから♪」
ライモン「///」
………
…午前中・工作室…
提督「さてと…それじゃあ元気よく建造に取りかかるとしましょうか」
フルット「ええ、期待しています…♪」艦名が「波」の雅な言い方である「フルット」だけに、薄いスミレ色のフレアースカートと淡いグレイのタートルネックの控えめなコンビネーションもよく似合っている…
ジャンティーナ(アルゴナウタ級中型潜「アサガオガイ」)「はい…ぜひ私の従姉妹たちを呼んであげて下さい……♪」薄い青紫のふわっとしたミドル丈のワンピースに、同じ色合いをした薄いシースルーのケープ……頭には不思議と落ちないでいるアサガオガイを模した小さな帽子を斜めにかぶっている
提督「ええ、頑張るわね♪」
デュイリオ「ふふっ……提督は基地祭までに出来るだけ多くの娘を呼んであげるおつもりなのでしょう?」…こちらはいつもの貴婦人のようなファッションではなく、艦名の由来になったローマの指揮官「ガイウス・ドゥイリウス」にちなんだ古代ローマ風の白いトーガにサンダル、翼を広げたカラスの形をしたネックレスで、ボリュームたっぷりの胸が生地をぐっと押し上げている…
提督「ええ。だってみんな一緒の思い出があった方がいいじゃない?」
グレイ提督「ふふ、カンピオーニ提督はお優しいのね…♪」
ヴァイス提督「しかしよく許可が下りるものだ……何十という艦娘を抱えているのにさらに増勢とは…」感心したように一人でうなずいている…
提督「ふふ…そこはスーペルマリーナ(海軍最高司令部)にいるお姉さま方にお願いして……と言うのは冗談で、新年度の割り当てをもらったので建造枠が余っているんです」
ヴァイス提督「なるほど…しかしカンピオーニ提督の前ですが、これだけの戦力があるのはうらやましいです。ヴィルヘルムスハーフェンではぎりぎりの数の艦娘だけで、余裕を持つことが出来ずにいますから」
グレイ提督「ふふ、それはわたくしとて同じですわ……今わたくしの所にいる空母は「アークロイアル」と「イーグル」だけですし、「キングジョージⅤ世」級戦艦の建造は申請を出したものの「梨のつぶて」ですもの……ホワイトホール(イギリス海軍省)にも困ってしまいますわ」
提督「まぁそれにはお国の事情もありますよ……何と言ってもイギリスは世界各地に鎮守府を置いていますから、一か所に艦娘をたくさん所属させる予算はないでしょうし、ドイツはそもそも水上艦艇が少なくUボート中心ですから」
グレイ提督「ですわね…でもわたくしもヴァイス中佐のおっしゃる通り「うらやましい」と言う気持ちが少々ありますわ……それにしてもイタリア艦はどれも美しいですわね。…コレクションして飾っておくのが一番だと思いますわ♪」
提督「…素敵な意見をありがとうございます。イギリスも「リパルス」や「リナウン」のような巡洋戦艦は堂々として綺麗で……前線に出して沈めるのはもったいないですね♪」
グレイ提督「ふふ……お上手ですわね」
提督「うふふっ、ええ…それじゃあ建造に入りましょうか。フルット、ジャンティーナ♪」
ジャンティーナ「はーい、ここにいまぁ…す……♪」
フルット「はい」三人でレバーに手をかけて引いた…
グレイ提督「後は出て来るまでのお楽しみ…ですわね?」
提督「ええ。…よかったらお茶でも?」
グレイ提督「それは非常によろしいですわね、いただきましょう」
ヴァイス提督「お二人がいただくのでしたら私もちょうだいします」
提督「はい。ところでせっかくいい天気ですし、そこのドックを通り抜けて波止場で出て……そこでお茶にしませんか?」
グレイ提督「まぁ、それは結構なアイデアですわね…よろしければわたくしもお手伝いいたしますわ」
提督「大丈夫ですよ。グレイ提督には「お茶を味わってもらう」という重大な任務がありますから♪」
グレイ提督「ふふ、それは責任重大ですわね…♪」
ヴァイス提督「でしたらカンピオーニ提督、その分私にご命令を…!」
提督「分かりました…それでは命令します」
ヴァイス提督「はっ!」
提督「……この中でどのお菓子がいいか決めて下さい♪」
ヴァイス提督「ヤヴォール!……ん?」
提督「さぁ、命令ですよ?…かぼちゃのタルトレットに、チョコレートの詰め合わせ…クッキーにビスコッティ。どれにします?」工作室の棚の中や引き出しのあちこちに、隠し財産のごとくしまってあるお菓子の数々を次々と引っ張りだす……
