小日向美穂「対狸用強力惚れ薬」 (44)
モバマスより小日向美穂とLiPPSのSSです。
ファンタジー要素、一部アイドルの人外化などオリジナル設定多々ありますのでご注意ください。
これの奴です。↓
小日向美穂「こひなたぬき」
小日向美穂「こひなたぬき」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508431385/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1512499813
―― 休憩室
美嘉「ほら、これなんか美穂に似合うんじゃない?」
美穂「ええっ!? ちょ、ちょっと大胆すぎじゃないかなぁ……?」
美嘉「そーんなことないってー★ こうやってオフショルでデコルテ見せてくのも大事なテクだよ?」
美穂「おふしょ? でこ? よ、よくわかんないけど、それに寒そうだし……」
美嘉「そりゃ、寒いのは寒いよ? でもほら、お洒落って我慢だし。一回くらい試してみなって★」
美穂「はう。お肌を出すの、あんまり慣れてないけど……なら試してみようかな」
美嘉「そうそうその意気! じゃあさ、一緒にフレグランスも試してみない?」
美嘉「美穂ってほんのりいい匂いがするけどさ、それって何も付けてない状態でしょ?」
美穂「う、うん。香水かぁ……」
美穂(別の匂いを付けることは、正直あんまり得意じゃない)
美穂(そういうのに全然慣れてないし……それに「私みたいな子」にとって、自然な「におい」はとても大事だから)
美穂(自然じゃない匂いを付けて、それに慣れちゃうと、鼻の調子が狂っちゃわないかな……って)
美嘉「――それにさ。いつもと違うオトナな感じのパフューム使ったら、プロデューサーもドキドキしちゃうかもよ?」
美穂「ぷろっ」
ポンッ!!
美穂「ぷ、プロデューサーさんが、ドキドキ……。そうかな……そうかも……」ホワワ
美嘉「……美穂! ねえ美穂!」ヒソヒソ
美穂「え、あっ。な、なに?」
美嘉「お尻お尻。尻尾出てるってば!」ヒソヒソ
美穂「ぽこっ!? わわ、ご、ごめんっ」
「…………引っ込んでる?」
「うん、大丈夫大丈夫」
「ごめんね、びっくりさせちゃって……」
「いいって。アタシ達アイドル仲間になら、もう隠しっこナシなんだから!」
おっきくてもふもふの尻尾は、なんとか引っ込めることができました。
うぅ。人間に化けていても、ちょっと気が抜けるとすぐこうなっちゃうようになって……。
相変わらず、化け狸は大変です。
でもくしゃみの一件から、事務所や寮では正体を隠さなくて良くなって、その点ではすごく気が楽になりました。
「ま、とにかくさ、考えてみなよ。美穂って素材がすごくいいから、ちゃんとオシャレしたらもっともっと可愛くなれるよ?」
「ほんと……?」
「ほんとほんと。アタシが保証しちゃう★ なんだったら、たぬきモードのモコモコも盛ってみちゃおっか?」
「あはは、それじゃ化けたくなくなっちゃうかも。……あ、ごめんね美嘉ちゃん、そろそろ時間」
「プロデューサーとの打ち合わせ? 行っといでー」
「うん。また色々教えてねっ」
―― 事務所
P「――とまあ、来月のスケジュールはこんな感じになってる」
志希「んにゃ~」グニャー
P「おい、ちゃんと聞いてるか?」
志希「ばっちし聞いてますにゅーん」ウダウダ
P「なんだ、今日はいつも以上にふにゃふにゃだな。さては昨日ちゃんと寝てないだろ」
志希「にゃはは、ばれちった。でもスケジュールはちゃんと覚えたからもーまんたいでーす」グデグデ
P「ふぅ、ならいい。何か聞きたいこととかあるか?」
ガタッ
志希「待ってました! はいはいはいはーい質問でーすセンセー!」
P「うおっ唐突。はいなんでしょうか一ノ瀬くん」
志希「狸とか狐とかみたいなのには、惚れ薬って効くんでしょーか?」
P「だいぶピーキーな質問ぶっ込んでくるね一ノ瀬くん……。先生も知らんわそんなの」
