みほ「麻雀部チームとフリースタイルMCバトル?」【ガルパン×咲】 (296)

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前回、完結と書きましたが、しれっと続きです


みほ「フリースタイルバトル?」
みほ「フリースタイルバトル?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496063281/)



みほ「第2回フリースタイルMCバトル!」
みほ「第2回フリースタイルMCバトル!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1503141018/)

の続編になります



ガルパン×咲SSです

※キャラ崩壊あり

※これガルパンと咲でやる必要なくね?

※百合要素あり

※アホみたいに長い

※ラップバトルメイン

なので苦手な方はスルー推奨です

呼称とか変な部分があったら脳内補完お願いします



【大洗女子学園 戦車格納庫】

優花里「た、大変です西住どのぉ~!」

みほ「優花里さん?そんなに慌ててどうしたの?もしかして実家の理髪店の経営が行き詰まったとか……?」

優花里「い、いえ!それは大丈夫です!なんとかやっていけてますから!」

みほ「よかった。心底ホッとしたよ」ホッ

優花里「心配していただけて嬉しいですぅ!」エヘヘ

沙織「それで、大変なことってなに?」

華「わたくし、気になります」

優花里「ま、またもや!フリースタイルMCバトルが開催することが決定したそうです!」

沙織「………………」

華「…………………」

みほ「………………」

優花里「…………あ、あれ?みなさん、なんだかリアクションが芳しくないですけど……」

沙織「だって……ねえ?」

みほ「うん。前の大会で最後みたいな感じだったし。ちょっとしつこい…かも」

華「なんだか大仁田厚さんの引退宣言のようです。結局復帰ですか……という感覚しか湧きません」

優花里「そ、そこまでひどくはないと思いますが…」

沙織「でもなんでまた開催することになったの?」

優花里「前回、前々回大会の開催目的は、復活したばかりのFSR(フリースタイルロード)を盛り上げるためだったのですが、予想以上に多方面から反響があったらしいんですよぅ!それでまた大会を、ということらしいです!」

みほ「多方面?フリースタイルバトルが好きな人以外は興味ないと思ってたけど……反響あったんだ」

優花里「もちろんですぅ!我々がバトルすることをメディアが取り上げてくれたおかげで、フリースタイルバトルを知らない人の耳にもその情報が届き、こういった大会に初めて足を運んでくださった人もいるようです。そしてその中の何%かはバトルに興味を持ってくれるようになり、そこから伝播してHIPHOP熱が広がり始めているそうですぅ!」

華「最初は蕾……しかし時間が経てばその蕾はゆっくりと開き、キレイな花を咲かせる……というわけですね」

優花里「まさにその通りですぅ!」

華「その花を生けるのがわたくしです」

優花里「え、ええ。存じてますぅ」

沙織「HIPHOP熱かぁ……私の周りではあんまりいないけど。一部の限られた人が盛り上がってるんじゃない?」

優花里「……一部であるのは事実です。しかし!それでも私たちが大会に参加する前よりは注目度も上がり、活気づいてきているのは間違いありません!」

みほ「確かに。前の大会は新聞記事にも載ったみたいだし、影響は少なくないと思う。ただ、それでも沙織さんの周りにまで浸透してない理由は多分……こう言ったらなんだけど、戦車道も割とマイナーな武芸だから…」

麻子「私たちの影響力もそこそこというわけか」

沙織「麻子。起きたんだ」

麻子「秋山さんが大騒ぎしながら来た時点で目が覚めた」

優花里「そ、それは失礼しました。しかし戦車道はもっと盛り上がっていいと思うんですが……メジャーになるべきですぅ!」

麻子「戦車道は戦車を含め、設備やらなんやらで資金が必要だからな。今後プロリーグが設立されれば状況も変わってくるだろうが」

みほ「でも会長が……じゃなかった、元会長が言ってたけど、フリースタイルバトルに参加した相乗効果で、戦車道に興味を持ってくれる人が増えてるみたいだよ」

沙織「ジャンルは違っても、やっぱり表舞台に立つと注目されるってことかー。いいなー、モテそう」


麻子「結果的にWin-Winというわけだな。個人的にはフリースタイルバトルは戦車道とはまた違う楽しさを味わえて満足した。だからこそ今の秋山さんの話の続きが気になるわけだが」

華「実家の理髪店の話ですか?」

優花里「冷泉殿!カットをご希望ならいつでもどうぞ!」

麻子「……その時にはな。だが私が気になっているのは秋山さんの実家ではない。またMCバトルの大会が開催されるという話だ。その内容が気になる」

優花里「あ!そうでした!一大ニュースなので早く伝えようとしていたのに!すっかり忘れていました」

みほ「早く伝えるならメールとかLINEの方がいいんじゃ……?」

沙織「みぽりん……確かにそうだけど、それはちょっとドライじゃない?」

みほ「え、そうかな」

優花里「そうですよぅ!私としては、西住殿の体を…じゃなかった、目をしっかり見ながら伝えたいと思って急いで来たのですから!」

みほ「そう」

優花里「た、淡泊ですぅ」

麻子「それで?今回は今までとどう違うんだ?」

沙織「え?なんで違うって思うの?」

麻子「ルールが少し違うくらいならあそこまで慌てないだろう」

沙織「言われてみればそうかも」

優花里「さすが冷泉殿。鋭いですねぇ。実は今回のフリースタイルバトルは、今までとは違う意味でどえらいことになってるんですぅ!」

みほ「違う意味でどえらい……?」

華「もしかして……参加選手の飼い犬同士にフリースタイルで戦ってもらう、とか?」

沙織「それはどえらすぎでしょ!」

みほ「判定が難しいね……」

麻子「……考えられることと言ったら、男女混合、参加年齢を限定しない……といったところか?3ON3は普通と言えば普通だしな」

みほ「……負けた選手は勝った学校に無理矢理転入させられる、とか……?」

沙織「ないって!非人道的だよ!」

華「あ!わかりました!お料理対決!」

沙織「根本がどっかいっちゃったよ!」

麻子「……とりあえずみんな落ち着け。秋山さんの話を聞こう」

みほ「そ、そうだね」

華「ええ。ちゃんと聞きましょうね?沙織さん」

沙織「私が一番まともだったでしょ!?」

優花里「……では、順を追って説明します。実は、今度の大会では、ある人たちと戦うことになったのです!」

みほ「ある人たち?」

沙織「誰?」

優花里「その相手とは…………麻雀部の方たちです――――」


【長野 清澄高校】

和「フリースタイルMCバトル……ですか?」

久「ええ」

優希「フリースタイルってなんて意味だじょ?」

京太郎「なんでもいいってことじゃないのか?」

まこ「競泳で自由形のことをフリースタイルと言うが……MCの意味がわからんのぉ」

和「MC……咲さんはわかりますか?」

咲「わ、私?うーーん……マクドナルド、の略じゃないですよね?」

久「違うわ。というか誰も知らないのね。須賀くん辺りは知ってるかと思ったけど」

京太郎「すんません。わかんないっす」

久「フリースタイルMCバトルというのは、即興のラップで戦うこと。MCはmaster of ceremoniesの略で司会者って意味ね。でもHIPHOP的にはそれと分けてmicrophone controllerと言うことが多いわね。まぁラップする人って意味と思っていいわ」

優希「ほう」

和「……ゆーき、あまりわかってないでしょう?」

優希「バレちゃあ仕方ないじぇ」ニャハハ

咲「MCの人たちが即興のラップで戦うのが、フリースタイルMCバトルということなんですね」

久「ええ」

まこ「……で、急にそんな話を切り出してどうしたんじゃ?」

久「今度その大会が開催されるのよ」

和「?その大会が私たちにどう関わってくるのですか?観戦に行こうという話ですか?」

久「ううん、出場するからその説明をしようと思って」

和・咲・優希・まこ・京太郎「……………………」

久「…………………………」

和・咲・優希・まこ・京太郎「……………………」

久「…………………………」

和・咲・優希・まこ・京太郎「ええええええっ!!!?」

久「あっはは、やっぱ驚いた」ニヤリ

和「と、当然ですっ!何を言い出すんですか!」

咲「参加する意味がわからないです……」

優希「そうだじょ!部長はいっつも突然変なこと言い出すじぇ!」

久「あらあら。優希に言われるとはね。でも私主導の計画ではないのよ?」


和「では誰が?」

久「麻雀界のお偉いさんよ。プロ雀士を束ねるような、ね。それに戦車道連盟と文科省も関わってるらしいわ」

和「なんだか大ごとですね……」

久「主な目的はFSR(フリースタイルロード)を盛り上げることでしょうけど、その一方で、戦車道のプロリーグ設立のため、若年層からの人気獲得の狙いもあるみたい」

咲「戦車道って……学園艦の学校に通ってる人たちが盛んにやってるやつですよね」

久「ええ。歴史のある武芸よ」

和「でもそれとフリースタイルがどう繋がるのですか?若い人たちから人気を得るためと言っても、戦車道全国大会がありますし、普通にしていれば人気が出るのでは……」

久「ある程度はね。でもそれじゃ足りなかったんじゃない?だからこそ違った角度からアプローチを試みた。その結果、第1回、第2回フリースタイルMCバトル大会は、戦車道の選手が参加したおかげで、大盛り上がりだったみたい」

まこ「……戦車道の子たちがバトルに出た。それはよしとする。FSRと戦車道の両方のアピールになったからのぉ。でもそれとうちらがどう繋がるんじゃ?」

久「麻雀はプロリーグがあるし、全国大会の参加校も多い。つまり、影響力があるわけ。全国に出るような高校の選手がフリースタイルバトルに参加したら盛り上がると思ったんでしょうね」

京太郎「言えてますね!」

咲「で、でも私たちはそんなことしてる場合じゃないような……」

久「いいじゃない。異文化交流ってのも」

和「異文化すぎると思います」

久「まぁまぁ。メリットもあるから」

優希「メリットってなんだじょ?」

久「参加する人の紹介文には学校名が入る。いい宣伝になるわ」

まこ「そうかのぉ?」

久「あとは………………モテる?」

和「疑問形じゃないですか」

咲「というか、2つ目でもうすでになんとか絞り出した感じですよね」

久「仕方ないじゃない。でも大人の事情的なメリットはあるはずよ。私たちにはあまり恩恵がないだけで」

まこ「そう言われて参加する気にはならんのぉ」

恵「恩恵はそれだけではないぞ」ザッ!

咲「だ、誰っ……?」ビクッ

まこ「変質者か!?誰か、さすまたを!」

優希「そんなレアな武器は持ってないじょ!」

和「ま、待ってください!」

咲「和ちゃん?」

和「この人は……私の父です」

優希「の、のどちゃんは……変質者の子供だったのか?」

恵「し、失敬な。私は変質者ではない。竹井さんに登場のタイミングを任せていたが、いつまでも呼ばれずにいたのでしびれを切らせて出てきただけだ」


咲「でもどうして和ちゃんのお父さんが…?」

久「何を隠そう、原村恵さんは昔ラッパーだったのよ!」

和・咲・優希・まこ・京太郎「ええええええっ!!!?」

まこ「ラッパーから弁護士って……『理由(ワケ)あって、弁護士』ちゅうわけか」

優希「何があったんだか全然わかんないじぇ!?」

恵「単純な話だ。私は過去に『KEI RAM SHINE(ケイラムシャイン)』として短期間だがラッパーとして活動していた。もちろんMCバトルもしていた」

和「初耳です……」

恵「しかし、私が舞台袖からバトルを見ていた時、普段仲良くしているラッパーが対戦相手に押され、劣勢に立っているところに直面したのだ。その時、私は心から思った。彼を弁護したいと!私が弁護して勝たせてやりたいと!」

和「………………」

恵「そして、あーだこーだと勉強し、すったもんだの末、今に至るのだ」

久「てなわけ」

恵「私の中でKEI RAM SHINEとしてラップ漬けで過ごした日々は大きな糧になっている。だから私はフリースタイルバトルへ参加するのは大賛成だ」

和「………………」

咲「ど、どうしたの和ちゃん。さっきから黙って……」ヒソヒソ

和「いえ、あのように生き生きとしている父を見るのは初めてで、驚いてしまって……」

咲「あぁ……わかる。うちのお父さんね、私が寝たと思い込んでたからだと思うんだけど、夜中に酔っぱらったテンションで『スペクタクルショーだぜ!』とか言いながら、タバコを4本まとめて吸おうとしてものすごいむせてたの見た時、滑稽だったもん」

和「身内の……しかも父親の普段見せない姿って、娘からするとほぼ冷めますよね」

咲「うん……」

恵「和。若干聞こえていたぞ。まぁいい。とにかく、私が全面的にバックアップする。必ずや戦車道チームに勝利を収めようではないか」

和「……戦車道チームに勝利?ということは……」

咲「前の大会に出場した戦車道の人たちと戦う……?」

恵「その通りだ。今回の大会は、麻雀部チームと戦車道チームの戦いになる」

まこ「麻雀部チームっちゅうことは……」

久「そう。全国の色んな高校から選抜してチームを作るわけ。現時点で参加者もある程度決まってるわ。宮永照とか」

咲「えっ!?お姉ちゃんが!?」

まこ「およそキャラとかけ離れてるがのぅ」

久「OGから強い後押しがあったんじゃない?欲しい本をプレゼントするとか裏取引も考えられるわね」クス

咲「……お姉ちゃんも出る……じゃあ私も参加すれば同じチームになれるんだ……」グッ..

和「さ、咲さんが出るなら私も……//」

久「あ、そうそう!とりあえずどんな感じが掴めるように、知り合いからDVDを借りたから観てみましょう。これはとあるMCバトルの大会ね」

優希「戦車道の人たちが出た大会じゃないじょ?」

久「あれは商品化してないから限られた人しか持ってないか、あるいは映像として残してないと思うわ。だからとりあえずこれを観ましょう。再生、っと……――――」


久「―――なるほどねぇ……」

和「……かなり高度ですね。相手の言葉に瞬時に反応する必要があります」

優希「でも思ってたより面白そうだじぇ!会場もワーワー騒いでて血がたぎるじぇ!」

京太郎「すっげぇ……」

咲「………………ちょっと怖い部分もあるけど……なんか」

和「?」

咲「楽しそう……」

久「あら」

まこ「意外じゃのぉ。相手に色々言われるのを怖がるかと思っとったが」

咲「そ、その不安もあります。大変そうっていうのもわかりますし…………でも……気持ちよさそうです」

久「そうね。スポットライトを浴びながら音に合わせて言葉を吐く。普段は味わうことのできない体験でしょうね。同じ壇上でも、学生議会長として壇上に立つ時とは違う、アドレナリンがいっぱい出るような高揚感を味わえそうな気がするわ」

咲「ですよね」ゾクゾク

和「……あの、1ついいですか?」

久「何かしら?」

和「私たちが大会に参加するとして、現時点での戦車道チームとの力の差はどの程度なのでしょうか?」

久「それは映像が無いからなんとも答えようがないけど、ネットの記事では大会の話が持ちかけられた時点では、全員が初心者で経験者は誰もいなかったと載っていたわね」

優希「ゼロからのスタートなら私らもおんなじだじぇ!」

和「ですが彼女たちの方が先に練習をし、キャリアを積んでいます。それに大会までに練習をすればさらに成長するでしょう。この遅れを取り戻すのは容易ではないと思います」


久「和の言いたいことはわかるわ。私たちが大会に出たとして、戦車道チームと実力差がありすぎて惨敗という結果になれば、大会としても麻雀部チームとしても大失敗になるだろうからね」

和「はい」

久「…………確かに、数ヶ月とはいえ、向こうの方がスタートが早かった分、追いつくのは容易ではないわ……でも!」

和「?」

久「その力の差を覆すために、KEI RAM SHINEさんがいるんじゃない!」

恵「」フッ

和「………………」

久「今回、私たちは元ラッパーや現役ラッパーに練習を手伝ってもらっていいことになっているの。戦車道側は関係者の介入は禁止だから、これは大きいわ」

咲「練習の密度が濃くなれば、追いつける……いえ、追い越せるわけですね」

久「その通りよ。そしてここで私から1つ、嬉しいニュースを伝えましょう」

優希「嬉しいニュース?」

久「ええ。参加人数が限られるから、実力によっては大会に出場出来ない子もいるでしょうけど、練習にちゃんと参加して頑張った子には、出場選手選抜の有無に関わらず、食堂の全メニューを1ヶ月間無料になるチケットを贈呈しまーす!」

優希「なんと!」

和「それは……魅力的ではありますね」

咲「値段を気にせず食べられるんだ……そのお金で本も買える」

京太郎「あ、あのー、大会の参加資格ってどんな感じなんですか?」

久「麻雀部に所属してる女子で、高校生以下が対象ね」

京太郎「う……女性だけっすか。じゃあ俺は無理なのか……」ハァ

久「うーん……あ、じゃあこうしましょう!須賀君の場合、機材の搬入とか雑用を手伝ってくれればチケットをあげるわ」

京太郎「マジっすか!やった!」

久「というわけで、早速KEI RAM SHINEさんに基礎知識から教えてもらいましょう!須賀君も、客観的にアドバイス出来るようちゃんと覚えてね!」

和・咲・優希・京太郎「はい!」

まこ「………………」

まこ(なんだかんだで強引に参加する気にさせよった……部長の手腕は恐ろしいのぉ)クス


【臨海女子】

ダヴァン「オー!サトハも出場するのでスカ!?」

智葉「……不本意だがな」

明華「意外です」

慧宇「最初は乗り気ではなかったようですが、サトハが出場すると思い込んだ子供たちに『頑張って』と言われて参加を決めたんですよね。優しい」クス

ネリー「へー、サトハらしいような、そうでないような。でも納得したよ。自主的に参加するキャラじゃないもんね」

智葉「そういうネリーは出ないのか?」

ネリー「お金もらえるわけじゃないし」

智葉「だろうな」フフ



【永水女子】

初美「姫様たちは出ないのですかー?」

小蒔「はい。らっぷ?というのはよくわかりませんので」

巴「ラップする姫様のイメージ湧きませんもんね」

霞「強制参加ではないわ。私たちはいつも通り、過ごしましょう」

春「賛成……」モグモグ



【宮守女子】

塞「シロは……聞くまでもないわよね」

白望「うん。ダルい……」

エイスリン「ワタシ、ダルクナイ!デモ ラップムリ!」

豊音「私も力になりたいけどー……意地悪なこと言いたくないし言われたくないよー」

胡桃「じゃあ仕方ない!私が頑張るしかないね!」

塞「あ、あんまり言い過ぎないようにね?」

白望「そういう塞も……」

塞「わ、私は相手を塞ぐ方メインだから大丈夫よ………………多分」


【有珠山高校】

爽「うーん……ユキを可愛くドレスアップして目立たせたいけど……バトルさせるのはちょっと違うかな?」

揺杏「マジそれ。負けたらダメだし、でも勝ったとしてもイメージ悪いっぽい」

由暉子「ラップ出来る人ってなんかカッコいいのでやりたいんですけどね……」

誓子「まあまあ。ここは爽に任せましょ」

揺杏「そうそう」

成香「ZZZZ……」スピー



【新道寺女子高校】

哩「では、私と姫子が参加しゅるっちゆうこつで、よかか?」

美子「異議なし」コクリ

仁美「政治的に異論なし」チュゴゴゴ

煌「お2人なら活躍間違いなし!すばらですっ!」

哩「ありがとう。では姫子、2人で練習ばしよか?」

姫子「あっ……ぶちょうッ!耳元で囁かれたら……///」ビクン



【阿知賀女子】

灼「消去法で決めよう。玄と宥さんは無し。なんか2人とも……ディスられたら泣いちゃいそう」

宥「うん……私も無理だと思う……」

玄「私も…」

穏乃「灼さんは?」

灼「私も無理」

穏乃「でも、ひょいって投げたお菓子を口で直接キャッチするの上手いじゃないですか」

灼「バトルと関係ないと思…」

憧「結局、阿知賀では私だけが参加ってわけね」

穏乃「え!?私は!?」

憧「無理でしょ。しずは」

穏乃「ひどい!」

灼「……相手のディスを素直に受け止めて落ち込む穏乃を見たくないっていう憧の愛だよ」

穏乃「あ、そうなんだ……ありがと、憧!」ニコッ

憧「べ、べべ、別に愛とかそんなんじゃ……///」


【龍門渕高校】

透華「目立ちたいのは山々ですけれど……難しそうですわね」

一「そうだね。挑発に弱い透華には不向きかも」

一(合宿の時の、怖いくらい冷静な透華になったとしたら話は別だけど……それでもあの状態で麻雀は打ててもラップは無理っぽいよね)

智紀「純は?」

純「俺?うーん……バトルってなんか頭使いそうじゃん?麻雀みたいに慣れてるなら別だけどさ……やめとくわ」

智紀「そうだね」

純「……納得されんのも微妙に嫌な感じだな」

一「それで、透華はどうするの?向き不向きはともかく、参加は自由みたいだけど」

透華「……やめておきますわ」

一「いいの?」

透華「れっきとした試合とはいえ、仲間や友達がディスられている姿を、衣は見たくないはずですわ」

一「確かに。じゃあうちは全員不参加だね」

透華「ええ。ただ……」

透華「せっかくの企画ですから、盛り上がるよう、景品なりなんなりを用意してでも本気でみなさんに戦っていただきましょう」

一「龍門渕グループの力を活用する気満々だね。ふふ、でも同感。本気同士の戦いの方がいいもんね」クス



【鶴賀高校】

智美「ワハハ。じゃあゆみちんにも頑張ってもらうってことで」

佳織「頑張ってください!」

睦月「誠心誠意、応援します」

ゆみ「ああ。ありがとう」

桃子「あの……大丈夫っすか?先輩」

ゆみ「問題ない。リズム音痴でもないしな。相手の矛盾点を見抜き、そこを突けばいいのだろう?」

桃子(バトルに対してもそうっすけど、2人でいられる時間が少なくなるのが……)チラ

ゆみ「……安心しろ、モモ。私たちの間をどれだけの時間が流れようとも、この気持ちは揺らぎはしない」

桃子「せんぱい……///」

智美「……ゆみちんだけじゃなくて一応私も出るんだけどなー」

佳織「わ、私は応援してるよ!頑張って!智美ちゃん!」

智美「ワハハ。佳織は優しいなー」


【風越女子高校】

未晴「華菜ちゃんなら出来るよ!」

華菜「うん!頑張るし!」

純代「………………」ワタシダッテ オウエン..

美穂子「ごめんなさい、華菜に任せてしまって。私が機械音痴で、マイクを扱えないから……」

華菜「いやいや、スイッチ入れるだけですから2回目からは扱えますよ!」

美穂子「でもコードを踏んでしまうし……」

華菜「踏んでも音がそこで詰まったりしません!というかキャプテンは相手を言葉で叩きのめすタイプじゃないですから参加しなくていいんです!」

美穂子「そうかしら?」

華菜「はい!見守ってもらえればそれだけで嬉しいです!」

美穂子「……その言葉で安心したわ。でもただ見守るだけじゃ申し訳ないから、フリースタイルバトル会場までの道のりをフェルトで作ってプレゼントするわね」

華菜「あ、いえ、道のり全部作ろうとすると、人生ゲーム盤みたいな感じに大きくなってかさばりそうですから大丈夫です!新幹線のホームとか背景とか大変ですし…」

美穂子「みなさんにお願いしてグルグルアースで見ながら作るわ」

華菜「グーグルアースですね。いや、でもそこまでしたらキャプテンの大切な時間が果てしなく奪われます!私はそれが嫌です!だからどうか簡単なお守りくらいのでお願いします!」

美穂子「……わかったわ。華菜がそう言うなら、道のりはやめてマイクを作るわね」ニッコリ

華菜「あ、急に普通だし………じゃなくて!ありがとうございます!」




【姫松高校】

恭子「……正直、自分がどれだけ通用するんか興味ある」

絹恵「末原先輩なら相手を冷静に圧倒できそうな気ぃします!」

洋榎「相手をへこますの得意やもんな」

恭子「主将がそれを言いますか」

漫「そういえば、フリースタイルバトルって関西勢が強いって聞きます。なんででしょう?」

由子「きっと口とガラが悪い人が多いからよー」

恭子・洋榎「偏見や!」


【千里山女子高校】

浩子「うちで出場希望するのは園城寺先輩と清水谷先輩、泉、私ですね」

セーラ「俺は向いてへんからなー」

浩子「そうですか?いける思いますけどねぇ。語彙が少ないのと挑発に弱いのとリズム感が微妙なだけで」

セーラ「最悪の三拍子やないか!スリーアウトチェンジや!」

竜華「怜、ホンマ大丈夫?ステージ上、スポットライトであっついで?あ、そや!冷えピタ貼って出ればええんや!」

怜「そんなんでステージ立ったら『帰って寝ぇ』言われるわ」

竜華「そらそうか……」

怜「……ま、大丈夫や。溜まり溜まったストレスを相手にぶつけられる機会なんて滅多にないからなぁ……私はかなり燃えてるで」フフフ..

泉「私かって、一発カマすつもりで参加しますよ!」

浩子「まあ、誰が選ばれるかはわかりませんが、選抜メンバーに入れるよう頑張りますか」



【白糸台高校】

淡「むっふっふ~!ついに私の出番!」

菫「そうだな」

照「うん」

尭深「そうだね」

誠子「頑張れー」

淡「ぶー!リアクションが薄ーい!」

菫「当然だろう。誰が参加を申し込むかが決まっただけで大はしゃぎされてもな」

淡「冷たーい。菫先輩の雪女~」

菫「熱いお茶を飲む雪女はいないだろう。尭深、このお茶美味しいな」

尭深「ありがとうございます」

淡「ふーんだ。いいもん、私はテルと仲良くするから」

照「今は本読んでるからあとで」

淡「もー!」

誠子「……それにしてもイガ意外です。淡はともかく、宮永先輩と弘世先輩が出場を決めるとは」

菫「あくまで参加希望なだけで出場できると決まってはいないがな」

誠子「だとしてもビックリですよ。どうしてまた?」

菫「それは……」チラ

照「…………今までの自分という殻を破れるような……そんな気がしただけ」

菫「……だそうだ。私も似たような理由だがな」

誠子「な、なるほどホドです……」

照「………………」

菫「………………」チラ

菫(本当は、雑誌で西住姉妹がフリースタイルを通じて絆を深めたという記事を読んだのが多分に影響しているのだろうが……口に出すのはやめた方がいいな)


【大洗女子学園 生徒会室】

杏「やー、大変なことになったねぇ」

桃「内地の人間と交流が無かったわけではありませんが……麻雀の競技者とは縁がありませんでした」

柚子「テレビでは観るけど、実際会う機会ないもんね」

みほ「でも、そもそも私たちもですけど、麻雀の人たちもラップは専門外ですよね?それがどうして結びついたんでしょうか?」

千代「その説明は私からします」

みほ「わ、びっくりした」

沙織「愛里寿ちゃんのお母さん、だよね?」

華「ええ。一応、そういうことになっていますね」

優花里「え?それって…」

千代「一応ではなく確実に母ですわ。含みをもたさないでくださいな」

優花里「ですよね!?び、びっくりしましたぁ……何故島田殿が大洗に?」

千代「私が戦車道チームの監督を務めることが決定したからです」

麻子「監督?」

華「というと、ホームベースを土で隠したりするのでしょうか」

優花里「マーティ・ブラウン監督はやりますけどスタンダードじゃないですから」

沙織「キャプテンとかそういうのじゃないんですね?」

千代「ええ。今回は戦車道側、麻雀側の両チームに監督をおき、メンバーの選出、采配をすることになっています」

杏「島田さんは元ラッパーだし、異存はないと思って頼んだんだ。いいよね?」

みほ「はい」

千代「ただ、私は監督ですが、練習内容に口出しすることは出来ません。アドバイス等は禁じられています」

沙織「ど、どうしてですか?」

みほ「私たちの方が麻雀部の人たちより先に始めたでしょ?それに加えて経験者のサポートが付くと有利すぎるからじゃないかな?」

千代「ええ、その通りです」

沙織「なるほど……」

麻子「監督に関しては全く異論は無い。ただ今回の大会を開催するにあたっていくつか疑問がある。質問してもいいですか?」

千代「構いません。どうぞ」

麻子「どうして麻雀部側と対戦することになったか、その理由と経緯が知りたい。戦車道側はプロリーグ設立へ向けた話題作りや、お互いマイナー競技であるFSRを支援するという目的だからわかる。しかし麻雀はプロリーグもあり、競技人口も戦車道の比では無い。ジャンル違いに顔を出す必要性が見出せないんだが」

千代「……そうね。確かに、彼女たちが参加する必然性は無いわ。ただ、戦車道は麻雀同様世界でも行われている競技。そしてその関係者、企業、スポンサー等はそれぞれ毛色が違うわ」

千代「だから麻雀界としては、今回の企画をきっかけに戦車道関連企業とのパイプを作るつもりだと思います。そうすれば、麻雀のみではなく、他のビジネスに発展する可能性も得られるわけです。今後、スポンサーを集めやすくもなりますし」

華「ビジネスですか?あまりピンときませんが…」

千代「プロ雀士がグラビアをやったり、お菓子のおまけカードになったりしているでしょう?それの延長線上といったところですね。もっとはっきり言ってしまえば、参加する子たちにメリットがあるというより、麻雀界を動かしている人たちにメリットがあるということになるわ」

沙織「うーん……なんかモヤモヤするー。でもそれもしょうがないのかなぁ」

麻子「それでは選手たちはモチベーションが上がらない気がするな」

杏「と思うっしょ?でも意外とそうでもないらしいよー?」

麻子「?」

杏「参加校は勝った時用のご褒美を用意してるらしいよ?まぁプロ麻雀連盟とか戦車道連盟とかFSR関連企業から多少なりとも貰ってるだろうから、参加者にはせめてちょっとした還元を、ってくらいだろうけどね」

華「ご褒美とはなんでしょう?通知表オール4とかでしょうか?」

沙織「それはダメでしょ!というか5じゃないところが逆に工作の匂いがプンプンするよ!」


杏「白糸台は大量のお菓子が貰える、だったかな?」

みほ「……それでやる気出るのかな」

杏「臨海女子は忍者装束とか金券、刀を研ぐための砥石とか、のど飴10キロ分だったかな」

優花里「のど飴をキロ単位ですか……」

杏「まぁ、あくまで噂だけど、他にも色々あるらしいよ。参加賞と、勝った時の賞品って感じで」

麻子「私たちには無いのか?」

杏「んー、そだね。勝ったら何かしらいいものをプレゼントすることにしよう!」

みほ「わ、楽しみ」

麻子「……みんなで過ごした楽しい思い出がプレゼント、なんてこと言わないだろうな」

杏「……………………」

麻子「おい」

杏「それよりも!大事な話があるんだよぅ!ほら見てみなよ、島田さんが手持ち無沙汰で、手袋の指先を余らせたり詰めたりしてるよ」

沙織「よっぽどやることが無い時にやるやつだ……」

麻子「……まぁいい。そっちの話を聞こう」

桃「島田さん、お待たせしました。説明をお願いします」

千代「わかったわ。まず今回の大会のルールを発表します。バトルは全て1ON1。戦車道チームと麻雀部チームのチーム対抗戦です」

麻子「シングル戦はシンプルでやりやすいな」

優花里「さすが冷泉殿!普通の会話でも韻を踏むとは!」

麻子「……そのつもりは無かったんだが」

千代「今回は勝ち抜き形式になります。試合で勝った選手は、そのまま残り、次の相手と戦う。相手チームの選手が全員敗れた時点で勝敗が決まる形ね」

みほ「殲滅戦ってことですね」

千代「そうね」

華「チームは何人で形成されるのですか?」

千代「17人ね。補欠は無し。欠場者が出た場合は不戦敗よ」

沙織「わ、厳しい」

みほ「ずいぶん人数多いんですね。トーナメントじゃなくて勝ち抜きだから……すっごく長くなりそう」

優花里「メンバーは決まっているのですか?」

千代「麻雀部の方はわからないけれど、私たちの方は決まっているわ。それを今から発表するために来たの。出来ればみんながいる場所が良かったのだけれど、そうもいかなくてね。わざわざ学園艦を集めるのも一苦労。だから他校にはメールで報告をすることになっています」

華「でしたら最初から大洗にいらっしゃらなくても良かったような……」

みほ「……多分だけど、ボコミュージアムで今週スタンプラリーやってるから、景品を手に入れた足でここに来たんだと思う」

沙織「なるほど……愛里寿ちゃんへのプレゼントだね。優しいお母さんだ」

千代「こほん。では発表します」


【戦車道チーム メンバー】

みほ、麻子

杏、桂利奈

まほ、エリカ

カチューシャ、ノンナ

愛里寿、オレンジペコ

アッサム、アンチョビ

カルパッチョ、ケイ

ミカ、ナオミ、アリサ


千代「以上の17名よ」

桂利奈「やったーーー!出れたーー!!」

華「……阪口さん、この場でまたしても大の話を…」

沙織「してないから!」

みほ「あれ!?お姉ちゃんも出るんですか!?」

千代「あたりきしゃりきのこんこんちき……じゃなかったわ。当たり前よ」

優花里「嬉しいですぅ!もう大会には出ないとおっしゃってましたから!」

華「あっさりと撤回……こちらも大仁田厚のようですね」

みほ「ち、違うよ全然!お姉ちゃんの場合は宮崎駿監督だよ!世界だよ!」

沙織「何度も引退撤回してる点では一緒だけどね」


千代「彼女には最初断られたのだけど、しぽり……西住しほさんの説得によって折れてくれたみたいね」

みほ「お母さんの説得……?」

千代「ええ。彼女は……」


しほ『撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心 それが西住流……当然わかっているわよね?』

まほ『はい』

しほ『それはつまり、引退を宣言したとしても!しれっとした顔で復帰し、周りに何を言われても進む姿を乱さず、何を言われても鋼の心でやんわりと受け流す守りの固さを持ち、あまりにしつこく言ってくる輩には必中のナニカで生意気な口を聞けなくすればいい、ということなのよ』

まほ『しかし……』

しほ『何を言われようとも私の気持ちは変わりません。だって鋼の心なんだから』

まほ『………………』

しほ『まほ。戦車道は麻雀ほどメジャーな競技ではないわ。直接戦う機会も無い。だからこそ、今回の大会で麻雀部の者たちを全力で叩き潰し、戦車道がどれだけ人間的な成長を促すかを証明するのよ!』

まほ『……ですがお母様。人間としての成熟を目指すのならば、一度一線を退くと宣言した私が再び舞い戻るのは…』

しほ『西住流とは!』

まほ『え』

しほ『撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心……』

まほ『……しかしお母様。私が今後大会に参加しないと決めたのも鋼の心で…』

しほ『私の方が長く生きてる!!』カッ!

まほ『っ……』

しほ『……だから元祖に近い。つまり私の鋼の心の方がまほの鋼の心より強いの。早く生まれた分だけね。それも鉄の掟。保身のための守りは固い。我が道を進む姿には乱れ無しだわ』

まほ『……………………』

しほ『だから大会での活躍を期待しているわ。西住流の誇りを胸に、戦ってきなさい』

まほ『……………………………………………………………………はい』



千代「……見事なまで説得を成功させてくれたわ。最終的にまほさんも『参加するしかないと決まった以上、全力で勝ちに行く』と言っていたわ。だからモチベーションの問題はクリア。本番ではガンバルマンでしょうね」

みほ「が、がんばるまん?」

千代「っ!な、なんでもないわ!とにかく参加者は決定!本番まで練習しましょう!」

沙織「私はバトルの練習は手伝えないから……栄養あるご飯とか作って持ってこうかな」

華「ありがとうございます!」ニッコリ

沙織「いや、華は選手じゃないでしょ。まぁ……華の分も作ったげるけどさ」

優花里「武部殿は調理技術が卓越していて羨ましい限りですぅ。私では大したお手伝いが出来ず、心苦しい毎日を過ごすしかないのでしょうか……」ハァ

千代「いえ、秋山さんには重要な任務をお願いするつもりよ」

優花里「え?重要な任務……?」

千代「ええ。その任務とは――――」


大会当日

【ライブハウス 舞台袖 戦車道側】

千代「ついに来たわね」

カチューシャ「ふん!今度こそ私が優勝してやるんだから!」

ノンナ「カチューシャ。これはチーム戦です。カチューシャだけが優勝するのは不可能ですよ」

カチューシャ「わ、わかってるわよそんなこと!」

みほ「お姉ちゃんは宮崎駿監督だからね?気にしないでね!」

まほ「なんのことかイマイチわからんが……」

アンチョビ「麻雀部チームは向こう側の舞台袖に集まっているんだよな……なんだか強いオーラ的なのをひしひし感じるぞ」

ミカ「同感だね。相対する前から強敵であるとわかるよ」

アキ「……でもミカが素直に参加するなんて……前回もそうだけどホント意外」

ミカ「フリースタイルバトルには人生で大切な全てのことが詰まっている。チーム対抗戦の場合はさらに山盛りで詰まっているからね」

沙織「あのー、私たち選手じゃないんですけど、ここにいていいんですか?」

千代「ええ。関係者は許可されています。ただスペースに限りがありますから、ある程度の人数までとなっていますわ」

ケイ「各校、基本的には出場する選手とプラス何人か、ぐらいだね」

杏「でも大洗の場合は参加者のいるチームメンバーはみんな集まっちゃってるねぃ」

麻子「あんこう、ウサギさん、カメさんチームがそうだな。しかしそれ以外にもカモさんチームとカバさんチームの面々がいるが…」

そど子「べ、別にいいじゃない!近くで応援したいのよ!それに、たくさんの学校が集まって風紀が乱れてないかチェックが必要だもの!」

ゴモヨ「はいはい、わかったよそど子」

ダージリン「うふふ、賑やかでいいと思うわ」クス

オレンジペコ「他の人たちは客席で応援してくれているみたいですね」

みほ「客席で応援してくれるのも嬉しいけど、舞台袖で直前まで一緒にいられるのも、勇気が出てありがたいよ」

沙織「みぽりん……」


麻子「だそうだ。勇気をくれよそど子~」ダキッ

そど子「ちょ、ちょっと冷泉さん!抱きつくのをやめなさいよ!」カァァ..

千代「……アベックぶりを見せつけるのはその辺りにしてもらえるかしら?そろそろ本番ですよ?」

そど子「す、すみません」

麻子「あべっく……?」

千代「こほん。それでは、前にも説明したけれど、大会のルールを改めて確認しておきましょう」

千代「まず、バトルは各チーム17人ずつのチーム対抗戦で、1ON1の勝ち抜き戦です。選手が出る順番はその都度決めていいことになっています。あらかじめオーダーを提出する必要はありません」

千代「勝ち抜き戦のため、勝った選手はそのまま次のバトルに出ますが、相手チームはその相手を見て、誰を当てるかを選べます。なので相性の見極めが重要ね」

ケイ「1回出て勝ったらもう引っ込めないのよねー。強い子をあとに取っておけばいいっていう単純な話じゃないのが難しい!」

ナオミ「スキルで多少劣っていても相性の差で覆せるからね」

千代「ええ。そこで、このわら半紙が重要になってくるわけです」ニコリ

まほ「わらばんし……?プリントのことか?」

桂利奈「わら半紙ってなんですかー!?」

千代「!?こ、細かいことはいいのです!とにかく、渡す際にも話しましたが、この紙に記載されている相手のデータを元に戦略を練ります」

みほ「これ、情報が細かく書いてあって本当にすごいよね」

エリカ「この情報収集能力……敵に回したら厄介だけど、味方にしたら頼もしいわね」

千代「ええ。データを作成してくれた秋山さんとカバさんチームのみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです」

優花里「いえいえ!私に出来ることをしたまでですぅ!」

おりょう「しかし……潜入は大変だったぜよ」

左衛門佐「見つかった時は死を覚悟したな」

エルヴィン「うむ。風越の……久保さんと言ったか?彼女は凄まじかったな」

カエサル「見つかった瞬間、言い訳をする前にビンタが飛んできて……これがまた痛かった」

優花里「ええ……罵声につぐ罵声でした……」

麻子「戦車道と違って、麻雀部は偵察を許可してないから怒るのも当然か……もちろんビンタはダメだが」

カエサル「しかし!そこで怒られ、ビンタされたことが功を奏したのだ!」

優花里「はい!ビンタや罵声を浴びせられているやりとりをICレコーダーに録音していることを告げ、私たちを解放しない場合は、しかるべき機関に提出すると言ったところ、なんとか話し合いに持ち込めましたからねぇ!」

千代「イマドキっぽくて怖いくらいよね」フフ

優花里「それを告げた時の久保さんは『リモコン類は腹立つ』と叫んでなおも激高していましたが、その場にいた麻雀部チームの監督を務める、赤土晴絵さんがなんとか久保さんをなだめてくださり九死に一生を得ました」

エルヴィン「その後のグデーリアンの交渉は見事だったな」

左衛門佐「『麻雀部チーム側の練習風景を見学させてもらう代わりに、前回、前々大会に出場した時のうちらのDVDを相手に渡す』というやつだな」

おりょう「どちらか一方が有利になりすぎない、上手い落としどころぜよ」

優花里「私の功績ではありません。元より、島田殿からそのように交渉するように言われておりましたから」

あゆみ「あれ?でも麻雀部の情報を得ることよりも、こっちの試合のDVDを渡す方がマイナスじゃ
ないですか?」

あや「そうだよね!大会の動画はアップされてないって言ってた。なのにDVDあげちゃったら敵に研究されちゃう!」

千代「確かにそう言えなくもないわ。でも、赤土さんなら、あの手この手でDVDを手に入れると思うの。所持している人は数人いますからね。その場合、こちらは相手のデータが無いけれど、向こうはこっちのデータがあるという状態になるわ」


麻子「なるほど。どちらにせよDVDは向こうの手元に渡ると考え、それならばこちらから先に交換条件を持ち出してDVDと引き換えに相手の情報を手に入れる権利を得る、というわけか」

千代「その通り」

カエサル「もうすでに戦いは始まっているというわけだ」

沙織「そっかぁ。ゆかりんたちは麻雀部の人たちの練習を見てたから戻ってこなかったんだね」

優花里「ええ。赤土さんはこちらの提案を受け入れてくださいまして、合同練習の見学を許可されましたぁ!」

桂利奈「見学ってことは、撮影はダメだったんですか?」

優花里「うん……フリースタイルバトルに関して我々より後発であるため、撮影までは許可できないと……そのラインはどうしても譲れないと言われました。その代わり、向こうはこちらを偵察しないということです」

左衛門佐「ただその答えは想定済み」

エルヴィン「だからこそ島田監督は私たちを従軍させたのだ」

カエサル「観察眼に優れた我々ならば、かなりの情報を得られるとな!」

おりょう「名采配ここに極まれり、ぜよ」

千代「……偵察部隊のみなさんが、苦労しながらも本番1週間前まで偵察してくれたおかげで、このデータが我々の元に届きました。そして、すでに内容は頭に叩き込んでいると思います」

まほ「対戦相手の情報の有無は勝敗に多大な影響をもたらす……秋山さんとカバさんチームの苦労を無駄にはしないように戦うつもりだ」

優花里「西住まほさんにそこまでおっしゃっていただけるなんてぇ!光栄ですぅ!」

エルヴィン「く……このカリスマ性……」

カエサル「尽くしたくなってしまいそうだ……カエサルともあろう者が……っ」

スタッフ「すみません、そろそろ大会が始まります。1戦目の選手の方、こちらへお願いします」

みほ「わ、もう始まるんだ」

小梅「最初は両チームとも相手が誰かわからない状態だから難しいですね」

千代「……ここは安定感のあるアッサムさんにお願いします」

アッサム「わ、私がトップバッターですか?」

ダージリン「さすがアッサムね。アッサムの『ア』は安定感の『ア』だもの」

オレンジペコ「初めて聞きましたよそれ。でしたら『サ』は何なんですか?」

ダージリン「サムシングよ」

オレンジペコ「……そうですか。あ、話の腰を折ってしまってすみません。続きをお願いします」

ダージリン「ムは聞かないの?」

オレンジペコ「はい。もういいです」

ダージリン「あら残念。ムは誰もが予想だにしない意味だというのに」

オレンジペコ「監督、お願いします」

ダージリン「つれないペコ」ウフフ

千代「アッサムさんはバランスに優れており、対応力があります。ですので先鋒として適任と私は考えます。行ってもらえるかしら?」

アッサム「……は、はい。出来る限り頑張ります」

アッサム(初戦は大事。惨敗して相手を勢いづかせるわけにはいけない)ギュッ..

ケイ「いきなり18人抜きしちゃってもいいわよー?」

アッサム「1人多いです。監督も倒しちゃってますよ」

ケイ「あっはは!間違えちゃったー!」

アッサム「…………ふふっ」クス

アッサム(ケイさんのこの天性の明るさは何なのでしょうか。私の気負いをあっさりと吹き飛ばしてくれた……ダージリンとはまた違ったカリスマ性の持ち主ですね)

アッサム「それでは行ってきます」ザッ


【舞台袖 麻雀部側】

晴絵「初戦の選手だけど、まず相手がどう出るか…」

淡「そんなの私が出るしかないでしょ!」ドドーン!

照「………………」

菫「淡……勝手に決めるんじゃない。こういうのは監督が決めるものだ」

淡「えー!いいじゃないですかぁ!ね?監督♪」ニコー

晴絵「………………」

晴絵(ここで止めると彼女自身のモチベーションが下がるのは間違いなさそうね。本当ならもう少し後まで残したい子なんだけど……)

晴絵「そうね。栄えあるトップバッターは大星さんに任せるわ」

淡「やたーーー!栄えあるだってー!聞いた?テルー!」

照「聞いた」

淡「やったーー!聞いてたー!」

晴絵「一番手は責任重大だけど……大星さんなら大丈夫よね?」

淡「ふふん!当然ですっ!」

晴絵「……油断はしないようにね」

淡「しませんよー!だって」チラ

穏乃「?」

淡「前みたいに悔しい思いしたくないからねっ」

穏乃「あ、あはは」


◇◇◇◇◇◇このSSにおけるフリースタイルバトルの説明◇◇◇◇◇


バトル中のセリフは全てラップです。実際に声に出してラップも出来るようになってます

バトルは8小節毎で交代のターン制です

1小節とは「いち、にー、さん、しー」の4拍のことです。4拍×8回で8小節になります。8小節でスクラッチが入り、相手とターンが替わります



ちなみに、このSSをまとめサイトで読む場合、スマホの方はPC用のサイトで見ると読みやすいです。スマホ用ページの場合、ページ切り替え時に動画が止まるので(まとめてもらえるかはわかりませんが)。PCではリンク先を別タブで開きながら読んでもらえると、より楽しめると思います


ビートはYoutubeのリンク先の動画です。ラウンド毎にリンクを貼っています

リンク先の動画が削除された場合のため、URLの横に動画の時間を記載してます。もしリンク先が削除されていたら、同じくらいの時間のビート用動画で代用できます

記載してある時間は基本的に『8小節4本の場合』ですので、4本以上ある動画の場合、同じくらいの秒数でもテンポが合わない(早い)のでご注意ください



★バトル時★

みほ「○○○○○○○○○○○○」 この1行で1小節になっています。文字数によって早口だったりゆっくりだったりします。多めのスペースが挟んである場合は、間を意味してます

「」内に♪が入る場合は、サンプリング(引用)。右に曲名・アーティスト名を記載します

みほ「○○○○○○○○○○○○」×8で1バース終了。スクラッチきっかけで、次は相手のバースになります。3ターン(往復)でバトル終了です


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


【ステージ】

役人「……さあ!いよいよ始まりの時が近付いてきました!」ワァァァァ!

役人「まさかまさか!こんな大会が実現するとは思いもよりませんでした!」

役人「戦車道チームと麻雀部チームがフリースタイルバトルを行うとは、誰も予想だにしなかったでしょう!それがこれから始まるのです!」

ワァァァァ!

役人「……OK、お客さんは最高に盛り上がってますね!では試合開始前に、少しだけ審査に関する説明をさせてもらいます!」

役人「この大会では審査員5人とお客さんの歓声で勝敗を決するシステムです」

役人「お客さんが支持したら1ポイント獲得。同様に、審査員が支持した人数が多い方に1ポイント入り、2ポイント獲得した選手の勝利になります」

役人「お客さんと審査員の判定が割れ、1対1になった場合、延長戦を行います」

役人「ちなみに審査員による判定は、公正を期すため、お客さんに判定を聞く前に審査を済ませてもらい、歓声や空気によって判定が変わることがないようになっています。このようにしなくても、審査員の方々は正しい判定を下していただけるのですが、わかりやすい形で示すため、このような方法をとらせていただきました」

役人「……以上、審査方法はそういった感じです。では5人の審査員をここで紹介しましょう!」

役人「撃墜率120%を誇るだけではなく、ラップスキルも抜群だとのクチコミが60億来ているとかそうでないとか!蝶野亜美さんです!」ワァァァ

亜美「みなさん!今日は楽しみましょう!イッツファインデイ!」ワァァァ

役人「そして、昔はラッパーKODAMAとして活躍していました、『ハゲの極み着物』こと戦車道連盟理事長、児玉さん!」ワァァァ!

理事長「よ、よろしくお願いします」ペコリ

役人「さあ、麻雀部側からはこの人!カップラーメン通でドリンク好き、麻雀の実力と指導力は折り紙付き!しかも昔はフリースタイルバトルにも関わっていたといいます!宮守女子顧問、熊倉トシさん!」ワァァァ!

トシ「HIPHOPのライブもカップラーメンも似ているところがあるのさ」

役人「え?それはどういうことでしょう?」

トシ「Say Ho!(製法)が大事ということさ」フッ

役人「……………………」

シーン..

トシ「…………年寄りは静けさに強いのさ。白けて黙り込まれたって何も堪えてないよ。耳が遠くなる準備は出来てる」

役人「い、いえ!みなさん感銘を受けて黙ってしまっただけですよ!はい!つ、次の方を紹介しましょう!」

役人「この方も以前ラッパーとしても活動されていたプロ雀士、『オオぬマシュウ』こと、大沼秋一郎さんです!」ワァァァ

秋一郎「……昔は今ほど麻雀が盛んでは無かった。そのため、麻雀だけではなく多方面での活動を余儀なくされていた時代でね……今の若い人は知らないだろうが、私が関わった様々な仕事の中でも、ラッパーとしてはかなり精力的な活動をしてきた。だからそれなりの耳と目と知識は持っているつもりだ。公正な審査をすると誓おう」ワァァァァ!

役人「ありがとうございます!えー、最後の審査員ですが……この人もプロ雀士です!かつてはラッパー兼トラックメイカー、NANPOO(なんぽー)として活躍されていました、南浦聡さんです!」ワァァァ!

南浦「……よろしく」ペコリ

ワァァァ!

役人「ありがとうございます!以上、5名の審査員とお客さんの歓声によって勝敗が決まりますのでよろしくお願いします!」

ワァァァァ!


【舞台袖 麻雀部側】

塞「大沼プロだけじゃなくて南浦プロもラッパーだったなんて……」

晴絵「あれ、そう?割と知られてると思ってた。南浦プロの家では常にHIPHOPが流れてて、孫娘の名前を『南浦NAS(ナズ)絵』にしようとしてたって話は有名だよ」

塞「……その名前はちょっと……」

白望「両親の猛反対にあって、響きだけ残して『南浦数絵』になったらしい」

豊音「よかったよー」

エイスリン「ナズエノガイイ……」

胡桃「え、エイちゃん?」

塞「って、それより試合試合!」



【ステージ】

役人「……あ、選手たちの準備が出来たようです!みなさんお待たせしました!」

ワァァァ!

役人「それではこれより、フリースタイルMCバトル特別編!戦車道チームVS麻雀部チームを行います!」ワァァァァア!

役人「第1戦の選手!麻雀部チーム AWA-AWA!戦車道チーム アッサム!入場してください!」

淡「ふふふ」ザッ!

アッサム「…………」ザッ!

ワァァァァ!

アッサム(!大星淡……)

淡「へえー、あんたが一番手なんだ。ま、いいか」ブワッ..

アッサム(む……前方から風を受けたように髪の毛が広がって……同時に凄まじいプレッシャーが……!そしてこの人のスタイルの特徴は…)

アッサム(相手に威圧感を与えること。麻雀では相手の手牌を悪くさせ、さらに自分の手牌をかなり整った状態にすること。フリースタイルでもその支配力は健在とのこと。秋山さんたちのデータによると…)


『大星淡と対戦する相手は、実力を発揮しづらい状況になると思われます。ライムのストックが思い出せなかったり、言葉自体が浮かびにくくなるようです。対して大星淡は、2バース分は高い完成度を見せます。おそらく、自身の記憶にある言葉を類まれな集中力で引き出していると推測されます』


アッサム(と、書いてあったわね。相手を弱体化した上で自分は圧倒的リードを得る。麻雀の時と同じようですね……問題は、こちらへの影響がどれほどのモノか……)

淡「17人抜きまで一気に行くからね」ニヤリ

アッサム「……そんなことさせるわけにはいきません」

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

淡「にひひ……当然先攻!」

役人「OK!ではいよいよ始まります!先攻 AWA-AWA!後攻 アッサム!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=HWC0nmxMJiI 2:46

<第1戦 先攻 AWA-AWA VS 後攻 アッサム>

淡「開幕戦から ゲットしちゃう 楽々天下だ」ワァァ!

淡「天高く 舞い上がりライムで 泣く泣く点火」ワァァァ!

淡「策略 なんてないけど 活躍 させないよ」ワァァ!

淡「こうして 立つ前線 私は高校 100年生!」ワァァァァ!

淡「レベル違いすぎるね 天下人と一般人」

淡「弱っちいスキルなのに参加してる 異端児」ワァァ!

淡「自分の喪に服してるのかなぁ? ブラックリボン」ワァ!

淡「私と戦うイコール スクラップ希望」ワァァァ!



アッサム「スクラップ なんてなるわけがない」

アッサム「絶対に勝つつもり だからすぐラップ」ワァ

アッサム「なんかよくわからない感じで天下人」

アッサム「気取っちゃう時点で あなたって変な人」ワァァ!

アッサム「だから……絶対負けないに決まってる」

アッサム「今すぐ引導を渡すべきだというヒント」

アッサム「ピントを合わせるために ビンゴのような韻を」ワァァ

アッサム「繋いでいく…のは辛いけど 真の道を行く」



淡「生き生きと進む その真の道は通行止め」ワァァ!

淡「っつーことで 不幸の手紙でも」ワァァ

淡「貰ったような 不景気な顔 当たり前か~」

淡「もう出番終了で スゲー暇だもん」ワァァァ!

淡「でもラッキーかも 紅茶飲み放題」

淡「参加したこと 1人後悔 してるような状態」ワァァ

淡「私はこのまま進んで 全員抜きでしょ」ワァァ!

淡「これは栄光への メイキングビデオ」ワァァァァ!


アッサム「そのメイキングビデオ 主役は 戦車道」ワァ

アッサム「演者を 間違えてる やっぱりあなた 変な子」ワァ

アッサム「紅茶よりも この場は勝利が 主成分」

アッサム「HIPHOPとバトルに言いたい 『ジュテーム』」ワァァァ!

アッサム「暇になるのは AWA-AWAの方になる」

アッサム「慌てて 倒れて あなたは タオル」

アッサム「投げ込まれて 才能開花 させずに手折る」ワァァ!

アッサム「お調子者の転落劇に 思わず 会場沸いた」ワァァァ!



淡「沸いたのは会場 だったら誤解なくしましょ」

淡「それでその勢いで快勝しちゃう」ワァァ

淡「ズバーッと一直線 フワーッと浮上して」

淡「簡単に勝っちゃう AWA-AWAの勝利だよ」ワァァ

淡「そんな感じで 何度も繰り返して勝利する」

淡「その度に強くなって みんなもう無理と言う」ワァ

淡「高校100年生 100年に1人のすっごい子」

淡「負けるとしたら 毒みたいな ずっこいの ぐらい」ワァ



アッサム「毒 つまりディスリスペクト 効くと認めてる」ワァ

アッサム「正攻法で勝てると宣言 自分の首締めてる」

アッサム「言ったもん勝ちの振り逃げですか? 無理ですか?」ワァァ!

アッサム「諦めなさい 敗北認めさせ 次へ繋ぐ」ワァァ

アッサム「100年に1人の才能が ずっこい策で負ける?」ワァァ

アッサム「恍惚な夢 見てるだけと 報告」ワァァ

アッサム「紅茶なら 勝利した時に 飲み込むから」

アッサム「このあとに ゆっくりと いただきます ご馳走様」ワァァ



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!


淡「ふう……」

アッサム「…………」

アッサム(思った以上に厄介ですね……言葉が浮かばなかった……いえ、それ以上に関係ない言葉が次々浮かんで邪魔してくる……)

アッサム(そのせいで、ビートに対して遅れ気味な合わせ方になってしまった)

役人「では判定に入ります!みなさんいいですか?先攻、AWA-AWAが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、アッサムが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「まずはAWA-AWAに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「AWA-AWA」

理事長「AWA-AWA」

トシ「AWA-AWA」

秋一郎「アッサム」

南浦「AWA-AWA」

役人「勝者、AWA-AWA!」ワァァァ!