ヴァイス提督「あ、あー…その、私はそう言った事には詳しくないもので…えーと……」
グレイ提督「…わたくしはきゅうりのサンドウィッチが好みですわ♪」
提督「それは食堂に伝えて持ってきてもらいましょう……さぁ、シャルロッテ♪」
ヴァイス提督「え、えぇと…分かりました。どれも数個づつ持って行けばバランスが取れるかと思います」
提督「了解…困ったときの模範解答ですね。それでは行きましょうか♪」
ヴァイス提督「ヤヴォール!」
…波止場…
提督「んー…いい風♪」
…庭のパラソルと小さい丸テーブル、それとデッキチェアを波止場に運んできた提督たち…提督は濃いサングラスをかけ、グレイ提督は軍帽を脱いで膝の上に置き、豊かな髪を風になびかせている……ヴァイス提督は相変わらず制服姿ではあるものの、さすがにワイシャツとネクタイ姿で上着は着ていない…
グレイ提督「大変心地良いですわね……あら♪」
ルチア「ワフッ…♪」とことことやって来て波止場の黄色いレンガ敷きにおすわりをし、左右に尻尾を振って地面を掃いているルチア…
グレイ提督「ふふ、あなたも何か欲しいのね?…ではカンピオーニ提督に伺いますから少々お待ちになって……フランチェスカ、この子に何かあげてもよろしいかしら?」
提督「ええ、犬が食べても大丈夫なものなら」
グレイ提督「よかったですわね…それではこれをあげましょうね」きゅうりのサンドウィッチからパンの端をちぎり取り、ルチアの鼻先に差しだす…
ルチア「ワフッ、ハフッ……♪」
グレイ提督「まぁ、何とも愛らしいこと……ふふ」
提督「あんまり食べ過ぎちゃだめよ?」ルチアを指差して冗談めかした口調で言うと、ティーポットを取り上げて注いで回る…
グレイ提督「ふぅ、いい香りですわ…♪」
ヴァイス提督「ヤー(はい)…きっといい紅茶なのでしょう」
提督「ふふ…さぁどうぞ?」お菓子ときゅうりのサンドウィッチ、それにスコーンがクローテッドクリームと一緒に並べてある…
グレイ提督「それではいただきます…今日はホワイトティーの気分ですわ」…風習やしきたりに関してはかなり頑固なグレイ提督だけに絶対に「MIF」をせず、紅茶を注いでもらってからミルクを入れた
(※MIF…ミルク・イン・ファースト。ティーカップへミルクを先に入れるやり方。長く「お茶をごちそうになったときにミルクを多くせしめようとする貧乏人のやり方である」ため不作法とされてきたが、近年『王立紅茶協会』から「紅茶のタンニンをミルクが包んで苦みやえぐみを抑えられるため、より美味しく紅茶を飲むことができる」と科学的な知見が発表された……「ホワイトティー」(White tea)はイギリスで言う「ミルクティー」の事)
提督「シャルロッテはミルクを…?」
ヴァイス提督「いえ。ストレートでいただきます」
提督「ええ、分かりました…♪」提督はミルクと砂糖を入れ、一緒にビスコッティをつまんだ…
グレイ提督「それにしてもイタリアにも紅茶があって助かりましたわ…数年前に米海軍と共同作戦をしたときなど……ふぅ」
提督「あー…例の「塩入り真っ黒け」コーヒーですか」
グレイ提督「ええ…思わず眉をしかめてしまいましたわ……」
提督「私もノーフォークのミッチャー准将……あのマーク・ミッチャー提督とは親戚でも何でもないらしいそうですが……とにかく、彼女にコーヒーをごちそうになったときは舌がおかしくなったのかと思いました」
グレイ提督「ですわね…英海軍の洋上勤務中はとろっとした熱いココアか紅茶と決まっておりますから、あれには驚きましたわ」
提督「ふふ…ところでヴァイス提督、ドイツ連邦海軍はコーヒーですか?」
ヴァイス提督「ヤー。ブンデスマリーネ(ドイツ連邦海軍)は基本的にコーヒーです……何だ、どうした?」ルチアが足元にすり寄り、舌を垂らしてヴァイス提督を見上げている…
提督「もう、ルチアったら……どうぞサンドウィッチのパンかクッキーのかけらでもあげて下さい…チョコレートは絶対にダメですが」
ヴァイス提督「確かチョコレートに入っているテオブロミンが犬には分解できず、心臓をおかしくしてしまう…でしたか」
提督「ええ、その通りです……ほぉらルチア、シャルロッテがパンの耳をくれるそうよぉ…良かったわねぇ♪」
ルチア「ハフッ、フガフガ……ワンッ♪」
提督「…ふふ、こうやっていると時間が経つのさえ忘れてしまいそうですね♪」
グレイ提督「全くです……風も心地良いですし、紅茶も美味しいですわ」