志希「にゅっふっふ……心配ゴム用! こんなこともあろうかと、専用の惚れ薬を調合しといたのだ~♪」
志希「というわけで、これはキミに託そう」ソッ
P「まじで」
志希「臨床試験はキミに任せた。結果は後ほどレポートにまとめ、私に提出してくれたまえ」
P「あ、教師と生徒入れ替わったんだね」
志希「にゃっはっは~! 期待してるよ、我が助手くん! ……とゆーわけであたしは仮眠室に行くのでした」ノソノソ
P「寝るんだね教授」
P「…………つーか、いやいや」
P「使えるわけないだろそんな胡乱な薬」
P「志希には悪いが、適当にごまかしてスルー安定だな……っと」プルルルルル
P「はい、俺です。ちひろさん、どうかし…………何っ!? こずえがいけ好かないスポンサーに内臓攻撃!?」
P「こうしちゃいられねぇ、今行きます!!」
バタン ダダダダダッ
………………
ガチャ
美穂「おつかれさまで~……す? あ、誰もいないのかぁ」
美穂「プロデューサーさん、さっきまでいたみたいだけど……あれ?」
美穂「なんだろうこれ。小瓶? ……香水かなぁ?」
プロデューサーさんの机の上に、ピンク色の小瓶がぽつねんと置いてあります。
美嘉ちゃんや奏ちゃんが持ってた、香水の瓶に似てるような……。
っていうことはこれも、ふれぐらんす? の一種なんでしょうか。
どうしてプロデューサーさんの机の上にあるんだろう。
新作の試供品とか? それで、CMに似合うイメージの子を探してる、とか……結構ありそうな話かも。
いや、それはともかくとして……。
フレグランスを使ってみて、ちょっとオトナ。
プロデューサーさんも、そんな私にドキドキ。
オシャレを試してみて、もっと可愛く……。
「……た、試してみようかな」
誰のかわかんないけど……ちょっと嗅いでみるだけなら、大丈夫だよね。うんっ。
「い、いきますっ」
どこに付けたらいいのか全然わからないので。
とりあえず、顔に向けてちょっとだけ噴いてみることにしました。
それでは、しゅっ――――――
「――――――――!!?!?!!?!?!?」
においがしました。
草と花のにおいでした。
雪解け、日差し、枯葉、芽吹き、瑞々しさを増す幹、ほころぶ蕾、
梅に桜にタンポポ、這い出る幼虫、蝶の鱗粉、川とか風とか獣とか、
なつかしい、早春の匂い。
ガチャ
「ふぅ、まったくこずえには肝が冷える……スポンサーがメンシス学派だったから良かったようなものの……」
「ん?」
事務所の床にでっかいもふもふしたのが転がっていた。
なんだこれ。
……と前までの俺なら混乱しただろうが、どっこい今はそうじゃない。
「おーい美穂ー、また尻尾出てるぞー。ていうか事務所の床で寝るなー」
近寄ってみると、やっぱり美穂だった。
狸のでかい尻尾丸出しで、胎児のように丸まって寝転がっているではないか。
床がひんやりして気持ちいいというならわからなくもないが、肌寒い今の時期にすることじゃないだろう。
体を揺さぶってみると、なんだか体が熱い。
……顔も赤くないか?
息も荒いぞ。
「あれ……おい、美穂? おいっ大丈夫か!? もしかして風邪か!?」
こうしちゃいられん。抱きかかえてでも、医務室に連れて行かなければ……!
と、両脇を抱えようとしたところで……美穂が目覚めた。
「ん、ん…………ぅ…………」
浅い息、紅潮した頬。
額には汗すら滲んで、薄く開かれた目は、とろんと蕩けていた。
「……ぷろでゅーさー、さん……♡」
「………………ん?」
ガバッ
P「おおお!?」
美穂「プロデューサーさん♡ プロデューサーさんだぁっ♡」
ガシッ ムギュゥゥゥゥゥ
P「!? !?」
P「み、美穂!? おい!? いきなり何を……!?」
美穂「プロデューサーさん♡ プロデューサーさん♡ プロデューサーさんぷろでゅーさーさんぷろでゅーさーさぁん……っ♡♡」
P(し、しがみ付いて離れない……!)
P(何なのだこれは!? どうすればいいのだ!?)
