サトシ(20)「俺がジムリーダー?」 (588)
とある山奥にポケモントレーナーとしての腕を磨くため修行と称して俺は山籠りをしていた。
サトシ「今月分の食料もそろそろ無くなってきたな・・・リザードンに買い物頼もうかな」
ピカチュウ「山に籠って長くなるんだしたまには下山してみようよ。皆心配してると思うよ」
サトシ「んーもう五年目だもんなぁ。一日くらい良いかもしれないな・・・」
ピカチュウ「決まりだね!僕なんだかワクワクしてきたよ!」
サトシ「ハハハ、子供だなぁピカチュウは」
ピカチュウ「うるさいやい」
日用品や食料は修行のため下山できない俺に代わってリザードンが買い物に行ってくれている。
もちろん普通の店に行くと騒ぎになるので知り合いの俺の修行に理解のある店長に売ってもらっている。
リザードンは毎回「めんどくせぇ」と言いつつもちゃんと買い物を果たしてくれる。感謝すると照れ臭そうにするのがまた可愛い。
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「皆聞いてくれ!明日一日だけ下山する事になった!」
リザードン「俺は留守番」
ラプラス「あなたがいないとサトシが困るわよ」
フシギバナ「そうだぞ。歩いて下山しようと思えば軽く4日は掛かる」
カメックス「しかし、一日だけか。もっとゆっくりしても良いと思うがな」
ピカチュウ「もともと僕が提案したから仕方がないよ。サトシは最初から下山する気なんて無かったしね」
カビゴン「・・・ご飯」
「えー皆思う事はあるけど、明日はとにかく下山だ!リザードン、すまないけどお前の力が必要なんだ。明日は頼むぞ!」
リザードン「し、しゃーねぇな!おい!」
カビゴン「顔・・・赤いよ」
リザードン「元からだ!」
俺は本当に良い仲間を持ったと思う。自分の都合でゲットし、自分の都合で使役しててもなお俺の事を慕ってくれる。今回の修行も俺のトレーナーとして強く成りたいという身勝手に付き合わせてしまっている。たまに文句は言うが止めたいとは彼らは絶対言わない。
ポケモンの服従心はモンスターボールの効果からという意見もあるけど、俺は信じたくない。今まで積み重ねてきたことの結果が今のピカチュウ達なんだと思いたい。
下山当日
サトシ「いざ、下山となるとなんか緊張するな・・・」
ピカチュウ「ママさん達に元気な顔見せるんだって昨日言ってたじゃない。さぁ、行こうよ!」
サトシ「・・・よしっ!リザードン!」ポン!
リザードン「乗れ」
サトシ「ありがとな」
ピカチュウ「おじゃまします」ササッ
こうして俺はリザードンの背中に乗り、生まれ故郷マサラタウンに向かった。
マサラタウン
リザードン「見えたぜ。しっかし何ひとつ変わってねぇな」
サトシ「・・・ああ。本当にな」グズっ
ピカチュウ「サトシ、涙」
サトシ「ち、違う!小便だよ!朝トイレに行ってなかったから!」グズズっ
リザードン「汚ねぇなおい。ってか着いたぜ」
涙で歪んでる顔の俺を横目にリザードンは次第に速度を弱め、家の庭に植えてある花を散らさない様に静かに舞い降りた。
リザードン「モンスターボールには戻さないでくれ。ちょっと散歩してくる」バサッ
サトシ「わかった。戻ったら家の前で待っててくれ」
リザードン「おう」
リザードンは俺の頭上を一周すると、どこかに飛び去っていった。
ピカチュウ「行っちゃったね」
サトシ「・・・俺たちも行くか」
俺はドアの前に立った。この向こうに母さんがいると思うとなかなか開けられずにいた。何年も連絡を寄越さなかった息子がいきなり帰ってきたらどう思うだろう。喜ぶ?怒る?身勝手で馬鹿な俺には解らない。
ピカチュウ「サトシ、エスパーじゃないんだからドアの前で立ってるだけじゃ開かないよ!さぁ、勇気を出して!」
サトシ「・・・帰っていいかな?」
ピカチュウ「・・・」スタスタ
ピンポーン!
ハナコ「はぁーい!どちらさまですか?」
サトシ「お、おい!勝手にチャイム押すなよ!」
ピカチュウ「てだすけ」ニヤッ
やられた。だけどこれで前に進める。ありがとう。
サトシ「サ、サトシだけど」
ハナコ「えっ!?サトシ!」
驚きの声と共に出てくる・・・と思ったがなかなか出てこない。そして暫くして静かに扉が開いた。
8>>サトシで書きたかったんです。
ハナコ「・・・サトシ」
サトシ「あの・・・ただいま」
パシンッ!
瞬間、俺の頬に鋭い痛みが走った。そして、俺の前には目に涙を浮かべる母さんがいた。
ハナコ「サトシ、あなた今までどこに行ってたのよ!?ママ、心配したんだから・・・」
サトシ「・・・ごめん」
「五年も連絡寄越さないで・・・でも、もういいの。あなたが今こうして元気なのがわかったから」
サトシ「・・・うん」グスッ
しばらく俺と母さんは抱き合ったまま再開の時を過ごした。
母さんの体は以前に比べると小さく、弱々しく感じた。それが俺の罪悪感に加速をかける。
ハナコ「それでサトシ、あなた今までどこで何をしてたの?」
当然の質問を俺に投げかける。
サトシ「実は・・・」
俺はピカチュウ達と山籠りしていた事を話した。
ハナコ「ご飯はちゃんと・・・って聞かなくてもその体を見れば大丈夫そうね」
ピカチュウ達を鍛えるからには俺も強くならないとと思いトレーニングを積み重ねた結果、山籠りをする前に比べたらかなり体格が良くなっていた。
サトシ「リングマに相撲で一回だけだけと勝てたのが自慢だよ」
ハナコ「まぁ凄いじゃない!本当にたくましくなったわね。ママ嬉しいわ」
サトシ「それで母さん」
ハナコ「何?」
サトシ「いや、何でもないよ!」
母さんの嬉しそうな顔を見ていると、今日中に山に帰るなんて言えなかった。
今日はここまでにします。サトシはポケモン達と5年過ごしていたおかげで普通に意思疎通が出来る設定です。
11>>次回からやってみます。
サトシ「~~~~」
ピカチュウ「~~~~」
サトシ「~~~~」
って感じで改行してくれ
かなり読みづらい
地の文はそのままでいいよ
ハナコ「? 変な子ね。サトシ、お昼ご飯は食べるわよね?」
サトシ「もちろん!」
ハナコ「ふふっ。ママ、用事があるから少し時間が掛かるけど良い?」
サトシ「うん。じゃあ俺はオーキド博士の所に行ってくるよ」
ハナコ「いってらっしゃい。あっ、ピカチュウちゃんは置いて行ってね!」
サトシ「良いか?ピカチュウ」
ピカチュウ「良いよ。後で僕も皆に会いに行くから!」
サトシ「オッケーだって」
ハナコ「じゃあピカチュウちゃん、山から降りて来たんだからキレイキレイしましょうね」
ピカチュウ「ファッ!?」
サトシ「やれやれ・・・」
オーキド博士の研究所には俺が今まで仲間にしてきたポケモン達がすごしている。運が良ければシゲルとも会えるかもしれない。ああ、楽しみだ!
オーキド研究所
オーキド「よーし、よーし、ベトベトン!お前は可愛いのぉ!」なでなで
ベトベトン「べたぁ///」
ピンポーン!
オーキド「はて?今日は学会の訪問は無かったはずじゃが・・・どうぞ、お入りなさい」
サトシ「オーキド博士!お久しぶりです!」
オーキド「サトシくん!?おお!よく来てくれt ふぎゅっ!?」
ベトベトン「サトシィィィィィィィィ!」ぐぢゃあ
サトシ「ベトベトン!俺の事覚えてくれてたのか!?」ぐぢゃあ
ベトベトン「当たり前だ!会いたくてしょうがなかったんだぞ!こうしちゃいられない、広場に皆集めてくる!」ぐぢゃあ
「会いたくてしょうがなかった」ベトベトンの言葉が胸に突き刺さる・・・長い間預けっぱなしにしてた事が今更になってポケモン達にとって酷い事だと実感した。
オーキド「サトシ君?どーしたんじゃ、ぼーっとして」
サトシ「あっ、いえ、何でも無いです」
オーキド「しかし、サトシくん。今まで何をしてたんじゃ?5年前を境に急にテレビで見なくなったんじゃが・・・」
サトシ「実は・・・」
オーキド「ほぉ。山籠りとな?若いうちにそういう事をするのはワシは大いに結構だと思うが、ママさんに心配かけるのはいかん!」
サトシ「ええ、だけど途中で連絡を取ってしまうと修行への気持ちが薄れそうで・・・」
オーキド「・・・難しい問題じゃな。しかし、サトシ君の元気な顔を見れて良かった。ワシは今、感動しておる!」
サトシ「はははっ。大袈裟ですよオーキド博士。でも、そう言って貰えて本当に嬉しいです。」
オーキド「うむ。その素直なところが実にサトシ君らしい!」
サトシ「ありがとうございます。そうだ、シゲルはここにいてますか?」
オーキド「残念じゃが、今日は居てないのぉ。近いうちに来るらしいが、なんなら呼ぼうかの?」
サトシ「いえ、アイツの都合もありますし、迷惑ですから」
オーキド「しかし、そう長くはここには留まらんのじゃろ?」
サトシ「・・・どうして分かったんですか?」
オーキド「年の功って奴かの。時にサトシ君、君はいくつだったかな?」
サトシ「えっと、旅で5年、修行で5年だから・・・あ、二十歳だ」
オーキド「うむ。ワシに言われるまでも無いと思うが、そろそろ道をハッキリさせた方が良いと思うんじゃ」
サトシ「どういうことです?」
オーキド「このまま旅人のポケモントレーナーを続けるか、ここらで腰を据えて職を探すかだ。サトシ君、そろそろはっきりさせんとママさんがあまりにも不憫じゃ」
いままで母さんの気持ちなんてあまり考えたこと無かった。少し寂しいだろうなという思いはあったが、今日、母さんと会って認識が変わった。身を切る思いで俺の帰りを待っていたんだ。旅と職の両立は難しい。そろそろ決める時かもしれない。
サトシ「・・・はい。少し考えさせて下さい」
オーキド「うむ。どっちの道に行っても誰も咎めんし、わしが咎めさせん。自分が選んだ道なのじゃからドンと胸を張って自信を持つんじゃぞ」
サトシ「・・・ありがとうございます。ポケモン達に挨拶してきます」
オーキド「せっかく来てくれたのに説教じみた事言って済まんの」
サトシ「いえ、おかげで目が覚めました。もうそろそろ決める時なんだと思います」
正直俺は動揺していた。俺はこれから先もピカチュウ達と旅を続けるつもりでいた。30歳になっても40歳になってもおじいさんになっても。ピカチュウ達と旅をするのが俺の人生だと思っていた。俺はこれ以外の生き方を知らない。
しかし今日、母さんの想いを感じ、オーキド博士の言葉を聞き、そんな子どもじみた事は無理だと・・・そう思わされた。
広場
ベトベトン「皆!サトシが来たぞぉぉぉぉ!」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ド!
「サトシー!」
サトシ「ジュカイン、キングラー、ケンタロス、ヘラクロス・・・他の皆も!」
ベトベトンの呼びかけにより昔の仲間達が集まった。預けられてる間も特訓をしていたのか進化しているポケモンもいた。
メガニウム「会いたかったよぉ!」スリスリ
サトシ「立派に成長したなぁ、メガニウム!」なでなで
バクフーン「ぼ、僕だって!頑張ったんだよ!」ボウッ!
サトシ「熱い、熱いって!」
オーダイル「俺の牙を見てくれ!ワイルドだろう?」
サトシ「あぁ!もう噛みつかないでくれよ!死ぬからな!」
そうだ、俺にはこいつ達が居る。たとえどんな道に進もうと。そう思うと俺は何でも出来るし何にでもなれような気がした。そう思うと自然と目頭が熱くなった。
ジュカイン「サトシ、泣いてるのか?」
ゴウカザル「漢泣きだな、こりゃ」
サトシ「泣いてなんかないぜっ!」ゴシゴシ
サトシ「・・・よし!今から皆でポケモンバトル紅白試合やろうぜ!」
ヘラクロス「キターーーー!!!」
ケンタロス×30「俺ら30匹で1匹だからな」どやっ
ムクホーク「おい」ビシッ
それからピカチュウ、リザードンが合流し、手持ちのポケモンも交えて紅白試合をした。皆、驚く程強くなっていてまたもや目頭が熱くなった。
圧倒的な試合もあれば接戦もあった。しかし最後は皆笑顔だ。途中から紅組はゴウカザル、白組はオーダイルが音頭をとっての応援合戦が始まったりと勝っても負けてもお祭り騒ぎの紅白試合だった。
サトシ「優勝は紅組だな!白組も良く頑張った!」
ピカチュウ「あーあ、負けちゃった・・・」
フシギバナ「草タイプだが効いたよ、お前の10万ボルトは」
ピカチュウ「・・・うん!ありがとう!」
ゴウカザル「凄かったぜ!お前の反動なしハイドロカノン!ありゃ反則だ」
オーダイル「お前のブラストバーンもな」
リザードン「俺には劣るがな」
カメックス「こら、大人気無いぞ」
リザードン「うるせぇ」
ガブリアス「HAHAHA!」
オーキド「おーい、サトシ君!」
サトシ「あっ、博士」
オーキド「なかなか白熱しておったな!ママさんがご飯出来たと電話で言っておったぞ」
サトシ「わかりました。ちょっと皆、良く聞いてくれ」
試合後の余韻が残る広場が一気に静まり俺に視線を向ける。俺が何か大事な事を言うのを感じたのだろう。
サトシ「俺は今日中に山に戻る。でも約束する。月に一度はまたこうして皆でバトルしたいと思う」
ヘラクロス「キターーーー!!!!!」
サトシ「そして、皆ゴメン。今まで放ったらかしにして・・・本当にごめん!」ガバッ!
ピカチュウ「サトシ!?」
俺は心から謝った。地に頭をつけて何度も。これが今の俺に出来る最大の謝罪だ。
ドンファン「え?土でも食べてるのかな?」
フローゼル「ちょっと黙れ」
ジュカイン「サトシ、顔を上げろ。俺たちは怒ってない。そうだろ皆?」
ソウダソウダ!サトシハオレタチノサイコウノマスターダ!
サトシ「・・・お前ら」
キングラー「プクク・・・こうして今日俺たちの事を忘れずに会いに来てくれた。それだけで嬉しい」
ガブリアス「今まで誰が俺たちの世話をしてたんだと思ってんだ。オーキドの野郎だろ?お前の世話なんか要らねぇ、だから今まで通り旅を続けやがれ」
ヘラクロス「要約すると「俺たちは大丈夫だから安心して旅に出ろ」だよね!?ガブリアス!君は良いこと言った!あの短時間で一生懸命考えたんだよねその台詞!?僕は今猛烈に感動してる!!!んんんwwwwww何かみなぎってきたぁぁぁぁ!!!」ブンブン
ヨルノズク「ちょっと危ないわよ!メガホーンが当たるでしょ!」
ガブリアス(うぜぇ)
ピカチュウ「サトシ、さぁ立って。そして皆の顔を見て」
サトシ「・・・うん」
皆は俺を曇りの無い真っ直ぐな瞳で見ていた。本当にこいつ達のトレーナーになれて良かった。
サトシ「ありがとう、皆!!!」ギュッ!
ガブリアス「お、俺にだきつくなっ!」
サトシ「鮫肌痛てぇ!でも関係ねぇや!」
「ハハハハハッ!」
サトシ「ここを旅立つ時また来るからな!」
こうしてオーキド研究所を後にした。
ピカチュウ「僕、サトシのポケモンになれて幸せだよ」
サトシ「い、いきなりどうしたんだよ」
ピカチュウ「わかんない。言いたくなったから言っただけだよ」
サトシ「・・・」ぐりぐり
ピカチュウ「痛い!痛い!何するのさ!」
サトシ「やりたくなったからやっただけ」
「ハハハハハッ!」
サトシ「ただいま」
ハナコ「お帰り!サトシの好きなもの作ったから冷めないうちに召し上がれ!」
まだお昼なのにテーブル狭しとおかずが並べられている。数あるおかずの中で特に目を引いたのはコロッケだ。あの出来たてのパリッとした衣と中のしっとりとした具がたまらない。
サトシ「頂きます!」ガツガツ
「ピカチュウちゃんはコロッケにケチャップをかけてあげるわね」
ピカチュウ「やった!」
いつも食事は釣った魚や山菜、それにレトルトや缶詰で済ましていたため、母さんの料理が五臓六腑に染み渡る。俺は泣きながらそれをむさぼる。
サトシ「うめぇ!うめぇ!」ガツガツ
ハナコ「そんなに辛かったのね・・・」
ピカチュウ「今日泣きすぎ」
サトシ「ぷはぁ、食った!食った!」
俺の腹は山の様に膨れ上がり、今ならカビゴンと比べても遜色無いくらいになっていた。
ハナコ「フフッ、お粗末様。これからどうするの?」
サトシ「カスミ達に会いに行こうと思ってる」
ハナコ「きっと喜ぶわ!暗くならないうちに行ってらっしゃい!」
サトシ「うん。あっ、もしかしたらカスミ達を家に呼ぶかもしれないけどいいかな?」
ハナコ「ええ、大丈夫よ。美味しいものたくさん作っておくわ」
サトシ「よろしく頼むよ!じゃあ行ってきます!」
ピカチュウ「・・・」
バタン!
ハナコ「・・・」
サトシ「久しぶりだなぁ!あいつらに会うの!なぁ、ピカチュウ?」
ピカチュウ「・・・」
サトシ「ん?どうしたんだよピカチュウ?」
ピカチュウ「僕達って今日また山に戻るんだよね?」
サトシ「ああ、もう少し修行したいしな」
ピカチュウ「だったらどうしてママさんに言わないの?今日ここを立つって」
ピカチュウは静かに俺に問う。怒りか呆れかピカチュウの冷たい目に俺は始めてピカチュウに恐怖心を抱いた。
サトシ「わかってる、わかってる・・・けど」
ピカチュウ「ママさん気付いてるよ。サトシが今日ここを立つ事」
サトシ「・・・」
ピカチュウ「でも、あえて聞かないつもりみたい。きっと聞き辛いんだと思う。聞いちゃうとサトシがまた遠くに行ってしまうんじゃないかって。ママさんはきっとそう思ってる」
サトシ「俺は・・・俺はまた母さんを悲しませるのか・・・」
ピカチュウ「かもしれない。でも、ママさんはサトシが信じた道を行くなら笑顔で見送ってくれる。僕は旅を止めろとは言わない、ママさんを悲しませるなとも言わない。せめて面と向かって元気良く「ありがとう」と「行ってきます」は言おうよ」
サトシ「本当にそれでいいのかな・・・」
ピカチュウ「ラプラスの受け売りだけど、夢を叶えるには犠牲は付き物で何も手放したくないってのは甘えだって。君のポケモンマスターという夢の犠牲がたまたまママさんだったんだ。ママさんはそういうのを理解してるからこそさっきも言ったけど君を笑顔で見送れるんだよ」
ピカチュウの言葉には厳しさがあり、温もりがあった。俺を納得させるには十分過ぎる言葉だった。
サトシ「ありがとうピカチュウ。でも、心の準備が出来てないからまだ・・・」
ピカチュウ「僕はこれ以上は言わない。後はサトシが決めるべきだよ!」ニコッ
サトシ「ああ!俺も男だ、腹を括るぜ!」
ピカチュウ「それでこそサトシだよ!さぁ、カスミ達に会いに行こう!」
サトシ「よし、リザードン君に決めた!」ポン!
リザードン「ったく、寝てたのによ」
サトシ「ゴメンなリザードン。お前の翼がどうしても必要なんだよ」
リザードン「運賃はもらうぜ?俺のメーターは回りが早いから覚悟しとけよ」
サトシ「特上ポケモンフードでどうだ?」
リザードン「お、おい、冗談に決まってんだろ。お前からは何も取らねぇよ」
サトシ「やっぱり優しいなぁ、リザードンは!」なでなで
リザードン「や、やめろって!バカ!」
ピカチュウ「リザードン、かわいい」ニヤニヤ
リザードン「うるせぇ!ただ乗り野郎!」
サトシ「リザードン。最初は二ビシティに行ってくれ」
リザードン「あいよ。じゃあ乗れ」バサッ
サトシ&ピカチュウ「おじゃまします」ササッ
今日はここまでにします。僕はどうしてもサトシで書きたいのでこのままサトシでいきます。
>>60 よく知っていますね。その2匹も出そうと思ったのですが登場人物が多いとゴチャゴチャになるので止めました。
後、ベストウィッシュが苦手なのでイッシュ勢は出ません。
ニビシティ
サトシ「お疲れ様リザードン。戻れ」シュイーン
リザードン「おう」
ピカチュウ「じゃあ、ニビジムに行こっか」
サトシ「ワクワクしてきたぜ!」
ニビジム
タケシ「イシツブテ!いわおとしだっ!」
イシツブテ「ラッシャイ!」ドガガ
少年「アリアドス、くものいとでバリアーを作れ!」
アリアドス「ヨロコンデー」プシュー
タケシ「考えたな、くものいとはかなり頑丈・・・岩を受け止めるなどなんの造作もない事。だが!」
少年「よし!受け止めたぞっ!あれ!?イシツブテがいない!?」
アリアドス「ナ、ナンダッテー」
タケシ「今だ!イシツブテ!」
イシツブテ「ショーリューケン!」
少年「あなをほる!?よ、よけるんだ!」
アリアドス「ムリッスワー」ドガッ!
審判「アリアドス戦闘不能!よってジムリーダータケシの勝利!」
少年「あ・・・ああ、アリアドスが・・・」
タケシ「さっきの咄嗟の作戦は見事だったよ。しかも、相性の悪い虫タイプで良く頑張ったな、君の成長を楽しみにしてるよ」
少年「あ、ありがとうございます!アリアドス、ゆっくり休んでまた頑張ろうな」
アリアドス「ヤッタルデー」ファッキュー
タケシ「・・・俺ももっと頑張らないとな」
サトシ「相変わらずだな!タケシ」
ピカチュウ「タケシ!」
タケシ「サトシ!ピカチュウ!お前ら今までどこに行ってたんだ!?」
サトシ「実は・・・」カクカクシカジカ
タケシ「突然テレビで見ないと思ったらそんな事をしていたのか」
サトシ「心配かけてゴメンな」
タケシ「全くだ。カスミの所にはまだか?」
サトシ「あぁ、この後行くつもりだけど・・・」
タケシ「カスミは俺以上に心配してたぞ」
サトシ「そっか・・・連絡全くして無かったしな・・・」
タケシ「行って思いっきり殴られてこい!」
サトシ「俺死んじゃうよ!」
「ハハハハハッ!」
サトシ「あっ、今日晩飯俺の家で食べないか?カスミも呼んで皆でワイワイやりたいんだ!忙しいかったらいいんだけどさ、ほら、お前は家族の事もあるし・・・」
タケシ「確かに忙しいが次男がしっかりしててな。ダメ夫婦に代わって子供たちの世話をしっかりしてくれてるんだ」
サトシ「ということは・・・」
タケシ「勿論オッケーだ!昔話に花を咲かそうじゃないか!」
サトシ「やったぜ!じゃあ、夜の8時に来てくれ!」
タケシ「ああ、わかった!ところでサトシ・・・」ニヤッ
サトシ「・・・わかってるって!」ニヤッ
タケシ「ポケモントレーナーが出会ったら」
サトシ「バトルだ!」
審判「これよりジムリーダータケシとチャレンジャーサトシの一対一の特別試合を始めます!」
タケシ「時間が無いだろうから一対一にしたが良いか?」
サトシ「大丈夫だぜ!」
久々に味わうこの雰囲気。互いにどんなポケモンを出すかわからない。どちらが勝つか解らない。胸の高鳴りが止まない。
タケシ「俺の手持ちの中で最強のポケモンでいくぞ!行け!ラグラージ!」ポン!
ラグラージ「キモクナーイ」
サトシ(ピカチュウで勝っちゃうと流石のタケシも落ち込むからなぁ・・・ここはカビゴンで行くか)チラッ
ピカチュウ「わかってる。でも手を抜いちゃダメだよ」
サトシ「当たり前だ!行けカビゴン!君に決めた!」ポン!
カビゴン「トレーナーのポケモンと戦うのは久々だなぁ」
審判「では戦闘始めっ!」
タケシ(カビゴンは特殊攻撃に強い・・・なら、物理攻撃で押すだけっ!)
タケシ「ラグラージ!アームハンマー!」
ラグラージ「イキマッセー!」ぶおん!
サトシ「カビゴン、受け止めろ!」
カビゴン「はいよ」ガシッ
タケシ(弱点のアームハンマーを容易く受け止めた!?しかも片手で・・・)
タケシ「まずい!手を振りほどけ!」
カビゴン「・・・」ぐぐっ
ラグラージ「チョ、アクリョクパネエ・・・」
サトシ「離すか!そのまま空中に投げろ!」
カビゴン「ほい」ポイッ
サトシ「追撃のはかいこうせん!」
カビゴン「・・・標準OK」カパッ
タケシ「くっ、態勢が・・・ハイドロポンプで相殺だ!」
ラグラージ「オロロロロロロ!!!」ブシャー
サトシ「今だっ!」
カビゴン「ぼぉぉぉぉぉ!」ゴォーッ!
互いの技がぶつかり合い土煙が舞い上がる。
ラグラージ「カクガチガウワ・・・」バタッ
カビゴン「・・・ふんっ!」ムキッ
タケシ「ラグラージ!・・・良くやった、相手が悪すぎたな」
審判「ラ、ラグラージ戦闘不能!よってチャレンジャーサトシの勝利!」
サトシ「やったぜ!良くやったカビゴン!」
カビゴン「手がヌメヌメだ・・・」ペロッ
カビゴン「・・・あっ、美味」
ピカチュウ「ばっちいから止めなよ・・・あっ、ゴメンねラグラージ」
ラグラージ「ウサバラシジャー!」ベチャア
ピカチュウ「うわっ!ちょっと止めてよ!臭っ!」
カビゴン「僕が舐めてあげる!」┣¨┣¨┣¨┣¨ッ
ピカチュウ「アッーーー!!!」
ワーワーキャーキャー!
タケシ(圧倒的だな・・・)
タケシ「完敗だよ。以前も強かったが更に強くなったようだな」
サトシ「タケシもな!久々に燃えたぜ!」
タケシ「俺なりにポケモンを鍛えてきたんだがな・・・ここまで差をつけられると笑うしかないな」
サトシ「だったら、山籠りを勧めるぜ」ニッ
タケシ「ハハッ、落ち着いたら俺もやってみよかな」
サトシ「俺がレクチャーしてやるよ!」
タケシ「ああ、ありがとな」
バン!
「たのもーっ!ジムリーダータケシ!俺と勝負だっ!」
タケシ「おっ、威勢が良いな、。まるでサトシみたいだ」ハハッ
サトシ「ちゃんとジムリーダーには敬語を使ってらい」
タケシ「すまんすまん!じゃあ、行って来るよ。確か今夜の8時だったな?」
サトシ「うん。楽しみにしてるからな!」
タケシ「あぁ、俺もだ」
タケシの後ろ姿は昔から大きかった。年は5つしか離れていないのに昔から大人と接しているかのように感じ、俺は子供っぽい自分にコンプレックスを抱いていた。タケシは俺が思っていた格好良さとは違う格好良さを持っていてそんなタケシに近付きたいと思っていた。
そして今、数年ぶりに会って話をして、バトルをして思った。俺は何となくこのままでいいやと。このままでこそタケシの親友でいられると。
チャレンジャーに胸を張り歩み寄るタケシは親友の顔からジムリーダーの顔に変わる。
ピカチュウ「タケシは相変わらずかっこ良いね」
サトシ「あいつは最高さ」
サトシ「次はカスミだな」
ピカチュウ「カスミも元気だと良いね」
サトシ「俺が元気なんだからあいつも元気だろ!」
ピカチュウ「なんなのさそれ」
サトシ「俺にもわからない!」どやっ
ピカチュウ「ふふっ、サトシらしいや」
サトシ「さて、リザードン!」ポン!
