【安価】クリエンテスとパトロヌス (993)



この世界の生物は何かしらの目的を持って生きている。

君もまた大きな目的を持って生きている。

目的の一つをを果たす為、君はこの世界の何処かで動くだろう。


……願わくは長く生き残る事を。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507301000



[戦い方の説明]


2D10(コンマ2桁)で判定し、どちらか好きな値を用いることが出来る。

最初に選んだゾロ目が出た場合、必ず良い結果が出る。
(ティオニクスの場合は偶数ゾロ、22,44,66,88,00)

出た値が自分のGP以上であれば攻撃成功。

同じ場合は、武器の攻撃値だけ相手の闘力を削る。


超えた場合、超えた分を武器の攻撃値に上乗せして、相手の闘力を削る。

超えなかった場合は、その攻撃が防がれたか、空振りした扱いになる。


相手と交互にこれを繰り返し、闘力が0以下になった時や目的を達成した時に勝敗がつく。

……君はいつでも戦う事を放棄することが出来る。



[追記]


簡易戦闘の場合は1D10(コンマ一桁)で判定する。

その結果に応じて、自軍敵軍の負傷度合いを決定。

闘力、TP、GP、特殊技能を含めた戦力差によって有利判定が増える。


[各キャラの寸評]


【ティオニクス】

このスレにおける主人公。
急逝した父に代わり、領地を治める事となった地方領主。
有能な従者が居るが、彼に対して毒を吐く者もいる。


【ルチア】

毒を吐く有能な従者。
ティオニクスと年齢は二つ違うが、経験は段違いだ。
主人であろうと罵倒する事に躊躇いは無い。


【ドミニク】

いつの間にか輪に加わっていた従者。
変装が得意で他人を驚かせるのが趣味。
……ルチアに変装したドミニクは色々やばい。


【ディアナ】

ティオニクスをパトロンにしている銀髪の元弓兵。
パトロンとあるが、ティオニクスといかがわしい事はしていない。
髪型は後頭部に作ったお団子に三つ編みを巻き付けている。

おつ。タイトルはどういう意味?
部下と領主的な意味かね。


―【現在の状況まとめ】――――――――――――――――――――――――――――


・軍神マルスの月 3週 (11/28)

・ルチアの態度が初期より軟化

・ルチアは25歳、ドミニクは27歳

・ドミニクは薔薇を育てている

・アルベルトは土弄りをよくする

・ディアナに頼み込めば「奉仕」してもらえます

・領地東で黒い液体(石油)が発生!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――
/領地特徴/

北―森の一帯 【!】
西―大きな川+
東―農地+ 【!】
南―荒地+++


・水源が豊富
・領民は読み書きが出来る教養を持つ
・作物を育てられる時期
・領地西に途半端な穴が点在 ★
・東南からは攻め易い
・領地の「東と南」に木製の柵が並べてある
・南に旗を等間隔で立てている
・南の領地寄りに櫓を建ててある ★


【!】巣穴に熊の子供が居る (4ターン後から森を徘徊)
【!】黒い液体が地面から湧き出している (8ターンor12ターン以上放置で……)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



~領地の開墾、改善~


「さて、今週も領地に手を加えようか」

「左様でございますか」

「ルチアは南の作業を首尾よく終えてくれたからな。別の仕事も任せたいものだ」

「丁重にお断りします」

「ハハッ、こいつめ。言いおるわ」

「お戯れを」

「……小芝居はこれぐらいにしておこうか」

「何を実行しましょう」

「そうだな……」


……今週は領地の【何処で何を】させようか。


下1~2 選択肢 【東西南北のどれかも指定】


―【選択肢】―――――――――――――――――

①―貯蔵庫を建てる
②―遮蔽物を作る
③―穴を掘る
④―川の水を引く
⑤―目印を立てる
⑥―自由安価

――――――――――――――――――――――

sageチェック外し忘れてました。 これが安価範囲なら下とします

ここは東で穴掘るかなー。まあローマ期で油田の意味と価値が分かるとは思えないが。(一応4Cの中国で燃料として使われたらしいけど)

「西」で「③」



「よし。黒い液体を確認しに行くぞ」

「領主様自ら向かわれるのですね」

「勿論だ」

「本心を言うと?」

「面白そうだと思ったから」

「………」

「冗談だルチア。そんな顔をしないでくれ」

「……左様でございますか」


ルチアは少し呆れた顔をしている。

そんなやり取りをした後、僕達は領地の東へと向かった。



―――――
――



【領地東―農地】


「これは……」

「妙にドロドロとしてて、今まで嗅いだことの無い異臭を放ってるぞ……」

「うっ……気分が悪くなってきた」

「領主様、こちらをお使いください」

「ゴホッ…助かる」


僕はルチアから布を受け取る。

その布で口元を覆うと、呼吸が幾分か楽になった。



「……それにしてもこの液体は何でしょう」

「指に纏わりつく程、粘性のある液体……」

「領主様」

「なんだ? ルチア」

「素手で触るのは止めて下さい。何があるか解りませんので」

「……悪かった。少し軽率だったな」



本当に地面から湧いているのか試しに棒を使ってみた所……。

……突き刺した棒が、見事に全部埋まってしまった。


液体が地面を汚している範囲は狭く、水位は比較的浅い。

どうにかして、これが何かを調べてみたいのだが……。

長時間ここの空気を吸っていると、気分が悪くなりそうだ。



……君は黒く広がる謎の海をどうする?


下1 選択肢+状況判定 (2D10で判定。数値が低いほど結果が悪い)


―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――


①―「……気味が悪い。放置しておこう」 【1ターン放置】

②―「ん? あんな所で野焼きか?」 【広がる炎】

③―「容器に掬い入れて、保管でもしておくか」 【劇薬などに転用】

④―「この粘り、何かに使えないだろうか」 【領地開拓などへ】

⑤―「喉が渇いたな……」 【ルチアに目の前に広がる液体を指さされる】

⑥―「……他の領主に聞いてみるか?」

⑦―自由安価


【※1-4-1。あたり+2、はずれ-3、どちらでもない±0】
―――――――――――――――――――――――――――――――――


【状況判定】   (3+5-3=5  結果……)
――――――――――――――――――――――――――――――


「ん? あんな所で野焼きか?」


別の方向へ目を向けると、火が上がっていた。

周辺に人影が見えないのが気になるが……。


―――



「……えっ」

「まあ」


……何という事だろう。

近くに寄ってみると、燃えていたのは黒い液体その物ではないか。

蒸発した液体の臭いは、風が吹いていない事によって濃密さを増している。

少し頭が痛い。

外れ5じゃないのか……



「こ、この液体は燃えるのか!?」

「……大きな発見ですね」

「だが、しかし……いや!」


僕は初めて見た光景に興奮している。

燃える水など、御伽話でしか聞いた事が無かったからだ。

だが、現実の物として今ここにある!

これは大発見だ.。間違いなく金銭に直結しうる物に違いない!

……そう考えた君はルチアに目配せをして頷いた。



「領主様」

「はは……この液体は使えるぞ!」

「では」

「ああ。周辺に穴を掘って、集積地を作るんだ」

「かしこまりました」


人員は動ける者を6割程かき集めた。

そうして僕達は、呼吸が苦しくなる臭いに苛まれながらも穴を掘る。


その結果――



「ご報告致します」

「うむ」

「【作業中に身体の不調を訴える者】が5名」

「結構出たな……誰と誰だ?」

「【ネームドではございません】故、お答えかねます」

「ねーむ?……なんだそれ」

「あちら側の話でございます」

「……ま、まあいい。【体調不良者の現在は?】」

「空気の良い場所へ移した事により、【回復しました】」

「それは良かった。【後で見舞いに行くとしよう】」

「領主様。【所詮はモブなので構わない】かと」

「何を言ってるんだルチア! 人が倒れたんだぞ?」

「ここで行かなきゃ領主としてどころか、【人間性を疑われるに決まってんだるぉ!?】」

「……では【領主様のご自由に】」


ルチアが衝撃的な事を口にしたので、思わず声を荒げてしまった。

黒い液体は現在深く掘った穴に貯め込んでいる。

これを金に変える方法は……また今度だな。



ティオニクス達が燃える水を発見したのと同時刻。

場所は変わって領地西……。


―――――
――



「では皆さん! 今週もよろしくお願いいたしますね!」

「………」 (ああ…また無休で穴を掘る1週間が始まる……)

「ゴランさん? 返事が無い様ですが……どうかされました?」

「いや、何でも無……ありません」

「そうですか。では張り切ってやりましょうか!」

「……はい」

「…………チッ」


前週から取り掛かっていた作業も、ようやく終わりました。

これも皆さんが頑張ってくれたおかげですね。

もしかしたら、ティオニクス様も私を褒めてくれるかもしれません。

……ふふっ、ご報告する時が待ち遠しいです。



【中間報告】


「ティオニクス様。ご報告致します」

「今週はディアナか……始めてくれ」

「はい!」

「西方での作業が終った事により、【西の川沿い】に【堤防】が出来ました」

「【増水による川の氾濫に】はこれで【対応が出来る】かと♪」

「そんなに大規模な作業だったのか……」

「苦労したんですよ?」

「流石だなディアナ」

「……」

「ディアナ?」

「あっ……申し訳ありません。嬉しくって、つい」

「そうか、ならもう一度言おうか……」

「君のおかげだ。ありがとう」

「……はい!」


彼女はとてもいい笑顔を浮かべている。

その姿は見ている人間の心を、穏やかにする力があるのではないだろうか。……いや、ある。


……。

それにしても、ルチアから燃える水の事を聞かなかったのだろうか?

報告する際に言ってくれても良さそうなものなのに……。



【自由行動】


「ふ、ふふっ……」

「燃える水を旅の商人にでも売れば」

「我が領地の資金不足も改善されるに違いない!」

「ただ……」

「【汚い水を好き好んで買う奴がいるのか】ってところなんだよなぁ……」

「どっか居ないかなぁ……高く買ってくれる人」



君は余暇を利用して何かしらの行動を起せる。

個人の力を求める事や、周囲への働き掛けも出来るだろう。

……君の選択を聞かせてくれ。



下1~3 自由記述+結果判定 〔2D10で判定。数値が高ければ、又は偶数ゾロ目だと結果が良くなる〕

(かなり自由に動けます。ご利用は計画的に)


【結果判定】 〔6+10=16 結果……良好〕
――――――――――――――――――――――


「作業に参加した者は何処に居る」

「見舞いに向かわれるので?」

「そうだ」

「……以前、2人が使った部屋に居るかと」

「ありがとう」


ルチアにお礼を告げた後、僕は聞いた部屋へと足早に向かった。


―――――
――



「ここだな」 

「………」 (自分の家とはいえ、礼儀としてするべきか)


――コンコンコン。

遠慮がちに3度ノックする。

少し遅れて中から返事が響いた。


「ほーい」

「……ティオニクスです。入りますが宜しいですね?」

「構わないだー」

「失礼します」 (妙な喋り……いや、そうでもないか)


扉を開けて中へ入ると、寝台に腰かけている者が数名。

……はてさて、開口一番でどう声をかけたものやら。



「皆様のおかげで作業は完遂出来ました。……深くお礼を申し上げます」

「あたまぁ、さげんでええが」

「いえ、私の不注意でこうなったも同然ですので……」

「かまわんがね。のうなるわけやねし」 (構わんよ。死ぬわけじゃなし)

「…?」

「じっちゃ。領主サマにゃ解らんみたい」

「ほうけ。……しゃあない、だーっとるか」 (そうか。……しょうがない、黙っておくか)


若い男に吐き捨てると、老いた男は途端に黙り込んでしまった。

……若い方は彼の息子か孫だろうか。特徴のある喋り方をしている。



「領主サマ。頭上げてくだせぇ」

「………」

「じっちゃも他のみんなも、別に領主サマ攻める気なんか無いけん」

「気にしないでくれってさぁ。それを言いよんよ」

「……本当ですか?」

「ホントやけ。な? みんな?」


若い男が顔を向けると、皆が同じように首を振る。

訛りが強くて聞き取れない部分もあるが、この男は比較的マシな部類だった。

1人ずつ話して回ると、その事が良く分かったからだ。


……僕の行動は領民に対して概ね良い評価を受けている。

西に作った堤防や、今日の見舞い、熊を討伐した話から伺えた。



「領主サマ。俺らはもう家に帰ります」

「どうかお大事に」

「あっとうよぉ。んじゃのー」

「……」


男達は自分の家へと帰って行った。

……正直、あれで意思疎通が出来ていたのかと不安を覚える。

向こうは話を解っている様子だったが、こっちは相手を理解できていなかった為に。


もう一度会う事があるなら、たぶんその時には今よりも解る……かな?


【結果判定】 〔6+8=14 結果……良好〕
――――――――――――――――――――――


彼らが帰った日とは別の日。

君は書斎にドミニクを呼び、大きな声では出来ない話をしていた。


「ドミニク。少し聞きたい事がある」

「はい」

「領地に湧き出た、燃える水の事でな」

「アレが何か?」

「もし、【燃える水を売る】としたら……どうすれば良いと思う?」

「ふーむ……少しお待ちください。考えを纏めていますので」


ドミニクは顎に手を当てると、目線を下げ考える素振りを見せる。

1分、2分……3分としない内に、彼は顔を上げ君にこう答えた。



↓1~ 君の質問に対するドミニクの返答 【多数決、2票先取】


―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「豊穣神マイアの月(5月)になれば、行商人が来ますので……その時に」 【何の変哲もない方法】

②―「黒ずんで汚いのなら、手を加えて悪い部分を取り除くのはどうでしょう?」 【濾過、精製を試みます】

③―「どうせ売れないのですから、我が領地で使うのは如何です?」 【別事業への転用】

④―「ディアナを通じて、アウクシリア(支援軍)に売りつけましょう」 【燃える水を軍隊へ】

⑤―「あえて、メッサーラ家と交渉するのは如何でしょうか」 【”燃える水”を近隣の貴族へ】

⑥―「アエミリウス家と交渉するのは如何でしょうか」 【燃える水を近隣の貴族へ】

⑦―自由安価


【※3-2-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



今日はここまで。 安価、コンマ範囲なら下とします。

物語に対する【疑問、質問、不満、指摘事項】がございましたら>>1へどうぞ。


次回の更新は 10/14 1100~

               or
             10/15 1100~ を予定しています。


―【お知らせ】――――――――――――――――――――――――――――――

・「結果」が「極端になる」ものは強調表示している事があります。

・燃える水を「農地」や「森」にぶちまけられると不味いです。 炎上=ほぼ壊滅です。

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この文明レベルで精製とかできんのかな
モブ領民に頑張ってもらうしかないか



【過去の質問等への返答、言及】


―【前スレ901】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Q.西に穴を掘って川の水を通せば東の農地まで開墾になるのか?

A.概ねその通りです。順調に行けば計3ターンないし4ターンで完成するでしょう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―【前スレ984】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Q.女性陣というか主力三人がGP4になれば戦力は十分か?

A.物語を終えるだけなら過剰すぎる戦力です。剣闘士の集団や軍隊を相手にするなら全然足りませんが。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―【今スレ>>5】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Q.タイトルはどういう意味?

Aクリエンテス(clientes)は「保護される者」、パトロヌス(patronus)は「保護する者」を意味します。
 地位や権力を使って経済支援などの便宜を図る一方で、
 クリエンテスはパトロヌスに対して様々な事に助力する義務を負ったそうです。
 ……いわゆる「相互扶助」の関係を表しているのではないでしょうか。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―【今スレ>>10】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Q.ローマ期で油田の意味と価値が分かるとは思えないが (一応4Cの中国で燃料として使われたらしいけど)

A.紀元前の話ですが、防腐剤や接着剤として街道整備などに石油(や天然アスファルト)が使われたそうです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―【今スレ>>17】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Q.外れ5じゃないのか……

A.原油をそのまま燃焼させると人体(特に呼吸器)に対して有害な成分(タール)が多い為です。
 >>14の1-4-1内訳 (④-②③⑤⑥-①)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―【今スレ>>36】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Q.この文明レベルで精製とかできんのかな

A.蒸留する発想に至れば出来なくも無いですが、健康被害無しに作るのは不可能と思われます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



彼は顔を上げて君にこう答えた。


「黒ずんで汚いのなら、手を加えて悪い部分を取り除くのはどうでしょう?」

「ふむ。例えば?」

「【液体を濾して不純物を取り除く】、または【蒸発させた水蒸気を集める】など…ですね」

「ドミニク。それを【嫌がらずにやってくれる者】はこの領地に居るか?」

「………」

「領主様のご【命令ならば】、領民や【我々は動かざるを得ません】」

「やってくれるのか?」

「……領主様が【本当にそれをお望みであるなら】」

「……そうか。解った」


彼の出した案に賛同はしたが、実行に移す気はまだ起きなかった。

少し離れた場所で指示を飛ばしていた君でさえ、気分を害する臭気なのだ。

健康被害が作業従事者に出るのは間違いないだろう。



書斎を離れた君は中庭へと足を運ぶ。

名前も知らない花が並ぶその場所に、とても珍しい人物が居た。

……元奴隷のゴランだ。


「…! ティッ……領主様。何か御用ですか」

「や、少し気分転換にな」

「そうk……ですか」

「ところで君は何故ここに?」

「……領主様と似たようなものです」

「暇なら、私と話をしないか?」

「………話?」

「嫌ならいいんだ」

「……」


ゴランは否定も肯定もしなかった。

だがその場を去る事を選ばなかったので、会話をするという事で良いのだろう

……僕はまだ彼をよく知らない。それを踏まえて何を喋るべきか。


下1 選択肢+印象判定 (2D10で判定。数値が低いほど結果が悪くなる)


―【選択肢】―――――――――――――――――――――――――――――――


①―「私はここに咲く花が綺麗だと思う。君はどうだ?」 【無言】

②―「仕事に不満はあるか?」 【驚いた様な顔】

③―「実は君にしか頼めない事がある。聞いてくれるか?」 【訝しむ顔】

④―「ここの食事は君の口に合うか?」 【素っ気ない返事】

⑤―「ふぅ、それにしても喉が渇くな」 【チラチラ見る】

⑥―「今は平和だ。こうしてのんびりできる事に、私は喜びを感じる」 【歯ぎしりの音】

⑦―自由安価


【※1-2-3。あたり+2、はずれ-3、どちらでもない±0】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【印象判定―ゴラン】   (6+7+2=15  感触……大変良好)
――――――――――――――――――――――――――――――


「仕事に不満はあるか?」

「……!」


僕がそう口にした瞬間、ゴランの表情は大きく変化した。

考えていた事を見抜かれたと言わんばかりに。


「その反応……何かあったようだな」

「……はい」

「差し支えが無いならで良い、教えてくれるか?」

「その……労働が辛いので、休みをもっと頂きたいです」

「休みを?」

「はい。2週間続けて穴掘りをしたので、しばらく働きたくは……」

「……」


……どうも妙な話だ。

人員編成はルチアとドミニクに任せている。

彼等が選択を誤るとは思えないのだが……。



「そんなの無理ですよね……」

「ふむ……ならば、2日間労働を免除しよう」

「えっ!?」

肩を竦めていた彼は目を大きく開き、こちらに凄い剣幕で聞き返す。

それに対して『嘘じゃ無い。2日間の自由を君に与えよう』ともう一度繰り返した。


「あ、ありがとうございます!」

「ドミニクには私から言っておこう。ゆっくりと休め」


甘いと言われればそれまでだが、労働を放棄されても困る。

……さて、事情を説明する為にドミニクの元へ向かうとするか。


―――――
――



「と言う訳だ」

「………」

「今日から2日。ゴランはしばらく好きにさせてやってくれ」

「本当に良いのですか?」

「何がだ?」

「【領主様が善意を向けても】、彼が【それに付けあがる可能性だってある】のです」

「大袈裟だなぁ」

「領主様!」

「……ドミニク。労働意欲が無いなら、いっそ休ませた方が使い易いだろう?」

「申し訳ありません。……少々出しゃばり過ぎました」

「別に構わないさ」


ゴランの労働免除について、ドミニクに話すと彼は声を荒げた。

忠告は有り難いが、どうにも厳しすぎる気がしないでもない。


……僕は彼のそういう所を評価しているが、あまり好きじゃない部分でもあるなと思った。


―――――
―――


自室に戻った君は溜息を吐く。

精力的に動いたは良いが、グッとやる気も下がった。

大きな問題が出ない内に、残っている細かなものは片付けておきたい。


(心労が溜まる事は極力避けたいなぁ……)

(……今日はもう寝るか)


君は柔らかい寝台の上に横になり大きく息を吐いた。



下1 闘力+TP回復 (2D10で判定)

下2 夢を見るか (2D10で判定、目標値は【18以上】)



【現在値】――――――――――――――

【地方領主 ティオニクス】 男

―36/36 闘力
―05/10 GP
―22/22 TP↑
―60/100 ?   .〔100→60〕

【自然回復】 (4+1=5)
――――――――――――――――――

【ティオニクスの従者 ルチア】 女

―45/45 闘力
―05/10 GP
―35/35 TP
――――――――――――――――――

【影薄き従者 ドミニク】 男

―46/46 闘力↑
―05/10 GP
―38/38 TP↑
――――――――――――――――――

【銀嶺の従者 ディアナ】 女

―40/40 闘力↑
―05/10 GP
―32/32 TP
――――――――――――――――――



君は深い眠りに包まれている。

……今日もかなり疲れていたようだ。




【軍神マルスの月 4週】 (12/28)


「ご報告いたします」

「領地【東にて燃える水を発見】。集積地一帯を【油田と呼ぶ事に】しました」

「続けてくれ」

「はっ。【西の川】を沿うように【堤防が】出来ました」

「これによって、雨で【増水しても被害を軽減できる】でしょう」

「他は何かあるか?」

「はい。【もう1点】ございます」

「何だ?」

「【ゴランの機嫌がとても良い】そうです」

「……そうか、それは良かった」


ゴランの働きぶりは、周囲から相当良い評価を受けているらしい。

元々ポテンシャルは高かったのが、重なる疲労によって上手く発揮できなかったのだろう。

これで彼は、我が家に対してより貢献してくれる筈だ。


【ゴランの闘力、TPが+3点上昇! 特殊技能「再起」を覚えた!】

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
/領地特徴/

北―森の一帯 【!】
西―大きな川+
東―農地++
南―荒地+++


・領地北―熊の巣穴
・領地西―堤防
・領地東―柵(木)、油田
・領地南―柵(木)、旗(太陽)、屋敷寄りに櫓

・水源が豊富
・領民は読み書きが出来る教養を持つ
・作物を育てられる時期
・東南からは攻め易い


【!】巣穴に熊の子供が居る (3ターン後から森を徘徊)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



領地に忍び寄る妙な輩が居るやもしれない。

平和であっても気を抜くべきでは無いだろう。

周辺で不穏な動きがあれば、直ぐに対処すべきだ。


……では、第12ターンの行動を聞こう。君は何をする?


下1~2 選択肢

―【選択肢】―――――――――――――――――――

①―領地の開墾、改善
②―人材発掘
③―自己学習
④―ドミニクに相談する
⑤―近隣の領主に助けを求める
⑥―自由安価
⑦―人材派遣

※【ゴランが持つ再起は過去の物と”ほぼ”同一です】
――――――――――――――――――――――――



~人材派遣~


「領地北に向かい、熊を掃討する」

「人員の編成は如何致しましょう」

「意見は参考程度に。後はいつも通りで頼む」

「ははっ」


前回と同じにするか、それともまるっきり変えるとするか。

体感で誰が良いのかはもう解っている。後は状況や相手によって変えるだけだ。



↓1~ 人員編成 【2票先取】

―【選択肢】―――――――――――――――――――

①―領主、従者、従者、教徒、領民、奴隷
②―領主、従者、従者、教徒、領民、領民
③―領主、従者、弓兵、教徒、領民、奴隷
④―領主、従者、教徒、領民、領民、奴隷

※従者 ― ルチア、ドミニク
※弓兵 ― ディアナ
※領民 ― モルドー、アルベルト
――――――――――――――――――――――――

【職種が同じ場合、基礎能力が高い方を優先的に選出。ただしルチアは例外で最優先される】



◆現在の人員……8名 (領主含む)

◆明確な戦力……5名 (ルチア、ドミニク、ディアナ、ミリス、ティオニクス)


―【キャラシート】―――――――――――――――――

【地方領主 ティオニクス】 男

―36/36 闘力
―05/10 GP
―22/22 TP
―60/100 ?


【特徴】

真面目な青年
不安に駆られる事が多く心配性
信用を得やすい
運が良い (偶数)

――――――――――――――――――――――――

【ティオニクスの従者 ルチア】 女

―45/45 闘力
―05/10 GP
―35/35 TP


【特徴】

一人でも身を守れる
主人に対して躊躇いなく毒を吐く


【特殊技能】

「猛追」、「挑発」、「征伐」、「替玉」
――――――――――――――――――――――――

【影薄き従者 ドミニク】 男

―46/46 闘力
―05/10 GP
―38/38 TP


【特徴】

糸目
微笑を絶やさない
存在感が希薄


【特殊技能】

「追撃」、「替玉」、「逃走」、「気配遮断」、「挑発」
――――――――――――――――――――――――

【銀嶺の従者(弓兵) ディアナ】 女

―40/40 闘力
―05/10 GP
―32/32 TP


【特徴】

垂れ目
桃尻
後頭部に束ねた銀髪


【特殊技能】

「追撃」、「狙撃」、「征伐」、「逃走」
――――――――――――――――――――――――


―【キャラシート】―――――――――――――――――

【ミトラ教信者 ミリス】 男

―42/42 闘力
―05/10 GP
―31/31 TP


【特徴】

神への絶対的服従
妄信癖


【特殊技能】

「祈り」、「征伐」
――――――――――――――――――――――――

【領民 モルドー】 男

―35/35 闘力
―06/10 GP
―17/17 TP


【特徴】

癖のある髪の毛
力自慢

――――――――――――――――――――――――

【奴隷 ゴラン】 男

―34/34 闘力
―06/10 GP
―18/18 TP


【特徴】

短く刈り込まれた髪
生への執着


【特殊技能】

「再起」
――――――――――――――――――――――――

【気弱な領民 アルベルト】 男

―25/25 闘力
―07/10 GP
―13/13 TP


【特徴】

身長が高い
物覚えが良い
ノミの心臓


【特殊技能】

「企図」
――――――――――――――――――――――――


―【特殊技能】――――――――――――――――――――――――――――

※「征伐」(せいばつ)

・自分と他数名を引き連れ、近隣の敵勢力に攻め込む。
・戦闘で死亡判定が無くなる。戦力差に応じて有利判定が増える。
・消費TPは「TPの最大値分」


※「狙撃」

・遠方からの射撃によって敵を射貫く。
・自軍の有利判定を問答無用で一つ広げる。
・消費TPは「最大TPの半分」


※「企図」(きと)

・これを所持する者が判定に関与するとき、「微~少量の+修正が働く」。
・ブレ幅は主導者のやる気に大きく左右される。
・消費TP「5点」


※「猛追」

・攻撃判定を3D10で行う。二刀闘士以外であっても、3つ全てで攻撃を行う。
・それぞれの判定に「+1」の修正を加える。
・自分の攻撃判定が「GP以下」だった場合、更に「+1点」の修正を加える。
・TP消費「8点」


※「再起」

・闘力が「0点」を下回ると自動使用。
・消費TPは「現在値の全て」。
・これを持つ者は、他より優先して負傷する。
・「使用した戦闘終了時」に「闘力、TPの最大値を【20%】永久的に減少」させる。


※「逃走」

・戦闘中であってもその場から逃げる。
・消費TP「0点」


※「替玉」

・他者に変装して成り代わる。
・変装の出来は自身の顔に特徴が無い程高くなる。
・消費TP「10点」


※「気配遮断」

・空気と同化して自身の気配を消す。
・1対1の時は身を隠してからでないと使えない。
・消費TP「6点」
――――――――――――――――――――――――――――――――――



「今回は……」

「ルチア、ディアナ、ミリス、モルドー、ゴランの5名に加えて僕が出る」

「領主様も出られるのですか」

「復帰して早々に、ミリスが怪我をしてもらっては困るからな」

「左様でございますか」

「ああ」

「では支度を」

「うむ。屋敷を頼んだぞドミニク」



子供と言えど野生動物の力は恐ろしい。

親熊がこの時期に徘徊していたのは、食料が尽きたからか。

人間を餌にする可能性があるというならば排除すべきだろう。

……これも僕達が生きる為には仕方のない事だ。


討伐隊を編成した僕は、北の森へと向かった。



~領地北 道中~


「今日は前と同じ面子か。何と言うか……【代り映えがねえ】よな」

「……。私としては適切な人員を選んだつもりですが」

「あー悪い悪い。【人脈、人望が無いんだな】とか、【そういう意味で】アンタを【攻めた訳じゃない】ぜ」

「本当ですか?」

「疑っても何も出やしねえって」

「…解りました。そういう事にしておきます」


モルドーはこちらの編成に口を挟んだ。

戦力は問題ない筈だが、何が気に入らないのだろうか。

……僕の考えすぎか?