ガチャッ
志希「知りたいかね助手くん!」
P「一ノ瀬教授! 一ノ瀬教授じゃないか!」
志希「うむ。寝ようと思ってたけどこっちからフェロモンむんむん漂ってきたから戻っちゃった」
志希「こんなに早く試してくれるとは、やっぱり持つべきものは優秀な助手くんだねぇ!」
P「俺じゃない! 多分何かの事故で……!」
美穂「はぁぁ……♡ プロデューサーさんの匂いぃぃ♡♡」クンカクンカハスハスハスハス
美穂「わたしのっ、私の匂いも、付けちゃえ……っ」グリグリグリグリ
P「く、首筋ーッ!」
志希「おおー、予想以上にキマってるねぇ。実験はうまくいったようだ」
P「そう言うけど、これほんとに惚れ薬か!? そんなレベルじゃないようなぁおおぅっ」
美穂「かぷっ♡」
志希「うん。いわゆるマンガチックな惚れ薬とはちょっと違うんだよね」
志希「厳密に言えば、これは発情期の状態だよー」
志希「一般的な狸の発情期は、早春、つまり2月から3月くらいまでの間と言われてるんだけどー」
志希「ざっくり発情のサイクルを決定づけるものは、バイオリズムとか体のでき具合とか色々あーだこーだあるんだけど」
志希「シキちゃんは一つのスイッチとして、ニオイがあるのではないかと、そー思ったわけなのだよ」
志希「そこで再現したるは早春のパフューム! なんかざっくりあの辺のアトモスフィアを感じさせる匂いをぎゅっと圧縮して」
志希「嗅いだ美穂ちゃんの脳下垂体のアレをナニして、『冬が明けた!』『繁殖だ!』と錯覚させたわけなのだ! 細かいことは気にするな!」
志希「狸ってだいぶニオイに敏感な生き物だからねー。まあイヌ科だしね。あたしもちょっとそこらへん親近感」
志希「蓋開けてみれば人間用よりチョロかったにゃ~。だって人間ってば万年発情期なんだもん」
志希「それでまぁ、発情期に入っちゃったメスは意中のオスを前にYes! Party Time!!(意味深)と。つまりは疑似的な惚れ薬ってわけ」
志希「……ちょっと助手くーん、あたしの話聞いてないなー?」
P「頭! 頭舐められてる!! めっちゃペロペロされてる!!」
美穂「んっ……ちゅ♡ はぷっ、れろっ♡ はふっはふっはふっ♡ んへぁ、ふしゅふしゅふしゅ……っ♡」
志希「ああそれグルーミングだねぇ。髪の毛に反応したかー」
志希「よっこいしょっと」スワリ
志希「…………」ジーッ
P「教授? 教授ー!? なぜ見てるんです!?」
美穂「はふーっ、はふーーっ♡ んぷっ、ぇる、ふんふんふんふんっ♡ ほひゅぅーっ♡」
志希「えー。剥がしちゃってもいいけどぉ」
志希「キミはそうやってされてるの、イヤなの?」
P「はぁ!? こんな時に何おうっふ」
美穂「はっ、はっ、プロデューサーさんの、お耳っ♡ あっつくて、かわいい……っ♡」
志希「シキちゃん的にはー、このまま見てても結構平和な感じなんだけどー。仲良さそうだし?」
P「嫌とか嫌じゃないとかじゃない! とっとにかく、こんな状態じゃ落ち着いて話もできないぞ!」
志希「ありゃそう? んふふ。ほーい」
志希「だってさ美穂ちゃん。しょーがないからちょっとステイしとこっか?」ガシッ
美穂「あぁあっ、ゔぅうぅ゙~~~~っ」ジタバタ
志希「必殺特濃プロデューサースメル直射」プシュッ
美穂「はひんっっっ♡♡♡」ガクンッ
P「何それ!!?」
志希「ちょっとねー。これで一発KOできちゃう子は結構いるのだ」
P「…………はぁ、とりあえずお茶飲んで落ち着こ」
美穂「……………………(失神中)」
志希「いやーまあ、シキちゃんも反省してるのですよ」
P「ほんとかー? ほんとに反省してんのかー?」
志希「まじまじ。まさかここまで理性ブッ飛ぶなんて思ってなかったし。これも常日頃のアレやナニが蓄積して……おっと」
P「アレやナニ? どれが何だって?」
志希「なんでもなーいでーす。でもま、とにかく後は収まるのを待てばいいと思うにゃー」
P「いや、いつ収まるかわかんないだろ。どうにかすぐ治したりできないのか?」