リザードン「へいへい、次はハナダシティだろ」
サトシ「話が早くて助かるよ。カスミに会いに行く」
リザードン「次バトルする展開になったら俺が出るからな」
サトシ「カスミは水タイプ使いだせ?」
リザードン「ふん、それを俺に言うのかよ?」
サトシ「ははっ、そうだな。苦手なタイプ程燃える、お前の口癖だったな」
リザードン「おうよ」
ピカチュウ「僕もちょっと戦いたいかも・・・」
リザードン「お前はお呼びじゃねえんだよ」ぐいぐい
ピカチュウ「リザードンのいじわるっ」アッカンベー
リザードン「子供かお前は」
サトシ「おいおい、二人とも喧嘩すんなよ」
リザードン「じゃれてるだけさ」
ピカチュウ「うぅ~」むすっ
リザードン「特等席の頭に乗っけてやるから機嫌直せ。俺も悪かった」
ピカチュウ「ホント!?やったぁ!」
サトシ&リザードン「子供だな」
ピカチュウ「うっ・・・」
今日はここまでにします。カスミとバトルするところまでは書き溜めているので明日でそこまで一気に投稿したいと思います。
ハナダシティ
サトシ「お疲れ様リザードン。後で頼むぞ」
リザードン「早く戦いてぇ」ゴォォォ!
サトシ「熱いって!戻れ!」シュイーン
ピカチュウ「気合い充分だね」
サトシ「あぁ!戦い前はああでなくちゃな!」
カスミのいるハナダジムに向かう途中俺は面白い事を思いついた。
サトシ「なぁ、カスミをちょっと驚かそうぜ」
ピカチュウ「どうやって?」
サトシ「俺が変装してチャレンジャーとしてカスミと戦うんだよ!そしてバトルが終わった所でネタばらしってわけだ」
ピカチュウ(ただでさえ今、普通に会っても殴られるかも知れないのにそんな事したらどうなるやら・・・生暖かく見守ろう)
ピカチュウ「い、いいんじゃないかな。カスミは驚くの好きそうだし」
サトシ「あいつ、きっとポッポが豆鉄砲を食ったような顔するぜ!」
ピカチュウ「・・・変装はどうするのさ」
サトシ「今からフレンドリィショップで変装グッズ買いに行くんだよ!ほら、行くぞ!」
ピカチュウ(はぁ・・・たまに何か閃いたと思ったらこれだよ・・・)
ハナダジム前
サトシ「よし!変装完了!」
服上下は安く売ってたクラウンなりきりセットで整え、俺の特徴的な剛毛はいつもの帽子では無くベレー帽で、顔はサングラスで隠した。まぁ、思いつきの変装にしては上出来だな。
サトシ「どうだピカチュウ、なかなか良いだろ!」どやっ
ピカチュウ「(センスは瀕死状態だけど、別人にみせかけるために風貌や服装などを変えてる点については)とても良いよ!」
サトシ「ありがとな!あとな、ピカチュウ」
ピカチュウ「ん?何?」
ハナダジム前
サトシ「よし!変装完了!」
服上下は安く売ってたクラウンなりきりセットで整え、俺の特徴的な剛毛はいつもの帽子では無くベレー帽で、顔はサングラスで隠した。まぁ、思いつきの変装にしては上出来だな。
サトシ「どうだピカチュウ、なかなか良いだろ!」どやっ
ピカチュウ「(センスは瀕死状態だけど、別人にみせかけるために風貌や服装などを変えてる点については)とても良いよ!」
サトシ「ありがとな!あとな、ピカチュウ」
ピカチュウ「ん?何?」
サトシ「どれだけ上手く変装してもお前がいたらバレるだろ?ネタばらしが終わるまでの間ちょっとで良いんだ、外で待っててくれないか?」
ピカチュウ「(サトシが殴られるところはみたくないし)良いよ」
サトシ「何かやけに素直だな」
ピカチュウ「僕はドッキリの成功を祈ってるからね」
ピカチュウ(もうどうにでもなれ)
サトシ「ピカチュウ。お主も悪よのぉ」グヘヘ
ピカチュウ「サトシ様も」グヘヘ
ハナダジム
サトシ(いざ、中に入ると緊張するな・・・極力喋らない様にしよう)
受付「え、えっと・・・チャレンジャー様ですか?(怪しい・・・)」
受付嬢が明らかに異質な物を見る目で俺を見る。変装しているとはいえ失礼だな。まぁ、仕方ないか。
サトシ「・・・」こくっ
受付「お名前をここにお書きください。予約が入っていませんので、今からでもジムリーダーと戦えますがどうしますか?」
受付嬢はすぐさま態勢を整え職務を全うした。さすがプロだ。
サトシ「今から戦います(裏声)」
受付「それではお書きになられたら奥に進んでチャレンジャーエリアでお待ちください。ジムリーダーをお呼びします」
登録する名前を数秒考えた結果、見た目を考慮して「ビックリ☆クラウンさん」にした。ラジオの投稿者みたいな名前になったけど体を表せているから問題無いな。
受付(何よこれ、こっちがビックリよ・・・)
チャレンジャーエリアでしばらく待っていると緊張が解れてきたのか回りが良く見えるようになってきた。タケシのジムと同じで内装は変わっていないようだ。大きなプールに浮島が5つ浮かんでいて水中で戦えないポケモンはその浮島を足場として戦う。水中で行動が出来る水タイプのポケモンは水中から奇襲をしかけたりピンチになったらそそくさと水中に逃げて態勢を整える事が出来る。明らかにジムリーダー側が有利な戦場であり、実に自己中心的なカスミのジムらしい。まぁ、水がないと水タイプのポケモンは動きが鈍るので仕方のない事なのだが。
カスミ「私がジムリーダーのカスミ・・・って、アンタ!その格好ふざけてんの!?」
人を待たせておいて開口一番に「ふざけてんの!?」とはこれいかに。しかし、相変わらずおてんば人魚をやってて安心した。
カスミ「何黙ってんのよ!」
サトシ「御託はいい、早くバトル(裏声)」
カスミ「なっ、わかったわよ!審判!」
審判「プッ、これより、プププッ、チャレンジャービックリ☆クラウンさん対ジムリーダーカスミとの2本先取のバトルをププ、お・・・プフゥ、行います!」
カスミ「しっかりしなさいよアンタ!しかし、見た目も去る事ながら、名前までふざけてるなんて・・・こんなやつに絶対負けないんだから!」
カスミ「いきなさい!タッツー!」
タッツー「ヤッテヤルデス!」
サトシ「・・・」ポン!
リザードン「やっときたぜ!・・・って、お前何だよその格好は」
サトシ「カスミを驚かす為に変装してるんだよ。あと、口調がちょっと変わるからな(小声)」
リザードン「へぇへぇ。メタモンもビックリな変装の下手さだな。まぁ、俺は戦えれば何でも良いけどな」
カスミ「炎タイプってあんたなめてんの!?こっちは水タイプなのよ!」
サトシ「・・・」
リザードン「相変わらずうるせぇな、あのおてんば娘は」
審判「それでは戦闘開始!」
カスミ「やっちゃいなさい!ハイドロポンプ!」
タッツー「マケラレナインデス!」ブシャー
サトシ「・・・ひのこ(裏声)」
リザードン「ふん」ぼっ!
タッツー「」ピクピク・・・
カスミ「えっ?タッツー!?」
審判「タ、タッツー戦闘不能!」
リザードン「おいおい、そんなやつに俺の相手が務まるかよ」
カスミ「効果今ひとつの技でタッツーを倒すなんて・・・しかもひのこの一撃で・・・」
サトシ「お前の実力はこんなものか?(裏声)」
カスミ「言ってくれるわね!本気で戦うからもう一度最初から私と勝負なさい!」
審判「ジムリーダー!途中でそのような事は・・・」
サトシ「そうこなくちゃな(裏声)」
カスミ「ほら!こいつも良いって言ってるじゃない。早く仕切り直しなさい!」
サトシ(こいつって・・・)
審判「分かりました。それでは再度チャレンジャービックリ☆クラウンさん対ジムリーダーカスミの二本先取のバトルを行います!」
サトシ(この人もやっぱりプロだなぁ)
カスミ「やっちゃいなさい!キングドラ!」ポン!
キングドラ「サッキノタッツーハカンケイナイデ!」
リザードン「へっ、少しは出来そうな奴が来たか」
サトシ「油断するな(裏声)」
リザードン「おう」
審判「それでは戦闘開始!」
カスミ(ふざけた見た目してるけど実力は本物。正面から撃ち合うのは危険・・・だったら!)
カスミ「キングドラ!こうそくいどうからの連続みずてっぽう!」
キングドラ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」ポンポンポンポン!
サトシ(威力を捨てて手数できたか)
サトシ「みきり(裏声)」
リザードン「遅せぇ」スッ スッ スッ
カスミ「あのでかい体であんなに俊敏に動くなんて・・・」
サトシ「接近して距離を詰めろ(裏声)」
リザードン「任せろ」バサッ!
カスミ「水中に逃げて!」チラッ
キングドラ「ヘイ!」ニヤッ
サトシ「リザードン(裏声)」
リザードン「わかってる。たつまき!」ゴォォォォォ!
サトシ(たつまきで浮かせた所を追撃で決める!)
キングドラ「」
サトシ(きた!)
サトシ「追撃のだいもんじ(裏声)」
リザードン「燃え尽きろ!」ボォッ!
キングドラ「」ポンッ!
サトシ「みがわり・・・?」
リザードン「ちっ」
カスミ(ハイドロポンプは簡単に避けられる・・・)
カスミ「広範囲にりゅうせいぐんよ!」
キングドラ「モロタデリザードン!」┣¨┣¨┣¨┣¨ドッ!
リザードン「」ぐしゃっ
カスミ「よし!直撃したわ!」
キングドラ「フゥ・・・コノワザケッコウツカレルンヤデェ」
サトシ(まずいな、あいつが・・・)
審判「リザードン戦闘不n」
サトシ「まだだ(裏声)」
カスミ「何言ってんのよ!アンタのリザードンは・・・え!?」
今日はこの辺で終わります。明日からはペースが緩やかになりますが見てくれたら幸いです。
リザードン「痛ってぇな・・・少し驚いたじゃねぇか」
カスミ「嘘でしょ!?りゅうせいぐんが不意打ちで直撃してピンピンしてるなんて・・・」
キングドラ「ヤベエヨヤベエヨ」ガクブル
サトシ(こうなったらもう止められないな・・・)
カスミ「 キングドラ!しっかりしなさい!まだこっちが勝ってんのよ!」
サトシ(あっ、それは火に油)
キングドラ「セ、セヤナ!」
カスミ「ふぶきでリザードンの動きを封じなさい!」
キングドラ「カガヤクイキ!」ヒュー!
リザードン「この糞がぁぁぁぁぁぁ!!!」ゴォォォォ!
カスミ「オーバーヒート!?逃げて!」
キングドラ「ヨケレルカーイ!」ボオッ!
キングドラ「」
審判「キングドラ戦闘不能!ジムリーダー!次のポケモンを!」
リザードン「さっさと次を出しやがれ!」ボォッ!
サトシ(リザードンの逆上する癖を早く治さなくちゃな・・・)
カスミ(正面から行っても駄目、隙を縫って大技を当てても駄目・・・何よアイツ反則じゃない!でも、絶対に負けれないんだから!)
カスミ「アンタが強いのは認めるわ!でも、私もジムリーダーの端くれ、簡単には負けないわよ!いきなさいトゲキッス!」
トゲキッス「サア、マヒルミジゴクノジカンダ・・・」
審判「第二試合戦闘始め!」
サトシ(トゲキッスか・・・こいつはかなり手強いぞ)
サトシ「リザードン、こいつは強い、少し頭を冷やs」
リザードン「エアスラッシュ!」バシュ!
カスミ(速すぎる!)
カスミ「避けて!」
トゲキッス「ムリムリムリムリ!」ザシュ!
トゲキッス「」ドサッ
審判「トゲキッス戦闘不能!よってこの試合ビックリ☆クラウン選手の勝利!」
サトシ(まぁ、勝ったしいいか)
リザードン「・・・はっ!またやっちまった」
サトシ「いい加減その癖直せよな」
リザードン「不可抗力だ」
カスミ「嘘よ・・・あたしのポケモンがよりにもよって炎タイプに負けるなんて・・・」
カスミはその場でがっくりと項垂れた。流石のカスミも本来有利に戦える炎タイプに連敗したら落ち込むか・・・
しかし、勝者がいれば敗者がいるのが勝負の常なので同情は出来ない。お互い全力で戦った結果なのだから。
サトシ「俺の勝ちだな(裏声)」
カスミ「・・・完敗だわ。アンタ一体何者よ」
サトシ「「アンタ一体何者よ」と言われれば答えあげるが世の情け!」
カスミ「えっ」
サトシ「俺だよ!サトシだよ!」
サトシ「ああ!驚いただr 」バシッ!!!
カスミは目に涙を浮かべながら俺の頬にビンタをした。避けようと思えば避けれた。でもそれはしてはいけないと知っていた。
カスミ「馬鹿っ!!アンタ今までどこに行ってたのよ!!連絡もつかないしどれだけ心配したと思ってんのよ!!」
サトシ「・・・ごめん」
カスミ「うぇっ、ぐすっ、死んだんじゃないかって本当に、うっ、心配してたんだからぁ・・・」
サトシ「カスミ・・・」
カスミにかける言葉が見つからない。次の瞬間、俺はカスミを抱きしめていた。
自分でも何故こうしたかわからない。ただ母さんがしてくれた事をカスミにしてやりたくなった。
カスミ「え・・・サトシ?」
サトシ「今から理由を話すよ」
カスミ「・・・聞かせて」
カスミは俺の話を終始うつむきながら無言で聞いていた。途中、荒かった呼吸が静かになっていくのを体で感じた。そして話が終わるとカスミは穏やかな顔を俺に見せた。
カスミ「ふふっ、修行なんて本当にポケモンバカのアンタらしいわね」
サトシ「・・・うん」
カスミ「もう落ち着いたからいいわ。・・・ありがとサトシ」
サトシ「あぁ」
カスミは俺の腕を優しくほどいた。
カスミ「さっきアンタにビンタしたしあれで手打ちにしてあげる!もうこの話は無し!良いわねっ!?」
先程の涙はどこに行ったのか急に元気になり俺をまくしたてる。少し前の自分を誤魔化す様に。
サトシ「な、何だよ急に」
カスミ「許してあげるって言ってんのよ!アンタ、もう一発くらいたいわけ?」
黄金の右手をチラつかせ俺に凄む。
サトシ「いえ、結構です」
カスミ「昔からアンタはそう。自分勝手で夢中になると回りが見えなくなるんだから」
サトシ「・・・」じーっ
カスミ「今、お前もだろって思ったでしょ」
サトシ「ちょこっとな。・・・カスミ、本当に心配かけてゴメンな。そこまで心配してくれてて俺、凄く嬉しいよ」
カスミ「その話は無しってさっき言ったでしょ。連絡しなかったのもアンタなりの理由があったんだしもういいわよ」
サトシ「・・・わかった!謝ったらスッキリしたしもう言わないよ」
カスミ「うんうん。それで良いのよ。しっかしアンタ、また強くなったわね。さすが「元大会荒らしのサトシ」」
サトシ「もう5年も前の話だけどな」
カスミ「アンタがいなくなってから結構大変だったんだから」
サトシ「何かあったのか?」
カスミ「大ありよ。全国のほとんどの大会に出場して、しかも出場した大会を全部優勝してたアンタが急に現れなくなったんだからテレビに取り上げられて皆大騒ぎよ」
サトシ「全然知らなかった・・・そんなことになってたなんて」
カスミ「ワイドショーではアンタの優勝を妬む者に暗殺されたって説が出てきたくらいよ」
サトシ「おいおい」
カスミ「挙げ句の果てには、アンタのニセモノが大会に出て逮捕されたり」
サトシ「そいつは誰だったんだ!?」
カスミ「ただのアンタのファンよ。大会に出るだけなら良かったんだけど、有名なのを良いことにファン相手にお金を巻き上げてたのよ」
サトシ「そこまでいくと笑うしかないな」
カスミ「でしょ?って、アンタ、ピカチュウは?」
サトシ「あっ!外で待たせたままだ!」
ピカチュウ「・・・遅いよ。待ちくたびれて入ってきたよ。まったく、協力者の僕を忘れてカスミとおしゃべりなんt」ぶつぶつ
カスミ「久しぶりねピカチュウ」なでなで
ピカチュウ「んっ///」
サトシ(ナイスカスミ!)
今日はここまでにします。毎日投稿は欠かさない気でいます。
カスミ「・・・ところでアンタ、まだ旅は続ける気?」
空気が変わった。カスミはじっと俺を見つめ、返答を待った。
サトシ「・・・うん」
カスミ「・・・グレンジムのカツラさんが一週間前にご病気でジムリーダーを引退されたの」
サトシ「?」
サトシ(カツラさんが・・・でも何で今その事を?話が見えてこないぞ・・・)
「ちょっと待てよ」とカスミの口を止めることも出来たが、まだ先がありそうなので黙って聞くことにした。
カスミ「本来ならカントーポケモンジム協会の中からジムリーダーが選ばれるんだけど、カツラさんの意向で一ヶ月後に一般の希望者から試験をして選ぶ事になったの」
サトシ「・・・それで?」
カスミ「あたしの言いたい事がわからないの?」
サトシ「あぁ、全くな」
カスミ「じゃあ、はっきり言うわ。アンタ、ジムリーダーになりなさい」
サトシ&ピカチュウ「へ?」
サトシが優勝し始めたのは一人で旅をするようになってからです。説明不足で申し訳ないです。
カスミの言ってる事が一瞬理解出来なかった。
カスミ「聞こえなかった?だったらもう一度言ってあg」
サトシ「待て待て待て!俺さっきお前に旅を続けるかって聞かれて「うん」って答えたよな!?それおかしいだろ!」
カスミ「アンタがそう答えたのはちゃんと聞いたわよ。だからこそこの事を話したの」
サトシ「・・・ちゃんと俺に分かる様に説明しろよ」
カスミ「あたし、度々ハナコさんの家に招かれて一緒に食事する事があったの」
サトシ(カスミと食事・・・母さん、寂しかったんだな・・・)
胸がぎゅっと痛みに締め付けられる。
カスミ「アンタがテレビから消えて一年になる日、ハナコさんと食事した時に私に言ったの「サトシもお父さんみたいに帰ってこないのかしら」って、泣いてたわハナコさん。今までは何とかテレビでサトシを見れるから大丈夫みたいだったけど、それが叶わなくなった時、心に溜まっていた物が爆発したんだと思う」
サトシ(やめろ・・・やめてくれ)
カスミ「前からワイドショーのでたらめな報道とかもあったけどまさかここまで溜め込んでたなんて思わなかった」
サトシ(やめろやめろやめろ)
カスミ「それから糸がきれた様にその場に崩れ落ちてずっと泣いてた」
サトシ(ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ)
カスミ「だからあんたにh」
サトシ「やめろっ!!!」
ピカチュウ(サトシ・・・)
今日はここまでにします。話考えるの楽しいです。
カスミ「・・・ごめんなさい。アンタがジムリーダーになればハナコさんが安心すると思ってこの話をしたの。旅がアンタにとってどれだけ大切なのは分かってるつもり。でもハナコさんが余りにも可哀想だったから・・・」
サトシ「はぁ・・・はぁ・・・」
カスミ「これを受け取って。ジムリーダー募集の概要が書いてあるから。もし目指す気になったら私に声をかけて欲しいの。絶対、絶対にアンタの力になるから・・・」
カスミは教科書くらいの厚さの冊子をただ立ち尽くしているだけの俺に渡した。いや、押し付けたと言った方が正解なのかもしれない。渡す時カスミの手が震えていたがそれが何を意味するのかは今の動転している俺には理解できなかった。
サトシ「・・・わかった。もう俺帰るよ」
カスミ「・・・うん」
ピカチュウ「・・・ご飯、誘えなかったね」
サトシ「あぁ。タケシや母さんに何て言えばいいんだろ・・・」
俺はハナダシティの公園にある噴水をただただ力無く眺めていた。カスミに渡された冊子を一応持ってはいたが、開く気が起きない。気がだるい。疲れた。水面に映る自分が凄く汚らしく見えた。
ピカチュウ(サトシの相棒としてこんな時なんて言えば良いんだろう・・・ )
「安いよ美味いよー!この暑い日にはピッタリのソーナンスソーダアイスだよー!ちょっと発音しにくいよー!お買い得の50円だよー!安いからって食い過ぎて腹壊すなよ―!」
「こっちはここでしか飲めない伝説級の味、ホウオウの七色ジュースだよ!現在特許申請中だよ!」
ピカチュウ(よし、これでいこう)
ピカチュウ「ほらサトシ、珍しい屋台だよ!バトルした後だし冷たいものでも口に入れようよ!」
サトシ「・・・そうだな。時間はまだまだあるしな」
「ここでしか飲めない伝説級の味、ホウオウの七色z っておおおお前は!?」
「ちょっとアンタ!真面目に商売しなs あ!!!」
「おみゃーら何でここにいるのニャ!?」
「ソーナンス!?」
サトシ「ロケット団!?今度はどんな悪さをしてるだ!」
ピカチュウ「待ってサトシ!様子がおかしいよ」
コジロウ「ジャリボーイ。食べ物売ってどうやって悪さが出来るんだよ」
オジサーンジュースチョーダイ!
コジロウ「おっと、お嬢ちゃんは可愛いからいつもより多めに入れてあげるよ」
アリガトー!
ムサシ「そうよそうよ」
オバチャンアイスチョーダイ!
ムサシ「はいよ。折れやすいから上手に食べるんだよ」
ウン!!
ニャース「それにもうニャー達はロケット団の一員じゃないのニャ」
言われてみれば二人はロケット団のユニホームでは無く屋台の名前がプリントされたTシャツを着ている。髪を後ろに束ねて髭を生やしたコジロウ、ロングカットからショートカットになった薄化粧のムサシ。こうして今の二人を見ると年相応のかっこいいおじさんとどこかの大金持ちの貴婦人に見える。ニャースは相変わらずだが。
彼らがロケット団だった面影は全く無い。
サトシ「お前ら本当に辞めたのか?」
ムサシ「辞めたというかねぇ・・・」
コジロウ「辞めさせられたのさ。詰まる所クビだな」
サトシ「そ、そんな!あんなにサカキに忠誠を誓ってたのに!頑張ってたのに!」
ニャース「ニャー達を庇ってくれてるのニャ?」
サトシ「いや、そうじゃ無いけど・・・何か理不尽じゃないか」
コジロウ「理不尽・・・か。それは違うな」
サトシ「何が違うんだよ」
今日はここまでにします。一度で良いからヒューマンドラマのポケモン映画を見てみたいものです。
コジロウ「お前が急に現れなくなった5年前、お前のピカチュウこそゲットは出来なくなったもののこれからは任務をスムーズに成功させれると思った」
ムサシ「だけど違ったのよね。どの任務も失敗だらけでサカキ様に見限られてクビってわけよ」
コジロウ「笑っちまうよな。結局俺たちが無能で使えなかっただけの話だよ」
コジロウは自虐的な笑み浮かべた。
サトシ「そんな悲しい事言うなよ・・・」
ニャース「人間もポケモンも得手不得手があるのニャ。不得手の分野で活躍できるはずがなかったのニャ」
ムサシ「それに今の生活は満更でもないしね」
コジロウ「そうそう。最近商売が軌道に乗ってきたし、ロケット団の時には到底出来なかった子供やポケモンとの触れ合いとかも出来るしなかなかに充実してるんだぜ?」
ニャース「自分が信じた道を進んでもそれが正解や成功するとは限らないのニャ。信じた道の脇道が以外と良かったりするのニャ」
サトシ(・・・!)
ムサシ「アンタ、結構良い事言うじゃない」
ニャース「ふふん。経験者は語るってやつニャ」
ソーナンス「ソーソー!」
俺の信じる道。すなわちポケモンマスターを目指すという夢は本当に正しいのか?母さんを不幸にしてまで叶える価値があるのか?夢の犠牲が母さんで良いのか?
いや、良いはずが無い。そんなことは最初から分かってたはずなのに考えるのが怖くていつしか俺はこのことについて考えるのを止めていた。本当に自分の都合に良い頭だ。最低過ぎて反吐が出る。
ムサシ「ほら、ジャリボーイ」
俺の頬に冷たいものが当たった。
サトシ「うおっ!?な、なんだよ!」
ムサシ「飲みな。ホウオウの七色ジュースよ。昔の迷惑料代わりにご馳走するわ」
サトシ「・・・ありがとな」
ムサシ「あとアンタも」
ピカチュウ「やったぁ!ありがとうムサシ!」
サトシ「ありがとうだってさ」
ムサシ「例はいらないよ。まだ欲しかったら言いな」
サトシ「うん」
コジロウ「何か太っ腹な事言ってるけどそれ俺の屋台のジュースだからな」
ムサシ「いいじゃない。減るもんじゃ無いんだし」
コジロウ「いや、確実に減るだろ!今も目に見えてに減ってるし!別にお前みたいにケチじゃないから良いけどな!」
ムサシ「なんですって!?」
キャーキャーワーワー!
ニャース「はぁ・・・また始まったニャ」
今日はここまでにします。毎回投下数が少なくてすみません・・・
ムサシからもらったジュースはホウオウの名前の通り味ごとに七段の色層に別れていて、それが太陽の日に当たりキラキラと綺麗に輝いていた。
俺の夢も少し前までは七色に輝いていた。だけど山を降りてからいろんな事があって輝きを失い、色あせてしまった。
下山なんてするんじゃなかったのだろうか?一瞬その考えが脳裏を過ぎった。
しかし、下山をしなかったら母さんや他の皆の気持ちには気付けなかった。一体どっちの場合の方が俺にとって幸せだったのだろうか。
ニャース「・・・おみゃあ、ちょっとおかしいニャ」
サトシ「え?俺?何言ってんだよ、俺は普通だぜ?」
ムサシ「あたしも思ったわ。会った時から顔色悪いし、なんて言うか・・・らしくないわよ」
コジロウ「顔面ソーナンスって感じだぜ?」
ソーナンス「ソーナン!?」
サトシ「・・・お前らに・・・だん・・・ても・・・いいかな・・・」
コジロウ「あんだって?ゴニョニョみたいな声で言われても聞こえないぞー」
サトシ「・・・お前らに相談したい事があるんだ」
誰かに俺の悩みを聞いて欲しかった。吐き出す事で楽になりたかった。情けない話、誰かにもたれないと立てないほど心が弱っていた。
ムサシ「あたし達に相談?アンタも焼きが回ったのかねぇ」
コジロウ「・・・ムサシ、こいつが俺たちに相談なんて一生に一度あるか無いかだぜ?何も言わず聞いてやろう。ちょうど今ぐらいから客足が減る頃だしな」
ニャース「んニャ。聞いてあげるが世の情けってもんニャ」
ムサシ「ったく、しょうがないわね。コジロウ、マタドガス出しな」ポン!
アーボック「ゲッ、マサラノヤロウ!?シャーッ!」
ムサシ「臨戦体制とるんじゃないよ。今は敵でも何でも無いんだから」
アーボック「スイヤセンアネゴサン」ペコッ
コジロウ「よし、出て来いマタドガス」ポン!
マタドガス「ドンドンドドンガドドンガドン!ファッ!?」
コジロウ「こらこら、煙出すんじゃないぞ」
マタドガス「オドロイテチョットデタカモ」
ニャース「おみゃーらはここで屋台の番をしてもうニャ」
アーボック「ワカリヤシタ!ニャースノアニキ!」ビシッ!