「領主様。寒くはありませんか」

「ん? 今は……然程でも無いな」

「そうですか。不調を感じたら何時でも仰って下さい」

「あ、ああ」


表情こそ変わりはしないが、ルチアの行動から優しさが垣間見える。

……何か彼女の心境が変わる事があったのだろうか。


「領主様」

「……なんだ?」

「今のお顔は凛々しく見えます」

「きゅ、急にどうした?」

「なので、普段も気を張った顔をして下さい」

「…………」

「どうされましたか? 脱力するにはまだ早いですよ」

「誰のせいだよ……」


やはり、人の態度はそんな急に変わるものじゃないようだ。

現にルチアは、僕を貶して微笑を浮かべているのだから。



僕達はお互いに付かず離れず歩いている。

聞こうと思えば、話している内容を聞き取れなくもない。

ほら、こうやって耳を澄ませば……



「……ディアナ。領主様に対する言葉遣いを正して下さい」

「えっ? でも、私はティオニクス様から直接許可を……」

「ふぅ」

「な、なんですか。その反応は」

「他者に示しが付かない言動を、貴女は理解出来ますか?」

「…私がそうだと?」

「はい。貴女は領主様に対して馴れ馴れしいです」

「ルチアさんだって、そうじゃ……」

「貴女とは年季が違いますから」

「………」 (言ってる事が無茶苦茶です……)

「ポッと出て来たような方では、私と領主様の問答を理解できると思えませんし」

「……」 (えぇ……ルチアってそんな風に捉えてたの……?)


ルチアがディアナに難癖を付けてるのが耳に入った。

まるで嫁いだ先に待ち構えている、厭味ったらしい義母のようだ。


……僕は彼女達の話を聞く事を止め、歩く事に集中した。



「見つけたぞ。巣穴だ」

「領主様。私とモルドーさんで見てきます」

「よし、頼んだ」


―――



横に広がった木の根元に、ディアナ達は息を潜めて踏み入る。

辺りには獣臭が漂っている。

……間違いなく熊はここに居るようだ。





―【戦力差】―――――――――――――――――

【闘力】    自(245)>敵(140)

【GP】     自(29)>敵(6)

【TP】     自(164)>敵(0)


◆自軍有利判定を【3つ】追加!
――――――――――――――――――――――



↓1 戦闘判定

【コンマ2桁それぞれで判定。討伐以上が出れば打ち止め】


―【結果表】――――――

1.自軍負傷
2.重傷
3.討伐
4.重傷
5.討伐
6.重傷
7.討伐
8.重傷
9.重傷
10.討伐


・軽傷2回=重傷
・重傷2回=討伐
・討伐2回=殲滅
―――――――――――


―――――
――



「これは…! 思ったより美味しいですね!」

「へへっ……そうだろ? 鮮度が落ちない様に血を抜いて、処理すればこんなもんよ」

「確かに美味しいけどさ……」

「どうした? 領主さんよ」

「……何も巣穴の前で調理しなくてもいいだろぉ!?」

「ガツガツガツガツ」

「ムシャムシャムシャ」

「ガツガツ……主よ。食べないのですか? 食べないならば私が処理しますが」

「いや……うん食べるさ。食べるけど……」

「残ったら、家に持ち帰れる様にしてやるからな」

「……ありがとうございます」


あろうことか、僕達は森で焼き肉と鍋を行っている。

モルドーが熊を捌いてくれたおかげで、かなりの量が食べられそうだ。

肉以外にその辺に生えていた茸を入れているのはちょっと止めて欲しいのだが……。


……いや待て!

それ以前に、なんでルチアは鍋を持ってきている!? それが一番おかしいだろ!



熊を討伐した事によって領地の平穏を取り戻した。

これで僕も、枕を高くして眠る事が出来る。

……たぶん出来る筈だ。出来るよね?


【熊を討伐した事によって領地の北側が安全になりました】



~自己学習~


「ルチア」

「はい。ここに」

「平穏な今だからこそ、僕は強くなりたい」

「………」 (領主様は私にいつも頼ってくれる……)

「どうした?」

「いえ、何も」

「……まあいい。僕は強くなる為にどうすれば良いだろうか?」

「そうですね……」



私は領主様の問いに思考を巡らせました。

野心が無い領主様は見ていて面白みが無いので、私はこのような提案をしようと考えています。

……ふふっ。一体どれを選べば良いのでしょうね。


↓1 選択肢


―【選択肢】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―近隣の有力貴族にご挨拶 (外交活動を実践)

②―油田と川の水を使ってマッチポンプ (別領地を放火。消化活動に協力した後、その土地を買収)

③―私といつものトレーニング (領主様のやる気は……)

④―ご先祖様にお知恵を借りましょう (自由安価)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【物騒な字面ばかりですが問題はありません。全て能力値などが上下する選択肢です】


【ルチアの提案】 (別領地を放火。消化活動に協力した後、その土地を買収)


領主様は私をじっと見つめています。

……なんだか少し照れますね。


「では、油田と川の水を使って【領地拡大を図りましょう】」

「…え?」

「ですから、燃える水を使って……」

「いやいやいや待ってよ! 強くなりたいとは言ったけどさ!?」

「何か問題でも?」

「あるよ! 大ありだよ! 僕が言ったのは権力的な意味じゃないからね!?」

「それに、ルチアが言った単語からは、不吉な事しか連想できないんだけど!?」

「まあ。心外です」


彼女は一体何を意図して、そんな事を口にしているのか。

……うう、どうにも嫌な予感しかしないぞ。



「その意見は却下だ!」

「少しお待ち下さい。領主様」

「……なんだ?」

「歴史的にも、放火を行って【合法的に土地を取得している者が存在します】」

「誰だよ…そんな非常識な奴……」

「皇帝です」

「は?」

「【我が国の皇帝】です」 (……歴代のですが)

「え…えぇ……」


ルチアの【提案】は、【過去にやった者と同じ手法を取ろう】という物だった。

今と【状況が違う所】を上げるならば、【人口密集地では無い】ので【炎上させるのは容易い】という事か。

………。

それってバレたらヤバイし、影や遮蔽物が無いから露見しやすいんじゃ……。



「領主様。考えを改める気持ちにはなりましたか」

「いや、 誰が好き好んで犯罪を犯すんだ。あり得ないし」

「……【バレなければ犯罪ではありません】よ?」

「むっそうか、なら……」

「…なら?」

「……ってやる訳ないだろ!」

「ふふっ」


なかなか首を縦に振って貰えませんね。

慎重な領主様でも納得頂ける言葉を考えなくては……。


↓1 ルチアの選択


―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「要は、放火した後の事後処置さえしくじらなければ良いのです。解りますか?」 【諭す】

②―「領主様は臆病ですね。……ああ、弱小領主のままで一生を終える気ですか。それならば仕方ありません」 【罵倒】

③―「領地を拡大すれば、領民の繁栄に繋がるやもしれませんよ?」 【煽る】

④―(ここは、領主様のご先祖様方にお知恵を借りましょう) 【自由安価】


【※1-1-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ルチアの提案】 (諭す……あたり)


「要は、放火した後の事後処置さえしくじらなければ良いのです。解りますか?」

「いやでも……」

「それにただ焼くだけではありません。【森を焼く】のです」

「も、森を?」

「はい。その燃えカスである【灰は肥料となり、作物を育てるに適した農地になります】」

「ほう」

「廻りまわって住民も富む……そう説得すれば、彼らも火を付けるのをむしろ受け入れる事でしょう」

「真の狙いは、焼いた後の【農業振興と人身掌握】」

「………!」

「……如何でしょうか、悪くはないと思いますが?」ニコリ

「むむむっ」


領主様は私の説明を聞いて考え込んでいます。

確かな手応えを感じたので、後は領主様がどう返事するかですが……。



「よし解った。放火するのを許そう!」

「ご理解頂けたようで」

「ああ。それだけの理由があるなら、僕は何も言わないからな」

「ありがとうございます」

「うむ!」


ルチアは背を曲げて丁寧に一礼をする。

顔が隠れる直前、口角が吊り上がっている様にも見えたが……。

……たぶん気のせいだな。



「理解を得たついでに一つ。……提案してもよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「この行為は【放火】ではなく【焼き畑】と呼んで頂きたいのです」

「確かに外聞が悪いしな……よし。そうしようか」

「領主様に感謝を」


ルチアは微笑を浮かべている。

僕は本題に入る為、眺めるのをそこそこにルチアへ話を振った。


「……それで? 何処をどうやって焼く?」

「幾つかございますので、領主様に決めて頂きましょうか」

「ん。言ってみろ」


私が領主様に提案する内容は何が良いでしょう。

……全く、選択肢が沢山あるのも考え物でございますね。



↓2 ルチアの意見   【大きな分岐】


―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「北東の森続きにある村を盛大に焼きましょう」   【髪の色が違う双子とそれに寄り添う女性】

②―「メッサーラ家の近くで火を……」   ティオニクス「えっ」   【栄光ある訓練士】

③―「南東の集落で火を放ちませんか?」   【残された賊】

④―(ああっ無理無理!領主様のご先祖様。……どうか私にお力を!) 【自由安価】


【※1-1-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

こんなに人が残ってたとは……お手数ですが、多数決で再投票願います

ここから↓2票で決定


【ルチアの意見】 (残された賊……どちらでもない)


私が選択したのは南東。

……毒にも薬にもならぬ場所でした。


「では、領主様。【南東の集落】で火を放ちませんか?」

「南東だと? そこを選ぶ理由はなんだ」

「……【賊が群れていると聞いた】ので」

「えっ、まさかそんな……何時の間に」


この情報は初めて聞いたのか、領主様は大層驚いています。

無理もないでしょうね。ドミニクやディアナも知らないのですから。



「賊だけが集るその場所は、誰も寄り付かない不毛な場所」

「……領主様でも、躊躇いなく焼き払える事でしょう」

「まさかそこに居る人間も焼く……のか?」

「……。ご想像にお任せします」

「………」

「では私はこれで。失礼致します」


話が終るとルチアは部屋から出て行った。

彼女が途中に見せた 「賊にかける慈悲など無い」 という顔が、今も僕の脳裏に焼き付いている。

……無残な遺体が見つからない事を祈っておこう。



【中間報告】


「ご報告……致します」

「元気が無いな。どうした? ドミニク」

「いえ、大した事ではありません……」

「気になるから言ってくれ」

「……先日、燃える水を撒いて【焼き払った場所の事】です」

「南東か?」

「はい。事後調査で私が領民を数名率いて向かった所……」

「集落跡地にて【2名の遺体】が見つかりました。事前の情報通り、賊ではあると思いますが……」

「ドミニク。その遺体を見つけた時、どんな姿だった?」

「……【首を絞め合う様な格好】に私は見えました」


……予想は的中した。

ルチアが遠慮なく集落を焼き払ったのだろう。

命令した本人がこう思うのは筋違いかもしれない。

生前に犯した罪の程度も知らない相手だが、それでも彼等の冥福を祈りたい。

……死後は安らかであれ。


【おめでとう。君の所有する領地は広がった】



【自由行動】


「……ドミニクには短い暇を与えた」

「嫌なモノを見て気分を害しただろうし……」

「……ふぅ」

「今度から僕が最期の確認をするべきか」




君は余暇を利用して何かしらの行動を起せる。

力を求める事や、周囲への働き掛けも出来るだろう。

……君が選ぶ道を聞かせてくれ。



下1~2 自由記述+結果判定 〔2D10で判定。数値が高ければ、又は偶数ゾロ目だと結果が良くなる〕

(かなり自由に動けます。……ですが、ご利用は計画的に)



今日はここまで。 安価、コンマ範囲なら下とします。

物語に対する【疑問、質問、不満、指摘事項】がございましたら>>1へどうぞ。


次回の更新は 10/26 1900~

               or
             10/27 1900~ を予定しています。


―【内容公開】――――――――――――――――――――――――――――――

>>76の登場人物

①―シャド、ライト、ラディー
②―バシクス
③―①が最後に討ち漏らした野党の集団

・【あたり、はずれ、どちらでもないの内訳。①―②―③】

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【結果判定】 〔8+9=17 結果……大変良好〕
―――――――――――――――――――――


「なあ、ルチア」

「なんでしょう」

「【北東の村】は、誰かの支配下に置かれていたりするか?」

「いえ。現在は【何処にも与しておりません】」

「そうか……」

「それがなにか?」

「【有能な人材が居るなら】向かおう、と思ってな」

「……ああ。なるほど」


ルチアは目を細めて言葉を返す。

現状を理解しているからこそ、薄い反応で済むのだろう。

……そう思いたい。



「今から向かわれますか?」

「行けるならな」

「では、支度して参ります。外でお待ちください」

「解った」


僕達は、森に囲まれる北東の村へと向かった。


―――――
――


――――――――――
   〈牧歌的な村〉
――――――――――


「ここが北東の村か」

「はい。間違いありません」

「ふむ……」


村に入った瞬間、君は妙な懐かしさを覚えた。

だが……周辺は今、静寂に包まれている。

人の気配があまりしないのは何故だ?



「住民は居ない……のか?」

「確かに見回せど、どこにも見当たりませんね」

「家屋はあるんだ。【尋ねてみよう】か」

「そうですね」


 「………」



僕達は建物に近づく。

……それは君から見て、どんな建物だった?


↓1 君の選択   【些細な分岐】


―【選択肢】―――――――――――――――――――――――――


①―墓標が近くにあった

②―村にしては大きかった

③―何気なく見た窓に人影があった

④―目に映るは君が望むまま 【自由安価】


【※1-1-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
――――――――――――――――――――――――――――――


【瞳に映るモノ】 (窓に浮かぶ人影……どちらでもない)


――コンコン。


「誰か居ませんか」


―――コンコンコン。


「私はティオニクスと申します。何方か居ないでしょうか」


――――コンコンコンコン。


「……駄目か。何も反応が無い」


君が諦めて離れようと後ろを向いたその時――



――ガチャッ、ギィー。


木製の扉が開かれた。

君がさっきまで叩いていた扉が。


「……何者だ?」

耳に入る声は若い女性のものだった。

振り返って姿を確認すると、鋭い目がこちらを捉えている。



「!」 (うっ……なんだ? この威圧感……)

「……と、突然の来訪で申し訳ない。私はこの近辺で領地を治めている……」

「ティオニクスと、従者のルチアでございます」ペコリ


溜めてから言おうとしたのに、ルチアがさっさと言ってしまった。

……こういうのは第一印象が大事なのに…。



「続けて聞こう。貴様達は此処へ【何をしに来た?】」

「我が領地で手腕を発揮して頂ける【人材を探しに】」

「……そうか、済まなかった。中へ入ってくれ」

「………」 (ほっ……)

「領主様。前へお進みください」

「あ、ああ。解っている」


君はルチアに促され、家の中へと進む。


―――



鋭い目をした女性は椅子を引いて、僕達を座らせた。


「飲み物を出そう。少し待ってもらえるか」

「お気遣いありがとうございます」


女性はさっきの態度とは一変して、こちらをもてなそうとしている。

人生で何があれば、女性でもああまで殺気を飛ばせるのか。

僕は不思議で堪らない……。



「領主様。【どう思いますか】」

「どうって……何が?」

「 彼女の態度です。先程とはまるで違うでしょう」

「確かにな」

「気になりませんか」

「……僕が彼女に聞けと?」

「はい」

「えぇ……」


ルチアは



「領主様。【どう思いますか】」

「どうって……何が?」

「【彼女の態度】です。先程とはまるで違うでしょう」

「確かにな」

「気になりませんか」

「……僕が彼女に聞けと?」

「はい」

「えぇ……」


ルチアは笑顔を浮かべてこちらに頷いた。

……仕方がない。話をする時にそれとなく聞いてみるか。



「待たせたな」

「い、いえ。大丈夫です」

「そちらの気に召すと良いのだが……」


鋭い目つきの女性は、3つのカップを持って来た。

湯気が立っているこの琥珀色の液体は……何だ?


「……私の名前は【ラディー】」

「貴様の話を聞こうか。ティオニクス」

「………」 (さーて……何を聞こうか……)


彼女に振る話題が幾つか浮かんだ。

どれをどのタイミングで振るか。

……悩ましいな。


↓2 彼女に振る話題


―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「この村は人が全く居ないようですね」   ラディー「……その通りだ」   【妙な間】

②―「失礼ですが、おいくt」   ルチア「ふんっ!」   【腫れる頬】

③―「つい最近の話ですが、炎上した集落があるそうですね……」   ラディー「……」   【鋭くなる目】

④―(この空気辛い!ご先祖様ぁ……どうか僕に力を貸して下さいィ!) 【自由安価】


【※1-1-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【鋭い目の女との話】 (妙な間……あたり)


「この村は人が全く居ないようですね」

「……その通りだ」

「………」 (今の返答、妙に間が空いたな……)

「……」チラッチラッ


ルチアが露骨にこちらを見ている。

たぶん、この話題へ突っ込めという事だろう。



「先程感じた殺気」

「……!」

「【ただ事ではない何か】が、あったんじゃないですか」

「何か、だと?」

「はい。私を【警戒している様に見えました】が……違いますか?」

「………」

「貴女の様な強者が警戒をしている。……ならば、余程の事ではないかと推測します」

「……何か力になれないでしょうか。良ければ力をお貸ししますが」


ラディーは目線を下げて考え込んでいる。

反応から察するに、君の指摘が彼女の思考を掠めているのは間違いない。



「いや、その必要はない」

「……!?」


君達が話をしていた部屋の奥から、一人の男が音を立てずに現れた。

男は【顔の半分を布で覆って】おり、異様な姿をこちらに見せている。


「だ、誰だ!? アンタは!」

「……不躾ですまない」

「村の長をやっている。俺の名前は【ライト】だ」

「あ、貴方が……村長?」


僕は驚いて椅子から飛び退いてしまった。

きっと僕の姿は無様にみえるだろう。でも、考えて見て欲しい。

……薄暗い場所で、こんな姿の男と遭遇して驚かない奴がいない訳ないだろと。



「こ、これは失礼しました」

「別に慣れているから構わない」

「あの……必要ないと言うのは?」

「【言葉通りだ】」

「ええっと……」


ぶっきらぼうな喋り方で男はこちらに言い切った。

僕はそれに対して、どう反応すれば良いか悩む。

しかも自然な流れで、僕の隣の席に座っちゃったし……。

……いや、本当にどうすれば良いんだよ。


↓1 君が振る話題 【選択肢】


―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「警戒していた理由は、一体何ですか」   ライト「…大切なものが、また奪われると思ったからだ」   【重い空気】

②―「……失礼ですが、2人はどういうご関係で?」   ラディー「家族さ」   【微笑む女性】

③―「つい最近の話ですが、炎上した集落があるそうですね……」   ライト「ああ。知っているさ」   【威圧】

④―(この空気辛いんですけどォ! ご先祖様……どうか力を貸して下さい!) 【自由安価】


【※1-1-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



今日はここまで。 安価、コンマ範囲なら下とします。

物語に対する【疑問、質問、不満、指摘事項】がございましたら>>1へどうぞ。


次回の更新は 10/27 1900~

               or
             10/28 1900~ を予定しています。


―【内容公開】――――――――――――――――――――――――――――――

>>98の内訳 (選んだ1人は絶対に参戦しない)

①―シャド
②―ライト
③―ラディー

・【あたり、はずれ、どちらでもないの内訳。①―②―③】


>>106の内訳

・【あたり、はずれ、どちらでもないの内訳。①―③―②】

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【覆面の男に振る話題】 (微笑む女性……あたり)


「……失礼ですが、2人はどういうご関係で?」

「………」

「ふふっ。【家族】さ」

「家族?」

「うむ。【夫の兄だから】な」

「へぇ……」


僕は覆面の男を繁々と眺める。

……彼の口元は微かに緩んでいた。



「つまり、貴女は」

「【人妻だ】」キッパリ

「あっ、そうですか。残n…『領主様』」

「ゥン゙?」

「なんだ? どうかしたか?」

「……ハハハ。ナンデモナイデス」


ルチアは、左手で僕の腿を思い切り抓った。

……止めてよルチア。めちゃくちゃ痛いんだけど。



↓1 彼女等に振る話題 【選択肢】


―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「ええと……私達を警戒していた理由は?」   ライト「村を焼き払いに来た人間だと思っていた」   【誤解】

②―「で、貴女の夫は今何処に?」   ラディー「隠れて村を見張っている。何処かで視線を感じなかったか?」   【確信】

③―「最近の話ですが、炎上した集落があるそうですね……」   ライト「勿論知っている」   【断言】

④―(この空気辛い! ご先祖様……どうか力を!) 【自由安価】


【※1-1-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


(確信……あたり)


「で、貴女の【夫は今何処に?】」

「隠れて【村を見張っている】。何処かで視線を感じなかったか?」

「そんなものは……」

「………」 (いや、待てよ……)

「……そういえば、それらしきものを感じた覚えがあります」

「よしよし。【シャド】はしっかり見張っているようだな」

「そのようですね。兄君」

「…?」

「夫の名だ。シャドと言う」

「ああ、なるほど」


続けて聞いた話によると、年齢は彼女より大分若いようだ。

しかもこの覆面とその男は双子らしい。

……まるで解らん。何歳なんだ?



「……警戒していた理由について話そう」

「…!」

「数日前、此処から南で火が起きた」

「………」チラッ (それって、アレだよな……)

「……」


僕は目線を隣へ動かす。

……ルチアは微動だにしていない。



「この村は、【焼かれた過去】がある。……かなり【昔の話になるが】な」

「………」

「【それを経験しているから】こそ、【こういった対応】に出ざるを得ない訳だ」

「そうでしたか……それはお気の毒に」

「……フン」

「あの。1つよろしいでしょうか」

「……俺に何か?」

「貴方は領主様への対応が少しぞんざいな気がします」

「……村の長だと言うのならば、もう少しどうにか出来ないのですか?」

「ちょ、ちょっと待てルチア!」


……まずい。非常にまずいぞ。ルチアがまた妙な事を言い出した。



「構わんさ」

「た、助かります」 (……ホッ)

「でも生憎だが、俺は【貴族】に良い思い出が無くてね。無礼な事も承知だが、曲げる気もさらさら無い」

「【それが嫌ならこの村から出て行ってくれ】」

「……」イライラ

「いえいえ! 私は大丈夫ですので! どうか、どうかお気になさらずぅ!」

「……」ギリィッ


ああぁああぁあぁぁ! なんか凄い隣から嫌なオーラが飛んできてる!

誰かっ! 誰か助けて! この空気を今すぐ変えて下さい!


↓2 空気を変える小粋な話 【些細な分岐】


―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「こ、こちらの話も聞いて貰っても良いですか?」   ライト「……。聞くだけ聞こう」   【緊張】

②―「あっ! 部屋の奥にある【置物】、アレ変わってますね!?」   ラディー「えっ? あんなの前は無かったのに……」   【困惑】

③―「いやあ! 私火を点けた人を知ってるんです!」   ライト「……実はお前だったりしてな」   【背筋を伝う汗】

④―(この空気が一番辛い! ご先祖様ぁ!ど、どうか力を!) 【自由安価】


【※1-1-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


内訳修正

【※0-1-2。あたり、おおはずれ、どちらでもない】


此処から↓2で判定


(困惑……どちらでもない)


「あっ! 部屋の奥にある【置物】、アレ変わってますね!?」

「えっ? あんなの前は無かったのに……」

「そうなんですか?」

「……うーん」


君が指差した先にあったのは【不気味な置物】。

大量に飛び出ている棒が、君に生き物の触手を連想させた。



「………」 (私はあの置物を見た事がある……)

「ああ、すみません! 話を戻しましょうか」

「……そうだな」


視界に入る置物が、妙な存在感を発揮しているのが気になる。

……家の主が知らない物が、部屋の中にあるってなんなんだろうか。



「えーその、ですね。我々が【此処に来た理由】」

「それは【我が領地で働いてくれる人材を探しに】……です」

「ほう。態々こんな【辺鄙な所にまで?】」

「………」 (どう答えたら良い……)


↓1 君の選ぶ返答


―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「何分、人手不足なもので……」   ライト「……嘘は言って無い様だな」   【実状を言う】

②―「ホントですよ。来るだけでも、相当苦労したんですから」   ライト「ハハハッ。正直な奴だな」   【相手に乗っかる】

③―「他に【選択肢が無かった】ので」   ライト「……お前は、【俺の弟と同じ事を言うんだな】」   【既視感】

④―(ご先祖様ぁ!ど、どうか私に力を!) 【自由安価】


【※2-0-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


(相手に乗っかる……あたり)


君は彼の言葉を肯定した後、続けてこう口にした。


「…ホントですよ。来るだけでも、相当苦労したんですから」

「ハハハッ。【正直な奴だな】」

「よく言われます」

「……気に入ったぞ」

「俺が【出来る範囲で手を貸そう】じゃないか」

「おお! それは有り難い!」


琴線に触れたのだろう。

彼は君に助力をすると言いだした。



「しかしこの村は【人手が少ない】。あまり【多くは望まないで】くれるか?」

「構いません」

「よし、ならば聞こう」

「【お前は俺に何を求める】?」

「私は、私が望むのは……」


↓ 君が望む事 【2票先取。大きな分岐】


―【選択肢】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「【貴方】自身の力をお借りしたい」   【覆面の男】

②―「切れ味の良い武器は……こんな場所にありませんよね?」   【業物】

③―「金になり得る物があればそれを頂きたい」   【不気味な置物】

④―「そちらの女性を一晩……」   【君はこの場に居ない誰かと隣の従者から殺意を感じた】

⑤―「……考えが変わりました。やはり私は、貴方方に対して望む事はありません」

⑥―(ご先祖様ぁ!ど、どうか私に力を!) 【自由安価】


【※1-1-1-1-1。おおあたり、あたり、はずれ、おおはずれ、どちらでもない】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


(覆面の男……どちらでもない→あたり) 【66、偶数ゾロ】



「【貴方】自身の力をお借りしたい」

「俺自身だと?」

「はい。【望む対価があれば】、なるべく希望に沿うよう配慮致しますので」

「……ふぅん」

「別に断ってもらっても構いません」

「そうか。なら…『ですが』」

「断られた場合、私の方からは他に何も要求する事がありません」

「出来る事なら飲んで頂きたいのですが……」

「……そうまで言われると判断に困るな」


男は人差し指で鼻を一度擦り、胸の辺りで腕を組んだ。

彼の目は布で覆われている為に、意図している事が全く読めない。



「【要求はどんな物でも良いのか?】」

「そうですね。無理のない範囲であれば」

「むぅ……」

「………」 (前向きに検討しているからこそ、【今の言葉】が出たのかもしれない……)

「決めたぞ、ティオニクス。俺の考えは↓1だ……」


↓1 覆面野郎の要求 【2D10で判定。結果は2~20の範囲内】


―【結果表】――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  02   ― 「因縁のある奴が”1人”いる。どんな方法でも良い、そいつを……」 【承認】

03~09 ― 「食料を要求したい。7人が2月生きられるだけの量を」 【商人】

10~12 ― 「すまないが、お前の要求は飲めない」 【拒否】

13~19 ― 「俺が”何処かを攻め立てる際”、お前の領地に居る”戦士”を貸してくれ」 【承認】

  20   ― 「お前の領地にある、”燃える水”を大量に寄越してくれ」 【承認】

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


(10+1=11 結果……拒否)


「すまないが、お前の要求は飲めない」

「……残念です」

「村の長であるが故に、俺は今の村からおいそれと離れる事は出来ない」

「私の力でその原因は……解決出来ませんか?」

「【余所に口出しされる事では無い】からな。気持ちだけ受け取っておこう」

「そう、ですか……」


順調だった話も、一度こじれると中々上手くいかない。

……今回は運が悪かったのだろう。気休めかもしれないがそう思うべきだ。



「……【お前の要求を俺は拒否した】。だが、これだけは覚えておいてくれ」

「俺はお前に対して【出来る範囲で手を貸す】と」

「ありがとうございます」

「………」ジーッ


さっきの要求は恐らく、彼の言う【出来る範囲】から離れていたのだろう。

今の言葉からはそういった意図が滲み出ていた。


少々気がかりなのは、ルチアが不満げな顔をしていることだ。

……これは領地に帰ってから、かなり愚痴を言われるパターンかなぁ…。



【「北東の村に要請」を出せるようになった! 実現不可能でない事なら「6~8割の確率」で承諾してくれるぞ】



「ではな」

「はい。本日は突然お邪魔してすみません」

「……ありがとうございました。失礼致します」


ルチアは一礼して僕より先に行った。

彼等の心象を悪くしないか……と気になったが、別に2人は何も気にしていない様子だった。

僕は彼らに重ねてお礼を告げ、村を出て行った。


……ふぅ。

なーんで遭遇する村人が、会うたび会うたび、みんな威圧感を放ってるんだよ。

まるで会談している時の【アエミリウス公】じゃないか。

軍人か何かなのかな? ははっ、まあ単なる村だしそんなわけ無いか。


―――――
――


―――――
―――


自室に戻った君は溜息を吐く。

この1週間はいつもより【濃密だったような】気もする。

やる気がかなり下がっているのか、僕は寝床に就くなり考える事を放棄した。


(……………)

(……zzZ……zzzZ)



下1 闘力+TP回復 (2D10で判定)

下2 夢を見るか (2D10で判定、目標値は【17以上】)


【夢を見るか 2+2=4(偶数ゾロ) 結果……ルチアの夢】



その日、私は久しぶりに夢を見ました。

……私が身を売っていた時のこと。



――
―――――


身体が健康であるからこそ出来る労働手段。

金になりそうな客を路地に誘い込み、客である男性に媚びを売る。

その仕事で客を取ること自体は、難しくありませんでした。

……ですが、行為が終った後に金を出し渋る客が居るのです。


生きる為とはいえ愛の無い行為と金銭問題は、私の心に虚しさしか生みません。

そんな生活を送るうちに、思考が鈍っていたのでしょうね……。

普段なら声をかけない、凡庸な姿の男性に声をかけたのです。



『おじさま。一晩私を買いませんか?』


男性は驚いた表情を浮かべて、私に聞き返します。


『君の様な女性が、自分を売っているのか?』

『……はい。銅貨8枚でお受け致します』


その言葉を聞いて沈痛な表情を浮かべる男。

私は彼が浮かべた表情の意味が解りませんでした。

……駄目かと思って離れようとしたその時です。



『買おう』

『へ』

『君のすべてを私が買う。私はそう言った』

『え、あの』

『今日から君は、私の家で従者として働いてもらう。いいね?』


突然の出来事に私は混乱しました。

この男性は負債塗れの私に対して、全てを買うと言ったのだから。


【現在値】――――――――――――――

【地方領主 ティオニクス】 男

―37/37 闘力↑
―05/10 GP
―23/23 TP↑
―20/100 ?↓   .〔60→20〕

【自然回復】 (6+4=10)
――――――――――――――――――

【ティオニクスの従者 ルチア】 女

―45/45 闘力
―05/10 GP
―10/40 TP↑
――――――――――――――――――

【影薄き従者 ドミニク】 男

―46/46 闘力
―05/10 GP
―38/38 TP
――――――――――――――――――

【銀嶺の従者 ディアナ】 女

―41/41 闘力↑
―05/10 GP
―26/33 TP
――――――――――――――――――


誰かは夢の世界に誘われている。

……明日はとても良い日になりそうだ。



【美の女神アフロディーテの月 1週】 (13/28)


「ご報告いたします」

「北東の村と交渉した事により、【我が領地は村と交流可能】になりました」

「まあ、僕が直接行ったからな」

「それは失礼致しました」

「……ですが領主様。これは忘れない為ですので、報告による【重複は何卒お許しください】」

「気にしないでくれ。ちょっと気になる事が僕にもあっただけだから」

「……?」

「それはともかくだ、ドミニク。ゆっくり休めたか?」

「はっ、おかげさまで」

「なら良し。下がっていいぞ」

「ははっ。失礼致します」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――
/領地特徴/

北―森の一帯
西―大きな川+
東―農地++
南―荒地+++
南東―焼野原


/建造物等/

北―巣穴
西―堤防
東―柵(木)、油田
南―柵(木)、旗(太陽)、屋敷寄りに櫓

北東―牧歌的な村
南東―灰に塗れた地面


・水源が豊富
・領民は読み書きが出来る教養を持つ
・作物を育てられる時期
・東南からは攻め易い
・南東は派手に炎上した
・村(北東)の住人はなんかヤバイ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



冬が過ぎ去り、春が来る。

君達の行動にも変化が伴う時節だろう。

結果が付いてこないとして焦る必要はない。

君達は間違いなく強くなっているのだから。


……第13ターンの行動を聞こう。君は何をする?


