武内P「便秘、ですか」 (1000)

未央「そうなんだよねー」

凛「もうすぐ一週間だよ」

武内P「それは……困りましたね」

未央「うんうん、どうしたら良いと思う?」

凛「このままじゃ、仕事に支障が出るかも」

武内P「? 島村さん、俯いて……どうかされましたか?」


卯月「なんで私の便秘で平然と話し合ってるんですかー!?///」

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未央「しまむー、私達、友達じゃん!」

凛「卯月が困ってるなら、力になってあげたいんだよ」

武内P「はい。私も、同じ気持ちです」

卯月「気持ちだけ受け取っておきますから!」

未央「水臭いことは言いっこなし、だよ!」

凛「私達、三人でニュージェネレーションズなんだから」

武内P「……お二人とも、良い、笑顔です」

卯月「私が笑顔じゃないんですけど!?」

未央「でもさ、何が原因だと思う?」

凛「食生活、は問題なさそうだよね」

武内P「はい。島村さんのお母様も、気を遣っておられる様です」

卯月「そ、そうなんですか?」

未央「それじゃあ他に原因……」

凛「……仕事でストレスが溜まってるとか」

武内P「ストレス……ですか」

卯月「今、まさにストレスがたまっていってます!」

未央「確かに、最近のしまむー忙しそうだもんねぇ」

凛「でも、私達も同じようなスケジュールだよね」

武内P「はい。皆さん、とても活躍されています」

卯月「は、はい……頑張ってます♪」

未央「……その頑張り、トイレでも活かせないかな?」

凛「そっか……卯月なら、便秘なんかに負けない頑張りが!」

武内P「なるほど。それは、単純ですが名案だと思います」

卯月『島村卯月』、うんばります♪ とでも言うと思いますか!?

誤)卯月『島村卯月』、うんばります♪ とでも言うと思いますか!?

正)卯月「島村卯月、ふんばります♪ とでも言うと思いますか!?」

未央「しまむー、私達も応援するからさ!」

凛「大丈夫、ちゃんと見てるから」

武内P「私も、陰ながら応援させて頂きます」

卯月「全然集中出来ませんよ!」

未央「そうだ! しまむーの個室を、私としぶりんで挟むっていうのは!?」

凛「卯月がセンター? ふーん、悪くないかな」

武内P「それは、今後のLIVEにも活かせそうですね」

卯月「今後、素直にセンターで歌えなくなっちゃいますよ!」

未央「あっ、皆にも協力してもらおうよ!」

凛「皆って……シンデレラプロジェクトの皆に?」

武内P「大々的に、大を出すという事でしょうか?」

卯月「やめてください!」

未央「クローネの皆にもだよ!」

凛「ふふっ……未央はすごいね、私じゃ考えつかなかった」

武内P「それは……専務に許可を取る必要がありますね」

卯月「本当にやめてください!」

未央「やろうよ! 皆で、しまむーを応援しよう!」

凛「クローネのメンバーには、私が話しておくよ」

武内P「専務の許可は……はい、私が必ず」

卯月「協力的すぎませんか!? しかも、嫌な方向で!」

未央「ふっふっふ! 私達の……346プロの力をあわせる時がきた!」

凛「ふふっ、悪くないかな」

武内P「早速、専務に連絡をしてみました」

卯月「こういう所で仕事が出来る所を見せないでくださいよ!」

未央「さっすがプロデューサー!」

凛「それで、何だって?」

武内P「……『キミは何を言っている』と」

卯月「良かった! 信じて良かったです!」

未央「え……? 嘘……?」

凛「待って。このLINE、続きがある」

武内P「『トイレは私が用意する。快適さは保証しよう』とありますね」

卯月「なんでそんなに物分りが良いんですかー!?」

未央「やったねしまむー! 皆がついてるよ!」

凛「卯月、一緒に頑張ろう」

武内P「……皆さん」

卯月「あっ……」

未央「? しまむー、どうしたの?」

凛「大丈夫? なんだか、顔色が悪いけど」

武内P「どこか……体調が悪いのでしょうか」

卯月「お、お腹が……あいたたた」

未央・凛・武内P「!?」

未央「や、やばい! やばいやばいやばいよ!」

凛「しっかりして卯月! 我慢出来る!?」

武内P「島村さん、頑張ってください!」

卯月「あれ!? 良い事なのに!?」

未央「歌も踊りも合わせてないし……衣装だって!」

凛「これは……ぶっつけ本番でやるしかないね」

武内P「落ち着いて! まず、今動けるメンバーに連絡を取ります!」

卯月「連絡って……ひいい!? グループLINEに通知がきてるうう!?」

  ・  ・  ・

みく「――Pチャン! 間に合った!?」

李衣菜「様子はどうです!?」

武内P「お二人とも、レッスンは!?」

みく「卯月チャンがピンチなんでしょ?」

李衣菜「仲間のピンチに駆けつけないのは――」

みく・李衣菜「ロックじゃない! にゃー!」

武内P「……前川さん、多田さん……良い、笑顔です」

みく・李衣菜「えへへ!」ニコッ

  ・  ・  ・

きらり「にゃっほーい☆」

莉嘉「仕事終わらせて、チョーダッシュで駆けつけたよ☆」

みりあ「ねぇねぇ、もう出た?」

武内P「いえ……それが、まだ」

きらり「それじゃあ、いーっぱい応援して、いーっぱい出してハピハピするにぃ☆」

莉嘉「個室の扉にシール貼ってデコっちゃお!」

みりあ「えへへ、すっごく、すーっごくいっぱい出るといいね!」

武内P「……諸星さん、城ヶ崎さん、赤城さん……良い、笑顔です」

きらり・莉嘉・みりあ「イエーイ☆」

  ・  ・  ・

智絵里「……間に……合いましたか?」

かな子「マシュマロ美味しいー♪」

杏「もー、出るなら出るってあらかじめ言ってよねー」

武内P「それが……突然の事でしたので」

智絵里「卯月ちゃん……大丈夫かな」

かな子「私達も、急いで応援しに行こう!」

杏「杏は面倒だから、ここから応援するよ―」

智絵里・かな子「なんでやねん!」

武内P「……緒方さん、三村さん、双葉さん……良い、笑顔です」

智絵里・かな子・杏「はいっ!(はーい)」

  ・  ・  ・

美波「――私達で最後ですか!?」

アーニャ「プロデューサー、卯月、大丈夫ですか?」

蘭子「闇に飲まれよ! 我が友よ、宴はどうなっているのかしら?」

武内P「はい、もう時間がありません。急いでください」

美波「アーニャちゃん、蘭子ちゃん……私達も頑張ろう!」

アーニャ「ダー! もちろん、です!」

蘭子「咲き誇る笑顔の乙女の開放……しかと見届けようではないか!」

武内P「……新田さん、アナスタシアさん、神崎さん……良い、笑顔です」

美波・アーニャ・蘭子「!」コクリ

  ・  ・  ・

未央「しまむー、聞こえる!? 皆の声が!」

凛「皆、卯月のために集まったんだよ!」


<がんばれー! 卯月ちゃん、がんばれー!


卯月「いやあああ! 本当に聞こえるううう!」

未央「へへっ! 私、アイドルやってて良かった!」

凛「……奇遇だね、私も同じ事考えてた」

未央「って事はきっと……」

凛「うん。卯月も……」

卯月「ううっ! 言い返したいけど、もう、もう……!」ゴロゴロ

  ・  ・  ・

武内P「――皆さん、突然の事にも関わらず、お集まり頂きありがとうございます」

アイドル達「……」

今西部長「何か、一言あっても良いんじゃないかい?」

武内P「……島村さんは今も頑張っています。皆さんも笑顔で頑張ってください」

アイドル達「……」

今西部長「それだけかね?」

武内P「……」

アイドル達「あはははっ!」

アイドル達「――はいっ!」

お~願い! シ~ンデレラ♪

専務「――どうやら、始まったようだな」

武内P「専務……?」

夢はゆ~めで終~われない♪

専務「これが……パワーオブスマイルか」

武内P「……はい」

動き始~めてる~♪

専務「我が346プロのイメージにそぐわないな」

武内P「はい、私もそう思います」

輝く日のために~♪

   ・  ・  ・

未央「――あれから一週間かぁ」

凛「早いね。もうそんなに経ったんだ」

卯月「その話はやめましょう、ねっ!?」

武内P「皆さん……良い、笑顔でした」

未央「しまむーなんか、最後ボロボロ泣いてたもんね!」

凛「私も釣られて泣いちゃったよ」

卯月「本当にやめましょう! もう、本当に!」

未央「でも、すごかったよね!」

凛「うん、私までしてる気になっちゃった」

未央「わかる! わかるよしぶりん!」

凛「そのせいか……ほら、お腹が張っちゃって」

未央「あー、そうだよね。えへへ、実は私も」

卯月「……」

未央「ん?」

凛「グループLINEに通知が……」

卯月「……」

武内P「本田さん、渋谷さん」

未央・凛「ん?」

卯月「二人共……最後にお通じが来たのって、いつですか?」

未央・凛「……一週間前」

武内P「便秘、ですか」

未央・凛「!?」

卯月「はいっ♪ 島村卯月、頑張ります♪」

未央・凛「待って!」

卯月「体に良くないですし、待てませんよ♪」


卯月「私も、便意も」



おわり

HTML化依頼は出さず、このスレで飽きるまで書こうと思います

書きます


武内P「『みんなのきもち』に注意してください」

武内P「あの曲は、一般の方が聞く分には問題ありません」

武内P「しかし、アイドルの皆さんが聞き続けるのは大変危険です」

武内P「数々のLIVEやレッスンをこなしてきたアイドルの皆さん」

武内P「その感受性は、一般の方と比較になりません」

武内P「なので、『みんなのきもち』を聞き続けてはいけない」

武内P「……そう、皆さんには通達があった筈です」

アイドル達「ごめんなせー」

武内P「謝って済む問題ではなくなっています」

武内P「皆さんがここに呼ばれた理由は、わかりますね」

アイドル達「?」

武内P「はい、今の皆さんでは、今までのイメージを壊してしまうからです」

アイドル達「おー」

武内P「おわかりいただけて何よりです」

アイドル達「はーい!」

武内P「とても元気ですね。それに、良い笑顔です」

武内P「皆さん、今後はこういった事の無いようにしてください」

アイドル達「はいでごぜーます!」

武内P「素直な、良い返事です」

アイドル達「えへへ!」

武内P「……もう、このままでも良い気がしてきました」

アイドル達「?」

武内P「そういうわけにもいきませんね。悲しいですが」

夏樹「おっと! ちょっと待ってくれ!」

武内P「木村さん?」

夏樹「アタシは平気だよ、プロデューサーさん」

武内P「……確かに、他の方に比べて平気そうですね」

夏樹「だろ? アタシには、熱いロックの血が流れてるからね!」

武内P「そう、でしょうか?」

夏樹「アタシの演奏を聞きな!――わん、つー、さん、し!」

武内P「はい、もう結構です」

李衣菜「ロック!」

夏樹「どうした、だりー?」

李衣菜「さすロック! ローックック!」

夏樹「おっ、だりーにはわかるか?」

李衣菜「ロック!」

武内P「私には微塵もわかりません」

みく「にゃー! にゃんにゃがにゃん!」

武内P「前川さん、貴女もです」

菜々「キャハッ! お困りのようですね!」

武内P「安部さん」

菜々「ナナは元々うさぴょん星人なので大丈夫ですよ!」

武内P「いえ、少しやられていますよ」

菜々「ピョンピョンピョピョン!?」

武内P「すみません、かなりやられていますね」

みく「にゃー! にゃにゃにゃんにゃ、にゃにゃー!」

武内P「はい、良い子だから落ち着いてください前川さん」

奏「ふふっ、貴方も大変ね」

武内P「速水さん」

奏「私は平気だから、ご褒美を貰っても良いと思わない?」

武内P「いえ、そもそも聞いてはいけない、という話でしたので」

奏「ちゅー、ほら、ちゅー」チュパチュパ

武内P「今の姿を動画に取って、後日貴女に見せたい位です」

奏「ちゅーうー! ちゅー! はやくー! ちゅーっ!」チュパチュパ

武内P「……立ち直れ無さそうなので、やめておきましょう」

文香「……」

武内P「鷺沢さん、本を読む時はもっと顔を離してください」

文香「……」ジッ

武内P「? どうかしましたか?」

文香「……ご本……読んでくだせ―」

武内P「すみません。それは、出来ません」

文香「……」シュン

武内P「その……少女漫画を音読は、はい」

莉嘉「Pくんドーン☆」

どんっ

武内P「っ、城ヶ崎さん、飛びつくのはやめてください」

美嘉「アタシもドーン★」

どんっ!

武内P「っぐ、姉妹でタックルをしないでください」

茜「ボンバー!」

ズドムッ!

武内P「おうっぐ!? 日野さんはシャレになりませんから!」

蘭子「わたしのともだち!」

武内P「神崎さん?」

蘭子「くらいところはこわい! のまれたくない!」

武内P「え、あ、はい」

蘭子「……うぅ、わたしのともだちー」

武内P「大丈夫です、明日には元に戻っていると思いますから」

蘭子「ほんと!?」

武内P「はい、恐らくは、ですが」

瑞樹「キミも大変ね」

武内P「そう思うのでしたら、川島さんは聞かないで頂きたかったです」

瑞樹「わかるわ」

武内P「言うタイミングがおかしいです」

早苗「そんな事言うと、逮捕しちゃうわよ!」

武内P「官憲横暴にも程があります」

早苗「?」

武内P「ええと……はい、悪いことをしてない人は、捕まえてはいけませんよ」

楓「うふふ、皆可愛らしくなっちゃいましたね」

武内P「高垣さん」

楓「……虎穴に入らずんば虎子を得ず」

武内P「高垣さん?」

楓「危険な曲を聞かずして、可愛いトラさんは得られねーですよ」

武内P「最高にひどい事になっていますよ、高垣さん!?」

楓「トラさんは取らさん……ふふ、うふふっ!」

武内P「はい、向こうで川島さんと片桐さんと遊んでいましょうね」

美波「でも、どうしてここに皆集められたんですか?」

武内P「このプロジェクトルームの広さが丁度……と、新田さんは平気のようですね」

美波「はい。一回しか聞きませんでしたから」

武内P「本当に良かったです」

美波「おかげで、例のセーターを下に着てますけどね♪」

武内P「それは平気と……いえ、考えるのはやめておきます」

卯月「頑張ります頑張ります頑張ります頑張ります」

武内P「島村さーん!」

卯月「頑張ります、頑張りますから、頑張って、頑張って、頑張って……?」

武内P「笑顔! 笑顔を忘れずにいきましょう!」

卯月「はい、笑顔を頑張ります! 笑顔笑顔笑顔!」

武内P「今後、島村さんは絶対に『みんなのきもち』を聞かないでください」

卯月「笑顔笑顔笑顔笑顔笑顔笑顔」ブツブツ…

武内P「……」

凛「プロデューサー」

武内P「はい、渋谷さん……どうかしましたか?」

凛「ちゃんと、見ててくだせー」

武内P「……はい、お約束します」

凛「それじゃあ、ぎゅっとしてくだせー!」

武内P「それじゃあ、の意味がわかりません」

凛「ふーん!」

武内P「はい、向こうで島村さんの様子を見ていてあげてください」

武内P「本当に……どうして、『みんなのきもち』を聞いてしまったんですか」

武内P「事務所に禁止されているにも関わらず……」

アイドル達「ごめんなせー」

武内P「ああいえ、責めているわけではなく、疑問に思っただけです」

武内P「危険だと言われているのに、何故……」

ちひろ「それはきっと、プロデューサーさんが居るからですよ。課金してください」

武内P「千川さん? あの、運営の気持ちになっていますよ?」

ちひろ「皆、自分に自信があったんだと思います。課金してください」

武内P「あの、千川さんは……そういえば、おねシンを歌っていましたね」

ちひろ「自分なら、きっと大丈夫。課金して」

武内P「しかし……」

ちひろ「もし駄目だったとしても、プロデューサーさんが居るから大丈夫、って課金」

武内P「何ですかその語尾は」

ちひろ「私の課金がおかしい課金?」

武内P「千川さんは何を聞いたんですか!?」

武内P「……成る程、事情はわかりました」

アイドル達「おー!」

武内P「今回も、真っ先に専務から対応するよう指示がありました」

アイドル達「すげーのです!」

武内P「私を頼ってくださる皆さんの気持ち、大変有り難いです」

アイドル達「えへへ、頼りにしてるでごぜーます、ずっと!」

武内P「しかし――」


武内P「私の気持ちも考えてください」



おわり

休憩

書きます


武内P「お仕置き、ですか」

みく「そうにゃ! だって、ストライキの時!」

李衣菜「あー、大騒ぎだったもんね」

武内P「しかし……あれは、私も悪い点がありましたし」

みく「でも、ちゃんと怒られておかないとみくの気が済まないの!」

李衣菜「へー、みくちゃん偉いじゃん」

武内P「……」

みく「確かに、皆にはいっぱい叱られたよ?」

李衣菜「正座のしすぎてしばらく立てなかったもんねぇ」

武内P「……私は、それで十分だと思うのですが」

みく「でも、Pチャンは全然怒らなかったにゃ!」

李衣菜「なるほど! だから、今改めて、って事だね!」

武内P「……」

みく「だからお願いPチャン! ちゃんとみくを叱って!」

李衣菜「プロデューサー、私からもお願いします」

武内P「ですが……」

みく「そうしないと、みくは前に進めないの!」

李衣菜「こう言ってるんだから、ガツンとやっちゃってくださいよ!」

武内P「ガツンと……ですか」

みく「でも……Pチャンに口で叱られるのって難しいと思う」

李衣菜「確かに。顔は怖いけど、全然怒らないよね」

武内P「……」

みく「だから……一発、ゲンコツで!」

李衣菜「おおっ! みくちゃん、カッコイイ!」

武内P「げ、ゲンコツですか……?」

みく「あ、べ、別に本気で殴れとは言ってないよ?」

李衣菜「まあ……本気で殴ったらみくちゃん死んじゃうもんね」

武内P「しかし、体罰というのは……」

みく「体罰じゃない! 愛のムチだと思ってPチャン!」

李衣菜「大事なのは、やられる方の受け取り方ですから」

武内P「……」

みく「だからこう……メッ、って感じでね?」

李衣菜「急に弱気になってるよ、みくちゃん」


武内P「こんな感じ……ですか?」

滅!


みく「そうそう、そんな感じ!」

李衣菜「いやいやいやいやいや!」

みく「? どうしたの、李衣菜ちゃん?」

李衣菜「みくちゃん、死ぬよ!?」

みく「死ぬ? どうしてそう思うの?」

李衣菜「聞こえてなかったの!? 明らかに死ぬ音だったよ!?」

武内P「……やはり、体罰は」

みく「もー! いい加減、覚悟を決めてPチャン!」

李衣菜「みくちゃん、死ぬ覚悟出来てないでしょ!?」

武内P「……」

みく「もー、李衣菜ちゃん心配しすぎだよ」

李衣菜「それはするよ! だって、みくちゃんが大事だもん!」

武内P「……」

みく「だったら応援して! みくが、前に進むのを!」

李衣菜「っ……! プロデューサー、もっと弱く! 弱ーくでお願いします!」

武内P「はい……努力してみます」

みく「弱く……そうだね、ネコチャンを撫でる感じでサッと」

李衣菜「それいい! それ最高だよ!」


武内P「……こうでしょうか?」

殺!


みく「最高に優しい感じ出てるよPチャン!」

李衣菜「殺意しか感じないよ!」

みく「? どうしたの、李衣菜ちゃん?」

李衣菜「みくちゃん、確実に殺されるよ!?」

みく「殺されるって、そんな大げさな」ケラケラ

李衣菜「私は耳が良いから聞こえるんだよ!」

武内P「あの……やはり、もうやめましょう」

みく「もー! いい加減にしないと、怒るよPチャン!」

李衣菜「やめて! これ以上刺激しないで!」

武内P「……」

みく「Pチャン、みくは、Pチャンにとっても感謝してるの」

武内P「前川さん……」

みく「皆言ってたにゃ。こんなに早くデビュー出来るなんて無い、って」

武内P「それは……前川さん自身の努力があったからです」

みく「それでも! それでも、やっぱりPチャンの力が大きいの!」

武内P「……」

みく「だから……ゴツンとやって、スッキリさせて欲しい!」

李衣菜「スッキリじゃなく、ポックリいくから!」

武内P「……」

みく「お願い、Pチャン!」

武内P「……わかりました」

李衣菜「わかってない! 結果どうなるか、わかってない!」

みく「ぴ、Pチャンは力が強そうだから……優しくね?」

武内P「はい。出来るだけ、優しく」

李衣菜「今までのを見た感じ、全然優しくなってないよ!?」

みく「もー! そんなに言うなら、李衣菜ちゃんが指示してあげて!」

李衣菜「わ、私が!?」

武内P「そう、ですね。私では加減がわからない部分もありますから」

みく「李衣菜ちゃんに任せるよ!」

李衣菜「気軽に命を背負わせないでよ!」

武内P「多田さん、私からもお願いします」

李衣菜「ううぅ……わかりました! 絶対、指示には従ってくださいね!?」

武内P「はい、勿論です」

李衣菜「そ、それじゃあ弱くパンチ!」

武内P「はい」

シュッ

李衣菜「! 今の感じで、もう一回弱くパンチ!」

武内P「はい」

シュッ

みく「Pちゃんかっこいいにゃ! 前に出て、弱くキック!」

李衣菜「キック!?」

武内P「はい」

シュッ

みく「さあ、本番いくにゃああああ!」

武内P「――覚悟は良いか!」キュィィン!

李衣菜「!?」

みく「Pチャン、勝負にゃあああ!」

武内P「――!」

ドゥゥ――ン……!

みく「? なんか青い残像が見え――」

李衣菜「危ないみくちゃああああん!」

ドンッ!

みく「にゃああああ!?」

武内P「一瞬千撃!」

植木鉢

武内P「……」



みく「もーっ! 何するにゃ李衣菜ちゃん!」

李衣菜「見てなかったの!? 植木鉢、粉々だよ!?」

みく「何言ってるの李衣菜ちゃん、そんな事ある筈ないでしょ」

李衣菜「本当だって! 信じてよ!」

武内P「あの、お二人とも……」

みく「おぉ、イタタ! 李衣菜ちゃんに突き飛ばされて尻もちついちゃったにゃ」

李衣菜「はぁ!? 私は命の恩人だよ!? その言い方は無いと思う!」

武内P「……」オロオロ

みく「命の恩人? 邪魔しただけでしょー!」

李衣菜「じゃ、邪魔!? ひどい、そんな風に思ったの!?」

みく「もうこうなったら、解散にゃ!」

李衣菜「良いよ! みくちゃんなんか、爆発四散しちゃえば良いんだ!」

みく「ひっど!?」

李衣菜「どっちが!」

みく・李衣菜「うー、解散!」

武内P「……それは困るので、落ち着きましょう」

みく・李衣菜「……」

武内P「元々、私に前川さんを形だけとは言え殴る事は出来ませんでした」

みく「でも……」

武内P「前川さん。謝罪するためとは言え、私が嫌がる事をさせるのは違います」

みく「!」

武内P「わかって、いただけましたか?」

みく「ごめんなさい……みく、またPチャンに迷惑かけちゃったにゃ」

武内P「いいえ、私は貴女達の事を迷惑だと思ったことは、一度もありません」

みく「Pチャン……!」

武内P「ですが、そうですね……」

みく「?」

武内P「今回は、前川さんから先に謝るのが、お仕置きというのはどうでしょうか?」

みく「そ、それは……」

李衣菜「……」

みく「~~~っ! 邪魔は言い過ぎだったにゃ! ごめんなさい!」

李衣菜「も、もう良いよ。私も……突き飛ばしてごめん」

武内P「そうですね……多田さんも、ジャンプで躱させた方が良かったですね」

李衣菜「!?」

みく「……でも、これでスッキリしたにゃ!」

李衣菜「待って待って、ハッキリさせておかないと」

みく「李衣菜ちゃん、さっきから何かおかしいよ?」

李衣菜「みくちゃん、殺気を感じないの?」

武内P「私の拳が血に飢えているだけです、問題ありません」

みく「ほら、Pチャンもこう言ってるにゃ!」

李衣菜「そうかな……えっ、本当にそうなのかな!?」

みく「Pチャン、これからもよろしくお願いします!」

李衣菜「よ、よろしくお願いします!」

武内P「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」

みく「さっ、李衣菜ちゃん! 早速レッスンに行くよ!」

李衣菜「ま、待ってよみくちゃん!」

ガチャッ…バタンッ

武内P「……」

武内P「植木鉢が粉々になってしまいましたか……」


武内P「……千川さんに、お仕置きされてしまいますね」



おわり

寝ます
おやすみなさい

まだリク受け付けてたら大人のフェロモン出す練習するニュージェネの面々が見たいです
そして何故か出ない楓さんも見たいです

>>82
やってみます

俺の中では、リクでなくお題として考えて楽しんでるので大丈夫ですよー
「見たい」が「書きたい」になって、書き手が増えたとしたら最高に嬉しいです


武内P「大人のフェロモンの練習、ですか?」

未央「うん、練習相手に困っててさー」

卯月「お願いします、プロデューサーさん!」

凛「それ位良いでしょ?」

武内P「あの……大人のフェロモンとは、練習するものなのでしょうか?」

未央「えっ? そうだよ?」

卯月「はい、ちゃんと練習しないと出ませんから」

凛「何言ってるの。ちゃんとしてよね」

武内P「……」

武内P「すみません……よく、わかりません」

未央「えっ? 今の説明でわからない?」

卯月「ええと……フェロモンは知ってますよね?」

武内P「それは……はい」

凛「やっぱり、プロデューサーもおじさんって事かな」

卯月「ちょ、ちょっと凛ちゃん!」

武内P「その、それは常識なのでしょうか?」

未央・卯月・凛「勿論」

武内P「……」

未央「私達もさ、花の女子高生なわけじゃん?」

武内P「はい……そうですね」

卯月「女子は、高校に上がると授業で大人のフェロモンの出し方を勉強するんです」

武内P「!? 待ってください! それは日本の話ですか!?」

凛「当たり前でしょ。日本じゃないなら、私達はどこの女子高生なの」

武内P「……」

武内P「驚きました……まさか、今の学校教育がそうなっているとは」

未央「へっ? 昔からやってるみたいだよ?」

武内P「!?」

卯月「そのう……あはは」

武内P「!?」

凛「もしかして……本当に知らなかった?」

武内P「……恥ずかしながら」

未央「とにかく! 私達に必要なのは、大人のフェロモン!」

卯月「だから、練習相手をお願いしたいんです!」

凛「プロデューサーなら、まあ、安心だしね」

武内P「その、具体的に何を?」

未央「私達が、順番に大人のフェロモンを出して、」

卯月「プロデューサーさんを……その、誘惑しちゃいます///」

凛「他の二人も見張ってるから、万が一の事も無いだろうし」

武内P「……」

武内P「私で……よろしいのでしょうか?」

未央「プロデューサーだから頼んでるの!」

卯月「他の男の人相手だと……ちょっと怖いですから」

凛「逃げないでよね」

武内P「……わかりました。私で良ければ、練習相手を務めさせて頂きます」

未央「やったね! ありがとっ、プロデューサー!」

卯月「うぅ……初めて男の人に使うので、緊張します」

凛「プロデューサー、変な気は起こさないでよね」

武内P「はい、勿論」

卯月「それじゃあ、まずは私から行きますね」

未央「よっ! ニュージェネのお姉さん枠!」

凛「卯月が自分で言ってるだけだと思う」

卯月「もー、凛ちゃん!」

凛「ごめんごめん」

卯月「ゴホン! それじゃあ……」


卯月「島村卯月、頑張ります♪」


卯月「フェロフェロモンモン、悶々ムラムラ……」


武内P「馬鹿にしてるんですか?」

武内P(あの……その呪文は一体?)

未央「しっ、静かに!」

武内P「本田さん?」

凛「見て、始まった」


卯月「フェロフェロモンモン、悶々ムラムラ……」ムワッ…


武内P「!? 島村さんから、何と言うか……色気を感じます……!?」

未央「さっすがしまむー!」

凛「やっぱり卯月は凄いね」


卯月「フェロフェロモンモン、悶々ムラムラ……」ムワッ…


武内P「しかし、あの……やっぱり馬鹿にしていませんか?」

卯月「フェロフェロモンモン……っく!」

ガクッ

未央「しまむー! 大丈夫!?」

凛「卯月! はい、お水!」

卯月「ありがとうございます……ぷはっ!」

武内P「あの……何故、そこまで疲労しているのでしょうか」

未央「大人のフェロモンは、本来大人が出すものだからね」

凛「十代の私達が出そうとすると、極端に疲れるんだよ」

武内P「あ、はい……そうですか」

卯月「はぁ……はぁ……どうでしたか、プロデューサーさん?」

武内P「その……悔しいですが、色っぽい、と感じました」

卯月「本当ですか!? やった、成功です!」

未央「おめでとう、しまむー!」

凛「これは、こっちも負けてられないね」

武内P「あの、まだ続けるのでしょうか?」

未央・凛「当然!」

武内P「……」

未央「それじゃ、次はリーダーの私が!」

卯月「未央ちゃん、頑張ってください!」

凛「未央、セクシー担当の力、見せてよね」

未央「まっかせなさい!」


未央「本田未央、いっきまーす!」


未央「フェロフェロモンモン、悶々ムラムラ……」


武内P「あの……本当に学校で教えているんですか?」

未央「フェロフェロモンモン、悶々ムラムラ……」ムッ…

武内P「……はい、普段よりも少し色っぽく見えます」

未央「フェロフェロモンモン、悶々ムラムラ……」ムッ…

卯月「未央ちゃん、頑張って!」

凛「ふーん。まあ、悪くないかな」

未央「フェロフェロ……っぶはー! もう駄目だー!」

卯月「ナイスファイトです、未央ちゃん!」

凛「ちょっと持続に問題あり、って感じかな」

武内P「……」

未央「どうだった!?」

武内P「そうですね……一割増し、と言った所でしょうか」

未央「あー、やっぱりまだそんなもんかー!」

卯月「でも、まだ15歳なのに凄いです!」

未央「さんきゅー、しまむー!」

凛「それじゃあ、次は私の番だね」

武内P「……はい」

凛「――行くよ、蒼い風が、駆け抜けるように」


武内P「……イメージ的には、ピンク色の気がしますが」

未央・卯月「しっ!」

武内P「……」


凛「フェロフェロモンモン、悶々ムラムラ……」


武内P「……その呪文は、やはり共通なのですね」


凛「フェロフェロモンモン、悶々ムラムラ……」プピッ…プ…プスッ


武内P「……ん?」

凛「フェロフェロモンモン、悶々ムラムラ……」プッ…プッ…プスッ


武内P「色っぽ……いや、そうでもな……ああ、いや」


凛「フェロフェロモンモン、悶々ムラムラ……!」プシュ…プス…プッ


武内P「色……っぽくもないような……そうでもないような」


凛「フェロフェロ――……」プスンッ!

……ドサッ!


武内P「!? し、渋谷さん!?」

未央「しぶりん!?」

卯月「凛ちゃん!? しっかりしてください、凛ちゃーん!」

凛「……ねぇ、どうだった……? 私の、大人のフェロモンは……?」

未央「しぶりん! ほら、ゆっくりお水飲んで!」

卯月「頑張ってました! 凛ちゃん、すっごく頑張ってました!」

凛「ねえ、ちゃんと見ててくれた……?」

武内P「……はい、この目で、しっかりと」

凛「私、色っぽかったかな……?」

武内P「その……色っぽいようで色っぽくない、ちょっと色っぽい渋谷さんでした」

凛「……ふーん……まあ、悪くない……かな」

…ガクッ

未央「しぶりいいいいん!」

卯月「凛ちゃああああん!」

武内P「……」

  ・  ・  ・

武内P「皆さんの、焦る気持ちは理解出来ました」

未央・卯月・凛「……」

武内P「しかし、倒れてしまうような行為を見過ごすわけにはいきません」

未央・卯月・凛「……はい」

武内P「これからは、適切な指導員の元で……居るかはわかりませんが……」

未央・卯月・凛「……居ます」

武内P「居るんですか……そうですか……」

武内P「……適切な指導員の元で、安全に考慮して練習してください」


ガチャッ


楓「……あら? お取り込み中ですか?」


武内P「なんでこのタイミングで来るんですか!?」

武内P(高垣さん? 何故、ここへ?)

  ・  ・  ・

楓「……お話はわかりました」

武内P「あの、何故ここへ?」

楓「ここは……大人のフェロモンが薄すぎるわね」

未央・卯月・凛「楓さん?」

武内P「申し訳ありません、意味がわかりません」

楓「だったら……私がフェロモンを出さなくちゃね」

未央・卯月・凛「!」

武内P「!?」

未央「楓さんの――」

卯月「大人のフェロモンが――」

凛「――この目で、見られる!」

武内P「誰も頼んでいませんから!」

楓「……」


未央「……凄い、無詠唱だよ!」

武内P「ここに来て新しい要素を出さないでください!」


楓「……」ムワーン!


卯月「なんだか……楓さんを見てると顔が熱くなります///」

武内P「? いや、色っぽいとは何か、違うような……?」


楓「……」ムワーン!


凛「頭がクラクラして……なんだか目が回る……///」

武内P「それに、この匂い……!?」


楓「……」ムワーン!


武内P「高垣さん、アルコールが! フェロモンじゃなく、アルコールが出ています!」

  ・  ・  ・

武内P「……三人には、医務室で休んでもらっています」

楓「……そう、ですか」

武内P「……」

楓「私……フェロモンを出すの、得意だと思ってたんです」

武内P「……」

楓「だから、後輩の子達に見せてあげよう、って思って……」

武内P「……」

楓「でも、あの子達は……お酒は、避けなきゃいけないですもんね」

武内P「あの、反省していますか?」

楓「……まさか、大人のフェロモンが出せないだなんて」

武内P「その……高垣さんは、十分魅力的です」

楓「そう……でしょうか?」

武内P「はい。私は、そう思います」

楓「具体的には?」

武内P「!?……その……何と言いますか……」

楓「……」


武内P「……すみません、先程のアルコールが、今回ってきたようです」


楓「!?」

バシバシ!



おわり

休憩


 目が覚めると、彼の寝顔が目に入った。
 いつもの無表情も、寝ている時ばかりは安らかになるらしい。
 規則正しい寝息を立てる彼の顔を見ながら、私はゆっくりと体を起こした。


「……おはようございます」


 返事はない。
 しかし、それで良い。
 今の挨拶は、返して欲しくてしたものじゃないから。
 それに、まだ彼の寝顔を見ていたいから。


「……」


 音を立てないよう、ゆっくりと上半身を起こす。
 衣擦れの音すらも、彼の耳に届きませんようにと願いながら。
 その願いが聞き届けられたのか、彼は眠ったまま。


「んー……!」


 ゆっくりと、ほぐすように伸びをする。
 これをするだけで、体が目覚めてくれるような気がする。
 差し込んでくる日の光から察するに、時刻はもうすぐ昼前と言った所か。
 昨日は、少し飲みすぎた。


 楽しい、とても楽しいお酒だったのは覚えている。
 昔話に花を咲かせ、今の自分達の努力を褒め合い、未来への想像を膨らませる。
 会話が途切れても、そんな時はお酒を口に含んでしまえば良い。
 そうすれば、自然と笑顔になるから。


「……お腹……は、空いてない」


 昨日は、飲みすぎたし、食べすぎた。
 食には関心があると言うだけあって、彼も大いに飲み、食べていた。
 そして、はにかむような笑顔を浮かべていた。


「あー……メイクがそのまま」


 これではお肌が荒れてしまう。
 アイドルだというのに、飲みすぎてそのまま寝てしまうのはいただけない。
 頬に手をやると、案の定少しむくんでいた。


「こんな顔、見せられないわよね」


 私は、アイドルだ。
 だから、輝いていなければならない。
 それに、こんな顔を見られたく無いという、女の意地というものも、ある。


 諸々のケアを済ませて戻っても、寝息の演奏は未だに続いていた。
 それがとてもおかしくて、思わず大声で笑ってしまいそうになるけど我慢。
 だって、一方的に無防備な姿を見るなんてそう無いもの。
 写真でも撮って、後で見せてあげようかしら?


「……ふふっ」


 いけない、想像しただけで楽しくて笑っちゃった。
 今は寝かせておいてあげよう。
 だって、起きたらきっと大慌てしちゃうだろうし。


「……」


 足元に気をつけて、元の場所へ戻る。
 音を立てないように、軽やかに、笑いそうな気持ちとステップを我慢して。


「とう、着地で……到着」


 我慢出来なかった。
 トン、と音がしたけれど、今日の私はとっても運が良いみたい。
 寝息は、まだ続いている。


 私は、お酒がとても好きだ。
 愛していると言っても過言ではない。
 お酒もその愛に応えてくれているらしく、私はお酒がとても強いらしい。
 そのおかげで、今のこの状況があるなら感謝しないと。


「……」


 じい、と彼の寝顔を見つめる。
 どうして、と問われれば、珍しいから、としか言いようがない。
 それに、こんなに可愛らしい寝顔をするなんて思ってもみなかったんだもの。
 だから、思わず見ちゃうのは当然でしょ?


「……」


 また、この寝顔が見られれば良いなと思うけれど、それは多分無理。
 だって、彼は今の状況を許せる人間じゃないもの。
 起きたらきっと、顔を真っ青にしてアタフタしちゃう。


「……」


 その時、なんて声をかければ良いのかしら。
 気にしないでください?
 貴方のせいじゃありません?
 お酒のせい……には、お酒が好きな身としては、したくない。


 だったら、何が悪かったのだろう。
 考えてみるけれど、思い当たるものは無い。
 お酒が美味しいのも、お料理が美味しいもの、お話を楽しむのも良い事だ。
 悪いことをしていないんだから、大丈夫よね。
 うん、彼が気にする事なんて無いわ。


「……」


 でも、きっと彼はとっても後悔する。
 二度とこんな事の無い様にと、一緒にお酒を飲まなくなるかも知れない。
 それは、とても寂しい事だと私は思う。


「~♪」


 静かに、子守唄の様に鼻歌を歌う。
 寝息と鼻歌の合唱だ。
 これが続いている間は、楽しいという思いだけをしていられる。
 貴方の顔が、歪むのを見ずに済む。


「~♪」


 けれど、歌はいつか必ず終わるものだと私は知っている。
 だからこそ、私達は精一杯歌うのだ。
 ……なんて、ちょっと格好つけすぎかしら?

「ん……」
「~♪」


 彼が身じろぎをしたが、私は歌うのをやめない。
 だって、今が丁度サビの部分なのよ。
 一番盛り上がる所でやめるなんて、勿体無い。


「……」
「~♪」


 寝ぼけ眼の彼と目が合う。
 きっと、今はまだ状況が飲み込めていないのだろう。


「……」
「~♪」


 何か言われる前に、歌いきった。
 それと同時に彼は状況を理解したのか、目がパッチリと開いた。
 ああ、そうだ、何て言おうか結局考えてなかったわ!
 おはおうございます、はいつも言ってるから……ええと、ええと!


「こ、コーケコッコー!」


 部屋に響き渡る位、大声で叫んだ!


「うわっ!? 何、何!? えっ、何なの!?」
「……うるさいわ」


 いけない、皆起こしちゃった。

  ・  ・  ・

「……もう、二度とお酒は飲みません」


 苦虫を噛み潰したような表情で言う彼に、皆は苦笑いで返した。
 昨日は、皆本当に酔っ払っていた。
 皆大いに盛り上がり、店がなくなったので事務所で、ええと、四次会? になったのよね。


「まあ、そんな寂しい事を言わないでください!」
「……」


 プロジェクトルームに散らばった、空いた酒瓶やおつまみの袋。
 それらを証拠隠滅……だと言い方が悪いから、片付けながらの抗議。
 あっ、この携帯は誰のかしら?


「高垣さんは、お酒に強いはずです」
「あら、よくご存知で」
「……止められたと、私は思うのですが」
「そうですね……言われてみれば、止められたと思います」


 だったら何故、という言葉を彼は飲み込んで片付けに戻った。


 彼は、私がお酒が強いと知っている。
 けれど私は、彼が笑顔に弱いと知っているのだ。



おわり

次は下品なの書きます
おやすみなさい

乙 スレタイからは予想できない良SS
でかいけど更にでかい武内Pに高い高いされるきらりんオナシャス!

筋トレ大好き武内くんがみたい

>>115>>116>>119
書きます


武内P「諸星さんを高い高い、ですか?」

みりあ「ねぇねぇ、お願いプロデューサー!」

莉嘉「良いでしょP君! カリスマJCのぉ、お・ね・が・い☆」

きらり「ふ、二人とも~! Pちゃん、困っちゃうにぃ!」

みりあ「大丈夫だよ! きらりちゃん、やってもらおう?」

莉嘉「遠慮するコトないって! P君、力強そうだもん!」

きらり「で、でも~……」

武内P「……あの、どうしてそういう話になったのでしょうか?」

みりあ「あのね、みりあ達はたまに高い高いしてもらうでしょ?」

莉嘉「えへへ! して貰うって言っても、強引にだけどさ☆」

武内P「それは……はい、そうですね」

みりあ「三人でね、この前その事について話したんだ~」

莉嘉「そうしたら、きらりちゃんが二人は小さくて羨ましい、って言ってたの」

きらり「も、もうこの話はやめやめ~! Pちゃん、きらりは大丈夫だゆ!?」

武内P「……」

みりあ「小さくなるのは無理だけど……」

莉嘉「高い高いなら、Pくんだったら出来ると思ったの!」

武内P「……成る程、そういう事でしたか」

きらり「……にょわー。ごめんねPちゃん、きらりが変な事言ったから……」

武内P「諸星さん」

きらり「……ごめんねぇ」

武内P「高い高いを……させて、頂けないでしょうか?」

きらり「!?」

みりあ「ほんと!?」

莉嘉「さっすがPくん!」

きらり「む、無理しないで良いよ~! きらりは、いつでもハピハピだゆ!」

武内P「申し訳ありません。諸星さんに、そんな思いをさせていたとは」

きらり「Pちゃん……」

武内P「お願いします。私に、諸星さんを高い高いさせてください」

きらり「……はい、お願いします///」

みりあ・莉嘉「やったー!」

きらり「でもでも、きらりは皆より重たいにぃ」

武内P「いえ、何も問題はありません」

スルッ

みりあ「? ねぇねぇ、上着を脱いでどうするの?」

武内P「この後も仕事がありますので、服が破れては困りますから」

シュルッ

莉嘉「ちょ、ちょっとPくん! ネクタイを外してどうするの!?」

武内P「上半身の衣類は、全て脱ぎます」

みりあ・莉嘉・きらり「!?」

みりあ「えーっ!? 上、裸になっちゃうの!?」

武内P「申し訳ありません、見苦しいものをお見せしてしまいます」

ファサッ

莉嘉「わっ、わっ! あとシャツ一枚だよ!」

武内P「今日は……少し、肌寒いですね」

ヌギヌギ……

きらり「う、うっきゃ~っ……!?」

武内P「――お待たせしました」

ムキムキッ!

みりあ「すっごーい! 筋肉、むっきむきだー!」

武内P「プロデューサーは、全員鍛えています」

莉嘉「へ、へー? そうなんだ?」チラチラッ

武内P「そうでなければ、皆さんを笑顔に出来ません」

きらり「す、凄いにぃ……///」

武内P「そして――」


武内P「――セルフ・プロデュース!」

ビキビキ…! ムキイッ!


武内P「……これが、80%の力になります」

みりあ・莉嘉・きらり「……!?」

武内P「諸星さん」

きらり「ひゃ、ひゃい!?///」

武内P「諸星さんは、私からすればとても軽い、可愛らしいシンデレラの一人です」

きらり「う、うっきゃーっ!/// は、恥ずかすぃー!///」

武内P「さあ、高い高いを――」


ガチャッ


みりあ・莉嘉「あっ!?」


専務「……キミは、何をしている?」


武内P「っ!? 専務……?」

武内P「これは……事情がありまして」

専務「言い訳は聞きたくはない」

武内P「……」

みりあ「あっ、あのね! プロデューサーは悪くないの!」

莉嘉「アタシ達が頼んだから、Pくんは!」

専務「……ふむ」

きらり「きらりが悪いんです! 怒るなら、きらりを怒ってください!」

武内P「皆さん……」

専務「……」

専務「アイドルのため、か」

武内P「……」

専務「しかし、見過ごすわけにはいかない問題もある」

みりあ・莉嘉・きらり「そんな!?」

専務「勘違いをしているようですね。私も、鬼では無い」

みりあ・莉嘉・きらり「えっ?」


専務「――ネクタイはしたまえ。身だしなみには気をつけなさい」

シュルッ

武内P「せ、専務……」


みりあ・莉嘉・きらり「……!」

専務「クライアントが最初に会うのはキミだ」

武内P「……はい、ありがとうございます」

専務「それに、肌寒いとは言え……この乳首はいただけないな」

くりくりっ

武内P「あうんっ!?」ビクンッ!

専務「城ヶ崎莉嘉くん、キミはシール集めが趣味だと聞いている」

莉嘉「は、はい!」

専務「余っているものがあれば、それで彼の乳首を隠してあげなさい」

莉嘉「! はいっ! チョーカワイクデコっちゃいます!」

みりあ「はーい! みりあもやるー!」

専務「よろしい」

莉嘉「左の乳首には、ハートのを貼ってあげるね☆」

ペタッ!

武内P「んんっ!……城ヶ崎さん、ありがとうございます!」

みりあ「右の乳首にはぁ――」

ぎゅっ!

武内P「うーふっ!?」

みりあ「お星様! えへへ、すっごくかっこいいよ!」

ペタッ!

武内P「何故シールを貼る前に乳首をつねって……いえ、赤城さん、ありがとうございます」

武内P「……専務、いかがでしょうか」

専務「ふむ、悪くないな」

武内P「ありがとうございます」

専務「キミは優秀だ。アイドルのため、これからも頑張りなさい」

武内P「はい、必ず」

専務「では、私はこれで失礼する。励み給え」

ガチャッ…バタンッ

みりあ「専務……」

莉嘉「いい人だったね!」

みりあ・莉嘉「ねー!」

武内P「……お待たせしました、諸星さん」

きらり「Pちゃん……きらりのために、そこまで……!」

武内P「私は、貴女のプロデューサーですから」

きらり「うぇへへ、きらり、と~ってもハピハピだゆ☆」

莉嘉「満足するのははやいよ、きらりちゃん!」

みりあ「そうだよ! 高い高いしてもらわないと!」

きらり「そうだった~! あんまりにもハピハピで、忘れちゃってたにぃ☆」

武内P「それでは……外へ向かいましょうか」

みりあ・莉嘉・きらり「……外?」

武内P「はい。ここでは、頭をぶつけてしまいますから」

みりあ「えっ? でも、高い高いするだけだよね?」

武内P「ええ、しかし、普通とは違い私が掴むのは諸星さんの足首ですので」

莉嘉「足首!? えっ、なんで足首を持つ必要が!?」

武内P「脇に手をやると胸に触る恐れがあり、腰もよろしいとは言えませんから」

きらり「えちぃのはメッだけど……でもぉ……」

武内P「そのための、80%筋肉、ネクタイ装備の乳首隠しです」

みりあ・莉嘉・きらり「なるほど!」

一服

  ・  ・  ・
346プロ エントランスホール

武内P「ここなら、屋外に出る必要も無さそうですね」

みりあ「うん! お外だと、やっぱり寒いもんね!」

武内P「そうですね、乳首がシールを突き破ってしまう所でした」

莉嘉「きらりちゃん、心の準備は良い?」

きらり「カンペキパーペキ☆ バッチシだゆ☆」

武内P「……それでは、諸星さん」

きらり「……Pちゃん」

武内P「高い高い――させて頂きます」

武内P「パワー!」

ガシッ!