マタドガス「イノチニカエテモマモル!」
ニャース「気負い過ぎニャ。でも期待してるのニャ」
コジロウ「こんな暑い所でってのも何だし、喫茶店でも行くか」
ムサシ「そうね。頼んだわよアンタ達」
アーボック&マタドガス「ヘイ!」
コジロウ「ごめんな、後で美味いもん食わしてやるからな。あと、お客さんには愛想良くするんだぞ」
アーボック「コジロウアニキマジテンシッス!」
マタドガス「ンダンダ」
ムサシ「じゃあ行くよ!」
ソーナンス「・・・」トコトコトコトコ
ムサシ「アンタもよ」
ソーナンス「ソーナンスカ!?」
ピカチュウ(不憫でならないなぁ・・・)
今日はここまでにします。大学の図書館で話を練るのが日課です。
喫茶店
コジロウ「さて、悩みとやらを聞かせてもらおうか。あ、ウエイトレスさん、カルボナーラ一つお願いします」
ムサシ「私はキャラメルカプチーノね。アンタは?」
サトシ「俺はいいよ」
ムサシ「わかったわ。じゃあ、それで以上ね。あと、ポケモン達の分の水も頂戴」
ウエイトレス「あ、あの、大変申し上げにくいのですが・・・店内でのポケモンの連れ歩きは禁止されているのでモンスターボールに戻して下さい」
ピカチュウ&サトシ「えっ!?」
ニャース「前までは良かったのにどうしたんだニャ?」
ウエイトレス「前にお客様のブースターがくしゃみをしてボヤ騒ぎになったんです。それで、店長が炎タイプだけだと不公平なので全部のポケモンの連れ歩きを禁止にしたんです・・・ってニャースが喋ってる!?」
ニャース「新人か・・・別に驚く事じゃ無いのニャ。このグローバルな時代にポケモンが喋っても不思議じゃないニャ」
ウエイトレス「は、はぁ・・・」
ニャース「ボールに入るくらいなら外でピカチュウと語らってくるのニャ」
ピカチュウ「うん。僕もそっちが良いよ。ニャースと久しぶりに話したいしね」
サトシ「ごめんなピカチュウ」なでなで
ピカチュウ「んっ、別にサトシが悪く無いんだからいいよ」
コジロウ「お前ら熱中症になるんじゃないぞー」
ニャース「わかってるニャ」
ウエイトレス「ニャースちゃん、ピカチュウちゃん。はい、お水!」すっ
ニャース「わざわざありがとニャ」ごくっ
ピカチュウ「ありがたいね。ここセルフサービスなのに」ごくっ
サトシ「だってさ」
ムサシ「・・・本当だ。張り紙してあるわ」
コジロウ「あちゃー 何回も来てるのに気付かなかったぜ・・・恥ずかしね、こりゃ」
ウエイトレス「だ、大丈夫ですよ!あそこ見にくいですし、後で見やすい場所に張り替えておきます!」
ムサシ「アンタ良い嫁になれるわ」
コジロウ「うんうん。気配り出来る女の子はいつの時代でも可愛がられるよ」
ウエイトレス「そんなぁ///」くねくね
サトシ「なんだこれ」
今日はここまでにします。最近涼しいのが嬉しいです。
乙
さすがにちょっと短くね?
>>196
申し訳ないです・・・
コジロウ「まず、俺たちが見ない間どこに行ってたか教えてくれないか」
ムサシ「あたしも気になってしょうがないのよね」
サトシ「あぁ、話すよ」カクカクシカジカ
ムサシ「・・・呆れたわ、アンタ仙人にでもなるつもりだったの?」
サトシ「ポケモンマスターになるためだって言っただろ」
コジロウ「もう十分ポケモンマスターのそれに近いと思うがねぇ」
サトシ「俺なんてまだまださ」
ムサシ「まぁ、頑張んなさいな。私たちからの質問はこれで終わりよ。次はアンタの話を聞いてあげるわ」
それを聞くとコジロウは先程運ばれたカルボナーラを目にも留まらぬ早さでたいらげた。理由を聞くと「人が相談するのに聞き手が飯食ってたら失礼だろ」と言った。よくよく考えると当たり前の事なのだが、それを聞いた瞬間もの凄く嬉しい気持ちになった。
サトシ「・・・うん。俺、実はさ今、旅を続けるかジムリーダーを目指すかで迷ってるんだ」
コジロウ「なにぃ!?ジャリボーイがジムリーダー!?」バン!
ムサシ「あー、確か前にグレンジムのカツラが病気かなんかで引退したんだっけ?」
サトシ「あぁ」
コジロウ「ジムリーダーのカツラさんの後継者に選ばれるなんてラッキーじゃないか!」
ムサシ「馬鹿ねぇ、ジムリーダーはカツラの意向で一般人から試験で選ばれんのよ」
コジロウ「そうだったのか。しかしお前、自分の意思でジムリーダーを目指そうと思ったのか?」
サトシ「・・・いや、今日久しぶりに会った時カスミに言われたんだ。「アンタが旅に行ってる間ママさんは凄く心配してる。ジムリーダーになって安心させてあげて」って。俺は旅を続けたいし、母さんに悲しい思いもさせたくない。一体どうすればいいんだよ・・・?」
ムサシ「あのジャリガールがそんな事をねぇ???他人のあたしからしたら旅の中でたまに連絡でも入れてやれば良いと思うけど、当人の母親からしたらそれでも心配なのよね」
コジロウ「ここ近年、ポケモントレーナーの旅人のポケモンや所持品を狙った殺人事件とかも多発してるからなぁ。道中での事故死とかもよく聞くし」
ムサシ「アンタが旅を続ける以上母親はそういった心配を胸に抱き続けるだろうね」
サトシ「だよな???」
ムサシ「でも、これはアンタの人生であって母親の人生じゃ無い。母親が旅を辞めるように言わないのはそこらへんが良く分かってて、アンタの人生の障害になりたく無いのよ、きっと」
コジロウ「旅をしてきたおかげでジャリガールやパートナー達と出会えたんだろ?それは誇っても良いと思うぞ」
サトシ「???ありがとうコジロウ」
携帯から投下したら文字がおかしくなったので再投下します
ムサシ「あのジャリガールがそんな事をねぇ・・・他人のあたしからしたら旅の中でたまに連絡でも入れてやれば良いと思うけど、当人の母親からしたらそれでも心配なのよね」
コジロウ「ここ近年、ポケモントレーナーの旅人のポケモンや所持品を狙った殺人事件とかも多発してるからなぁ。道中での事故死とかもよく聞くし」
ムサシ「アンタが旅を続ける以上母親はそういった心配を胸に抱き続けるだろうね」
サトシ「だよな・・・」
ムサシ「でも、これはアンタの人生であって母親の人生じゃ無い。母親が旅を辞めるように言わないのはそこらへんが良く分かってて、アンタの人生の障害になりたく無いのよ、きっと」
コジロウ「旅をしてきたおかげでジャリガールやパートナー達と出会えたんだろ?それは誇っても良いと思うぞ」
サトシ・・・ありがとうコジロウ」
今日はここまでにします。明日はもしかしたら投稿出来ないかもしれないです。でも、絶対最後まで書くつもりなのでこれに懲りずに見てください。
コジロウ「ジャリボーイ、これは俺の持論なんだがな、確かに旅っていうのは辞書に言わせれば住んでる所を離れてどこか遠くに行くって事なんだろうけど、今お前が生きて歩んでいる人生が旅だとは考えられないか?」
サトシ「俺の人生が・・・?」
コジロウ「あぁ。死ぬまで旅人なんだよ俺もお前もな」
今俺がこうしている間にも旅路は続いているのだろうか。だとしたら悩み事で足踏みをするのは凄く勿体無いような気がしてきた。
ムサシ「アンタ、そのセリフ言ってて恥ずかしくない?」
コジロウ「・・・ちょっとな」
サトシ「そんなことないよ!!!」ガタッ
コジロウ「うおっ!?」ビクッ
サトシ「・・・大声出してごめん。俺、コジロウの言葉でなんか元気が出てきたよ」
コジロウ「そりゃ良かったな。俺も嬉しいよ」
ムサシ「まぁ、そんな大声出せるならもう大丈夫なんじゃない?いつものアンタに戻ったみたいだし」
サトシ「あぁ。まだ答えは出せないけど、答えを選ぶ勇気が出たよ。本当にありがとう」
コジロウ「例には及ばないさ。若い者の相談を聞くのはオッサンの役目って昔から相場が決まってるからな」
ムサシ「おばさんもね」
サトシ「お前らに相談して本当に良かったよ」
ムサシ「いや、そこは「お姉さんだろ」ってツッコミいれなさいよ!」ゴンッ
サトシ「痛てっ!」
コジロウ「ハハハh 痛ってぇ!俺もかよ!?」
サトシ「相談してもらったし、ここは俺がお金出すよ」
コジロウ「おいおい、ジャリボーイ俺たちを見くびんじゃないぜ」
ムサシ「私たちに出すお金があったらジャリガールにでも使ってやんな」
サトシ「・・・悪いな」
コジロウ「じゃあ、会計行って来るわ」
女子高生A「キャー!このピカチュウ、マジ可愛い!」ぐにぐに
ピカチュウ「う~痛い~」
女子高生B「こっちのニャースは喋るし、メッチャお利口さんかも!」なでなで
ニャース「ニャハハハ!もっと褒めるニャ!」
サトシ「あ、あの・・・」
女子高生A「ん?何?」
サトシ「それ、俺のピカチュウなんだけど」
女子高生A「マジ!?ゲットしようと思ってたのに・・・ありえなーい!」
女子高生B「じゃあ、このニャースは?」
ムサシ「あたし達のポケモンよ!ガキはさっさと帰んな!」
女子高生A「はーい。その前に写メ撮らしてね」
女子高生B「ピカチュウ、ニャース、はいチーズ!」パシャ
女子高生A「キャー!これ待ち受けにしよっと!」
女子高生B「トレーナーさんありがとねー」ダダダッ
ピカチュウ「はぁ~やっと終わったよ」ぐた~
ニャース「ピースしてたくせによく言うニャ」
ピカチュウ「早く終わって欲しかったの!」
サトシ「ハハハッ、災難だったなピカチュウ」
ピカチュウ「もう、笑い事じゃ無いんだから・・・」
ニャース「んで、相談とやらは終わったのニャ?」
コジロウ「俺たちがバッチリ聞いてやったよ。根本的に解決はしてないけどな」
ムサシ「聞いてあげるって事に意義があんのよ相談ってのは」
サトシ「でも、二人に相談したおかげで気が楽になったよ。それに前のニャースの言葉も心にきたよ。三人ともありがとな」
ニャース「また何かあったら公園に来るニャ。大概そこで商売してるのニャ」
コジロウ「来たらまたおごってやるよ」
ムサシ「・・・さて、留守番してるあいつらが気がかりだしそろそろ戻るわよ」
サトシ「・・・なあ、お前らは本当にロケット団に戻る気ないのか?」
今日はここまでにします。おやすみなさい。
コジロウ「あぁ、戻る気は無いね」
ムサシ「未練が無いって言ったら嘘になるけど、今の道がたぶんあたし達にあってんのよ」
ニャース「まぁ、今でもニャーらのボスはサカキ様だがニャ」
サトシ「そっか。お前らがそれで良いんだったらそれに越した事は無いな」
コジロウ「ま、いつ心変わりするかわからないけどな。だが、今は目の前に続く道を突っ走るのみよ!」
ムサシ「お前達行くよ!達者でね、ジャリボーイ」
サトシ「お前達もな!」
ロケット団・・・いや、三人組は俺の方を向かずに軽く手を挙げて去って行った。元々優しいあいつ達にはロケット団は向いていなかったのだろうか、今はとても生き生きしてる様に見えた。
三人組を見送ると俺の足は自然と電話ボックスに向った。
一方その頃
ソーナンス「ソ、ソ、ソ、ソーナンス!!!」くねくね
女子高生A「キャー!このソーナンスパラパラ踊ってる!」
マタドガス「ドンドンドドンガドドンガドン」
アーボック「シャー!」くねくね
女子高生B「こっちは音頭踊ってる!」
女子高生A「可愛いからジュース買ったげる!」チャリン
女子高生B「私はアイスで!」チャリン
アーボック「シャー!(オカイアゲアリヤトヤシタ!)」
ピカチュウ「電話ねぇ・・・」
サトシ「直接は・・・ちょっとな。ピカチュウ、カスミに電話かけてる間、ボックスから出てくれないか」
ピカチュウ「そのつもりだよ。それじゃあ僕は出るね」ガチャ
サトシ「・・・よし」
言いたい事は決まっている。後はそれを言葉にすれば良いだけ。俺は小銭を投入口に入れた。
カスミ「はい、こちらハナダジムです」
サトシ「あの、カスミ」
カスミ「・・・サトシ、どうしたの?」
サトシ「今日、タケシとお前を呼んで、俺ん家で8時からご飯食べようって考えてるんだけどこないか?」
カスミ「きっとハナコさん喜ぶわ」
サトシ「あぁ。それでお前はどうなんだ?」
答えまでに少しの間があった。
カスミ「・・・行くわ。それで・・・その・・・」
サトシ「わかってる。まだ考えはまとまってないけど、必ず今夜までには答えを出すから」
カスミ「・・・急がなくてもいいのよ。サトシ」
サトシ「そうもいかないだろ。試験はあと三週間後くらいなんじゃないのか?」
カスミ「そうだったわね。私、早めに行ってハナコさんのお手伝いするわ」
サトシ「いいって別に、お前はジムリーダーの仕事があるんだからさ」
カスミ「大丈夫よ。お姉ちゃん達に任せれば良いし」
サトシ「いや、でも・・・」
カスミ「うっさいわね!私が大丈夫って言ったら大丈夫なの!ハナコさんのお手伝いをする方が今は大事なんだから!」
サトシ(おいおい、それがジムリーダーの台詞かよ・・・)
サトシ「わかったよ。母さんも喜ぶよ。ありがとなカスミ」
カスミ「ふん、アンタのためにやるんじゃないわよ。・・・それと、今夜せっかく久々に三人で会うんだからお互いしけた顔は無しよ」
サトシ「・・・あぁ!」
カスミ「サトシ、さっきはあんなこと言ったけど、アンタが旅を選んだとしても私、応援するわ。ハナコさんの事は任せてちょうだい。あの人は私にとっても大事な人だから・・・」
この瞬間俺は今すぐにでもカスミの元に行って抱きしめたくなった。それほどまでに嬉しかった。他人の母親をここまで想ってくれる事が。
サトシ「俺、お前と親友になれて本当に良かったと思う。・・・ありがとう」
カスミ「なによいきなり・・・わ、私も同じよ」
サトシ「・・・じゃあ、また後でな」
カスミ「えぇ」プツン
何だろうこのフワフワした感じは。さっきの気持ちの余韻なのだろうか、とても心地が良い。この後に人生の分かれ道と言っても過言では無い選択をしなくてはならないのに。
サトシ「ピカチュウ、ごめんな待たせちゃって」
ピカチュウ「うん、平気だよ。日向ぼっこが気持ち良かったしね。明日には色違いになってるかもね」
サトシ「真っ黒になったらヘルガーみたいでかっこいいな!」
ピカチュウ「それはちょっと困るけどね。・・・サトシ、さっきから何か嬉しそうな顔をしてるけどカスミに何か言われたの?」
サトシ「あぁ。実はな・・・」カクカクシカジカ
ピカチュウ「へぇーそんな事言われたのかぁ。そりゃそんな顔にもなるね」
ピカチュウ(それはもはやプロポーズなんじゃないのかな・・・サトシは一生気付かないだろうけど)
サトシ「とりあえず家に帰ろう。部屋でゆっくり考えたいしな」
ピカチュウ「うん。この炎天下で考えても良い答えは出ないと思うからね」
今日はここまでにします。おやすみなさい・・・
俺は家の扉の前に立っていた。よくよく考えると今母さんの顔を見るのは正直辛い。なのに俺はここにいる。何故なんだろうか・・・
ピカチュウ「気持ちはわかるけど遅かれ早かれ家には帰らないといけないんだから勇気だして!」
サトシ「あぁ」
ガチャ
ハナコ「あら、お帰りなさい」
母さんを前にすると言葉が出なかった・・・必死に喉から声を絞り出した。母さんに悟られない様に。
ハナコ「カスミちゃんやタケシ君に会えたの?」
サトシ「うん。今夜の8時に来るってさ。カスミは早めにきて母さんの手伝いをするって」
ハナコ「まぁ、助かるわ。今夜は張り切らなくちゃね!」
サトシ「俺、疲れたから部屋でご飯まで休んでるよ」
ピカチュウ(嘘つき)
ハナコ「ちょっと横になってなさい。出来たら起こしてあげるから」
サトシ「ありがとう」
久しぶりに入った自室は母さんが定期的に掃除してくれていたらしく綺麗に片付いていた。
息子がいつ帰ってきても良いようにとせっせと部屋の片付けをしてくれている母さんを想像したら優しい気持ちと申し訳ない気持ちが同居した不思議な気持ちになった。
ピカチュウ「ママさんに嘘ついちゃダメだよサトシ」
サトシ「いや、本当に疲れたんだ。横になりながら考えるよ。しばらく話しかけないでくれ」
ピカチュウ「サトシ、君は自分が思ってるほどバカじゃない。正しい答えを導ける力がある」
サトシ「買いかぶりすぎだよピカチュウ」
ピカチュウ「自分では解らないだろうけどね。・・・ゆっくりじっくり考えなよ」
サトシ「うん」
ピカチュウ「じゃあ、ママさんに甘えてくるね」
サトシ「終わったらバリヤードの手伝いでもしてあげるんだぞ」
ピカチュウ「普段は温厚だけど彼は自分の仕事を他人にされると怒るからやらないよ。ほうきで叩かれたく無いしね」
サトシ「そっか。出るときドア閉めてくれよ」
ピカチュウ「わかった」
今日はここまでにします。サトシとピカチュウみたいな関係を僕も築きたいな・・・
サトシ「ふぅ・・・」バタッ
俺は仰向きになってベットに倒れた。天井がかなり低くなった気がする・・・ああ、俺が成長したからか。
もう10年経ったらもっとこの差が縮まるのだろうか。その前に俺はここに居るのか?
サトシ「わかんないよな・・・先の事なんか」
そう、先の事なんて誰にもわからない。だけど想像する事は出来る。
俺は旅を続けた場合とジムリーダーを目指してなれた場合を想像してみた。
旅を続けたら俺やピカチュウ達はもっと強くなるし、まだ行った事の無い所にも行ける。ジムリーダーを目指すと時間に縛られそれがやりにくくなる。
しかし、母さんを安心させれるし世間体も良くなる。ポケモンバトルにも不自由しない。しかもそれで給料がもらえる。
「悪くない」 そんな思いが押し寄せた。
サトシ「・・・見るか」
その思いに身を任せて身体を起こし、カスミから貰った冊子を手に取った。
サトシ「そんなに分厚くは無いな。これならなんとか読めそうだ。なになに・・・」ペラっ
サトシ「へぇー かなり待遇良いんだな・・・カスミやタケシって凄かったんだ・・・」
旅とジムリーダーを乗せた天秤が傾き始めた。
それから俺は生まれてから一番頭を使ったと思う程考えた。
カスミ「サトシ、起きなさい!」
サトシ「・・・ん、うるさいなぁ」
カスミ「こら!起きろーっ!」ドガッ
サトシ「痛ってぇ!?何でお前が居るんだよ!?」
カスミ「何寝ぼけてんのよ。アンタがあたしとタケシを夕飯に誘ったんでしょうが。あたしは早めに来てハナコさんのお手伝いをしてるんだけどね」
そうか、俺はあれから寝てしまったのか。それにしても頭がすこぶるスッキリしている。これは睡眠のおかげだけじゃ無さそうだ。
カスミ「アンタ、なんか妙に清々しい顔してるわね。良い夢でも見たんでしょ」
サトシ「まぁ、そんなとこかな」
カスミ「良かったじゃない。じゃあ、まだハナコさんのお手伝いが残ってるから。降りるわね」
サトシ「俺も一緒に降りるよ」
カスミ「いいわよ来なくて。ハナコさんが早めに起こしてあげなさいって言ったから起こしただけよ。それにまだタケシも来てないんだし」
サトシ「いや、お前が母さんを手伝ってるところを見たいんだよ。家庭的なカスミなんて滅多に見れるもんじゃないしな!」
カスミ「家ではいつも家事してるわよ!(お風呂掃除くらいだけど)」
サトシ「そりゃ意外だな」
カスミ「女として当然よ!そういうアンタは出来るんでしょうね?」
サトシ「出来ない!」どやっ
カスミ「・・・降りよ」
ハナコ「カスミちゃん、サトシは起きてくれた?」
カスミ「・・・後ろに居てます」
サトシ「母さんおはよう。あれ、ピカチュウは?」
ハナコ「外でリザードン達とのんびりしてるわよ」
サトシ「そういえば部屋に入る前に外に全員放したんだったな・・・」
ハナコ「もう、サトシったら寝ぼけちゃって。それからありがとねカスミちゃん。後は私がやるからソファーで休んでてちょうだい」
カスミ「最後までやります!(出来る女って事を見せつけてやるんだから!)」ずいっ
ハナコ「そ、そう?それじゃあジャガイモの下ごしらえを一緒にやりましょうか」
カスミ「はい!」
サトシ「おーおーずいぶん張り切ってますなぁカスミさん」
カスミ「うるさいっ!」
ハナコ「まず、皮を剥きましょうか」
カスミ「はい!」むきむき
ハナコ「えっと・・・手で剥くんじゃなくて包丁かピーラ―で剥いた方がいいわ」
カスミ「・・・は、はい」
サトシ「プッ」
カスミ「」イラッ
ハナコ「包丁は危ないから今回はピーラ―でやりましょう」
カスミ「頑張ります!」
カスミ「・・・」シュッ シュッ
一生懸命ジャガイモの皮を剥くカスミにそれを優しい顔で見守る母さんはまるで親子にみえた。なんだか見てて微笑ましく思えた。
ハナコ「カスミちゃん上手ねぇ、身を削らず皮だけちゃんと剥けてるわ」
カスミ「やった!」
サトシ「子供か」
ハナコ「次はここに小さな芽があるでしょ?これは身体に良くないから包丁の角を使ってほじくるのよ」
カスミ「任せてください!」
カスミ「・・・」がりがり
ハナコ「うん!これも上手だわ!」
カスミ「よしっ!」
サトシ「包丁持ったままガッツポーズは止めてくれ」
ハナコ「最後はジャガイモを水に漬けたら終わりよ」
カスミ「何で水に漬けるんですか?」
ハナコ「灰汁取りよ。やらなくてもあまり問題は無いけれど、しないと色が汚なくなるのよ。せっかく食べてもらうのに汚い色だったら嫌でしょ?」
カスミ「確かにそうですね」ふむふむ
ハナコ「漬ける時間は20分くらいね。それをしてる間にお米を炊いて、ハンバーグを焼きましょう」
カスミ「任せてください!お米を炊くのは得意ですから!」キリッ
サトシ「ハンバーグじゃないのかよ」
カスミ「外野は黙ってなさい!」
ハナコ「フフッ、カスミちゃんは頼りになるわ。今日は手伝いに来てくれて本当にありがとね」
カスミ「そんな・・・当然の事をしたまでですよ」もじもじ
サトシ(まだ時間が掛かりそうだな・・・)
サトシ「母さん、俺ピカチュウ達と遊んで来るよ」
ハナコ「ご近所様に迷惑かけちゃダメよ」
サトシ「うん。カスミ」
カスミ「何よ」
サトシ「さっきはあんな事言って悪かった」
カスミ「き、急に謝んないでよ・・・困るじゃない・・・」もじもじ
サトシ「台所に立ってる姿、なんか良かったぜ。じゃ!」ガチャ
カスミ「な、なによアイツ!変な事言っちゃって!」
ハナコ(二人とも若いわねぇ)
今日はここまでにします。いつもより若干多めに投下できて嬉しいです。
サトシ「よ!」
ピカチュウ「おはようサトシ」
ラプラス「あら、起きたのね」
サトシ「あぁ。ところで皆してボーッとしてるけど何してたんだ?」
カメックス「見ての通りボーッとしてるのさ」
フシギバナ「月が見え始めてる。今夜は満月だな」
カビゴン「楽しみだね。修行の日々だったからたまにはこういうのも悪く無いね」
激しい修行をしては夜になると泥のように眠る毎日だったので皆と空を見上げる機会なんて無かったかもしれない。
リザードン「お前は修行中もボーッとしてただろうが」
サトシ「ハハハッ、今日は皆ゆっくりしてくれ。後でご飯持って来てやるからな」
ラプラス「ええ。そうさせてもらうわ」
ピカチュウ「サトシ」
サトシ「わかってる。もう決めたよ」
ピカチュウ「・・・そっか」
フシギバナ「何そこでコソコソ話してるんだ?」
カメックス「別に良いじゃないか。サトシ、話が済んだらこっちに来い。一緒にボーッとしようじゃないか!」
サトシ「うん、すぐ行くよ!」
ラプラス「私の背中に乗りなさいな」
サトシ「うん!」ササッ
ピカチュウ「僕も!」
ラプラス「あなたはピリピリするから嫌」ポイッ
ピカチュウ「うわぁ!?」
サトシ「ハハハッ、俺の独占だな!」
ピカチュウ「・・・いいもん。フシギバナに乗るから!」
フシギバナ「花粉が付いてもいいなら乗るんだな」
ピカチュウ「」
カメックス「わしの背中が空いてるぞ!」
ピカチュウ「乗る!乗る!!乗る!!!」
カメックス「ガハハッ!可愛いなお前は!」
ピカチュウ「そんな・・・///」
リザードン「間に受けんなよ」
>>1乙
リクエストなんですが、出来れば、劇場版のゲストヒロインのフルーラやカノンも出して欲しいです。
別にカップリングを望んでいる訳ではありません。なので、出来ればお願いします!
サトシ「zzz・・・」
ラプラス「あら、寝ちゃったわ」
リザードン「こいつ、さっきも寝てたろ」
カビゴン「二度寝じゃまだまだだね」
リザードン「そうだな、お前は10度寝くらいするもんな」
ピカチュウ「そこまでいくと立派なものだよね・・・」
カビゴン「でしょ」
リザードン「はぁ・・・俺も寝よ」
>>290
チョイ役でがんばります
何も無い真っ黒な空間。そこに俺は居た。
サトシ「ここは・・・」
なんとも言えない浮翌遊感、右も左も解らない。解るのは俺がここに存在しているという事だけだ。
サトシ「一体どうすればいいんだ・・・?」
エンテイ「それはお前が一番知っているはずだ」
フルーラ「そうそう。あなたにこんな辛気臭い場所は似合わないわよ!」
ユキナリ「どんな時でも前に進む、それがサトシ、君なんじゃないのか?」
カノン「・・・!」
サトシ「な、何で皆が!?」
今ままでの旅で出会った人物が目の前に現れ、俺に言葉を投げかけ返答を聞かずに消えていった。
ミュウツー「お前はまだ迷っている」
サトシ「ミュウツー!?」
ミュウツー「この暗闇はお前の恐れ、不安、迷い」
サトシ「この暗闇が・・・?」
ミュウツー「・・・お前には私には無い強い力を持っている。私はそれに救われた。人間よ、こんな暗闇くらいお前の力で光に満たせ」
ミュウツーは意味深な言葉を残しさらに奥の闇へと歩を進めた。
サトシ「ま、待ってくれよ!俺もそっちn」
ミュウツー「・・・来るな。お前は私とは逆に進め。力が強い、ただそれだけの者になってはならない」
サトシ「・・・ありがとうミュウツー。さよなら、また会おうな」
ミュウツー「・・・さよなら」
今日はここまでにします。短くてすいません。>>290さんこれが限界です・・・
シャカシャカシャカシャカ!
サトシ「ん?」
「ラララ ラーラーラー なんて素敵なー」シャカシャカ!
「ラララ ラーラーラー 文字の並び!」シャカシャカ!
「ラララ ラーラーラー ラララ ラーラーラー それは・・・」シャカシャカ!