下2~3 選択肢

―【選択肢】―――――――――――――――――――

①―領地の開墾、改善
②―人材発掘
③―自己学習
④―ドミニクに相談する
⑤―近隣の領主、村長に助けを求める
⑥―自由安価
⑦―人材派遣

――――――――――――――――――――――――



今日はここまで。 安価、コンマ範囲なら下とします。

物語に対する【疑問、質問、不満、指摘事項】がございましたら>>1へどうぞ。


次回の更新は 10/30 1900~

               or
             10/31 1900~ を予定しています。


―【内容公開】――――――――――――――――――――――――――――――

【あたり、はずれ、どちらでもないの内訳】

>>118 【②―③―①】


【おおはずれ、どちらでもない】

>>123>>125 【③―①②】


【あたり、どちらでもない】

>>131 【②③―①】


【おおあたり、あたり、はずれ、おおはずれ、どちらでもない】

>>134 【③―②―⑤―④―①】

――――――――――――――――――――――――――――――――――――



~自己学習~


「今日は天気も良い。外で身体を動かそうかな」

「左様でございますか」

「ルチアも付き合ってくれるか?」

「お断りします」

「つれない返事だな。……まあいい。誰か別の奴を巻き込むとしよう」

「領主様。怪我にはお気を付け下さいませ」

「ああ。解っている」


僕は見知った顔を誘いに部屋を出た。

その相手とは――


↓1 人物選択


―【選択肢】―――――――――――――――――――

①―ドミニク
②―ディアナ
③―ミリス
④―モルドー
⑤―ゴラン
⑥―アルベルト
――――――――――――――――――――――――



君は従者であるディアナの部屋へと足を運ぶ。

……彼女は部屋で弓の手入れをしていた。


「ティオニクス様? どうかなさいましたか」

「いや、少し体を動かしたくてね。どうだろう、僕に付き合ってくれないか?」

「つ、突き合う!? いや、そんな…まだ日が高いのに……」

「? 駄目なら他を当たるが……」

「い、いえいえ! 私で良ければ喜んで!」

「そうか。よろしく頼む」


用件を伝え終えた君は、身体を慣らす為に外へと向かった。


……日がよく当たる場所が、ディアナは好きじゃないのだろうか?

話しの途中、やたら狼狽した様子を見せたのが気になった。



~屋敷の庭~


「さぁ、始めようか」

「………」 (えっ、これってまさか……)

「どうかしたか? ディアナ」

「な、なんでもないです///」

「うん?」

「早くやりましょう!そうしましょう!」

「やる気満々だな。これは僕も負けてられない」



……君の訓練結果は以下の通りだ。


↓1 ダイスロール 【2D10で判定。結果は2~20の範囲内】

―【結果表】――――――――――――――――――

  02   ― 「追撃」習得、特徴「観察眼」が付く

03~08 ― TP+1点

09~12 ― 「追撃」習得、TP+1点

13~19 ― 闘力+1点

  20   ― 「追撃」習得、特徴「観察眼」が付く
―――――――――――――――――――――――


【訓練結果】 (1+5=6 ……TP1点上昇)


―【現在値】―――――――――――――

【地方領主 ティオニクス】 男

―37/37 闘力
―05/10 GP
―23/24 TP↑
―20/100 ?
――――――――――――――――――

【銀嶺の従者 ディアナ】 女

―41/41 闘力
―05/10 GP
―26/34 TP↑

【特殊技能】

「追撃」、「狙撃」、「征伐」、「逃走」
――――――――――――――――――



この時のディアナは、けして動き易いとは言い難い服を着ていた。

だが持ち前の身軽さで、それを感じさせない見事な動きを披露する。


「流石だな」

「いえ、私なんてまだまだです。他の方に比べれば……」

「【軍人は皆、君以上に動けるのか?】」

「はい。傾斜のある【山を装備無しで登ったり】、【食料が尽きれば虫でも構わず】」

「うっ……それは本当か」

「それが冗談であれば、私も少し気が楽になるんですけど……」

「……【芋虫でも?】」

「………」コクリ


思わずディアナが芋虫を食べる光景を想像してしまった。

……綺麗な女性が虫を頬張る姿は、まごう事なき酷い絵面だと思う。


それにしても軍人というのは逞しいな。

何と言うか、自分と同じ生き物であるのかと疑いたい。



訓練の終った僕達は今、近くの水場で汗を拭っている。

もちろん服は脱いでいる。……僕だけ。


「ティオニクス様は、今までこういった経験があったのですか?」

「武術は全く。いつも部屋に籠って本ばかり読んでいたから」

「そうなんですか?」

「他の方々と遜色ない動きだったので、私はてっきり経験があるのかと……」

「ははは、【優秀な教師が居る】からだろうな」

「その【教師って】……」

「【ルチア】やドミニクの事だ」

「……やっぱりそうですか」

「…?」


ルチアの名前を出した時、ディアナは声のトーンが落ちた。

どういった訳があって、そんな反応を示したかは解らない。

……時間はある。とりあえず何か話を振ってみるか。


↓2 ディアナに振る話題


―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「ルチアが気になるか?」   ディアナ「気になるのは、ティオニクス様の方なんですけどね……」 【微笑み】

②―「僕の身体を見てくれ。どう思う?」ムキィ   ディアナ「ふふっ……逞しいと思います」 【サイドチェスト】

③―「屋敷は慣れたか?」   ディアナ「野営をしていた頃に比べると……やはり素晴らしい環境です」 【深い溜息】

④―(困った時のご先祖様ぁ!) 【自由安価】


【※1-1-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「ルチアが気になるか?」

「いえ、どちらかと言うとむしろ……」

「気になるのは、ティオニクス様の方なんですけどね……」

「………」


君の質問に対して、彼女は微笑を浮かべた。


……どうにも意図が読めない。彼女は何が言いたいんだ?

もやもやした気分になるから、こういう所はハッキリさせておきたい。

僕はディアナに続けて質問をした。



「ディアナ。君はルチアに嫌がらせを受けていたりしないか」

「嫌がらせ……ですか?」

「ああ。勘違いだったら申し訳ないのだが」

「そういった事は特に……」

「そうか。妙な事を聞いて済まなかった」

「………」 (お手を煩わせる事でも無いですし……)


ディアナは心当たりが無いという顔をしている。

聞き方が悪かったか、そもそもそんな事はされてないか。

どちらにしても、僕が引っかかった彼女の態度は明らかになっていない。

……また今度機会があった時に聞くとしよう。



~領地の開墾、改善~


「あ~、今週は気があまり張らないや」

「領主様。しゃんとなさって下さい」

「解ってる、解ってるよルチア」

「……だからその、今にも振り抜こうとしてる右手を下ろしてくれ」

「先に言われては仕方ありません。下げると致しましょう」

「本気で叩こうとしてたのか……」


背を叩こうとしていた右手が君の視界から消えた。

ルチアは他の人間が思うよりも手が早い。

特に僕へ飛ばす拳は、猛獣に飛ばすそれよりもずっと多いだろう。

……うーん。僕は彼女の愛玩動物か何かかな?



下2 選択肢 【東西南北のどれかも指定】

―【選択肢】―――――――――――――――――

①―貯蔵庫を建てる
②―遮蔽物を作る
③―穴を掘る
④―川の水を引く
⑤―目印を立てる
⑥―自由安価
――――――――――――――――――――――



「東に南と同じ見張り台を作る」

「人員はどうしましょう」

「ドミニクと領民の誰か数名で頼む」

「かしこまりました」


ルチアに内容を伝えると僕は事務作業へと移った。

……今週はかなりの時間を書斎で過ごす事になりそうだ。



「貴方方には今から櫓を作って頂きます」

「これは領地の為ですので、拒否する権利は無いと思ってください」

「まあ、領地の事は俺らの事でもあるからな」

「……私に何か質問はございますか?」

「あー従者さんよ。一つ良いか」

「はい」

「作業の安全管理に回るのは、アンタ以外に誰が居るんだ」

「それは貴方ですよ。モルドー」

「……えっ。俺?」

「頑張ってください」ニヤリ


領主さんの従者に聞いた俺は耳を疑った。

問いただした所、作業の経験年数から考えて俺が一番適切だと思ったかららしい。

困ったぜ。こういう役回りはあまり得意じゃねぇんだが……。



【中間報告】


「ご報告致します」

「うむ」

「屋敷寄りの【領地東に櫓】が立ちました。【現在は人員を配備しておりません】」

「一応聞いておこう。それは【何故だ?】」

「……現在の【領地は平穏】であり、そもそも【人の数があまり居ない】為です」

「まあ、そうだよな……悪かった、続けてくれ」

「はっ」

「屋外での鍛練により【領主様とディアナの基礎能力が向上】しました」

「具体的に申しますと……【TPが1点】程でしょうか」

「てぃ、てぃーぴー?」

「報告は以上です」

「……」 (-_-;)

「………」

「よし、下がっていいぞ」

「ははっ。失礼致します」


領地は順調に発展している。

ドミニクがよく解らない事を言った以外は、特に気になる事も無い。

……領地近隣で何処かの権力者が紛争を起こさなければ。



【自由行動】


「ドミニクといい、ルチアといい……」

「偶に僕がよく解らない事を言う」

「……ふぅ」

「領主である僕が突っ込んでも、口に出せない何かがあるんだろうか……」



君は余暇を利用して何かしらの行動を起せる。

力を求める事や、周囲への働き掛けも出来るだろう。

……君が選ぶ道を聞かせてくれ。



下1~2 自由記述+結果判定 〔2D10で判定。数値が高い、又は偶数ゾロ目だと結果が良くなる〕

(かなり自由に動けます。……ご利用は計画的に)


(完成した東の櫓を見に行く 7+2=9)


「出来栄えを見たい。案内してくれ」

「櫓の事でございますか」

「そうだ」

「お待ち下さい。支度致しますので」


僕はドミニクを連れ外に出る。

向かう先は、領地東に出来た櫓だ。


―――――
――



「これは……見晴らしが良いな!」

「お気に召したようで」

「ああ! これは良いぞ!」

「なんたって領地の全体が見えるからな!」


君が言っている事は誇張抜きの話だった。

治めている領地が狭い事もあるが、櫓の高さのおかげで全てが見渡せる。

……櫓は大体9~10mといった所か。



「うーむ、景色が良い」

「先にも申しました通り、人は配備しておりません」

「ああ。もちろん解っている」

「……んー」 (仕事で嫌になった時、ここへ来るのも悪くなさそうだなぁ……)


君はそれから暫くの間、櫓の上で風を浴び続けた。

身体は少し冷えてしまったが、気分は少し良くなっている。



……君はまたここに来ても良いし来なくても良い。

その時に何かあるかは天のみぞ知る事だ。



「ルチアー、ルチアは居ないかー」

「………」

「婆さん飯はまだかのぉー」

「……誰が婆さんですか。領主様は私が婆だと仰りたいので?」

「なんだ。居るなら返事してくれよ、ルチア」

「私とて直ぐに窺えない時もあります」

「……。ああ、なるほどね」

「…………」

「止めて! 無言でグーを作るのは止めて!」


言ったと同時に、ルチアは君に詰め寄る。


――ドボォ。


……無言の腹パンだ。



「これに懲りたら、変な詮索はお止め下さい」

「反省してまーす」

「……もう一発」

「は、反省してます!」

「まあ、良いでしょう」

「……それで、ご用件は何ですか」

「ルチアと話がしたいだけだよ?」

「………」

「待って待って! ちゃんとした話だからさ! 出て行かないで!」

「ふぅ」


ルチアは『しょうがないですね』と言って足を止める。

僅かに口角が吊り上がっているのは、どういった意味を含んでいるのやら……。



……君はルチアと何を話す?


↓2 話題の選択

―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「さっき直ぐに来れなかった理由ってさ……」   ルチア「……ふっ!」 【腹パン】

②―「南東を焼いた時に人の気配は無かったか?」   ルチア「そうですね。”人”は居ませんでした」

③―「殴られた場所がまだ痛むんだけど……」   ルチア「薬を塗って差し上げましょうか?」 【黒い液体】

④―「ディアナ嫌い?」   ルチア「はい」 【断言】

⑤―(困った時のご先祖様ァ!) 【自由安価】


【※1-2-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【44】


「南東を焼いた時に人の気配は無かったか?」

「………」

「ルチア?」

「そうですね。”人”は居ませんでした」

「だが、ドミニクを派遣した際には……」

「遺体が見つかったと?」

「ああ」

「見落としてしまったのでしょう。稀によくある事です」

「………」


彼女はどうしようもない事と吐き捨てた。

それは間違いなく、私情が入っているのだと君は気付く。


……続けて君は何を話す? それとも別の話題を出す?


↓2 話題の選択

―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「さっき直ぐに来れなかった理由ってさ……」   ルチア「……ふっ!」 【腹パン】

②―「訓練に付き合ってと頼んだら、ディアナの反応がおかしかった。なんでかな」   ルチア「……へえ」

③―「殴られた場所がまだ痛むんだけど……」   ルチア「薬を塗って差し上げましょうか?」 【黒い液体】

④―「ディアナ嫌い?」   ルチア「はい」 【断言】

⑤―(困った時のご先祖様ァ!) 【自由安価】


【※1-2-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



今日はここまで。 安価、コンマ範囲なら下とします。

物語に対する【疑問、質問、不満、指摘事項】がございましたら>>1へどうぞ。


次回の更新は 11/01 1900~

               or
             11/02 1900~ を予定しています。



「訓練に付き合ってと頼んだら、ディアナの反応がおかしかった。なんでかな」

「……へえ」

「領主様はどんな言葉を使って、ディアナを誘ったんです?」

「えーと確か、『少し体を動かしたい。どうだろう、僕に付き合ってくれないか』……だったかな?」

「ディアナはそれになんと?」

「『つ、突き合う!? いや、そんな…まだ日が高いのに……』ってさ」

「……不潔ですね」

「えっ」


ルチアは僕に塵を見るような目を向けている。

いやいやいや! 違うぞルチア! 僕はそんな事を考えて言った訳じゃない!



「男女の交わりを日中に行うなんて……」

「待て、それは誤解だ。僕は何もやってない!」

「……誰がそれを証明できるんですか?」

「ディアナに聞いてくれれば直ぐに解る」

「口裏合わせや口封じをしているやもしれません」

「えぇ……じゃあどうすれば良いんだよ……」


ルチアは君の言い分を完全に信用していない。

対応に困り果てた君は思いついた事を片っ端から口にしてみた。



「最初はルチアを誘おうとしてた!」

「まさか、私に乱暴をするおつもりだったのですか?」

「そんな気は無い!」

「私では不服だと?」

「そうでもない!」

「まあ」

「…あ、いやその……」

「これが所謂『語るに落ちる』ですか」



「と、とにかくディアナの足は凄かった」

「……足技が上手だったんですか?」

「そうだな」 (足払いなんかが特に……)

「やはり不潔です」

「なんで!?」



「軍人は生きる為に何でもする!」

「捕虜にされた時に生きる手段ですね」

「慰み者じゃねぇ!」



「食べる物が無くなれば、何だって食べる!」

「そういうプレイでしたか……」

「何を想像した!? 僕に言ってみろルチアァ!」



「お互いに汗をいっぱい流した!」

「よほど激しい運動だったようで……」

「そうだよ! 呼吸が苦しくなる位激しかった!」

「……若い身体がそんなに良かったんですか」

「普通の訓練だっての!」



「ハァ……ハァ……ふぅ」

「実は最初から知っておりましたので」

「領主様をからかっただけでございます」

「……僕の苦労は何だったんだ」

「ルゥチアぁぁあ!」

「ふふふ」


ルチアは僕の反応を見て楽しんでいたようだ。

現にさっきまでの重い空気は何処かへと吹き飛んでいる。


……空気が変わった所で、僕は彼女と何を話そうか。


↓2 話題の選択

―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「さっき直ぐに来れなかった理由ってさ」   ルチア「領主様はそれが聞きたいのですか?」 【質問】

②―「お相手が私でも満更ではないんですね」   ティオニクス「……ソウダネ」 【意地の悪い笑み】

③―「殴られた場所がまだ痛むんだけど」   ルチア「私が薬を塗って差し上げます」 【黒い液体】

④―「ディアナ嫌い?」   ルチア「はい」 【断言】

⑤―「まさか。またドミニクと変わってたりしないだろうな……」   ルチア「どうでしょうね」 【疑心】

⑥―(困った時のご先祖様ァ!) 【自由安価】


【※1-2-2。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「ディアナ嫌い?」

「はい」

「理由を教えてくれないか」

「領主様が【………の女に嵌って欲しくない】からです」

「ん? 今なんて?」

「……女に現を抜かして、【領地が荒れて欲しくない】からです」

「なんだ。そんな事だったのか」

「そんな事とはなんですか、私は……」

「ありがとう。そしてすまなかった」

「領主様?」

「僕の事を考えて言ってくれてるんだろ?」

「………」

「その気持ちだけで良い。だから、仕事上の仲間は大切にしてくれ」

「領主様がそう仰るなら……まぁ」


ルチアは一応納得した様子だ。

これでディアナとの関係は多少改善される事だろう。

……たぶん。



「そろそろ失礼してもよろしいでしょうか」

「ん? ああ悪い。もうかなり時間が経ったのか」

「はい。領主様にも仕事は残ってますので……」

「うえぇ! それを先に言ってくれよ……やる気がなくなるじゃないか」

「十分休息は取れた筈です。泣き言は仰らないで下さい」

「はいはい」

「では私はこれで」


ルチアは一礼して部屋から出て行った。

僕は残された空き時間をデスクワークに費やす。

……今週はどうも肩が重い。気怠いなぁ。


―――――
―――


自室に戻った君は溜息を吐く。

この1週間はなんかいつもより【怠かった】気がする。

僕は何も考えず、真っ直ぐ寝床に入った。


(……………)

(……zzZ……zzzZ)



下1 闘力+TP回復 (2D10で判定)

下2 夢を見るか (2D10で判定、目標値は【18以上】)


【現在値】――――――――――――――

【地方領主 ティオニクス】 男

―37/37 闘力
―05/10 GP
―24/24 TP↑
―50/100 ?↑   .〔20→50〕

【自然回復】 (9+9=18)
――――――――――――――――――

【ティオニクスの従者 ルチア】 女

―45/45 闘力
―05/10 GP
―28/40 TP↑
――――――――――――――――――

【影薄き従者 ドミニク】 男

―46/46 闘力
―05/10 GP
―38/38 TP
――――――――――――――――――

【銀嶺の従者 ディアナ】 女

―41/41 闘力
―05/10 GP
―34/34 TP↑
――――――――――――――――――



君は深い眠りに包まれている。

……今日は大分疲れていたようだ。



【美の女神アフロディーテの月 2週】 (14/28)


「ご報告致します」

「うむ」

「【領地東に櫓】が立ちました。【現在も人員を配備しておりません】」

「他には、屋外での鍛練により【領主様とディアナの技術が向上】しました」

「それと領主様。……領地内で耳にした話で気になる事が1つございます」

「なんだ?」

「【西の川】の上流から【人が流れて来た】という噂が……」

「なんだそれは。性質の悪い冗談か何かか」

「さあ、そこまでは……」

「少し気になるな。【余裕がある時に人を回しておいてくれ】」

「かしこまりました」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――
/領地特徴/

北―森の一帯
西―大きな川+ 【!】
東―農地++
南―荒地+++
南東―焼野原


/建造物等/

北―巣穴
西―堤防
東―柵(木)、油田、景色が良い櫓
南―柵(木)、旗(太陽)、屋敷寄りに櫓

北東―牧歌的な村
南東―灰に塗れた地面


・水源が豊富
・領民は読み書きが出来る教養を持つ
・作物を育てられる時期
・東南からは攻め易い
・南東は派手に炎上した
・村(北東)の住人はなんかヤバイ


【!】激流に身を任せてこの領地に流れ着いた人間が居るらしい (2ターン放置で……)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



灰に塗れた大地は作物がよく育つ。

黒い地面が陽の光を吸収するからだ。

水はけもよく、窒素分や病毒の心配が少ない。


……第14ターンの行動を聞こう。君は何をする?


下1~2 選択肢

―【選択肢】―――――――――――――――――――

①―領地の開墾、改善
②―人材発掘
③―自己学習
④―従者の誰かに相談する※
⑤―近隣の領主、村長に助けを求める
⑥―自由安価
⑦―人材派遣

※―従者3人の内、誰かの名前を追記する事
――――――――――――――――――――――――



~人材派遣~


「……今のうちに川を見ておくか」

「西へ向かわれるのですか?」

「ああ。僕も同行しよう」

「かしこまりました。支度致します」


噂が本当なら、人が行き倒れている事になる。

見殺しに出来ない僕は、ドミニクと西の川へと向かった。


―――――
――



水の流れる音が近づいてきた。

……西の川はすぐそこだ。


「ふぅ、着いた」

「……ん?」

「どうかなさいましたか?」

「川の傍に人が居る」

「領民でしょうか」

「いや、見かけた事の無い顔だな」


よく見ると、この地では見慣れない服装を着ている。

何処か遠方の人間だろうか。



謎の人物は川に釣り糸を垂らしている。

君は相手に向かって挨拶をした。


「こんにちは。釣りの成果はどうですか?」

「全然駄目や! 1匹も釣れへん!」

「………」 (……声が大きい)

「ところであんた誰?」

「申し遅れました。私は……」

「俺は【ウルリッヒ】言うんや。よろしくな!」

「……はい。よろしくお願いします」


釣り人は癖のある男だった。

彼はとても訛りのある喋り方をしている。



「私はティオニクスと申します。この領地で……」

「あーあー! ええ、ええ! 皆まで言わんでも解るで!」

「えっ」

「たぶんあれやろ? ここの偉い人かなんかやろ?」

「偉い人……まあ、そうですね」

「領主様はこの一帯を治めている、貴族でございます」

「はーそりゃ凄い! なら金持ちやないん?」

「従者を養うので手一杯です」

「へえ、そうなん?」

「………」 (ペースが掴み辛いな……)


彼は妙にテンションが高い。

このままの調子で喋っているとすぐ疲れそうだ。


……僕はこの男に何を質問しよう?


↓1 ウルリッヒに振る話題

―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「失礼ですが、お住まいはどちらで?」   ウルリッヒ「向こうやで!」   【手で川の上流を指す】

②―「……水浴びは楽しかったですか?」   ウルリッヒ「なんの事や?」   【とぼけられる】

③―「釣り糸には何を?」   ウルリッヒ「馬の尻尾か亜麻のどっちかやね!」 【視界の端に馬が見える……】

④―(首輪を付けてるのは何故だ?)   ウルリッヒ「おーい、どうしてん?」 【どうでもいい話を続ける】


【※2-1-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



君は微かな違和感を覚えた。

普通の人間ならば、身に付けたりしない物が彼にはある。


「……」 (首輪を付けてるのは何故だ?)

「おーい、どうしてん?」

「ああ、すみません。貴方の首輪が気になりまして」

「首輪……ってコレの事か?」キラリ


彼が顎を上げて見せたのは、錆のない金属の首輪。

【奴隷が付ける物】にしては、少々【綺麗すぎる】。



「ええやろ? コレ」

「”金”で出来てん。売ったら相当な額になるで?」

「何処でそれを?」

「知り合いから貰ったんや」

「そのお知り合いとは一体……」

「んーとな……」

「って駄目やで! くれって言ってもやれへんで!」

「別に欲しい訳では無いんですが……」

「あんた金に困っとるんやないん?」

「人の物を取ってまで幸せになろうとはおもいませんから」

「へえ! あんた気に入ったわ! 特別に教えたろ!」

「は、はあ……」


ウルリッヒはドミニクの白い眼を余所に1人で盛り上がっている。

君は困惑気味な反応を返しながら、彼の言葉を待った。



「メッサーラっていう腹の出た爺さんやで」

「……は?」

「せやからぁ、メッサーラって爺さんや」

「め、メッサーラ……?」

「メッサーラってあのメッサーラ公の事ですか?」


今、彼はメッサーラ公と知り合いと言ったのか。

身なりは特別良い訳でもないのに、何処にそんな関係性が……。



「なんや。あんたも知り合いなん?」

「知り合いも何も……先代から親交のある家ですから」

「へえ! そないな人やったん?」

「ご存知なかったんですか……」

「殆ど一方的な……や、なんでもないわ」

「…?」

「まあ、要はその爺さんから貰ったモンなんや」

「くれって言ってもやらへんからな?」

「要りませんから……」


ウルリッヒは途中なぜか言い淀んだ。

……君は彼に何を聞く?


↓1 ウルリッヒに振る話題

―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「失礼ですが、お住まいはどちらで?」   ウルリッヒ「向こうやで!」   【手で川の上流を指す】

②―「……水浴びは楽しかったですか?」   ウルリッヒ「なんの事や?」   【とぼけられる】

③―「釣り糸には何を?」   ウルリッヒ「馬の尻尾か亜麻のどっちかやね!」 【視界の端に馬が見える……】

④―「あの爺さんな、相当お間抜けやで」   ティオニクス「どういう事です?」 【吊り上がる口角】


【※2-1-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「あの爺さんな、相当お間抜けやで」

「どういう事です?」

「自分の【所有物を】ちゃんと【管理してへん】」

「……ええっと」

「【物が減っても気付くのが遅い】ってことや」ニヤリ

「………」 (それって……)


彼の発言から、君は一つの考えに辿り着く。

この男が付けている首輪は、【メッサーラ公の物だったのではないか】と。


君は彼をメッサーラ公に突き出そうとしても良いし、突き出さなくても良い。

……最後の選択で君がどうしたいか改めて聞くとしよう。



「いやあ! それにしても、ここって魚おるん?」

「はい。領民も時々獲りに来ますから」

「そうなん? はぁー飯食いたいなぁ……」グゥー

「………」 (随分と主張の大きい音だ……)


ウルリッヒから腹の音が聞こえて来た。

彼は空腹に苛まれているようだ。


……君は彼に何を聞く?


↓1 ウルリッヒに振る話題

―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「失礼ですが、お住まいはどちらで?」   ウルリッヒ「向こうやで!」   【手で川の上流を指す】

②―「素潜りでもやろうとしたんですか?」   ウルリッヒ「はは、何の事や?」   【とぼけられる】

③―「釣り糸には何を?」   ウルリッヒ「馬の尻尾か亜麻のどっちかやね!」 【元気のない馬が視界に】

④―「せや! あんたのトコでなんか仕事あらへん?」   ティオニクス「仕事……ですか」 【ドミニクを見る】


【※2-1-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「釣り糸には何を?」

「馬の尻尾か亜麻のどっちかやね!」

「へぇ……」

「そんな事聞いてどうしたんや?」

「いえ、少し気になっただけです」

「ふーん?」


彼から大分離れた所に元気のない馬が居る。

……君は何故か嫌な予感がした。



「……今使っているのは、馬の尻尾?」

「そや! ようやるな!」

「なるほど。因みにあの馬は貴方の物ですか?」

「俺のじゃあないな。どっかの誰かさんのやない?」

「…そうですか」


彼が馬を連れ去って来た可能性はグレーだ。

だが、釣り糸確保の為に馬へ危害を加えた可能性はある。


……僕はこの男に何を質問しよう?