志希「?」
P「『?』じゃないが」
志希「いやぁ、治る治らないじゃなくてさ。時期のズレた発情期ってこと以外は正常なわけだから」
志希「発情を落ち着かせたかったら、やっぱし交尾が一番なんじゃないかにゃ?」
P「ブーーーーッ!!」
志希「わぁおスプラッシュ」
P「こ、こ、こう……!」
志希「うん、交尾。オスとメスで赤ちゃん作るやーつ」
P「できるか!!」
志希「ありゃ。ヤなの?」
P「だから、嫌とか嫌じゃないとかじゃない! んなもんダメに決まってるだろ!」
P「……っていうかそもそも狸と人じゃねーか!!」
志希「おー、根本的な設定に切り込んできたねー」
P「とにかく、美穂は今混乱してるの! 騙されてるようなもんなの! そんな状態に付け込んで、いきなりクリティカルなことできるか!!」
志希「つまり段階を踏めばそういう交遊もオッケーとおっしゃる」
P「それとこれとは話が別!」
P「ていうかお前、その……そういうとこまで含めて実験とかなんとか考えてないだろうな!?」
志希「んーん。こっから先は別に実験目的じゃないよー」
P「じゃあ何なんだよ」
志希「なんだと思う?」
P「なんだと思う、って……」
志希「仮に倫理的なアレとかソレとか全部無視してみたら、キミはオッケーだったり?」
P「だ! め! だ!!」
志希「ぶー。なんたる強情。ま、リセーテキなオトナならジョーシキテキにはそう言うんだろうけどー……」
志希「それじゃちょっとアプローチ変えてみよっかにゃ」
P「おい、何を……」
志希「聞いてみるんだよー」
美穂「…………ん…………うぅ…………」
志希「美穂ちゃん美穂ちゃん。今はなんか意識がぼんやりしてると思うから、とりあえず素のままで聞いてね」ヒソヒソ
美穂「は……え……?」
志希「プロデューサーとつがいになりたい?」ヒソヒソ
美穂「…………っ」
志希「つがいになって一生幸せに添い遂げるの。その為に今の状態があるの」ヒソヒソ
志希「ねぇねぇ、してみたくない? ほんとは興味あるんでしょ~? こ・う・び♡」ヒソヒソ
美穂「ぅ……ぅ、ぅ、ぁ……」
志希「どう? 試してみよっか? だいじょぶだよあたし誰にも言わないから。美穂ちゃんの好きなようにやってみればいいよ?」ヒソヒソ
美穂「ま…………ま…………ま…………」
志希「ま?」
美穂「まだダメっ!!!」ビシィッッ
志希「……わお」
志希「びっくりしちゃった、凄い理性!」
P「……ん? 声が遠くてよくわからん……!? 教授! これはいったい!?」
志希「『まだダメ』の力だよ!!」
!?
美穂「はうぅぅうぅ……」ゼェゼェ
志希「あたしが思うにー、美穂ちゃんは狸的発情状態にあるけど、完全に本能に呑まれてはいないんだろね」
志希「彼女の中に眠る理性……『まだ恥ずかしい』と思うその心が、最後の一線を越えさせない抑止力になってるワケ」
志希「恥ずかしがり屋さんっていうか、ウブっていうか、オクテっていうか。なるほど、化け狸は本能のみに生きるにあらずかー」
志希「いや、あっぱれ! 美穂ちゃん凄い! ノーベル志希ちゃん賞あげちゃう!」ヒョイヒョイ
P「な、なるほど……ところで教授」
志希「んー?」セッセセッセ
P「驚くべき手際の良さで俺を縛っているのは何故かな?」
志希「なんでかなー、なんでだろー」ギュッギュッ
志希「ほいできた。シキちゃん流・六重固結び~♪ これでキミは椅子から立てませーん」
P「いや何してくれてんの!? ガチで動けないんだけど!?」
志希「うん、このまんまじゃ埒が明かないなーって思って」
志希「だったらまずキミを動けなくさせて、イロイロ後押ししちゃおうかな~……なんて」
P「なんてじゃないだろ!?」
シュッシュッ プシュプシュ
志希「惚れ薬追加散布~。でもって、プロデューサースメルも撒いちゃう」
P「いやおい待て! 結論出たんじゃないのかよ!? なんでアクセルべた踏みなんだよ!?」
美穂「うっ……!? はっ、はっ、はっ、うぅう、うぅうううぅぅうぅ…………♡」ビクビク