「サ ト シ く ん!!!」ズンッ
サトシ「うわぁっ!?」がばっ
ラプラス「きゃっ!?」ぐらっ
どさっ
サトシ「痛てて・・・」
タケシ「ずいぶんな挨拶だな」
サトシ「タ、タケシ・・・来てたのか」
タケシ「さっきな。寝てたから起こそうと思ったらこれだ。何か悪い夢でもみたのか?」
サトシ「・・・いや、良い夢だったよ。凄くな」
サトシ「うわぁっ!?」がばっ
ラプラス「きゃっ!?」ぐらっ
どさっ
サトシ「痛てて・・・」
タケシ「ずいぶんな挨拶だな」
サトシ「タ、タケシ・・・来てたのか」
タケシ「さっきな。寝てたから起こそうと思ったらこれだ。何か悪い夢でもみたのか?」
サトシ「・・・いや、良い夢だったよ。凄くな」
あの夢のおかげで俺は心の真の状態を知る事が出来た。俺が今まで目を背け続けたものが心の底にあった。
あいつが言っていた暗闇を晴らす力を今日俺は発揮する事が出来るのだろうか。
タケシ「どうした?難しい顔して」
サトシ「なんでもないよ。それよりも夕御飯出来たのかな」
タケシ「今、ハナコさんとカスミが並べてるよ」
サトシ「そっか、俺たちもそれくらいは手伝わないとな」
タケシ「あぁ」
サトシ「みんな、さっきは驚かしてごめんな。ちょっとご飯食べてくるよ」
ピカチュウ「行ってらっしゃい。僕達のご飯、後でよろしくね」
サトシ「おう!」
今日はここまでにします。何か連投していたみたいで申し訳ないです。
サトシ「ただいま」
カスミ「あんた、また寝てたでしょ」
サトシ「ラプラスに乗ってたら・・・な?」
カスミ「まぁ、気持ちは凄くわかるけどね。」
タケシ「ハナコさん、料理を並べるのは俺達でしますよ」
ハナコ「ありがとねタケシくん。じゃあ私はオーキド博士に電話するわね」
サトシ「オーキド博士に電話?」
ハナコ「この夕ご飯にオーキド博士も招待するのよ。シゲルくんは居なかったけどね。勝手に呼んじゃってゴメンなさいね」
サトシ「そんなことないよ!俺、ポケモンの面倒を見てくれたお礼をまだ言ってなかったから丁度良かったよ」
サトシ(遅かれ早かれオーキド博士にも言わないといけないからな・・・丁度良かった)
ハナコ「私も言わなくちゃね。さて、電話の子機はどこだったかしら・・・」きょろきょろ
バリヤード「バリ(こちらです。御主人様)」 すっ
ハナコ「ありがとね。えっと、電話番号は何だったかしら・・・」
バリヤード「バリ(○○○ー△△△ー□□□でございます)」
ハナコ「本当にお利口さんねぇ、バリちゃん!」なでなで
バリヤード「バリィ///(有り難き幸せでございます///)」
カスミ&タケシ「普通に会話してる・・・」
ハナコ「えっと、○○○の・・・」ピポパ
サトシ「あ! 母さん!」
ハナコ「どうしたの?」
サトシ「俺がオーキド博士を呼んでくるよ。ポケモンフードを山に忘れてきたからあいつらの分のポケモンフードを分けてもらわないといけないし。もう店空いてないだろ?」
ハナコ「そうね。この時間帯はもうダメね。それより、もっと早くに用意しておきなさい。オーキド博士がいなかったらどうするの?」
サトシ「・・・ごめんなさい。じゃあ行って来るよ。皆、手伝えなくてゴメンな」
タケシ「別にいいさ。早く迎えに行ってこいよ」
カスミ「あ、そういえばケンジはどうしたの?」
サトシ「ケンジなら結構前にオーキド博士の元から離れてポケモンウオッチの旅に出たぜ。旅の途中であったけどやっぱりあいつは凄いよ。
ポケモンの雑学とかうんちくを聞かせてもらって楽しかったなぁ」
カスミ「元気そうでよかったわ」
訂正です
ハナコ「えっと、○○○の・・・」ピポパ
サトシ「あ! 母さん!」
ハナコ「どうしたの?」
サトシ「俺がオーキド博士を呼んでくるよ。ポケモンフードを山に忘れたのをを思い出したからあいつらの分のポケモンフードを分けてもらわないといけないし。もう店空いてないだろ?」
ハナコ「そうね。この時間帯はもうダメね。それより、もっと早くに用意しておきなさい。オーキド博士がいなかったらどうするの?」
サトシ「・・・ごめんなさい。じゃあ行って来るよ。皆、手伝えなくてゴメンな」
タケシ「別にいいさ。早く迎えに行ってこいよ」
カスミ「あ、そういえばケンジはどうしたの?」
サトシ「ケンジなら結構前にオーキド博士の元から離れてポケモンウオッチの旅に出たぜ。旅の途中であったけどやっぱりあいつは凄いよ。
ポケモンの雑学とかうんちくを聞かせてもらって楽しかったなぁ」
カスミ「元気そうでよかったわ」
申し訳ないです。再度訂正
ハナコ「えっと、○○○の・・・」ピポパ
サトシ「あ! 母さん!」
ハナコ「どうしたの?」
サトシ「俺がオーキド博士を呼んでくるよ。ポケモンフードを山に忘れたのを思い出したからあいつらの分のポケモンフードを分けてもらわないといけないし。
もう店空いてないだろ?」
ハナコ「そうね。この時間帯はもうダメね。それより、もっと早くに用意しておきなさい。オーキド博士がいなかったらどうするの?」
サトシ「・・・ごめんなさい。じゃあ行って来るよ。皆、手伝えなくてゴメンな」
タケシ「別にいいさ。気にせず行ってこい」
カスミ「あ、そういえばケンジはどうしたの?」
サトシ「ケンジなら結構前にオーキド博士の元から離れてポケモンウオッチの旅に出たぜ。旅の途中であったけどやっぱりあいつは凄いよ。
ポケモンの雑学とかうんちくを聞かせてもらって楽しかったなぁ」
カスミ「元気そうでよかったわ」
ハナコ「もう暗くなってるから気を付けて行くのよ」
サトシ「わかった。じゃ!」ガチャ
タケシ「さて、並べるk」くるっ
バリヤード「バリ(皆様がお話している間に配膳・玄関の掃除・洗濯物の取り込みが完了しました)」
タケシ「・・・家に来ないか?」
バリヤード「バリ!(私の生涯の御主人様はハナコ様だけです!)」ブンブン
タケシ「駄目・・・みたいだな。しかし、カスミはバリヤードを見習って欲しいものだな」
カスミ「聞えてるんですけど!?」
タケシ「あ、心の声が」
ハナコ「フフッ(やっぱり楽しいわねぇ・・・)」
今日はここまでにします。家にバリヤードが欲しい・・・
ピカチュウ「あ、どうしたの?」
サトシ「えっと、リュックにポケモンフードが入ってるって思い込んでたんだけど、入れてないことをさっき思い出したんだ」
カビゴン「何ぃ!?サトシ!!!」ギロッ
サトシ「だ、大丈夫だって、今からオーキド博士を迎えに行くついでに貰ってくるからさ」
カビゴン「そうだったの。怒鳴ってゴメンね」
サトシ「お、おう(下手したら俺が食われるな・・・)」
リザードン「お前は食い意地が張り過ぎなんだよ」
カビゴン「食べる事は幸せな事。食べる事は強くなる事。食べる事は生きる事。つまり食べる事は大事」
リザードン「んなことは骨身に沁みる程理解してるわ。度が過ぎてるから問題なんだよ。お前の場合」
カビゴン「うっ・・・」
リザードン「やれやれ」
カメックス「リザードン」とんとん
リザードン「あ?」
カメックス「ダイエットをするカビゴン」
フシギバナ「成功し痩せ細るカビゴン」
ラプラス「そしてリバウンドに苦しむカビゴン」
リザードン「クッ・・・クク・・・オチまで付けてんじゃねぇよ」
ゴン!
「痛っ!」
ピカチュウ(うけてる・・・)
サトシ「ちゃんと仲良くしてろよお前ら。じゃ!」
リザードン「待て。今なら乗っけてやっても良いぜ」
ラプラス「自分から言うなんて珍しいわねえ」
リザードン「お前らのくだらねえギャグを聞かされるのが嫌なだけだ」
ラプラス「失礼ね。私はオヤジ二人のギャグに乗ってあげただけよ」
フシギバナ&カメックス「おい」
リザードン「乗ったお前もオヤジって事だな。ぷっ」
ラプラス「何ですってえ!?」
リザードン「おお、怖い怖い」
ラプラス「前から言おうと思ってたけどあなたってポケモンはちょっと無神経過ぎるんじゃない!?」
リザード「何だと?お前こそ神経質過ぎるんだよ。今から「のりものポケモン」から「ナーバスポケモン」に改名しやがれ」
ワ―ワ―ギャーギャー!!!
ピカチュウ「ちょっと!止めなよ二人とも!そこ笑ってないで止めてよ!」
サトシ「・・・さっさと行こっと」
今日はここまでにします。ここがおかしいぞって言う所があれば言ってください。ゲームはやり込んでたんですがアニメの方はあまり見てませんでした。
サトシ「流石にこの時期になると暗くなっても暑いな・・・」
日が落ち始めて薄暗くなり静かなマサラタウンには鳥や虫の鳴き声が辺りに物悲しそうに響く
サトシ「虫や鳥って何で鳴くんだろうな・・・腹でも減ってるのかな。だったら可哀想だな・・・」
走りながらそんな事を考えているとオーキド研究所に着いた
サトシ「オーキド博士、迎えに来ました」
「ハナコさんから電話を掛けるって聞いていたんだけどね。故障でもしたのかい?」
サトシ「シ、シゲル!?何でここにいるだよ!」
シゲル「祖父の研究所に僕が居て悪いのかい?」
サトシ「あ、いや、そうじゃ無くて、さっき此処に来た時オーキド博士が居ないって言ってたからさ」
シゲル「ちょっと前に呼び出されたのさ。「サトシ君らと食事をするから顔だけでも見せに来てくれ」ってね。まぁ、丁度明日から夏の長期休暇に入るから良かったんだけどね」
サトシ「何か悪いな。俺のせいで呼びだされちゃって」
シゲル「別に良いさ。一度は実家に帰るつもりだったしね。それよりもサトシ、山籠りしてたって本当かい?」
サトシ「聞いたのか」
シゲル「テレビで急に君を見なくなったからどこかでくたばってると思って安否を聞いたら渋々話してくれたよ。最後には「精神力が弱いお前こそ山籠りをするべきじゃ」なんて言われたよ。余計なお世話だよまったく」
サトシ「ハハッ、あながち間違って無いかもな。・・・心配掛けてゴメンな」
シゲル「心配?馬鹿言え、君のヒンバス以上のしぶとさは重々承知だ。何処に雲隠れしていたか気になっただけさ」
長身でキザったくて、それでいて容姿が良くて頭が良い。俺とは正反対の幼馴染。
旅を始めた頃は生意気な俺と高飛車なシゲルでよく喧嘩をしていたが年をとるにつれて互いの力を認め合う事が出来るようになり今では軽口を言い合える仲になった。
オーキド「何やら賑やかと思っとったらサトシ君が来てたのか。何しに来たんじゃ?ワシらはママさんの連絡待ちなんじゃが・・・」
サトシ「えっと、お願いしたい事があって。それで俺が迎えに来たんです」
オーキド「ほう、言ってみなさい」
サトシ「手持ちの分のポケモンフードを俺に分けて欲しいんです。山に忘れちゃって・・・」
オーキド「そんなことならお安いご用じゃ。手持ちのポケモンを教えておくれ」
サトシ「はい!ピカチュウ、リザードン、カメックス、フシギバナ、ラプラス、カビゴンです」
オーキド「ふむふむ・・・ピカチュウにはスタンダードタイプのフードを、リザードン、カメックス、フシギバナ、ラプラスには大型ポケモン用の高カロリータイプのフード、カビゴンはさらに上を行く超高カロリータイプを用意しようかの。それと山籠りで栄養摂取状態が心配じゃから念のために粉末サプリメントを付けよう」
今日はここまでにします。おやすみなさい。
サトシ「ありがとうございます!お金は後で払います!」
オーキド「そんな水臭い事を言うんじゃ無い。ワシとサトシ君の仲じゃないか」
サトシ「オーキド博士・・・」うるうる
オーキド「サトシ君・・・」
シゲル「怪しい雰囲気を出さないでくれ。気持ち悪いから。さぁ、君のお願いも伝わった事だし早く行こう。誘って貰って人を待たせるのはNGだしね」
オーキド「怪しいとは何じゃ。ワシにとってサトシ君はもう一人の孫同然じゃ」
シゲル「こんな奴が僕の身内であってたまるか」
サトシ「あの、ちょっとゴメン!実はもう一つ用事が広場にあるんだ!行って来る!」
シゲル「ちっ、五分だ。五分で戻って来いよ!」
サトシ「釣りがくるぜ!」ダダッ
広場
誰も見当たらない静寂に包まれた広大な広場に俺は吸い込まれそうな感覚を覚えた。昼間元気だったポケモン達もこの時間になれば活動を止め自分の棲家に身を潜める。
優しく吹く涼しい風に俺の臭いが乗り、それが静寂を破る。
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨!
「「「「サトシー!!!」」」」
サトシ「皆ゴメンな。寝てたのに」
ジュカイン「遅かったな。言いに来たんだろ。別れを」
サトシ「いや、実h」
メガニウム「嫌っ!私聞きたくないっ!けど、サトシが居るから此処にいたい!あぁ、どうすればいいの!?」
ヘラクロス「悩めるwwwwww乙女かwwwwww君はwwwwww 」
メガニウム「うるさいわよっ!」べしっ
ヘラクロス「あびょwwwwww」
ガブリアス「お前ら少し黙れ」
メガニウム&ヘラクロス「はい」
ガブリアスの一喝で他のざわざわしていたポケモン達も静かになり。俺に注目する。少し前もこんな事があったな・・・
サトシ「・・・実はな」
シゲル「終わったのか?」
サトシ「あぁ」
シゲル「随分とポケモン達が騒いでいたみたいだか・・・」
サトシ「何でもないさ。オーキド博士、待たせてしまってすみません。行きましょう」
オーキド「そうじゃの」
鼓動が早くなっている心臓を深呼吸で落ち着かせ家に向かった。
サトシ「ただいま。オーキド博士を連れて来たよ。ついでにシゲルも」
シゲル「おい」
オーキド博士「いやぁ、ママさん。この度は食事に招待してくれてありがとう。勝手で済まんがシゲルを連れて来たんじゃ、挨拶したらすぐ帰るから気にせんでくれ」
ハナコ「そんな事言わないで下さいな。シゲル君、あなたの分のご飯もあるから食べて行きなさい。皆喜ぶわ。ね?」
シゲル「いや、でも、急に押しかけてご馳走してもらうなんて・・・」
タケシ「良いじゃないかシゲル君。ハナコさんのハンバーグは絶品だ。食べないと絶対に損するぞ」
カスミ「そうよ。それにご飯とハンバーグの横のポテトは私が作ったんだから!」
サトシ「米といでジャガイモの皮剥いただけなのな」
カスミ「・・・」ごつ!
サトシ「おぉ・・・のぉ・・・」バタバタ
タケシ「大丈夫かサトシ!?」
シゲル「ハンバーグは君が作ったんじゃないのかい?」
カスミ「全部ハナコさんがやったけど何か悪いかしら!?」ずいっ
シゲル「いや、なら良いんだ」
カスミ「なら良いってなによ!」
シゲル「特に深い意味は無いよ。じゃあハナコさん、僕も御馳走になります」ぺこっ
ハナコ「うんうん!それじゃあ席についてね!」
母さんはシゲルが加わった事で夕飯の人数が増えたと、とても喜んでいた。しかしそんな母さんに俺は違和感を覚えた。
来客が来て喜ぶのはごく普通の事だ。でも喜び方が尋常じゃないように見える。なんていうか本当に心の底から喜んでいるという感じがする。
裏を返せばそれは普段とても寂しかったという事なんだろう。母さんは一見元気で明るい性格にみえるが根が暗く近所付き合いが下手で俺が子供の時
からすでにマサラタウンでは孤立していて町の行事には俺だけが行き、母さんは家で俺の帰りを待つというのがお決まりだった。
友達もあまりいないらしく、自分の用事で出掛けることも来客が来ることもほとんど無かった。母さんはガーデニングが好きで昔から花をせっせと育てているがそれが
もし寂しさ故なのだとしたら・・・
だけどそれも今日で終わる。俺が終わらせる。
今日はここまでにします。もうちょっと早く投下します・・・
少し要望を言うと、ホウエン組とかに連絡した時にリラにブレーンに誘われる、ってのを見てみたいかな。
(まあ、つまるところリラやハルカ、カスミ達との絡みを沢山みたいだけですw恋愛要素なしで全然いいので)
ただの一意見ですが…
更新楽しみに待ってます(´・ω・`)
サトシ「ところでオーキド博士、その手に下げてる紙袋は何ですか?」
タケシ「あ、俺も実は気になってたんだ」
カスミ「嫌らしいわね・・・人様の家にお呼ばれするんだからおみやg」
オーキド「おおっと、カスミ君、皆まで言うでない。二十歳になったサトシ君、カスミ君、シゲルの門出を祝うために良いものを持ってきたんじゃ!」
ハナコ「あら! 三人とももう二十歳だったのね!」
サトシ「あら!じゃないよ母さん。・・・まぁ、俺が悪いんだけどさ」
カスミ「そういえ姉さん達にまだ二十歳のお祝いして貰ってなかったわ。忙しかったしね・・・」
タケシ「そっか・・・お前らもう二十歳になったのか。そんな実感ないなぁ」
シゲル「無理もないですよタケシさん、サトシはいつまで経っても子供っぽいですからね。僕と違って」
サトシ「うるせぇ。童心を忘れず持ってるって言ってくれ」
シゲル「まぁ、良くいえばそうなるかな」
サトシ「それでオーキド博士」
オーキド「そうじゃったな! 土産・・・いや、二十歳祝いに持ってきたというものはな、これじゃ!」ドン!
オーキド博士が大きな紙袋から取り出したのは縦長の木目の入った大きな木箱だった。
カスミ「もしかして・・・お酒?」
サトシ「しかも二本もあるぞ」
シゲル「なにやら高級そうだね」
オーキド「おお!さすが我が孫じゃ!目の付け所が違う!これはなタマムシ大学のお偉いさんにもらった物でこっちg」
タケシ「説明しよう!!! まずこの水色の瓶の方は伝説の聖酒「水君」だ!関係者しか知らない秘境の地の地下から汲み上げられた上質な水を使用!
水君はアルコール度数を抑え、女性でも飲みやすい味わいに仕上がった、新しいタイプの酒で、さわやかな酸味と柔らかい甘みが特徴。食前酒にもこってりとした料理にも相性ぴったり!
ほんのりと酔え、すっきりした甘さに定評があるんだ! そしてもう一本の赤い瓶は「炎帝」といってアルコール度数が51度とかなり高めで一口飲めば火山が噴火したかの様な衝撃が体を駆け巡りその味に虜になるそうだ!
ただアルコール度数が高いだけでは無く、独特のまろやかさがあり、数々の愛酒者を唸らせてきた酒なんだ!・・・ですよねオーキド博士?」
オーキド「その通りじゃ!もしかしてイケるクチかの?」
タケシ「嗜む程度ですけどね。それにしても二つとも滅多に市場に出回らない代物ですよね?こんなお酒に出会えて感無量です!!!」
オーキド「博士をやっていればたまにこういうラッキーな事があるんじゃ。もちろんお礼は返すがね」ふふん
サトシ「なぁタケシ、この酒ってどのくらい凄いんだ?」
タケシ「そうだな・・・お前の目の前にホウオウとルギアがいるって考えると解りやすいかな」
サトシ「それすげえじゃん!!! そそそそそんなお酒俺らが飲んで良いのかな」
オーキド「落ち着くんじゃサトシ君。一人でちびちび飲むより皆で飲んだ方が酒も喜ぶじゃろうて」
ハナコ「本当にありがとうございます。オーキド博士」
オーキド「良いんですよハナコさん。それより、今日はあなたに本当の酒の美味しさを教えてあげますよ」キリッ
シゲル(何言ってんだこのじーさんは・・・)
タケシ「オーキド博士、自分はともかくとして、二十歳になったばかりの彼らにこのお酒は大丈夫なんですかね」ひそひそ
オーキド「かなり薄めてやれば大丈夫じゃ。それにタケシ君、皆が酔ったら面白いと思わんかね?」ひそひそ
タケシ「自分もその意見に同意します」にやにや
カスミ「そこ、にやにやしてないで席に着きなさい」
タケシ「あ、あぁ」
>>353
ハルカは出るかもです。
ハナコ「うん、皆席に着いたわね!コホン、今日はお忙しい中お集まりいただき本当にありがとうございます。料理はカスミちゃんと一緒に作りました。それとテーブルにあるお刺身はタケシ君が持ってきてくれました。
それではオーキド博士、よろしくお願いします」
オーキド「うむ。成人を無事に迎えた3人の諸君、本当におめでとう!今のところそれぞれ順風満帆といったところじゃろうが必ず困難という壁にぶつかる時が来る。そういう時にこそ人の本当の真価が問われる。
ワシはその壁から逃げずに真っ向からぶつかる人間になって欲しい!その結果、上手くいかなかったとしてもその行為自体を誇りにすればいいと思うんじゃ。
三人ともそれぞれなりたい姿がある、もしくはなってるかもしれんが「努力した者が全て報われるとは限らん。しかし! 成功した者は皆すべからく努力しておる!!」というあるボクサーの素晴らしい名言があるように今のままの自分に満足せずに
努力を重ね精進してくれ!ワシからは以上じゃ。」ピラッ
パチパチパチパチ!!!
シゲル(じーさん・・・一生懸命考えてきたんだな・・・ありがとよ)
タケシ「うぅ・・・自分、涙いいですか?」
サトシ「おいおい、泣くなよ。・・・でも、すげー元気出たぜ。博士の言葉」
カスミ「ええ、私も最高のジムトレーナーにむけてもっと頑張らなくちゃね!」
オーキド(徹夜で頑張った甲斐があったわい・・・これからも頑張るんじゃぞ3人とも)
それから俺たちの食事会が始まった。ポケモン達の餌はバリヤードがやってくれてたらしい。本当に有能な奴だ。
サトシ「ハンバーグうめえな!」ガツガツ
シゲル「食いながら喋るな!全く品が無いな君は」ガツガツ
カスミ(どっちもよ)
オーキド「ハナコ君、カスミ君。ワシが酒をつごう」トクトク
ハナコ「あら、ありがとうございます」
カスミ「水色でとても綺麗ですね!でも、匂いがきついかも・・・」
オーキド「おっと、カスミ君はミネラルウォーターを入れんとな」トクトク
カスミ「これなら飲めそうです!」ごくっ
ハナコ「お刺身と一緒に・・・」ごくっ
オーキド「どうじゃ?」
カスミ「美味しい!ジュースみたいだわ!もっと飲んでも良いですか!?」
オーキド「急にたくさん飲むと危ないから少しづつ飲むんじゃぞ」
カスミ「はい!」
ハナコ「本当に美味しいですわ。タケシ君が持ってきてくれたお刺身とピッタリだわ」
オーキド「ハナコ君、実はこの他にももう1本高級酒「雷皇」を持ってきてるんじゃ。向こうで一緒に飲みまs」
タケシ「あるぅれぇ?それは「水君」「炎帝」と比べれば影は薄けど紛れもない銘酒「雷皇」じゃあーりませんか!」
オーキド「タ、タケシ君!? いつの間に!?(酔っておるな・・・)」
タケシ「水くさいですよぉ、自分がお注ぎしますから向こうでお酒について二人でじっくりゆっくり語らいましょう!」ぐいっ
オーキド「ちょ、ちょっと待ってくれ~(ワシの計画がぁー!)」ズルズル
ハナコ「あら、行っちゃったわ・・・カスミちゃん、私たちは二人でお料理の話でもしながら飲みましょうか」
カスミ「そうですね!」ぐびぐび
シゲル「・・・」ごくっ
シゲル「・・・ふぅ、結構くるなこいつは」
サトシ「お、美味しいのかそのお酒!?」
シゲル「エンテイの名に恥じない美味さだよ。まあ、お子様な君には解らないかな?」
サトシ「俺だってお酒の美味しさくらい解るぜ!」ぐびび
シゲル「お、おい!」
サトシ「な、何か体の底から湧きあがってくるような感じがする・・・!」ぐびび
シゲル「調子に乗って飲み過ぎると地獄をm」
サトシ「うっぷ」
シゲル「・・・ゲロかよ。言わんこっちゃない。この手の酒はちびちび飲むのが美味いんだよ。ここで酔う潰れるとハナコさんの
料理がまだ残ってるのに勿体無いとは思わないか?」
サトシ「・・・おっしゃる通りです。うっぷ」
シゲル「・・・仕方無い、一回トイレに行って吐け。僕が介抱してやる」
サトシ「すまねえなシゲル・・・」
シゲル「全くだ」
オーキド「それでの、ジョウト地方のとある酒蔵で今、あの二匹の伝説のポケモン「ホウオウ」「ルギア」をイメージした酒を極秘で作っているんじゃ」
タケシ「なぜ極秘なんですか?」
オーキド「うむ。なんでも製造方法が極めて複雑でほんの少量しか作れないらしいから一般には販売せず、サミットなどの食会の乾杯酒用に作ってブランドとしての地位を固めた後、
一般用に質を落とした物を販売するつもりらしい」
タケシ「なかなか興味深い話ですね。質を落としたといってもさぞかし美味しいんでしょうね」
オーキド「量産といえどもそこらへんの酒よりはかなり上だと聞いたの」
タケシ「もう、両方とも出来ているのですか!?」
オーキド「ああ、知り合いがそこの酒蔵で働いているんじゃ。その知り合いが今度試飲してくれと言っているんじゃが、来るかの?」
タケシ「行きます!絶対行きます!」
オーキド「よし、明日にでも連絡しておこう。それにしてもタケシ君と飲む酒は美味いのぉ!」ぐびび
タケシ「自分には勿体無いお言葉です!今度はホウエンの酒の話をしてください!」ぐびび
オーキド「よしきた!」
ハナコ(フフフ、楽しそうね)
~ポケモンサイド~
カメックス「月を見ながら食事ってのも乙なものだな」
ラプラス「そうね。いつも食事は洞窟の中だったわね」
ピカチュウ「外は寒かったから仕方が無いよね」
フシギバナ「山も静かだったがここも静かだな。気持ちが落ち着く」
カビゴン「そうだね。食が一層進んじゃうね」バクバク
リザードン「それは関係ねえだろ。 ・・・ん?」
「あの・・・私もご一緒させてもらってもよろしいですか?」
ピカチュウ「バリヤード!」
バリヤード「何やら外から楽しそうな声が聞えてきたので・・・」
ピカチュウ「あ、あの、ごめんね。君を誘わなくて・・・ママさんと一緒にいたから誘うと悪いかなって・・・」
バリヤード「気にしないでください。ピカチュウさん。御主人の護衛は私の仕事ですから。それに仕事は終わりました」
ピカチュウ(オーキド博士ぇ・・・)
リザードン「それにしても堅物のアンタが俺たちの輪に入ろうなんざどういう風の吹きまわしだ?」
バリヤード「たまには・・・息抜きも良いかと思いまして」
カビゴン「うんうん。溜まった物は吐き出さないとね!」
リザードン「お前は吐きっ放しだけどな」
カメックス「息抜き、結構なことじゃないか!ほれ、こっちに来い!」
フシギバナ「ワシたちの為になる有難い話を聞かせてやる。山に帰るまでな!」
バリヤード「是非お願いします。・・・その前に手ぶらで参加しては私の沽券に関わります」
ラプラス「別に気にしなくても良いのよ。バリヤード」
バリヤード「そうもいきません。・・・むぅううううん!」ポン!