きらり「! 凄い力だにぃ! これなら――!」


武内P「オブ!」

ググググッ……!

きらり「視界が――どんどん高く――」


武内P「スマイル!」

グイーッ!

きらり「……とっても、高い高いにぃ……!」


みりあ「すっごーい! すごいすごい!」

莉嘉「ヤバーイ! あれ、二人合わせて何メートルになるの!?」

武内P「いかがですか諸星さん、高い高いの感想は」

きらり「えーっ!? ごめんにぃ、よく聞こえないよ~!」

武内P「……遠いから、聞こえにくいのですね」


武内P「諸星さーん! 高い高いは、いかがですかー!」

きらり「……と~っても、ハピハピだにぃ~☆」


武内P「良い、笑顔……あ……///」

きらり「何か言ったPちゃーん!?」

武内P「い、今は上を向けませーん!///」

きらり「う、うっきゃ~っ!?///Pちゃん、えちぃのはメッ! だゆ!///」

   ・  ・  ・

ちひろ「……それで、結局どうなったんですか?」

武内P「社長に見つかり、常務と二人でお叱りを受けました」

ちひろ「常務? 専務ではなく、ですか?」

武内P「はい、常務です」

ちひろ「……あっ」

武内P「私は口頭注意で済んだのが、幸いです」

ちひろ「……」

武内P「常務は半ベソをかいていましたが」

ちひろ「それはまた、高い高いの結果としては――」


ちひろ「……随分と、高い代償ですね」



おわり

飲みに行ってきまーす♪

皆さんの10年後の他の面子バージョンが見たいです

>>150
書きます

 私は、実はお酒が好きだ。
 愛しているとまでは言わないが、かなり。
 お酒もそれに応えてくれているらしく、私はお酒が人よりは強い。
 しかし、そのおかげで、今のこの状況があるならば下戸でいたかった。


「それで、キミはどう思うね?」


 何が悪かったのだろう。
 言わずもがな、目の前の部長が原因だ。
 お酒が美味しく、お料理が美味しく、話も弾んでいた。
 そう、悪くは無かったのだ。


「ほらほら、早く吐かないと逮捕しちゃうわよ!」
「困るわ。このタイミングで、吐くとか言わないでよ」
「ナナも気になりますねー」
「うふふっ! 観念しないと、駄目だかんねん♪」


 意外にも楽しいお酒だった。
 昔話に花を咲かせ、今の自分達の努力を褒め合う。
 そして、会話が途切れて私がお酒を口に含んだ時、部長が言い出したのだ。


「……皆さんの10年後、ですか」


 私は、笑顔が好きだ。
 しかし今は、向けられた笑顔が、突きつけられた銃口に見える。

 事の発端は、部長が同僚と飲みに行くから付き合え、と言ったからだ。
 思えば、誰が来るのかを確認せず了承した私が迂闊だった。
 その迂闊さが巡り巡ってこの状況を作り出しているとしたら、
私は「お供します」と言った時の自分を殴り飛ばしてやりたい。


「10年後かー。うー、考えたくないわねぇ!」
「わかるわ。でも、他の人の意見を聞くのは大事よね」
「な、ナナは10年後でも17歳ですよ! きゃはっ!」
「まあ、それなら私もピッチピチの25歳でーす」


 冗談交じりで盛り上がる彼女達は、とても楽しげだ。
 そして、部長も私がなんと答えるのかを眺めている。


「10年後……うーん、どうなっているんだろうねぇ!」
「……」


 一方で、私は酔いが一気に覚め、背中で大量の汗を流していた。
 自然と右手が首筋にいきそうになるが、それは耐える。


 迂闊な答えは死を招き、動揺を悟られるのもまた同様。


 ……一緒に飲んでいると、駄洒落が移るというのは本当ですね。


「――それじゃあ、あたしはどうなってると思う?」


 年齢順で聞いて――と、この考え方はまずい!
 今は年齢の話をしているのではく、10年後の話をしているのだ。
 藪をつついて蛇を出す必要はない。


「そうですね……」


 最適解は、何だ。
 いや、最適でないにせよ、明日へ命を繋ぐ選択肢は、何だ。


「10年後でも、とても魅力的で……アイドルを続けて――」


 死。


「――いる、かは、わかりませんが……!」


 何だ……何だと言うのだ、今の悪寒は!?


「……へぇ、あたしは引退してるかもしれないんだ?」


 穏やかに見える笑顔が、今は只々恐ろしい。
 この笑顔のまま、猛スピードで走るトラックの前へ放り投げられても不思議ではない。

「そう、ですね……はい」
「ふーん?」


 アイドルを続けている、という答えでは不正解だったようだ。
 何とか、ギリギリで命を繋いだ。


「それで?」


 しかし、危機は未だ目の前にある。
 生と死のデッド・ヒートは未だ続いている。


「10年後ともなれば、今よりも落ち着きが出て……」
「……それで?」


 命がけのチキン・ラン。
 待つのは爆発炎上か、


「――子供の友達が羨む、素敵なお母さんになっていると思います」


 明日のための緊急停止か。


「……なるほどね」


 私は、この賭けに――


「す、素敵なお母さんかー! あたしって、そんな風になりそう?」


 ――勝利した。

「面倒見が良く、締める所は締める。理想的な母親像だと、私は思います」
「そ、そう? いやー、なんか照れちゃうわねー!」


 まあまあ飲みなさいよ、と手元のタッチパネルを操作してビールを注文している。
 非常に機嫌が良さそうで、とても良い笑顔だ。
 私は、追加注文されたビールが来る前に、手元にある残りを一気に飲み干した。
 何故かいつもよりも苦味を感じ、飲み下すのにも苦労したが。


「――ねぇ、私はどうなってると思う?」


 タン、とジョッキをテーブルに置いたと同時に、新手。


 今の勝利は、所詮は四連戦の内の初戦。
 ……駄洒落ている場合ではないのだ。


「そうですね……」


 こういう時は、まずは相手を褒めるのが言いと聞いた事がある。
 まずは褒めて、少し気分を良くして貰おう。


「今は、とても綺麗――」


 死。


「――と、いうか……か、可愛らしいので……!」


 お酒によって軽くなるのは、気分や足取り、財布だけではない。
 命もそうなのだと、私は今日知った。

誤)>こういう時は、まずは相手を褒めるのが言いと聞いた事がある。

正)>こういう時は、まずは相手を褒めるのが良いと聞いた事がある。

「可愛らしいだなんて……いやだわ、もう!」
「いえ……私は、そう思います」


 お酒が入ってほんのりと赤く染まっていた頬が、僅かだが赤味を増した。
 軌道修正は上手く行ったようだが、胸をなでおろす暇はない。


「それで?」


 嗚呼、何故私の前には読み上げる原稿が無いのだろう。
 今の私は、海図も無しに航海に出る船旅人。


「10年後ですと、さすがに見た目に年齢を感じるようになるでしょうが……」
「……それで?」


 しかし、漕ぎ出さなければ始まらない。
 待つのは嵐か、


「――新たな可愛らしい一面が見つかり、より一層魅力的な女性になっていると思います」


 快晴の末の、財宝か。


「……なるほどね」


 彼女の天気は――


「そ、そんなに可愛らしいって言われたら困るわ! ち、ちなみにどんな所が可愛い?」


 ――晴れマーク。

「ふとした瞬間に見せる無邪気な表情が、とても可愛らしいと、私は思います」
「わ、私そんな表情してる時がある? キミって、よく見てるのね……」


 まあまあ食べなさい、と手元のタッチパネルを操作しておつまみを注文している。
 非常に機嫌が良さそうで、とても良い笑顔だ。
 私は、いつの間にか来ていたビールを半分程飲み干した。
 心なしか、先程のものよりも美味しく感じられるのが不思議だ。


「――それで、ナナはどうなってると思います?」


 タンッ、とジョッキをテーブルに置いたと同時に、新手。


 前半戦は過ぎ、残すは後半戦。
 もうひと踏ん張り、あと少しだ。


「そうですね……」


 残すは後……一人。
 彼女? 彼女は、言うなれば、そう――


「むしろ……10年後、ウサミン星はどうなっていますか?」


 ボーナスステージだ。


「は、はいっ!? 10年後のウサミン星ですか!?」


 聞き返されるとは思ってもいなかったのか、とても焦っている様だ。
 今はとても有り難いが、容易すぎて彼女の10年後が逆に不安になる。

「じゅ、10年後のウサミン星は関係ないと思います!」
「いえ……とても、大事な事です」


 彼女もかなり酔っているのか、思考が上手くまとまらないようだ。
 酒に溺れ、目が泳ぎ、思考の海に沈んでいくウサミン星人。


「じゅ、10年後のウサミン星は……」


 電波の受信が上手くいかないらしい。
 しかし、残念ながら私も酔っているので助ける事は出来ない。


「み、皆とっても笑顔で、楽しく暮らしてて……」
「……それで?」


 皆が笑顔……とても、素晴らしい場所だ。
 そんな、素晴らしい場所は、


「……――う、ウサミン星は、永久に不滅です!」


 何故か、巨人軍の住処のようになっているようだ。
 いや、マスコットキャラクターは、ウサギをモチーフにしたものだったか?


「……なるほど」


 後日――


「ウサミン星は、とても、素晴らしい所ですね」


 ――姫川さんに聞いてみよう。

「10年後も不滅な素晴らしい場所が故郷、それはとても誇れる事だと、私は思います」
「そ、そうなんです! 私はウサミン星人である事を誇りに思いますよ! キャハッ!」


 なんだかおかしい気がする、とキュウリの浅漬けをポリポリと齧っている。
 首を傾げて不思議そうにしているが、話をぶり返す気はないようだ。
 私は、いつの間にか来ていた唐揚げを頬張ると、ジューシーな肉の油が口の中で弾けた。
 熱々の肉汁はほんのりと甘く、付けられた下味と絶妙に絡みあって至高のハーモニーを織りなす。
 それをサッと冷えたビールの苦味と喉越しで流すのは、最高の贅沢だ。


「――はーい♪ 最後は私でーす♪」


 しかし、贅沢ばかりもしてはいられない。


 戦いの前の贅沢は済んだ。
 この先私が口にするのは、勝利の美酒か、最後の晩餐か。


「そうですね……」


 最後の一人。
 ここを乗り切れば、笑顔で終われる。


「そう、ですね……」


 ……だというのに、何も浮かばない!


「10年後の私は、どうなってると思いますか?」


 催促するように言われているが、何が正解なのかわからない。
 わからないので、一先ずジョッキの残りを飲み干した。

「まあ! もしかして、皆には言ったのに私だけ仲間外れですか?」
「いえ……貴女は、とても素晴らしいアイドルです。それも、目が離せない程の」


 手元のタッチパネルを操作して追加注文しようとするが、うまくいかない。
 ……なるほど、水滴がついて誤反応を起こしていたのか。


「それで?」


 と、問われても思い浮かばないのだから答えようがない。
 すみませんが、ナプキンで水滴を拭いているので待ってください。


「10年後……そうですね、10年後ですか……」
「……」


 よし、これで注文が出来る。
 我ながら、


「――貴女を見続けていたら、何年経っているか忘れてしまいそうですね」


 完璧だ。


「……なるほど」


 しかし、追加の注文は――


「詳しく聞きたいので、賢明なら、二軒目行きましょう♪」


 ――出来そうにない。

  ・  ・  ・

「それじゃあ、年寄りはここで失礼させて貰うよ」


 会計が済んだ後、店の前で突然部長はそう言った。
 面白いものを見せて貰ったと、先程の店は部長の奢りだ。


「部長、二軒目は私が出しますので」
「いやいや! あまり無理をさせないでくれ!」


 そう言うと、笑いながら部長はこちらに背を向け、駅に向けて歩き出した。


「……それでは、私もここで――」


 私もそれに倣おうとしたが、


「なんて言い分が通ると思ってるの!? 強制連行よ!」
「今帰るなんてあり得ないわ。まだまだ、夜はこれからよ」
「あれ!? ナナの10年後の話、してませんよね!?」
「お酒は避けられず、飲みに行くのみ♪」


 ……と、言う事らしい。



おわり

休憩

乙、武内Pは不憫が似合うと思います

可能ならCP vs 25歳児の正妻戦争が見たいです

>>168
やってみます


武内P「キュンキュン、ですか」

楓「はい。皆に、お話を聞かせて貰ってたんですよ」

武内P「しかし……キュンキュン、とは一体?」

未央「そりゃ勿論、プロデューサーとの思い出話だよ!」

武内P「!? しかし……私と、そういった事が……?」

卯月「本人がそう思って無くても、他の人が聞いたら……って事もありますから♪」

武内P「……」

未央「それじゃあ、まずは私からだね!」

武内P「……」

楓「うふふ、楽しみね」

未央「それは、私達ニュージェネの初ライブの後の出来事!」

アイドル達「あー」

楓「何かあったの?」

未央「やー……思ってたのと違ってて、終わった後辞めるって言って飛び出したんです」

楓「まあ!」

武内P「……」

未央「でも、プロデューサーがね! 直接迎えに来てくれたんです!」

楓「そうなんですか?」

武内P「……近隣住民の方に通報され、危うく捕まる所でしたが」

未央「だって雨の中佇んでるんだもん! しょうがないって!」

武内P「……」

楓「……うふふっ! ごめんなさい、笑っちゃいけないとわかってるんですけど」

武内P「……いえ、いつもの事ですので」

未央「ずぶ濡れになってまで、迎えに来てくれた!」

未央「そして、私に笑顔の大切さを教えてくれた!」

凛「芝居がかってきてるよ」

未央「嗚呼! 止まない雨は無い様に、私の心にも日が差し込んだわ!」

楓「うふふっ、私の心は晴れてるから、日傘仕込んだ方がいいかしら」

未央「……さ、さあ! キュンキュンする!?」

CPアイドル達「ナイスキュンキュンー!」

未央「ありがとー! 皆、どうもありがとー!」

武内P「……」

未央「……とまぁ、こんな感じで話してたの!」

武内P「あの時は……はい、必死でした」

未央「えーっと、あの時はごめんなさい! そして、ありがとうございました!」

武内P「……良い、笑顔です」

楓「ええ、とっても」

武内P「今では笑い話に出来るというのは、本田さんが成長したからだと思います」

未央「えへへ! 未央ちゃんは、日々成長してますから!」

楓「それじゃあ、もし、私が辞めるって言い出したらどうします?」

武内P「高垣さんが……ですか?」

楓「はい。私が、です」

武内P「そう、ですね……何もしないと思います」

楓「まあ!」

CPアイドル達「えー、冷たーい」

武内P「……」

武内P「……高垣さんならば、必ず帰ってきますから」

楓「私を信じて待つ、と?」

武内P「はい。いつまでも、待っていると思います」

楓「帰ってこられないのだとしたら?」

武内P「迎えが必要ですか?」

楓「うふふっ……いいえ、必要ありません」

武内P「はい……貴女ならば、そう仰ると思っていました」

未央「もうやめて! めっちゃ負けた気になるからやめて!」

CPアイドル達「ベリーナイスキュンキュンー!」

未央「追い打ちしないでよ皆!」

未央「しまむー! 私の仇を取っておくれ!」

卯月「わ、私ですか!?」

CPアイドル達「あー」

卯月「ま、待ってくださいよー!?」

武内P「あの……仇、とは?」

楓「なんだかわからないけれど、受けて立ちます」

武内P「た、高垣さん!?」

卯月「私のエピソード……えーと、えーっと」

武内P「……」

楓「楽しみね♪」

卯月「それじゃあ……恥ずかしいけど、私が戻ってきた時の事を///」

CPアイドル達「あー」

楓「何があったのかしら?」

卯月「その……LIVEに向かう前、プロデューサーさんと寄り道をしたんです」

楓「ふむふむ」

武内P「……」

卯月「それで、思ってたけど言えなかった事を全部聞いてもらって……」

楓「そうなんですか?」

武内P「……もう少し早く島村さんの気持ちに気付けたら、と思いました」

卯月「いっ、いえ! だって、他にも迷惑かけてましたし!」

武内P「そんな事はありません。私は、貴女のプロデューサーですから」

卯月「プロデューサーさん……」

CPアイドル達「ナイスキュンキュンー!」

卯月「み、皆、からかわないでくださいー!///」

卯月「えっと、それで、笑顔の話になって……」

卯月「プロデューサーさんが、指でクイッとほっぺをあげて……」

凛「ふーん。撫でたりとかじゃなかったんだね」

卯月「それで、私もほっぺを指であげて……も、もうやめましょう!?///」

楓「……うふふっ、とっても素敵なお話ね」

卯月「うぅ……///」

CPアイドル達「グレートキュンキュン―!」

卯月「……お家帰りたいです///」

武内P「……」

楓「指でほっぺをクイッと上げてって、どんな感じでですか?」

武内P「それは……こう、ですね」クイッ

楓「こう?」クイッ

武内P「あの……何故、高垣さんもやる必要が?」クイッ

楓「あら、だって勝負なんでしょう?」クイッ

武内P「……一体、何のでしょうか」クイッ

楓「えーっと……にらめっこ?」クイッ

武内P「……あの、それだとどちらも負けになっています」クイッ

楓「あっ、それもそうですね。うふふっ、折角なので、どっちも勝ちにしましょう♪」クイッ

CPアイドル達「……」

卯月「……」

未央「しまむー、ナイスファイト!」

卯月「あの……ちょっと今、そういうのは」

未央「……ごめん」

卯月「……いえ、こちらこそ」

未央・卯月「……」

楓「あら? なんだか急に静かになった気が……」

武内P「? 皆さん、どうかされましたか?」

CPアイドル達「……」

美波「……こうなったら、リーダーの私が――」

セックス「――なんとかするしかない!」

アーニャ「ニェット! いけません、美波!」

セックス「でも、他に方法が!」

アーニャ「私、知ってます! キュンキュンと、ジュンジュンは違うもの、です!」

セックス「……そうね」

美波「ごめんなさい……また、一人で突っ走っちゃう所だったわ」

セックスは禁止ワードじゃないのか
申し訳ない、調査不足でした

みく「みくのストライキ話も弱いし……」

李衣菜「私も……なつきちとの方が喋ってる」

蘭子「私と我が友は、魂の共鳴を果たした!」ムフー!

智絵里「うぅ……二人以上の話が思いつかない」

かな子「クッキー美味しい~♪」

きらり「きらりもぉ、クレープ食べてくれなかったにぃ」

莉嘉「アタシ達も、仲が良いけど……」

みりあ「キュンキュンとは違うよねー」

杏「期待出来るのは、色々あったニュージェネだよねー」

CP達「……」ジッ

凛「……」

凛「えっ?」

未央「――しぶりん! 最後の望みをしぶりんに託すよ!」

凛「待って」

卯月「凛ちゃん、頑張ってください!」

凛「待ってったら!」

CPアイドル達「レッツゴー、キュンキュン!」

凛「ちょっ、ちょっと!?」

楓「うふふっ、最後は貴女?」

武内P「あの……完全に悪役のようになっていますが、良いのですか?」

楓「一度やってみたかったんです♪」

武内P「……」

凛「えっと……その……」

一同「……」

凛「な、何度もスカウトに来てくれたり?」

一同「……」

凛「アイドルをやる楽しさを知るきっかけを作ってくれて……その」

一同「……」

凛「感謝してるし、それに、ずっと見ててくれるって……」

一同「……」

凛「何か言ってよ! この状況は何なの!?」

凛「その……何ていうか……」

一同「……」

凛「えっと……何で誰も何も言わないの!?」

一同「……」

凛「だから……もう、何で……!?」

一同「……」

凛「……ありがとうございます……!///」

CPアイドル達「パーフェクトキュンキューン!」

凛「怒るよ!?」

楓「……とても、良い輝きだったわ凛ちゃん」

パチパチ!

凛「楓さん、あの……拍手はやめてください」

未央「ブラーヴォ! ブラーヴォしぶりん!」

パチパチ!

凛「なんで未央まで拍手するの!? あと、発音がイラッとするから!」

卯月「うぅ……凛ちゃ~ん……ぐすっ!」

パチパチ!

凛「卯月まで拍手……って、なんで泣いてるの!?」

一同「……!」

パチパチパチパチ!

凛「やめて! 拍手しないで! やめてったら!」

CPアイドル達「……!」

パチパチパチパチ!

凛「いい加減にして! もう、本気で怒ったから!」


楓「……今日は、とても良いお話が聞けたし、見られました」

武内P「そう……ですか」

楓「こういうの、なんて言うんだったかしら……?」

武内P「このようなやり取りに、名前があるのですか?」

楓「確か、何とか戦争だったような?」

武内P「それはまた……物騒ですね」


凛「私は一人でもやる!」

凛「制裁を皆に……制裁戦争だよ!」


おわり

寝ます
おやすみなさい

悲しい話を書きます


「おはようございます」
「……おはようございます」


 薄く目を開けた彼が、私の挨拶に力なく応えた。
 低い声は、今ではもっと低くなり、かなりしゃがれてしまっている。
 私達、何度こうやって挨拶したんでしょうね。
 今ではもう……私もあまり思い出せないわ。


「高垣さん……何故、私の寝室に?」
「うふふっ、さあ? どうしてでしょう」


 それは、貴方が今ではそこから起き上がれないからですよ。
 だったら、私が来るしか無いでしょう?
 そうしないと、さっきみたいに挨拶する事も、こうやってお話も出来ませんから。


「いけません。私はプロデューサーで、貴女はアイドルです」
「……まあ!」


 貴方ったら、本当に懐かしい事を言うのね。
 貴方がプロデューサーで、私がアイドルだったのはもう遠い昔の事なのに。


「貴方には、今の私がアイドルに見えるんですか?」


 貴方が変わったように、私も大分変わってしまったわ。
 細かった手足はより一層細くなり、昔のようにステップなんか踏めやしない。
 あっ、元々そんなにダンスは得意じゃなかったっけ。


「ええ、勿論です」


 だと言うのに、この人は私をアイドルだと言う。
 迷いも躊躇いもなく、ハッキリと。
 それが照れくさくって、頬にかかった髪を軽くかき上げて誤魔化す。


「高垣楓さん。貴女は、いつでも最高のアイドルです」


 彼の表情は変わらない。
 そして、言う事も昔から変わらない。


「ですから、ここに居ては――……!」


 いけません、という言葉は咳き込みによって中断された。
 彼の体が無理をした事によって悲鳴をあげているのか。
 はたまた、彼の体が無理をしてでもその言葉を中断させたのか。


「良いんですよ。私は、此処に居ても」


 彼の背中をさすりながら、染み込ませるように言った。


「……そう、ですか」


 とっても頑固だった貴方も、随分と素直になりましたよね。
 昔は小言混じりで渋々、といった感じだったのに。
 その小言を聞いて私が機嫌を悪くするから、言わなくなったんでしたっけ?


「貴女がそう言うのなら、そうするしかありませんね」


 咳も収まり、ふぅと息を吐き出すと、彼は言った。
 それを見て一安心。
 だって、貴方が苦しそうにしてる姿なんか、見たくありませんから。


「貴女は、本当に仕方の無い人だ」


 その言葉を聞いて嬉しくなってしまう。
 でも……貴方は、私が機嫌を悪くするから小言を言わなくなったんじゃないのね。


「ええ。私は、貴方に似て頑固ですから」


 言っても無駄だから諦めていた、と。
 今までも、そして今も私の粘り勝ちですね。


「私は……頑固でしょうか?」
「ええ、とっても」


 気付いてなかった、とは言わせませんよ。
 いつだって貴方は自分を曲げず、とても不器用に、真っすぐ生きてきたじゃありませんか。


 そんな貴方が、自分を曲げたのは一度きり。
 あの日、あの時、忘れられないあの瞬間だけです。


「そして、私もです。いえ、私の方が頑固です」


 だからこそ、今、こうやって二人で居られるんですよ。
 感謝してくださいね。
 私が、貴方を曲げられる程の頑固者だった事に。


「……」


 布団の中で彼の右手がある場所がモゾモゾと動いているのがわかる。
 きっと、首筋に手をやりたくて仕方ないのだろう。
 だけど、今の彼にそれをするだけの力は残っていない。


「……落ち着きますか?」
「……はい、とても」


 だから、私が代わりに彼の首筋に手をそっと添えてあげるのだ。
 手が冷たくてビックリしないよう、カイロで温めていた甲斐がありましたね。


「あと、一つ間違っていますよ」
「? はい、何が……でしょうか?」


 貴方は、間違っちゃいけない所を間違えてます。
 これだけは、絶対に訂正しておかないと。


「実は、私――」


 彼の耳元に口を寄せ、内緒話のように囁いた。


「――もう、高垣じゃないんですよ」
「……それは」


 彼は、私の言葉の意味を理解しようと思考を巡らせている。
 そして、すぐに答えに至ったのか、穏やかな表情で言った。


「おめでとうございます。幸せに、なってください」


 ありがとうございます。
 私は、とても幸せでした。


「貴女の旦那さんは、とても幸運な、幸せ者ですね」


 貴方は、自分を幸運だと思いますか?
 貴方は、幸せだったと思いますか?


「私の旦那さんは、幸運な幸せ者ですか」
「はい」


 貴方がそう言うのなら、間違いありませんね。
 大分薄くなってしまったのに、まだ立っている寝癖を撫で付けてあげる。


「私は……幸運な、幸せ者でした」


 彼のその言葉が耳に入った途端、目から涙が零れ落ちた。
 困ったわ、皺クチャのおばあちゃんなのに、もっと皺クチャになっちゃう。
 嗚呼、でも駄目、止められないわ!


「泣かないで、笑っていてください」


 彼が――皺クチャのおじいちゃんが言った。


「貴女はいつでも美しい、最高のアイドルですから」


 本当に、ずるい人。


「――はいっ♪」


 貴方にそう言われたら、出来る表情なんて一つしか無いじゃない。


「良い、笑顔です」


 彼もまた、良い笑顔だった。

  ・  ・  ・

 数日後、彼は静かに息を引き取った。
 その顔は穏やかで、誰かが、満足そうな顔をしてる、と言っていた。


「今日は、主人のためにお集まりいただきありがとうございます」


 実際、彼はやり遂げたつもりで逝ったのだ。
 だから、私は泣かないし、笑っていようと思う。
 それが彼の最後のプロデュースで、人生の担当アイドルの私の務めだ。


「皆さんには、彼を笑顔で見送って欲しいと思います」


 彼は、自分のために誰かが涙するのは良しとしないだろう。
 彼が好きなのは、笑顔だ。


 ……もう! やり遂げた気になってたようですけど、仕事が残ってますよ!
 けれど、サービス残業は許しません。
 残った仕事は私がやっておきますから、先に行って待っていてください。


「うふふっ♪ 嫁の私からの、用命です♪」


 こんな時に不謹慎だとは怒られなかった。
 だって、彼ならばため息混じりに私を許してしまうと、皆は知っているから。



おわり

次は下品下品なの書きます
休憩

書きます


武内P「話せません、彼女の名誉のために」

ちひろ「……でも、三人共凄く落ち込んでるんですよ」

武内P「……」

ちひろ「私にも、何があったのか知る権利があると思うんです」

武内P「……」

ちひろ「お願いします、教えてください」

武内P「……」

ちひろ「あの三人に……何があったのか」

武内P「……」

武内P「……そう、ですね」

ちひろ「! 話して、くださるんですか?」

武内P「しかし……名前は伏せさせて頂きます」

ちひろ「? 三人と、もう一人居たんですか?」

武内P「はい」

ちひろ「では……その子の名前は伏せるという事で」

武内P「ありがとうございます」

武内P「では……何があったのか、お話させて頂きます」

  ・  ・  ・
車内

武内P「――皆さん、Jヶ崎さんの様子はどうですか!?」

未央「駄目! もうM嘉ねぇ顔が真っ青だよ!」

卯月「M嘉ちゃん、頑張ってください!」

凛「M嘉、しっかりして!」

M嘉「ごめん皆……もう、限界かも」

武内P・未央・卯月・凛「!?」

M嘉「ヤバイ、出る★」

  ・  ・  ・

ちひろ「――ストップ」

武内P「? はい」

ちひろ「あの……名前」

武内P「名前が……どうかしましたか?」

ちひろ「それに……★が」

武内P「★が……どうかしましたか?」

ちひろ「……続けてください」

武内P「はい」

  ・  ・  ・
車内

武内P「急な腹痛……早くトイレに……!」

M嘉「あっ、ヤバい、もうチョーヤバい」

未央「もう無理だよ! 全然余裕ないもん!」

卯月「どうしましょう!? 教えてください、プロデューサーさん!」

武内P「わ、私のカバンにスタドリが入っています!」

凛「!……あった! スタドリ50!」

武内P「それを使えば、少しは楽に――」

卯月「――はいっ! 栓をしました!」

武内P「何故!?」

凛「何故って、使えって言うから!」

武内P「スタドリは飲み物です!」

卯月「頑張りました♪」

未央「ナイスしまむー!」

武内P「っ、大丈夫ですかJヶ崎さん!?」

M嘉「痛い……! 痛い……!」

武内P「そうですよね! その通りだと思います!」

未央「痛いって……大丈夫、M嘉ねぇ!?」

M嘉「無理……! 無理……!」

凛「でも、これで一先ず危機は去ったね」

卯月「はい、良かったです」

M嘉「ぎいいい……!」

武内P「Jヶ崎さん、バックミラー越しに私を睨まないでください!」

未央「いやー、一時はどうなるかと思ったよ!」

凛「プロデューサーのおかげだね」

卯月「はいっ♪ 20や30じゃなく、50だから安心ですね」

M嘉「ぐゆううう……!」

武内P「何故、私が悪い感じに!?」

未央「当日限定のスタドリ50、ナイスプロデューサー!」

M嘉「かあああ……!」

武内P「お願いします! もう煽らないでください!」

M嘉「は……吐きそう……!」

未央・卯月・凛「!?」

武内P「恐らく、異物感が原因かと……」

未央・卯月・凛「プロデューサー!?」

M嘉「ごおおお……!」

武内P「その、信じてたのに! と言うオーラはやめてください!」

M嘉「お、おえっ……!」

凛「ああっ、えづき出した!」

武内P「! わ、私のカバンの中に、ビニール袋があるはずです!」

卯月「!……ありました!」

武内P「その袋の中に――」

凛「――入ってたメロンパンを口に詰めたよ!」

武内P「何故!?」

卯月「何故って、それ以外に方法が!」

武内P「袋だけを使えば良かったんです!」

凛「でも上も下も栓はした。これで安心だね」

未央「ナイスしぶりん!」

武内P「っ、大丈夫ですかJヶ崎さん!?」

M嘉「ゴフー……! ゴヒュフー……!」

武内P「大丈夫なわけがないですよね! わかっていましたとも!」

未央「大丈夫M嘉ねぇ、息、苦しくない!?」

M嘉「ゴヒュー……! フゴフー……!」

卯月「でも、これで一安心ですね」

凛「もうすぐ事務所に着くね、良かったよ」

M嘉「ゴフフー……! ヒュゴー……!」

ぷるぷる…!

武内P「Jヶ崎さん、どうして私を指差しているんですか!?」

未央「いやー、備えあれば憂い無しってこのことだね!」

卯月「やっぱりプロデューサーさんは凄いです♪」

凛「メロンパン。しかも、バターメロンパンなのは驚いた」

M嘉「……!……!」

ぷるぷる…!

武内P「!? 指の動きが……呪!? 私を呪っているのですか!?」

未央「おまじない、の方じゃない?」

M嘉「……!……!」

ぷるぷる…!

武内P「そういった可愛らしさは微塵も感じません!」

   ・  ・  ・

ちひろ「それは……大変でしたね」

武内P「はい。何故か私が城ヶ崎さ……Jヶ崎さんに恨まれる結果に」

ちひろ「名前言っちゃってますよ、それ」

武内P「それで……皆さんは落ち込んでいるようです」

ちひろ「?」

武内P「彼女が私を恨むのを止められなかった、と」

ちひろ「それは……大変ですね」

武内P「私は……どうすれば良かったのでしょうか」

ちひろ「プロデューサーさんは悪くありませんよ!」

武内P「千川さん?」

ちひろ「今回の事でプロデューサーさんを恨む人が居たら、私がガツンと言ってあげます!」

武内P「そう……ですか」

ちひろ「はい!」

武内P「――だ、そうです。城ヶ崎さん」

バサッ


美嘉「……!……!」

ぷるぷる…!


ちひろ「……」

ちひろ「えっ?」

美嘉「……!……!」

ちひろ「こ、これは一体……!?」

武内P「判断に困る案件なので、持ち帰ってきました」

美嘉「……!……!」

ちひろ「事務所に直接持って帰ってこないでください!」

武内P「お願いします、ガツンと」

美嘉「……!……!」

ぷるぷる…!

ちひろ「!? なんで私を呪ってるんですか!?」

ちひろ「別に縛られてる訳じゃないんだから、トイレに行きましょう、ねっ!?」

美嘉「……!……!」

ぷるぷる…!

ちひろ「指の動きが……『ムリ』? いやいや、頑張りましょう!?」

武内P「さあ、ガツンと」

ちひろ「こんな状態の子に、何と言えと!?」

武内P「私は悪くない、と。そう、お願いします」

ちひろ「明らかに悪いですよ!」

美嘉「……!……!」

ぷるぷる…!

ちひろ「イヤアア! 美嘉ちゃんの中で、私が悪い感じになってる!?」

ちひろ「とっ、とにかく! 早くなんとかしましょう!」

グイッ!

美嘉「!?」

武内P「!? いけません! 無理に動かしては!」

ちひろ「――えっ?」

美嘉「……」

ぽろっ

美嘉「……」

しゅぽんっ!

武内P「栓が外れて――!」

ちひろ「……い……イヤアアアアアア!」

   ・  ・  ・

武内P「――と、言うのが今回の話の全てです」

専務「それは……また……」

武内P「わかって頂けましたか」

専務「……あまりにも品性に欠ける、汚い話だな」

武内P「私は即座に10メートル離れましたので、問題ありません」

専務「そうか……そうか?」

武内P「責任は全て千川さんにあります」


武内P「話しました、私の名誉のために」



おわり

まだ下品は続きます
休憩

うんこちんこまんこのうんこしかこないのはなんかこだわりが?

>>233
SS速報VIPは全年齢の板なので、ローカルルール遵守のつもりです
まんこはアウトになりやすいと思い、ちんこはビビってます
なのでちんこ書きます


武内P「私の股間は、気にしないでください」

アイドル達「……」スッ

武内P「お願いします、気にしないでください」

未央「あの……」

武内P「どうしましたか、本田さん」

未央「……それ、セクハラ?」

武内P「違います。朝起きたら、こうなっていました」

アイドル達「……」

卯月「あの……」

武内P「どうしましたか、島村さん」

卯月「……何か、入れてるんですか?」

武内P「違います。朝起きたら、こうなっていました」

アイドル達「……」

武内P「朝起きたら、1メートルを越していました」

アイドル達「……」

凛「ねえ……」

武内P「どうしましたか、渋谷さん」

凛「……病気?」

武内P「はい。おちんちんでかいでかい病です」

アイドル達「!?」

武内P「プロデューサーが稀にかかる奇病です」

アイドル達「……!?」

美波「あの……」

武内P「どうしましたか、新田さん」

美波「……触ってみても、良いですか?」

武内P「いけません。あくまでも、これはちんこですので」

アイドル達「……」

武内P「いけませんよ、皆さん」

アイドル達「……」

アーニャ「あの……」

武内P「どうしましたか、アナスタシアさん」

アーニャ「……痛かったりは、しないんですか?」

武内P「はい。普段と、感覚は変わりません」

アイドル達「……」

武内P「見苦しい姿で申し訳ありません、皆さん」

アイドル達「……」

蘭子「あの……」

武内P「どうしましたか、神崎さん」

蘭子「我が友の世界樹は、元の姿を取り戻せるのか?」

武内P「はい。明日には、戻っていると思います」

アイドル達「……」

武内P「なので今日だけ。一日限りですね」

アイドル達「……」

杏「あのさ……」

武内P「どうしましたか、双葉さん」

杏「貧血とか、大丈夫なわけ?」

武内P「はい。私はプロデューサーですから」

アイドル達「……」

武内P「そもそも、そうでなければ、おちんちんでかいでかい病にはかかりませんが」

アイドル達「……」

武内P「……冗談のつもりだったのですが、難しいですね」

智絵里「あの……」

武内P「どうしましたか、緒方さん」

智絵里「なんだか可愛いので……撫でて良いですか?」

武内P「いけません! これは、あくまでもちんこです!」

アイドル達「……」

武内P「皆さんはアイドルです。絶対にいけませんよ」

アイドル達「……」

かな子「あの……」

武内P「どうしましたか、三村さん」

かな子「ワッフルを焼いてみたんです」

武内P「いけません。カロリーオーバーです」

アイドル達「……」

かな子「ワッフル美味しい~♪」

武内P「いけません」

ブルンッ! バシッ!

かな子「ああっ!? ワッフルが―!?」

アイドル達「……ちんこではたき落とした……!?」

きらり「あの……」

武内P「つつつ……! やはり、ちんこはちんこでしたね……!」

きらり「やっぱり痛かったのPちゃん!? 痛いの痛いのぉ~」

さすさすっ

武内P「!? い、いけません! ん、んんっ!」ビクビクッ!

アイドル達「!?」

きらり「飛んでけ~☆」

武内P「うっ!」ビクンッ!

アイドル達「!?」

武内P「……ふぅ。諸星さん、触ってはいけませんと言いましたよね」

アイドル達「……!?」

みりあ「ねぇねぇ」

武内P「どうしましたか、赤城さん」

みりあ「なんだか、さっきよりちっちゃくなってない?」

武内P「すぐに元に戻ってしまいます。残念ですが」

アイドル達「……」

武内P「……ご覧の通り、元通りです。今日一日はこうなのです」

アイドル達「……」

莉嘉「ねえ……」

武内P「どうしましたか、城ヶ崎さん」

莉嘉「お姉ちゃんに、写真送っていい?」

武内P「いけません。男性の股間を撮影するのは、よろしいとは言えませんよ」

アイドル達「……」

武内P「本当に申し訳ありませんが、今日だけですので」

アイドル達「……」

みく・李衣菜「あの」

武内P「アスタリスクのお二人も、私のちんこに関する質問ですか?」

みく・李衣菜「!?」

武内P「そんなに、興味がお有りですか?」

みく・李衣菜「……何でもないです」

武内P「それを聞いて安心しました」

アイドル達「……」

武内P「それでは皆さん、今日も一日よろしくお願いします」

アイドル達「……」

武内P「……皆さん?」

武内P「あの……まだ、何か?」

未央「私も触ってみたい!」

武内P「!? 本田さん、何を……!?」

卯月「きらりちゃんだけ、ずるいです!」

武内P「あれは、事故のようなもので……!」

凛「逃げないでよ! アンタ、プロデューサーでしょ!?」

武内P「落ち着いてください!」

アイドル達「触りたい! 私も触りたい!」

武内P「皆さん、どうか落ち着いてください!」

武内P「これは、あくまでもちんこなんですよ、皆さん!」

美波「でも、今日しか触るチャンスは無いんですよね!?」

武内P「チャンス!? そう思ったのですか!?」

アーニャ「ダー! 限定、はとても心がひかれる言葉、です!」

武内P「ですがちんこです! ちんこなんですよ!?」

蘭子「ふっふっふ! さあ、我が腕の中でイキ絶えるがよい!」

武内P「なんですか、そのドスケベゾーマは!?」

アイドル達「……!」

武内P「こ、来ないで……来ないでください……!」

智絵里「フォーメーション・クローバー!」

武内P「!? 囲まれた!?」

かな子「ワッフル美味しい~♪」

武内P「! 三村さんがワッフルに夢中……四葉ではない!」

杏「捕まえたら、後で杏にも触らせて~」

武内P「参加者がそもそも一人!? フォーメーションとは一体!?」

アイドル達「逃がすな―!」

武内P「くっ……早く逃げなくては……!」

みく「おっと、Pチャン!」

李衣菜「ここは通しませんよ!」

武内P「あんな所で、100万回生きた猫とロックの神様が戯れている!?」

みく・李衣菜「えっ、どこどこ!?」

武内P「お二人を見ていると、たまにとても不安になります」

武内P「しかし、これで逃げ道は確保出来――」


ガチャッ


武内P「!?」


ちひろ「おはようござ――」


キンッ!


ちひろ「? 何かに当たった……?」


武内P「」

ちひろ「ぷ、プロデューサーさん!?」

武内P「」

ちひろ「わ、私がドアを開けた拍子にぶつかって……!?」

武内P「」

ちひろ「これは、おちんちんでかいでかい病!?」

武内P「」

ちひろ「大変……それなのに、思いっきりぶつかっちゃうなんて!」

武内P「」

アイドル達「……」

ちひろ「しっかり! しっかりしてください、プロデューサーさん!」

さすさすさすさすっ

武内P「……ん、んんん……!」ビクビクッ

アイドル達「……蘇生した!」

ちひろ「目を覚ましてください、プロデューサーさん!」

さすさすさすさすっ

武内P「……うっ! うっ! うっ! うっ! うっ! うっ!」ビクビクビクビクッ!

アイドル達「!?」

ちひろ「頑張ってください、プロデューサーさん!」

さすさすさすさすっ

武内P「うっ! うっ! うっ! うっ! うっ! うっ!」ビクビクビクビクッ!

アイドル達「死んじゃう! 死んじゃう!」

ちひろ「起きてください! 目を開けてください!」

武内P「うっ! うっ! うっ! うっ! うっ! うっ!」ビクビクビクビクッ!

武内P「――うっ!……ふぅ」

武内P「」

ちひろ「プロデューサーさん!? ぷ、プロデューサーさあああん!」

アイドル達「……」

  ・  ・  ・

武内P「……昨日は、おかげで助かりました」

ちひろ「もう、しっかりしてくださいね!」

武内P「いつもありがとうございます、千川さん」

ちひろ「私があんな事するの、貴方だけなんですから///」

武内P「……」


ガチャッ!


まゆ「助けてくださいっ!」


武内P「……佐久間さん?」

まゆ「あの……」

武内P「どうしましたか、佐久間さん」

まゆ「……まゆのプロデューサーさんの股間が、その」

武内P「……彼も、ですか」

まゆ「彼も……?」

武内P「佐久間さん、彼は今、どこにいますか?」

ちひろ「……行くんですか?」

武内P「同期が困っているのは、見過ごせませんから」

まゆ「教えてください。何が起こってるんですか? 病気なんですか?」


武内P「はい。おちんちんでかいでかい病です」



おわり

休憩

甘いの書きます


「~♪」


 吹き付ける風がとっても気持ちよくて、思わず歌ってしまう。
 伴奏は、風と、揺れる木々が奏でる音。
 それに合わせてランランと歌うだけで、特に曲は意識していない。
 ふふっ、これじゃあアイドル失格かしら?


「高垣さん」
「はい、何ですか?」


 観客は一人だけ。
 背の高い、無表情で、とっても可愛らしい彼だけ。


「あまり遠くに行くと、戻るのに時間がかかってしまいます」
「は~い♪」


 私達は、田舎の温泉街に来ている。
 ……と言っても、彼の担当する子達も一緒のロケ。
 此処には、お仕事で来ているのだ。


「あの……」
「うふふっ、だって、こんなに綺麗な空気の中をお散歩しないなんて、勿体ないと思いません?」
「……」


 彼は、右手を首筋にやりながら、困った顔をした。


 けれど、あんまり困らせちゃ可哀想よね。
 だって、彼には無理を言って付き合ってもらってるんですもの。

 ……それにしても失礼しちゃうわ!
 高垣さんを一人で散歩に行かせるのは不安だ、って皆口を揃えて言うのよ。
 私だってね、子供じゃないんですから。


「私も、そう思います」
「ですよね!」


 あっ、話してた事と話してた事の答えが一緒で、大げさに答えちゃった。
 でも、この人も散歩するのは悪くないと思ってるのは、嬉しい。
 私の我儘に付き合わされてると思われるより、断然良い。


「ですが……残念ですが、もう戻りませんと」
「……はーい」


 渋々といった体で返事をしたけど、私だってわかってたのよ。
 だけどしょうがないじゃない。
 こんな機会、滅多に無いんだもの。


「撮影が終わったら……良い日本酒を用意していますので」
「まあ! 本当ですか?」
「はい」


 それを早く言ってくれれば良いのに!


「おっさけ~♪ おっさけ~♪」


 行きも帰りも楽しいというのは、とても素晴らしい散歩だと思う。
 見慣れない光景を映して進むのはワクワクするし、
戻ってからの楽しみがあると思うと、同じ光景なのに帰り道もまた違って見える。
 楽しみすぎて、歌に歌詞がついちゃったわ。


「戻ったら~♪ 温泉~♪ おっさけ~♪」
「……」


 少し後ろを歩く彼から、呆れるような気配が漂ってくるが気にしない。
 だって、今私がこんなにご機嫌なのは彼のせいなんですもの。
 呆れる資格なんて、ありませんからね。


「前半の撮りとテンションが違いすぎてしまうと思ったので……黙っていたのですが」
「私にお酒があると伝えて、失敗だと思いました?」
「半分成功で、半分失敗ですね」
「……?」


 どういう意味かしら?


「今の高垣さんは、とても良い笑顔をしていますから」
「あら、だったら次の機会があれば、今度は最初からお酒を――」
「――飲んでいて良い……と、言うと思いますか?」


 思いません。
 思いませんけど、


「ただ、言ってみただけです。うふふっ、タダ酒は美味しいって言うでしょう?」
「……」


 そんな、旅館への帰り道の途中で、ベンチに腰掛ける二人を見かけた。
 とても可愛らしいおじいちゃんとおばあちゃんで、穏やかに、とてもゆっくりとした時間を過ごしている。
 二人共浴衣姿なので、ご旅行にでも来てるのかしら。


「――こんにちは」


 おじいちゃんの方が、こちらの姿を見ると挨拶してきた。
 左手に杖を持ち、右手で帽子をひょいと持ち上げるのがとても様になっている。
 でも、挨拶されるとは思わなくて、ビックリしてすぐには返せない。


「――こんにちは」


 少し後ろから、彼の低い声が聞こえた。
 とっさの挨拶にもすぐ返せるのは、職業的なもの?
 私だってアイドルだけど……ちょっと、人見知りなのだ。


「こんにちは。ご夫婦で、ご旅行ですか?」


 だけど、ここで何も言えないでは負けた気がする。
 だから、挨拶に続く言葉は私が先に言ってやるんだから。


「こんにちは。ええ、ごめんなさいね。この人ったら、美人を見るといつもこうなの」
「まあ、私もそういう人に心当たりがあります」


 私達の視線に、おじいちゃんは帽子で顔を隠し、彼は右手を首筋にやって返した。


「あら、とっても真面目そうに見えるのに!」
「……」


 おばあちゃんが驚いているが、事実だから彼は何も言い返せずにいる。
 可愛い子が居たら、すぐ笑顔が見たいって声をかけますものね。


「あいや! そいつはイカンよキミ!」


 おじいちゃんも、自分への追求を恐れてか彼へと口撃。
 ……した途端、隣に居たおばあちゃんに腕をつねられている。
 それがとても仲睦まじく、様式美のような流れに見えるのは、いつもの事だからだろう。
 うふふっ、とっても簡単に想像出来るのが不思議ね。


「おぉ、痛い痛い!」
「貴方が調子に乗るからですよ。人のことが言えますか」
「言えるともさ」


 おじいちゃんは、自信満々に言い切った。


「お前とこんな歳まで一緒に居るんだ。そりゃ言えるよ」


 呵呵と笑うおじいちゃんを、おばあちゃんは呆れ顔で見ている。
 私には、そんな二人がとても輝いて見えた。


「だからキミ。こんな美人の奥さんが居たら、目を離しちゃイカンよ!」


 美人の奥さん。
 それは……もしかして、私の事を言ってるのかしら?