↓2 ウルリッヒに振る話題

―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


①―「失礼ですが、お住まいはどちらで?」   ウルリッヒ「俺? 向こうやで!」   【川の反対側を指す】

②―「素潜りをしようとしてたんですか?」   ウルリッヒ「はははは、何の事や?」   【とぼけられる】

③―「竿はどうやって?」   ウルリッヒ「北の森で作った。ちょちょいのちょいやったで!」 【ドヤ顔】

④―「せや! あんたのトコでなんか仕事あらへん?」   ティオニクス「仕事ですか」 【ドミニクを見る】


【※1-1-2。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



今日はここまで 安価、コンマ範囲なら下とします。

物語に対する【疑問、質問、不満、指摘事項】がございましたら>>1へどうぞ


次回の更新は 11/08 1900~

               or
             11/09 1900~ を予定しています。



ウルリッヒは不意に立ち上がり、君へ質問をした。


「せや! あんたのトコでなんか仕事あらへん?」

「仕事ですか」チラッ

「ハハ……」


ドミニクの方へと顔を向けると、彼は苦笑いをして首を傾げる。

彼の顔はウルリッヒを【雇いたくない】と物語っていた。


――素性の解らぬ者に与える仕事は無い。



「俺なんでもするで!」

「何でも?」

「そうや! 【動物の調教】なんかもやれるんやで!」

「他にも、壊れた扉の【開錠】に物資の【管理】……」

「へぇ、多才ですね」

「ふふん! あ、あと【兵法】を少し齧ってたりな!」

「……どや? 俺の事雇わへんか?」

「うーん」


……君はこの男を雇う?


↓1~ 多数決 【2票先取】

―【選択肢】――――――――――――――――――――――――

①―雇う

②―雇わない

③―雇った後、メッサーラ公に話しを聞いてみる

④―雇わないが、メッサーラ公に突き出す


【雇う場合、選択したレス(2D10+2D10)で能力値を判定】


―【能力値早見表】――――――――――――――――――――――

04~08 ―闘力+22、TP+30、GP04 【特殊技能持ち+++】

09~24 ―闘力+12、TP+18、GP05 【特殊技能持ち+】

25~39 ―闘力+10、TP+16、GP04 【特殊技能持ち++】

  40   ―闘力+08、TP+26、GP03 【特殊技能持ち+++】

――――――――――――――――――――――――――――――



「……。貴方を雇いましょう」

「!?」

「ホンマ!? なら、これからよろしゅう頼むわ!」

「こちらこそ」


君はウルリッヒを雇う事にした。

ドミニクは目を大きく開け、驚いた顔をしている。


……たぶん後で何かしら言われるやもしれない。

でも、彼が有能ならば文句は言えない筈だ。



義賊
闘力=35 【3+10+8+4+10】
TP=41 【3+10+8+4+16】


―【キャラシート】―――――――――――――――――

【お尋ね者 ウルリッヒ】 男

―35/35 闘力
―04/10 GP
―41/41 TP


【特徴】

とがった顎
馴れ馴れしい態度
妙な特技が多い


【特殊技能】

「逃走」、「開錠」、「替玉」、「調教」、「差配」、【統率】
――――――――――――――――――――――――


※「開錠」

・戦闘では使用できない。
・時と場合によってはどんな鍵でも開けられる。
・消費TPは「2点」。


※「調教」

・生き物を従順になるよう躾ける。
・偶奇判定でどちらか当てれば調教成功。
・消費TPは「最大値の半分」。


※「差配」(さはい)

・どんな判定でも「結果を1つ繰り上げられる」。
・戦闘では使えない。
・消費TPは「最大値分」。


※【統率】(とうそつ)

・戦闘に参加すると「3%」の補正が別にかかる。
・これを持つ者が複数いても、重複はしない。
・消費TPは「0点」。



「改めて自己紹介しよか!」

「俺はウルリッヒ。……【お尋ね者のウルリッヒ】や!」

「よろしゅうたのむで! ティオニクスの旦那!」

「……え?」


彼は自分の事をお尋ね者と言った。

間違いなくそう聞こえた。

……もしかして、犯罪者を雇ってしまった?


君達は、ひとまず屋敷へと戻る……。


――――
――



~領地の開墾、改善~


「ウルリッヒ。貴方にさっそく仕事を与えます」

「なんや? 畑を耕したりすんのかいな?」

「違いm……いえ、そうとも言えないですね」

「正直、肉体労働は嫌なんやけどなぁ……」

「貴方の首を、今切ってもよろしいのですよ?」

「……奴隷がおんなら、そいつらにやらせりゃええんちゃう?」

「…………」ニッコリ

「……?」

「いいからとっとと働け」

「ヒッ」


……なんやあの従者。

エライ見かけに合わん殺気だしよる。

今の俺じゃちょっと勝てんし、素直にいう事聞いとこ。



下2 選択肢 【東西南北のどれかも指定】

―【選択肢】―――――――――――――――――

①―貯蔵庫を建てる
②―遮蔽物を作る
③―穴を掘る
④―川の水を引く
⑤―目印を立てる
⑥―自由安価

――――――――――――――――――――――



「領主様。あえて、”あえて”もう一度ご説明致しますが……」

「書斎に飛び込んできたと思ったら、いきなりなんだルチア」

「【領地に遮蔽物】などを作れば、賊などから【攻められる確率を減らせます】」

「【貯蔵庫】などの倉庫を建てれば、有事の際に【領民が飢える可能性を減らせます】」

「【穴を掘る】ことで【水による被害を軽減する事が出来る】こと」

「穴を掘った後に【川の水を引く】事で穴を有効的に使えること」

「【川の水を引く】は別の用途もございます」

「【目印を立てる】……これは地面に杭や看板を打ち込む事です。南の旗がそうですね」

「【単体では機能しません】が、【高台などを作って見張りを設ける】事で、領地からの【距離を測ったり出来ます】」

「それは前も聞いたぞ?」

「失礼致しました」ペコリ


ルチアの説明は以前に聞いたものと同じだ。

領地の【何処(方角)でどんな事(選択肢)をするか】……だったな。



「あの女、川の水を南に引け言うたけど……」

「………」

「穴すらないやんけ!」

「最初の仕事にしては、ちょっとキツイんやないかなぁ」

「まあ、それだけ期待してくれてるっちゅーことか?」

「……ほな、やりますか!」

「頼りにしてますでぇ! みなさん!」


↓1 作業進捗判定

【コンマ二桁の内、良いほうを採用。「差配」を使うなら追記する事】


―【結果表】――――――

1.無理
2.少し
3.駄目
4.少し
5.駄目
6.少し
7.少し
8.駄目
9.少し
10.完成


・無理=あと3週
・駄目=あと2週
・少し=あと1週
―――――――――――



【中間報告】


「ティオニクス様。報告致します」

「……ん、ディアナか。よろしく頼む」

「はい! ではまず、【南に水を引く作業】については……概ね【7割終った】そうです」

「へえ? 意外と早いな」

「ウルリッヒさんが【汗をびっしょり流しながら】『この領地、案外狭いんやね?』と仰ってました」

「……なんだろう」

「どうかされましたか?」

「いや、【ルチアが彼に笑顔で圧力をかけてる様子】が思い浮かんでね……」

「えっそんな訳……うーん、ありそうですねー」

「やっぱり?」

「はい。あ、その……今のはルチアさんに内緒にしておいて下さい!」

「別に言う気は無いんだけど」

「本当ですか?」



顎の尖った男ウルリッヒは予想以上に出来る人間のようだ。

この調子ならあと【1週間】もあれば水を南に引く事が出来るだろう。


……ディアナのルチアに対するイメージが少し解った気がする。



【自由行動】


「領主も息抜きはする。だって人間だもの」

「………」

「ルチアが傍に居ないと、誰も突っ込んでくれないや」

「悲しいなぁ……」



君は余暇を利用して何かしらの行動を起せる。

力を求める事や、周囲への働き掛けも出来るだろう。

……君が選ぶ道を聞かせてくれ。



下1~2 自由記述+結果判定 〔2D10で判定。偶数ゾロや数値が高い程良い〕

(かなり自由に動けます。……ご利用は計画的に)



―【現在の状況まとめ】――――――――――――――――――――――――――

・美の女神アフロディーテの月 2週 (14/28)

・ルチアは25歳、ドミニクは27歳

・ルチアはディアナが嫌い

・ドミニクは薔薇を育てている

・アルベルトはよく土弄りをしている

・ディアナに頼むと「奉仕」してもらえる

・人材は最大10名まで。現在の数は「9名」

・領地東で黒い液体(石油)を貯留中

・東の櫓は見晴らしが良い

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ウルリッヒを労う (7+10=17 結果……とても良好)
 ルチアと世間話 (10+2=12 結果……良好)



作業を難なくこなしてくれた彼を労いに行こう。

僕は彼の所在をドミニクに聞いてみた。


「ウルリッヒは何処に居る?」

「……ああ。彼でしたら【西の川で釣りをする】と言っておりました」

「そうか。ありがとう」

「………」

「……ッ」


書斎から出る瞬間、ドミニクが何か呟いた。

よく聞き取れなかったが、たぶんウルリッヒの事だろう。

……僕は西の川へと一人で向かった。


――――
――


―――――――――――
  領地西―大きな川
―――――――――――


水が流れる音が近付く。

釣り糸を垂らして居る人間がポツンと1人。

……間違いない。ウルリッヒだ。


「ご苦労様でした」

「おっ? なんやティオニクスの旦那かいな。南の作業なら問題ないで?」

「それは耳にしています。今日は少し話でもと思いまして」

「ほ~ん。ま、丁度ええわ! さっきからなんも釣れへんで暇してたとこや!」

「何にする? ん~女子(おなご)の好みでも話す? それとも自分の失敗談でもするかいな?」

「……ははは」


ウルリッヒはやけに高いテンションで捲し立てている。

なんだか元気を吸い取られそうだ。


……彼と何を話そう?


↓1 ウルリッヒに振る話題

―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「お住まいはどちらです?」   ウルリッヒ「ん? 向こうやで!」   【川の下流を指す】

②―「ルチアは無理を言いませんでしたか?」   ウルリッヒ「ハハッ、あの女無茶苦茶やったで?」

③―「なんの為に釣りを?」   ウルリッヒ「えらい哲学的な質問するんやね」

④―「では失敗談を」   ウルリッヒ「ええやん! 俺も話すで!」


【※3-0-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【66】 偶数ゾロ


気になった事を率直に聞いてみた。


「ルチアは無理を言いませんでしたか?」

「ハハッ、あの女無茶苦茶やったで?」


ウルリッヒは笑いながら君に答える。

面倒な仕事を振られたか。難癖でも付けられたか。

……たぶん前者だろう。

ルチアの事だ。自分が楽に出来るならそうする筈だ。



「【地面全く掘り返してないのに、水を引け】って言うんやで?」

「ホント、『アホかーっ!』てな? 思わずお前がやれやって言いたなったで」

「そうでしたか……申し訳ない」

「いや別にええで? やれん仕事じゃないし」

「助かります」

「あの女は【悪意を持ってやってる訳じゃないのが解るだけええ】」

「…?」

「すまんな。コッチの話や」


ウルリッヒはそう言うと君から目を逸らした。

何か気になる態度のような、そうでもないような……。


……彼と何を話そう?


↓1 ウルリッヒに振る話題

―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「お住まいはどちらです?」   ウルリッヒ「ん? 向こうやで」   【川の下流を指す】

②―「疲れは溜まっていませんか?」   ウルリッヒ「そこそこやな。心配せんでもまだまだ動けるで!」

③―「なんの為に釣りを?」   ウルリッヒ「えらい哲学的な質問するんやね」

④―「失敗談を話しましょう」   ウルリッヒ「ええやん! 俺も話すで!」

⑤―「実はアンタに何個か嘘ついてん。それがなんか解る?」   ティオニクス「嘘?」


【※3-0-2。あたり、はずれ、どちらでもない】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



考えても答えが出ない。

僕はウルリッヒに質問を投げかけた。


「お住まいはどちらです?」

「ん? 向こうやで」


彼は川の下流を指した。

川から流れて来たのに下流に家があるとは……。

どういう事なんだろうか。



「俺の家なんか聞いて……何か気になるん?」

「いえ、ちょっと興味が湧いたので」

「ふーん? ま、ええわ」

「……」


軽い調子で答えるウルリッヒの目は笑っていなかった。

【嘘を言っている可能性もある】かもしれない。

……指摘するのは取り敢えず後にしておこう。



「なあなあ、こんなの知っとる?」

「何でしょう」

「この周辺の【野盗が減った】って話」

「……。それは事実ですか?」

「ホントホント。嘘やったら逆立ちして領地1周してもええで」

「知ってる限りで良いので、詳しく教えて頂けますか」

「聞きたい? 聞きたいか? うーんどうしよかなぁ……」


領地の事で知らない事があるのは不味い。

そう思った君はウルリッヒに教えてもらうようお願いをした。

だが、彼は勿体付けて中々話そうとしない。

……ここは一つ何か物で釣ってみるか。



「何かあれば仰って下さい」

「おっ! 悪いなぁ~催促したみたいで」

「いえいえ」

「ほんなら……そうやな、後で【勝負】させてや」

「何方と?」

「【アンタと】」

「……私ですか?」

「そや」

「何を使って?」

「【何でもええで】」

「うーん……」


ウルリッヒは君と勝負がしたいようだ。

方法は何でもいいようだが……。


下2 返答内容

―【選択肢】――――――――――――――――――――

①―釣り
②―実戦
③―知恵比べ
④―自由安価
⑤―勝負をしない (さっきの質問は聞かない)

【①=2D10の判定。②=どちらかが2回喰らうと終了】
―――――――――――――――――――――――――



「では釣りの成果で競いましょうか」

「ほほぅ。後で後悔してもしらんで?」

「望むところです」 (やけに自信満々だな……)

「釣り具は俺の予備を貸したる。たぶん同じぐらいの性能やろと思うし」

「餌は何を?」

「朝一で掘り当てたミミズや」ウニョウニョ

「………」


彼は木製の容器を懐から取り出した。

素手で掴んでいるそれは、何とも形容しがたい生き物だった。



「なんや、ミミズは嫌いか?」

「……好きでは無いですね」

「嫌って言っても餌はこれしかないで」

「大丈夫です」

「そか! なら始めよか!」

「……」 (うねうねして気持ち悪い……)


君は普段から釣りをするような人間ではなかった。

加えて相手は釣りを趣味以上に嗜んでいる。

勝負事にこれを選んだのは些か不利だったかもしれない。


……しかし、釣りは技術も絡むが結局は時の運だ。

君はウルリッヒから道具を受け取り、やや大きな針にミミズを付け水辺に放った。


下1~2 ダイスロール 〔2D10〕

―【結果表】―――――――――――――――――――

  02   ― 明らかにこの場所に生息してない生物
03~07 ― 綺麗な鱗の魚
08~09 ― 餌だけ取られた
  10   ― 人
11~14 ― お腹が大きい魚
15~19 ― 硬い甲殻に包まれた蟹
  20   ― 貴方の従者

――――――――――――――――――――――――



結果は……【腹の大きな魚】と【蟹】が釣れた。

蟹のサイズはそこそこ大きく、掴もうとした指をねじ切ろうとする位に元気だ。


「危なっ!?」ガンッ


君は思わず地面に向かって蟹を叩きつけてしまう。

蟹はその身に余る衝撃を受け息絶えたのか、それを機に動かなくなった。

……とても無残な最期だ。



「……」

「さて、魚の方はどうだったかな」


気を取り直して魚を観察する。

うーむ。この魚は子持ちかもしれない。

指から伝わるブニブニとした感触がなんとも言えない心地だった。


……そうこうしているうちにウルリッヒが戻って来た。

彼の釣りの成果は……。


下1~2 ダイスロール 〔2D10〕

―【結果表】―――――――――――――――――――

  02   ― 明らかにこの場所に生息してない生物
03~07 ― 鳥
08~09 ― 綺麗な鱗
  10   ― 人
11~14 ― 大地
15~19 ― 蟹の甲羅
  20   ― 明らかにこの場所に生息してない生物

――――――――――――――――――――――――



「来ましたか」

「へっへっへ……待たせたな」

「成果はどうでした?」

「そう慌てんなって」


ウルリッヒはにやけた顔を君に向けている。

……あの態度、余程自分の成果に自信があるのか。



彼は川の水で手に付いた土をゆっくりと落としている。

君は律儀に彼を待つ。


(……顔まで洗ってる。汗を掻いた様にはとても見えなかったけど……)


ウルリッヒは立ち上がり君の前へ戻って来た。


「それじゃ、待ちに待ったお披露目タイムと行こうか」

「ええ。ではまず私から」

「……!」


君はビチビチと跳ねている魚と甲羅が割れた蟹を差し出す。

ウルリッヒは一瞬驚いた表情をした後、君の結果をフンと鼻で笑った。



「ほーんほんほん。かなr……中々の成果やな?」

「自分でもそう思います」

「しかし、しかしやなぁ~。相手が悪かったんちゃうんかと俺は思うで」

「見て驚けや! 俺の成果は【コレ】や!」


ウルリッヒは両手を広げ、君に対して渾身のドヤ顔を決めた。

……よく見るとその手には【綺麗な鱗が握られている】。



「……。何も無い様に見えるのは気のせいでしょうか」

「解らんか?」

「はい」

「ホンマに解らんか?」

「そう言われましても……」

「…………」

「俺はこの【大地を釣りあげた】んや!」

「……」

「は?」


何を言っているのか一瞬解らなかった。

あまりにも荒唐無稽な事を言うので、自分の耳がおかしくなったかと疑ってしまった。

……僕は努めて平静を装い彼に尋ねた。



「つまり、収穫はゼロですか?」

「……」

「怒りませんから」

「……すまんかった。コレだけなんや……」


そう言って綺麗な鱗を差し出したウルリッヒの声は弱々しかった。

目線を露骨に逸らされているのがなんとも言えない。


……誰がどう見ても釣り勝負は君の勝ちだ。



「ガリガリ……話を戻そか」

「モシャ……なんでしたっけ?」

「野盗が減ったって話や」

「ああ。そうでした」


君達は釣りあげた魚(1人甲殻類)を貪っている。

調味料が無いので味は自然を感じる素材そのものだ。



「……少し前の話しになるんやけど」

「【3人の男女に野盗の集団11人が襲い掛かって負けた】らしいんや」

「途中で【逃げた2人は】生き残ったけど、【この前の炎上】であの世行き」

「それを聞いた誰もがびびって、ここの近くに来ないって訳よ」

「………」サー (3人? それって……)

「どしたん? 顔色悪いで?」

「ぶ、物騒な事もあるんですね」

「ホントやな。メッサーラの爺さんもぼやいとったで」

「【妙な動きをみせる奴が最近多くて困る】とか」

「【対処するのが面倒】、【正体が解れば処分も出来るのに】……ってな」


ウルリッヒは齧るのを止めて蟹の足を吹き出した。

彼は蟹の身を食べ尽くしてしまったようだ。



「ま、野盗が減ったのはそういう訳」

「なるほど」

「要は大した理由じゃない。【今までを振り返れば当たり前の事】ばかりや」

「説得力のある言葉ですね」

「まあな」

「……なんか他に聞きたい事ある? 【なかったら帰る】けど」

「そうですね……」


……彼と何を話そう?


↓2 ウルリッヒに振る話題

―【選択肢】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「これ水気あんま無いんやな。おかげで口ん中カラカラや」   「でしたら……」   【誰かが川を指す】

②―「疲れは溜まってませんか?」   ウルリッヒ「そこそこやな。心配せんでもまだまだ動けるで!」

③―「なんの為に釣りを?」   ウルリッヒ「えらい哲学的な質問するんやね」

④―「メッサーラ公は普段どんな生活を?」   ウルリッヒ「何で稼いどんか知らんけど、遊んでばっかやで」

⑤―「……私に嘘を言った部分はありますか?」   ウルリッヒ「さあな。タイミングがわるいんちゃう?」

⑥―自由安価

【※2-1-2。あたり、はずれ、どちらでもない】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



ウルリッヒは顔を顰めている。

君は疑問に思ったが、その理由は直ぐに解った。


「これ水気あんま無いんやな。おかげで口ん中カラカラや」

「でしたら……」

「うわっ出た」

「…? ……!?」


言葉を聞いて振り向くと【ルチアが居た】。

彼女は川に向かって人差し指を向けている。

……川の水を直に飲めと言っているのか。



「近くに水がございます。あちらを飲めばよろしいかと思います」

「冗談はやめーや。普通に考えて腹下すのがオチやろ」

「煮沸させるか濾過すれば良いのでは?」

「まあそれなら……って違うやろ!」

「何か?」

「アンタは俺を客人としては扱ってくれんのかいな!」

「……何処にお客様が?」


ルチアは素早く四方を確認している。

重心が全く動いてない。一部の隙も感じさせない動作だ。



「ココ! アンタの目の前! 旦那の隣ィ!」

「そんな方は存在しませんね」

「畜生か!」

「まあまあ」

「旦那。こんな従者抱えて大丈夫かいな……」

「大丈夫です。問題はもみ消しますから」

「アンタに言ったんじゃないわ!」

「どうどう」

「俺を馬扱いすな!」


ルチアは火に油を注ぐかの如く勢いだ。

流石のウルリッヒもこれには疲れたのか息を切らしている。



「はぁ……俺もう疲れたから帰るわ」

「お帰りですか? どうぞ【背後に気を付けてお帰りください】ませ」

「もう俺は何も言わん。何も突っ込まんぞ……」

「……ははは」

「楽しかったで、旦那との釣り」

「ほなな」


ウルリッヒは溜息を吐きながら釣り道具を肩に背負いその場を離れた。

帰ると言っても屋敷だから後でまた会うと思うのだが……。

どうにもルチアが余計な事をしていそうで不安だ。



何故ルチアがこんな場所まで来たのか。

たぶん僕の承認がなければ動けない事が起きたのだろう。


「領主様。長く離れるのでしたら事前に仰って下さい」

「悪かった悪かった」

「反省の色が見えませんね」

「本当に申し訳ないと思っている」

「……」

「不味いとは思ったが抑えきれなかった」

「……帰りましょう。お仕事が増えましたから」

「うわーやっぱり。嬉しくない知らせだ」


僕はルチアに引きずられるようにして屋敷へと戻った


―――――
――



屋敷に戻った君は何時通りの服装に着替える。

書斎では如何に落ち着いて取り組めるかがなによりも重要だからだ。


「で、仕事は何だ」

「嘘でございます」

「……は?」

「急を要する仕事は今の所ございません」

「えぇ……」

「ですが、その代わりに暇はございます」


ルチアは微笑み君にこう問いかけた。



「暇を持て余した領主様。私と雑談でもしませんか?」

「……なんだよ急に」

「お嫌ですか?」

「いや、別に」 (まあ、後で行こうと思ってたから……)

「何なりとお尋ねください。答えられない事以外はお答えします」

「むぅ……」


ルチアと何を話すか正直迷う。

どうにも長い事喋ってないような気がするからだ。

同じ屋敷に居るというのに……。疲れているのだろうか。


……ルチアと何を話す?


↓2 話題の選択

―【選択肢】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「何時から居たんだ?」   ルチア「最初から」   「えっ」   ルチア「冗談です」

②―「魚の丸焼きも悪くないな」   ルチア「内臓は処理されましたか?」   「いや、全然」

③―「犯罪が減るのは良い事です」   ティオニクス「なぜ急にその話を?」

④―「ウルリッヒとはどうだ?」   ルチア「とても良い関係を築けているのではないかと思います」

⑤―(困った時のご先祖様ァ!) 【自由安価】


【※2-1-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



ルチアが気になる事を言い出した。


「犯罪が減るのは良い事です」

「なぜ急にその話を?」

「犯罪が減るのは良い事なのです」

「いや、理由を教えてくれよ」

「正当化」


彼女は一言で表した。

……正当化?



「……なに?」

「焼き払った南東の事です」

「それは……」

「実行したのは私です。命を下した領主様は罪の意識を感じる必要はございません」

「良心の呵責があるのならば捨てて下さい」

「……」

「確かに犯罪が減るのは良い事だ」

「お解り頂けますか」

「しかし、人を殺めて良い事には繋がらないだろう」

「…。左様でございますか」


ほんの少し間が空いた。

僕はルチアが何故か悲しそうな目をしているように見えた。



「いや、その……」

「……」

「意図してやったと取れる言い方ですまない。ああもう何と言うか……」

「犯罪者を減らす為に犯罪を犯す、それはどうなんだと言いたくて……」

「解っております」

「ルチア?」

「気を使って頂かなくても構いません」

「……本当に済まなかった」


ルチアの表情は既に戻っている。

取り越し苦労だったか。


……僕はルチアと何を話そう?


↓2 話題の選択

―【選択肢】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「川に何時から居たんだ?」   ルチア「最初から」   「えっ」   ルチア「ふふっ。冗談です」

②―「魚の丸焼きも悪くないと思った」   ルチア「内臓は処理されましたか?」   「いや、全然」

③―「ですから次は……」   ティオニクス「またやるの? ドゥンドゥンやるの? さっきまでの空気は?」

④―「ウルリッヒとはどうだ?」   ルチア「とても良い関係を築けているのではないかと思います」

⑤―「あの村の3人はどういう集まりなんだ?」   ルチア「野盗を壊滅させた張本人です」

⑥―(困った時のご先祖様ァ!) 【自由安価】


【※2-1-2。あたり、はずれ、どちらでもない】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



何となくルチアに聞いてみた。


「あの村の3人はどういう集まりなんだ?」

「野盗を壊滅させた張本人です」

「……やっぱりか」


予想していた事は的中した。

強者の風格は単なる気のせいでは無かったようだ。



「3人のうち覆面の男と弟は、その筋で有名な【無敗の剣闘士】だったそうです」

「剣闘士?」

「はい。女性の方も同じ剣闘士だったらしく、【女性にあるまじき膂力】で対戦者を倒していたとか」

「………」サー (もしかして、あの村で変な行動を取ってたら……)

「【双子の方は】領主様がどうあがいても勝ち目は無いでしょう」

「戦う気すら起きないよ……」

「賢明な判断ですね」


ルチアは妙に詳しい情報を知っていた。

……どうやって知りえたのだろうか?



「それにしてもルチアは凄いな。どうやってそれを知ったんだ?」

「従者ですから」

「いや、僕は手段を」

「領主様の従者ですから」

「……うん。もういいや」


答える気が無いのはハッキリ解る。

こっちの方が立場は上な筈なんだけどなぁ……。


……君はルチアと何を話す?


↓2 話題の選択

―【選択肢】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「川に何時から居たんだ?」   ルチア「最初から」   「えっ」   ルチア「冗談です」

②―「丸焼きも悪くないと思った」   ルチア「……内臓は処理されましたか?」   「いや、全然」

③―「領主様もあの方々に師事してもらってはどうでしょう」   ティオニクス「……僕に死ねと?」

④―「ウルリッヒはどうだ?」   ルチア「人間のくz……事なかれ主義に見えます」

⑤―「『背後に気を付けろ~』というのは冗談か?」   ルチア「私なりのジョークです」

⑥―(困った時のご先祖様ァ!) 【自由安価】


【※2-2-1。あたり、はずれ、どちらでもない】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



ウルリッヒと喋っている時、ルチアはタイミングよく現れた。

話をどこから聞いていたのだろう。


「川に何時から居たんだ?」

「最初から」

「えっ」

「冗談です」


簡潔明瞭に答えているのが逆に怖い。

冗談で言っているのかそうでないのか解り辛いからだ。

ルチアの表情は判別出来ない訳でもないが、これは……。



「僕が出かける前、【ルチアは何をしていた?】」

「領民の【近況確認を】」

「……ああ。その序(ついで)か」

「はい」

「変な事を聞いて悪かった」

「確認は大事ですから全く問題はありません」

「そうか」


……単なる思い過ごしか。

ルチアが【ずっと背後を着いていた】のではないかと思ったのは。



「領主様」

「なんだ?」

「不安を感じる必要はありません。どうぞ【私を信頼して下さい】」

「急に何を……」

「例え……誰もが離れようと、【私だけはこの家を絶対に離れません】」

「【私は領主様の手足となって】働きます」


ルチアは【忠誠を誓った】。

ここで再び口にしたのは何を意識してか。

……深読みは止めよう。疑うのは良くない。


↓2 話題の選択

―【選択肢】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「……離れる理由を作るのは止めてね?」   ルチア「相手によります」

②―「僕が言えば何でもするのか?」   ルチア「何であっても」

③―「ですが領主様は貧弱。あの方々に師事を~」   ティオニクス「君は僕に死ねと言うのか?」

③―「……ウルリッヒをどう思う」   ルチア「人間のg……ただの盗人崩れには見えませんね」

④―「『背後に気を付けろ~』というのは冗談か?」   ルチア「私なりのジョークです」

⑥―(困った時のご先祖様ァ!) 【自由安価】


【※1-2-2。あたり、はずれ、どちらでもない】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



①―「……離れる理由を作るのは止めてね?」   ルチア「相手によります」

②―「僕が言えば何でもするのか?」   ルチア「何であっても」

③―「ですが領主様は貧弱。あの方々に師事を~」   ティオニクス「君は僕に死ねと言うのか?」

④―「……ウルリッヒをどう思う」   ルチア「人間のg……ただの盗人崩れには見えませんね」

⑤―「『背後に気を付けろ~』というのは冗談か?」   ルチア「私なりのジョークです」

⑥―(困った時のご先祖様ァ!) 【自由安価】


【※1-2-2。あたり、はずれ、どちらでもない】


ここから↓2



新顔の【彼】についてルチアに聞いてみた。


「……ウルリッヒをどう思う」

「人間のg……ただの盗人崩れには見えませんね」

「ルチアもか」

「金細工をただの一般人が所有しているのはおかしいですから」

「そうか、そうだよな」


……何か言いかけたようだが、態々言及する事でもない。

それにしてもあの【首輪】、やはり【盗品なのだろうか】。



「ですが……」

「ん?」

「仕事において彼が【有能である】のは間違いないです」

「!?」

「そんなに驚かなくても」

「驚くよ! ルチアが人を褒めてるのが珍しいんだから!」

「そうでしょうか? ただ事実を言っただけですが」

「……僕は?」

「フフッ」

「酷い」


もしかして、ルチアは最初から【1週間じゃ終わらない重労働】を任せたのか?