志希「cupid(クピド)の戯れも悪くないけど、動物は結局ホンノーの生き物なのだよ」
志希「要は、しち面倒くさい手順をすぱぱーっとぶっ飛ばすブレイクスルーも時には必要だと思うのね」
P「何の話!?」
志希「にゅふふ。理性なんて突き崩される為にあるのだ」
ユラァ
美穂「ふーっ♡ ふーっ♡ ふぅー……っ♡」
志希「ほ~ら美穂ちゃんおいで~? キッスミー、チュ・チュ・チュ・チューリップだよ~」
P「歌っとる場合か!」
志希「『清浄なる世界で君とこうなりたかった。ああ、もう戻れない……ごめんね』みたいな状況?」
P「自分のソロ曲の歌詞をそういう風に引用するんじゃないよ!!」
美穂「あ、う……? プロデューサーさん? ぷろ、でゅーさーさん……ぷろでゅーさーさん……ぷろでゅーさーさん……っ」ノソォ
志希「……後でさぁ、あたしにも遺伝子分けてね……♡」ボソッ
P「ううっ耳元……」
志希「にゃははっ。……ふぅぅ~~~~~~~~っ♡」
P「や、やめろぉ」ビクンビクン
??「それまでだー!!」
志希「はっ、この声は……!?」
??「いけっ、アンドレ! 君に決めたーっ!」
シュババッ
アンドレ「ガオーッ!!」
志希「アンドレ! それに……周子ちゃん!!」
周子「おイタが過ぎたね。それ以上はあかんよ、志希ちゃん……いいや、トリスメギストス!」
アンドレ「ガオーッ!!」
P「いやそっちはフレデリカだろ!? 何やってんの!?」
アンドレ「ノンノン、宮本フレデリカは仮の姿……。今のアタシは、周子ちゃんの式神こと宮本・アンドレ・ザ・フレデリカだよ~!」
周子「そう……そしてそこの一ノ瀬・トリスメギストス・志希も実はあたしの式神だったのさ」
P「圧倒的初耳」
周子「ふっ……プロデューサーさんを闇の戦いに巻き込むわけにはいかなかったからね。けど今回は、うちのトリスメギストスが暴走した……!」
周子「だからあたしは陰陽師の責任として(というネタで)、(面白そうだから)トリスメギストスを止めに(そんで遊びに)やって来たのだ!」
P「おい本音漏れてんぞ」
アンドレ「……あ、ガオーッてフランス語でどう鳴くんだっけ? ガオーンヌ? ガオブプレ?」
周子「てかそもそもガオーって日本語なん?」
アンドレ「人の名前じゃなかったっけ~? アタシ我王って名前の瓦職人のおじちゃん知ってる!」
周子「我王って鞍馬天狗のことじゃなかった?」
アンドレ「ワオ! ジャポネ・テング! アンドレちゃん天狗みたいになれるかなー?」
周子「地に足ついてないのが天狗やから、アンドレちゃんは結構才能あるかもねー」
アンドレ「誰がフワフワかわいい美少女かーっ! ……で何の話だったっけ?」
P「恐縮ですがそろそろ助けてくれませんかね?」
トリスメギストス「ふっふっふ……いかに周子ちゃんとアンドレ相手でも、あたしには曲げられない野望があるのだー!」
P「こっちも完全になりきってる……ッ」
周子「上等っ! アンドレ、フォーメーション・ウルトラリラックス!!」
アンドレ「ぬおー! ボンジュール! ジュテーム! おばさんパーンツ!!」
トリスメギストス「なんの、トリスメギストス・スパ~イスッ!!」
ズガガガ ドギャギャギャギャ
ガオンガオン キャッキャウフフ
P(……椅子ごと倒れてしまった)
P(マジで一ミリも動けん)
モゾ…
P「……ん? なんだ?」
美穂「プロデューサーさん……」
P「」
なにがおこってるかわかりません。
ぽかぽかして、からだがいうことをききません。
めのまえにあるのは、だいすきなひとのかおで。
そのかたちとにおいが、とてもいとしくて。
わたしはもう、なにもかんがえられなくなって。
ぼんやりしたまま、そのひとにかおをちかづけて………………
バァンッ
美嘉「って何やってんのーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
ピシャーーーーーーーーンッ!!!!