アッサム「っ……」

淡「ふふん!とーぜん」エッヘン


【舞台袖 麻雀部側】

菫「淡が勝ったな」

照「うん」

憧「てか反則だよねー、あの支配力。思ったように言葉が浮かばなくなるしさ。私だったらマジバトルしたくないもん」

和「同感です。私も個人的に苦手な相手です。あ、バトルに関しては、ですが」

晴絵「大星さんにはこの調子で頑張ってほしいね。ある程度人数を減らしてもらうと後が楽になるから」

爽「でも相手チームの監督は島田千代さんですよね?早めに手を打ってくるかもしれないですよ?」

揺杏「そうそう。強敵をぶつけてくるとか」

晴絵「それはそれでいいんだよ。仮にそこで大星さんが負けたとしても、厄介な人を早い段階で引きずり出せれば、こっちもやりようがあるからね」

揺杏「はは、さすが名監督っすね」

晴絵「名監督!?もー!そんなことないってー!」アハハハ

灼「浮かれ過ぎ…」


【舞台袖 戦車道側】

アッサム「……すみません。負けてしまいました」

千代「いえ、仕方ありません。ここから見ていても、AWA-AWAさんの放つプレッシャーはかなりのモノでした」

アッサム「はい……データにあるように、言葉が浮かびづらくなりました。まったくではないのですが、スムーズに引き出せない感じで…」

杏「プレッシャーだけでそんな芸当出来るんかねー?超能力者とかだったりして」

柚子「またそんな冗談を…」

杏「ま、超能力はともかく、そうなるとライミングが得意な子は相性最悪っぽいね。となると一番相性がいいのは……」

まほ「私か」

杏「そだね。でも2人目で西住ちゃんのお姉ちゃんを出すのは上策じゃない。ですよね?」

千代「そうね…………あの、アッサムさん」

アッサム「?はい」

千代「あなたに1番手をお願いしたのは、実力があるのはもちろんだけれど、観察力に優れているからでもあるの。今の試合で、何か気付いた点はなかったかしら?」

アッサム「……そうですね……データにある通り、大星淡は2バース目まではかなり完成度が高いのですが、3バース目で急に失速します。そしてプレッシャーですが、1バース目から3バース目になるにつれ、徐々に弱まっていく感じでした」

アッサム「それともう1つ。彼女の放つプレッシャーですが、強敵や苦手なモノを前にした時の焦り、混乱、緊張感が全身に浮かび上がるようなイメージでした」

アッサム「彼女の持つ威圧感がそれだけ凄まじいのですが、同時にこうも思いました。『脅威ではあるものの、得体の知れない不気味さでは無い』と。私では防げませんでしたが、少なくとも、万人に通用する防御不能なモノとは感じませんでした」

千代「………なるほど。それは有力な情報だわ。ありがとう。アッサムさんに先鋒をお願いして良かったわ」ニコリ

アッサム「いえ……」

千代(アッサムさんのおかげで新たな情報を得られたのは大きいけれど……どうするべきかしら……)

ノンナ「私に行かせてください」

千代「え?」

カチューシャ「ノンナ!?どうしたのよ急に!」

ノンナ「私辺りが適任だと思ったもので」

千代「ノンナさん……」

千代(ノンナさんはその迫力から来る威圧感と、堅実なライムというスタイル。みほさんにも勝っているし、まだ出すのは早い気が………)

千代「ふふ……」

ノンナ「?」

千代(私は馬鹿ね。選抜されたメンバーだもの。誰を選んでも勿体ないと思うのは当然。その中で上手くやりくりをしなければいけないのに……今さら気付くなんて指揮官失格ね)クス

カチューシャ「な、なにを笑ってるのよ?プラウダがちゃんちゃらおかしいってわけ!?」プンスカ

千代「いいえ。ノンナさんが適任だと瞬時に判断できなかった自分のお馬鹿加減に笑ったのです」フフ

千代(威圧感には威圧感で対抗する。それに気付かないなんてね)

カチューシャ「あ、えー……」

ダージリン(あら。監督の自虐にカチューシャが言葉を選んでいるわ。成長したのね)クス

ペパロニ「監督もバカなんすか?私もよく言われるんすよー!バカ同士仲良くしましょう!」

ダージリン「」ピシッ


千代「……………………」

ペパロニ「でも意外だったっすよー!監督って賢い人と思ってたっすから!でもバカなら親しみやすいっすー!」

千代「………………………………」

アンチョビ「ば、バカ!ペパロニ!今すぐ監督に『そんなことないですよ』って言え!」

ペパロニ「え?はあ…………じゃあ……そんなことないですよ」

千代「……………………ふ」

ペパロニ「?」

千代「ふふ、安心なさってくださいなペパロニさん。私は何も気にしていないのだから」

ペパロニ「あー、わかる!すぐ忘れちゃうんすよね!だからバカだって怒られるんすよー」アハハ

千代「………………」

アンチョビ「も、もう黙ってろ!か、監督!バトルに集中しましょう!」

千代「………………そうね。ではノンナさん、お願いします」チラ

千代「あら?」

みほ「あ、あの……もうとっくにステージの方に行っちゃいましたけど……」

千代「………………」

ペパロニ「そんなことないですよー」

アンチョビ「あるよ!いないんだから!あとカルパッチョ!気配を消してアンツィオじゃないフリするな!」

カルパッチョ「バレましたか」ウフフ


【ステージ】

ノンナ「………………」

淡「ふーん、おねーさんが次の相手なんだ?へぇー」ニヤニヤ

ノンナ「…………ら……る」

淡「え?なあに?聞こえない」

ノンナ「私の前では二度と笑顔になれないくらい叩きのめしてやる、と言ったんです」

淡「っ……!」ビク

ノンナ「ふふ……冗談ですよ」

淡「え」

ノンナ「いいバトルをしましょう」

淡「………………」

淡(なんなの……わけわかんないやつ……!あんただってどうせ私の前じゃ役立たず同然になっちゃうんだから!)ブワッ..

ノンナ「!」

ノンナ(なるほど……凄まじいプレッシャーですね……不愉快な感覚)

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

ノンナ「……後攻で」

淡「やった、先攻」

役人「OK!それでは先攻、麻雀部チーム AWA-AWA!後攻、戦車道チーム ノンナ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=T5SBY9hzLrU 2:59

<第2戦 先攻 AWA-AWA VS 後攻 ノンナ>

淡「目が合った瞬間に 絶対勝てると思った」

淡「適任がいたんじゃないのかな? 別の子が」ワァァ!

淡「この人 背がおっきいだけの 木偶の坊」ワァァ

淡「マイクで エスコート あの世へ送る デスノート」ワァァァ!

淡「クラクラ朦朧 しちゃいなよ プラウダ高校」ワァァ!

淡「うだうだどうこう 言っても勝てない 無駄無駄どんどん」ワァァ!

淡「こっちはテンション上昇 あんたは顔色が苦悶」ワァ

淡「公文式で勉強する? 教えたげようか敗北って学問」ワァァァ!



ノンナ「今のバースと さっきのバトルの3バース目」

ノンナ「完成度が全然違う 別人が書いたんですか?」ワァ

ノンナ「つまりは 外部発注の ゴーストライター?」

ノンナ「私は自分自身のみ 即興で 勝負のファイター」ワァァァァ!

ノンナ「プラウダの名に泥を塗ることは 一切しない」

ノンナ「バカみたいな わかりやすい 失敗しない」ワァァ!

ノンナ「みんな覚えて帰る AWA-AWA 白糸台」

ノンナ「フリースタイルでは お前の 時代来ない」ワァァァ!



淡「時代来ない? 違うよ 今以上High になって」ワァァ

淡「盛り上がる 適当言ってる この人 勝手放題」ワァァァ!

淡「ゴーストライターなんて 存在が どこにあるの?」

淡「ここにあるのは私のみ そのリアルを 証明する」ワァァ!

淡「あんたはルックスだけのマジで 見かけ倒し」

淡「こんなところ出て来なければ 地元で 威張れたのに」ワアァァ!

淡「私は見た目以上に敵を飲み込む ブラックホール」

淡「ブラックジョーク を真実にしちゃう活動する」ワァァ


ノンナ「お前の言葉 そっくりそのまま返す」

ノンナ「こんなところ出て来なければ ネタがバレなかったのに」ワァ

ノンナ「肝心な部分は次のバースで 決まるだろうな」

ノンナ「そう つまりお前が本当に リアルかどうか」ワァァァ!

ノンナ「見かけ倒しに圧倒される 見下げたガキ」

ノンナ「小心者の小者 将来 昇進もNoだ」ワァァァ!

ノンナ「さあいよいよ 3バース目 待ちわびた 種明かし」

ノンナ「ダメじゃない と証明してみろ 出来るなら 上げな価値」ワァァ!



淡「価値はたくさん上げるよ そりゃ頑張って」

淡「だからこんな感じで ガンガンいっぱい手を振って」

淡「テーブルをガツンって叩くくらいの衝撃を与えちゃう」

淡「血とかそういう 痛い感じのあれが また出ちゃう」ワァ

淡「差が出ちゃう この人と私のでっかい実力差とか」

淡「いつも そう普段とか 実際全然違うから 能力差」

淡「そんな風に睨んだって 全然怖くないし ホントだし!」

淡「私は成り上がるもん 絶対 これで勝ち!」



ノンナ「一目瞭然 完成度が まるで別人」

ノンナ「この手詰まり感 代行頼んだのは メルカリか?」ワァァァァ!

ノンナ「落札 した時点で活躍 する権利などない 脱落だ」ワァァア!

ノンナ「お前のことだから 入札の時も汚い 雑な札」ワァァァ!

ノンナ「そんな手段で勝って 夢は成り上がり?」

ノンナ「そう甘くない 提供してくれてありがとう 笑い話」ワァァァ!

ノンナ「そんなザマで どのクチが言うんだ 高校100年生」

ノンナ「つまり90回以上留年してる バカは 隠せんねぇ」ワァァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!

淡「っ……!」

ノンナ「…………」


役人「では判定に入ります!先攻、AWA-AWAが勝ったと思う人!」

ワァァ..

役人「……後攻、ノンナが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「まずはノンナに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「ノンナ」

理事長「ノンナ」

トシ「ノンナ」

秋一郎「ノンナ」

南浦「ノンナ」

役人「勝者!戦車道チーム、ノンナ!」ワァァァァ!

淡「うぅぅぅ~~!」ワナワナ

ノンナ「………………」

淡「…………あ」

ノンナ「?」

淡「あくしゅ!」バッ!

ノンナ「…………ええ」ガシッ

淡「~~~っ!」ギュウゥゥゥ!

ノンナ(……思いきり強く握ってきた……でもあまり痛くありませんね)

ノンナ(とはいえ、やられっぱなしも癪なので……)ギュゥゥゥ!

淡「痛い痛い痛い!ごめんなさい!もうしません!」

ノンナ「……おあいこです」パッ

淡「うぅぅ~……」ジロリ

ノンナ(涙目で睨まれても……)

淡「ノンナ!」ビシッ

ノンナ「……指差した上に呼び捨てですか」ギロリ

淡「っ!……さん」

ノンナ「よろしい」

淡「次は100回倒す!」

ノンナ「倒す?タメグチですか?」ギロリ

淡「たっ、倒しちゃうんですから!」

ノンナ「よろしい」

淡「うーーー……」

ノンナ「まだなにか?」

淡「うわーん!テルー!この人やだー!」ダダダダダ!

ノンナ(…………やはり少し生意気な子は可愛らしいですね。もちろん、カチューシャの方が遥かに可愛らしいですが)クス


【舞台袖 麻雀部側】

淡「ごめんテルー!負けちゃった……」

照「もぐもぐ……美味しい……」モグモグ

淡「あー!ショコランタンに夢中になってる!お菓子より私を慰めてよー!」

菫「このお菓子はかなり美味しいと評判だ。だから淡が軽視されても別に傷付くことないぞ?」

淡「そういう慰め方じゃないんです!テルー!」

照「……バトルは観てた。淡は頑張ってたと思う」

淡「テルー!」パァァア..

照「だから……ショコランタンを食べた」

誠子「だからの意味がわかんないですけど……」

ゆみ「しかし、あの負け方は確かに意外だった。相手が上手かったのは事実だが、大星さんの支配力をどう凌いでいたのか……」

美穂子「相手の方もかなり威圧感のある人でしたから、支配力を相殺したということでしょうか?」

智葉「そうだろうな。麻雀の卓上であれば大星の支配力に対抗する術もないだろうが、このフリースタイルバトルでは麻雀の時ほどの支配力は発揮できなかった……そして相手は、大星の支配を跳ね除けるだけの威圧感、迫力を持っていた。だから初戦ほどの効果が得られなかったと考えるのが妥当だろう」

怜「ここから見ててもめっちゃ怖そやもんなぁあの人」

洋榎「そうか?そない悪い人に見えへんけど」

怜「それが逆に怖いねん」

洋榎「ようわからんなぁ」

久「それより、次は誰が行くのかしら?あの人と相性が良さそうなのは……DVDを見た限りでは、韻を重視したタイプが苦手みたいだけど」

晴絵「うーん……その意見もわかるけど、でもここはオーソドックスで。憧、行ける?」

憧「私?もちろん大丈夫だよ」

晴絵「じゃあ頼んだ」

憧「おっけ。任せて!」

玄「頑張って!憧ちゃん!」

宥「応援してるね」フルフル

灼「普段通りやれば勝てると思…」

穏乃「ゴーゴー!憧ー!」

憧「うんっ!」


【舞台袖 戦車道側】

カチューシャ「やった!ノンナが勝ったわ!」

千代「見事ね。期待に応えてくれたわ」

麻子「……舞台袖にも届くあのプレッシャーを跳ね除けるとは」

みほ「うん……すごいよね」

ケイ「このまま17人抜きしちゃうんじゃない!?」

アリサ「いえ、あと16人ですから」

ケイ「司会者も倒しちゃうとか!」

アリサ「意味わからないですって」


【ステージ】

憧「………………」ジー..

ノンナ「?」

憧(背でかっ!ていうかスタイルいいなー、羨ましい)

役人「それでは第3戦を始めます!」

憧(っと、バトルに集中しなきゃ)

ノンナ(……この子、1年生でしたか。ずいぶん肝が据わっているようですね。舞台上でも堂々としている上、私を前にしても臆することが無い)

役人「第3戦は、ノンナ VS ATARAの試合です。先攻後攻、じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

憧「後攻でーす」

役人「OK!では先攻、戦車道チーム ノンナ!後攻、麻雀部チーム ATARA!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=WPnAvukJ2S8 3:00

<第3戦 先攻 ノンナ VS 後攻 ATARA>

ノンナ「チャラそうなヤツ 楽勝 必ず勝つ」ワァ

ノンナ「勢いに逆らわず からかわずサクッと」ワァァ!

ノンナ「デリートして3人目を 待ちわびる」

ノンナ「ステージ上でも冷静 家、学校 街やビル」ワァァァ!

ノンナ「ずっとブレない そして潰れない 鋼の心臓」

ノンナ「そして踏み続ける ヤベめの韻を」ワァァァ!

ノンナ「こうしてよく見たら ATARA可愛い」

ノンナ「でも仕留めなければいけない だから悲しい」ワァァァ!



憧「ごめん 意味がよくわかんないから 可愛いってとこだけ受け取っとく」

憧「素で褒めればポイント高め 余計なテーマ付け加えるなら ほっとく」ワァァ

憧「ヤバめの韻ってことはヤバそうなだけでヤバくは無い つまり未満」ワァ

憧「自慢か控えめか ハッキリしない 理解したいけど無理みたい」ワァァァ

憧「こうやって早口で語り掛ける ように畳みかける スタイル そして」

憧「反応確かめる 余裕と冷静もあるMCがATARAだから」ワァァァ!

憧「ここで負けて足止めされても 気付かず待ちぼうけ」ワァ

憧「その姿を待ち受け画面にして眺める ヤバイ マジウケる」ワァァ



ノンナ「お喋りな女は嫌われる 一生来ない モテ期」ワァァ

ノンナ「年取るごとに 内容が愚痴になる 当然に」ワァァ!

ノンナ「相当元気 みたいだけど 今だけというオチだ」

ノンナ「もっとどっしりと構えて 少しは 余裕もちな」ワァァァ!

ノンナ「人がただ待ってる姿を待ち受けにする 悪趣味だ」

ノンナ「もっと健全な話題に 食いつきな」ワァァ

ノンナ「というか私を待ち受け画面 つまりは ファンなのか?」

ノンナ「なら仕方ない許そう かましてきなさい あんたの番」ワァァ


憧「ファンじゃないけど悪趣味を許されたなら握手しましょ」ワァァ

憧「モテ期とか もう敵に言われても 別にとしか思わない私的に」ワァァ!

憧「少なくともこのステージ上ではカッコいいフリースタイルのショー見せて」

憧「フロウを披露して勝利した方がモテると思うんだけど違う!?」ワァァァァァ!

憧「高3でどっしりとか早すぎ ペンキ塗りたて のベンチに座ったみたい」

憧「演技しすぎじゃね? それって私がやりたいスタイルじゃない」ワアァァ!

憧「年取るごとに愚痴吐く 嫌味な性格になる 事実みたい」

憧「2個上のノンナさん 説教臭い 結構ウザい 絶交したい」ワァァァァ!



ノンナ「いつ私が演技した? 言いがかりで 適当」

ノンナ「こんな敵と 真面目にやりあうのは辟易となる」ワァァ

ノンナ「情報量が多いだけで薄味 中身が無い」

ノンナ「上手く回る舌とクチだけしか 褒める箇所が無い」ワァ

ノンナ「絶交も何も今日が 初めましてのはずだ」

ノンナ「舐めた態度 こめかみ潰しに手伸ばすか」ワァァア!

ノンナ「確かに この勝負は フリースタイルバトルだ」

ノンナ「だが このまま お前は 無事に帰るかどうか!」ワァァア!



憧「『無事に帰れるかどうか』でしょ 韻のために言葉こねくり回す」

憧「全然本心とコネクト出来てない つまらないライムコレクション」ワァァ!

憧「私は舌とクチ褒められたけど ノンナさんはルックスだけ」

憧「情報量が少なくても濃くはない パンチラインも特には無いし」ワアァァ!

憧「脅しみたいなことしても今年 にそれする?ってダサイよ本当に」ワァァ!

憧「フロウ普通だし なんか一応 程度だからアンサー微妙だし」ワァァ!

憧「結局不器用で不必要な言葉 韻のために無秩序」ワァァァ!

憧「もうフリースローのよう 勝負決まったっしょ 次行こう」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!


役人「では判定に入ります!先攻、ノンナが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、ATARAが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「まずはATARAに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「ノンナ」

理事長「ATARA」

トシ「ATARA」

秋一郎「ATARA」

南浦「ATARA」

役人「勝者!麻雀部チーム、ATARA~~~~!」ワアァァァ!



【舞台袖 麻雀部側】

穏乃「うおおおお!憧が勝ったーー!かっけーーー!!」

玄「憧ちゃんすごいね?あんなにポンポン言葉が出るんだもん」

灼「同感。やっぱり憧は頭の回転が早い」

淡「ぬぬぬ……私に勝ったあの人にあっさり勝つなんて……ッ!新子憧も100回倒す!」

菫「その調子だと100回倒す人ばかりになるぞ」

照「もぐもぐ……しあわせバター味おいしい……」


【舞台袖 戦車道側】

ノンナ「すみませんカチューシャ。負けてしまいました」

カチューシャ「ノンナは頑張ったわよ。勝負は時の運だもの。しょうがないわ」

ノンナ「……はい」

千代「お疲れ様」

ノンナ「もう1人くらい倒しておきたかったのですが」

千代「いいえ、大星さんを倒してくれただけでもとてもありがたいわ」

千代(実際、ノンナさん以外の子で相性がいいのは、まほさんくらいだろうから)

ミカ「ATARAさんもなかなか出来るようだけれど……次は誰が出るんだい?」ポロロン

千代「……そうね」

千代(ATARAさんは、あれだけの早口でありながらアンサーは的確で細かいライミングも入れてくる。あまり隙の無いオールラウンダーなタイプ……)

ナオミ「……私が行っていいですか?」

千代「ナオミさん?」

ナオミ「勝てる確信があるわけではないんですけどね、ただ戦えそうな気がするので」

ケイ「オッケー!その意気や良し!サンダース魂を見せてやりなさい!」

ナオミ「ああ!」タタッ

千代「あ、え、あの……私はゴーサインを出したわけでは……」

ペパロニ「もう行っちゃったっすよ」

千代「……まあ……彼女で問題は無いけれど。力はありますから」

ケイ「ファイトよナオミー!」



【ステージ】

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

ナオミ「後攻を選ばせてもらうよ」

憧「ちぇっ」

役人「第4戦!先攻、麻雀部チーム ATARA!後攻、戦車道チーム ナオミ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=jKvbEIFNJqo 3:30

<第4戦 先攻 ATARA VS 後攻 ナオミ>

憧「ノるの難しそうな このビートでも攻略して 超楽にラップ」

憧「パチンコのKYORAKUより 道楽のようなノリで 勝ってナオミ ここで凋落」ワァァア!

憧「今日明日のことじゃなく この一瞬で実寸 等身大でぶつかる」ワァ

憧「負けるかもしんない なんて思わない 勝利オンリー 渾身の言葉」ワァァ!

憧「前のバトルで敵のMIHOに塩送ってた まるで上杉謙信」

憧「スポーツマンシップあるけど負けちゃダメでしょ 私はブレずに前進」ワァアァ!

憧「味方全員をけん引して勝利に導く役目 担ってます」ワァァ!

憧「悲しいかな ナオミさんは その引き立て役になってます」ワァァァ!



ナオミ「人を踏み台にしなきゃいけない その思想は病んでいる」ワァァ

ナオミ「悩んでいる か理由はわからない 私は穏やかに 佇んでいる」ワァァ!

ナオミ「自分のことだけで周りが見えてない 典型例」

ナオミ「喋りまくって相手の話を聞きやしない 0点です」ワァァ!

ナオミ「ノンナも言ってたけど 本当にいい女はあまり 喋らない」

ナオミ「メイクとかおしゃれを頑張ってたとしてもそれじゃ ダメじゃない?」ワァァ!

ナオミ「確かに上杉謙信みたいな行為をしたかもしんない」

ナオミ「でも後悔は無い 武田信玄のように強い信念を持っているからな!」ワァァァ!



憧「いい女論を勝手に展開して進言プラス因縁付けられてる」ワァァ!

憧「近年まれに見る不条理 一瞬呆れてなっちゃった無防備」ワァァ!

憧「そもそもマイク握って立ってる時点で 斬って去ってくような気分で」ワァ!

憧「ぶつかり合いしてる つまり別にモテようとして無いんですけど!?」ワァァァ!

憧「人を病んでいる 悩んでいると 思い悩んでいる人が病んでいる」ワァァ!

憧「なんていうか 不安ていうか ノープランで言うから わけわからない」ワァァ!

憧「ナオミの手には歪んだ物差し もどかしい けど想像は自由」ワァ!

憧「イメトレしてろ 自分の中だけに収めなよ どうかしてる」ワァァ!


ナオミ「モテようとしてないのにモテてしまうのが 悩みのタネ」ワァァァ!

ナオミ「それが魅力ってもの お前の意思なんて微々たるモノ 意味を持たねぇ」ワァァア!

ナオミ「人を病んでいる 悩んでいると 思い悩んでいる人が病んでいる」ワァァ!

ナオミ「と思う人は病んでいるし悩んでいる 思い悩んでいる」ワァァァァ!

ナオミ「マイク握って切った張った より声出し切って勝った方がいいだろ?」ワァァ!

ナオミ「しかも去っちまったら勝者のコールさえも聞こえないだろ?」ワァァ

ナオミ「要領を得ないんだよ そんなんじゃ 許容量を超えないんだよ」ワァァァ!

ナオミ「早口上等 バトルは共同作業 このまま行く そんな衝動と願いだよ」ワァァァ!



憧「衝動と願い? 相当のエラい ナルシスト 怒鳴る必要あり」ワァァ!

憧「みんなの憧れ高嶺の花? あっそ 気にしない 情け容赦ない」ワァァ!

憧「あんたはイタイ子 耳が痛いっしょ? 理解出来た? 違いに気付けた?」

憧「どれだけモテてるのか知らないけど 私よりビートにノれてはいないわね!」ワアァァア!

憧「まだ4戦目なのに 声出し切って 燃え尽きて 灰と化す」

憧「切なすぎる 刹那主義 感情が欠落し 散らばる 愛の滓(かす)」ワァァ!

憧「私は相も変わらず 対戦相手を限界まで追い詰める」ワァァ!

憧「敏捷性とメンタル尋常でない 超ヤバイ ATARA!」ワァァ



ナオミ「ATARA、ルックス、滑舌いい かつ絶倫」ワァァァ!

ナオミ「だとしたら理想的かもね 闇夜に女体が輝く月輪」ワアァァ

ナオミ「声出し切ったとしても問題ない コップ1杯の水飲めば」

ナオミ「たちまち復活してキックする バース まるでフェニックス!」ワァァァ!

ナオミ「元気な私は すぐさま開くよ ATARAのキレイなチューリップ!」

ナオミ「享楽と快楽を挨拶代わりに決め込む 中心部!」ワァァァ!

ナオミ「チューニングを合わせるように 徐々に調整し 声で肯定を想定し」

ナオミ「フィナーレまで一気に走破 ドーパミン 分泌 止まらない冒険心」ワァァァ!



終了ーーーーーー!!!

ワァァァ!


役人「では判定に入ります!先攻、ATARAが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、ナオミが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「まずはナオミに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「ナオミ」

理事長「ATARA」

トシ「ATARA」

秋一郎「ナオミ」

南浦「ナオミ」

役人「勝者!戦車道チーム、ナオミ~~~~~!」ワアァァァ!

憧「マジかぁー……」ガクッ

ナオミ「…………」ホッ


【舞台袖 戦車道側】

ケイ「勝った!ナオミがやってくれたわ!」

千代「3バース目はATARAさんの1バース目のパチンコのKYORAKUを拾って、かつ下ネタ(享楽、チューリップ)に絡めつつライミング……リズムキープも上手で抑揚が効いてるフロウは安定していたわ」

アンチョビ「それにしても……まだ4回だけだが、勝って負けての繰り返しだなぁ」

杏「しゃーないっしょ。勝ち抜き方式で、オーダーはその場で決められるんだから、後出しじゃんけんみたいなもんだよ。相性とか見て、勝てそうな子をステージに送るんだしさ」

オレンジペコ「でもこのまま交互に勝ち負けが続いてしまうと、最初に勝った麻雀部チームの勝利になってしまいますね。どこかで2人抜きしなければ……」

杏「そだねぇ……ま、その辺りは島田監督に任せりゃいんじゃないかな」

千代「…………」

千代(イマドキの子に期待されているわね……その期待にジャストミートさせなければならないわ)



【舞台袖 麻雀部側】

憧「負けたー……超ショックなんだけど」

穏乃「お疲れ憧!カッコよかったよ!」

憧「ありがと…………あー、でも今のは勝ちたかった~」

晴絵「僅差だったね」

憧「…………だけど負けたのは納得できちゃうのが悔しい。あの人、結構強いよ。ハルエ、誰を当てるの?」

晴絵「そうね……ナオミさんはアンサーが上手いから…………園城寺さん、いける?」

怜「私ですか?」

晴絵「うん」

怜「もちろん行けます」

竜華「と、怜!ステージの上はあっついあっついかもしれへん!念のため、うちも一緒に出て、膝枕したままフリースタイルしよか?」

怜「嫌や。そんなんアホみたいやん。気持ちだけ受け取っとくわ」

竜華「怜……」

怜「……いや、そんな顔せんといてって。無理はせえへんから」

晴絵「園城寺さん、体調悪くなったら司会の人に言って途中棄権するんだよ?絶対無理しないようにね」

怜「ありがとうございます。ほな、行ってきます」ザッ..

竜華「怜……」

セーラ「平気やって。過保護やなぁ、竜華は。怜なら大丈夫や」

竜華「……うん、そう信じてる。でも心配なのは怜の体調のことだけやないねん」

セーラ「?他に心配することあんの?」

竜華「怜がディスられたら……うち、ステージに駆け込んで相手の頭カチ割ってまうかも……」

セーラ「こわっ!」

セーラ(怜を見守るよりも竜華を見張っとった方がええな、うん)


【ステージ】

怜「………………」

ナオミ「………………」

ナオミ(園城寺怜さん。可愛いって以外の情報は特に無い。秋山さんのデータでは、合同練習時のバトルも平凡で『メンバーの選考外になると思われる』とあった)

ナオミ(その園城寺さんが出てくるということは、何かしら理由があるはず。心してかからないとね)

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

怜「後攻で」

ナオミ「?」

役人「あの……じゃんけんをしてからお願いします」

怜「こら迂闊……申し訳ない」

ジャンケンポン

怜「後攻で」

ナオミ「………………」

ナオミ(なんだろうか今のは……?まるで勝つことがわかっていたような……大洗の会長のような強運の持ち主……ではない気がするけど)

役人「OK!先攻、戦車道チーム ナオミ!後攻、麻雀部チーム Toki!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=pr6z6nUmHF4 2:43

<第5戦 先攻 ナオミ VS 後攻 Toki>

ナオミ「華奢でキュートな カワイコちゃん」

ナオミ「キツめのディスやめようかな 可哀想じゃん?」ワァァ!

ナオミ「およそHIPHOPとは 縁が無さそう」

ナオミ「友達とかが誘う ままここにやって来たのかも」ワァ

ナオミ「けど 私は容赦をしない」

ナオミ「紅茶飲みたい アッサムと同様 優勝したい」ワァァ!

ナオミ「躊躇もしない 急所を見たい」ワァァ!

ナオミ「…下品すぎたね でもこれも私らしいみたい」ワァァ!



怜「急所を見たい? ずっと見えてるやん ほらアゴ」ワァァァ!

怜「縁が無さそう その通り メンバーが誘う から参加」ワァァァ!

怜「可哀想とか言うといて 容赦せえへんて…」

怜「支離滅裂な人間ほど 超ヤベーねんで?」ワァァァ!

怜「確かに私はゴリゴリのHIPHOP通やないわ」

怜「けど負けるのは懲り懲りやから 語尾をきちんと踏んで」

怜「ラクロスのゴーリーより 堅い守備とゴリ押しで勝つ」ワァァァア!

怜「下品なんは見た目でわかるけど 一言ソーリーって言えや」ワアァァ!



ナオミ「OH……思ったよりキツイ言葉吐くんだね」

ナオミ「性格ってやつは人間の芯の とこから来んだぜ」ワァァア!

ナオミ「私は下品 Tokiは 性格が悪い」

ナオミ「たりないふたりだ 男なら マジナイスガイ」ワァァァ

ナオミ「でも女同士 こんなノリ で戦っていこうよ」

ナオミ「だけど私に勝つなんてのは 無駄な抵抗よ」ワァァァ!

ナオミ「正攻法 それとも奇襲戦法なんでもいい」

ナオミ「受けて立つからガンガン 立ち向かって来い」ワァァ!


怜「1勝しただけでチャンピオン気取り? 寒いわ」

怜「ライラライラライラライラライか?」ワァァァ!

怜「同情出来ん トぶなら せめて合法的にしとき」ワァァ!

怜「将来 中学12年生 になってまうっちゅう危険性 あるで」ワァァァァ!

怜「けどまぁ みんなちがって、みんないい」ワァァ!

怜「わけやから 韻無しだって、めっちゃいいし」ワァァァ!

怜「こうやって CreepyNuts の フリ生かす」ワァァァ!

怜「爆ぜろ! 言われても知らん グラビティはゼロ」ワァァ!



ナオミ「グラビティはゼロ それじゃダメでしょ」ワァ

ナオミ「肩の荷 背中に仲間の気持ち 乗せてこう」ワァァ

ナオミ「別に思ってないよ チャンピオンとはさ」

ナオミ「ただ即興の発想で戦う Not 暗記王」ワァァ

ナオミ「というか忘れない チャレンジャー気質」

ナオミ「目標設定 達成するために カレンダーに印す」ワァァァ!

ナオミ「混ぜんな危険 そこらの適当なヤツと」ワァァ

ナオミ「真剣に人生を生きる こんなラスト」ワァァ!



怜「そんなとんがらずも ええやん ホンマ熱そう」ワァァァ!

怜「平熱でええねん 例年通りやれば 勝てんねん」ワァァ!

怜「『肩の荷』って言うてもうてる 仲間の想いは重荷なん?」ワァァ

怜「即興やから 芯から来てる言葉なんやろなぁ」ワァァァ!

怜「真剣に人生を生きる? あんたフェニックスやろ?」ワァァァ!

怜「不死鳥やのに そんなん言うて ホンマ適当なヤツ」ワァァァ!

怜「メチャクチャなコントラスト ええんか?そんなラスト」ワァァ!

怜「でもええか どんなヤツも みんなちがって、みんないいんやから」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!!」

ワァァァァ!


役人「では早速判定に入ります!先攻、ナオミが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「……後攻、Tokiが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「まずはTokiに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「Toki」

理事長「Toki」

トシ「ナオミ」

秋一郎「Toki」

南浦「Toki」

役人「勝者!麻雀部チーム、Toki~~~~~!!!」

ワァァァァ!

怜「」フー..

ナオミ「………………」

ナオミ(参ったな……)


【舞台袖 戦車道側】

ナオミ「ただいま」

ケイ「おかえり!残念だったわね~!」

ナオミ「正直、完敗だよ。彼女、かなり強いね」

千代「ええ。声量が少し足りてないけれど、フロウのリズムが気持ち良い上に、アンサーがかなり的確ね」

杏「ナオミの『たりないふたり』から即座にCreepyNutsのたりないふたりの収録曲を含めつつライミングとかかなり高難度だよね」

愛里寿「向こうのチームのエースと言われても納得できるレベル」

みほ「うん。でもそれだと序盤に出すのはどういう狙いなんだろうって話になるけど……」

優花里「病弱で体力が無い、というのが関係しているのでしょうか?」

みほ「あ、なるほど。待ち時間で緊張して体調を崩すのを避けるため、とか?うーん……」

まほ「彼女がエースかどうかはさておき、誰が彼女に当たるべきか、そして対策を練った方がいいだろう」

麻子「……あくまで予測に過ぎないが、あの人の強さの秘密がわかったような気がする」

まほ「何?」

沙織「というかさっきから何を見てたの?」

麻子「全国高校生麻雀大会の牌譜だ。秋山さんたちの偵察によって、大星淡が麻雀の時と同様に相手を弱体化させるとわかった。つまり麻雀とバトルスタイルは一致するという仮説が成り立つ。だから一応参加校の全員分の牌譜を事前に用意してもらっていただろう?」

沙織「うん。麻子と角谷先輩と監督以外誰も見てないけどね…」

みほ「……う、麻雀わかんないから……」

麻子「それは構わない。誰かが見ればいいからな。で、私は麻雀部の偵察データにある、秋山さんたちが予想した『出場するであろう選手』の牌譜は一通りチェックしていたんだが、Tokiさんは不出場だろうとされていたから見ていなかった」

華「それで今見ていたのですね」

麻子「ああ。Tokiさんの強さには麻雀が関係しているかもしれないと思ってな。すると…」

千代「その時、特派員が見たモノとは?」

麻子「え?」

千代「…………あ………………なんでもないわ。どうぞ」

麻子「……はい」

千代(イマドキの子が『投稿!特ホウ王国』を知るはずもない……私としたことが……)

麻子「……気付いたのは、この人はまるで未来を予知しているかのような打ち方をしていたこと」

千代「な、なんだってーーー!!?」

麻子「………………」

千代「…………こほん。続けて」

麻子「……次にどの牌が来るのかがわかっているような……相手が何を切るのかを知っているとしか思えない打ち方が記録されている。そこから考えると…」

華「大会本部の人と黒い繋がりが…」

麻子「いや、それは無いと思う」

華「あら」

麻子「……未来予知が出来るのではないか、という話だ」

みほ「ま、まさかそんな……」


麻子「あくまで一巡先、らしいがな」

ミカ「一巡先?来世までわかるのかな?」ポロロン

麻子「麻雀で言う1周のことだ。ちなみに、牌譜以外にネットで調べた結果、三尋木というプロ雀士が解説で『一巡先を見る者』と全国放送で言っている」

みほ「うわ、バラされちゃったんだ……」

優花里「秘匿情報を第三者が漏らすなんてぇ!非道ですぅ!」

ナオミ「……なるほど。麻雀での才能はフリースタイルバトルでも応用出来るとすれば、一巡先を見るというのはつまり……」

アリサ「1バース先……つまり相手が何を言うか事前にわかるってことでしょうね」

ケイ「ンー……相手が何言うかわかってればアンサーは返しやすいわね。どのタイミングでわかるのか知らないけど、相手のバースを聞かなくてもわかるなら、相手の番の時に、次に何言おうか考えられる」

エリカ「何よそれ!不公平だわ!」

小梅「でも、相手のバースって30秒あるかないかくらいだし…」

カチューシャ「充分よ!普通ならラップ聴きながらしゅしゃせんたくとかしなきゃいけないんだから!」

ミッコ「でもこれって、対処しようがないんじゃ?」

愛里寿「……総合力で叩き潰すか、矛盾を生まないようにして付け込む隙を与えないようにする……ぐらい?」

ダージリン「ふふふ……みなさんお悩みのようね」

まほ「ダージリン……何かいい策があるのか?」

ダージリン「いえ?ただ現状を言葉に出してみただけ」

まほ「………………そうか」

千代「………………」

千代(冷泉さんの予測が正しければ、Tokiさんを倒すにはスキルで上回りつつ、彼女に負けないレベルのアンサーを返す必要がある。あるいはバイブスで押し込むか)

千代(または、彼女と同じくアンサーが得意で、若干捻くれた性格の子……)チラ

アリサ「…………」

オレンジペコ「…………」

千代「…………アリサさん、行けるかしら?」

アリサ「え、私ですか?」

千代「ええ。あなたなら勝てると私は思うのだけど」

アリサ「は、はい!期待に応えられるよう頑張ります!」

ケイ「ワオ!サンダースが2連続!次が私なら大当たりね!」

アリサ「大当たりの意味がわかりませんよ」

千代「…………」

千代(アリサさんは意外とライミングも上手……勝機はあるはずよ)


【ステージ】

怜「…………」

アリサ「…………」

アリサ(この人、体力無いのよね?だったらここで色々アクシデントを装って時間を稼いで、長時間照明を浴びさせれば消耗させられるかも……)

アリサ(って、それはさすがに卑怯よね。監督もそんなつもりで私を選んだわけじゃないし。たまには素直に期待に応えるわ!)

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

怜「後攻」

アリサ「…………」

アリサ(もしかして、じゃんけんでも相手が何を出すか予知出来てるわけ?いや、そんな非科学的なことあるわけ……)

役人「OK!先攻、戦車道チーム アリサ!後攻、麻雀部チーム Toki!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=naMH64YmShw 2:57

<第6戦 先攻 アリサ VS 後攻 Toki>

アリサ「儚げな表情 似合いそう 麦わら帽子」

アリサ「でもステージ映えせず お払い箱 次からもういい」ワァァ!

アリサ「まず あんたは全っ然 声出てない」

アリサ「それでバトル勝とうだなんて おめでてーなあ!」ワァァ!

アリサ「ジャンケン勝って後攻 2連続のパイセン」

アリサ「そんなんじゃ 絶対になれやしないわね マイメン」ワァ!

アリサ「というか そもそもなんか気に入らない 関西弁」ワァァ!

アリサ「新喜劇みたいに 笑わせてみなさいよ 団体芸」ワァァ!



怜「え、私芸人ちゃうねんけど? 誰と間違うてんの?」ワァァ!

怜「関西人イコール芸人 古い価値観もうええよ」ワァァ!

怜「パイセンらしせなアカン? ならあんたも 敬語使いぃな」ワァァ!

怜「声出てへんねん とか 偏見とか めんどくさい~わ」ワァァァ!

怜「マイメンなりたない 私の採点じゃ あんた30点や」

怜「おめでてーあんたより ナオミの方を愛でてぇわ」ワァァァ!

怜「新喜劇的よりも韻奇跡なほど重ねたり」ワァァ

怜「重ねへんかったり 変化あったり……かったりぃ」ワァァァ!



アリサ「かったるいんだったら 今すぐ帰りなさいよ!」ワァ

アリサ「韻を重ねるかどうかも悩むなら 帰りは迷子!」ワァァ!

アリサ「あんたの偏見も相当ね 私の点数が30点?」

アリサ「50はあるでしょう? ディスるための採点と勘ぐってる」ワァァァ!

アリサ「声が出てないって言ったらスネる」

アリサ「イタいガキと同レベル つまり 互角です」ワァ!

アリサ「きっと甘やかされて育った 産湯は 水素水とか?」ワァ!

アリサ「常識知らずな内容を 不意のツイートだ」ワァァァ!


怜「不意のツイート? ちゅうか敬語の話 無理そう不履行」ワァァァ!

怜「己で決め付けて重ねんなや 罪と罪を」ワァァァ!

怜「水素水とか迷子とか知らんやろ いつ確認 したんや?」

怜「ツイッターってスマホやろ? ほなら使うわ 地図アプリ」ワァァァァ!

怜「かったりぃのはお前の相手や 適当になんや誤魔化す」ワァ!

怜「こんなんやで?『お前が嘘つくたび増えるで そばかす』」ワァァァ!

怜「なんでもありで声デカイ方が勝つとか おもんないわ」ワァァ!

怜「内容とかアンサーとかそういうとこ汲み取って 慮(おもんぱか)りな」ワァァァァ!



アリサ「慮りな? あんた何様? 私の 顧問か何か?」ワァァァァ!

アリサ「さすがパイセン 権力あるけど発言 ほとんど間違い」ワァァ

アリサ「誤魔化してんのは あんたでしょ めんどいで全部 片付けてる」

アリサ「正面から向き合わないで 斜に構えて やっぱスネてる」ワァ!

アリサ「ズレてる感覚 気付いてない そんなタイプ」

アリサ「あんたの面白いってのが世間では全く おもんない」ワァ!

アリサ「だからここで門前払い 縁が無い って話」ワァ

アリサ「私は結果出して 残して 飛び出して 上り詰める!」



怜「最後『上り詰める!』って大声しか手が無かったやんな?」ワァァ

怜「ごめんな? 別に追いつめる!…つもりなかってんけどな」ワァァァ!

怜「私はパイセンやけど 悲しいくらいに 権力あれへんよ?」

怜「っちゅうか権力なくても勝てるし 全力出せへんよ?」ワァァァァ!

怜「後半、言うこと無くなってもうて もはや 消化試合」ワァ

怜「もう勝ちたい 気持ち無かってんやろ? 無理やもんな お立ち台」ワァァァ!

怜「けど最後まで戦ったから 一応、称賛 送るで?」

怜「全部踏まえた上での採点 再計算 60点」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!

アリサ「っ…………」

怜「…はぁぁ………しんど」


役人「では判定に入ります!先攻、アリサが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「……後攻、Tokiが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「まずはTokiに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「Toki」

理事長「Toki」

トシ「Toki」

秋一郎「Toki」

南浦「Toki」

役人「勝者!麻雀部チーム、Toki~~~~~!!!」

ワァァァァ!


【舞台袖 麻雀部側】

竜華「怜……大丈夫やろか?」

セーラ「団体練習ん時は偵察がおったから力は使わへんかってんやろ?限界はどんくらいなん?」

竜華「夜に部屋で試した時は5試合分くらいは全然平気言うてたけど……」

セーラ「本番なったら消耗は激しいやろうな……怜のやつ、2バース先とか視てへんやろな」

竜華「あ、それは無理や言うてたで。視ることは出来るらしいねんけど、麻雀の場合はどの牌を切るかと鳴くか鳴かへんくらいの選択肢やけど、フリースタイルバトルの場合は怜の言葉によって内容がガラッと変わってまうらしいわ。せやから1バース先以外意味ないって」

セーラ「なるほどな……」

竜華「危ない思ったらすぐに力使うのやめるよう言うてあるけど……もし無理して倒れそうなったらうちがすぐに飛び出して止める!」

穏乃「…………」

穏乃(前に怜さんが倒れそうになった時に助けるところを見たことがあるけど、竜華さんの瞬発力はすごい。山育ちとして負けられない!)メラメラ

憧「?なんでしずが張り切ってるの?」

灼「さあ」


【舞台袖 戦車道側】

アリサ「すみません……ダメでした……」

ケイ「ドンマイ!アリサは頑張ったわよ!ナイスファイト!」

アリサ「でも正直……Tokiさんの言葉通り、言うことが無くなってしまって……上手い具合に返せなかったです。それと、じゃんけんで何を出すのかも予知されてるかもしれません」

杏「それじゃ絶対じゃんけん勝てないじゃん。うっわ、ずりー」

柚子「会長が言いますか……」

杏「もう会長じゃないよん?」

柚子「わ、わかってますけど……ついクセで」

千代「……やはり先読みは相当厄介ね。それに調子が上がってきたのか、さっきの試合よりフロウが鋭くなっていたわ」

カルパッチョ「ノリやすいビートだったというのもあるでしょうけどね」

愛里寿「お母様。次負けてしまうと3人抜きになってしまいます。これ以上は…」

千代「わかっているわ」

沙織「だ、誰が次に行くんですか?みぽりんなら勝てるかも!」

みほ「ど、どうだろう?何を言うかバレてる人相手に勝つ自信は無いなぁ…」

千代「………………」

スタッフ「次の選手、そろそろ準備をお願いします」

アンチョビ「監督……」

ケイ「決まらないなら私が行こっか?」

千代「……いえ、もう決まっています」

ペパロニ「誰っすか?ドゥーチェっすか?」

千代「違うわ」

ペパロニ「ドゥーチェじゃダメみたいっす」

アンチョビ「ダメとは言ってないだろ!傷付くからやめろ!」

千代「…………あなたに託すわ」

千代「ロサ・カリーナさん」

桂利奈「えっ?わ、私ですかぁ!?」

千代「ええ。今の状況から考えて、ロサ・カリーナさんがベストだと私は思うわ」

桂利奈「で、でも……」

スタッフ「すみません、そろそろ……」

千代「自信を持って。あなたらしさを見せつけるのよ」ニコリ

桂利奈「わ、わかりました……!」

梓「頑張って!」

優季「絶対勝てるよ~♪」

あや「ファイト!」

紗希「………………」

あゆみ「紗希も応援するって言ってるよ!」

桂利奈「あ、あいーーーー!頑張る!行ってきます!」タタッ!


【ステージ】

役人「さあ、Tokiさんが2人抜きを達成しましたが、次の試合はどうなるでしょうか?」

怜「…………」

桂利奈「…………」ドキドキ

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

怜「後攻」

桂利奈(!やっぱり未来がわかるの!?そんな人に勝てるわけ……)

桂利奈(…………ううん、監督は『自信を持ってあなたらしく』って言った。だったら私は言われた通り頑張る!)

役人「OK!では始めます!先攻、戦車道チーム ロサ・カリーナ!後攻、麻雀部チーム Toki!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=P0mDuaDdIWc 2:33

<第7戦 先攻 ロサ・カリーナ VS 後攻 Toki>

桂利奈「ジャンケン強い アンサー上手い Toki」

桂利奈「まるで未来予知 ジョジョのトト神」ワァ!

桂利奈「オインゴボインゴブラザーズ」ワァ

桂利奈「ペース乱すため Tokiの ブラ触る」ワァァ!

桂利奈「それは冗談 ちゃんとオーラを持って」

桂利奈「挑む 勝ち負けは コインの裏表」ワァァ!

桂利奈「逆にTokiに使う 北斗有情拳」ワアァ!

桂利奈「この人 言葉キツイけど 朴訥(ぼくとつ)そうです」ワァァァァ!



怜「ほくとうじょうけん? 知らんわ 有頂天」

怜「なっとるお前はアホ 私は凄腕」ワァァァ!

怜「ロサ・カリーナ 全然あれへんオーラ」

怜「このバトルも 私の連勝や」ワァァァ!

怜「ブラ触る より ぶら下がる のがお似合いや」ワァ!

怜「チンパンジー お前に感じひん シンパシー」ワァァ!

怜「審査員 も同じや せやから 連勝確定」ワァァ!

怜「ちゅうかブラ触って汚したら 弁償さすで?」ワァァァ!



桂利奈「関西弁って踏みやすそう 便利やなぁ」

桂利奈「元気が無い 帰ったら? 千里山」ワァァァ!

桂利奈「足りない声量 陰気くさくなる」ワァ

桂利奈「だから派手にかます 筋肉バスター!」ワァァァァ!

桂利奈「クール気取ってたら いつか散る」

桂利奈「というか今散る 私の熱さ キルラキル」ワァァ

桂利奈「チンパンジー? 確かに うるさい野人 かも」

桂利奈「でも実は どんどん強くなってゆくサイヤ人」ワァァァァ!


怜「なんやアホくさい キルラキルってなんやねん」

怜「知らんことペラペラ なんの話してんねん」

怜「天然なんか? このサイヤ人」

怜「思いっきりぶつけたろか? この際、野次」ワァァァ!

怜「お前こそ熱すぎて 陽気くさくなる」

怜「汗だくでダルい 正直ウザくなる」ワァァ

怜「いつか散る より私は 5日Chillする」ワアァァ!

怜「うるさいアホは いつか朽ちるわ」ワァァァ



桂利奈「盛り上げまくる アホの出番だ」

桂利奈「めちゃくちゃ身軽な 早乙女乱馬!」ワァァァ!

桂利奈「2分の1 以上 気分を必死 に高める」ワァァ!

桂利奈「戦車道・アニメ・ラップが 自分の道!」ワァァァァァ!

桂利奈「最後まで カマすかワンバース」

桂利奈「色んな声のパターン あしゅら男爵!」ワァァ!

桂利奈「みたいに 喜怒哀楽を表現」

桂利奈「上限無しに ラップに籠めてTokiに勝つよ!」ワァァァ!



怜「……っ………………そう、勝つんかい」

怜「ならもっと ガツンと来んかい」ワァ

怜「早乙女とか誰か知らんけど 何が言いたいねん」

怜「エアコンきつくて寒なってきた 霧ヶ峰?」ワァァ

怜「お前 声デカイだけのパターンにハマるクチ」

怜「気合いだけ叫んどけっちゅうねん アニマル浜口」ワァァア!

怜「ちんまいお前の上限は 私の肩口や」ワァ!

怜「下がる気は 無い 通用せえへんで このアホが……」



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!

怜「はぁ……はぁ……」

桂利奈「………………」


役人「では判定に入ります!先攻、ロサ・カリーナが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「……後攻、Tokiが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「まずはロサ・カリーナに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「ロサ・カリーナ」

理事長「ロサ・カリーナ」

トシ「ロサ・カリーナ」

秋一郎「ロサ・カリーナ」

南浦「Toki」

役人「勝者!麻雀部チーム、ロサ・カリーナ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

桂利奈「や、やった……っ!」

怜「……しゃあないか……」ハァ..



【舞台袖 戦車道側】

沙織「や、やった!桂利奈ちゃんが勝ったよ!」

みほ「すごい!」

千代「ええ」ホッ

アンチョビ「なるほどなぁ。例え1バース先が視えたとしても、アニメ知識が無ければ上手くアンサー出来ないというわけか!向こうからすれば相性が悪い相手だったんだな!」

まほ「アンサーに自信があるだけに、真正面から受け止めてしまったな。知らない話なら突っぱねるという戦い方もあるが」

ミカ「私は3バース目の入りで黙ってしまったのが気になったね」

まほ「そうだな。さらに言うなら、この試合では相性以上に調子を崩していたように見えたが……」


【舞台袖 麻雀部側】

怜「ただいま~……」

竜華「怜!」ダキッ!

怜「大げさやって……ちょっと疲れただけや」

竜華「…………ホンマ?」ジッ

怜「……ホンマや。無理はせんかったからな。今の試合、相手の2バース目を視たくらいでかなり体がしんどなっとってん。せやから最後はもう1バース先を視いひんかった。それでも疲れが出てもうて一瞬ボーッとしてもうたけど…」

竜華「ほな……」

怜「限界を超えるような無茶はしてへん。せやから倒れたりせえへんよ」

竜華「……うん。けど少し休もな?膝枕する」

怜「ん……」

洋榎「しっかし、結構やるやないか。あのロサ・カリーナっちゅうの」

怜「せやな。アニメとか全然わからんし……万全の状態でも負けとったかもな」

セーラ「そうか?疲れてへんかったら上手いこと誤魔化して勝ってたんちゃうかって俺は思うけどな」

怜「ま、終わったことを言うてもしゃあないて。それより、次は誰が行くん?」

晴絵「………弘世さん、行ける?」

菫「はい。準備は常に出来ています」

怜「……なるほどな、適任やわ」フッ

晴絵「じゃあお願いね」

菫「はい。じゃあ行ってくる…」チラ

照「ひってらっひゃい」モグモグ

淡「どぞー……」

菫「照……パイの実を無策で食べるんじゃない。床にこぼれまくっているだろう」

照「それがパイの実の宿命」

菫「罪を被せるな。お前がだらしないだけだろう…………まあ、いい。行ってくる」クス


【舞台袖 戦車道側】

千代「弘世 菫……」

エリカ「麻雀では1人を狙い打ちにするのが得意なんでしたっけ」

オレンジペコ「1対1のフリースタイルバトルではそれがどう生きるのでしょう?」

ダージリン「ふふっ……ふふふふ」

優花里「おおっ!?ダージリンさん、その笑み、何かに気付い…」

オレンジペコ「秋山さん。そこまでにしてください」

優花里「な、なんですか?」

オレンジペコ「ダージリン様は笑っただけです。意味ありげに笑い、存在感を押し出しつつも何も語らないという処世術です。深く追求するのは野暮ですよ?」

優花里「や、野暮なのですか……な、なるほど」

ダージリン「……ペコ」

オレンジペコ「はい」

アッサム(今のはさすがに少し失礼だわ。お灸をすえるのかしら?)

ダージリン「……ありがとう」ニッコリ

アッサム(お礼!?やっぱり何も知らずに笑っただけ!?)


【ステージ】

菫「………………」

桂利奈「………………」

桂利奈(スラッとしててクールっぽくてキレーなお姉さんだぁ……ハマーン様みたい)

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

菫「……後攻願います」

役人「OK!先攻、戦車道チーム ロサ・カリーナ!後攻、麻雀部チーム HERO-Se(ヒロセ)!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=bvnTetFGWBo 2:45

<第8戦 先攻 ロサ・カリーナ VS 後攻 HERO-Se>

桂利奈「キレイなおねーさん ロングスカート」

桂利奈「素で『なんでだ?』 スケ番刑事(デカ)?」ワァァァ!

桂利奈「こっち気楽にやる 両津勘吉」

桂利奈「即興 一発 ノープラン維持」ワァァァ!

桂利奈「じっと見つめてるね 熱い視線」

桂利奈「もっと力を抜いて 楽にして?」ワァァ

桂利奈「2人抜きで大騒ぎ 戦犯探そう」

桂利奈「ずっと先まで進む 戦艦ヤマト」ワァァァ!



菫「スケ番刑事ではない その証拠に」

菫「私はヨー、ヨー(YO!YO!)使わない 言わない」ワァァァ!

菫「ノープラン? どこが? ほぼアニメネタ」ワァ

菫「舞台袖で聞いてた みんな 呆れてた」ワァァァ!

菫「アニメ関係の韻以外は 平凡未満」

菫「1勝で終わるんだ お前の 生存期間」ワァァァァ!

菫「さあ どう返す? ロサ・カリーナ」

菫「どうせアニメネタしか無いんだろうがな」ワァァ



桂利奈「そんなことない 普通に 戦える」

桂利奈「というか なんでアニメが 叩かれる?」ワァァ

桂利奈「あとずっと見てくるのなんなの? 威圧感」

桂利奈「別に怖くないし 逃げないよ 地下深く」ワァ

桂利奈「セントラルドグマなんて行かない ここでやる」

桂利奈「圧力を突破して 速攻制圧」ワァァ

桂利奈「目つき鋭いけど名前が変 HERO-Se(ヒロセ)?」

桂利奈「1個も無いじゃん ヒーロー性」ワァァァ!


菫「アニメ用語の方か? セントラルドグマ」

菫「やはり使ったな 遠慮なく即座に」ワァァァァ!

菫「今のバース、平凡で普通で凡庸」ワァァ

菫「魅力あるのは お前じゃなくてアニメの方だ」ワァァ

菫「知ってるキャラや 作品名だから盛り上がってる」ワァァ

菫「ネタは上がってる もっとスキルを見せてくれ」ワァァ

菫「ヒーロー性は これから手にしていく」

菫「現在進行形 矢を放つ ロサ・カリーナの心臓へ」ワァァァ!



桂利奈「矢とか言ってる それジョジョに出てくる」

桂利奈「自分もアニメの話 しちゃってるじゃん」ワァ!

桂利奈「人のこと言えないで 落ちちゃう 落とし穴」

桂利奈「もう出れない 這い上がる手段 そこには無い」ワァァ

桂利奈「そっちこそ 睨むしか出来てない ダメなMC」

桂利奈「スキル全然無いこと だってバレるし」ワァァ

桂利奈「私の方が小さいけど 格上」

桂利奈「見た目以上にスキルあるし絶対に かっけー!」ワァ!



菫「いや、お前には度胸が欠けてる だから」ワアァ!

菫「視線だけで崩れる ザコの成れの果て」ワァァァ!

菫「矢がアニメの話とか 憐れで悲しい」ワァ

菫「だったら度胸もアニメか? 人間のキャラには大体ある」ワァァ!

菫「結局 最後のバースも 体勢立て直せず」

菫「指で軽く押したら おそらく倒れる」ワァ

菫「慌てて逃げる まさに 両津勘吉」

菫「でももう遅い すでに 総スカン気味」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!

桂利奈「っ……」

菫「………………」


役人「判定に入ります!先攻、ロサ・カリーナが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「……後攻、HERO-Seが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「まずはHERO-Seに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「HERO-Se」

理事長「ロサ・カリーナ」

トシ「HERO-Se」

秋一郎「HERO-Se」

南浦「HERO-Se」

役人「勝者!麻雀部チーム、HERO-Se~~~~~!!!」ワァァァァ!