そうやって無理難題を押し付ける事で、ウルリッヒをここから離れさせようとした……。

……たぶんないな。



――コンコンコンコン。


「誰だ?」

『ドミニクです』

「入ってくれ」

『はっ』


――ガチャ。


「領主様。夕食の準備が整いました」

「ありがとう。今日のメニューは何かな?」

「【鳥肉とラディッシュのスープ】に【フライドポテト】です」

「おお、楽しみだ」

「では私奴はこれで」

「うむ」

「領主様。私も失礼致します」

「む? 結構話し込んでたか」

「はい。それでは」


ルチアはドミニクの後を追うように部屋から出て行った。


―――――
―――


食事も済ませたので自室にて溜息を吐く。

新しい人間が来たが悪い事ばかりではない。

領地は間違いなく発展している筈だ。


(父さん。僕はこの領地を……)

(……zzzZ……zzzzZ)



下1 闘力+TP回復 (2D10で判定)

下2 夢を見るか (2D10で判定、目標値は【18以上】)


【現在値】――――――――――――

【地方領主 ティオニクス】 男

―37/37 闘力
―05/10 GP
―24/24 TP
―70/100 ?↑   .〔50→70〕

【自然回復】 (5+8=13)
――――――――――――――――
【ティオニクスの従者 ルチア】 女

―45/45 闘力
―05/10 GP
―40/40 TP↑
――――――――――――――――
【影薄き従者 ドミニク】 男

―46/46 闘力
―05/10 GP
―38/38 TP
――――――――――――――――
【銀嶺の従者 ディアナ】 女

―41/41 闘力
―05/10 GP
―35/35 TP↑
――――――――――――――――


君は深い眠りに包まれている。

……今日も疲れていたようだ。



【美の女神アフロディーテの月 3週】 (15/28)


「報告します」

「うむ」

「クz……ウルリッヒは南方での作業を行っており、残り【1週間】で完遂させるとのこと」

「そうか」

「【以上です】。現状の不明点はございますか?」

「特に無いな」

「……本当に?」

「ああ」

「失礼しました」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――
/領地特徴/

北―森の一帯
西―大きな川+
東―農地++
南―荒地+++
南東―焼野原【!】


/建造物等/

北―巣穴
西―堤防
東―柵(木)、油田、景色が良い櫓
南―柵(木)、旗(太陽)、屋敷寄りに櫓

北東―牧歌的な村
南東―灰に塗れた地面


・水源が豊富
・領民は読み書きが出来る教養を持つ
・作物を育てられる時期
・東南からは攻め易い
・南東は派手に炎上した
・村(北東)の住人は間違いなくヤバイ


【!】 ……人影? (24ターンまで放置すると……)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



欲に塗れた貴族もこの世には居る。

それが君である可能性も無い訳では無い。


……第15ターンの行動を聞こう。君は何をする?


下1~2 選択肢

―【選択肢】―――――――――――――――――――

①―領地の開墾、改善
②―人材発掘
③―自己学習
④―従者の誰かに相談する※
⑤―近隣の領主、村長に助けを求める
⑥―自由安価
⑦―人材派遣

※―従者3人の内、誰かの名前を追記する事
――――――――――――――――――――――――



~ディアナに相談~


「ディアナ、ディアナは居るか?」

「はい! ここに居ます!」

「少し相談がしたい。後で部屋に来てくれ」

「は、はい?」


僕は廊下でディアナの名を呼んだ。

部屋から顔をヒョコッと出して返事をしたので、彼女を書斎へ来るように伝えた。


――――



「あの、その……失礼します」

「よく来てくれた。さあ座ってくれ」

「はっ、はい!」

「今から頼む事は、恐らく君が一番適切だろう」

「………」 (あわわ、まさか……)

「聞きたいかい?」

「……はい///」


ディアナは上目遣いでこちらを見ている。

急に呼び出したのは叱られるからだと、緊張しているのだろうか。



「【目安箱】を設置しようと思っているんだ」

「……えっ」

「【領地に不満】があったり、何か【要望があるなら匿名で意見を出す事が出来る】」

「……それに、領民の関心を好きな時にこちらへ向けさせる事だって可能かもしれない」

「と、とても良い案だと思います!」

「そこで最初に戻ろう。君に聞きたいのは【目安箱の設置場所】についてだ」

「何処に置くかで何か変わるんですか?」

「ああ。【そこが重要】なんだ」


僕は一拍置いてディアナに説明を始める。



「……先ず【屋敷の近く】」

「これは【管理が楽】だ。屋敷のすぐ近くに設置するのだから当然だな」

「位置関係的にも【中間報告までに】は必ず目を通せるだろう」

「従者の立場も考えて下さってるんですね!」

「うむ。続けていいか?」


面と向かって『流石です!』と褒められるのも悪くない。

……ルチアならまず言わないだろうが。



「……次に【領地の中心】」

「これも【他と比較して楽】な部類だ。領民の近況確認ついででやれる」

「【次週の頭に】纏めて報告できる筈だ」

「週終りの方は仕事が大変そうですね……」

「これより面倒なものが後に控えてます」

「えっ」

「面倒なものが控えてます」

「えぇ……」


私はどこをどうツッコむべきか迷っています。

ティオニクス様が真顔で仰っているので、恐らく並々ならぬ手間なのでしょう。

ルチアさんなら【絶対に嫌です。話すら聞きません】とか言うんでしょうけれど……。



「……次は【屋敷の正反対】」

「【領地のほぼ最東端】だな。ここに設置する【理由も一応ある】」

「【屋敷の人間があまり来ないので匿名性が増す】所か」

「急がなくても良いなら、【次の週の中間報告】には間に合うだろう」

「ティオニクス様に従事するのとは別に、週を跨いで仕事があるんですね……」

「給金はそれでも増えないがな」

「うぅ……」


ディアナは雇用の別枠だからそんな反応しなくても良いのだが。

他人の事を思っているのか、それとも……。



「……最後に【領地の全域】だ」

「【東西南北】全てに設置する。もちろん屋敷の近くにもだ」

「【どこの領民でも気軽に投函出来る】訳だが、こちらの【負担もそれだけ大きい】」

「【中間報告~次の週の中間報告】まで引っ切り無しだろう」

「あの、お休みは……」

「間違いなく減る。君達も例外なくだ」

「あはは……」


ディアナは苦笑いを浮かべた。

意図する事は何となく解る。ルチアなら【絶対したくない】とか言うだろうし。

……流石に自分の休みを削ってまでやりたくはないか。



「【以上を踏まえて】君の意見を聞きたい」

「うぅ、責任重大です」

「2人には僕が話しておく。何も案ずることは無い」

「それでもですよぉ……」

「ならドミニクに相談を……」

「待ってください! それだけはちょっと!」

「どうしてだ?」

「ドミニクさんなら【ふむ。でしたら全域に……】とか言い出しかねないからです!」

「……。それもそうだな」


ディアナはあの2人に比べて極端な意見を持っていない。

言わば常識人の部類に入れても良い人間だ。

思想はともかく、上の立場からの意見をする事は少ない。


……【ルチアは楽な方】。【ドミニクは大変でも確実な方】を選ぶ。

ここまで解っていて相談するのは彼女なのだから、僕はそれ以外を求めているのかもしれない。



「忌憚のない意見を聞かせてくれ」

「は、はい」

「………」

「うぅ」 (困ります。こんな事相談されるとは思ってなかったから……)


ど、どうしましょう。

【私の意見が元で何か問題が起きてしまったら】……。

ドミニクさんはともかく、ルチアさんが絶対何か言ってきますよぉ。

……あはは、もうどうにでもなーれ。



↓1~ 君の質問に対するディアナの返答 【多数決、3票先取】

―【選択肢】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「屋敷の近く……がいいと思います」   【ルチアの事を想像した貴女は思わず屋敷の近くを提案】

②―(そうだ! 領地の中心なら誰も文句は……)   【領地の中心でディアナは苦心を叫ぶ】

③―「匿名性が重要ですからね! 人があまり来ない所ですよ!」   【屋敷の正反対】

④―「やはりここは全部ですよ、全部!」   【私は全然大丈夫じゃないですが領地全域を選びます】

【1ー1ー1ー1。内訳は明かしません】
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



(そうだ! 領地の中心なら誰も文句は……)

「近況確認の合間に出来る【領地の中心】で!」

「ではその通りにしようか」

「お願いします!」

「お、おう。解った」


思わず無難な方を言ってしまいました。

どちらに偏っても碌な目に遭わないのを想像したからです。

……大丈夫。問題が起きなければ大丈夫なんですから。



「目安箱は来週を目処に設置する。その時を楽しみにしていてくれ」

「は、はい……」

「用件は以上だ。下がってくれ」

「失礼します」ペコリ

「……」


やはり、彼女と僕は似通っているようだ。

さっきの選択で無難な物を選ぶあたりそう思える。

……今の立場を考えるとそうなるのも当然か。



【中間報告】


「ご報告致します」

「ドミニクか。よろしく頼む」

「はっ」

「……南方での作業は無事終了。【川から水が流れる】ように土地を改良しています」

「具体的にどうなっている?」

「西から南を下って、また西へ戻る水路をご想像して頂ければ」

「【堤防の効果が減りそう】な気もするが……」

「御尤もな意見ですが心配には及びません。氾濫した際は【水量が部分的に減ります】ので」

「そうか。済まないな、続けてくれ」



「かしこまりました」

「……領地の中心部にあたる十字路へ【目安箱を設置】しました」

「もう完成したのか。大分早いな」

「はい。【現在は利用者が少ない】ですが、時期に周知されるでしょう」

「【要望等はあったか?】」

「いえ、【妙な内容が1つ】しか」

「妙な内容? 一応聞いておこう」

「【報復を行う】……とだけ」

「性質の悪い悪戯だな」


ドミニクから聞いた内容は、先週の工事が済んだ事。

目安箱に悪戯書きが入っていた事だ。

……使われないよりかはマシか。



【自由行動】


「……人が増えて来たし、特徴でもおさらいしておくか」

「ドミニクは『真面目なのが取り柄』だ」

「ルチアは『やると決めたら絶対にやる』」

「ディアナは『協調性が高い』」

「ミリスは『僕を神と同一視して崇める』」

「モルドーは『肉体労働にとても強い』」

「ゴランは『勘が鋭くて、タフ』だ」

「アルベルトは『成長性がとてもある』」

「ウルリッヒは……『まだよく解らない』な」

「【従者3人は】我が家の為に働いてくれる。【余程の事が無い限り離れない】」

「裏切られるような事があるとするなら……それは【僕が人の道を踏み外す時】だ」

「大分長くなったけど、大雑把に纏めるとこんな感じかな」




「………」ジー (領主様が紙に向かって何かを纏めている……)

「……」 (ふぅ。ルチアがまた書斎を覗いてますね。そっとしておきましょうか)



君達は余暇を利用して何かしらの行動を起せる。

貴族の家を来訪する事や、周囲で催し事なんかも出来るだろう。

知らない人間はどうしようもないが、知っている人間ならばどうとでも出来る。

……誰がどんな道を進むのか聞かせてくれ。


下1~2 自由記述+結果判定 〔2D10で判定。偶数ゾロや数値が高い程良い〕

(主人公以外の行動指定もやろうと思えば出来ます。……ご利用は計画的に)


※現在の状況は「3週目である」以外ほぼ>>251



「ドミニクは居るか」

「領主様。ここにドミニクは居ませんよ」

「何処へ行ったか知らないか? ルチア」

「中庭で薔薇でも見ているのでは?」

「そうか、ありがとう」

「お気を付けて」


ルチアは一礼してその場を去った。

僕もドミニクを探しに中庭へと向かった。


――――



……青い草木の香りがする。とても落ち着く香りだ。


「来てみたは良いが、ドミニクは……おっ、居た!」

「…?」

「ドミニクー!」

「領主様、何故ここへ?」

「いやな、ドミニクを労おうと思って」

「その為に態々……ご足労頂きありがとうございます」

「かしこまらなくてもいいさ」


ドミニクは君の来訪に喜びを表している。

……ふと足元を見ると、土が掘り返されている事が解った。



「何をしていたんだ?」

「接木(つぎき)した薔薇の植え替えをしておりました」

「接木?」

「はい。咲かせたい品種の枝を土台となる薔薇の枝に固定した物です」

「へえ」


彼は細い目をより細くさせて笑んだ。

好きな事に興味を向けられて気分が良いのだろう。



「領主様から見て真後ろの、外壁を覆おうとしている蔦も薔薇でございます」

「あれもか!?」

「はい。ゆくゆくは綺麗な花を咲かせるでしょう」

「……全然気付かなかった」

「私がこっそりと育てていた物ですから、無理もありません」

「秘密にしていたのか?」

「その方が面白いでしょう」

「うーむ。……確かにな」


人を驚かせるのが彼の趣味なのは周知の事実。

しかし、ここまで規模が大きくなると中々個人でやれる事じゃない。

……余暇の殆どをココで過ごしているのだろうか。



「領主様も1つ育ててみるのはどうでしょう?」

「僕が薔薇を?」

「はい。奥が深く面白いですから」

「はは、そうは言っても難しいんだろう?」

「簡単ではありませんね。ですが、種から育てるよりは容易です」

「興味がございましたら、僭越ながら私がレクチャー致しますので」

「どうするかなぁ……」


彼は珍しく普段より積極的だ。

ドミニクにとっての薔薇は僕にとっての何だろう。

似た趣味を持っているのは確か……アルベルトだったか。


↓1~2 ドミニクへの返答 (自由記述)



「そうだな……【アルベルトも誘って】やってみようかな」

「アルベルトを?」

「ああ。前に話した時、【よく土いじりをする】と言っていたんだ」

「……趣味を共有する相手は、どうせなら多い方がいいだろう?」

「成程。お二方で参加すると」

「そう言う事だ」

「承知しました。こちらの方で準備をしておきます」

「すぐ始められるのか?」

「勿論です。接木や挿木をするなら枝と土があれば十分ですので」

「そうか、ならアルベルトを呼んでくる。待っていてくれ」

「お待ちしております」


ドミニクはにっこりと微笑んだ。

彼にしては珍しい、楽しみで仕方がないといった顔だ。


……僕はアルベルトの元へ向かった。


―――――
――



彼の家は僕一人で向かった。


――コンコンコン。

「アルベルトは居るか?」

「……はい?」


ノックした音からやや遅れて男性の声が中から聞こえて来た。

……アルベルトの声だ。


「急な訪問ですまない。ティオニクスだ」

「りょ、領主様ですか!? 今開けます! 少々お待ちください!」


――ガチャガチャガチャ。


「ははは」 (そんなに焦らなくても……)



――バァン!!


「おぶぁっ!?」ドサッ

「ぁあああ! すみません!」


扉が勢いよく開いて身体にぶち当たった。

堪らず仰け反った僕はそのまま尻餅を搗く。


「だ、大丈夫ですか?」

「……やあ、アルベルト。元気そうで何よりだ」ムクリ

「あ、あははは……」

「今日は君に用件があってね。薔薇を私とドミニクとで学ばないか?」

「薔薇…?」


アルベルトは君の言葉を反芻している。

さて、どんな返答が返ってくるか……。



「ええと……」 (薔薇? 植物の? それとも別の……)

「( ^ω^ )」

「……」サー (まさか……)

「どうした?」

「あ、あの」

「?」


↓2 アルベルトの返答 (自由記述or選択肢)

―【選択表】――――――――――――――――――

①―「今日はちょっと手が離せなくて……」

②―「成長すると食用に出来る薔薇ですか?」

③―「……誰が教える側なんです?」

④―自由記述

―――――――――――――――――――――――

まぁローマ時代あたりなら貴族では割と一般的だった…のかなぁ…?


【過去の質問等への返答、言及】


>>362 知っている範囲で説明させて頂きます


古代ローマでの元々の同性愛とは少年を愛でるもの(少年愛)であり

少年を社会(又は戦士、善性を持つ人間)に加える(する)為の教育でもあったらしく

その中に性愛は含まれていなかったそうです。


ローマ全体が退廃的になっていくと、同性愛において性愛が含まれていったようです。

(この辺りはペトロニウスがネロ期のローマについて書いた『サテュリコン』という小説が詳しい)


極端なもので言うと、セウェルス朝(193-235)の皇帝『ヘリオガバルス』のような人物も居たようです。

(女装をして宮殿で男性客と情事に耽ったり、自分の性器を……など色々酷い話が残っています)


2世紀の詩人『ストラトン』が数多くの少年愛に関する詩を纏めたムーサ・パイディケーにも、

少年愛を賛美する自身の詩を残しています。(コレの内容も中々酷い)


貴族であるという事は他の階級と比べて『戦場に立つ機会が多い』為にその傾向が強いというだけで

”同性愛の全体”を含めると『一部に限った話ではない』という事です。



「……誰が教える側なんです?」

「ドミニクだ。中庭で植替えをしている時に『領主様も育ててみませんか?』と言われたんでな」

「なるほど……ホッ」

「どうした?」

「あ、いえいえ! なんでもないです! 良かったら僕も参加させて下さい!」

「よし、なら行こうか」

「道具は何か要りますか?」

「ドミニクが全て準備してくれている。特に必要無いだろう」

「解りました」


話しの途中、アルベルトが安堵したように見えた。

……彼は元々臆病な気質だ。何かあったのだろうか。


僕はアルベルトを連れて屋敷へと戻った。


―――――
――



~中庭~


「待たせたな! ドミニク!」

「お帰りなさいませ。領主様」

「…失礼しまーす」

「どうぞ中へ」


ドミニクは微笑みかける。

アルベルトはやや緊張した反応を見せた。


「……こうして話すのは初めてですね。アルベルト」

「きょ、今日はよろしくお願いします!」

「お二方とも、【怪我には気を付けて下さい】」

「うむ!」


ドミニクは僕の方を向いて言葉を強調した。

やれやれ……子供じゃないんだからそうそう怪我なんてする訳無いだろう。



「こちらに成長した薔薇がございます」

「ほう?」

「白に赤が混じったような色ですね……」

「ふふっ、その色は植物に因んで薔薇色とも言います」

「へぇ、そうなのか」

「この薔薇の名前は【ドッグローズ】です」

「…犬薔薇?」

「はい。『狂犬に付けられた傷に根を使うと効く』そうです」

「それでか」


僕達はドミニクの説明に聞き入った。

……やはり知らない事を知るのは面白いな。



「この薔薇をこうやって……!」


――バキッ。


「えぇ!? 大丈夫なんですか?」

「根元から折る方が後で使い易いので」

「そ、そうなのか」


ドミニクは犬薔薇の枝を遠慮なく折った。

土に立てる為に太さがある程度欲しいらしい。

……折られた方の薔薇は大丈夫なのか?



「そして折った枝に付いている棘を取ります」

「この際、枝に対して大きすぎる葉も取り除いて下さい」

「どうしてですか?」

「発根させるまでの光合成で負担がかかり過ぎて枯れるからです。それに、葉っぱが大きいと風でうっかり倒れる可能性もあります。棘は作業中や成長時の手入れにふようである為で……

「なるほど!そんな理由が」

「……」


ドミニクの説明は長い。

言っちゃなんだが、少し退屈になってきた。



「……ではお二方もやってみて下さい」

「はい!」

「おっ?」


なんか知らんが何時の間にか説明が終ってた。

ドミニクが説明した事を今から僕達もやるようだ。

……どんな順番だったっけ?


↓1~2 自由記述 (正解に近い方を採用)

※下の単語を好きに並べ替えて下さい。○に言葉も入れて下さい。全部使わなくても良いです。


【○を抜く、○○く穴を掘る、○を折る、○○な○を取り除く、○に挿す】


例 枝を折る→毒を抜く→大きく穴を掘る→溝に挿す


枝を折る→棘を抜く→余計な葉を取り除く を採用


「こんな感じですかね?」

「お上手です。領主様は……」

「どうだ?」

「悪い箇所は特にございません」

「よーしよし」


ドミニクは君の手際を褒めている。

……少しいい気分になれた。



「物の用意は出来たので、次に行きましょう」

「任せろ」

「枝の断面を整えます。折ったままですと少々生育に支障がありますので」

「どういった問題が?」

「吸水量に差が出ます。なので両方向から斜めに切断して下さい」

「はい!」

「……」 (アルベルトは熱心だなぁ……)


彼の伸びしろはこういった所にあるのだろう。

なんとなく君はそう思った。



「ここまでやれば残りは簡単です」

「枝の太さにあった挿し穴を開けて、優しく挿し込んであげて下さい」

「穴は深い方が良いんですか?」

「そうですね。人差し指の第二関節ほどでしょうか」

「解りました!」

「後は水をかけて土と馴染ませるだけ。……説明は以上です。何か質問はございますか?」

「大丈夫です」

「無いぞー」

「では始めて下さい」


ドミニクに言われた事のおさらいだ。

……今度はどんな順番だったっけ?


↓1~3 自由記述 (正解に近い方を採用)

※下の1、2の語群を好きに並べ替えて下さい。○に言葉も入れて下さい。全部使わなくても良いです。


1「○を○○、○をかける、枝の○○を○○に○○○」

2「○に○を挿す、○に○○せ○穴を掘る、○○○○に○○顔を向ける、○○」


例 枝の断面を綺麗に整える→土を嗅ぐ→勘に任せて穴を掘る→穴に枝を挿す→水をかける→祈る


【正解数が多いほど貴方の見えない評価が上がります。どんな答えでもドミニクは怒りません】

枝の断面を斜めに整える→枝に合わせて穴を掘る→穴に枝を挿す→水をかける


>>376を採用


「出来ました!」

「中々筋が良いですね」

「そうなのか?」

「はい。これなら風雨にも十分耐え得るでしょう」

「領主様は……」


ドミニクは僕の作業結果を見て頷く。

……どんな反応が返って来るのか。



「……」

「どうだ?」

「お見事でございます。寸分の違いもありません」

「よっしゃ」


沈黙の後に出た言葉は称賛だった。

結果は上々。手応えもそこそこある反応だ。



「正直に申しますと、【指摘する点が全然無い】ので物足りなさを感じております」

「失敗しないのは良い事……ですよね?」

「ええ。全くもってそうですが」

「どうしろってんだよ……」

「【個人の感想】なので気にしないで下さい」


僕はドミニクに対して少し呆れた顔を向ける。

彼は君の視線を受けて、細い目をさらに細くした。


……想定していたものと別の結果だと案外拍子抜けする事も多い。

今回、ドミニクが想定していたのはどんな結果だったのだろうか。


【ティオニクスは特徴「物覚えが良い」を覚えた!】



あの後、僕は早々に退散した。

土を弄るのが嫌とかでは無いが、長い説明は少し勘弁だと思ったからだ。

……けっして面倒になったから逃げた訳じゃないぞ。


「さてと、少し見回りでもするかな。……ん?」

「……」

「何をしてるんだ? ルチア」

「領主様が迷子になりませんようにと、お祈りを」

「止めてくれ。その話は僕に効く」

「ふふふ」

「嫌な笑いだな……」

「行ってらっしゃいませ」


僕はルチアに見送られて屋敷を出た。


――――
――



「領民と交流を図りたい、そう思って出て来たは良いが……」

「領地の何処を回るかを決めて無かった」

「……何処へ行こう?」


領民は領主である君ならば邪険に扱う事はそう無い。

好きな所へ行くと良い。

時間の許す限り領地を回る事が出来るだろう。

自由に動ける時間を過ぎると前回と同じ事が起きるかもしれないが……。


↓2 君が交流したい場所


 ※領地の【東西南北】、それと【北東、南東】の中からどうぞ



【ティオニクス】

このスレにおける主人公。地方領主。

父が急逝した事により若くして領地を継ぐ事になった青年。

有能な人材が複数居るが、どいつもこいつも癖のある人材ばかり。

……彼だけ「やる気」という隠し(隠れてない)ステータスがある。


【ルチア】

才気溢れる女従者。

彼女が主人に対して毒を吐くのは特別な思いがあるから……なのかもしれない。

年齢は25歳、得意料理は鳥肉のスープ。努力は人に見えない所で隠れてする主義。

……彼女だけは「絶対」に離反しない。


【ドミニク】

変装と造園が趣味の男従者。

主人を驚かせる事に並々ならぬ熱意を見せる。

その実力は女性である従者へ化けても見た目でバレない程。

年齢は27歳、得意な料理は豚肉の香草焼き。薔薇や植物の品種改良を秘密裏に行う。

……「何時の間にか」傍に居た。


【ディアナ】

軍属の弓兵。

彼女の所属している支援軍は市民権の無い者で多数構成されている。

金銭や経済支援を彼女へ行う約束で現在は主人公の従者として働いている。

年齢は若いが戦闘員としては十分な能力を持つ。弓で狙撃させたら10発7中ぐらい。

料理は全然得意じゃないけど丸焼きだけは上手。

……支援に対する「奉仕」はまだ受けていない。



【ミリス】

太陽神ミトラを崇める男性信者。

主人公をミトラ神の生まれ変わりと同一視しており、たびたび『主』と呼ぶ。

一歩間違えれば狂信者だが、意外と常識は弁えていたりする。

ただし、主人公に対して敬意が見えない者に対してはやべーやつと化す。

年齢は20代後半、得意な事は悪を滅する事。好きな言葉は「戦、崇拝」。

……「本当は」彼が最初の賊を倒す筈だった。



【モルドー】

力自慢の領民。

長い間蓄積された経験によって肉体労働はお手のもの。

彼が居る事によって捗った作業は数知れず。称賛されなくとも仕事はきっちりこなす。

加工する木材を調達する時によく怪我をするので身体に生傷が絶えない。

年齢は40近く。得意な事は肉の解体と家具の作成。

……。



【ゴラン】

鋭い直感を持つ元奴隷。

領地を訪れていた奴隷商に安くない金額を払って解放した。

生きる事への執念は凄まじく、他者が苦境で死のうとも自分だけは生き延びようとする。

年齢は30に差し掛かる。得意な事は物理的な苦しみに耐える事。

……彼に「忠誠心」はあまり無い。



【アルベルト】

気弱でのっぽの領民。

体格の割におどおどした様子が多く常に周囲を気にしている。

そういった部分とは別に物覚えがとても良く、人から聞いた話を全然忘れない。

年齢は19歳。好きな事は土弄りと狭い空間を作る事。

……彼は「死んだ家族の事が」あまり好きでは無かった。



【ウルリッヒ】

川から流れて来たお尋ね者。

訛りが強い喋り方で人に馴れ馴れしい態度を取る。

現在、領地内の多数からあらぬ嫌疑をかけられている模様。

年齢は24~30位に見える。好きな料理は魚のフライ。

……首輪は他人から「貰った」。



「……。領地の東に行ってみるか」


君は荒地の多い東へと向かった。


―――――
――



「おんやぁ、領主様でねか。どうした?」

「ご苦労様です。今日は領民の皆さんと話をと思いまして」

「そうかそうか! ならウチにあがりんさい」

「では失礼して」


東に点在する家屋の中でも一際古い家へと君は入った。

家主はご老人だ。彼は農作業をしていたので足元が汚れている。



「領主様から見て今はどんなぞ」

「どんな、とは?」

「ここらの土地の事よ」

「……」 (うーむ、どう答えたものやら)

「ほらよ。飲むとええ」

「あっ、どうも」


老人は2つの容器の内、片方を君に差し出した。

……中身は至って普通の水だ。変な色はしてない。



「至って平穏無事だと思います」

「そうか」

「……」 (反応が薄い……)

「ズズズッ……。領民はどんなぞ?」

「領民?」

「儂等の事じゃ」

「そうですね……」 (何が聞きたいのかな……)


老人は君に質問を立て続けに投げかけている。

意図する事は読めないが、たぶん言葉通りのままだろう。

……思ったままを言うべきか。


下1 選択肢

―【選択表】――――――――――――

①―「まだよく解らないですね」
②―「頼りになる存在です」
③―「少々扱いづらいと思っています」
④―自由記述

―――――――――――――――――



「正直まだよく解らないです」

「……」

「ですが、皆さんは『頼りになる存在』だと私は思っています」

「そうか」


老人は君に向かって短く呟いた。

彼は安堵しているとも落ち込んでいるとも取れる顔を見せた。



「領主様」

「はい」

「悪いが、老いぼれの話を1つ聞いては貰えんか」

「どんな話ですか?」

「この土地で昔あった事じゃ」

「話して下さい」


すぅ、と老人は息を吸い込む。

それからポツポツと君に話し始めた。



「……今はそうでもないが、この領地周辺で【大きな争いが起きた】事がある」

「そん時にゃ人がようけ死んだ。男も女子供も関係なしに」

「領地になんで若い者があまりおらんのか。……領主様はそう思ったりせんかったか?」

「……。いえ」

「要らん事を聞いた。スマンの」


……どうにも息苦しい。

彼の口ぶりからすると、これが気分のいい話ではない事が解る。



「【口封じされた】んじゃ」

「……誰が何を目的に起こした争いなのかを言わせん為に」

「力に覚えのある者は当然反抗した」

「結果、火に飛び込む虫の様に皆散っていった」

「儂は【その光景を見て何も出来んかった】。……震えて、身を隠して、ただやり過ごして」

「…そうして今の今まで生きる事が出来た。生きる事は出来たが……」

「むしろ今はそれを後悔しておる。あの時、皆と同じく動いておけばと」

「……」 (おじいさん……)

「【今はただ、毎日を無為に過ごしている気分じゃ】」


老人は遠い目をしている。

君は彼の言葉を静かに待った。



「スマンのう。何が言いたいのか自分でも解らんなってしもた」

「気にしないで下さい」

「ありがたい。じゃが……」

「領主様は【後悔せんように生きなされ】」

「……」


それを最後に老人は黙り込んでしまった。

……君は老人に対して何を口にする?