―― しばらくして
奏「……なるほど。話はよくわかったわ」
志希「ふぇーい……」セイザ
周子「いやーまいったまいった」セイザ
フレデリカ「無念なりぃ」セイザ
奏「あなた達が自由なのはいつものことだけど……今回は流石にユニットリーダーとして看過できないわね」
奏「いつも通り、私がジャッジを下すわ」
志希(で……出た! カナデ・ジャッジ!)
周子(ギルティorノットギルティを瞬時に判別する、LiPPSリーダーの固有能力!)
フレデリカ(その瞬間的な判断力から、セクシーギルティも追加戦士としての勧誘を検討しているという……!)
周子「お、お代官様! 悪気はなかったんですぅ! オラ達を許してくだせぇ~っ!」
フレデリカ「この米は! この米だけはぁ~っ!!」
奏「二人は志希を止めようとしたから、今回はノットギルティね」
周子・フレデリカ「ありがてぇ! ありがてぇ!」
志希「さっすがお代官様! 寛大なご処置に感謝感激ですのだ~!」
奏「もちろんあなたはギルティよ、志希?」
志希「んにゃっ」
奏「沙汰は追って通達するわ。とりあえず今は反省なさい」
志希「やだー! 一人だけホテムー送りはや~だ~!!」ジタバタ
美嘉「う~~~ん……お代官様ー、アタシにもジャッジお願い」
奏「どうして? 美嘉は今回の騒動には関わってないでしょ?」
美嘉「直接じゃないんだけどさ。美穂にフレグランス試してみたらって言ったのアタシだし……」
美嘉「志希の惚れ薬を吹きかけちゃった理由がそれなら、責任の一端はアタシにもあるかなぁって」
奏「あら、そうだったの……。だけどそれは、私がジャッジすることではないわね」
奏「あそこにいる美穂とプロデューサーさんに…………って」
美嘉「あ、そういえば縄まだ解けてなかっ……」
奏(……二人して倒れたまま)
美嘉(……何やらもぞもぞやって――)
美嘉「ちょちょちょちょっ、ななな何してんのぉっ!!」ダッ
美穂「……くぅ……くぅ……」
P「…………もう寝てるよ」
美穂「むにゃむにゃ……えへへぇ、ぷろでゅーさーさん……」
美嘉「」
奏「」
美嘉「は、はぁ~もう……びっくりさせないでよ」
奏「そうね……。ところで顔が真っ赤だけど、何か想像していたのかしら?」
美嘉「そっ!? 想像なんてしてないし! ていうか奏は平然としすぎ!」
周子(と言いつつ、奏ちゃんの耳がめっちゃ赤いのですが)
フレデリカ(見て見ぬふりをする情けが、アタシ達にも存在するのだった)
頭の中に春が戻ってきて、あたたかな感触に包まれながら、私はすやすや眠ります。
この世でいちばん安心する場所で眠っている気がします。
脳裏に浮かぶのは、冬が過ぎて春が来て、暖かくなった故郷の山。
いつか、ここに帰れたら……。
いや、みんなと一緒に来られたら……。
好きな人と、一緒に帰って来られたら、なんて。
なんだか色々よくわかんなかったけど。
そういう夢を、私は見ていました。
~オワリ~
本編以上です。お付き合いありがとうございました。
後ほどオマケ的なものを投下させて頂きます。
●オマケ
奏「ところで美嘉、良かったの?」
美嘉「? 良かったって、何が?」
奏「美穂に、色々と教えてしまって」
奏「言ってはなんだけど、敵に塩を送るようなことよね?」
美嘉「……その言い方、ちょっと意地悪だよ?」
奏「敢えて直接的な言葉を選んだ方がいいかと思ったの。それに、間違ってないでしょ? だってあなたも……」
美嘉「待った。それ以上は言いっこなし。……ま、奏の言う通りかもしれないけどね」
美嘉「美穂はまあ、なんていうか。アタシのライバルなわけだしさ。敵って言ったらそりゃ敵かもしれないけど」
美嘉「でもすっごく可愛い子だし。オシャレとかなんとか、そういう細かいとこがちょっとでもハンデになるなら、それは全部無くしたいし」
美嘉「アタシの知ってることは全部知ってる美穂でいて欲しいし、美穂の知ってることは全部知ってるアタシでいたい」
