シンジ「僕の竿、とっても感度がいいんだ。よかったら試してみる?」 (42)

ゲンドウ「自分用のロッドを買ったのか、シンジ。」

シンジ「うん、釣具屋さんがウキを使わないなら高感度のロッドがいいって勧めてくれたんだ。」

ゲンドウ「そうか…。だが、自分の道具は無闇に人に触らせない方がいい。」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507893908

ゲンドウ「それに、シンジ。」

シンジ「なに?」

ゲンドウ「…お前はまだ初心者だ。ウキをつけて投げサビキにした方が初心者のうちは扱いやすい。」

シンジ「そうなんだ。じゃあ僕はウキもつけるよ、父さん。」

……………………
………………
………
<早川漁港・am09:08>

シンジ「釣れないね…。」

ゲンドウ「ああ。」

シンジ「で…でも、僕は楽しいよ。」

ゲンドウ「そうか。…シンジ。」

シンジ「なに?父さん。」

ゲンドウ「今の生活はどうだ?不都合はないか?」

シンジ「うん、ミサトさんも良くしてくれるし、アスカも…意地っ張りで、生意気で、僕に強く当たるけど…でも本当はきっと優しくて…でも優しくする事に慣れてなくて、まだまだ手探りだけどそんな毎日がいまは楽しいんだ。」

ゲンドウ「そうか。よかったな、シンジ。」

シンジ「うん。………あ、父さん!引いてる!」

ゲンドウ「うむ。」

シンジ「…………。」

ゲンドウ「…………。」

シンジ「餌…取られちゃったね…。」

ゲンドウ「ああ。」

シンジ「残念だったね。」

ゲンドウ「相手のある事だ。そういうこともある。」

シンジ「うん、そうだね。」

ゲンドウ「気を落とさずに続けることが大切だ。」

シンジ「うん。……ねぇ、父さん?」

ゲンドウ「なんだ?」

シンジ「あのさ、僕はこれからネルフに残っても良いのかな?」

ゲンドウ「どうした?唐突に。」

シンジ「実はね、主計局の田村2尉から卒業したら主計局に来る気はないかって言われてるんだ…。ミサトさんからも非公式にだけど他の部局から転籍のオファーがあるって…。」