「待ってください。私達は、夫婦では――」
「何? まだ結婚してないのかい?」
「まだ、という話でなく――」
「あいや! そりゃあ尚更目を離せんな!」
「……」


 彼が頑張って口を挟もうとしているが、おじいちゃんの勢いに押されっぱなし。
 その様子が可笑しくて、私は笑う事しか出来ない。
 本当は何か言わなきゃいけないんだろうけど、駄目、笑っちゃう!


「うふふっ!」


 まさか、お散歩の帰り道で、こんなに面白いものが見られるだなんて!


「あの……笑っていないで、助けてください」
「ご、ごめんなさい……ふふっ! でも……あぁ、おかしい、ふふっ!」
「……」


 彼は何も言わず、笑う私をただ見ていた。


「――ほら、あんまり引き止めちゃ悪いですよ」
「おおう、それもそうだな」


 おばあちゃんがおじいちゃんを窘めて、話はおしまい。
 あれだけ勢いがあったのに、ピタリとそれが止まるのは夫婦ならでは?


「いいえ、とても楽しいものが……うふふっ、見られましたから」
「そう言って頂けると助かります。主人も、余計な事を言っちゃったようですから」
「確かにその通り。キミ、すまなかったね」
「いえ……お気になさらず」


 心なしか、二人が彼に向ける視線が優しげになっている。
 さっきのやり取りで、そうなる理由があったかしら?
 けれど、優しげな視線を向けられて駄目な理由は無いわよね。


「それでは……失礼します」
「失礼します」


 私と彼は、二人揃って、おじいちゃんとおばあちゃんに軽く会釈。


「「良い旅を」」


 それに対して、綺麗に揃った二つの声が返された。
 私達は旅行で此処に来ているのでは無いし、この人達が思うような関係ではない。
 でも、それを今言うのは野暮というもの。
 だから、今はこう返すのが正解。


「「良い旅を」」


 二つの声が、綺麗に揃った。

  ・  ・  ・

「とっても可愛らしい方達でしたね」
「……はい。私も、そう思います」


 もうすぐ旅館に到着する。
 お散歩は、帰り着くまでがお散歩だ。


「夫婦と間違われちゃいましたね」
「……」
「そんなに熱々に見えたのなら、ふぅふぅしないといけませんね」
「そうですね……とても、困りました」


 ええ、それは見ていてわかりましたよ。
 だけど……うふふっ、思い出しても笑えちゃう。


「だけど、これから温泉です。ふぅふぅしても、また温まっちゃうわ」
「……確か、水風呂があったと思います」
「まあ! 冷たいことをおっしゃるのね!」


 あのおばあちゃんなら、こんな時どうするかしら?
 ……あっ、そうだわ!


「えいっ」
「痛っ!? た、高垣さん!?」


 こうやって腕をつねれば良いのよね。



おわり

これでどっこいだと思うので、次はテキトーに書きます
おやすみなさい

長くなりそうですが書きます



美波「乳首が感じるみたいなの」

アーニャ「知ってます」

美波「えっ? 知ってたの、アーニャちゃん?」

アーニャ「ダー。美波は、全身が感じます」

美波「も、もう! アーニャちゃんったら!///」

アーニャ「さあ、ロシア語の勉強を初めましょう」

美波「今の、プロデューサーさんの話なんだけどね」

アーニャ「詳しく」

美波「えーっと、この前はどこまで進んだっけ」

アーニャ「美波、詳しく」

美波「ん?」

アーニャ「ンー、美波? 美波、美波、ミィーナミ?」

美波「どうしたの、アーニャちゃん?」

アーニャ「ンンンミナミィ!」

美波「あははっ、ごめんごめん」

美波「それで、どこまで進んだっけ?」

アーニャ「パジャールスタ」

美波「どうか、お願いします……よね、意味は」

アーニャ「パジャールスタ」

美波「ん?」

アーニャ「プラジューセル、乳首、感じる、詳しく」

美波「ロシア語の勉強は良いの?」

アーニャ「ダー。構いません」

美波「えー、でもなぁ」

アーニャ「……美波、これを」

美波「これは……唐揚げ?」

アーニャ「ニェート。これは、ザンギです」

美波「ザンギ? へー、北海道の料理よね」

アーニャ「そして、ロシアの英雄でもあります」

美波「そうなの?」

アーニャ「ダー。これで、教えてください」

美波「日本語を?」

アーニャ「ラブライカを解散します」

美波「待って待って! ごめん、からかいすぎちゃった?」

アーニャ「美波は、ひどいです」

美波「ごめんね、アーニャちゃん」

アーニャ「美波は、歩くセックスです」

美波「もう! そんな事言うと、教えてあげないよ?」

アーニャ「美波は、とっても可愛いです!」

美波「調子が良いんだから、もう」

アーニャ「でも、どうしてプロデューサーの乳首が感じる、と?」

美波「それはね、実際に触って反応を見たからよ」

アーニャ「!?」

美波「こう、クリクリっと、ね」

アーニャ「イズヴィニーチェ、よく、わかりません」

美波「あれは……三日前の事だったの」

アーニャ「三日前? 確か、私達は休み、ですね?」

美波「うんうん」

アーニャ「まさか、美波。プロデューサーと、デートしましたか?」

美波「そっ、そんな事してないわよ!///」

アーニャ「イズヴィニーチェ……もっと、わからなくなりました」

美波「休みだったけど、約束があって事務所に行ったの」

アーニャ「約束……プロデューサーと?」

美波「いいえ、お友達と」

アーニャ「? それが、何故プロデューサーの乳首に?」

美波「事務所内の、エステに行ってみようって話になって」

アーニャ「美波! どうして呼んでくれなかったんですか!?」

美波「え、ええっ!?」

アーニャ「私も、エステ! 私も、プロデューサーの乳首!」

美波「だ、だってアーニャちゃん、北海道からお父さんが来るって……」

アーニャ「そんなのどうだって良いっしょや!?」

美波「アーニャちゃん、駄目よ」

アーニャ「……イズヴィニーチェ、取り乱しました」

美波「アーニャちゃん、気をつけようね」

アーニャ「美波……はい、パーパは大事にしないといけませんよね」

美波「あっ、そっちじゃなく」

アーニャ「?」

美波「北海道弁ならスラスラ話せるのは、誰にも知られちゃ駄目よ」

アーニャ「……ダー!」

美波「それじゃ、ロシア語の勉強しよっか♪」

アーニャ「美波の首は、綺麗で、とても細くて簡単に折れてしまいそう、です」

美波「それじゃ、続きを話そうか♪」

アーニャ「はい♪」

美波「事務所の前で集合した私達は、エステルームに向かったの」

アーニャ「……」

美波「エステルームは予約制で、人数分の予約を入れてたわ」

アーニャ「エステルーム……瑞樹の別荘、ですね?」

美波「常に予約が入ってるから、住んでるようなものよね」

アーニャ「脱線、させてしまいました」

美波「良いのよアーニャちゃん。今のが、話の鍵になってるから」

アーニャ「シトー?」

美波「その日はね、川島さんはロケで予約を入れてなかったの」

アーニャ「それで、美波達が予約を出来た?」

美波「いいえ。私達は、普通に予約出来たわ」

アーニャ「アー、だったら、何が鍵に?」

美波「普段居るべき人が居ない……つまり、一人分の空きが出来た」

アーニャ「! そこに、プロデューサーが!?」

美波「正解♪」

美波「受付に行ったらね、珍しい人が来てる、って言われて」

アーニャ「ダー。プロデューサーが、エステルームに行くとは思えません」

美波「なんでも、ちひろさんが無理矢理行かせたらしいの」

アーニャ「成る程。それなら、納得です」

美波「プロデューサーさんって、ちひろさんに弱いから」

アーニャ「乳首と、どっちが弱いですか?」

美波「乳首よ」

連投規制避けでゴハン行ってきます

美波「そんな事聞いたら、挨拶しないと、って」

アーニャ「ダー。挨拶、とても大事です」

美波「プロデューサーさんが居る部屋番号を聞いて」

アーニャ「皆で向かった、ですね?」

美波「そうしたらね、なんと……」

アーニャ「……ゴクリ」

美波「プロデューサーさん、寝てたのよ」

アーニャ「――ハラショー!」

美波「エステの最中だから、服なんて当然着てなくて」

アーニャ「ハラショー! 美波、ハラショー!」

美波「うふふ、ちょっと落ち着いてアーニャちゃん」

アーニャ「……イズヴィニーチェ、取り乱しました」

美波「だから、私達の姿を見たらプロデューサーさん、ビックリしちゃって」

アーニャ「……ん? 寝てた? ん?」

美波「咄嗟に、光の速さでカバンから睡眠薬を取り出して飲ませたの」

アーニャ「……ハラショー……!」

美波「せっかくリラックスしてるのに、悪いものね」

アーニャ「――美波!」

美波「――アーニャちゃん!」

パンッ!

美波・アーニャ「ハ~ア~ア~♪」

美波「……だから、プロデューサーさんは何も覚えてないの」

アーニャ「ハラショー、美波。これが、『Memories』の力、ですね!」

美波「う~ん、ちょっと違うかな♪」

アーニャ「アー、違いましたか♪」

美波「それに、嗚呼、なんてことでしょう」

アーニャ「美波、焦らさないでください」

美波「うふふ、アーニャちゃん、餌を待つワンコみたいで可愛いわ」

アーニャ「ガフガフ!」

美波「へー、ロシア語だとそういう風に言うのね」

アーニャ「ガフガフ!」

美波「やっぱり、ロシア語の勉強も大事よね」

アーニャ「美波。ロシアの猟犬は、凶暴、ですよ?」

美波「う~ん、なんだか喉渇いて来ちゃった!」

アーニャ「待っててください。キッチンに、ボルシシが」

美波「えっ!? ボルシチで喉を潤せと!?」

アーニャ「――どうぞ。口に、合うと嬉しいです」

美波「!? いつの間に……!?」

アーニャ「これが、アー、シンデレラの力です」

美波「へえ! やっぱり凄いわ、アーニャちゃん!」

アーニャ「美波、早く、続きを」

美波「えーっと、どこまで話したっけ?」

アーニャ「美波が、プロデューサーに盛った所まで、です」

美波「う~ん、やっぱり人聞きが悪いわよね、それ」

アーニャ「美波が、プロデューサーに穏やかな時間を与えた所まで、です」

美波「あっ、それ素敵ね!」

アーニャ「ダー。美波は、とても、良い事をしました」

美波「私達も……こうやって穏やかな時間を過ごせるようになったのよね」

アーニャ「美波。美波、美波? ミィ~ナミ?」

美波「あははっ、ごめんごめん」

美波「グッスリ眠ってるプロデューサーさんは、なんと」

アーニャ「……ゴクリ」

美波「なな、なんと!」

アーニャ「……ゴクリ」

美波「ななななな、なんとなんと!」

アーニャ「ウラー! ンー! ンー!」

ぐりぐりっ

美波「あいたたた! アーニャちゃん、頭でグリグリしないで~、あはは!」

アーニャ「ンー! ンー!」

美波「なんと!」

アーニャ「ンー! ンー!」

美波「……――仰向けに、寝ていたのです」

アーニャ「!」

ダダダダダッ!

美波「アーニャちゃん? 急に走って……窓の方に、何かあるの?」

ガラッ!

アーニャ「ハアアアアアラッショオオオオオオオイ!」

美波「近所迷惑だから、アーニャちゃん! 近所迷惑だから!」

アーニャ「……イズヴィニーチェ、取り乱しました」

…ガラッ

美波「うふふっ! でも、気持ちはわかるわ」

アーニャ「美波なら、きっとそう言ってくれると思いました」

美波「仰向けって事は……わかるでしょ?」

アーニャ「ほとんど裸……下半身には?」

美波「……――バスタオル、のみ」

アーニャ「……」

美波「アーニャちゃん?」

アーニャ「……美波……どうして、呼んでくれなかったのですか?」ポロッ

美波「な、泣かないでアーニャちゃん!?」

アーニャ「美波……私、ワガママ、言ってますね」

美波「ううん、そんなコト無い」

アーニャ「……そう、でしょうか?」

美波「でも、もしもアーニャちゃんが私の立場だったら?」

アーニャ「……アー、呼んでる間に目を覚ますかもしれませんね」

美波「だから?」

アーニャ「その場の人間だけで、楽しみます」

美波「……と、言うわけで、私はその場の三人で楽しむコトにしたの」

アーニャ「残念ですが、わかりました」

美波「でも、二人共真面目だから誘導には苦労したわ」

アーニャ「友達……私の、知っている人?」

美波「うん。文香さんと」

アーニャ「フミカ」

美波「ありすちゃん」

アーニャ「それはヤバいっしょ!?」

美波「やばいのは、今のアーニャちゃんの喋りよ」

アーニャ「……イズヴィニーチェ、取り乱しました」

美波「でも……う~ん、何かまずかったかしら?」

アーニャ「フミカは大丈夫。合法です」

美波「うんうん」

アーニャ「アリスは駄目です。非合法です」

美波「あら、どうして?」

アーニャ「どうして……!?」

美波「こういうのって、気持ちの問題だと思うの」

アーニャ「ニェート、年齢の問題です」

美波「ありすちゃんは、大人であろうとしてるわ」

アーニャ「いけません。美波、それはいけません」

美波「だから、お姉さんである私達がしっかりしなきゃね!」

アーニャ「ニェート! 全然しっかり出来ていない、です!」

美波「そろそろ帰ろうかしら」

アーニャ「美波は、しっかり者です。美波は、とても可愛いです」

美波「うふふ、ありがとアーニャちゃん」

アーニャ「けれど……どうやって、二人を誘導したんですか?」

美波「そうね……こんな感じで」

アーニャ「これは……アー、小芝居、ですね」

美波「プロデューサーさん、寝ちゃってるわ。お疲れみたい」

アーニャ「睡眠薬のせい、です」

美波「ところで、私は左の乳首をいじるけど……二人はどうする?」

アーニャ「誘導の意味、間違えて覚えている気がします」

美波「こういう時はね、最初に主張しないと駄目なの」

アーニャ「プロデューサーの体を触ろうと、ですか?」

美波「?」

アーニャ「? 何か、おかしなコトを言ってしまいましたか?」

美波「えっ、あっ、ごめんなさい」

アーニャ「……?」

美波「何があろうと触るから、左乳首の権利を主張したの」

アーニャ「美波は、凄いです。しっかりしているにも、程があります」

美波「こういう時は、ちゃっかり、の方が合ってるかな」

アーニャ「それで、二人はどんな反応を?」

美波「私がそう言った途端……」

アーニャ「小芝居、ですね」

美波「右の乳首……もうコリコリしてます……」

アーニャ「早いです、フミカ」

美波「でも……問題だったのは、ありすちゃんなのよ」

アーニャ「ダー。アリスは、いやらしいのが許せない性格です」

美波「ありすちゃん、とっても真面目だから」

アーニャ「けれど、そこもとても可愛い、です」

美波「プロデューサーさんの股間を凝視してたの」

アーニャ「さっきの言葉は、アー、取り消します」

美波「でも、さすがにそれは触らせられないでしょ?」

アーニャ「安心しました。美波にも、まだ理性が」

美波「電車、まだあったかな」

アーニャ「あります。無かったとしても、走らせます」

美波「だからね、お姉さんだから譲ってあげたの」

アーニャ「……何を?」

美波「右の乳首を」

アーニャ「!? それじゃあ、美波は乳首がいじれない、です!」

美波「それは残念だったけど……でも、良いのよ」

アーニャ「美波……美波は、とても友達思い。優しい、素敵な人です」

美波「私は、残った股間を担当するから、ね」

アーニャ「美波。美波はとても欲深い、恐ろしい人です。けれど……」

アーニャ「……――ハラショー」

美波「眠ってるプロデューサーさんね、小刻みに震えてるの」

アーニャ「寒くて、ですか?」

美波「もう、とぼけちゃって」

アーニャ「うふふっ! プラスチーチェ!」

美波「文香さんとありすちゃん、一心不乱に乳首をいじってたわ」

アーニャ「イッシンフラン?」

美波「ええとそうね……こんな感じで」

美波「ンムフー! ムフー!」

アーニャ「ニェート、美波。その顔は、いけません。演技でも、駄目です」

美波「……でも、本当にこんな感じだったんだもん」プイッ

アーニャ「可愛い、です。いつまでも、その美波でいてください」

美波「うふふっ、ありがとっ♪」

アーニャ「……美波は、乳首を譲った」

美波「……そして、プロデューサーさんは乳首をいじられ感じている」

アーニャ「うふふっ! 想像しただけで、とても可愛い!」

美波「でもね、アーニャちゃん」

アーニャ「シトー?」

美波「可愛くなくなってってる所もあったの」

アーニャ「……?」

美波「アーニャちゃん、この間教えた事は覚えてる?」

アーニャ「美波、続きを」

美波「待って。大事な事だから」

アーニャ「……」

美波「アーニャちゃん、おちんちんの次は?」

アーニャ「ちんちん。その次が、おちんこ、です」

美波「次が、ちんこ、ちんぽ、おちんぽ、よね」

アーニャ「最後の二つは、アー、順番はどちらでも良い、ですね」

美波「そうそう! よく覚えてるわね、偉いわアーニャちゃん!」

アーニャ「スパシーバ。頑張って、覚えました」

美波「乳首をいじられたプロデューサーさんは」

アーニャ「……まさか、おちんぽに?」

美波「いいえ、違うの」

アーニャ「……アー、小さかった、です?」

美波「ううん、その逆」

アーニャ「逆? 美波、よく、わかりません」

美波「アーニャちゃんには教えてなかったけど、まだ上があるの」

アーニャ「上……?」

美波「ちんぼ。人は、尊敬と畏怖を込めてそう呼ぶ事があるのよ」

アーニャ「ちんぼ……!?」

アーニャ「ちんぼ……それは、どういう意味ですか?」

美波「ええと……とにかく凄い、って意味かしら」

アーニャ「とにかく凄い」

美波「そう」

アーニャ「美波は、ちんぼ可愛い。ちんぼ素敵」

美波「違う」

アーニャ「……日本語は、難しい、です」

美波「うん、ゆっくり勉強していこうね、アーニャちゃん♪」

アーニャ「……スパシーバ! 美波には、ちんぼ感謝しています!」

美波「ちんぼは一回忘れよっか」

美波「乳首をいじり倒す、文香さんとありすちゃん」

アーニャ「二人は、プロデューサーの、アー、変化に?」

美波「乳首しか見えてなかったわ」

アーニャ「二人の気持ちは、わかります」

美波「……つまり、目の前のモノは、私だけが自由に出来る」

アーニャ「ダー。美波の、アー、独壇場、です!」

美波「……でもね、そこで冷静になったわ」

アーニャ「!?」

美波「……チャンスだと、思ったんだけど、ね」

アーニャ「美波!? 一体、何が!?」

美波「思い出しちゃったの」

アーニャ「思い出した……?」

美波「ええ……アーニャちゃん、貴女の笑顔を」

アーニャ「美波……」

美波「ちんぼの向こうに、アーニャちゃんの笑顔が見えたのよ」

アーニャ「あの……何と言えばいいか、わからない、です」

美波「私達、いつも一緒だったわよね」

アーニャ「ダー」

美波「だけど……お互いソロ活動も増えてきたでしょ?」

アーニャ「……ダー、その通り、です」

美波「だからね、私だけちんぼを楽しんだら、駄目な気がしたの」

アーニャ「美波……」

美波「文香さんとありすちゃんみたいに、二人で楽しみたい、って」

アーニャ「その時、プロデューサーは?」

美波「打ち上げられた魚みたいに、ビックンビクンしてたわ」

美波「だから……私は、結局何もしなかった」

アーニャ「……美波!」

ぎゅっ!

美波「そんな顔しないで? 私、これで良かったと思ってるの」

アーニャ「ニェート! 私、美波の足をひっぱってしまいました!」

美波「うふふっ、違うわよアーニャちゃん」

アーニャ「美波……?」

ティロンッ♪

アーニャ「……LINE?」

美波「私達は、二人でラブライカ」

美波「そして私達は――シンデレラプロジェクトのメンバーだもの!」

  ・  ・  ・

美波「――対象、Pの様子は?」

「グッスリ眠ってるよ! いやー、お疲れ様だよねぇ!」
「プロデューサーさん、いつも頑張ってますから♪」
「ふーん。寝顔、こんな感じなんだ」
「幸せの……お呪いで起きないですね」
「クッキー美味しい~♪」
「仕事は面倒だけど、こういうのは大歓迎だよ~!」
「も~う! お仕事も頑張らないと駄目だにぃ!」
「ねぇねぇ、これ入るかな?」
「えへへっ! 後でお姉ちゃんに自慢しよー☆」
「あかん……これは大物にゃ」
「ロック……いや、ビッグすぎるよプロデューサー!」

アーニャ「美波……これは、一体……?」

美波「あら、だってアーニャちゃん言ってたじゃない!」


美波「呼んで欲しい、って」


おわり

休憩

>>307
誤)美波「右の乳首を」

正)美波「左の乳首を」

一回ちんこを書いて、もしやと思い昔の形式で書いたらスラスラ書けました

書きます


凛「……もう、寝ちゃってるかな」

凛「もうすぐ……0時、か」

凛「……」

凛「LINEしたら、迷惑かな」

凛「……」

凛「もう! なんでこんなに悩まなきゃいけないの!」

凛「……クリスマス」

凛「……」

凛「仕事なのは、うん、わかってる」

凛「……」

凛「終わった後に、時間……」

凛「……」

凛「……無い、よね」

凛「クリスマスは、LIVEがあって」

凛「……」

凛「終わったら、すぐ帰らなきゃいけない」

凛「……」

凛「私は……まだ15歳の高校生だから」

凛「……」

凛「だから、クリスマスはLIVEが終わったら、それでおしまい」

凛「でも……」

凛「……」

凛「ちょっと位なら、良いと思う」

凛「……」

凛「でも、何て送れば良いんだろう」

凛「……」

凛「もう! 一時間前も同じこと言ってた!」

凛「大体、何で私が送らなきゃいけないの!」

凛「……」

凛「……言い出しっぺが、私だからだよね」

凛「……」

凛「普通はさ、未央が言い出すよね」

凛「……」

凛「未央に頼も……って、これも言ってたし!」

凛「『クリスマス、LIVEが終わったら』」

凛「……」

凛「『そのまま解散?』」

凛「……」

凛「いやいや、これじゃ『はい』って返ってくるだけだから!」

凛「……」

凛「ああっ!? もう、明日まで15分もない!?」

凛「どうしよう、何て送ろう……!?」

凛「……」

凛「『LIVEが終わったら、二人で』」

凛「……」

凛「二人じゃないってば、もう!」

凛「……」

凛「『LIVEが終わったら、一緒に』……って、これも何かやらしい!」

凛「落ち着こう。深呼吸しよう」

凛「……スー……ハー……」

凛「……先に、トイレに」

凛「……」

凛「行ってる時間は無いってば!」

凛「……」

凛「ちょっと、最初から考え直そう」

凛「LIVEが終わったら、って書き出しが駄目なんだと思う」

凛「……」

凛「『クリスマス、予定空いてる?』」

凛「――空いて無い! 仕事!」

凛「……」

凛「『クリスマス、楽しみだね』」

凛「――『良いLIVEにしましょう』で終わっちゃう!」

凛「『クリスマスは、キリストの誕生日だね』」

凛「……こんなの送られても困るだけだって!」

凛「『彼女とかいるの?』」

凛「これは聞く必要は無いかな。居ないよ、絶対」

凛「……」

凛「でも……もし、居たら?」

凛「……」

凛「もし、彼女が居たら……」

凛「……」

凛「いや、それは無いか」

凛「……って、もう5分も無い!?」

凛「さすがに直前に聞いても困るだろうし……!」

凛「……もう! なんで私がこんな目に!」

凛「……」

凛「なんて、言ってる場合じゃないから!」

凛「もう……何て送れば……」

凛「……」

凛「と、とにかく何か送らないと」

凛「……」

凛「でも、疲れて寝てるかも知れないし」

凛「……」

凛「だから! 早く! 送らないといけないんだって!」

凛「ああ、もう時間が……!」

凛「……ええい、テキトーで良いよもう!」

凛「……!」

凛「……」

凛「……間に合わなかった」

凛「……」

凛「! 既読がついた!」

凛「……」

ティロンッ♪

『はい、おやすみなさい』

凛「……」

凛「結局、おやすみなさい、としか送れてない!」

凛「ううっ……! もう、何で……!?」

凛「……」

凛「良いよもう……もう、寝よう」

凛「……」

凛「……」

ティロンッ♪

凛「LINE? どうせ未央でしょ、どうせ」

凛「……」

凛「!」

『連絡が遅れて、申し訳ありません。
 24日のLIVE終了後、簡単なクリス
 マスパーティーがあるそうです。渋
 谷さんも、参加出来るようならば、
 是非。夜分遅くに伝える事になって
 しまい、重ねて謝罪を。おやすみな
 さい。』

凛「……ふふっ、ビッチリ書いて、やっぱりおじさんだね」

凛「でも……うん、悪くないかな」

凛「……」

凛「ふふっ、楽しみだな」

凛「……」

凛「『凄く楽しみにしてる、おやすみなさい』と」

凛「……」

凛「あ、既読ついた」

凛「……」

凛「……待って。これだと、パーティーが楽しみみたいじゃない!?」

凛「でも、実際楽しみだし……」

凛「だけど……変に思われるかも……!?」

凛「……」

凛「何か……何か送らないと……!」

凛「『了解』……だけだとそっけないよね」

凛「……」

凛「あっ、この『OK』ってスタンプで良いかな」

凛「……よし、これでよし……あれ、可愛すぎ?」

凛「まずい、可愛すぎる!」

凛「何かもう一言! 一言で良いから!」

凛「……って、もうこんな時間!?」

凛「既読もつかないし……!?」

凛「……」

凛「寝た、のかな。そうだよね、もう遅いし」

凛「……私も寝よう。馬鹿みたいだもん」

ヒュポッ♪

凛「あ、スタンプ」

凛「……ぷっ! 『おやすみなさい』って、そのまますぎ!」

凛「……」


凛「……おやすみなさい、プロデューサー」



おわり

ちんこを書くきっかけをくれた>>233に感謝
チンポジがスパッと収まった、爽快な気分です
おやすみなさい

チンポジを気にする武内くんで一つ

前に書かれたお見合いの実行されたバージョンを是非見たいです。

つまり次はまんこ書くってこと?

まんこ書くにしても一回うんこ書かないとバランス悪いよね

聖水ネタってもう出てたっけ

書いた気になってました

>>317
>「さあ、宴の始まりぞ!」

これを名無しの最後に脳内でぶっこんどいてください


チンポジがベストに収まったため、恐らく、今後誤字脱字、書き漏らしが増えると思います
自分で気付いたり、ご指摘があれば適宜修正していきますのでご容赦ください


>>345書きます


武内P「んんっ……」モゾモゾ

武内P「ん……んんっ」モゾモゾ


アーニャ「美波。プロデューサーの様子が、変、です」

美波「大変、どうしよう」

アーニャ「大変? まさか……病気、ですか?」

美波「違うわアーニャちゃん」

アーニャ「では……どうしたのでしょう?」

美波「チンポジがしっくりきてないのよ」

アーニャ「チンポジ?」

武内P「んんぅ……」モゾモゾ


アーニャ「美波、チンポジとは、何ですか?」

美波「おちんちんポジション、の略ね」

アーニャ「おちんちんに、ポジションが?」

美波「ええ。それは、とっても大事なの」

アーニャ「プロデューサー……可哀想、です」

美波「ええ、とってももどかしそう」

武内P「……ん、んんっ」モゾモゾ


アーニャ「チンポジがしっくりこないと、どうなるのですか?」

美波「そうね……アーニャちゃんは、ブラがずれた事、あるわよね」

アーニャ「ダー。レッスンの時は、よく」

美波「あっ、たまにモゾモゾしてたのはそれだったのね」

アーニャ「恥ずかしい、です///」

美波「ブラが、ズレにズレてズレまくってる時の感覚、かな」

アーニャ「……ニェート、緊急事態、です!」

武内P「ん……んん」モゾモゾ


アーニャ「美波……どうにか、してあげられませんか?」

美波「私も、何とかしてはあげたいんだけど……」

アーニャ「プロデューサー、可哀想、です」

美波「でも、ああやっておちんちんを気にしてるプロデューサーは?」

アーニャ「とっても、可愛い、です!」

美波「うふっ! わかるけど、メッ! よ!」

アーニャ「イズヴィニーチェ、美波、内緒にしてください」

武内P「ん……」モゾッ


アーニャ「! 動きに変化がありました!」

美波「チンポジが、ベスポジになりつつあるみたい!」

アーニャ「ハラショー! プロデューサー、良かった、です!」

美波「! 待って、アーニャちゃん! あれを見て!」

アーニャ「!?」


武内P「んんん……!」モゾモゾッ!


美波「直ってきたと思ったら、余計にズレたみたい!」

アーニャ「……アー、絶望、です」

武内P「んっ、んんっ……!」モゾモゾッ!


アーニャ「美波! 美波、私、もう見てられない、です!」

美波「すっごく腰をクネらせてる……!」

アーニャ「ヴァプロース、どうすれば助けられますか!?」

美波「ああっ! もう、あんなに激しく……!」

アーニャ「……美波? 戻ってきてください、美波!」


ちひろ「――」

くいっ

武内P「ん……」スッキリ


美波・アーニャ「!?」

武内P「……」スッキリ


アーニャ「今……一体、何が……?」

美波「一瞬……そう、一瞬でちひろさんはチンポジを直したの」

アーニャ「そんな事が、アー、出来るのです?」

美波「私でも難しいわ」

アーニャ「美波でも……!?」

美波「でも、ちひろさんは、アイドルでもないのにやってのけた……!」

アーニャ「……ハラショー……!」

武内P「……ん」モゾッ


アーニャ「! また、です!」

美波「プロデューサーさんったら、元気すぎです///」

アーニャ「元気なのは、良いことですね?」

美波「でもほら、見て、アーニャちゃん」

アーニャ「シトー?」


武内P「んん……」モゾッ

もっこり


アーニャ「……アー///」

美波「ね、大変でしょう?」

武内P「んっ……」モゾッ


アーニャ「プラジューセル、アー、プロデューサーの、おちんちんが」

美波「とっても元気になっちゃってる」

アーニャ「美波、その、どうして元気に?」

美波「多分、チンポジを直そうとして刺激がいきすぎたのよ」

アーニャ「……ズボンが、パンパン、です」


武内P「んんっ……」モゾモゾッ


美波・アーニャ「!?」

武内P「ん……んんっ」モゾモゾッ


アーニャ「美波! ズレが、大きくなりました!」

美波「おちんちんが大きくなったから、ズレも大きいのね」

アーニャ「どう、しますか?」

美波「ちひろさん――」


ちひろ「……」ニコリ


美波・アーニャ「!?」

武内P「……ん、んっ」モゾモゾッ


アーニャ「美波!?」

美波「あの笑顔の意味……多分、私達にやれって言ってるのね」

アーニャ「ニェート! 出来ません!」

美波「でもほら、アーニャちゃん」


ちひろ「フンフーン♪」


美波「マニキュアを塗り直してる。全く動く気がないわ」

アーニャ「仕事中、ですよ!? とんだクソ事務員、です!」

武内P「……ん、んー」モゾモゾッ


美波「アーニャちゃん、そんな事言ったら駄目よ」

アーニャ「でも、プロデューサーが可哀想、です!」

美波「アーニャちゃん、チンポジを直すのは、業務外なのよ」

アーニャ「でも……でも……!」

美波「助けられるのは、私達だけ……」

アーニャ「美波……」

美波「……やりましょう! 私達の手で!」

アーニャ「……ダー!」

武内P「んんっ……ん」モゾモゾッ


美波「作戦を説明するわね」

アーニャ「美波は、とっても頼りになります」

美波「まず、アーニャちゃんがチャックを下ろす」

アーニャ「今の言葉は、取り消します」

美波「アーニャちゃん!?」

アーニャ「出来ない、です! 私は、美波ではありません!」

武内P「んー……んー」モゾモゾッ


美波「……それじゃあ、私がチャックを下ろすわ」

アーニャ「やっぱり、美波は凄いです」

美波「そしたら、アーニャちゃんがおちんちんをポロリさせる」

アーニャ「美波!? ミィナミ!?」

美波「えっ、どうしたの?」

アーニャ「美波は、どうかしています!」

武内P「んんぅ……んん」モゾモゾッ


美波「でもね、これしか方法は無いの」

アーニャ「……本当、ですか?」

美波「本当よ」

アーニャ「チンポジを直すのに、どうして、ポロリを?」

美波「残念だけど、ポジションをしっくりさせるのは不可能なの」

アーニャ「!?」

美波「だって……」


武内P「んっ、ん……」モゾモゾッ

もっこり!


美波「完全に、おっきくなってるから///」

アーニャ「……アー///」

武内P「んん、んんん!」モゾモゾッ!


美波「大変! また、ズレが大きくなったみたい!」

アーニャ「プロデューサー!? ガクガク、しています!」

美波「迷ってる時間は無いわ!」

アーニャ「でも……!?」

美波「思い出して、初めてのステージを!」

アーニャ「!」

美波「思い出して、私達の……『Memories』を!」

アーニャ「!!」

武内P「んんー、んんんー!」モゾモゾッ!


美波「頑張りましょう、アーニャちゃん!」

アーニャ「あの、思い出しましたが……」

美波「美波、行きます!」

アーニャ「特に何も、アー、得られるものが……」

美波「ちゃららん、ちゃららん♪ ちゃららん、ちゃらららん♪」

アーニャ「美波! 口で前奏を言わないでください!」


美波「ちゃららん、ちゃらん♪」

ジィッ!

武内P「んん、ん、んんー!」モゾモゾッ!


アーニャ「!? チャックを一瞬で下ろした!?」

武内P「んー! んー!」モゾモゾッ!

かぱっ


美波「ちゃらららん、ちゃらん♪」

アーニャ「えっ、えっ……!?」

美波「ハ~ア~ア~ア~♪」

アーニャ「あの……えっ……!?」

美波「ちゃららん、ちゃらん♪」

アーニャ「う、うう……」


アーニャ「ウラー!」


美波「!? 駄目っ、アーニャちゃん!」


がしっ!


武内P「!? お、おおあっ!?」ビクンッ!

武内P「……あ、アナスタシアさん!?」

アーニャ「プロデューサー、聞いて欲しい、です」

武内P「な、何故、私の股間を握って……!?」

アーニャ「気になったから、です」

武内P「私の股間が、ですか!?」

アーニャ「ダー」

武内P「!? いつの間に、チャックが!?」

アーニャ「美波が、やりました」

武内P「新田さんの姿は……見えませんが」

アーニャ「ステップを踏みながら、華麗に逃げました」

武内P「とにかく……手を離してください……!」

アーニャ「ニェート、それは出来ません」

武内P「何故!?」

アーニャ「元気なおちんちんでは、ポジションがおさまりません」

武内P「何を言っているんですか、アナスタシアさん!?」

アーニャ「そもそも、おちんちんが無ければ、ポジションは、気になりません」

武内P「!? た、助けてください! 助けてください、千川さん!」

アーニャ「とっくに、スタドリに乗って逃げました」

アーニャ「覚悟してください、プロデューサー」ニコリ

ぎゅっ!

武内P「……アナスタシアさん」

アーニャ「? 何ですか?」

武内P「貴女は、とても素晴らしいアイドルです」

アーニャ「それが、何か?」

武内P「私は、白い雪の妖精の様な、貴女の笑顔は輝いていると思います」

アーニャ「……プロデューサー?」

武内P「ですが、先程の笑顔は、そうは見えませんでした」

アーニャ「……」

武内P「確かに、白という色は時に残酷さを連想させる色です」

武内P「しかし、私は貴女と残酷という言葉は全く結びつかない、そう考えます」

武内P「貴女の輝き、白さとは、決して股間を握りしめながらの微笑みではありません」

アーニャ「……ダー」

…ぱっ

武内P「……アナスタシアさん」

アーニャ「……プロデューサー?」

武内P「取ろうとした方法は間違っていたかもしれません」

武内P「しかし、貴女の心遣い、優しさは……とても素晴らしい、輝くような白さだと思います」

アーニャ「……スパシーバ!」ニコッ

武内P「……良い、笑顔です」

   ・  ・  ・

武内P「……と、言うわけで、危うく股間をもぎ取られる所でした」

部長「はっは! キミのアイドルは個性的だねぇ!」

武内P「……」

部長「優しい事は結構だ。それは、大事にしてあげなさい」

武内P「……はい」

部長「……む、あそこに居るのは……」


専務「んんっ……」モゾモゾッ


武内P「何か……様子がおかしいですね」

部長「大変だ、これはまずいぞ」

専務「んんぅ……」モゾモゾッ


武内P「大変? まさか……病気、ですか?」

部長「違うよキミ」

武内P「では……どうしたのでしょう?」

部長「ブラがズレているんだ」

武内P「それは……」

部長「そんな彼女を見て、キミはどうするね?」

武内P「はい。勿論――」


武内P「放っておきます」



おわり

お風呂後に>>350書きます

315プロの石川Pにスカウトされる武内Pと
その話を聞いてアイドルになった武内Pの妄想をするアイドル達が見てみたい

>>350書きます


武内P「お見合い、でしたね」

楓「いいお天気で、良かったですね」

武内P「……」

今西部長「……うん、そうだね」

楓「……」

武内P「……」

部長「……」

部長「お見合い、だったんだけどね」

武内P「そう、ですよね」

楓「ええ、本当に」

部長「……」

武内P「……」

楓「……」

部長「お見合いとは、こうだったかね?」

武内P「ちが」

楓「個性、大事ですよね」

武内P「……」

部長「……そうだね、大事だ」

武内P「……」

楓「……」

部長「あちらは、驚いていたね」

武内P「……」

楓「うふふっ、お二人も、ですよ」

武内P「……」

部長「……大いに、驚いたよ」

武内P「……」

楓「……」

部長「怒っては、いなかったね」

武内P「本当に、有り難い事です」

楓「ええ、とっても」

武内P「……」

部長「……そうだね、良かったよ」

楓「……」

部長「むしろ、喜んでいたね」

武内P「はい、とても」

楓「張り切っちゃいました」

武内P「……」

部長「……うん、見ればわかるよ」

武内P「……」

楓「……」

部長「高垣くんは、彼に好意があるのかい?」

武内P「部長」

楓「? いえ、良い同僚だと思いますけど……」

武内P「……」

部長「……そうか、同僚、か」

楓「うふふっ、おかしな部長さん」

部長「……」

武内P「……」

部長「この際だから、ハッキリ聞こうか」

武内P「……」

楓「私に、ですか?」

武内P「……」

部長「その……なんで来ちゃったんだい?」

楓「ここは……ライトが暗すぎるわね」

部長「……」

武内P「……」

部長「お見合い、だったんだよ」

武内P「お見合い、でしたね」

楓「お見合い、だったんですね」

武内P「……」

部長「……知ってて来ただろう?」

楓「だから、私が輝かないとね」

部長「……」

武内P「……」

部長「バレないと、思ったんだけどね」

武内P「……」

楓「私、ビックリしちゃって」

武内P「……」

部長「……私達の方が、ビックリしたよ?」

武内P「……」

楓「……」

部長「挨拶が済んで……」

武内P「料理が運ばれて来て……」

楓「芸を披露するための、芸者が入ってきて……」

武内P「……」

部長「……キミだよ?」

楓「?」

武内P「……」

部長「あんなに、全力で」

武内P「……」

楓「ファンの前では、輝いてなきゃ」

武内P「……」

部長「……向こう様、ファンだったけどもね?」

楓「それが、アイドル――高垣楓だから」

武内P「……」

部長「……」

部長「結局、宴会になってしまったね」

武内P「……良い、宴会でした」

楓「お酒、我慢したんですよ?」

武内P「……」

部長「……うん、それはそうだね」

武内P「……」

楓「……」

部長「次にまた会う約束は……」

武内P「しました」

楓「!?」

バシバシ!

部長「したのかい!?」

武内P「はい」

楓「!」

バシバシ!

部長「あの、大盛り上がりの中で!?」

武内P「はい」

楓「!」

バシバシ!

部長「はっはっは! こいつは驚いた!」

武内P「……」

楓「!」

バシバシ!

部長「それで、何と約束したんだい?」

武内P「LIVEに行きたい、と」

楓「!」

バシバシ!

部長「……痛くないのかい?」

武内P「腕の感覚がもう無いので、大丈夫です」

楓「!」

バシバシ!

部長「そうか、LIVEか」

武内P「凸レーションのファン、だそうです」

楓「……?」

バシ……バシ……!

部長「ん? それは……」

武内P「彼氏と、行きたいと仰っていました」

楓「……」

バシ…………ペチッ

部長「彼氏が居たのかい?」

武内P「乗り気なのは、お父様だけだったようです」

楓「……」

部長「そう、だったのか」

武内P「あの空気になって助かったと、笑っていました」

部長「……」

楓「……」

部長「……キミには、悪いことをしたね」

武内P「いえ、そんな事は」

楓「……」

…サスリサスリ

部長「しかしだ」

武内P「仕事が恋人ですし、私は、こう、ですので」

楓「……」

…サスリサスリ

部長「よし、飲みに行こう! 私の奢りだ!」

武内P「はい、是非」

楓「……」

部長「おや、なんだか元気がないね?」

楓「……」

武内P「高垣さん。飲みに、行きませんか?」

楓「……!」パアッ


武内P「ビールを浴びーる程、飲みましょう」


楓「!?」

バシバシ!


おわり

>>353書きます
エロマンコは書きません


武内P「ニュージェネレーションズを解散したい!?」

武内P「待ってください!」

未央「ごめん、もう決めたから」

凛「悪いけど、もう限界」

武内P「一体、何があったんですか!?」

未央「……しまむーの」

凛「マンコが臭い」

武内P「!?」


武内P「……」

武内P「はい?」

武内P「いえ、あの……本田さん?」

未央「ごめんね、ワガママ言って」

武内P「ですが、いえ……渋谷さん?」

凛「毎日が輝いてたけど、毎日が異臭騒ぎなの」

武内P「……」

未央・凛「本気だから」

武内P「……」

武内P「あの……冗談、ですよね?」

未央「冗談で友達のマンコが臭いなんて言わないよ!」

武内P「ですが、それで解散というのは……」

凛「わかってない! アンタ、全然わかってない!」

武内P「……」

未央・凛「もう限界なの!」

武内P「……」

武内P「しかし、何故今になって……」

未央「私だって、最初は気づかなかったよ!」

武内P「どうして、気付いたのですか?」

凛「水着撮影の時、卯月がパンツを脱いだら、ガツンと」

武内P「ガツン……それは、臭いの表現でしょうか?」

未央・凛「脳が揺れる音」

武内P「……」

武内P「その、ご本人は……その事を知って?」

未央「しまむー、マンコ激臭だよ♪ とか言えないって!」

武内P「ですが……」

凛「だったら、プロデューサーから言ってよ」

武内P「!? 私から、ですか!?」

未央「そうだね。それで何とかなったら」

凛「解散はしない」

武内P「……!?」

武内P「で、では……体臭に気をつけるよう言ってみます」

未央「あ、体臭は全然問題ないから無駄だよ」

武内P「!?」

凛「むしろ、卯月はいい匂いがするよね。こう、甘い感じの」

武内P「待ってください! 臭いのは、その、あそこだけなのですか!?」

未央・凛「そう」

武内P「……!?」

武内P「で、では……デリケートゾーンの臭いに気をつけるよう」

未央「そんなの、普通は気にしないよね」

武内P「ですが……!」

凛「アイドルだから、彼氏とかにも言われないし、気にしないよ」

武内P「では……一体、どうしたら……!?」

未央・凛「解散」

武内P「……!?」

武内P「我慢する事は……」

未央「……ほら、見てよプロデューサー」プルプル

武内P「!? 本田さん、手が震えて……」

凛「卯月のマンコの臭いを思い出すとね、こうなるの」プルプル

武内P「そんなに!? そんなになのですか!?」

未央・凛「うん」

武内P「……!?」

武内P「しかし、私は何も感じた事はありませんが……」

未央「多分、しまむーのパンツが超高性能何だと思う」

武内P「はい?」

凛「未知のバイオテクノロジーが使われてる可能性は高いね」

武内P「あの……真剣に考えていますか?」

未央・凛「真剣だよ」

武内P「……」

武内P「……わかりました」

未央「解散!? イヤッホオオオオイ!」

武内P「私が、何とかしてみます」

凛「上げて落とすって、そんなのあり!?」

武内P「微塵も信用してくれていないのが、悲しいです」

未央・凛「……」

武内P「私を信じてください」

未央・凛「……」ヒソヒソ

武内P「……信じてください」

  ・  ・  ・

卯月「あの……お話って、何ですか?」

武内P「島村さんは、臭いというものについて、どうお考えですか?」

卯月「匂い、ですか?」

武内P「はい、臭いです」

卯月「えーっと、甘い香りは幸せだし、爽やかな香りはスーッとします!」

武内P「はい、そうですね」

卯月「……?」

武内P「では、嫌な臭いについては、どうお考えですか?」

卯月「えーっと、クサイ、とかですか?」

武内P「はい」

卯月「それは……お仕事に関する話、ですよね」

武内P「察しが早くて、助かります」

卯月「それは……あはは、ちょっと嫌ですね~」

武内P「……」

卯月「で、でも! お仕事のためなら、頑張ります!」

武内P「……そう、ですか」

武内P「島村さんの気持ちは、よくわかりました」

卯月「は、はぁ……」

武内P「私も頑張ります。なので、島村さんも、頑張ってください」

卯月「は、はい。えー……っと」


卯月「島村卯月、頑張ります♪」


武内P「では、パンツを脱いでください」


卯月「はいっ♪」


卯月「……」

卯月「はいっ!?」

武内P「一緒に、頑張りましょう」

卯月「ぷ、プロデューサーさん!?」

武内P「さあ、どうぞ」

卯月「じょ、冗談……ですよね?」

武内P「島村さん。私は、担当アイドルにそんな冗談は言いません」

卯月「ほ、本気なんですか!?」

武内P「はい。私は、貴女のプロデューサーですから」

卯月「う……えぅ……!?」

武内P「……」

卯月「あ、あの……」

武内P「……」

卯月「えっと……見るん、ですか?」

武内P「いいえ。決して見ません」

卯月「……で、でもパンツを脱ぐんですか?」

武内P「はい。お願いします」

卯月「あぅ……!?///」

武内P「島村さん、これは必要な事です」

卯月「……///」

武内P「島村さん」

卯月「……わ、わかりました///」

武内P「! ありがとう、ございます」

卯月「あの……他の子にも、こういう事言ってるんですか?」

武内P「いいえ。島村さん、貴女だけです」

卯月「わ、私だけ、なんですね……///」

武内P「はい。今までも、そして、これからも、貴女だけです」

卯月「……///」

武内P「少し、近くに寄っても宜しいですか?」

卯月「は、はい……///」

武内P「では……失礼します」

…スッ

卯月「あの……しゃがむんですか!?///」

武内P「はい。その方が、良いと思いまして」

卯月「う……うぅ///」

武内P「では――お願いします、島村さん」

卯月「は……はい……///」

武内P「……」


卯月「……///」

…スルッ


武内P「……別段、変わった臭いは――」


ガツンッ!