菫「」フゥ

桂利奈「うぅ……」ガックリ


【舞台袖 戦車道側】

桂利奈「……ごめんなさい……ダメでした……」ショボン

沙織「ううん、園城寺さんに勝っただけでもすごいよ!ね?」

華「もちろんです。なんかボーッと見ちゃいました」

沙織「褒め方!もっといい感じにしようよ!」

華「夢中だったという意味なのですが……」

みほ「今のバトル、HERO-Seさんは完全に阪口さんの突かれたくないところを狙い打ちにした感じでしたね」

オレンジペコ「はい。アニメネタはロサ・カリーナさんの大きな武器ですが、今みたいに封じられてしまうと戦い方の幅が狭くなってしまいますね」

アッサム「相手の弱点を見抜く才能に恵まれているのでしょうね……」

みほ「ここから観た限りでは、阪口さんのバースで、視線や体を動かしたりして、少しずつ相手に威圧感を与えていっている印象を受けました」

エリカ「何よそれ!反則じゃないの!?」

まほ「いや、あからさまな妨害行為でも無ければ問題はない」

エリカ「まほ先輩が言うならそうなのよ!わかった!?」

みほ「…………はい」

千代(みほさんの言う通り。今の試合では、ロサ・カリーナさんをずっと見つめることで相手を焦らせ、さらに表情やリアクションで相手のペースを乱し、自分の思惑通りにアニメネタを使いづらい空気だと思わせた)

千代(次から次へと個性的で厄介な子たちが出てくるわね)フッ

ペパロニ「監督ぁー!どうするんすかぁ!?次は誰っすか?」

千代「そうね。もう決まっているわ…………カルパッチョさん」

カルパッチョ「はい」

麻子「む。もうカルパッチョが出るのか」

桂利奈「カルパッチョさぁん!カタキをとってください……」

カルパッチョ「うん、任せて」ナデナデ

アンチョビ「カルパッチョなら大丈夫だと思うが、油断するなよ?」

カルパッチョ「はい。行ってきます」ザッ

愛里寿「………………」

愛里寿(彼女の武器はライム。とても強力な武器)

愛里寿(……でも、だからこそ)

愛里寿(その武器を奪われたら………ううん、悪いことを考えるのはよそう。ただ応援する、それでいい)


【ステージ】

菫「…………」

カルパッチョ「…………」

役人「さあ!第9戦です!先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

カルパッチョ「先攻で」

菫(!ほう……あえて先攻を選ぶか)

役人「OK!先攻、戦車道チーム カルパッチョ!後攻、麻雀部チーム HERO-Se!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=sT_szUarrNc 3:57

<第9戦 先攻 カルパッチョ VS 後攻 HERO-Se>

カルパッチョ「HERO-Se 学校にあるらしい ファンクラブ」

カルパッチョ「でも私の ダンスやる ような華麗な格闘技 まるで パンクラス」ワァァァ!

カルパッチョ「まず常人 より 虜に 持ち込み 勝つ競技」ワァァァ!

カルパッチョ「ようやく同志 集まったから 躍動し 放つ この場での 主役押韻」ワァァァ!

カルパッチョ「弱小チーム どころか白糸台 でも持ってない 王者のメンタル」ワァァァ!

カルパッチョ「相手の得意技 越す力 持つ韻なら 私 強打を連発」ワァァァ!

カルパッチョ「敵の弱体化なんて 迫害は せずに 勝つライマー が繋いだ」ワァァァ!

カルパッチョ「アンサー待つ間 じっと見ているよ 視線 鋭さ ジャックナイフだ」ワァァァァ!



菫「ライムライムライム しつこい 胃もたれしそうな 嫌な思想だ」ワァァ!

菫「ピュアな理想かもしれないが 満足してるのは お前だけのようだ」ワァァ!

菫「弱体化 狙ってない 勝手に自滅してる それをただ見てる」ワァァ!

菫「これこそむしろ王者だろう? 吐いた言葉に 効果があろう となかろうと待つ」ワァァァ!

菫「本当の強打なら 一撃で仕留めるはずだ 違うならジャブだ」ワァァァ!

菫「異論挟むなら ご自由に 馬鹿の一つ覚えでライムを連呼」ワァァ!

菫「地面を踏むだけでは ずっと定位置 蹴り出すから前に進める」ワァァ!

菫「韻を踏むのみじゃ 成長出来ない 第2ラウンド 目論見 崩れる」ワァァ!



カルパッチョ「目論見 を黒に 即ノリ 飛ぶ鳥 落とすように 灰になるの も」ワァアァ!

カルパッチョ「恐れずに第2ラウンド も全開 支持者 倍にカウント」ワァァァァ!

カルパッチョ「『韻を踏むだけ』 それが出来ないからクレーム 真のクズだね」ワァァァ!

カルパッチョ「踏めないなら努力して 進歩するだけ じゃなきゃ深まらない 親睦すらね」ワァァァァ!

カルパッチョ「成長出来ないのはHERO-Se お客さんシーンとして 黙るのが」

カルパッチョ「浸透して しまうのも当然 HIPHOPシーンとして 見ても 芯通してない」ワァァァァァ!

カルパッチョ「馬鹿の一つ覚えも突き進めば たどり着く 職人芸」ワァァァ!

カルパッチョ「極貧生活 な独身で あろうとライム重ね 幸せに過ごす人生」ワァァァァ!


菫「これはバトル 幸せな方が勝ちではない わかるか?」ワァァ!

菫「代わる代わる ズレる言葉 ライム重ねまくりでは 味が変わるな」ワァァ

菫「ぐるぐる回る 堂々巡り 結局何が言いたいのかが不透明」

菫「視点が散る 疑問が満ちる 要点絞れ でないと無得点」ワァァ!

菫「チャンスを重ねるより 目指す成功を得る方が重要だ」

菫「お前はチャンスの数に執着して 目的を忘れている それでは空洞」ワァァ

菫「ライムが浮かばないと無力 くどく踏んだ分 ミスで奈落へ」ワァァ

菫「次のバースは大丈夫か? どこ拾うんだ? ストックか? 頑張ってみろ」



カルパッチョ「最上部だ 狙うのはヒーローだ ストップは 無しなんだって言おう」ワァァァァァ!

カルパッチョ「美味しいところ 全部頂く それに飽き足らず 決して間違わず」ワァァ!

カルパッチョ「エールに応える メールでも踏める セーブせず 即興で全部行ける生物」ワァァァ!

カルパッチョ「もはや芸術 名物 制するゲーム この先も次々 ブレイクスルー」ワァァァ!

カルパッチョ「ライム重視が邪道だろうが そんなもんは 脳が凌駕」ワァァァ!

カルパッチョ「思い付かなければ他で補う フロウやアンサーで担う 等価交換」ワァァァ!

カルパッチョ「ラストバース 向かってくるHERO-Seの 無駄な抵抗、萌える私」

カルパッチョ「だってこっちはライムでチャンスを重ねつつ 成功も得る形」ワァァァァァ!



菫「その成功は幻想 現状を知れ 歓声に 囚われるな」ワァァ

菫「目先の韻に飛び付くだけだ 審査員は目利き そりゃバレるさ」ワァァ

菫「『これだけ踏んだら勝ちだよな』とか時代が違う 自己陶酔はやめろ」

菫「大事な勝敗の境界を 見切れるのが 真の勝負師だ」ワァァァ!

菫「ラストバースでも自分のペース崩さずに 向かい合う」

菫「慢心のまま 満身創痍になる 最悪な結末を贈ろう」

菫「蹴躓(けつまず)いてじゃすまない 石ころではない 巨大な岩石」

菫「カルパッチョ下し 振り返らず 止まらず 歩もう 半世紀」ワァァ



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!


役人「では判定に入ります!先攻、カルパッチョが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「……後攻、HERO-Seが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「まずはカルパッチョに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「カルパッチョ」

理事長「HERO-Se」

トシ「カルパッチョ」

秋一郎「カルパッチョ」

南浦「カルパッチョ」

役人「勝者!戦車道チーム、カルパッチョ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

菫(……強いな。ライムに比重が寄り過ぎなスタイルを射抜くつもりだったが……怒濤のライミングで弾き返されてしまったか……)フゥ


【舞台袖 麻雀部側】

咲「カルパッチョさん、相変わらずというか……すごいライミング」

和「……ええ。是非戦ってみたい相手です」チラ

晴絵「選んでほしそうな目されてもねー。次はもう決めてるからさ」

華菜「私だし!」

美穂子「華菜なの?頑張ってね」ニッコリ

華菜「はい!」

晴絵「いや、池田さんじゃないよ?」

華菜「そんなぁ!」

晴絵「まぁまぁ。出たいのはわかるけど落ち着きなって。次に出てもらうのは……白水さん!」

哩「私か」

姫子「部長!」キュン

哩「やっと私の…」

姫子「ぁ……っ//」キュン

哩「出番…」

姫子「んぁ…っ……///」キュン

哩「か」

姫子「はぁんっ……!素敵です部長!」キュンキュン

晴絵「頼むよ。カルパッチョさんを勢いに乗せたくないから」

哩「はい。では行ってくるよ、姫子」

姫子「は、はい!部長の帰りをずっと……ずっとずっと待ってます……///」モジモジ

哩「そげな可愛いかこと言われたら行けんようなるな」ナデナデ

姫子「本当は行ってほしくなかです……///」

晴絵「いや、勝つにしてもそんな長い時間かからないけどね」

憧「やめときなって。あの2人、完全に自分たちの世界に浸っちゃってるから何言っても聞いてないよ」

哩「そげなこつなか」

憧「わぁ!聞こえてた!」

晴絵「聞こえてるなら再確認。難しいかもしれないけど、バトルの時は……」

哩「わかっとう……いや、わかっています。方言はあまり強くならないようにする、ですね?」

晴絵「うん。イントネーションはともかく、お客さんに意味が通じないっていうのは避けたいからね。関西弁はまだテレビとかで馴染みがあるけど…」

ゆみ「TOKONA-Xの名古屋弁はとてもカッコよく聴こえるが……あの声質とカリスマ性あってのものか」

晴絵「白水さん的にはやりにくいと思うけど……」

哩「問題なかです。あ、そや。姫子」

姫子「?はい」

哩「こん試合…――――」


智葉「――――………やっと行ってくれたか」

明華「?シローズさんが苦手なのですか」

智葉「いや、そうではない。たださっきから隅っこでコソコソベタベタとイチャついていてな」

明華「それが問題ですか?」

智葉「問題といえば問題だな。どう対応していいかわからん」

明華「何故?」

智葉「何故、と問われると……即答は難しいが……」

竜華「わかるで!」

智葉「っ!清水谷……いつの間に……」

竜華「辻垣内さんもイチャイチャしたいんやろ?」

智葉「は?」

竜華「うちも怜とイチャイチャしたいけど我慢しててん!せやのにあの2人は堂々としとってめっちゃズルい思た!辻垣内さんもおんなじ気持ちやってんな!嬉しいわぁ!」

智葉「……待て。何を勝手に……」

竜華「相手は誰なん?」

明華「……多分私です」

智葉「はああ!?おい、明華……」

竜華「わあ!辻垣内さんも隅におけへんなぁ!」ニコニコ

明華「ふふ」クス

智葉「くっ……私で遊ぶとはいい度胸………ん?」

照「………………」ジー..

智葉「み、宮永!?」

照「………………どうぞ」スッ(ポッキーを差し出す)

智葉「いらん!ポッキーゲームなどするか!」

明華「?しないんですか?」

智葉「しない!というか試合を観ろ!」

竜華「ケンカするほど仲がええんやなぁ♪」ニコニコ


【舞台袖 戦車道側】

みほ「ライム重視を突かれるのを承知の上で自分のスタイルを貫いた……カルパッチョさんすごい」

沙織「カッコいいよね!」

麻子「沙織よりモテるはずだ」

沙織「やめてよもー!麻子!」

まほ「次の相手は白水哩、か」

エリカ「スタイルはライミング重視派……」

優花里「はい!練習時にかなり決めてました!」

エリカ「カルパッチョにぶつけてくるなんて、ライム勝負で勝つ自信があるわけ?生意気な先輩だわ」

小梅「……白水さんからしたら逸見さんのその言い方の方が生意気だと思う……」ボソッ

エリカ「ん?なんか言った?」

小梅「い、いえ!いいえ!」

千代「……そういえば秋山さんが気になる情報を持ってきてくれてたわね」

優花里「はい!白水さんは鶴田さんとのコンビネーションが強力らしいのです!あ、これは麻雀での話ですが」

まほ「……コンビ打ちというやつか。4人で卓を囲む際、2人でサインを出すなどして有利に勝負を進めるという…」

優花里「いえ、彼女たちの場合は、同卓でなくとも有効なコンビネーションらしいです」

まほ「……同卓ではないコンビネーション?よくわからないな。そのような芸当が可能なのか?」

優花里「そのようです。団体戦の際、白水さん、鶴田さんの順で対局する場合のみ効果を発揮するようですが………あ、ちなみに本人たちの口から聞いたわけではないので確定情報ではありませんけど」

まほ「構わない。説明してくれ」

優花里「了解であります!それでその効果ですが、彼女たちの間には、あるルールを設けることで対局を有利に運べるスキルを共有しているらしいのです!」

まほ「ふむ」

優花里「鍵を握っているのは白水さんらしいのですが、白水さんが配牌……牌が配られた状態のことですね。この時点でいくつの飜数で……あ、飜数というのは役の点数のようなものです。ポーカーで言うワンペアやスリーカードと同じで、難易度が高い役ほど点数が高いわけです…」

優花里「それで、白水さんがその手牌を見て『3飜以上で和了る』などの縛りを付け、達成することで、鶴田さんも同じ局でその倍の飜数で和了れるとかなんとか!」

沙織「局ってなに?」

優花里「東1局、2局といった区切りです。第1試合、第2試合のようなものですね。麻雀の場合、親と子があり、親が和了れば東1局の1本場という具合に東1局が続き、子が和了ると局が進んで東2局になります」

沙織「なるほど」

まほ「…………説明を聞いてギミックはわかったが、何故そのようなことが可能なのかわからないな……」

華「わたくしのお母様がお茶碗1杯のご飯を1分で食べるという縛りをかけて達成すると、わたくしはお茶碗2杯を30秒で食べられる、ということですよ」ニッコリ

まほ「計算的にも色々と違う気もするが……まぁいい。とにかく、今までの相手が麻雀でのスタイルをバトルに反映させていたのは事実。白水哩の場合もその可能性があると考慮すべきなのは間違いないな」

優花里「ええ!ただ、フリースタイルバトルの場合はどう縛りをかけるのでしょうか……?」ウーム


【ステージ】

哩「………………」

カルパッチョ「………………」

哩(相手が誰であろうと私らしく……いや、姫子と私の力を合わせて……2人で勝つ!)ギラリ!

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

哩「!後攻」

哩(よかった……)ホッ

役人「OK!では先攻、戦車道チーム カルパッチョ!後攻、麻雀部チーム 白鶴(はくつる)!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=HKATb1DfwOY 3:31

<第10戦 先攻 カルパッチョ VS 後攻 白鶴>

カルパッチョ「白鶴 脳内をハックする 倒せば 箔付く」ワァァ!

カルパッチョ「隠すつもりない 白昼堂々 搾取 消耗」ワァァァ!

カルパッチョ「新道寺女子 倒す私は 韻脅威の新境地」ワァァァ!

カルパッチョ「19歳の 誕生日には 役目終えてる 九州代表」ワァッァア! 

カルパッチョ「私はレペゼン アンツィオ高校 浴びるよ 賛美を堂々」ワァァァ!

カルパッチョ「賛否も要領 よく 流して 目指すは東 3時の方向」ワァァァ!

カルパッチョ「個人的な趣味 日課はフリークライミング」

カルパッチョ「自分を追い込み鍛える 倒さない リクライニング」ワァァァ!




哩「リクライニング にもたれて 瞑想し深い韻踏む」ワァァァ!

哩「それは大人子供 全員に 効くライミング」ワァァァァ!

哩「白鶴 背負ってる レペゼン 新道寺女子」

哩「緊張しそうに なるが乗り越えれば 心臓に良い」ワァァァ!

哩「全てが試練 麻雀も 戦車道もそう」

哩「修羅場抜けた私たちから 一言 喧嘩上等」ワァァァァ!

哩「カルパッチョ 韻脅威 かもしれないが 深層心理 に語り掛ける」ワァァ

哩「型に嵌める と言うより ライミングに縛られた 形だね」ワァァァ!



カルパッチョ「喧嘩上等? 韻が暴走 テンパろうと 因果応報」ワァァァ!

カルパッチョ「典型的な 口だけ番長 白鶴じゃ 無理だ下手くそ」ワァァァ!

カルパッチョ「限界を 教える ワンランク上の ライムを連打しよう」

カルパッチョ「福岡県代表 恋しくなったでしょう? 明太子」ワァァァ!

カルパッチョ「縛られてる 身構えてる ではなくライムを 身に纏(まと)ってる」ワァァ!

カルパッチョ「差は歴然 麻雀だったら 白鶴は 一気にハコってく」ワアァァ!

カルパッチョ「頑張って『ばってん』とか方言 使わず 戦ってんだって」

カルパッチョ「でも最後に 待ってんのは罰点(バッテン)」ワァァァ!



哩「勝手に罰点? 威張ってんなっテンパッてんなっ面罵ってか?」ワァァァァ!

哩「福岡県代表 は冷静に述べる 事件概要」ワァァ!

哩「身に纏ってる そのライム プロップスごと すでに過疎ってる」ワァァ

哩「サドンデス まで行かない ここで敗者の道を 辿ってく」ワァァァ!

哩「先輩と して明太子 メンバーにも 配って 宴会を 開く」ワァァァ!

哩「舐めるな福岡 北部九州 どんなスタイルもすぐ吸収」ワァァァ

哩「カルパッチョ 麻雀ならハコテン 何箱も重ねる」

哩「まるで出前の蕎麦蒸籠(そばせいろ) もう積めないレベル その程度」ワァァ!



カルパッチョ「蕎麦蒸籠(そばせいろ)? ご家庭の みなさんわかるのかな こりゃ迷路」ワァァァ

カルパッチョ「他へ行こう もっと強くなって 目指す 黄金色(こがねいろ)」ワァァァァ!

カルパッチョ「北部九州 がどれほどの 特殊ルール で来ようが」ワァァ

カルパッチョ「自分らしくマイク使う すごくスムーズ に送るルール」ワァァァ!

カルパッチョ「そこから飛翔 自称じゃなく実証 必勝 フィット 引用」ワァァ

カルパッチョ「引出しから 見出したら 連勝 ミイラにならないミイラ取り」ワァァァ!

カルパッチョ「貫く自分のやり方を ライムは バリカタよ」ワァァァ!

カルパッチョ「濃厚なとんこつラーメン 白鶴の方が ホントつまんねー」ワァァァ!



哩「あんたが ポンコツなんで ホントつまんね 大体 本場知らんね」ワァァ

哩「ミイラ取り よりも リーダーのリ の字が大事 仲間背負う覚悟」ワァァ!

哩「引き出しから 飛び出すのは 単なる指示待ちじゃなく 指示出しだ」ワァァ!

哩「満ち足りた 勝利を味わうため このステージに来ました」ワァァァ!

哩「新道寺女子 繋がりは凝固と言えるほどに 相当、強固」ワァァァ!

哩「それと同様 絆に満ちた 麻雀部チームの状況」ワァァ

哩「観客の浮動票 かっさらう 役満級スキルを拡散中」ワァァァ!

哩「約何十年後 も語り継がれる大会になると確信中!」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!

カルパッチョ「………………」

カルパッチョ(この人、強い……データではライミングが得意と載っていたけど、ここまでとは…)


役人「では判定に入ります!先攻、カルパッチョが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「……後攻、白鶴が勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「まずはカルパッチョに1ポイント入ります」

カルパッチョ「」ホッ

哩「…………」

役人「では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「カルパッチョ」

理事長「白鶴」

トシ「カルパッチョ」

秋一郎「カルパッチョ」

南浦「白鶴」

役人「3対2!勝者!戦車道チーム、カルパッチョ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

カルパッチョ(良かった……勝てた)

哩(……みんな、すまん……2人抜きを許した……)


【舞台袖 麻雀部側】

豊音「ぅわあー。2人抜きだー。ちょーつよいよー」

塞「うん、強敵だね」

白望「……あれだけ韻踏まれるとダルい……」

エイスリン「……フマナカッタラ?」

白望「ダルい……」

胡桃「結局同じ!」

淡「むー。普段からあんだけ出来るのずっこい」

菫「力を使った状態の淡以上だものな。しかしこのままだと勢いに乗ってさらに勝利を重ねられる可能性があるが……」

照「……うん。でも多分、次に出るのは……」

姫子「私に行かせてください///」ザッ

菫「だろうな」フフ

塞「……というかなんか顔赤くない?熱があるんじゃ」

姫子「そ、そげんことなか!…………です///」

胡桃「でも赤い!」

姫子「そ、れは……さっきまで……///」

塞・胡桃「??」

照「……鶴田さんなら大丈夫」

塞「宮永さん……?」

胡桃「根拠は何!」

照「…………………………大丈夫」

胡桃「適当この人!ちゃんと説明して!」

照「…………………………もぐもぐ」パラパラ..

胡桃「話の途中!ふんわり名人きなこ餅食べないで!それと粉こぼしすぎ!」

姫子「と、とにかく行ってきます!あ、ステージに、という意味ですから!」タタッ

晴絵「……うん、意味を深く聞くのはやめとく。頼むね」


【ステージ】

カルパッチョ「………………」

姫子「…………//」ハァ..ハァ..

カルパッチョ(走ってステージまで来たという理由だけとは思えないほど顔が赤く、息切れしていますね……体調不良でしょうか?)

姫子「………………ふー……」


哩『すまん姫子。負けてしもた。後は頼む』


姫子(部長の魂ば私が背負います!絶対勝つ!)ギラリ

カルパッチョ(……体調不良ではなさそうですね。勝負熱、というものかもしれません……油断は禁物。全力で当たります)

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

姫子「この人に後攻をお任せします」

カルパッチョ「……ええと、どういう……」

姫子「あ、その……先攻で//」

役人「OK!先攻、麻雀部チーム 舞姫(まいひめ)!後攻、戦車道チーム カルパッチョ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


https://www.youtube.com/watch?v=BPkdRCkjuQI 2:51

<第11戦 先攻 舞姫 VS 後攻 カルパッチョ>

姫子「勝利宣言 私は カルパッチョ倒す舞姫」

姫子「白鶴の傷を 軽々と治すナイチンゲール」ワァァァ!

姫子「その後 カタキ討ち 見せつける 福岡の誇り」

姫子「を旗印に カルパッチョは無残 虚ろな小踊り」ワァァァ!

姫子「パッと見 カッコいい カルパッチョに 楽々勝利」ワァァ!

姫子「集まる同志 と活躍大いに 祝う用意」ワァァァ!

姫子「観客の 期待が変化 舞姫のが凄い 違いませんか?」ワァァ!

姫子「履帯が劣化 未来はねぇんだ 潰す イタリア戦車!」ワァァァァ!



カルパッチョ「履帯が劣化 したりはせんな」ワァァ!

カルパッチョ「常にリストアで 満ち足りた現場」ワァァァ!

カルパッチョ「パッと見 じゃなく フラットに スマートに スパッと韻」ワァァ!

カルパッチョ「落とし込んで そこに本音 詰めてこそ基本です」ワァァァ!

カルパッチョ「その理論で 突き進む ライミング道」ワァァ

カルパッチョ「耐震偽装 的な嘘は無し まい進するよ」ワアァァ!

カルパッチョ「カタキ討ち 明らかに 時代遅れ」

カルパッチョ「胸には罪悪感 だからまともな 未来送れ」ワァァ!



姫子「罪悪感 なら最悪じゃん でもこれは違う 改革案」ワァァ!

姫子「みたいなもの 栄光との間繋ぐ 開花プラン」ワァァァ!

姫子「耐震偽装 より内心希望 するのは 将来人気もん」ワァァァ!

姫子「ライミング異常 あんたじゃ 辿りつけない蜃気楼」ワァァァァ!

姫子「リストア前にリストラ いつも輝く ビーツとライム」ワァァァ!

姫子「あなたに 出来るのは エキストラ」ワァァァ!

姫子「センス& リズム フロウ ライム 全部甘露」ワァァ!

姫子「手数の多さ まるで 千手観音」ワァァァァ!


カルパッチョ「主役すぐパクッと食べちゃう エキストラ」

カルパッチョ「主人公チェンジ 脚本家 テキストは 書き直す」ワァァ

カルパッチョ「何がどうする わけでもないけど」

カルパッチョ「リストラされても起業して 上昇して とうとう東証上場」ワァァァァ

カルパッチョ「そんな感じの反骨精神 例え 監獄へ行き」ワァァ

カルパッチョ「真っ暗闇でも 蘇り 書きます ちゃんとすげぇ詞」ワァァァ!

カルパッチョ「いつどこからでも復活出来る 開運状態」

カルパッチョ「もっと踏もう これは楽しい ライム大運動会」ワァァァ



姫子「大運動会 盛り上がる シャイ君もダイブ」ワァァァ!

姫子「する会場の熱気 素敵なほど 毎分増大」ワァァァア!

姫子「客、寝~とる子 無視し 100メートル走」ワァァア!

姫子「ギャングに闘争 とは正反対 楽しい パン食い競争」ワァァァ!

姫子「障害物 乗り越えなきゃ 生涯ブス 崩壊、鬱」ワァァァ!

姫子「状態すぐ 越え 超がいくつ も付くような理屈で」ワァァァァ!

姫子「制覇して一言 『賞状無いと死んでやる』」

姫子「そんな執念に『はいチーズ』表彰台と金メダル」ワァァァァァ!



カルパッチョ「その金メダルには 待ったをかける」

カルパッチョ「発破をかけず とも パッパと勝てる」ワァァァァ!

カルパッチョ「強化さほど無し でも 豪華なフォロワーに」ワァァ

カルパッチョ「支えられ 圧勝する 大玉転がし」ワァァァ

カルパッチョ「騎馬戦 には全開 の火加減 戦略 間違えん」ワァァァ

カルパッチョ「十日後に やっと倒れるようなノリ の棒倒し」ワァァ

カルパッチョ「大運動会 締めくくり ラストはリレー」

カルパッチョ「結局カルパッチョが 勝つのが既定」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!

姫子「………………」

カルパッチョ「………………」


役人「では判定に入ります!先攻、舞姫が勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「……後攻、カルパッチョが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

カルパッチョ「っ!」

役人「まずは舞姫に1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「カルパッチョ」

理事長「舞姫」

トシ「舞姫」

秋一郎「舞姫」

南浦「カルパッチョ」

役人「勝者!麻雀部チーム、舞姫~~~~~!!!」

ワァァァァ!

カルパッチョ(っ……ライミング勝負で負けた……悔しい……!)

姫子(部長!私、果てま……じゃなか!勝てました!)グッ!


【舞台袖 麻雀部側】

穏乃「3人抜きを止めた!!うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

憧「しず、うるさい」

哩「……………………」



哩『あ、そや。姫子』

姫子『?はい』

哩『こん試合……相手は強敵カルパッチョ。リザベーションば使わなければ勝てん。5文字の縛りばかけるつもりだ』

姫子『……そう、ですか』

哩『ああ。フリースタイルでのリザベーションは、相手ん使った言葉で何文字以上の韻ば踏むかで縛る……そいで達成すれば、姫子はそん文字数以上の韻ば即座に思い付けるごとなる』

姫子『はい。私の頭ん中にあっけん言葉ん中から浮かび上がってくる、不思議な感じとです』

哩『だから私がえらいたくさんの文字数で縛りば達成すれば、姫子は安定してカルパッチョと同等以上に戦えるだろう』

姫子『でも……5文字だと……1バースで相手ん言葉ば拾っち5文字以上で踏むのを5回しないといけないじゃなかですか。しかもそいば3バース全て、そん条件ば達成せんと失敗になる。厳しいですよ……』

哩『そうだな。ばってん、カルパッチョは韻重視なだけあって、踏みやすい言葉ば使ってくる。相手が西住まほやオレンジペコよりも言葉ば拾いやすか』

姫子『そいはそうですが……』

哩『私もリザベーション達成のために韻ば猛練習した。監督のこん采配、リザベーションだけが目的やない。私がカルパッチョに勝つことも期待しとってくれとう』

姫子『はい……』

哩『やけどもし負けたら……あとは姫子に託すしかない。だからせめて姫子が確実に勝てるよう、無茶させてもらう!』

姫子『部長……///』キュン



哩「……姫子……」

哩(はよ会いたい……よく頑張ったと抱きしめたい。ばってん、まだ試合ば残っちょる……我慢せんとな)


【舞台袖 戦車道側】

麻子「おい。鶴田姫子があそこまで強いというデータは無いぞ」

優花里「は、はい。私が見学していた限りでは、もっと普通ぐらいの実力でした」

麻子「例によって、麻雀でのスタイルが影響しているのか?まあいい。とにかく、カルパッチョが負けた以上、私がカルパッチョの無念を晴らす」

沙織「ちょ、麻子!やる気があるのはいいけど、出番は監督が決めるんだよ?」

千代「………………」

愛里寿「お母様?どうしましたか?」

千代「……ちょっと気になることがあってね」

華「世界情勢ですか?」

千代「違うわ。いえ、日常的に気にはしているけれど、今この瞬間には気になっていないわ」

愛里寿「では何を?」

華「他に気になることなんてありえるでしょうか……」

沙織「ありえるよ!」

千代「……舞姫さん、試合前はここから観ても凄まじいオーラのような力を感じたわ。でも今はそれが霧散しているの」

華「はて?力を使い果たしてしまったということですか?1試合しかしてませんけど……」

千代「………………」

麻子「……監督。誰が行くんですか」

千代「そうね…………アンチョビさんにお願いするわ」

アンチョビ「わ、私か!?」

ペパロニ「他にアンチョビさんなんていないじゃないっすかー!あ!でも誰かがa.k.aアンチョビって名乗ってるかもしれないっす!誰だ!本物の姐さんはここにいるっすよ!」

アンチョビ「いいから静かにしてろ!」

ペパロニ「了解っす」


アンチョビ「……っと、監督。私はやる気があるんだが……今の感じだと私では難しい気がするぞ……タイプ的にケイとかオレンジペコとかの方がいいんじゃないか?」

千代「いえ、アンチョビさんにお願いするわ」

アンチョビ「……わ、わかった。監督がそこまで言うなら……カルパッチョの雪辱を晴らしたい気持ちもあるしな」

麻子「………………」

千代「ごめんなさいね、冷泉さん」

麻子「いや、問題ないです。カルパッチョと似たスタイルの私では同じ轍を踏む可能性があるのも事実…」

千代「そういう理由で決めたわけではないわ」

麻子「?」

千代「これは直感による決断だけれど……でも確信に近いわ。それが次の試合で証明されると思うの」

麻子「…………そう、ですか」

麻子(よくわからんが、この人は島田流家元。その直感には確かな何かがあるのだろう。その何かとは一体……)

アンチョビ「じゃ、じゃあ行ってくる!」

ペパロニ「ファイトっすドゥーチェ!あ、忘れ物ないっすか?」

アンチョビ「ステージに何持ってくんだよ!って、あ……水忘れてた」

ペパロニ「もー!しょうがないドゥーチェっすね。これ水っす」

アンチョビ「ん、ありがとう」テクテク

麻子「………………」

麻子「……少し気負いがあるようだが……」

千代「そうね。今の試合を観て、少し緊張しているのかもしれないわ。自分では勝てないかもしれないとこぼしてもいた」

麻子「それでも監督はあの人がいいと判断したわけですか」

千代「その通り。彼女ならステージに立つまでの短い間に精神を整えて全力を尽くしてくれると思うわ」


アンチョビ「う~……あの舞姫ってやつは超強いだろ……カルパッチョに韻で勝つとか……」テクテク

アンチョビ「そんな相手に私が勝てるのか?真っ向勝負を避けるにしても……うーん……」

カルパッチョ「あ、ドゥーチェ……」

アンチョビ「お、カルパッチョ」

カルパッチョ「……負けてしまいました」

アンチョビ「…………うん、見てた」

カルパッチョ「悔しいですね。やっぱり」

アンチョビ「…………そう、だよな」

カルパッチョ「でも良かった」

アンチョビ「え?」

カルパッチョ「ドゥーチェならきっと勝ってくれますから」ニッコリ

アンチョビ「な……なんでそんな言いきれるんだ?私のスキルはカルパッチョに比べて……」

カルパッチョ「そうですね。ラップ自体は私の方が上手いです」

アンチョビ「ぐ…」

カルパッチョ「ですが……」

アンチョビ「?」

カルパッチョ「それでもドゥーチェなら勝ってくれる、と思ってしまうんですよね」

アンチョビ「カルパッチョ……」

カルパッチョ「なんと言っても、私たちのドゥーチェですから」ニコリ

アンチョビ「………………」

アンチョビ「…………ふふ」

アンチョビ「当たり前じゃないか!アンツィオは弱くない!じゃなかった強い!それに私も結構……いや、かなり強い!カルパッチョよりラップが下手でも、なんか知らないけど勝つ!」

カルパッチョ「その通りです」フフ

アンチョビ「カルパッチョの分まで戦ってくるからな!見てろよー!」テクテクテク!

カルパッチョ「はい!」


【ステージ】

姫子「………………」

アンチョビ「………………」ザッ!

役人「それでは…」

アンチョビ「私はドゥーチェ・アンチョビ!お前の名前は!?」

姫子「え?鶴田……やなかった。舞姫……」

アンチョビ「そうか!」

姫子(……なして今さら確認?さっきの試合ば観てなかったんちゃろうか?)

役人「え、ええと……先攻後攻を決めてください」

ジャンケンポン

アンチョビ「やった!勝ったぞお!後攻だあ!」

姫子(ばり喜んでる……素直な人)

役人「では始めます!先攻、麻雀部チーム 舞姫!後攻、戦車道チーム アンチョビ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=rKeHvCYChvs 2:48

<第12戦 先攻 舞姫 VS 後攻 アンチョビ>

姫子「お相手はドゥーチェ 総統、首領?」

姫子「どっちでもいい どうせ 相当無能」ワァァ!

姫子「闘争本能 ずっと ばり継続中」

姫子「規模 勢い 増す 広める勢力図」ワァァ!

姫子「続けてのアンツィオに お腹いっぱい」

姫子「アンチョビさん自体に 別に 話無い」ワァァ

姫子「だからもう失態 の前に辞退 してしまいなさい」ワァァ!

姫子「次回 の相手に期待 気持ち向けていきたい」ワァァ!



アンチョビ「おいおい! 大丈夫か!? 勢い落ちまくってるぞぉ!?」ワァァ!

アンチョビ「バトル前に 脅したみたいに思われたらどーする!」ワァァ!

アンチョビ「『ずりー』とか言われちゃうだろ! 私はずっとクリーン!」ワァァ!

アンチョビ「グレーゾーンじゃない オールグリーン でも勝ち方は蹂躙!」ワァァァ!

アンチョビ「これ たまに出ちゃう 戦車乗りの残忍性」

アンチョビ「でもバトルだから許してくれ 堪忍してくれ」ワァァァ!

アンチョビ「調子悪い相手でも 私はちゃんとリスペクト」

アンチョビ「次回の相手のことは知らない 舞姫だけを見てるぞ!」ワァァァァ!



姫子「私もしてるリスペクト だからこそのアドバイス」

姫子「ショック和らげる だって落ち込ませたくなど無い」ワァァ

姫子「箱買いする アイス 患部冷やしてあげたい」

姫子「でもその前に白鶴の傷を 癒してあげたい」ワァァ

姫子「いくら残忍性 があっても 関係ない」

姫子「逐一 チクっちゃう 担任へ そして反省会」ワァァァ!

姫子「バトル前に脅されてはないけど 馴れ馴れしさに」

姫子「ビックリして呆れた ため息プラス『やれやれ』言いたい」ワァァァ


アンチョビ「あの程度の挨拶で文句言う コミュ障」

アンチョビ「こっちが呆れる ずっと黙ってるのか? 虚無僧 みたいに」ワァァァ!

アンチョビ「昔から言うだろ? 袖すり合うも他生の縁」

アンチョビ「すぐ拒むとかもったいない というかしょうもねー!」ワァァァア!

アンチョビ「舞姫 姫さんなのにチクるなんて陰湿だろ」

アンチョビ「見た目可愛いけど言ってること 低品質だよ」ワァァァア!

アンチョビ「もっかい言うけど さっきから調子落とし過ぎ」ワァァ!

アンチョビ「前のバトルはまぐれだったんだと 全員知るだろう!」ワァァァァ!



姫子「あんたも 見た目 お嬢様みたいなパーマ」

姫子「でも意外だ じゃじゃ馬 性格が地雷だ」ワァァァ

姫子「恋人にいちいち わめき散らしそう」

姫子「容易に想像 最後は逃げられちゃう なんて未来像」ワァァ

姫子「調子落とした? 違う あんたに合わした」

姫子「強い人じゃなきゃ 本気になれないだけ」ワァァァ!

姫子「慣れ合いなんて いらない それもお腹いっぱい」

姫子「アンツィオの連携なんて 叩き返す」ワァァ



アンチョビ「身体細すぎる だからすぐ満腹になる」ワァ

アンチョビ「もっと食べろ ジャンクフード でもいいから」ワァァ

アンチョビ「強い人じゃなきゃダメと来たか へぇー」

アンチョビ「お前これで私に負けたら 赤っ恥だぞ!?」ワァァァァ!

アンチョビ「そもそも先攻がお前なのに 私に合わせるとか変だろ」ワァァ!

アンチョビ「これってあれだよな? 言い訳ってんだろ?」ワァァァ!

アンチョビ「叩き返せないよう潰す ドゥーチェ・アンチョビ」ワァァ

アンチョビ「見せるぞ 勝利への執念、完コピ!」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!


役人「では判定に入ります!先攻、舞姫が勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「……後攻、アンチョビが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

アンチョビ「よぉし!」グッ

役人「まずはアンチョビに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「アンチョビ」

理事長「アンチョビ」

トシ「アンチョビ」

秋一郎「アンチョビ」

南浦「アンチョビ」

役人「勝者!戦車道チーム、アンチョビ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

アンチョビ「勝ったぞぉーーーー!」

姫子「っ……」

姫子(部長……みなさん、すみません……)


【舞台袖 戦車道側】

みほ「アンチョビさんが勝った!」

ペパロニ「いやー、姐さんは出来る子だと思ってたんすよー!」

オレンジペコ「すごい上から目線ですね……」

アリサ「それにしても舞姫、急激に調子を落としたというか……別人みたいだったわね」

華「双子……!」ハッ!

沙織「なわけないでしょ!ずっとステージにいたじゃん!」

麻子「いや、五十鈴さんの言ってることもあながち的外れではないかもしれない」

沙織「ええ!?どこが!?」

麻子「もしかしたら、彼女は二重人格のようなもので、条件を満たした場合のみ、カルパッチョ戦のような戦い方が出来る、とかな」

沙織「な、なるほど……確かにそれはあり得るかも」

麻子「……いや、冗談なんだが」

沙織「ええっ!?」

麻子「おそらく麻雀での彼女の才能が反映された結果、カルパッチョとのバトルでは実力以上の力を発揮できたが、今のバトルでは普段のままで挑まざるを得なくなった、というようなことだと思う。沙織、人を信用するのはいいが、過ぎると騙されるぞ?」

沙織「だ、騙されないよ!…………多分」

華「わたくしわたくし詐欺などに気を付けてくださいね?」

沙織「それ華が犯人!他にわたくしって言う人あんまり知らない!」


【舞台袖 麻雀部側】

哩「姫子……っ」

哩(リザベーションの効果は1戦のみ。シラフの状態ではきつかか)

晴絵「うーん……お客さんからの支持を保てばいけるかもって思ったんだけど……相手がその辺のアピール上手かったね」

智葉「だが、カルパッチョを倒したのは大きい。韻だけが決め手では無いが、あれだけ踏まれるとやりづらいからな」

淡「ふふん!でも良かった~」

菫「良かった?何がだ?負けてしまったというのに。淡は実は嫌な子なのか?」

淡「ち、違いますよー。新道寺のアレでカルパッチョを倒したことが良かったってことです。だって……」

菫「だって……?」

淡「新道寺のアレを止めるのは私なんですから。私が止めるまで、誰にも破られてほしくない」ギラリ

菫「……なるほどな」

憧「で、ハルエ。今度は誰が行くの?まだこっちがリードしてるけど」

照「私が行っていいですか」スッ

憧「み、宮永照!?……さん」

穏乃「私が……倒すべき相手だ!」

灼「それ、違うと思…」

菫「照?」

照「この辺りで出ておかないと……」

晴絵「……んー、確かに。じゃあお願いするわ」

照「…………」コクリ

菫「あ、待て照」

照「なに」

菫「お前、パイの実とふんわり名人きなこ餅を食べたあと、ルマンドとアイスのザクリッチも食べただろ。床が食べカスだらけだ。掃除してから行け」

照「でも…………………………………………………………」

菫「反論する言葉が浮かんでこない時点でお前に非があるとわかるだろう。今すぐ…」

美穂子「大丈夫です。私が掃除しておきました」ニッコリ

菫「え、今の一瞬でか?」

美穂子「はい。ですから宮永さんはステージに向かってください」ニコニコ


照「ありがとう。菫より遥かに優しい福路さん」

菫「お、お前な……私は照が自分で片付けられるように成長を促すために……」

照「行ってくる」ザッ!

菫「……まったく」フゥ

美穂子「ちなみに、鷺森さんのボウリング用のグローブも洗濯しておきました」ニッコリ

灼「え、ありがとうございます…」

灼(気配りが出来てとても優しい人だけど…………なんで今洗濯?というかどこで?)

菫「それにしても………おい淡。照のMCネーム、お前が付けたんだろう?どうなってる。なんなんだ『TELU-Biscuits(テル・ビスケット)』って」

淡「だってテルお菓子好きだし」

菫「いや、そうなんだが……」

淡「あ、ちなみにRじゃなくてLなのは『ラブリー』のLって意味ですよ♪」

菫「……あのな?白糸台内ではともかく、外での照のクールでミステリアスなイメージが…」

淡「本人気に入ってたよ。亦野先輩にステッカーとか作ってもらえないか頼んでた」

菫「あいつは……そういうセンスはアレだからな。周りが気を遣ってやらないと……」ブツブツ..

誠子「私もやめた方がいいと思って答えをはぐらかしました。ステッカーの相談から話を反らして、おもちゃの缶詰に何が入っているか談義へ持ち込んでうやむやにしました」

菫「ナイスだ亦野」

憧「…………インターハイチャンピオン、すごい言われよう。なんかイメージと違うね」

穏乃「うん。その辺を踏まえると、やっぱり私の倒すべき…」

宥「あったか~い」

穏乃「急にカットイン!?」


【ステージ】

アンチョビ「………………」

アンチョビ(さあ、誰が出てくる?)ワクワク

照「」ザッ

アンチョビ「!」ゾワッ..

アンチョビ(な、なんだ?この圧倒的なオーラは!西住まほ並じゃないか?)

アンチョビ(……いや、麻雀界では超有名人で実力者だからオーラがあるのは当然。でもそれとバトルは別だ!うん、だから大丈夫!)



【舞台袖 戦車道側】

杏「宮永照か。ほー、このタイミングかぁ」

ケイ「もっと後じゃないのね」

ナオミ「ここからでも迫力が感じられるね。それでいて可愛いんだからたまらないよ。お持ち帰りしたいくらいだ」

ケイ「んー、言えてるわね。ちょっかいかけた時のリアクションが見たい」

アリサ「ちょっと、やめてくださいよ。サンダースが誤解されます」

優花里「大丈夫ですよぅ。みなさん、サンダースはそんな感じだと思ってますから。誤解はありません」

アリサ「それが嫌だっつってんのよ!誤解されてるされてないじゃなくてそのイメージが嫌!」



【ステージ】

役人「それでは、じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

アンチョビ「!後攻だ!」

照「…………」ジー

アンチョビ「い、いいだろ!じゃんけん勝ったんだから!」

役人「OK!先攻、麻雀部チーム TELU・Biscuits(テル・ビスケット)!後攻、戦車道チーム アンチョビ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=HNjpGkwF3qc&t=25s 3:10

<第13戦 先攻 TELU-Biscuits VS 後攻 アンチョビ>

照「舞姫 撃破 調子づいた 敵が 佇む 目の前」

照「夢見る2人抜き 無理 浮かれ過ぎ 絵に描いたような餅」ワァァ!

照「昭和 バブル イケイケ お前から感じる浮かれた空気」ワァァ!

照「自意識の塊 発想 視野 定点カメラのようで 退屈さ」ワァ

照「いくつ数えても足りない能力 希望を背に笑う 凡人」

照「本人は 無自覚 故に 人生で披露してしまう とんち」ワァァ!

照「アンチョビのフリースタイルのフリーは 自由でなくて無料だ」ワァァ!

照「後発組 ようやく到着した時点で 軽く凌駕」ワァァァア!



アンチョビ「喋ってるだけでフロウも無しでいいのか?」

アンチョビ「私は勝つ気満々 意地背負ってる 仲間 全員のな」ワァァ!

アンチョビ「何が言いたいのかわかんない 説明してくれよ」

アンチョビ「それか地面にデッカく描いてほしい クレヨン」ワァ

アンチョビ「白糸台のヤツ 出場しすぎだろ もう3人目」

アンチョビ「こんなんばっか相手にするのか? もう堪忍して」ワァァ!

アンチョビ「TELU-Biscuits(テル・ビスケット) パサパサで バラバラで バカバカしい」ワァァ!

アンチョビ「浅はか こんなヤツ 案内するのは 墓場だ そして鼻高々」ワァァァ!



照「さっきも使った堪忍 自分をカンニング 摩耗 ダメージ」

照「ボキャブラリーの蔵書 棚1つ 私はノーダメージ」ワァァ!

照「脳が提示 勝利の道筋 扇状 どの道もゴール」ワァァ!

照「迷いはまぶたの裏 目を閉じなければ 不安は生じない」ワァァ!

照「浅はか バラバラ 稚拙な韻 鼻高々でラップ」ワァァアァ!

照「スラップスティック 主演・監督 ドゥーチェ・アンチョビ」ワァァァ!

照「白糸台 三者三様 見抜けてない 節穴 暗黒に 埋没」ワァァ

照「感覚 おざなり 看過 才能無い 幕引き 敗北」ワァァ!


アンチョビ「ちゃんと見えてる お前のハッタリっぷりもな!」

アンチョビ「あっさりと倒して すぐに準備するよ 次のな!」ワァァ

アンチョビ「韻もまともに踏めてないくせに 説教は 10年早いわ!」

アンチョビ「お前が出られるってことは参加は 抽選じゃないか?」ワァァ

アンチョビ「言葉数は多いのに 最初からずっと 表情は豊か」

アンチョビ「じゃなかった、全然変わらない だから 頂上は無駄だ」ワァ

アンチョビ「表彰があるから 今日の帰りは 遅くなりそうと」

アンチョビ「仲間に連絡 それじゃまたな 孤独な美少女」ワァァァ!



照「私の瞳を覗き込め 映るお前の姿を見ろ」

照「用意された言葉 はしゃぐ手足 滑稽 処刑」ワァァァ!

照「今のお前の8小節 全てコピーしてもいい」

照「まさに自虐ディス 自爆 私へのエールと案内人」ワァァァ!

照「お前は今夜眠れない 黒い羊 数え 悪夢を見る」ワァァ

照「お前は今夜眠れない 網膜に屈辱が貼りついている」ワァァァ!

照「アンツィオ 2人目 ランクダウン 斜陽 監督は惑う」ワァァ!

照「ここから勝とうとする設計図 不出来なコラージュのよう」ワァァァァ!



アンチョビ「コラージュなわけないだろ むしろノブレス・オブリージュ」

アンチョビ「だからこそ ノーマルな状態で勝利にフォーカス」ワァァ

アンチョビ「8小節コピーするとか言って結局してないぞ 嘘つき!」

アンチョビ「そんな根性無しは 一口で食べてしまうぞ? いいのか!?」

アンチョビ「眠れないわけもない 毎日快眠だし 安眠だ!」ワァ

アンチョビ「確かに肝心な 時に寝過ごしたが それでも最近は無い!」ワァァ!

アンチョビ「いいか? お前こそ今日は眠れないぞ TELU-Biscuits(テル・ビスケット)」

アンチョビ「悔しがるのはそっちだ ここでケリつけるぞ!」ワァァ



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!


役人「では判定に入ります!先攻、TELU-Biscuitsが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「……後攻、アンチョビが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「まずはTELU-Biscuitsに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「TELU-Biscuits」

理事長「TELU-Biscuits」

トシ「アンチョビ」

秋一郎「TELU-Biscuits」

南浦「TELU-Biscuits」

役人「勝者!麻雀部チーム、TELU-Biscuits~~~~~!!!」

ワァァァァ!


【舞台袖 戦車道側】

ペパロニ「ああー!姐さんが!」

カルパッチョ「4対1……ですか」

ミカ「なかなか今までいなかったタイプだね」

千代「……ライムは所々に織り込まれていて、フロウでわかりやすくする時もあれば自然に流すような場合もある。とはいえ、ライム自体は量、質ともにそれほどでは無い…」

千代「でも言葉の表現が一味違うわね……ディスも少し捻っていてわかりづらいけれど、明快でないこと自体が彼女のキャラクターとマッチしていて、意味がわからないからお客さんが沸かないという流れにならなかった」

杏「そうっすね。逆にこっちが普通すぎて退屈だと思われちゃうかも。早いとこ止めないと危険かなぁ」

千代「ええ。なので……逸見さん」

エリカ「!は、はい!」

千代「出番です。お願いしますね」

エリカ「わかりました!」

まほ「相手に合わせず、エリカらしく行くんだぞ」

エリカ「は、はい!勝って見せます!」ダッ!

杏(お客さんが宮永照のスタイルに引き込まれる前に、バイブスでガツーンと倒しちゃおうって作戦か。納得)


【ステージ】

照「………………」

エリカ(すました顔してるわね……私をナメてるのかしら?絶対勝ってやるわ)ギラリ

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

エリカ「……先攻!」

エリカ(今の気持ちをぶつけてやる!その上で会場の空気もかっさらう!)

役人「OK!先攻、戦車道チーム エリカ!後攻、麻雀部チーム TELU-Biscuits!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=xI9-Bk0X_lQ 2:52

<第14戦 先攻 エリカ VS 後攻 TELU-Biscuits>

エリカ「1勝おめでとう TELU-Biscuits」

エリカ「でも言ってること なんかくどくど しつけーぞ!」ワァァ

エリカ「インハイで活躍 名門の 白糸台」

エリカ「でもこのステージ あんたの幸せ 今以上無い!」ワァァ!

エリカ「冷めた態度で クールぶってる 痛い女!」

エリカ「審査員もお客さんも そんな人間 見たいのか?」ワァァ

エリカ「ここで私が熱くさせる 会場全体」

エリカ「燃やす炎! あんたを焼き尽くす 内容展開」ワァァ!



照「炎上するエリカ 今の時代 叩かれて泣きを見る」ワァァア!

照「その落差 ビフォーアフター 幸不幸を客も見たがってる」ワァァァ!

照「冷静をクール 騒音を熱さ 誤変換の不味さ」

照「ボタンの掛け違い 固定観念の暖簾(のれん)だ」ワァァ

照「他校のあんた 今のワンバース 最後の多幸感」ワァァ!

照「燃えかすになり気付く 360度 いないサポーター」ワァァァ!

照「白糸台 黒森峰 明暗くっきり分かれた 白黒」ワァ

照「めくる時刻表 数分後 開けた視界を進むのみ」ワァァァ!



エリカ「その時刻表は古いのよ! 今すぐ出す改訂版!」ワァ

エリカ「あんたは敗北して 次のダイヤは無くなる 最低だ!」ワァァ

エリカ「多幸感は これから高まっていく そんな野望だ!」ワァァ

エリカ「楽しそうに見えないあんたの方がアホだ!この雑魚が!」ワァ

エリカ「炎上したら巻き込んで 一緒に燃え上がってやる!」

エリカ「熱さに弱いあんたはくたばる それで勝ってやる!」ワァァ

エリカ「炎のように 赤い薔薇の トゲを突き刺す」

エリカ「そんなディスをかまして勝つ それも悔いなく!」ワァァ!


照「悔いなくという言葉 『ここで負けても』 と括弧(かっこ)されてる」ワァァ

照「先、越されてると 本能が察知 理性が無視 帰結」ワァァァ!

照「エリカ トゲのみ 華が無い薔薇 それはただの剣山」ワァァァ!

照「研鑽(けんさん) 見えず 怒鳴るだけでは 花言葉すら貰えない」ワァァァ!

照「空 願い 込めて 強がり吐き出したが 徒労」

照「トロフィー は星の彼方 相反する フィロソフィー」ワァ ※哲学、ものの考え方

照「現時点 私は オッズ1.2倍の勝ち馬」

照「称号は金(きん) エリカは鈍色に世界映すシルバー」ワァァァ!



エリカ「シルバー? そんなの知るか!バカ!」ワアァァ!

エリカ「てめぇのシナリオなんか読んでられねぇよ クソアマ!」ワァァア!

エリカ「悔いなくっつーのは 遺恨残さないためって意味だよ!」

エリカ「そんなこともわかんないなら 今すぐ 死になよ!」ワァァ

エリカ「花言葉 なんていらないから! バカのまま だろうと」

エリカ「あんたをブチのめす それが私のやり方だから!」ワァァ

エリカ「花が無くても トゲを突き刺して与える 致命傷」

エリカ「自明の理ってやつで勝利 ここで上げるわ 知名度!」ワァァァ!



照「キンキンと鼓膜打つ 金切り声 で話聞こえない」ワァァ!

照「ハウリングのモノマネ 不快感を 表現 何故?」ワァァァ!

照「知名度に こびりつく汚名 落とさず浸かる湯船」

照「落とすのは品格 バカを認知 行き先は ただのピンチ」ワァァァ!

照「シナリオ 相手次第 この場合 ワンサイドゲーム」ワァァ!

照「助演に非難集中 閉鎖続く ファンサイト」ワァァァ!

照「自明の理 既成の死 市井の人 変わらぬ日常」ワァァァ!

照「虚しく去る エリカと砂煙 願う 無垢な眠り」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!


役人「では判定に入ります!先攻、エリカが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「……後攻、TELU-Biscuitsが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「まずはTELU-Biscuitsに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「TELU-Biscuits」

理事長「TELU-Biscuits」

トシ「TELU-Biscuits」

秋一郎「TELU-Biscuits」

南浦「TELU-Biscuits」

役人「勝者!麻雀部チーム、TELU-Biscuits~~~~~!!!」

ワァァァァ!

照「…………」

エリカ「くっ!」


【舞台袖 戦車道側】

千代「2人抜き……」

杏「んー、逸見ちゃん、気合入ってたんだけど……すかされた感じかな?」

まほ「……若干、圧力に押されたようにも見えた」

杏「強いよねぇ。逸見ちゃんのディスに全く動じず、淡々と返してくる」

オレンジペコ「……というか、さっきのバトルより調子良くなってきてませんか?」

ナオミ「言えてるね。相性の問題かな?」

ダージリン「そういえば」

アッサム「どうしました?ダージリン」

ダージリン「宮永さんの麻雀でのスタイルは、連続で和了ることだったわよね?」

みほ「ずっと親を続けちゃうんですよね。周りの人、大変そう……」

華「夕ご飯までに帰してもらえないとなると困りますね」

沙織「夕飯はともかく。え、待って。連続で和了るということは…」

愛里寿「……フリースタイルバトルにその特性が反映されているとしたら、戦うほどに調子を上げてくる」

華「アグレッシブですわね」

麻子「それ、意外と便利な言葉だな。割と色々当てはまる」

沙織「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!ど、どうするの!?次は今よりもっと強くなっちゃうってことだよ!?」

優花里「となると、ここらで止めなければ手の付けようがなくなる可能性がありますぅ」

千代「………………」

桃「か、監督……」

杏(重要な局面だねぃ。冷泉ちゃんのライミングで押すか、バイブス繋がりでカチューシャか、それとも西住まほか…)

カチューシャ「ここはもう私が行くしかないわね!」

ノンナ「カチューシャ。秘密兵器はもう少し後ろに控えるべきですよ?」

カチューシャ「ひ、秘密兵器!じゃあしょうがないわね!」フフン

千代「……決めました」

全員「………………」ゴクリ

千代「…………ケイさん」

ケイ「お、私?」ニヤ

千代「ええ。お願いします」

ケイ「オッケー!3人抜きなんてさせないから!」

杏(おケイ……うん、相手を翻弄しつつもアンサーの上手いおケイならなんとかなるかも)


【ステージ】

照「………………」

ケイ「あなた強いわねー!でも負けないわよ~♪」

照「………………」

役人「じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

照「…………後攻で」

ケイ「えー!?私、先攻なの?後攻が良かったんだけど。ま、いっか」

役人「ではよろしいですか?」

ケイ「オッケー!」

照「………………」コクリ

役人「先攻、戦車道チーム ケイ!後攻、麻雀部チーム TELU-Biscuits!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=YJRVbyFMP9I 3:30

<第15戦 先攻 ケイ VS 後攻 TELU-Biscuits>

ケイ「3人抜きなんて ゼッタイゼッタイさせないよ~?」

ケイ「ハテナな言葉ばっか 疑問が晴れないよ」ワァァ

ケイ「お客さん 興味あるのかな この子の 朗読劇」ワァァ!

ケイ「消毒液 かけちゃおうかな? って 冒涜的~!」ワァァァ!

ケイ「もっと声張ってこうよ 若さが足りないよ?」ワァァ

ケイ「根暗っぽく過ごしてる? お肌のハリないよ?」ワァァァ!

ケイ「いつも最高 そう言えるくらいのアゲアゲな気分だわ」

ケイ「あなたもそれぐらいハッピーなら みんなも話 聞くんじゃない?」ワァァア!



照「ハテナばかりなのはケイ 語尾 基本 疑問形」ワァァ!