下1 自由記述 【言わないのも可】



「あの」

「なんじゃ?」

「それは現在にも関わる話なのでしょうか」

「……」

「私は貴方にとって頼りない領主かもしれません」

「ですが、私は我が領地で起きた事について責任を取る義務があります」

「貴方が今後悔しているならば尚更……」

「当時、何があったのか教えて貰えませんか」


……言うべきか、言わざるべきか。

眉間に皺を寄せている姿から、老人のそういった苦慮が伺えた。



「儂は……」

「……」


【このレスが奇数ならば老人は過去を口にする】



「解った。長くなるが話すとしよう」

「!」

「領主様は儂の話が【現在に関係するのか】。そう聞いたな?」

「はい」

「……恐らく【関係する】じゃろうな」

「もしかすると領主様の先代が何処かで触れておるやもしれん」

「父が?」


この話は現在にも関係すると老人は言った。

……君は注意深く話を聞く。



「……争いが起きる前の事じゃ」

「何処の国にも属してない【変った装いの集団が近くに住んでいた】」

「『去る者は追わず、来る者は拒まない』。外部の人間に対しても友好的だったが……」

「そこを【支配下に入れようと誰かが動いた】」

「恐らく【領土拡大の為】じゃな。それで【争いは起きた】」

「誰か?」

「領主様やそれより上の人と言えば解るかの」

「【発言権のある権力者】……ですか?」

「たぶんそうじゃと儂は思っとる」


老人は企てたのが権力者だと言いきった。

地方領主である自分の地位かそれ以上と。



【このレスが奇数なら 老人の言葉から情報がさらに読み取れる】



「近くに住む幾つかの領地に白羽の矢が立ったようでの」

「……暫くの間は平穏で何もなかった」

「『領土拡大の礎とする為、原住民を掃討せよ』」

「そんな通達が【軍隊と一緒に来て】、ようやく儂等はあの集落に向かった」

「他の領地から送られた者も皆乗り気ではなかった……集落に住む人間は友好的だったからの」

「国の【正規軍は後方】で儂らが【簡単に退却出来ぬよう布陣しておった】のを覚えておる」

「……」


おかしい。

国の正規軍と言うならば態々後方でなくとも……。



「集落に【着いたら後は地獄】じゃよ」

「斬りたくなくても、国に逆らって殺されたくないから人を斬る」

「ただただ苦しかった…! 儂等の侵略行為は何の正義も無かった……!」

「……ッ」ギッ

「事が終った後、軍隊は暫く儂等の領地に駐屯した」

「ある夜、酒盛りをしていた【軍の人間が驚くべき事を喋っていた】のを耳にする」

「【『少々攻め難いが美味い場所が近くにある。だから兵を寄越してくれー。……そう国に流した奴がいるんだとよ!』】」

「それを聞いた儂は耳を疑った」

「【もしそんな奴が近くにいるとしたら、領主様はどうする?】」

「……」


――ドクッ、ドクッ、ドクッ。

例え話をされている筈なのに妙な胸騒ぎがする。

これは『すぐ近くに居る』という意味で言っているのか……。




老人は 瞬 き を せ ず 君 を 凝 視 し て い る。





※仲良くしている人達の中に裏切り者が居ました。貴方はどうしますか?


↓1~3 君の回答


【とても大事です。このレスが偶数なら不幸な事が早く起きる】



安価を投げた所で今日はここまで これが範囲内なら下とします。

物語に対する【疑問、質問、不満、指摘事項】がございましたら>>1へどうぞ


次回の更新は 12/02 1800~

               or
             12/03 1800~ を予定しています。



君の頭に「2つの返答」が浮かんだ。

1つは『老人の気持ちを揺さぶるやや感情的な返答』。

もう1つは『最初に頼りない印象を与えるが中立的な返答』。


選択肢を選ぶ事で老人の行動は変化する。

思想介入できるのは今この場だけと思ってほしい。


……君はどちらの結果を望む?


↓1~ 2票先取


―【選択表】――――――――――――――――――――――――

①老人の気持ちを揺さぶるやや感情的な返答
 
②最初に頼りない印象を与えるが中立的な返答

―――――――――――――――――――――――――――――



「自らの手を汚さずに口封じまでした事は論外です」

「!」

「もしも自分の近くに裏切り者が居るなら……私は許せない」

「そうか、そうかぁ……!」


老人は君の言葉に喜ぶ様を見せた。

……胸のざわめきが強くなる。



「ですが」

「…?」

「国が領土を広げていく過程には後ろ暗い事も含まれます」

「……時には罪もない他の民族や集団を襲う事もあるでしょう」

「人を売るようなやり方は間違っていると思いますが……」

「私はその人間がどうして裏切ったのかも知りたいと思っています」

「……素晴らしい答えじゃの」

「感情に囚われてばかりの儂とは大違いじゃ」


儂は領主様の答えに痛く共感した。

獣に成り下がってしまった者には出せん考えじゃ。



「これは話す気は無かったんじゃが……」

「争いを起こした者は【領主様の家とも長い付き合いがある】」

「え?」

「儂が知っていて尚且つ言えるのはそれだけなんじゃ」

「命惜しさに喋らぬ老いぼれをどうか、どうか許してくれ……」


老人は済まなさそうに頭を下げた。

これ以上この場に居ても聞けそうな事は無い。

そう思った君は、老人に一礼して家から立ち去った……。



時間はまだある。

……今度は領地の何処を回ろう?


領民は領主である君ならば邪険に扱う事はそう無い。

好きな所へ行くと良い。

時間の許す限り領地を回る事が出来るだろう。

自由に動ける時間を過ぎると前回と同じ事が起きるかもしれないが……。


↓1 君が交流したい場所


 ※領地の【西南北】、それと【北東、南東】の中からどうぞ



~牧歌的な村~


君は1人で北東の村を訪れた。

風に混じる草木の香りは何故か懐かしさを感じる。


木々の影で周囲は仄暗い。

相変わらず人の気配は感じられない。


……君は村の中心へと足を向ける。



「村長の家は……ん?」トントン

「ようこそ。歓迎しよう」

「うわぁ!?」


肩を叩かれたので君は振り向く。

そこには村長である【覆面の男が居た】。



「ハァ……。誰かと思えば貴方でしたか」

「何故驚いた?」

「誰でも驚くんじゃないでしょうか……」

「【得体の知れない人間が居たからか?】」

「………」

「フフッ。意地の悪い問いかけだったな」


君が答える前に覆面男は歩き出した。

……『後ろを付いて来い』という意味だろう。



~村で一番大きな家~


「……」 (この家は他に比べて大きいんだな……)

「入ってくれ」

「……失礼します」


内部に灯りは全く無く、君の鼻を埃や黴の臭いが掠める。

……彼はあまり掃除をしないのだろうか。



「【右奥から2つ目】の部屋で待っていろ」

「え? あの……」

「俺は後で向かう」


覆面男は君にそれだけ言い残すと暗闇へと消えた。

……比喩ではなく本当に消えた。



現在居る場所は入口だ。

君から見て【左に部屋が7つ】あり、【右にも同じ数】がある。

廊下に灯りは見えず、奥に行けば行くほど暗い。


不思議な事に天井は見えなかった。

外で見た家の外観は君の屋敷よりも低かったと言うのに……。


……さて、君は言われた通りの部屋へ行っても良いし、別に行かなくても良い。

彼はこの家の主だから時間はかかっても君を見つけ出すだろう。

素晴らしい事に選択肢は「約15個」あるぞ。


↓2 放置された君はどう動く? 【2D10で判定】



「……」 (下手に動かない方が良いか)

「言われた通りの部屋で待とう」


君は誰に言う訳でも無く空に向かって呟いた。


(確か、右奥から2番目だったな)

(……暗くて足元が良く見えない。自宅でコレは危なくないのか?)


君は注意して廊下を歩く……。

そして4番目の部屋を通ろうとした時だ。



――ドスッ。


君の右手にある部屋の中から小さく物音が聞こえた。

地面に何かが落ちたような音が。


「……」

「………」

「気のせいだな」


君は4番目の部屋を無視して進んだ。

扉が見えなくなった後にまた音が聞こえたような気もするが……。



3番目の部屋を通り過ぎようとした時、君はなんとなく歩調を速めた。

君が部屋の前に到達すると……。


――ドッドッ、ドッドッ、ドッドッ……。


壁を殴りつけるような音が中から断続的に聞こえた。

音は徐々に大きくなっている。


「……」

「………」

「…………」

「勝手に入るのは失礼だからな」


君は部屋の前を逃げるように速足で駆け抜けた。

……君が離れるにつれて音は小さくなり、ついには聞こえなくなった。



目的の部屋に着いた。

扉は木製だがノブに変わった物が引っかかっている。


「蹄鉄(ていてつ)……」

「一体どうしてこんな所に?」


君は頭に浮かんだ疑問よりも中に入る事を優先した。

……部屋の中は廊下よりも暗く埃っぽい。



扉を閉めて中へ進む。

部屋の中には物がそこそこ置いてあった。


壁には何かの剥製と絵画が。

台の上には置物とよく解らない液体と紙が。

そして床に豆の様な小さい粒が散らばっている。


部屋の奥は仕切りが設けられていて目視出来ない。

幸いにも椅子がこちらに3つあるので、奥に行かなくても済みそうだ。



「……」

「………」

「まだ来ないのかな」


椅子に座ってそこそこ時間が経った。

実時間がどうかは解らないが、少なくとも君はそう感じている。


↓2 暇を持て余した君は部屋の中で何をする? 【2D10】



君は変な音が聞こえないかと耳を澄ました。


「……」

「………」

「…………」

「静かな部屋だ」


呼吸する音以外【何も聞こえなかった】。

勿論君の呼吸だ。誰かが近くに居る訳では無い。



……どれだけ時間が経ったのだろう。

君はこの薄暗い部屋に居心地の悪さを感じ始めた。


自分はどうしてここに連れてこられたのか。

覆面男は今どこで何をしているのか。

扉を通り過ぎる時に聞こえた音は何だったのか。

そして周囲に散らばっている物は何なのか。



「……うぅ」 (さっきから気になる事が多過ぎる!)

「確かにここは僕の領地じゃないさ」

「でも、でも! この仕打ちはあんまりだろぉ!」

「………」 (誰でも良いから早く来てくれないかなぁ)


何時まで経っても【覆面が部屋に来る気配は無い】。

部屋を間違えた訳では無いのだが……。



「…」 (いっそ大声で彼を呼んでみようか?)

「……」 (いや、でもなぁ……)

「………」 (隣の部屋とその隣から嫌な気配を感じたし、ちょっと騒ぎたくないんだよなぁ……)


君は大きく悩む。

メッサーラ家やアエミリウス家なら、幾ら待たされても文句は言わない(言えない)からだ。



君は部屋の気になる場所を漁っても良いし漁らなくてもいい。


【漁らなかった場合】は君の頭に謎が沢山浮かぶだけだ。

【漁った場合】は覆面やこの村が何をしているかが解る。

ぼーっと待っていれば【彼は何食わぬ顔で姿を見せる】だろう。


……良い結果を求めるならばそれらを踏まえた上で動くことだ。



↓1~2 自由記述   【2D10で判定。目標値は07以上】


■ 目標値「07」以上→結果「09」


紙と液体を調べてみる


台の上には――

『液体で満たされた容器』、『数枚の紙』、『置物』があった。

君はその中から【液体で満たされた容器を手に取る】。


「……うっ」


【錆びた鉄に古くなった脂を混ぜ込んだような臭い】が鼻を掠める。

嫌悪感を示した君は容器を台にそっと戻す。


……容器に入っている液体は【人間が嫌う臭い】だった。



「流石にこっちは大丈夫だろ」

「……」

「本当に大丈夫だよな……?」


君は紙の端を掴み持ち上げる。

この紙に書かれてある文字は他と違って【文字の部分に厚みがある】。

……読む為なら無駄になると言うのにどうしてこんな事を?


君は内容を黙読する。

紙に書かれていた事は次の通りだ。



――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(媒介を伴う呪法)
――――――――

1、対象者に関わるモノを用意する。対象者に起こしたい事を用意した物に行う。

 →毛髪、体液、触れた物

2、対象者に酷似したモノを用意してそれに実行する。

 →顔、境遇、役職

3、上記の方法で不可能だった場合。対象者が帰る(還る)場所に行う。

 →家、墓地


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――



「……」

「なんだコレ?」


見た事が無い内容が書かれていた。

呪法とは人を呪わば~とか言うアレだろうか?



君は部屋の気になる場所をまだ漁っても良いし漁らなくてもいい。


【漁らなかった場合】は君の頭に疑問符が沢山浮かぶだけだ。

【漁った場合】は覆面やこの村が何をしているかが解る。

ぼーっと待っていれば【彼は何食わぬ顔で姿を見せる】だろう。


……台の上にはまだ読んでいない紙が何枚か残っている。



↓1~2 自由記述   【2D10で判定。目標値は08以上】



ティオニクスが引いたのはアタリかハズレか……今日はここまで。

物語に対する【疑問、質問、不満、指摘事項】がございましたら>>1へどうぞ。


次回の更新は 12/04 1900~

               or
             12/05 1900~ を予定しています。


―【お知らせ】―――――――――――――――――――――――

■ 絵画と剥製を見てみる→結果「19」

■ 下の粒々を調べてみる→結果「09」

■ 選択肢がやたら多い所で1つデストラップを仕掛けてました

―――――――――――――――――――――――――――――


■ 目標値「08」以上→結果「19」


絵画と剥製を見てみる


君は壁に近づく。

絵画に何が描かれているのか気になったからだ。


「武装した人間が争ってる絵だ」

「?中心で誰かが倒れてるな……」

「」


■ 目標値「08」以上→結果「19」


絵画と剥製を見てみる


君は壁に近づく。

絵画に何が描かれているのか気になったからだ。


「人が争ってる絵だ」

「…? よく見たら中心で誰かが倒れてるな」

「……指揮官か?」

「でも、近くの人間は喜んでいる表情に見えるし……」


絵画は壁に大きく描かれていた。

民衆が逃げ惑う姿と中心で滅多刺しにされている人間が特に目を引く。



絵を見る事を止めて剥製に近づく。


……何という事だろう。

君が剥製だと思った物は壁から突き出た彫像だった。


彫像は人間の顔を模して精巧に作られている。

床には削り取られた石の様な物が散っていた。

壁を注意深く見てみると若干の隙間があるように見える。


後から壁を作ったのだろうか。

それとも彫像を置く為に壁をぶち抜いたのだろうか。


……人を模した彫像は、目の部分が【潰れていた】。


■ 目標値「08」以上→結果「09」


下の粒々を調べてみる


壁から意識を外し床を見る。

そして君は床にばらけている粒を1つ拾った。


「……これ」

「間違いない。豆だ」

「それも普段僕が食べている品種と同じ……」

「どうしてこんなに沢山の豆が?」

「……」


拾った小さな粒は【豆だった】。

君は入口周辺から奥にまでばらまかれている事にも気づく。



君は部屋の中で気になる物を漁っても良いし漁らなくてもいい。


【漁った場合】は覆面やこの村が何をしているかが解る。

【漁らなかった場合】は君の頭に疑問符が沢山浮かぶだけだ。

ぼーっと待っていれば【彼は何食わぬ顔で姿を見せる】だろう。


台の上にはまだ読んでいない紙が何枚か残っている。

沢山の豆は入口から部屋の奥まで続いている。

絵画と彫像が何を表しているのかは気になる。

……どうしよう。


↓1~2 自由記述   【2D10で判定。目標値は09以上】


■ 目標値「09」以上→結果「14」


まだ読んでない紙を見る


「……」チラッ

「よし。周囲には誰も居ない」

「さっきからこれが気になって仕方がなかったんだ」

「村長も誤れば許してくれるだろう」

「では、失礼して……」


君は椅子を台に寄せて別の紙を取る。

書斎で仕事をしている時によく見る、恭しいようなそうでもないような文章が書かれていた。

紙に書かれていた内容は次の通りだ。



――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(この部屋に来た皆様へ)
――――――――――――

申し訳ございませんが主はお客様の×××が無くなれば現れます。

ですので、コレを見ているお客様に対して幾つかの情報を記します。


台の上にある液体は貴方の体内にもある物です。奇特な嗜好を持つ方は飲んでも構いません。

床に散らばっている豆は食べ物です。這い蹲って貪っても構いません。むしろ貪れ。

呪法に関する内容は家主の趣味です。けして持ち帰らないで下さい。フリじゃないですよ。

おたくにつたすたすたんたちでもにとなつにたもあたりません。

お客様の行動を咎める気はありませんので、どうぞ気の済むまでお過ごしください。


……大変どうでもいいですが、部屋を荒らすような狸は全て死ねばいいと思いませんか?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――



「……」

「なんだコレ?」


読めない部分もあったが、むしろ今は読まない方が良かったと思っている。

紙に書かれている内容は最後辺りになると訳が解らなかったからだ。

この【お客様】とは誰を指しているんだ。

……もしかして僕の事か?


■ 目標値「09」以上→結果「15」

豆の行く末を辿る


溜息を吐いた後、君は立ち上がり豆の行方を追う事にした。

奥に進むとそこには――


「……?」

「【何もない】じゃないか」

「これなら態々仕切りを作る必要はないだろうに……」

「もしかしてひっかけるのが狙いなのか?」

「うーん」


何も置いてなかった。

床に豆が落ちているだけで壁には何もない。

……拍子抜けだ。



君は部屋のを漁っても良いし漁らなくてもいい。


【漁った場合】は覆面が何をしたいのかが解る。

【漁らなかった場合】は覆面に不信感を持つだけだ。

ぼーっと待っていれば【彼は何食わぬ顔で姿を見せる】だろう。


台の上にはまだ読んでいない紙が1枚残っている。

沢山の豆は入口から部屋の奥に続いていた。

絵画と彫像が何を表しているのかは気になる。

お客様とは部屋に来た者の事だ。


……何時になったら村長は来るんだろう。


↓1~2 自由記述   【2D10で判定。目標値は10以上】

狸は皆[ピーーー]、か。「奥に進んでも何もありません」ということだな。
なかなか村長はユーモアを解する人間と見える、もう一枚を読めということか。

たを抜けということかやっと意味わかった

安価は床に這いつくばってみる

>>461
厳密にはた行抜きね。「皆[ピーーー]」だから。
そこで怒るかどうかをシャド君が試している……って彼はそこまで切れ者だったかな?

たぬき→た行を抜く?なら でも のあとの に はなんなんだろう

>>463
ホンマや。引っかけ?単純ミス?


■ 目標値「10」以上→結果「17」


残っている紙を見る


「……」チラッチラッ

「周囲に人の気配はしないんだけど……」

「どうも視線を感じる気がして落ち着かない」

「ここに来て直ぐに村長が消えたのも気になるし……」

「……」

「まあいいや、今はコレを見よう」


君は椅子に座って最後の紙を見る。

紙に書かれていた内容は次の通りだ。



――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(もう1人の貴方へ)
――――――――――

こんな物まで見ている貴方は、私と似たような人生を送っているのだと推察します。

……さぞかし苦労をしているのでしょう。私だけには解ります。

そんな貴方に私から幾つかの情報をお伝えします。気に入らなければ無視して下さい。


私の兄は盲目なので貴方に何かと不便を強いる事でしょう。

液体は血液に毒草を混ぜた物です。喉が渇いても絶対に飲まないで下さい。

豆は食用可能ですが、筆者の伝えたい事は他にもあると考えて下さい。

”お客様宛ての紙”は友好的でないと思われた者に対して宛てた内容です。

壁の隙間を見るのは止めた方が良いです。矢を躱すのに自信があるなら別ですが……。


せっかくなので私も少し遊んでいきます。

「あまさにむしんむこきゅうもしまたみかいむすう」

……相当間抜けな方はその扉を開けただけで死にます。


それともう1つ。

何かの気配がしたら絶対に振り返らず”兄の名前”を呼んであげて下さい。

兄は身内を大切にしますが、逆を言うと身内以外は無慈悲に×を××ます。


頑張ってくださいねティオニクスさん。(ここだけ文字が新しい)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――



「……」

「えっ。何これは……」


背筋に妙なうすら寒さを感じる。

さっきの紙と違って名指しだったからだ。

この【もう1人の貴方】と書き記した者とは一体……。


■ 目標値「10」以上→結果「17」


床に這い蹲ってみる


君はこの埃っぽい部屋の床に這い蹲る。

何故かこうする事に意味があると思ったからだ。


……?

床下からヒュウという音が微かに聞こえる。

部屋の奥に行くにつれて音が大きくなっているようだ。


ポリポリ……。

うん、食べられるけどウチで取れた物のが美味しいな。



君は考えて動いてもいいし、脳筋のように動いたり動かなくてもいい。


【考えて動いた場合】は覆面が何をしたいのかが解る。

【考えて動かなかった場合】は君が凄く危ない目に陥るだけだ。

今ならぼーっと待っていれば【彼は何食わぬ顔で姿を見せる】だろう。


台の上にある紙は読み切った。

沢山の豆は入口から部屋の奥に続いていて美味しくは無かった。

絵画と彫像が何を表しているのかは気になる。

この部屋に君が来る事を解っていた者がいる。

床下から擦れるような音が聞こえる

お客様とは部屋に来た友好的でない者の事だ。


……誰かに遊ばれているのだろうか。


↓2~3 自由記述   【2D10で判定。目標値は12以上】


今日はここまで 安価範囲なら下とします


単なる雑談であれば自動で下にしますのでどうぞご自由に


今回デストラップを2つしかけました。

その内1つは何処にあるか既に明かしています。

もう1つは前作を見ている方であれば解る情報です。

解らなくても警告を軽く1回と、強く1回出しますので安心して下さい。


■ 目標値「12」以上→結果「02」


置き物を調べてみる


「そういえば台に置物があったような……」

「見てみるか」

「……」

「?」


何時の間にか置物が消えている。

さっきまでココにあった筈なのに……。

床に落ちている訳でもないし、蹴飛ばした記憶もない。

……何故だ?


■ 目標値「12」以上→結果「14」


豆を追って入口周辺を調べてみる



「今更だけどこの部屋、結構危険なのかもしれない」

「台の上には毒薬と意味不明な文章」

「壁には悪趣味な彫像と危ない(仮)隙間が」

「床下から聞こえる風の吹くような音」

「奥は仕切りを作る意味が解らないし」

「………」

「入口辺りでも調べてみるか」


君は台から離れて扉へ近づいた。

床に散らばっている豆の行方を追う為に。



入口周辺を調べた結果、以下の内容が判明した。


1、凄く埃っぽい

2、豆は入口の扉近くの物が古くて奥に行くほど新しい

3、床下の音は扉へ近づくと聞こえにくくなる

4、置物は床にも入口にも落ちていない

5、入って来た部屋の扉が開かない

6、扉が開かない事に対して若干の焦りが出て来た


鍵は内側からかける物ではなく、ノブを幾ら回しても駄目だった。

僕は猛烈に今領地に帰りたい気分だ。

……ああルチアの罵倒が恋しい。


君は考えて動いてもいいし、脳筋攻略したり全く動かなくてもいい。


【考えて動いた場合】は覆面が何をしたいのかが解る。

【考えて動かなかった場合】は誰かが危ない目に陥るだけだ。

敢えて今ぼーっと待っていれば【彼は何食わぬ顔で姿を見せる】だろう。


台の上にある紙は読み切った。

沢山の豆は入口から部屋の奥に続いていて美味しくは無かった。

絵画と彫像が何を表しているのかは気になるが、隙間は除きたくない。

この部屋に自分が来る事を解っていた者がいる。その人は友好的だ。

床下から擦れるような音が聞こえる。因みに音は奥に行くほど大きく聞こえた。

お客様とは友好的でない者の事で、自分も覆面にそう思われているのかもしれない。


……埃で喉がイガイガする。


↓1~2 自由記述   【2D10で判定。目標値は14以上or03以下】


(例 椅子を使って扉を壊そうとする、隙間に椅子の脚を突っ込んでみたり~など)


■ ヒント


・やたら選択肢が多かった場所とは「この建物に入ってすぐ」を指す

・朝に深呼吸した回数が関係する扉を開けると~は↑の事を言っている

・君が今居る部屋の下には別の空間があるかもしれない

・この部屋で君が【不慮の事故】に遭う箇所は「隙間」と「液体」と「人の気配」

・公開されている情報は全然関係ない情報の方が多い

・君が「この部屋で何もしない」か「何かに気付く」と話が進む

・この村は自領ではないので君が冷遇される可能性がある


■ 目標値「14」以上or「03」以下

 紙の裏面には何か書いていないか見てみる→結果「13」

 静かに座って音をよく聞く→結果「03」



君は台にある紙の裏側を調べる。

何か別の情報が書かれていないか気になったからだ。


「これは何も書いて無い」

「こっちは……無い」

「3枚目も当然無いね」

「ハァ……。全部の紙を見たけど駄目だな」


紙の裏はただの空白。

残念ながら君の直感は外れたようだ。



疲労感を覚えた君は床に座り込み項垂れる。


(……僕は今、何をやっているんだ?)

(流石にコレは冗談になってない……)

(ふぅ……。少し休んだら大声でも上げてみるか)

(アンタは僕を殺す気かー! ……なんてね)


君は心の中で覆面男に対して毒づく。

来客への対応がコレでは温厚な人間だって怒りもする。

そんな事を考えていると……。



……誰かの視線を感じる。

まるで【君の背後に誰かが居る】ような感覚だ。


(……え?)

(ちょ、ちょっと待て!)

(なんで、なんで僕の【後ろに人の気配】がするんだ!?)

(……僕は今【後ろを振り向いて】大丈夫か?)

(何処かで今の状況に対処できる内容があった筈だ)

(………)


↓1~ 振り向くor自由記述   【2票先取。とても大事です】


 ※対応に失敗すると、ティオニクスの「×が無慈悲に××られ」ます。

ヒント >>468



(ど、どうする。振り向いて確認するか?)

(……いや、待て)


 ――何かの気配がしたら絶対に振り返らず”兄の名前”を呼んであげて下さい。


(紙に書かれた内容にこんな一文があったな……)

(……。試してみるか)


背を刺す視線に振り返らず、君はこう口にした。


「ライト……さん?」


背後から感じる気配がやや薄れたように感じる。

これはどういう事だろうか。



「へぇ」

「!」 (人の声……やっぱり気のせいじゃなかったか!)

「てっきりもう死んでると思ったが」

「……」 (死ん……でる? 何を言っているんだコイツは……)


背後から声が聞こえる。

この声の特徴は――


―【選択表】―――――――――――――――――――――

①―とても高かった
②―男性とも女性ともとれた
③―覆面男と同一
④―やや低かった

――――――――――――――――――――――――――
↓1 選択肢



――やや低かった。


「貴族ってのは悪運も強いんだな?」

「……誰です?」

「名乗る気は無い」

「では振り向いても構いませんか」

「好きにすれば良い」

「……」クルッ


背後に居たのは無精髭が目を引く男性だった。

年は概ね30前半といった所か。



「何の為にここへ?」

「確認だ。土に埋める物が増えたかをな」

「私の事ですか」

「その通り。【死んでようが生きてようが】どちらでも使えるからな」

「理解できません。何故私を?」

「【気に入らない奴を呪う為】にちょうど良かったからだ」

「…?」


名乗らなかった割には無精髭の男は律儀に返答している。

……友好的であるとも言い切れないが。



「質問には答えてくれるんですね」

「アンタは生きてたからな」

「……」

「この部屋の鍵を閉めていたのは貴方ですか?」

「そうとも言えるし、そうじゃないとも言える」

「ハッキリしないですね」

「答える必要が見当たらないからな」

「……そうですか」


どんな仕掛けなのか気にはなった。

でも答えてくれないなら仕方がない。



「村長は今どちらに?」

「俺が帰ったら来るだろうな」

「お忙しいんですね」

「そうでもねぇ」

「……。何時貴方は帰るんです?」

「アンタの質問が終れば直ぐにでも」


今の彼は『心底面倒だ』と言う顔をしている。

君は無精髭の男に質問を――


―【選択表】――――――――――――――――――――――――

①―しない
②―する 「私が気配に気づいていなかったらどうしてたんです?」
③―する 「年齢は幾つですか?」
④―する 「その腰に下げた剣、ここらじゃ見ない物ですね」

―――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



――する。


「その腰に下げた剣、ここらじゃ見ない物ですね」

「ん?」

「曲刀……」

「まあこの剣なら【首を掻き切る】事だって容易いな」

「そうなんですか」


得意げな顔をして剣を手の甲で叩く。

無精髭の男はあの剣に愛着がある事が解った。

……凄くどうでもいい事だった。



「血錆びを落とすのが楽だったりもする」

「へ?」

「深く突き刺す事だって可能だ。眉間に一突きすればあっと言う間に頭蓋に到達するだろう」

「……この剣で傷付いた者は幸福に包まれると言う」

「えっと」

「まだ質問はあるか」

「そ、そうですね……」



今の彼は『少し面倒だけど…』と言う顔をしている。

君は無精髭の男に質問を――


―【選択表】――――――――――――――――――――――――

①―しない
②―する 「私が気配に気づいていなかったらどうしてたんです?」
③―する 「村長とはどんな関係で?」
④―する 「この豆は村で栽培した物ですか?」

―――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



――する。


「村長とはどんな関係で?」

「共通の目的を持つ。言うなれば【同志】だ」

「同志?」

「……アンタも一応貴族なんだろ?」

「はい」

「俺は貴族が嫌いだ」

「……不思議な事にアンタは俺の嫌いな貴族と似ても似つかないが」

「私は貴族に見えませんか?」

「全然。弱そうな一般人には見える」

「ははは……そうですか」


どういう判断でそうなったんだろう。

媚び諂われるよりかは接しやすいとはいえ、こうも敬意が見えないとなぁ。

……怒るよりも先に呆れが出て来るよ。

それもこれもルチアと普段交わしている会話のせいだと思うけど。



「言っておくが」

「…?」

「別にアンタと慣れ合う気はない」

「えぇ……」

「今も説明してる理由は単純にアンタが生きていたからだ」

「……殺す気だったんですか?」

「人聞きが悪い事を言う。不慮の事故に遭っただけかもしれんだろ」

「物は言いようですね」

「まあな」

「……」 (否定してないって事はつまり……)


無精髭の男は顎をさすり、おどけた調子で返す。

君は彼に対してほんの少し警戒を強めた。



「で、どうする」

「何の話です?」

「質問はあるかって聞いてるんだ」

「ああ、そうでした」

「とぼけた野郎だな。アンタって」

「……」

「いい意味で言ってる。気にするな」

「はぁ」


無精髭の男は片方の口角を吊り上げている。

君は無精髭の男に質問を――


―【選択表】――――――――――――――――――――――――

①―しない
②―する 「気配に気づいていなかったら…『首が飛んでいた』」
③―する 「村長には兄弟がいらっしゃるとか。ご存知ですか?」
④―する 「村全体に人が居なかったのはどうしてでしょうか」

―――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



――する。


「村全体に人が居なかったのはどうしてでしょうか」

「元々の人数が少ない。そして隠れてるからだ」

「何から?」

「【悪意を持った人間】から」

「……」

「少なくともアンタじゃない」

「そうですか」


……悪意を持った人間とは誰の事だ?