武内P「――どぅおっ!?」


ドンッ! ゴロゴロゴロゴロ……ドン!


卯月「!? 急に、プロデューサーさんが吹き飛んだ!?」

卯月「だ、大丈夫ですか!?」

武内P「だ、大丈夫です! 大丈夫ですので、そのまま! そのままで!」

卯月「で、でも……!?」

武内P「お願いします! お願いしますから、そこを動かずに!」

卯月「は、はい……」


武内P「……は、鼻……鼻」

さわさわ

武内P「ある……取れては、いない……ある」

武内P「……!」

武内P「本田さんと、渋谷さんは……あんな兵器と行動を共に……!?」

武内P「……お二人とも、すみません」

武内P「私が間違っていました……あれは、大変なものです」

武内P「例えるなら……ドブ」

武内P「ドブを3年程常温で放置した後、油でカラッと揚げて5年放置した臭いです」

武内P「何とかしなければいけないのは、わかります……しかし」


卯月「……!」オロオロ

ドブゥウウァアァァ


武内P「……あれは! あれは、もう!」

卯月「大丈夫ですか……プロデューサーさん……!?」オロオロ

ドブゥウウァアァァ


武内P「……島村さんの、私を心配する声が聞こえる」

武内P「嗚呼……しかし、もう視界が……」


『私、笑顔だけは自信がありますっ♪』


武内P「……これは……走馬灯……?」


『島村卯月、頑張りますっ♪』


武内P「そうですね……島村さん、貴女はいつも笑顔でした」

武内P「そんな貴女に心配そうな顔をさせては……いけませんね」

武内P「島村さん、今から、私は命を燃やします」

卯月「え、えっ?」

武内P「それにより、貴女はアイドルとして、今後も輝いていける」

卯月「ぷ、プロデューサーさん?」

武内P「いえ、今までよりも……もっと、大きく輝けるでしょう」

卯月「あの……何を……?」

武内P「その姿を見られないのが、残念でなりません」

卯月「……プロデューサーさん?」

武内P「どうか……良い、笑顔で」

卯月「……」

武内P「――行きます」

  ・  ・  ・

未央「――ほら、モタモタしてると置いてくよ、しまむー!」

凛「――卯月、先に行って待ってるから」


卯月「ま、待ってくださ~い!」


未央・凛「えへへ!」ニコリ


卯月「も、もー! 二人とも、いつもそうなんだから!」

武内P「……ですが、良い笑顔でした」

卯月「プロデューサーさん」

武内P「はい、島村さん」

卯月「今もこうして三人でいられるのは、プロデューサーさんのおかげです」

武内P「……そんな事は」

卯月「あります!」

武内P「……」

卯月「プロデューサーさんは、魔法使いです」

武内P「嗅覚と引き換えですが、皆さんの笑顔が守れて良かったです」

卯月「あの……私、臭くなくなったんですよ」

武内P「確認は出来ませんが……はい、良かったです」

卯月「……」

卯月「プロデューサーさん、耳、貸してください!」

武内P「? はい」

卯月「もしも嗅覚が戻ったら……」ヒソヒソ

武内P「……」

卯月「……今の私のマンコの臭い、確認してくださいね」ヒソヒソ

武内P「……」


卯月「――えへへっ♪ 島村卯月、頑張りますっ♪」


武内P「……」

武内P「……」プルプル

武内P「……」ガクガクブルブル


武内P「さて、今のうちに辞表を提出しなければ」ガクガクブルブル


おわり

>>354書きます

メモ>>355

忘れそうなのでメモ>>383


「プロデューサー、何度もスカウトに来てくれたよね」


 渋谷さん。


「私、プロデューサーさんのおかげで笑顔を取り戻せました」


 島村さん。


「私、プロデューサーが居なかったらアイドル辞めてたよ」


 本田さん。


「……皆さん」


 今、私は選択を迫られている。
 ニュージェネレーションズの三人の、誰を選ぶかを。


「あの、順番を決めることは、出来ませんか?」
「「「無理」」」
「そう……ですか」


 これは、悲しい物語。
 舞台は、男子トイレ。
 決壊寸前の少女が三人。


 計画断水。
 それは、一時的に建物内の水が使えなくなるものだ。
 つい先程まで、346プロではそれが行われていた。


「今から、移動する事は……」
「出来たら苦労はしてないって!」
「お願いします、プロデューサーさん」
「私を選んでくれるよね」


 出来ないようだ。


 彼女達は、たかが数時間ならば我慢できると高をくくっていたらしい。
 そして、不運にも急激な腹痛が襲ってきたのだ。
 仲良く、三人同時に。


「次は私にトイレを使わせて! お願い!」
「お願いします、私に!」
「私だよね! 答えてよ!」


 断水が終わって女子トイレに駆け込んだものの、全て使用中。
 移動して入ったトイレも、ことごとく使用中。
 そして、迷いに迷った挙句、最終的に入ったこの男子トイレは、故障中、故障中。


「……!」


 私が、使用中。


「あっ! あっあっあっあっ……」
「うぅ! ふーふーふーふー……」
「ぐっ! ぐっく、く、く、く……」


 大声を出した時にお腹に力が入り、便意が襲ってきたようだ。
 助かっているのは、彼女達がそれにより強引な手段を取れない事。
 もしも、少しでも便意が弱ければこのドアをぶち破られていただろう。


 そんな彼女達を尻目に、トイレットペーパーを用いて尻を拭く。
 紙を引き出す時のガラガラという音が彼女たちの神経を逆撫でしているのがわかる。
 こんなにも落ち着かない大便は、生まれて初めてだ。
 今後、二度とこのような気持ちを味わうことがないよう、切に願う。


「……終わりました」


 ズボンを引き上げ、ベルトを締める。
 彼女達に、スッキリしたという思いを伝えて腹を立てさせないように、意識的に声を低くする。
 レバーを倒し、私が排泄した大便がゴボリゴボリと水に流れていく。


「「「……次は、誰?」」」


 私に聞かないで欲しい。


 彼女達は、私に選んで欲しいのでは無い。
 自分達で、決めたくないだけなのだ。


 友情か、脱糞か。


 せめぎ合う二つの思いは決して交わること無く、他者に判断を委ねる道を選択させた。
 人は、それを愚かと思うかも知れないが、私はそうは思わない。


 彼女達は、選ばれなかったら諦めて脱糞する覚悟を決めている。
 自分達で決めない事により、今後の友情に支障が無いようにしているのだ。


 嗚呼、なんと美しく、なんと迷惑な。


「「「早く」」」


 確かに、自分達で決めない事で、友情は守られるだろう。
 しかし、選ばれなかった者は、選択者である私に対してどういう感情を抱くだろうか。
 ……考えるだに恐ろしい。


「……」


 こんな事ならば、トイレになど入らず脱糞しておけば良かった。
 そう思ってしまうほど、ドアの向こうからは狂気と、執念がほとばしっていた。


「……」


 何か言わなければいけないのは、わかっている。
 そして、その何かとは、この三人の少女の内一人の名前だけだ。
 それ以外を口にしたら、烈火の如く彼女達は怒り狂い、怒りのままに脱糞するだろう。


「プロデューサー、おっぱい好きだよね」
「プロデューサーさん、お尻好きですよね」
「プロデューサー、あ、えっと、ピアス好きだよね」


 最悪だ。
 彼女達は、私を女の武器で籠絡しようと試みだしている。
 内一人は、とても……とても弱々しいカードをこちらに提示しているが。


「プッ! ピアスって……あっ、やば、笑ったら……」
「あはっ! 未央ちゃんったら……あっ、私も……」
「もう! 笑う事……あっ、ちょっと……あ……」


 阿呆だ。
 私が担当していたアイドル達は、危機的状況になるとこんなにも阿呆になってしまうのか。
 これは、今後の活動の参考になると頭にメモをしておこう。


 しかし、そろそろ動かなければならない。
 二人は脱糞するが、一人は救えるのだ。
 三人共見捨てるというのは、愚か者のする事だ。


 他の二人には申し訳ないが、選ぶ相手は既に決まっている。


「うぐ……お、おおお……」


 渋谷さんだ。


 理由は至って単純。
 彼女が、怒らせると一番何をするかわからないからだ。
 最悪の場合、刺されたり、花から抽出した毒を盛ってくる可能性もある。


「はぁ……ひぃ……ふぅ……」


 本田さんは、話せばわかってくれる。
 むしろ、脱糞したとしても、一週間も経てば「いやー、やっちゃったよ!」と言える子だ。
 そうでなければ、あれだけ盛大に辞めると叫んでおいて、割りとすぐに戻れはしない。


「うぅ……う……うぅぅ……」


 島村さんは、話さなくてもわかってくれる。
 少しの期間だけ、笑顔がぎこちなくなってしまうかもしれない。
 だが、彼女ならば、なんとか頑張って笑顔を取り戻してくれる。


「それでは……次は――」


 ドアの向こうで、三人が息を飲んだのがわかった。
 後は、渋谷さんの名前を告げるだけ。
 だが、


「待って」


 その渋谷さんから、待ったがかかった。
 彼女は何故、待ったをかけたのだろうか。


「今、卯月って言おうとしたでしょ?」


 してません。


「いえ、今の感じは、未央ちゃんって言おうとしてました」


 してません。


「ううん、しまむーだね。私にはわかる」


 違います。

「いえ、私は渋谷さんを指名しようとしました」


 三人に任せていては埒が明かない。


「嘘。だって、プロデューサーは卯月の事凄く大切にしてるし」
「いいえ。私よりも、未央ちゃんの方が大切にされてます」
「そんな事ない。しぶりんが、一番大切にされてるよ」


 申し訳ありません。
 私の判断基準は、皆さんの中の誰が大切か、ではありません。
 自分の命を大切にしようと思った時、誰を指名すれば安全なのか、です。


「……」


 お互い譲り合う気がないのか、譲り合っているのか全くわからない。


 ――カリカリカリカリカリカリカリカリ!


「!?」


 ドアをカリカリと指でかく音が、トイレに響いた。
 音から察するに、三対、六本の手によって私の個室のドアはかかれている。
 彼女たちの、限界が近いようだ。


「「「……じゃ~んけ~ん」」」


 ドアの向こうから、弱々しくだが、確かに聞こえた。
 決壊寸前の彼女達が選んだのは、神に判断を委ねる事。
 今この時、この瞬間で、一番幸運な者がトイレで用を足す。


「「「ぽん」」」


 初めからそうしていれば良かったのでは、とは言えない。
 言った時点で、私は三人から無用の怒りを買う事になるからだ。


「お……い……あ」
「うぅ……え……う」
「く……ふ……う」


 アイコのコールが聞こえなかったという事は即ち……勝負はついた。
 神よ、感謝します。
 アイコが続いて無駄に力が入り、全員揃って脱糞という結末にならずに済みました。


「あ……あ……」
「い……い……」
「う……う……」


 しかし、何故か彼女たちの苦痛に喘ぐ声は、遠ざかっていった。


 ジャンケンをして、勝負はついた筈だ。
 それなのに、何故三人全員がトイレの前から移動を?


 ――まさか、


「っ、いけません! 一人! せめて一人はこちらで!」


 彼女達は、


「「「フライ!」」」


 小便器で、


「「「ド!」」」


 大をするつもりか!?


 ――バププッ! ブッ、ブ!


 ……そうですよね、濁音を叫んだら力が入ってしまいますよね。


「「チキーン!」」


 ……あぁ、やっぱり一人分声が少ない。

  ・  ・  ・

 小便器で用を足し終えた後、三人は無言で去っていった。
 そして私は、便座の蓋を開けて、壁に手を付きバランスを保ちながら便器の上に立っている。
 理由は、床がおしっこまみれになっているからだ。


「……」


 大は小を兼ねる、という言葉がある。
 その言葉の通り、大きい方をしたら、小さい方も出る。
 小便器は、確かに彼女たちの大便を受け止めたのかも知れない。
 しかし、女性の小の軌道も一緒にとなると、その面積は不十分。


「……」


 これは、私の推測だが、彼女達は私の入っている個室に向かって小を飛ばした。
 そうでなければ、離れているこの個室がここまでおしっこまみれにはならないからだ。
 個室の床に三方向から水たまり……いや、おしっこたまりが伸びて来た時は正気を疑った。
 それは勿論、私ではなく、彼女たちの正気をだ。


「……」


 だが、私は彼女達の嫌がらせには屈しない。
 この状態から携帯電話で助けを呼べば良いだけ――


 ――パシャンッ!


 焦るな。
 まだ、手がおしっこで汚れるだけだ。
 そう、つまむように拾い上げて、片手で操作すれば汚れるのは手だけ――


「……反応、しない?」


 図らずも、彼女達の願いは叶ったようだ。
 最高に嫌がらせになるこの時、この状況で。



おわり

申し訳ない
溜め取りして一気見するタイプなので、まだMは未視聴なのです
なので、最終話迎えたら>>383書きます

明日は>>355から書きます

おやすみなさい

>>442
誤)「ううん、しまむーだね。私にはわかる」

正)「ううん、しぶりんだね。私にはわかる」

>>439
しぶりん可哀想
せめて脚とか髪とかあるやろ・・・

>>355書きます


武内P「飲料メーカーとタイアップ」

武内P「――した商品の、サンプルが届きました」

未央「おおっ、遂に来た!」

武内P「どれも、とても良く出来ています」

卯月「私達三人で、別々の大手メーカーさんですもんね」

武内P「はい。サントリー、アサヒ、キリン……どれも有名ですね」

凛「全部ビールで聞いたことあった」

武内P「清涼飲料水でも、有名ですよ」

武内P「まず、本田さんがタイアップしたのは――」

未央「――サントリー!」

武内P「そうですね、サントリーさんの――」

未央「――C.C.レモン!」

武内P「……その通りです」

卯月「うふふ! 未央ちゃん、プロデューサーさんの台詞取っちゃってます」

凛「C.C.レモン、小さい時はたまに飲んでたかな」

武内P「こちらは、炭酸飲料で本田さんの元気なイメージに合っていますね」

未央「正に、はじけるパッション! って感じだよねぇ!」

武内P「商品のパッケージには、本田さんの写真が使用されています」

未央「うわぁ……こうやって見ると、実感湧くなぁ」

武内P「間もなく、これらの商品が店頭に並ぶはずです」

未央「C.C.レモン飲んでる人の手には私の写真……凄いね、それ!」

武内P「はい。とても、いい仕事でした」

武内P「次に、島村さんがタイアップしたのは――」

卯月「――はいっ♪ アサヒさんです♪」

武内P「他のお二方に比べるとやや知名度は落ちますが、これからの時期に嬉しい――」

卯月「――ほっとレモン、ですね!」

武内P「……その通りです」

未央「あはは! しまむーも、台詞取っちゃってるじゃん!」

凛「寒い時のほっとレモンって、なんであんなに美味しいんだろう」

武内P「こちらは、ホット商品なのに加え優しい甘さが島村さんのイメージに合っていますね」

卯月「優しい甘さ……えへへ、なんだか照れくさいです///」

武内P「暖かで、優しい甘さで、冬の乾燥した空気にやられた喉を癒やしてくれます」

卯月「癒やす……私に、出来るでしょうか?」

武内P「あの……癒やすのは、ほっとレモンが、です」

卯月「あうぅ、そうでした///」

武内P「こちらも、パッケージに島村さんの写真が。とても、良い笑顔です」

武内P「最後に、渋谷さんがタイアップしたのが――」

凛「――うん、キリンさん、だね」

未央「はーい! ゾウさんはもーっと好きでーす!」

凛「ちょっと、未央」

未央「こりゃ失礼!」

武内P「……こちらも、有名な午後の紅茶レモンティーですね」

凛「午後ティーのレモンは、今でも昼休みに飲んだりする」

武内P「渋谷さんが仰ったように、女子高生に人気の商品ですね」

凛「そうなの?」

武内P「はい。確実に、人気トップ10には入る商品だと、言われました」

凛「……それ、選択肢があまりないから入ってるだけじゃない?」

武内P「!?」

凛「べ、別に大丈夫だから! ほ、ほらどう? パッケージの私」

武内P「……はい。素晴らしい、とても良い笑顔です」

未央「そういえば、全員レモンに関する商品だね」

武内P「はい。346プロ全体の企画で、ユニット毎にフルーツを担当しています」

卯月「それで、私達はレモンだったんですね」

武内P「そうですね、皆さんのイメージに合った商品があると思いましたので」

凛「プロデューサーが、私達にレモンを割り振ったの?」

武内P「はい。結果的に、とてもいい仕事になったと、私は思います」

凛「レモン……ねぇ」

未央「ねえ、そのサンプルって飲んでも良いの?」

武内P「はい、問題ありません」

卯月「ほっとレモンは……わっ、温かい!」

武内P「皆さんで飲まれるかと思い、温めておきました」

凛「準備が良いね」

武内P「それも、プロデューサーの務めですので」

未央「それじゃあ……プロデューサー、飲んでみてよ!」

武内P「……私が、ですか?」

未央「自分で自分の写真が載ってるのを飲むって、なんかちょっと」

武内P「そう、でしょうか。私には、わかりませんが」

卯月「あっ、でも……プロデューサーさんに飲んでもらいたいかもです!」

武内P「島村さん?」

凛「うん。私達の仕事、最後まで見てもらわないと」

武内P「渋谷さんまで……」

未央・卯月・凛「……」

武内P「……わかりました。飲みます」

未央「それじゃあ、私のC.C.レモンから!」

武内P「……いただきます」

…パキッ

武内P「……んっ……んっ」ゴクゴク

未央「どう? 未央ちゃんのC.C.レモンのお味は?」

武内P「プハッ……久しぶりに飲みましたが、美味しいですね」

未央「えへへっ、イエーイ! さあさあ、遠慮なく全部飲んで!」

武内P「……はい、わかりました」

武内P「……んっ……んっ」ゴクゴク

未央「良い飲みっぷり! さっすがプロデューサー!」

武内P「プハッ……いえ、とても美味しくいただきました」

未央「未央ちゃんジュースは、とても美味しい、と!」

武内P「あの……C.C.レモンです」

未央「わかってるって! でも、写真が載ってて、つい!」

武内P「成る程、そういう事ですか」

卯月「それじゃあ、次は私の番ですね!」

武内P「……島村さん?」

卯月「冷たいものだけだと、お腹壊しちゃいますから♪」

武内P「しかし……既にもう一本飲み終えていて……」

卯月「駄目……ですか?」

武内P「……いただきます」

…パキッ

武内P「……んっ」ゴクリ

卯月「どうですか? 私のほっとレモンは?」

武内P「プハツ……温かで、体の芯まで染み込むようです」

卯月「良かった! さあ、冷めない内に、どうぞ♪」

武内P「……はい、わかりました」

武内P「……んっ」ゴクリ

卯月「プロデューサーさん、飲みにくいですか?」

武内P「プハッ……少し、水分をとりすぎているので」

卯月「お味の方は、どうでしょうか?」

武内P「そちらは、当然問題ありません。とても、美味しいです」

卯月「良かった♪ 卯月の、特製ジュースです♪」

武内P「……アサヒさんが作ったものですが」

卯月「私の写真が載ってるから、気分ですよ、プロデューサーさん♪」

武内P「……そういう、ものでしょうか」

武内P「……プハッ……飲み終えました」

卯月「どうでした?」

武内P「とても、美味しかったです」

未央「しまむー、イエーイ!」

卯月「未央ちゃん? い、イエーイ!」

パシンッ!

武内P「……お腹が、ガブガブになってしまいましたが」

凛「それじゃあ、最後は私だね」

武内P「……渋谷さん?」

凛「まだ、私の午後ティーレモンが残ってる」

武内P「いえ……あの、もうお腹がガブガブで」

凛「ふーん。私のジュースは飲めないんだ?」

武内P「そ、そういうわけでは。それに、キリンさんの、です」

凛「どっちでも良いよ。良いから、飲んで」

武内P「……!?」

未央「あっ、しまむー! そろそろレッスンの時間!」

卯月「そうでした! それじゃあ、私達はもう行きますね!」

武内P「えっ、あっ!?」

武内P「そ、それでは皆さんのレッスン後に飲む、という事で」

凛「私はまだだよ」

未央「うん。私としまむー、ニュージェネじゃないユニットでの合わせだし」

卯月「はい。だから、凛ちゃんはまだ時間がありますよ」

武内P「……!?」

未央「それじゃあ……本田未央、行ってまいりまーす!」

卯月「島村卯月、頑張ります♪」

ガチャッ…バタンッ

武内P「……」

凛「……」

武内P「……!」

凛「ほら、飲んでよ」

武内P「あの……どうしても今でないと駄目ですか?」

凛「二人のは、美味しい美味しいって飲んでたのに」

武内P「それは……タイミングの問題です」

凛「私は、今、アンタに私のジュースを飲んで欲しいの」

武内P「しかし……」

凛「逃げないでよ! アンタ、私のプロデューサーでしょ!?」

武内P「っ!?」

凛「未央と卯月のジュースは飲んだのに、私だけ後回し?」

武内P「だから、もう、ガブガブで……」

凛「誤魔化さないで、一口くらい飲めるはず」

武内P「……」

凛「ねえ、私のジュースを飲むの、そんなに嫌?」

武内P「嫌……というか、ですね」

凛「美味しいよ、絶対。私のジュース」

武内P「……」


ちひろ「……あの、何の話をしてるんですか?」


武内P・凛「!」

武内P「千川さん! 助けてください!」

ちひろ「ぷ、プロデューサーさん!?」

凛「そうやって逃げるの!?」

武内P「今は! 今はまずいです!」

ちひろ「えっ、えっ?」

凛「未央と卯月のは飲んだのに!」

武内P「そ、それは……」

凛「あんなに美味しそうに! ゴクゴクと!」

ちひろ「はっ!? えっ!?」

ちひろ「の、飲んだって……な、何を?」

凛「ジュースだよ。未央と、卯月の」

ちひろ「は、はいっ!?」

武内P「それは……そうですが」

ちひろ「の、飲んだんですか!? えっ、本当に!?」

凛「とっても美味しそうだった。二人共、喜んでた」

武内P「確かに……とても、良い笑顔でした」

ちひろ「な、何やってるんですか!?」

武内P・凛「?」

凛「ひどいと思わない? 私だけ、飲んでくれないんだよ」

ちひろ「あ、あの、それは……」

武内P「後で! 後で、必ず飲みますから!」

ちひろ「!?」

凛「未央のはゴクゴクいって、卯月のは冷める前に、って!」

ちひろ「プロデューサーさん!? 本当ですか!?」

武内P「……はい、事実です」

ちひろ「!?」

凛「私だけ仲間はずれなんて……ひどいよ」

ちひろ「……仲間入りした方が、その、まずいかと」

凛「まずくない! 美味しいから!」

ちひろ「味ではなく! それに、その自信は何!?」

武内P「……しかし、渋谷さんのを飲んだら、吐いてしまうかもしれません」

ちひろ「他の二人のは美味しく飲んだのに、その違いは!?」

凛「ほら、ペットボトル! 飲んでよ!」

ちひろ「レベルが高すぎる!」

凛「私だって頑張ったのに……二人だけなんて、ひどいよ」

ちひろ「凛ちゃん……」

凛「……ごめん。ワガママ言って、馬鹿みたいだよね、私」

武内P「……申し訳、ありません」

ちひろ「……」

凛「……ホント、どうかしてた」

ちひろ「……」


ちひろ「プロデューサーさん、飲んであげてください」


武内P「……千川さん?」

ちひろ「確かに、プロデューサーさんがした事は許されない事です」

武内P「あの……何が、でしょうか?」

ちひろ「でも、貴方の仕事は何ですか?」

武内P「それは……」

ちひろ「アイドルの――皆の笑顔を守る事、でしょう?」

武内P「!」

ちひろ「だから、誰が何と言おうと、飲むべきです」

武内P「……千川さん」


武内P「……はい、わかりました。飲まさせて、頂きます」

凛「プロデューサー……?」

武内P「申し訳ありません。ワガママだったのは、私です」

凛「飲んでくれるの? 私のジュース」

武内P「ええ、勿論」

凛「でも……もう、ガブガブだって」

武内P「かなり落ち着きましたので、もう大丈夫です」

凛「プロデューサー……!」

ちひろ「さあ、凛ちゃん。プロデューサーさんに、飲んでもらいましょう?」

凛「……うん! 私のジュース――」

武内P「……」


ちひろ「――おしっこを!」


凛「――午後の紅茶、レモンティーを!」


武内P・凛・ちひろ「……」


武内P・凛・ちひろ「えっ!?」



おわり

休憩

ちっひえっち

アイドルのオナニー現場に遭遇も見てみたい

みりあと莉嘉がPときらりを結婚させようとして満更でもない二人お願いします!

>>480書きます
が、ローカルルール遵守で


「……!」


 私は、事務所で繰り広げられている光景を見て、息を飲んだ。
 ほんの少しだけ開いたドアの向こうとこちらは、まるで別世界。
 漏れ出ている光と彼女達の声には、艶、そして、狂気が入り混じっていた。


「ましゅまろほっぺぇ! ゆびさきっ、でぇ、ぷにぷにっ!」
「無我夢中ぅ、きらめいて、ええっ!」


 事務所の中では、私の担当するアイドル――シンデレラプロジェクトの全員が、


「最後は、つっ、つっ、つっ、つつつ『つきあって!』」
「ちゅっちゅっ、大好きよマイフレンズ!」


 全裸で、自分のソロ曲を歌いながら踊り狂っていた。


 歌を歌いながら踊っている子も居れば、無言で、一心不乱にステップを繰り返す子も居る。
 一体、いつから事務所はこんな怪しげな儀式を行う場所になってしまったのか。
 私にはわからないし……わかりたくもなかった。


 どうして?


 何故?


 次々と疑問が頭に浮かんでくるが、その答えは一向に出ない。
 答えに至るまでの要素を私が持っていないのか、はたまた、
脳が考える事を拒否しているのかはわからない。
 ただ一つ言えるのは、目の前で行われている行為が異常という事だけ。
 理解出来ないのは、私の頭がまだ正常だからだろう。


「……はあっ……はあっ……!」


 新田さんが、頬を赤く染めて艶やかな吐息を零している。
 格好は、勿論全裸。
 一糸纏わぬその姿は、美しいと形容すべきなのだろう。
 だが、今の私には異常性も相まって、人とは違う、怪物のように見える。


「シンデレラプロジェクト、ファイトぉ……!」


『おーっ!』


 何が?


 一体、何が、ファイト?


 この状況の首謀者は、新田さんなのだろうか。
 彼女は、シンデレラプロジェクトのリーダーだ。
 だが、この様な狂気の宴を催すようなクレイジーな人間ではない。


 では、一体誰が。


「――静かに」
「!?」


 背中に、何か硬い物が押し付けられた。
 思わず上げそうになった悲鳴を飲み込み、
ゆっくりと首だけを後ろにやり、その姿を確認する。


「場所を移動しましょう」


 囁くような声の主は、私もよく知る人物。


「あの子達に、気付かれる前に」


 事務員の、千川ちひろさんだった。

  ・  ・  ・

「……此処まで来れば、もう大丈夫ですね」


 そう言うと、千川さんは私の背中に押し当てていた物を体から離した。
 瞬間、私は振り返り彼女の姿を視界に全て収める。
 彼女の、千川さんの手に握られていたのは、


「安心してください。ただの、スタドリですよ」
「……」


 何故、私はスタドリを凶器だと思ってしまったのだろう。
 いや、理由はわかっている。
 事務所内で繰り広げられていた光景を目にした時から、
日常が非日常に切り替わってしまった感覚にとらわれていたからだ。


「プロデューサーさん、今日はお休みですよね?」
「……はい。ですが、明日の準備をと、思いまして」
「もう、駄目ですよ! 休日出勤だなんて!」


 千川さんが、人差し指を立てて叱責してくる。
 その姿がいつも通りで……いつも通りすぎて、
先程の光景が夢だったのでは、幻や、錯覚だったのではと思えた。


「――おかげで、全部バレちゃったみたいですし」


 どうやら、私が見たものは、現実に起こっていたようだ。
 思わず、右手を首筋にやったら、ジットリと汗をかいていた。


「……」
「……」


 私達の間に、沈黙が流れる。
 海外では、こういった状態になる事を「天使が通った」、と表現するらしい。
 天使……そう言えば、緒方さんはファンの方にそう呼ばれる事が多いですね。
 天使ならば、一糸纏わぬ姿で歌うのも不思議ではない……待て、冷静になれ。
 現実から目を逸らすな、夢に逃げるな、前を見ろ。


「千川さん、彼女達は……一体、何を」


 前に立つは、全てを知るであろう事務員、千川ちひろさん。
 私は、狂乱の渦の真相を知るであろう彼女に問いかけた。


「オナニーですよ、プロデューサーさん」


 そうですか、オナニーですか。
 全員が全裸だったのは、プロジェクトでの統一感を出すため、でしょうか。
 私も詳しくは知りませんが、全裸でのオナニーというのは、そう多くないと――


 ――いけない! 飲み込まれては、駄目だ!


「……! そ、そう、ですか」


 完全に予想外の回答に、私は正気を保つので精一杯だった。
 危うく‘もっていかれる’所だったが、なんとか踏みとどまる事が出来た。


「はじめはね、全員が別々にしてたんです」


 千川さんは、ゆっくりと語りだした。
 聞きたくは、無い。
 しかし、聞かなければならない。


「コッソリ事務所に入って、全裸になって、ソロ曲を……ね」


 ね、ではありません!
 全員が別々、まではまだ理解出来る範囲です!
 しかし、続く言葉が明らかにおかしいです、千川さん!


「でも、プロジェクトのメンバーは多いでしょう? バッティングは避けられません」
「……待ってください」
「だったら、いっそ全員でオナニーしようか、って話になったんです」
「……待ってください!」


 千川さん! おかしい……明らかにおかしいです!


「貴女は、一体、何の話をしているんですか!?」
「? オナニー、ですよ?」
「……!?」


 千川さんは、私が疑問を持った事に、心底不思議そうに首を傾げた。


「事務所で、全裸でソロ曲を歌う事が……自慰行為になる、と?」
「あっ、別に歌わなくても良いんですよ。大事なのは、気分ですから」


 そんな細かい部分の話はしていません。


「声を出すタイプと、出さないタイプが居ますから」


 明らかに不要な情報を細かに説明しないでください。


「うふふっ、私はどっちだと思います?」


 心底どうでも良いです。
 という、言葉が口をついて出そうになったが、既の所で飲み込む。
 千川さんの機嫌を損ねてしまったら、真相は全て闇の中に埋もれてしまう。


「さあ……どちら、でしょうか?」
「内緒です♪ もう、プロデューサーさん、想像しちゃ駄目ですからね♪」
「……はい」


 理性を総動員し、千川さんの顔面を打ち抜きたい衝動を抑える。
 彼女には、聞かなければならない事が、まだあるからだ。


「彼女達を止める事は……出来ませんか」
「どうやって?」
「それは……」
「オナニーするな、と言えと? 私が、言わなかったとでも?」
「……」


 いや、事務所でおかしな事をしないでくれと言えばいいのでは?
 その……自室で、自由にすれば良い話なのでは?


「あの子達にとっては、事務所は自室の様に落ち着く場所なんです」


 脳裏に浮かんだ私の疑問を読み取ったかのような、千川さんの言葉。
 そう思ってくれているのは嬉しい。
 だが、だからと言って、あんな狂態を繰り返すのは如何なものか。


「アイドルにとっては、あれがオナニーなんです」


 アイドルにとって?
 えっ、アイドルの皆さんは、その……あっ、えっ?


「だから……見過ごしてあげて、貰えませんか?」


 アイドルにとっては、全裸でソロ曲をやるのがオナニーになる。
 全く考慮していなかった。
 千川さんが告げた事が本当ならば……私は、一体、どうすれば良いのだろう。

  ・  ・  ・

「――はい、今から良い所ですよ~」


 私、千川ちひろは、プロデューサーさんと別れた後、事務所に戻っていた。
 私の周囲をシンデレラプロジェクトの、可愛いアイドル達が取り囲んでいる。
 彼女達は、録音されたプロデューサーさんの言葉を聞き漏らすまいと、
真剣に耳をそばだて、彼の低い声を脳裏に刻み込まんとしている。


『彼女達にとって必要なら……私は、受け入れようと思います』


 今の台詞がツボに入った子が、何人か居たようだ。
 フンスフンスと鼻息を荒くし、よからぬ妄想に浸っているのが見て取れる。


「……はい! 続きは、帰って家でゆっくり聞いてくださいね!」


 私の言葉に、皆はコクコクと頷いた。
 そう、これは必要な事なのだ。


 アイドルに恋愛は厳禁。


 ならば、自分で発散する以外に方法は無い。
 だからこその、オナニー。
 今日の彼女達の夜のお供は、録音した彼の声と、


「うふふっ♪」


 全裸を彼に見られたという、羞恥と、開放感だ。



おわり

お風呂

>>449書きます


 私は、今、不機嫌だ。


「……おはよう」


 まず、朝起きたら寝癖がひどくて直すのにとても苦労した。
 そして、ようやく事務所に着くと思ったら、突然の雨に降られた。
 せっかく綺麗に梳かした髪は雨で濡れてしまったし、
事務所に着いた途端雨がピタッと止んだのも腹が立つ。


「おはようございます、渋谷さ――……ん」


 プロデューサーも、そんな私の姿を見て目を見開いて驚いている。
 雨に濡れた姿か、私の不機嫌な顔を見てか……どっちでも良いけど。


「タオル、ある?」


 どうしても言い方がぶっきらぼうになってしまうのを抑えられない。
 プロデューサーが悪い訳じゃないのに、八つ当たりしてしまってる。
 そんな自分にも、腹が立つ。


「……はい、すぐに用意します」


 私は、今、不機嫌だ。


「……」


 アイツがタオルを用意してる間、持っていたハンドタオルで髪以外を拭いておく。
 大雑把に水滴は払ったけど、それだけだと気分が良くない。
 ソファーに腰掛けて待っていると、足音が後ろから聞こえてきた。


「タオルと、ドライヤーをお持ちしました」
「……ん、ありがと」


 不機嫌だからって、お礼を言わない訳にはいかない。
 それに、プロデューサーはドライヤーまで用意してくれた。
 その心遣いに、私の機嫌は少し良くなる。
 だからこそ、さっきの私の態度が、とても恥ずかしいものだと気付いた。


「あの……渋谷さん?」


 八つ当たりをしてしまった相手に、こちらを気遣ってくれた相手に、なんて態度を。
 そう思うと、不機嫌な今の顔を見せる訳にはいかない。
 だって、この人は、笑顔が好きだから。


「……」


 だけど、振り返らないのも感じ悪い、よね。
 ……ああもう、どうしてさっきの私はあんなに不機嫌だったんだろう!
 少し朝のセットに気合を入れて、それが駄目になっただけなのに!


「風邪を引いてしまいます」


 また、こうやって優しい言葉をかけてくる。
 プロデューサーは、仕事で私に優しくしてるだけ。
 そう、自分に言い聞かせてみても、優しくしてくれている事に変わりはない。


「……ごめん。なんか、今、無理」


 こんなにみじめな気持ちになったのは、どうしてだろう。
 私に、こんな所があるなんて思ってもみなかった。
 他の皆と比べて大人っぽいと言われる事が多いけど、なんて事ない。
 私は、まだまだ子供なのだ。
 それがどうしてか、今はとても悔しくて、みじめで、動く気になれない。


「すみません。失礼します」


 後ろから聞こえる、低い声。
 何が、と聞く前に、フワリと私の頭に柔らかいタオルの感触を感じた。


「ぷ、プロデューサー?」
「自分では無理と……そう、仰っていたので」


 タオル越しに感じる、大きな手。
 壊れ物を扱うかのように、優しく、とても優しく私の髪についた水滴を拭き取っている。
 それが、とてもくすぐったくて、むずがゆい。
 タオルが、プロデューサーの手が私の髪を撫でる度、
私の不機嫌が消えてなくなってしまっているような感じがする。


「……」
「……」


 お互い、無言。
 と、言うか、何を言えばいいのかわからない。
 ありがとうと感謝の言葉を言うべきか、何をするのかと腹を立てるべきか。


「……だからって、勝手に拭く?」


 プロデューサーに、精一杯の抵抗を試みる。


「申し訳ありません」


 私の抵抗は簡単に受け流され、そのまま髪を拭き続けられた。


「……」


 髪は女の命、って言う言葉がある。
 そうだとすると、今の私はコイツに命を弄ばれている事になるのかな?
 なんだか、納得いかない。


「……」


 でも……うん、悪くないかな。
 プロデューサーは、そもそも私の人生を滅茶苦茶に引っ掻き回したんだから。
 普通の女子高生だった私をアイドルに。
 それに比べれば、髪を拭かれるだなんて、とてもちっぽけだよね。


「プロデューサー、髪を拭くの上手いね」
「そう、でしょうか?」


 そうだよ。
 私の髪、長いからいつも大変なんだよ?
 なのに、プロデューサーは凄く丁寧に、上手くやってくれてる。
 引っ張られたり、絡まったりする感じが全然しないし。


「髪は女性にとって命だと、そういう言葉もありますから。その……必死です」


 ふーん、と素っ気ない返事をしてしまった。
 だって、同じような事を考えてただなんて……その、何、それ!


「……一応、拭き終わったと、思います」
「ん」


 なんだ、もう終わり――……じゃないってば!
 今のだと、もっとプロデューサーに髪を触っていて欲しいみたいでしょ!
 違うから、そんなんじゃないから。


「渋谷さんの髪は、とても綺麗ですから」


 大事にしないといけません、というプロデューサーの声が遠く感じた。


 思い出した。
 今日は、皆は休みだったり、事務所には寄らずに直接現場に向かう事になっている。
 つまり、今日は一日、プロデューサーが付きっきりで行動する事になる。
 だから、いつもより髪のセットに気合が入って、それで、それが――


「ドライヤーは、ご自分で出来るでしょうか?」


 私は、混乱する頭を必死に総動員し、なんとか首を縦に振るのに成功した。
 ……でも、せっかくだし、このまま甘えちゃってドライヤーも……いやいや、違う!
 そんな考えを打ち払うように、首を横に振った。


「あの……どちら、でしょうか?」


 声に出さずに、私は首だけを振って返事した。



おわり

寝ます
おやすみなさい

良い話だけど前のと雰囲気の落差が激しすぎて笑える

文香さんとの話とか読んでみたいですね
真面目路線ぶっ壊れ路線でもどっちでも

そろそろホラーもいってほしい

電車で痴漢される武内P

既婚者で3歳くらいの娘がいた武内PvsCP、なお嫁は世紀末歌姫

Pを落とすための作戦会議(本人傍聴)

下品なほうのキャラじゃなくていい話のほうのキャラ付けで居眠りして勃起してる武内Pを見てしまうシンデレラプロジェクトの誰か

とりあえず、今でてるのは全部やってみます


>>481書きます



武内P「私と諸星さんが、ですか?」

莉嘉「うん! チョーお似合いだと思うんだよね☆」

みりあ「うんうん! みりあも、ずっと思ってたの!」

きらり「ちょ、ちょっと、二人とも~!」

武内P「……」

莉嘉「きらりちゃん優しいし、P君どう思う?」

みりあ「ねえねえ、きらりちゃん、可愛いよね?」

武内P「……」

きらり「こら~! 二人とも、Pちゃんをあんまり困らせちゃメッ、だゆ!」

莉嘉「えー! だって、ホントにそう思うんだもん!」

武内P「いえ……私などには、諸星さんは勿体無い女性だと思います」

みりあ「えー! そんな事ないよ! プロデューサー、カッコイイよ!」

武内P「……」

莉嘉「P君、何気に背が高いし、仕事も出来るし!」

みりあ「きらりちゃんは、プロデューサーの事どう思う?」

きらり「ど、どうって言われても……こ、困るにぃ」

武内P「城ヶ崎さん、赤城さん」

莉嘉・みりあ「何?」

武内P「確かに、諸星さんはとても、素敵な方です」

莉嘉・みりあ「うん!」

きらり「ぴ、Pちゃん!?///」

武内P「ですが、私はプロデューサーで、彼女はアイドルです」

莉嘉・みりあ・きらり「……」

武内P「なので、あまりそう言った話はよろしくありません」

莉嘉「……ちぇーっ! つまんないの!」

みりあ「でも、プロデューサーときらりちゃん、本当にお似合いだと思うんだけどなぁ」

莉嘉「アタシ、二人が付き合ったら絶対イイ感じだと思う」

武内P「あの……話が、続いているのですが」

きらり「そ、そうだゆ。もうこの話はおしま~い!」

莉嘉・みりあ「あっ、そうだ!」

武内P・きらり「?」

莉嘉・みりあ「アイドルじゃなかったら、どう!?」

武内P「アイドルじゃ……」

きらり「……なかったら?」

莉嘉「そう! もし、きらりちゃんがアイドルじゃなかったら!」

みりあ「だったら、プロデューサーと付き合ってもいいよね?」

武内P「しかし、実際は諸星さんはアイドルで……」

莉嘉「もしも、の話だよ! ねっ、それならどう思う?」

みりあ「ねえねえ、きらりちゃんもどう思う?」

武内P・きらり「……」

武内P「そう、ですね……それは、考えたこともありませんでした」

きらり「きらりも、そういう風に考えたこと、なかったかもかも……」

莉嘉「Pくん! アイドルじゃない場合、きらりちゃんはどう?☆」

武内P「一人の女性として見た時……いえ、諸星さんは17歳ですから」

みりあ「じゃあじゃあ、ハタチ! ハタチくらいだったら?」


武内P「どストライクですね」


莉嘉・みりあ「きゃーっ!///」

きらり「ぴ、Pちゃん!?/// な、な、何言ってるにぃ!?///」

武内P「諸星さんは、アイドルとして活躍出来る程の魅力を持った方です」

武内P「加えて、優しさ、気配り上手さ、明るさ等、良い点は挙げればキリがありません」

武内P「ご自身の身長に、少しコンプレックスがあるようですが――」

きらり「あ、あの……///」


武内P「こうして並ぶと……はい、可愛らしい女性です」

きらり「……にょ、にょわー……///」



莉嘉「ヤバイ! アタシ達、キューピットになっちゃうカモ☆」

みりあ「ねえねえ、本当に付き合っちゃいなよ!」

武内P「……いえ、残念ながらそれは有り得ません」

莉嘉・みりあ「なんで!?」

武内P「諸星さんの様な素敵な方が、私を選ぶはずがありませんから」

きらり「~~~っ、Pちゃん!」

武内P「も、諸星さん!?」

きらり「それ以上言うと、きらり、本気で怒っちゃうゆ!」

武内P「あの……何故、でしょうか?」

きらり「Pちゃん! そこに座るにぃ!」

武内P「は、はい」


莉嘉「きらりちゃん……」

みりあ「本気で怒ってる……」

きらり「あのね、きらりは、Pちゃんにと~っても感謝してるの」

武内P「……」

きらり「きらり、他の皆よりおっきぃから、アイドルなんて無理だと思ってたにぃ」

武内P「……」

きらり「でも、Pちゃんはそんなきらりをキラキラのお姫様にしてくれたんだゆ」

武内P「それは……諸星さん自身の力です」

きらり「今はきらりが喋ってるにぃ! お口、チャ~ック!」

武内P「……」

きらり「そんなキラキラな夢を叶えてくれたPちゃんが、自分はダメダメだと思ってる」

武内P「……」

きらり「そんなの……それこそダメダメ! ぜーったい、ダメだゆ!」

武内P「……」

きらり「Pちゃんはぁ、ちょーっと誤解されやすいけど、とーっても優しいゆ」

武内P「……」

きらり「Pちゃんと歩いてるとね、きらりは普通の女の子になれるの」

武内P「……」


莉嘉「……ヤバイ、なんかキュンキュンしてきた!」

みりあ「……うわぁ、告白だぁ!」

きらり「夢を叶えてくれてぇ、キラキラのお姫様にしてくれて」

武内P「……」

きらり「それなのに、ただの女の子にしてくれるなんて、普通は出来ないにぃ!」

武内P「……」

きらり「だから、Pちゃんはもっと自信をもって良いんだゆ!☆」

武内P「……諸星さん」

きらり「それで、笑顔になって、一緒にハピハピするにぃ☆」

武内P「……良い、笑顔です」


莉嘉・みりあ「……」

莉嘉「イエーイ! 二人共、オメデトーっ!☆」

きらり「おめでとー! えへへっ、みりあも嬉しいな!」

武内P「? 何が……」

きらり「……おめでとうなの~?」

莉嘉「カップル成立に決まってるじゃん☆」

武内P・きらり「!?」

みりあ「ねえねえ、いつ結婚するの?」

武内P・きらり「!?」

武内P「いえ、今のはそういう話では……」

莉嘉「えーっ!? 二人共、チョーいい感じだったじゃん!」

みりあ「きらりちゃん、プロデューサーの事好きなんだよね?」

きらり「い、今のは違うよ~!/// ちょっと、メッ、ってしただけだにぃ///」

莉嘉・みりあ「あーっ! 赤くなった!」

きらり「も、も~!///」

武内P「……」

武内P「城ヶ崎さん、赤城さん」

莉嘉・みりあ「何?」

武内P「先程のは例え話で……実際は、諸星さんはアイドルですから」

きらり「そ、そうだゆ! きらりは、キラキラのアイドルだにぃ☆」

莉嘉「それじゃあ……ちょっとさびしいけど」

みりあ「きらりちゃんが……アイドルを辞めて、モデルになったら?」

きらり「ぴ、Pちゃん! 何とかして~!」

武内P「……諸星さんが……アイドルを辞めて……」

莉嘉・みりあ・きらり「……?」

武内P「モデルになったら……ですか……」

武内P「そう……ですね……」ションボリ

莉嘉「あ、あの……Pくん?」

武内P「アイドルを……辞めて……」ションボリ

みりあ「プロデューサー? お腹痛いの?」

武内P「ああ、いえ……違います……」ションボリ

きらり「なんだか、とっても落ち込んでるように見えるにぃ……」

武内P「はい……想像したら……はい……」ションボリ

莉嘉・みりあ・きらり「……」

武内P「諸星さんが……アイドルでなくなる……」ションボリ

莉嘉「で、でも! 付き合えるんだよ!?」

武内P「そう、ですね……はい……」ションボリ

みりあ「プロデューサー? ねえ、元気だして?」

武内P「申し訳ありません……ですが……」ションボリ


きらり「き、きらりはアイドルを続けるゆ!☆」


武内P「はい。諸星さんは、とても素晴らしいアイドルです」シャキーン


莉嘉・みりあ「立ち直った!」

武内P「申し訳ありません。想像しただけで、ションボリしてしまいました」

莉嘉「う、うん。なんか、すっごい負のオーラでてたよPくん」

武内P「そう、でしょうか?」

みりあ「ねえねえ、どうしたらプロデューサーときらりちゃんは付き合えるの?」

武内P「それは……わかりません」

きらり「Pちゃん。Pちゃんは、きらりにアイドルで居て欲しい?」

武内P「はい。私は、アイドルの貴女を見守っていきたいと、そう、思います」

きらり「Pちゃん……うぇへへ、恥ずかすぃー☆」

莉嘉・みりあ「……」

莉嘉「Pくんは、きらりちゃんがアイドルでなくなると落ち込んじゃう」

みりあ「だけど、プロデューサーとアイドルは付き合えない」

莉嘉「モデルになるのもダメ」

みりあ「だけど、二人共お似合いだし……」

莉嘉「二人が付き合うためには……」

莉嘉・みりあ「……う~ん」

莉嘉・みりあ「……」


莉嘉・みりあ「わかった!」

  ・  ・  ・

ガチャッ

ちひろ「おはようござ――」


莉嘉・みりあ「や・め・ろ! や・め・ろ!」

きらり「ふ、二人とも~!」


ちひろ「……あの、一体何が――」

武内P「……おはようございます」ションボリ

ちひろ「ぷ、プロデューサーさん!? 何です、その負のオーラは!?」

武内P「諸星さんのためにプロデューサーをやめろと言われ……」ションボリ

ちひろ「はい!?」


莉嘉・みりあ「や・め・ろ! や・め・ろ!」


きらり「もうやめてあげて~;;」



おわり

>>506書きます


武内P「鷺沢さん、もうやめてください」

武内P「もう、お気持ちは十分伝わりました」

文香「……」

武内P「舞踏会の時のお礼は、はい、もう結構です」

文香「……」

武内P「もう、官能小説を私のデスクに置かないでください」

文香「……」

武内P「あの、本当にお願いします」

文香「……」スッ

武内P「……普通、このタイミングで官能小説を差し出しますか?」

文香「……」ス・・・

武内P「そうですね、違いますよね」

文香「……」スッ

武内P「フェイントじゃないんですから、差し出さないでください」

武内P「本の差し入れを辞める事は、出来ませんか?」

文香「……」フルフル

武内P「そう、ですか。出来ませんか」

文香「……」スッ

武内P「受け取りませんからね」

文香「……」ガーン!