ヴァイス提督「ですが建造完了まではあと二時間三十二分…あまり時間が経つのを忘れてしまうのはいかがかと思います」時計の目盛りを見て言った
提督「ふふ、さすがですね。私は適当な所で戻ろうと思っていたのですが」
ヴァイス提督「あー、いや……残り時間は計っておいた方がよいかと///」
提督「助かります♪」
…しばらくして・工作室…
提督「さてと…そろそろ時間ですね」
グレイ提督「ふふ、今回はどんな娘が来るのでしょうね?」
提督「それが楽しみで建造をしているようなところもありますから…♪」
フルット「私も待ち遠しいです……私にとっては素敵な年上の従姉妹のようなものですから」
ジャンティーナ「そうですね…私も楽しみです……♪」
提督「さぁ…そろそろ時間ね……♪」
ヴァイス提督「…うっ!」
…相変わらずの眩しい青い光が消えると、中学生程度の大きさをした艦娘が十二人並んでいる…髪や瞳は一人づつ異なっていてカラフルだが、いずれも揃って「可愛い」と言うより「美しい」に近い透き通るような美少女揃いで、灰色に灰緑色や濃い灰色の斑点迷彩を散らしたウェットスーツのような「艤装」をまとい、きちんと整列している……
提督「ボンジョルノ…初めまして♪」きちんと敬礼を返すと一転してにこやかな笑みを浮かべる提督…
艦娘「初めましてぇ…♪」胸元に手を当てて伸びのある美しい声で挨拶をする艦娘…よく見るとくるぶしには人魚のヒレのような飾り物を付けていて、声を聞いているだけでうっとりとしてしまう……
提督「ふわぁ……っ、いけないいけない……えぇと、お名前をうかがっていこうかしら♪」声を聞いただけですっかり骨抜きにされそうだったが、自分の頬を軽く叩いてようやく意識を取りもどした…
艦娘「シレーナ級中型潜…ネームシップのシレーナ(セイレーン)です……ららら…ぁ♪」軽くベルカント唱法も効かせて、オペラのようにリズムに乗せる
提督「ふわぁぁ…で、貴女は……///」慌てて隣の紫色の瞳をした艦娘に声をかける…
艦娘「シレーナ級、アメティスタ(アメジスト)です……貴女に誠実さと心からの愛を捧げます♪」……そう言って提督の手の甲に軽くキスをするアメティスタ…髪も綺麗なアメジストの色で豊かに房をなしていて、首元にはティアドロップ(涙滴型)のアメジストをあしらった綺麗なネックレスと、楕円形のアメジストをはめ込んだ銀の指環を付けている…
提督「ありがとう、嬉しいわ……それじゃあ次は…」
艦娘「シレーナ級、ディアマンテ(ダイアモンド)よ…誇り高く壊れない、永遠の絆を貴女に」ダイアモンドのように七色にきらめく白い髪とダイアモンドを散らしたネックレス…それと頭には「ティファニーで朝食を」のオードリー・ヘップバーンが付けていたような、美しいダイアモンドのティアラを付けている…
提督「ありがとう…♪」
艦娘「次は私ね…シレーナ級潜水艦「ルビノ」(ルビー)よ……提督、心から愛してるわ!」綺麗な紅い瞳に鮮やかなルビー色の髪…耳にはルビーのついたイヤリングが下がっていて、当然指には「ルビーの指環」がはまっている……と、いきなり提督の頬を押さえつけると舌をねじ込んで熱いキスを浴びせた……
提督「んぅっ…んぅぅぅっ///」
ルビノ「ぷはぁっ……私は情熱と純愛に生きているの、心から大好きよ…提督♪」
提督「ご、ごちそうさま…とっても熱いキスだったわ///」
ヴァイス提督「あぁ…ぁ…///」
艦娘「じゃあ次は私ね?…シレーナ級「スメラルド」(エメラルド)です。歴史は古くローマの頃から好まれていました…貴女に幸運と希望がありますように♪」エメラルド色をした波打つ髪とすっきりした光を帯びた瞳をしていて、エメラルドを三つあしらったネックレスをしている…
提督「グラツィエ……と言うことは貴女はきっと…」
艦娘「ええ、トパツィーオ(トパーズ)よ…性格は誠実だと思うの。ぜひ友達になりましょうね?」透き通った黄色い瞳に、鮮やかな金色がかったトパーズ色の髪をセミロングに伸ばし、先端を内向きにカールさせている……指には楕円にカットしたトパーズの指環と、額にトパーズのはまったサークレットを付けている…
提督「ふふ、ありがとう…私もトパツィーオと仲良く出来たら嬉しいわ……それで貴女が…」