照「自論展開 演説 低レベル ノリ(糊)で穴を塗り ツギハギ」ワァァ

照「弱者の遠吠え 本音 ふと目を向ける 元気よく三振するケイ(K)」

照「声量 責める傾向 参加する気は皆無 大声コンテスト」ワァァァ!

照「セルフプロデュースの未来地図 客観視で描(えが)くように」ワァァァ!

照「根暗がステージへ それこそ シンデレラストーリー」ワァァァァ!

照「ケイ 若さ 肌のハリ ノリ 手荷物は立派に でも一般人」ワァァ!

照「私の出世街道 見送る 将来 後悔と懐古」ワァァ!



ケイ「出世街道とか意味わからない キミバカじゃない?」ワァァァ!

ケイ「シンデレラ なるのは無理 次々ガックリ てか 韻練れば?」ワァァァァ!

ケイ「声量いるのよ最低限 じゃなきゃ聞こえない全然」ワァァ!

ケイ「依然変なことばっかり 頭良いアピールって嫌い~」ワァァ!

ケイ「私は懐古しない 今を見てます」

ケイ「毎日努力して 少しずつ伸びてます」ワァァ

ケイ「麻雀界では なんかあるっぽく見せてる カリスマ性」

ケイ「でもここで私に食われちゃうんだよ 家畜だね~」ワァァ


照「カリスマ性 有無 興味ないが 本質 シンプル」

照「ふと振り向き 画角 変わる 映る 知る 背中を追ってきていた人数」ワァァァァ!

照「努力自慢 まるで インスタ映え 気にする女子」ワァ

照「否定はしないが その自己主張 私にとって 禁句なだけ」ワァァァ!

照「狼を家畜 勘違い 目の劣化 遠回しのアピール」ワァァ!

照「シンメトリーの価値観 反転の 醍醐味も無しだ」ワァ

照「最後にもがき出す 分針の音 時すでに遅し」ワァァ!

照「背後に伸ばした 影 惨敗 狂う イデオロギー」ワァァ!



ケイ「最後に、ってまだワンバース残ってる焦りすぎ」

ケイ「フライング気味 今の状況が辛いんですねキミ」ワァァ

ケイ「私はやらないんだよね インスタグラム」

ケイ「そんなのより私はこの場 韻上手くやる」ワァァァァ!

ケイ「努力を語る気分 だっただけ 別に感じてないからカタルシス」ワァァ

ケイ「自己満足じゃないわ あなたのディスこそ三振 空振りする」ワァァァァ!

ケイ「なんか難しいこと言ってるけど この人 ホントにカッコいい?」ワァァ

ケイ「聴いてて楽しくない ディスも痛くないと思われてる 自覚も無~い!」ワァァァ!



照「ケイ 確かに楽しそう 眩しく思う 優雅と」

照「ただ内容は虚無 闇夜 ポツリと立つ誘蛾灯」ワァァァ!

照「一晩経てば忘れる 暗記すらされない参考書」ワァ

照「目で愛でる 鑑賞用 のみの用途 価値はノミのようと 言える」ワァァァ!

照「ディスの効果報告 副作用 状況 何も言うまいよ」

照「そういうマインド 毎夜 努力、アピール 止めはしない」ワァァ

照「生き方 道のりも 人それぞれ 無駄 効率も隣り合わせ」

照「でもケイのスタイルのこと 好むのは 一定数のマニアだけ」ワァァァ



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!


役人「では判定に入ります!先攻、ケイが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「……後攻、TELU-Biscuitsが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「まずはTELU-Biscuitsに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「TELU-Biscuits」

理事長「TELU-Biscuits」

トシ「TELU-Biscuits」

秋一郎「ケイ」

南浦「TELU-Biscuits」

役人「勝者!麻雀部チーム、TELU-Biscuits~~~~~!!!」

ワァァァァ!

照「………………」

ケイ「うーーー……悔しいけど負けたわ!あなた強いわね!」

照「……ありがとう」

ケイ「勝ったんだからもっと喜ばないと!ほらほら、笑って笑って!」

照「……充分喜んでるから、その……大丈夫」

ケイ「えー!すっごい笑顔になってるの見たい!」

照「そう言われても……」

ケイ「あ、試合後の握手忘れてた。はい」スッ

照「ん……」ガシッ

ケイ「…それと」

照「?」

ケイ「健闘を称えるハグ!」ダキッ

照「っ!?」ビクン

ケイ「んー♪ツンケンしてる感じだけど柔らかくて抱き心地がいいわね~」

照「……っ……その……困る……」

ケイ「えー、なんでー?あ、エッチな気分になっちゃうとか?」

照「ならない。絶対ならない」

ケイ「あっはは!ムキになっちゃって可愛い~♪」

役人「あ、あの……そろそろ次の試合に移りたいのでその辺で……」

ケイ「えー」

照「」ホッ


【舞台袖 戦車道側】

ケイ「ただいま!負けちゃったわ。すっごく悔しいわ!」

アリサ「いや、そのあと相手に抱きついて生き生きとはしゃいでたじゃないですか……」

ケイ「それはそれ」

杏「なんかノリきれない感じだったっぽいけど?ビートがやりにくかった?」

ケイ「それよりもテルと相対して呑まれちゃった、って言うのが正しいかな?」

みほ「呑まれた?ケイさんが、ですか?」

ケイ「そ。テルの淡々としたラップに対抗するように明るく攻めようとしたんだけど、気付いたらテルの土俵に引きずり込まれてて、そこでもがいてたら終わってたようなイメージね」

ナオミ「隊長の長所を潰し、自分の長所を生かすような空気を作り出しているように思えるね」

アッサム「決してバトル向きな派手なスタイルではないけれど、声質や雰囲気、そして彼女の麻雀で培ってきた存在感が説得力とカッコよさをもたらしているような気がします」

ダージリン「一語一句、アッサムと同意見よ。というか、わたくしが先に思ったわ」

オレンジペコ「思っただけじゃ権利は得られませんよ?」

千代「……それと今の試合を観て確信したのだけど、麻雀での彼女のスタイル同様、右肩上がりに調子を上げてきているわね。1戦ごとに強さが増しているわ」

麻子「ライムに関しては顕著だな。『遠吠え 本音 ふと』と『大声コンテスト』であったり、フロウで『(客観)視で描(えが)くように』、『シンデレラストーリー』や、『醍醐味も無しだ』『最後にもがき出す』『背後に伸ばした』と質、量ともに前の試合以上に上乗せしてきている」

愛里寿「このままだと危険……」

千代「……そうね」

エリカ「こうなったら確実に勝つために、まほ先輩が出るしか……」

ポロロン..

優花里「この音は一体!?誰だ!隠れてないで出てこい!」

ミカ「右隣にジャストさ」フフ

優花里「ミカさん!」

沙織「……というかゆかりん、わかってて言ったでしょ」

優花里「えへへ……『隠れてないで出てこい』って言ってみたかったんですよぅ」

華「……優花里さん?年上にタメグチを聞くとムナグラを掴まれてウラミチに連れてかれてシメラレてしまいますよ?」

優花里「はっ!?も、申し訳ありませんでしたミカさん!」ペコペコ!

ミカ「大丈夫。カンテレを持っていると胸倉は掴みにくい。カンテレを落としちゃうからね」ニコリ

優花里「ありがとうございます!」

エリカ「……で?なんで音鳴らしたのよ?まほ先輩の前で音鳴らすとか、ケンカ売ってるわけ?」

まほ「やめろエリカ。わかりやすく感じ悪いぞ」

エリカ「す、すみません!」

まほ「……何か言いたいことがあるのだろう?」

ミカ「…………まぁね」


まほ「一体なんだ?」

ミカ「次は私が行く」

まほ「!」

ミカ「……宮永照は強い。これ以上勝たせたら全員負けてしまうかもしれない。だからここで私が出るべきだと思ってね」

カチューシャ「何よあんた。自分なら勝てるって言いたいわけ?」

ミカ「いや、私は負けるだろう」

カチューシャ「え……?」

ミカ「ただ、少しは雰囲気を戦車道側に寄せるつもりさ。彼女のパワーアップ以上に、こちらに流れをもたらす。そうすれば次で勝てるからね」

アンチョビ「そんなことしなくてもいいんじゃないか?負けるとわかっているなら、勝てる人間を出せばいい」

杏「それが落とし穴なんじゃないかな?」

アンチョビ「……なんで」ム

杏「ぶっちゃけさ、逸見さんもおケイも、宮永照に勝てると思ったから送り出したわけっしょ?でも結果は負けた。それは宮永照が戦うほど強くなるからってのもあるけど、それよりも会場の雰囲気や空気を巧みにコントロールしてるからって感じがするんだよね」

アンチョビ「??」

杏「なんて言うのかな、お客さん、審査員、相手選手全てをコントロールして『宮永照が勝つ流れ』を作り上げたって感じ?麻雀みたいな運の要素が強く絡む競技で戦って磨かれた力なんだろうけど……極端に言えば、今は誰が出ても負ける気がする」

アンチョビ「そんなバカな!」

杏「会場の空気を一気に変えるおケイでも本領発揮することが出来なかったのは、そういう空間の中だったからだと思う。だから宮永照の本当の特性ってのはさ、1戦ごとに強くなる以上に、その場を宮永照を頂点とする空間に塗り替えることじゃないかな」

アンチョビ「………………」

杏「で、そんな雰囲気を察したからこそ、負けると確信しつつも、その流れを乱して……いや、思いきり断ち切って、次の選手で勝てるようにと、ミカさんが名乗りを上げてくれたんだと思うよ?って、違ってたらカッコわりーけど」アハハ

ミカ「……ふふ、さすが角谷さんだね。見透かされて気持ちがいいなんて初めてだよ」クス

ミッコ「つまり……初体験!」

アキ「なんでそのワードチョイスで強調するの!?」

優花里「??どこかで聞いたフレーズですねぇ」

ミッコ「麻雀部の研究のために観たテレビでね」

優花里「なるほど」クス

ミカ「……とにかく行ってくる」

ミカ「………………」

ミカ「カチューシャ」

カチューシャ「な、なによ」

ミカ「私が負けた後は頼んだよ」ザッ!

カチューシャ「!あんた……!」

カチューシャ「~~~~っ!」

カチューシャ(何よ!カッコつけて!わかったわよ!あんたがもし負けたら私が宮永照を倒してやるわ!)

千代「………………」

千代(監督の私をほっぽって勝手に決め、そして行ってしまったわね。人選に反論は無いけれど、本来なら監督に一言くらい言わせるのが筋なはず……やはり怖いわね、イマドキの子って)フ..


【ステージ】

照「………………」

ミカ「……………」

ミカ(やはり……ステージに立った瞬間、ものすごい圧と違和感を覚える。ここは自分の居場所で無いと勝手に思わされるような)

役人「それでは始めましょう。先攻後攻を決めてください」

ジャンケンポン

ミカ「後攻にするよ」

役人「OK!先攻、麻雀部チーム TELU-Biscuits!後攻、戦車道チーム ミカ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=ppv-GRImruw 3:00

<第16戦 先攻 TELU-Biscuits VS 後攻 ミカ>

照「フィンランドの楽器持つ 昼行燈(ひるあんどん)」

照「装い 余所余所しい いつ何時 も飄々と行動」ワァァ!

照「一方 戦車道 バトル 見せる ひたむきさ 磨く牙」ワァァ

照「ここで砕く 飛散するカケラ 美観 勝利損なう 悲惨さ」ワァァァ!

照「継続高校 エースも 制御不能の 私は止められない」ワァァァ!

照「と警告 早々と 隷属 願望に気付く時だ」ワァァァ!

照「舞台袖の者たちに告ぐ 準備しろ5人目」ワァァ

照「勝ちに次ぐ勝ち 睨み終わらせる バジリスク」ワァァァ!



ミカ「制御不能な ら 自滅するまで 待つよ」ワァァ!

ミカ「止めない ご勝手に 座っテい~~い?」ワァァァ!

ミカ「い(っ)ぱいこトば ペラペラ と 疲レた~ぁ」ワァァ

ミカ「そゆこと言うためにマイク持つなんて意味がわからないホントわからないよモウ」ワァァァ!

ミカ「バジリ~スク ほん とならリス クある ケど」ワァ

ミカ「違う・あなた・人間・でしょ」ワァァァァ!

ミカ「言葉ババババ 嘘 つき 次 々 と ぉ ~」ワァァ!

ミカ「3人抜きだけホントのことー!」ワァァァァ!



照「ミカは勝利 捨てた うたうたい たゆたい 遊び」

照「過去の功績 帳消し どうせ消える道化師」ワァァァ!

照「壇上 賛同もイマイチ 得られず 落とす肩 ひどく孤独」ワァ

照「感情 置き場 無くし ラップしたことも後悔を呼ぶ」ワァァ!

照「異常なまでに 言葉足らず それを二乗」

照「フロウで逆手に 無駄 見せかけ 奇行 情けない」ワァァ!

照「間の無駄遣い 得るモノが無じゃ辛い」ワアァ!

照「2度目のバース 敗北必至と 教え込む ヒトゲノム」ワァァ!


ミカ「コト バた らず でも 楽しくない?」ワァァァ!

ミカ「間がムダとか 音楽~をわかってない!」ワァァァァ!

ミカ「お客さんは ここに何シに来たの?」

ミカ「あなたの講演会 見に来たわけジャナいんだよ~!?」ワァァァァァ!

ミカ「あーだ こーだと全 部を説明」

ミカ「しちゃ 蛇足だ~ 即イヤにな る」ワァァ!

ミカ「あなたは照様 私 は道化師」ワァァ

ミカ「それでもいい みんな楽しませたいぃ~!」ワァァァァァ!



照「全部説明 していない 残してる 想像の余地」

照「言葉の余韻 規定外 ノーマルも提示し パッケージ」ワァァ!

照「内から沸く言葉 飽くことなく 堂々説く」ワァ

照「声 リズム ライム 聞き手が引き出す想像力」ワァァァ!

照「講演会では当然ない ただ1人 表現者がいるだけだ」ワァァァ!

照「道筋と結果で証明 だから 発足する 後援会」ワァァ!

照「フロウで誤魔化すのは恥ずべき行為 わかるか?」

照「今度はうちの舞台袖に告げる 勝者が 座る席、用意 しろ」ワァァァ!



ミカ「♪ラララ ララララ ララ ララ ララ~」

ミカ「これこそ聞き手に与える想像力」ワァァァァァァ!

ミカ「各々(おのおの)の 思う ところの」

ミカ「言葉を浮かべ てくれ りゃいーのーさ」ワァァァ!

ミカ「大事な のは インスピレ~~~ション」ワァァ!

ミカ「直感が 一番 大事 じゃないのか~な?」ワァァァ!

ミカ「こ のフロウは キミのコトバを超える」ワァァァァ!

ミカ「日本語わからなくても 脳がヨロコぶ~!」ワァァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!

照「………………」

ミカ「………………」


役人「では判定に入ります!先攻、TELU-Biscuitsが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、ミカが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「まずはミカに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「ミカ」

理事長「TELU-Biscuits」

トシ「ミカ」

秋一郎「TELU-Biscuits」

南浦「ミカ」

役人「勝者!戦車道チーム、ミカ~~~~~!!!」

ワァァァァァァ!

照「………………」

ミカ「ふふっ」

照「……前の大会とスタイルが違う」

ミカ「そうだね。前のやり方では勝てないからね」

照「……策士」

ミカ「褒め言葉かな?」

照「一応」スッ

ミカ「ありがとう」ガシッ


【舞台袖 戦車道側】

アキ「やったーー!ミカが勝ったーーー!」

ミッコ「すっげーー!!」

カチューシャ「あ、あいつ……!負けるつもりなんか最初っから無かったんだわ!そのくせあんなこと言って……!」ワナワナ..

まほ「ふふっ、彼女らしいではないか」

みほ「練習ではあんなフロウ、一度も見せなかったのに……」

オレンジペコ「奥の手というわけですね」

千代「……むしろあれが彼女の本来のフロウなのかもしれないわね。今までは、フロウとはこういうものであるという先入観に縛られていたけれど、その考えを捨て、自分自身の自然なスタイルを表現したように感じるわ」

アキ「あ、それわかります。今のってすっごくミカっぽいですから!」

千代「それにしても……見事の一言に尽きるわね。宮永照さんの作り上げた流れを変えるほどのフロウ、そして天性のリズム感と音感……底が知れないわ」

ケイ「テルを倒したことで会場の空気もミカがかっさらって味方に付けたみたいだし、このまま勝ち抜いていってほしいわね」ニコニコ


【舞台袖 麻雀部側】

照「ただいま」

淡「おかえりー♪テルー」

誠子「お疲れ様サマです」

菫「あそこまで流れを作った照が負けるとは思わなかった」

照「……バトルの前までは私も勝てると思ったんだけど」

智葉「ヤツのフロウが奇抜すぎた。まともにやるのがバカらしくなるほどにな」

照「うん、まったくもって」

淡「ああー!それ私の『まったくもって』だよ~!」

照「うん、使っちゃった」

淡「あ!でもお揃いだからいっか!」

照「まったくもって」

智葉「やれやれ……試合時の緊張感はどこへやらだな」


照「そうだ。菫、お菓子……」

菫「試合前に食べただろう?やめておけ」

照「……本当に心の底から、製造・販売している全てのメーカーに感謝をしている」

菫「だからなんだ」

照「おかし食べたい」

菫「ダメだ」

照「……………………」

菫「……………………」

穏乃「……あ、あの!」

照「?」

穏乃「わ、私……意外と知られてないんですけど、和菓子屋の娘で……」

照「!」

穏乃「宮永さんさえよければ食べますか?これ、どっかの銘菓です」

智美「どこのか判明してないのか」ワハハ

照「ありがとう。いただきます」モグモグ

憧「………………」

照「…………美味しい」

穏乃「よ、よかった」ホッ

照「東鳩さん、ありがとう」

穏乃「ち、違います。高鴨です。鳩と鴨は鳥ですけど…」

照「ジョーク」

穏乃「え?そうだったんですか?あっはは!意外とお茶目なんですね~」

照「まったくもって」

穏乃「あははは」

照「」モグモグ..

穏乃「…………あ、あのっ!」

照「?」

穏乃「……その……このタイミングで言いにくいんですけど……」

照「…………お菓子の代金?」

穏乃「いえ!違います!質問があって……試合後にすぐってのも悪いと思ったんですけど気になって……」

照「別にいい。何?」

穏乃「ありがとうございます!その……宮永さんって、相手のことをすぐわかっちゃうんですよね?」

照「菫が怒りっぽいとか?」

菫「おい」

穏乃「そういうのではなくて……」

菫「鏡のことを言っているんだろう」ヒソ

照「あ……」


菫「……ここは上手くはぐらかしておけ。今後、麻雀を打つ時に不利になるような情報は…」

照「うん。鏡でばっちり」

菫「おい照!」

穏乃「鏡?」

照「そう。その鏡でその人を見ると、結構色々なことがわかる仕組み」

穏乃「やっぱり!すごいです宮永さん!」

照「……そうでもない。でも…………追加でお菓子を貰えるくらいの芸ではあるかもしれない」

穏乃「じゃあこれ、東か西の地方の銘菓です」

照「催促したみたいで申し訳ない。いただきます」

穏乃「あ、すみません。話が終わってから渡しますので」

照「………………」

穏乃「う!あの、宮永さんが貰っておいて話さない人だなんて心配してないんです!でも、東京の人ってそういう人多いって聞くので……」

智葉「偏見がひどいな。鹿せんべいが主食の奈良県民はこれだから困る」

灼「それのがひどい偏見だと思…」

智葉「ふっ、戯れだ」

灼(わずらわし…)

照「……じゃあ教えたらお菓子ください」

穏乃「もちろんです!」

照「それで、質問は?」

穏乃「……なんでフリースタイルバトルでは鏡を使わないんですか?使ってたらミカさんの情報が事前にわかったはずですよね?」

照「確かに。でも理由がある」

穏乃「理由?」

照「うん。鏡を使うには、麻雀で言えば1局を見(けん)に回らなければいけない。それはフリースタイルバトルでも同じ。ただ、バトルの場合だと、1バース丸々潰さないと鏡を使えない」

穏乃「あー……なるほど」

照「1バースずっと無言だと絶対負ける」

久「般若の『小節の無駄遣い』をサンプリングしたという風にしても無理がある長さよね」

照「それに、ある事件があってからは鏡を使うのを少し躊躇うようになった」

穏乃「事件!?」

照「」コクリ

穏乃「事件って一体…………」

照「……………………」

穏乃「…………あのー?」

照「鏡について話した。この続きはまた別」

穏乃「あ、お菓子……はい、どうぞ」


照「ありがとう。その事件と言うのは……」チラ

哩・姫子「」

穏乃「?白水さんと鶴田さんがどうかしましたか?」

照「……鏡を使った時に見えた光景が忘れられない」

穏乃「どんな光景だったんですか?」

照「…………言いづらい。1つ言えるとすれば、喉が渇きそうなことしてた」

穏乃「???」

照「とにかく、そんな姿を見せつけられてからは、それっぽい人の時には覚悟して鏡を使ってる。これは内緒の話だけど、準決勝で園城寺さんに使った時はちょっと警戒してた。清水谷さんと浪速の感じでアレコレしてる可能性大だったから」

穏乃「浪速?????」

菫「まとめると、フリースタイルバトルでは不向きだったというわけだ。そうだろう?照」

照「うん」

菫「わかってくれたか?わかってくれたよな?もう質問は無いな?」

穏乃「は、はい……色々ありがとうございました」

照「こちらこそ。お菓子、美味しい。またあとで質問してほしいくらい」モグモグ

穏乃「本当ですか?わー、嬉しい。聞きたいこと結構あるんですよ!まだお菓子あるので、また後でお願いします!」

照「うん」モグモグ


玄「ぅわわ……穏乃ちゃん、宮永さん相手に堂々としててすごいなぁ。私、宮永さんの前に立つだけで怖くて震えちゃいそうになるのに」

宥「あんな風に楽しそうにお喋り出来る穏乃ちゃんが羨ましい……」

憧「………………」ム

晴絵「確かにしずは物怖じしないよね。誰とでもすぐ仲良くなれる感じ。宮永照もすんなり心を許してるっぽいし」

憧「………………」ムムム


照「」モグモグ

穏乃「」アハハ


憧「…………こほんっ!」

照「?」

穏乃「?」

憧「あ、ああ~、なんか私お腹減ったなぁ~」チラ

穏乃「?」

憧「我慢できないから、何か食べたいなー。このままじゃお腹空きすぎて倒れちゃうかも~。でも何も持ってきてないやー。誰かに貰うしかないかもねー」

やえ「ふっ、心配しなさんな。豆パンを買ってあるから食べるといい」バァァァン!

憧「グギギ……」ギリギリギリ..

やえ「えっ!?な、何故そんな顔をされる!?私が何かしたか!?」

煌「すばらです」

やえ「どっちに対してだ!?」


白望「………………」

白望(宮永照が負けたことに関して、チーム内のショックはさほどでは無い、か。宮永照が率先してそうなるよう振る舞った……という感じでもないけど……というか、なんかあの人、性格が丸くなった?まぁ……よく知ってるわけではないけど)

エイスリン「カントク!」

晴絵「ん?どうしたのエイスリンさん」

エイスリン「メガネ!」

晴絵「え?」

エイスリン「ヨンデル!」

晴絵「ああー!役人さんが早く選手出せって言ってるのね!いっけない。すっかり和んじゃってたわ~」

洋榎「選手と一緒になって雑談に聞き耳を立てる監督……」

胡桃「職務怠慢!」

洋榎「いや、めっちゃええやん!フレンドリーでええわ~!ジュースとかすぐおごってくれそうやし」

豊音「そ、それより、メガネさんちょー困ってるよー?ミカさん、微笑みながら待ってるだけで、メガネさんが場を繋いでるけどー…」

由子「クソぐだぐだよー」

美穂子「監督。誰が向かうのですか?」

晴絵「え?ああ、それは決まってるんだ」

優希「仕方ない……真打ちは遅れて…」

晴絵「竹井さん、お願い」

優希「じょ!?」

久「私ですか?」

晴絵「そ。頼むね」

久「……わかりました」

久(ここで私か……正直予想外)

美穂子「あの、久……これ、良かったらステージ上で飲んでください。ノドにいい成分が入ってます」

久「お、美穂子お手製のドリンク?ありがと、いただくわ」

美穂子「頑張ってください。帰りを待っています」ニコリ

久「……うん。じゃあ行ってくる」ザッ


照「…………」モグモグ

菫「どうした照。竹井久をじっと見て。何かあるのか?」

照「……彼女も危険」

菫「危険!?どういう意味だ?」

照「鏡で見たら、結構色々としてそう……」

菫「??」


【ステージ】

久「お待たせしました!」

ミカ「気にすることはないよ。私は待っていない。それどころか、ステージに1人佇むことを本心で望んでいたのかと思うほど心穏やかだったからね」

久「……そっか」クス

久(相変わらず不思議な雰囲気の子ね)

久(……しっかし、ここで私……監督は何を思って起用したのかしら?)

久(私のスタイルはオーソドックス。なんなら、補欠かもと思ってたんだけどね)

役人「よかった……っ!何かトラブルがあったのかと思いましたよ」ホッ

久「申し訳ありません。諸事情で遅れました。以後気を付けます」ペコリ

久(諸事情っていうか宮永照と高鴨さんのやりとりを見て、ほんわかしてただけなんだけど)

役人「い、いえ!問題なければ結構ですから!準備はよろしいですか?」

久「はい」

ミカ「準備……どこまでを準備と言うのだろう?勝利に対する準備なら、相手の実力やバックボーンを知らなければ準備をしようがないけれど」

役人「あ、その…………じゃんけんしてください!」

久(相手するのをやめた……でも正解ね。というか、私もこの子のペースに呑まれないようにしないと)

ジャンケンポン

久「!後攻にします」

久(とりあえず後攻ゲット。彼女のフロウで会場を支配されないように対抗しないと……やれるだけやってみますか!)

役人「では先攻、戦車道チーム ミカ!後攻、麻雀部チーム ミーホヒーサー!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=Y6cLPSN85gE 2:10

<第17戦 先攻 ミカ VS 後攻 ミーホヒーサー>

ミカ「打って 変わ って って ってな感じって」ワァァ

ミカ「ノリノリの地の利 生かすように」ワァァ!

ミカ「楽し げ じゃなくて楽しい」ワァァ

ミカ「さっきの余韻 がポイン ト」ワァァァ!

ミカ「ミーホヒーサー 時間が か か か か った」

ミカ「もしかして キンチョウし~た~?」ワァァァ!

ミカ「私は ここが ご近所~みたい」

ミカ「そんな、ショーし た~~い です」ワアァァ!



久「♪ずんずんずんずんずんずんたった」ワァ!

久「♪ずんずんずんずんずんずんたった」ワァア!

久「フロウがダメならリズムで勝負」ワァァ!

久「プラス、ライムとパンチラインで勝負」ワァァ!

久「時間かかった お待たせしました」

久「リラックスしすぎた ご近所な気分」ワァァ!

久「身分はイーブン 気楽にもう一度」

久「♪ずんずんずんずんずんずんたった」ワァァァ!



ミカ「ずんずん しすぎてどこ行くの?」

ミカ「通りすぎチャッてるんじゃなイのかな?」ワァァ

ミカ「私はず っと立ったまんま~」

ミカ「たった ワンバ~ スで勝っちゃう」ワァァァ!

ミカ「キミ なんだ か奇抜 な印象」

ミカ「注・意 ギャンブル依存症」ワァァ!

ミカ「わたし音に合わせまくり盛り上げてくこの場かなり」ワァァ!

ミカ「熱くさせて軽く上げて必ずもらう価値ある勝ち」ワァァァ!


久「ずんずん通り過ぎた先で 待ってます」ワァァ!

久「振り向き 止まってます」ワァァ!

久「追いついてから せーので差を付ける」

久「ギリギリの勝負 バトル依存症!」ワァァァ!

久「フロウ特化 その他は 超特価」ワァァ!

久「尖りすぎて 横殴りで折れそうだ」ワァァ!

久「だけど別に私もその早めフロウ出来るからさ」ワァァァ!

久「あなただけのモノでないことをここで見せつける!」ワァァァ!



ミカ「見せつけたと見せかけて間違いだとバレてしまう」ワァァア!

ミカ「い まか ら そうする」ワァァ!

ミカ「こやって イケる とこ 行く」ワァァァ1

ミカ「キミは モノマネ 似てない」ワァァ!

ミカ「このフロウ 横殴り 無理 熱さ」

ミカ「常夏 そっくり モノマネ女王」ワァァァ!

ミカ「折れそ で折れない のね これ」ワァァ!

ミカ「ごめん とゆ ことで シユーアゲイン」ワァァァ!



久「また会ったわね お久しぶり」

久「さよならの向こう側から来ました」ワァァァ!

久「勝ち逃げ以前の言い逃げにゲッと」

久「なるけど 持ってるよ 後攻のチケット」ワァァァ!

久「審査員と観客票もゲット」ワァァ!

久「下馬評を覆し 飛び立つよジェット」ワァァァ!

久「優勝したい だから倒す」ワァァ!

久「ミカさん個性派 でも ガラパゴス」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!

ミカ「………………」

久「………………」


役人「では判定に入ります!先攻、ミカが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、ミーホヒーサーが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

久「!」

役人「まずはミーホヒーサーに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「ミカ」

理事長「ミーホヒーサー」

トシ「ミーホヒーサー」

秋一郎「ミーホヒーサー」

南浦「ミカ」

役人「勝者!麻雀部チーム、ミーホヒーサ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

久「勝っ……た?」

ミカ「そうだね。キミの勝ちさ」

久「ミカさん……」

ミカ「素直に認められる負けだよ」スッ

久「あ、ありがとう」ガシッ

ミカ「それでは、敗者は去るとしようか。だが覚えておくといい」

久「え?」

ミカ「風は移りゆくもの……そしてその風には強弱だけではなく、色や匂いもある。五感をすり抜けてしまう類のモノもね」

久「………………そうね!わかるわ!」

ミカ「うん、それでいい」テクテク..

久「………………」

久(天江さんみたいな感じなのね、きっと。うん)

久(……それにしても……今になってやっと気付いたわ)

久(今のバトルが始まる前は、宮永照が負けたこと、そして破った相手が奇抜なフロウのミカさんだったことで、会場の空気は一気に戦車道チームに寄った…)

久(つまり、麻雀部チームにとってアウェイも同然だった。もっとミカさんのバトルが見たいという雰囲気になっていた…)

久(その場に出ていき、ミカさんと戦うということは圧倒的な不利を意味する。でもそれは、言い換えれば…………悪待ちと似ている!)

久(だから監督は私を選んだ。そして、私はその期待にちゃんと応えられた)チラ

ワァァァァ!

久「~~~~っ!」ブルルッ!

久(この感じ!負けると思われてた状況からひっくり返してお客さんに支持されること!自分の仕事を全うしたこと!気持ち良すぎる!!脳からなんか出てる~!)ゾクゾクゾクッ!


【舞台袖 麻雀部側】

晴絵「竹井さんがやってくれたね」ニコリ

憧「ハルエの狙い通りバッチリって感じ?」

塞「智将と呼ばれる監督だけあってお見事でした」

晴絵「まぁね」アハハ

竜華「?智将なんて呼ばれとった?」

セーラ「知らん」

白望「塞は、たまに心にもないこと言う……」

塞「い、言わないわよ!雑誌に書いてあったの!それに本心!」

灼「もし雑誌に載ってなくても、智将という評価は間違ってない。ハルちゃんは頭いい。普通免許だって持ってる」

智美「ワハハ。免許なら私も持ってるぞー」

灼「………………」

智美「何故黙るのか」

煌「車を買わない若者が増えている昨今において、高校生でありながら免許を取得するとは、まさにすばらです」

智美「…………褒められた」

佳織「良かったね」ニコリ

晴絵(……竹井さんはバランスがいいし、器用だから相手に合わせて戦える。ここで3人抜きくらいしてくれればかなり後が楽だけど……さて、相手はどう出るか)


【舞台袖 戦車道側】

ミカ「ただいま。勝利というのは難しいね。手中にしたと思っても、隙間からサラサラと砂のように零れ落ちてしまった」

ペパロニ「えー!なんでギュッて握ってなかったんすかぁ?簡単っすよ?ホラ」ギュッ

ミカ「それは……まぁ…………そういう表現というか」

ペパロニ「握力足んないんすか?それならトレーニングするっすよ。こうやって手をグーパーするんす」

ミカ「……ありがとう。今度やってみるよ」

ペパロニ「そうやって後回しにしてるからダメなんすよ~!今すぐやるっす!はい、グーパーグーパー」

ミカ「…………アキ、ミッコ」

アキ「ごめんなさいペパロニさん。ミカ、試合後で疲れてるみたいで…」サッ

ミッコ「ペパロニさん!こっちで遊びましょうよ!折り紙でハンドスピナーみたいなの作ったんです!」

ペパロニ「マジっすか!折り紙ハンパねーっすね!今すぐ行くっす!」タタタタ

ミカ「………ふう……例え1つでここまで巻き込まれるとは」ハァ..

アキ「ミカの回りくどさも原因だよ?」

ミカ「……人生は回り道の連続だ。最短距離が心に豊かさをもたらしてくれるとは限らないよ」

ケイ「そうなの?最短距離ってどういうルート?」??

ミカ「………………」

アキ(深く考えずに言っちゃったんだろうなぁ。困ってる……でも今度は助けないからね)

ケイ「人生の回り道っていうのも教えてよー!」

ミカ「……今がその状態さ」

ケイ「?もっと具体的にプリーズ!」

ミカ「……………アキ……」チラ

アキ(すぐ思わせぶりなこと言うからだよ。ちょっと反省してもらうからね)


エリカ「ったく……バトル終わってすぐ雑談なんて大したものですよね」

まほ「試合での労をねぎらおうと機会を待っていたが……不要のようだ」

エリカ「それにしても、あいつが負けるとは思いませんでした。すごくいい流れだったのに……」

まほ「そうだな。だが相手もなかなかやる。アンサーが出来ているし、フロウも標準以上。ユーモアの効いたパンチラインもあった」

エリカ「『シーユーアゲイン』に対する『さよならの向こう側から来ました』とかですか……確かにアンサーは結構上手いみたいですね」

まほ「ちなみに『フロウがダメならリズムで勝負』の部分はライムスターの『K.U.F.U』の『声が無いならリズムで勝負』のサンプリングでもある」

エリカ「気付かなかったです……ちなみに次の試合、誰をぶつけると思いますか?」

まほ「そうだな……ミーホヒーサーは、なんでもそつなくこなせる器用なタイプ。となると…」

まほ「角谷杏」
千代「角谷さん」

杏「ふぁい」モグモグ

千代「その干し芋を食べ終わったら出番よ」

杏「もぐもぐ……ごくん。がってん承知!」

エリカ「まほ先輩!当たりましたね!」

まほ「うむ。総合力ではかなり優れている上に適応力が高いからな。別のスタイルをぶつけてスタイルウォーズで返り討ちに遭う危険性を避けたのだろう」

エリカ「……あの人なら、と信頼されてるってことですね」


【ステージ】

久「お」

杏「どもー」ザッ

久(この子かぁ~……なるほどね)

杏「よろしくぅ」

久「ええ、よろしく」

役人「それではじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

杏「後攻~」

久「…………」

久(DVDで観た時もそうだったけど、あいこにすら持ち込めないのね……なんなのかしら?この強さは)

役人「OK!先攻、麻雀部チーム ミーホヒーサー!後攻、戦車道チーム アンジー!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=7292oxSQZ4Y 2:45

<第18戦 先攻 ミーホヒーサー VS 後攻 アンジー>

久「じゃんけん強いんだもの 後攻とるわよね」

久「でもそれを 卑怯・卑劣・愚か・愚策・恥とは思わない」ワァアァァァ!

久「だからここで先攻 落ち着いた戦法で勝つ」

久「遠慮しない 謙虚でもない ただただ連勝」ワァァ!

久「私と同じ髪を二つ結び でも印象違う」

久「『幼さと あどけなさと 法に触れたさ?』」ワァァア!

久「髪型が相まって 小学生みたいよ?」ワァァ

久「私はシンプル 問題ない そんな 学生議会長」ワァァァア!



杏「え? なんだって? ごちゃごちゃ言ってる 学生議会長」

杏「よく聞こえない 拡声器無いと ダメっぽいね」ワァァァ!

杏「学生の模範の真逆 アイタタな異常行動」

杏「大会で牌を叩き付けてた 牌が可哀想よ~?」ワァァァァ!

杏「法に触れる? そんなん よく言えるなぁ でも」ワァ

杏「今はお好きにどうぞ 20年後たっぷり味わうよ 優越感」ワァァ!

杏「MCネーム ミーホヒーサーだっけ?」ワァァ

杏「センス疑っちゃう ひーどいーなーまえ」ワァァ!



久「そういう意見 まぁわかるわ でも 君の名は?」

久「身体入れ替わって 理由聞いて回りたいくらいの 意味の無さ」ワァァァ!

久「新海さん よりも信頼が 無くて ニンマリわ らってる」ワァァ

久「その笑顔似合ってる でも 遠慮せずに勝ってく」ワァァ

久「幼さと若さは別物 ですのよ? 奥様」ワァァ

久「年とれば老ける マンガみたいにならない ご苦労様」ワァァ!

久「叩き付けた牌 確かにそう でもあの牌たち」

久「私に叩かれて悦んでた ドMだから大丈夫~」ワァァァ


杏「全国大会で なんですんの SMプレイ」ワァァ

杏「チームメイトのみなさん 早く 決別すればいい」ワァァァ!

杏「一索(イーソー)なら いっそ 欠けても いいっしょ? とか言いそう」ワァァァ

杏「物は大切に 解説しなくてもわかるっしょ と言いましょう」ワァァァァ!

杏「シーソー のように傾く勝敗の行方 厳しそうと」ワァァ

杏「思ったけど なんか勝ち目ありそう 叶いそう理想」ワァァァ!

杏「牌を叩いた 今度は 私に叩かれる番」ワァァ

杏「でも実は隠れドMだから 大丈夫かぁ!」ワァァァ!



久「そう言いつつ逆転されるの望んでそう この子」

久「追い詰めて 閉じ込めちゃおうか 倉庫の方」ワァァ

久「でも喜んでそう アンジーの方が 隠れドM」

久「理想は裏切られる 期待外れのゲーム」ワァァァ!

久「叩かれてもいい でもそれは意味が違う」

久「叩かれて伸びるタイプってこと わかります?」ワァァァ!

久「アンジー 干し芋ばかり食べて 高カロリー」

久「私 女の子にモテるタイプ 超カッコいい~」ワァァァ!



杏「高カロリーをエネルギーに変えて こんなノリ 貫く」ワァ

杏「冗談を言い つつも 本歌取り(ほんかどり) しない オリジナル」ワァァ ※本歌取り・・・有名な古歌(本歌)の1句もしくは2句を取り入れて作歌を行う方法。

杏「あんたって メンタル弱そうだから 叩かれて」

杏「伸びるのは 精神的なリハビリ期間ぐらいでしょ」ワァァァァ!

杏「お腹空いてるから 物に当たるんじゃないっすか~?」ワァァ

杏「干し芋が嫌なら 黒糖 モグモグと食べてればいいよ」ワァァァ!

杏「あと最後に一言 お願いを聞いてね?」

杏「負けても マイクだけは 叩き付けないでね?」ワァァァアァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!


役人「それでは判定に入ります!先攻、ミーホヒーサーが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、アンジーが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「まずはアンジーに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「アンジー」

理事長「アンジー」

トシ「アンジー」

秋一郎「アンジー」

南浦「ミーホヒーサー」

役人「勝者!戦車道チーム、アンジ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

久(……負けちゃったか……)フー..

杏「お疲れ。ほい」スッ

久「え?この袋は……干し芋?」

杏「そ。負けた相手に貰うのも微妙かもしれないけどさ、お近づきの印にって思ってね」

久「美味しそう。ありがたくいただくわ」ニコッ

杏「よかった。あとで渡してもよかったんだけど、なんかあんたとは気が合いそうだからさ、出来れば直接渡したいな、って」

久「あ、実は私もそんな気がしてたの。なんとなくの感覚だけど」

杏「やっぱり?」ニヒヒ

久「……だからペットボトルに立てかけるように置いてあったのね。延長になったら食べるの?って不思議に思ってたのよ」

杏「やー、バトル後の給水はしても、さすがに食べはしないって~」アハハ

久「それもそうよね」アハハハ

杏「あ、そうそう、干し芋も美味いけど、大洗には他にも結構色々食べ物があってさ~」

久「そうなの?教えて教えて?」

杏「うちの近くの店だと…――――」

久「うわー、食べたい!でもうちも結構隠れスポット的なお店もあるんだけど、あ、そういえばウチの学食にはタコスもあってね…―――」

役人「………………」

役人(試合後の多少のやりとりは構わないが、いくらなんでも長すぎるのではないだろうか?主婦同士の会話のようだ……しかし、矢継ぎ早に言葉が飛び交っていて、止めるタイミングが掴めない……)


【舞台袖 麻雀部側】

久「ただいま~!ごめんなさい、負けちゃった」

咲「でも可愛かったです」

久「お、可愛いかぁ」

咲「はい!」

まこ「負けた直後のそれは褒めとるんか?」

洋榎「あの子強いなぁ。あんたも悪なかってんけど」

久「そうね。負けて悔しいけど、なんだか楽しかったわ。そうそう、あとで連絡先交換する約束したのよ」ニコニコ

美穂子「……」ピクン

久「なんだかいい友達になれそう」

ゆみ「ひ、久。もっと『友達』という部分を強調するんだ」

久「え?なんで?」

ゆみ「それは……」チラ

美穂子「心配しなくても平気です。私は久をずっと待ち続けるから。例えどんな姿になっても」ニコリ

ゆみ「そ、そうか……」


久「ま、それはそれとして……監督、すみませんでした。ご期待に応えられず」ペコリ

晴絵「そんなことないって。充分期待に応えてくれたよ」ニコリ

久「…そう言ってもらえるとありがたいです。2人抜き3人抜きを狙ってたから正直悔しいんですけどね」

照「仕方ない。アンジーさんは強い。そして優しいから」

久「優しい?」

照「自分の右手を見て」

久「右手?あぁ、干し芋くれたわね」

照「………………」

久「…………1ついる?」

照「うん」

久「じゃあほら、あーん」

久(なんてね。ちょっとからかってから普通にあげ…)

照「…………あー……」

久「!!」

久(宮永照があーんした!?)

久「ど、どうぞー」スッ

照「んむ。もぐもぐ…………美味」

久「………………」

久(こういうの、ギャップ萌えっていうのかしら?怪物じみた強さのイメージが強かった分、今の姿はなんか可愛く見えるわ)

美穂子「………………華菜」

華菜「は、はい!」

美穂子「干し芋のレシピをその手の平メカで調べてもらえるかしら?」

華菜「手の平メカ?あぁ、スマホですね?わかりました」

ゆみ「ほ、干し芋を作るのか?」

美穂子「……久の胃袋を支配するためには頑張らないといけませんから」

ゆみ(胃袋を掴むとは言うが、支配とは物騒な……)


揺杏「ウケる。マジラブコメじゃね?」

爽「うん。でも上手くバランスがとれている。傍から見ていると、とても楽しい」

誓子「悪趣味…」

成香「そういえば、こういう合同チームでの試合にありがちな、負けたあとのギスギス感が無いですね。ホッとします」

由暉子「確かに短期間だけの即席チームでは言い争いがデフォな感じがしますね」

爽「でも私たちは勝利を目指して一丸となってる。理想的だな」

揺杏「一丸、かな?あっち寝てる子いるし」

爽「小瀬川さんはいいんだよ。寝顔可愛いし。口元の緩さ加減がはしたないまでいかないのが絶妙!」

誓子「なんで寝てる子の口元とか見てるの……」

成香(……私も寝てる時に見られてたのでしょうか……//)ドキドキ

晴絵「獅子原さん」

爽「!おっと」

揺杏「これは…」

成香「出番ですか?」

爽「みたいだね。手招きしてる」

由暉子「ついに、ですね」

爽「うん」

爽「……………………」

爽「…………ユキ」

由暉子「はい」

爽「……『家は香油の香りでいっぱいになった』」 ※新約聖書『ヨハネによる福音書』12章3節

由暉子「『夕べがあり、朝があった』」※旧約聖書『創世記』 1章5節

誓子「チョイス間違えてるよね?」

揺杏「他にもあるだろねー」パタパタ

成香「……どころで、このMCネームはどういう意味ですか?」

誓子「『爽P(さわやぴー)』のPって何?」

爽「プロデューサーのPだよ!ユキのな!」

由暉子「ステージに立つ爽先輩が主役なんですから、その名前は変なのでは?」

爽「いやいや!私が活躍することで『誰をプロデュースしてるんですか?』、『実はね、ウチにいい子がいるんですよ』って会話になるだろ?」

誓子「ならないと思うけど」

爽「そうかな?ま、とにかく!出来るだけのことはやってみるよ」ザッ!

由暉子「お気を付けて」

揺杏「いってら~」パタパタ

成香「応援してます」

誓子「頑張ってね」

爽「おう!」ザッ




爽「…………」テクテク..

爽(連れて来れたカムイは数体……でも実際にバトルで活かせるのは3体かな。1体はライムとフロウ、そしてもう1体はパンチラインに繋がる発想力を私の実力に上乗せ出来る…)

爽(そしてホヤウで相手のディスを無効化。冷静さを保てる)

爽(カムイの力が使えるのは4試合ってところか。延長戦まで決着が長びいたとしても2試合はもつ。2人抜きはしたいね)


【ステージ】

爽「………………」

杏「!…………」

杏(この子、選ばれたんだ。秋山ちゃんたちの情報では、実力はそこそこって話だったけど……偵察中は手の内を隠してたっぽいね)

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケン..

爽「ポン」(パー)
杏「ポン」(グー)

爽「勝った」ニコ

杏「!!!」


【舞台袖 戦車道側】

柚子「うそっ!?」

桃「そんな!!」

沙織「角谷先輩がじゃんけん負けるの初めて見た」

柚子「私も初めてだよ……」

桃「引き分けすら滅多にないというのに……何者なんだあいつは……」

麻子(Tokiさんと同様、未来予知か?いや、まさかな)



【ステージ】

杏「………………」

爽「お?ずいぶん驚いてるみたいだね」

杏「……まぁね。私、じゃんけん強いから」

爽「うん、なんとなくわかる。でも残念だったね」

杏「………………」

爽「私って、なんか見えないモノに守られてるからさ」フフ

杏「………………」

爽(……思いがけないダメージを与えたみたい。意図的ではないにせよ、これで冷静さを欠いてくれれば戦いやす…)

杏「……へぇ。じゃあ…」

爽「?」

杏「キミの力で勝ったんじゃないんだね」クス

爽「――――」

杏「…………」ニッ

爽「……ははっ。言ってくれるね」ニヤ

役人「爽Pはどちらを選びますか?」

爽「後攻っ!」

爽(そして……カムイを使う!最初から全力だ!)ゴッ!

役人「OK!先攻、戦車道チーム アンジー!後攻、麻雀部チーム 爽P!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=33N0_SX_kXI 3:25

<第19戦 先攻 アンジー VS 後攻 爽P>

杏「負けるために 出てきちゃった 爽P」

杏「私の方が歓声上がる いい意味で 騒がしい」ワァァ!

杏「キミの見せ場は もう終わった さっき勝った じゃんけんだけ」ワァ

杏「実力発揮しても いかんせん 不完全な出来」ワァァ!

杏「未完成 未成熟 全然無いね 芸術性」ワァァ

杏「すっげー うっせータイプか 静かなタイプか イマイチわかんないけど」

杏「そもそも この子の 名前、爽やかって字が全部物語ってる」

杏「×(ばつ)が4つも入ってる時点で勝てるはずないじゃん?」ワァァァァ!



爽「バツなはずがないよ これはX(エックス)です 4XL」ワァァ!

爽「くらいの器 万能性は マイクロソフトの Excel」ワァァァ!

爽「しかもX以外に『大きい』って字も入ってる」

爽「この1文字でわかる ハンパないデカさ 気合いも増してく」ワァァ!

爽「歓声が騒がしい のは そろそろ 打ち止め」

爽「この試合 差はガチ で開き 私はすぐに次のフェイズ」ワァァァ!

爽「マグダラのマリアの出番は無い アンジーの復活祭」

爽「なんて行われない 言葉が出ない 屈託ない 笑顔もう見れない」ワァァ!



杏「何言ってんのキミ? マグダラのマリア?」

杏「Pを名乗る アイドル好きの グダグダのマニアがさぁ」ワァァァ!

杏「器がデカくても モノ言うのは 内容量だから」ワァァ!

杏「私みたくちっこくても 味があれば 大好評につき再登場」ワァァァ!

杏「Excelも使いこなせてるか 怪しいもんだー」

杏「関数なんて ちんぷんかんぷん 的な 悲しい女だったり?」ワァァ!

杏「歓声が打ち止めって言ったね 全然沸いてるけど?」ワァァァ!

杏「確変状態だよ あーあ、この子 適当な言葉 吐いてる外道~」ワァァァ!


爽「確変状態 勘違い 大ぼら吹き 隠せん正体」ワァァ

爽「しょうもなすぎ 正午は過ぎ もう寝ぼけてる時間じゃないよな?」ワァァ!

爽「再登場はいいけど それって 一度負けてるよな?」ワァァ!

爽「そんな才覚、無くて どうすんの? 勝てないよ 敗者復活戦」ワァァァ!

爽「私は別に否定しないよ 確かに グダグダのマニア」

爽「でもアンジーにはノセられない 嘘スレスレの 迂闊な冗談には」ワァァァ!

爽「外道っての 言いがかりでしょ 押し付けの超エゴ」ワァァ

爽「でも 気にしねぇよ だって へのつっぱりは いらねぇもん」ワァァ!



杏「おお!言葉の意味はわからんが とにかくすごい自信だ!」

杏「でも負けちゃうんだから 人生上手くいかないね 悲しスグル」

杏「ってお客さん意味が通じてない 今のやりとりは キン肉マン」

杏「信じるか 信じないかはあなた次第 でも私の勝ちは 真実だ」ワァァァァ!

杏「それと再登場は負けたわけじゃない 単なるお色直し」ワァァ!

杏「わかる? 坊ちゃん その決め付け 視界が狭いぞなもし」ワァァァ!

杏「そもそも プロデューサーが表に出て 制服がステージ衣装」

杏「なんなの? 担当いないの? プロデューサーって もしかして~自称?」ワァァァア!



爽「プロデュースしてる子はいる でもそれは麻雀界での話」

爽「見ても可愛い 声だって可愛い すぐそばで匂いを 嗅いでも可愛い」ワァァァ!

爽「そんな子を磨いてる だから私はマジで プロデューサーだ」

爽「でもそれに加えて 表舞台でも戦う余裕あんだ」ワァァ!

爽「視界は広い なんたって正真正銘の道民」ワァ!

爽「アンジー 調子ん乗ってる 押韻で 放心状態にする方針」ワァァァ!

爽「変化 効いた 言葉の連打 浴びせる 元気消耗」ワァァ

爽「そしてKO後 爽Pの世界観 作り上げる 天地創造」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!

爽「………………」

杏「………………」


役人「では判定に入ります!先攻、アンジーが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、爽Pが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「まずはアンジーに1ポイント入ります」

爽(っ!1ポイント取られたか)

役人「それでは審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「爽P」

理事長「アンジー」

トシ「アンジー」

秋一郎「爽P」

南浦「アンジー」

役人「3対2!勝者!戦車道チーム、アンジ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

杏「………ふぃ~、あっぶなかった」

爽「!!」

爽(後攻で、しかもカムイを持ってしても勝てなかった……それほどの実力差があるってーの?いや、そうは思えない……でも負けは事実か……はぁぁ……)


【舞台袖 戦車道側】

柚子「やった!勝った!」

桃「じゃんけんに負けても挫けずに倒し切る!さすが会長!」

桂利奈「そこにシビれる!あこがれるゥ!」

あや「ど、どうしたの急に?」

桂利奈「あ、ううん、なんでもない……」

桂利奈(元ネタを知らない人の反応、冷たすぎ……?)

千代「相当拮抗した試合だったけれど、アンジーさんのアンサーとユーモアが勝利の決め手になったわね」

優花里「ユーモアと言いますと?」

千代「爽Pさんの『へのつっぱりは いらねぇもん』というセリフに対し『おお!言葉の意味はわからんが とにかくすごい自信だ!』と返したのは、キン肉マンに出てきたやりとりなの。相手の最後のワードに一瞬で反応して返した上に『人生上手くいかないね 悲しスグル』と、キン肉マンの主人公、キン肉スグルの名前をもじったもの…」

千代「しかもそれに無反応のお客さんに対して説明しつつ、『信じるか 信じないかはあなた次第』とテレビ番組のフレーズを用いながらライミングも絡めて、繋がりのあるラインを決めた」

千代「細かいところでは、そのあとの『坊ちゃん その決め付け 視界が狭いぞなもし』は、言葉として聞くことの少ない『ぞなもし』を使っていて、さらにその『ぞなもし』がよく出てくる、夏目漱石の『坊っちゃん』から来ていて、わかる人はニヤリとしてしまう感じね」

優花里「なるほど……色々と仕掛けがあったのですね」

ミカ「それに、フロウも心地よく決まっていたよ。相手もかなり上手にビートにハメてきていたけれどね」

桃「これで2人抜き!いや、会長ならさらなる活躍が望める!」

柚子「桃ちゃん。さっきも言ってたけど、今の会長は五十鈴さんだよ?」

桃「わ、わかってる!だが急に呼び方を変えるのは難しいんだ!というか、会長は会長!五十鈴は新会長でいいだろう!」

沙織「なんかややこしいような……」

華「わたくしは気にしません。カスとかクズとか呼ばれるのでなければ」

沙織「極端な例すぎるよ!」

そど子「……もう結構な数の試合をやったけれど、現状はどうなってるのかしら?ゴモヨ、パゾ美!」

ゴモヨ「えっとね…」

パゾ美「こんな感じだよ」


<ここまでの試合>

アッサム VS AWA-AWA(大星 淡)○

○ノンナ VS AWA-AWA(大星 淡)

ノンナ VS ATARA(新子 憧)○

○ナオミ VS ATARA(新子 憧)

ナオミ VS Toki(園城寺 怜)○

アリサ VS Toki(園城寺 怜)○

○ロサ・カリーナ(阪口 桂利奈) VS Toki(園城寺 怜)

ロサ・カリーナ(阪口 桂利奈) VS HERO-Se(弘世 菫)○

○カルパッチョ VS HERO-Se(弘世 菫)

○カルパッチョ VS 白鶴(白水 哩)

カルパッチョ VS 舞姫(鶴田 姫子)○

○アンチョビ VS 舞姫(鶴田 姫子)

アンチョビ VS TELU-Biscuits(宮永 照)○

エリカ VS TELU-Biscuits(宮永 照)○

ケイ VS TELU-Biscuits(宮永 照)○

○ミカ VS TELU-Biscuits(宮永 照)

ミカ VS ミーホヒーサー(竹井 久)○

○アンジー(角谷 杏) VS ミーホヒーサー(竹井 久)

○アンジー(角谷 杏) VS 爽P(獅子原 爽)


戦車道チーム 9勝

麻雀部チーム 10勝



パゾ美「……といった感じ」

そど子「現時点ではリードされてるのね」

麻子「だが差は1勝だ。次勝てば同点になる」

千代(うちは残り7人。向こうは8人……さて、どう戦っていこうかしらね)フム


【舞台袖 麻雀部側】

爽「……すいません、負けましたー」

由暉子「惜しかったです」

揺杏「そうそう。きわどかったと思うよ」

晴絵「そうだね。勝っててもおかしくなかった」

爽「……ありがとうございます」

ネリー「……ねぇ、獅子原」

爽「ん?何?」

ネリー「あの隠してるやつ、どうして使わなかった?使ってれば勝てたでしょ」

爽「…………まぁ、確かにね。でも相手を妨害するのは卑怯だと思ったから」

ネリー「………ふーん」

菫「……淡、気にするなよ?人それぞれ生き方が違うんだからな」

淡「べ、別に私のはズルじゃないですもん!」

菫「だが相手の思考に影響するではないか」

淡「むぅぅ……テルー!菫先輩がいじめるー!」

菫「やれやれ……」


晴絵「…………」

晴絵(相手への妨害は抜きにしても、獅子原さんならアンジーさんに勝てると思ったんだけど……上手くかわされたみたいだ)

晴絵(……何を話したのかわからないけど、バトル前の会話で、獅子原さんはほんの少し顔を強張らせた。おそらく、挑発か獅子原さんのプライドに関わるような話と思うけど…)

晴絵(その会話によって迷いが生まれたんだろうね。完全には力を発揮出来ていなかった。そのせいで、わずかな差ながら負けてしまった)

晴絵(……バトルの前から勝負は始まってる。アンジーさんは大洗を廃校の危機から守るために奮闘したみたいだし、大人との腹の探り合いで駆け引きは慣れてるみたいだ)


智葉「……次負けたら3人抜きだ。チームとしての成績ではイーブンになるだけだが、これ以上勢いをつけさせるわけにはいくまい」

ネリー「サトハが出ればいいんじゃない?そしたら止められるよ」

智葉「監督が望むならそうするつもりだが」チラ

晴絵「………その提案も悪くないんだけど、今回は別の子に出てもらうよ」

ネリー「へぇ……確実なチャンスを逃すんだ?スポンサーがいたら切られちゃうよ?」

灼「だ、だめっ!」

ネリー「え?」

晴絵「灼?」

灼「ハルちゃんは実業団リーグの時に、親会社の不振で解散という辛い目に遭ってる!もしスポンサーがいたらなんとかなってた!でも現実はダメだった!責めないで!」

晴絵「い、いや、それは……間違ってないけど……うん、でもそうやってかばわれると辛いから、ね?」

灼「私はエバーグリーンを忘れない!タオルとか今でも使ってる!確かに色落ちしやすいのは納得出来ません!でも落ちないよう気を付けてる!」

玄「あ、灼ちゃん。その辺にしておこう?赤土さん困ってるから」グイグイ

灼「いきなりエバーグリーンが解散した時は困ったと思う。その時のハルちゃんの心情は想像するに…」ズルズル..