武内P「……そんなにショックを受けないでください」

武内P「内容が、官能小説でなければまだ、受け取れたのですが」

文香「……」ガーン!

武内P「何故、官能小説だけなのでしょうか」

文香「……」ガガーン!

武内P「ショックを受ける時間が長すぎます!」

文香「……」ズガガーン!

武内P「……手強い……!」

武内P「私は受け取りません。いえ、受け取れません」

文香「……」ズガビガーン!

武内P「あの、どうしてこの世の終わりの様な顔を……」

文香「……」ガガズガビガガーン!

武内P「……ありがとう、ございます」

文香「……!」パアッ!

武内P「良い、笑顔です。……やりにくい……!」

武内P「わかりました。百歩譲って、受け取るとしましょう」

文香「……」ニコニコ

武内P「しかし、鷺沢さん。これは、無いと思います」

文香「?」キョトン

武内P「この付箋です。なんですか、『ヌキ所!』とは」

文香「そこが……ヌキ所だと、その……わかりやすく」

武内P「その気遣いをもっと他の所に回していただきたかったです」

武内P「そしてですね、最も問題なのが」

文香「……」

武内P「鷺沢さん、貴女の水着写真が挟まっている事です」

文香「文章だけだと……寂しいかと……」

武内P「貴女は、ご自分の言っている意味がわかっていますか?」

文香「美波さんが……そうしたら良い、と」

武内P「今、全ての線が一本に繋がりました」

武内P「想定していた中でも、最悪のケースです」

文香「男の人は、喜ぶんですよ……ね?」

武内P「私は、プロデューサーです」

文香「……」

武内P「……」

文香「……使いましたか?」

武内P「使ってません!」

武内P「鷺沢さん、もっと自分を大切になさってください」

文香「……大切にしている、つもりです」

武内P「ならば、こういった事はやめましょう」

文香「感謝の気持ちに大切なものを差し出すのは……」

武内P「……そうですね、その心がけ自体は素晴らしいと思います」

文香「……」スッ

武内P「これは水着写真……って、橘さんの写真じゃないですか!」

文香「大切な……お友達です」

武内P「感謝の気持ちが大きすぎます! 押しつぶされそうです!」

武内P「鷺沢さん、もうお気持ちは十分に伝わりましたから」

文香「……」

武内P「官能小説だけ受け取りますから、写真はやめましょう」

文香「……」

武内P「これらの写真はお返しします」スッ

文香「……では、代わりにこれを」スッ

武内P「また水着写真……はい、新田さんのですね」ポイッ

武内P「しかし……何故、官能小説だけを?」

文香「どんな本が趣味に合うか……わからなかったので」

武内P「それで……あの、何故、官能小説だけを?」

文香「……」

武内P「何か、理由があるのですね」

文香「みなm」

武内P「はい、繋がった線が太くなりました」

文香「……あっ///」

武内P「鷺沢さん、毒されすぎです」

武内P「鷺沢さん、あまり新田さんの言う事を真に受けないでください」

文香「そう……なんですか?」

武内P「はい」

文香「……本当は、違うものでお礼をしようと思っていました」

武内P「! やはり!」

文香「ですが……美波さんに言われて、官能小説に」

武内P「新田さん……本当に、厄介ですね」

文香「最初は……体でお礼をしようと」

武内P「すみません新田さー――ん!」

武内P「体でお礼……あの、仕事のお手伝い等、ですよ、ね?」

文香「いえ……私の体を差し出そうと」

武内P「誤解であって欲しかったです」

文香「……そう、本に書いてありました」

武内P「そういうシーンにばかり付箋がありました、ね」

文香「……///」

武内P「……鷺沢さんのご趣味でしたか」

武内P「鷺沢さん」

文香「……」

武内P「あまり、人の言う事や、本に書いてある事を鵜呑みにしてはいけません」

文香「……」

武内P「良いですね?」

文香「……」

武内P「……今の言葉は鵜呑みしてください」

  ・  ・  ・

武内P「鷺沢さん、この間私が言った言葉を守ってくれていますね」

文香「……」コクリ

武内P「はい、官能小説の差し入れもやめてくださいました」

文香「……」コクリ

武内P「ですが……あの、何故DVDを置くように?」

文香「自分で考えて……間を取ってみました」

武内P「……中身を確認する前で良かったです」

文香「!?」ガーン!

武内P「そんな顔をされても見ませんからね!?」

武内P「鷺沢さん、これは完全に危険物ですから」

文香「!?」ガガーン!

武内P「頑張ったのに、という顔をしないでください」

文香「!?」ズガガーン!

武内P「くっ……!」

文香「!?」ズガビガーン!

武内P「本当に、手強い……!」

武内P「うぐお……ぱ……」

文香「!?」ガガズガビガガーン!

武内P「パワーオブスマイル!」

文香「!」

武内P「……正気に、戻られましたか」

文香「……」コクリ

武内P「鷺沢さん。私は、貴女の笑顔はとても素敵だと思います」

文香「……」

武内P「なので、貴女のそんな顔は……見て、いられません」

武内P「私は、貴女が笑顔で見られれば、それで十分なのです」

文香「……」

武内P「貴女の感謝の気持ちは十分に伝わりました」

文香「……」コクリ

武内P「! わかって、いただけましたか」

文香「……」スッ

武内P「いえ、あの……何故、DVDを差し出すのでしょうか?」

文香「笑顔で……撮りました」ニコリ

武内P「……良い、笑顔です」


武内P「助けてください、千川さ――ん!」



おわり

>>510書きます


 わたしのプロデューサーさんは、とっても優しいです。


「緒方さん、お疲れ様です」
「はい……ありがとう、ございます」


 引っ込み思案だったわたしがここまで頑張れたのも、かな子ちゃんや杏ちゃん、
それに、この人が居たら、です。
 こんな事恥ずかしくて言えないけど、この気持ち、伝わってると良いな。


「……なんて」
「? どうか、しましたか?」
「あっ、いえ……何でもありません」


 いけない、声に出ちゃってた。
 うぅ……変な子に思われちゃったりしてないかな。
 もしそう思われてても……えへへ、きっと、大丈夫。


 ――この人は、わたしを見捨てない。


 だって、見捨てないって言ったもんね。
 わたしがアイドルとして頑張る限り、見捨てないって。
 だから、わたしはいつも頑張ってます。


 わたしのプロデューサーさんは、とっても忙しいです。


「……それでは、私は次の現場に」
「はい……あの、頑張ってください」

 
 わたし以外にも、担当しているアイドルがいっぱい居ます。
 だから、ずっとわたしに付きっきりという訳にはいきません。
 だけど、必ず現場には顔をだしてくれます。


「はい。緒方さんも、頑張ってください」
「はい。約束……」


 しましたもんね、頑張るって。


「? あの、何か?」
「い、いえ……何でもないです」


 いけない。
 こういうおまじないって、口に出したら効果を失っちゃうんだよね。
 だから、約束の事は大切に心にしまっておかなくちゃ。


 ――そうでないと、見捨てられちゃう。


 よし、今日も頑張ろう。


 わたしのプロデューサーさんは、とっても責任感が強い。


「……すみません、今日は現場には向かえそうにありません」
「だ、大丈夫ですよ。忙しいから……しょうがないです」


 二期生の事で、前よりももっと忙しそうにしてます。
 だから、最近はこういう事が多くなってきました。
 その度にこうやって謝ってくれるけど、逆に申し訳ない気持ちになっちゃいます。


「申し訳ありません」
「へ、平気です。頑張ります!」
「緒方さん……」


 本当は、ちょっぴり寂しい。
 でも、ワガママなんか言ったらダメだよね。


 ――見捨てられちゃうかもしれない。


「はい……頑張ってください」


 頑張って、見捨てられないようにしないと。


 わたしのプロデューサーさんは、とっても不器用。


「緒方さん……すみません」
「い、いえ……気にしないでください」


 今日は、お仕事に一緒に言ってくれるはずだったんです。
 けれど、二期生の子達の方でトラブルがあったみたい。
 それで、プロデューサーさんが行かなきゃいけないみたいなんです。


「トラブルですから、しょうがないです」
「ですが……」
「も、もう行かないとですよ!」
「……はい、申し訳ありません」


 えへへ、わたしはワガママなんか言いませんよ。
 安心して、他の子の所に行っても良いですよ。


 ――だけど、見捨てないでくださいね。


「緒方さん、頑張ってください」
「はい。頑張ります」


 だって、こんなに頑張ってるんだもん。


 プロデューサーは、大嘘つき。


「担当を……変わる?」


 どうして?


「緒方さんは、人気、実力共にトップアイドルの仲間入りを果たしました」


 はい、だって、智絵里、頑張りました。


「しかし、現状……私は、貴女のプロデューサーとして相応しくありません」


 なんで?


「スケジュール的な事も含め、貴女の専属プロデューサーを会社では――」


 なんで?


 あれだけ必死に、言われたとおり、 ワガママ言わずに頑張ってきたのに。


「――緒方さん……?」


「なんで、私を見捨てるんですか?」


「いえ……見捨てるわけではなく……」


 やっぱり、智絵里は見捨てられちゃうんだ。
 約束したのに、えへへ、見捨てられちゃうんだぁ。


「見捨てるんですよ?」
「っ!? それは……」
「プロデューサーは、智絵里を見捨てるんです」
「……申し訳、ありません」


 やっぱり、見捨てるんだ。


「ですが、これは貴女がアイドルとして、今以上に――!」


 そんなの!


「そんなの、一度も、言わなかったです!」
「っ!?」
「頑張れって言うから頑張った! 寂しいけどワガママも言わなかった!」
「緒方さ――」
「なんで? なんで? 智絵里をどうして見捨てるの? なんで? なんでなんでなんで!?」


 見捨てないで、って!


 智絵里は、それしかお願いしなかったのに!


「……申し訳ありません」


 モウシワケアリマセン。


 何を……言ってるんだろう?
 智絵里は、どうして見捨てるのかを聞いてるのに。


 だって、それがわからないと、また見捨てられちゃう。
 言われた通りに頑張ったのに見捨てられるなら、どうすればいいか教えてよ。


「ねえ、なんで? なんで見捨てるの?」
「……私の、力不足です」


 ……なーんだ、そうだったのか!


 プロデューサーさんは、わたしを見捨てたくて見捨てるわけじゃないんだ!


「――えへへ、良かった! それなら、安心です!」
「緒方さん……? あの、何を――」


「――頑張ってください」


 わたしは、頑張りましたよ?


 わたしのプロデューサーさんは、とっても優しくて、


「プロデューサーさん。お願い、聞いてくれますよね?」


 とっても忙しくて、


「忙しくても、頑張ってください」


 とっても責任感が強くて、


「ワガママ言わずに、頑張ってください」


 とっても不器用。


「引っ込み思案だったわたしでも出来ました。だから、きっと出来ます」


 すごく驚いてるけど、そうすれば見捨てずに済みますよ!
 わたしも、見捨てられず、とっても嬉しいです!


「緒方さん……!?」


 だから、約束しましょう。
 えへへ、おまじないですよ、プロデューサーさん。


「私は、約束通り頑張ります。だから、プロデューサーさんも頑張ってくださいね」


「幸せの――お呪い」


おわり

全然関係ないの書きます

メモ>>511-514



武内P「前立腺パンチ……!?」

武内P「あの、城ヶ崎さん……一体どこでそんな言葉を!?」

莉嘉「えーっとどこだっけなぁ?☆」

武内P「……今後、その単語は使ってはいけませんよ」

莉嘉「うん。そうだね――」


みりあ「――前立腺パーンチ!」

ズブリッ!


莉嘉「いった! 肘までズッポシ☆」

武内P「? 話を聞いていますか、城ヶ崎さん」

莉嘉「!?」


みりあ「……!?」

莉嘉「あの……ぴ、Pくん?」

武内P「はい、何でしょうか?」

莉嘉「……!?」


みりあ「……!?……!?」

ズブ……ズブズブ……


莉嘉「な、なんともないの?」

武内P「あの……一体、何がでしょうか?」

莉嘉「!?」

莉嘉「何が、って、その……」

武内P「兎に角……先程の言葉が、今後厳禁です」

莉嘉「……!?」


みりあ「!? 急に吸い込まれっ――」

……シュポンッ!


莉嘉「みっ、みりあちゃん!?」

武内P「? 赤城さんは……居ませんね」

莉嘉「……!?」

莉嘉「い、今! みりあちゃんが!」

武内P「赤城さんが……どうかされたのでしょうか?」

莉嘉「Pくんに前立腺パンチをして!」

武内P「いや……されて、いませんが」

莉嘉「そのまま中に入っちゃった!」

武内P「あの……意味が、わかりません」

莉嘉「あ、アタシだって自分でも何言ってるかわかんないよー!」

武内P「……」

莉嘉「みりあちゃん……大丈夫なのかな!?」

武内P「あの……城ヶ崎さん?」

莉嘉「! そうだ、ケータイ! 電話してみよう!」

武内P「はぁ……」

莉嘉「出て……繋がって……!」

武内P「? どこかで、鳴っていますね」レッツゴーハッピー♪

莉嘉「!?」

武内P「どこ……でしょうか?」カガヤイテゼーッタイ♪

莉嘉「……!?」

武内P「音は……聞こえるのですが」ダッテゼーッタイ♪

莉嘉「中……中から……」

武内P「? 中? 中とは……一体」ゲンキヒャクバイノミーライヘー♪

莉嘉「聞こえる! 中に居るんだよ!」

武内P「この部屋の中に……?」テーヲフッテ♪ コエニダシテ♪

莉嘉「違う! この部屋だけど、そうじゃなくて!」

武内P「……?」イッショダカラ、ダーイジョウブ♪

莉嘉「!? け、圏外になっちゃった!?」

武内P「音も……止まりましたね」

莉嘉「Pくんお尻! お尻見せて!」

武内P「!? いえ、あの、突然何を!?」

莉嘉「良いから、はやく!」

武内P「?……はぁ」

莉嘉「……!?……!?」

ペタペタ、ペタペタ

武内P「じょ、城ヶ崎さん!? あの、何故撫で回しているのですか!?」

莉嘉「えいっ!」

ゴスッ!

武内P「おうっ!? い、痛いです! やめてください!」

莉嘉「……!?」

武内P「城ヶ崎さん、今のは本当にいけませんよ」

莉嘉「……Pくん、お尻、なんともない?」

武内P「はい。あの程度でしたら」

莉嘉「……そ、そう」

武内P「もう、あんな事は辞めてくださいね」

莉嘉「……うん。ゴメンね、Pくん」

武内P「……」リカチャン、ユラサナイデー

莉嘉「!?」

莉嘉「今! 今、みりあちゃんの声が聞こえた!」

武内P「? 私には、聞こえませんでしたが」

莉嘉「Pくんには聞こえないの!?」

武内P「……はぁ」ビックリシタニャ

莉嘉「!?」

武内P「何も、聞こえませんが」キュウニナグルナンテ、ロックダネー

莉嘉「!?」

莉嘉「……!?」

莉嘉「いや、いやいやいやいや!」

武内P「……?」ゴメンネー★

莉嘉「お姉ちゃん!?」

武内P「はい?」キニスルコトナイニィ☆

莉嘉「えっ、皆そこに居るの!?」

武内P「あの……そこ、とは?」ダー、カマイマセン

莉嘉「メチャクチャ居るじゃん!?」

武内P「……?」シリダケニ、シリマセン

莉嘉「どんだけいるの!」

武内P「城ヶ崎さん……大丈夫ですか?」ネエネエ、ココアッタカイネ!

莉嘉「Pくんが大丈夫なの!?」

武内P「何も……問題ないと思いますが」ウン、ワルクナイヨネ

莉嘉「あ、アタシも……」

武内P「……?」イヤー、ソレドコロカサイコウダヨ!

莉嘉「アタシも、Pくんの中にいれて!」

武内P「!?」ハイッ♪ ガンバッテヨカッタデス♪

武内P「なっ、何を言っているのですか!?」


スポンッ!

美波「ファイトよ、莉嘉ちゃん!」


莉嘉「!? 首だけお尻から出て――」


シュポンッ!


莉嘉「――引っ込んだ!?」

武内P「あの……本当に、大丈夫ですか?」シリニノマレヨ!

莉嘉「……!?」

武内P「先程から、混乱しているようですが……」クローバー、フエマシタ

莉嘉「!? 体の中で何か栽培されてるよ!?」

武内P「はい?」レバーオイシイ~♪

莉嘉「内蔵いかれちゃってるし!」

武内P「……」キャハッ!ココガウサミンセイデス!

莉嘉「勝手に領土にされてるよ、Pくん!?」

武内P「……城ヶ崎さん」テキトーニイコウヨー

莉嘉「な、何?」

武内P「今すぐ、病院に行きましょう」ロックニイコウゼ!

莉嘉「こっちのセリフだよ!」

莉嘉「あ、アタシもそっちに行く!」

ゴスッ! ゴスッ!

武内P「痛っ!? 痛いっ!? や、やめてください!」ボンバー!?


莉嘉「何で!? 何でアタシだけ入れないの!?」

ゴスッ! ゴスッ!

武内P「ひぎっ!? ひぐうういっ!?」カイテキサハ、ワタシガホショウシヨウ


莉嘉「! そうだ! あれが呪文だったんだ!☆」

ゴスッ! ゴスッ!

武内P「あがっ!? おおぅ!?」ユレルワ

莉嘉「今すぐ、アタシもそっちに行くね☆」

ゴスッ! ゴスッ!

武内P「ひんっ!? ひぎいんっ!?」コレイジョウハ、タイホシチャウワヨ!


莉嘉「いっくよー、Pくん!☆」

ゴスッ! ゴスッ!

武内P「あぐっ!? いぎっ!?」ミンナ、ヒトツニナルデスヨ!


莉嘉「前立腺――」

ゴスッ!

武内P「あがっ――!?」

  ・  ・  ・

莉嘉「――パーンチ!」

ゴスッ!

武内P「ぁ痛っ!? じょ、城ヶ崎さん!?」

莉嘉「……あれ? 入れない」

武内P「は、入れない!? な、何を……!?」

莉嘉「Pくんひどい! なんでアタシだけ仲間外れなの!?」

武内P「あの……まだ寝ぼけていらっしゃるようですね」

莉嘉「アタシもお尻に入れて……って、寝ぼけて?」

武内P「……」

莉嘉「……」

莉嘉「あれ? あ、アハハハハ……ゴメーン!」

武内P「……気をつけて、ください」

莉嘉「えへへ、アタシは仲間はずれじゃなかったんだね☆」

武内P「はぁ……?」

莉嘉「えへへ☆」

武内P「その……お尻を殴るのは、やめてくださいね」


――スポンッ!

ちひろ「労災、おりないから大変なんですよ」

――シュポンッ!


莉嘉「!?」

武内P「お願いします、城ヶ崎さん」

莉嘉「……」スッ…

武内P「城ヶ崎さん? 拳を振り上げて、何を――」


莉嘉「――前立腺パーンチ!」



おわり

メモ>>511-514

寝ます
おやすみなさい

>>511>>513書きます


武内P「最近、痴漢被害に遭っています」

美波「それでは、これから会議をはじめます」

CPアイドル達「はーい!」

武内P「聞いてください」

美波「第……17回よね、確か」

武内P「かなり多いですね」

美波「第17回、プロデューサー快楽落ち会議、始めるわ!」

CPアイドル達「おー!」

武内P「なんてものを始めるんですか」

美波「それじゃあ、痴漢担当の子達から報告をお願い」

未央「おっけー!」

武内P「犯人は、貴女ですか本田さん」

卯月「はいっ♪ 頑張って報告します♪」

武内P「貴女もですか、島村さん」

凛「まあ、特に変わったことはないよ」

武内P「ニュージェネレーションズを解散したくなりました」

美波「プロデューサーさんの反応はどう?」

未央「最近は警戒してて、ちょっとやりにくいかなー」

武内P「私は、今、最大限に警戒しています」

卯月「もうちょっとで、チャックを下ろせる所まではいってたんですけどね」

武内P「何を頑張っているんですか」

凛「私は、お尻をずっと触ってたから気付かれてないと思う」

武内P「気付いてます」

美波「凛ちゃんったら、もう立派な痴女ね!」

凛「ちょっと、イメージが悪いから痴女はやめようって話でしょ」

美波「あっ、そうだった! ゴメンなさい!」

未央「そうだよみなみん! 私達がしてるのは、あくまでも痴漢!」

卯月「はいっ。だって、私達が従うのは――」

CPアイドル達「心のおちんちん!」

美波「……だものね!」

武内P「何ですかそれは」

美波「それで、痴漢を続ければ快楽落ちできそう?」

未央「うーん……どうかな、プロデューサー?」

武内P「まさかの質問で、困惑しています」

卯月「お願いします、参考にしますから」

武内P「何の参考にするつもりですか」

凛「触り方に決まってるでしょ。言わせないでよね」

武内P「聞きたくはありませんでしたよ、私も」

美波「どうですか? 落ちそうですか?」

武内P「落ちません」

美波「口ではこう言ってても、体に聞かないとわからないです」

武内P「何故聞いたのですか?」

美波「だから、痴漢担当ジェネレーションズは、ミッション続行よ!」

未央・卯月・凛「らじゃー!」ニコッ!

武内P「良い、笑顔です」

武内P「ですが、最悪です」

美波「それじゃあ、媚薬担当の子達、報告をお願い」

武内P「何をしてるんですか」

かな子「プロデューサーさん、あんまり効かないみたいなの」

武内P「もう、差し入れは二度と口にしません」

智絵里「体が大きいから……なのかな」

武内P「今、立派に産んでくれた両親への感謝が止まりません」

杏「面倒だから、直接血管にぶちこもうよ~」

武内P「謎の積極性を発揮しないでください」

美波「お薬の濃度が足りないんじゃない?」

かな子「像でも一発で赤玉出る濃さだよ~」

武内P「殺す気ですか」

智絵里「これ以上は……固形になっちゃいます」

武内P「現時点でもドロッドロじゃないですか」

杏「いっそ飴にしてさ、直接尻にぶちこもうよ~」

武内P「せめて口からにしてください」

美波「媚薬アイランドも駄目か……」

武内P「なんですか、その狂気の島は」

美波「どうして媚薬が効かないんですか?」

武内P「スタドリを飲んでいるからかと」

美波「スタドリを飲まないという選択肢は?」

武内P「私の中から、完全に消滅しました」

CPアイドル達「……」ジッ

武内P「私が悪い感じで睨まないでください」

美波「それじゃあ、ふれあい担当! お願い!」

武内P「急に、ほのぼのしたネーミングになりましたね」

莉嘉「ハーイ☆ 多分、右の乳首の感度は上がったよ☆」

みりあ「はいはーい! みりあは、左の乳首ー!」

武内P「何をしているんですか」

きらり「二人共! ちゃんとバランス良くしないと、メッ、だゆ☆」

莉嘉・みりあ「はーい!」

武内P「一体、いつの間に」

美波「それじゃあ、三人には引き続き頑張って貰おうかな!」

武内P「やめさせてください」

莉嘉・みりあ・きらり「はーい!」

武内P「やめてください」

美波「プロデューサーさん! 乳首だけでイケるようになりましょう!」

武内P「なりたくありません」

CPアイドル達「?」

武内P「キョトンとしないでください」

美波「それじゃあ、お色気担当!」

武内P「あまりにも直接的すぎるネーミング」

みく「遂に、みく達の出番にゃ!」

李衣菜「最高にロックな誘惑したよ!」

武内P「あまりにも壊滅的な人選」

美波「それじゃあ、引き続き頑張ってね!」

武内P「報告すら聞かないのなら、何故担当に?」

美波「それじゃあ、最後は私達の報告ね」

武内P「恐ろしいです、とても」

蘭子「ふっふっふ! 我が衣は、戦装束へとなった!」

武内P「最近、少し露出が増えましたね」

アーニャ「ダー。スカートを2センチ、短くしました」

武内P「気づきませんでした」

美波「私は、下着がちょっとセクシーになったの!」

CPアイドル達「おー!」

武内P「あの……いえ、何でもありません」

美波「どうですか? 快楽落ちしそうですか?」

武内P「いえ、私はプロデューサーですから」

CPアイドル達「くっ……!」

武内P「媚薬を盛るのも、勝手に開発するのも、やめてください」

CPアイドル達「……」

武内P「そして、痴女も」

CPアイドル達「痴漢」

武内P「……痴漢も駄目です、絶対」

武内P「そもそも、何故私を快楽落ちさせようなどとなったのですか」

CPアイドル達「……」

武内P「そんなに、私がアヘる滑稽な姿を見たかったのでしょうか」

CPアイドル達「……」

ちひろ「待ってください、プロデューサーさん」

武内P「千川さん」

ちひろ「半分はそうです」

武内P「最悪です」

ちひろ「でも、もう半分は違うんです」

武内P「……聞かせてください」

ちひろ「皆、プロデューサーさんがどんな風に感じるのか気になっただけなんです」

武内P「聞かなかった事にします」

みく「ううん! みくは、自分を曲げないよ!」


武内P「……」

ドンッ!

みく「っ!?」ビクッ!


CPアイドル達「壁ドン……!?」

みく「ぴ、Pチャン……あの、近い……///」

武内P「前川さん?」

みく「な、何……?///」

武内P「エッチな猫には、お仕置きが必要ですか?」

みく「……♡」ジュンジュワー!

……バタリッ

みく「♡」ビクンッ!ビクンッ!


CPアイドル達「!?」

武内P「意外かも知れませんが……」

CPアイドル達「……」

武内P「私はSです」

CPアイドル達「!!?」

  ・  ・  ・

CPアイドル達「♡」ビクンッ!ビクンッ!

武内P「……――さて」

ちひろ「……!」

武内P「千川さん、残るは貴女だけです」

ちひろ「……ふ、ふふふっ」

武内P「何が、おかしいのでしょうか?」

ちひろ「プロデューサーさん、一つ言っておきます」

武内P「……」

ちひろ「私はMです。しかも、ドのつく程の」

武内P「聞く必要は無かったようですね」

ちひろ「いいえ、聞いてください」

武内P「聞きません」

ちひろ「痴漢されるシチュ、大好物なんです」

武内P「そうですか」

ちひろ「そんな感じで、お願いしまぁす♡」

武内P「では、後片付けをお願いします」

ちひろ「えっ、あっ、ちょっと待っ」


ガチャッ…バタンッ


ちひろ「……痴漢では、いけませんか」


ちひろ「放置プレイなので、まあこれはこれで♡」


CPアイドル達「♡」ビクンッ!ビクンッ!



おわり

お風呂後に>>512書きます
クリスマスなので、ちょっと長めのにします


「えっ!? プロデューサーって、結婚してるの!?」


 えええ!? マジで!?
 思わず声をあげちゃったけど……誰だってそうするよね!?
 だって、プロデューサーだよ!? プロデューサー!


「はい……しています」


 自分でも、自分が結婚しているのに違和感があるとわかるんだろうね。
 だって、いつもの右手を首筋にやる癖が出てるもん。


「どんな人!? 美人!? 歳は!?」
「ほ、本田さん……!?」


 私の勢いに驚いたのか、プロデューサーはたじろいだ。
 でも、しょうがなくない?
 こんなの、シンデレラプロジェクト結成以来の大ニュースだもん!
 いやー! 今まで、どうせ結婚どころか恋人も居ないだろうと思ってたよ!


「そう、ですね……」


 しっかし、相変わらず笑うの下手だなぁ。
 苦笑いすら下手だったら、奥さんとはどんな風に接してるんだろ?
 奥さんも無表情とか? うっわ、それはそれで見たい!


「とても……――綺麗な人ですよ」


 奥さんの事を語るプロデューサーの表情は、今まで見たどんな顔より優しかった。
 だから、変に盛り上がっていたのが急に恥ずかしくなって、


「あ……はい」


 気の抜けた返事になっちゃったよ。

  ・  ・  ・

「まあ、貴女……諸星きらりちゃん?」
「うにゅ?」


 事務所に向かう途中、と~ってもキレイな人に声をかけられたにぃ。
 どこかで見た気がすゆんだけど……どこだっけ~?
 わからないけどぉ、ご挨拶☆


「おはようございま~す☆」 
「あっ、ごめんなさいね、急に声をかけちゃって」


 きらりが挨拶したら、キレイなお姉さんもぉ、


「――おはようございます」


 と~ってもキラキラした笑顔で、挨拶してくれたゆ!
 そしたらね、お姉さんの後ろから、ちらっちらってコッチを見てる子が顔を出したの。
 その子は、きらりからしたらと~っても小さくて、きゃわゆくて、見てるだけでハピハピしちゃう☆


「ほら、ご挨拶。おはようございます、って」


 お姉さんは、その子にご挨拶しなさ~い、って言ったけど、その子はもっと隠れちゃった!
 にょわ~……きらりがおっきくて、怖くいのかなぁ。


「……ん? なあに?」
「……」

 お姉さんが、服をちょいちょいって引っ張られて、コショコショ話を二人は始めちゃった。
 ごめんねぇ、きらり、ちょ~っとおっきぃから怖かったんだよね~?


「……うふふっ! この子ったら、もう!」


 そしたらね、お姉さんが、さっきよりももっとも~っとキラキラした笑顔をしたにぃ。


「きらりちゃんが可愛くて、恥ずかしくて挨拶出来ないんですって!」
「う……うっきゃ~っ!? き、きらりも照れちゃうにぃ!☆」


 きらりがそう言うと、また隠れちゃった!
 でもでも、と~ってもきゃわゆいにぃ☆

  ・  ・  ・

「えーっ!? Pくんって、結婚してるの!?」


 グループLINEが来てチョービックリだよ!
 未央ちゃんが言うには、Pくんデレデレしてたって!
 アタシというものがありながら……Pくんの浮気者!


「あれ? 莉嘉、アンタ知らなかったの?★」
「お姉ちゃん、知ってたの!?」
「まーね。伊達に先輩アイドルやってないって★」


 がーん! お姉ちゃんが知ってたのに、アタシは知らなかったなんて!
 Pくんは、アタシの担当プロデューサーなんだよ!


「ヒドーイ! 知ってたなら、教えてくれても良かったじゃん!」
「いやいや、普通は知らないと思わない……って、アイツなら自分から言わないか」
「奥さんも恋人も居ないからチャンスだと思ってたのに~!」
「チャンスって……一体、何の話してるの?」


 そんなに決まってるじゃん☆
 もー、だからお姉ちゃんはカレシ出来ないんだよー。


「もちろん! Pくんのおヨメさんの話!」
「……莉嘉、ちょっと来な」
「? 何~?」


 お姉ちゃんは、スマホを操作してチョイチョイと手招きしてきた。
 何? 何か、面白いものでも見せてくれるのカナ。


「この人が、アイツの奥さん」
「……! ヤバ……チョー美人じゃん……!」


 そこに映ってたのは、見たこともない位キレーな人だった。
 神秘的、って言ったら良いのかな……うーん、わかんないよー!
 とにかく、すっごい美人!


「この人、元モデルでさ。今でもたまーに仕事してるみたいだよ」
「ホント!? じゃあじゃあ、お姉ちゃんが一緒になったらサイン貰ってきてよ!☆」
「……アンタ、現役のアイドルでしょ? 普通逆じゃない?」


 あ……そっか☆

  ・  ・  ・

「おはようございます」
「お……おはようございます」


 事務所の中庭にある芝生で四葉のクローバーを探してたら、声をかけられました。
 うぅ……誰だろう……?
 すごくきれいな人だけど……わたしの事、知ってるのかな?


「緒方智絵里ちゃん、でしょう?」
「は、はい! そうです!」


 思ってる事を言い当てられたみたいで、びっくりして大きな声がでちゃった!
 変な子だと、思われなかったかな?


「いつも、お世話になってます」
「こ、こちらこそ……!」

 
 とても丁寧にお辞儀されたから、わたしもお辞儀しなきゃって……あれ?
 知らない人……だよ、ね?
 いつもお世話って、なんの話だろう?


「……」


 頭の中にいっぱいハテナマークが飛んでるわたしと、
きれいなお姉さんの後ろに隠れてた子の目がバッチリ合っちゃいました。
 わたしが芝生にしゃがみこんでたから、高さが丁度良かったの、かな。


「ごめんなさいね。この子、昔の私に似て、とっても人見知りで」


 お姉さんはそう言うと、その子の頭を優しく撫でました。
 その顔がとっても優しくて、とってもきれいだなって。


「人見知り……あの、わたしもそうだったので、気にしないでください」


 今は、毎日が楽しくて、人見知りもほとんどしなくなりました。
 この子も、そうなると良いなぁ……あっ、そうだ!
 さっき見つけた、コレがあれば!


「はい、コレあげるね。四葉のクローバー」


 わたしが差し出した四葉のクローバーは、おずおずと差し出された小さな手に包まれました。
 えへへ、幸せのおまじないだよ。

  ・  ・  ・

「おはようございます!」


 煩わしい太陽ね。


「か、神崎さん?」
「わわわっ、煩わしい太陽ね!」
「はい、おはようございます」


 プロデューサーのキョトンとした様子を見て、挨拶を間違えていたのに気付いた。
 間違ってはいないけど、言い直しちゃったけど、そんなのは後回し。
 あの言葉が真実か、問いただすのが先決!


「け、けけっ、こけっ、こ!」
「? ニワトリ……でしょうか」


 焦って出なかった私の焦りを言の葉と思ったのか、
プロデューサーは私の言葉に関してのメモを取り出して解読しようとしている。
 否! 先程のは言の葉でなく、地より沸き立つ探究心の現れ!


「わ、我が友よ!」
「? はい、何でしょうか」
「け、結婚おめでとうございます!」


 違う! そうじゃない!


「あの……結婚したのは大分前ですが、ありがとうございます」
「大分前!? いつの話!?」
「もうすぐ……四年になりますね」


 四年前!? 四年前だなんて……!


「お、おおお!」
「神崎さん?」
「おっ、お、おおお!」
「神崎さん!? あの、神崎さん!?」


「オリンピック! 我が友オリンピック!」


「はい!? あの、意味が……あの、神崎さん、どこへ!?」


「神崎さん! 神崎さーん!」

  ・  ・  ・

「ドーブラエ ウートラ。おはよう、ございます」
「おはようございます、アナスタシアさん」
「あの……蘭子が、走っていったのは、どうして、です?」
「私にも……よく、わかりません」


 プロデューサーは、右手を首筋にやって困っています。
 だけど、蘭子が走っていってしまった理由、わかります、多分。
 蘭子は、プロデューサーをとても、アー、信頼しています。


「プロデューサー、結婚、していたんですね」
「あの……もう、皆さんがご存知で?」
「ダー♪ 未央が、教えてくれました♪」
「……」


 私の言葉を聞いて、プロデューサーはもっと弱った顔をしました。
 どうしてか、わかりません。


「プロデューサー、困って、いますか?」
「その……どうしていいか、わかりません」
「何が、ですか? 結婚、とっても良い事、です」
「……そう、ですね。はい、その通りです」


 皆、プロデューサーが結婚してると知らなくて、驚いただけ、です。
 だから、プロデューサーは困る必要、無いです。
 私もビックリしましたが、それよりも、もっと、嬉しい!
 プロデューサーには、とても、お世話になっています。
 そんな人が、幸せなのは、とってもステキです。


「プロデューサー、アー、子供はいますか?」
「はい。もう、3歳になります」
「ハラショー♪ 私、見たいです♪」


 3歳……とっても小さくて、可愛いですね?


「……お見せする機会があるとは思わなかったのですが」


 そう言うと、プロデューサーはスマホをいじって、こちらに見せてくれました。


「……フェーヤ」


 そこには……アー、妖精が、映っていました。

休憩

きれいなかな子がみたいです

それぞれの脳内天使と悪魔
とかできたらお願いします

天使かな子「おいしいから大丈夫だよ~」
悪魔かな子「おいしいから大丈夫だよ~」
[ピザ]かな子「おいしいから大丈夫だよ~」

射精管理されてる武内Pがみたいです


「スタッフさん達には、私から話しておきますから」


 新田さんが、後のフォローは任せろと言ってきた。


「……なーんて、事前にある程度の人には言ってあったんです」


 彼女は、最初のメンバー達の公演で倒れてから、より強くなった。
 新田さん自身の成長もあるが、何より人を頼る事を覚えた。
 やはり、彼女をリーダーに指名して正解だった。


「それではもう……帰るしかありませんね」


 そうと決まったのなら、早く家に帰ろう。
 でなければ、彼女達の想いが無駄になってしまう。


「ほら、今日は寒いから、スタッフコートも着て帰んなよ!」


 本田さんは、そう言うと後ろから私の背中にスタッフ用のベンチコートをかけてきた。
 これを着て帰れというのは恥ずかしいが……いや、着て帰ろう。


「それでは皆さん、お先に失礼します」


 私は、彼女達の、良い笑顔によって送り出された。

  ・  ・  ・

「……もしもし」


 突然帰って驚かせる、というような器用な真似は私には似合わない。
 だから、今日は言っていたよりも早めに帰ると電話をした。


 私が何か怒らせるような事をしたのかと問われたので、苦笑。
 似ていると言われたのはいつだったか……思い出せない。
 だが、私も同じようなことを考えたと伝えたら、
コロコロと鈴の音を転がすような、美しい笑い声が聞こえてきた。


 そして次に聞こえてきたのは、とても可愛らしい声。
 その声を聞いて、私の歩く速度が少し速まった。
 働く姿を……その成果を見てもらいたいという気持ちは、ある。
 だが、今はそれ以上に、彼女を抱き上げたいという気持ちが強い。


「……」


 通話が終わり、私はより一層歩く速度を速めた。
 まだ距離はあるが……いや、もう、走ってしまおう。
 私は、私の担当するアイドル達に完全に負け、追い立てられたのだ。
 そんな私がゆっくりと歩くなど、到底許されない。


「はっ……! はっ……!」


 白い吐息が、すぐに温度を無くし透明になる。
 だが、無口な車輪の蒸気機関は、もっと速く、もっと速くと私の足を加速させる。
 帰り道に気をつけて、という言葉に従い、運行自体は安全なものだが。


 私は、チラリと来ているコートに目をやった。


 プレゼントのラッピングのような、クリスマスカラーの、赤。


 しかし、サンタクロースカラー、とは言わない。


 何故なら、私の帰りを起きて待っていると、そう、言っていたから。



おわり

オナ禁で一つお願いします

良い子は寝てる時間だと思うので書きます
>>648>>649の間かどっかに挟んでください


「今日は、お疲れ様でしたー!」


 プロデューサーさんは帰り、打ち上げには私達だけで参加する事になった。
 今のも、何度目の乾杯かはわからない。
 わからないけれど、今の私を止める人は居ない、という事だけはわかる。


「かな子ちゃん、その箱は何……?」
「クリームが溶けちゃうから、スタッフさんに頼んでおいたんだ~」


 そう言いながら、箱に入っていた宝物をゆっくりと引き出した。


「凄い……! クリスマスケーキ……!」
「うふふ♪ 今日のために、とっても頑張ったんだよ~♪」


 この時のために、二日がかりで用意してきた特製のケーキ。
 普通のケーキと思って食べたら、きっと皆ビックリするだろうなー。


「おい凛! 加蓮! 笑ってないで、何とかしてくれ―!?」
「応援してるよ、奈緒」
「良かったね、クリスマスに素敵なお嫁さんが出来て」
「うふふっ♪ なお、助けは来ない模様♪」
「この人、メチャクチャ酔っ払ってるから無理だって!」


 プロジェクトメンバー以外にも、同じ事務所のアイドル達も来ている。
 でも大丈夫、こんな事もあろうかと、ケーキはいっぱい用意してきたんだー。


「生クリームたっぷりで、とっても美味しそう……」


 智絵里ちゃんが、切り分けられた真っ白いケーキをその口に運んでいく。
 うふふ、どんな反応をするか、とっても楽しみ!


「! これ、生クリームじゃ……ない?」
「そうなの! ホワイトチョコのクリームなんだよー」
「パッと見、普通の生クリームと見分けがつかないね……」


 色とりどりのフルーツが中に入った、ホワイトチョコクリームのケーキ。
 イチゴのショートケーキだと思って食べたら、びっくりすること間違い無し、だよね。
 それが、私が皆のために作ってきた特製のケーキだ。


「それじゃあ、私も自分のを食べようかな……」


 そう言って、また新たに箱からケーキ……クリスマスと言えば、ブッシュ・ド・ノエル!
 ブッシュ・ド・ノエルを丸々一本、切り分けずにそのままフォークを入れていく。
 周りの人達がそれを驚いた顔で見てきたが、私はいつもの様に、笑顔で答える。


「美味しいから大丈夫だよ~♪」

メリー・クリスマス
おやすみなさい

メモ>>514>>638>>639


>>641>>656書きます


武内P「そろそろ射精の時間ですね」

ちひろ「あっ、もうそんな時間ですか?」

武内P「はい。お手数ですが、よろしくお願いします」

ちひろ「わかりました」

武内P「では、準備が整い次第LINEします」

ちひろ「はーい」

ガチャッ…バタン


未央・卯月・凛「……」

未央・卯月・凛「……!?」

未央「ちっ、ちひろさん?」

ちひろ「? どうかしたの、未央ちゃん?」

卯月「いやいや! どうかしてるのは、二人がですよ!?」

ちひろ「二人……未央ちゃんと、凛ちゃん?」

凛「違うから! プロデューサーと、ちひろさんがおかしいの!」

ちひろ「……あの、何が?」

未央・卯月・凛「!?」

ちひろ「私達がおかしい……仕事の事かしら?」

未央「じゃなくて! さっきのやりとり!」

ちひろ「さっきって……ああ、射精管理の事?」

卯月「どうしてそんな何でもない感じなんですか!?」

ちひろ「だって、当たり前の事だもの」

凛「いやいや! 明らかにおかしいから!」

ちひろ「? 射精させてあげないと、大変でしょう?」

未央・卯月・凛「!?」

ちひろ「射精させないと、ずっとオナ禁する事になっちゃうもの」

未央「おっ、おお、オナ禁!?」

ちひろ「そうよ。だから、定期的に出してあげるの」

卯月「だ、出してあげるって……///」

ちひろ「これも、事務員の立派な仕事なのよ」エッヘン

凛「そんな事務作業、聞いたことないから!」

ちひろ「あら、言ってなかったかしら?」

未央・卯月・凛「……!?」

ヒュポンッ♪

ちひろ「あっ、プロデューサーさん、トイレに着いたみたい」

未央「と、トイレって……えっ、本当に!?」

ちひろ「『OK?』っと」

卯月「なんですか! そのスタンプ、何を聞いてるんですか!?」

ちひろ「えっ? 射精させていいかを聞いてるんだけど……」

凛「この距離で、何をする気なの!?」

ちひろ「それは勿論、P射精スイッチを押すのよ」

未央・卯月・凛「……!?」

ヒュポンッ♪

ちひろ「『GO!』ね。はーい、それじゃあスイッチ――」

未央「ストップストーップ! その手のスイッチ、何!?」

ちひろ「? P射精スイッチだけど……?」

卯月「そ、それを押すとどうなるんですか?」

ちひろ「当然、プロデューサーさんが射精するわ」

凛「当然って何!? 頭がおかしくなりそう!」

ちひろ「えいっ」

ポチッ!

未央・卯月・凛「!?」

ちひろ「まずは一回、と」

未央「今ので、その……何!? 何が起こったの!?」

ちひろ「それは言うまでもなく、射精よ」

卯月「そ、そのスイッチを押すと、その、出ちゃうんですか!?」

ちひろ「ええ。二回目は、少し時間を空けてあげるの」

凛「い、今まで、そんな事してたって言うの!?」

ちひろ「これも、お仕事ですから」

未央・卯月・凛「……!?」

ヒュポンッ♪

ちひろ「『GO!』? あらあら、今日は元気ですね」

未央「ちょ、ちょっとそのスイッチ見せて!」

ちひろ「? 良かったら、押してみる?」

卯月「へうぅ!? だ、だって、押したら、出るんですよね!?」

ちひろ「ええ、出るわよ」

凛「スイッチで出るわけないでしょ!? こんなので――」

ポチッ!