艦娘「初めまして…シレーナ級「ザフィーロ」(サファイア)です……慈愛と高潔をもって貴女にお仕えさせてもらいます」ザフィーロはすっきりとした綺麗な青い髪をお姫様風に頭の周りで結い上げ、慈愛に満ちた青い瞳をしている。指には驚くほど大きくて美しいサファイアの指環をし、頭にもサファイアを散らした銀のティアラを付けている……と、ザフィーロが提督の前にひざまづいて一礼した…
提督「そんなにかしこまらなくて大丈夫…でも嬉しいわ♪」額にキスをして立たせてあげる提督…
提督「次にあなたが…」
艦娘「シレーナ級、アンフィトリテ……もしここにトリトーネ(トライトゥンあるいはトリトン)がいるなら母親になるわ……海を従えるのはこの私よ、提督さん」…神々しいほどのきらめく美しさに豊かな髪…そして手にはネプトゥーヌスとトリトーネの持ち物でもある「三叉の鉾」と「ほら貝」を持っている…
(※アンフィトリテ…ギリシャ・ローマ神話の海の神「ポセイドン」(ローマではネプトゥーヌス…英語ではネプチューン)の妻でオケアノス(海)の孫にあたるニンフ(妖精)…トライトゥン(トリトン)はネプトゥーヌスとアンフィトリテの子)
フルット「トリトーネは私の妹にいるわ、アンフィトリテ…♪」
アンフィトリテ「と言うことは、貴女はフルット…?」
フルット「いかにも……んちゅっ、ちゅぅ…♪」
アンフィトリテ「私のお馬さんはもう来ていたのね…ふぅぅ…んっ、んちゅっ……♪」(※波…白い波頭はポセイドンの馬で、人類はポセイドンから馬をもらったとされる)
ヴァイス提督「…うわ……いきなりこんな…///」
グレイ提督「…まぁまぁ、さすがイタリアですわね」
提督「こほん…えーと、それで……」
肌の白い艦娘「ガラテアよ、提督……最初は大理石、次は鋼鉄で…やっとこの身体になれたわ……♪」白い肌にえもいわれぬ美しさ、ほのかな桃色の頬に鮮やかな色の唇、すっきりとした身体のラインにふくよかな胸…と、女性の身体の理想をかなえたようなしなやかな姿をしている……
(※ガラテア…ギリシャ神話の「ピグマリオン伝説」による。理想の女性像を追い求めていたキプロス王「ピグマリオン」が自分で彫刻した大理石像を愛してしまい、愛の女神アフロディーテ(ローマでは「ウェーヌス」。英語では「ヴィーナス」)に「像を生きた女性にして欲しい」と願い、それがかなえられ人間になったという石像)
提督「ええ、歓迎するわ……愛の女神にも感謝しないと///」
ガラテア「ふふ…そうですね♪」
提督「それで貴女は…水の妖精みたいね?」
艦娘「あら、分かってしまったかしら?…シレーナ級潜水艦「ナイアーデ」です♪」
(※ナイアーデ…ギリシャ神話の水の精)
提督「ふふ、何となく…ね♪」
艦娘「それじゃあ私は……どうかしら?」ちょっといたずらっぽくコケティッシュ(色っぽい・艶やか)な魅力を振りまく艦娘
提督「きっと海の精ね…どう?」
艦娘「正解。私は「ネレイーデ」…海の精よ♪」
(※ネレイーデ…ギリシャ神話の海のニンフの総称「ネレイス」のこと。父ネレウスと母ドリス(オケアノスの娘)の間にできた50人あまり(!)の娘たちを指す。アンフィトリテや英雄アキレウスの母テティスなどがいる)
提督「よろしくね、ネレイーデ…それで貴女が……」
艦娘「私がオンディーナ…水にたわむれ、水と共にあるものよ……♪」淡い水色の瞳にほっそりした妖精のような身体つきで、身のこなしも軽く提督の周りを跳ねまわった…
(※オンディーナ…フーケーの物語などにある水の妖精「ウンディーネ」)
提督「それじゃあこれで全員ね…まずは「タラント第六」にようこそ、歓迎するわ♪」
フルット「きっとお昼の食膳も整っている頃ですから……一緒に食事でもしながら積もる話でもいたしましょう…?」
提督「それがいいわ。ワインでも飲みながら…ね///」触ったら軽やかな音がしそうなシレーナたちとそっと手を握り、美しさに胸をときめかせつつ食堂に向かった……
………
…とりあえず今回の投下はここまでで「艦娘紹介」は次回に回したいと思います…
…思っていたより宝石の「石言葉」やギリシャ神話の由来を調べるのに時間がかかり大変疲れました…しかし潜水艦とは思えない何とも優雅な名前がついていますが、ドイツのように大量生産できなかった分、名前にこだわりが持てたと言うことでもあるのでしょう…
…また、読んでいる方の誕生石が艦名にあるかもしれませんね。もしそうした艦があればリクエスト次第で出していこうと思います
乙
中型って高校生くらいのイメージでいいのかな?