智葉「………………」

ネリー「………………」

晴絵「……し、仕切り直すね」

ネリー「うん。で、誰を出すの?サトハより強い子なんて…」

晴絵「辻垣内さんよりどうこうじゃなくて、私が思う最善の人選だよ……………和!」

和「!私、ですか?」

晴絵「そ。アンジーさんを止めてきてよ」

和「…………私に務まるかはわかりませんが……精一杯戦います」キリッ!

智葉「……ふっ、絶対に勝てよ?」

和「そのような約束はできませんが、私自身はできるだけがんばるつもりです」

智葉「ならいい」クス

ネリー「……ま、サトハがいいなら文句ないけど」

和「咲さん、行ってきます。あの……エトペンを預ってもらっていいですか?」

咲「うん、もちろん。和ちゃん、応援してるね。頑張って!」

和「はいっ!」

灼「ハルちゃんも頑張って!人生!」

晴絵「う、うん。ありがと」


【ステージ】

和「………………」ザッ

杏「ほへ~、すっごいフリフリだねぇ~。ていうか、おっぱいデカイね♪」

和「………………」

杏「んー……無反応。寂しいねぃ」アッハハ

和「………………」



和『私、バトルに向いてないと思います』

久『あら、どうして?』

和『相手を攻撃とか、あまり好きじゃないんです』

久『またまたぁ。和の場合、そこにいるだけで貧乳の子にショックを与えてるじゃない』

まこ『わりゃあ、何言うとるんじゃ』

和『……そういうことではありません。言葉で相手を責めるのは苦手で……』

久『うん……和は優しいからそう思うのはわかるわ。でも和の頭の回転の早さと声質、そして冷静さはかなりの武器になる。だから参加して欲しいのよね』

和『しかし……』

久『それにね?絶対に相手を攻撃しなきゃいけないわけじゃないわ。相手の言葉を訂正したり、感想を言うようなアンサーの仕方もあるのよ?』

和『……ですが……』

久『……ねぇ、咲。和がフリースタイルで相手をガンガン倒しまくったら可愛いし、もっと好きになるわよね?』

咲『はい、確かに。私はフリースタイルで相手を倒す人を可愛いと思うのでもっと好きになるでしょう』

和『フリースタイルの申し子になります』キリッ

久『決まりっ!』パチン!

まこ(間違いなく事前に仕込んどったな。情報番組の専門家のような口ぶりじゃったし。咲も巻き込まれて可哀想じゃのう。いや、和もじゃが…)




和「………………」

和(始めたきっかけは、部長に乗せられたからだとしても、今では即興で言葉を操るフリースタイルをとても楽しいと感じています…)

和(音に乗せてリズミカルに韻を踏み、そして内容を組み立てながら相手と対話する……麻雀とは違った楽しさがあります)

和(普段と違う言葉遣いをするのも最初は違和感がありましたが、違う自分がいるかのようでワクワクもしますし)

和(相手を攻撃するのが苦手なのは変わりありませんが、無理矢理攻撃しなくてもいい。人によって戦い方が違うのもまたフリースタイル……)

和(!いけません。もう試合が始まるのにボーっと考え事してました。今、この瞬間も咲さんが見ている。であれば、情けない姿は見せられません!全力で戦います!)ギラッ!


杏「!やる気は充分ってわけね」クス

役人「では、先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

杏「後攻にしまーす」

和「………………」

和(アンジーさんは獅子原さん以外にはじゃんけんで全部勝っている……)

和(……偶然極まりないですね)

役人「OK!先攻、麻雀部チーム のNODOCCI(のどっち)!後攻、戦車道チーム アンジー!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=F1GhkoUID9g 2:46

<第20戦 先攻 NODOCCI VS 後攻 アンジー>

和「これが記念すべき 20戦目」

和「NODOCCI の勝利を 知る天命」ワァァァ!

和「3人抜き阻止 して ランキングに載り」ワァァ!

和「祈り のように紡ぐ ライミング命」ワァァァ!

和「爽Pの輝き に負けぬよう 働き」ワァ!

和「負けたならば悲しい 悔しさ 禍々しい」ワァァア!

和「勝利なら僅差 でもいい だから審査員ら」

和「みんな『韻が品があっていいな』と言わせて勝ちます」ワァァァ!



杏「♪ど・ど・ど・どうしたんですか?」ワァァ! ♪DON’T TEST DA MASTER / BUDDHA BRAND

杏「ペンギンを忘れてきたんですか?」ワァァァ!

杏「自分の相棒すらも 置いてきぼり」

杏「その年齢にして早くも 老いてきとりますね」ワァァァ!

杏「品はあるかもね でも品で勝つのかね?」ワアァ!

杏「てか煮込んだら意外と出そう アクとかね」ワァァァ!

杏「ライミングなら うちにもっとすごいの揃っちまってる」

杏「だから 魅力感じないよ NODOCCIさん」ワァァァ



和「ここは戦場 だから 相棒は待機」

和「愛情深いし 安全圏での 対応が大事」ワァァァ!

和「煮込むのはワード そして 1つのパワーを」ワァァ!

和「韻に昇華して浴びせる 魅力のシャワーを」ワァァァ!

和「そうすれば勝つはず バスタブに浸かる芍薬(しゃくやく)」ワァァ!

和「カツカツの脳内から消える 煩悩 108つ(ひゃくやっつ)」ワァァァ!

和「悪態つく より大事 洗練された技術」

和「ディスに囚われない NODOCCI 名言だけ焼き付く」ワァァァ!


杏「焼き付く より遊びたい 野球(やきゅ)つく」ワァァ

杏「芍薬のバスタブに入って 余裕シャクシャク」ワァァァ!

杏「それがアンジー 煩悩まみれだよ」

杏「でも煩悩ゼロになったら人間じゃないよ」ワァァァァ!

杏「ディスらないスタイル いいね 大歓迎」

杏「でもその胸が私ディスってんだよ 許さんぜ?」ワァァァ!

杏「バストはくれてやる だから勝ちをくれ」

杏「ちっぱいの恨み 炎上中に 薪をくべる」ワァァ!



和「炎上中 でも無理 これを献上する のは」ワァァァ!

和「コツを掴もうと 不可能と 返答する」ワァァァ!

和「余裕シャクシャク で 呼吸が深く」ワァァア!

和「リラックス 私もそうなり楽する」ワァァ!

和「立ち遅れ ても勝ちをくれ はダメ」ワァァ

和「常に 足を即 出し踊る 勝ち残る」ワァァァ!

和「人は いつも求める ないものねだり」

和「でも 必死すぎたら 叶わないその願い」ワァァァ!



杏「そんなことなくね? 叶う人いるって」

杏「あ、別に胸デカくなりたいからじゃなくってね?」ワァァ

杏「てか踊るんじゃなくてキミ 踊らされてる」

杏「気付いてない 器の 底が透けてる」ワァァ!

杏「服も透けてるようなもん 体型っちゅうの?」

杏「一目でわかるね ボンキュッボン」ワァァ!

杏「で、ないものねだりは 叶わない?」

杏「ならキミの勝利も 叶わないってことだね~」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!


和(……部長と同様、胸のことを言われましたね。やはりお二人は結構似た者同士なのでしょうか?)

杏(色々攻めてみたけど、まったく顔色変えないね……弱点を探そうにもやりにくい)


役人「では判定に入ります!先攻、NODOCCIが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、アンジーが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「まずはNODOCCIにポイントが入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「アンジー」

理事長「NODOCCI」

トシ「NODOCCI」

秋一郎「アンジー」

南浦「NODOCCI」

役人「勝者!麻雀部チーム、NODOCCI~~~~~!!!」

ワァァァァ!

杏「あー……」

杏(延長いけっかなって思ったけど……うーん、いまいち攻めきれなかったか)

和「…………」

和(とりあえず勝てました……一安心……です……///)ポーッ..

杏「ん?なんか顔赤くない?」

和「そう、ですか?でも大丈夫です。いつもこうなりますので」

杏「へー」

杏(勝負熱、ってやつかね?冷静なようで芯は熱い子なのかもね。冷泉ちゃんとちょっと似てるかも)


【舞台袖 麻雀部側】

まこ「お。顔が赤うなっとる」

久「いつものモードが入ったわね」

優希「のどちゃんが赤くなる。相手は死ぬ!」ジョ!

美穂子「死っ!?あの……そんなことをさせるわけには……」アセアセ

華菜「キャプテン!冗談ですよ!大丈夫だし!」

美穂子「死!?や、やっぱりそんなことは……!」

ゆみ「違う。今のは池田さんの口癖だ」

未春「というか華菜ちゃんが紛らわしいよ」

華菜「わ、私が悪いの!?い、いや!キャプテンを戸惑わせるのは罪だ……罪であります!」

ゆみ(口癖を封じられると普通に喋れないのか……?)

穏乃「戦車道チーム強い!アンジーさん強い!そんなのわかってる!」

憧「わ、急になに?」

穏乃「でも和が勝ってくれた!和すごいよ!」

玄「うん。カッコよかったよね」

灼「ハルちゃんもカッコいいってこと、忘れないでほし…」

玄「う、うん」

晴絵「灼、もう私を無理に持ち上げないでいいから。そうでもしないと誰からも褒められないのかなって逆に落ち込むからさ」


【舞台袖 戦車道側】

杏「やーらーれーたー!ごめんねぇ、みんな」

桃「いえ、会長は勝ちました!」

柚子「それは無理あるよ桃ちゃん。せめて『勝ってました』でしょ?」

桃「いや、勝ちったら勝ちだ!」

柚子「もう……」

杏「あのフリフリちゃん、思ったより強かったよ。戦うならそれなりの…」

麻子「問題ない。ねじ伏せる」ザッ

杏「ん?もう冷泉ちゃんが出るって決まったんだ?」

みほ「いえ、監督はまだ何も言っていませんが……」チラ

千代「………………」

麻子「…………監督」

千代「ふふっ、わかったわ。冷泉さん、お願いします」

麻子「!……了解」ザッ!

沙織「頑張って!麻子!」

華「いっぱい踏んでください!」

みほ「い、韻をね?ちゃんと言わないと変にとられちゃうよ」

優花里「あああぁ……!?に、西住殿に変なところを……そんな……///」

そど子「べ、別に冷泉さんに勝ってほしくないわけじゃないんだからねっ!」

カチューシャ「……それにしても、マコーシャったら、ずいぶん気合い入ってるみたいね」

ノンナ「同系統のスタイルでの戦いです。ライミングでのぶつかり合いがしたいのでしょう」

クラーラ「私はカチューシャ様と裸でぶつかり合いたいです(ロシア語)」

カチューシャ「い、今なんて言ったの?」

ノンナ「楽しいな試合になりそうです、と」

カチューシャ「そうなの?クラーラ、日本語で喋りなさいよ!」

クラーラ「はい」

カチューシャ「……『はい』はちゃんと言うのよね……」ハァ..


【ステージ】

和「………………」

麻子「………………」ザッ

役人「では次のバトルを始めたいと思います!先攻後攻じゃんけんをしてください」

ジャンケンポン

麻子「先攻だ」

和「!」

和(麻雀では先制リーチはけん制になりますが、バトルにおいて不利と言われる先攻ですか。意外と血気盛んな方なのですね)

役人「OK!先攻、戦車道チーム REZE!後攻、麻雀部チーム NODOCCI!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=nCL3hufJdkg 2:34

<第21戦 先攻 REZE VS 後攻 NODOCCI>

麻子「先制攻撃 こいつ 全然強敵 じゃない宣言」ワァァ!

麻子「上出来な ライム投擲 どちらが上か 問う敵だ」ワァァァ!

麻子「真っ赤な顔 経験不足 やっぱ若造」ワァァ!

麻子「REZE ライムの女神を 永遠口説く」ワァァ!

麻子「毒々しいディスも続々言い つつ」ワァァ!

麻子「ゾクゾクし ながら 地獄送り」ワァァァ!

麻子「全て奪う 残らない 余命すらも」

麻子「誰が何をしようと 蘇生不可能」ワァァァ!



和「蘇生不可能 のケースなど 打破」ワァ

和「前人未踏 NODOCCIが 先陣切ろう」ワァァァァ!

和「ペース落とさず 前進しよう その結果」

和「賢人思考へ 変身し豹変し頂点にGO」ワァァァァ!

和「ライムの数、質 そこに確執 隠しつつ」ワァァ

和「客室 を沸かす 策士風 埋める 白地図」ワァァァ!

和「攻撃されて 困るの始めだけ」

和「私の負け そんなオカルトありえません」ワァァァァ!



麻子「逆だ逆 その頭脳は 役立たず」ワァアァ!

麻子「お前と私じゃ 互角とは言えません」ワァァァァ!

麻子「書き込まれた白地図 各地区から駆逐」ワァァ!

麻子「確実に 白日に晒す まるで アダム、イヴ」ワァァァ!

麻子「オカルト 科学 どうなるとヤバく なるか」ワァァ

麻子「ここで検証しよう そしてこのまま 決勝行こう」ワァァ!

麻子「韻のレベル数値化したら お前が一番ケツ」

麻子「REZEはライムと 一致団結」ワァァァ!


和「一致団結なんですか 私はとにかく 初志貫徹」

和「REZEさん 退場の お時間です」ワァァァ!

和「急な数値化 お遊戯な 稚拙さ に切ない」ワァァァ!

和「最下位が 倍々アップ で新境地 再開発」ワァァァ!

和「大体まず 急に何故 アダムとイヴ?」

和「なんか凄い風 ですが 絡むノイズ」ワァァァァ!

和「デジタルで満たす デミタスより大きくてリアル」ワァァ!

和「そんな的確 ライム 敵かく乱 する積乱雲」ワァァァァ!



麻子「積乱雲 切り裂く ジェット機 乗り」

麻子「劇団風 より自然な Let It be」ワァァァ!

麻子「デッドヒートに なってきたがZ(ゼット)、E(イー)とT(ティー)」

麻子「T.A.I(てぃーえーあい) 勝つ位置へポジショニング」ワァァァ!

麻子「REZEとNODOCCIの どっちの料理ショー」ワァァァ!

麻子「超理想な ライム量、競う ある意味 相思相愛」ワァァァ!

麻子「判定どうしようか 迷うようなら こっちが頂上だから」ワァァァ!

麻子「好評のオーラ 出てるREZEに上げとこうか」ワァァァァ!



和「好評のオーラ 出てない 状況を網羅」ワァァァ!

和「籠城のような 守備も 飄々と踏破」ワァァァァ!

和「強化して 上り詰める 使命を 今日課してく」ワァァ

和「そのように 五感楽しませる まるで京菓子です」ワァァァ!

和「どうかしてる REZEの強すぎる 自己愛 まず」ワァァ!

和「そこを抑えてからが真の 喜怒哀楽」ワァァァ!

和「人がいます ステージの外 もっと客観視」

和「でなければ 簡単に シャットダウン、死」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!

麻子「………………」

麻子(こいつ……やはりかなりデキる)

和「……………///」ポーッ..

和(どうしてでしょうか……?この人に対しては、やたらと攻撃的になってしまいます)

和(バトルが続くと熱っぽくなるとはいえ、ディスは苦手なはずですが……)

和(…………私の中に、ライミングでは負けたくないという気持ちが芽生えているのでしょうか?)


役人「では判定に入ります!先攻、REZEが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、NODOCCIが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「まずはNODOCCIに1ポイントが入ります」

麻子「っ……!」

和「…………」

役人「続きまして、審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「NODOCCI」

理事長「REZE」

トシ「REZE」

秋一郎「REZE」

南浦「NODOCCI」

役人「3対2でREZE!ということは……延長戦です!」

ワァァァァ!

麻子「…………」ホッ

和「……………」


【舞台袖 戦車道側】

沙織「あ……っぶなかったぁあああ……」

優花里「心臓が止まるかと思いましたぁ!」

みほ「私も……」ハァァ..

そど子「………………」

華「あら。そど子さん、白目になっていますわ」

ペパロニ「器用っすね~」

アンチョビ「緊張しすぎて気絶してるんだよ!芸じゃない!」

オレンジペコ「助かりましたが……審査員の判定の決め手はなんだったのでしょうか?」

千代「NODOCCIさんの『オカルトありえません』に対するアンサーと、あとはワードチョイスが良かったことでしょうね。『絶対』をZETTAIと読んで踏んだり、『白日に晒す』の例えとして『アダムとイヴ』を使ったり。そういうところが良かったわね」

ケイ「ソドコが白目を晒してるのもポイントになったのかな?」

アリサ「なるわけないでしょう」

ナオミ「しかしきわどいな。実力が拮抗してる分、どっちが勝ってもおかしくない」


【ステージ】

役人「延長戦の先攻後攻を決めてください」

麻子「…………」

和「……………」

ジャンケンポン

和「後攻お願いします」

役人「OK!先攻、戦車道チーム REZE!後攻、麻雀部チーム NODOCCI!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=2L_o1VlZwT0 3:34

<第21戦 先攻 REZE VS 後攻 NODOCCI 延長戦>

麻子「延長 謙虚無し 限度振りきり ライム専属」ワァァ!

麻子「めんどくなるよう 全力出すよ それが 面目躍如」ワァァァァ!

麻子「芯が一層 強くなる 死んじゃいそう なほどに」

麻子「みんな印象 変わる 加わる 審査員票」ワァァァ

麻子「先攻 立場ワリィ でもこれ足がかり にして成りあがり」ワァァァ!

麻子「成功先回り 抵抗、断ちワナビー じゃないと証明の上」ワァァ!

麻子「大笑いで手にする王冠 高難度の技を何個も決め」ワァァ!

麻子「冗談 じゃなく 表紙を飾ってみせる 大洗ウォーカー」ワァァァ!



和「その大洗ウォーカー 読まず このまま行こうか」ワァァァ!

和「また私情 入った 果たし状 返り討ち 降らせます 旗は白」ワァァ

和「死んじゃいそう 大げさ REZE株 もう値下げ」ワァァ!

和「でも人気ありそう 教祖のよう だからここで 信者一掃」ワァァァァ!

和「韻が吉報 もたらす アドレナリンを 脳垂らす」ワァァ

和「つまりジョーカー枠 試合支配しハイになる クォーターバック」ワァァァ! ※クォーターバック・・・アメフトの司令塔的なポジション

和「勝算無く 戦うのでは 妙案湧く ことはありえません」ワァァ!

和「等間隔 で訪れる敗北 REZEのお嬢さん泣く」ワァァァ!



麻子「お嬢さんなのは 見た目的にNODOCCI」ワァァ!

麻子「勝算あるが 教団は無い 量産型じゃない ライマーの総本山だ」ワァァァァ!

麻子「韻が吉報 なら 進化しそう REZE ライムマシンが疾走」ワァァァ!

麻子「ハードなライマーがドライなトライは終わりだ と開花し ハートが湧いた」ワァァァ!

麻子「アメフト 知らず適当言うと 評価下げるぞ? まるで鍋奉行」ワァァァ!

麻子「試合支配 するのはREZE 期待に対して 理解しライム」ワァァァ!

麻子「NODOCCI 見てる 違うとこ ポトポトこぼす ティアドロップ」ワァァァ!

麻子「私に涙は似合わない というか負けて 恥はかきたかない」ワァァァ!


和「恥かきたかない のは 涙が汚いから この意見が忌憚ない」ワァァァ!

和「時間内に 至高のライム 詰め込んで REZEを肥満体 にします」ワァァ!

和「内臓脂肪 たっぷりで ガックリして 退場しよう とする姿」ワァ!

和「一体どうしよう?と 毎秒後ろ 振り返る 次は無い」ワァァ!

和「ライマーの座はNODOCCIの元に でも冷静 ほどほどに驚き」ワァ

和「私がいた場所 空いた隙間 には王座から ライム配達します」ワァァァ!

和「改革には 時間いりません 誰もが抱く 悲観視に負けず」ワァァ!

和「期間気にはせず ひたすらライムし 異端児 見分ける」ワァァ



麻子「文脈崩壊 状態 そんな異端児 見分ける」ワァァァ!

麻子「そっと近付いて 膝、ついでに 他のところも 痴漢しニヤける」ワァァアァ!

麻子「嗅ぎ分ける 偽者と本物 根性より本能で落とす どん底」ワァァ!

麻子「肥満体 コレステロール 気にしない 秘めてる 情熱で勝負」ワァァァ!

麻子「玉座ならすぐ取り戻す 隠れ家 で計画練る 革命家」ワァァ!

麻子「極秘の任務や 食事の人数 品物もこだわる 各メーカー」ワァァァ!

麻子「そしてNODOCCI撃破 こいつがどいたらスッ といただく」

麻子「王座 そんなもんだ 問いただす 価値も無いな 遊んどけ トイザらス」ワァァァ!



和「トイザらス より恋焦がす 私は個性の濃い子が好き です」ワァァ

和「このビート 上手に乗りこなす 語彙も豊富に織り込ます」ワァァ!

和「革命家 の策は 楽に撒く計画 確定前に 砕く学生だ」ワァァァァ!

和「悪性は 躊躇なく制圧 REZEの企みレベルは 学芸会」ワァァァ!

和「常に自分を高め 牌の道 のように進みたいオリジン」

和「それがマイノリティ でも気にしない これが等身大の意志」ワァァ!

和「相乗りし てくれる人たちと過ごす人生 すごく新鮮」

和「だから 打ち抜くライムで急所 手にするマイクで優勝」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!

麻子「………………」

和「………………//」ポーッ..

麻子(NODOCCI……ボーっとしてるようで相変わらずライムは固い。しかもあれだけの早口なのに聞き取りやすい。滑舌も声の通りもいい、か)

和(……DVDで観た通りの人ですね。ここまでライミングに特化した人とのバトルは楽しいです)ポーッ


役人「延長戦の判定に入ります!それではまず先攻、REZEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「……後攻、NODOCCIが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「まずはREZEに1ポイント入ります」

麻子(よし……!)

和「……………」

役人「……審査員のみなさんの判定はどうでしょうか…………お願いします!」

ババン!

亜美「REZE」

理事長「REZE」

トシ「NODOCCI」

秋一郎「NODOCCI」

南浦「REZE」

役人「3対2!勝者!戦車道チーム、REZE~~~~~!!!」

ワァァァァ!

麻子「……よしっ!」グッ!

麻子(あ……喜びのあまりガッツポーズしてしまった……私らしくない)ポリポリ

和「………………」

麻子「……ずいぶん落ち着いているな」

和「……そう見えますか」

麻子「ああ」

和「…………私自身、そうあろうとはしています。ただ……」

和(麻雀は運の要素が強く、最適打を選択してもどうにもならないことがある分、冷静に受け止められるのですが……)

和(フリースタイルバトルは運の要素も多少はあるにせよ、基本は実力勝負。そしてこの延長戦は私が後攻を選んだ上で負けています……つまり、私の全力が通用しなかったということで……)

和(この悔しさは……咲さんと出会った当初に味わったものと同類の……)ググッ..

麻子「あー、すまん。試合後にデリカシーの無いことを言った」

和「え?」

麻子「とりあえず……握手」スッ

和「あ、はい……ありがとうございました」ガシッ

麻子「ん、どうも」

麻子(私もステージで初めて負けた時は悔しかった。私と同じ気持ちかはわからんが、心情を聞くのは野暮だったな)


【舞台袖 戦車道側】

そど子「べ、別に冷泉さんが勝って嬉しいとか、そういう姿を見るのが好きとか言うわけじゃないんだからねっ!」

みほ「あの、誰も何も言ってないですけど……」

沙織「でも麻子が勝ってくれてよかったよ~」

華「ええ。安心しすぎてお腹が空いてきました」

沙織「それは単に華がお腹空いてるだけでしょ」

ペパロニ「腹減ってんすか?ならこの鉄板パスタを食うといいっすよ!」サッ!

華「まあ!ありがとうございます!」

みほ「試合中にジュージュー鳴ってると思ったら…」

沙織「というか舞台袖でパスタ作っちゃダメだよ!」

ペパロニ「そっすよね~。カセットコンロじゃ火力が足りないっす」

沙織「そういう意味じゃなくて!」

華「おかわりお願いします!」

沙織「食べるの早い!」

千代「………………」

千代(かなりきわどい勝負だったわ。どちらが勝ちでもおかしくない試合……まさに紙一重と言えるわね)


【舞台袖 麻雀部側】

和「負けてしまいました。すみませんでした」

久「ううん、上出来よ。勝っててもおかしくない勝負だったわ」

和「しかし…………悔しいです」

咲「和ちゃん……」

爽「悔しい気持ちはよくわかるよ。だからとりあえずさ、そのエートーペンとかいう人形を抱きしめて、負けた悔しさを慰めるといいよ」

和「エトペンです。ベートーベンみたいに言わないでください」

爽「ありゃ、そうだったのか」アハハ

和「でも……そうですね。獅子原さんの言う通りにしてみます……」ギュッ..

咲「の、和ちゃん?その……エトペンをっていうより、私ごと抱きしめてるけど……//」

和「それが……いいんです///」

咲「そ、そっか……」

和・咲「…………///」

優希「………………じょ」

煌「すばらです」

穏乃「うーん……なんかよくわかんないけど……和は頑張った!」

憧「そだね」

灼「ハルちゃんも頑張った」

晴絵「灼、もういいから。で、次の選手だけど、池田さんにお願いするわ」

華菜「にゃっ!?」


美穂子「出番ね、華菜」

華菜「は、はい……うわ、なんか急に緊張してきたし」ドキドキ

貴子「池田ァッ!!」

華菜「ひぃ!?」

貴子「てめぇ、ここに来て日和ってんじゃねぇぞクソ生徒がッ!!学費払えや!」

華菜「こ、コーチ!?いたんですか!?それと学費は払ってます」

貴子「池田ァッ!の出番が来るまで息を潜めて隠れてたんだよダボがァ!」

華菜「な、何故そんなことを……」

未春「実は見えてましたけどね」

美穂子「そうね」クス

貴子「てめぇが気合い入らねぇようならビンタしてやろうと思ってな!右手の準備は出来てっぞ!」

晴絵「ちょ、久保さん。このご時世にそんな……あとで問題になりますって」

貴子「私は今を生きてる!今しか見えねェ!!」

晴絵「バトルマンガの主人公のようなこと言わずに、落ち着いてください」

貴子「……ちっ、わかりました。命拾いしたな池田ァッ!だがその左頬、予約しとくからな!」

華菜「…………ぷっ」

美穂子「華菜?」

華菜「あははは!なんかコーチがいつも通りすぎて、部室にいるみたいだし!」

貴子「ここは部室じゃねェぞ!わかってンのかコラァ!」

華菜「はい、わかってます」

貴子「……だったらいい。というか……マジで勝てよテメェ。もし負けたら口に金平糖含ませて腹パンすっからな」

華菜「は、はい!!」

未春(金平糖が効いてない気がするけど……)

美穂子「頑張ってね、華菜。これ、飲み物よ」

華菜「ありがとうございますキャプテン」

貴子「ぶちのめしてこい!髪の毛むしりとる気合いで行け!」

華菜「ふ、普通に頑張るし」


【ステージ】

麻子「………………」

華菜「………………」

役人「さあ、それでは始めます。先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

華菜「後攻にするし!」

役人「OK!先攻、戦車道チーム REZE!後攻、麻雀部チーム EKda(イーケーダ)黒ねこ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=WRSJrTOylgo 2:18

<第22戦 先攻 REZE VS 後攻 EKda黒ねこ>

麻子「EKda黒ねこ 今日すぐ解雇」

麻子「温室に戻りな 動物愛護」ワァァ!

麻子「少ないよ 黒ねこへの愛情」

麻子「でも大丈夫 最後まで飛ばしとく」ワァァァ!

麻子「2人目の相手 お前じゃ 物足りねー」ワァ!

麻子「NODOCCIクラスの敵 ほど会いてぇ」ワァァ

麻子「パッと見でわかる きっと 単細胞」

麻子「強敵前の繋ぎ ただの 案内所」ワァァ!



華菜「聞いてて普通に 違和感だし」

華菜「ライムだけしか 取り柄無いし」ワァァ!

華菜「だったら私は 真っ直ぐに潰すのみ!」

華菜「舐めるなし 背負う 風越女子!」ワァァァ!

華菜「単細胞でも REZEみたくなんないよ」ワァ!

華菜「散々ライミング で何も残んないもん」ワァァ!

華菜「強敵への案内所? それは間違い」

華菜「実は惨敗への案内所だし!」ワァァァ!



麻子「惨敗 よりも乾杯 合わせるグラス」

麻子「黒ねこはただ 重ねるブラフ」ワァァ!

麻子「風越女子 勝つための祈り」ワァァ!

麻子「それは通用しない 賭けも実り はせず」

麻子「ここで落ちぶれ 時すでに遅し」

麻子「だって足りてないよ 腕に重み」ワァァ

麻子「常に心地 いいライム を届ける」

麻子「だから観客も素直に 驚ける」ワァァ!


華菜「別に客は驚くために来てないし!」ワァァァ!

華菜「熱い戦いが見たいから来てるし!」ワァァ!

華菜「その期待 ちゃんと理解してる?」ワァァ!

華菜「ブラフばっかりなのは REZEの方だし!」ワァァァ!

華菜「爽快なライムよりも 内容重視!」ワァァ!

華菜「思ったこと 言葉にして言うし!」ワァァ!

華菜「風越 勝つために祈りはしないし」

華菜「自分の力で勝つし! この試合に!」ワァァァ!



麻子「内容重視 そんなものは培養済み」ワァ

麻子「懐古趣味 も最新も 最高風味」ワァ

麻子「で味付け きっちりと 話しつける」

麻子「そしてスッキリ 悩みの無い 肌質へ」ワァァ

麻子「またしつけー ヤツの言葉は雰囲気」

麻子「不人気 な教師が 赴任し たよう」ワァ

麻子「漂う さまよう 黒ねこの魂」ワァ

麻子「話にならない 猫だまし のがマシ」ワアァ!



華菜「だから 騙さないって言ってるし!」ワァァ!

華菜「話 単語でしか聞いてないし!」ワァァァァ!

華菜「どこ拾ってライミング出来るかだけ!」ワァァ!

華菜「っていうか 培養されたなら作り物だし!」ワァァァア!

華菜「何も関係ない 突然の 懐古趣味」

華菜「最高風味? 何それどういう意味?」ワァァァ!

華菜「適当すぎ 本当に しょうもない」

華菜「さまよってるのは REZEの方だし!」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!


役人「では判定に入ります!先攻、REZEが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「……後攻、EKda黒ねこが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

華菜(よしっ!)

麻子「っ……」

役人「まずはEKda黒ねこに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「REZE」

理事長「EKda黒ねこ」

トシ「EKda黒ねこ」

秋一郎「EKda黒ねこ」

南浦「EKda黒ねこ」

役人「勝者!麻雀部チーム、EKda黒ねこ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

華菜「にゃーーーーーーー!!!」

麻子「………………っ」


【舞台袖 麻雀部側】

未春「やった!」

星夏「勝ちましたよキャプテン!」

美穂子「ええ。すごいわ、華菜……」ホロリ

貴子「池田てめェ!調子ノんじゃねェぞ!あぁ!?コラァ!」ニヤリ

胡桃「…………」ソワソワ

塞「久保さんの言葉遣いを注意したいんだろうけど、やめておいた方がいいよ?」

豊音「私もそう思うよー。あのひとちょーこわいよー」

洋榎「せやな。そもそも金髪にまともなヤツはおらんしな」

由子「古臭い偏見はクソダサよー」

灼「っ!」ビクン

憧「灼さん、反応しなくても大丈夫。あの人は灼さんの私服がダサいことを指摘してるわけじゃないから」

灼「そ、そんな心配、してない……//」


【舞台袖 戦車道側】

カルパッチョ「REZEさん……」

桃「何ぃ!?冷泉の負けなのか!?納得できん!」

優花里「監督殿。今の試合は……」

千代「……REZEさんのライミングは相変わらず固く決まっていました。けれど、相手に的確なダメージを与えるには至らなかった。対するEKda黒ねこさんは、高いバイブスと終始ブレない姿勢で戦い、さらにアンサーもきちんと返していた……その差でしょうね」

優花里「そう、ですか……」

麻子「…………戻った」

沙織「あ……おかえり麻子」

みほ「麻子さん、お疲れ様」

麻子「ああ。しかし……NODOCCIに勝った勢いで押し切るつもりだったが……どうもやりにくい相手だった」

みほ「とにかくバイブスが高い人だね」

麻子「隙はあるんだが、そこを攻めきれなかった……」



まほ「……彼女が負けるとはな」

エリカ「ここから観てる限りだとそう強い相手とも思えないですけどね。なんか普通に勝てそうな気がします」

まほ「エリカにとっては噛み合うスタイルかもしれないな」

エリカ「負けてなければ私が出たのに……監督は誰を選ぶんでしょうか?」

まほ「似たタイプをぶつけての真っ向勝負か、相手の勢いをすかすタイプにするか、作戦によるな」

エリカ「監督次第というわけですね」

千代「お疲れ様でした、REZEさん。では次は………カチューシャさん、お願いします」

カチューシャ「!とうとうカチューシャの出番が来たのね!まちわびたわ!」

まほ「……どうやら、監督は前者を選んだようだな」

エリカ「ですね」


【ステージ】

華菜「………………」

カチューシャ「ふふん」

華菜(ちっこくて可愛い……けど年上なんだよな)

役人「それでは、先攻後攻を決めるじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

カチューシャ「先攻に決まってるじゃない!むちなしかいしゃね!」

役人「お、OK!先攻、戦車道チーム カチューシャ!後攻、麻雀部チーム EKda黒ねこ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=VzNxpdaIb0s 2:48

<第23戦 先攻 カチューシャ VS 後攻 EKda黒ねこ>

カチューシャ「あのREZEに勝利 素直に驚き」

カチューシャ「でもこの子、『し』って言いすぎだし!」ワァァァ!

カチューシャ「そんなに好きなら プレゼントあげる」

カチューシャ「圧死 憤死 壊死 瀕死 可哀想だけど 阻止は無し!」ワァァァァ!

カチューシャ「もしもし猫さん 楽勝ムード」

カチューシャ「せめてもの情けに キャットフード」ワァァァ!

カチューシャ「食べたら とっとと あっち行けと 指・示!」

カチューシャ「水入りペットボトルを置いて シッシッ!」ワァァァ!



華菜「猫よけに ペットボトルは迷信だし」

華菜「楽勝じゃないし 空回り丸出し」ワァァ

華菜「あんたの方が よっぽど子猫っぽいし」

華菜「親猫のところに とっととお行き!」ワァァ!

華菜「自分の口癖 把握してるし」

華菜「でも それを誇るのが私だし!」ワァァァ!

華菜「確かに 不利な部分もある 自覚ある」

華菜「ただそれでも貫く自我 それがリアル!!」ワァァァ!



カチューシャ「最後に吠えるにゃんて にゃんとも可愛い」ワァ!

カチューシャ「とは言え それ 結局 エゴにゃんじゃにゃい?」ワァァ

カチューシャ「今のバース にゃがにゃが(長々)屁理屈」

カチューシャ「言ってるだけだにゃ カット! テイク2」ワァァ!

カチューシャ「口癖 誇るんじゃなくて 開き直ってるんでしょ?」ワァァ!

カチューシャ「普通にバトル出来ない言い訳 つまりはブラフ」ワァァ!

カチューシャ「何を言っても叫べばいいと思ってる バカ猫」ワァァ!

カチューシャ「相手にならない だって所詮 Sucker(サッカー)でしょ」ワァアァァ! ※未熟者


華菜「途中で 猫しゃべり やめる方が未熟だし!」ワァ

華菜「偉そうにしてるけど お前 年 いくつだし!」ワァァ!

華菜「というか年齢よりも 見た目に貫録無し!」

華菜「私は風越女子 背負って来てるし!」ワァァ!

華菜「エゴとは正反対 ブラフなんかじゃないし!」

華菜「覚悟決めて戦ってるし! 意志 ハンパじゃないし!」ワァァア!

華菜「あんたなんか絶対 意地でも ぶっ倒すし!」

華菜「そして自分にも勝つし! 獅子奮迅!」ワァァァ!



カチューシャ「私はプラウダの学園艦を背負ってるのよ!」ワァァ!

カチューシャ「規模が違う 二度と間違うんじゃないわよ!」ワァァァ!

カチューシャ「そもそも学校背負って戦うなら 不利になるような」

カチューシャ「口癖 直さない 意味不明!風越より自分が大事なの!?」ワァァァァ!

カチューシャ「相変わらず叫ぶだけな上に 『しーしー』やかましいし!」ワァァ

カチューシャ「奥歯に何か挟まってんの!? 使いなさい つまようじ!」ワァァア!

カチューシャ「まったくもって話にならない 何が獅子奮迅!」

カチューシャ「それこそが空回り 全然出来てない危機管理!」ワァァァ!



華菜「危機管理と獅子奮迅 踏み外してるし!」

華菜「風越 重荷じゃないし 固い意識 で攻めるし!」

華菜「あんたの小さい背中じゃ 学園艦は乗せられないし!」

華菜「つまりEKda黒ねこの勢いは 止められないし!」ワァァ

華菜「逃れられない運命だし ここで決めるだけだし!」

華菜「逆境もくじけないし それが私の武器だし!」ワァ!

華菜「空回り後の 力強さを見せつけるし!」

華菜「カチューシャ 延長戦で必ず沈めるし!!」ワァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!

カチューシャ「………………」

華菜「………………」


役人「では判定に入ります!先攻、カチューシャが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、EKda黒ねこが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「まずはカチューシャに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「カチューシャ」

理事長「カチューシャ」

トシ「EKda黒ねこ」

秋一郎「カチューシャ」

南浦「カチューシャ」

役人「勝者!戦車道チーム、カチューシャ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

カチューシャ「ふふん!とうぜんのきけつよ!」

華菜「………………」ガックリ..

華菜(せっかくキャプテンやみんなが応援してくれたのに……くっ!)

華菜「……こんどは」

華菜「今度はこっちがぶちのめしてののしる番だし!」

カチューシャ「受けて立つわ!カチューシャのむてきさにひれふすことになるでしょうね!」

華菜「ふんっ!」

華菜(この悔しさは絶対リベンジで晴らすし!)


【舞台袖 麻雀部側】

美穂子「華菜!」

華菜「……負けちゃいました」

美穂子「でもすっごく頑張ってたわね。私は華菜を誇りに思うわ」ニコリ

華菜「きゃ、キャプテ…」

貴子「池田ァッ!」

華菜「は、はい!」

貴子「てめェ……試合後のアレはなんだ」

華菜「え?試合後……?」

貴子「試合中は仕方ねェ。けどなぁ…………相手の選手は先輩だろうが!タメグチきいてんじゃねェ!」

華菜「す、すみませんでした!」

貴子「だからてめェは殴られる運命なんだよォ!」

華菜「!!」

貴子「地獄の底で寝ぼけな!オラァッ!」ブンッ!

華菜「っ!」

美穂子「コーチ!」

コツン

華菜「…………え?」

貴子「………………」

華菜「コーチ?今の、頭にコツンって軽く当たっただけですけど……」

貴子「……今は全然痛くなくてもよォ……今夜激痛で眠れねェんだよ。そういうテクだ」

華菜「…………」

貴子「……先輩にタメグチは万死に値するが……てめェがクソ頑張ったことはわかってる……風越の名に泥を塗るような真似はしてねェ」

華菜「コーチ……!」

貴子「勘違いするんじゃねェぞ!私はいつだっててめェをビンタするつもりで部室にいるんだ!その気持ちは今日も変わらねェ!少しでも気を抜いたらいくからな!」

華菜「は、はいっ!」

美穂子「華菜……コーチ……よかった……」ホロリ

胡桃(きもちわるい……全然いい話じゃない!)

ネリー「………………」

智葉「どうしたネリー?急に黙り込んで」

ネリー「……あの人、私がサトハにタメグチしたら怒るかもと思って」

智葉「他校に対して手は出さないだろう」

ネリー「でも金髪だし……常識では測れないよ」

由子「金髪へのヘイト反対なのよー」

淡「ほんとだよ!そんなこと言ったら亦野先輩なんてもっと派手な色だよ!」

誠子「淡!?」

菫「しかも短髪だ……名門・白糸台で一番パンクな髪色をしている人間が文化系の部に所属しているのは常識破りだな」

誠子「弘世先輩まで!」

照「2人とも言い過ぎ。趣味である釣りにかけて、沖縄にいるカラフルな魚であるイラブチャーをイメージした色にしてるだけ。むしろキャラクターを立たせようと頑張ってると褒めるべき」

誠子「違いますしフォローになってないです!美容院で『イラブチャーみたいな色にしてください』って言う人がいるわけないでしょう!」


【舞台袖 戦車道側】

ノンナ「…………」ボタボタボタ..

アッサム「ああっ!?ノンナさん!鼻血出ています!大変ですクラーラさん!ノンナさんが…」

クラーラ「落ち着いてください。私も出ています」ボタボタボタ..

アッサム「落ち着けませんよ!それに何故!?」

ノンナ「カチューシャの猫語がキュートすぎて鼻血を誘発しました」ボタボタボタ..

オレンジペコ「せ、説明はいいですから!ティッシュで拭いてください!」サッ

ダージリン「聖グロリアーナでは鼻血を見ることなんて滅多にないわ。こんな風に言ったら申し訳ないけれど、新鮮でワクワクしてくるわね」

ローズヒップ「わたくしもですわー!血がたぎりますわー!」

ニーナ(…………聖グロの隊長さん、優しそうな人だと思ってたけんど、やっぱ一癖ある人だっただぁ……)

沙織「それにしても、今のバトルのEKda黒ねこさん、麻子の時みたいに勢いはあったし、大きなミスをしたって感じはしなかったんですけど、お客さんの沸き方とか全然違ってたのはどうしてですか?」

千代「カチューシャさんの的確な攻撃が大きいわね。語尾に『し』をつける口癖を指摘したカチューシャさんに対し、『そんな口癖の自分を誇る。自我を貫いている』と返したのは良かったけれど、それに対してカチューシャさんは『口癖 誇るんじゃなくて 開き直ってるんでしょ?』とアンサーしたわ。これによって、今まではフロウに心地よさを生んでいた語尾の『し』が違和感として聴こえるようになっていったんだと思うわ」

沙織「なるほど……」

千代「それにカチューシャさんのバイブスが高まって声を張り上げているけれど、内容があるから『叫んでるだけ』とは返せない。EKda黒ねこさんの『風越女子を背負ってる』もREZEさんの時に使っているからインパクトは弱まっていて、そこをカチューシャさんがアンサーで『学園艦を背負ってる』という言葉で一気に空気を自分のモノにした印象ね」

杏「あとさ、ノンナさんたちが鼻血出した原因にもなった猫語?あの『にゃ』を使ったアンサー。あれも効果的だったよね」

沙織「そうなんですか?」

杏「もちろん。相手が口癖あるところを拾って、『黒ねこ』ってゆーMCネームとかけて猫の鳴き声を語尾に付けるおちょくりだよ。それによって相手のバイブスをいなして自分のペースに持って行った感じだね。しかも途中の『カット! テイク2』の後は普通のスタイルに戻すとことか、構成力があって面白かったしねー」

アンチョビ「だが、その辺りはカチューシャっぽくなかった気がするな。どちらかと言えばアンジーやケイのスタイルに似ていた」

千代「戦車道チームでの練習によって成長したのでしょうね。自分に足りない戦い方を身に付けたのよ」

杏「カチューシャ、からかわれるのが苦手だったもんなぁ。自分にとって嫌な戦法だからこそ印象に残ってて、バトルで活かせたわけか。なるほどなるほど」

みほ「すごいなぁカチューシャさん。最初の時よりずっと成長してる……いいなぁ」

まほ「それはみほも、だろ?」

みほ「お姉ちゃん……」

まほ「みほも前以上に強くなってる。だから自信を持っていい」ナデナデ

みほ「う、うん……///」

エリカ「……っ!」ギリッ

エリカ(私にはわかる!あの子、まほ先輩が近くで聞いてるってわかって自信が無いような言葉を口にした!そういう風に言えば褒めてもらった上に撫でてもらえると思って!ズルい!ズルいわ!)キィーッ!


【舞台袖 麻雀部側】

晴絵「……さて、じゃあカチューシャさんの相手は……鹿倉さんにお願いします」

胡桃「!はい」

塞「ついに出番ね。大丈夫?緊張してない?」

胡桃「平気」

白望「頑張って……」

胡桃「うん、ありがと」

エイスリン「ハンカチモッタ?」

胡桃「バトル中はいらない」

豊音「えーと……あのー……」

胡桃「豊音?」

豊音「うぅー……みんなに言いたいこと言われちゃったよー!」

胡桃「あはは。そういうとこ、豊音らしいね。ありがと、元気出たよ」クス

豊音「えー、でもでも、せっかくだから励ましの言葉を言わないとー……」

胡桃「見守ってくれるだけで充分だよ。じゃあ行ってきます」タタッ

豊音「あっ、いってらっしゃいー!」

塞「胡桃……大丈夫かしら」ハラハラ

エイスリン「シンパイシスギ」

豊音「でもわかるよー。私もちょーきんちょーするよー」

塞「そうよね?私たちが緊張してもしょうがないってわかってるんだけどね」


【ステージ】

カチューシャ「次の相手はあんたなのね!いいわ!かかってきなさい!カチューシャが相手してあげる」

胡桃「………………」

カチューシャ「ちょっと、なんとか言ったらどう?もうせんいそうしつしたのかしら?」

胡桃(めんどくさい!)

役人「先攻後攻のじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

胡桃「後攻」

役人「OK!先攻、戦車道チーム カチューシャ!後攻、麻雀部チーム クRUMI!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=gYI-iNPOlJM 3:13

<第24戦 先攻 カチューシャ VS 後攻 クRUMI>

カチューシャ「まずのっけから クRUMIとDJルミがややこしいわ!」ワァァァ!

カチューシャ「それとじゃんけん勝って後攻とかダサいのよアンタ!」ワァァ!

カチューシャ「試合前の会話 ほうきするコミュニケーション なってない」

カチューシャ「どうせ こじつけの ディスに こぎつける だけでしょ?」ワァァァ!

カチューシャ「このステージ あんたにはない 心 落ち着ける場所」ワァァ!

カチューシャ「ここから勝って勝って 麻雀部のなきがら 盛りつける!」ワァァァ!

カチューシャ「そうなれば 審査員の判定こっち お客さん上げる歓声」ワアァア!

カチューシャ「ようするに 勝ち星くれる そういうちゃんとしたオチつける!」ワァァァァ!



胡桃「じゃんけん勝って後攻ダサいって言う方がダサい!」ワァァ

胡桃「さっき楽しそうに先攻とってたから 譲ってあげただけじゃない!」ワァァ!

胡桃「今日は記念日 カチューシャ 会うのも戦うのも初めて」

胡桃「そして私より背の小さい 同学年を見るのも初めて!」ワァァァァ!

胡桃「でもテレビでは見たことある 肩車されてた」

胡桃「背を高く見せようとしてダサかった 土台の子もグルだ」ワァァ

胡桃「今まで 夢に見たセリフが 1つだけある」

胡桃「いい? ちゃんと聞いててよカチューシャ 『このチビ!』」ワァァァ!



カチューシャ「肩車してたのはチームメイト グルも何も味方」ワァァ

カチューシャ「何も知らない ヤツがごちゃごちゃ勘繰る 結果しくじる!」ワァァ!

カチューシャ「今日は思い出作りどころか 敗北の事件に なる記念日」ワァァ

カチューシャ「プレゼントあげる さっきのとカブるけど 憤死か瀕死」ワァァァ!

カチューシャ「出口は同じ 残りのバース 全部 クRUMI割り人形」ワァァ!

カチューシャ「カチューシャ ステージ上 はっちゃけちゃう まるでパリピーポー」ワァァァ!

カチューシャ「あんた おかっぱで 真面目でも小遣い少ない イメージ」

カチューシャ「初めてが好きなら見てなさいよ はじめてのおつかい」ワァァ!


胡桃「チビにノーアンサー コミュニケーション放棄してる!」

胡桃「自分で言ったタブー 自分で体現してる きもちわるい!」ワァァ!

胡桃「真面目でも小遣い少ない 謎 どこ情報?」

胡桃「ネタのストックとっくに期限切れ 日持ち悪い!」ワァァァ!

胡桃「クRUMIより小さいカチューシャじゃ くるみ割りは無理」ワァァ!

胡桃「遠回しに自分でダメージ受けてる マイク持つとこ 紙やすり」ワァァァ!

胡桃「未来予想 お客さん こっちに歓声 勝利祝ってた」

胡桃「カチューシャじゃ登れない 越えさせない 岩手山」ワァァ!



カチューシャ「チビにチビって ちびちび言われて日に日に増す怒り」ワァァァ!

カチューシャ「ギリギリでピチピチの堪忍袋の緒 引きちぎってやるわ!」ワァァァ!

カチューシャ「私じきじき 手を下す 岩手山頂に旗を立てる!」ワァァ!

カチューシャ「悔しがる こいつのおでこに貼ってやるわ 『バカ』のラベル!」ワァァア!

カチューシャ「こんなのと比べられる なんてホント 気持ち悪い!」

カチューシャ「やっぱり変更する プレゼントは この2文字だ『無理』」ワァァァ!

カチューシャ「私を倒すの無理 こいつ認められるの無理」

カチューシャ「無理無理無理無理 次々グチグチ言うけど 無知すぎ!」ワァァァ!



胡桃「バカのラベルって発想が そもそもバカみたい!」ワァァ

胡桃「こんなヤツに連勝は許せない だから 阻みたい!」ワァァァ!

胡桃「体型も言葉にも 幅がない 幼稚な語彙 刺さらない」ワァァ!

胡桃「カチューシャ 私には敵わない あんたの夢は 叶わない」ワァァァ!

胡桃「無知なのはどっち? NODOCCIより私よりこっち」ワァ

胡桃「つむじに貼ってあげる『チビ』ってラベル」ワァァ

胡桃「多分文句言うはず そのクチもラベルで 塞いどこう」ワァァ

胡桃「それでも騒ぐなら 一言怒鳴る うるさいそこ!」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!

カチューシャ「………………」

胡桃「………………」

カチューシャ(この子……やるじゃない)

胡桃(簡単にはいかない!強い!)


役人「さあ、それでは判定に入ります!先攻、カチューシャが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……次に後攻、クRUMIが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「まずは1ポイント、カチューシャに入ります」

カチューシャ(やった!)グッ

胡桃「…………っ」

役人「残るは審査員のみなさんです。では、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「カチューシャ」

理事長「クRUMI」

トシ「カチューシャ」

秋一郎「カチューシャ」

南浦「クRUMI」

役人「勝者!戦車道チーム、カチューシャ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

カチューシャ「やっ…………ふ、ふん!おもわくどおりだわ!」

胡桃「負けた……」

胡桃(出来は悪くなかったはず…………悔しい!)


【舞台袖 麻雀部側】

豊音「えっ」

塞「胡桃……」

白望「………………」

豊音「えー!?絶対勝ってたよー!ちょーおかしいよー!」

エイスリン「ッ!」カキカキカキ!

エイスリン「コレ!」

塞「……マラドーナの神の手ゴール?」

エイスリン「ゴシン!」

白望「いや、それは無いよ。それにフリースタイルバトルで誤審っていう言葉は正しくないと思う……審査員が持ってる判定基準がそれぞれ違うわけだから、同じ試合でも、誰が見ても勝敗が明らかな試合以外は判定が割れることもあるだろうし」

塞「……確かに」

白望「あとは八百長の可能性だけど……これも無い。熊倉監督がそんなことに関与するのはありえないから」

豊音「……うん、そうだねー……それに相手選手も、大会に関わってる人たちもみんな真剣にやってるんだもんね…………絶対勝ってたとか、おかしいとか、すっごく悪いこと言っちゃったよー……」

エイスリン「…………ゴメンナサイデシタ……」

白望「……ううん……胡桃が負けて悔しいのは私も一緒。みんな同じ気持ちだから…………塞以外は」

塞「私も同じだよ!?」ウォイ!


晴絵「………………」

晴絵(それにしても、前大会でもその兆候は現れてたとはいえ、カチューシャさんは厄介な選手に成長したみたいだね……さて、どうするか)

晴絵(これ以上調子に乗せるわけにもいかない。確実に止めないとね……となると……)

晴絵「……辻垣内さん」

智葉「はい」

晴絵「……辻垣内さんならカチューシャさんを止められる?」

智葉「誰が相手でも止めるつもりです」

晴絵「ふふっ……そうよね。じゃあ、お願いするわ」

智葉「了解しました」ザッ!

晴絵(さすがというか……圧倒的な自信ね。でもそれだけの実力を持っている)

明華「出番ですか。では出立の歌を……」

智葉「遠慮しておく」

ネリー「あんなのに負けないでよ?」

智葉「カチューシャはかなり強い。あんなのなどと呼ぶな」

ネリー「……ま、確かに思ったよりやるけどさ」

ダヴァン「合格祈願系のカップラーメンがあれば食べながら見送ったもノヲ……残念デス」

智葉「本人に食わせないのか……ま、いい。気持ちだけ受け取っておく」

慧宇「私は心配していませんから」

智葉「ああ、それでいい……っと、すまんがメガネと髪ゴムを預っててくれ」

慧宇「はい。普段の格好のまま出るんですね」

智葉「ああ」

ネリー「サラシは私が預かるよ」

智葉「いや、いい。サラシは外さないからな」

ネリー「ちぇー」

ダヴァン「何故悔しそうなんでスカ」

智葉「さて、と。では勝ってくる」ザッ

慧宇・明華・ダヴァン・ネリー「いってらっしゃい」



穏乃「おぉぉ……なんかすごい自信満々でカッコいい!辻垣内さんこそが私の倒すべき相手かも!」

憧「はいはいそうかもね」

玄「サラシ……!?もしかして辻垣内さんって、隠れおもち……!?」ガーン!

宥「玄ちゃん落ち着いて?お姉ちゃんがギュッてしてあげるから」ギュ..

玄「おねえちゃーん……」

灼「なんでサラシしてると取り乱すの……」ハァ..


【ステージ】

カチューシャ「む」

智葉「」ザッ

カチューシャ「今度はあんたが相手なのね!らくしょうそうだわ!」

智葉「そうか」フッ

カチューシャ「!………………」

カチューシャ(……この雰囲気……)

カチューシャ(ふん、強敵ってわけね。だったら油断せずに勝ちに行くだけよ!)ギラリ

役人「先攻後攻を決めるじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

智葉「後攻」

カチューシャ「また先攻……!」

役人「OK!先攻、戦車道チーム カチューシャ!後攻、麻雀部チーム 凱屠(がいと)!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=inuEzDNqQOc 2:44

<第25戦 先攻 カチューシャ VS 後攻 凱屠>

カチューシャ「見た目 強そうなくせに ビビッて後攻」

カチューシャ「それってどう思う? すでにしてるでしょ 動揺!」ワァァ!

カチューシャ「麻雀の時と違って髪の毛ほどいて不良気取り」

カチューシャ「でも意味ない こいつなんかより私の フロウに酔いなさい」ワァァ!

カチューシャ「じっとこっち見て どっしり構えて余裕って表情ね」

カチューシャ「でもそれ大物ぶって 緊張を誤魔化す作戦のようね」ワァァ

カチューシャ「そんなの通用しない 戦車道チーム優勝したい」ワァ

カチューシャ「だからあんたも次の相手も その次も叩き潰してやるわよ!!」ワァァァ!



智葉「そんなことさせはしない この先は絶対に通せん」

智葉「だから後攻とった 確実に仕留める 後の先」ワァァ!

智葉「学園艦 背負うなら むしろ困難を喜べよ」

智葉「作戦なんか 関係ない ただ一言 そこどけよ」ワァァァ!

智葉「フロウで勝とうが好きにしろ そこは私の土俵じゃない」

智葉「度胸が無い 小者のお前 睨んだだけで 鼓動早い」ワァァァ!

智葉「冷静さを失ったところ切り捨て 命散るさ」

智葉「お前じゃ 私に勝てないんだよ この猪武者」ワァァァァ!



カチューシャ「猪武者の突破力 どっしり構える凱屠 貫く」ワァァ!

カチューシャ「後の先とか言ってても 失敗して つまづく」ワァァ!

カチューシャ「負け認めて フロウを捨てちゃった 諦めた」

カチューシャ「でも納得 ただ喋るようなフロウじゃ 飽きられちゃう」ワァァァ!

カチューシャ「ただ他でも あんたは私に勝てないこと教えたげるわ」

カチューシャ「バイブスも私のが上 あんたのトーンじゃ 盛り下げるわ」ワァァ!

カチューシャ「負けるわけない! こいつ結局子供だまし」

カチューシャ「わかる? 熱いバイブスをぶつけてこその魂!」ワァァ!


智葉「バイブスをクチに出すな 温度が下がる」ワアァ!

智葉「不言実行するもんだ 得とか 損とかじゃなく」ワァァァ!

智葉「適当言うな 私のどこが 子供だましだ?」

智葉「その場しのぎの言葉 虚しいほど木霊(こだま)したな」ワァァァァ!

智葉「声がデカイだけで 内容が薄いことに困惑だ」

智葉「お前が勝ち取れるのは ロリコン枠だけだ」ワァァァァ!

智葉「2勝して 立派に伸びた 天狗の鼻」

智葉「折って終わらす お前は消える 青い臀部(でんぶ)のまま」ワァァァ!