美嘉「その方が、勝つにせよ負けるにせよ納得できるっていうか。それがフェアってものでしょ?」
美嘉「……いやまあ、自己満足かもしれないけどさ」
奏「――――あなたって…………」
奏「発想が少年漫画的よね」
美嘉「少年漫画!? え、そう!?」
奏「そうよ。正直というか、一本気というか。そうそういないんじゃないかしらそういう子」
美嘉「む~~~……もしかして奏、からかってる?」
奏「いえ? 褒めてるのよ、これでも。ズルい真似ができないのはあなたらしいわ」
美嘉「そう? それなら、素直に受け取っておくけど……」
美嘉「けど、アタシ負ける気ないからね?」
奏「ふふ。それは、行動で示すのがいいんじゃないかしら?」
●オマケその2
周子「いやーしかし今日も働いたわぁ」
フレデリカ「ねー。あ、美穂ちゃんはどうだった~?」
周子「うん、ぜーんぜん問題なし。でもあの時のことさっぱり覚えてないんだとさ」
フレデリカ「ワオ! アムネジア!? まーでもそのくらいがいいっぽいね~」
志希「ワントゥーキスキス」
フレデリカ「これっシキちゃん。もうあんまりおイタしちゃダメだよ~?」
志希「ワントゥーキスキス」
フレデリカ「うんうん、わかればいいのだよ~♪」
周子「物事には順序ってもんがあるからねー。やりすぎると今度こそムーンサイドアタック喰らっちゃうよ?」
志希「ワントゥーキスキス」
周子「そうそう…………はッッッ」
フレデリカ「どうしたのシューコちゃんッッッ」
周子「志希ちゃんが……同じことしか言ってないッッッ!!」
志希「ワントゥーキスキス」
フレデリカ「ああ、志希ちゃんホテムン送りになっちゃったからね~」
周子「蒼くなってやがる……(釈放が)遅すぎたんだ……」
志希「コンヤ……コンヤ……コンヤ……」
志希「はぁっ!!」ビクンビクン
周子「戻った!」
フレデリカ「おかえり~!」
志希「たらいま~。あれ、今何時? ここどこ? あたし誰?」
周子「ここは平安時代の京、あたしは陰陽師シューコちゃんでこっちは式神のアンドレで君はトリスメギストスなのだよ」
トリスメギストス「そうだった~。ねぇねぇご主人様、京どうしちゃおっか? 川に毒とか流す?」
周子「思ってたより邪悪な設定だった」
アンドレ「ご主人様! アンドレちゃんは平安時代のフランスに行きたいな~♪ エッフェル塔ある?」
周子「カペー朝のフランスにエッフェル塔はないねぇ。京都タワーじゃ駄目?」
アンドレ「うーん、セーフ!」
周子「やったぜ」
志希「……むむむ。シキちゃんとしたことが、直近の記憶がおぼろげだぞぉ」
周子「ホテムン送りになっちゃったからね」
フレデリカ「大丈夫大丈夫! アタシもたまに朝ご飯何食べたか忘れちゃうから!」
周子「それはちょっと気ぃ付けなあかん奴やね」
志希「――――え~~? プロデューサー結局なーんにもしなかったの~~? なにそれシキちゃんつまーんなーい!」
周子「そんなこと言いなや。急いては事を仕損じるって言うじゃん?」
フレデリカ「あ、シソンジルとしじみ汁って似てない?」
周子「う~~~ん似てない」
志希「似てる! 汁ってとこが特に!」
周子「似てたかー」
フレデリカ「つまり貝のお汁を作るのが一番の近道なんじゃないかな!? ちなみにフレちゃんはあさりが好きです!」
志希「おーっしゃまかしとけーい! プロフェッサー志希、とっておきの貝汁を作ってあげるからねー! あ、響子ちゃんに声かけといた方がいいかな!?」
周子「まあそんくらいの予防線は敷いといた方がいいと思うわ」
志希「ところで狐用の惚れ薬も一応用意しといたんだけど、いる?」
周子「アカン」
~つづかない~
おしまいです。ありがとうございました。
依頼出しておきます。
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