>>201 一応中型潜(600トンクラス)や駆逐艦などは身長や外見的に中学生前後(場合によってはもっと幼く見えたり…)でイメージしています…また大型潜や軽巡が高校生~大学生、重巡が高校生~大学生程度、戦艦は(特にリットリオ級以外は旧型のリファインが多いので)妙齢の貴婦人でイメージしてもらえれば……もっとも外国の女の子は大人びて見えるのでもう少し年上っぽい感じだと思います…
…ちなみにあまり出していませんが「イタリア海軍の華」である「MAS」や「MS」艇(いわゆる魚雷艇)や「縁の下の力持ち」である駆潜艇、掃海艇、コルヴェットのような小型艦艇を登場させるとしたらせめて小学生程度はないと……と考えて逆算したと言うのもあります
……要は見た目は幼い「MAS」艇の艦娘がお高くとまっているイギリス艦の深海棲艦を百合らんぼうするわけですね…そのうちにエーゲ海方面の鎮守府をネタに登場させるかもしれません…
…食堂…
提督「それじゃあ…乾杯♪」
ガラテア「乾杯…♪」年代もののワインが入ったグラスをこつん…と合わせ、シレーナ級着任にかこつけて「食後の一杯」を楽しむ提督と艦娘たち
シレーナ「あぁ、何と美味しいんでしょ…う♪」ベルカント唱法のように声を震わせ、節をつけるシレーナ……それを聞いただけで近くにいた数人がとろりと表情を崩し、吸い寄せられるように近くの席に座った…
シレーナ「ららら…ぁ♪」歌に聞きほれて近寄った人を襲うという「シレーナ」(セイレーン)だけに、ふらふらと近寄ってきた数人を見てニヤリといやらしい笑みを浮かべた…
提督「…」提督は無言でレコードやCDの並んでいる一角に行くと、クラシックのCDをセットする……途端に「カルメン」からシンバルの音もけたたましい「トレアドール」(闘牛士の歌)が流れ、シレーナのささやくような歌声をかき消す…
ニコロソ・ダ・レッコ(ナヴィガトリ級駆逐艦…提督の通称「ニコ」)「はぁぁ…あれ?」
ジョヴァンニ・ダ・ヴェラサーノ(ナヴィガトリ級)「ふぁぁ……えっ?」
ニコロ・ツェーノ(ナヴィガトリ級)「はへぇ……んんっ?」
シレーナ「あぁ…ら、残念ねぇ……らら♪」
ニコ「なるほど、何だかむしょうに隣に座りたくなったのは「シレーナ」だからか///」
ヴェラサーノ「危ないあぶない……シレーナなんて船乗りには大敵じゃない…」大航海時代の「航海者」から艦名が来ているナヴィガトリ級だけにシレーネの歌声には弱い…ナポレオンのような三角帽子をかぶった自分の頭をげんこつで小突きながら、首をぶんぶん振った…
提督「ふぅ、危なかったわね…」
…いくらシレーナの「魔性の歌声」を防いだとはいえ昼下がりの気だるい時間に「カルメン」は厳しすぎるので、提督は甘いフルートアレンジのクラシック集をセットして席に戻った……席の両隣には「アメティスタ」(紫水晶)と「スメラルド」(エメラルド)が座り、他にもライモンや重巡の「トレント」、コルヴェット艦の「ガッビアーノ」などもいて、グレイ提督の随伴艦「エメラルド」はエメラルド同士「スメラルド」と一緒にワインを味わっている…
シレーナ「もう、邪魔をしないで……ルルル…ララ…♪」
提督「んっ…く///」聞いているだけで下腹部がうずくようなシレーナの甘い歌声を聞かないよう、一生懸命クラシックに耳を傾ける…
ライモン「んっ…提督、この曲はロッシーニの……///」
提督「ええ、「セミラーミデ」の序曲よ……ん///」
シレーナ「もう…私の歌を聞いてくれないなら他の娘に聞かせて来るから……それじゃあ、チャオ…らら♪」
提督「ふぅぅ…」
ライモン「すみません…わたし、ちょっと化粧室に……///」
ガラテア「本当にシレーナお姉さまは……船乗りを惑わせるイケナイ女(ひと)ね…♪」
提督「みたいね……そう言えばトレント」
トレント「はい、何でしょう?」
提督「10月4日は貴女の「二度目のお誕生日」ね……お料理は何がいい?」
ディアマンテ「あら…トレントは二度もお誕生日会をするのですか」
トレント「いえ、私はいいって言ったのですが……提督が…///」軍艦史上初の「バルバス・バウ」を採用したりと革新的な設計で、大戦に参加したイタリア重巡の七隻では最古参……しかしながら軽防御で、当初「軽巡」扱いだったこともあり立ち位置があいまいで控えめな性格の「トレント」と「トリエステ」…ディアマンテに首を傾げられると真っ赤になって恥ずかしがっている…
提督「ふふ、そこは史実通りに……というわけなの♪」
………
…さかのぼって9月4日…
提督「…それじゃあトレント、一回目のお誕生日おめでとう♪」
一同「「おめでとう♪」」わぁぁ!!