カチューシャ「とっくに消えたもうこはん 家帰りなさい もうご飯」

カチューシャ「ロリコン枠なんて知らないわよ わけわかんないわ 状況が」ワァァ

カチューシャ「天狗になんてなってない 全部が自信になってるだけ」ワァァ!

カチューシャ「ズレた感性を恥じなさい あんたはただのクレーマー」ワァァ!

カチューシャ「上から目線 同じ学年なのに何故か 先輩面」

カチューシャ「この怒りは 1000倍くらい にして返してやるわ!」ワァァァ!

カチューシャ「人を小バカにした生意気な あんたは廃棄!」ワァァ

カチューシャ「改心しても遅い ぶちのめす このライミング!」ワァァ!



智葉「ぶちのめされるのは 自分だと 気付こうと」

智葉「しない愚か者 尻目にいただく 紫綬褒章」ワァァァ!

智葉「ラストバースで1000倍返し 延長に期待感」

智葉「勝ち目無いと気付きながら まだ戦場にいたいか?」ワァァァァ!

智葉「目線のことなら 悪いが勘弁してくれ」

智葉「見てくれ的に しゃがんでバトルは 出来ないからな」ワァァァ!

智葉「ここらで始末 お前は 産業廃棄物」

智葉「不安定な 感情が行き来する 雑魚は消えとけ」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!


役人「それでは判定に入ります!先攻、カチューシャが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、凱屠が勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

カチューシャ「っ……!」

役人「まずは凱屠に1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「凱屠」

理事長「凱屠」

トシ「凱屠」

秋一郎「凱屠」

南浦「カチューシャ」

役人「勝者!麻雀部チーム、凱屠~~~~~!!!」

ワァァァァ!

智葉「………………」

智葉(まずは1つ)

カチューシャ(勝って当然みたいな顔がムカつくわ!)

カチューシャ(でも……ムカつくけど……負けを認めるしか……!)ギリッ..


【舞台袖 麻雀部側】

明華「さすがサトハですね」

ネリー「ここで勝ったのは大きいね。お金とか貰えるんじゃないかな?」チラ

晴絵「ははは……それはムリだけど、確かにこの勝利は大きいよ」

久「実際、うちのエース候補だもんね」

和「ライミングの数では負けるつもりはありませんが、一つ一つの破壊力では敵いません」

咲「それでいてちゃんと対話出来てるから……やっぱり強いよね」

優希「敵の時は怖かったけど、味方になったら頼もしいじょ!」


【舞台袖 戦車道側】

ノンナ(カチューシャ……敗れはしましたが、あなたは立派でした。我々プラウダの誇りですよ)

千代「………………」

みほ「あのカチューシャさんをあっさり倒しちゃうなんて……」

麻子「淡々と、だが確実にライミングを決めてきたな」

カルパッチョ「脚韻で字余りも気にせず……それと、韻を踏んだことを際立たせないあっさりとしたフロウですね」

ケイ「そこがクールでカッコいいわよね。ていうか、あの子かなり強くない?」

ナオミ「強いね。今の試合のみのデータだけど、ライミング、アンサー、パンチラインの三拍子が揃ってる」

杏「んー……小山ぁ。うちのチームって残ってるの誰だっけ?」

柚子「えーと、西住まほさん、オレンジペコさん、島田愛里寿さん、西住みほさんの4人ですね」

杏「ありがと。なるほどね……」ウーン..

愛里寿「お母様、どうしますか?」

千代「……ここは正念場ね」

千代「西住さん」

まほ「はい」
みほ「ふぇっ!?」

千代「あ、まほさんの方ね」

みほ「そ、そうですか」ホッ

千代「凱屠さんはあなたに任せます」

まほ「わかりました」

エリカ「ま、まほ先輩!頑張ってください!」

まほ「ああ。ありがとう」ザッ



優花里「……なんだか、最初から呼ばれるとわかっていたような反応でしたねぇ」

沙織「そう?いつもあんな感じでクールだと思うけど」

みほ「ううん、多分優花里さんの言う通りの気がする。凱屠さんとカチューシャさんの試合を観ながら、どう戦うかをシミュレーションしてたんだと思う」

麻子「西住さんの姉はこのチームのエースだ。残ってるメンバー全員に勝っているし、本来なら最後まで残したいはず。それをここで出すということは……」

オレンジペコ「凱屠さんがそれだけ強敵、ということですね」

愛里寿「………………」


カチューシャ「…………」トボトボ

まほ「カチューシャ」

カチューシャ「あっ……マホーシャ……」

まほ「お疲れ様」

カチューシャ「…………うん」

カチューシャ「……あんた」

まほ「?」

カチューシャ「私の分まで頑張るとか、そんな気持ちで戦うんじゃないわよ?」

まほ「…………」

カチューシャ「私は私で戦って負けただけなんだから」

まほ「ふっ、わかっているよ。そんなつもりは無いさ」

カチューシャ「……ならいいけど」

まほ「あ、ただ1ついいか?」

カチューシャ「何よ」

まほ「バトンタッチだけはさせてくれ」

カチューシャ「え?」

まほ「少し気合いをいれたくてな」

カチューシャ「そう。それじゃあ……」スッ

パチン..

まほ「ありがとう。では行ってくる」フフッ

カチューシャ「……いってらっしゃい」

カチューシャ(笑顔……)

カチューシャ(マホーシャのことだから心配いらないと思うけど、あの凱屠ってヤツを少しでも侮ったら、マホーシャでもあっさり負ける可能性あるわよ?大丈夫、よね?)ハラハラ


【ステージ】

まほ「」ザッ

智葉「!」

智葉(西住まほ……これほど早く会えるとは!)

智葉(DVDを観て、お前と戦いたいと思った。そして全力をぶつけ合った上で勝ちたい、とな!)ギラリ

まほ「………………」

まほ(凱屠……こうして目の前に立つとかなりの迫力だ。戦車道、タンカスロンでもこれほどの存在感を持つ者は多くないだろうな……)

まほ(だからこそ思う。その強い相手に勝ちたい、と)ギラリ

役人「両選手が揃いました。では先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

智葉「先攻」

役人「OK!先攻、麻雀部チーム 凱屠!後攻、戦車道チーム 西住まほ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=IAB8jgCyquc 2:55

<第26戦 先攻 凱屠 VS 後攻 西住まほ>

智葉「お前が ラストかと思っていたから 驚いた」

智葉「おめでとう 二度目の敗北 とうとう来たな この時が」ワァァァ!

智葉「後頭部が熱を持つほど頭回転 そして 好勝負」ワァァ!

智葉「相当ドープ 常套句なライムは 吐かないスタイルだ」ワァァァ!

智葉「意外と凱屠がヤバイいと気付く 私の時代到来」ワァァ!

智葉「癪に障るだろうが お前は知らされるんだ 該当外だと」ワァァァ!

智葉「シングル戦 勝てたのは 私がいなかったからだ」ワァァ!

智葉「実際物足りなくて やりがいなかったんじゃないか?」ワァァァ!



まほ「……とうとう来たな? おいやめてくれよ」

まほ「こんな公の場で 生理の話なんてするなよ」ワァァァァ!

まほ「アレを貸してやろうにも 私の手持ちは気合いと」

まほ「覚悟 信念ぐらいしかないんだ 悪いな」ワァァァァ!

まほ「名前 凱屠?なんだそれ? 仮面ライダーか?」ワァァ!

まほ「シャボ待ちのバッタとかけてるのか ご苦労なこった」ワァァァ!

まほ「ダブルミーニングってやつだな あ、いや違うか」

まほ「こいつのスキル バッタもんだから トリプルだったな」ワァァァァァ!



智葉「前々回大会 MIHOが姉 目がけ投げた」

智葉「変化球の 下ネタで負けた なのに何故だ」ワァァ

智葉「生理? くだらない 羽根突きよりもマイクラリーがしたい」

智葉「のらりくらり やるつもりはない こちとら 都会暮らし」ワァァァァ!

智葉「気合い 覚悟 信念 トリプルで斬り落とす」ワァァ!

智葉「吐く言葉 ライムに 意味を通す そして最後に打つ ピリオド」ワァァァ!

智葉「私の押韻は希少品 つまり 量より質だ」

智葉「鈍いヤツは焼き尽くされてから 周りの 焦土に気付く」ワァァァ!


まほ「1人相手に 周りを燃やし尽くす?そうか すごいな」

まほ「だがそれは実際 ライムと小節の無駄遣い」ワァァァァ!

まほ「希少品は少ないから価値があるのに お前は自分で」ワァァ!

まほ「値打ち落としてる一人遊び 私もマイクラリーがしたいのになぁ」ワァァァァ!

まほ「斬り落としたり 焼き尽くしたり物騒だな 都会もん」ワァァ!

まほ「MCネームもそう 表現が いちいち厨二病」ワァァァ!

まほ「疲れるが のらりくらり相手してやろう それと一言」

まほ「ピリオドをキャタピラで乗り越えるのが戦車道なんだよ」ワァァァァ!



智葉「ピリオド 乗り越えた先で振りかぶる 斬鉄剣」

智葉「真っ二つの車体 謝罪はしない 文句は受け付けん」ワァァァ!

智葉「祝砲 驚くほど轟く 仲間は 寿(ことほ)ぐ」ワァ! ※お祝いの言葉を述べる

智葉「ジワジワと血沸き肉躍る 五臓六腑」ワァァァ!

智葉「燃やし尽くすのは無駄ではない お前に対する敬意だよ」

智葉「手づかみ・生肉 ではなくて ナイフ・ステーキだろ?」ワァァァ!

智葉「食材にはふさわしい振る舞いがあるってことだ」

智葉「素材の味を活かすために 塩も振っておこうか」ワァァァ!



まほ「そこまでキ チンとしてくれたら肉の私も本望」ワァァ

まほ「でも食材 振る舞うってことは やっぱりお前 厨房じゃないか」ワァァァァ!

まほ「よくわからんな凱屠 認めはしないよ」

まほ「そんな態度 調味料はいらない 塩対応で塩分は充分」ワァァァ!

まほ「それよりも足りてないのは お前の手だ」

まほ「斬鉄剣・ナイフ・包丁 持てないだろ マイクだけでも置いとけ」ワァァァ!

まほ「もう気付いたはずだろう? レベルが違うことに」ワァァ!

まほ「こいつ 肉に食われてしまう ライムばかり扱う料理人」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!


役人「では判定に入ります!先攻、凱屠が勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「まずは西住まほに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「西住まほ」

理事長「西住まほ」

トシ「西住まほ」

秋一郎「西住まほ」

南浦「西住まほ」

役人「勝者!戦車道チーム、西住まほ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

まほ「」フゥ..

智葉「………………」

智葉(まさかこうまでやられるとはな……)ギリ..


【舞台袖 麻雀部側】

ネリー「サトハがあんなに圧倒されるなんて!」

ダヴァン「信じられませンネ……」

慧宇「それだけ西住まほが強者だということでしょうか?」

晴絵「西住まほが強いのは間違いないけど、辻垣内さんより圧倒的に強い、ということではないと思う。相性で言ったらお互い悪くはないし、今回はたまたまそういう流れで差がついただけで」

憧「先攻後攻でも変わってくるもんね」

晴絵「そうだね。やっぱり西住まほ相手に先攻で勝つのはかなり難しい」

穏乃「でも辻垣内さん、どうしてじゃんけん勝ったのに先攻とったんだろ?」

恭子「そういや、練習中にDVD観てた時、西住まほと戦ってみたい言うてたな」

明華「気合いが入り過ぎて焦ってしまったのでしょうか」

浩子「その可能性は無くはないでしょうけど、そう一概に悪いとは言えませんよ。確かに練習中の辻垣内さんとちょっとちゃう感じでしたけど、今のバトルの方が気合いが乗っててええと思いますけどね」

泉「でも西住まほも前の大会の時と変わってません?生理とかそんなん言うタイプちゃうイメージですもん」

怜「ムッツリなだけちゃうん?」

泉「いやいや、そんなことない思いますけど」

竜華「お互いを強敵と思てるからこそ、普段とちゃう角度からぶつかり合ったって感じするなぁ」

セーラ「それわかるわー」

久「にしても……厄介ね、西住まほは」

まこ「そうじゃのう。辻垣内さんの『とうとう来たな、この時が』のサンプリングに対するアンサーもそうじゃし、『ライムと小節の無駄遣い』で般若のサンプリングを使ったり」

和「食材、素材の話を受けての『キチンとしてくれたら肉の私も本望』という返しはキッチンともかかっていますし……的確なアンサーですね」

ネリー「次に出る人にはニシズミを確実に仕留めてほしいんだけど、誰が出るの?」

晴絵「加治木さんに行ってもらうつもり」

ゆみ「私ですか?」

晴絵「うん。大丈夫?」

ゆみ「はい、問題ありません」

桃子「先輩!私もステージに立つっす。先輩のすぐ横で見守りたいっす!」

佳織「そ、それはいいのかな……?」

睦月「いや、よくないと思うけど……」

智美「確かにモモは気付かれないだろうけどなー」ワハハ

ゆみ「モモはここで観ていてくれ。自分だけセコンドが付くのは相手に悪い」

桃子「……わかったっす」

智美「頼んだぞユミちん」

ゆみ「ああ。では、行ってきます」

晴絵「うん、お願い」

ネリー「……カジキか……ま、妥当かな」

明華「ずいぶん評価していますね」

ネリー「まぁ……アンサー力のあるヤツだし……勝てる可能性はあるからね」

明華「なるほど……確かに彼女も夏の高校生だった時期がありましたし」

ダヴァン「ここにいる全員がその時期ありましタヨ?」


【ステージ】

まほ「…………」

ゆみ「…………」

ゆみ(なるほど……こうして目の前に立つと迫力がある)

ゆみ(だが……麻雀部の代表である以上、退くつもりはない。モモも見ているしな)

役人「それでは、先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

ゆみ「後攻お願いします」

役人「OK!先攻、戦車道チーム 西住まほ!後攻、麻雀部チーム KAJU-MC(カジュエムシー)!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=OBVQme6-B3E 3:10

<第27戦 先攻 西住まほ VS 後攻 KAJU-MC>

まほ「MC付けなきゃ MCと思ってもらえないから付けた」

まほ「KAJU-MC わかりきったことを省かないのは無駄だ」ワァァ!

まほ「余分な脂肪は邪魔 凱屠に切り取ってもらってこい」ワァァァ!

まほ「バラバラになったプライドが油まみれは 醜すぎる」ワァァァァ!

まほ「もっとさっぱりとヘルシーになってくれよ 何故なら」

まほ「わんこそばみたいに おかわりして 全部平らげるから」ワァァァ!

まほ「その目 落ち着いてるな だが余裕ぶると 即 死ぬぞ」ワァァ!

まほ「どこからでも仕留める 13面待ち 国士無双」ワァァァ!



ゆみ「戦車道が国士無双 それもう 本末転倒」ワァァ!

ゆみ「13面待ちでも 通る牌は 山ほどあるよ」ワァァ!

ゆみ「私を 侮るとあっさり やられる 形になる」

ゆみ「わんこそば 完食阻止 KAJU-MC 鼻にくる わさび」ワァァァ!

ゆみ「プライドは壊れないよ 常に形状記憶」ワァァ!

ゆみ「一癖ある キミに迫る 足元すくって勝つ 落とす地獄」ワァァ!

ゆみ「本名そのままの 個人情報 放りだしとく 無防備の子」

ゆみ「堂々としてる様相 でもそれは愚かな方向 向いてるぞ」ワァァァ!



まほ「私が向いている方向に 道を作るために行動」ワァァァァ!

まほ「誰かの後ろ歩くのに慣れた お前とはステージが違う」ワァァァ!

まほ「戦車道 放送されたから そのまま名乗ってるだけ」

まほ「ラップに費やさず MCネーム考える時間がもったいねぇ」ワァァァ!

まほ「わさびが鼻にきても そば食えないほどのダメージなど無い」ワァァ

まほ「むしろ飽きずに 完食出来る もしかして お前味方か?」ワァァァ!

まほ「大したことないヤツだと知れてる 形状記憶?」

まほ「変化を恐れて 進むのをやめちまってる 生ける屍だ お前は」ワァァァ!


ゆみ「たとえプライド ガタガタ崩れても 必ず再生する」

ゆみ「簡単に元通り だから成長はする わからず屋だな」ワァァ

ゆみ「MCネームは 名刺代わり 軽視するな 全員で」

ゆみ「一丸となって 戦うと決まった日に考えた あの時間は無駄じゃない」ワァァァ!

ゆみ「残念だが あんたの味方じゃない 私は長野の代表」ワァ!

ゆみ「内容濃いアンサーで戦って 腹を満腹にさせて倒すさ」ワァァ

ゆみ「奥歯噛みしめて 相当辛いと 思わせて ここから退場」ワァァ!

ゆみ「そういう結末を与える ほうほうの体(てい)で逃亡する状況!」ワァァァ!



まほ「頭韻ばかりのこの子 その頭を踏ん付ける」

まほ「私はスーパーマリオばりのアクション お前 ドン亀 ノコノコだ」ワァァ!

まほ「高校生だけど 高ラ(甲羅)のレベルにも まったく達してない」

まほ「落ち着いてるが 私と実力が拮抗(亀甲)してるつもりか?」ワァァァ!

まほ「信州 長野代表 だから そばの話持ち出したのに」

まほ「一向に触れない 掛け合いにならない 万年愚鈍だな」ワァァァ!

まほ「凱屠の方が会話出来た 何故ならあいつは実力者」ワァァ!

まほ「でもまぁいい 横にタバコがあれば 私の大きさがわかるからな」ワァァァァ!



ゆみ「わんこそば 岩手の名物 長野じゃない 残念」ワァ!

ゆみ「間違い 指摘しない優しさ たまには 敵にも 与えていいか」ワァ!

ゆみ「何を勝ち誇った顔で アクションがスーパーマリオ?」

ゆみ「私がノコノコ それでもいい 亀は長生き 最後生き残る」ワァァァ!

ゆみ「これが会話 すでにしてるじゃないか 毎回 言いきりで好き勝手な」ワァァ!

ゆみ「ことキミが言い放って決め付ける 仕組みに嫌気がさすね」ワァァァ!

ゆみ「そうやってドヤ顔で ほとほと呆れるほど もろもろ煙に巻く」ワァァ!

ゆみ「ケツに火が点いたような ヤニ臭い タバコはそっちだろう」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!

まほ「…………」

ゆみ「…………」


役人「では判定に入ります!先攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、KAJU-MCが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「まずは西住まほに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「西住まほ」

理事長「KAJU-MC」

トシ「西住まほ」

秋一郎「西住まほ」

南浦「西住まほ」

役人「勝者!戦車道チーム、西住まほ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

まほ「」フゥ

ゆみ(力及ばず、か……)


【舞台袖 麻雀部側 付近】

ゆみ「…………」テクテク..

智美「ワハハ。おつかれ、ユミちん」

ゆみ「蒲原……」

智美「惜しかったなぁ~、もう少しだったのに」

ゆみ「励ましてくれるのは嬉しいが、私は敗北に納得しているし受け入れている。だから気を遣わなくてもいい」

智美「そうかー。さすがだなー、ユミちんは」

ゆみ「全力を出した上で負けたんだ。仕方ないさ。それより…」

智美「ん?」

ゆみ「次は蒲原が出るんだよな?」

智美「ワハハ。その通り。だからここですれ違うのだよ」

ゆみ「だよな。ではあとは任せた」

智美「ユミちんもなー。モモがユミちん以上に落ち込んでるから慰めてやってくれ」

ゆみ「負けて帰る私が慰める側なのか……ふふっ、わかったよ」

智美「ワハハ。じゃあ頼んだぞー。行ってきます」ザッ..

ゆみ「ああ、いってらっしゃい」

ゆみ「……………………」

ゆみ(頼むぞ蒲原……)


【ステージ】

智美「………………」ワハハ

まほ「………………」

まほ(笑顔……まったく緊張していないようだな。肝が据わっている)

役人「さあ!先攻後攻を決めるじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

まほ「……後攻で」

智美「ワハハ」

役人「OK!先攻、麻雀部チーム 蒲(かん) a.k.a BARA!後攻、戦車道チーム 西住まほ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=0I9glinQGys 2:38

<第28戦 先攻 蒲 a.k.a BARA VS 後攻 西住まほ>

智美「とうとう来たな!この時が!」ワァァ!

智美「そう、生理なんだ 袖で聞いててビックリした」ワァァァ!

智美「マイク通して 公にアピールする女子」

智美「そんな新しい道 作るため行動していくよ」ワァァ!

智美「今の試合 そばのくだり 偉そうに言うほどかな~?」

智美「ちゃんと見てる人、意外とホラ そばにいるよ?」ワァァァ!

智美「というか この人 韻踏まないから聴いてて面白くない」

智美「もう胸をひたすら見るしか 楽しみがなーい!」ワァァァァ!



まほ「好きにしろ 見たきゃ見ればいい」

まほ「目を見るのが怖いから おどけてる 可愛いもんだ」ワァァァ!

まほ「ちゃんと見てるからなんだ? 偉そうに言うな」

まほ「半端な傍観者なんざ 邪魔でしかないんだよ」ワァァァァ!

まほ「アンジーの方が 遥かに強くて面白い」ワァァ!

まほ「お前は韻も胸も夢も無い 一体何がある?」ワァァァァ!

まほ「私から楽しませるつもり さらさらない」

まほ「その笑顔 ディスで潰しにきてる 気付け」ワァァァ!



智美「うん、知ってる だってみんなそうだから」ワァァァ!

智美「おっぱいがディスってくる なんか不思議体験~!」ワァァァ!

智美「なんて言いつつ そろそろ目を見よう」

智美「そして耳で楽しもう メロディーを」ワァァ

智美「夢が無いなんて いつどこで誰が言ったの?」

智美「あ!卒業文集がどっかいったの あんたのしわざ?」ワァァァ!

智美「嫌だなぁ もう泥棒なのかなぁ この子」ワァァ!

智美「もしかして その胸も 誰かから奪ったのか?」ワァァ


まほ「それなら 胸見て楽しんでた お前も共犯者」ワァァァ!

まほ「って 2バース目まで 引っ張る話じゃないよな~?」ワァァァァ!

まほ「卒業文集 盗むほど興味持たれてないよ」

まほ「とうとう来たな 部屋 整理する時が」ワァァァァ!

まほ「むしろ 全部捨てろ いらないものだらけだろ」

まほ「お前のラップの内容と同じ 中身も価値も無い」ワァァァ!

まほ「ザコの相手 退屈 お前こそ 時間泥棒」ワァァァ!

まほ「そんなザマで私に勝つのは 夢のまた夢だ」ワァァァァ!



智美「夢のまた夢 なんということでしょう」

智美「1勝で2つも夢を叶えられる ラッキーだね!」ワァァァ!

智美「時間泥棒に負けて あんたは徒労」

智美「ボロボロで 破れた服 色っぽいよ~!」ワァァ!

智美「ラップの内容で言ったら あんたも変わらない」

智美「だって人間だもの。 そんな感じ」

智美「調子がいいから すぐカマすぜ」

智美「レペゼン 信州の鶴賀学園!」ワァァ!



まほ「こいつ 1バース目だけの一発屋」ワァァァ!

まほ「予告だけ面白い クソな映画」ワァァァ!

まほ「不意に食らう 危険性あるラッキーパンチを」

まほ「避けた今 このバース ウイニングラン」ワァァァァ!

まほ「調子いいなら 生理じゃないだろ ペテン師が」

まほ「バトルなら 嘘もありと思ったか? 世間知らず」ワァァァ!

まほ「♪笑ってる けど悲しい目」ワァァァ! ♪Fate / ANARCHY

まほ「最後の悪あがき 小賢しいね」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!

智美「………………」

まほ「………………」


役人「では判定に入ります!先攻、蒲 a.k.a BARAが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「……後攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「まずは西住まほに1ポイントが入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「西住まほ」

理事長「西住まほ」

トシ「西住まほ」

秋一郎「西住まほ」

南浦「西住まほ」

役人「勝者!戦車道チーム、西住まほ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

智美「………………」

智美(最初はイケるかと思ったけど……そのあとは全っ然上手くいかなくて……あったまくるなー)ワハハ


【舞台袖 戦車道側】

みほ「やった!お姉ちゃんが勝った!」

沙織「3人抜きだよ!すごい!」

エリカ「さすがまほ先輩……///」

千代「劣勢の中でも笑顔を崩さない蒲 a.k.a BARAさんを『笑ってるけど悲しい目』と、ANARCHYのサンプリングで表現し、さらにライミングで締めたのはさすがと言ったところね」

ペパロニ「これで麻雀部チームで残ってるのは1人っすよ!」

華「それに比べ、こちらは……みほさん、愛里寿さん、オレンジペコさんが残っています」

ケイ「ワオ!超有利ね!」

アンチョビ「さすがに1人でその4人を全員倒すのは難しいだろうからな!」

ペパロニ「姐さんの言う通りっすよ!で、麻雀部のラスボスは誰なんすかね?」

沙織「ゆかりん、わかる?」

優花里「いえ、私たちが見学していた時に強いと感じた人たちはすでに出てきてますので予想付かないです……他に目ぼしい人がいた記憶が無くて…」

麻子「手の内を見せないようにしていたんだろうな」

優花里「おそらくは。一体誰が出てくるのでしょうか……」


【ステージ】

役人「さあ、そろそろ次の試合ですが、麻雀部の選手は…………あ、来ました」

まほ「…………む」

ザッ..

咲「」

まほ(宮永咲、か……)



【舞台袖 戦車道側】

オレンジペコ「宮永咲さん……宮永照さんの妹ですよね?」

優花里「はい。でも……意外ですぅ。バトルの練習を見たことがあるのですが、相手をディスれてない上に、まともにラップ出来てない感じだったので……」

沙織「お姉さんも物静かな人っぽいけど意外と強かったし、そういうタイプなのかな?」

優花里「いえ、お姉さんの場合、練習の時点で上手でした。割り切れてると言いますか、いつもの自分とラップする自分を演じ分けている感じで……」

みほ「それが宮永咲さんにはなかったの?」

優花里「はい。練習の時の実力で言いますと、ここまで出てきた麻雀部の人たちの中で一番下だと思います。手の内を隠していたにしても……わざとやっていたようには見えなかったのですが……」

みほ「なるほど。でもここで出てくるということは……」

麻子「何かしら持ってるというわけか。思い出作りに出場させるはずもないしな」

愛里寿「……ここから見てもわかる」

みほ「え?何が?」

愛里寿「宮永咲、すごいオーラが出てる感じ。あの子、かなり強い」

みほ「…………」ゴクリ


【ステージ】

咲「」ゴゴゴゴゴ..

まほ(全国大会はテレビで観た。試合後のインタビューでは大人しい人物というイメージだった…………しかし、こうして目の前に立つと雰囲気が違うな)

まほ(フリースタイルバトルだから気合いが入っているというのもあるだろうが……いや、それ以外にどこか違いが……)

咲「………………」

咲(まさか私がこのステージに立つなんて思わなかった)

咲(それもこれも全部……)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

咲「うぅ……やっぱり私、ダメです……全然ディスれません……」

久「無理にディスしなくてもいいんだけど……うーん」

晴絵「………………」

晴絵(相手をディスろうとする度に躊躇してる感じね。自分で自分を抑えつけているみたい……読書好きだから、言葉を色々知ってて、面白い表現なんかもするんだけど……)

晴絵(バトルにあまり乗り気じゃないのかもしれない。相手を攻撃するタイプにも見えないし)

久「あ、そうだ。麻雀の時に靴下を脱いで裸足になるじゃない?あんな感じで気持ちを切り替えるスイッチを作ればいいんじゃないかしら?」

咲「スイッチ……ですか?」

久「ええ、そのスイッチを入れたら攻撃的になれるようにって感じで。そうね…………制服のスカーフなんかどうかしら?」

咲「え?」

久「スカーフを脱いだらスイッチ入るようにするのよ」

咲「そう簡単に言われても……」

久「まぁ、いきなりは無理よね。だから今からスイッチを作りましょう」

咲「……どうやってですか?」

久「まず、スカーフをギュッと握ります。はい、やって」

咲「は、はい」ギュッ

久「そして、嫌なこと、イラッとしたこと、辛かったことなど、怒りや悲しみの感情を浮かべながら思い出すの」

咲「……あの、それってどういう意味が……」

久「いいから。やってみてよ。まずは目を閉じて。ちゃんとその時の場面と感情を思い浮かべながらスカーフをギュッと握るのよ?」

咲「は、はい……」

咲(イラッとしたこと……辛かったこと……うーん……)

咲(そういえば……借りてた本、返却日だから読み終わらせようとしてた時、レディースランチを注文するだけのために京ちゃんに食堂まで連れていかれたの、ちょっとイラッとしたなぁ……)ギュッ

咲(あ、その時に私を京ちゃんの嫁扱いした人、去り際の笑い方が『クックックッ』で、これもちょっとイラッとした)ギュッ

咲(優希ちゃん……初対面で急に背後から『どーん!』って言われてビックリさせられた)ギュッ

咲(優希ちゃんが、和ちゃんは男子にもモテモテ、って言った後、京ちゃんの『誰かさんとは大違いだな!』の一言)ギュッ

咲(麻雀部に初めて行って打った時、半荘3回目で京ちゃんが『咲の麻雀はパッとしませんなー』。優希ちゃんが『点数計算はできるみたいだけどねい』)ギュッ

咲(お年玉を巻き上げられてた時期の家族麻雀)ギュッ!ギュッ!

咲(学校での麻雀で初めて勝った日の夜、家で雀卓にカバーをかけようとしたタイミングで、お父さんが邪魔するように雑誌を放り投げてきた……普通に渡せばいいのに)ギュッ!ギュッ!

咲(家族麻雀で勝ったら怒られるからプラマイゼロにしてたことを京ちゃんが『くだらねー理由』と言ったこと)ギュッ!ギュッ!

咲(和ちゃんと指切りした日の夜、お風呂に入ってた時に気付いた。前に入ったお父さんが窓を開けっぱなしにしたままだったことに。年頃の娘がいるのに考えられないよ!)ギュゥゥゥゥ!

咲(頼んでもないのに衣さんに海の底に連れていかれた)ギュゥゥゥゥ!

咲(夢乃マホちゃんに嶺上開花をされたこと)ギュゥゥゥゥ!

咲(抽選会の日、私を起こさずにみんなだけ準備万端だった……)ギュゥゥゥゥ!

咲(色んな施設のわかりにくい内部構造。何度も迷子にさせられた……)ギュゥゥゥゥ!ギュゥゥゥゥ!

咲(他にも色々……)ギュゥゥゥゥ!ギュゥゥゥゥ!ギュゥゥゥゥ!

久「……どう?」

咲「……の……ぁ……も……に……」ブツブツブツ..

久「も、もういいわよ咲。とりあえず今は考えるのをやめて私の話を聞いて。目は閉じたまま。スカーフも握ったままでね」

咲「はい……」


久「いい?そのスカーフは咲が溜め込んでた負のエネルギーを外に出さないよう邪魔していたの」

咲「………はい……」

久「でも今、負のエネルギーが加わったことでその封印は解けそうになってるわ」

咲「はい……」

久「だからそのスカーフを脱いだら、これまで抑えてた感情や他人への怒り、不満も素直に吐き出せるわ。もう抑えつける物は何も無い。あなたは自由になっていいのよ」

咲「自由……私は……自由……」

久「そう。自分を解放するの。今から3つ数を数えます。ゼロになったらスカーフを脱いで、目を開けるのよ?いい?」

咲「はい……」

久「今まで咲を抑え込んでたスカーフに別れを告げましょう。3……少しずつ怒りがこみ上げてきた。2……弱気な自分もスカーフと共にいなくなるわ。1……さあ、スカーフをもう一度強く握って………………ゼロ!スカーフを脱いで!」

咲「っ!」シュルッ!

久「………………ゆっくりと目を開けて」

咲「………………」パチクリ

久「……どう?テレビでやってたのをマネしてみたんだけど」

咲「なんか…………スッキリしました。自分じゃないみたい……いえ、自分なんですけど、なんか……今までの抑圧されてたモノが消えた感じです。今ならちゃんと戦えそうな気がします」

久「ホント?大成功ね!」

咲「はい」ニコリ

久「それじゃあ早速…」

晴絵「あー、ちょっと待って宮永さん。参加したくなかったらそう言っていいんだからね?ラップが上手くても別に強制参加じゃないからさ」

久「あ、それもそうですね。ごめん、咲。ちょっと強引だったわね」

咲「いえ、私は最初からやる気あります」

久「おろ」

晴絵「そうなの?」

咲「はい。西住さんたち姉妹は、フリースタイルバトルをすることで前より仲良くなったと聞いて……」チラ


照「」


咲「私も……そうなりたいと思ってます。だから参加したいです」

晴絵「そっか。わかった。じゃあ頑張ろうか」

咲「はい!部長、練習相手お願いします!」ニコッ

久「オッケー!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


咲「………………」

咲(あの日、スカーフを脱いだ状態でバトルをした時の興奮、開放感はたまらなかった。次々に言葉が浮かんで、今まで全然戦えなかった自分が嘘のようだった)

咲(でも、見学してる偵察の人に気付かれないように、スカーフをしたまま練習するようになったのは残念だった……自力の底上げにはなったと思うけど)

役人「それでは準備はよろしいでしょうか」

咲「あ、はい」

咲(いけない。今はバトルに集中しないと)

役人「先攻後攻のじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

咲「!後攻でお願いします」

役人「OK!先攻、戦車道チーム 西住まほ!後攻、麻雀部チーム Saki!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=-zYheeYiINw&t=5s 3:14

<第29戦 先攻 西住まほ VS 後攻 Saki>

まほ「真面目で大人しそうなヤツが バトルでは変貌」

まほ「そして どぎついディスで ギャップ狙い見え見え」ワァァ

まほ「それは すでにうちの妹 MIHOがやってる」

まほ「味の落ちる 二番煎じを 客に出すんじゃねぇよ」ワァァァ!

まほ「スカーフ脱いでキャラ作り 目立つために必死だな」ワァァ

まほ「でもきっと スカーフしてなかったってだけの印象になる」ワァァァ!

まほ「見てくれで誤魔化そうとする時点で 補欠って感じだよ」

まほ「私の前に立つ資格が無い どけっつってんだよ」ワァァァ!



咲「見てくれだけで邪推するその価値観 看過出来ない」ワァァ!

咲「考えが浅い その感性に 賛成少数 残念賞」ワァァァ!

咲「二番煎じ? 違う あんたの妹が未完成品」ワァァァ!

咲「悲観的 に見ずとも おそらく当たりと 睨んでいる」ワァァァ!

咲「バトル相手をどかす方法 ただ1つ 勝つのみ」

咲「それが凄味 どけと命令するんじゃ 情けない カスゴミ」ワァァァ!

咲「この人 韻踏めるけど踏まない感じを装う ペテン師」

咲「今までのアンサー全部言い訳 それって センスいいわけ?」ワァァァァ!



まほ「踏めるけど踏まない ちゃんと知ってるじゃないか」ワァァ

まほ「知ってて難癖つける こんな輩ばかりか?」ワァァ!

まほ「さっきの試合観てて言ってるなら もう 対象外」

まほ「最後踏んだろうが いくつ踏むとかあるのか? ガイドライン」ワァァァ!

まほ「お前の希望を押し付けるんじゃねぇよ カスゴミ」ワァァ!

まほ「対戦相手にスタイル指定するな これはマイク使った格闘技」ワァァァ!

まほ「と言いつつ こうやって応えてやるのが年上の優しさだ」ワァァ!

まほ「あとは痛くないように 潰してやるから目を閉じてろよ」ワァァァ!


咲「数回だけで 踏んでますアピールなんて 計算しようと」

咲「いい加減もう騙されない そんな霊感商法 みたいな手口」ワァァァ!

咲「こっちは韻踏んだ上でのパンチライン 生産工場」ワァァァ!

咲「ハッタリが通じなくなったら お姉さん逃亡」ワァァァァ!

咲「年上の優しさっていうより なんか姑(しゅうとめ)?」

咲「弾丸シュートめりこませたい あんたぐうの音 も出ない」ワァァァ!

咲「年下に論破されちゃって 併呑のパターン」ワァ!

咲「そうならないよう 頑張りましょう 正論おばさん!」ワァァァァ!



まほ「どこがパンチライン? ハッタリはどっちだよ」

まほ「品質データ偽装してるじゃないか その生産工場」ワァァァァァ!

まほ「お前の姉さんほど 強さを感じないぞ Saki」ワァァ!

まほ「アンサー返さないうちに論破? ぐうの音出しようがねぇなぁ」ワァァァ!

まほ「でもしょうがねぇか まだ1年生 上ばかり見てる」

まほ「よく転ぶらしいが それが原因だ わかっただろ」ワァァ!

まほ「韻を踏むために 『併呑のパターン?』 意味繋がらない」

まほ「韻のために間違った言葉を使うのが敗因だ わかっただろ」ワァァァ!



咲「意味繋がらない?違う 発想を飛ばす ギミックだからさ」ワァァ!

咲「想像力無い人 お断り ごめんなさい でも 事実語らないと」ワァァァ!

咲「確かに私は よく転ぶ でも必ず起き上がる」ワァァ

咲「不注意なだけなのに 変な理由付ける ヤツを嫌がる」ワァァァ!

咲「お姉ちゃんより強くない? 別にかまわない」

咲「お姉ちゃんより弱い私より弱い 西住まほってだけ」ワァァァ!

咲「この先も次々に言葉放つ 勝ち星を得るため」

咲「そしてピリオド乗り越えた戦車をも 飛び越えるだけ」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!

まほ「……………」

咲「………………」


役人「では判定に入ります!先攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、Sakiが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「まずはSakiに1ポイント入ります。では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「西住まほ」

理事長「Saki」

トシ「西住まほ」

秋一郎「Saki」

南浦「Saki」

役人「勝者!麻雀部チーム、Saki~~~~~!!!」

ワァァァァ!

咲「よし……!」

まほ「………………」

まほ(強いな……みほと戦った時と同様の圧力を感じた……いや、もしかするとそれ以上か?)


【舞台袖 戦車道側】

みほ「お姉ちゃんが……!」

エリカ「まほ先輩……!くっ……!」

杏「んー……こりゃ難敵だねぇ」

柚子「バトルが始まった瞬間に、表情が引き締まって別人みたいになりましたね……」

麻子「バランス型だが、全方位でレベルが高いな」

ミカ「ただ、西住まほさんが後攻だったら勝負はわからなかったと思うけれどね」ポロロン

カチューシャ「そうよ。まだ1戦目で手の内がわからないから勝てただけで、ワンパターンな攻め方しか出来ない相手かもしれないじゃない」

千代「その通りです。確かに今の試合は見事だったけれど、憶することはありません。オレンジペコさん」

オレンジペコ「はい」

千代「お願いします」

オレンジペコ「わかりました」ザッ..

ダージリン「優雅に、そして煌びやかに勝ってくるのよ?」

オレンジペコ「煌びやか……出来るかわかりませんが、頑張ってみます」

ダージリン「いってらっしゃい」ニコリ

オレンジペコ「はい」


【ステージ】

咲「…………」

オレンジペコ「」ザッ

咲(オレンジペコさん……アンサーが特に得意な人……)

オレンジペコ(愛里寿さんの言う通り、こうして対峙するとオーラがあるように感じますね)

オレンジペコ(戦車道の時のダージリン様にも引けをとらないほどの……)

役人「先攻後攻を決めてください」

ジャンケンポン

オレンジペコ「!後攻でお願いします」

役人「OK!先攻、麻雀部チーム Saki!後攻、戦車道チーム オレンジペコ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=zu6RMiPnWhs 2:45

<第30戦 先攻 Saki VS 後攻 オレンジペコ>

咲「上級生から 同じ学年が相手」

咲「気も楽だ タコ殴り 上中下段」ワァァァ!

咲「ダージリンさんのそば 常駐してた」ワァァ!

咲「紅茶係に対し 起こすクーデター」ワァァァ!

咲「つまりは聖グロのグロの意味を グロテスクに」

咲「変える 惨状 圧倒的な ストレスフリー」ワァァァ!

咲「手作りのお菓子 テーブル上 風化」

咲「満場一致で会場中 制する少数派」ワァァァァ!



オレンジペコ「マイク持たせてる場合じゃないよまず」

オレンジペコ「真顔でタコ殴りとか サイコパス」ワァァ!

オレンジペコ「クーデター フランス語で 『国家に対する一撃』」

オレンジペコ「聖グロを 国と認めてくれてありがとう」ワァァァ!

オレンジペコ「さっきの霊感商法 どうこうなんかより」

オレンジペコ「Sakiの凶暴性にみんな 諦観のようだ」ワァァァ!

オレンジペコ「完全に危ない人 だからちゃんと 封じよう」

オレンジペコ「ほどけないよう スカーフを首に かた結びしよう」ワァァァ!



咲「かた結び 一瞬で斬り 作る 英雄伝説を」

咲「それはまるで関羽 青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)」ワァァァァ!

咲「またがる赤兎馬 あるいは汗血場(かんけつば)」

咲「簡潔に言って 酸欠になる前に あっさり完結だ」ワァァァ!

咲「Sakiの凶暴性 コメント無しの方向で」ワァァ!

咲「行動で示す コールドゲーム」ワァァァァ!

咲「『ゴメン』しても 許さず片付ける」

咲「オレンジペコ その辺に寝ろ」ワァァァ!


オレンジペコ「『ゴメンしても』 どんな日本語?」ワァァ!

オレンジペコ「酸欠か産気づいてて 息切れですかぁ!?」ワァァァ!

オレンジペコ「自分の首に巻かれたマフラー切るために」

オレンジペコ「青龍偃月刀 使う武将は 知力1でしょ」ワァァァァ!

オレンジペコ「そもそも英雄伝説 自分で言い出しちゃダメ」ワァァ

オレンジペコ「はた迷惑ですよ 自我強すぎるおバカさんて」ワァァ!

オレンジペコ「誤魔化さず 私はありのまま アナ雪」

オレンジペコ「Sakiとは 桃園で誰も交わしやしない 盃(さかずき)」ワァァァ!



咲「知力1 という 恥辱に死を贈る」ワァァ!

咲「一口に 飲み込む そして 地獄行き」ワァァァ!

咲「盃 交わす気無し Sucker(サッカー)好き じゃない」ワァァァ!

咲「さっさと平らげる さよなら 赤ずきん」ワァァァ!

咲「今さら アナ雪 古すぎて 凍えそう」

咲「死語テスト存在したら問題として ここ出そう」ワァァァ!

咲「こんな人とは どこも行きたくない 桃園にもです」

咲「そう思ってしまう 24/7(トゥエンティフォー・セブン)」ワァァァァァ!



オレンジペコ「そんなこと言われても 何も怖くないわ」ワァァァ!

オレンジペコ「私もあなたとは どこも行きたくないわ」ワァァ!

オレンジペコ「赤ずきん食べられても この過労死しそうな猟師役の」

オレンジペコ「役人さんが狼のお腹 さばいて救出 助かる」ワァァ!

オレンジペコ「24時間ずっと私とどこも行きたくないって考える」

オレンジペコ「…それ、逆に私のこと好きなんじゃない?」ワァァァ!

オレンジペコ「素直になれない ツンデレ女子」

オレンジペコ「ありのままで 進んでってよし」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!

咲「………………」

オレンジペコ「………………」


役人「では判定に入ります!先攻、Sakiが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、オレンジペコが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「まずはSakiに1ポイントが入ります」

オレンジペコ「…………っ」

役人「では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「オレンジペコ」

理事長「Saki」

トシ「オレンジペコ」

秋一郎「Saki」

南浦「Saki」

役人「勝者!麻雀部チーム、オレンジペコ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

咲「」フゥ

オレンジペコ(後攻をとったのに……延長にすら持ち込めませんでしたか……)


【舞台袖 麻雀部側】

優希「やったじぇ!咲ちゃんがまた勝ったじょ!」

久「これで残るは2人ね!」

和「咲さん……///」

和(普段と違って攻撃的な口調で罵る咲さんも素敵です///)ポー..

照「あとは島田愛里寿……ばりぼり…………と西住…………ぼりっばりっ…………みほだけだな」モグモグ

菫「照。堅あげポテトを食べながら喋るな。噛み損なうと歯ぐきを痛めるから集中して食べろ……それと」

照「?」パクパク ポロポロ

菫「お前が取り損ねて床に落とし、誤って踏んづけてしまったじゃがりこを福路さんが掃除してくれたところだろう?早速ポロポロとこぼすんじゃない」

美穂子「いえ、私はお掃除が好きですから大丈夫です」ニッコリ

華菜「……なあ文堂」

星夏「は、はい」

華菜「私たちが『あーあ、じゃがりこって踏んじゃうと超粉々になって掃除機とかちり取りじゃないと片付けるの大変なんだよなぁ』とか言って棒立ちで見てるだけだった時、掃除してくれたのは誰だ?」

星夏「キャプテンです!」

華菜「な?キャプテンはお人よしすぎるんだ」

星夏「はい……まったくです」

智葉「いや、後輩が突っ立ってるんじゃない。お前らが動け」

華菜「…………っす」

智葉「『っす』じゃない。謝ったような感じだがそれは何の返事にもなってないからな」

ネリー「もー!サトハうるさい。黙って膝枕やってて。約束でしょ」

智葉「……確かに負けたらしてやると言ったが……まぁいい」

照「………………」モグモグ

照(咲……)


【舞台袖 戦車道側】

みほ「オレンジペコさん……!」

アンチョビ「お、おいおい。先攻でオレンジペコに勝つのはかなり難しいはずだろ?」

カルパッチョ「はい。練習では、後攻時の勝率は高かったです」

桂利奈「そのオレンジペコさんを相手に……さすがラスボス……」ゴクリ

ケイ「うーん……確かにあの子、すっごく強いんだけど……ちょっと違和感があるのよね」

ナオミ「違和感?」

アリサ「どの部分がですか?」

ケイ「むーー……どこって言われても困るのよねー……なんとなくだから」

アリサ「……それは隊長の勘違いでは?」

まほ「そうでもない。戦った時、私も若干違和感を覚えたからな」

アンチョビ「ど、どんなんだ?」

まほ「1バース目の途中から力強さというか、圧力を増したように感じた。しかし……」

アンチョビ「しかし?」

まほ「今のバトルで、わずかだが圧力が弱まったように見えた。ただ、少しして再び増したがな」

アンチョビ「うーむ、つまり……調子に波がある、ということか?」

まほ「細かい部分はわからない。ただ、何かがあるという気はする」

アッサム「何故何かがあると思われるのですか?」

まほ「勘だ」

アッサム「…………なるほど。ダージリンはどう思いますか?」

ダージリン「うふふふ」

アッサム「……またわかってるフリですか」ハァ

ダージリン「違うわ。今のまほさんの言葉で全てのピースが埋まったの」

アッサム「え?」


まほ「どういうことだ?」

ダージリン「宮永咲さん……彼女の麻雀での武器と言えば?」

杏「嶺上開花(リンシャンカイホウ)だね」

ダージリン「そう。そしてその嶺上開花を和了るために必要なのは……」

まほ「!カン(槓)か!」

ダージリン「ええ」ニッコリ

まほ「なるほどな……だから1バース目の頭であれだけ……」

沙織「ちょ、ちょっと!あのー、意味がまだわからないんですけど……」

ダージリン「では説明しましょう。Sakiさんは麻雀の時と同様に、カンをするほど手が進む……つまり有利になっていくの」

沙織「…………え!じゃあ……」

ダージリン「シンプルすぎて拍子抜けだけれど、『カン』の付く言葉……例えば『漢字』や『感動』ね。これらを使うと力を増すのだと思うわ」

まほ「私とのバトルで急に圧力が増したのは、序盤でカンの付く言葉を連呼してパワーアップしたから、というわけだ」

優花里「ど、どういう仕組みでそうなっているのでしょう?」

まほ「彼女にとって、麻雀でカンは大きな武器だ。有効牌を引き入れる以外にも色々と戦いの中で重要な位置にあることは想像に難くない。その強い想いがフリースタイルバトルにも反映されたんだろう」

沙織「そ、そんなことってありえるんですか?」

ケイ「アンジーがじゃんけん強すぎるのと似た感じじゃない?運だけで片付けられないでしょ?理由も説明できない。アンジー以外はね」

桃「た、確かに……」

杏「んー、私はなんとなくやってるだけなんだけどねー。でもそうだね、理屈で説明できないのは同じかも」

アキ「あれ?じゃあ途中で圧力が弱まった、っていうのはどういうことなんですか?」

ダージリン「オレンジペコが『カン』の付く言葉を使ったからよ」

アキ「え?」

ダージリン「おそらく、相手がカンを含む言葉を使うと、Sakiさんの強化された分が失われるのだと思うわ。そのあとで勢いを取り戻したのは、Sakiさんがカンの付く言葉を使ったからね」

まほ「そうか……だから今のバトルの2バース目の頭、Sakiは力が弱まった。オレンジペコさんが1バース目でカンを使ったからだ」

ダージリン「ええ。だから力を強めるため、アンサーとしては効果の薄い『関羽』、『簡潔』、『汗血場』などを使って力を取り戻しにかかった…」

まほ「最初の方は力を強めることを重視したわけか……なるほどな」

ダージリン「まほさん。Sakiさんの力の上限、下限についてはどう思います?」

まほ「そうだな。あくまで予想だが、私とのバトルでは1バース目でパワーアップして以降、ほとんどカンが無かった気がする。上限はある程度決まっているんじゃないだろか」

ダージリン「下限はどうかしら?相手がカンを付ければ、上乗せした力の分は下げられるというのは正しい気がするけれど」

まほ「……こちらがどれだけカンを使おうと、最初よりマイナスにはならない気がするな。それと上限だが、単純に数が多ければいいならもっと連呼して強化するはずだ。やみくもに使って気付かれるのを警戒したとも考えられるが、あらかじめカンの付く言葉を片っ端から暗記すれば数で押し切れるだろうから、上限は決まっていると思う」

ダージリン「ふむ……何故上限を決めたのかしら。上限を無しにしてしまうと、自分の中でバランスを取るために下限もマイナスになるように適用されてしまうから?」

まほ「というよりは麻雀のルールが根底にあるからだろう。『カンをマイナス2回』というルールはないからな」

ダージリン「確かにそうね」

まほ「回数はどうだ?最大何回まで強化出来ると思う?」

ダージリン「……麻雀のルールから考えると、4か5ではないかしら?」

まほ「やはりそうか」

ダージリン「ええ。麻雀では2人以上が4回カンをすると流局になる。ただ四槓子という役満があるから、1人が4回カンした場合は流局にならず、そのあとに誰かがカンした時に流局になる。つまり5回ね」


まほ「……うん、それは納得だ。ということは…」

桂利奈「あいーーー!!!!」

まほ「な、なんだ?急に叫んでどうした?」

桂利奈「全然話についていけません!」

沙織「わ、私も……何がなんだか」

まほ「そうか?では説明を…」

愛里寿「大丈夫」

沙織「え?」

まほ「む?」

愛里寿「Sakiがカンという言葉を言うと強化される。相手が言うと弱体化。強化段階は4から5回。最低は0。バースや試合をまたいで効果は継続する……でしょ?」

まほ「ああ。今の試合は、私とのバトルの勢いそのままだったからな。継続するだろう」

ダージリン「その辺は麻雀のルールと少し齟齬があるわね。もっとも、麻雀には流れがあるとするならば前局の流れを引っ張るという考え方が出来るけれど」

沙織「え、ええと……?」

愛里寿「彼女と戦う場合、バース毎に最大5回、カンが付く言葉を使えばいい……先攻をとって前の試合の強化分を打ち消す必要もある。理解した」

桂利奈「よ、よくわかるね。すごく難しいのに……」

愛里寿「エヴァの設定とかの方が難しい」

桂利奈「そうだけど!」

愛里寿「お母様。私、行っていい?」

千代「ふふ、そのつもりよ」ニコリ

愛里寿「ありがとう」

みほ「えっ?あ、あの!私が最後なんですか?」

千代「信頼しているのよ。私も、みんなもね」

みほ「!…………」

愛里寿「みほさん」スッ

みほ「愛里寿さん……?」

愛里寿「これ、ボコ。預っててもらっていい?」

みほ「う、うん」

愛里寿「じゃあ行ってきます」

みほ「愛里寿さん……頑張って!」

愛里寿「……うん」ニコッ


【ステージ】

愛里寿「………………」ザッ

咲「……………………」

咲(島田愛里寿さん。前回大会のシングル戦では西住まほさんと互角の勝負をしてた。間違いない強敵。そして……)

咲(ヒラヒラのゴスロリ……和ちゃんが好きそう……)

咲「!」ハッ

咲(気を緩めちゃダメだ……引き締めて、全力で……)ギュッ..

役人「先攻後攻をじゃんけんで決めてください」

ジャンケンポン

愛里寿「先攻」

咲「む」

愛里寿「……………」

咲「…………」

役人「OK!先攻、戦車道チーム 愛里寿!後攻、麻雀部チーム Saki!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=OqwvMiti9a0 2:56

<第31戦 先攻 愛里寿 VS 後攻 Saki>

愛里寿「先攻で簡単に完封 時間使わず」

愛里寿「間髪入れず 棺桶に入れる 感覚秀でる」ワァァ!

愛里寿「1から9 オールマイティ 歩く一気通貫(いっきつうかん)」

愛里寿「狼 兼 ライム狂いの ビッチ食う番」ワァァァァ!

愛里寿「清澄の 濁る水のようなディスに食指 動かない」ワァァ!

愛里寿「清くて澄んでる 嘘じゃない? 相手の傷 ひどくえぐってる」ワァァァ!

愛里寿「しかも 追撃とばかり傷口に 塗りたくる塩」

愛里寿「そんなSakiに 愛里寿が与える 悔い悩む死を」ワァァァ!



咲「勘弁してほしいほどの 勧善懲悪」

咲「愛里寿の描く価値観 完全懲罰もの」ワァァ!

咲「一気通貫とか麻雀の トピック用いた」

咲「お勉強済みらしい 偉いね このゴシックロリィタ」ワァァァ!

咲「ホントに冗談 に見えるほど お人形さんっぽいくせに」ワァァ!

咲「牙は鋭い だけど無駄になる 臥薪嘗胆」ワァァァ!

咲「ガキんちょなんか 指の先っちょタンってやれば」ワァァ

咲「ひっくり返って転がる そんな印象だ!」ワァァァ!



愛里寿「倒れない 立ち続ける 永久機関の完成だ」

愛里寿「いかんともしがたい程の 三半規管と安定感」ワァァァ!

愛里寿「難しそうな 四字熟語で 取り繕うの やめなさい」ワァァ!

愛里寿「賢く見せようと必死か その気持ちは ポリ袋へ」ワァァァ!

愛里寿「あんた 見た目は 文学少女 運無く頂上 前に」

愛里寿「脱落 愛里寿が勝つ 韻踏んだ玄人」ワァァァ!

愛里寿「ばりに勝利ふんだくろうと戦う 覚悟」ワァァ!

愛里寿「Sakiは本の虫 でも愛里寿は 本物のMC!」ワァァァァ!


咲「果敢なほどの過干渉 鬱陶しい感情」ワァァ!

咲「韻が何小節も続く 森羅万象 ばりに みんな感動」ワァァァ!

咲「させる Sakiに反し 愛里寿 ゴスロリ着てる」

咲「ワックMC 今すぐ すくいあげる 北斗七星」ワァ!

咲「そう つまり柄杓(ひしゃく) 起こすミラクルな美学」ワァァ!

咲「自覚無いし悪態に足すライム すぐさま 爆砕」ワァァァ!

咲「それでもなお 撃ち続ける弾丸 ずば抜けた連射速度 リロード」

咲「文学少女に 読み解かれる ゴスロリ幼女」ワァァ!



愛里寿「意味不明な文脈 その小説(小節)は不採用」ワァァァ!

愛里寿「ゴスロリ『幼女』じゃない だから 告訴しようと思う」ワァァァァ!

愛里寿「Saki 8小節の前半『カン』ばっかなのはどうして?」

愛里寿「好きなら今からたっぷりあげる それじゃあ行こうか」

愛里寿「カンカン照り、観客、喚起、管轄、管楽器、鑑みる、カンガルー」ワァァァ!

愛里寿「関係、歓喜、緩急、環境、観察眼、この辺で お勘定」ワァァァァ!

愛里寿「それと 最後に言わせてほしい この 一言」

愛里寿「♪ゴスロリ服 着るのもHIPHOP」ワァァァァァ! ♪My life / ZORN



咲「どうしてカンばっか? 好きな言葉 音感 快感だから」

咲「なんだかんだ 第六感 働かせながらも 頑張った」ワァァ!

咲「今 劣勢 でもディス徹底的に 言うし決定的 な差じゃない」ワァァ!

咲「勝機見込みつつ 包み込む 有刺鉄線」ワァァ!

咲「ゆうに接戦 越えて点 を稼ぎまくる オーラス逆転劇」

咲「ボーナス100円でいい とにかく立場 昇格かつ完璧」ワァァァ!

咲「この先も Sakiが 咲き誇り さっきみたいに 勝つらしい」

咲「愛里寿は枯れちゃう 寒椿(かんつばき)」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!

愛里寿「………………」

咲「……………………」


役人「では判定に入ります!先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、Sakiが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「まずは愛里寿に1ポイント入ります」

愛里寿「…………」

咲「………………」

役人「……それでは審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「愛里寿」

理事長「愛里寿」

トシ「愛里寿」

秋一郎「Saki」

南浦「愛里寿」

役人「勝者!戦車道チーム、愛里寿~~~~~!!!」

ワァァァァ!

