ガヴリール「戻らぬ時間と叶わぬ恋」 (135)

「あのねガヴ……えっと、その……」

夕日のような顔をしてヴィーネが私に何かを言おうとしている
いや、何かというのはおかしいか
これから彼女の口から発せられるであろう言葉はなんとなく分かる
分からないほうがおかしいだろう

「その……ずっと、ずっと好きでした!付き合ってください!」

私の予想は当たっていた
予想は当たっていたのだけど、それが当たったところで何も変わらない
むしろ当たってしまったからこそになんて返すべきか悩むことになる
もちろん私はヴィーネが好きだ
しかし、その好きはヴィーネとは違うものだろう
だから私の返答は

「ごめん……」

これしか考えられなかった


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―――――――――

これは私にとっての恋愛の物語
天使と悪魔、異なる種族間での恋愛だ

そして同時に私の後悔の物語でもある

………

きっかけはヴィーネからの告白なのだと思う

それが直接的な原因なのかは分からないが間接的にこの結末に影響を及ぼしたのは確かだ

あの時に私が自分の気持ちを理解しておればこのような結果にはならなかったのだろうか

もしくは遊び感覚で付き合っていれば……

たらればの話をしても仕方がないか

―――――――――

私の返答は拒否だった

異なった気持ちで付き合うのは相手に失礼だからそこははっきりと断った

「ごめん……もちろん私もヴィーネが好きだけど種類が違う」

「……そっか」

「だから、その……ごめん」

「もう……謝らないで。ガヴが悪いわけじゃないんだから」

「でも……」

「でももだってもないの。ごめんね変に気を遣わせちゃって。今日はもう帰ろっか」

「……そうだな」

断るにおいて私が一番懸念したことはこれからの関係性だ

この告白のせいで私たちの関係が崩れることだけは嫌だった

だから色々と言い訳の言葉を紡ぎ出そうとするのをヴィーネに止められた

顔だけじゃなく目も真っ赤にして泣きそうな顔で言うのだ

話を続けようとは思えなかった

「ほらガヴ起きなさい!」

だけどそこからの関係が変わることはなかった

次の日、ヴィーネは私を起こしに来たのだ

昨日の今日だ、来ないものだと思っていた

関係性の変化は望んではいなかったが流石に今日は気持ちを落ち着かせたかった

だからどちらかというと来ないでほしかった

しかしそれとは別に嬉しい気持ちもある

関係を変えたくないのは私だけではないのだ

ヴィーネも今まで通り私との関係続けたいのだと

今日の行動でそれが分かったのだから

それからは告白なんてなかったかのように私とヴィーネの関係は変化がなかった

私はものぐさであり続け、彼女は私のお世話を続けた

私が真面目になるか彼女が私を見捨てるまでこの関係は続くのだろう

私が真面目になるなんてことは天地がひっくり返ってもあり得ない

また彼女が私を見捨てることも同様にあり得ないのだ

高校を卒業しても大学へ行ってもこの関係は変わらない

私はそう思っていた

………

思い返せばこの時にはもう変化があったのだ

いつからだろう

彼女が私の部屋へ来る頻度が減り始めたのは

いつからだろう

彼女が私の部屋にいる時間が短くなったのは

もちろん今の私には分かる……いや知っているが正しいか

しかし、この時の私はそんなこと何一つ知らなかった

この時の自分の鈍感さを悲しく思う反面よろこびを感じてしまう

この時に気付いていれば何か変わっていたのかもしれない

だけど、この時気付いていれば私の今もないかもしれないのだ

―――――――――

しかしこの関係に綻びが出来始めるのは意外に早かった

高校を卒業し、大学に進学してから綻びが生まれたのだ


私はサターニャとヴィーネはラフィエルと同じ大学に進学することになった

異なる大学だがなんだかんだ近いところにある

だから私たちの仲が薄れることはなく

月に3,4回、つまり1週間に1回は4人で集まっていた

サターニャが企画をし、ラフィエルとヴィーネが大きくする

私はいつも嫌そうな顔をしながらもなんだかんだ皆出会うのを楽しみにしていた

この時にも流石に毎日来ることはなくなったが私とヴィーネの関係は続いたままだった

嫌がる私を無理やり連れだすのがヴィーネの役割で、そのついでに部屋の掃除などをやってくれていた

たまには授業がない日も来て、なんだかんだ高校時代から不変な関係を続けていたのだ

………

皆で集まることをサターニャが企画することに何故違和感がなかったのか

こういうイベントごとに一番乗り気なのは彼女だろうに


彼女はよく私の家に来ていたが、私は一度も彼女の家に行ったことがないのも

高校時代の関係から考えると不自然なはずだ


それをなぜ当然のように、不変であると私は思い続けていたのだろう……

ひとまずここまで

ぼちぼち進めていきます
そんなに長い作品にはならないと思います

訂正
>>10
この時の自分の鈍感さを悲しく思う反面よろこびを感じてしまう

この時に気付いていれば何か変わっていたのかもしれない

だけど、この時気付いていれば私の今もないかもしれないのだ


そう、私たちの関係が壊れるのは意外に早かったのだ

>>11
高校も無事卒業し私たちは大学に進学をした

私はサターニャとヴィーネはラフィエルと同じ大学に進学することになった

異なる大学だがなんだかんだ近いところにある

だから私たちの仲が薄れることはなく

月に3,4回、つまり1週間に1回は4人で集まっていた

サターニャが企画をし、ラフィエルとヴィーネが大きくする

私はいつも嫌そうな顔をしながらもなんだかんだ皆出会うのを楽しみにしていた

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