トレント「うぅ…恥ずかしいですよ、こんなのマヌケですし……///」
トリエステ「まぁまぁ姉様……提督を始めみんなで祝ってくれているんですから」
ザラ「そうそう、いいじゃないそう言うのも…さ、スプマンテで乾杯しましょう♪」しゅーっ…と泡立つスプマンテをシャンパングラスに注いだ…
ポーラ「それにしてもぉ、トレントはおっちょこちょいですよねぇ~♪」
フィウメ「まさか進水式で失敗なんて…ふふふっ♪」
トレント「い、言わないで下さいよ……思っていたより勢いがつかなかったんですから///」
ゴリツィア「まぁまぁ、それも味がありますよ…はい、プレゼント♪」控えめなトレントに似合う、あっさりした柑橘の香りがする香水をプレゼントする…
提督「それじゃあ私からも…トリエステとペアになっているから、これからも姉妹仲良くね♪」…白百合の形をしていて、銀と小粒の真珠で出来た髪飾りを渡した
アントニオ・ダ・ノリ(ナヴィガトリ級)「それと私たちからも…」
ルカ・タリゴ(ナヴィガトリ級)「そう、私たちからも……♪」
レオーネ・パンカルド(ナヴィガトリ級)「同じ29年生まれ(竣工)組の…」
アントニオット・ウソディマーレ(ナヴィガトリ級)「…トレントに素敵なプレゼントですよ♪」横一列に並ぶと、革のケースに入った立派な双眼鏡を差しだした
トレント「わ…こんなに一杯もらっちゃって……困ります///」
アントニオ・シエスタ(バリラ級大型潜)「気にしない気にしない…はい、これをどうぞ」…艦名が「アントニオ・『シエスタ』」だけにシエスタ(昼寝)用のクッションを渡した…
トレント「ありがとうございます……///」
ゴフレド・マメリ(マメリ級中型潜)「そして我らも『同い年』と言うことでな…貴君には詩集を贈る♪」愛国詩人でガリバルディと共闘したマメリは姉妹四人でお金を出し合ったのか、ヴェルギリウスの立派な詩集をプレゼントに加えた…
トレント「うわ…わわ……っ///」お嬢さまのお買い物に付き合わされた執事のような具合で、両手に山のようなプレゼントを抱えているトレント…
ヴェットール・ピサニ(ピサニ級中型潜)「そして私たちも29年組として贈り物だ……無論、この贈り物を使う場面がないのが一番だが…そうした場面に陥った時、役立ててもらえれば嬉しいぞ?」
…地中海の覇権を争って海戦を繰り広げた中世ジェノア(ジェノヴァ)やヴェネツィア、それにナポリの提督から名を取っている「ピサニ」級だけに、見事な金細工が鞘に施されたサーベルと、ベレッタの小型ピストルが贈られた…
トレント「こんな見事な品を……ありがとうございます」
デス・ジェネイス(ピサニ級)「いいえ…さ、これで礼儀正しい時間は終わったわね……提督諸君、一杯飲みましょうか!」
ジョヴァンニ・バウサン(ピサニ級)「ジェネイスはそれが目的だったものね…付き合ってあげる♪」
ピサニ「海戦でも飲み比べでもジェノヴァに負けるわけがないな……一番大きいグラスで飲んでやろう!」海戦でジェノヴァに勝利したヴェネツィアの提督「ヴェットール・ピサニ」だけに、金魚鉢ほどの大きさがありそうなグラスを探し出すとワインの瓶を持ちだした…
ジェネイス「面白いわね…受けて立つわ!」艦名の由来になった「ジョルジョ・アンドレア・アーネ・デス・ジェネイス」は「イタリア半島一の海軍国」を自認している「ジェノア」出身だけに、ヴェネツィアに負けるのだけは面白くない…
(※ジェノア…生粋のジェノヴァ人は「ジェノア」と発音するらしい)
バウサン「なら私だって…♪」こちらも誇り高い「両シチリア王国」こと、ティレニア海に面する「最強の海軍国」ナポリの提督だけに、三角帽を脱いで大きなグラスを取り上げた…
提督「…こぉら、せっかくのワインをそういうことに使うんじゃありません!」ボトルを没収しポーラに預ける提督
ポーラ「全くですよぉ~…あ、そう言えばトレントの「アレ」がまだでしたねぇ~♪」
トレント「…「アレ」ってなんです?」
ポーラ「それはもちろん進水式なんですからぁ~、艦首にスプマンテをぶつけないと、ですよ~……えへへぇ♪」
提督「そう言えばそうだったわね…はい、それじゃあみんな波止場まで行きましょう♪」
トレント「…いや、でも進水し損ねているわけですし……わわっ」
ザラ「そう言わずに…さ、行きましょう?」後ろから押して行くザラ…
ポーラ「んー……美味ひぃれすねぇ♪」わいわいと騒ぎながらトレントが連れて行かれる間に、さりげなく高いワインをたっぷりと喉に流し込む…
………
…というわけで重巡「トレント」の小ネタをお送りしました……実際「トレント」は1927年9月4日の進水式で滑走台を滑りきれずに止まってしまい、改めて10月4日に進水式のやり直しと言う何ともマヌケなエピソードがあったので、小ネタにさせてもらいました
…ちなみに当時のモノクロ写真で、艦首部に乗っていたり周辺にいる工員が困っていたり呆れている様子が撮られています…
>>202
なるほど、ありがとうございます
いいですね
>>203 どういたしまして、引き続きゆっくりながら続けていきます…
