P「しかし、相変わらず志保はクールだな」

志保「みんなに言われるということは、そういう性分なんでしょうね」

P「俺の魅力では志保の乙女心を揺さぶることはできないか」

志保「10年経ってから出直してきてください」

P「それ、普通は年上が年下に言うセリフだぞ」

志保「プロデューサーさんは渋さが足りません。せめて高木社長のような濃さがあれば」

P「あの人は濃すぎて全身真っ黒だけどな」

志保「確かに」

P「それはそうとして卵焼きがおいしい」

志保「反応を見ているうちに、だんだんプロデューサーさんの好みもわかってきました」

P「俺はおしとやかな美女が好みだなあ」

志保「誰が女性の好みの話をしているんですか。食べ物の話です」

P「はは、わかってるよ」

志保「まったく……まあ、だいたい私の弟と好みが同じなんですけど」

P「へえ、そうなのか」

志保「はい。好きなものも、嫌いなものも」

志保「せめて、あの子よりは早くピーマン嫌いを卒業してください」

P「耳が痛い……」

志保「残さないように、ちゃんと見てますから」

P「悪い顔をしている……」

志保「ふふっ」

P「前から聞きたかったんだが、志保はいわゆるオジサマが好みのタイプなのか？」

志保「べつに、そういうわけではないと思います。ただ、頼りない人はちょっと……と思うだけです」

P「あー、なるほど。渋さがあると頼りがいありそうだもんな」

志保「そんな感じです。だから、まあ……プロデューサーさんも、ギリギリセーフ……だと、思います？」

P「なんで語尾が疑問形なんだ」

志保「答えに迷ったので」

P「そこは迷ってほしくなかったなあ」

志保「くすっ、冗談ですよ。プロデューサーさんのこと、これでも頼りにしているつもりです」

P「本当にそう思ってくれてるならうれしいんだけどな」

志保「……私の言葉、信じられませんか？」（上目遣い）

P「うっ……！」

志保「演技です」

P「おい」

志保「プロデューサーさんは、いい意味で素直なので面白いです」

P「褒められているのかバカにされているのかわからなくなってきた」

志保「私の演技力、上達してきましたよね」ﾆｺ

P「志保の屈託のない笑顔……演技か」

志保「今のは自然体なんですけど」ｲﾗｯ

P「冗談だ」

志保「む……カウンターされた気分です」

P「はは。それはそうと、そろそろレッスンの時間じゃないか？」

志保「あ……本当。もうこんな時間」

P「トレーナーさん、時間には厳しいからな。遅れないようにいってこい」

志保「プロデューサーさんと話していると、なぜか時間があっという間に過ぎてしまいます」

P「相性がいい証拠かもしれないな」

志保「ですね。では、レッスンに行ってきます」

P「頑張るんだぞ」

志保「当然です」

2時間後


志保「戻りました……プロデューサーさん？」

P「ｚｚｚ」

志保（仕事が一段落して休憩していたらそのまま寝落ちしてしまった、かな……）

志保「えっと、毛布は……あった」

P「すぅ………」

志保「……人に頑張れって言っておいて、自分はソファーでお昼寝ですか？　気持ちよさそうな顔して」

P「ｚｚｚ」

志保「………お疲れ様です。プロデューサーさん」ﾌﾌ




志保「それにしても……」ｼﾞｰｰ

P「ｚｚｚ」

志保（寝顔があどけない……好き嫌いじゃなくてこんなところまであの子に似てる）

志保「………一枚だけなら」

パシャッ

志保（撮ったこと、プロデューサーさんには秘密にしておこう）

P「ん………」

志保（っ！　気づかれた！？）

P「……しほ……しゅき……」

志保「」ﾋﾟｸ

志保（今の、寝言……？　私が好きって言ったような……もしかして、私の夢を見てる？）

P「………」

志保「………」ｼﾞｰｰ

P「しほ……」

志保「！」

P「しほんしゅぎ……」

志保「」ｶﾞｸｯ

志保「さっきのは聞き間違いか……なんて紛らわしい寝言」

志保「………まあ。別に。どっちでもいいんだけど」

志保（というか、寝言で資本主義って単語が出てくる夢って……プロデューサーさんの頭の中で何が繰り広げられているんだろう）




P「………ふへ」ﾆﾔﾆﾔ

志保（ニヤニヤしてる……本当になんの夢なんだろう）

志保（私は出てないみたいだけど……）

志保「………」

志保「さっきの写真、ヒゲでも描いてやろう」ｽﾏﾎﾎﾟﾁﾎﾟﾁ

数週間後


志保「………くすっ」

静香「志保？　どうしたの、楽しそうだけど」

志保「あ……ちょっと、写真を見ていて。本番前に見ていると不思議と緊張がほぐれるから」

静香「写真って、なんの？」

志保「えっと……プロデューサーさんの」

静香「プロデューサーの？　………へえ」

志保「どうしたの、ニヤニヤして」

静香「べつに？　ちなみにその写真、私も見ていい？」

志保「………ダメ（こっそり撮ったことがプロデューサーさんにバレちゃうかもしれないし）」

静香「へえ～～」

志保「だから、そのニヤニヤはなんなの……？」

その後


P「志保。なぜかシアター内で俺とお前が付き合っているという噂が流れているんだが」

志保「どうしてでしょう？」

P「わからん」

志保「私もわかりません……」

P「謎だ……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

志保「あ……ピーマン、普通に食べられるようになりましたね」

P「北沢弟に負けるわけにはいかないからな」

志保「ふふっ。なら今度、家であの子と勝負でも――」



おしまい

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
しほすき

つながっていない過去作
北沢志保「私は、デレてなんていませんから」
的場梨沙「CMに出たいわよね」 佐藤心「わかるー☆」
モバP「なっちゃんと水着と夏祭り」

などもよろしくお願いします