ピカチュウ「な、何か出てきたよ!? しかもたくさん!」
リザードン「なんだその瓶は?悪いが水なら間に合ってるぜ」
バリヤード「これは水では無く「酒」というものです」
カメックス「噂に聞いたことがある。人間の飲み物で飲むと気持ち良くなり「酔う」という状態異常になるらしい」
カビゴン「大丈夫なの・・・飲んでも」
バリヤード「もちろんです。私、一度御主人様に勧められ飲んだ事がありますが、この世の物とは思えない素晴らしい美味さでしたよ。それ以来この味が忘れられなくてパントマイムでなんとか
出そうと努力し1年。最近になってやっと出せました。しかし飲むと酔ってしまい職務を全う出来ないため滅多に出しませんが、今日は・・・特別です」
リザードン「そんな良い物を飲ませてくれるなんてアンタ、意外と良い奴だな。 いけ好かねぇ野郎と思っていたが訂正するぜ」
バリヤード「ありがとうございます。それでは皆さん、私がお注ぎしますので乾杯しましょう」トクトク
ピカチュウ「乾杯?」
バリヤード「コップを触れ合わせてそれを酒を飲む始まりの合図とするんですよ。主に祝い事などのおめでたい席で行われます」
カメックス「ガハハ!それは良いな!さながらワシらも人間だな!」
リザードン「おい、亀爺。勢い余ってコップを割るんじゃねえぞ」
カメックス「わかってるわい!」
バリヤード「それではおこがましいですが私めが乾杯の音頭を取らせてもらいます。乾杯!」
「カンパーイ!!!」
サトシ「オェー」ゲロゲロ
シゲル「・・・ほら、水だ。これで口をゆすげ」
サトシ「・・・おう、悪いな」ガラガラペッ
さっきまでの気持ち悪さは無くなったが不意に虚無感に襲われた。
サトシ(食事の最中にゲロなんか吐いちゃってなにやってんだろ俺・・・ん? 吐く? 俺はもっと別のものを吐き出さないといけなかったような・・・)
シゲル「おい、まだ具合が悪いのか?」
サトシ「そうだ!!!」
シゲル「何だよいきなり!」
サトシ「二十歳のお祝いで浮かれてて忘れてたけど俺、皆に伝えなくちゃいけない大事な話があるんだ!」
シゲル「・・・その大事な話とやらを今まで忘れてたと?」
サトシ「・・・うん」
シゲル「皆聞いてくれる状態だと良いけどね。明日じゃダメなのかい?」
サトシ「ダメなんだ!今すぐ言わないと!早くリビングに来いっ!」ダッ
シゲル「はぁ、どうせろくでもない話だろうな・・・」
シゲル(ピカチュウと結婚・・・とかね)
バン!!!
サトシ「皆!聞いて欲しい話があるんだ!」
タケシ「お~ サトシィwwwどぅこに行ってたんだよwww 俺たち、今二人でぇ~ ボーイズトークしてだんだよぉwww」
サトシ「何だよボーイズトークって・・・臭っ! これが酒臭いって奴か・・・」
オーキド「臭いとはにゃんじゃ!この匂いは大人の男の証し!旨いモノを食い旨い酒に酔う!こんな楽しい生活他にはぬわぁい!」
サトシ(・・・ダメだ、次)
サトシ「あ、あのさ、母さん。大事な話があるんだけど・・・」
カスミ「・・・ねぇ、サトシ。アンタの顔ってよく見れば、ルカリオみたいでかっこいいかも」なでなで
ハナコ「当然よぉ、だって私の息子なんですもの!」なでなで
サトシ「ちょ、ちょっと止めろよ二人とも!」
カスミ「そんなこと言っちゃって本当は嬉しいくせに!」ぐにぐに
ハナコ「顔赤くしちゃって可愛いわねぇ」ぐにぐに
サトシ(この二人もか・・・ こうなったら・・・)
サトシ「すぅー・・・」
シゲル(・・・耳塞いでおくか)
サトシ「皆!!!俺の話を聞いてくれ!!!」
俺の渾身の大声により先程の騒がしさが嘘のように静まった。そして皆は声の主の方へと目を向ける。
サトシ「今日、この場で言わなくちゃいけない事があるんだ。皆聞いてほしい」
カスミ「・・・」
シゲル「・・・」
オーキド「・・・」
ハナコ「なにかしら?」
タケシ「・・・話してみろよ。皆、お前の声で酔いがさめたしな」
サトシ「・・・」
大声を出した勢いで言おうと思ったけど言葉が出ない。手足が小刻みに震えて喉が渇く。こんなにも喋るのが億劫なのは初めてだ。
「もう決めたんだ早く言うんだ」と思うほどに焦りが募り、汗が首筋を伝う。「逃げてしまおうか」そう思った時、手に暖かさを感じた。
カスミ「・・・」ぎゅっ
サトシ「カスミ・・・」
いつもそうだった。俺が困った時や辛い時にはそばにいてくれて俺を助けてくれた。そして今、また俺はカスミに助けられた。
サトシ「ありがとうカスミ」
カスミ「・・・わかったわ。さぁ、男ならシャンとしなさいよね!」バシン!
サトシ「痛ってえ!」
有言不実行まことに申し訳ないです。久々に投稿していきたいと思います。
もうレスはしてくれなくて良いです。淡々と張りますんで。
サトシ「・・・俺、ジムリーダーを目指すよ」
言ってしまった。 この瞬間、俺が今まで続けてきたポケモンマスターへの道の旅は終わった。
しかし、悲観するつもりは無い。コジロウの言葉を借りて言うと、また新しい旅が始まったのだから。そう思うとワクワクしてきた。
皆「・・・」
一瞬、俺の発言で皆時が止まった様に静まり固まっていた。しかし、その静寂を破ったのは母さんだった。
ハナコ「・・・サトシ!あなた何言ってるの! 急に旅を止めるなんて!」
サトシ「もう決めたんだ。それに母さんだっt」
ハナコ「馬鹿な事言わないでっ!!!」
サトシ「・・・馬鹿な事ってなんだよ」
ハナコ「私に気を使ってジムリーダーを目指す気でしょう!? 母親を見くびらないで! 私は今まであなたがやりたい事を全力で応援してきたのに、今更そんな事言われたら・・・ 私は・・・」
サトシ「・・・違うよ。もう、充分楽しんだし、今まで母さんは俺の好き勝手にやらせてくれた。それに、ジムリーダーっていうのも悪くないと思うし、今はジムリーダーになれる絶好のチャンスなんだ」
嘘はついていない。全部本音だ。カスミがくれた千載一遇のチャンス。俺の年齢を考えるとポケモンマスターへの旅から足を洗いジムリーダーという職をを目指すというのはそこまでおかしな考えでは無いと思う。なれるかどうかは別として。
ハナコ「それは本当にあなたの意思なの?」
サトシ「・・・あぁ。俺は絶対に最高のジムリーダーになる」
ハナコ「・・・わかったわ。やるからにはしっかりやるのよ!」
サトシ「ありがとう母さん!俺、やるよ!」
俺の旅の終わり方は意外とあっけなかった。そう思うと力んでいた体ががめいっぱい膨らました風船に針を刺したかのように萎んだ感じがした。
夏の暑い夜。その暑さに負けない情熱を心に宿し俺の新しい旅が始まった。
あれから俺は酔った皆にもみくちゃにされ、それから逃げるようにシゲルと二人で家の外で酒をちびちびと飲みながら話をしていた。
シゲル「・・・まさか君があんなことを言うとは思わなかったよ。ここまで驚いたのはテッポウオやヒンバスの進化を初めて見た時以来だよ。 ・・・それで、
本気なのか?」
サトシ「本気だ。 それにお前だって分かるだろ?いつまでも夢を追って母さんに悲しい思いをさせちゃダメだってことぐらい」
シゲル「無論だ。そうなると君はさっき嘘をついたんじゃないのかい?自分の意思でジムリーダーを目指していると」
サトシ「・・・少しな。正直に言うとまだ各地を周って旅を続けたかった。でも、ジムリーダーにも挑戦したかったし、これからはそれに向けてブレずに頑張るつもりだよ」
シゲル「まぁ、皆の前でああ言った手前、試験に落ちたらだいばくはつものだぞ」
サトシ「それなんだよなぁ・・・ カスミが勉強教えてくれるらしいけど俺頭悪いし、時間も無いから不安なんだよ」
シゲル「その点は大丈夫なんじゃないかな。筆記試験は君の頭が空っぽなぶんカスミ君の教えはすぐに頭に入るだろうし、実技試験のポケモンバトルは君の専門分野だ
。大切なのはさっき君自身が言ったブレずに取り組む姿勢だよ。しかし、いくら君が強いっていっても余計な事を考えてると実技試験で足元すくわれるぞ」
サトシ「なんか一言多いけどその通りだな」
シゲル「ま、試験の事で困ったら僕の所に来なよ。君のサイホーン並の脳味噌の容量に合うように教えてあげるよ」
シゲルはフフンと笑った。が、しかしそれは嘲笑うといったものでは無く、もっと別の優しいものに感じた。
サトシ「ありがとな。でも、カスミが怒るから遠慮しとくよ」
シゲル「カスミ君が嫉妬ねぇ・・・君たち、もう出来てるんだろ?」
サトシ「そんなんじゃ無いって。俺がシゲルに勉強を教えてもらってるなんてカスミに聞かれたらきっと「あたしの教え方じゃわかんないわけ!?」って言われるしな」
シゲル「あー・・・ 彼女なら言いそうだな。たぶん。いや、絶対に」
サトシ「だろ? まぁ、あいつならきっと解りやすく教えてくれるから大丈夫だと思う」
シゲル「信頼してるんだな」
サトシ「当たり前だろ。何年も一緒に旅してきた大切な仲間だしな」
シゲル「仲間ねぇ・・・ そうだ今度、授業料として彼女をディナーにでも連れて行ってやりなよ。きっと喜ぶよ」
サトシ「な、何だよいきなり」
シゲル「君は鈍感で馬鹿だって言ってるんだ。彼女は君の為にここまでしてくれるんだ、好意が無いわけないだろ」
サトシ「・・・そんなことわかってるよ。でも・・・」
シゲル「僕は君の恋のキューピットになるつもりは無いからどうでもいいがね。でも、いつまでもそういう態度でいると彼女はいつか愛想を尽かすよ」
サトシ「・・・うるせぇ。どうせお前だって未だに性格が悪いから彼女いないんだろ?」
シゲル「ま、周りに僕と同等のレベルの女性がいないだけだ! 君とは違って選んで独り身になってるんだ。そこを勘違いするな」
サトシ「ハハ、図星じゃないか。そのままでいてくれよな、俺が死ぬまで」
シゲル「冗談じゃない。君こそトチ狂ってピカチュウと結婚するとか言い出すなよ」
サトシ「実は結婚してるんだな、それが」
シゲル「なにぃ!?」
サトシ「山籠り中ラプラスが提案してきたんだよ。「私達で式を開いてあげる」ってな。まぁ、ごっこなんだけどさ。でも、結構本格的で俺のポケモンと野生のポケモンでと協力してやってくれたんだ」
シゲル「協力って・・・お前」
サトシ「コロトックの新郎新婦入場の合奏、リーフィアやフシギハナの草の手作りウェディングドレス、野生のルージュラやラプラス達によるお色直し、カメックスの祝砲、
リザードンとカビゴンの力くらべの見せ物、木の実のジュース、その他色々・・・あの日は最高に楽しかったなぁ。あ! バンギラスが作ってくれた岩の指輪があったな!あいつ強面だけど意外と手先が器用なんだよ。それから新婚旅行はボーマンダに乗って・・・」
シゲル「もういい、頭が痛くなる。全く君って奴は・・・ いっその事ポケモンになりなよ」
サトシ「俺がポケモンになったらノーマル?かくとうタイプだな。お前はずる賢いからあくタイプかもな」
シロガネ山に出現しないポケモンもいますが気にしないでください。
シゲル「うるさい。 ・・・はぁ、なんかどっと疲れたよ。僕はここら辺で帰らせてもらうよ」
サトシ「お、おい! もう帰るのかよ!」
シゲル「君からハナコさん達に挨拶しておいてくれ。行ったらどうせ引き止められるからな」
サトシ「わかったよ。また今度な」
シゲル「次、会う時はジムリーダーになっておけよ。試験に落ちたら僕の研究所の雑用係としてなら雇ってあげるよ」
サトシ「心配無用だぜ。絶対に俺はジムリーダーになるからな!」
シゲル「せいぜい頑張るんだね。それじゃ」
シゲルは後ろを振り向かず手を挙げて去って行った。「シムリーダーに絶対になると」豪語したのはいいが、やっぱり不安だ。
今回のチャンスを逃せば恐らく数十年はジムリーダーになれる事は無いだろう。好きなバトルを仕事に出来きる職業なんてそうそうないし、なれた人は滅多なことでは手放さない。それほど人気で魅力のある職業だ。
一人になった途端急に冷静になってしまってこんな事を考えてしまう。少なからず後悔が残っていた証拠だ。これからこの後悔が強まっていくのか薄まっていくのかは解らない。
どっちに転がろうと足踏みせずに前に進もうと俺は自分に誓った。
サトシ「・・・あいつら気持ち良さそうに寝てるなぁ。 ・・・ん?バリヤードも一緒だったのか。珍しいな」
ピカチュウたちの楽しそうな寝顔から数時間前のこの場所での賑わいが容易に想像できた。
サトシ「コイツ達の寝顔を酒の肴にして今夜は飲もうかな」ちびっ
俺は今日飲んだ酒の味を忘れることは一生無いだろう。そう思えるほどに濃密な一日の中で飲む酒は美味しかった。
タケシ「カスミ」
カスミ「なに?」
タケシ「お前がサトシにカツラさんの事を話したのか?」
カスミ「・・・どうしたのよいきなり真面目になっちゃって。さっきまでオーキド博士と馬鹿騒ぎしてたクセに」
タケシ「茶化すんじゃない。で、どうなんだ、言ったのか?」
カスミ「・・・言ったわ。そしたらサトシは皆の前でジムリーダーになるって・・・私がハナコさんの事を言ったからそれで・・・」
タケシ「・・・そうか。でも、そのことだけがジムリーダーを目指す動機じゃ無かったと思う。他にもあいつなりに思う事があったからああ言ったんだろ」
カスミ「・・・そうよね」
タケシ「それに俺たちの前でジムリーダーになるって言った時のサトシの顔を見たか?」
カスミ「・・・目を逸らしてた」
タケシ「バトル前のギラギラした顔だったよ。嫌々何かを志す人間にはあんな顔は絶対に出来ない。あいつが旅を止めたのは残念だし寂しいけど、俺はジムリーダーになったサトシを見てみたい」
カスミ「・・・うん、私も。だからサトシと約束したの、ジムリーダーを目指す気があるなら私が勉強を教えてあげるって」
タケシ「それはいいな!サトシは実技の方は問題なさそうだが筆記が危ういからなぁ。忙しい俺に代わってあいつに色々教えてやってくれ」
カスミ「その言い方、私が暇人みたいじゃない!失礼ね!」
タケシ「スマンスマン!お前は姉妹でやってるからって意味だよ」
カスミ「全く・・・ サトシの事は私に任せて。絶対に合格させるから」
タケシ「・・・勝算はあるのか?」
カスミ「わからないわ。でも、明日から約1ヵ月間死ぬ気で教えればいけると思う。あいつ、基本的には馬鹿だけど何か目標がある時は凄い力出すから」
タケシ「そうだったな。何か解らないことがあったら俺にも相談してくれ。オーキド博士ほどでは無いけどポケモンの生態や育成には詳しいつもりだ」
カスミ「ありがとう。私たちでサトシをジムリーダーにするのよ!」
タケシ「ああ!頑張ろう!」
オーキド「・・・サトシ君、成長しましたな」
ハナコ「ちょっと前は子どもだったのに・・・ 時が経つのは早いですね」
オーキド「全くじゃ。 孫のシゲルも生意気にも自分の研究所を持ちよった。嬉しいような悲しいような、不思議な気持ちですな」
ハナコ「あともう少ししたら完全に私達の手から離れるんですね・・・」
オーキド「・・・そうですな。引き止めたいが笑って見送らないと行けないのが親。ハナコ君と違って父や母では無いが幼い頃からのシゲルやサトシ君を見てきたから心情はハナコ君と同じじゃ」
ハナコ「そんな事を思ってもらえるなんてシゲル君も幸せですね」
オーキド「あいつは素直じゃないからのぉ、直接言ったら茶化されるから思うだけにしとるんじゃ。本当は抱きしめながら言ってやりたいんじゃがな」
ハナコ「フフッ、私もです」
オーキド(お? 良い雰囲気じゃな・・・)
オーキド「さて、感傷に浸るのはここまでにして、向こうでこの「雷皇」でも飲みながr」
タケシ「オーキド博士! 先程の続きを語らいましょう!」ぬっ
オーキド「カ、カスミ君と話してたんじゃ無いのか!?」
タケシ「もう終わりましたから!さぁさぁ、今度はジョーイさんの容姿の遺伝性と性格の共通性について語る約束でしょう!」
オーキド(今日は諦めるかの・・・)
オーキド「よし! タケシ君! わしをポケモンだけの男だと思ったら大間違いじゃぞ! 医学、精神医学にも深く精通しているわしのスーパーな理論を朝まで聞かせてやるわい!」ドン
タケシ「いよっ! 待ってました!」
オーキド「すまんのハナコ君、今度は二人でゆっくり飲もう」
ハナコ「えぇ、そうですわね。楽しみにしてますわ」ニコッ
カスミ(下心丸見えじゃないの・・・)
サトシ「明日からか・・・ 覚える事が山ほどあるんだろうな・・・」ゴロン
酒が入って程よく気持ちよくなってきた俺は、カビゴンにもたれて星空を見ていた。
サトシ「ん? こいつらから酒の匂いがする・・・ 酒なんて知らないはずなのに・・・」くんくん
バリヤード「ねむねむ・・・」
バリヤードは幸せそうな顔をしながら酒瓶を抱いて寝ていた。あの真面目でお堅いバリヤードがどういう経路でピカチュウ達の輪に加わったかは知らないが、この様子だと上手く溶け込めて和気藹々と楽しくやれたのだろう。
サトシ「・・・良かったなバリヤード。 それにしても酒瓶なんて誰が持ってきたんだ?」
俺の手持ちの中で唯一家に入れるピカチュウが酒を家から持ち出したとは考えにくいし、そもそも見覚えの無い酒瓶だ。そうなると初めから家にいたバリヤードがどこからか持ってきたかパントマイムで出したかのどちらかか。
サトシ「いやいやパントマイムは無いな。きっとリザードン辺りにそそのかされて母さんが普段飲んでいる酒を持ち出したんだな」
酒のせいだろうか、ちょっとした探偵気分が何故かもの凄く楽しい。
サトシ「リザードン! 犯人はお前だ!」ビシッ
カスミ「あんた何やってんのよ」
サトシ「ペカッ!? カスミ!?」ビクッ
カスミ「やだ! あんたもポケモンも酒臭いじゃない! ポケモン達にお酒飲ませたわね!」
サトシ「違うって! これはリザードンが・・・」
カスミ「言い訳無用!」パコッ
サトシ「いてっ! っていうかお前も酔ってるだろ!」
カスミ「よ、酔ってないわよ」ぽー
サトシ「嘘つけ、顔が赤いのが何よりの証拠じゃないか。自分の事は棚においてちゃってさ」
カスミ「・・・ごめん」ムスッ
サトシ「お? 珍しいな、お前が素直に謝るなんて」
カスミ「私を何だと思ってるのよ。自分に非があったら謝るくらいするわよ」
サトシ「まぁ、いいや。こっちに来いよ。夜空が綺麗だぜ」
カスミ「寝返りで叩かれないかしら・・・」
サトシ「大丈夫。こいつは誰が近くにいる時は絶対に寝返りをうたないんだ」
カスミ「だったら・・・」ごろっ
サトシ「カビゴンの腹、良い感じだろ?」
カスミ「うん、あったかくて、柔らかくて、力強い感じがする・・・ とっても落ち着くわ」
サトシ「うんうん、そうだr べっ!?」べしっ
リザードン「ガーッ・・・ガーッ・・・」
サトシ(コイツ・・・)
カスミ「フフッ、リザードンはそうじゃないみたいね」
サトシ「コイツの事だからどうせ戦ってる夢でも見てるんだろうな」
カスミ「そうかもね」
それからしばらく俺たちは無言で夜空を眺めていた。どこかで聞いたことがあるが本当に仲がいい友人とは沈黙の中であっても気まずさを
感じない、つまり沈黙を共有できるらしい。カスミとはもうそんな仲だ。夜空を見上げるカスミの横顔はいつもより綺麗に見えた。
カスミ「・・・何よ、人の顔じろじろ見ちゃって」
サトシ「・・・何でもないさ」
カスミ「・・・ポケモンって不思議ね」
サトシ「え?」
カスミ「ポケモンって私たちより遥かに強いわけでしょ? それなのに私たちの言う事を一生懸命聞いてくれて見返りも欲しがらない」
サトシ「そうだな」
カスミ「果ては命を懸けてトレーナーを守ろうとする時もあるわ」
サトシ「言葉を話せないのに気持ちは通じているんだよなぁ。本当に不思議だよ」
カスミ「あんたの場合は普通にポケモン達と話してるけどね」
サトシ「俺は特別なんだよ」
サトシ「俺とコイツら、どっちが長生きするんだろうな・・・」
カスミ「・・・あまりそういうのは考えたくないわ」
サトシ「でもその時はいつか来る」
カスミ「・・・うん」
サトシ「俺が死ぬ時に「コイツらのトレーナーで良かった」って思い、そしてコイツらが「サトシのポケモンで良かった」って思ってくれれば俺は幸せに[ピーーー]るよ」
カスミ「私もそうね。あの子たちにふさわしいトレーナーにならなきゃね」
サトシ「お互い頑張ろうな」
カスミ「うん。そのためにも明日からは勉強ね!」
サトシ「おいおい、それを今言うなよ・・・」
カスミ「でもその時はいつか来る」
サトシ「ハハハ、言われたか」
カスミ「そろそろポケモンをボールに戻して家に戻りましょう」
サトシ「そうだな。風呂にも入らないと」
>>429
saga(sageじゃない)って入れると
「死ね」や「魔法」って言葉が正常に表示されます。
>>430
指摘ありがとうございます
家に戻ると皆は酔いつぶれて寝ていた。博士とタケシが抱き合いながら寝ていたのは何故なんだろうか・・・
サトシ「あーあ、皆寝ちゃってら」
カスミ「あたし食器洗うからその間にお風呂でも入ってきなさいよ」
サトシ「別に今日やらなくてもいいだろ? それにお前が皿を洗う必要なんてないし、明日になったら母さんg」
カスミ「馬鹿言わないの! ご馳走してもらって何もしないなんて非常識よ。あんた、これからまたこの家に住むんだから家事くらい覚えなさいよ。いつまでもハナコさんに頼ってたらダメじゃない」
サトシ(うっ、まとも過ぎて反論の余地が無い・・・)
サトシ「そうだな、皿洗いくらいなら俺にでも出来るしやってみるか」
カスミ「今回はやらなくて良いわよ。あたしがやるから」
サトシ「さっき家事覚えろって言ったろ」
カスミ「あんたの言い方が気に入らなかったからちょっとキツく言っただけ。今はお風呂に入って明日からの勉強に備える方が先よ。家事は試験に合格してから覚えれば良いわ」
サトシ「・・・何か悪いな、お前に気を使わせちゃって」
カスミ「そう思ってくれるんだったら明日から頑張んなさい。これでもあんたには期待してんだから」
サトシ「・・・そっか。 俺って期待されてんだな」
カスミ「皆思ってるわよ。「ジムリーダーになったサトシを見たい」ってね。だからその為に皆、あんたに尽力するつもりよ」
サトシ「そこまで期待してもらって合格出来なかったら・・・」
カスミ「別に良いじゃない。一生懸命頑張って無理だったら誰も咎めないわよ。皆、何かに向かって頑張ってるあんたが好きなのよ」
サトシ「好きか・・・ 俺も皆の事好きだぜ!」
カスミ「それは重畳」
サトシ「ちょうじょう?何だそれ?」
カスミ「自分で辞書でも引いて調べなさい。ほら、あんたが居ると邪魔だからさっさと風呂に入んなさい!」
サトシ「それじゃお言葉に甘えて・・・ あ、俺が入ったら次お前入れよ。汗かいた状態でここで寝るの嫌だろ?」
カスミ「私が泊るなんていつ言ったのよ。ハナコさんの迷惑になるじゃない」
サトシ「馬鹿言え、誰が困るもんか。それに明日から勉強教えてくれるんだろ?今日は俺の家に居た方が都合が良いじゃないか」
カスミ「それもそうね」
サトシ「んじゃ、皿洗い頼むぜ!」
カスミ「サトシ!」
サトシ「ん?」
カスミ「お風呂は綺麗に使いなさいよ!」
サトシ「へいへい。子供じゃないっての」
まともな風呂に入るのなんて何年ぶりだろうか。山籠り中は川を何十回と往復してドラム缶に水を貯め、リザードンに蒔に火をつけてもらって作ったドラム缶風呂だった。
それを毎日やるのは流石に厳しく3日に一回風呂に入れれば良いという状態で、お世辞にも清潔とは言えない体で山籠り中を過ごした。
蛇口を捻れば短時間でお湯が出る、現代では当たり前の事だが改めて凄いなと感心した。
サトシ「科学の力ってやっぱ凄いんだな・・・ あぁ、幸せだ」
そんな事を考えながら今の科学の力に感謝しつつ風呂を楽しんだ。体を洗った後、心なしか薄く黒ずんだ肌が白くなってるように見えた。
「タナカさん!この綺麗な瓶に入った水は何ですか!?」
「これはですね、ジョウト地方に生息するハーブポケモンのメガニウムの花から採取した大変貴重な香水なのです!」
テロップ「※メガニウムの花は抜けても1週間くらいでまた生えてきますが、法律により一匹につき2枚までしか採取できませんので大変貴重です」
「貴重という事はお高いんでしょう?」
「安心して下さい!我社独自のルートで仕入れていますので、本当なら22500円のところをなんと!17500円で提供しちゃいます!」
「それは凄いですね! それでタナカさん、肝心の匂いはどうなんでしょうか?」
「シトラス系の良い匂いは勿論、メガ二ウムの花から発せられる匂いには嗅いだものの心を静める効果があります。これを体にふれば好きなあの人と落ち着いた時間を過ごすことが出来るでしょう!」
「良い匂いだけではなく自分と相手の気持ちまで静める香水って言うのはまたまた凄いですね!」
「今ご購入されるとこの香水の他にもう一つ、クサイハナから採取し加工した我社オリジナルの香水もお付けします!」
「クサイハナといいますと悪臭であまり良いイメージが無いのですが・・・」
「ご安心くださいカトウさん!我社の研究所でクサイハナの花の人体に悪影響を及ぼす成分を取り除き、残った成分を他の香水とミックスすることで類を見ない匂いを開発することに成功したのです!」
「そこまでするともう別にクサイハナじゃなくても良い気がしますがこれはお得ですね!お値段は変わらないんですか!?」
「勿論です!それに加え送料は無料!買うなら今しかないです!」
カスミ「ふーん、香水ねぇ・・・ あたしも付けた方が良いのかな。それにしても高いわね・・・」
サトシ「何見てんだよカスミ」
カスミ「通販番組よ。今の時間これぐらいしかやってないから」
サトシ「香水ねぇ。欲しかったら俺が買ってやろうか?」
カスミ「べ、別に良いわよ!あんたに買ってもらうぐらいなら自分で買うわよ!」
サトシ「そんなこと言うなよ。明日から世話になるんだし授業料には程遠いけどプレゼントさせてくれよ」
カスミ「大体プレゼントって言うけどこれ凄く高いのよ」
サトシ「大丈夫だって、大会に優勝した時のお金がいっぱいあるからさ!えっと、電話電話・・・」ピポパ
カスミ「もう電話かけちゃったの!?」
サトシ「しーっ!」
「お電話ありがとうございます!ポケネットタナカです!」
サトシ「先程番組を見て・・・ はい、香水です・・・ えっ!?クサイハナの香水も付くんですか!? 住所は・・・ 着払いで・・・ カタログ?貰います! それではよろしくお願いします」ガチャ
サトシ「凄いな!明日にはぺリッパー便で届くんだってさ!」
カスミ「本当に買ったの?」
サトシ「ああ!届いたら俺にも匂い嗅がせてくれよな!」
カスミ「あ、ありがとう。それにしてもあの値段の物を躊躇なく買えるって凄いわね・・・」
サトシ「さっきも言ったけど、一応大会で稼いでたからな」
カスミ「・・・どのくらい稼いだのよ。言ってみなさいよ」
サトシ「ゴニョニョ・・・」
カスミ「え―っ!? あんたそんなに稼いでたの!?」
サトシ「しっ!皆起きるだろ」
カスミ「あ、ごめんなさい。でもあんた、そこまで稼いでたらもう仕事しなくてもいいんじゃ・・・」
サトシ「母さんにあげたりポケモン保護施設とかに寄付してたから俺の分はほとんど無いんだよ」
カスミ「まぁ、あんたらしいといえばあんたらしいわね」
サトシ「しかも俺が大会にで初めて3年くらいたった時に、賞金の大幅な引き下げが実施されたからもう稼げないんだよなぁ。もともと腕試しのつもりで出場してたから良いけどさ」
カスミ「あんた、さっきいっぱいお金持ってるって・・・」
サトシ「そんなこと言ったっけ?」
カスミ「・・・ありがと」
サトシ「ほら、カスミも風呂に入ってこいよ」
カスミ「そうね・・・あっ、 あたし着替え持ってきてないのよ・・・」
サトシ「そう思って母さんのTシャツと短ズボン用意したから大丈夫。タオルは掛けてあるのを適当に使えよ」
カスミ「ハナコさんのを勝手に使って良いの?」
サトシ「今度洗濯して返せば良いさ。今の服で寝るの嫌だろ?」
カスミ「そ、そうね。明日ちゃんとハナコさんに説明するわ」
サトシ「おう。俺ここで寝てるからお前は俺の部屋で寝て良いぜ」
カスミ「そんなの悪いわよ。あんたは自分の部屋で寝るべきよ。あたしはここでも寝れるから」
サトシ「だったら二人で俺の部屋で寝るか?今日は色々あって昔話が出来なかったから一緒にしようぜ」
口走ってしまった。純粋な気持ちで言ったのだがカスミはどう捉えるのだろうか。
カスミ「ば、馬鹿! もうあんたもあたしも子供じゃ無いんだから一緒に寝れるわけないでしょ! あたしがお風呂からあがってきてここで寝てたら叩き起こすから! それじゃ!」だだっ
サトシ「さすがにこの歳じゃダメかぁ・・・ 俺もそろそろ寝ようかな」
歳をとったという寂しい気持ちと、「もしあの時カスミが承諾したら・・・」という不安から解放された安堵した気持ちが俺の胸に同時にやってきた。
昔話はしばらくお預けになりそうだ。
カスミ「サトシったらいきなり「俺と寝ようぜ」なんて・・・ 意味わかって言ってんのかしら、まったく・・・」ぶつぶつ
カスミ「でも、昔話くらいなら別に良いかな・・・ 本当にそれがしたかっただけなのかもしれないし」
カスミ「よし! 後であいつに謝ってサトシと一緒に昔話に花を咲かせよう! 」
カスミ「そうと決まったら早く入っちゃおっと」ぬぎぬぎ
カスミ「ふぅ、スッキリした!やっぱり汗かいたらお風呂に入るに限るわね」
カスミ「サトシ、入るわよ」ガチャ
サトシ「すぅ・・・ すぅ・・・」
カスミ「・・・はぁ、そりゃ寝てるわよね。疲れてただろうし」
サトシ「すぅ・・・すぅ・・・」
カスミ「いくら体が大きくなって大人になっても寝顔は昔のままね・・・」
カスミ「このっ」つん!