未央・卯月「! 押した!?」

ちひろ「凛ちゃん、プロデューサーさんを射精させちゃったわね♪」

凛「有り得ない。二人してからかってるんでしょ?」

ちひろ「そんな事ありません。私達は、真面目ですよ」

未央「スイッチ一つで射精なんて、聞いたこと無いよ!」

ちひろ「プロデューサーというお仕事は、大変なんですよ」

卯月「!? ぷ、プロデューサーになると、まさか……」

ちひろ「全員、射精はスイッチ式になります」

未央・卯月・凛「!?」

ちひろ「だって、そうでないと困っちゃうでしょう?」

未央「困るって何が!?」

ちひろ「プロデューサーが、アイドルに手を出して……」

卯月「そういう次元の話じゃなくなってると思います!」

ちひろ「もしも妊娠なんてしたら!」

凛「だから……スイッチで、その、定期的に出してるって事?」

ちひろ「さすが凛ちゃん。一回スイッチを押しただけはあるわね♪」

凛「その褒め方やめて!」

未央・卯月「……」

ちひろ「プロデューサーになると、その人専用スイッチが作られて」

未央「こんな事が、私達がアイドルやってる裏で起こってたなんて!」

ちひろ「定期的に射精させるよう、事務員に渡されるの」

卯月「その……何回か、出させないといけないんですか?」

ちひろ「そうね、プロデューサーさんは一回につき四発ね」

凛「す、すご……じゃなくて! おかしいと思わないの!?」

ちひろ「? 何が?」

未央・卯月・凛「……!?」

ちひろ「射精管理は、事務員の大切なお仕事の一つです」

未央・卯月・凛「……!」

ちひろ「プロデューサーになると、オナニーも禁止になりますから」

未央・卯月・凛「……!?」

ちひろ「だから、ちゃんとスイッチを押して、出させてあげないと、ね♪」

未央・卯月・凛「……」

ヒュポッ♪

ちひろ「あっ、次の準備が整ったみたい」

未央・卯月・凛「!」

未央「はい! はいはーい!」

ちひろ「? どうしたの、未央ちゃん?」

未央「私にも! 私にもスイッチ押させて!」

卯月「ず、ずるいです未央ちゃん! 私も、押してみたいです!」

ちひろ「ふ、二人共?」

凛「待って。私も、もう一回押さないと気がすまない」

未央「しぶりんは一回押したじゃん!」

卯月「そうですよ! 凛ちゃん、私達にも押させてください!」

ちひろ「えいっ」

ポチッ!

未央・卯月・凛「!?」

未央「ちひろさん、なんで押しちゃうの!?」

ちひろ「え、だって……待たせても可哀想じゃない」

卯月「チャンス、残り一回しかなくなっちゃったじゃないですか!」

ちひろ「え、ええっ!? そんな事言われても……!?」

凛「ちひろさん。スイッチ、こっちに渡してよ」

ちひろ「!? ダメです!」

未央・卯月・凛「……」

ちひろ「さ、三人共……!? あの、落ち着いて……!?」

未央・卯月・凛「……」

未央「私さ、バスの停車ボタンとか押したくなっちゃうんだよねー」

ちひろ「ど、どうして今その話を」

卯月「あっ、それなんとなくわかります」

ちひろ「ふ、二人共……!?」

凛「ジャーンケン……」

ちひろ「! ジャンケンで、誰が押すか決めるのね!?」

未央・卯月・凛「ポンッ」

ちひろ「……だ、誰に決まったの?」

未央・卯月・凛「生ハムメロン、で」

ちひろ「掛け声を決めるジャンケン!?」

ヒュポッ♪

ちひろ「『GO!』って! もう、なんでこのタイミングで!?」

未央「三人! 三人同時に押すから!」

ちひろ「ほ、本当に!?」

卯月「はいっ♪ 島村卯月、頑張ります♪」

ちひろ「信じて……良いのね?」

凛「ちゃんと見ててよね」

ちひろ「それじゃあ……一回よ! 一回だけよ!」

未央・卯月・凛「はいっ!」ニコッ

ちひろ「……良い、笑顔ですね」

未央「生!」

ポチポチポチポチポチポチ!


ちひろ「押しすぎ! 押しすぎいいいっ!?」


卯月「ハム!」

ポチポチポチポチポチポチ!


ちひろ「死んじゃう! 死んじゃいますから!」


凛「メローン!」

グッ…………


ちひろ「せめて離してあげて! 出っぱなしになっちゃうから!」

ちひろ「ぷ……ぷ……」

ちひろ「プロデューサーさああああああん!」

  ・  ・  ・

武内P「死ぬかと、思いました」

ちひろ「……すみませんでした」

武内P「死ぬかと、思いました」

ちひろ「はい……はい……申し訳ありませんでした」

武内P「今回の事で、射精管理の問題点について会議がありました」

ちひろ「……」

武内P「そして、管理する人間も、管理される側の人間の立場を理解しなければならない、と」

ちひろ「はい……あの、それは……どういう……?」



武内P「そろそろ絶頂の時間ですね」



おわり

>>638書きます


武内P「三村さんが、池に!」

武内P(頭のどこかで、これは夢だとわかっている)

武内P(わかってはいるが、万が一夢でないという可能性もある)

武内P(だから……私は彼女を――三村さんを助けなければならない!)


ザバーッ!


武内P「!? 池から、何かが……!?」


専務「――三村かな子を池に落としたのは、キミか?」


武内P「安心しました。これは悪夢ですね」

専務「悪夢? キミは何を言っている」

武内P「いえ、こちらの話です」

専務「もう一度聞こう。三村かな子を池に落としたのは、キミか?」

武内P「いえ、私ではありません」

専務「何?」

武内P「転がったお菓子を追って、自ら池に飛び込んでいきましたから」

専務「それが、キミの言うパワーオブスマイルか?」

武内P「違います」

専務「良いでしょう。質問を変えます」

武内P「はい」

専務「キミが落としたのは、この三村かな子くんか?」


かな子A「ケーキ食べたーい」


武内P「はい、そうです」

専務「話は最後まで聞き給え」

武内P「……」

専務「それとも、この三村かな子くんか?」


かな子B「クッキー食べたーい」


武内P「あの、先程と違いが、よく……」

専務「話は最後まで聞き給え」

武内P「……」

専務「それとも、この三村かな子くんか?」


かな子C「クレープ食べたーい」


武内P「あの……皆さん、同じに見えるのですが」

専務「違う。よく見給え」

武内P「……」

専務「まず、彼女だが」

かな子A「ケーキ美味しい~」

専務「髪が、普通の三村かな子くんよりも綺麗だ」

武内P「よく、わかりません」

専務「10%ほど美しい。キューティクルは私が保証しよう」

かな子B「クッキー美味しい~」

専務「そして、彼女は肌が10%ほど綺麗で、」

かな子C「クレープ美味しい~」

専務「彼女が、普通の三村かな子くんだ」

武内P「……そう、ですか」

専務「さて、もう一度聞こう」

武内P「……」

専務「キミが落としたのは、どの三村かな子くんだ?」

武内P「Cで」

専務「何? キミは、綺麗な彼女達よりも、普通の三村かな子くんを選ぶと?」

武内P「Cで」

専務「もっと、輝きたいとは思わないのか?」

武内P「Cで」

専務「どうやら、私達は平行線のようだな」

武内P「Cで!」

専務「……良いでしょう。よく、わかりました」

武内P「わかって、頂けましたか」

専務「キミは有能だ。期待している」

武内P「ありがとう、ございます」

専務「それでは、三人の三村かな子くんを受け取りなさい」

武内P「……は?」

かな子ABC「マシュマロ食べたーい」

武内P「待ってください! これでは、エンゲル係数が危険すぎます!」

専務「ふむ、それが個性か」

武内P「そうですが……あの、一人で十分ですから!」

武内P「……――待ってください!」

ガバッ!

武内P「はぁ……! はぁ……!」

武内P「……」

武内P「夢だとわかっていても……何と、恐ろしい」

武内P「……」

武内P「もう一度、寝直しますか」

ちひろ「貴方が落としたのは、どのかな子ちゃんですか?」

武内P「……見せて、頂けますか」

ちひろ「まず、このかな子ちゃんは――」


かな子D「間食は、あまりしないですー」


ちひろ「――スリムで、綺麗です」

武内P「D! Dでお願いします!」

ちひろ「もう! 話は最後まで聞いてください!」

武内P「……」

ちひろ「そして、次のかな子ちゃんは――」


かな子E「biscuit食べたーい」


ちひろ「発音が綺麗です」

武内P「Dで」

ちひろ「待って、よく見てください」

武内P「……?」


かな子「biscuit美味しーい」


ちひろ「なんと、サービスで食べ方も綺麗なんですよ!」

武内P「Dで」

ちひろ「そして、残るかな子ちゃんは――」

武内P「Dで」


かな子C「皆に、ケーキ作ってきたんですー」


ちひろ「普通で、心が綺麗です」

武内P「……!」

ちひろ「さあ、貴方が池に突き落としたかな子ちゃんは、どの子ですか?」

武内P「待ってください! そんな流れだったのですか!?」


かな子CDE「……!」ジッ


武内P「ものすごく恨みがましい目で見てるじゃないですか!」

武内P「私が、そんな事をするなど有り得ません!」

武内P「……――待ってください!」

ガバッ!

武内P「はぁ……! はぁ……!」

武内P「……」

武内P「全く……時間が進んでいない……」

武内P「……」

武内P「もう一度……寝直そう」

楓「はーい、貴方が落としたのはどのかな子ちゃんですか?」

武内P「Cです」

楓「まだ話してる途中ですよ。Cだけに、シーッ、です」

武内P「……」

楓「このかな子ちゃん?」


かな子F「夢のティアラ♪ みつけるから♪」


武内P「歌声が、ほんの少し綺麗ですね」

楓「綺麗だなんて、そんな」

武内P「貴女の話はしていません」

楓「それとも、このかな子ちゃん?」


かな子G「チョコレート食べたーい」キラリン


武内P「目が、ほんの少し綺麗ですね」

楓「私、左右で目の色が違うんですよ」

武内P「貴女の話はしていません」


かな子「チョコレート美味しいー」キラリン


武内P「Gだけに、ジーッと見つめてきますね」

楓「!?」

誤)かな子「チョコレート美味しいー」キラリン

正)かな子G「チョコレート美味しいー」キラリン

楓「Cが普通のかな子ちゃんです。それで、どの子です?」

武内P「あの、何か……怒っていますか?」

楓「いいえ、別に。それで、どの子です?」

武内P「では……Cで」

楓「はぁ、そうですか」

武内P「……今度、飲みに付き合いますから」

楓「は~い♪ それじゃあ、正直者には、全部のかな子ちゃんを差し上げま~す♪」

武内P「!?」

  ・  ・  ・

武内P「……とても、恐ろしい夢を見た気がします」

ガチャッ!


ちひろ「ぷっ、プロデューサーさん、来てください!」


武内P「? 千川さん、そんなに焦って……どうかされましたか?」


ちひろ「かな子ちゃんが、沢山!」


武内P「!?」

武内P「何が綺麗な三村さんですか!?」


ちひろ「……はい?」

  ・  ・  ・

かな子「す、すみません……ちょっと、ケーキを作りすぎちゃって~」

武内P「いえ、運ぶのを手伝う程度……何ともありませんから」

かな子「皆、喜んでくれるかな~」ニコニコ

武内P「……良い、笑顔です」

かな子「えっ? 私、笑ってました?」

武内P「やはり、三村さんは、いつもの三村さんが一番ですね」

かな子「えへへ、プロデューサーさんは、Cの私を選んでくれるんですね♪」

武内P「はい。Cの三村さんを……」

武内P「……」


武内P「えっ?」



おわり

メモ>>639

休憩後、>>514書きます


「……すぅ……すぅ」


 プロジェクトルームに行くと、プロデューサーが居眠りをしていた。
 いつもの無表情はなりを潜め、安らかな寝顔を見せている。
 最近は、仕事大変そうですもんね。
 だから、仕事中に居眠りするのも仕方ないのかも。


「……すぅ……すぅ」


 私だって、授業中とかウトウトしちゃう事あるし。
 やっぱり、夜遅くまでギターの練習をしてるのがいけないのかも。
 でもねプロデューサー、それでも私は寝てないですよ?
 だって、自分が好きなことをして眠いのに、やるべき事に手を抜くのは格好悪いですから。


 なんて、ちょっとした現実逃避をしてみても、目の前の状況に変わりはない。
 今、この場に居るのは私と、プロデューサーだけ。
 だから、この状況を何とか出来るのは、起きている私だけ。


「……すぅ……すぅ」


 プロデューサー、私にこんな姿を見られたと知ったらどんな顔するかな。
 ……駄目、絶対に、気付かれずに何とかしなくちゃ。


「……すぅ……すぅ」


 プロデューサー。


 全裸で居眠りは、ロックすぎますよ。


「……すぅ……すぅ」


 こんな時、他の皆だったらどうするのかな。
 やっぱり、声を上げて逃げちゃう、よね、絶対。
 だけど、ここで逃げ出すのは――ロックじゃない。


「……ん、んん」


 プロデューサー、目を覚ましたんですか?
 だったら、私にこんな姿を見られたと気付かないよう、すぐに逃げないと!


 そう、思ったけれど、違った。
 プロデューサーは、横向きだった態勢では寝苦しかったのか、
ゴロリと体を転がし、仰向けに、大の字の態勢に移行した。


「……っ!?」
「……すぅ……すぅ」


 思わず上げそうになった悲鳴を手で抑える。
 そりゃそうだよね、全裸だもん。
 全裸で仰向けに寝たら、そりゃあ見えるよね。


「……すぅ……すぅ」


 寝息を立てているプロデューサーに腹が立つ。
 愚息を勃てているプロデューサーに腹が立つ。


 あっ、今のロックっぽくない?


「……すぅ……すぅ」


 ロックのLIVEでは、テンションが上がって全裸になる人も居るそうだ。
 プロデューサーがもしそうだとしたら……ギターをアレで支えれば楽そう。


 私は、驚くほど冷静だった。
 プロデューサーが眠っているからか、事態の異常性が私の感覚を麻痺させているのか……。
 きっと、みくちゃんだったら大騒ぎして大変な事になってたよね。
 やっぱり、私はクールでロックなアイドルだ。


「……すぅ……すぅ」


 それにしても、本当にスヤスヤ寝てるなぁ。
 寝てる状態でも、あんなに元気になるものなの?
 わっかんないなぁ……そうだ! なつきちなら、知ってるかも!


 ――パシャリ!


「……ん……んん」
「……」


 セーフ!
 シャッター音で起きたらどうしようかと思ったけど、大丈夫だった!
 この写真をなつきちに送って、と。


『寝てるのに、こんなに元気になるの?』


 ……っと。


Hey Boys! Rockin’ Emotion♪


「!?」
「……すぅ……すぅ」


 電話!?
 ちょっ、ちょっと待ってなつきち!
 電話なんかしたら、プロデューサーが起きちゃうじゃんか!?


Hey Yeah! ついてきなよ♪


「っ……!」
「……ん……んんん」


 はやく! はやく切らないと、プロデューサーが起きちゃう!
 急げ急げ急げ急げ!
 ……よし! 切った!


「……ん……んん」
「……!」


 ドクリドクリと、心臓の音が聞こえる。
 ゴクリとツバを飲む音すら、鮮明に聞こえる。


「……すぅ……すぅ」


 プロデューサーは、起きなかった。
 私は、ロックの神に感謝した。


「……すぅ……すぅ」


 安らかな寝息を立て、勃てているプロデューサーの姿を確認する。
 どうやら、起きる心配はなさそうだ。


 でも、また電話がかかってきたら今度は起きちゃうかも。
 そうなる前に、携帯をマナーモードにして、と……よし、オッケー。
 うわわ! またなつきちから着信がきてる!
 ゴメンなつきち! 今は、電話に出られないんだよー!


「……すぅ……すぅ」


 プロデューサーの寝息をBGMに、私はまた、着信を切った。
 すると今度は、


『すぐプロジェクトルームに向かうから』


 と、なつきちからLINEが入った。
 まずい! このままじゃ、絶対にまずいって!
 あああ、さっき撮った写真の背景で、プロジェクトルームに居るってバレたんだ!
 やっぱりなつきちは凄い……って、言ってる場合じゃないってば!


「プロデューサー! 起きてください!」
「……すぅ……すぅ」
「なつきちが来ちゃいますから! はやく!」


 全裸でプロジェクトルームで居眠りしてる姿なんて、他の皆にバレたら大変ですよ!
 はやく起きてください、プロデューサー!


「プロデューサー、起きて!」
「……ん、んん」


 プロデューサーの肩を掴んでゆさゆさと揺すって、大声で声をかける。
 よっぽど疲れてたんだろうなぁ、全然起きないんだよ。
 私だったら、こんな大声で話しかけられたら耳がキーンってなっちゃう。


「プロデューサー!」
「……んん」


 肩を揺する度に、下半身の方もブルンブルンと揺れているが、気にしていられない。
 私は、この人のおかげでアイドルとしてここまでやってこられたのだ。
 自分には無い可能性を示され、また、曖昧だったロックの在り方を気付かせてくれた。
 そんなプロデューサーが、全裸で居眠りしてたとバレたら……?


「プロデューサー!」


 最悪の場合も、あり得る。
 そんなの……そんなの絶対に嫌だ!
 お願いします、目を開けてください、プロデューサー!


「……多田さん?」


 必死の声が届いたのか、プロデューサーはゆっくりと目を開けた。
 その頬に、ポタリ、ポタリと雫の跡がついていく。
 私は、自分でも知らぬ間に、


「何故……泣いて、いるのですか?」


 涙を流していた。


「だって……プロデューサーが、うっく、目を覚まさな……ひっく!」


 あぁ、泣くつもりなんて無かったのに、かっこ悪いなぁ。
 これじゃあ、クールさの欠片も無いよ。


「すみません……少し、居眠りをしてしまいました」


 知ってますよ、そんなの!


「ですが……多田さんの声が聞こえ、目が、覚めました」
「ひっく……ぐすっ!」
「なのでどうか……泣かないでください」


 プロデューサーの声がとても困っている。
 その調子が、あまりにもいつも通りで、笑いが込み上げてきた。
 泣きながらクスクスと笑う私を見て、プロデューサーは右手を首筋に。


「……はいっ!」


 これなら心配ない、大丈夫だ。
 私がロックと信じるものが、ロックなように――


「私がプロデューサーと信じるものが、プロデューサーですから!」


「……良い、笑顔です」


 全裸でも、居眠りしても、この人は私のプロデューサーなのだ!
 最高にロックで、最高なプロデューサーだ!


 ガチャリと、大きな音を立てて扉が開いた。
 そうだ、なつきちに自慢しよう!
 この人が、私のプロデューサーだ! って!


「見て、なつきち!」


 凄いんだよ、私のプロデューサーは!



おわり

>.>639書きます


武内P「それでは、私は着替えてきます」

未央「さて、このドアの向こうではプロデューサーが着替えています」

凛「それじゃあ、ドアを開けようか」

卯月「凛ちゃん、飛ばしますね」


美波「駄目よ! そんな事しちゃ!」


アーニャ「美波? 熱でも、あるんですか?」


美波「もうちょっと待たないと、まだ脱いでないわ!」


アーニャ「ハラショー、さすがですね、美波」

蘭子「一糸纏わぬ姿の我が友……ふふふ、心躍るわ!」

智絵里「あの……パンツは履いてると思う、よ?」

杏「わかってないなぁ、パンツを履いてるから良いんだよ~」


きらり「杏ちゃん! そんな事言っちゃ、メッ、だゆ!」


杏「きらり?」


きらり「アイドルなんだから、きゃわゆくおパンツって言わないと!」


杏「えー、どっちでも良いじゃん」

莉嘉「お姉ちゃんも呼んで良い?☆」

みりあ「美嘉ちゃん、すっごく喜ぶと思うなー!」

かな子「ふ、二人共、やめておきなよ~!」


莉嘉・みりあ「えっ!?」


かな子「人が増えたら、取り分が減っちゃう~!」


莉嘉・みりあ「そっか!」

みく「そろそろ突入にゃ!」

李衣菜「オッケー! せーので、突入しよう!」


CPアイドル達「せーの!」


ガチャッ


武内P「……」

CPアイドル達「……」

武内P「……」

CPアイドル達「……」

武内P「皆さんに、ご質問があります」

CPアイドル達「……」

武内P「何故、私が着替えている所に突入しようと?」

卯月「一人で着替えるのは、寂しいかなと思って」

武内P「そんな事はありません」

凛「そんな言い方ってない! 私達の気持ちも考えてよ!」

武内P「考えたくありません」

武内P「相手が男性とは言え、着替えを覗くのは犯罪です」

未央「確かに、私達は罪作りな女達! 嗚呼、なんて事なのかしら!」

武内P「演技風では誤魔化されませんよ」

蘭子「……我が友の着替え、見たかった」ムスッ

武内P「可愛らしく言わないでください」

杏「面倒だから、もうここで着替えてよ」

武内P「明らかにおかしい選択肢ですね」

武内P「今後、こういった事はやめてください」

智絵里「見捨てないで……くださいね」

武内P「同情を引きつつ服を脱がそうとしないでください」

かな子「美味しいから大丈夫ですよ~」

武内P「やめてください。手を離してください」

きらり「ハピハピするにぃ☆」

武内P「私はしませんから」

莉嘉・みりあ「よいではないか! よいではないか!」

武内P「よくありません! よくありません!」

美波「だったら、どうすれば良いんですか?」

武内P「何が、でしょうか」

CPアイドル達「プロデューサーの着替えを見る方法」

武内P「……はい?」

CPアイドル達「プロデューサーの着替えを見る方法」

武内P「あの、聞こえなかった訳ではありませんから」

武内P「あの……何故、皆さんは私の着替えが見たいのですか?」

CPアイドル達「なんとなく」

武内P「最悪です。特に理由なく見たいという事ですね」

CPアイドル達「はいっ!」

武内P「良い、笑顔です」

CPアイドル達「……」ジッ

武内P「見られても、着替えませんよ」

CPアイドル達「!?」

武内P「ショックを受けられても困ります」

武内P「千川さん」

ちひろ「はい?」

武内P「助けてください」

ちひろ「皆、プロデューサーさんの着替えを覗いちゃ駄目ですよー」

CPアイドル達「はいっ!」

武内P「!? 素直……!?」

CPアイドル達「……」

武内P「……!?」

ちひろ「皆、なんとなくプロデューサーさんの着替えが見たかったんです」

武内P「……はぁ」

ちひろ「とてもまっすぐ、純粋な気持ちで」

武内P「それは、とても困りますね」

ちひろ「だから、天使みたいに大胆になっちゃっただけなんです」

武内P「私には悪魔に思えましたが」


未央「見て、めっちゃよく撮れてる」


武内P「!?」

武内P「あの、撮れてる、と聞こえたのですが」

CPアイドル達「……」

武内P「まさかとは思いますが……」

CPアイドル達「……」

武内P「盗撮、ですか?」

CPアイドル達「……」フルフルフルフル!

武内P「あの、首を振る勢いが強くて頬がえらい事になっています」

武内P「本田さん」

未央「……」

武内P「後ろに隠しているものをこちらへ」

未央「……」モゾモゾ

凛「……」モゾモゾ

卯月「……」モゾモゾ

武内P「他の人に後ろ手で移動させないでください」

美波「シンデレラプロジェクト!」

武内P「!?」


美波「ファイトぉ……!」

CPアイドル達「……!」

ワチャワチャ


武内P「これでは……誰が持っているかわからない……!?」


CPアイドル達「おーっ!」

武内P「……はい、前川さん。後ろのものをこちらへ」

CPアイドル達「……!?」

武内P「いや、一人だけ手を後ろにしていたらわかりますよ」

武内P「千川さん」

ちひろ「はい?」

武内P「助けてください」

ちひろ「はい、カメラを渡してあげましょうねー」

みく「はい」

武内P「!? 素直……!?」

CPアイドル達「……」

武内P「……!?」

ちひろ「皆、本当になんとなくプロデューサーさんの着替えが見たかったんです」

武内P「……はぁ」

ちひろ「隙を生じぬ二段構えだったんです」

武内P「……」

ちひろ「だから、悪魔のように細心になっちゃっただけなんです」

武内P「……」


卯月「見てください! データ転送、うまくいってます!」


武内P「……」

武内P「皆さんが、私の着替えをなんとなく見たいというのは理解しました」

CPアイドル達「はいっ!」

武内P「そのために、天使にも悪魔にもなる、と」

CPアイドル達「はいっ!」

武内P「良い、笑顔です」

CPアイドル達「ありがとうございました!」

武内P「皆さんは、私が何をしても許す仏だと思っているようですね」

CPアイドル達「……?」


武内P「私は今から鬼になります」


おわり

全消ししたので、あとはテキトーにネタ浮かんだら書きます
おやすみなさい

ちょっと短いクロス書きます


美神「横島クン、346プロからの依頼よ」

横島「346プロってあの……アイドル事務所の!?」

美神「ええ。そこの女子寮に悪霊が出たみたいなの」

横島「!? 女子寮に……悪霊が……!?」

美神「それも、相当厄介な奴らしいわ」

横島「大変じゃないですか!? さあ、今すぐ行きましょう!」


美神「だから、今回アンタは留守番よ」


横島「!? なんでですか!?」

美神「アンタ、絶対問題起こすもの」

横島「何を言うんですか! この目を見てくださいよ!」ドヨーン

美神「……ものの見事に濁ってるわね」


https://www.youtube.com/watch?v=avngzfSBvZc

  ・  ・  ・

横島「生まれる前から愛してました――ッ!」

ちひろ「キャ――ッ!?」


横島「ボカァもう、ボカァ――ッ!」

ちひろ「イヤ――ッ!?」


三神・早苗「何をしとるかアンタはああっ!」

ギリギリッ!

横島「ああっ!? 二人のボディコン美女にだなんて……ああっ……!」ビクンビクンッ


ちひろ「はぁ……はぁ……!」

おキヌ「あの、大丈夫ですか?」

ちひろ「はい、何とか……って、浮いてる……!?」

おキヌ「はい! 私、幽霊ですから!」

ちひろ「……本当に大丈夫なのかしら……!?」


横島「あ――ッ!? そ、そこは……だ、ダメ――ッ!」ビクンビクンッ

誤)>三神・早苗「何をしとるかアンタはああっ!」

正)>美神・早苗「何をしとるかアンタはああっ!」

多分このミス多いです

  ・  ・  ・

横島「しっかし、本当に悪霊なんて出るんスか~?」

ズリズリ

ちひろ「スマキのまま這って移動してる……!?」

美神「気にしないで。いつもの事だから」

おキヌ「横島サーン、頑張ってくださーい」

ちひろ「は……はぁ」


美神「それで? 悪霊って言ったのは……」

小梅「私、だよ……正確には……この子……」

ちひろ「……だ、そうなんです」

美神「ふーん? 続けて」

ちひろ「最近、女子寮でその……下着がなくなったり……」


横島「! 俺にはわかる! この先に悪霊が! しかも大量に!」


小梅「そ、その先は……ランドリー……だよ……」

ちひろ「……!」ヒクヒク

ちひろ「写真を撮られている気がするって子も居て……」


横島「女子寮の写真……これは資料! そう、資料なんだ――ッ!」

パシャパシャ!


ちひろ「あの……」

美神・おキヌ「?」

ちひろ「あの人が……犯人では……!?」


横島「アイドル達が吸っている空気……! 染み渡る……染み渡るぞオオ――ッ!」


美神「アンタはちょっと静かにせんか――ッ!」

ゲシゲシッ!

横島「ああっ!? ひどいっ……!?」

横島「なっ、何も殴るこたぁ無いじゃないですか……!?」

美神「殴ってないわよ、イヤね横島クン」

おヌキ「はーい! 踏んだんですよね、美神さん!」

美神「正解!」


ちひろ「あの……!? こっちは真面目に話してるんですけど……!?」ヒクヒク


美神「お……おほほほほ! これも、リラックスするためなのよ!」

横島「嫌だなぁ、美神さんが緊張なんてするわけ――」

ゲシッ!

横島「ぶっ!?」

美神「良いから話を合わせなさい! この依頼、報酬がすっごく良いんだから!」ボソボソ

横島「そ……そんなにスか……?」ボソボソ

美神「失敗したら……そうね……アンタを東京湾に沈めるだけじゃ足りないわ」ボソボソ


横島「安心してくださいッ! この、ゴーストスイーパー横島が解決してみせますよ!」キリッ!


ちひろ「だ……大丈夫なのかしら……!?」

小梅「お願い……悪霊、何とかして……」

横島「任せとけって。こっちもプロだから、ちゃんとやるさ」

小梅「この子も……すっごく、怖がってるの……」

横島「そうなのか?」


横島「安心しな! 絶対、何とかするさ!」

グッ!


小梅「! この子が……見えるの……?」

横島「見えるケド……それが……?」

小梅「……!」パアアッ


ちひろ「なッ……何も無い所に向かってサムズアップ……!?」


美神「あー……こういうリアクション新鮮ねー」

おキヌ「あのー、私が見えるのは?」

美神「大人の事情よ」

小梅「女子寮を……お願いします……!」

横島「おう! 悪霊なんか、極楽にいかせてやるぜ!」


横島「――美神さんがッ!」

グッ!


小梅・ちひろ「……!」だああーっ!

美神「横島クン……アンタ、恥ずかしくないの……!?」

おキヌ「今のはかっこ悪いですよ、横島サン……!?」

横島「だってしょうがないでしょう……!? 俺はまだ見習いですよ……!?」

小梅・ちひろ・美神・おキヌ「……」


横島「お……俺だって……! もっと後の設定なら活躍出来るんや……!」

横島「でも……この時の設定じゃないとダメなんや……!」


ちひろ「あの……メタ発言が多すぎません……!?」

美神「こんなもんだったわよ」

横島「チクショオオ――ッ!」


『男……女子寮に男が居る……!』


見鬼くん「あっち! あっち!」

おキヌ「! 美神さん! 見鬼くんに反応が!」

美神「うっわ! 懐かしい!」

おキヌ「美神さん!? 戻ってきてください!」

美神「あったあった! テレビと漫画で扱いに差があるのよね!」

おキヌ「へ――ん!? 美神さは――ん!?」ビー!


小梅「この声……!」ビクビク

横島「今の声が悪霊……!? って、何で男に怒ってるんだ……!?」


悪霊『アイドルも、この女子寮も全部俺のもんだ――ッ!』


美神・横島・おキヌ「……」

美神「ねえ……あれが悪霊……?」


悪霊『誰にも渡さへん! 渡さへんぞオオ――ッ!』


横島「被ってるのはパンツ……!? 変態じゃないか……!?」

おキヌ「あの……横島サン、ポケットから何か……」

横島「ああっ!? いや、これは……!?」

美神「……」

スルッ

美神・おキヌ・小梅「……」


横島「――パンツが、俺のポケットに入りたいって言ったんですよ」ファサッ


美神「ドサクサに紛れて何やっとるか――ッ!?」

ゲシゲシッ!

横島「あ――ッ!?」


悪霊『あのー……無視しないでもらえます……?』


おキヌ「すっ、すみません! すぐすみますから!」ペコペコ

悪霊『……ゴホン!』


美神「待ってるなんて、案外律儀な奴ね」ボソボソ

横島「いやでも、完全に変態ですよ」ボソボソ


悪霊『……ゴホンゴホン!』


おキヌ「あれが……言ってた悪霊ですか?」ボソボソ

小梅「うん……皆、凄く困ってるの……」ボソボソ


悪霊『あーもう! 感じ悪いなお前ら!?』


美神「スキありッ!」

ヒュッ!


悪霊『危なああいッ!?』


美神「チッ! 外したか!」

横島「でも、この手でサクッといけそうですね!」ボソボソ

おキヌ「でも……ちょっと可哀想じゃないですか?」ボソボソ

小梅「いっぱい悪さしたから……こらしめないと……」ボソボソ


悪霊『聞こえてるからな……!? 全部聞こえてるからなお前ら……!?』

悪霊『全く! これだから普通の女は!』

パシャパシャ!


横島「!? 写真を撮り出した……!?」

美神「何かの攻撃!? まずい、油断した――!?」


悪霊『あ――ッ! イイよ、小梅タン! 凄くイイ――ッ!』

パシャパシャ!


小梅「お、オフだから……撮らないで……!」


悪霊『この写真……これは資料! そう、資料なんだ――ッ!』

パシャパシャ!


横島「アイツ! 無理矢理写真を撮るなんて、なんて奴だッ!?」

おキヌ「どこかで聞いたセリフなんですけど……!?」

悪霊『アイドル達が吸っている空気……! 染み渡る……染み渡るぞオオ――ッ!』


横島「美神サン! とっとと除霊しちゃってください!」

美神「そうしたいのは山々なんだけど……!」

おキヌ「!? まさか、そんなに強い悪霊なんですか!?」


美神「あんなのに触りたくないのよ!」ドーン


横島・おキヌ「……!」だああーっ!

美神「横島クン、アンタがなんとかしなさい」

横島「お……俺がですか……!?」

美神「アレ、アンタの仲間でしょ?」

横島「違ーわい! なんで悪霊の仲間扱いなんですか!?」


悪霊『ボカァもう、ボカァ――ッ!』


横島「お前も紛らわしい事言うなコラ――ッ!?」

悪霊『小梅タン……! ハァハァ……! 小梅タン……!』

ズアァァァ!


小梅「ひっ……!?」


美神「! アイツ……横島クンと同じ、煩悩を力にする奴みたい……!」

おキヌ「それじゃあ、すぐにでもやっつけないと!?」

横島「おキヌちゃん……キミだけは信じてたのに……」ツーッ

おキヌ「ああっ!? そういう意味じゃなくて……!?」


悪霊『小梅タアアア――ンッ!』

グワッ!


小梅「……!?」


美神「まずいッ! 横島クン、これを使いなさい!」

横島「! これは――ッ!?」

悪霊『可愛いよオオオ――ッ!』

グワッ!

横島「だりゃあああ――ッ!」

ガキィン!

悪霊『何ッ!? 受け止めた……!?』

横島「ヘッ、どうやら俺とお前の力は互角のよーだなッ!」

悪霊『お前……顔にパンツを……!? やだ、変態!?』

横島「お前に言われとーないわい!」


おキヌ「大丈夫ですか!?」

小梅「う、うん……」

美神「どうやら、うまくいったみたいね!」

小梅「そういえば……ちひろさん、は……?」

美神「アイツが出た時点ですぐ気絶してたわよ?」


ちひろ「」チーン

横島「さあッ! 諦めて、極楽に行きやがれ!」

悪霊『グウウッ!? 何故、お前の方が力が強い……!?』

横島「ハーッハッハッハ! コイツを見ろ!」

悪霊『パンツに……染みが……!?』

横島「どこの誰のかは知らんが、これを被った俺は無敵じゃ――ッ!」

悪霊『ぐううっ……!? そんな……俺は消えるのか……!?』

横島「さあ! 極楽に――」


悪霊『もう……女子浴場を覗けないなんて……!』


横島「何ッ……!?」

悪霊『ああ……さらば、乳、尻、ふともも……!』

横島「待てッ! 諦めるなッ!」

悪霊『お前……何を……!?』

横島「写真! 写真とかは残ってないのかッ!?」

悪霊『お前……』

横島「悪霊……」

ガシッ!


美神「スキあり」

スバーッ!


横島・悪霊「『あああ――――ッ!?」』

  ・  ・  ・

美神「ちゅうちゅうたこかいな……っと!」

おキヌ「うわー! 凄い量のお金ですね!」

美神「大手事務所だからねー、この不景気に凄いわよ」

おキヌ「それで……あのー……」


横島「やっぱり普通の女はダメだよな!」

悪霊『お前もわかるか、アイドルの良さが!』

横島「おお! 見ろ、小梅ちゃんが写真送ってくれたぞ!」

悪霊『ええ子や……! ホンマええ子や……!』

横島「ああっ! 俺たちで、この笑顔を守っていこうぜッ!」

悪霊『もちろんだぜ!』

ガシッ!


おキヌ「なんか……ついてきちゃったんですけど……!?」

美神「ほっときゃその内飽きるでしょ」


横島・悪霊「『ハーッハッハッハ! ハーッハッハッハ!」』



おわり

鶴ひろみさんと堀川りょうさんの掛け合いが好きだったので


休憩後書きます


「……ふぅ」


 突然の、雨。
 午前中は降らない予報だったのに、なんて気まぐれな雨なのかしら。
 事務所まではもう少しの距離だけど、カフェの軒先で雨宿り。


「ホットコーヒーで、ホッと一息……」


 ついてるだけの時間は……ないわよね。
 あぁ、それにしてもついてないわ。
 どうして、よりによって折り畳み傘を持っていない時に、こんな――


「……高垣さん?」


 ――なんて、思っていたら、よく見知った顔がこちらを見ていた。
 いつもの無表情の彼だけど、驚いているのがわかる。
 ……と言うか、そんなにキョトンとする必要は無いと思いません?
 私だって、こういう時もあります。


「――おはようございます」


 だから、あえていつも通りの朝の挨拶をする。
 こんなの、なんて事ないですよ、という強がりも込めて。


「おはよう、ございます」


 そんな強がりを意に介さず、彼もまた、いつも通りに挨拶してきた。
 左手にカバン、右手に傘を持っているのに、その姿勢はとても綺麗。


「あの……よろしければ、これを」


 この人はとても不器用だけど、手先まで不器用な訳ではない。
 器用に、左手に持っていたカバンを右手の指で持つと、
ポケットから青いハンカチを取り出してこちらに差し出してきた。


「すみません、お借りします」


 それには何の意味も込められていないのだろうけど、
きちんと傘くらいは持って出てください、と言われているような気がした。
 ……たまたまなんです! いつもは、持ってますからね!
 なんて、私の考え過ぎよね。


「……」
「……」


 パタパタと、せめて上品にハンカチを使おうと心がける。
 そんな私の姿を彼は無言で見つめている。


「……」


 彼は、いつの間にか右手の指にかけていたカバンを左手に持ち直していた。
 それには意味が込められているのが、わかる。
 私がハンカチを返そうとしたら、きっと、こう言うのだ。
 手が塞がっているので、ハンカチはそのまま使ってくださって結構です、と。


「……」


 私は、無言で左手を動かし、水滴をハンカチに染み込ませていく。
 手持ち無沙汰な右手は、一体どうしていようかしらと考えながら。


「ありがとうございました。お陰様で、助かりました」
「いえ。偶然ですが、通りがかって良かったです」


 そう言うと、彼は右手を差し出して来た。
 あら? 私が思っていたのとは、違ってたみたい。
 あっ、そうよね、小指でカバンを持てるんだもの、
ハンカチを受け取るくらい、訳ないわよね。


「はい、お返しします」


 洗って返した方が良いわよね、なんて考えてたのが無駄になっちゃった。
 柔軟剤を使うと吸水性が下がるけど、この人はどっち派? なんて。


「では、これを」


 そんな事を考えながら彼の指にハンカチを引っ掛けると、
彼の右手が私の左手を優しく包み込んだ。
 何故、そんな事をするのかと思った次の瞬間には、彼の手は離れていた。
 そして、私の手には――


「……――傘?」


 が、握らされていた。
 あの、私に傘を渡してしまったら、貴方が濡れてしまうんじゃ――


「それでは、失礼します」
「……ちょっ、ちょっと!?」


 彼は、可愛らしくペコリと頭を下げると私の言葉を聞かずに走り出した。


「待ってください!」


 そんな彼を追って、私も走り出した。
 だって、私に傘を渡しちゃったら、貴方が濡れちゃうじゃないですか!


「!? 高垣さん!?」
「待ってくださいって言ってるでしょ!?」


 私はバッグを肩にかけ、右手に傘。
 対する彼は、左手にカバンを持っているだけ。
 距離は、どんどん離れていく。


「っ……!」


 元々、走るのは得意じゃないのよ!
 それなのに、私だけ傘を持って走ってたら、追いつけるわけないじゃない!
 バッグも揺れてとっても気になるし……!


「ああっ、もう!」


 さしていた傘を閉じて右手に持ち、バッグを左手にしっかり持つ。
 これで、とっても走りやすくなったわ!
 なのに、彼ったら、


「か、傘をさしてください!」


 なんて、戻ってきちゃうのよ?
 これから、レッスンで鍛えた私の走りを見せようと思ったのに……得意じゃないけど。


「これは、お返しします!」


 焦ってるみたいだけど、焦ったのはこっちです!
 貴方が使うはずの傘を私に渡しちゃったら、


「「濡れますから!」」


 言葉は、同じ。


 考えている事も、同じ。


「……」
「……」


 とっても似ているのに、私達の考えは交わらない平行線。
 傘を差し出す私に、受け取らない彼。
 雨は、しとしとと降り続いている。


「……」
「……」


 観念したのか、彼は私の差し出す傘を受け取った。
 そして、すぐさま傘を開く。
 もう、受け取るなら受け取るで、最初から素直に受け取ってください。
 おかげで、濡れちゃったじゃないですか。


「……」
「……」


 ……もう! なんで、開いた傘を私に差し出すんですか!?
 ああ、どんどん雨に濡れて……!


「……!」
「あ、あの、高垣さん!?」


 ふふっ、これなら貴方も傘に入らざるを得ませんよね?
 私は、差し出された彼の右腕をパタンと両手で折りたたみ、
空に向かって真っすぐ差されている傘の下に入り込んだ。


「しかし、これは……!」


 事務所までもうすぐなんですから、ワガママ言わないでください。
 走ったお陰で、本当にもうちょっとなんですから。
 ちょっとだけ、ほんの、少しだけです。


「はい、しゅっぱ~つ!」
「……!」


 私は、バッグを肩にかけ、とっても大きな折りたたみ傘を差しながら歩き出した。
 けれど、この折りたたみ傘はとっても頑固で、
いくら私が傾けようとしても、器用に手首を使って反対に傾けてくる。
 こんなに使いにくい傘は、生まれて初めてだわ!


「あの……手を……!」
「離したら、傘はどっちに傾くと思います?」


 貴方の考えている事なんて、お見通しです。
 私は、誰にアイドルじゃないんですよ。
 プロデューサーの人の考える事なんて、わかっちゃうんですから。


「そうではなく、ですね……」


 口ごもる彼の言葉を聞いて、考えている事がわかった。
 私は慌てて、彼から手を離した。
 傾きそうになった傘は、彼のいつもの癖と打ち消しあって、そのまま真っすぐ天に向けられていた。


 自分の年齢を考えなさい、高垣楓。
 相合傘位で恥ずかしがる様な歳でも無いでしょうに。
 それに、スタッフさんが差してくれた傘に入るなんて、普通にある事でしょう?
 彼はプロデューサーなんだし、そう思えば良いのよ。


 ……でも、今は出勤前なのよね。


「「っ!?」」


 そう思って彼を見たら、視線がバッチリと合ってしまった。
 その気まずさを誤魔化すために、
さっき渡されたハンカチで、濡れた所をパタパタとはたく。


「あ、あの……私は、結構ですので……」
「す、すみません……」


 だって、これは元々貴方のハンカチなんだから!
 ちょっと間違えちゃうのも、仕方ないと思います!