愛里寿「………………」ホッ

咲「負け……た……?」


【舞台袖 麻雀部側】

和「咲さん……!」

久「島田愛里寿……完全に咲の特性を見抜いていたわね」

照「そのせいで少し焦ってた。そしてその焦りに加えて、北斗七星のラインでの歓声が少なかったことに動揺して崩れた」

淡「北斗七星のライン?あったっけ?」

菫「あっただろう」

照「『ワックMC 今すぐ すくいあげる 北斗七星』ってところ。北斗七星が柄杓の形をしてるから、それで島田愛里寿をすくいあげるという意味と、北斗七星を道具として使えるくらい自分はすごい、というセルフボースティングだったけど……わかりにくいから伝わらなかった」※セルフボースティング・・・自画自賛、自分の凄さを他者に誇示する

菫「すぐに『つまり柄杓』と言ってはいたが…」

照「そのまま行くか説明するかで後者をとったんだろうね。どちらも正解だろうけど。でも結局愛里寿さんが一枚上手だった」

照「8小節の前半にカンばかりと指摘されたけど、咲はそのアンサーを返す余裕もなく、劣勢を立て直すことしか見えてなかった」

菫「ラストバースでカンの付く言葉をひたすら並べてきたのもプレッシャーになっただろうな」

照「間違いなく。冷静でいられたら互角以上に戦えただろうけど……戦車道で勝負慣れしてるせいか、冷静でいられなくなるような攻め方をしてきた」

淡「ふーん、色々考えてるんだね~」

照「………………」

菫「その、なんだ…………残念だったな」

照「…………うん」


【舞台袖 戦車道側】

沙織「か、勝ったーーーー!!」

優花里「やりましたねぇ!西住殿ぉ!」

みほ「うん」ニコリ

みほ(愛里寿さん、すごい)

ペパロニ「いやぁ~!めでたく優勝出来てよかったすよ~!」

華「これはもう食べ放題ですね」ウフフ

ケイ「パーティーの準備しなきゃ!」

ワイワイガヤガヤ..

みほ「………………」

沙織「あれ?みぽりんどうしたの?せっかく優勝したんだからもっと楽しまないと!」

みほ「え、でも」

沙織「?」

みほ「まだ……終わってないし」

沙織「…………へ?」

ペパロニ「…………ほ?」

ケイ「…………は?」

みほ「麻雀部チームはまだ1人残ってるよ?」

沙織・ペパロニ・ケイ「………………」

華「…………やっぱりですか」

沙織「ちょっと!華ずるい!絶対知らなかったじゃん!食べ放題とか、打ち上げの話してたし!」

華「いえ、わたくしはいつも食べ放題のつもりですから」

ペパロニ「あ、それは私もっす!」

ケイ「えー!?カロリーとか糖質とかちょっとは考えた方がいいよ~?」

沙織「食べ放題の話で引っ張らなくていいから!ていうかみぽりんも知ってたなら早く教えてよ!」


みほ「ごめんね?でもSakiさんがラスボスっぽいオーラっていうのには同意見だったから」

ダージリン「それとみほさん、1つ忘れてるみたいだから教えてあげるわ。アンチョビさんもSakiさんが最後の1人だと思ってたわよ」

アンチョビ「お、おい!こっそりとしてたのにバラすなぁ!」

ペパロニ「姐さん……後輩3人とケイさんを犠牲にして自分だけ助かろうとか、クソダサくないっすか?」

アンチョビ「う、うるさい!この話はもういいとして!最後は誰なんだろうなァー!?」

ミッコ「完全に勢いで押し切ろうとしてる……」

杏「まぁまぁ。その辺にしといたげよーよ。で、実際誰なんだろね?」

優花里「わかりません……偵察に行った人間として情けない限りですが……」

おりょう「目ぼしい人間は出場済みぜよ」ハァ

エルヴィン「となると……練習に参加してない人物かもしれないな」

カエサル「しかし、そんなヤツいるのか?」

左衛門佐「!わかったぞ!」

エルヴィン「本当か、左衛門佐!?」

左衛門佐「ああ!最後に出てくるのはおそらく……宮永照だ!」

おりょう「は?」

エルヴィン「もう出ただろう」

左衛門佐「違う」

カエサル「?」

左衛門佐「さっき出ていた宮永照は…………影武者だ!」

エルヴィン・カエサル・おりょう「な、なんだってーーーー!!!」ガガーン

千代(しまった!ノリ遅れたわ!)チッ..

アッサム「監督?」

千代「はっ……こほん。なんでもないわ」

みほ「………………」

みほ(影武者は無いとして……でも本当に誰なんだろう……)ウーン


【舞台袖 麻雀部側】

咲「ごめんなさい……負けちゃいました……」

まこ「お疲れじゃ」

久「すごかったわよ!頑張ったわね、咲」ニコリ

和「咲さん……好きです///」

優希「のどちゃん、それは今じゃないじぇ」

咲「愛里寿さんには私のスタイルが完全に見抜かれてました……」

久「ちょっと予想外ね。録音なり文字起こししてみれば多少わかるかもしれないけど、2戦で気付くなんてね」

ゆみ「砲弾飛び交う戦場で磨かれたものだろうな。福路並の洞察力だ」

晴絵「……みんないい?大会もいよいよ大詰め。残るはうちらが1人で戦車道チームが2人…」

晴絵「相手は島田愛里寿、そして間違いなく西住みほ。どちらも強敵」

晴絵「でも、この子ならなんとかしてくれると私は思ってる。バトル前にこんな風にプレッシャーをかけられても……ううん、むしろこのプレッシャーを力に変えてくれると思う」

晴絵「…………じゃあ、あとは頼んだよ」ザッ

やえ「………………」バン!

やえ「……ふっ、仕方がない。私がこの状況をなんとかしてみせよう!」

晴絵「…………いや、小走さんじゃなくてね」

やえ「なっ……なんですって!?」

憧「もったいぶったハルエも悪いよ。しずもそう思うでしょ?」

穏乃「え?私は別に……ラーメン食べたいなって思ってたところだし」

憧「それ今思うこと?まぁ……しずらしくていいけど」

晴絵「じゃあ仕切り直して」コホン

晴絵「……あとは任せたわよ!愛宕洋榎さん!」


洋榎「…………よっしゃ」ニッ

やえ「わ、私の無念を晴らすのよ!」

智葉「油断するなよ?普段のお前の調子を出せるなら何も心配はない」

照「………気を付けて」

菫「我々麻雀部の命運はお前が握っている。頼んだ」

胡桃「絶対勝って!」

久「大トリは任せたわよ?」クス

智美「ワハハ」

ゆみ「強敵が2人残っているが、愛宕さんなら大丈夫だ」

咲「あの……お願いします」

淡「負けたらダメだからね」

爽「『何事も愛をもって行いなさい』……って感じで」※新約聖書 コリントの信徒への手紙 16章14節

憧「ここで応援してますから!」

華菜「私たちの無念を晴らしてほしいし!」

和「よろしくお願いします」

姫子「私が部長んこつば大切に思うように」

哩「愛宕洋榎の力ば信頼しよる」

怜「負けたらジュースおごってもらうで?」

洋榎「…………ふふん」ニヤリ

絹恵「ファイトやで!お姉ちゃん!」

洋榎「おう!全部まとめて面倒みたるわ。ほなな」ザッ!


【ステージ】

愛里寿「………………」

愛里寿(最後の相手は誰なんだろう?)

洋榎「すまんすまん。遅なってもうた」

愛里寿「…………!」

愛里寿(愛宕洋榎……大阪の姫松高校だったっけ)

愛里寿(確か……この人の妹がぬいぐるみを蹴ったんだよね。ということは姉であるこの人もぬいぐるみを蹴る派の人間…)

愛里寿(ボコをみほさんに預けておいて良かった)ホッ


【舞台袖 戦車道側】

みほ「愛宕さんが最後の1人……」

麻子「どんなスタイルなんだ?」

優花里「それが……愛宕さんがバトルしてるところを見たことがないんです」

桃「どういうことだ?練習に参加してなかったのか?」

優花里「いえ、その場にはいたのですが、バトルを見ていることがほとんどでした。あとはサイファーには加わってましたけど、割とダラっとした感じで……あまりデータが無いのです」

おりょう「まったくバトルをしてないわけではないんだが……どうも全力で取り掛かっていないようだった」

エルヴィン「選ばれない、あるいは選手として参加しないから、そういう行動をとったと思っていたが……」

左衛門佐「大トリとして出てくるということは、何か理由があってのことだったのかもしれない」

カエサル「あるいは練習なんていらないと考えるタイプか、だな」

みほ「…………」

みほ(いきなりバトルを練習するんじゃなく、見ることから始めたのは、バトルの全体図……戦うMC2人を客観的に見ることと、周りの人の表情や反応を知るため?)

みほ(バトルに本腰を入れてないように見えたのは、何か試行錯誤しながら戦っていたから?)

みほ(そうでもなければ、強敵揃いの麻雀部チームで最後の1人に選ばれるはずがないよね……)ゴクリ

みほ(愛里寿さんには勝ってほしいけど、いつ出番が来ても大丈夫なように、愛宕さんを研究しよう)ジッ..


【ステージ】

洋榎「……おっしゃ、気合い入れてこか」

愛里寿「………………」

愛里寿(この人もSakiさんみたいに何かしらの特殊なモノを持っているのかな)ジー

洋榎「ん?なんやその目ぇは…………あ、なるほど。うちが他のヤツらみたいな特徴あるんちゃうかって考えてるんやろ?」

愛里寿「!」

洋榎「やっぱ図星か。安心せえ、うちはオーソドックスや。変わった特技もなんも無いで」

愛里寿(……嘘、はついてない感じ)

洋榎「ただ……」

愛里寿(!やっぱり何かある?)

洋榎「シンプルにめっちゃ強いで?」ニヤリ

愛里寿「……………………」

愛里寿(何かしらあるかもしれないと思わせておけば私の集中を乱せて有利なのに、わざわざ自分で明かすなんて……)クスッ

洋榎「お?なんで笑たん?」

愛里寿「いえ、なんでも」

愛里寿(自分が負けたら終わりの状況でこうまで落ち着いていて、正々堂々と戦おうとする姿勢……嫌いじゃない)

愛里寿(当然、負けるつもりはないけど)

洋榎「なんでも言われたら余計気になるやんかー。ま、ええけど」

役人「ではそろそろ始めましょう。先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

洋榎「お、勝った。ほな先攻で」

役人「OK!先攻、麻雀部チーム ヒロエ!後攻、戦車道チーム 愛里寿!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=U1udf8ZfhCk 2:42

<第32戦 先攻 ヒロエ VS 後攻 愛里寿>

洋榎「ゴスロリ服 着るのも HIPHOPなら うちは」

洋榎「♪一点突破 行くでHIP HOPPER」ワァァァ! ♪MR.DYNAMITE / ZEEBRA

洋榎「羨ましいわ 金持ち ええとこ育ち」

洋榎「♪島田流の関係者 大体友達」ワァァァ! ♪Grateful Days / Dragon Ash feat.ZEEBRA

洋榎「うちも2世やけど ニセちゃう 変な扱い大概にせぇや」ワァァ!

洋榎「親に似せる気ない 第一線や 毎日変化」ワァァァ!

洋榎「おちゃらけて 騒動起こす 弥次喜多さんに?」

洋榎「あるいは女版の やしきたかじん」ワァァァ!



愛里寿「♪星の数ほどいる ワックMC 即」ワァァ ♪公開処刑 / キングギドラ feat.BOY-KEN

愛里寿「溶かす ヘドロと化す 灼熱地獄」ワァァァ!

愛里寿「何故か 目指してるらしい やしきたかじん」

愛里寿「そんな人に対して 何したらいい?」ワァァァ!

愛里寿「ラップより歌、毒舌? ならどっかいけ」

愛里寿「麻雀の人すら目指さない もったいねぇ」ワァァァ!

愛里寿「今の一言で ヒロエの脳に走る」

愛里寿「♪雷 稲光 降り注ぐ雷鳴」ワァァァ! ♪イカヅチ / 雷



洋榎「その通り ♪電光石火 かっ飛んできた」ワァァァ! ♪証言 / LAMP EYE

洋榎「♪仲間と常に 魂」ワァァ!

洋榎「♪燃やし 焦がし 笑い」ワァァァ!

洋榎「♪力となってく うちの肥やし」ワァァァァ!

洋榎「おかんも言うはず 『うちの子やし』」ワァァァ!

洋榎「愛宕家は別名 ばくち打ちの小屋に」ワァァ!

洋榎「歌も毒舌もラップで 表現できるで?」

洋榎「発想が貧困 愛里寿を『証言』で斬るで」ワァァァァ!


愛里寿「♪貧困なんて気にしなーい」ワァァァ! ♪貧乏なんて気にしない / KOHH

愛里寿「♪絶対ヒロエに負けなーい」ワァァ

愛里寿「貧乏くさいのはヒロエの方」

愛里寿「ばくち打ち というより マッチ売り」ワァァァ!

愛里寿「2世として よく言われた 七光り」

愛里寿「でもそれが間違い だと証明するから」ワァァ

愛里寿「♪なんて言われてもいい」ワァァァ! ♪WHATEVER / ANARCHY

愛里寿「痛くもかゆくも無いから 斬られてもいい」ワァァア!



洋榎「ならもう一度 斬っとこ~かな~?」

洋榎「麻雀と戦車 クロスオーバー斬」ワァァァ! ♪KROSSOVA’〈斬〉 / S-WORD

洋榎「サンプリング 予言済み KOHHとANARCHY」

洋榎「去年の冬頃 すでに うちのコート穴あき」ワァァァ!

洋榎「そんなヒラヒラ 今 着替え」

洋榎「♪関西から はるばる殺しに来た来た」ワァァァァ! ♪人間発電所 / BUDDHABRAND

洋榎「監督 ♪赤土の晴絵の姉貴 と」ワァァ ♪大怪我 / BUDDHABRAND

洋榎「♪ヒロエの危ない手の動き を見ろ」ワァァァ! ♪Don’t test da master / BUDDHABRAND



愛里寿「疲れそうなほど 危ない手の動き」

愛里寿「酸素足りないなら頑張れ ヘモグロビン」ワァァ!

愛里寿「サンプリング対決 楽しめた 屈託なく」

愛里寿「でも ♪バトルは愛里寿が完全に食った」ワァァァ! ♪来たぜ / K DUB SHINE

愛里寿「大正解に なるよう 改正開始」

愛里寿「頭脳旅行中 高める 需要と供給」ワァァァ!

愛里寿「このバトルのハイライト こう書いとけ」

愛里寿「愛里寿がヒロエを 公開処刑」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!

洋榎「さすがやな。やるやん」

愛里寿「…………あなたも」


役人「これより判定に入ります!先攻、ヒロエが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「まずは愛里寿に1ポイント入ります」

洋榎「む、とられてもうたか」

愛里寿「………………」

役人「……それでは、審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「愛里寿」

理事長「ヒロエ」

トシ「ヒロエ」

秋一郎「ヒロエ」

南浦「愛里寿」

役人「3対2でヒロエ!延長戦に入ります!」

ワァァァァ!

洋榎「あっぶな。ヒヤヒヤしたわ」

愛里寿「…………」


【舞台袖 戦車道側】

みほ「………………」

優花里「延長ですね……手に汗握る戦いとはこのようなことを言うのでしょうねぇ、西住殿」

みほ「………………」

優花里「……西住殿?」

みほ(愛里寿さんの前の大会や、SakiさんとのバトルでZORNをサンプリングしたことから、サンプリング合戦を挑んだヒロエさん)

みほ(ブッダの『赤目のダルマのオジキ』を『赤土の晴絵の姉貴』に変えたりとか、後半の畳みかけるようなサンプリングはストックの可能性もあるけど、雷のサンプリングを『証言』の電光石火に繋げたり、KOHHとANARCHYを『コート穴あき』で返す瞬発力はすごかった。それにフロウも心地いいし、ライムも上手い)

みほ(でも愛里寿さんが3バース目に、ヒロエさんのブッダのサンプリングを、ビーフがあったK DUB SHINEのサンプリングで返すのはかなり鋭い切り返しだったし、今までと変化を付けて『改正開始』、『頭脳旅行』、『公開処刑』と、曲名でライミングしたのは面白い試みだったから、審査員の評価に繋がると思ったけど、むしろ観客票で勝って審査員票で負けた…)

みほ(……ヒロエさんが『証言』のサンプリングで4小節使い、しかも内容が本人とリンクしていて、なおかつそのバースの最後を『証言で斬る』とライミングで決めた……そのインパクトを上回れなかったのかな)

優花里「………………」

沙織「すごい集中力だね、みぽりん。周りの声が全然耳に入ってないみたい」

優花里「はい。そんな西住殿も素敵ですぅ……///」

華「ボコのぬいぐるみを抱えながら真剣な顔をしているのが可愛らしいですね」ウフフ

沙織「確かに」クスッ

みほ(延長戦はどう戦うつもりなんだろう?サンプリング合戦の続きをするのかな?それとも普通に戦う?)ウーン


【ステージ】

役人「延長戦の先攻後攻を決めてください」

ジャンケンポン

洋榎「今度は後攻や。あんたじゃんけん弱いな」

愛里寿「……たまたま」

役人「では行きましょう!延長戦、先攻 愛里寿!後攻 ヒロエ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=Fi1V0e499yc 2:25

<第33戦 先攻 愛里寿 VS 後攻 ヒロエ 延長戦>

愛里寿「今度こそ 懐 深めに入る」

愛里寿「さっきのは前哨戦 つばぜり合い」ワァァ!

愛里寿「栄光の1日 ならないんだ今日も」

愛里寿「未来永劫 着てろ 穴あいたコート」ワァァァ!

愛里寿「華やいだ舞台上 負けて退場」ワァァ!

愛里寿「麻雀部代表 さよならしよう」ワァァァ!

愛里寿「それでこの大会 幕らしいよ」

愛里寿「涙落とすのは 枕にしよう」ワァァァ



洋榎「まずは緊張 なくし楽にしよう」ワァァ

洋榎「まくし立てましょう 上手く仕上げましょう」ワァァァ!

洋榎「様子見は用済み コートの穴から」

洋榎「刃が今 垣間見えた かいな?」ワァァァ!

洋榎「キミの番は 仕舞い ここは 死地となるわ」

洋榎「ちっこい すばしっこい おい 七五三か?」ワァァァ!

洋榎「枕濡らす? 何がおもろいねん!」

洋榎「お前を 泣かして流したるわ 涙ごとトイレ!」ワァァァァ!



愛里寿「そんなんじゃ辛い でも don’t wanna cry」ワァァァ!

愛里寿「真っ暗 な場所から飛び立つ バタフライ」ワァァァ!

愛里寿「超いきり立つ 禍津神(マガツカミ) すら触れられない」

愛里寿「今日キミに勝つ ことでその 領域に立つ」ワァァァ!

愛里寿「現在認識 した潜在意識」

愛里寿「もはや手の付けられない 天才につき」ワァァ

愛里寿「決着付ける 真剣勝負やろう」

愛里寿「結果 愛宕家で独りきり ホームアローン」ワァァァ!


洋榎「何寝ぼけとんねん ワックちゅうかルーザーが」

洋榎「未来変えたろか? バック・トゥ・ザ・フューチャー」ワアァァァ!

洋榎「ホンマは 察してるんやろ? ほんの うっすら」

洋榎「敵ながらあっぱれ 騙し切っとるな 本能すら」ワァァァ!

洋榎「けど逃がさへんで まるで猛禽類」

洋榎「♪ぜってえ なってやるぞキングに」ワァァァ! ♪ヤバスギルスキル・パート3 / ラッパ我リヤ feat.ARK

洋榎「クイーンと兼任 牝馬でダービー勝つ」

洋榎「そんな負けん気 祝杯 みんなでパーティーや!」ワァァァァ!



愛里寿「猛禽類 ってことは もう人類 卒業」ワァァ!

愛里寿「後戻りは出来ない メール 一斉送信済み」ワァァ!

愛里寿「パーティーしても集まるのは フクロウかハゲワシ」

愛里寿「大阪代表の立場だったのに 嘆かわしい」ワァァァ!

愛里寿「牝馬でダービー すでに前例あるし」

愛里寿「知らないなら 差が付く ヒエラルキー」ワァァ!

愛里寿「私が目指すは ♪ビッグなGⅠ(ジーワン)レース」ワァァ! ♪ライムダービー / ラッパ我リヤ feat.ZEEBRA

愛里寿「マイクラシック ラッパ我リヤ ライムダービー」ワァァァ!



洋榎「問1『まるで』の意味を答えよ」ワァァ!

洋榎「家で辞書引いて 身もだえろ アホ!」ワァァァ!

洋榎「ライムダービー出れん 賞金 足りてへん」ワァァ

洋榎「あれ?枕が濡れ……お前泣いてへん!?」ワァァァ!

洋榎「ほならカタキとったる 魂、背負(しょ)ったる」ワァァ!

洋榎「そんで勝つ 残す ディープインパクト!」ワァァァ!

洋榎「品格も人格も輪郭も 関係ない」

洋榎「明確な強さと結果に 飼育員泣くぞ!」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!

愛里寿「……………」

洋榎「………………」


役人「では判定に入ります!先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、ヒロエが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「まずはヒロエに1ポイント入ります」

洋榎「………………」

愛里寿「………………」

役人「次は審査員の判定です!みなさん、お願いします!」

ババン!

亜美「ヒロエ」

理事長「愛里寿」

トシ「ヒロエ」

秋一郎「ヒロエ」

南浦「愛里寿」

役人「勝者!麻雀部チーム、ヒロエ~~~~~!!!」

ワァァァァ!

洋榎「……おし」グッ

愛里寿「………………」

愛里寿(負けた……)

役人「この結果、次の試合は両チームとも最後の一人……17人目同士の対決!正真正銘、最後の戦いとなりました!」

ワァァァァ!


【舞台袖 戦車道側】

沙織「愛里寿ちゃんが負けちゃった!」

華「……勝っていてもおかしくない気がしましたけれど?」

千代「愛里寿の出来は悪くなかったわ。安定したライミングにアンサーも返せていた……でも」

華「でも?」

千代「ヒロエさんのフロウが喋り口調や早口、テンポの上下など、細かい部分で変化を付けていたこと。そしてヒロエさんのラッパ我リヤのサンプリングに対し、愛里寿が競馬の話題を含めたアンサーとして、ラッパ我リヤの『ライムダービー』をサンプリングした…」

千代「これは愛里寿のカウンターが見事に決まった、と思ったところで、ヒロエさんは『ディープインパクト』というワードを使った。これはお見事でした」

沙織「でぃーぷいんぱくと?どういう意味なの?」

杏「ディープインパクトっていう、ダービーを勝った馬がいるんだよ」

沙織「なるほど。競馬繋がりってことですか」

麻子「それだけじゃない。ラッパ我リヤがfeaturingした曲に『Deep Impact』というのがある。島田愛里寿がサンプリングしたラッパ我リヤで再び返しているわけだ」

千代「そしてディープインパクトは『深い衝撃』という意味なのだけど、それもきちんと含まれている内容で筋が通っている…………残念だけれど、この試合では愛里寿を上回っていたわね」

沙織「な、なるほど……難しいことしてたんだ」

華「本当ですね……カロリーを使いそうです」

千代「……というわけで……みほさん」

みほ「はい」

千代「愛里寿が敗れた今、残っているのは1人。みほさんだけです」

みほ「………………」

千代「私たちの命運は、あなたにかかっています」

みほ「…………はい」

沙織「そ、そんなプレッシャーかかる言い方…」

まほ「みほ」ザッ

みほ「お姉ちゃん……」

まほ「いけるな?」

みほ「うん、ちゃんとみんなの分まで背負うつもり」

沙織「みぽりん……」


みほ「心配してくれてありがとう沙織さん。でも大丈夫」ニッコリ

優花里「西住殿……」

千代(開き直ったわけではなく、きちんと受け止めた上での笑顔…)

千代(背水の陣と自覚させ、緊張感を与えることによる発奮を狙う必要はないみたい。さすがしぽりんの娘…………いえ、みほさんね)クスッ

麻子「西住さんなら勝つだろう。私は寝るから勝ったら起こしてくれ」

沙織「ちょっと麻子!ちゃんと観ようよ!」

麻子「冗談だ。見逃せないだろう、この試合は」

アッサム「普段通り、平常心で頑張ってください」

オレンジペコ「美味しい紅茶を用意して待ってますね」ニコリ

ペパロニ「だったらうちはパスタを作って待ってるっす!」

アンチョビ「対抗しなくていい!みほ!みほなら絶対勝てるぞぉ!」

ナオミ「その顔を見る限り、心配は無用そうだな」フフ

アリサ「まぁ……その……あんまり気負うんじゃないわよ?いつものあんたならなんとかなるから」

エリカ「気負おうがなんだろうが絶対勝ちなさいよ!戦車道だって、私や周りに何を言われても勝ったんだから!」

ケイ「ヒロエは強いわ!だからバトルしたらすっごく楽しいと思う!ミホ、レッツエンジョイ♪」

杏「ほーほー。にひずみひゃんはらはいひょふはいひょふ」モグモグ

カチューシャ「食べながら喋るじゃないわよ!まったく……ミホーシャ、負けたらシベリア送り25ルーブルよ!」

ノンナ「さっきまでどう励ますか悩んでいたのに素直じゃないですね……みほさん、今回のシベリア送り25ルーブルとは、『カチューシャと25回遊びに行こう』という意味です」

カチューシャ「の、ノンナ!バラすんじゃないわよ!」

カルパッチョ「その時は是非アンツィオに遊びに来てほしかったですけど……みほさんは勝ってくれるでしょうから、普通に遊びに来てくださいね」

ミカ「今日という日がどういう日になるかは、このバトルで決まるかもしれない。ただ、あくまでそれを決めるのは人の心さ」ポロロン

桂利奈「わ、私は西住隊長に勝ってほしいです!でもプレッシャーはかけたくないです!え、ええと…………ぱ、パンツァー・フォー!」

みほ「みんな……ありがとうございます」ニコッ

まほ「自分のやりたいように戦えばいい」

みほ「うん。じゃあいってきます」

まほ「ああ。いってらっしゃい」


【ステージ】

洋榎「来たか」ニヤ

みほ「…………」ザッ

役人「さあ、それでは最終戦を始めましょう!」

ワァァァ!

役人「先攻後攻のじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

洋榎「先攻や」

みほ「!……」

洋榎「一発で終わらせたるで」

みほ「そうは……させません」

洋榎「へえ……ほなら楽しみにしとくわ」

役人「OK!先攻、麻雀部チーム ヒロエ!後攻、戦車道チーム MIHO!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=wFeXBOVZVXU&t=13s 3:20

<第34戦 先攻 ヒロエ VS 後攻 MIHO>

洋榎「MIHO 片付けたるわ うちが大阪の代表」

洋榎「見たらわかる 聞いたらわかる 感じたらわかる オーラが最強」ワァァァ!

洋榎「ディスは豪華な愛情 8億小節 ずっと このまま快調」ワァァァ!

洋榎「ちゃんとアンサーせえよ? そのクチ閉じてもうたら最後 やから」ワァァァ!

洋榎「姉のカタキ 誰の話 なんでもええ かかってこい」ワァァ

洋榎「大阪人 今日までの会話量 格が違うわ! なんでも返す!」ワァァァ!

洋榎「スタイルは 王道 邪道 どれでもない 別の角度や」ワァァ

洋榎「そんなうちとお前で 作り上げるのが 今大会 ベストバウトじゃ!」ワァァァ!



みほ「大阪代表 相手でもクチは閉じず回る モーターは最速」ワァァァ!

みほ「会話量とラップは別物 話の筋 初っ端迷子」ワァァァ!

みほ「出だしからビッグマウス 姉の世迷言 妹かわいそう」

みほ「どこ行っても姉のネタでいじられて 『死のう』とかなりそう」ワァァァ!

みほ「それが嫌なら バイブス下げるな 避けろ 低体温症」

みほ「このバトル ベストバウトにならないなら ヒロエが停滞の温床」ワァァァ!

みほ「本来なら 仲良く過ごしていたい本性 でも容赦しない」ワァァ!

みほ「ディスで開ける 冥界の門を 扉塞いでとる 閉会の音頭」ワァァァァ!



洋榎「次から次 クチが悪い 妹は平気 ネガティブな 栗原類」ワアァァ!

洋榎「ちゃうから 無理なら無理 言うわ 教えたる 無知なカスに」ワァァァア!

洋榎「お前 今のライムだけやぞ? ちゃんと返せや 芯食うアンサー」

洋榎「冥界?なんやお前ケルベロス? とっととどかす 珍獣ハンター」ワァァァ!

洋榎「容赦せえへんのは当たり前 今頃そんな宣言せんでええねん」ワァァァ!

洋榎「マジ メか 説 明 書全 部読 むタイ プやろ どうせ お前は」ワァァァ!

洋榎「うちは 即決 そんなんばっかして 直感 反射神経」ワァァァ!

洋榎「鍛えた 速度制限、越す 経験則 ついてこれるんか オイ!?」ワァァァァ!


みほ「法定速度 守らないなら ほっとく どうせ急ぐほどじゃない」ワァァァ!

みほ「それに昔から言われてた 『怪しい人についていっちゃいけません』」ワァァァァ!

みほ「説明書 読まないヤツほど 何も内容わかってないよ」ワァァァ!

みほ「挙句の果て 困り 嘆くの何故? ホント世迷言だよ」ワァァァ!

みほ「わかってないから教える 冥界の『中に』いるのが ケルベロス」

みほ「外に出ようとして襲われる 頑張れ逃げろ 走れメロス」ワァァァ!

みほ「容赦しない宣言の理由 関西はクレーマー多そうに 思うから」

みほ「ホント面倒 無視しようかな どうせ 暮れは大掃除」ワァァァァ!



洋榎「もしもダイソンのサイクロンで吸われても 残すマイク痕」ワァァァ!

洋榎「吸引力を利用して パイプ通って排気口から 抜け出す」ワァァ!

洋榎「バッチリ(塵) 誇り(ホコリ)まみれや 微動だに(ダニ) せえへん 勝つのみ(ノミ)」ワァァァ!

洋榎「場内 歓喜(換気)させることを放棄(ホウキ)せず かますプレー(スプレー)」ワァァァァ!

洋榎「こうやって笑点ばりに 上手いことに挑戦」ワァァ!

洋榎「几帳面で真面目なヤツ 起承転結 キチキチで おもんない」

洋榎「枠はみ出す 度量も度胸もしょうもない 同じ土俵立てん」ワァァ!

洋榎「この言葉が置き土産 忘れんな そこのキミやで?」ワァァァ!



みほ「掃除機から脱出 速度も枠も はみ出たがるヤツ」

みほ「正直 同じ土俵 立ちたくない 人生に 真面目じゃなくなる」ワァァァ!

みほ「直感頼りじゃ 行き当たりばったり 進むべき時に」

みほ「道端に立ったり 明らかにハッタリ で 亡骸になったり」ワァァァ!

みほ「少々捻って 起承転結の承承承で 創造しようと」ワァァ!

みほ「想像以上 に不発な状況証拠 貰えない表彰状」ワァァァ!

みほ「回り回って 育ってない クリエイティビティ」

みほ「説明書 全部読んだ私は とっくにね生き字引」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!

洋榎「…………やるやんけ」

みほ「………………」


役人「では判定に入ります!先攻、ヒロエが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、MIHOが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「MIHOが1ポイント獲得です」

みほ「っ……」ゴクリ

洋榎「………………」

役人「……それでは審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「MIHO」

理事長「ヒロエ」

トシ「ヒロエ」

秋一郎「MIHO」

南浦「ヒロエ」

役人「審査員票は3対2でヒロエ!延長戦です!!」

ワァァァァ!

洋榎「ま、そんなとこやろな」

みほ「………………」

みほ(残念だったけど、落ち着こう。ここで気持ちを乱したら一気に負ける。それだけヒロエさんは強い)


役人「では、先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

みほ「!」

みほ(勝った……普通なら後攻をとるところだけど、ペースを作るために……)

みほ「先攻お願いします」

役人「OK!先攻、戦車道チーム MIHO!後攻、麻雀部チーム ヒロエ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=oJSx_HwGrd0&t=7s 2:37

<第34戦 先攻 MIHO VS 後攻 ヒロエ 延長戦>

みほ「これで決める 戦車道チーム 見事にトップ」

みほ「祝福してくれる 水戸ホーリーホック」ワァァ!

みほ「ヒロエは 過大評価だ 帰りな 南大阪」ワァァァ!

みほ「チームメイトも思ってるはず 『見限ろうかな』って」ワァァァ!

みほ「見せつけるスキル ディスと 押韻が過激」

みほ「確実にヒットさせる 行進間射撃」ワァァァァ!

みほ「こいつのディス アホらしい小言にヤジ」

みほ「ソース無しの薄味 たこ焼きお好み焼き」ワァァァァ!



洋榎「ソース(情報源)あれへんなら 決め付けんな」ワァァァ!

洋榎「妄想と予想ばかりで 最後は 自滅でんなぁ」ワァァァ!

洋榎「あとお前、車長 砲手ちゃうなぁ」

洋榎「これはソースあるで? 認めてや社長さん」ワァァァ!

洋榎「ライムばかり盛り込みすぎ ラーメン二郎か?」ワァァ!

洋榎「西住まほの 爪の垢、煎じろ!飲め!」ワァァァ!

洋榎「お好み焼きばりに 板(舞台)の上でジュージュー熱ぅなる」ワァァ!

洋榎「暑苦しい 重々承知 うちは 押韻より気持ち!」ワァァァァ!



みほ「その気持ちを へし折る言霊(ことだま)」

みほ「耳塞ぐ代わりに 咳き込むとこだな」ワァァァ!

みほ「板の上で熱くなっても 最後ひっくり返される」ワァァァ!

みほ「その瞬間が来ると知ってて じっくり耐えられる?」ワァァァァ!

みほ「ラーメンMIHOは大盛り ライム、野菜マシマシ」ワァァ!

みほ「少量を 騙し騙し よりよっぽどマシだし」ワァァァ!

みほ「最後に勝ち残るのは MIHOなんで」

みほ「酒飲みも よく言う『シメはラーメン』」ワァァァ!


洋榎「お前そこは茨城 あんこうマシマシやろ!」ワァァァ!

洋榎「もったいない 発想が 半歩足りないアホ!」ワァァァ!

洋榎「ラーメンMIHO 大盛りでも 高カロリー そんなのいい」ワァァァ

洋榎「騙し騙し てかアレ もやしもやし やしなもう」ワァァァァ!

洋榎「うちは どうひっくり返されても負けへん」

洋榎「無防備にクチ放り込んだら火傷する お好み焼きやけど」ワァァァ!

洋榎「文句ある? そういう魂をこの身焼き付けてる!」ワァァァ!

洋榎「それが うちの好みや気ぃ付けろや!」ワァァァァ!



みほ「その減らず口 ヘラで叩いてペラペラに」ワァァ

みほ「熱いだけじゃ 夢、描(えが)けない 芽が出ない」ワァァァ!

みほ「あんこうは マシマシ 無理な高級魚」

みほ「まじまじ見れば 納得 うちらのムード」ワァァァ!

みほ「次はどう言うの? 粉もの談義 続ける?」

みほ「ぶっちゃけ 本心では そんなもの関心なし」ワァァァ!

みほ「素直に敗北 認めろここに」ワァァ!

みほ「ついでに言っとく 興味ない ヒロエの好み」ワァァァァ!



洋榎「粉もの談義 お前が言い出したんや」

洋榎「自作自演やん ドゥユーアンダースタン?」ワァァァ!

洋榎「MIHOらのムード あんこう踊りか」ワァァ!

洋榎「♪ア・ア・アン ア・ア・アン 簡単やん」ワァァァァ!

洋榎「うちの夢 芽が出るかは 確かに わからん」

洋榎「けど描けへんってのは見当違い ニワカやな」ワァァ!

洋榎「敗北認めろって 降伏勧告ちゃうんけ?」

洋榎「ギブアップされて優勝 満足なん?ねえ?」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!


役人「それでは判定に入ります!先攻、MIHOが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、ヒロエが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「MIHOに1ポイント入ります」

みほ「!」

洋榎「……………」

役人「それでは……審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「MIHO」

理事長「ヒロエ」

トシ「ヒロエ」

秋一郎「ヒロエ」

南浦「MIHO」

役人「3対2で……ヒロエ!再延長です!」

ワァァァァ!

みほ(また延長……)

洋榎「……ふー……」

役人「では再延長に入ります!先攻後攻を決めてください」

ジャンケンポン

洋榎「先攻」

みほ「!」

みほ(あくまで先攻……自分の流れに持って行こうとしてる)

役人「OK!先攻、麻雀部チーム ヒロエ!後攻、戦車道チーム MIHO!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=_z1noQGCV-8&t=26s 3:03

<第34戦 先攻 ヒロエ VS 後攻 MIHO 再延長>

洋榎「また延長かい けどこのまま眠たいこと」

洋榎「言ってられへん 仲間の期待こそパワーや」ワァァァ!

洋榎「うちは このSakiも 腕、み凱屠(がいと)く」ワァァ!

洋榎「ガイドいらん KAJUう(果汁)の甘さもいらん」ワァァ!

洋榎「AWAただしくも ストイックにスキル HERO-Se(披露せえ)」ワァァ!

洋榎「でもお前は ここで果TELU(てる) Toki(時)迎える」ワァァ!

洋榎「全員分 やりたいけど ごめん無理やねん」

洋榎「それでも勝てるけど すでに MIHOエンプティーやで」ワァァ!



みほ「なんか注釈(カチューシャ)無いと わからない系(ケイ)」ワァァ!

みほ「人より自分の身を案じ(アンジー)れば?」ワァァ!

みほ「リングに沈み魔法(西住まほ)のように消えろ 調子乗んな(ノンナ)」ワァァ!

みほ「見限って(ミカ)食べる アンチョビとカルパッチョに カプレーゼ(REZE)」ワァァァ!

みほ「これのどこがエンプティー? むしろ満タン」

みほ「ここから物語 作るし浪漫譚(ろまんたん)」ワァァ!

みほ「『仲間の期待がパワー』には 同意する」

みほ「頑張れるのは みんなが喜ぶ顔 見たいからだ」ワァァァ!



洋榎「おいおいおい 途中のアンチョビ・カルパッチョ卑怯やろ!」ワァァ!

洋榎「ジローラモかて 言うやろな 『イジョウダヨ』て」ワァァ!

洋榎「クRUMIは料理入れにくいし 爽PはPが邪魔やし」ワァァ!

洋榎「お前らもっとやりやすい名前付けてぇや もうホンマに!」ワァァ!

洋榎「こんなんじゃ 毛根が痛んで ハゲてまいそうや」ワァァ

洋榎「ストレスに 慣れてないお嬢さん 的な一面もあんねんから」ワァァ!

洋榎「ま、髪の毛 怪しなっても使わん 育・毛・剤!」ワァァ!

洋榎「うちはストレスも力に変える It’s Show Time!」ワァァァ!


みほ「It’s Show Time オーライオーライ」

みほ「フライ軽く捕球して 状態をハイに」ワァァ!

みほ「ここでそのノリですか ギャグラップ」

みほ「なら私は厳しすぎる追い込み JASRAC(ジャスラック)」ワァァ!

みほ「これじゃ5lack(スラック)のサンプリングも 徴収対象」ワァァ!

みほ「甲州街道に 逃げても捕まえる 無いよ救済も」ワァァ!

みほ「ハゲネタとか精神年齢 ガキすぎ中1」

みほ「でも本当に困ったら 発毛すれば? リーブ21」ワァァ!



洋榎「もうええ加減ライム重視は ガタきとるなぁ」

洋榎「言葉探しとるから 文脈めちゃめちゃなんねん」ワァァァ!

洋榎「大阪・茨城 甲州街道なんて関係ないぞ!」ワァァァ!

洋榎「てかお前のアンサー 対話やない はぐらかしてるだけじゃ」ワァァァ!

洋榎「救済無い 言うときながらリーブ21?」ワァァ!

洋榎「助けてくれるんかい 前言撤回 しょうもないわい」ワァァァ!

洋榎「どう凌ぐかしか考えてへん輩に 負けへんわ」ワァァ!

洋榎「その程度のヤツこそ 夢は描(えが)けへんな!」ワァァァァ!



みほ「夢 目がけ点火 時には 業煮やしてく」

みほ「普段は冷静だけど そういうのも 性に合ってる」ワァァ..

みほ「……どう凌ぐか考えるのは後攻なら当然」

みほ「でもそこまで言うなら ここから魂の勝負しようか!」ワァァァ!

みほ「お前『負けへん』って言っても『勝つねん』とは言わないね」ワァァァ!

みほ「腰引けてる守備重視 イケイケに見えて実は臆病者!」ワァァァ!

みほ「何思って戦ってるか いまいち見えてこない!」ワァァァ!

みほ「もう一度言う 私が必ず最後に勝ち残る!」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァ!

洋榎「………………」

みほ「………………」


役人「さあ、判定に入ります!先攻、ヒロエが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、MIHOが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「まずはヒロエに1ポイント入ります」

みほ「っ……」

洋榎「………………」

役人「では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「MIHO」

理事長「ヒロエ」

トシ「MIHO」

秋一郎「MIHO」

南浦「ヒロエ」

役人「審査員はMIHO!再度、延長戦です!」

ワァァァァァ!

みほ「」フゥゥ..

洋榎「……っ、アカンか」


【舞台袖 麻雀部側】

穏乃「え、ええと……最初から数えて3回目だから……」

憧「再々延長!」

灼「ここまで長引くとは思わなかっ…」

晴絵「そうね」


恭子「………………」

絹恵「どうしました?」

恭子「いや…」

恭子(西住みほ……洋榎の本質的な部分に気付いとるんか?)

恭子(洋榎は麻雀では、意外に思われるけど守備寄りのタイプや。それがバトルでも垣間見えとったのは事実)

恭子(練習でもバトルを積極的にやりたがれへんかったのは、偵察に実力がバレたない言うよりは、フリースタイルバトルがそういうモノとはいえ、仲間や知り合いをディスしたないって気持ちの表れ…)

恭子(全国大会での竹井久に対しては、期待してた分だけキツめな言葉吐いとったらしいけど、瞬間的にモノ言うタイプにしては人のこと悪く言わへんし)

恭子(見た目的に真逆言うたら失礼やけど、園城寺さんの方がよっぽどディスがキツいしなぁ)

恭子(西住みほも同じや。あない大人しそうな見た目のくせに、えげつない攻め方をしてきよる。おそらく戦車道で培った洞察力が、相手の弱い部分を見抜いてまうからやろうけど)

恭子(……いや、それだけちゃうか。西住流で育った経緯も関係しとるな。今の西住みほの戦車道は西住流の本流とは違っとるようやけど、容赦の無さは西住流譲りや)

恭子(ホンマ、厄介な相手やなぁ……)

恭子(…………けど)

恭子(そんな相手でも、最後には勝ってまうんやろ?私はそう信じてるで、洋榎)


【舞台袖 戦車道側】

まほ「また延長か」

エリカ「なかなか決着つきませんね」

麻子「西住さんが勝ったと思った試合もあったんだが」

カルパッチョ「そうですね……ライミングも安定してます」

杏「ぃやぁ、でもその辺はヒロエちゃんも上手いからねぇ」

千代「そうね。MIHOさんはライミングで上回っているけれど、ヒロエさんのフロウとユーモアはMIHOさん以上です。アンサーは両者とも上手く決めているものの、確実に勝敗を分けるような差が付かない好勝負が続いている……こう着状態ね」

ミカ「会場の雰囲気も少し変わってきているように感じるよ」

アキ「え?どういうこと?」

ミカ「固いライムよりも、相手に本気でぶつかっている言葉を求めている気がするね」

ミッコ「なんでそんなことがわかるの?」

華「わたくしも感じました」

沙織「華?」

アキ「え、ほんとですか?」

華「ええ。みほさんの試合中の表情を見てピンときました。今の試合の最後の8小節、みほさんは途中から韻を踏まずに言葉を重視しました」

ミッコ「そう……でしたっけ?」

華「はい。最初の2小節で脚韻を決めたのですが、その時に歓声がそれほど上がらなかったんです。そこでみほさんは少し間を空けてから、韻にこだわらなくなったみたいです」

ミカ「よく見ているね」フフ

華「お腹が空いているので神経が研ぎ澄まされています」ニッコリ

まほ「……キミの洞察力も大したモノだな」

沙織「まほさん……?」

まほ「厳密に言えば、ヒロエのラストバースの時点でその傾向はあった。ライミングやフロウよりも、バイブスや内容に重きを置いたラップを聞きたいと観客が思い始めたのだろう、沸き方に変化があった。それを測るために、みほも最初にライミングをして、その反応から戦い方を変えていったのだろう。その結果、審査員票を得て、延長に持ち込めた」

ミカ「もちろん、完全にライミングを捨てたわけではないだろうけどね」

愛里寿「ただ……みほさんがあのあとも最後までライミングで決めにいってたら多分負けてた」

まほ「そうだな」

沙織「で、でもどうしてお客さんは急にそんな感じになったんですか?」

まほ「おそらくだが、2人のレベルの高さ、そしてこの試合が最終戦であることから、技術的な部分ではない、人間としての言葉を聞きたくなったんだと思う」

ケイ「その気持ち、わかるわ。2人ともセルフボースティングは上手だし、ウソは言ってないけど、本音で戦うって感じでもないもんね。これだけ強い2人なんだから、その心の深い部分に興味を持たれるのは当たり前ね!」

沙織「でも、そういう熱血みたいなバトルになったら、みぽりんは不利なんじゃ…」

まほ「大丈夫だ」

沙織「え」

まほ(最初のフリースタイルバトル大会の決勝、私と戦った時のみほのバイブス……熱さを内に秘めているからこそ生まれる爆発力、それを私は肌で知っている)

まほ(だから何も心配していないよ、みほ)クスッ

沙織「……なんか、なんの説明もしてくれないまま笑顔でステージを見つめてるけど……」ヒソヒソ

麻子「色々思うところがあるんだろう。察してやれ」


【ステージ】

みほ「………………」

みほ(再々延長になった……ううん、再々延長になんとか持ち込めたって感じかな)

みほ(もうライミングで戦っても勝ち目が無い。ヒロエさんも、最初の時から戦い方を少しずつシフトしてきてる)

みほ(こうなったら、もう全てを吐き出すくらいの気持ちで戦うしかない!)ギラリ

洋榎「………………」

洋榎(『勝つねん』とは言わない、か)

洋榎(勝つ気はめっちゃある。けど、心のどこかで『勝ちたい』より『負けたない』って思いが強かったのかもしれん。MIHO、お前の指摘は痛いとこ突きよったわ)

洋榎(けどな)

洋榎(そのおかげで今、お前に勝ちたい気持ちがめっちゃ湧いてきてるわ)

洋榎(お前も感じてるやろうけど、ここから先は武器を使た技術合戦やない。殴り合いや)

洋榎(もし気付いてへんようなら……ここであっさり勝負は決まるで?)チラ

みほ「………………」ジッ..

洋榎(……ははっ、そない鈍ないか。まぁええ。とにかく愛宕洋榎の全てをぶつけたるわ!)ギラリ!

役人「では両者、じゃんけんで先攻後攻を決めてください」

ジャンケンポン

みほ「先攻でお願いします」

洋榎「ほぅ」

役人「OK!先攻、戦車道チーム MIHO!後攻、麻雀部チーム ヒロエ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」


http://www.youtube.com/watch?v=oGs12SmPjfU 3:08

<第34戦 先攻 MIHO VS 後攻 ヒロエ 再々延長>

みほ「延長が続いても 勝利への執念は全然尽きない」ワァァ!

みほ「戦車で指示を出し 叫び続けてきた このノドも音を上げはしない」ワァァァ!

みほ「ヒロエ 好敵手 でも負けるわけにはいかない」

みほ「かつての敵たちと 力合わせて戦う 集大成だから!」ワァァァ!

みほ「その代表として戦える喜び もっと味わっていたくもあるけど」

みほ「永遠の幸せは幸せじゃない だから終わらせるために戦う」ワァァァ!

みほ「ベストバウトになるって あんたは最初に言ったけど」

みほ「一番レベル低い試合になったとしても 私は勝ちたいんだ!!」ワァァァァ!



洋榎「その執念 さっきまでの うちには足らんかったのかもな」

洋榎「うちが『勝ちたいと言わん』っての 正直突き刺さったわ」ワァァ!

洋榎「けどな その気持ちは うちの中にあった 押さえこんどった」

洋榎「変に がっついたらアカンてな けどそんな見栄 いらんわ!放り投げたる!」ワァァァァ!

洋榎「カッコ悪くてもええ! 仲間、妹に負ける姿は見せられへん!」ワァァァ!

洋榎「ただでさえデカない姉の背中 ここで猫背なってたらアカンやろ」ワァァァ!

洋榎「ここで勝つためのマイク! 勝つための声! 勝つための意地!」ワァァァ!

洋榎「今までの人生で培ったもの全部 勝つために ぶつけたるわ!!」ワァァァァァ!



みほ「すごいと素直に思う そんな姉を 妹は誇らしく思う」ワァァ

みほ「追いつきたい 隣に並びたい だから辛いことでも頑張れる」ワァァァ!

みほ「その気持ちは 姉が負けたって何も変わらない」ワァァ!

みほ「ミーハーじゃないんだ 姉を慕って憧れる妹をあんまり舐めないでくれるかな!?」ワァァァァ!

みほ「それに私だって自分の人生 ぶつける気持ちで立ってる!」ワァァ!

みほ「戦車道チーム最後の選手 私の負けは戦車道の負けだ!」ワァァァァ!

みほ「大洗 聖グロ 黒森峰 プラウダ アンツィオ サンダース 継続」

みほ「他の学校も! レペゼン戦車道 敗北の二文字は踏みつぶす!!」ワァァァァ!


洋榎「うちかて同じや わかるやろ! 麻雀部の代表のつもりや!」ワァァァ!

洋榎「激しいしのぎ合い続けてきた 極限の戦いなら慣れっこなんじゃ!」ワァァァァ!

洋榎「1打のミスもせんよう 瞬間の判断の連続で鍛え上げてきた!」ワァァ!

洋榎「喋りまくってきた関西人 べしゃりのバトルで勝てる思うな!!」ワァァァァ!

洋榎「うるさい やかましい言われながらも ここまで楽しいやってきた」

洋榎「大会負けて辛い時かて 明るくしようとアホなこと言うたり」

洋榎「どんな時も 喋りまくって来た この状況でも平常運転」ワァァァ!

洋榎「誰のサンプリングでも無い うちの生き方 このスタイルで勝ち残るで!!」ワァァァァ!



みほ「私の生き方 振り返ってみれば 情けなくて落ち込むよ」

みほ「自分が正しいと思った行為を 貫けずに逃げたから」

みほ「そして背を向けたら戻るのが怖くなった だから目をつぶってた」

みほ「でもそんな私を友達が 先輩が 戦車道が救ってくれた!」ワァァァァァァ!

みほ「その流れで参加したバトル 優勝して拍手を浴びた」ワァァァ!

みほ「姉ともぶつかり合い 言い合って さらに絆が深まった 嬉しかった!」ワァァァァ!

みほ「もう私の中でフリースタイルバトルは戦車道の隣に並んだ!」ワァァァァァァ!

みほ「二足のワラジじゃない 2本の足で優勝まで走り続ける!!」ワァァァァァ!



洋榎「紆余曲折 濃い人生を送って来たようやな けど」

洋榎「バトルはドキュメンタリーや フツウがドラマチックを負かしたるわ!」ワァァァァ!

洋榎「親の七光り言われんよう でも肩肘張らず自然体でやってきた」ワァァ!

洋榎「だからお前がどんな尊敬できるヤツでも 真っ向から戦えるんや!」ワァァァ!

洋榎「うちかて前に進み続ける 笑顔で仲間と一緒になぁ!」ワァァァ!

洋榎「そして妹を引っ張ってく いや、この観客も連れてったるわ!」ワァァァァァ!

洋榎「麻雀部を舐めんなや!? 大阪人の誇り 侮るんやないで!」ワァァァ!

洋榎「ここで決着や! そしてやっぱこれが今大会のベストバウトや!!」ワァァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!

みほ「はぁ……はぁ……」

洋榎「はぁ……っ……はぁぁ……」


役人「では判定に入ります!先攻、MIHOが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「……後攻、ヒロエが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「MIHOに1ポイントが入ります!」

みほ「………………」

洋榎「………………」

役人「……では、審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「ヒロエ」

理事長「MIHO」

トシ「ヒロエ」

秋一郎「MIHO」

南浦「MIHO」

みほ・洋榎「!!」

役人「さ、再々延長にしてついに決着!!勝者、MIHO~~~~!!!」

ワァァァァァ!

役人「そして……戦車道チームVS麻雀部チームのフリースタイルMCバトル、勝者は……戦車道チームです!!!」

ワァァァァァァ!

みほ「………………」

洋榎「………………」

みほ「…………か」

みほ「勝っ…………た?」

みほ「………………」

みほ(私……勝った…………勝てたんだ!)

洋榎「……………………」

洋榎「………………」

洋榎「……おめでとう」

みほ「あ……ヒロエさん」

洋榎「お前、めっちゃ強かったわ。ほれ、握手しようや」サッ

みほ「は、はい」ギュッ

洋榎「……すまんな。ホンマは笑顔で健闘を称えるのがええんやろうけど……すぐは笑えんわ」

みほ「ヒロエさん……」

洋榎「ここまで悔しいのは久々やなぁ……」

みほ「………………」

洋榎「……ほな、敗者は去るのが決まりや。うちは戻るわ」サッ

みほ「あ、はい……」

みほ「………………」

洋榎「………………」ザッ..

みほ(ヒロエさん……本当に強かった……)


【舞台袖 麻雀部側】

洋榎「………………」

恭子「お疲れ様」

洋榎「!なんや恭子……こない近くで見てたんかいな」

恭子「いや、洋榎が戻って来るやろ思たから来てん」

洋榎「そっか」

恭子「はい」

洋榎「………………」

恭子「………………」

洋榎「……どやった?」

恭子「さすが洋榎やなって思った」

洋榎「うち負けてんで?どういう意味や」

恭子「負けてもカッコええ。全然情けなないのが洋榎らしいねん」

洋榎「…………なんやそれ。嬉しないわそんなん」

恭子「ま、勝てへんかったのにそんなん言われても嬉しないやろな。けど……本心やからしゃあない」

洋榎「……ふん」

セーラ「洋榎」

洋榎「ん?なんやセーラか」

セーラ「……お前、落ち込んでる場合ちゃうぞ」

洋榎「……あん?」

セーラ「このあと、戦車道の連中と親睦会を兼ねてホテルバイキングや。そんな顔してたらその……あかんわ」

洋榎「……うっさいわアホ」

セーラ「う、うっさいてお前……」

怜「……セーラ、励ますの下手やなぁ」

竜華「ホンマや」

洋榎「園城谷……」

怜「混ぜんといて」

竜華「セーラな、全国大会で愛宕さんに心配されたことがきっかけで元気出たから、今度は自分が励ましたらないとって言うてたんやで?」

洋榎「!セーラ……」

セーラ「ばっ……ち、ちゃうわ!そんなん言うてない!」

浩子「録音したんで、再生しましょうか?」

セーラ「やめぇや!」

洋榎「……ありがとな」ボソッ

セーラ「な、なんや?今なんか文句言うたんか?」

洋榎「なんでもない」クス

由子「お疲れなのよー」

絹恵「お姉ちゃん……」

洋榎「ゆーこ、絹…………うち、負けてもうた」

由子「……うん。でも惜しかったのよー」


絹恵「そやで!お姉ちゃん、もう少しで勝ってた!ちゅうか、うちの中ではお姉ちゃんが勝った!」

洋榎「……なんやそれ。事実捻じ曲げてるやん」クス

照「負けたのは残念だけど、責任を感じ過ぎなくてもいい。悲しい時はお菓子を食べれば全て解決できる。だからこれあげる」スッ

洋榎「タマゴボーロ……バトル終わったばっかでめっちゃノド乾いてんねんけど……ありがたくもろとくわ」

照「」コクリ

ダヴァン「ではこちらもどウゾ。カップラーメンデス」

洋榎「いらん。これからホテルバイキングやろ。っちゅうか、なんでこない人数が集まって来てんねん」

怜「へこんだ愛宕洋榎ちゃんを慰める会、ってことやろ」

洋榎「っ……アホか!うちがそない引きずるわけないやろ!バイキングでめっちゃ食うたるからな!見とけよ」ザッ!ザッ!