正直よく解らない答えだった。



「もういいだろう? 帰らせてくれ」

「あっ、はい」

「ありがとうございました」

「……」

「変な奴だな」

「こういう性分なので」

「鍵は開けてあるから好きにしろ。村長に文句を言うなり、ここで待つなりして構わない」

「貴方が帰れば来るんですよね?」

「初対面の人間が言う事を信用するのか?」

「信用できる人間だと思ってます」

「…本当に変な奴だ」


そう言い切ると、男は部屋の奥に向かって歩き出す。

仕切りを設けたあの何もない奥へと進んでいるのだ。

彼の姿が見えなくなった後、程なくして何かが床に叩きつけられる音が聞こえてくる。

後を追うと部屋の奥には誰も居なかった。

……彼は何処へ消えたのだろう。



「待つか」

「……」

「念の為に部屋の入口は開放しておこう」


確認した所、入口にはもう鍵はかかっていない。

……鍵は外からかける物だったようだ。

君は無精髭の男が言う事を信じ、部屋の中で待つ事にした。



――ギッギッギィ。

床が軋む音が部屋の中にまで響く。

……これは誰の足音だ?


「村長」

「待たせたようだな」

「……」

「どうした。体調でも悪いのか?」

「いえ、ちょっと……」

「なんだ?」


覆面男の村長だった。

君は村長に文句を――


―【選択表】―――――――――――――――――――――――――――

①―言わない
②―言う 「随分遅かったですね。何かしていたんですか?」
③―言う 「この部屋は来訪者を待機させる部屋に向いてないと思います」
④―言う 「いやあ、実に素晴らしい部屋ですね。死ぬかと思いましたよ」

――――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



「随分遅かったですね。何かしていたんですか?」

「相談をしていた」

「相談?」

「【村の行く末を】な」

「……」 (なんと言えばいいのか……)


村長は判断に困る事を言い出した。

君はそれに対して沈黙を選択する。



「お前をここに招いたのもそれに関係する」

「?」

「この部屋を調べたのだろう? 途中誰か来なかったか」

「ええ。気付いたら無精髭の男性が背後に立ってました」

「………」

「それが何か?」

「先に謝罪しておこう」

「話が見えないのですが……」

「【お前の体を媒介として】使おうと思っていた」

「………呪術の?」

「【そうだ】。あの男も俺が寄越した」

「……」 (気のせいじゃなかったのか……)


村長はとんでもない事を口にしている。

君へ意図して危害を加えるつもりだったと。



「どうしてこんな事を……」

「罵ってくれても構わない。それだけの事はした自覚はある」

「………」

「お前は持つべく物を持って生まれた存在なのだろう」

「単に運が良いだけかもしれないが……」

「冷静に対処して生きている事がそれを証明している」

「あの……」

「なんだ?」


君は彼に質問を――


―【選択表】―――――――――――――――――――――――――――

①―しない
②―する 「さっきも言いましたが、どうしてこんな事を?」
③―する 「貴方以外の村人は何処に?」
④―する 「この村は普通とは言えません。一体何が起きているんです?」
⑤―自由記述

――――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢 (しなくても話は進む)



「相手は貴族なんでしょうけど……」

「どうして呪殺なんて回りくどいやり方を態々するんですか」

「どうして……だと?」

「はい」

「……ならば逆に問おう」

「千にも及ぶ軍勢をたかが数名で壊滅させられるのか?」

「そいつを相手する前に、取り巻きに潰されるのがせいぜい良い所だろう」

「……」

「俺が屠りたいのはそういった奴だ。多少回りくどくもなる」

「すみません……」


村長は珍しく早口で捲し立てた。

そのあまりの剣幕に君は押されてしまう。

……彼にとってこの話はとても重要な事のようだ。



「お前には言ってなかったが、【俺の目はそいつに焼かれた】」

「……えっ」

「一度は【立ち向かった結果がこれだ】」スッ

「そんな……」


覆面で隠していた部分が露わになる。

惨状を目の当たりにした君は思わず言葉を失った。


彼の皮膚は爛れ、目は白く濁っている。

言ってしまえば不快感さえも覚えた。

……まるで、顔周辺を火で炙られたかのようだ。



「俺のお前に対する回答はコレだ」

「……」

「気分の悪い物を見せて悪かったな」

「いえ……」


言葉では否定しても表情までは取り繕えなかったようだ。

彼は短く息を吐き、覆面を被って元通りにした。



「それで」

「…はい?」

「今日は何の用件があって来た?」

「ええと……」

「俺がここに招いた理由はお前の命だった」

「だが、お前はそうじゃないだろう」

「……」 (そういえば何の為にココへ来たんだっけ……)

「………」 (空気が重すぎて、『ただ何となくです』とか言えないんだけど……)


―【選択表】―――――――――――――――――――――――――

①―「視察……のついでです」
②―「以前ココを訪れた時に気になった部分があったので……」 
③―「村長の顔を見に来ただけです」
④―「我が領地に加わって頂こうと思いまして」
⑤―自由記述

――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 悩む君は村長にどう返答する?



「村長の顔を見に来ただけです」

「……」


彼は何故か急に黙り込んだ。

……気のせいでは無い程に空気が重い。



「わ、私は村長の……」

「その言い方は止めろ」

「えっ」

「村の様子を見に来たと言いたいんだろう?」

「…はい」

「【さっきの話を蒸し返す気はあるか】」

「……ありません」

「そうか。【その言葉を信じよう】」


君は途轍もない圧力を感じた。

顔の話をされるのは嫌なのがハッキリと解った。



君は空気が悪いと感じる中、村長の話を聞いてもいい。

気まずい空気を嫌うならこのまま村を去ってもいい。

君から見れば得体の知れない村だ。深く関わらず放置しても別に構わない。


…ただし。

君が関わらなかった場合に不幸が重なると、この村は人知れず消える。

その時は君の領地も安全とは言い難い状況だろう。

……それを念頭に置いて選択してほしい。


―【選択表】―――――――――――――――――――――――――

①―村を去る
②―話を振る 「穏やかじゃないですね」
③―話を振る 「貴方をそこまで駆り立てる理由は何ですか」
④―話を振る 「そう言えばご兄弟はどちらに?」
⑤―考える   (1度のみ)
⑥―自由記述

――――――――――――――――――――――――――――――
↓2~ 選択肢(2票先取)


■ ヒントのようなもの


・このまま帰ったとしても”今の君”には被害は無い

・村長を煽るのはNG (自由記述無しで②を選択するなど)

・顔の話題を振るのはタブー、しかし相手から振られる分には問題ない

・ティオニクスの視点ではメッサーラが悪事を行っていると認識していない

・「考える」は彼との話が終るまでに”1度しか”使えない

↑はティオニクスの「考える」とは別カウントなので安心して下さい



「貴方をそこまで駆り立てる理由は何ですか」

「理由…か」

「はい」

「………」


覆面に隠れて表情は読み取れない。

短い沈黙の後、彼は喋りだした。


「復讐だ」

「村を襲われ、顔を焼かれ、人が離れて行った事への」



「村を襲われたんですか?」

「そうだ。両親も……」

「……」 (そんな過去が……)


彼の家族は1人しか残らなかったのだろう。

途中で言葉を切られたが、言わんとしている事は理解できた。



「貴方が貴族を嫌う理由は解りました」

「……憎んでいる相手は何処の誰なんですか?」

「ハッ。聞いてどうする。お前がどうにかしてくれるのか」

「それは……」


彼の返しに僕は窮する。

自分が首を突っ込んでどうにかなる話なのだろうか……。


―【選択表】――――――――――――――――――――――――――

①―肯定する 「勿論です。どうにかしてみせましょう」

②―肯定する 「もしかしたら貴方の力になれるかもしれない」

③―否定する 「いえ、情報だけ。用心するに越した事はないですから」

④―否定する 「私ではどうにも出来ませんね。”私では”」

⑤―考える   (1度のみ)

⑥―自由記述

―――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢

sage外し忘れ 安価範囲なら下



(考えよう……)


村長に対してどういった返答をすれば良いのか……。

君は思考を加速させて今の状況を整理した。



―――
―――――


(彼は間違いなく強い)

(……たぶん、僕が【襲い掛かっても8回以上は死ねる】気がする)

(そんな彼が消極的に出る相手……)

(【絶対僕1人じゃ勝てないな】)

(………)


(待てよ。発想の転換だ)

(ここは【個人よりも集団での強さ】を考えた方が良いかもしれない)

(民衆に嫌われればその貴族も生きていけないだろうし)

(でも、【悪事を告発するなら立場の安定した人】じゃないと難しいよなぁ……)

(領地を安定させるので精一杯だから僕はお世辞にも)

(……考えたら辛くなってきた)



(暗殺はまず無理だけど……)

(【彼より強い人が居れば、選択肢に入れて良い】んじゃないかな……)

(その条件を満たした上で、内通させる人間がどれだけ優秀かにかかるけど……)



「どうした。答えられないのか?」

「……」 (難しいな……)


僕は彼にどう答えよう。

どうすれば後悔しないで済むんだろう。


―【選択表】――――――――――――――――――――――――――

①―肯定する 「勿論です。どうにかしてみせましょう」
②―肯定する 「もしかしたら貴方の力になれるかもしれない」
③―否定する 「いえ、情報だけ。用心するに越した事はないですから」
④―否定する 「私ではどうにも出来ませんね。”私では”」
⑤―自由記述

―――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



「私は無力です。今の私がどうこう出来るかは自信がありません」

「やはりな」


彼は君の返答を鼻で笑った。

予期していたものと違わなかったからだろう。


……君は続けて彼にこう答えた。



「ですが、私には優秀な人材がいます」

「…ほう?」

「情報収集だけでなく、諜報向けの配下も」

「彼等を駆使すれば仇敵を打ち破れる者も見つけられるでしょう」

「……そういった意味では、貴方の力になれるかもしれません」


「お前は」

「?」

「どうして踏み込んでくる。お前には何の得にもならないんだぞ」

「理由ですか……」


彼は君の申し出を疑っているようだ。

後ろめたい事をしている相手からすれば当然の反応かもしれない。



―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――

①―「手を貸したいから私は手を貸す。これじゃ駄目ですか?」
②―「悪事を嫌う人間が私の近くにも居るんです。だから放っておけない」
③―「問題が起きたら貴方を頼れるように、恩を売っておきたいからです」
④―「天からの啓示です」   ライト「は?」
⑤―自由記述

―――――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



「手を貸したいから私は手を貸す。これじゃ駄目ですか?」

「……御人好しな奴だ」

「そうでしょうか?」

「お前のような奴は何時か痛い目を見るぞ」


彼はまた君を鼻で笑った。

しかし、先程の笑い方に比べると嘲笑は感じられない。



「もう一度聞こう。俺に手を貸してくれるんだな?」

「勿論です」

「ならば話すとしよう」

「……」


他言無用と前置きをされる。

君はゴクリと唾を飲み込んで、彼が話し始めるのを待った。



「俺の敵は……」


(このレスが「偶数なら北」、「奇数なら南」、「ぞろ目なら東」)



「俺の敵は【メッサーラ】だ」

「……えっ?」


聞きなれた名前が出て来た事に君は驚く。

まさかこんな場所でメッサーラ侯の名を聞くとは……。

……いや待て彼が悪事を? そんな馬鹿な。



「どうした」

「いえ、あの……」

「まさか……奴と個人的な付き合いでもあるのか?」

「………」


ちょっと不味いな。

別に隠す事じゃないが、彼にはどう答えよう……。


―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――

①―「え? まま、全く付き合いなんてありませんよ?」
②―「先代の頃はあったそうですが……今はありませんね」
③―「まあ、我が領地の隣ですから多少は……」
④―「恩人です」   ライト「は?」
⑤―自由記述

―――――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢

今日はここまで。

次回の更新は 12/14 1900~

               or
             12/15 1900~ を予定しています。



「先代の頃はあったそうですが……今はありませんね」

「本当か?」

「はい。父が無くなった後、挨拶に回った程度ですから」

「そうか、それなら良い」


特に言及する部分も無かったのかすんなり納得してくれた。



「話しを戻そう」

「俺が知ってる限りの現状は……」

「メッサーラは未開の地や敵国に侵略する事は少ない」

「参戦はすれど、表立って戦おうとはしない狡猾な奴――」

「だが奴隷売買を裏で行い、目には見えない大きな利権を握っている」

「奴隷を?」

「そうだ。捕虜を闘技場で争わせたり、労働力として扱ったりな」

「………」



「奴は剣闘士の育成にも手を出していた」

「……とても嫌な情報だが、オレン闘技場の【優勝者を抱えている】とも聞く」

「それは何処から出た情報ですか?」

「俺の弟だ」

「………」 (彼の弟が闘技場で? もしかして……)

「言っておくが俺はともかく弟は平民だ」

「!?」

「何を考えているか直ぐに解ったぞ」

「すみません……」

「自称で良いなら俺も平民だと言えるがな」

「……」

「フッ。面白くない冗句だったか」


彼は奴隷として使われた過去がある。

自虐ネタはなんとも反応しづらいものだ。



「とにかく奴は目立たない」

「何も知らない人間が接する分には【無害にも見える】だろう」

「……」 (グサッと刺さる言葉だなぁ……)


「奴の中身を知れば、どちらかに別れる」

「悪意を持った人間は、奴を畏怖する対象と恐れ」

「善良な人間にとっては、吐き気を催す邪悪と忌避する」

「貴方にとっては?」

「……両方だ」

「そうですか……」



「俺がやろうと思っていた事を伝えよう」

「これからの事ですか」

「そうだ」

「まず豊穣神マイアの月に――」

「領地へ放火」

「……」

「は?」


彼は今なんと言った? 領地を放火する?

……聞き間違いでは無かったか。



「竈神ウェスタの月には川に毒を流し――」

「皇帝ユリウスの月には奴の領地へ攻め入る」

「ちょ、ちょっとちょっと!?」

「と……そう考えていた」

「へ?」

「どんな方法でやれば上手くいくか、お前の意見を聞こう」

「俺が野蛮だと言うのなら、何か別のやり方を提示してくれ」

「急に言われましても……」

「無理か? ならばこの話はここで終りだ」

「……」   (……無茶言わないでくれよ! ああもう! こんな時↓2が居てくれたら!


―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――

①―「放火は良いですね。領地に燃える水があるんですが良かったら……」
②―「毒を流す時は我が領地より下の方でお願いします」
③―「もっとこう、領民からの評判を落として突き出させるように……」
④―「私は周辺の貴族と会談する事があります。なので……」
⑤―「甘いですね」   ライト「なんだと?」
⑥―自由記述

―――――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 従者の名前+選択肢   【※従者―ルチア、ドミニク、ディアナ】



(……無茶言わないでくれよ! ああもう! こんな時 ルチア が居てくれたら!)


「終りのようだな」

「ま、待って下さい!」

「……実は今、私の領地にはメッサーラ侯に仕えていた者が居ます」

「なに?」


初耳だ。

彼はそういった反応をしている。



「恐らく金を積めば動くでしょうから、彼に内部工作をしてもらい流言飛言を流させます」

「その際に奴隷の話や後ろ暗いものも混ぜれば……領民が反乱を起こすか、それに準ずる状況になるでしょう」

「そうなれば占めたものです。我々はその機に乗じて攻め入ればいい」

「……。続けろ」

「彼の悪評が他の領地に伝わる事が目的ですが――」

「民を虐げる者が民によって殺された場合には、【因果応報】という事で良いんじゃないでしょうか?」

「そいつは信用できるのか?」

「実務に関しては優秀です」

「ほう」

「金については私が持ちますが、貴方に会わせておいて裏切らないようにした方が尚良いでしょうね」

「ふむ……悪くない案だ。前から考えていたのか?」


僕は思いつく限りのままに喋った。

悪くない返事を彼から聞けて今はホッとしている。



「日程はどうしましょうか」

「………」


……難しいな。

作戦内容、情報収集、物資の調達、決行。

早ければ相手に気取られなくて済むが、こちらの準備もままならない。

遅ければ奴に感づかれてしまう可能性や裏切り者が何処かから出るやもしれん。

さて、どうしたものか……。


―【選択表】―――――――――――――――――――――――――――

①―「マイアの月 (5月) が過ぎるまでに物資の調達を終えたい」
②―「ウェスタの月 (6月) が半分過ぎるまでに物資の調達を済ませる」
③―「ユリウスの月 (7月) まで目一杯準備に使う」
④―「アウグストゥスの月 (8月) に動こう。それなら十分な筈だ」 【!】
⑤―「再来週には決行だ」 ティオニクス「ふぁっ!?」
⑥―自由記述

【!】 くっ! ターンが足りない!
――――――――――――――――――――――――――――――――
↓1~ 村長の返答 【2票先取】



「どうします?」

「……」

「ウェスタの月 (6月) が【半分過ぎるまでに物資の調達】を済ませる」

「ざっと50日ですか」

「そうだ。細かい調整をしたいから【2週に一度】此処へ来てくれ」

「村に、ですね? 解りました」

「よろしく頼む」

「……ひとまず今日は帰ります」

「話した事は【絶対に漏らさないでくれ】。いいな?」

「肝に銘じます」


村長との話し合いの結果、【6週間後までに準備をする】事に決定した。

【2週間毎に経過報告をする】と決めたが、非常事態においては都度連絡をしてくれとの事だった。

屋敷に帰ったら、ルチアやドミニク達と相談しないとな……。

僕はそんな事を考えながら、村長に見送られて領地へと戻った。


――――
――



「と、言う訳なんだ」

「……」

「ルチア?」

「領主様は馬鹿野郎なのでしょうか……」

「ええっ!?」

「はい。領主様は脅されてそんな取り決めをしたようにしか思えません」

「自分の意志なんだけど……」

「そうであってもおかしいです」

「そこまで言う?」

「当然。だいたい領地を回ると言っておきながら、どうしてあの村へ1人で向かわれたのですか?」

「領主様は鳥ですか? 1歩進むと1つ物を忘れる鳥頭なのですか?」

「うっ……今日は言葉がキツイな」

「領主様にそう仰るのも致し方ありませんね」


ドミニクはルチアが喚いている横で苦笑を浮かべていた。

僕は助けを求める顔でドミニクの意見を聞いた。



「ドミニク、お前はどうなんだ?」

「素性も知れぬ住民が居る村に、1人で向かわれた事に関しては非難させて頂きます」

「お前もかドミニク… 『ですが』 …ん?」

「困窮している者に手を差し伸べる【その行為は尊い】事です」

「…そうか?」

「先代もお喜びになるかと」

「……そうか!」パァッ

「ドミニクは甘いです。葡萄を煮詰めた汁より甘いです」

「まあまあ」


ルチアは目を細めてドミニクを冷ややかな目で見ている。

ドミニクはそれを全く意に介していないようだった。



「あの……」

「「ん?」」

「これからどうされるんですか?」

「情報収集から始めようかと思ってる。幸いにも此処に適した人が居るからね」

「……」

「えっ、俺?」


部屋の隅に視線が集まる。

皆が見ているその人物とはウルリッヒだった。



「……ああ」

「なるほど!」

「確かに。彼なら情報を知ってそうですね」

「待てや、別に俺じゃなくてもええやんけ!」

「何か不都合でも?」

「おおアリや! これアレやろ? 答えんかったらフクロにされるとかそんなんやろ!」

「まさか」

「心外ですね」

「私はそんな事……」

「しませんよー(棒)」

「不安になる奴が若干1名おるんやけど!?」


ルチアがにやけた顔で喋ると、ウルリッヒは目に見えて狼狽した。

……何かされたのだろうか。



「落ち着いて下さい」

「れれれ、冷静や! 俺はいつも!!」

「もしかしてやましい事があるんですか?」

「無い」

「だったら」

「……けどな? 集団はやめーや。アンタら弱い者いじめやで?」

「弱い者が何処に?」キョロキョロ

「アンタの目は可変式か何かか!」

「あはは……」

「話しが進まないからそこまでにしておきなさい。ルチア」

「ふーっ」

「なんでアンタに溜息吐かれなアカンのや!」

「……本題に入ってよろしいですか?」

「あっ、はい」


えらく素直に返事をしてくれた。

彼にとってこの問答は一体なんだったのか……。



「知っている限りで良いです。メッサーラ家について教えて下さい」

「……知ってる範囲でええんか?」

「はい」

「………」 (へへッ……適当に嘘でもついたろ)

「よっしゃ解った。話す…… 『嘘が解ったらその時は……』 」

「お覚悟を」

「……」 (ぁ、アカン、コイツ本気や……俺を、俺だけ見る目が違う……)

「どうしました?」

「な、なんでもあれへん(震え声)」

「大丈夫ですか? 脚が震えてますよ?」ニヤニヤ

「うっさい! 触れんな!」

「………」 (僕の知らない所で何かが起きている……)


何故ウルリッヒは額に汗を浮かべているんだろう。

ルチアは何かを察しているようだけど……。



「ではまず第一の質問を」

「な、なんでもこいや!」


|
|※ウルリッヒは君の質問に対して嘘を混ぜます。見抜けば成長などにボーナス。
|  左から順に多弁~寡黙、言動、性格の傾向を記載。
|
| ルチア―良く喋る、いい加減な事も言う、嘘に気付くとほくそ笑む
| ドミニク―あまり口出ししない、常識的な事を言う、嘘を見抜くと無言になる時がある
| ディアナ―ほどほどに喋る、中立的な事を言う、嘘かどうかの判断をあまりしない
|


―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「普段の生活やメッサーラ侯の仕事ぶりについて」

「爺さんの? ハハッ、遊んでばっかや、偶に俺等の前に来るだけで丸投げしとる事が多いでー」

「あー羨ましい」ジー  「領地が安定している御様子で」  「人材が多いのは良い事ですね!」


②―「我が領地と比べて軍備はどれ位ありますか?」

「ショボイ剣とか人間の質が良くなかったりやない? 美味い食い物も無かったしな」

「悲惨ですね。私はそんな場所じゃ絶対働きませんけど」  「……成程」  「わあ! 凄い!」


③―「川に流れて来た本当の理由は?」

「食い物が無かったんで逃げて来た。俺が釣りしとったのもそれが理由やで?」

「ックク……」  「………」  「私聞きました! 大地を吊り上げたんですよね!」


④―「我が家はどうです? なれましたか?」

「えっ……まあ、はい。凄く……」

「……」ジーッ  「それはようございました」ニッコリ  「……」(どうしてでしょう。親近感が湧きます……)


⑤―「人の為に死ねますか?」

「出来るかどうかって言われたら無理やな。アンタに義理は感じても忠誠は誓ってないし」

「人でなし。恩知らず。海で燃えろ」  「まあそうでしょうね」  「……」(私は一応……)


⑥―自由記述


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



「川に流れて来た本当の理由は?」

「食い物が無かったんで逃げて来た。俺が釣りしとったのもそれが理由やで?」

「ックク……」

「………」

「私聞きました! 大地を吊り上げたんですよね!」

「そうですか」 (ディアナは何時も通りだが、2人は妙な反応を示している……)

「なんや反応薄いなー。せっかく情報を公開してるっちゅーのに」

「嘘ですね」

「……あ?」

「それは全くの嘘。釣りをしていたのは目くらましに過ぎない」

「ははぁ……」

「まあバレるか。鈍い奴でも判るわな」


悪びれる素振りは無い。

まるで嘘をついて当然と言っているかのようだ。



「えっ、えっ?」

「鈍い奴が1人おるようやけど」

「気にしないで続けて下さい」

「……ま、ええわ」

「人が流されたって噂、誰から聞いた?」

「私はルチアから」

「私はドミニクから」

「私奴はディアナから」

「わ、私は領民の方から……」

「ハハハ、アンタが引っかかったか。領民に流したのは俺なんや」

「領地仕切ってるアンタらに情報が入れば、嫌でも見に来るやろ?」

「此処に取り入って使える情報でも漁ったろ思うとったんや」

「……そうでしたか」

「まあ、今の状況でパァになってしまったけどな」



「嘘が解った領主さんはどうする? 俺を殺して憂いを絶つか? ハハハ!」

「……」 (罪の意識は無いのか……)

「領主様。ご命令とあれば」

「しなくていい」

「…左様でございますか」

「残念な顔もしなくていい」

「……」 (´・ω・`)


勢いよく長剣を懐から出したルチアは、それを部屋の片隅へと投げ捨てた。


――ガランガランッ!