……そのうちに様々な外国海軍の提督たちも色物として登場させたいところですが、第二次大戦当時有力な海軍があった国と言うと枢軸側の日・独・伊、連合側の英・米・仏程度なのでなかなか…
↑
>>206 の方へのコメントでした、失礼しました…
…夜・廊下…
提督「さてと…そろそろ明日、明後日には基地祭用の資材が届きはじめるわね」
ライモン「えーと、出店が十数軒に…舞台ではオペラ「ロメオとジュリエッタ」か歴史劇として「ガリア戦記」……他に写真や模型の展示と、飛行艇や水上機のデモフライト…それとわたしたちが沖合いに自分の艦を錨泊させて「ミニ観艦式」……なかなか充実しているように思えます」
提督「ええ、主計部相手に頑張ったかいがあったわ……何しろ最初は「予算40万でどうにかして下さい」って言ってたのよ?…学芸祭でもあるまいし」
ライモン「40万ユーロ…ですか?」
提督「40万リラでよ……もっとも私もお返しに「…基地祭には海軍士官を目指すかもしれない子供たちや、鎮守府に文句ひとつ言わないでくれている地元の方々、それに地方議員や退役軍人の方も大勢来るはずです♪」って皮肉ってあげたわ……」
ライモン「それでこの額ですか」
提督「ええ。今のところ主計部の担当官が一番厄介だったわ……中にはいい人もいるのだけど、どうしてもお金にうるさい人が多いのよね…って、あら?」会議室の中から明かりとおしゃべりの声が漏れている…
提督「?」
…そっとドアを開けると、駆逐艦と潜水艦、植民地スループの「エリトレア」、コルヴェットの「ガッビアーノ」(カモメ)と「チコーニャ」(コウノトリ)の、合わせて二十人余りが座って映画を見ようとしている……そばにはエリトレアが作ったらしい小さいサンドウィッチと飲み物が並べてあり、どの作品を見るかでわいわい話し合っていた…
提督「…ねぇ、みんな?」
一同「「!?」」
提督「あぁ、驚かせてごめんなさいね…映画でも見るの?」
エリトレア「えっ、ええ…そうなんですよ。私も厨房の後片付けも終わったからいいかなぁ…なんて♪」
提督「ふふ、そんな言い訳がましく言わなくたっていいわよ……ただ、終わったらちゃんと電気を切っておいてね?」
カミチア・ネラ(ソルダティ級駆逐艦「黒シャツ隊員」)「了解、提督。私が駆逐艦代表としてきっちりやっておくから……ところで一緒に観る?」
提督「そうねぇ……候補は何があるの?」
フォルゴーレ「昼も観た「機動戦姫カンムス」シリーズなんだけど……一応これね」
提督「ふむふむ……まずは「機動戦姫カンムス…宇宙世紀秘録・艦娘ISUZU」と」
フォルゴーレ「試験部隊と歴史に現れなかったテスト兵器のエピソードを描いた作品ね」
提督「それから…「機動戦姫カンムス1943…ソロモン海戦メモリー」…に」
フォルゴーレ「うんうん」
提督「で、お次が「機動戦姫カンムス・第08駆逐隊」と……三シリーズもあってそれぞれ十数話づつ…しばらくは見るものに困らないわね?」
フォルゴーレ「うん…で、みんなでどれを見ようかと話していたんだけど、なかなか決まらなくて……提督、決めてもらえる?」
提督「そう、それじゃあこれがいいかしら…」
フォルゴーレ「了解、それじゃあこれにするわ♪」
………
…上映中…
プロパガンダ放送「とぉころが何とこの新型駆逐艦は、主機のトラブルでまぁったく役に立たないと言うのです…これを新型とはおかしいですねぇ!」
五十鈴「貴様ぁ…こんなのは敵のプロパガンダに過ぎない!」
…
連合軍機「ひゃっはぁ、喰らえ!」
まるゆ艇「うわぁぁ…っ!」
五十鈴「…えぇい、あれは一体何をしているのだ!?」
明石「あれは陸軍の潜水艇です…彼女らは溺れて……海で溺れているんです!」
…
島風「……私はもはや…ゴーストファイターではない!」
………
…
提督「…つい見ちゃったわ。えーと、私は見回りがあるから……後はみんなでどうぞ♪」
フォルゴーレ「了解、それじゃあね♪」ちゅっ♪
提督「はいはい…♪」
…廊下…
提督「さーてと…そう言えば建造に取りまぎれてすっかり忘れていたけれど、ちゃんとシレーナ級の部屋に寝具は用意しておいたかしら?」
ライモン「確かフルットたちが「年上の従姉妹みたいなものだから、私たちで準備しておきますよ…」って言っていましたが……」
提督「そう、でも一応確認に行きましょうか……ついでにちょっとお話でもして♪」
ライモン「それもいいですね…提督は誰がお気に入りですか?」
提督「それはもう……あら、不意打ちとは驚いたわね」
ライモン「あ、ばれちゃいましたか……いえ、提督に好みの娘がいれば…わたしもその娘を参考にしようと///」
提督「そう言う意味ね…それならライモンね」
ライモン「…え!?」
提督「だって…笑顔は可愛いし、律儀で真面目だし、怒ってもちゃんと謝れば許してくれるし、料理は上手だし、瞳は綺麗できらきらしているし、肌は白くて滑らかで、髪はしなやかで手ざわりがいいし……」一つづつ指折り数える提督…
ライモン「も、もう結構ですっ……十分わかりましたから…///」
提督「そう?…とにかく、何のかのと言って一番頼りにしているわ……♪」ちゅっ…♪
ライモン「///」