「ですが……ありがとう、ございます」


 正しいはずなのに、間違いで。


 謝ったら、お礼を言われて。


 なんだか、とってもおかしな話よね、これって。


「……ふふっ!」
「高垣さん?」


 傘は、雨に濡れないためにあるのに。


 それを使わせるために雨に濡れるのは、おかしい話だ。


「傘は、活かさないと……いけませんね♪」



おわり

寝ます
おやすみなさい

>>764
誤)>私は、誰にアイドルじゃないんですよ。

正)>私は、伊達にアイドルじゃないんですよ。

いえ、傘持ったらアバンストラッシュ世代です

書きます


武内P「来年は、戌年です」

武内P「なので、お二人には干支である犬の衣装での撮影をお願いします」

アーニャ「ダー。わかりました」

凛「あのさ、どうして私達なの?」

武内P「調べた所、お二人がプロジェクト内でもそのイメージが強い、と」

凛「ふーん」

アーニャ「そうなの、ですね」

武内P「アナスタシアさんが、シンデレラプロジェクトから」

アーニャ「ダー」

凛「ん?」

武内P「渋谷さんが、プロジェクトクローネから、という形になります」

凛「待って」

武内P「はい? 何か、問題でも?」

凛「どうして、私がクローネで、アーニャがCPからなの」

武内P・アーニャ「……?」

武内P「それが……何か、問題でしょうか」

アーニャ「リンは、CPからが良い、ですか?」

凛「別に……そういうわけじゃないけど」

武内P「……わかりました。では、クローネからはアナスタシアさんが、という事で」

アーニャ「ダー、問題ない、です」

凛「待って」

武内P・アーニャ「……?」

武内P「まだ……何か、問題でも?」

凛「プロデューサーは、アーニャの方を選んだの?」

武内P「!? いえ、そういう訳では……」

凛「だったら説明して。なんで、アーニャがCPからだったの」

アーニャ「リン、落ち着いてください」

凛「……ごめん。なんか、熱くなっちゃって」

武内P「……」

武内P「わかりました。ご説明させていただきます」

凛「……納得の行く理由を聞かせて」

武内P「まず、CPでのアナスタシアさんのユニット名が」

アーニャ「ラブライカ、だからですね?」

武内P「はい。その通りです」

アーニャ「それで、アー、納得がいきました」

凛「……?」

武内P「では、次に――」

凛「ま、待って待って!」

武内P・アーニャ「……?」

武内P「あの……何か、問題でも?」

凛「今のじゃわからないから!」

アーニャ「……アー、すみません。説明不足、でした」

凛「い、いや……良いよ」

武内P「ラブライカのユニット名は、お二人のイメージをそのままつけたものです」

凛「ラブ……愛はわかるけど……」

武内P「ライカは、ライカ犬から取っています」

凛「……続けて」

武内P「ライカとはロシアの宇宙船――」

アーニャ「――スプートニクに乗っていた、犬の名前、です」

凛「ロシアの宇宙船に乗ってた犬の名前……」

武内P「はい」

凛「アーニャのイメージはわかった。でも、美波が愛なのは何で?」

アーニャ「美波は、可愛い。とっても愛らしい人――愛人、です!」

凛「ストップ。今のは、言っちゃダメなやつだから」

アーニャ「シトー?」

武内P「……!」ハラハラ

凛「それで……次に?」

武内P「それは……その……」

凛「何」

武内P「言うことを……はい、その、ですね……」

凛「聞こえない。もっとハッキリ喋って」

アーニャ「リン、落ち着いてください」

凛「……ごめん、なんか熱くなっちゃって」

武内P「……」

武内P「その……素直に、言う事を聞いてくださるので……」

アーニャ「ダー。プロデューサーの言う事は、とても、正しいです」

凛「私も、言う事聞いてるけど」

武内P「そ、そう……ですね」

凛「……」

武内P「……」

凛「……」

武内P「で、では最後に」

凛「待って」

武内P「!?」

凛「今の、私が言う事を聞かないって意味?」

武内P「そ、そういう事では、決して!」

凛「そういう風にしか聞こえなかった」

武内P「……」

凛「納得の行く説明を聞かせて」

アーニャ「今のリンは、犬のおまわりさん、ですね!」

凛「ほら、アーニャも犬っぽいって言ってる!」

武内P「……困ってしまっているのは私なのですが」

凛「は?」

武内P「……何でも、ありません」

凛「と言うか、アーニャのイメージは猫なんじゃないの?」

武内P「それは恐らく、前川さんの言っていたあーにゃんという呼称ですね」

アーニャ「とても、可愛い呼び方です♪」

凛「そうだよ。だから、私の方が犬のイメージが強いと思う」

武内P「……はい。ですので、渋谷さんがCPから、という形に」

アーニャ「そして、私がクローネから、ですね」

凛「待って。まだ、納得できない」

武内P「……!?」

武内P「あの……まだ、何か問題でも……?」

凛「言わされてる感がすっごいする」

アーニャ「そう、ですか?」

凛「うん。プロデューサー、本当はアーニャをCPからにしたい感じがする」

アーニャ「それは……アー、嬉しいですが、困ってしまいますね?」

武内P「アナスタシアさん……」ホッコリ

凛「! やっぱり……!」

武内P「あっ、いえ……今のは……!?」

凛「まだ理由が残ってるんでしょ。最後まで聞かせて」

武内P「いえ、あの……もう……」

凛「聞かなきゃ納得出来ない」

アーニャ「リン、落ち着いてください」

凛「……ごめん、なんか熱くなっちゃって」

武内P「……」

武内P「……では、最後の理由を説明させていただきます」

凛「早く聞かせて」

武内P「その……渋谷さんは、とても厳しく……」

凛「……厳しく?」

武内P「飼い犬の躾をするイメージが、私の中にあり……」

凛「……だから?」

武内P「し、渋谷さん自身が犬という発想が私になく……」

凛「ふーん」

武内P「……!」ドキドキ

凛「まあ、悪くないかな」

武内P「……お分かりいただけたようで、幸いです」ホッ

アーニャ「リン、アー、納得出来ましたか?」

凛「まあね。そういう事なら、って感じ」

アーニャ「ハラショー♪ ちゃんと納得して、リンは偉いです♪」

ナデナデ

凛「ちょっ、ちょっとアーニャ!?」

アーニャ「~♪」

凛「も、もう……!///」

武内P「……」

凛「とりあえず、納得したから企画は最初のままで良い」

武内P「それで……宜しいのですか?」

凛「良いよ。それに、仕事なんだからワガママ言っても仕方ないでしょ」

アーニャ「リンは、素直な良い子ですね♪」

凛「べ、別にそういうんじゃないから」

武内P「……では、CPからはアナスタシアさん」

アーニャ「ダー」

武内P「プロジェクトクローネからは、渋谷さんが、という形でお願いします」

凛「うん、わかった」

武内P「……」

  ・  ・  ・

武内P「ありがとうございます。おかげで、助かりました」

アーニャ「ニェート。当たり前のことをしただけ、です」

武内P「いえ、アナスタシアさんが居なければ、今頃どうなっていたか……」

アーニャ「私は、アー、良い子でしたか?」

武内P「そう、ですね。はい、とても」

アーニャ「良い子の頭は……撫でないと、いけません、ね?」

武内P「……アナスタシアさん?」

アーニャ「ガフガフ!」

武内P「……!?」

武内P「しかし、あの……!?」

アーニャ「ガフガフ!」

武内P「いえ、アイドルの方の頭を撫でるというのは……!」

アーニャ「ガフガフ!」

武内P「その……!?」

アーニャ「ガフガフ!」

武内P「……!?」

アーニャ「ガフガフ!」

武内P「……」

  ・  ・  ・

ちひろ「撮影、とってもスムーズにいったみたいじゃないですか」

武内P「そう、ですね」

ちひろ「二人共、本当に阿吽の呼吸って感じだったそうですね!」

武内P「……そう、ですね」

ちひろ「プロデューサーさん?」

武内P「ああ、いえ……阿吽の呼吸と聞いて、少し」

ちひろ「阿吽の呼吸で……ああ!」

武内P「彼女達は、犬などではなく――」

ちひろ「プロデューサーさんを守る、こm」

武内P「金剛力士像に睨まれた様に、恐ろしかったな、と」

ちひろ「……」


ちひろ「はい?」



おわり

今日は限界なので寝ます
BBはよくガーターしてました
おやすみなさい


「ふっふっふ! 二人きりになるなんて、キミも油断したね~」


 狭いロープウェイの中で、志希が蠱惑的に微笑んだ。
 獲物を見る猫科のような目付きに普段のオレは怯むが、今はそれどころではない。
 山頂までおおよそ15分……耐えられるか?


「さあ、思いっきりハスハスさせて貰おうかな」


 目を細め、今にもこちらの自由を奪い己の欲望のままに行動しようとする志希。
 彼女のそんな所にはオレも困ってしまうが、それも魅力の一つ。
 無理に押さえつけようとすれば、それが失われてしまう可能性もある。
 志希には、いつも気ままで、自由で居て欲しいと思っている。


「なあ、聞いて欲しい事があるんだ」


 そんな志希に、オレは今から重大な事を告げようと思う。
 いつにない、オレの真剣な眼差しに、志希はピクリと反応した。


「んー? 何かにゃ~?」


 オレとお前は、プロデューサーとアイドルだ。
 いつもはこう言って志希を止めているのだが、今は違う。
 より一層目を細め、こちらの様子をうかがう志希に、告げた。


「めっちゃオナラしたい」


 志希の目が、大きく見開かれた。


「……そう言って、あたしを止めようとしてるんだよね?」


 志希の怪訝そうな目に対し、オレの目は真剣そのもの。
 だが、彼女はオレの言葉をそのまま受け取ろうとはしない。
 化学者特有の性なのだろうか、それとも彼女自身が信じたくないだけか。


「ううん? すっごくオナラしたいよ?」


 オレは、ペロリと舌を出し、右手でコツンと自分の頭を叩いた。
 中々にイカしたテヘペロが決まったもんだぜ、へへ。


「……我慢は?」
「出来るのと出来ないの、フィフティーフィフティーだ」


 と、言いはしたものの……実際はまあ、我慢出来ないだろうな、という感じだ。
 しかし、志希を無闇に怖がらせる訳にはいかない。
 彼女は、大切なオレの担当するアイドルなんだから――!


「……Final answer?」


 おっ、懐かしい、クイズミリオネアじゃないか。
 それにしても、さすがは海外で生活してただけあって、発音が綺麗だな。
 思わず惚れ惚れしたぞ。


「ファイナルアンサー」
「……」


 見つめ合う、オレ達。
 しかし、その視線には甘い感情など、一切込められていない。


「助けてえええええ!」


 おいおい、そこはヘルプじゃないのか。


「いやああああ!」


 こんなにも取り乱す志希を見たのは、初めてだ。
 無防備、と言っても差し支えない程、今の彼女は混乱している。
 カリカリと、外に出して欲しいとねだる猫のようにロープウェイの窓を引っ掻いている。


「まあまあ、落ち着けって」
「出してええええ!」


 何が、志希をここまで恐怖させているのだろうか。
 匂いに敏感な彼女だから、とても嫌がるとは思ったが……。


「そんなに窓をひっかいたら、綺麗な爪が傷ついちゃうぞ」
「ヘルプ! ヘールプ!」


 それだけは、なんとしても避けなければならない。
 オナラ一つでアイドルに傷をつけるなど、プロデューサー失格だ。
 それに何より、今の志希は痛々しくて見ていられない。
 しかし、彼女は窓を引っ掻くのをやめようとしない。


「おい! やめろって――」


 ……っぶなぁい!
 今、ちょこびっと大声を出した時に腹に力が入り、バフリといきそうだったぞ!


「……!?」


 言葉を中断したオレを志希は怯えた様子で見ている。
 普段は見られない彼女も、これはこれで魅力的に見えるから不思議だ。


「……セーフ」


 オレの言葉を聞いて、志希は心底安堵していた。
 それを見て、オラなんだかワクワクすっぞ!


「なあ、どうしてそんなに怯えてるんだ?」


 オレは、当然の疑問を口にした。
 オナラが出そうとは言え、今の志希の怖がり方は異常だ。
 まさか、彼女自身に何か異常が起こっていて、
オレのオナラをきっかけに更に大きな問題が起きる……!?


「……オデン、食べたでしょ」


 大正解。
 コイツ、オレの知らない間にまた匂いを嗅いでやがったのか。
 問題になるからやめなさいって、プロデューサーいつも言ってるでしょ!


「ああ。今朝と……うん、昨日の夜も」
「昨日の夜も……!?」


 さすがの志希も、昨日の晩御飯の匂いまでは判別出来ないらしい。
 オレの答えを聞いて、その顔を絶望に歪めている。
 しかし、オデンを食べたから……一体何だってんだ?


「硫化水素……!」
「あん?」


 りゅうかすいそ?
 申し訳ないが、オレはそういった知識に詳しくない。


「卵、何個食べた!?」


 志希が、それまでにない必死さでオレに問いかけてきた。
 卵を何個食べたかって、えーと、確か……。


「昨日の夜と合わせて、5個だな」


 オレの答えを聞くと、志希の目からは光が失われた。
 こいつは……生きることを諦めた目だ。


「なあ、卵をいくつ食べたかは、重要なのか?」
「……そうだね、志希ちゃんが説明してあげようー」


 生きることを諦めるという事は、死ぬ覚悟を決める事にとてもよく似ている。
 そのせいか、志希はいつもの調子を少し取り戻したようだ。
 出来の悪い生徒に教えを授ける教師のように、志希は人差し指をピンと立てた。


「オナラが臭いのは、どうしてかにゃー?」
「ウンコが臭いからだ」


 ウンコは臭い、だから、オナラも臭い。
 あまりにも完璧な回答すぎて、志希は言葉を失ったようだ。


「卵の白身には、硫化水素という物質が含まれてるんだよ」


 あれ? オレの回答が話の流れに全く関わってないぞ?


「そして、オデンの卵は白身の部分がそのまま体内に入っていく」


 やばいな、もう話についていけない。
 ちなみに、オレはオデンの卵は二口で食べる派だ。
 最初は3割程度にパクリとかぶりつき、残りの7割を辛子と一緒にいただく。


「白身に閉じ込められた硫化水素は、消化器官の中で他の有機物と化合して――」


 余談だが、アイドルはウンコなんかしない、と言う言葉がある。
 確かに、彼女達はウンコなんかしないのかも知れない。
 アイドルというのは、とても輝いていて、オレ達に夢と希望を与えてくれる。


 そんな、ウンコなんかしないはずのアイドルがウンコをしたら?
 めっちゃお得に感じるな!? な!?


「――臭いの原因、硫化物の気体になるのでーす!」


 イエーイと、両手をバンザイし笑う志希。
 しかし、その目にはいつもの快活さは微塵も無く、ただ絶望があるのみ。


「つまり……ゆで卵を食べるとオナラが臭くなる、って事か?」
「そういう事♪」


 ゆで卵はアウト……なら、移動中に食べた温泉卵はセーフだな。


「ちなみに、昨日の夜から大きい方は?」
「大きい方ってお前……女の子がそういう事を聞くなよな」
「ちっちっち! これは、とても大事な質問なのだよ!」


 口調は軽いが、何か、希望にすがっているような感じがする。
 オレは、プロデューサーだ。
 アイドルの考えている事はなんとなくだがわかるし、
志希が何か希望を見つけたというのなら、望み通りの答えを返そう。


「シタヨ。トテモ、タクサンデタ」


 完・璧。


「あたし、アイドルになって初めて後悔してる」
「そんな!? どうして!?」
「どうしてって、そんなの――」


 やばい。


「……!」


 今、大声出したから出そうになった。
 少し待てと志希に右手でハンドシグナルを送る。
 やれやれ、いつもこうやって素直に言う事を聞いてくれると助かるんだけどな。


「あっあっあっあっ!」
「あー! あー!」


 まるで音を合わせる合唱隊の様に、俺たちの声がロープウェイ内に響いた。
 流石の志希も、危険を感じ取ったのかまた取り乱している。


「あっ、ひっ、ふうぅ……!」
「出してー! ここからあたしを出してー!」


 そうだ、諦めるな!
 オレは知っているぞ!
 お前は、才能にあぐらをかいているだけの人間じゃない!
 諦めず、自分の納得いくまで足掻き続けるだけの根性もある奴だ!


「ふぅ……! ふうぅ……!」


 それに比べてオレは何だ!?
 オナラの一つも我慢出来やしない……これじゃ、コイツのプロデューサー失格だ!
 どうすれば……くそっ! 一体、どうすりゃ良いっていうんだチクショウ!


「っ!」


 スカすか!?


「……!」


 何の解決にもなってねえ!
 何か……オナラを止める何かあれば……!


「……」


 ポケットをまさぐってみる。
 そして、オレは見つけた……見つけてしまった。
 上着のポケットに入っていた、ちひろさんに渡された、スタドリを。


「……――なあ、志希。初めて会った時の事、覚えてるか?」


 あの時は、コイツがいきなり匂いを嗅いできたんだよな。
 頭の変な子だな、と初めは思ってたよ。
 だけど、お前はオレの予想を越えた、最高にイカれた……イカしたアイドルになった。


「きゅ、急に何を……!?」
「コレを使う。だからもう、怖がらなくて良いぞ」


 オレは、手に持ったスタドリを志希に見せつけた。
 その手が震えているのは、オナラを我慢しているのと……恐怖。
 そう、オレは恐怖している。


「す、スタドリの成分には、消臭効果があるものは含まれてないよ……!?」
「……」


 驚いたな。
 ギフテッドのお前でも、全然見当違いの答えを出す時があるんだな。
 こいつは一本取ってやったぜ。


「おいおい、オレは上の口からなんて言ったか?」
「えっ……?」


 お前の絶望は、オレが止める!
 さあ、答え合わせの時間だ!


「コイツを下の口――ケツにぶち込み、オナラが出ないよう栓をするのさ!」


 志希の、頼もしいものを見るような目……じゃねえな、アレ。
 何て言うか……そう、信じられないものを見る目だアレ。


「……本気?」
「うん」
「……正気?」
「うん」
「狂気!」


 それは、普段お前が言われてる事だろうに。
 まあ、お前が狂気と思うんならそうなんだろう、お前ん中ではな。


「ってなわけで」
「へっ?」


 志希は、俺がスタドリを渡すとなんとも間の抜けた声を出した。
 しかし、それを指摘している時間は残されていない。
 可及的速やかに、実行せねばならないミッションがあるのだから。


「頼んだ!」


 尻をぷりんと突き出し、志希に向ける。


「はっ!?」


 スタドリは――50。


「バッチ来いやああ――ッ!」


 もってくれよ、俺のケツ!


「あたしがやるの!?」
「!? 他に誰が!?」


 この場には、オレとお前しか居ないんだぞ!?


「ズボンの上からで良い! 早く!」


 いたいけな少女に肛門を晒す事は出来ない。
 故に、オレが出したケツ論。
 それは、遠慮なく、一切の慈悲もなく、ズボンの上からスタドリをぶち込む事だ。


「で、出来ない!」
「遠慮するな! 思いっきり来い!」
「無理!」
「ははっ、お前にも……そういう優しい所があったんだな」
「優しさが理由じゃないから!」


 優しさ以外の、ケツにスタドリをぶち込めない理由?
 愛しさと、切なさと、心強さとかか? ええい、わからん!
 わからんが、オレに言えるのはこれだけだ!


「早くしろ! もう、時間がない!」
「そ、そんな事言われても……!?」
「さっきから大声を出してたから、我慢の限界が早まった!」
「なら、なんで大声だしたの!?」


 ……言われてみればそうだな。
 おとなしくしてれば、到着するまで我慢出来てたんじゃねえか、これ。


「なんか、テンション上がっちゃって」


 天才ですら辿り着けなかった答えにオレが至った。
 その事に気分を良くし、ついつい声が大きくなってしまった。
 今後は、こういう事の無いように反省しないといけないな。


「……あはは」


 志希の、乾いた笑い。
 オレは、気まずさを誤魔化すためにそれに重ねるように笑った。


「あっはっは! 悪い悪い!」


 その拍子に、ケツからバフリ。
 トワレなんて生易しいもんじゃない、毒ガス兵器と言っても過言ではない代物が。
 反省をしないといけないとは言ったが、まだしてなかったからセーフだ。
 今後は、こういう事の無いように反省しないといけないな。



おわり

アニメ未登場だったのでオレがやりました
武内Pじゃなくて申し訳ない
おやすみなさい

書きます


武内P「アナルブレスケアです」

美嘉「……は?」

武内P「アナルブレスケアです」

美嘉「いや、別に聞こえなかったワケじゃないんだケド」

武内P「……そろそろ時間ですね」

美嘉「時間って、何の?」

武内P「城ヶ崎さんの、新時代の幕開けの時間です」

美嘉「……は?」

武内P「……」ゴソゴソ

美嘉「え、何そのごっつい機械」

武内P「これは、ラジカセですね」

美嘉「へー! 実物、初めてみた★」

武内P「……」

ポチッ

~♪

美嘉「あっ、これアタシの『TOKIMEKIエスカレート』じゃん★」

武内P「……」

武内P「……」

~♪

美嘉「カリスマJKアイドルの生歌、聞いとく? なーんてね★」

~♪

美嘉「TOKIMEKIどこまでも~エスカレート~♪」

~♪

美嘉「サイダーみたいにはじける恋モ――」


ぱちゅんっ!


美嘉「ド――――ンッ!?」ケアァ!


武内P「……」

~♪

美嘉「はーっ!? 何!? あっ、は、あーっ!?」ケアァ!

~♪

美嘉「あっ、あっつう!? あっつい! あっつい!」ケアァ!

~♪

美嘉「何!? 何なの!? はーっ!? あーっ!?」ケアァ!

~♪

武内P「……」

ポチッ

美嘉「ヤバい! これマジでヤバいって! あーっ!」ケアァ

武内P「……」

  ・  ・  ・

美嘉「……ちょっと! ちゃんと説明してよ!」

武内P「このVTRを御覧ください」

美嘉「……は?」

武内P「……」

ガチャガチャ…ポチッ

美嘉「何それ?」

武内P「テレビデオです」


専務『専務の美城だ』


美嘉「え? 専務? 何で?」

専務『城ヶ崎美嘉くん。私は、キミには失望した』


美嘉「……開幕から、めっちゃ感じ悪いんだケド」

武内P「……」


専務『私の提示した方向性に逆らった事は許そう』

専務『確かに、当初のキミは私の意に反しながらも非常に優秀だった』


美嘉「……なんだ、褒める時は褒めるんじゃん★」

武内P「……」


専務『しかし、今のキミは何だ? カリスマの欠片も感じないではないか』


美嘉「……」

武内P「……」

専務『故に、キミにはアナルブレスケアをして貰う』


美嘉「えっ? 故にって、えっ?」

武内P「こちらが資料になります」


専務『安心しなさい。我が346プロと小林製薬が総力を上げてキミのために開発した』


美嘉「……マジ?」

武内P「はい、残念ながら」


専務『――アナルブレスケア専用ブレスケアで、カリスマを取り戻しなさい』


美嘉「アタシのために頑張った感出してるのイラッとするんだけど!?」

武内P「……」

  ・  ・  ・

美嘉「……詳しく聞かせて」

武内P「アナルブレスケアには、新時代の幕開けをさせる力があります」

美嘉「……それで」

武内P「カリスマとは、常に時代を切り開いていく者の事です」

美嘉「……続けて」

武内P「残弾は後二発、頑張ってください」

美嘉「最悪! 担当呼んで、担当!」

武内P「彼は、今日から二週間の休暇を取りハワイにバカンスに」

美嘉「んああああああ!」

美嘉「いつの間にそんなもの仕込んだの!?」

武内P「朝食に、妹さん――城ヶ崎莉嘉さんが仕込みました」

美嘉「帰ったら泣くまで叱る!」

武内P「待ってください!」

美嘉「!?」

武内P「彼女も、貴女のためを思ってした事なのです」

美嘉「……莉嘉」

武内P「本来は経口摂取ではないのですが、さすが小林製薬さんですね」

美嘉「……」

美嘉「っていうか、なんでアンタが関わってるの?」

武内P「……上の命令には、はい、逆らえませんので」

美嘉「そっ……か」

武内P「申し訳ありません。止めは、したのですが」

美嘉「良いよ、別に。だって、元々最近のアタシがだらしなかったのが悪いんだし」

武内P「城ヶ崎さん……」

ポチッ

~♪

美嘉「は!? え!? もう次!?」

武内P「資料にもありましたが、二発目は最初のものよりも威力が高いです」

~♪

美嘉「威力って! ってか、はぁ!? さっきよりも!?」

~♪

武内P「TOKIMEKIどこまでも~エスカレート~♪」

~♪

美嘉「いやいや、アンタが歌うの!? 何のために――」


ぱちゅんっ!


美嘉「きはああああああん!?」ケアアァン!


武内P「……」

~♪

美嘉「ぐおおおおああっ!?」ケアアァン!

~♪

美嘉「ああああっ!? こっこ、あっ、ああああっ!?」ケアアァン!

~♪

美嘉「いたいたたたいたいたいたいたいたい!!」ケアアァン!

~♪

武内P「……」

ポチッ

美嘉「ついてる!? アタシのお尻ついてる!? ついてる!?」ケアアァン!

武内P「……」

  ・  ・  ・

美嘉「次は!? 次はいつくるの!?」

武内P「申し訳ありません。タイミングは、伝えてはならない、と」

美嘉「そんなの、お尻に爆弾抱えてるようなもんじゃん!」

武内P「それも醍醐味だと、そう、小林製薬さんが」

美嘉「それなら……しょうがないか」

武内P「城ヶ崎さん……大丈夫、ですか?」

美嘉「カリスマのためだもん! 頑張るしか無いっしょ★」

武内P「……良い、笑顔です」

  ・  ・  ・

美嘉「……って事があってさ、アタシ、ブレスケア苦手なんだー」

奏「そ……そうなのね」

美嘉「だからゴメンね★ 気持ちだけ受け取っとくから★」

奏「最近、美嘉がたくましいのはそういう理由があったのね」

美嘉「もー、たくましいってやめてよ! もっと、別の言い方があるでしょ!」

奏「……ふふっ、そうね」

美嘉・奏「カリスマ」

美嘉・奏「……!」クスクス

奏「あの、それで……」

美嘉「ん? 何ー?」

奏「最後の一発は……どうなったの?」

美嘉「今もアタシの中にあるよー★」

奏「はい!?」

美嘉「なーんてね★ 多分、三発ってのは嘘だったんだと思う」

奏「……嘘?」

美嘉「そ、嘘」

美嘉「アタシの中には、いつ爆発するかわからない爆弾がある」

美嘉「だからさ、爆発するまでは、常に全力でアイドルをやろう、って」

美嘉「……えへへ、ちょっとカッコつけすぎかな★」

奏「……いいえ、とても、ステキだと思うわ」

美嘉「本当にそう思う?」

奏「私としても、美嘉のそういう所は見習わないといけないと思うわ」

美嘉「本当に?」

奏「ええ。……って、妙に念押ししてくるけど、何なの?」

美嘉「……」

ガチャッ

武内P「……失礼します」

奏「あら、シンデレラプロジェクトの、プロデューサーさん」

武内P「おはようございます、速水さん」

奏「ふふっ、今日もとってもチャーミングね」


美嘉「はやく! はやくアナルブレスケア専用ブレスケアケアを!」


奏「み、美嘉!? 一体、どうしたの!?」

美嘉「……ごめん、奏」

奏「ごめんって、何を……」

奏「……」

奏「っ!?」

奏「美嘉……まさか!?」

美嘉「最初の威力が1とすると、二発目が2なんだって」

武内P「どうぞ、こちらです」

奏「待って! どうして、私に威力の解説をしてるの!?」

美嘉「……ゴクン。これで解除? 解除? ねえ、解除!?」

武内P「はい。長い間、お疲れ様でした」

奏「私の質問に答えてちょうだい!」


美嘉「三発目の威力が10って聞かされたら……奏はどうする?」


奏「……!?」

美嘉「アタシさ、もう新時代の幕を開くしか無いと思ったんだ」

美嘉「カリスマJKギャル……そこに、小悪魔要素を追加しようってね★」

奏「いいえ……美嘉、貴女は悪魔に魂を売ったのよ」

美嘉「売りなんかしないって! アタシ、アイドルだし★」

奏「……良い、笑顔ね」

美嘉「やっぱり、アタシってカリスマがあるからね★」

奏「教えて、プロデューサーさん。私の爆弾は、いつ爆発するのかしら?」

武内P「……」ゴソゴソ

奏「ラジカセ……もうすぐ、なのね」

美嘉「奏、頑張って!★」

奏「ふふっ、頑張ったら、貴方にご褒美のキスが貰えるのかしら?」

武内P「……」

ポチッ

~♪

美嘉「さすが奏★ こんな時でも……って」

奏「……」

~♪

美嘉「『TOKIMEKIエスカレート』!? は!? 何で!?」

武内P「……間に、合いませんでした」

~♪

美嘉「だって解除って! 解除って言ったもん!」

奏「諦めるしかないみたいね、美嘉」

~♪

美嘉「ヤダヤダヤダヤダ! ムリムリムリムリ!」

~♪

奏「サイダーみたいにはじける恋モ――」


ぱちゅんっ!

  ・  ・  ・

奏「……とっても怖いのね、アナルブレスケアって」

武内P「そう、ですね」

奏「安心させた所を爆発だなんて……とっても悪い人」

武内P「……」

奏「これは……ふふっ、そんな悪い唇は、塞ぐ必要があるわよね」

武内P「速水さん。貴女のその言動が、上層部で問題視されています」

奏「あら、そうなの?」

武内P「……」

ポチッ

~♪

奏「えっ? 『Hotel Moonside』? えっ?」

奏「えっ!?」

奏「ちょっと待って!? 美嘉を安心させるための、フェイクじゃ!?」

武内P「……ありません」

~♪

奏「問題視って……どうして今さら!?」

武内P「詳しい説明は後ほど。速水さんの事は、小林製薬さんも応援しています」

~♪

奏「や、嫌……! やめて……!」

武内P「――ワン、トゥー、キス」


ぱちゅんっ!



おわり

お風呂休憩

書きます


武内P「可愛い、ですか」

未央「そう! 可愛いと言ってもらいたい!」

武内P「その……何故、でしょうか?」

卯月「プロデューサーさんにそう言ってもらった事なかったな、って」

武内P「そう、でしょうか」

凛「うん。言ってもらってないね」

武内P「……」

未央「別に良いじゃん、減るものじゃないんだしさ!」

武内P「はぁ……」

卯月「あの……もしかして、可愛いって思ってない、とか?」

武内P「!? いえ、決してそんなことは!」

凛「だったら良いでしょ、別に」

武内P「……」

未央「さあさあ、どんと来なさい!」

武内P「皆さんは、とても可愛らしく、素晴らしいアイドルです」

卯月「そういうのじゃなくて、ですね」

武内P「? はい?」

凛「ただ、普通に可愛いって言えば良いの」

武内P「はぁ……」

未央「ハイ、セイ! 可愛い!」

武内P「あの……何故、そのような事を気になさるので?」

卯月「輿水幸子ちゃん、知ってますよね?」

武内P「はい、勿論」

凛「あの子、毎日プロデューサーにカワイイって言ってもらってるんだって」

武内P「そう……なのですか」

未央「そう! これは、社内格差ってやつだよ!」

武内P「そ、そこまでの問題とは、思えないのですが」

卯月「わ、私! プロデューサーさんに可愛いって言って貰いたいです!」

武内P「し、島村さん!?」

凛「二人共こう言ってる事だし、言ってあげたら?」

武内P「……わかり、ました」

武内P「それで……皆さんが気持ちよくアイドルに専念出来るのでしたら」

未央「あのー……もしかして、嫌々言う感じ?」

武内P「あっ、いえ、その……」

卯月「うぅ……困らせちゃったみたいで、すみません」

武内P「その……」

凛「何? ハッキリ言ったら?」


武内P「少し……いえ、かなり気恥ずかしく……はい」


未央・卯月・凛「……」

未央・卯月・凛(可愛い)

未央「やばいよ……なんか、思ってたのより凄いのが来そう」

卯月「な、なんだかとっても緊張してきました」

凛「ふーん。そういうものかな」

武内P「……覚悟は決まりました」

未央「覚悟って」

卯月「こ、こっちもです!」

凛「卯月まで」

武内P「……頑張ります」

未央「それじゃあ、私から言って貰おうかなー」

武内P「本田さんから、ですね」

未央「さあ、カモーン!」

武内P「……」


武内P「本田さん、貴女の明るさにはいつも助けられています」

武内P「新しい事に挑戦する姿勢、仲間を思いやる気持ち」

武内P「そのどれもが素晴らしく、とても輝いています」

武内P「……一度、辞めると仰っていた時、私は諦めなくて本当に良かった」

武内P「失礼……無駄に、長くなってしまいましたね」

武内P「本田さん、貴女は、とても可愛いですよ」


卯月・凛「なんか凄いのきた!?」


未央「……プロデューサー」ツーッ


卯月・凛「泣いた!?」

未央「ず、ずるいよ……今のは反則、ちょっと待って……ぐすっ」

武内P「あの……!? 何か、私は気に障る事を……!?」

未央「可愛いだけなのに、ひっく……色々言ってるじゃん……うっく」

武内P「私が、本田さんをどう可愛いと思っているかを……言った方が良いかと」

未央「……さっきみたいに、思ってるんだ」

武内P「はい。貴女は、私の可愛い担当アイドルです」

未央「……えへへっ! それじゃあ、笑ってないとね!」ニコッ

武内P「……良い、笑顔です」


卯月・凛「……」

未央「……いやー、良かった。想像以上に良かった」

卯月「良いなぁ……未央ちゃん、羨ましいです!」

凛「私は微妙かな。あんなに語られても、困るかも」

未央「さあて、それじゃあ次はどっち?」

卯月「はいっ! はいっ!」

未央「おっ! しまむー、アピール凄いね~!」

凛「飛び跳ねちゃって……ふふっ、なんだか子供みたい」

卯月「プロデューサーさん! 私も、今みたいな感じでお願いします!」

武内P「……わかり、ました」

卯月「……さ、さあ、どこからでも!」

武内P「では……後ろからで」

卯月「はい!? あ、あの、プロデューサーさん!?」

武内P「……」


武内P「こうして見ると、島村さんの背中はとても小さいですね」

武内P「こんな小さな背中に、とてもキラキラした夢を乗せている」

武内P「貴女にあるのは、笑顔だけではありません。決して」

武内P「……しかし、貴女の最大の魅力は、やはり輝くような笑顔です」

武内P「私は、これからも、貴女の笑顔を見続けたいと思っています」

武内P「島村さん、貴女は、とても可愛いですよ」


未央・凛「……」


卯月「……」ツーッ


未央・凛「鼻血!?」

卯月「あわっ、わ、あわわわ!」ポタポタ

武内P「だっ、大丈夫ですか!? 島村さん!?」

卯月「な、なんだか顔が熱くなったとおぼったら……!」ポタポタ

武内P「これを! これを鼻に詰めてください!」

卯月「ず、ずみまぜん~!」

武内P「……島村さんの笑顔を見られるのは、少しだけお預けのようですね」

卯月「あ、あははは……鼻血を止める゙の、頑張りま゙す♪」

武内P「はい、頑張ってください」


未央・凛「……」

卯月「後ろからって……ずごいです」

未央「しまむー、今アイドルにあるまじき感じになってるよ」

凛「……ふーん。そんなに良いもの?」

卯月「はい゙っ♪」

未央「しぶりんも言って貰ったらわかるって!」

凛「……それじゃあ、ついでに私も言ってもらおうかな」

卯月「凛ちゃん゙! 気をつけでくださいね゙!」

未央「しぶりんも素直じゃないんだから!」

武内P「……わかり、ました」

凛「……ほら、言ってよ」

武内P「はい」

凛「べ、別に、無理しなくて良いから」

武内P「……」


武内P「渋谷さん、可愛いですよ」


凛「……」

武内P「……」

凛「……」

武内P「……」

凛「は?」

武内P「?」


未央・卯月「……!」

武内P「あの……何か?」

凛「何か、じゃなくてさ」

武内P「……?」

凛「短い」

武内P「無理をしなくて良いと、そう、仰ったので……はい」

凛「短い」

武内P「いえ、あの……申し訳、ありませんでした」

凛「……」

武内P「……」

凛「で?」

武内P「?」


未央・卯月「……!!」

凛「私は、短いって言ったんだけど」

武内P「はい、なので、謝罪を……」

凛「謝ってほしい訳じゃない」

武内P「あの……渋谷さんは、何をお望みなのでしょうか?」

凛「……聞く!?」

武内P「申し訳ありません……こういった事を察するのが、苦手なもので」

凛「……」

武内P「……」

凛「……べ、別に」


未央・卯月「……!?」

未央「プロデューサー! しぶりんにも長台詞を!」

卯月「お願いしま゙す!」

スポンッ!

卯月「凛ちゃんにも、どういう風に可愛いと思ってるか言ってください!」

武内P「!? 渋谷さんは、それをお望みだったのですか!?」

凛「……」


凛「そ、そんなんじゃないから」


未央「しぶりいいいいん!?」

卯月「凛ちゃああああん!?」


武内P「では……一体何を……!?」


未央・卯月「あー、もう!」

未央「素直になりなって、しぶりん!」

凛「も、もう良いから」

卯月「良くないです! 涙目じゃないですか!」

凛「こ、これは……目にゴミが……ぐすっ」


武内P「!? こんな時は……千川さん、千川さんはどこに……!?」オロオロ


未央「驚きの頼りなさ!」

卯月「プロデューサーさんが凛ちゃんをなぐさめるんですよ!」

武内P「私が……ですか……!?」

凛「なぐさめ……とか、いらない……っく」

武内P「……!?」

武内P「その……渋谷さんは、とても可愛いと思います」

凛「……私の、どこが可愛いと思うの」

武内P「そう……ですね」


武内P「私の考えが正しいかはわかりません」

武内P「ですが、渋谷さん。貴女は今、拗ねている……のではないかと思いました」

武内P「他の二人に比べ、自分への言葉が少なすぎる、と」

武内P「……しかし、私の先程の言葉は、言い表せない、色々な意味が込められています」

武内P「なので、もう一度同じ事を言わせてください」

武内P「渋谷さん、可愛いですよ」


凛「ふーん。まあ、悪くないかな」


未央「立ち直りはええ!」

卯月「凛ちゃん、ちょろいです!」

  ・  ・  ・

ちひろ「へー、そんな事があったんですか」

武内P「……とても、困りました」

ちひろ「私もその場にいたら、可愛いって言って貰えました?」

武内P「……」

ちひろ「ちょっと! 困らないでくださいよ!」

武内P「すみません、どう反応したら良いか、よく……」

ちひろ「女の子は、可愛いって言って貰いたいものなんですよ」

武内P「女の子は……成る程」


武内P「では、千川さんに言う必要は無い、という事ですね」


ちひろ「……」


ちひろ「は?」



おわり

新年明けましておめでとう御座います
早速、書き初めをしたいと思います
しかし、ただのウンコでは芸が無いので、きんがしんねんの七文字をレスの上にすえて


 気が狂いそうだ。
 いや、この光景を現実のものとして捉えるには、正気というものは邪魔でしかない。


「明けまして、おめでとうございます」


 シンデレラプロジェクトのメンバー達、全員が揃って新年の挨拶をしてきた。
 それというのも、大晦日の昨晩から、彼女達は全員で事務所に泊まっていたからだ。
 全員、御両親に許可を取っての、プロジェクトメンバー全員での年越し。
 その会場に、プロジェクトルームが選ばれたのは自然な流れだろう。


「あ……いえ……その」


 事務所に敷き詰められた布団の上で笑っている、プロジェクトメンバー達。
 その笑顔はとても清々しく、新年の挨拶に相応しいと言えるだろう。


「……」


 だが、彼女達の頬には涙が流れた後があり、所謂泣き笑いだったのだ。
 そして、まくられた掛け布団から覗く敷布団には、全員染みが広がっている。
 悲しい……とても悲しいことに、その染みには、茶色いものが混じっていた。


 ――新年早々、まさかの全員寝グソ。


「明けまして……おめでとうございます」


 確かに、新年を迎えられた事はめでたい。
 願わくば、無事に迎えたかった。


 私は、2018年が始まって早々、右手を首筋にやり困り果ててしまった。
 ぷんと漂ってくる臭いに顔をしかめなかったのは、どんな顔をすれば良いかわからないからだ。


「んー、プロデューサー、元気無い?」


 一人が、立ち尽くし呆然とする私を心配して声をかけてきた。
 この状況で元気いっぱいでいられる人間が、世界にどれ程存在するというのか。
 少なくとも私は、14人の、10代の少女が寝グソをして元気でいられる人間ではありませんよ。


「いえ……私の事は、はい」


 私の心配をするよりも先に、貴女達はまずご自分の心配をするべきです。
 全員、何らかの体調不良によってこうなってしまったのだろうか。
 だとすれば、迂闊に事務所での年越しに許可を出したのは失敗だった。


「どう? アイドルの、パジャマ姿だよ」


 心底どうでも良いです……とは、言える空気では無い。
 私は、プロデューサーとして、少しは彼女達の事を理解してきているつもりだ。
 それが故に、今、すぐに彼女達の寝グソについて触れるのは得策ではないと理解出来る。


「はい……皆さん、とても可愛らしいと思います」


 本当ならば、私が彼女達の寝間着姿を見ることは予定に無かった。
 私が事務所に着く頃には、全員身支度を整え、布団を運び出す手筈になっていたからだ。
 そして、揃って初詣に行く筈だった。


「きゃわゆいって、うっきゃーっ! はずかすぃー☆」


 寝間着姿を可愛いと言われ恥ずかしがる前に、もっと、別の所を恥じて欲しい。
 そう思うのだが、全員が満更でもない表情をしているので、かける言葉を失う。
 口を引き結び……ああ、駄目だ鼻で息をしたら、臭いがモロにきた。


 我慢しようと思っても、さすがにそろそろ私の鼻が限界だ。
 それに、彼女達もこれ以上私に自分達のこんな醜態を見られるのは嫌だろう。


「それでは……私は、席を外しますね」


 私に出来るのは、何も見なかったことにし、彼女達が後処理を終えるのを待つ事のみ。
 そして、この忌まわしい記憶に――臭いものに蓋をする。
 2018年は始まったばかり、少しばかりスタート時の記憶が無かったとて、問題は無い。


「逃げないでよ!」
「っ!?」


 部屋から出ようとする私を呼び止める声。
 その言葉に反応し動きを止めてメンバー達を見ると、
全員が、先程の声の主と同じ様な視線で私をここに縫い止めようとしていた。


 彼女達は、私に何をしろというのか?


「しっ、しかし! 私がここに居るのは――」
「見捨てないで、くださいね?」
「っ……!?」


 見捨てる、見捨てない以前の問題だと、私はそう考えます。
 年頃の、14人の少女達が一斉に寝グソをした時の正しい対応はわからない。
 私は、彼女達自身が何とかするべき問題だろうと思ったのが、どうやらそうではないらしい。
 そう、14対、28の瞳がゆう便……いや、雄弁に語っていた。


「我が友よ。私達は、夜明けと共に、より深き魂の絆で結ばれた!」


 一瞬、何を言っているのか理解出来なかった……いや、したくはなかっただけだ。
 彼女達は、私にも、今、ここで脱糞しろと言うのだ。


「しかし……それは……!?」


 寝グソをしたのは、彼女達自身の責任だ。
 なのに、何故私までここでしなければならないのか。
 そう、視線に乗せて問いかける。


「責任を取るのが――」


 ぼぷっ!


「――プロデューサーの仕事にゃ」
「また出た? ロックだね」


 わからない……責任の取り方が、何故私が脱糞する事になるのか。
 プロジェクトメンバー達が笑いながら頷いている。
 まるで、私がここでそうするのが当然のように笑いあっている。


「全員、アー、夢を見てこうなりました」
「夢……ですか?」


 正月と言えば、初夢。
 その初夢で、彼女達はいったいどんな悪夢を見たというのか。


「それは……一体……!?」


 どんな悪夢を見れば、全員寝グソをするなどという状況が生まれるのか。


「はいっ♪ 皆、プロデューサーさんの夢をみたんですよ♪」
「……!?」


 悪夢の正体は、私だった。


「んふふ! まさか、皆で同じ夢を見るなんてね~」


 彼女達は、本当に全員私の夢を見たようだ。
 それに関して、思う所が無いわけでも無いが……。
 しかし、それでも全員寝グソをするとは、一体どんな夢だったのだろうか。


「私、食べ物以外の初夢は初めてだったなー」


 普段通りに見えて、やはり彼女達の様子は普通ではない。


「ねえねえ! どんな夢だったと思う?」


 楽しそうに、私に問いかけてくるその姿が痛々しい。


「私が……その、怖がらせるようなもの、でしょうか?」


 直接的ではないにせよ、私がこの状況を作り出した原因のようだ。


「違うよPくん! むしろ、ちょっとカッコよかったよ☆」


 ……はい?


 私が格好いい姿を夢に見て……彼女達は寝グソをしたというのか。
 まるで理解が追いつかないし、到底理解出来るものではないだろう。
 また、理解したいとも思わないが……・知らなければならない。


「教えてください……皆さんは、一体どんな夢を見たのでしょうか?」


「ねえ、プロデューサーさん」


 それは、答えを聞くことを恐怖する私をなだめるような、とても優しい声。


「初夢は……正夢になるんですって」
「……」


 一富士、二鷹、三なすび、というのも有名だが、そちらも有名な話だ。
 そして、見た初夢の内容を人に話さなければ、正夢になるとも。


「っ――!?」


 彼女達は、今の、この状況を夢に見たというのか!?
 だから、見た夢の内容を具体的に話さず、視線だけで私に訴えかけてくる……そういう事なのか!?


「ま、待ってください!」


 もしそうだとしても、出来るわけが無い!
 夢と希望をファンに届けるのがアイドルだとしても、私はそんなプロデュースは――


「シンデレラプロジェクト! ファイトぉぉぉ……」


「おーっ!」


 ――していないのに!
 なのに、何故そんなに息を合わせて煽ってくるんですか、皆さん!