漫「え?どこ行くんですか?」

洋榎「監督に負けた報告や!」

ネリー「結果は知ってるんだから、別にいらないのに」

智葉「いや、形式を重んじているんだろう。筋を通すのは大切なことだ」

穏乃「うぅ……励まそうにも、宮永照さんの時は実家の和菓子でいい感じに出来たけど……愛宕さんの場合はムリっぽい……ねぇ、憧の実家の力でなんとかならないかな?」

憧「別に実家とか関係ないでしょ。神社で何をどうするのよ。お守りでも渡せっての?」

穏乃「そうだよね……じゃあ灼さ………ううん、なんでもないです」

灼「なんでやめるの。ボウリング場だって元気出るよ。楽しい遊戯だと思…」

玄「じゃ、じゃあ私の家に来て温泉に浸かってもらうとか!」

宥「あったか~い」

恭子「あの、気を遣てくれるのはありがたいねんけど、洋榎ならもう大丈夫や思うわ。みんなが色々言うてくれて元気出たみたいやから」

玄「えっ、すごい……私ならお姉ちゃんにギュッてしてもらわなかったら落ち込んだままだよ……」

宥「く、玄ちゃん……///」

やえ「ハッ!そんなこともわからなかったとは、ニワカは相手に…」

ゆみ「とにかく、我々は精一杯やった。負けたのは残念だが、誰が責められる謂れも無い」

やえ「いや、だからニワカは…」

智美「ワハハ。とにかくバイキングが楽しみだ」

咲「………………」

咲(みんな優しいな……この人たちと同じチームで良かった)

やえ「だからニワ…」

晴絵「みんな!前に説明したけど、段取りはわかってる?戦車道チームの表彰式が終わったら、奥の部屋でちょっとした取材とかインタビューに答えてもらって、そのあとホテルに出発だからねー!」

全員「はい!」

晴絵「………………」

晴絵(これだけ豪華な面子が集まったんだ……ジャンル違いの大会とはいえ、優勝させてあげたかったな)

晴絵(私がもう少し工夫出来てたら結果も違ったはず……)

晴絵(……あー……もう!悔しいなぁ……)


【舞台袖 戦車道側】

沙織「や、やったーー!みぽりんが勝ったよ!」

華「さすがみほさんですね」ニッコリ

優花里「う……『さすが』を五十鈴殿に先に言われてしまいましたぁ……でもあえて言います!さすがです西住殿ぉ!」

桂利奈「さすが西住隊長ーーーー!」

そど子「み、3つもカブせるわけ?違う言葉で褒めなさいよもう」

麻子「さすがあんこうチームの車長だな」フッ

そど子「冷泉さんまで!?」

エルヴィン「再々延長まで長引いた戦い……まさに2人はライバル、好敵手、宿敵と言えよう!」

おりょう「まるで坂本龍馬と中岡慎太郎ぜよ」

カエサル「さながらハンニバルとスキピオだ」

左衛門佐「武田信玄と上杉謙信のような」

エルヴィン・おりょう・カエサル「それだーーーーー!」

ケイ「今夜はパーティーね!思いきり盛り上がらなくっちゃ!」

アリサ「麻雀部の人たちとの交流会ですから、あまりはしゃぐのは……」

ナオミ「確かにそうだけど、隊長は元々こういうノリだからね。仮に負けてても…」

杏「『悔しさを楽しさで上書きしちゃいましょ!』とか言いそうだよねぇ」アハハ

ケイ「さっすがアンジー。私のことよくわかってるわね♪」

ペパロニ「ノリならアンツィオも負けてないっすよ!ドゥーチェ!ノリをお願いするっす!」

アンチョビ「の、ノリをお願いって……そんな言い方されて出来るか!恥ずかしい……//」

カルパッチョ「ペパロニさん。本番になればドゥーチェは勝手に盛り上がってくれますから、張り合わなくても大丈夫ですよ」ニコリ

アンチョビ「……なんか軽くディスられてる気がするが……まぁいいか!」

カチューシャ「なかなかやるじゃないミホーシャ!今度美味しいピロシキをおごってあげようかしら!」

ノンナ「そうですね。皆さんをプラウダに招待して食事会を催すのもいいかもしれません」

クラーラ「カチューシャ様のほっぺについたソースを舐めとり、そのままカチューシャ様のお口に運ぶ役割は私に任せてください(ロシア語)」

カチューシャ「???ノンナ!」

ノンナ「『善哉(よきかな)、善哉』と言いました」

カチューシャ「そんな古い感じのことをクラーラが!?それに長さが全然合ってないじゃない!」

ノンナ「善哉、善哉」

カチューシャ「よくないわよ!」キーッ!

ダージリン「……こんな言葉を知ってる?」

オレンジペコ「はい?」

ダージリン「『孤独では精神は満足に働かない』」

ミカ「あぁ、その言葉なら知っているよ」ポロロン

ダージリン「………………」

ミカ「ジョージ・オーウェルだね。私も気に入っ…」ポロロン

オレンジペコ「すみませんミカさん」

ミカ「なんだい?」

オレンジペコ「今からダージリン様にテイク2をお願いしますので、今度は『知らない』か無言でお願いします」


ミカ「?その行為に意味が…」

オレンジペコ「あります」ズイ

ミカ「…………そうなのか。それが聖グロリアーナの流儀ならば従うよ」

アッサム「ではもう一度始めから。こほん」

ダージリン「………………」

アッサム「ダージリン。『孤独では……』なんでしたっけ?」

ダージリン「孤独では精神は満足に働かない、よ。この言葉を知ってるかしら?」

ミカ「」チラ

アッサム・オレンジペコ「………………」ジーーーーー..

ミカ「きいたことがないな。いったいどういういみなのだい?」

アキ(棒読みすぎるよミカ……)

ダージリン「ふふっ。では私が説明しましょう。『孤独では精神は満足に働かない』。これは、どれほど強い人間であろうと当てはまるであろう言葉よ」

ダージリン「強靭な精神力であっても、孤独であれば、その力を活かすことは出来ない」

アッサム「確かに」

ダージリン「一見すると、1対1の形式であるこのフリースタイルバトルは、そばに味方はおらず、孤独な戦いに見えるかもしれないわ」

ダージリン「けれど、今日ステージで戦った子たちの中で孤独だった者は誰もいない。心の中には家族や友人などの想いがあり、発せられる言葉には今まで過ごしてきた日々や経験が根付いている…」

ダージリン「だからこそ、みなが精一杯の力を出し切り、ぶつかり合うことが出来た…………自分自身を表現し合うかのようなバトルは、私の胸を熱くさせてくれたわ」ウフフ

ミカ「……確かに、音と言葉の融合だけでなく、そこに人の意志が混ざり、まさに十人十色の音色だった」ポロロン

ダージリン「そうね」ウフフ

アッサム「……ご協力、ありがとうございました」ヒソヒソ

ミカ「いや、いいさ。むしろ口を挟んだのは無粋だったよ」ポロロン

ミカ(自由奔放なイメージのダージリンだったが、さすが聖グロリアーナの隊長を務めるだけのことはあるね)クス

オレンジペコ「さすがダージリン様。ここぞという場面では、わりといいことおっしゃってくれます」

ダージリン「あら。わりとはいらないわよ、ペコ」ニッコリ


まほ「………………」

エリカ「………………まほ先輩」

まほ「ん?なんだ」

エリカ「……あの子、やりましたね」

まほ「あぁ、そうだな……」フフ

エリカ「……まったく」クス

エリカ(普段はポヤーッとしてるくせに、決めるところは決めるんだから)

まほ「………………」

まほ(みほ。フリースタイルバトルだけじゃない。戦車道も、精神力も……前よりずっと強くなったな)

まほ(そしてその中に、昔の活発だった頃の思い切りの良さが垣間見えて、なんだか嬉しかった)

まほ(どんどん進化しているんだな……私も負けていられない)フフッ

スタッフ「これから表彰式を行いますので、出場された選手の方々はステージへ移動をお願いします」

千代「わかりました。さあ皆さん。ステージに向かいましょう」ニッコリ


【客席】

役人「勝利した戦車道チームの選手たちです!」

ワァァァァ!

しほ「………………」

しほ(まほ……みほ……とてもいい顔をしているわね。優勝を成し遂げた充実感がありありと感じられるわ)

しほ(表立って応援は出来なかったけれど……あなたたちのその表情を見られただけで私は満足よ)フッ

恵「立派な娘さんたちですね」

しほ「!あなたは……確か……麻雀部チームのコーチを務められた、K RAM SHINEこと原村恵さん?」

恵「ええ、そうです」

しほ「てっきり麻雀部チームに帯同していると思っておりましたが」

恵「最初はそのつもりでしたが……父親がそばにいては娘も集中できないのではないかと思いましてね」

しほ「……なるほど。確かに」

しほ(原村和なら動じない気もするけれど…………それでも身内がいては多少やりにくいかもしれないわね)

恵「それにしても」

しほ「?」

恵「麻雀部の練習を見ている時に、このチームならば勝てると確信をもっていましたが………戦車道チームの素晴らしさには驚かされてばかりでした。前回大会よりもさらに成長していた」

しほ「それを言うならキャリアの浅さを感じさせない強さを見せた麻雀部チームです。まさかここまでもつれる戦いになるとは……底知れない才能を感じました」

恵「やはり1つのモノを突き詰めることで磨かれた感性が土台として大きく作用しているのでしょうね」

しほ「ええ、そうですね」


ワァァァ!

恵「む。トロフィーの授与ですね。西住みほさんが受け取るようです」

しほ「みほ……」


みほ「」ニッコリ


しほ「………………」

しほ(照れながらも、堂々と受け取っている……そう、それでいいのよ。あなたは頑張った、誇っていいわ)


千代「……!ふふ」


しほ「!」

しほ(ちよきち……私に気付いたようね。意味ありげな笑みを浮かべて……)

しほ(……長い付き合いだもの。わかっているのでしょうね……)

しほ(今の私が、喜びの表情を隠そうと必死で我慢している、と)

しほ(……また1つ、ちよきちにからかわれる材料を与えてしまったわ)

しほ(でも……)


みほ「」ニコニコ

まほ「」フフ


しほ「ふふっ……」

しほ(仕方ないわよね…………娘たちがあんなに嬉しそうにしているのだから――――)



表彰式のあと、龍門渕グループ系列のホテルにて、戦車道・麻雀部関係者による親睦会が開かれた。

出場選手以外も揃った大人数での催しは盛り下がることを知らず、

日をまたぐ手前でようやくお開きとなり、

部屋へ戻った面々は、様々な想いを胸に、眠りについたのだった――――


≪ 戦車道チームVS麻雀部チーム フリースタイルMCバトル大会 結果 ≫

アッサム VS AWA-AWA(大星 淡)○

○ノンナ VS AWA-AWA(大星 淡)

ノンナ VS ATARA(新子 憧)○

○ナオミ VS ATARA(新子 憧)

ナオミ VS Toki(園城寺 怜)○

アリサ VS Toki(園城寺 怜)○

○ロサ・カリーナ(阪口 桂利奈) VS Toki(園城寺 怜)

ロサ・カリーナ(阪口 桂利奈) VS HERO-Se(弘世 菫)○

○カルパッチョ VS HERO-Se(弘世 菫)

○カルパッチョ VS 白鶴(白水 哩)

カルパッチョ VS 舞姫(鶴田 姫子)○

○アンチョビ VS 舞姫(鶴田 姫子)

アンチョビ VS TELU-Biscuits(宮永 照)○

エリカ VS TELU-Biscuits(宮永 照)○

ケイ VS TELU-Biscuits(宮永 照)○

○ミカ VS TELU-Biscuits(宮永 照)

ミカ VS ミーホヒーサー(竹井 久)○

○アンジー(角谷 杏) VS ミーホヒーサー(竹井 久)

○アンジー(角谷 杏) VS 爽P(獅子原 爽)

アンジー(角谷 杏) VS NODOCCI(原村 和)○

○REZE(冷泉 麻子) VS NODOCCI(原村 和)

REZE(冷泉 麻子) VS EKda黒ねこ(池田 華菜)○

○カチューシャ VS EKda黒ねこ(池田 華菜)

○カチューシャ VS クRUMI(鹿倉 胡桃)

カチューシャ VS 凱屠(辻垣内 智葉)○

○西住 まほ VS 凱屠(辻垣内 智葉)

○西住 まほ VS KAJU-MC

○西住 まほ VS 蒲 a.k.a BARA

西住 まほ VS Saki(宮永 咲)○

オレンジペコ VS Saki(宮永 咲) ○

○愛里寿(島田 愛里寿) VS Saki(宮永 咲)

愛里寿(島田 愛里寿) VS ヒロエ(愛宕 洋榎)○

○MIHO(西住 みほ) VS ヒロエ(愛宕 洋榎)


翌朝

【ホテル前】

そど子「戦車道チーム!全員揃ってるか確認して!」

みほ「ふぁ……ぁ……」

沙織「みぽりん眠そうだね~……って私もだけど」

華「わたくしもまだ目がシパシパしています」

麻子「ZZZ……」ユラユラ

優花里「冷泉殿は立ったまま寝ちゃってますぅ!」

華「アグレッシブですね」

沙織「むしろ逆でしょ。ほら麻子~、起きなって。他の学校の人はちゃんとしてるよ?」ユサユサ

麻子「うぅ……眠い。何故こんなに早く起きなければならないんだ…」

沙織「しょうがないじゃん。出発時間が決まってるんだから」

麻子「……麻雀部の連中はいいな。うちらより遅く帰るから、まだまだ寝てられる……」

みほ「あはは。確かにもうちょっと寝てたいかも」

カチューシャ「ふふん!マコーシャもミホーシャも情けないわね!私なんてこんなに目が覚めてるのに!」

ノンナ「さすがです同志カチューシャ。昨夜は親睦会の最中に一足先に眠ってしまっただけのことはあります」

カチューシャ「べ、別に寝たかったわけじゃ…」

ノンナ「ええ、わかっています。皆さんともっとお話ししたかったのに寝てしまったのが悔しいからこそ、みほさんたちに威張ってみせただけですよね」

カチューシャ「ノンナ!」カァァ..

沙織「そういえば、カチューシャさん、龍門渕高校の人と仲良さそうに喋ってましたよね」

カチューシャ「そうよ!コロモーシャとは深い絆で結ばれたんだから!」エッヘン!

みほ「天江衣さん……だったっけ?確か大会自体には関わってないけど、親睦会に参加してた人だ」

華「ええ。タルタルソースを山盛りにしていた姿に感銘を受けました」

麻子「そんなことで感銘を受けるな」

沙織「……でもなんで仲良くなったんだろ?」

ノンナ「カチューシャと天江さんは身長が同じなのです。ひゃくにじゅ…」

カチューシャ「わー!わーー!!言うんじゃないわよ!」

みほ「なるほど。カチューシャさんにとっては親近感の沸く相手だね」

華「普段会わない方々とお喋りするのはとても楽しいですね。わたくしも昨日は高鴨さん、ダヴァンさんと3人でラーメンについて語り合いました」

沙織「私も福路さんとお料理の話で盛り上がったよ!楽しかった~」

麻子「……本内成香と睡眠について話を……した……」

優花里「凄腕潜入捜査官と噂の、ステルスモモさんとお話出来て光栄でしたぁ!歌って踊ったりしない限りバレないとか、神技ですぅ!」


みほ「私も色んな人とお喋りできて楽しかったなぁ………次に会えるのはいつなんだろう?」

ケイ「すぐじゃない?」

杏「すぐだろねぇ」

みほ「え?」

ケイ「ほら、後ろ後ろ♪」

みほ「?」クルッ

みほ「あ……」

穏乃「みなさーーん!おはようございまーーーす!」

華「高鴨さん……だけではなく…」

沙織「麻雀部の人たち、全員いるよ!?」

優花里「我々より遅く出発するはずなのに……見送りに来てくれるなんて!嬉しいですぅ!」

晴絵「すみません、忙しい時に押しかけて。でもこの子たちがもう少し話したいって言い出しまして」クス

千代「ふふ、そうですか。それはこの子たちも同じのようですから、嬉しい限りです。みなさん、出発までまだ多少ありますから、ここで自由時間をとります」

梓「やった!」

ミカ「いいね。朝の見送りには、人生で大切なことが9割方、詰まっているのさ」ポロロン

アキ「そ、そんなに?見送りは嬉しいけどさ」

ミッコ「おっしゃ!高鴨さんとサバイバル談義の続きだ!」タタタッ!

ダージリン「…………」

ダージリン(出発時間がやけに早いと思っていたけれど、この事態を想定してのことかしら?粋なことをするわね)クス

アッサム「ダージリン。せっかくですから私たちも行きましょう」

ダージリン「そうね。ペコ、ティーテーブルをあの辺りにセットしてちょうだい」

オレンジペコ「はい」ニッコリ


爽「いやー!キミにはずいぶん前から目を付けてたんだよね」

愛里寿「はぁ……」

揺杏「いや、マジで。可愛い服に興味ない?たっくさん着せてあげるからさ」

愛里寿「興味は……ある」

爽「おっ、いいね!島田さんは大学生だから内地だよね?じゃあ近いうちに会いに行っていいかな?」

愛里寿「……うん」コクリ

揺杏「可愛さとキレイさを両方持ってる……いい素材だねマジ。ゴスロリもいいけど、キャミとかも着せたいなー」

爽「マイクを両手で持って首をかしげながら歌うとか似合うだろうね!アイデアがどんどん出てくる!ユキとユニット組むのもいいなぁ!」

誓子「……あの2人、とことん可愛い子好きよね」

成香「会話内容だけ聞いてたらすごく怪しいです」



桂利奈「鷺森さんがインターハイで付けてたグローブ、ちょうイカしてます!」

灼「え?あぁ、あれはボウリングの…」

由暉子「右手に封じられし闇の力……かっこいいですね」

灼「いや、だから違…」

桂利奈「あれ外したらどうなるのかなー?」ワクワク

由暉子「おそらくですが……手の甲に光輝く紋章があるはずです」

桂利奈「かっこいーーー!!!」

由暉子「それだけじゃありません。あのネクタイにもきっと秘密があります」

桂利奈「ひ、秘密?どんな?」

由暉子「あのネクタイを解く時、鷺森さんが抑えていた力が溢れ……」

桂利奈「あ、あふれ……?」

由暉子「とても言葉では言い表せないような神秘的なことが起こるでしょう」

桂利奈「引き続きかっこいーーーー!!!」

灼「………………」

灼(どうしよう……ありえない期待をされてる……ハルちゃん、助けて)


まほ「…………」ジー

泉「……あ、あの?何か?」

まほ「む、すまない。つい凝視してしまった。キミからは学ぶことが多かったから」

泉「え……学ぶこと、ですか?」

まほ「ああ。我々黒森峰はキミに比べ、少し甘さが残っていたと反省していた」

泉「??」

まほ「制服の袖を切り、少しでも身軽に動けるよう心がけるその姿勢は素晴らしい。我々ももっと無駄をそぎ落とし、最短で最大の効果を得られるよう努力しなければと考えさせられたよ」

泉「い、いえ、これはその……ただなんとなく…」

怜「そこに気付くとはさすが西住さんやな」

泉「お、園城寺先輩!?」

まほ「やはり意図したものだったか」

怜「そや。名門言われとる学校で、しかも1年やのに制服にハサミを入れる根性。これが千里山の二条泉や。覚えとき」

まほ「ああ」

泉「ちょ、ちょっと先輩!何勝手なこと言うてるんですか!」ヒソヒソ

怜「泉を買ってくれてるんやからええやん」

泉「良くないです!大体園城寺先輩、私のこの格好見て『ない袖は振れないを可視化したんか。ええなぁ、そのカッコやったら奢ってもらいやすそうやな』とか言うてたやないですか!」ヒソヒソ

怜「まぁまぁ、こう言うやんか。袖すり合うも…」

泉「その袖が無いんです!」

まほ「?」


ペパロニ「ドゥーチェ!ドゥーチェ!」

友香「でー!」

煌「すばらっ!」

智美「ワハハ」

華菜「にゃーー!!」

貴子「池田ァッ!!」



ダージリン「あちらは大きな声を上げて楽しそうね」

まこ「騒がしい、の方が表現として合う気はするがのう」クスクス

美幸「やだあれもー。このアーリーモーニング、私たちは優雅にお茶を楽しみましょう」

尭深「…………」コクリ

アッサム「そうですね」

オレンジペコ「お菓子もありますので、お召し上がりください」

美幸「どうもありがとう」ニコリ

まこ「わしは煎餅を持ってきたんじゃ。煎餅と紅茶も意外と合うから食べてみ」

ダージリン「あら、ありがとう。いただくわ」

バリボリバリボリ..

オレンジペコ(あぁ……ダージリン様とお煎餅……ギャップがあってこれはこれでまた……///)

ダージリン「美味しいわ、ありがとう」ニッコリ

まこ「どういたしまして」

優希「タコスに合う紅茶はどれだじょ?」

オレンジペコ「タコス……ですか?それは難題ですね……」

ケイ「ユッキー!タコスに合うのは間違いなくこれ!コーラよ!」

優希「ごくごくごく…………っかぁー!シュワシュワがノドに染みて気持ちいいじぇ!」

ケイ「ナイスな飲みっぷりね!」

優希「おかわりだじぇ!」

ケイ「オッケー!何本でもあげるわよー!」ニコニコ

ダージリン「ティーテーブルに紅茶、緑茶、お煎餅、タコス、コーラ。聖グロにはない彩りでなかなか面白いわ」ウフフ

オレンジペコ「ですね」クス

まこ「それにしても……」

ダージリン「?」

まこ「ダージリンさん、あんたええなぁ」

ダージリン「私?」

まこ「その外見、メイド服が似合いそうじゃ。気が向いたら今度うちの店でバイトせんか?」

ダージリン「あらあら。考えておきますわ」

オレンジペコ(ダージリン様がメイド!?そのお店に行ったら、私がダージリン様のご主人さまに……!?そんな大それたこと……//)ゴクリ

アッサム「……何を考えているか見当は付くけれど……残念ながら、染谷さんのお店は雀荘よ」



姫子「仲を深めるコツ……ですか」

優花里「は、はい!是非お聞きしたく…」

ノンナ「成功者に話を聞くのが一番の近道と考えます」

クラーラ「私たちとカチューシャ様の肉体同士の接触を果たすため、ノウハウをご教授いただきたいのです(ロシア語)」

アリサ「わ、私はちょっと興味があるだけってだけで……その……//」

哩「難しいことはなんもいらん」

優花里「と、言いますと?」

哩「大事なもんただ1つ。積み重ねだ」

アリサ「積み重ね……」

哩「2人の時間ば積み重ねることで、自然に愛は育まれる」

ノンナ「なるほど…」

優花里「西住殿と積み重ねる……西住殿と重なる……はぁぁ……///」

哩「そうすれば、鎖と太いのも勝手についてくる」

優花里「く、鎖……?」

ノンナ・クラーラ・アリサ「?」

姫子「部長……っ!アドバイスも素敵です……///」




穏乃「うおおおおおおおおおお!!!!」ダダダダダダダ!

ミッコ「へへっ!早いなぁ高鴨さん!」ダダダダダダ!

ねこにゃー「ま、って……!」タタッ

ももがー「置いて、かないで……」タタタッ

ぴよたん「もう……限界……」タタッ

穏乃「大丈夫です!限界は、もう無理だと思ったそのずっと先にありますから!うおおおお!!!!」

ミッコ「あっはは!確かに!いいこと言う!」

ねこにゃー(サバイバルの話から、体力を付ける方法を教えてもらったところまではよかったけど)ゼェ..ハァ

ももがー(急に実技はキツイ……ナリ)ゼェゼェ

ぴよたん(朝からあの体力……怪物っちゃ)ゼェゼェ



ミカ「♪」ズンチャッ..ズンチャッ..

明華「♪LAAAAAAA~~」

アキ「…………いいなぁ」

恭子「雀明華の歌はテレビ画面越しのアカペラでは聴いたことあんねんけど、こうして楽器と合わさるとさらに良く聴こえるなぁ……カンテレ、やったか?ミカさんの演奏もええ感じや」

漫「わかります。ただ…」

ローズヒップ「♪FUWA FUWAっ! ♪ですわ すわっ!」

漫「あの合いの手がちょっと……」

由子「クソジャマよー」



セーラ「もぐもぐ……あ~、この弁当、めっちゃウマいわー!」

美穂子「ありがとうございます」ニッコリ

浩子「……朝食はこれからですからお腹空くのはわかりますけど、人様にたかるのは問題や思いますよ?」

セーラ「たかるってなんやねん。腹減った言うてたら福路さんがくれたんやんか」

美穂子「私なら大丈夫です」ニコッ

セーラ「いやー、しっかし福路さんは優しくて料理も出来て麻雀も強いとか、完璧やな。うちに欲しいわ」

美穂子「え……っと」

久「あげないわよー」

美穂子「久……?」

セーラ「へっ、わかっとるわかっとる。冗談や」アハハ

久「だったらいいけどね」クス

美穂子「…………///」

未春(………そもそもキャプテンは風越なんだけどなぁ……でも竹井さんが言うのもある意味合ってる気もするし……うーん)



アスパラガス「……しかし、選考に漏れて観戦に回ってしまった大会だったが、なんだかんだ楽しめたざます」

ムール「ですね」

ボルドー「そうだな」

透華「…………」ジーッ

アスパラガス「……龍門渕さん?何か用ざますか?」

透華「い、いえ!なんでもありませんわ!」ササッ

アスパラガス・ムール・ボルドー「??」

透華「………………」

一「透華?どうしたの?」

透華「私が原村和より目立つ方法を思い付きましたわ!」

一「そ、そうなんだ?どんな方法なの?」

透華「……今までの私は、語尾を『ですわ』で生きてきましたわ。でももうそれでは原村和に対抗できませんわ!」

一「な、なるほど。それで?」

透華「BC自由学園のアスパラガスさんからヒントを得ました。私は今後、語尾を『ザマス』にするザマスわ!」

一(『わ』がハミ出ちゃってるけど……)

透華「そうすればホラ!たちまち目立ちまくりザマスわ!原村和を置いてきぼり!オーッホッホッホ!」

一(うーん……『ですわ』は透華の自然な喋り方だから、そこを変えるのはどうなんだろう?ザマスも透華のキャラに合ってなくもないけど……)

一(……ボクはいつもの透華の方がいいな)

ゆみ「1つ、いいか?龍門渕さん」

透華「あら?加治木さん?どうぞ、おっしゃってくださいザマス」

ゆみ「もし今後ザマスを多用していくつもりなら、クリアしなければならない問題が複数ある。まずメガネ選びだ」

透華「裸眼ではダメザマスの?」

ゆみ「ダメだ。裸眼で、しかも中途半端にザマスを使っていると……」

透華「つ、使っていると?」

ゆみ「……ザマされるぞ」

透華「!?」

ゆみ「その覚悟があるなら、使うといい」

透華「ザマされる……?何をされるのかがハッキリしていない分、怖いですわ……リスクが大きすぎるので、ザマスはやめますわ」

一「う、うん!それでいいと思うよ!ボクは普段の透華がすごく魅力的だし、好きだよ!」

透華「あ、ありがとう……///」

一(加治木さん……もしかしてボクの気持ちを察してくれて……?)チラ

ゆみ「………………」フッ

一(ありがとう!)


アスパラガス「………………なぁ」

ボルドー「ん?」

アスパラガス「私もいつかザマされてしまうざますか?」

ボルドー「知らん」



和「昨日の夜、ウサギさんチームのみなさんから聞きました」

杏「んぁ?」

桃子「角谷さんと河嶋さんは主従関係にあるらしいっすね!」

桃「な……なんだと!?ウサギさんチームの連中め……適当なことを言いふらしおって……!」

和「嘘なのですか?デタラメを話しているようには思えませんでしたが……」

桃「デタラメに決まってるだろう!信じるんじゃない!」

桃子「えー……じゃあ角谷さんが戦車に乗る時、河嶋さんが踏み台になったってのも嘘っすかー……」

桃「…………い、いや、それは事実だが」

和「!ではその際、角谷さんが土足だったというのは?」

桃「……事実だ」

和「…………自供しましたね」

桃子「そうっすね。恥ずかしがってただけみたいっす」

桃「ち、違うぞ!確かに踏み台になったのは事実だが、別に主従関係では……」

和「普通なら靴のまま乗られたら怒るか注意するのでは?」

桃「それは……そうだが……しかし会長は軽いし……その……だから……違うったら違うんだ!」

和「落ち着いてください。私たちは河嶋さんたちを尊敬しているのです」

桃「な、何?尊敬だと?」

桃子「そうっす!」

和「私たちには大切に思う人がいます。そしてその人と距離を縮めたいと毎秒思っています」

桃子「目指すは恋人……それがダメなら主従関係を!っす!」

桃「そうか……私を……尊敬……ふふふ」

桃子「……聞いてないっすね」

柚子「桃ちゃん、尊敬されるのに慣れてないから。原村さんたちの言葉が嬉しすぎて、頭がいっぱいになってるんだと思う」

和「意外ですね。生徒会に所属しつつも戦車道で活躍していると聞きましたが」

桃子「ま、いずれにせよ、正気に戻ったらアドバイスしてもらうっすよ」

柚子「2人は……じゅ、従属したい人がいるの?」

桃子「それぐらい好きな先輩がいるっす!」

和「そうですね……従属願望と言うよりは、距離感を限りなくゼロにしたいという想いが強いです」

杏「情熱的だねぇ。ちなみに、距離感を縮めるためにどゆことしたの?」

和「至って普通です。見つめる時間を増やしたり、添い寝したり…」

杏「わっは、ピュアだねー」

和「あ、他にも指切りしたあと、自分の指を登校中に舐めたりしましたね」

杏・柚子「………………」

和「どうしました?」

杏「いやぁ、ちょっとそれは……無いかなー」

柚子「そう、ですね。されて嬉しいことではないかもしれません」

桃子「わ、私はなんとなくわからないでもないっすよ……うん」

和「……3人中2人が否定的な意見……」

和「偶然極まりないですね」

柚子「偶然とかじゃないよ!?運の問題じゃないし!」



カチューシャ「むー……ノンナったら、カチューシャを放ってあんなところで楽しそうにして……シベリア送り10ルーブルに処してやろうかしら。しゅくせーよ」

ネリー「?カチューシャって誰?お金?」

カチューシャ「違うわよ!私のことに決まってるじゃない!大体、『誰』って言っておいてお金なわけ…!」

ネリー「冗談だよカチューシャ。そんなに怒るな」クスス

カチューシャ「まったく!」フン

智葉「カチューシャ」

カチューシャ「今度はあんた?なによ」

智葉「今、シベリア送りがどうとか言っていたな」

カチューシャ「ええ、そうね。カチューシャを寂しがら……じゃなくて、放って遊んでるなんてつみぶかいもの」

智葉「……お前はプラウダの隊長だ。自分の言葉には責任を負わなければならないことは理解しているな?」

カチューシャ「え、ま、まぁ……」

智葉「隊長ならば何を言ってもいいわけではない。お前はノンナを粛清すると言ったが……それはお前自身が粛清される覚悟があって口に出したのだろうな?」ジロリ

カチューシャ「ひぅっ!」ビクッ!

智葉「………………」

カチューシャ「あ、あの……そ、それは……」

ニーナ「ち、違うんです!」

カチューシャ「に、ニーナ……」

ニーナ「カチューシャ隊長の粛清っちゅうのは口癖みだいなもんで!それにシベリア送り10ルーブルってのは10日間補習を受けるってことで……実際にシベリアに行かせるわけじゃねぇんです!」

智葉「……そうか。早とちりして悪かった。この2日間で、ノンナが普段からカチューシャを慕い、尽くしているであろうことはわかった。そんな人間を軽々しく粛清すると聞いて少し腹立たしく思ってしまってな。すまなかった」

カチューシャ「べ、別に……私も……その……そんなつもりないのに、ついしゅくせーとか言っちゃったから……」

ナオミ「でも、辻垣内さんの言い分は正しいね。自分の発言に責任を持つ覚悟は大事だよ。私はいつも気を付けてる。本気で付き合うつもりがない子を相手にする時は曖昧な言葉を使い、断言はせず、期待を持たせないようにしながらも、上手い具合に遊べる距離感を保つようにしてるからね」

智葉・カチューシャ・ニーナ「………………」

ナオミ「……ん?何か間違ってたかな?」

ネリー「いつか訴えられて、お金いっぱい取られちゃうかもね」

智葉「それもまた責任だ」

ナオミ「…………耳が痛いな」ハハ..



ナカジマ「…………」

ツチヤ「……………」

スズキ「……………」

ホシノ「……………」

ナカジマ「なんかさ」

ツチヤ「んー?」

ナカジマ「私たち、客席で応援してたけど、全然喋ってない雰囲気じゃないか?」

スズキ「あー……なんかそんな気がするなー」

ホシノ「割と声上げてたんだけど……」

ツチヤ「ま、楽しめたんだから、気にしないでいいよな。キミたちもそんなに落ち込まなくていいよ」

音子「落ち込んでねーよ。っていうか、俺ら喋ってない感じなのかよ?」

ナカジマ「多分ね」

エミ「……………」

音子「マジか……いや、俺はいいとしても、こいつは西住みほの幼馴染なんだぜ?なのに全然存在感ないとか……可哀想じゃねぇかよ……」

エミ「ち、ちょっと待って。同情みたいなのやめて?普通に『目立ってなかった』でいいじゃない」

やえ「お前ら!肩を落とすのはニワカのすることだ!元気出しなさいよ!」

ナカジマ・スズキ・ホシノ・ツチヤ・エミ・音子「………………」

やえ「……な、なによ、その目は」

ナカジマ「……小走さんに慰められるのってなんか……」

スズキ「うん……」

ツチヤ「3軍の選手が2軍の控えに励まされてるみたいで……」

ホシノ「切ないな……」

音子「あぁ……」

エミ「その……お互い頑張りましょう」

やえ「なんでよ!」



豊音「はー……みんなすっごく上手にラップしてたよねー。私も出てみたかったよー」

白望「トヨネはディスるの向いてないと思う…」

エイスリン「ソノトオリ!」

塞「練習の時、試しにやってみたじゃない。その時も相手のディスで泣きそうになってたし……」

胡桃「あと絶妙にビートに乗り遅れてた」

豊音「うぅ……でもみんなカッコよくて輝いてたよー。ちょーうらやましいよー」

桂利奈「それは私のセリフです!」ザッ!

豊音「へ!?」

塞「阪口、さん?さっきまであっちにいたと思ったらいつの間に……」

桂利奈「姉帯さん、背が高くてスラッとしてて羨ましい!灼さんのアイテムも良かったですけど、姉帯さんは天然でカッコいいです!」

豊音「そ、そんなことないよー。私なんか……」

桂利奈「エヴァみたいです!憧れます!」

豊音「えば…………って知らないんだけど、どういう意味ー?」

塞「そ、それは……」

白望「……モデル体型のこと」

豊音「そうなの?うぅー、恥ずかしいけど……ちょーうれしいよー」

梓「姉帯さんだけではありません!私は小瀬川さんも羨ましいです!」

白望「…………私?なんで」

梓「だって……物憂げでクールだし……なんか……ミステリアスで素敵ですから!」

白望「……ダルいからだらけてるだけ」

梓「そういう返しがまた素敵です!」

白望「………………」チラ

塞「む」ピク

塞(『どう返したらいいかわかんないからフォローして』って顔ね。まったく仕方ない……)

塞「シロは見た目がいいから気持ちはわかるけど、意外とこう見えてだらしない部分も…」

あゆみ「部分と言えば!」ズイッ!

塞「わ、ビックリした」 


あゆみ「臼沢さんの太もも……どうなってるんですか?」

塞「ど、どうって何が?」

あゆみ「肉付きは良さそうなのに、なんか細いし……理想的な太ももです!」

塞「……そ、そう?ありがと」

紗希「……………………」

あゆみ「紗希もそう言ってます!」

塞「そうは見えないけど……ありがと」

エイスリン「サエ、フトモモエロイ!」

塞「ちょ、エロくないから!」

白望「エロいって」

塞「シロまで!」

優季「私はぁ~、臼沢さんもキレイだと思いますけど~、エイスリンさんの小悪魔っぽさに憧れるな~♪」

エイスリン「コアクマ?」キョトン

豊音「エイスリンさんは天使っぽいよー?」

塞「うーん……でもエイスリンさ、落とした消しゴム拾ってもらったくらいのことでも、あのキラキラした笑顔を向けるじゃない?勘違いする子も多そうだからなぁ……小悪魔っぽくもある」

エイスリン「???」

優季「ん~♪この無垢な感じが可愛い~」

ワイワイキャッキャ

胡桃「………………」

胡桃「……うーむ」

桂利奈「鹿倉さん!」

胡桃「っ!な、なに?」

桂利奈「えーと……その……鹿倉さんは……なんか親しみが持てます!それに……そういう趣味の人は多いと聞きます!」

胡桃(嬉しくない!)



穏乃「ふぃ~、ただいまー」

玄「おかえりなさい」

憧「あんたねー、見送りの時まで走り回ってどうすんのよ」

穏乃「盛り上がっちゃったんだからしょうがないじゃん」エッヘヘ

宥「あ、あのね?穏乃ちゃん、私たちに話を聞きたいっていう人たちが来てて……」

穏乃「え?あっ、その人たちは……」

典子「おはようございます!」

妙子「私たちは!」

忍「大洗女子学園の!」

あけび「バレー部です!」

典子「阿知賀女子学院のみなさんに聞きたいことがあります!」

穏乃「聞きたいこと?」

典子「はい!私はバレー部を復活させるべく、毎日を必死で生きています……ですが!未だ復活への道は遠く…」

妙子「そんなキャプテンを支えるのが私たちの役目!」

忍「いつか必ず陽の目を見る!」

あけび「その日を夢見て……頑張ります!」

典子「みんな……ありがとう!」

妙子・忍・あけび「はい!」

憧「途中から質問じゃないし」

穏乃「えーと……それで聞きたいことって?」

典子「あわわ、そうでした!阿知賀女子学院のみなさんは、麻雀部が無い状態から部を復活させ、全国大会の決勝まで進んだんですよね!?」

憧「まぁ、そうね」

典子「私たちもバレー部を復活させて全国を狙いたいんです!今は部員の数も足りなくて、部そのものも存在していない状態ですけど……どうしたらいいのでしょうか!」

玄「うーん……地道に待ち続けるのがいいと思う」

妙子「ま、待ち続けるんですか?うー……体がウズウズしそう」

妙子「カビとか生えちゃうかも……」

灼「まったく動かずにって意味じゃないから…」

玄「憧ちゃんはどう思う?」

憧「んー……全国狙うために何が必要かっていう問いの答えは……やっぱり指導者かな?練習メニューとか練習試合のアポとか大事なことがたくさんあるし。全部自分たちでやるのは相当キツイからね。でもそれ以前に部員が足りないのよね……人を集めるには…………宥姉ならどうする?」

宥「えっ?わ、私?うぅ……その……」

典子・妙子・忍・あけび「」ジィィィィ..

宥「ぁう……えと…………おこたでお鍋……とか?」

典子「鍋……」

宥「みんなで囲んで食べたら……仲良くなれる……かなって」


憧「宥姉っぽいなぁ~。でも実際問題…」

典子「それいいな!なんといっても大洗にはあんこう鍋がある!」

妙子「はい!キャプテン!」

憧「いやいやいやいや!今のはちょっと無し!灼さんは部員をどう集める?」

灼「ん……地道にチラシ撒いたりとかポスターで募集を告知して……それでも集まらなかったら、助っ人を使ってでも、とりあえず練習試合をする。それを見学してもらって、興味を持った子を誘ってみるとか…」

憧「さすが灼さん」

典子「な、なるほど……地道に……」

あけび「高鴨さんはどうしたらいいと思いますか?」

穏乃「うーーーーん…………やっぱり…」

あけび「やっぱり?」

穏乃「根性かな!」

憧「しず~?精神論じゃ部員は…」

典子「根性!」

憧「へ?」

妙子「やっぱり根性でしたね!キャプテン!」

典子「ああ!根性が全てを救う!」

憧「いや、あのー……」

典子「みんな!これからも根性で行くぞ!」

妙子・忍・あけび「はい!!」

典子「アドバイスありがとうございました!根性ーーーーー!!!」ダダダダッ!

妙子・忍・あけび「根性ーーーー!!」ダダダダッ!

穏乃「元気いいなー!私もまた走りたくなってきた!」

宥「………………」

玄「す、すごい人たちだったね」

灼「穏乃が4人いるみたい……」

憧「えっ、それ天国じゃん」

灼「………………」

憧「あ…………い、今のナシ///」



おりょう「お!?忠勝ではないか!」

淡「んぁ?」

誠子「?」

エルヴィン「帰り際に再会できるとは!」

カエサル「やはり名は体を表すというか…」

左衛門佐「主君ではない者に対してもちゃんと見送りをする……やはり出来た人物だ」

淡「ただかつ?え、私?」

カエサル「違う。隣にいるのが忠勝だ」

淡「隣……って」チラ

照「………………」

淡「?テルはテルだよ?ただかつじゃないよ?」

左衛門佐「ソウルネームというやつだ」

淡「変なの」

エルヴィン「何を言う。決して変ではない」

おりょう「本人も気に入ってくれたぜよ」

左衛門佐「だから我々は忠勝と呼ぶのだ!」

誠子「宮永先輩が気に入った?…………そうなんですか?」

照「…………強引に押し切られる形で、最終的に納得せざるを得なくて」

誠子「……なるほど」

誠子(宮永先輩って、物静かな雰囲気と端正なルックスが相まって、あまり気安く話しかけられないタイプだけど……そこを乗り越えてグイグイこられると意外に弱いところあるよなぁ。淡と同じパターンだ)

左衛門佐「その角のように見える髪型も、忠勝の兜と一致している」

淡「……それでただかつって何?揚げ物?」

左衛門佐「忠勝を知らないだと!?」

エルヴィン「戦場で傷一つ負わなかった男を揚げる!?そうやすやすと揚げられると思うな!」

カエサル「一般の人は見たい現実しか見ない、ということか……!」

おりょう「この先の日本はどうなってしまうぜよ……」

淡「??亦野先輩、忠勝って知ってます?」


誠子「ああ。本多忠勝。徳川家康の家臣で、すごく強い武将だよ」

エルヴィン「おお!」

左衛門佐「パンクな見た目に反してなんと日本人的な教養を持っている人だ!」

誠子「いや、だから、短髪で染めてるだけでパンクってわけじゃ……それに大河ドラマでやってたから知ってる程度ですよ」

おりょう「だとしても見事ぜよ」

カエサル「そして釣り好きでもあるキミは、今日から太公望・呂尚だ!」

誠子(宮永先輩もこの流れで名付けられたのか……というか今さらだけど、年下なのに宮永先輩にタメグチってすごいなぁ)

エルヴィン「忠勝も異論はあるまい?」

照「……特には」

カエサル「さすが忠勝!私たちの気持ちを察してくれてるな!」

淡「ねえねえ!私もなんか名前ちょうだい!」

左衛門佐「大星さんか…」

おりょう「なかなか難しいぜよ」

カエサル「!思い付いた!」

淡「ホント!?」

カエサル「ああ!キミはレオナルド・ダ・ヴィンチだ!」

淡「あ、なんか聞いたことある!テルー、わかる?」

照「うん。万能の天才と呼ばれたイタリアの芸術家。モナ・リザの作者でもある」

淡「天才!?やったー!」

エルヴィン「なぜダ・ヴィンチなんだ?」ヒソヒソ

カエサル「……大星さんはロン毛だろう?毛と言えば、と連想していったんだ」ヒソヒソ

エルヴィン「ダ・ヴィンチ……確かに髪は長いが頭頂部はハゲてただろう?他にいなかったのか?」ヒソヒソ

カエサル「そうなんだが……カエサルには薄毛のエピソードがあってな。その繋がりでついポンと浮かんでしまい、つい……」ヒソヒソ

淡「私のことをちゃんと理解してるねっ!ありがとー!」ダキッ

カエサル「わわっ!?」

淡「見る目あるよー!」

カエサル「ちょ、わかったから抱きつかないでくれ!」

エルヴィン(喜んでいるからいいか)フッ

おりょう「しかし昨日も思ったが、忠勝は歴史に造詣が深いぜよ」

左衛門佐「本名は宮永照だったな。まさか農学者、宮永正運の子孫か?」

照「全然違う。ただ、たまに歴史系の本も読むから知ってただけ」

おりょう「素晴らしいぜよ!」


左衛門佐「それなら今度おすすめの本を貸そう!保管場所に困っ…じゃない、大切にしまっておいた本が大量にある!郵送するから住所を教えてくれ!」

照「……別にそこまで読みたいわけではな…」

おりょう「なるほど。本多忠勝が戦国時代より幕末の方が好みとは面白いぜよ。それなら私が貸そう」

照「あ、いや、だから私は…」

おりょう「おっと!住所を教えることを心配してるのは百も承知。居所を隠すのは、闇討ちを避けるためにも必須。わかっているぜよ」

照「そういうわけでは……ただ…」

左衛門佐「なるほど。用心深さも兼ね備えているとは!それならば白糸台に送れば解決だ」

照「あの、本当に…」

おりょう「それがいいぜよ」フフ

照「その…」

左衛門佐「おりょうは興味深い本を揃えているから、きっと忠勝も満足してくれるはずだ」ニコッ

おりょう「到着を楽しみに待っているぜよ」ニコッ

照「………………うん……ありがとう」

誠子(諦めた…………)

誠子(でも、そんなに嫌そうに見えないというか……いつも接する人たちと違う距離感に戸惑ってる感じっぽい)

誠子(宮永先輩に有無を言わさず詰め寄る人なんて、淡以外いないもんなぁ)

淡「えっへへ~!あ、このマントいいなー!」

カエサル「こら、勝手にピラピラさせるな!それにそろそろ抱きつくのをやめてくれ!」

淡「じゃあマント貸して~♪」

カエサル「わかったから!」

淡「やた!」

カエサル「……マントは貸すが、将軍の座は譲らないからな!」

淡「いーよ。いらないから。ほぉー、マントかっこいーなー♪どう?似合う?」ヒラヒラ

カエサル「む。意外と似合う……」

淡「えっへへ~♪でっしょー?」



カルパッチョ「………浮気者」ギリッ..

アンチョビ「お、おい。歯を食いしばってるがどうした?その顔でパスタレードルを握りしめてるのは画的に怖いぞ」※パスタレードル・・・細長い木の突起が複数ついてるパスタをすくうための道具

カルパッチョ「私でさえマントを羽織らせてもらったことないのに……!」ギ..ギ..ギリッ..

アンチョビ「そ、そうか!だったら私のマントをやろう!1日ドゥーチェもやっていい!だから落ち着け!な!?」アセアセ



メグミ「はぁぁ……」

ルミ「どしたのメグミ」

アズミ「年とると早起き辛いってやつ?」

メグミ「違うわよ!寝起きの愛里寿隊長、可愛かったなぁって思い出してただけ!私の年齢でそんなこと言ってたら蝶野さんとか家元とかどうすんのよ」

千代「本当に、どうすればいいのかしらね?」

亜美「是非知りたいわ」

メグミ・ルミ・アズミ「ひッ!」ビクン

亜美「シンキングタイム!テンセカンズ!カッチ、カッチ、カッチ、カッチ…」

メグミ「ち、違います違います!そういう意味じゃないんです!それに諸悪の根源はアズミで…」

アズミ「ちょっと!あんた人のせいにするんじゃないわよ!」

晴絵「あはは。仲がいいんですね」

ルミ「あなたは……麻雀部チームの監督の……」

アズミ「高校時代にインハイで惨敗した…」

晴絵「そこまで遡らずに思い出せないかな?」

メグミ「赤土晴絵さん……昨日は家元とお話していたようですけど、前からのお知り合いだったんですか?」

晴絵「いえ、昨日初めてお会いしたんですけど、島田流の家元だけあって知識は幅広いし、物事の分析も鋭い。戦車道と麻雀でジャンルは違うけど、勉強になることばかりですね」

千代「それは赤土さんも同様ですわ。その若さにして、阿知賀女子学院を全国に導いた手腕、そして戦局を見極める眼力は並外れていますもの」

晴絵「ありがとうございます。でも今回はその戦略を見誤ってしまい、麻雀部チームのみんなには申し訳なく思っていますよ。チーム力では決して劣ってないですから」

千代「そうね。実力のある子ばかりです。キャリアの差を感じさせない強さを見せられました。アッと驚く為五郎という言葉がぴったんこかんかんですわね」

晴絵「…………え?」

千代「あ、いえ、なんでもありませんわ」オホホ..

千代(いけないわ。イマドキを終えた赤土さんでもわからない単語を口に出してしまうとは。もっと気を付けなくてはね)フゥ

晴絵「そういえば、お聞きしたいことがあるんですけれど、実は前に―――」

千代「なるほど。その場合は―――」


アズミ「……………」

アズミ(指導者としての相談トークが始まっちゃった……口を挟める感じじゃないわね)

亜美「ゼロ」

アズミ「え?」

亜美「タイムアップ!あんたたち3人はこのあと居酒屋に付き合ってもらうわよ!」

アズミ「え、ちょっと!?そんな……!メグミ!ルミ!なんでちゃんと謝らなかったのよ!」

メグミ「謝ったわよ!」

ルミ「でも何を言っても蝶野さんが『パードゥン?』しか言わないの!」

亜美「スタンドバイミー!楽しい夜になりそうね!」アッハハハ!



南浦「……やれやれ。ずいぶん騒がしいな」

秋一郎「若者の特権だからな。そう言ってやるな、ポナンザ」

南浦「そのあだ名はやめてほしいと言ったはずです。ヌマシュウ」

秋一郎「ふっ」

トシ「相変わらず仲がよろしいことで」フフ

理事長「蝶野さんたちも盛り上がっているようですが、我々も居酒屋に繰り出すのはどうでしょう?私の方はスケジュールが空いておりますが」

秋一郎「ふむ…………ではそうしよう」

南浦「馴染みの店があります。美味い酒を出す店でね。きっと気に入ってもらえると思いますよ」

理事長「それはそれは。楽しみですなあ。熊倉さんはどうなさいますか?」

トシ「私は生徒たちと一緒に帰るさ」

理事長「そうですか……残念ですな」

トシ「ただその前に、話しておかなければならない子がいるけどね」ボソ

理事長「?」

トシ(大洗女子の河嶋桃…………カッコいいというだけの理由でモノクルを付けているあんたにはきちんと話をつけてやらないとねぇ)

トシ(モノクルを甘く見ると痛い目に合う。そう気付けばモノクルのありがたみがわかるってもんさ)クク



みほ「………………」

みほ(気付いたら、みんな麻雀部の人たちとお話しに行っちゃった)

みほ(私はどうしよう?せっかくだから誰かと…)

咲「あの……」

みほ「え?あ、宮永さん……」

咲「………………」

みほ「?」

みほ(なんだろう?話しかけてきたのに黙っちゃった。何か言いづらいことなのかな?)

咲「私……」

みほ「はい」

咲「しばらくの間、お姉ちゃんとその……話せない時期があって……」

みほ「………………」

咲「そんな関係をどうにかしたくて、頑張って全国大会まで行ったんです……」

みほ「その……それで、結果は?」

咲「……前よりはずっと良くなったんですけど……でもやっぱりまだ気まずくて。今回のバトルに向けた練習でも、模擬戦も出来なくて……」

みほ「……その気持ち、わかります。私、お姉ちゃんと会うのが怖かった時期がありましたから。嫌われたと思ってたし……」

咲「でも西住さんは今、お姉さんとすごく仲良くなったって聞いて」

みほ「そうなんです!すっごく仲良くなって!えへへ……//」

咲「……一体、どういうトリックを使ったんですか?」

みほ「トリックとかそういう手品的なものじゃないんですけど……」


咲「じゃあどうやって……?」

みほ「大きかったのは戦車道大会の決勝で戦ったことですね。ここで全力でぶつかり合うことで、わだかまりが解けました」

咲「そうですか………じゃあインハイを終えて仲良くなれてない私はもう……」

みほ「そんなことないですよ。私がお姉ちゃんと、決定的に太く強く、決して断ち切れない絆で結ばれるきっかけを作ってくれたのは、フリースタイルバトルですから」

咲「!」

みほ「大学選抜戦での共闘でもお姉ちゃんとの仲は深まりましたけど、フリースタイルバトルはそれ以上に大きかったです」

咲「!!」

みほ「普通に話してたら絶対思っても言えないことでも、音が流れるステージの上で、マイクを握ったら自然と口に出せるんですよね。そうやってお互い言葉を交わし合った結果、今までよりずっと濃い関係性を築けました」

咲「すごい……じゃあ私もお姉ちゃんとバトルをしたら……」

みほ「必ず上手くいくと簡単には言いきれないですけど、少なくとも思ってることを言い合えると思います。そうすれば、今よりもっといい関係になれるんじゃないでしょうか?」

咲「………………」

みほ「あ、偉そうなこと言っちゃってすみません!」アセアセ

咲「いえ、そんな!私の方が年下ですし!それに、すっごくいい話を教えてもらいました!ありがとうございます!」

みほ「そ、そうですか?」ホッ

咲「私、お姉ちゃんと本気でバトルするためにどうしたらいいか、考えてみようと思います」

みほ「少しでも力になれたならよかったです」ニッコリ

咲「アドバイス、どうもありがとうございました。では失礼します。あ、またお会い出来る日を楽しみにしてます」ペコリ

みほ「私もです」ニッコリ

咲「」テクテクテク

みほ「………………」

みほ(やっぱり、どこの世界もお姉ちゃんっていうのはツンデレなんだなぁ……)


洋榎「おい、みほ」

みほ「え?あ、ヒロエさん……」

洋榎「なんや呆けた顔して。うちが話しかけるんがそない変か?」

みほ「いえ、そういうわけじゃ」

みほ(私のお姉ちゃんや宮永照さんとまったく違うタイプの姉が来たから驚いただけで)

洋榎「ホンマは昨日の夜に話そ思ててんけど、そういう気分になれへんかって。けど、一晩明けてスッキリしたから帰る前に話しとかんとなぁ、ってな感じでな」

みほ「……私もお話したいと思ってました」

洋榎「そうか。そらちょうどええな」ニカッ

みほ「…………ふふっ」

洋榎「なんで笑うねん」

みほ「いえ、気持ちのいい笑い方というか……素直な人だなぁと思いまして」

洋榎「なんやそれ。ええけど。んで、昨日のバトルはうち負けてもうたけど、あれで終わりちゃうからな?」

みほ「……と言いますと?」

洋榎「勝ち逃げせんといてな、って話や。うちは麻雀、みほは戦車道が本業や。けどフリースタイルバトル大会があったら参加してぇや、ってこと」

みほ「……今後、FSR(フリースタイルロード)の履修者ではなく、私たちに声がかかることがあるんでしょうか?」

洋榎「知らん。けどその時は出ぇや。もっぺんみほと戦いたいねん」

みほ「そうですね……私もヒロエさんとバトルしたいです」

洋榎「おっしゃ、決まりや。これを伝えたかってん。ほな、うちは戻るわ」クルッ

みほ「あっ!あの、ヒロエさん!」

洋榎「ん?なんや」

みほ「……妹さんのこと、好きですか?」

洋榎「あん?絹のこと?」

みほ「はい」

洋榎「好きに決まってるやん。家族やし」

みほ「そうですよね!」ニッコリ

洋榎「?何を当たり前のこと聞いてんねん……ええけど。ほな行くから。またな」

みほ「はい!」

みほ(やっぱりお姉ちゃんっていうのは妹のことが大好きなんだ……うんうん!)

みほ(大会では勝てたし、知り合いもいっぱい増えて、美味しいご飯も食べれた。帰り際にいい話を聞けたし……充実した2日間だった)

みほ(ヒロエさんはああ言ったけど、フリースタイルバトル関係の大会はしばらくないだろうし、これからは戦車道に専念かな)

みほ(3年生が抜けることで、編成とか諸々大幅な修正が必要だし、時間がかかる分、頑張らないと!)

優花里「西住殿。秋山優花里、ただいま戻りましたぁ!」ビシッ

みほ「おかえりなさい」

沙織「そろそろ出発だって」

麻子「そうか」

華「それにしても……これから忙しくなりそうですね」

沙織「うん。華は生徒会長、私とゆかりんは生徒会として頑張らないといけないもんね。みぽりんも隊長としてみんなを引っ張っていかないとだし」

麻子「私も朝起きるのを頑張らないといけない……」


華「ええ。本当に大変です。それに生徒会長として最初のお仕事がまた大変そうで……」

沙織「……最初のお仕事って?」

華「あら?聞いていませんか?」

優花里「前会長や小山殿、河嶋殿からは何も言付かっておりませんが……」

華「ではわたくしにだけおっしゃったのでしょうか?龍門渕さんからお話をいただいたのです」

みほ「龍門渕さんから?どんな話?」

華「今回の大会でフリースタイルバトルに興味をお持ちになったらしく、龍門渕グループと大洗を含む各校の生徒会で協力して、ネット配信のフリースタイルバトルの番組を制作するという企画が動き出しているようです」

沙織「ええっ!?」

麻子「企画がある、ではなく動き出しているのか?」

優花里「なんという行動力ですかぁ!」

華「内容も大方決まっているようです。仮タイトルは『フリースタイルラビリンス』。挑戦者は3人1組のチームでラビリンスに挑み、道を阻むゲートキーパー4人をフリースタイルバトルで倒し、最奥にいるラスボスに勝てば賞金を獲得できるシステムです」

みほ「それ、挑戦者の人数は違うけど、完全にフリースタイルダンジョンじゃ…」

華「龍門渕グループの力か、KODAMAさん(戦車道連盟理事長)の人脈かわかりませんが、その辺りの認可は得ているそうです。挑戦者に年齢制限を設けるなどして差別化を図り、姉妹番組のような形にするとか」

沙織「そ、その番組に私たち生徒会が関わっていくの?」

華「はい」

沙織「……そんなことになったら……」

優花里「はい。責任重大…」

沙織「モテ期が来ちゃうかも~♪一瞬映った私を見てファンになった子から手紙とか送られてきて~!」

麻子「ないだろう」

華「とにかく忙しくなりそうです。頑張りましょう」

優花里「はいっ!職務とあらば全身全霊で取り組む所存でありますぅ!」

沙織「うん、頑張る~♪」

みほ「大変そうだけど、頑張ってね。応援してる」

華「ありがとうございます。あ、そうでした。1つ言い忘れてました……みほさん」

みほ「なに?」

華「みほさんはゲートキーパー役が決まっていますので、頑張ってくださいね」ニコリ

みほ「………………え?」

沙織「すごい!大抜擢じゃん!みぽりんならイケるよ!」

優花里「さすがです西住殿ぉ!」

麻子「む、私にはオファーは無いのか……しかし早起きせずにすむからよしとする」

みほ「ちょ、ちょっと待って?なんか勝手に決められちゃってる気が…」

華「みほさんなら出来ます!」

みほ「後押しが欲しいんじゃなくてね!?私の意見とか…」

華「パンツァー・フォー!!」

みほ「わぁあ!強引!私のセリフ!今期の生徒会は前以上に強引だよぉ~!」

みほ(…………どうやら……)

みほ(これからの日々は、前以上に忙しくなりそう……――――)



おわり



以上です。読んでくれた方、ありがとうございました



エスカマリさん、海月さん、DJ 海藻さん、DJ ペプシコーラさん、Puni23PPKさん、so was Redさん、

バトル用ビート動画のリンクを貼らせてもらいました。ありがとうございました

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