カスミ「せっかくカスミお姉さんが部屋まで足を運んだってのに」つんつん!
カスミ「どうして寝てるのかな君は」ビシッ!
サトシ「うぅん・・・ すぅ・・・」
カスミ「・・・何やってんだろあたし」
カスミ「・・・せっかくだし、ここで寝ようかしら。たまには床で寝るのも悪くないわ」
カスミ「んっ、ちょっと床が硬いけどピカチュウみたいに丸くなって寝ればいけそうね。よいしょ」くるっ
カスミ「ふふっ、ポケモンになった気分だわ。 さ、寝ましょ」
カスミ「おやすみサトシ」
サトシ「すぅ・・・ すぅ・・・」
サトシ「ふわぁ~ よく寝たなぁ」
朝の日差しがカーテンの隙間から射し、それが窓際にあるガラスの花瓶に当たりキラキラと眩しく輝いている。山籠りの時に住んでいた洞窟では絶対に味わえない朝だ。
サトシ「おはようピカチュウ。・・・あれ? あ、下か」
寝ぼけ眼をこすり、階段から落ちないように注意して下にリビングに降りた。
カスミ「おはようサトシ。あんたにしては早起きね」
サトシ「山籠りしてた時はもっと早く起きてたよ。今日は遅いくらいさ」
カスミ「目覚ましも無かったくせに凄いわね」
サトシ「まぁな。それで何でお前が台所にいるんだよ」
カスミ「ハナコさんの代わりに朝ご飯を作るのよ。あんたも起きてきたしそろそろ作ろうかしら」
サトシ「代わり?そういえば母さんとピカチュウがいないな・・・ どこ行ったんだ?」
カスミ「外で洗濯物を干してるわよ。ていってもあんたのポケモンが今やってるけどね」
サトシ「俺のポケモン?あ!昨日モンスターボールに戻すの忘れてた!」
カスミ「ちゃんとモンスターボールに戻しなさいって言ったじゃない。ジュンサ―さんに見つかったら罰金ものよ」
サトシ「そうだな・・・ 昨日は酔っててうっかりしてたよ。って罰金って何だよ」
カスミ「あんた知らないの?夜中にはトレーナーが近くにいない状態のポケモンの放置は禁止されてるのよ」
サトシ「そうだったのか・・・ 俺が山籠りしてる間に色々変わったんだなぁ」
カスミ「あんたが山籠りする前からよ! 今日からはこういう法律の事も勉強するんだからね」
サトシ「そうだ!勉強だ!カスミ!何時から俺に勉強を教えてくれるんだ!?」
カスミ「今日この日から受験前日まで昼から夜までみっちりあたしが勉強を教えてあげるわ!」
サトシ「よしっ! 燃えてきたぜ!朝ご飯出来たら呼んでくれよ。俺外出てくるからさ」
カスミ「はいはい。あたし朝ご飯作ったら一旦教材取りに家に帰るから」
サトシ「ハナダシティに帰る時はリザードンに乗ってけよ。あいつ滅茶苦茶速いぜ!」
カスミ「気持ちは嬉しいけど、そうするとトゲキッスが嫉妬しちゃうから遠慮しとくわ」
サトシ「そりゃ残念だな。じゃあ朝ご飯よろしくな!」
カスミ「ハナコさんの邪魔したら駄目よ」
サトシ「わかってるって!あ、カスミ!」
カスミ「何よ」
サトシ「食べられる物を作ってくれよな!」
カスミ「何ですって!?」
サトシ「冗談だって!」バタン!
カスミ「ハナコさんがいなかったら何もできないと思ってるわねアイツ・・・ 見てなさい!」
サトシ「うぅ~ん いい天気だ!」
ハナコ「おはようサトシ。早起きなのね」
サトシ「うん。まあね」
ラプラス「お母様、水やりの効率を上げるためにハイドロポンプでやってもいいかしら?」
ハナコ「それは絶対に駄目よラプラスちゃん。そんなことしたら花が吹き飛んじゃうわ」
ラプラス「それもそうね。はぁ、みずてっぽうの力加減が難しいわ・・・」
フシギバナ「ハナコさん、今から洗濯物を干すが注意点は無いかの?」
ハナコ「そうね・・・ まず干す前に洗濯物をよく振って大まかなシワを取り除くの。そしてボタンのある服は一か所だけ留めて靴下は口ゴムを上にして干してね。
後、最後に色・柄物は裏返して干す。これくらいかしらね」
フシギバナ「ふむふむ」
ハナコ「でも、その体のあなたじゃちょっと難しいかもしれないわ。あ、ごめんなさい!決して馬鹿にしてる訳じゃないのよ」
フシギバナ「わかっておるよハナコさん。しかし心配は無用だ。草ポケモンの持つ「つる」は人間の手先と比べても遜色ない程正確に、そして精密な作業が出来るようになっておる。
洗濯物を干すなど造作の無い事よ」
ハナコ「凄いわねぇ。それじゃあ洗濯物はあなたに任せるわ!」
フシギバナ「うんうん。ワシに任せておけば良いんじゃ!がはははは!」
リザードン「おい、ハナコ」
ハナコ「何?リザードン」
リザードン「今思いついたんだが洗濯物を俺が持って空を飛べばすぐに乾くんじゃ無いか?」
ハナコ「良い考えだと思うけどたぶん洗濯物が落ちちゃうわ」
リザードン「そうかい。じゃあ俺はやること無いから寝るぜ」
ハナコ「ありがとねリザードン」
リザードン「けっ」
カメックス「ハナコさん、畑を耕すのはここで良いんですな?」
ハナコ「ええそうよ。クワでだいだい30センチの深さまで土を掘って、土の塊が出来ないように上手に砕くようにしてサラサラにするのよ」
カメックス「ワシに畑の事を説くのは釈迦に説法ですぞ! いやぁ収穫が楽しみですな!」
ハナコ「あら、畑を耕したことがあるの?」
カメックス「山籠りの時にちょっと。 これでも皆に耕起長と呼ばれたポケモンですわい」
ハナコ「それは頼もしいわね。耕起長、よろしくね」
カメックス「承知した!」
ん?この世界では人間とポケモンが普通に会話出来るってこと?
>>458
なんてったってサトシのママなので。
カビゴン「サトシママ、僕は味見長だったんだよ」
ハナコ「ふふっ、カビゴンちゃんにはピッタリね!」
カビゴン「野菜が出来たら僕にも食べさせてね」
ハナコ「ええ良いわよ。でも、お腹一杯食べるのは無理だと思うわよ?」
カビゴン「我慢するから大丈夫だよ」
ハナコ「偉いわねぇカビゴンちゃんは」なでなで
カビゴン「ありがとサトシママ」でれっ
サトシ(バリヤード以外のポケモンとも普通に話せるのか・・・ さすがママだぜ)
サトシ「あれ? ピカチュウとバリヤードは?」
ハナコ「二人なら散歩に行ったわよ。バリちゃん、とても嬉しそうだったわ」
サトシ「そっか。なんだかこっちも嬉しくなってくるよ」
ハナコ「私もよ。それにしても本当に皆良い子ね。素直で優しくて明るいわ」
サトシ「俺も本当にそう思うよ」
山籠りから普通の日常に戻ったポケモン達の反応が気になっていたが特に問題は無さそうだ。
カスミ「ハナコさん!朝ご飯出来ました!」
ハナコ「ありがとうカスミちゃん。サトシ、朝ご飯にしましょう」
サトシ「そうだな。えっと、昨日博士からもらったポケモンフードはどこだっけ?」
ハナコ「物置小屋に運んであるわ」
サトシ「ありがと。ポケモン達の御飯をやったら行くよ」
ハナコ「わかったわ。バリちゃんの分も頼むわ」
サトシ「うん」
ハナコ「鯖の塩焼き、ほうれん草のお浸し、お味噌汁、梅干し・・・ これぞ朝ごはんね! 凄いわカスミちゃん!」
カスミ「私がその気になればこんなもんですよ!」どやっ
ハナコ「正直、ちょっと心配してたけど成功してくれて嬉しいわ。あ、別に失敗しても良かったのよ。大事なのは一生懸命に作ることなんだから」
カスミ「ハナコさんに褒めてもらえるなんて私嬉しいです!」
ハナコ「まぁ、そんなこと言ってもらえるなんて私も嬉しいわ。サトシはポケモン達にご飯をあげに行ってるから戻ってきたら食べましょう」
カスミ「はい!」
ハナコ「この朝ご飯をカスミちゃんが作ったって聞いたらサトシも驚くわ」
カスミ「えへへ」
カスミ(お姉ちゃんありがとう・・・!)うるうる
回想
カスミ「私が朝ごはんを作ります・・・って言ったものの私、料理出来ないのよね・・・」
カスミ「冷蔵庫にある食材は何でも使って良いって言ってたけど、こんなにもたくさんあると逆に困るわね。そもそも料理のレシピなんて全然頭に無いし」
カスミ「目玉焼きくらいなら作れるかもしれないけどありきたりよねぇ・・・」
カスミ「・・・そうだ! お姉ちゃん達に聞こう!」
カスミ「よし。ハナコさんの許可も貰ったし電話かけちゃお」ピポパ
サクラ「はぁいもしもし。こちらハナダジムです」
カスミ「カスミだけど聞きたい事g」
サクラ「もぅ! あなたがいないせいで大変よ! 早起きしなくちゃならないし、毎日挑戦者は来るし、疲れるし、なにより働かなくちゃいけないし・・・ ねぇ?」
カスミ「ねぇ? じゃ無いわよ! それが当たり前なの! 仮にもジムリーダー資格持ってんだからしっかりしてよ!」
サクラ「はいはい。ちょっと愚痴をこぼしただけじゃない。カスミったらそんな大声出してバクオングみたい。ふふっ」
カスミ「今から殴りに行ってもいいかしら!?」
サクラ「きゃあ怖いわぁ。顔は女の命なんだから。それにいい大人の女性がそんな乱暴な言葉を使ったらダメよ」
カスミ「顔だけが取り柄の怠け者に言われたか無いわよ」
サクラ「いじわるぅ。それで、私に何か用があったんじゃないの?」
カスミ「あっ!そうだったわ! お姉ちゃん、料理だけは人並みに出来るでしょ? 何か良い朝ごはんのレシピ知ってるか聞きたかったのよ」
サクラ「一言余計なのよ。そういえばあなた、料理出来なかったのよねぇ。ふふっ」
カスミ「だからこうして恥を忍んで頼んでるのよ」
サクラ「カスミのお願いを聞いてあげたいけど私、とっても忙しいのよねぇ。ほら、あれとかそれとかやらなきゃいけないし」
カスミ(いつも私がほとんど一人でやってる事を三人でやってるくせに・・・)
カスミ「はいはい、あたしは何をすればいいのかしら!?」
サクラ「今日のお掃除当番を代わってもらおうかしら」
カスミ「わかったわ。やってやるわよ!」
サクラ「ありがとうね。それで食材は何があるの?」
カスミ「えっと・・・」カクカクシカジカ
サクラ「なるほどね。それじゃ初めに鯖の塩焼きをつくりましょうか」
カスミ「鯖の塩焼き・・・ ねぇ、普通にそのまま焼いたら良いんじゃないの?」
サクラ「別にそれでもある程度は食べれるけど、あなた、ハナコさんに褒められたいんでしょ?」
カスミ「う、うん!」
サクラ「だったらそんな調理の仕方じゃダメよ。それじゃ原始人と変わらないもの」
カスミ「原始人って・・・」
サクラ「ほら、今から私の言う通りにするのよ」
カスミ「わかったわ!」
サクラ「まず水洗いをして、鯖を切ってある状態ならそのまま、切ってなかったら包丁を斜めにいれて人数分に切るの」
カスミ「最初から切ってあるタイプだから、水洗いから入ればいいのよね」バシャバシャ
サクラ「運が良いわね」
カスミ「でしょ? ・・・はい、水洗いしたわよ」
サクラ「次は鯖の皮の部分に軽くで良いからバッテンの切り込みを入れて、塩を両面に振って頂戴」
カスミ「何で鯖にバッテンの切り込みを入れるの?」
サクラ「切り込みを入れることで中まで味が染み込むのよ。こういうちょっとした手間が「美味しい」に繋がるのよ」
カスミ「料理って奥が深いのねぇ。あ、あと塩はどれくらい振れば良いの?」
サクラ「うーん、5~6振り位で良いわ」
カスミ「わかったわ」ザクザク サッサッ
カスミ「終わったわ」
サクラ「出来たならお皿にでも置いて10分間放置よ」
カスミ「えっ!? 10分も放っとくの!? 何で!? 時間がもったいないじゃない!」
サクラ「時間を置くのは料理のテクニックなのよ。ポケモンバトルで例えると「まもる」での能力上昇や毒のダメージの時間稼ぎってところかしら?」
カスミ「なるほど、納得したわ。それで後もう何品か作りたいんだけど・・・」
サクラ「もちろんよ。待ってる間に次はほうれん草のおひたしとお味噌汁を作るわよ」
カスミ「うん! ・・・ちょっとお姉ちゃんを見直したかも」
サクラ「そうでしょ? 別に汗水垂らして働かなくてもこう言うところをちゃんと出来れば女性は何とかなるのよ」
カスミ「もっと真面目に働いてくれればより良いんだけどね」
サクラ「はいはい。次いくわよ」
カスミ「うん!」
サクラ「ちょっと時間過ぎちゃったけど二品できたわね」
カスミ「なんかどっと疲れたわ」
サクラ「もぅ、何言ってるのよ。さて、キッチンペーパーはある?」
カスミ「キッチンペーパー? トイレットペーパーじゃなくて?」
サクラ「・・・あなた、それはギャグで言ってるのかしら?」
カスミ「そ、そうよ。ギャグで言ったのよ。・・・ちなみにどんな形してたっけ?」
サクラ「・・・あなた絶対に知らないでしょ。ちょっと厚みがあってゴワゴワしたロール紙があると思うの。それがキッチンペーパーなんだけど台所に無かったらハナコさんに聞いてみたら?」
他の料理を作る過程を書いていると長くなってしまうので端折ります。
カスミ(何で台所にトイレットペーパーみたいなのがあると思ったらこれだったのね・・・)
カスミ「キッチンペーパーはあるわよ」
サクラ「そう、良かったわ。それは後で使うから横に置いておいてね」
カスミ「わかったわ。それで次は何をすればいいの?」
サクラ「キッチンペーパーの時に聞いておけばよかったけど、お酒あるかしら?」
カスミ「お酒?そんなもの何に使うのよ」
サクラ「魚の生臭さを取るために使うのよ。無いかしら?」
カスミ(昨日、オーキド博士が持ってきてくれたお酒の残りがあそこに・・・)
カスミ「あるわ。それも飛び切り良いお酒がね」
サクラ「それは良かったわ。それじゃあそのお酒を少し拝借してボウルに鯖が浸かるくらい入れるの。いっぱい入れなくて良いから」
カスミ「えっと、これくらいかな?」トクトク
サクラ「入れたら鯖をそのお酒でゆっくり洗うのよ。身崩れしないようにね」
カスミ「わかったわ。あ、質問ばっかりで悪いんだけどさっき何で10分も鯖を置いてたの?」ごしごし
サクラ「鯖を置いてたお皿を見た?水が溜まってたと思うんだけど」
カスミ「そういえば何か水たまりが出来てたわね」ゴシゴシ
サクラ「それが目的だったのよ。水気を取ることで身が引き締まるのよ。ボロボロに身じゃ嫌でしょ?」
カスミ「確かにそうね。あ、終わったわ」
サクラ「次はキッチンペーパーで軽く包んで水分を取るのよ」
カスミ「えっと、長さはこれくらいで軽く包んで・・・っと」くるくる
サクラ「できた?」
カスミ「うん。次は?」
サクラ「また塩を振ったらいよいよ焼くわよ」
カスミ「ふぅ、やっと終わりが見えてきたわね」
サクラ「フライパンに軽くで良いから油をひいて、皮目を上にして中火で焼くのよ」
カスミ「了解!」トクトク ビターン!
サクラ「もうやる事が少ないから一気に言うからよく聞いて頂戴」
カスミ「うん。ゆっくりお願いね」じゅー
サクラ「今焼いてる面に軽く焼き目がついたら裏返して、一分くらい経ったらお酒を少しかけて蓋をするの。あ、さっき鯖を洗ったお酒は使っちゃダメよ」
カスミ「うん」
サクラ「ちなみにここでのお酒は鯖の身をふっくらさせるためよ」
カスミ「ふむふむ・・・」メモメモ
サクラ「そして鯖の水分が抜けて皮目の切れ目部分がパカって開いたら出来上がりよ。余裕があるなら大根おろしでも添えたら良いわ。美味しいしね」
カスミ「なるほど・・・」メモメモ
サクラ「もう一度言う?」
カスミ「いいわ。もう大丈夫!」
サクラ「そう? ここまできたらあなたにはちゃんと作って貰わないと困るわ。わからない事があったら恥ずかしがらずに私に聞きなさい」
カスミ「大丈夫だってば。お姉ちゃんの言った事全部メモしたから。今日は妙に優しいわね」
サクラ「嬉しいのよ」
カスミ「え?」
サクラ「今まで女の子らしい事をしたがらなかったあなたが「料理を教えてくれ」って私に言ってきてくれたことがね」
カスミ「そ、そんなこと急に言われても・・・ って、お姉ちゃんも家事とか出来ないじゃない!」
サクラ「「出来ない」じゃ無くて「しない」のよ。私たち三人、家事は人並み以上に出来るわ。私たちが家事をした後、何か問題があった事あったかしら?」
カスミ「・・・ないわよ」
サクラ「そうでしょう? あなたはその逆だったわ。 だから私たち三人は心を鬼にしてあなたに家事が上手くなるように押し付けていたのよ。あぁ、今でも心が痛むわ」
カスミ「嘘くさいけど今日の事は感謝してるわ」
サクラ「・・・今日からは私たちも少しは家事をしましょうかね」
カスミ「え!? どういう風の吹き回しよ!?」
サクラ「あなたが一生懸命料理を作ってるところを想像したら何だか・・・ね」
カスミ「よし! 今日の晩御飯は私が作るわ!もちろん鯖の塩焼きよ!」
サクラ「フフッ、楽しみにしてるわ。ハナコさんとサトシ君によろしくね」
カスミ「うん。仕事頑張ってね」
サクラ「あなたもサトシ君の力になってあげるのよ」
カスミ「今日から猛勉強よ! 私がいないとあいつはダメなんだから!」
サクラ「優しく教えてあげるのよ。それじゃあね」
カスミ「うん。またね」ガジャン
サトシ「ふぅ、相変わらずよく食うよなぁ。見てるだけでこっちが腹いっぱいになるよ・・・」ガチャ
ハナコ「おかえり」
サトシ「ただいま。 ん? 何か良い匂いがするな・・・」
リビングへと繋がるドアの隙間からどこか懐かしく、そして良い匂いが漂ってきた。
ハナコ「カスミちゃんの朝ごはんの匂いよ。早く呼ばれましょう」
サトシ「う、うん(ホントかよ・・・)」
リビングに入るとテーブルには焼き魚やら野菜やらが並べてあってカスミが勝ち誇った顔で俺を見ていた。
カスミ「どう? これ皆わたしが作ったのよ!」フフン
サトシ「一応聞くけど買ってきた訳じゃ無いよな?」
カスミ「当たり前じゃない! 私が作ったのよ」
ハナコ「そうよサトシ。私、こっそり見てたけどカスミちゃん、一人で一生懸命作ってたわ。今のはすっごく失礼よ」
サトシ「ご、ごめんな、カスミ。お前が一人で料理を作るなんて夢にも思わなかったからさ。しっかし本当に旨そうだなぁ」
カスミ「なんか棘があるけど良いわ。そう、私は生まれ変わったのよ! 今日から家庭的な女になるの!」
ハナコ「うん! 本当に良い事だわ。料理から家事まで何でも私に聞いてね」
カスミ「はい!」
サトシ(どうしたんだ?急にあいつ・・・)
カスミ「冷めないうちに食べて! 絶対に美味しいから!」
ハナコ「そうね。頂くわ」
サトシ「お、おう!」
料理の見てくれは良いけどどうせ味が酷いんだろうな・・・という不安があった。それほど俺のカスミの料理に対する評価は低かった。
一度、旅の道中でタケシに代わってカスミが料理を作った事があったが、その日は舌が腐り落ちるんじゃないかってくらい酷い料理を出された記憶がある。
サトシ「・・・」ぱくっ
サトシ「上手い!普通に食べられる!凄いぞカスミ!」
カスミ「・・・ありがと。まだ昔の事根に持ってるのね」
サトシ「でも本当に凄いなぁ。俺、お前の事馬鹿にしてるけど料理なんてできないし」
カスミ「そうよ! アンタ、料理どころか家事も出来ないじゃない!」
サトシ「だから俺と一緒って思ってたんだけど、こうも美味しい料理を出されると嬉しいような寂しいような・・・」
カスミ「何馬鹿なこと言ってんのよ! アンタも一段落ついたら覚えればいいじゃない。昨日言ったでしょ?」
サトシ「そうだったな。今は一つの事に集中するべきだな!」ガツガツ
カスミ「そうよ。さっきも言ったけどあたし、朝ご飯食べ終わったら一旦帰るからね」
サトシ「おう。昼から頼むよ。おれもやらなきゃいけない事が結構あるからな。そっちのほうが都合がいいよ」ガツガツ
カスミ「何するの?」
サトシ「朝のランニングから始まってポケモン達とトレーニングするんだよ。山籠りはやめちゃったけどトレーニングはやめないからな」ガツガツ
カスミ「ふーん、アンタも良くやるわねぇ。そこだけは尊敬するわ」
サトシ「お前もやればいいのに。第一お前、ジムリーダーだろ?強さ以外の物も大事だけどやっぱり強いってのは良いと思うんだけどなぁ」ガツガツ
カスミ「まぁそうなんだけどね・・・ ジムリーダーって結構大変なのよ。仕事内容聞きたい?」
サトシ「い、いや、遠慮しとくよ。あ、ご馳走様」
カスミ「お粗末さま」
サトシ「本当に美味しかったよ。また作ってくれよな」
カスミ「任せないさい!」
サトシ「おう!じゃあまた後でな!」バタン!
ハナコ「少し休んでから行けばいいのに・・・ あ、カスミちゃん、食後にコーヒー飲む?」
カスミ「いえ、良いです。食器は私が洗いますから!」
ハナコ「それは私がやるわ。カスミちゃんは家に帰ってやる事があるんでしょ?」
カスミ「でも・・・」
ハナコ「今はサトシの事だけを考えてあげて。あの子にはカスミちゃんがどうしても必要なの」
カスミ「・・・わかりました!」
ハナコ「あなたには本当に感謝してるわ。これからもサトシの支えになってあげてね」
カスミ「もちろんです! あの馬鹿に付き合えるのは私くらいですから!」
ハナコ「フフッ、本当に良い子ねカスミちゃんは」
カスミ「そんなぁ~ 褒めても何も出ないですよ!」くねくね
ハナコ「嬉しがるカスミちゃんも可愛いわ」
ハナコ「ご馳走様。とっても美味しかったわ」
カスミ「ありがとうございます! また作らせて下さいね」
ハナコ「えぇ。楽しみにしてるわ」
カスミ「それじゃあ行ってきます!」
ハナコ「気を付けてね」
カスミ「はい!」ガチャ!