「んー……まだ足りないみたいだから、もう一回ね!」
「足りる、足りないの問題ではなく……!?」


 本当に、やめてください。


「シンデレラプロジェクト! ファイトぉぉぉ……」


「おーっ!」


 これが、彼女達のパワーオブスマイルだと言うのか。
 こんな狂気に満ちた笑顔の力など、クソ食らえだと、私は思う。


「……皆さんの仰りたいことは、理解出来ました」


 ピタリと、掛け声が止まる。
 そして、今か今かと私の開ウンを待つ、忠犬のような彼女達を見て、
ああ、今年は戌年だな、と新たに始まった2018年のこれからに思いを馳せた。


「しかし、申し訳ありません」


 腰をしっかりと曲げ、プロジェクトメンバーに謝罪。
 ざわつく彼女達に、夢ではない、現実を告げる。


「家で、してきてしまったので……出せません」


 私のお腹の中の福袋は、既に売り切れ……空っぽだったのだ。


「……」


 響き渡る怒号と悲鳴。
 今年もいい年でありますようにと、切実にこの時思った。



おわり

初詣に行ってきます

年末と新年でバランスが整ったので、書きます
非武内Pで申し訳ない


俺P「ちょっとヤダ、何よ!」鷺沢文香「!?」

文香「貴方は一体……?」

俺P「見りゃわかんでしょ、プロデューサーよ」


文香「私に……御用でしょうか?」

俺P「頭見て、まぶしそうにすんじゃないわよ」


文香「すみません、そんなつもりは無かったのですが……っ」

俺P「腹見て、驚いた顔すんじゃないわよ」


文香「……その、喋り方、は」

俺P「喋り方を聞いて、複雑そうな顔すんじゃないわよ」


俺P「って、アタシの事はどうだっていいのよ!」

俺P「アンタ、一体なんでこんな所で本読んでるのよ」

文香「あの……どこかで、お会いしたことが?」

俺P「アタシの事はどうだって良いっつってんでしょ」

文香「……今は、休憩時間中なので」

俺P「そうね。休憩時間に休むのは、とっても大事だわ」

文香「……」

俺P「でもね、アンタアイドルでしょ? アイドルがすっぴん晒してんじゃないわよ!」

文香「あの、それは……!?」

俺P「……」

俺P「あ、もしもし、ちっひ? アタシよアタシ!」

俺P「今からショッピングに行くわよ!」

俺P「は? 何を企んでるのかって? アンタじゃないんだから!」

俺P「なんか辛気臭い子がすっぴんで居るから、化粧品買いに行くのよ!」

俺P「なんで私が? アンタ、ベタベタ塗りたくるの得意でしょ!」

俺P「五分後に玄関前集合よ! 遅れんじゃないわよブス!」

俺P「……ふぅ、待たせたわね」

文香「あの、もしかして、私も同行するのでしょうか……?」

俺P「そうに決まってんでしょ」

文香「ですが、しかし……」

俺P「つべこべ言ってないで行くわよ!」

文香「……何故、ですか?」

俺P「アタシがプロデューサーだからよ」

  ・  ・  ・

ちひろ「ごめんなさいね文香ちゃん、プロデューサーさん強引だから……」

文香「いえ、私も化粧に関しては困っていたものですから」

ちひろ「アイドルだから、普段から少しは慣れておかないとですもんね」


俺P「ハァ……! ヒィ……!」


文香「これから、どこへ行くんですか?」

ちひろ「ちょっと大きなデパートの、化粧品売り場、かしら」

文香「!? い、いきなりそのような所に……ですか」


俺P「ちょっと……! ホヒィ……! 待ちなさいよ……!」


ちひろ「ええ。プロデューサーさんが、プレゼントしてくれる、って♪」

文香「そ、それは……あまりにも……!?」

ちひろ「ねー、プロデューサーさん!」


俺P「フヒィ……! アタシの足見なさいよ! 尺が違うのよ、尺が!」

  ・  ・  ・

俺P「ああ、ヤダ! アタシこの臭いホント駄目!」

ちひろ「化粧品、いい匂いだと思うんですけど」

俺P「メス臭すぎるのよ! 男の汗の匂いの香水持ってきてちょうだい!」

ちひろ「そんなの置いてませんよ!」

文香「あの……」

俺P「好きに選びなさいよ。遠慮なんかしたらぶっとばすわよ」

文香「何を……どうすれば良いか、わからないのです」

俺P「教えてやんなさいよちっひ、得意でしょ」

ちひろ「私も、そこまで詳しくないですよ?」

俺P「まー、白々しい! 一体何人の男に貢がせてるのかしらね!」

ちひろ「人聞きの悪い言い方はやめてください!」

俺P「兎に角、こんなちひろでも居れば、一人で来るよりはマシでしょ」

ちひろ「こんなって何ですか! こんな、って!」

文香「あの……どうして、ここまでしてくださるのですか?」

俺P「さっきも言ったでしょ」

俺P「アタシがプロデューサーだからよ」

俺P「良い、文子」

俺P「アイドルってのは、見た目も大事なのよ」

文香「……あの」

俺P「何よ」

文香「文子ではなく……文香、です」

俺P「そんなのどっちだって良いわよ! 面倒だから、ふみふみで良いわ!」

文香「ふ……ふみふみ、ですか」

俺P「良い、アンタはこれから仕事で色んな人の前に出るのよ」

俺P「それなのに、普段から化粧の一つもしないでどうするの」

俺P「慣れない化粧をして、それを気にしてたら仕事になんないじゃない」

文香「……それは、はい、その通りだと思います」

俺P「元は悪くないし、ちょっと辛気臭いけど、その体は稼げるわよー!」

ちひろ「プロデューサーさん、それ、セクハラですよ」

俺P「女同士なんだから良いじゃないの! ねー、ふみふみ!」

文香「は……はい。お、女同士……?」

ちひろ「文香ちゃん、あんまりそうやって甘やかさない方がいいですよ」

俺P「ごちゃごちゃうっさいわね!」

俺P「アンタ達がマゴマゴしてる間、アタシは街行くマッチョ鑑賞でもしてくるわ!」

  ・  ・  ・

俺P「ちょっと、アンタ達! 調子に乗って買いすぎよ!」

ちひろ「プロデューサーさん、見た目通り太っ腹ですね♪」

俺P「ホントもう、ブス!」

文香「あの、本当に、お金の方は……」

俺P「お金の心配より、アンタはもっと気にする事が山ほどあんでしょ!」

ちひろ「気にしなくて大丈夫ですよ」

俺P「アンタは気にしなさいよ、ちっひ!」

ちひろ「これはですね、プロデューサーさん流の投資なんです」

文香「投資、ですか? すみません、あまり、そう言った事に詳しくないもので……」

ちひろ「文香ちゃんが可愛くなって、いっぱい活躍するための、先行投資です」

文香「成る程……そういう考え方も、あるのですね」

俺P「ちひろー! コレ、アンタ用の化粧品でしょ!?」

ちひろ「……あ、バレちゃいました?」

俺P「はん! 化粧如きで、アンタの本性が隠せると思わないことね!」

文香「……ふふふっ」

俺P「笑い事じゃないわよ!」

  ・  ・  ・

文香「あの……どう、でしょうか?」

俺P「何がよ」

文香「化粧をしてみたのですが……」

俺P「アタシの目には、辛気臭いブスしか映ってないわ」

文香「そう、ですか……」

俺P「そうよ。買い物帰りの時のアンタが、一番マシだったわ」

文香「買い物帰りの私、ですか」

ちひろ「プロデューサーさん。ハッキリ言ってあげたらどうですか?」

文香「……?」

ちひろ「文香ちゃん、この人は、笑ってる時の方が可愛いって言いたいんですよ」

俺P「ちょっと! 勝手にアタシのセリフを取らないでちょうだい!」

文香「可愛い、ですか……? 私が」

俺P「マシって言っただけでしょ! ふみふみ、調子に乗んじゃないわよ!?」

文香「は、はい……!」

  ・  ・  ・

俺P「全くもう! どうしてアタシが女に貢物しなきゃなんないのよ!」

俺P「貢ぐんだったら、マッチョに貢ぐっつーの!」

俺P「でもま、ブスのままいられるよりはマシよね」

俺P「あとは、誰に連絡入れとけば良いかしら」

俺P「もっさい前髪もなんとかするとして……」

俺P「ああもう! 本当面倒くさい子!」

俺P「どうしてこの事務所って、ああいう子ばっかりなのかしら!」

俺P「たまには素直な、言う事聞く子の担当をして楽したいわよ!」


「あー! プロデューサーでごぜーます!」


俺P「あっ、コラ! やめなさい、おチビ!」

俺P「腹を触るんじゃな、って、頭ペチペチもやめなさいよ!」

  ・  ・  ・

文香「……はぁ……はぁ」

ルキトレ「今日の基礎レッスンは終了。各自、体を冷やさないようにしておけよ」

文香「……はぁ……はぁ」


俺P「ちょっとヤダ、何よ!」


文香「ぷ、プロデューサー……?」

俺P「ふみふみ、アンタなんでそんなにヘバってるのよ!」

文香「こういった事は経験が無く……ついていくのがやっとです」

俺P「そんなエッチな体で未経験なんて、どうかしてるわ」

文香「は、はい……?」

俺P「アンタには、基礎レッスンの前にやる事があるみたいね」

文香「あの、それは、一体……」

俺P「走るのよ! そして、肉を食うの! 肉を!」

文香「走るのはわかるのですが……お肉を食べる、というのは?」

俺P「体力つけるには、肉を食べるのが一番だからよ」

  ・  ・  ・

俺P「いくわよふみふみ! 走るのよ!」

文香「あの、それは」

俺P「電動アシストの三輪自転車よ」

文香「そんなものまで、事務所にはあるのですね」

俺P「馬鹿言ってんじゃないわよ。アタシ専用の愛車よ」

文香「専用、ですか?」

俺P「事務所の電動自転車は二輪だからね」

俺P「アタシが乗ったらすぐに悲鳴をあげて逝ったわ」

文香「それは……」

俺P「さあ、話はおしまい! 行くわよ、ふみふみ!」

文香「はっ、はい!」

俺P「ギャランドゥ号、発進!」


  ・  ・  ・


俺P「アタシはタクシーで帰るから。気をつけて戻ってきなさい」

文香「あの、電池が切れたアレは、どうするのですか?」

俺P「あとでちっひに回収させるわ」

  ・  ・  ・

俺P「ああ、いやらしい! ふみふみは、ホントエッチね!」

文香「あの、もう、からかわないでください……///」

俺P「宣材写真の撮影で水着だなんて、何をアピールするつもりだったのかしら!」

文香「私が、浅はかでした……///」

俺P「まあでも、そのやる気は褒めたげる」

文香「プロデューサー……?」

俺P「良い? アンタ、元はとっても良いのよ」

文香「そう、でしょうか……まだ、自信がありません」

俺P「アタシが言うんだから間違いないわ」

俺P「だって、アタシはプロデューサーだから」

文香「……」

俺P「ほら、もう! またすぐそうやってブスになる!」

むにむにっ

文香「ふっ、ふろひゅーはー?」

俺P「アタシの前でブスで居るなんて、承知しないわよ!」

俺P「アンタは、アイドルなのよ」

俺P「気合を入れるのは良いけど、ちゃんと笑顔で」

文香「……はいっ」

俺P「ちょっとふみふみ~? アタシの言う事聞いてたかしら?」

むにむにっ

文香「……ふぁい」

俺P「ほら、しっかり笑顔で、仕事がバシバシくるような宣材写真を撮ってきなさい!」

文香「私に、出来るでしょうか?」

俺P「そんなの知らないわよ。とりあえず、今できるだけの事はしなさい」

文香「……わかりました」

文香「今の私に出来る精一杯……見てて、くださいますか?」

俺P「ちょっと見なさいふみふみ! あのスタッフ、良い筋肉してると思わない!?」

文香「……ふふふっ、それでは、行ってきますね」

俺P「さっさと行ってきなさい。帰りは肉食いに行くわよ、肉!」


俺P「……やりゃあ出来るじゃないの」

俺P「って、ちょっとアンタ達! 何見てんのよ!」

  ・  ・  ・

俺P「ゴッフアァァ……!」

ちひろ「もう! ホント、プロデューサーさんのそういう所嫌い!」

俺P「悪いわね、ちっひ。仕事終わりのビールに、ゲップはつきものなの」

ちひろ「女の子達と食事してるんですから、考えてください!」

俺P「達? おかしいわね、アタシにはふみふみしか見えないわ」

文香「……」

ちひろ「はぁ!?……ごく、ごく……!」

ダンッ!

ちひろ「私だって、まだ女の子です!」

俺P「豪快にビール飲み干しといて馬鹿言ってんじゃないわよ!」

文香「その、ちひろさんは……とっても可愛らしい方だと思います」

ちひろ「聞きました!? ねえ、聞きましたか!?」

俺P「生二つ、追加お願いしま~す♪」

ちひろ「華麗にスルーしないでくださいよ!」

文香「……ふふふっ」

俺P「ピーチクパーチクうっさいわねぇ、せっかくの焼肉なのに!」

ちひろ「誰のせいだと思ってるんですか、全く!」

文香「お二人は、とても仲が良いのですね」

俺P「大丈夫、ふみふみ? それ、お酒じゃないわよね?」

ちひろ「文香ちゃんは未成年ですから、そうだとしたら困ります」

俺P「やっぱりオレンジジュースにしないよ。オレンジ」

ちひろ「プロデューサーさん、何気にオレンジジュース好きですよね」

俺P「子供心を忘れない、純真な大人の女……それがアタシよ」

ちひろ「女って、さりげなく嘘をつかないでください」

俺P「嘘は女のアクセサリー」

ちひろ「だったら、プロデューサーさんには関係ないですね」

俺P「あーっ! やっと肉が来たわ! アタシの可愛いベイビーちゃん達!」

ちひろ「文香ちゃん! 遠慮してたら、すぐになくなっちゃいますからね!」

文香「は、はい……頑張ります……!」

  ・  ・  ・

ちひろ「プロデューサーさん!」

俺P「何よちっひ、怖い顔して。小ジワが増えるわよ」

ちひろ「まだありません! じゃなくて!」

俺P「そう思いたい、ちひろなのであった……」

ちひろ「誤魔化さないでください!」


ちひろ「なんで、文香ちゃんの担当を辞めたんですか!?」


俺P「業務命令よ」

ちひろ「業務命令!?」

俺P「アタシも、所詮はただのサラリースーパーガール……」

俺P「上の命令には、逆らえないわ」

ちひろ「……さりげなく自分を上げないでください」


俺P「プロジェクトクローネ、って聞いてない?」

俺P「346プロが打ち出した、とっても大きな企画」

俺P「それに、あの子が選ばれたのよ」

ちひろ「でも、担当を外れる必要なんて!」

俺P「ちひろ。これは、あの子にとって大きなチャンスなの」

ちひろ「でも……!」

俺P「アタシが担当を続けるより、絶対に良い経験になるわ」

ちひろ「……文香ちゃんは、何て言ってたんですか?」

俺P「わかりました、って言ってたわ」

ちひろ「それは、プロデューサーさんが、そう言ったからでしょ!?」

俺P「ちひろ!」

ちひろ「……すみません、プロデューサーさんのお気持ちを考えずに」

俺P「ふん! アタシは、面倒な子の担当を外れて清々したわ!」

ちひろ「……」

俺P「オーッホッホッホ! 精々、今後の活躍に期待しようじゃないの!」

ちひろ「……今夜は飲みに行きましょう。奢りますよ」

俺P「馬鹿言ってんじゃないわよ。割り勘よ」

  ・  ・  ・

ちひろ「……文香ちゃん、レッスン頑張ってるみたいですね」

俺P「初めてが大舞台だからね。頑張ってもらわないと困るわよ」

ちひろ「走るのも、続けてるみたいです」

俺P「ギャランドゥ号はホコリ被ってきたわ」

ちひろ「二人で、ユニットを組むって」

俺P「おチビ達の一人でしょ。あの子はしっかりしてるから、大丈夫よ」

ちひろ「……詳しいですね」

俺P「何よ、何か文句ある?」

ちひろ「いいえ、別に」

俺P「絶対に、レッスンは見に行かないわよ」

ちひろ「……どうしてですか」

俺P「合わせる顔が無いからよ。わかんでしょ」

ちひろ「……」

俺P「……」

  ・  ・  ・

俺P「……!」ハラハラ

ちひろ「もうすぐ、文香ちゃん達の番ですね」

俺P「言われなくてもわかってるわよ!」ハラハラ


ちひろ「……あら? プログラムに、変更?」


俺P「!?」

ブボッ!


ちひろ「あっ、臭い!? ちょっ、あ、ホント臭い!」

俺P「ひぎいい!? ちっひ! アンタのオナラ臭すぎるわよ!?」

ちひろ「はぁ!?」


俺P「こんな所には居られないわ! 一刻も早く逃げないと!」

ダッ!……ドシドシドシドシ!


ちひろ「あっ、ちょっと、もう!」

ちひろ「……本当、素直じゃないんですから」

ちひろ「……――違いますよ!? 今の、私じゃないですからね!?」

  ・  ・  ・

俺P「あのおバカ……! 何やってんのよ……!」

ドシドシドシドシ!


俺P「絶対、何か、あっ……フヒィ……!」

ドシドシドシドシ!


俺P「ハヒィ……! ホヒィ……!」

ドシドシ……ドシン


俺P「はーっ……! ぶふぅーっ……!」

俺P「ひーっ……! ふぶるふぅーっ……!」


「あの……どうして、ここに?」


俺P「!」

俺P「ちょっ……ちょっ、と待ちなさい……! すーっ、はーっ!」

俺P「すーっ! はーっ!」


「あの……文香さん、急に具合が悪くなっちゃって……!」

「私、どうしたら良いか……わからなくて……!」


俺P「かーっ!」

ブボボッ!


「あっ!? くっ、臭い……!」

「な、何で急に……!?」


俺P「人がオナラをするのに、理由なんてないわ」

俺P「それよりアンタ! 何しょぼくれた顔してんのよ!」


「で、でも……!」


俺P「アンタは、いつもアタシがお腹触られてるのを見てる時みたいにね!」

俺P「ヘラヘラ笑って、ドーンと構えて待ってなさい! クソする時みたいに!」

俺P「そんな顔で、ファンを魅了できると思ってんの?」

俺P「アイドル舐めんじゃないわよ、オナラ食らわすわよ!」


「もっ、もうくらいました!」


俺P「あらヤダ、そうだったかしら。そんな昔のことは忘れたわ」

俺P「……でもま、その調子で待ってなさい」

俺P「あの子だったら、絶対に戻ってくるから、ね」


「……はいっ!」


俺P「いい返事ね。それじゃあ、アタシは行くわ」

ブボッ!


「!? 臭っ……もう、やめてください!」


俺P「加速装置よ! それに、そんな先の事はわからないわ!」

ドシドシドシドシ!

  ・  ・  ・

文香「……」


俺P「ああヤダ、おおヤダ、ホントヤダ!」


文香「!?」

俺P「ハァ~イ、ふみふみ」

文香「プロデューサー……」

俺P「はーっ! 相っ変わらず辛気臭い顔してるわねぇ!」

文香「……すみません、私」

俺P「なんで謝るのよ! アタシは、もうアンタの担当じゃないのよ?」

文香「そう、ですね……そうでした」

俺P「だから、アンタはアタシに謝る必要なんか無いの」

文香「その……どうして、ここに?」

俺P「そんなの決まってんじゃないの」


俺P「アタシは、ふみふみを友達だと思ってるからよ」


文香「……!」

文香「友達……ですか?」

俺P「一緒に買い物して、一緒に焼肉食ったのよ。そんなの、もう友達でしょ」

文香「……」

俺P「あら、それともハゲで、デブで、オカマの友達はいらないかしら?」

文香「……!」フルフル

俺P「だったら、アタシがここに来ても問題ないわね!」

文香「……私、プロデューサーに見放されてしまったと、思っていました」


俺P「何言ってんの。アタシが担当を外れたのは、友達だと思ってたからよ」

俺P「アンタみたいな稼ぎそうなアイドル、プロデューサーのアタシが手放すはず無いじゃない!」

俺P「だけど、友達だと思ったからこそ、担当を外れた」

俺P「アタシはね、友達の成功を本当に祈れる程、ケツの穴がでかいの」

俺P「……締りは良いのよ!? そこ、勘違いしないでよね!」


文香「……!」

俺P「アタシは、ふみふみの担当じゃあないけどさ」

文香「……」

俺P「それだけの、仕事だけの関係ってのも寂しいと思わない?」

文香「……友人や、恋人等、でしょうか」

俺P「そうねぇ……アンタが強火でマッチョな艶男だったら、恋人もありね!」

文香「そ、それはもう、別人だと思います……!」

俺P「そ。だから、アンタはアンタ、ふみふみのままで、アタシのダチよ」

文香「こんな事を言われる時が来るなんて……想像もしていませんでした」

俺P「よくあるセリフじゃない。読書量が足りないんじゃない?」


文香「いえ……完全に別人だったら恋人になった、という方です」


俺P「何よ、そんな頭の悪いセリフ……誰が言ったのかしらね?」


文香・俺P「……」

文香「……ふふふっ、さあ、誰だったでしょうか。思い出せません」

俺P「良い顔するようになったわね! LIVE、気合いれてきなさい!」


俺P「打ち上げは、当然焼肉よ!」

  ・  ・  ・

俺P「ああ、ヤダヤダ! なんであの子以外にも焼肉に来たのよ!」

俺P「メスじゃなくて、オスに囲まれてーわー! 男だらけの謝肉祭してーわー!」

俺P「掘れる男はモテるのよ! 覚えておきなさい!」

俺P「……」

俺P「あら? なぁにあの子」

俺P「此処に居るって事はアイドルって事よね?」

俺P「……ああん、もう! 面倒くさいわね!」


ドタドタドタドタ!


俺P「ちょっとヤダ、何よ!」




おわり

900越えたので、バランス調整していきたいと思います

俺P「ちょっとヤダ、何よ!」市原仁奈「!?」
俺P「ちょっとヤダ、何よ!」市原仁奈「!?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510144572/)

これは俺で、それ以外のオカマは違いますよー
流れを揃えるために見てたら見事に誤爆しました

書きます


「ねえ……き、キスってどう思う?」


 アタシは、意を決して聞いた。
 こんな事、他の誰にも言えない。
 だけど、コイツだったら、聞いても良いカナと思える。


「……城ヶ崎さん?」


 だって、こんなに驚いた顔をしてるんだよ?
 いい大人が、キスに関する質問をされただけで狼狽えちゃう。
 普通だったらさ、ウケルー、とか思うんだろうけど、アタシは違う。
 だってさ、その、真面目な奴の方が、信用出来るじゃん?


「か、勘違いしないでね! キスくらい経験あるから!★」


 ……莉嘉とか、女の子とばっかりだけど。
 でも、別にそれは言わなくても良いよね。
 ず、ズルとかじゃなくて! な、なんとなく!


「どう思うとは……その、質問の意味がよく、わからないのですが」


 右手を首筋にやって、困った顔してる。
 もー! コイツは、相変わらず鈍いんだから!
 どう思うかって聞いたら……アレ?


「アハハ……ゴメン、アタシもよくわかんないや」


 最近、アタシはこういった色恋の事でイジられるのが多くなった。
 だから、何となく、聞いてみたかったのだ。
 何となくだから、質問に大した意味が無いのは……しょうがないでしょ!


「城ヶ崎さんは、何故、そのような質問を?」


 そりゃ、疑問に思うのもトーゼンだよね。
 けどさ、べ、別に仕事の手を止めてまで親身になってくれなくても良いのに。


「し、仕事……良い、の?」
「はい。城ヶ崎さんが、悩んでおられるようですから」


 コイツには、アタシが悩んでるように見えたらしい。
 別にさ、悩むまではいってないよ。
 邪魔して悪いな―、って思ったの、勘違いさせちゃったカナ。


「……」


 でも、コイツには悪いんだケド、こういうのって嬉しかったりするんだよね。
 真面目で、融通のきかない、仕事人間がさ、
アタシが悩んでるカモって思って、その手を止めて相談に乗ろうとしてくれる。
 これって、チョー贅沢な話なんじゃない?


「ほら……アタシって、ギャルなイメージで売ってるでしょ?」
「はい」


 だったらさ、ちょっと位甘えてもイイ……よね★
 まだ、アタシの中でもまとまってないケド、それも含めて聞いてみよう。
 コイツだったら、何かイイ答えを出してくれる……カモ!


「ギャルだったらさ、キスとか、え、エッチとか、バンバンするのが普通カナ、って」


 言っちゃった!


「っ……!?」


 あ、聞かなきゃ良かった、って顔してる!


「ごっ、ゴメン! やっぱり、今のナシ!」
「そ、そう……ですか」


 アタシが慌てて言葉を取り消すと、心底ホッとした顔をされた。
 うー、何かイイアドバイスが貰えるカモと思ったケド、やっぱり無理か。
 ……まあ、そうだよね。
 だって、コイツだもん。


「すみません……それに関しては、お力になれそうもありません」


 本当に申し訳ないと思ってるのか、大きい体をこれでもかって程小さくしてる。
 それがなんだかカワイイ、って思うのはアタシだけじゃないと思うんだよね。
 顔は表情が変わりにくくて、何考えてるかわかんない時が多いケド★


「い、イイって! ただ、何となく聞いてみただけだし!」
「……」


 そっ、何となく……って、アレ? ちょっと待って?
 何か、今の質問の仕方って……!?


「それに!? アタシは、安売りするタイプじゃないから!?」
「っ!?」


 待って待って!
 今の質問は、そういうのじゃないから!
 勘違いなんて、許さないんだからね!


「わかった!? わかったらホラ、返事!」
「はっ、はい!」
「よし!★」


 オッケー! これで、変な誤解されずに済んだ!


「城ヶ崎さんが、そういった方面で真面目なのは、存じているつもりです」
「はい?」


 えっ、何でコイツが知ってるの?
 ……ああ、そっか。


「莉嘉から、何て聞いてるの?」


 そう聞くと、サッと表情が青ざめたように見えた。
 バレないとでも思ったの? チョーウケるんですケド。


「それは……その、ですね」
「ホラホラー、怒らないから言ってみ?★」


 しどろもどろになるのも、からかい甲斐があるジャン★
 あー、皆がアタシをイジってる時って、こういう気分なのカナ。
 これは正直……エヘヘ、楽しいわ!


「彼氏がいた事は無いだろう……と」
「うぐっ!?」


 莉嘉、そんな事言ってるの!?
 いや、そりゃまあアイドルやってる訳だから、そういうの良くないし!
 アタシは、カリスマJKで、アイドルなんだから!


「……申し訳、ありません」
「謝らないでくれる!?」


 ヤバ、今のアタシ、チョーダサいんですけど。
 うぅ……莉嘉のバカ!


「……わかってるなら、もう正直に言うね」


 もう、今更コイツの前で格好つける必要は無いと知って、ちょっと楽になった。
 十分に恥はかいたんだから、こうなったらもうヤケ。
 洗いざらい話してみよう。


「アタシ、ギャルで売ってるのに、そういうの経験なくてさ」
「……」


 凄く、真剣な表情。


「だから、そういうので最近イジられるんだ」
「……」


 言葉を挟むこと無く、アタシの話に耳を傾けてくれてる。


「あっ、それがイヤだって事じゃなくてね?」
「……」


 だからか、自然と思ってる事が口に出せる。


「やっぱり、おかしいのかな、変なのかな、ってちょっぴり不安になるんだよ、ね」


 そう、アタシは不安だった。
 ギャルなイメージでアイドルとしてやっているのに、てんでウブで。
 もしかしたら、カリスマJKとしてやってきたのは、失敗だったのカナ、って。
 現に、この前も常務――今は専務か――にも、方向性を変えるよう言われたし。


「いえ、不安に思う必要は、無いと思います」


 そんなアタシの不安を吹き飛ばすかのような、とても力強い声が響いた。


「……どうして?」


 どうして、コイツはこんなにもハッキリと言い切れるのだろう。


「間違いなく、貴女は――カリスマJKアイドル、城ヶ崎美嘉です」


 どうして、コイツはこんなにも真っすぐとアタシを見るのだろう。


「確かに、ギャルとしてのイメージ上、そういった経験に話が行くのは仕方の無い事です」


 だから、その事で――!


「しかし、貴女は、その様な小さな事に左右されるべきではありません」


 小さな事!?
 アタシの不安が、小さな事だって言うの!?


「それらが霞むほどの輝きを貴女は放っている。私は、そう考えます」


「っ――!」


 視線と、言葉に射抜かれたような気がした。
 ものの見事に、コイツはアタシの中にある不安を綺麗に撃ち落としたのだ。
 最近の、モヤモヤとした感情が消え去り、一気に視界が広がった気がする。


「……そっか。アンタは、そう思うんだ」
「はい」


 もの凄くわかりにくいケド、優しく微笑みかけられた。
 その表情にドキリとさせられたのは、絶対言わない。
 だってそんなの……はっ、恥ずかしいじゃん!


「エヘヘ……言われてみれば、アタシもそう思う!★」


 だから、カリスマJKアイドル、城ヶ崎美嘉の笑顔で対抗。
 知ってるよー、アンタが、


「……良い、笑顔です」


 笑顔に弱い、って★


「それにしてもアンタ、力になれないって言ってたケドさ。そんなコト無いよ」


 だからこれは、弱ったアンタへの追撃。
 やられっぱなしは、性に合わないしね!


「城ヶ崎さん? あの、何を……?」


 アタシが近づくと、不思議そうな目で見てくる。
 そんな頬に、キスの恩返し――


「っ!?……――おおおわあっ!?」


 ――をしようとしたら、仰け反って椅子ごと豪快に後ろに倒れ込んだ。
 どうやら、アタシのキスの販売はまだまだ先になりそうだ。



おわり
 

寝ます
おやすみなさい

次スレは考えてなかった、というか>>383を完全に忘れてました
見ないとですね

とりあえず、締めます


武内P「アイドルは、ウンコなんかしない」

武内P「……そう、昔の私は思っていました」

楓「……まあ」

武内P「……そして、今でもそう信じたい、私が居ます」

楓「……それは、残念ですね」

武内P「……しますか」

楓「……聞きますか」

武内P「……」

楓「……」

武内P「……アイドルは、ファンに夢を与えるものです」

楓「……そう、ですね」

武内P「そして、私は貴女のファンです」

楓「……そう、ですか」

武内P「……しますか」

楓「……言わせますか」

武内P「……」

楓「……」

武内P「……貴女は、トップアイドルです」

楓「……そう、なのでしょうか」

武内P「少なくとも、私は、そう思います」

楓「……ふふっ、少し、照れてしまいますね」

武内P「……なので、その」

楓「……申し訳ありません」

武内P「……」

楓「……」

武内P「……何かの、間違いの可能性は」

楓「……間違い、ですか」

武内P「……実は、している気がするだけ、では」

楓「……します」

武内P「……そう、ですか。そうですか……」

楓「……何と言って良いのか、よく、わかりません」

武内P「……」

楓「……」

武内P「高垣さん、貴女はとても美しい女性です」

楓「……ありがとうございます」

武内P「……なので、実はアンコだったり」

楓「……その案、困ります」

武内P「……ですよね」

楓「……はい」

武内P「……」

楓「……」

武内P「……その、今朝は」

楓「……聞きますか」

武内P「……申し訳、ありません」

楓「……しました」

武内P「……」カキカキ

楓「!? あの、メモを取ってるんですか!?」

武内P「……いえ、心を落ち着けるため一人で○×ゲームを」

楓「……」

武内P「……」

武内P「……もしや、毎朝」

楓「……まあ、いや、さ」

武内P「……健康的、ですね」

楓「……ありがとうございます」

武内P「……良い事、ですね」

楓「……そう、ですね」

武内P「……」

楓「……」

武内P「……便秘、などは」

楓「……聞きますか」

武内P「……申し訳、ありません」

楓「……無縁です」

武内P「……それが、美しさの秘訣かも知れませんね」

楓「……そう、なのでしょうかね」

武内P「……」

楓「……」

武内P「……臭いは、薔薇の香りでは」

楓「……ありません」

武内P「……臭い、ですか」

楓「……すみません、それはちょっと」

武内P「……申し訳、ありません」

楓「……いえ、お気になさらず」

武内P「……」

楓「……」

武内P「……実は、少ししか出ない」

楓「……事は、無いです」

武内P「……大量、ですか」

楓「……あの、デリカシー」

武内P「……申し訳、ありません」

楓「……はい、気にしてください」

武内P「……」

楓「……」

武内P「……お酒を飲んだ翌朝は」

楓「――苦しくて、溢れ出すの~♪」

武内P・楓「立ち尽くす風の~な~か~で~♪」

楓「……まあ、座りますけど」

武内P「……洋式、ですか」

楓「……」

武内P「……」

武内P「……ウォシュレット」

楓「……はい」

武内P「……良い、ですよね」

楓「……はい」

武内P「……」

楓「……ふふっ」

武内P「……高垣さん?」

楓「……変な所で似てるな、って思ったら、つい」

武内P「……」

武内P「……私は、間違っていたようです」

楓「……」

武内P「高垣さんも、ウンコをする」

楓「ちょっと、言い直してください!」

バシバシ!

武内P「……アイドルも、ウンコをする」

楓「……はい、それで」

武内P「……」

楓「……」

武内P「……本当は、わかっていました」

楓「……」

武内P「しかし、高垣さんがウンコするなら、全員するでしょう」

楓「ちょっと、私の責任みたいに言わないでください!」

バシバシ!

武内P「……トップアイドルでもするなら、全員するでしょう」

楓「……まあ、それで」

武内P「……」

楓「……」

武内P「……アイドルも、ウンコをするのですね」

楓「……はい、全員します」

武内P「……輝いていたりは」

楓「……しません」

武内P「……実は」

楓「……輝いていませんから」

武内P「……」

楓「……」

武内P「……ウンコをしても、貴女達アイドルは輝いている」

楓「……まあ、そう、ですね」

武内P「その輝きは、ウンコの上に成り立っている」

楓「ちょっと、言い方!」

バシバシ

武内P「大の事など、アイドルの輝きの前では、小さな事だと」

楓「……?」

武内P「貴女達アイドルは、とても輝いている、という意味です」

楓「まあ……ありがとう、ございます」

楓「……すみません、ちょっと」

武内P「……あの、まさか」

楓「……お腹の調子が、今朝から悪くて」

武内P「!? 待ってください! それでは、まさか貴女は――」

楓「!」

バシバシ!

武内P「――……!」



楓「……失礼します」

ツカツカツカツカ…


武内P「……」


武内P「下痢、ですか」


楓「……!」

ツカツカツカツカ…バシバシ!



おわり

以下、まとめ


未央「明るい笑いを振りまいて♪」
未央「明るい笑いを振りまいて♪」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512131825/)

興水幸子「腹パンしてやる」
興水幸子「腹パンしてやる」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1504344912/)

ルパン三世 Gifted Cinderella 魔法のトワレ
ルパン三世 Gifted Cinderella 魔法のトワレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512567189/)


前スレ?

武内P「大人の魅力、ですか」
武内P「大人の魅力、ですか」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510490903/)

このスレは試行錯誤で、昔のネタ、ギミック等、色々とやってみました
その結果か、初めて自分の書いたもので「うくく」と声を出して笑えました


こんなくだらないもん最後まで読んでくれてありがとう


おかげで、昔もひっくるめて最高の1レスが出来ました

>>383に関してですが、今からMマス見てきます
んで、見終わったら書きます

次スレはまあ、気が向いたらってことで
考えて書いてないので、今まで書いたものを覚えてないからネタ被りしそうで

このスレは多分、思い出深くなります
6年以上前の俺の書いたものを読んでた人も見てたっぽいですから

では、見てきます

書きます


武内P「スカウト、ですか」

石川P「はい」

武内P「あの……スカウトとは、私をアイドルに……という意味でしょうか?」

石川P「はい。っと、遅れてすみません、こちらが名刺になります」

武内P「これはご丁寧に……で、ではなく、何故、私をアイドルに……!?」

石川P「笑顔です」

武内P「……!?」


未央「めっちゃ助けを求めてる」

凛「面白そうだから、少し見てようか」

武内P「え、笑顔、ですか」

石川P「はい。貴方は……笑顔がとても好きそうな感じがしまして」

武内P「それは……合っています、が」

石川P「でしょう? 僕のプロデューサーとしての勘が、是非スカウトすべきだ、と」

武内P「……!?」


卯月「すぐに断らないのは……」

美嘉「自分がスカウトで苦労してるから、だろうねー★」

蘭子「我が友が……アイドルに……?」

ほわほわ~ん


  ・  ・  ・


武内P『甘い時間スウィートな~レッスンあげる~♪』


蘭子「我が友―! 我が友ー!」


武内P『おいでどうぞお望みのまま~聴くよ~♪』


蘭子「我が友ー! 我が友ー!」


武内P『恋のレクチャー予約NG~♪』


蘭子「我が友……! 我が友……!」ポロポロッ


武内P『大人のマネにはま~だ~少し~早すぎるでしょ♪』


蘭子「うぅ、わがとも……! わがともぉ……!」ポロポロッ

蘭子「魂の饗宴、しかと見届ける!」

美波「でも、プロデューサーさんがアイドルになったら……」

アイドル達「?」

美波「男女のユニットでの曲も出せるわね♪」

アイドル達「!」

ほわほわ~ん

武内P「私達の、ユニットとしての初LIVEですね」

卯月「緊張、してます?」


  ・  ・  ・


武内P「いえ……それが、意外にも」

未央「へー! プロデューサー、案外度胸あるじゃん!」


  ・  ・  ・


武内P「貴女が隣に居る事が、心強いからでしょう」

凛「……ふーん。そういうもの?」


  ・  ・  ・


未央・卯月・凛「……サイコー」

みく「でも、アイドルやったらみく達のケアが出来なくなるにゃ」

李衣菜「プロデューサー、ただでさえ忙しそうだもんね」

かな子「それはそれで好都合だよ~♪」

智絵里「でも……それはちょっと寂しいかも」

杏「だったらさー、レッスンとか一緒にすれば良いんじゃない?」

アイドル達「!」

ほわほわ~ん

莉嘉「お疲れ様っ、Pくん!☆」

武内P「お疲れ様です」


  ・  ・  ・


みりあ「えへへっ! でも、一緒にレッスン出来て楽しいなー!」

武内P「あっ、赤城さん……今くっつかれては、その……!」


  ・  ・  ・


きらり「あっ、ゴメンにぃ! 汗でぇ、ベトベトしちゃってたゆ」

武内P「その……シャツが透けて……はい、申し訳ありません」


  ・  ・  ・


莉嘉・みりあ・きらり「きゃーっ!///」

アーニャ「……ハラショー! 良い事、いっぱいです!」

アイドル達「!」ウンウン


石川P「お返事はすぐに、とは言いません」

武内P「あ……いえ、私は……」

石川P「ですが、貴方ならきっと、アイドルとして輝けます」

武内P「……!?」タスケテクダサイ!


アイドル達「……」フイッ


武内P「!?」

石川P「僕で良ければ、そんな貴方の力にならせてください」

武内P「しかし……それは……!」

石川P「貴方が、ファンの方達を笑顔にする手助けを」

武内P「……」

石川P「そして、見たことのない景色を見ましょう」

武内P「……!?」タスケテクダサイ!タスケテクダサイ!


アイドル達「……」フイッ


武内P「!?」


ピエール「あーっ! ここにいたんだ!」


アイドル達「!?」

ピエール「すっごく探しちゃった!」

石川P「す、すみません。少し、スカウトに夢中になってしまって」

ピエール「スカウト?」

石川P「はい。彼を」

武内P「……」

ピエール「うわー! 新しい、仲間!? 嬉しいなー!」

武内P「あの、いえ……私は……」

ピエール「えっ……違う、の?」キュルンッ

武内P「……!?」


アイドル達「……」

未央「……可愛くない?」

卯月「……可愛い、です」

凛「……何か、デレデレしてる」

蘭子「……魂の繋がりが、断ち切られようとしている」

アーニャ「……ニェート、あれは、アー、良くない、です」

智絵里「……見捨てられちゃう?」

かな子「……クッキー美味しい~♪」

杏「……そもそも、別の事務所の人じゃない? あれ」

アイドル達「!」

莉嘉「……事務所が違うってコトは」

みりあ「……ねえねえ、プロデューサー、取られちゃうの?」

きらり「……うゆ……アイドルになったら、そう、なるにぃ」

みく「……プロデューサー兼、アイドルという手も」

李衣菜「……事務所が違うから、難しいと思う」

美波「……」

ほわほわ~ん

武内P「LIVE、頑張りましょう」

ピエール「うん! ボク、頑張る!」

武内P「会場の緊張も、ほぐれているようですね」

ピエール「エヘヘ!」

武内P「笑顔で、楽しんでください」

ピエール「はーい!」

武内P「良い、笑顔です」


武内P「やはり、後楽園ホールは最高ですね」


  ・  ・  ・


美波「――待って皆!」

アイドル達「!?」

美波「大事なのはプロデューサーさんの気持ち、でしょ?」

アイドル達「……」

美波「確かに、プロデューサーさんが居なくなるのは寂しいわ」

アイドル達「……」

美波「でもね、怖がってちゃ、前に進めない」

アイドル達「……」

美波「……プロデューサーさんが選んだ道なら、応援してあげなきゃ!」

アイドル達「……!」

美波「精一杯の笑顔で、後ろの前に進むのを応援してあげましょ!」

アイドル達「後ろの……?」


美嘉「えっ? 皆、アイツいらないの?」


アイドル達「!?」

美嘉「皆がいらないなら、アタシが貰っちゃおっかなー★」

アイドル達「……!?」


武内P「……しかし、私は」

石川P「気が向いたら、で結構です。いつでも待っていますから」

武内P「……」


美嘉「ホーラ! 黙ってないで、アンタも名刺渡しなって!」

バシッ!


武内P「じょ、城ヶ崎さん……!?」

石川P「カリスマJKアイドルの、城ヶ崎美嘉さん……? は、はじめまして」

ピエール「わふー! はじめましてー!」

美嘉「はじめまして★ ホラ、はやく!」

武内P「……」

  ・  ・  ・

ちひろ「……ふふっ、大変だったみたいですね」

武内P「……」

ちひろ「もしかしたら、本当にアイドルになっちゃってたかも?」

武内P「……いえ、それは有り得ません」

ちひろ「あら、どうしてですか?」

武内P「私は、プロデューサーとして、皆さんの笑顔を見ていきたいですから」

ちひろ「まあ、仕事熱心ですね」

武内P「……」

ちひろ「でも、可能性としてはあると思います」

武内P「……私がアイドルに、ですか?」

ちひろ「ええ。だって、プロデューサーさん、歌は得意でしょう?」

武内P「……何故、それを……!?」

ちひろ「事務員は、何でもお見通しなんですよ♪」

武内P「……答えに、なっていないのですが」

ちひろ「うーん……何て言えば良いのかしら」

武内P「……」



ちひろ「理由あって、ですかね♪」



おわり

ピエールくんのちんぽの事しか考えられないので、休憩後1レスもので刻みます


「……」


 いやー、まさか、プロデューサーのこんな無防備な姿を見るとはね。
 だけどね、そこは杏の特等席なんだよ?
 プロデューサーが寝たら、クッションが潰れちゃうってば。


「……」


 まあ、気持ちはわからないでもないけどね。
 にっしっし、これで杏がそこから離れたくない気持ちがわかったんじゃないかな。
 今後はさ、杏がそこで寝てたら起こさなくて良いからね。
 働くのなんて、働き者に任せておけば良いんだよ。


「……」


 プロデューサーはその働き者の内の一人だけど、ね。
 だけど、それでもそうやってダラダラする時間も大事だと思うよー。
 働きっぱなしじゃあ疲れちゃうって。
 杏だって、ダラダラするのとゴロゴロするの、メリハリを付けてるんだから。


「よっこいしょ、っと」


 おいおい、いくら杏が軽いからって、上に乗っても起きないなんてある?
 どんだけ疲れてるのさ、全く。
 しっかり休んで疲れを取るのも、仕事の内って言うじゃんね。
 仕事しないなんて、けしからんね!


「ふわぁ~あ」


 ってなわけで、杏はこれからお仕事といきます。
 プロデューサーも一緒だから、サボりじゃなくてお仕事だよ、お仕事。
 ……それにしても、妙に寝心地が良いじゃん。
 やるねー、プロデューサー。


「こういう仕事なら、大歓迎だよー……」


 起きた時の事? そんなの考えないよ!
 杏はそんなに仕事熱心じゃないのだ、はっはっはー!


おわり


「プロデューサーさん、ちょっと待って下さい」
「? はい」


 席を外そうとした時、新田さんに呼び止められた。
 新田さんは立ち上がり、パタパタと私に歩み寄ってくる。
 一体、何の用事だろうか?
 必要な連絡事項は、伝え終わっていた筈だが。


「ネクタイ、曲がってますよ」


 新田さんはそう言うと、私のネクタイに手をかけた。


「すみません、気づきませんでした」
「前に注意されたんですから、しっかりしないと」


 確かに、その通りだ。
 クライアントが最初に会うのは私で、だからこそ身だしなみには気をつけねば、と。
 そう、思っていたのだが、最近は気が緩んでいたのかも知れない。


「はい、これでバッチリです♪」


 新田さんは、微笑みながらそう言った。
 それは、とてもまぶしい、良い笑顔だった。
 その輝きに当てられてか、普段言わないような言葉が、口をついて出た。


「――新田さんは、良い奥さんになりそうですね」
「ふえっ!?」


 私の言葉に、新田さんは驚いて目を丸くした。
 大人びているとは言え、19歳の彼女に言うような言葉ではなかったか。


「も、もう! 急に何を言うんですか!」
「……申し訳ありません。それでは、行ってきます」


 見れば、耳まで赤くなっている。
 怒らせてしまったようだ……今後はこういう事の無い様、反省しなければ。


「はい、行ってらっしゃい♪」


 そんな私を新田さんは、とても良い笑顔で送り出してくれた。



おわり


「……ん」


 なんだろう……私、揺れてる?
 あれ? でも、さっきまで事務所に居たのに、何で揺れてるんだろ?


「――気が、付きましたか?」
「……ええっ!? なんっ、ななな、なんっ!?」


 なっ、なんでシンデレラプロジェクトのプロデューサーさんが……!?
 それに、えっ、これ、お姫様だっこ~!?
 はっ!? えっ!? なんで!?


「すみません……また、気絶されてしまったので」
「……!?」


 そう言えば、曲がり角で何かにぶつかって、それで――


「す、すみません~! 私、また、失礼な事を~!」
「いえ、お気になさらず」


 って言ってくれてるけど、あぁぁやっぱり気にしてるぅ!
 顔を見られただけで気絶なんて、落ち込むに決まってるよ~!


「それよりも、どこか、痛む所はありませんか?」
「なっ、なっ、無いです! すみません~!」
「今、医務室に向かっていますので、少々お待ち下さい」
「はっ、はい~!」


 そ、そっか……医務室に連れてってくれてるんだ……。
 えへへ、顔は怖いけど、やっぱり優しい人だな~。
 こういう時は、お礼を言わないといけないよね!


「ありがとうございます♪」
「……良い、笑顔です」


 そう言うと、とっても優しい顔で微笑まれた。
 私は、今の状況を思い出し、あえなく本日二度目の気絶をする事となった。



おわり


「ホットコーヒーで、ホッと一息、ですか?」


 談話スペースで、缶コーヒーを片手に座っている彼を見つけた。
 ここで見かけるなんて、初めてじゃないかしら?
 うふふっ、普段無い事が起きるなんて、もしかしたら今日はついてるのかも。


「高垣さん……お疲れ様です」
「はい、お疲れ様です」


 挨拶として言ったけど、この人は本当に疲れてるみたい。
 いつもより、心なしか声に元気がない気がするもの。


「お仕事、忙しいみたいですね」
「そうですね……ですが、有り難い事です」
「まあ、仕事熱心ですね」


 この人は、本当に、心からそう思っているのだろう。
 体は疲れていても、自分の担当する子達、これから担当するであろう子達のため、
自分が忙しいのはとっても喜ばしい事だと考えているのだ。
 ……ちょっとだけ、からかっちゃおうかしら。


「お仕事、大変じゃないですか?」
「いえ、大変だと思ったことはありません」


 もう、間髪入れずに答えちゃうんですから。
 からかい甲斐が無いですよ、全くもう!


「高垣さんも、お仕事の方は大変では?」
「いいえ。そんなの、思った事ありません」


 私の答えを聞いて、彼はそうだと思いましたと頷き、微笑んだ。
 まあ、この人ったら、私をからかったのね! 失礼しちゃうわ!


「――それでは、私は、これで」
「はい。また」


 私をからかったからか、声にいつもの張りが戻ったみたい。
 子供みたいな所があるんですから……仕方ない人ですね、もう。



おわり


 カラリと、そう、絶望を告げる音がトイレの個室に響きました。
 何気なく入った場所に、あるべき物が無いというのは、こんな気持ちなのですね。
 この気持ちは、書の中では体験の出来ない、非常に貴重なものかもしれません。


「……」


 嗚呼、どうして私はカバンを預けてしまったのでしょうか。
 あの中には、携帯が入っているというのに、これでは助けが呼べません。
 勿論、大声を出すという選択肢もありますが、それは、少し恥ずかしいと思ってしまいます。
 けれど、他に手は……無いのでしょうね。


「あっ、ありすちゃーん!」


 入り口で待っている、ありすちゃんに声をかけます。
 けれど、待てども待てども、ありすちゃんは現れません。
 もう一度、声をあげてみましょう。


「ありすちゃーん!」


 最初よりも、大きな声が出た気がします。
 私の焦りが、声にも現れたのでしょうか……とても、大きな声でした。
 けれど、一向にありすちゃんが現れる気配はありません。


「……!」


 もしかしたら、ありすちゃんに何かあったのでは、という疑念が湧き上がります。
 今の、私以上の危機にありすちゃんが直面していたとしたら?
 返事も出来ず、逆に私の助けを待っているのだとしたら?


「!」


 私は、まとめた髪の毛も、たくし上げたスカートもそのままに、個室を飛び出しました。


「文香さん、トイレの紙がきれてるかもって、用務員、さん、が……」


 良かった、ありすちゃんに何かがあったわけでは無かったようです。
 しかし、困りました……もう一度トイレの個室に入ったら、二度と外に出たくないと思ってしまいそうです。



おわり


「未央ちゃん、なんだか顔色が悪いですよ?」


 しまむーが、とっても心配そうに声をかけてくる。
 でもさ、その心配の原因は、しまむー自身にあるんだよ、ね。


「そ、そう?」


 私は、気付いてしまった。
 しまむーの髪の一房、その先端にへばりつく、茶色い物体に。
 髪の毛が長いと大変というのは、こういう事でもある。


「未央、もしかして……気付いた?」
「しぶりん」


 しぶりんが、チラチラとしまむーの髪の先に目を向けている。
 どうやら、しぶりんもしまむーの異常事態に気付いていたらしい。
 どちらが、どうやって、しまむーにその事実を告げるか。
 今は、それが問題――


「未央ちゃんも、ですか?」
「へっ?」


 ――しまむーが、チラチラとしぶりんの腰辺りに目を向けている。


「あっ」


 居ますね。


「あっ……って、どうしたの?」
「ううん! 何でもないよ! 何でも!」


 どっちもかよ!
 私達は友達だけどさ、そういう所で変な仲の良さ発揮するのやめてくれない!?


「言ってよ、未央」
「言ってください、未央ちゃん」


 こんな事になるなら、私も髪を伸ばしておけば良かったなんて、疎外感。
 私ってさ、こういう時についてないんだよね。



おわり

皆さんは、好きなアイドルは誰ですか?
俺は、片桐早苗さんが大好きです


あたしが無理って思わなかったら、それって無理じゃないもの。
人の可能性、ナメてかかるやつなんて逮捕よ、逮捕!!

それで……プロデューサー君はどうする?


[やりすぎお姉さん]片桐早苗の、この台詞に完全にやられました
たかが絵の、それも、どっかのオッサンが考えた台詞なのにですよ


そして、新年のスカチケ販売がありましたね


ありがとう、片桐早苗さん


貴女は、俺の中で最高のアイドルです


<美味しいコーヒー……こーひーん質の豆なんでしょうね、うふふふっ♪


いらっしゃいませ、高垣楓さん

では、またどこかで

1000!

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