ゲンドウ「シンジ…。」

シンジ「なに?」

ゲンドウ「実は司令部からも冬月を通して葛城3佐にオファーを出している。」

シンジ「そうなの?」

ゲンドウ「ああ。お前が望むのであれば特務機関ネルフはいずれの部局もお前を歓迎する。」

シンジ「そうなんだ。…ありがとう、父さん。」

ゲンドウ「ああ。」

……………………
………………
………
<同漁港・am11:38>

シンジ「父さん?」

ゲンドウ「どうした?シンジ。」

シンジ「お腹…空かない?」

ゲンドウ「そうだな。」

シンジ「今日も弁当つくってきたんだ。少し早いけど食べようよ。」

ゲンドウ「ああ、そうしよう。」

シンジ「今日はね、前つくったレバーの甘辛煮とネギ味噌巻玉子焼き。あと、他にね豚の角煮と塩むすびも作ってきたんだ。」

ゲンドウ「……そうか。さっそくいただこう。」モニュ

ゲンドウ「うむ…。」カシュ! ゴキュゴキュ

シンジ「あ、父さん…。ビール……。」

ゲンドウ「シンジ…。美味いな。」

シンジ「…ありがとう。嬉しいよ。」

ゲンドウ「シンジ…。」

シンジ「なに?父さん。」

ゲンドウ「やはり葛城3佐は相変わらずか?」

シンジ「うん。やっぱり一日に何本もビール飲んでるよ。…父さんもビール。やっぱりお酒って美味しいのかな?」

ゲンドウ「…いずれ、お前にもわかる。」

シンジ「…うん。」

ゲンドウ「前にも言ったが、お前も早く飲めるようになるといいな。」

シンジ「そうだね。楽しみにしてるよ。」

ゲンドウ「ああ。」

シンジ「…?あれ?」

ゲンドウ「どうした?シンジ。」

シンジ「僕の竿、引いてる…。」

ゲンドウ「シンジ。アタリがあっても強く合わせる必要はない。」

シンジ「う…うん、わかった。」

ゲンドウ「そうだ、それでいい。そして、軽く竿を立てて魚を落とさないようにゆっくり上げろ。」

シンジ「釣れた!釣れたよ、父さん!」

ゲンドウ「アジだな。」

シンジ「初めて釣れたよ、父さん!」

ゲンドウ「よくやったな、シンジ。」

シンジ「うん。父さん、釣りって楽しいね!」

……………………
………………
………
<同漁港・pm16:23>

ゲンドウ「そろそろ撤収するか。」

シンジ「…うん、そうだね。名残惜しいけど…。」

ゲンドウ「これだけ粘って釣果がアジ1匹ではな…。」

シンジ「仕方ないよ。僕、今日のこと学校でみんなに話すよ。」

ゲンドウ「……シンジ、学校はどうだ?」

シンジ「うん、友達もできたよ。ほら、父さんも知ってるでしょ?トウジ。」

ゲンドウ「フォースチルドレンか、聞いている。」

シンジ「他にもたくさん出来たんだ。いつか友達みんなとも釣りに行けたら…いいな。」

ゲンドウ「うむ。」

シンジ「海だけじゃなくて、渓流釣りとかブラックバスとか。」

ゲンドウ「ブラックバスか…。お前が生まれる前はよくやっていた。」

シンジ「そうなんだ。」

ゲンドウ「始発のバスに乗るので朝早くに家を出る。ユイを起こしては悪いと思い、気を遣ってそっと家を出るのだが…帰るといつもユイに叱られたものだ。」

シンジ「どうして?」

ゲンドウ「弁当くらい作らせろといつも叱られていた。」

シンジ「それは母さん、遠回しに自分も連れて行けって言ってたんじゃないかな?…母さん、そんな可愛らしいところがあったんだね。」

ゲンドウ「…………。」

シンジ「…………。ねぇ、父さん?」

ゲンドウ「なんだ?シンジ。」

シンジ「母さんって…どんな人だったの?父さんは前に母さんの墓前で話をした時は今は心の中でいいって言ってたけど…やっぱり知りたいよ。家族のことだもの。」

ゲンドウ「…………。」

シンジ「…………。」

ゲンドウ「ユイとは学生時代に学食で出会った。日替わり定食が私の分で売り切れになってな…。それをユイに譲ったのが出会いだ。」

シンジ「意外だね。父さんも母さんも元は学者だったんでしょ?学会みたいなところで出逢ったのかと思ってた。」

ゲンドウ「人の出逢いなど案外そんなものだ。定食を譲ったのもユイのあの哀しそうな顔にいたたまれない気持ちになったのもあるが、単に私が悪者になりたくないだけだった。」

シンジ「別に父さんが横取りしたとかそんなわけじゃないんでしょ?そんな気に病まなくても…。」

ゲンドウ「そうなのだろうがな、私は不器用だ。どうしてもそう言う些細なことが煩わしくなる性分の様だ。」

シンジ「昔からそうだったんだね。」

ゲンドウ「ユイは…。月並みな表現だがユイはそれまで人を拒み闇しかなかった私の心に光を射し込んでくれた。」

シンジ「父さん…。」

ゲンドウ「私はユイと出会うまで周りすべてが敵だと思っていた。だが、誰も敵ではなかった…。
他人を隔てていたものが、本当は互いを強く結びつけるものだと…それに気づかせてくれたのがユイだ。」

シンジ「…………。」

ゲンドウ「ユイと出会って、それに気づいていたはずだった。いったい私はどこでそれを見失ってしまったのだろうな…。」

シンジ「父さん…。きっと僕たちは、人に好かれるって事に慣れてないだけなのかも…しれないね。」

ゲンドウ「そうだな、シンジ…。お前を見ていて、改めて見失っていた事に気づくことが出来た。心から…感謝している。」





父は選択した


息子と共に 生きていく事を

シンジ「父さん、僕は…。父さんにこの街に呼ばれて…思うところも色々あったけど僕はずっと父さんを見ていた。…そんな気がする。この街に呼ばれて良かったと思う。」





息子は選択した


父と共に 生きていくことを

ゲンドウ「そうか….。」

シンジ「うん。」

ゲンドウ「すまなかったな、シンジ。」

シンジ「……父さん、ありがとう。」

ゲンドウ「ああ、シンジ。ありがとう。」



お騒がせしてすまなかったの

今回のお話はワシが書いてきたお話の風呂敷を畳むためにやった、ぶっちゃけG-セルフ作業もいいとこじゃ
お話の起伏とかはもう全然じゃったのは否定しない

出オチはやりきったと言っとったが
コレ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm19489861?cp_webto=share_iosapp
の5分44秒からを聞いてこのスレタイで書かないといけない気がした

実は書いた人は釣りをやった事が無いのは内緒の話じゃけ

ワシがこれまで書いてきたお話は

シンジ「帰ろうよ、アスカ。僕たちの家に…」

アスカ「だいじょうぶの笑顔。」

シンジ「本格焼豚と海老 生姜八角のきいた香炒飯?」

シンジ「やめてよ、ミサトさんっ!それはっ…僕のおいなりさんだからっ…」

アスカ「シンジ!アンタのソレ、まるでポークビッツじゃない!」

カヲル「シンジくん、僕のここに練乳をかけてくれないか?」

そして最後に今日のお話じゃ



ネタと時間と気合ができればまた何処かで会えるとええの

じゃあの

>>1に聞きたい

シンジ「帰ろうよ、アスカ。僕たちの家に…」

アスカ「だいじょうぶの笑顔。」

シンジ「本格焼豚と海老 生姜八角のきいた香炒飯?」


この間にいったい何があったのか


シンジ「やめてよ、ミサトさんっ!それはっ…僕のおいなりさんだからっ…」

アスカ「シンジ!アンタのソレ、まるでポークビッツじゃない!」

カヲル「シンジくん、僕のここに練乳をかけてくれないか?」

シンジ「僕の竿、とっても感度がいいんだ。よかったら試してみる?」

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