ハナコ「さて、私は後片付けでもしましょうかね」
サトシ「今日は良い天気だな!絶好のランニング日和だぜ!」
フシギバナ「全くだ。おかげで光合成が捗るわい」
カメックス「水タイプのワシらでも気持ちよく感じるわい。なぁラプラス」
ラプラス「そうね。しばらく甲羅干しでもしていようかしら」
リザードン「おい、まさか山籠りやめたからって俺たちのトレーニングをやめたりしないだろうな。まぁ、お前がしなくても勝手にするがな」
カビゴン「・・・」ぐーぐー
サトシ「当たり前だろ! 午前中だけだけどちゃんとトレーニングはするぜ! 俺のランニングが終わったらやるからな。しっかり準備しとけよ! 後、カビゴン起こしといてくれよ」ダダッ
ラプラス「行っちゃったわ・・・ どうやって起こそうかしら?」
リザードン「めざましビンタでもして起こしゃ良いだろ」
ラプラス「相変わらず乱暴ねぇ、あなたは」
リザードン「うるせぇ」
サトシ「ほっ、ほっ、ほっ」ダダダッ
俺は山籠りの最中は毎朝ランニングをしていた。トレーナーたるものポケモンと同様、体力は必要不可欠だと感じたからだ。そして、そうすることでポケモン達と一緒に強くなれる気がした。
今はオーキド研究所の周りを走っていて、山中のでこぼこした不安定な道に比べればここのキッチリ整備された道はとても楽に感じた。
サトシ「よし! あと30周はいけるぜ!」ダダダッ
オーキド「おっ! サトシ君じゃないか!」
サトシ「オーキド博士! おはようございます!」
オーキド「おはようサトシ君。 あ、止まらなくて良いんじゃぞ。ワシも少し付き合わせてくれ」タタタッ
サトシ「だ、大丈夫ですか?」タタタッ
オーキド「なぁに、ワシもこうみえて毎朝散歩をしてるからの。体力には自信があるわい!」タタタッ
サトシ「本当に元気ですね博士は」タタタッ
オーキド「自分でもつくづくそう思うわい。あいつにも見習ってほしいものじゃ」タタタッ
サトシ「あいつってシゲルの事ですか?」タタタッ
オーキド「そうじゃ。さっきもエーフィとゴロゴロしておったわい」タタタッ
サトシ「まぁまぁ博士、「人は人自分は自分」って言うじゃないですか」タタタッ
オーキド「それもそうじゃな。自分の物差しで孫を測ってはいかんな」タタタッ
サトシ「そうですね。俺はこれが日課だっただけで、あいつはあいつで俺がしてない事をやってる訳ですしね」タタタッ
オーキド「うむ! サトシ君は本当に立派じゃ!自分を奢らず、他人を立てる事が出来る!素晴らしい!」タタタッ
サトシ「そんな、照れますよ・・・」タタタッ
オーキド「これは紛れもない事実じゃ。 ・・・さて、朝から年寄りの話を聞かせて悪かったの。そろそろワシは家に帰るわい」タタタッ
サトシ「あ、もしかしたら後で俺のポケモンがお世話になるかもしれないんですけどいいですか?」タタタッ
オーキド「そういえば今日からジムリーダーの勉強を始めるんじゃったな。ポケモンの事ならワシに任せて勉強に集中するんじゃ」タタタッ
サトシ「ありがとうございます!」タタタッ
オーキド「うむ。後で連れてきなさい。リザードン達の強さに触発されてより一層特訓に力が入るじゃろうてな 」タタタッ
サトシ「特訓? 誰がですか?」タタタッ
オーキド「サトシ君が預けているポケモン達じゃよ。手持ちのポケモンに遅れをとりたくないと思っておるのじゃろうな。勿論、ワシは何も言ってないぞ。彼らの意思でやってる事じゃ」タタタッ
サトシ「そういえば進化してたし、リザードン達ともそこそこ良い試合をしてたな・・・」タタタッ
オーキド「そうじゃろ? 今の時間はランニングしてると思うぞ。ガブリアスやゴウカザルが皆を引っ張って楽しそうにやってるわい」タタタッ
サトシ「そっか・・・ あいつらがそんな事を。後で俺も参加しようかな」タタタッ
オーキド「うむ! 彼らも喜ぶわい! それじゃあワシはここらで」タタタッ
サトシ「さよなら! また後で行きます!」タタタッ
オーキド「楽しみにしちょるぞ!」タタタッ
オーキド博士は研究所へと続く長い坂道を軽々と駆け上がって行った。
サトシ(凄いな、意地悪で置いて行くくらいの速さで走ったんだけどなぁ・・・ 本当に普段から体を動かしているんだろうな)タタタッ
自分も歳をとってもああでありたいと思いつつ帰路に歩を進めて行った。
サトシ「そっか・・・ あいつらがそんな事を。後で俺も参加しようかな」タタタッ
オーキド「うむ! 彼らも喜ぶわい! それじゃあワシはここらで」タタタッ
サトシ「さよなら! また後で行きます!」タタタッ
オーキド「楽しみにしちょるぞ!」タタタッ
オーキド博士は研究所へと続く長い坂道を軽々と駆け上がって行った。
サトシ(凄いな、意地悪で置いて行くくらいの速さで走ったんだけどなぁ・・・ 本当に普段から体を動かしているんだろうな)タタタッ
自分も歳をとってもああでありたいと思いつつ帰路に歩を進めて行った。
サトシ「そっか・・・ あいつらがそんな事を。後で俺も参加しようかな」タタタッ
オーキド「うむ! 彼らも喜ぶわい! それじゃあワシはここらで」タタタッ
サトシ「さよなら! また後で行きます!」タタタッ
オーキド「楽しみにしちょるぞ!」タタタッ
オーキド博士は研究所へと続く長い坂道を軽々と駆け上がって行った。
サトシ(凄いな、意地悪で置いて行くくらいの速さで走ったんだけどなぁ・・・ 本当に普段から体を動かしているんだろうな)タタタッ
自分も歳をとってもああでありたいと思いつつ帰路に歩を進めて行った。
すいません連投してたみたいです。
サトシ「よし!帰宅!」ズサーッ
リザードン「待ってたぜ!」
ピカチュウ「お帰り」
サトシ「おっ、散歩から帰ったのか」
ピカチュウ「うん。バリヤードとマサラタウンを周ったけど相変わらずのどかで良いね」
サトシ「俺もランニングしててそう思ったよ」
リザードン「おい! さっさと特訓始めやがれ!」
サトシ「その前に皆にいう事があるんだ」
フシギバナ「何だ? ジムリーダー目指す事か?」
カメックス「多分それだな」
ラプラス「それね」
リザードン「絶対にそうだな」
カビゴン「ご飯・・・」
サトシ「えっ!? 何で皆知ってるんだよ!」
リザードン「お前昨日、山には今日中に帰るって言ってただろ。なのに今、ここにいるしな」
ラプラス「それにピカチュウに聞いちゃったしね」
サトシ「何だ言ったのか」
ピカチュウ「ごめんね。 僕だけっていうのも何だか皆に悪くって・・・」
リザードン「酒を飲ませたらすぐ吐きやがったぜ。両方の意味でな」
ピカチュウ「んもぅ、リザードン!それは言わないの!」
リザードン「おっと、悪い悪い」
サトシ「まぁ、言う手間が省けたと思えば良いか。 それで、今日からジムリーダーの勉強を始めるんだけど、その間ハッキリ言ってお前達と特訓するのちょっと厳しいと思うんだ」
ラプラス「そりゃそうね。猛勉強するんだものね。あなた、頭があまりよろしく無いから特に頑張らないとね」
サトシ「うるせぇ」
カビゴン「その間どうすればいいの?」
サトシ「ズバリ! オーキド博士の所で預かってもらって引き続き特訓をしてもらおうと思ってるんだ。って言ってもお前たちも疲れてると思うから自分のペースで頑張ってくれ!」
カメックス「前の様な紅白戦がまた出来るのか!楽しみだわい!」
リザードン「よし、さっさと行こう。前はガブリアスの野郎にダメージくらっちまったからな、早くまたボコボコにしてぇ・・・」ゴゴゴゴ
フシギバナ「こら、あまり興奮するんじゃない。辺りがお前の炎で揺らめいてるぞ」
サトシ「もう博士には話をつけてるから早速行こうか」
ハナコ「あら、皆どこに行くの?」
リザードン「ハナコ、世話になったな。今日からはオーキドのところで修行することになった」
ハナコ「あそこならサトシのポケモン達が大勢いるから暇しないわね」
ラプラス「バリヤードはいるかしら?一応、別れの挨拶をしたいの」
バリヤード「お呼びでしょうか?」ぬっ
ピカチュウ「うわっ!? いつ来たのさ!?」
バリヤード「ここから反対側の庭の掃除をしてたんですよ。それより皆さん、行ってしまわれるのですね・・・」
ピカチュウ「うん。僕も向こうでリザードン達と一緒に特訓しようかと思ってるんだ」
サトシ「えっ、そうなのか?」
ピカチュウ「お互い、しばらく離れた方がいいと思うんだ。君はジムリーダーの勉強。僕たちはジムリーダーになった君のポケモンに相応しくなるための特訓。ここらで特訓したら迷惑になるしね。
暇が出来た時にでも遊びに来てくれれば良いよ」
サトシ「そっか、寂しいけどお前がそう言うなら仕方が無いな」
ピカチュウ「僕も寂しいよ。でもお互いのためだからね」
カメックス「サトシ、更なる高みでまた会おう! バリヤード、お前さんともまた酒が飲みたいわい!」
フシギバナ「お前のうんちくは本当に面白かったからな。今度また聞かせてくれ!」
バリヤード「はい! 今度はもっと沢山のお酒を出せるようにしておきます!」
サトシ(まさか本当にバリヤードが酒を出していたのか・・・)
カビゴン「それじゃあね!ママさん! バリヤード!」
ハナコ「体には気を付けるのよ!」
バリヤード「行ってらっしゃいませ」ぺこり
リザードン「うし、行くか」バサッ
サトシ「おいおい、待てよ!モンスターボールに入ってから・・・」
ラプラス「あなたには手間を取らせないわ。自分で研究所に行くから」
フシギバナ「一応、紹介状みたいなのを軽く書いてくれ。ワシたちの言葉が解るのはお前さんとハナコさんぐらいだからな」
ハナコ「そうなの?皆普通にポケモン達と話せるんじゃないかしら?」
ピカチュウ「それは違うよママさん。僕たちと話せるっていうのはとても凄い事なんだよ」
ハナコ「あら、そうだったの。ポケモン達と話せないなんて不憫ねぇ・・・」
サトシ「俺もそう思うよ。えっと・・・」
バリヤード「紙とペンと封筒でございます。後、台座を持って参りました。」シュタッ
サトシ「本当にバリヤードには頭があがらないよ」
バリヤード「私には勿体無きお言葉でございます。今更お言葉ですが、お電話を入れてはどうでしょうか?」
サトシ「それもそうだな。でも、手紙も書いておくよ」
バリヤード「左様でございますか。電話も用意しておきます」ポン!
サトシ「へぇ~ パントマイムで電話も出せるのか」
バリヤード「はい。買い物等を申し付けられ御主人様の御側を離れる際に緊急の連絡をどちらからでも出来る様にでございます」
ハナコ「この子ったらメール打つの私より速いのよ。凄いでしょ?私、機械オンチだから携帯電話のいろんな機能の使い方を買った時に教えてもらったわ」
サトシ「それは凄いな・・ それはそうとエスパータイプなんだからテレパシーか何かで連絡したら良いんじゃないか?」
バリヤード「それだと私からの一方的な連絡しか出来ないですし、この前御主人様にテレパシーをした際に頭痛に見舞われて・・・ それからは一生ご主人様にはテレパシーを使うまいと決めました」
ハナコ「もう、大袈裟ね。ちょっと痛んだだけよ」
バリヤード「ちょっと痛むのが大問題なのです! もしご主人様の身に何かあれば私はいやしのねがいをする事も辞さない次第でございます!」
サトシ「あんまり気負うなよバリヤード。さて、「これからしばらくの間ポケモン達をよろしくお願いします(以下略)」っと」カキカキ
ピカチュウ「僕が渡しておくよ」
サトシ「頼むよ。それじゃあ俺は博士に電話しておくから行っても良いぜ」
カビゴン「リザードンは先に行っちゃったよ」
サトシ「あいつめ・・・ じゃあまた様子見に行くからな!お前ら元気でやれよ!」
ラプラス「あなたもね。慣れない事を今からするんだから体調を崩さないようにしなさいよ」
サトシ「わかってるって!」
こうしてピカチュウ達はオーキド研究所に俺の勉強が終わるまで居てもらう事になった。正直ピカチュウが自分から俺の側を離れようと行った時は驚いたが、俺を思っての事なので素直に受け入れる事が出来た。
心配事といえばリザードンが研究所や庭を燃やさないかどうかだ。
それから俺は博士に電話を入れ、あと1時間ほどでカスミが戻ってくるので筆記用具やお茶などを用意する事にした。
サトシ「母さん、勉強に使う筆記用具ある?」
ハナコ「そこの引き出しに一式入ってるわ」
サトシ「ホントだ。ありがと。後、茶菓子か何か無い?」
ハナコ「う~ん、お茶の方ならあるんだけど、お菓子の方は今切らしてるのよ。カスミちゃんに出すんでしょ?買ってこようかしら」
サトシ「いいよ! 俺が買いに行くから! 近くのケーキ屋ってまだやってる?」
ハナコ「えぇ。まだやってるわよ。なんてったってあそこしかケーキ屋さんは無いんだもの」
サトシ「それもどうかと思うけどまぁいいか。ちょっと行って来るよ」
ハナコ「ちょっと待って、お金を渡すわ」
サトシ「いいって、俺持ってるから! それじゃ!」ダダッ
ハナコ「あら、行っちゃったわ」
田舎田舎と言われるマサラタウンだが、大きくはなけれど商店や病院だってあり、普通に生活する分には困らない町だ。ポケモンセンターが無いのは痛いが。
サトシ「確かこの商店街の一角にあったはず・・・ あっ!あった!」
周りが干物や漬物を売ってる中、一際異彩を放つのがこのケーキ屋だ。俺が7歳くらいの時に出来て、母さんからこずかいをもらう度にシゲルとよく行ったものだ。むしろケーキ屋に出向くためにこずかいをせびっていた気もする。
ケーキ屋といってもケーキだけを売っているのではなく、ケーキ以外の焼き菓子も置いてあり、俺やシゲルはその中でもこずかい内で買えてなおかつ美味しいマドレーヌを好んで食べていた。
どういう製法で作っているのかは知らないが外はパリパリの皮で覆われていて中にはカスタードクリームがたっぷり入ったものだった。あまりにも美味しいのでマドレーヌを買った際に出た二人のお釣りを合わせてまた買うという今思うと和むような涙ぐましいような事をしていた。
サトシ「おばちゃん! 久しぶり!」
ケーキ屋「あら! サトシちゃんじゃない! テレビで見ないから心配してたのよ!」
サトシ「いろいろあってさ。 それよりも相変わらずだね、おばちゃんは」
ケーキ屋「そりゃそうよ! 元気が無ければ何事も始まらないからね!」
サトシ「うんうん。その通り」
ケーキ屋「ところでシゲルちゃんは元気なの?」
サトシ「今はどこかに研究所を構えて元気にやってるよ」
ケーキ屋「それは良かったわ。さすがオーキドさんの息子ね」
サトシ「それで、おばちゃん、まだアレあるかな?」
ケーキ屋「おばちゃん特製のマドレーヌね!」にやっ
サトシ「そうそう! まだあって良かったよ!」
ケーキ屋「今はケーキよりもこっちの方が売れているのよ。わざわざ遠方から買いに来てくれるお客さんもいて、行列の出来る日だってあるわ」
サトシ「へぇ~ 凄いなぁ。一人じゃ大変なんじゃない?」
ケーキ屋「それがカイリキーちゃんが手伝ってくれてるから大丈夫なのよ。いつもありがとねカイリキーちゃん!」
カイリキー「・・・おう!」ガチャ!バタン!
サトシ「一瞬で厨房に戻ったんだけど・・・」
ケーキ屋「あの子ああ見えてもシャイでね。厨房で黙々とケーキを作るのが好きなのよ。あの子はポケモン製菓衛生士でポケモン調理師免許も持ってるわよ」
サトシ「そんなのあるんだ・・・」
ケーキ屋「でも、こうやって店が続いてるのもサトシちゃんのおかげよ」
サトシ「え?」
ケーキ屋「サトシちゃんが各地の大会で活躍してくれたおかげで、この田舎町に注目が集まったのよ。いざ来てみると「のどかで良い所だ」って人気が出ちゃってね。観光に来た人たちが商店街で買い物してくれるから私たちは潤ってるって訳よ」
サトシ「なんだか照れるなぁ」
ケーキ屋「町で商売やってる人は皆、サトシちゃんに感謝してるわ。もちろん私もよ」
俺の今までやってきた行いにそんな経済効果があるとは思わなかった。そういえば飛行タイプのポケモンを連れた人が多いのを見ると、本当に観光客がマサラタウンに来ているのだろう。
町中は静かなのが良いが商店街が静かなのはダメなのでこの状態は良好と言える。
ケーキ屋「ごめんなさいね長話しちゃって。サトシちゃんの顔を見たら嬉しくなっちゃってね」にこっ
ケーキ屋のおばちゃんの柔和な笑顔は昔から変わらない。この歳特有というか、この歳が為せるというか、上手く言えないが見ていると落ち着く、そんな笑顔だった。
サトシ「良いよ別に! 俺がおばちゃん達の役に立ってて嬉しいよ」
ケーキ屋「嬉しい事言ってくれるねぇ。あ、そうそう。マドレーヌだったわね!丁度焼き上がるところだから!」
サトシ「そういえばあの懐かしい匂いがしてるな・・・」
ケーキ屋「カイリキーちゃん、出来立てマドレーヌ20個持ってきて!」
カイリキー「・・・おう!」ガチャ!バタン!
サトシ「おばちゃん!20個も買うお金持ってきてないよ!」
ケーキ屋「何言ってんのよ!広告塔のサトシちゃんからお金は取らないわよ!」
サトシ「いや、でも・・・」
カイリキー「・・・どうぞ!」ガチャ!バタン!
ケーキ屋「そのマドレーヌを見てちょうだい」
カイリキーに半ば無理やり渡されたマドレーヌの入った袋から一つ取り出してみるとリザードンを模したマドレーヌが出てきた。その他にも俺の手持ちのポケモンがマドレーヌになっていた。
しかし、このマドレーヌがあのカイリキーの手によって作られたと思うと色々複雑な気分だ。絶対に美味しいのだろうけど。
サトシ「へぇ~ よく出来てるなぁ」
ケーキ屋「ごめんなさいね。勝手にサトシちゃんのポケモン使っちゃって。ちなみにこれは私が作ったのよ。あの子はぶきっちょだからねぇ」
サトシ「良いよ別に! ピカチュウやリザードンなんて俺のポケモンじゃ無くても居るしね」
ケーキ屋「あれもかしら?」
おばちゃんが指差した方を見ると大きな広告旗やポスターがあった。
サトシ「なになに・・・「あのマサラタウンのサトシが愛して止まなかったマドレーヌッ!!!強くなりたければ喰らえッ!!!」・・・か、 なんか迫真さを感じるなぁ」
旗には文字、ポスターには俺が大会で優勝した時に新聞社辺りが撮った写真とマドレーヌを上手く合成し、あたかも俺がマドレーヌを満面の笑みで食べているかのような写真が印刷されていた。それにしてもよくこんなに綺麗に合成出来たもんだ。
ケーキ屋「サトシちゃんの人気にちょっと便乗してみたらこれが好評でねぇ。ちなみにカイリキーちゃんがあの写真を作ってくれたのよ」
カイリキー「・・・おう!」ガチャ!バタン!
サトシ「あいつ、器用なのか不器用なのかわかんないな」
ケーキ屋「一応、ハナコさんには許可を取ってるんだけどサトシちゃんが嫌ならもう止めるわ」
サトシ「そんな事全然思って無いって!これからもドンドン作ってよ!」
ケーキ屋「本当にありがとうね。もう一袋持って帰る?」
サトシ「ありがと。もう良いよ」
ケーキ屋「そう?サトシちゃん、しばらくはここにいるんでしょ?」
サトシ「うん。そうだけど」
ケーキ屋「また来なさいね。サービスするから!」
サトシ「甘いものが食べたくなったら来るよ。それじゃ!」ダッ
ケーキ屋「ハナコさんによろしくね~」
ケーキ屋を後にした俺は袋の形が変わる程の大量のマドレーヌを持ち、商店街を懐かしみながら歩いていた。
行きはマドレーヌの事で頭がいっぱいだったが、帰路は様々な所に注目する事が出来た。
サトシ「ここ店の漬物、俺には辛かったんだよなぁ。必死にお茶で流して食べてたっけ。あ、あそこの洋服店まだやってら。いつまで閉店セールやってるんだろ・・・」
店を見る度に昔の幼少期の記憶が蘇る。どんなに些細な出来事でも嬉しく思え、その記憶をもっと引き出そうと、追憶の起爆剤を掻き集めるように周りを見渡していた。
サトシ「ここでシゲルや近所の友達と鬼ごっこして怒られたっけ。あの等身大ピクシ―を使った駆け引きが熱かったなぁ。こっちh」
「あ、あのー」
不意の呼びかけに驚き後ろを振り返ると、知り合いでは無い俺より少し年上の女性が立っていた。
女性「も、もしかして、マサラタウンのサトシ君ですか?」
彼女は少しオドオドした様子で俺に尋ねた。
サトシ「そうですけど」
女性「やっぱり!そうだったんですね!あの「大会がある所にこの男あり」の!」
俺が目的の人物であると知ると彼女はその場で飛び跳ねて「キャー!」と叫んだ。
サトシ「お、俺の事覚えてくれてたんですか!?」
女性「当たり前よ!君の大ファンなの!君のバトルはどれも迫力があって見てて気持ちが良いもの。特に一度は敗北に喫したあの「伝説使いのタクト」を再戦で圧勝したバトルは本当に良かったわ!今だから言うけど彼の事あまり好きじゃ無かったのよ。
そりゃ強いポケモンを使ったからって絶対に勝てる訳じゃ無いけど、あのパーティはちょっと酷かったもの」
彼女は言いたい事を言い終わったのか少し落ち着きを取り戻し俺の返事を待った。
サトシ「タクトさんの事は悪く言わないで下さい。あの人の実力は本物です。あの勝負に負けたからこそ俺は強くなれたんだ」
女性「ご、ごめんなさい!つい興奮しちゃって・・・」
悪気は無かったのだろう、彼女は萎縮してしまった。
サトシ「すいません。偉そうに言って。それよりも俺の事を覚えてくれてて本当に嬉しいです!」
空気を変えようと彼女に元気が出そうな言葉をかけた。
女性「うんうん!他の皆が忘れても私は忘れないわよ!」
サトシ(急に元気になったなぁ・・・ カスミみたいな人だな)
サトシ「あなたってポケモントレーナーなんですか?」
女性「もちろんよ!あ!私のパートナーを見せてあげる!出ておいで、ポリちゃん!」ポン!
ポリゴンZ「ビー!?ビビィ!(コノオトコセントウリョクガケイソクデキナイ!?ドッチノノウリョクヲアゲレバイインダ!)」
サトシ「セントウリョク?」
女性「ん? ごめんね、この子初めて生でサトシ君を見たから興奮してるのよ」
サトシ「そ、そうみたいですね」
女性「そうだ!私とバトルしてちょうだい!最高の思い出になるわ!」ワクワク
サトシ「よしっ!売られたバトルは買うぜ!」
女性「決まりね!じゃあ向こうの広場に行きましょう!」
サトシ「あ」
女性「どうしたの?」
サトシ「・・・ポケモン、研究所に預けてたんだった」
女性「全員!?」
サトシ「はい・・・」
女性「だったらその研究所まで送ってあげるから!お願い!どうしてもあなたとバトルがしたいのよぉ」くねくね
サトシ「送ってくれるなら是非!時間が無いから早く行きましょう!」
女性「この辺で研究所ってオーキド研究所の事?」
サトシ「そうです!」
女性「あの人と知り合いなんて凄いのね。出てきて、リザードン!」ポン
リザードン「ガッ!?グオゥ!(うわぁ!?あのサトシだ!)」
サトシ「あなたもリザードンを育ててるんですね!こっちのリザードンは賢そうだなぁ」なでなで
リザードン「グゥン!グオ!(サトシに撫でられた!後で仲間に自慢しよう!)」
女性「君のリザードンのバトルを見てからヒトカゲから育てたの。優しくて強いのよ!あなたのリザードンときっと良い勝負するわ」なでなで
リザードン「グゥン・・・(両手に華だね・・・)」
サトシ(何か違うような・・・)
女性「さぁ!乗って乗って!行くわよ!」
サトシ「はい!」ドス
リザードン「ガァァン!(サトシを背中に乗せれる何てもう死んでも良いや!)」くねくね
サトシ(途中で落ちないか心配だな・・・)
オーキド研究所
オーキド「おや?サトシ君、どうしたんじゃ?ピカチュウ達の件ならちゃんと君から電話もらったぞ?」
サトシ「実は・・・」
女性「オーキド博士!ポケモン学界の権威のあなたに会えて光栄です!」ひょこ
オーキド「おやおや、可愛いお客さんじゃな。知り合いかの?」
女性「さっき初めて知り合ったんです!私、サトシ君の大ファンで今からポケモンバトルをして貰うんです!」
オーキド「バトルか・・・ だったらワシの庭の特設バトルコートを使うと良い。審判はワシがしよう」
サトシ&女性「ありがとうございます!」
オーキド「少し準備があるから、その間にポケモンを連れてきなさい」
サトシ「わかりました!」ダッ
女性「私も行くわ!」ダッ
オーキド(サトシ君達の戦い・・・楽しみじゃわい!)ワクワク
庭
庭には早くも大勢のポケモン達が俺達の周りに集まっていた。
女性「こんなにポケモンが沢山・・・ 凄いわ!」
サトシ「みんな俺の仲間さ!」
ピカチュウ「どうしたのさサトシ。まだ僕達と別れてから1時間も経ってないよ?」
ラプラス「それにその子誰?」
サトシ「さっき商店街で会ったポケモントレーナーだよ。俺達とポケモンバトルをしたいって言ってくれたんだ」
ガブリアス「バトルか・・・ だったら俺がやろう」
ジュカイン「いや、お前じゃ荷が重い。俺が行く」
バクフーン「僕がサトシに良い所を見せるんだ!」
オーダイル「残念だがここは俺の出番さ!」
メガ二ウム「貴方達みたいなむさ苦しいポケモンじゃ駄目よ!サトシは私を選ぶわ!」
「俺が戦う!」
「いや俺だ!」
「腹減った!」
「俺を選べ!」
へラクロス「まーwwwwwwまーwwwwww皆さん落ち着いてwwwwww ここは間を取って僕が戦ってあげるよwwwwww」
「黙れ!!!」
ギャー!ギャー!ワ―!ワ―!
女性「サトシ君大丈夫?ポケモン達喧嘩してるけど・・・」
サトシ「誰があなたと戦うかで揉めてるみたいです。ちょっと待ってて下さい」
ギャー!ギャー!ワ―!ワ―!