提督「ふふ。さぁ、ついたわよ……んっ?」ノックをしようと手を丸めた途端、室内の声を聞いて手を下ろした…
ライモン「どうしたんです、提督?」
提督「…しーっ」ドアに耳を当てる提督
ライモン「?」
…シレーナ級の部屋…
トリトーネ(フルット級中型潜)「それにしてもアンフィトリテが来るなんて…神話で言えば私の「お母さん」だものね」トライトゥンだけに三つ又矛を持ちほら貝を腰から提げている「トリトーネ」…が、三つ又矛は壁に立てかけ、ほら貝も素っ気ない金属のデスクの上に放り出してある……
アンフィトリテ「そうね……私も「娘」に会えて嬉しいわ。もっとも、年で言えば姉妹みたいなものだけれど…♪」
トリトーネ「それでも私の「お母さん」なのは変わらないわ……何だか落ち着くし…」
アンフィトリテ「そうね、私もトリトーネとずっと一緒にいたような気分がするわ……ほら、私の膝の上においでなさい?」
トリトーネ「ええ…///」アンフィトリテのひざに頭を乗せて髪を撫でてもらうトリトーネ…美しいがどこか嵐を予感させる普段の様子が、まるで嘘のようにおさまっている……
アンフィトリテ「ふふ…よしよし……」
トリトーネ「……お母さん///」
アンフィトリテ「はい、私はここにいますよ…」
トリトーネ「あの…さ……」
アンフィトリテ「何かしら?」
トリトーネ「いや…もっと母娘みたいなことがしてみたくて……ごめん、おかしなことを言って///」
アンフィトリテ「…ううん」するりとネグリジェをはだけ、慎ましやかな乳房をさらけ出すアンフィトリテ…
トリトーネ「アンフィトリテ……それって///」
アンフィトリテ「たとえほんの数年しか違わなくたって「私の娘」だもの……「お母さま」は母乳こそ出ないけれど…さ、いらっしゃい?」
トリトーネ「お、お母さまぁ……んんっ…ちゅぱ……ちゅうぅぅ…///」
アンフィトリテ(シレーナ級)「ふふ…一生懸命吸って……んっ、くぅっ///」ベッドに座ってほぼ同じ大きさのトリトーネを膝に乗せてあやしつつ、胸をはだけて授乳…の真似をしている二人……
提督「…うちの実家にも負けない母娘関係ね///」
ライモン「ふわぁ…ぁ///」
提督「……さて、あんまり聞き耳を立てるのも趣味が悪いし…とりあえず「仲良く」しているようだから、他のみんなの所に行きましょうか♪」
ライモン「り、了解です……///」
提督「となると…この辺りは潜水艦の娘たちの部屋が多いわね」
ライモン「あ、それじゃあ「R」級の二人の所はどうでしょう?…すぐ近くですし、おしゃべりは好きな方だから喜んでくれると思いますよ?」
提督「そうね、それじゃあそうしましょう……って、あら…」
ライモン「ま、またですか…///」
提督「ええ、そうみたい…あ、ドアの隙間からちょっとだけ見えるわ……」中腰になって片目をつぶり、ドアの隙間から中をのぞきこむ提督…
ライモン「……どうなってます?」
提督「あー…ローマがいるわ」
ライモン「でも珍しいですね、ローマはそういうタイプではないと思っていましたが…」
提督「まぁ、でも「ローマを作った」二人にはかなわないんじゃないかしら……うわぁ///」
(※ロムルスとレムス(ロモロとレモ)…「ローマ建設を行った」という伝説上の双子で、父は戦の神アレス(ローマ神話のマルス)。兄がロモロ(ロムルス)で弟がレモ(レムス)……赤ちゃんだった二人は祖父の王位を乗っ取った叔父によってテヴェレ川に流されたが、マルスが助けてやろうと陸にたどり着かせた…その流れ着いた先にいた雌狼の母乳で二人は育てられ、後に猟師に拾われる。立派な若者になってから事情を知ると叔父を倒し祖父に王位を返すが、二人は狼に拾われたテヴェレ川岸に新しく町を築こうとする…この時、地面に線を描いて計画を立てていた兄を馬鹿にしたことで兄弟の決闘になり弟レムスは死ぬ。しかし兄ロムルスが「これから敵は誰ひとりローマの街に入ることはできない」と弟の血に誓った事から、以後ローマは難攻不落になったという……そののち、開拓地にありがちな「お嫁さん不足」を解消しようと祭にかこつけて近くの異民族の町から女性を誘い出した「ザビーネ女の略奪」は彫刻にもなっていて有名)
…十数分前・大型輸送潜水艦「R」級の部屋…
ロモロ「ようこそ私たちの部屋へ…ローマ♪」
レモ「歓迎するよっ♪」狼のような白い八重歯を見せてにっこりする二人…とはいえ水上排水量で2000トンを超えるイタリア一の巨大潜水艦だけに、あどけないような表情と違ってむっちりした大人の身体が動くたびにたゆんたゆん揺れる……
ローマ「そう、それはどうも……なかなか綺麗なお部屋ね」まだ直していない度の強い眼鏡のせいで目を細めている…そのためかいくらかツンとした表情に見えるローマ……
ロモロ「ありがとう、今お茶でもいれるから……それともカプチーノの方が好み?」
ローマ「ええ、カプチーノの方がいいわ…それにしてもこの部屋はちょっと暑いわね。どうして窓を閉め切っているの?」夜とはいえまだ入浴する前だったので、ローマは淡い灰色のブラウスで胸元に細いリボン、下はベージュの膝丈スカートに黒い薄手のタイツとスリッパ姿で、髪を下ろしている……軽く