サトシ「皆静かにしてくれ!」
ピタッ
女性(流石サトシ君。あんなに騒いでたポケモン達を一言で静めるなんて・・・ すごく信用されてるんだわ)
サトシ「今から戦う相手をこの人に選んでもらう。これで後腐れは無しにしようぜ!」
ガブリアス「お前が言うなら仕方ない」
ジュカイン「相手の手持ち次第か・・・」
ヘラクロス「はいwwwwww 僕オールラウンダ―wwwwwwwwwwww」
ゴウカザル「ぶっ飛ばすぞ!」
ヘラクロス「すみませんっしたぁ!!!」
サトシ「すみません。成り行きでこうなっちゃいましたけど良いですか?」
女性「好都合よ!じゃあ、選ぶわね!」
女性「う~ん」じーっ
ガブリアス(来な、相手してやる)ジャキン
ジュカイン(選べ)ギロッ
ヘラクロス(んんwwwwwwwwwwwwwwww)てけてけ
ムクホーク(俺を見ろっ!)バサッ
女性(皆元気がいいわねぇ・・・ 特にあのヘラクロス。尋常じゃ無い動きをしてる・・・ バカっぽいけど彼、凄く強いわね)
女性「あ、サトシ君。何回戦なの?」
サトシ「1回戦でお願いします」
女性「わかったわ」じーっ
ラプラス「私たちは下がってましょう」
フシギバナ「今まで散々戦ってきたからな」
カメックス「ワシたちが選ばれたら申し訳ないからな!」
ピカチュウ「そうだね。僕も戦いたいけど我慢するよ」
カビゴン「オボンの実でも食べながら観戦しようよ。ほら」
ピカチュウ「ありがと。カビゴン」かりかり
女性「決めたわ!」
サトシ「誰ですか!?」
女性「あそこの日陰で寝てるリザードンと戦うわ!」ビシッ
リザードン「んあ?」ぼけーっ
ガブリアス「煩いのがいないと思ったら寝てやがったのか・・・」
ジュカイン「仕方無いか・・・ 修行に戻ろう。ガブリアス、ゴウカザル」
ゴウカザル「観戦も修行だぜ?見て行こうや」
ガブリアス「その通りだ」
キングラー「ギギギ・・・ 残念・・・」
メガ二ウム「後であの女にしびれごなを・・・!」
ケンタロス×30「やめとけ」びしっ
ヘラクロス「んほぉwwwwwwwwwwww これは蜜をやけ飲みじゃwwwwwwwwww」てけてけ
リザードン「何でお前がいるんだよ。それにその女は誰だ」
サトシ「実はな・・・ゴニョゴニョ」
リザードン「なに、俺と戦いたいだと?あの女、見る目あるじゃねえか」
サトシ「寝起きで本当に悪いな。嫌なら他の奴に代わってもらうからさ」
リザードン「サトシ、寝言は寝て言うもんだぜ。俺がバトルを挑まれて逃げる訳がねぇ。よし、ちょっと準備するから待っとけ」すたすた
女性「あのリザードン不機嫌そうだったけど大丈夫?」
サトシ「凄く喜んでました。準備するから待っててくれって」
女性「準備?」
リザードン「(寝惚け眼のままじゃ相手に失礼ってもんだ) おい!亀爺!」
カメックス「何じゃ」
リザードン「いつものやつ頼むぜ」
カメックス「任せろ!」ガシャン
女性「ち、ちょっと!あのカメックス、リザードンに攻撃するつもりなんじゃないの!?」
サトシ「なーに大丈夫ですよ。いつもの事ですから」
カメックス「せいっ!」ズオッ
女性「あーっ!!!ハイドロポンプが直撃したじゃない!大丈夫なの!?あのリザードン!?」
リザードン「ふーっ、目が覚めたぜ」さっぱり
カメックス「いつもながら威力を弱めてるとはいえ、あそこまで元気だと自信無くすわい」
ラプラス「あいつは変体だから気にしなくて良いのよ」
フシギバナ「うむ」
女性「うそ・・・ 水技、しかもハイドロポンプを受けてピンピンしてるなんて・・・」
サトシ「あいつ、気合を入れる時はいつもああするんですよ。アレをしたらいつもの3倍の力が出せるらしいです」
女性「そ、そうなの・・・」
ムクホーク「おい・・・ 今の見たかよ」
フローゼル「俺なら今のハイドロポンプでお陀仏だよ・・・」
バクフーン「やっぱりあの人は凄いや!」
ガブリアス「馬鹿だとは思ってたがあそこまでとは・・・」
ゴウカザル「でも、兄貴の強さは本物だ」
ジュカイン「やはり今の俺たちではどう足掻いてもあいつを倒せないな」
ゴウカザル「今度の紅白戦まで修行あるのみだな。なんか燃えてきたぜ!」
ガブリアス「ああ。一矢報いってやろう」
リザードン「寝起きは腹が減るな。カビゴン、きのみもらうぞ」
カビゴン「1個だけだよ」
リザードン「ケチくさい事言うんじゃねぇ」ガシッ
カビゴン「あぁ~!7個も食べた!」
ピカチュウ「あ、後で一緒に取りに行こっか」
カビゴン「うん・・・ありがと」うるうる
リザードン「うめぇ」ぼりぼり
フシギバナ(横暴だな)
カメックス(暴君だな)
ラプラス(悪魔ね)
リザードン「待たせたな」バサッバサッ
サトシ「よし。 待たせてすいません。準備が出来たみたいです」
女性「早速バトルコートに行きましょう!」
サトシ「わかりました!」
「俺たちも行こうぜ」ぞろぞろ
「いやぁ、どっちが勝つか楽しみだなー」ぞろぞろ
「先行って一番前の席座らなきゃ!」ぞろぞろ
女性「・・・ポケモン達も来るの?」
サトシ「こいつらはバトルするのも見るのも好きなんですよ」
女性「そんなものかなぁ」
バトルコート
野外に作られたバトルコートは公式のと比べても遜色ないほどしっかりしていて、よく整備もされていた。ここで普段ガブリアス達がポケモンバトルしているのだろう。
博士が審判用のユニフォームを着ているところを見ると、用意とはアレの事だったんだな。
オーキド「おっ、来よったな!」
サトシ「審判お願いします」ぺこり
女性「お願いします!」ぺこり
オーキド「うむ。さっそく始めようかの!」
サトシ「はい! リザードン!」
リザードン「待ってたぜ。さぁ、相手は誰だ」
女性「色々迷ったけど私は・・・ この子よ!」ぽん!
リザードン「ガァアア!?ガウ!(うわぁ!?あのサトシのリザードンだ!)」
サトシ「・・・なるほど、だから俺のリザードンを選んだんですね!」
女性「ええ! ポリちゃんも捨てがたかったけど、私の夢は君にお互いリザードンで戦って勝つ事よ!」
リザードン「不利なタイプほど燃えるが、同じタイプ、種族のポケモンでも燃えるぜ。お前もそう思うだろ?」メラメラ
リザードン「同感です。まさかリザードン最強のあなたと戦える日が来るとは思いませんでした」メラメラ
リザードン「今からおだてて混乱させようってか。まぁ、勝つのは俺だがな」メラメラ
リザードン「胸を借りるつもりで行きます!」メラメラ
女性「お互い気合十分ね・・・ 負けないわよリザードン!」
リザードン「グオッ!(勝つ!)」
リザードン「面白れぇ。来な!」
オーキド「これよりサトシ君と・・・えっと、君の名前を教えて貰っても良いかな?」
女性「す、すみません!自己紹介がまだでした!私はセンと言います!ごめんねサトシ君!私ったら興奮してて名乗るの忘れてたわ!」
サトシ(そう言えば名前聞いてなかったな・・・センさんか!)
サトシ「センさん! バトルを思いっきり楽しみましょう!」
セン「ええ!勝っても負けてもね!」
オーキド「ゴホン、気を取り直して、これよりサトシ対センの一本先取の試合を始める! 両者ポケモンを定位置に!」
サトシ「リザードン、皆を巻きこまない程度にするんだぞ」ぼそぼそ
リザードン「わかってる」
セン「彼には大会に出てなかった数年分のブランクがあるはずよ。毎日修行してきた私達ならきっと勝てるわ!」
リザードン「ガ、ガウ・・・(う、うん・・・)」
セン(緊張しちゃってる・・・)
オニゴーリ「オニゴーリの特製「ラムの実ソース絶対零度かき氷」はいかがかねぇ。木の実2つで売ってるぞ― 死ぬ程冷てぇそー」
フローゼル「お前にこんな特技があったのかよ!」
バクフーン「お、美味しい!もう一個!」
カビゴン「僕、もう10個!」」
ゴウカザル「さぁさぁ!張った張った!兄貴が勝つか挑戦者のリザードンが勝つか木の実5個から賭けてみねぇかい!」
ムクホーク「手堅くサトシのリザードンに20個だ」
カメックス「手堅くなんぞつまらんわい!ワシは大穴で挑戦者に40個じゃい!」
ケンタロス×30「俺たちは300個賭けるぜ」
ゴウカザル「かしこまりー!」
ガブリアス「思い出した、アイツも馬鹿だった・・・」
ジュカイン「目を合わすな。手伝わせられるぞ」
ゴウカザル「凄ぇ繁盛だ!一人じゃ捌き切れん! おい! 二人とも手伝ってくれ!」
ガブリアス「お前が言うからだ・・・」
ジュカイン「・・・」
ワイワイガヤガヤ
ピカチュウ「あちこちで商売が成り立ってる・・・」
サトシ「ま、周りがうるさいですけど気にしないでください」
セン「そ、そうね」
オーキド「せれでは試合開始!」
オーキド博士が試合開始の合図をすると同時に両者のリザードンの尻尾の炎が更に激しく燃え出した。
セン「速攻よ!連続でエアスラッシュ!」
リザードン「喰らえッ!」シュバババ
サトシ「突っ込め!」
リザードン「おう!」シュッ
リザードンは無数の空気の刃を避けつつ相手に近づいていく。
セン「(なんて回避力なの・・・!)かぜおこしで距離を取って!」
リザードン「わかっt」バサ・・・
リザードン「遅せぇんだよ」ニヤッ
リザードン「まずい・・・! もう懐に・・・」
サトシ「かみなりパンチだ!」
オーキド「せれでは試合開始!」
オーキド博士が試合開始の合図をすると同時に両者のリザードンの尻尾の炎が更に激しく燃え出した。
セン「速攻よ!連続でエアスラッシュ!」
リザードン「喰らえッ!」シュバババ
サトシ「突っ込め!」
リザードン「おう!」シュッ
リザードンは無数の空気の刃を避けつつ相手に近づいていく。
セン「(なんて回避力なの・・・!)かぜおこしで距離を取って!」
リザードン「わかっt」バサ・・・
リザードン「遅せぇんだよ」ニヤッ
リザードン「まずい・・・! もう懐に・・・」
サトシ「かみなりパンチだ!」
セン「翼を畳むのよ!」
リザードン「・・・ハッ!?」
リザードン「・・・ちっ」スカっ
リザードンの渾身の雷パンチが相手の頭上をかすめた。
セン「あ、危なかった・・・ 当たってたら一撃でダウンだわ・・・」
リザードン「はぁはぁ・・・ なんて速さだ・・・」
羽で空を飛ぶ飛行ポケモンは前後左右の動きには強いが縦の動きには弱い。あの場面で一番早く取れる行動「重力に身を任せて落ちる」を咄嗟に思いつくのは凄い。
今の攻防で俺はこの人は優秀なトレーナーだと直感した。
どっちのリザードンかわかりづれえwwww
リザードン「あいつら中々やるじゃねえか」
サトシ「ああ。油断するなよ」
リザードン「ふん。今度はこっちから仕掛けるぞ」
サトシ「よし! リザードン、スピードスターだ!」
リザードン「避けてみなっ!」シューン!
セン「(スピードスターの数も普通じゃ無い・・・!)飛び回って避けるのよ!」
リザードン「うん!」シュッ!
スピードスターは威力こそ低いものの高い追尾力を備えた技だ。追撃、コンボなどにも使え汎用性はかなり高いだろう。
サトシ「更にエアスラッシュで追いこめ!」
リザードン「おう!」シュバババ
リザードン(今の僕の速さじゃ避けるのに精いっぱいだ・・・ とても攻撃なんて出来ない!)
セン「(避けながら攻撃出来れば・・・そうだ!)リザードン、おいかぜよ!」
>>553
口調で理解して下さい・・・
リザードン「そうか!」バサバサ!
相手のリザードンが激しく羽をはばたかせると後方から強い風が吹いた。相手側は追い風、俺側は向かい風だ。
セン「リザードン、任せたわよ!」チラッ
リザードン「よしっ!」こくっ
サトシ「(速いな・・・ もうそろそろスピードスターも無くなる・・・)リザードン、待機だ」チラッ!
リザードン「・・・おう!」
セン(地上に降りた・・・!? しかも目を瞑って・・・)
リザードン「よくわからないけど今がチャンスだ!」
相手はスピードスターを高速で複雑な軌道を描いて避けていた。さすがにあの追い風に乗ったリザードンの動きを目で追うのは無理だ。
リザードン「そうか!」バサバサ!
相手のリザードンが激しく羽をはばたかせると後方から強い風が吹いた。相手側は追い風、俺側は向かい風だ。
セン「リザードン、任せたわよ!」チラッ
リザードン「よしっ!」こくっ
サトシ「(速いな・・・ もうそろそろスピードスターも無くなる・・・)リザードン、待機だ」チラッ!
リザードン「・・・おう!」
セン(地上に降りた・・・!? しかも目を瞑って・・・)
リザードン「よくわからないけど今がチャンスだ!」
相手はスピードスターを高速で複雑な軌道を描いて避けていた。さすがにあの追い風に乗ったリザードンの動きを目で追うのは無理だ。
セン「(背後に回った!)今よ! げきりん!!」
リザードン「うおぉおおおおおおお!!!」
あの大人しかったリザードンが狂ったように鳴き声を上げ、殺気が混じった鋭い眼光をリザードンに向けながら突進する。・・・しかし、それは読めていた。待機中静かに燻っていた炎がこれからの展開を物語るように再び激しく燃え始めた。
リザードン「とったぁあああああああ!!!これでおわりだぁあああああああ!!!」」
セン「(背後からあのげきりんを喰らわせれば私たちの勝ちよ!)当たって!」
サトシ「みきり」
リザードン「・・・」スッ
リザードン「え・・・」
背後からの攻撃を最小限の動きで避けた。そして、俺たちは勢い余って横を通過するリザードンを見逃さなかった。
サトシ「きあいパンチだ!」
リザードン「うおらっ!」どごーん!!
背後から振り下ろされるきあいパンチは相手を地に伏かせると同時に意識を奪った。
リザードン「うぅ・・・」ぴくぴく
オーキド「リザードン戦闘不能!サトシの勝利!」
ゴウカザル「流石兄貴ぃいいいい!かっけええええ!」
ジュカイン「うむ・・・やはり強いな」
ガブリアス「サトシの作戦も見事だ」
セン「負けちゃった・・・ お疲れ様。リザードン」シュイーン
サトシ「やったなリザードン!」
リザードン「おうよ」
セン(地上に降りたのはみきりで周囲の動きを読みつつきあいパンチの態勢を整えるためだったのね・・・ でも、わかってても簡単に出来る事じゃないわ。サトシ君の作戦、リザードンの能力、どっちも見事だわ)
俺は別に問題ないけど、リザードン(サ)とかリザードン(セ)とかにしたら良いんじゃないかな
>>561
それもそうですね・・・ ありがとうございます。
リザードン「しかしアレだな、あいつらのバトルは中々のもんだった。久々に緊張感のあるバトルが出来たぜ」
いつも戦いの後は少し欲求不満そうな顔をするリザードンだが今回は違った。ピカチュウみたいに飛び跳ねて喜ぶタイプでは無いがその顔は確かに緩く綻んでいた
セン「悔しい・・・ 何百回もこの時のためにビデオを見て研究したのに・・・」
オーキド「セン君のバトルは素晴らしかったぞ! 思わず自分が審判だと言う事を忘れて見てたわい」
サトシ「そうですよ。滅多に他のトレーナーを褒めないのに俺のリザードンが「あいつらのバトルは中々のもんだった」って言ってました」
セン「本当に!?キャーッ!嬉しい!ありがとうリザードン!」スリスリ
リザードン「な、何なんだコイツは!?やめろ!顔を擦り付けるな!」
セン「あ、サトシ君急いでたんだっけ!ごめんね時間取らせちゃって!」
サトシ「気にしないでください!最高に燃えるバトル、ありがとうございました!」
セン「うん!こっちこそね!次マサラタウンに戻ってくる時はもっと強くなってるわ」
オーキド「気を付けての」
セン「はい!ありがとうございました!」
「お前のバトル最高だったぜ!」
「また来いよな!」
「今度は俺が相手だからな!」
サトシ「またバトルしようぜ、って言ってるみたいです」
戦「ええ!また戦いまs」ポン!
突然腰に着けてあったセンさんのモンスターボールが次々と開いた。
ポリゴンZ「ピピー!ピー!(ズルイ!ズルイ!リザードンダケズルイ!)」
ゲンガー「ゲゲッ!(そうだぜ、俺達もサトシと戦わせな!)」
ミロカロス「ミミィ(あのラプラスさんと一戦交えたいですわ)」
レントラー「ガウッ(わがままは承知の上・・・しかし、サトシと戦えるなんて千載一遇のチャンス。逃すわけにはいかん)」
ヤドキング「ヤー(我の計算ではこの後サトシと戦う確立100% 負ける確率も100%なんだなぁ)」
ゲンガー「ゲゲッ!(うるせぇ!)」
セン「ちょっと皆ダメよ!サトシ君は忙しいんだから! ごめんねサトシ君。私の影響でこの子達も君のファンなのよ」
サトシ「よし!こうなったらお互い気の済むまでバトルしましょう!」
セン「本当に良いの!?」
サトシ「ええ! せっかくセンさんのポケモン達が俺とバトルしたいって言ってくれてるんだ、受け無い訳にはいきません!」
オーキド「なら引き続きワシが審判を務めよう!」
サトシ&セン「ありがとうございます!」
ヘラクロス「んんwwwwwwwwwwww 次こそは僕がやるぞwwwwwwwwww」
ジュカイン「面白い展開になってきたな」
ガブリアス「さっきのリザードンは手練だったからな。他の奴もきっと強いはずだ」
ゴウカザル「サトシ!俺も戦いたいぞぉ!!」
ピカチュウ「僕も戦いたい・・・」ぷるぷる
フシギバナ「耐えるんじゃピカチュウ、彼らに戦わせてやろうじゃないか」
カメックス「観戦もまた一興だしの」
ラプラス「高みの見物も悪くないわよ」
ピカチュウ「そうだね。ヘラクロス達あんなに張り切ってるしね」
リザードン「・・・がーがー」
カビゴン「・・・ごーごー」
バクフーン「あの人が寝ててくれれば僕たちも戦えそうだね」
オーダイル「だな」
ムクホーク「あいつは全員と戦うなんて言い出しねんからな」
サトシ「よし!戦うメンバーをくじ引きで決めるぞ!」
「おおーっ!」
セン「ああっ! サトシ君と心行くまでバトル出来るなんて夢みたい!ありがとう神様!」
ポリゴンZ「ピピッ!(カンゼンドウイ!)」
ゲンガー「ゲゲー!(サトシの野郎をボコボコニして大金星を上げてやろうぜ!)」
ヤドキング「ヤ―(それは現実的では無いんだなぁ。我らは一矢報いて散るのが関の山)
ミロカロス「ミー(だとしても良いわ。ラプラスさんの攻撃を受けれるだけで良いの・・・ あぁん!感じてしまうわ!)
レントラ―「ガウ(手持ち以外の者も相当な手練と見た・・・! 誰が来ても楽しめそうだな)」
それから俺達は庭中のポケモンを巻き込んでポケモンバトルをしたり、追いかけっこをして楽しんだ。バトルの戦績は・・・まぁ、俺の圧勝だったがどっちも満足そうだったので良かった。
そしてセンさんは俺たちに深々と頭を下げ、回復したリザードンに乗ってマサラタウンを後にした。去り際に「お願い!サインちょうだい!」と言われたのでそれっぽく色紙に書いて渡すと彼女はとても喜んだ。
一介のポケモントレーナーの俺を今まで覚えてくれていて本当に嬉しかった。別に有名人になりたいとかそういった欲は無かったが、各地の大会を連覇していた時はどこに行っても声を掛けられる程有名だった。
それが今では俺の事を覚えていてくれた人はセンさんや商店街の人達くらいだ。少し寂しい気もするが、センさんの様な俺を目標にしてくれる人がいる事を知って初めて追う側から追われる人間になったと感じた。
ジムリーダーになればそれがより顕著になるだろう。その時俺は追いかけてくる人にどう接したら良いのだろう・・・ 追い越されないように速く走るか?ゆっくり走って差を縮めてやるか?それとも一緒に並走するか?いや、それを考えるのはまだ先だな・・・
カスミ「アンタって馬鹿なの!?初回の勉強に遅刻って!!サイホーンより脳みそ小さいの!?」
・・・当然の結果。センさんとのバトルの後、気付くと昼過ぎの時間になっていた。我に帰って急いで家に帰ったが時すでに遅し・・・
カスミの怒りの雷を受ける事になってしまった。
サトシ「・・・ごめん。これ買ってきたから機嫌直してくれよ」
マドレーヌの入った袋をカスミに差し出すと乱暴にそれを俺の手から取り上げた。
カスミ「まぁ、言い訳ぐらい聞いてあげるわ。言いなさいよ」もぐもぐ
サトシ「実は・・・」カクカクシカジカ
カスミ「ふーん、で、あんたのファンっていうセンさんからバトルを申し込まれて気が付いたら昼過ぎになってたって事ね」
サトシ「あぁ」
カスミ「まぁ・・・それを断れとは言わないけど、今度からは連絡ぐらい入れてよね」
サトシ「うん。本当に悪かった!」
カスミ「どうだが・・・ それで、バトルはどうだったの?」
サトシ「もちろん俺の全勝だったぜ!でも、センさんも凄く強くて、特にあのレントラ―は凄かったぜ!」
カスミ「そんなにセンさんって強かったんだ。私とどっちが強いかしら?」
サトシ「そりゃあセンs ぺカッ!?」ビシッ
カスミ「さて!勉強よ!」
サトシ「へいへい・・・」
カスミ「良い?これの内容を今日からあんたの頭に詰め込むわよ」
俺の机には十冊以上の教科書が積まれていた。結構昔から使っていたのだろう、本の角は丸みを帯び、表紙のイラストなどは色あせていた。しかし、その中には真新しい教科書もあった。
サトシ「これ、全部お前のなのか?」
カスミ「そうよ。見てくれは悪いけどお姉ちゃん達からもらった由緒正しい教科書よ」
サトシ「それにしてはなんか綺麗な奴も混ざってるぞ」
カスミ「ちょっと前に教科書を読み返したんだけど、今と違ってた部分があってね。補足するために買ってきたのよ」
サトシ「そうだったのか、ありがとなカスミ。で、いくらだったんだ?」がさごそ
カスミ「お金は別に良いわよ。昨日の香水もあるしね。あんたがしっかり勉強しさえてくれればそれで良いわ」
サトシ「本当にありがとな」
カスミ「そう思ってくれるならさっさとノートとペンを用意しなさい。時間が惜しいわ」
サトシ「イエッサ―!」ササッ
カスミは俺があらかじめ置いていた座布団にちょこんと正座で座っていた。
カスミ「じゃあこれから始めるけど何か質問は?」
サトシ「あるぜ」
カスミ「どうぞ」
サトシ「この教科書の内容を全部覚えなきゃダメなのか?」
カスミ「まさか。私が要点だけピックアップしたげるからそこを覚えれば大丈夫よ。安心した?」
サトシ「おう!これを全部丸覚えするのは無理だと思ってたからな」
カスミ「私だって無理よ。抑えるべき所をしっかり抑えてれば良いのよ。勉強なんてそんなものなんだから。それ以上追及すると雑学になるわ」
サトシ「なるほど」
カスミ「質問は終わりね。じゃあ最初はポケモン史から始めるわよ」
サトシ「ポケモン史?」
カスミ「人間に歴史があるようにポケモンにだって歴史があるのよ。ある日突然今いるポケモン達が現れた訳じゃ無いんだから」
サトシ「そりゃそうだ」
カスミ「でしょ?それじゃあ教科書の第1章からいくわよ」
そう言ってカスミは1つしかないポケモン史の教科書を俺の方に向けて渡してくれた
サトシ「俺の向かい側からじゃ見にくいだろ?隣に来いよ」
カスミ「ここで良いわ。気遣いどうも」
サトシ「そうかい」
カスミ「第1章はシンオウ神話ね」
サトシ「あ!何か昔に聞いたことがあるぞ!」
カスミ「たぶんシンオウ地方を旅してる時にでも聞いたんでしょうね」
サトシ「そうそう!ヒカリ達とギンガ団と対決した時n」
カスミ「今は昔話は無し!後で聞いたげるから」
サトシ「そうだった今は勉強だな」
カスミ「さて、ポケモン史はシンオウ神話無くして語れない程大事だから気合入れなさい」
サトシ「おう!」
それから俺は6時間もの間カスミ先生の元、ペンを片手に教科書やノートとにらめっこを続ける事になる。
カスミ「宇宙の誕生前・・・アルセウスが・・・自らの分身としてディアルガ、パルキアを・・・」
サトシ「ふむふむ・・・」メモメモ
カスミ「ディアルガは時間を、パルキアは空間を・・・この時、同時にギラティナと呼ばれる、反物質を司る存在も ・・・」ぺらぺら
サトシ「ふむふむ・・・?」メモメモ
カスミ「アルセウスはさらに・・・時間と空間を繋ぐユクシー、エムリット、アグノムを・・・彼らに「心」を生み出させ・・・」ぺらぺら
サトシ「ふむふむ・・・??」メモメモ
カスミ「その後、世界を創造し終えたアルセウスは眠りに・・・この「世界の始まり」にまつわる神話には様々な解釈が・・・「人間に心が芽生え、世界や時空を初めて認識したことが世界の始まりを意味する」と考える哲学者も・・・」ぺらぺら
サトシ「???」
カスミ「・・・はぁ。わかってるわ。今のはとりあえず教科書の内容を読んだだけよ。今から重要な単語を教えるから覚えるのよ」
サトシ「お、おう」
カスミ先生との勉強が終わり、気がつくと外は薄暗くなっていた。
カスミ「・・・ふぅ。ポケモン史が3割、法律が2割、ポケモン生物学が4割。結構進んだわね」
サトシ「こんなに字を書いたのは生まれて初めてだな」
ノートにはカスミが教えてくれた重要な単語が俺の手によって汚く書き殴られていた。これはきっと俺にしか読めないだろう。
カスミ「良い?私はもう帰るけど、予習を忘れたらダメよ。今覚えた事を寝る前にまた覚え直すの。そしたら明日には今日勉強した内容が6~7割ほど頭に残るわ」
サトシ「ええ!?この後更に勉強しなきゃダメなのか!?」
カスミ「当たり前よ!あんたの場合は時間が致命的に無いんだから。それに予習は勉強の常套手段よ。あんただってポケモンに新しい技を覚えさせるとき何回も同じことを繰り返すでしょ?」
サトシ「まぁ・・・そうだな」
カスミ「明日、今日の内容をちゃんと覚えたかテストするからね。80点以下だったら不合格よ」
サトシ「不合格だったら・・・?」
カスミ「別にどうもしないわよ。私が怒るだけ」
そういったカスミの目には修羅が宿っていた。
サトシ「ハハ、そりゃ頑張らなきゃな。カスミ、今日はありがとな」
カスミ「ええ、どういたしまして。あんた、結構物覚えが良いから教え甲斐があるわ。試験のテストは暗記オンリーだから愚直に何度も繰り返し単語を書けば絶対に覚えられるからガンバんなさいよ」
サトシ「ああ!明日のテストは満点だぜ!」
カスミ「フフ、期待してるわ」
もう書き込みが出来るようになったみたいですね。またボチボチ投下していきます。
ハナコ「勉強は終わったかしら?」ひょこ
カスミ「ええ。今終わったところです」
ハナコ「丁度良かったわ。サトシ宛てに小包が届いてるわよ。ポケネットタナカだって」
サトシ「おっ、着たな!お金は後で下に置いておくから」
ハナコ「ええ、わかったわ。それでカスミちゃんは今日食べてく?」
カスミ「家で姉達が待ってるので今日は帰えらなくちゃ。お誘いありがとうございます!」
ハナコ「あら、残念ね。それにしても今日は本当にありがとうね。それじゃあ私は降りるわ」
カスミ「帰る時また声をかけますね」
ハナコ「ええ」にこっ
母さんは俺に届いた小包を手渡し、静かにリビングへと降りていった。小包には興味が無かったのか、それとも気遣いなのかわからないが中身を聞いてくる事は無かった。
サトシ「やっぱぺリッパー便は速いなぁ!さて、開けるか!」
カスミ「ええ、何だがドキドキするわ」
俺は綺麗に包装されている小包の紙を初めは慎重に破いていたが、思いのほかセロハンテープ等で頑丈に包装されていて、俺の性格とカスミに早くプレゼントしたいという気持ちが合わさって、結局力ずくで紙を引き裂いて小包を開けた。
サトシ「・・・良しっ!」
カスミ「バカ!もっと上品に開けなさいよ!」
サトシ「悪い悪い!それにしてもテレビで見るよりも立派な瓶だな」
カスミ「そうね、逆のパターンは結構あるんだけどね」
メガ二ウムを模ったガラス瓶に爽やかなイメージのある水色の香水。この二つが合わさって高級感が醸し出されている印象だった。
ガラス瓶だけでも1万円くらいの価値があるんじゃないかと思うほどの完成度で、そこら辺のペットボトルにでも入れて売ればもっと安く売れる・・・と、無粋な俺は思ったりもした。
カスミ「綺麗ね・・・ 本当に貰ってもいいの?」
サトシ「当たり前だろ!ほら、せっかく届いたんだし一回香水を振ってみろよ!」
カスミ「え、ええ。やってるみるわ(付け方わかんないけど、首元に・・・)」シュッ
カスミが香水を振った瞬間、俺の部屋には相応しく無いとても良い匂いが広がった。
サトシ「すっげぇ!本当に良い匂いだな! 何か心が落ち着くぜ」くんくん
カスミ「こら!顔を近づけないの! ありがと、これとっても気に入ったわ!」
サトシ「おう!バンバン振っていこうぜ!」
カスミ「バカ、こういうものは大事な日に付けるものよ」
サトシ「ふーん、そんなもんなのか・・・」
このSSまとめへのコメント
おもしろかった
おもしろいです
いい話だった
面白いです。はやく続き読みたいです。
面白いです!続きを早く読みたいです!
面白かった。
まだ続きあります?
長いけどおもしろかった
感動した。でもサトシのフカマル(このssのガブリアス)てだれかに預けてなかったけ。
ながかったがいいはなしだったポケモン小説
は沢山見たけどこれはいままででも1か2位位です本当に良い小説でしたありがとうございます