「アンタ用意周到やな。何時も持ち歩いてんの?」

「仕事柄こういった物を扱う事が多いので」

「嘘つくなや。どこにそんな要素がある」

「冗談です」

「命が懸かった冗談は嫌いや」

「フフッ……」



「……次の質問に行きましょう」

「おう。なんでも言えや」


|
|※ウルリッヒは君の質問に対して嘘を混ぜます。見抜けば成長などにボーナス。
|  左から順に多弁~寡黙、言動、性格の傾向を記載。
|
| ルチア―良く喋る、いい加減な事も言う、嘘に気付くとほくそ笑む
| ドミニク―あまり口出ししない、常識的な事を言う、嘘を見抜くと無言になる時がある
| ディアナ―ほどほどに喋る、中立的な事を言う、嘘かどうかの判断をあまりしない
|


―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「普段の生活やメッサーラ侯の仕事ぶりについて」

「爺さん? 遊んでばっかや、偶に俺等の前に来るだけで丸投げしとる事が多いな」

「少し羨ましい」ジー  「領地が安定している御様子で」  「人材が多いのは良い事……ですね?」


②―「我が領地と比べて軍備はどれ位ありますか?」

「ショボイ剣とか人間の質が良くなかったりとかそんな感じや。 美味い食い物もてんで無いしな」

「悲惨ですね。私は絶対働きませんけど」  「……成程」  「虫は食べなくても済みますか?」


③―「近くに居た馬はどこから用意したんですか?」

「こっちに来る時、近くの村から拝借してきたんやわ。村にしちゃ変に人気が無かったけどな!」

「フフフッ……」  「盗む事が重罪なのはご承知で?」  「……」(えぇ、それってあの村……)


④―「我が家はどうです? なれましたか?」

「まあまあやったわ。そこの女(アマ)が舐めた真似してくれたんがよう記憶に残っとるで」

「本省表したな。外道」  「ハハハ……中々酷いでしょう? 彼女」  「……」(なにされたんだろう……)


⑤―「人の為に死ねますか?」

「出来るかどうかって言われたら無理や。アンタに義理は感じても忠誠は誓ってないし」

「人でなし。恩知らず。海で燃えろ」  「不快ですね」  「……」(私は一応……)


⑥―自由記述


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



「近くに居た馬はどこから用意したんですか?」

「こっちに来る時、近くの村から拝借してきたんやわ。村にしちゃ変に人気が無かったけどな!」

「フフフッ……」  「盗む事が重罪なのはご承知で?」  「……」(えぇ、それってあの村……)

「……」 (ドミニクは常識を説いているだけで、これも嘘とみても良いな……)

「何も反応無いやん。どうした?」

「いえ、嘘だと思ったので」

「フン。そうまで言うんやったら言ってみろや!」

「図星ですか?」

「おまえ後で覚えとけよ……」

「おぉ怖い怖い」



「私が嘘だと思った理由――」

「それは、メッサーラ侯の領地はここから南方だという点です」

「……それがどうした」

「ここから近くにある村は、北東の村と燃えた集落のみ」

「馬を使うような場所に態々取りに行くのは労力に見合わないと言えます」

「へぇ」

「――つまり、メッサーラ家から持って来た。……そうですね?」

「……当たっとる。認めてやるわ」



「だけどそれがどうした? 何の役にも立たへんやろ」

「爺さんの情報が聞きたいんやったら、些か的外れな質問やと思わんのか?」

「………」 (確かにそうだな……)

「私は単に貴方が追い詰められるのを楽しんでいるので……」

「おまえには聞いとらん! つーか畜生やな! 清々しいほどのクズっぷりや!」

「……領主様。お気になさらず」

「ああ。解っている」

「あわわ、どうしましょう……」


最早彼が落ち着ける空気など何処にも無い。

もっと追い詰めるかどうにかすれば彼の方から自白していくだろう。



「……次の質問に行きましょう」

「なんでも聞けや。言うだけ言ってやる」


|
|※ウルリッヒは君の質問に対して嘘を混ぜます。見抜けば成長などにボーナス。
|  左から順に多弁~寡黙、言動、性格の傾向を記載。
|
| ルチア―良く喋る、いい加減な事も言う、嘘に気付くとほくそ笑む
| ドミニク―あまり口出ししない、常識的な事を言う、嘘を見抜くと無言になる時がある
| ディアナ―ほどほどに喋る、中立的な事を言う、嘘かどうかの判断をあまりしない
|


―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「普段の生活やメッサーラ侯の仕事ぶりについて」

「爺さん? 遊んでばっかや、偶に俺等の前に来るだけで丸投げしとる事が多いな」

「少し羨ましい」ジー  「領地が安定している御様子で」  「人材が多いのは良い事……ですね?」


②―「我が領地と比べて軍備はどれ位ありますか?」

「ショボイ剣とか人間の質が良くなかったりとかそんな感じや。 美味い食い物もてんで無いしな」

「悲惨ですね。私は絶対働きませんけど」  「……成程」  「虫は食べなくても済みますか?」


③―「やべーやつって誰か知ってます?」

「居るな。攻撃が全く当たらん奴、馬鹿みてーに大きな剣を振る奴。……それと目の前に!」

「どこに? 語彙力やべーやつなら居ますけど」ジーッ  「何方でしょう?」  「……」(ルチアさんです……)


④―「我が家はどうです? なれましたか?」

「まあまあやったわ。そこの女(アマ)が舐めた真似してくれたんがよう記憶に残っとるで」

「本省表したな。外道」  「ハハハ……中々酷いでしょう? 彼女」  「……」(なにされたんだろう……)


⑤―「人の為に死ねますか?」

「出来るかどうかって言われたら無理や。アンタに義理は感じても忠誠は誓ってないし」

「人でなし。恩知らず。海で燃えろ」  「不快ですね」  「……」(私は一応……)


⑥―自由記述


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



「我が領地と比べて軍備はどれ位ありますか?」

「ショボイ剣とか人間の質が良くなかったりとかそんな感じや。 美味い食い物もてんで無いしな」

「悲惨ですね。私は絶対働きませんけど」  「……成程」  「虫は食べなくても済みますか?」

「……」 (ドミニクが含みのある反応をしている……)


「はぁ、またかいな。今度は何に突っ込もうってんや?」

「そうですね……まず貴方々の待遇が悪い事は間違いないでしょう」

「しかし、集められている人間や装備の中には異なるものがある」

「ああ? なんでそう思った」

「信用をされていないから雑な扱いを受ける」

「俺がそうやって言いたいんか」

「失礼ながら」

「……ケッ」


ウルリッヒは悪態を隠そうともしない。

君に対して見せていた、ほんの少しの敬意は最早何処にも無かった。



「……その通りや」

「俺はあの爺さんに好かれて無かったし、周りにおった奴等も似たり寄ったりではあった」

「正直、馬鹿にされてる気分でええ気はせんかったけどな」

「あの爺さんの事やから、たぶん金以外で縛り付けた私兵でも囲っとんちゃう?」

「そうですか……」

「”俺等”の扱いが悪かった事は認めたる」


ウルリッヒは首に付けた輪を親指で示した。


「首輪?」

「爺さんからちょろまかしてきた物の1つや」

「しけた物しか寄越さん割には随分貯め込んどったで」

「我が家とは大違いですね」

「貯め込めるほど力が無いとも取れますけど」

「……。それだけ領地や君達に還元してるという事だ」

「止めておきなさい、ルチア」

「はいはい」

「……」 (ルチアさんの扱い方が私には解りません……)



「軍備についてはよく知らないという事で宜しいでしょうか」

「まあな」

「ふぅ、使えない奴ですね」

「おい。ふざけんな!」

「……次の質問に行きましょう」


|
|※ウルリッヒは君の質問に対して嘘を混ぜます。見抜けば成長などにボーナス。
|  左から順に多弁~寡黙、言動、性格の傾向を記載。
|
| ルチア―良く喋る、いい加減な事も言う、嘘に気付くとほくそ笑む
| ドミニク―あまり口出ししない、常識的な事を言う、嘘を見抜くと無言になる時がある
| ディアナ―ほどほどに喋る、中立的な事を言う、嘘かどうかの判断をあまりしない
|


―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「普段の生活やメッサーラ侯の仕事ぶりについて」

「爺さん? 遊んでばっかや、偶に俺等の前に来るだけで丸投げしとる事が多いな」

「少し羨ましい」ジー  「領地が安定している御様子で」  「人材が多いのは良い事……ですね?」


②―「この領地で貴方が気になった点は何かありますか?」

「東と南から襲撃しやすい、情報伝達が遅い、領地の女は綺麗、アンタ弱そう、あと飯が美味い」

「残飯がそんなに?」  「領主様は武闘派ではございませんので」  「確かに食事は美味しいですね」


③―「やべーやつって誰か知ってます?」

「居るな。攻撃が全く当たらん奴、馬鹿みてーに大きな剣を振る奴。……それと目の前に!」

「どこに? 語彙力やべーやつなら居ますけど」ジーッ  「何方でしょう?」  「……」(ルチアさんです……)


④―「我が家はどうです? なれましたか?」

「まあまあやったわ。そこの女(アマ)が舐めた真似してくれたんがよう記憶に残っとるで」

「本性表したな。外道」  「ハハハ……中々酷いでしょう? 彼女」  「……」(なにされたんだろう……)


⑤―「人の為に死ねますか?」

「出来るかどうかって言われたら無理や。アンタに忠誠は誓ってないし」

「人でなし。恩知らず。海で燃えろ」  「もしそうだったら逆に困ります」  「……」(私は一応……)


⑥―自由記述


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



「やべーやつって誰か知ってます?」

「居るな。攻撃が全く当たらん奴、馬鹿みてーに大きな剣を振る奴。……それと目の前に!」

「どこに? 語彙力やべーやつなら居ますけど」ジーッ

「何方でしょう?」

「……」 (ルチアさんです……)

「なんで僕を見る必要がある」

「さあ? 御自分の胸に手を当ててみれば宜しいかと」


ルチアはこっちに視線を向けて『語彙力やべーやつ』と口にした。

ディアナとウルリッヒはルチアを見ていて、ドミニクは1人首を傾げているというのに……。



「酷い従者やな! 爺さんにそんな事言うもんなら即解雇やで!」

「私と領主様は金で結んだ主従の関係ではございませんので」キッパリ

「へぇ、そうなん。お気に入りかなんかか?」

「答える気はありません」

「……」

「ま、ええわ」



「あー。ハッキリ思い出したわ」

「何の話ですか?」

「攻撃が当たらん奴の事や」

「オレン闘技場で剣闘士の育成やってたとか、過去にその闘技場を制覇した経歴もあるー」

「そんな事を爺さん言うとったな」

「!」

「見た目がゴツイ訳じゃないんやけど妙な威圧感がなぁ……」

「対面した時、脚の震えが止まらんかったんを覚えとる」

「……」 (村長が言ってたのはこの人物か……?)

「最初は嘘やと思ったが、いざ会ってみりゃ本物」

「『修羅場を潜り抜けて来た人間』って表現が似合うと思ったわ」

「貴方の意見はどうでもいいです」

「…そろそろキレてええか?」

「どうぞ御自由に」

「ま、まあまあ」

「……常識人が近くにおると際立つのがクソやな」



「……ま、ソイツと闘おうってんならアンタら程度の戦力じゃ無理や」

「なんせこの俺が勝てないと思う程やからな!」

「寝言は寝てから仰って下さい」

「……チッ」

「気分が優れませんか?」

「……アンタらが爺さんやその取り巻き侮るのは勝手や」


彼はルチアを無視する事に決めたようだ。

ルチアから露骨に目を逸らしている。



「別の質問に行きましょう」

「まだするんかいな!?」

「聞きたい事は沢山ありますから」

「……好きにせえや!」



―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「普段の生活やメッサーラ侯の仕事ぶりについて」

「爺さん? 遊んでばっかや、偶に俺等の前に来るだけで丸投げしとる事が多いな」

「少し羨ましい」ジー  「領地が安定している御様子で」  「人材が多いのは良い事……ですね?」


②―「この領地で貴方が気になった点は何かありますか?」

「東と南から襲撃しやすい、情報伝達が遅い、領地の女は綺麗、アンタ弱そう、あと飯が美味い」

「残飯がそんなに?」  「領主様は武闘派ではございませんので」  「確かに食事は美味しいですね」


③―「質問するだけというのも味気ないですからね。今度は貴方の質問を受けましょう」

「ん、なんでもええんか? そうやな……なら東にある黒い液体はなんなのか聞こか」

「………」ジロッ  「ハハハ」ジーッ  「それはですね!……ヒッ」 (凄く見られてますぅぅぅうぅ!)


④―「我が家はどうです? なれましたか?」

「まあまあやったわ。そこの女(アマ)が舐めた真似してくれたんがよう記憶に残っとるで」

「本性表したな。外道」  「ハハハ……中々酷いでしょう? 彼女」  「……」 (なにされたんだろう……)


⑤―「人の為に死ねますか?」

「出来るかどうかって言われたら無理や。アンタに忠誠は誓ってないし」

「人でなし。恩知らず。海で燃えろ」  「もしそうだったら逆に困ります」  「……」 (私は一応……)


⑥―自由記述


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



「この領地で貴方が気になった点は何かありますか?」

「東と南から襲撃しやすい、情報伝達が遅い、領地の女は綺麗、アンタ弱そう、あと飯が美味い」

「領主様は武闘派ではございませんので」

「確かに食事は美味しいですね」

「残飯がそんなに?」


「「えっ」」


「そうですか。ご丁寧にありがとうございます」

「……」 (何か聞き捨てならない事を聞いた気がします……)

「情報伝達に関しては知るべき者を選別して精度をあげよう」

「ドミニク! 領地東と南を固めておいてくれ」

「はっ」

「自分の能力もどうにかする必要があるか……ルチア!」

「はい」

「後で稽古を付けてくれ。それも徹底的に」

「かしこまりました」


「……とりあえずこの件はこれで」

「へぇ、やるやん。アンタの立場はお飾りと違うんやな」

「私も領主ですから」



「今日はこの辺で止めにしましょう」

「終いか?」

「ええ。明日もまた質問しますが」

「勘弁してくれ……って言っても無理か」

「当然です」

「………」 (無視や無視)

「聞こえないフリですか。まあ良いでしょう」

「我々は貴方を拘束する気は無いので、どうぞ好きに動かれて下さい」

「それは爺さんの所に行っても構へんって訳やな?」

「正直困ります。ですがその時はその時で対処しますので」

「なんや気になるな」

「別に逃げても構いませんよ? 何処までも追いますから」

「………」 (コイツにだけは付き纏われたくないわな……)



「話しも終った事だし、食事の用意をしてくれるか?」

「希望は何かございますか?」

「スープが良いな」

「ははっ」

「ではまた後で会いましょう」


ウルリッヒを除く3人は料理の支度をしに部屋から出て行った。

彼はというと――



「で」

「はい?」

「アンタの言葉……どこまで本当なんや?」

「私は全部正直に話したつもりですが……」

「そうか。気のせいやったか」

「はい」

「邪魔したな」


ウルリッヒも部屋から出て行った。

……最後の確認は一体何だったのだろう。


嘘をつく人間は相手が嘘をついていると猜疑心に駆られるというが……。

幸い僕はあの話の最中、嘘を言わなかったので全く問題はない筈だ。



微かな手応えを感じた君は思案する。

今回ウルリッヒが嘘を付いていたのは――


・「川に流れて来た本当の理由

・近くに居た馬の調達先

・自領と比べ軍備はどれ位あるか


――以上3点。

君にダイスを3つ振って貰うとしよう。


―【判定表】――――――――――――――――――――

  02   ― TP+「3点」、特徴「ポーカーフェイス」
03~10 ― 闘力+「1点」、
11~12 ― TP+「2点」、「追撃」習得
13~19 ― 闘力+「1点」、
  20   ― TP+「3点」、「猛追」習得

―――――――――――――――――――――――――
↓1~3 成長ロール


―――――
―――


全ての用事を済ませ自室に戻った君は溜息を吐く。

これから自分が大変な目に遭う事を考えると気が重い。

あの村長を手助けする事が、この領地に対してどのような変化をもたらすのか。


(彼が素直に従ってくれれば楽なんだけど……)

(……今日はもう寝るか)


君は柔らかい寝台の上に横になり大きく息を吐いた。


【現在値】――――――――――――――

【地方領主 ティオニクス】 男

―40/40 闘力↑
―05/10 GP
―24/24 TP
―10/100 ?↓   .〔50→10〕

【自然回復】 (闘力、TP全回復)
――――――――――――――――――

【ティオニクスの従者 ルチア】 女

―45/45 闘力
―05/10 GP
―40/40 TP
――――――――――――――――――

【影薄き従者 ドミニク】 男

―46/46 闘力
―05/10 GP
―38/38 TP
――――――――――――――――――

【銀嶺の従者 ディアナ】 女

―41/41 闘力
―05/10 GP
―34/34 TP
――――――――――――――――――



君は深い眠りに包まれている。

……あの村での出来事は君にとって相当な心労を与えたようだ。



【美の女神アフロディーテの月 4週】 (16/28)


「報告致します」

「現在【領地東と南にて防御陣地を構築中】。竈神ウェスタの月に【完成する予定】です」

「もし【陣地構築に意見】がありましたら、【モルドー、ゴラン、アルベルト】のいずれかにお申し付けください」

「うむ。……ウルリッヒはどうだ?」

「彼はここで生活をすると断言しています」

「【最初の頃と変わらない態度】でしたので、少々驚きはしましたが……」

「今の所、我々に【危害を加える様子はありません】」

「他に何かあるか?」

「以上です。……あ、いえもう1つ」

「なんだ?」

「【目安箱に】以前と似た文面の物が【1通】入っておりました」

「『我々は貴様に対して報復を行う』」

「……それだけか?」

「はい」

「妙な文面だな……。まあいい下がっていいぞ」

「はっ。失礼致します」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――
/領地特徴/

北―森の一帯
西―大きな川+
東―農地++ 【?】
南―荒地+++ 【?】
南東―焼野原 【!】


/建造物等/

北―巣穴
西―堤防
東―柵(木)、油田、景色が良い櫓
南―柵(木)、旗(太陽)、屋敷寄りに櫓

北東―牧歌的な村
南東―灰に塗れた地面


・水源が豊富
・領民は読み書きが出来る教養を持つ
・東南からは攻め易い
・村(北東)の住人と協力関係


【!】 人影? (24ターンまで放置すると……)
【?】 陣地構築中 〔22ターン前後に完成〕
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



今の君には関係の無い話だが――

君の分岐点は「18、20、22ターン目」に、そしてさらに大きな分岐点は「23、27ターン目」に存在する。

その際に出る選択肢は君が後悔しないものを選ぶと良い。


……第16ターンの行動を聞こう。君は何をする?


下1~2 選択肢

―【選択肢】―――――――――――――――――――

①―領地の開墾、改善
②―人材発掘
③―自己学習
④―誰かに相談する※
⑤―近隣の領主、村長に助けを求める※
⑥―自由安価
⑦―人材派遣

※―登場人物の名前を併記する事
――――――――――――――――――――――――


―【現在の状況まとめ】――――――――――――――――――――――――――

・美の女神アフロディーテの月 4週 (16/28)

・ウェスタの月が半分過ぎる(22ターン)までに物資の調達をする

・領地東と南で陣地構築中。3名と関わる事で介入可能

・人材は最大10名まで。現在の数は「9名」


・ルチアはディアナが嫌い。それとは別の方向でウルリッヒが嫌い

・ディアナに頼むと「奉仕」してもらえる

・ドミニクは薔薇も育てている

・アルベルトは向上心がある

・ウルリッヒの態度は最初に会った時と同じ


・領地東で黒い液体(石油)を貯留中

・東の櫓は南よりも景色が良い

・領地の中心に「目安箱」を設置

・南方にメッサーラ家の領地がある

――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「気にし過ぎかもしれないが、あの文面がどうも気になる」

「……今のうちに様子を見ておくか」

「ルチア!」

「はい」

「南東へ向かう。力に覚えのある者を招集してくれ」

「かしこまりました」


ルチアは一礼して部屋から出て行った。

恐らく数十分もしない内に帰ってくる事だろう。



部屋に集まったのはルチアと男性3名。

ミリス、ゴラン、モルドーだ。


「お呼びですか。主よ」

「何用でしょうか」

「家具を作ってたトコなんだがよ、穏やかじゃねぇ話しか?」

「それについて領主様が今から話します」

「ありがとう。ルチア」


僕は一呼吸おいてから話し始めた。



「急な召集で申し訳ありません」

「現在、領地で不穏な動きをしている者が居るという情報が入りました」

「その情報の真偽を確かめる為、皆には私と共に集落跡地へ向かって頂きます」

「場合によっては武力行使を用いるかもしれない、という事を頭の隅に入れておいてください」

「今から向かうのか?」

「そのつもりです」

「よし解った。ちょいと準備してくるから待っててくれや」


モルドーはそれだけ聞くと部屋から出て行った。


「敵が居るなら戦支度をしなければ。……失礼致します」

「……」ペコ


二人が去り、ルチアだけになった。

ルチアは何時でも出られると、僕に目を向けている。

……僕も用意をするか。



向かった先で何があったかの判定をするとしよう。

ダイスを1つ振ってくれ。


―【道中】――――――――――――――――――――

  02   ― 顔を隠している集団
03~06 ― ウルリッヒが居ました
07~09 ― 何もなし
  10   ― 頭巾を被った男性
11~13 ― 何もなし
14~19 ― 綺麗な装飾品が落ちていた
  20   ― 妙な集団に襲われた

――――――――――――――――――――――――
↓1 2D10で判定



廃墟と化した集落に着くと見覚えのある顔がそこに居た。


「えっ」

「ん?」

「おお! 旦那かいな。どうしたんやこないなトコ来て」

「え、まあその……視察に」

「ふーん?」

「……」 (怪しい、怪しいですね……)


ウルリッヒは居て当然のような顔をしている。

なんだか自分達がこの場所に居る事の方がおかしいとさえも感じる。



「貴方はどういった用件で?」

「情報収集や。【何が原因で焼けたのか】を調べに来た」

「へぇーそうなんですね」

「……ん? お前もおるんか。相変わらずやな」

「逃げかえって頂いても良かったんですが?」

「そんな事するかいな。大人しくしとくってえの」

「そうですか」 ( ´_ゝ`)

「自分で振っといて興味無さそうな顔すな」

「……」 ( ´_ゝ`)

「ハァ……もうええ。俺は調べるので忙しいからな」


「……」 (ウルリッヒに何か聞いてみるか、それとも誰かと話すか……)


―【選択表】――――――――――――――――――――――――

①―ティオニクス「貴方以外に誰か来ませんでしたか?」
②―ミリス「貴様は我が主に対して嘘を付いているな。不届き者め」
③―ゴラン「……」チラッチラッ   ウルリッヒ「?」
④―ルチア「何も無いなら帰って昼食にしましょう」※屋敷へ

―――――――――――――――――――――――――――――
↓1 選択肢



「貴様は我が主に対して嘘を付いているな。不届き者め」

「急になんやお前」

「ま、待て待てミリス。一体どうしたと言うんだ」

「私の直感が告げております。この者は嘘を付いていると」

「……」 (前例がありますからね……)

「そうなんですか?」

「【立場が悪い】っちゅうに、俺が【今嘘言うて何になる】んや。自殺行為にも程があるやろ」

「でしょうね……」

「主よ、騙されてはなりません! 奴は平気な顔をして人を騙せる悪人ですぞ!」

「うーむ。そうは言ってもなぁ……」

「……」 (領主様は本当に甘いですね。私なら放っておかないのですけれど……)


彼はこう言っているが……。

ウルリッヒに何か言及してみるか? それとも疑った事を詫びるべきか?



「ならもう1つ聞きましょうか」

「なんや?」

「私達がここに来てから、貴方は嘘をつきましたか?」

「……」

「【ついてない】で」

「貴様。自分の命が惜しくないようだな」

「……」 ( ´_ゝ`)


ウルリッヒが言葉を発した時、明らかに反応が変わった者がいる。

ルチアとミリスの2名だ。


君はウルリッヒに何かしても良いし、何もしなくても良い。

処分を与える事で、何かしらの反応が周囲から返ってくるかもしれない。

何もしなければ、周囲の人間に何かが起きるかもしれない。

どんな選択をするにせよ、彼の立場が良い状況にならないのは間違いない。

……君はどうする?


―【選択表】―――――――――――――――――

①―嘘の内容が解らないので言及しない
②―ミリスを窘めてその場をやり過ごす
③―同意を得た上で屋敷に軟禁する
④―彼を糾弾する

――――――――――――――――――――――
↓1 選択肢

ルチアは嘘に気づくとほくそ笑むわけで、反応は微妙だな。

ただ、何故先回りしていたか、何故焼けた原因が気になったかを問い質すのが多分先。
その回答次第かな。もし真っ当な回答が返ってきたら、素直に陳謝する。マトモな回答でなかったら然るべき処分。

ってこれは自由安価OK?

ティオニクス君には是々非々でやってもらいたい感。


では選択表に

⑤ー自由記述を追加

2400までに他の案がなければ>>636(問いただす)を採用します



「もう1つだけ聞いておきましょうか」

「なんや」

「この場所に来た理由をもう少し詳しく聞きたいんです」

「どうして焼けた原因を探っているのか、なぜ我々に先んじて此処へ来たのかを」

「………」


その問いにウルリッヒは目を逸らした。

彼は一瞬の間を置いて口を開く。



「この領地ん中に【適した道具】があると思って調べとった」

「1人で来た理由は、単にその方が自由に動けるからや」

「……」

「今の言葉に嘘偽りは無い様だな」

「気持ち悪い洞察力や、お前薬でもキメてんのかいな」

「戯れ言を」

「アンタんトコは他と比べて変な奴が多いわ。さぞ苦労しとんちゃう?」

「私は個性と捉えていますので、気遣いは無用です」

「ふん。そうか、そうやろな」


ウルリッヒはつっけんどんな口調で吐き捨てた。

嘘が通用しないと判って気分が悪いのだろう。



「何らかの処分を与えようかと思ってはいましたが、貴方がそうまで仰るなら私は何も致しません」

「そーかそーか! なら俺は退散するとしようか!」

「1つだけ伝えたい事があります」

「…なんや」

「貴方の身柄を拘束しようと思えば何時でも出来る立場にある事を忘れないで下さい」

「害を為す相手だと私が判断すれば、然るべき処分を言い渡しますので」

「お、おう。そんくらい理解しとるわ」

「……本当でしょうか?」

「俺は帰る! もう帰るっての! 今日の所はコレでええやろ!」


ウルリッヒは声を大にして叫んだ。

それをルチアは白けた顔で眺めている。


「………」 ( ´_ゝ`)

「なんか言いたそうな顔やな……」

「負け犬はさっさと小屋にお帰り下さいませ」

「アンタらの屋敷やろうが!?」

「えっ? 私はてっきり、主人の所へ逃げ帰るのとばかり……」

「クソッ! 覚えてろ!」


そう言って彼は焼けた集落から離れて行った。

残された我々になんとも言い難い空気が漂っている。



残された君達は集落を探索してもしなくても良い。

探した場合、誰も気付かなかった物が見つかるかもしれない。

あるいは潜んでいる何かに襲われるかもしれない。

疲れているから屋敷にさっさと帰る。……というのも別に悪くはない。

どんな選択をするにせよ、君が此処に居た事実は覆らない。

……君はどうする?


―【選択表】―――――――――――――――――

①―周辺を漁る (2D10)
②―屋敷に帰る (?が少し上昇)
③―誰かと話す (同行者の中から選択)
④―自由記述

――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢


 周辺を漁る (10+3=13)


君は同行している4人に対し、周囲の確認を命じる。

『警戒を怠らないように』と付け加えた後、自身も辺りを探り始めた。


―――



「……む?」


煤に塗れた地面の中に、不自然に土が盛り上がっている場所があった。

……何かが埋まっているのだろうか。

君は盛り上がった地面へと近づく。


(平たく何かが積み重ねられている。誰かが意図してやったものだろうか?)

(……誰が積んだ? 領内の誰かか?)

(いや、そうじゃない。この集落に居たのは賊だから、それに近しい者と見るべきか……)



念入りに調べた結果、君は幾つかの情報を得る。

判明した情報は――


①積み重なっている物の正体は「泥と煤で汚れた石」

②汚れてよく見えないが「石に何かが掘り込まれて」いる

③錆びた短剣が一緒に埋められていた

④「コレ」は此処が炎上した後に作られた物


――以上だ。



(最後に此処へ向かわせたのは何時だ? ルチア、その後にドミニク……後は誰も寄越してない)

(ドミニクは豆のように小さい事でも報告する気がある。僕が見つけたコレを見過ごす訳もないし)

(うーむ)

(……)

(………)

(さっぱり解らん)


悩んだ末に君が出した答えは保留。

当然の判断だ。この程度の情報で何かが解るとも思えない。


【……なんとなく君は、この情報を「誰かと共有」した方が良いと思った。】



主の命により、捜索を始めて1時間。

……私は妙な気配を感じて振り向いた。


「……」クルッ

「貴様、何者だ?」

「………ククッ」

「フフ、ハハ、ハーッハッハ!」


目の前に居る人物が突然笑い出した。



「物取りか、それとも気違いか」

「そのどちらでもない」

「……侵略者か?」

「そのとぉりだッ!」


フードで顔を隠した男が懐から短剣を抜き襲い掛かって来る!


【通常戦闘の為データを出します。お待ちください】


【現在値】―――――――――――――――――――――――――――――――――

【侵略者 ???】 男

―38/38 闘力
―05/10 GP
―16/16 TP

【装備】

ダガー(3)

【特殊技能】

「挑発」、「逃走」、「略奪」、「追撃」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【ミトラ教信者 ミリス】 男

―42/42 闘力
―05/10 GP
―33/33 TP

【装備】

スティレット(4)

【特殊技能】

「祈り」、「征伐」、「??」(闘力半分以下で使用可能)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【目的】

”ミリスの闘力が「0点」を下回らない”
”祈りを使わない”
”???の闘力を「-3点」より下にする”

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

◆戦闘の説明は >>3

◆特殊技能の効果は (消費TPの記載が無ければそれは「0点」)


「祈り」……自身の闘力が「0点」を超える攻撃を喰らった時、「偶奇判定を当てれば1点」で踏みとどまる。消費TP「1点」。

「追撃」……攻撃判定を2D10両方で行う。消費TP「4点」。 (判定を1つ増やす)

「逃走」……その場から逃げ出す。 (攻撃判定で出した相手の素の値を超えなければ無意味)

「略奪」……所持品を盗む。 (相手の素の値を超えなければ無意味)

「挑発」……相手を煽る。


この戦闘では、一時的に【ミリスを操作】して頂きます。

ミリス1人で【この場面を乗り切る】事を意識して下さい。



「不届き者め。しかし見つけたのが私で良かった」

「……悪は滅する。聖戦の始まりだ」


袖に隠していた剣を抜き払って私は呟いた。



(奴は今私に向かって駆けている。恐らく一呼吸しないうちに【刃が私の腹を抉る】だろう)

(……しかし、【刃が濡れている訳でも毒を塗り付けているようにも見えない】)

(斬られたとして……精々肉が削げて【出血する】程度だ)


(そして私が使っている「スティレット」)

(これは相手に深く突き刺す事が可能で、上手く急所を突けば致命傷を与えることが出来る)

(リーチは短い。だがその分威力はある。加えて私は逃げる気は無い)

(……私はどうやって奴を滅するべきか)


下1~2 自由記述+ダイスロール (ミリスの攻撃判定は下2)

(対応がよければ結果にボーナスを入れます。良ければ考えて下さい。)


【このレスの2桁で、???の攻撃判定】 (追撃の使用を宣言します)


久しぶりですが今日はここまで。

次回の更新は 01/07 2000~ を予定しています。


(???のダイスは「8と9」 8-5-1=2点、9-5+1=5点 ……合計13点) 特殊技能「追撃」発動!

(ミリスのダイスは「8」 8-5+1=4点 ……合計8点)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「死んで詫びろ!」

「……くっ」


捌きが思った以上に鋭い。

奴が持つ短剣が私の腕を浅く、次第に深く斬り付けて行く。

刺突によって軽い手傷を与えたが、奴は牽制を多用してくるようになった。

急所を狙おうにもこれでは踏み込む事が出来ない。


【現在値】

???
―30/38 闘力 〔38→30〕
―12/16 TP
――――――――――――――――――

ミリス
―29/42 闘力 〔42→29〕
―33/33 TP
――――――――――――――――――



「……」

「オラッ! 黙ってないで何とか言ってみろよ!」

「……フフッ」

「!?」

「これは楽しめそうだ……」ニィ


不敵に笑む私を見て奴は後ずさった。

刃を握り直してこちらの様子を見ている。



下1~2 自由記述+ダイスロール (ミリスの攻撃判定は下2)

(対応がよければ結果にボーナスを入れます。良ければ考えて下さい。)


【このレスの2桁で、???の攻撃判定】 (追撃の使用を宣言します)


(???のダイスは「4と4」 4-5=0点、4-5=0点) 特殊技能「追撃」発動!

(ミリスのダイスは「6」 6-5+2=3点 ……合計7点)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


あまり得意ではないが、私は奴を挑発した。


「どうした。かかって来ないのか?」

「余裕で居られるのも今の内だけだぞ」

「……」ニッ (単純な相手だ)

「調子に乗るな!」

「ッセイ!」


飛び掛かって来た相手に痛烈な一撃を見舞おうとしたが――



「!」サッ

――脇を掠めるのみとなり、目論見は失敗に終わる。


「くっ、その武器は危険だな……」


原因は奴の警戒が強かった事。

奴はこちらの手元を注視して警戒をさらに強めたようだ。



(奴は突進するのを躊躇っているのか振るう刃に勢いが無い)

(それはつまり……)

(私の手にある突剣が怖いのだろう。そうに違いない)


ミリスは相手の動きをそう結論付け、心の中でほくそ笑んだ。

『この男は死を恐れる臆病者だ! 私の敵では無い!』


「……」ニィッ

「ハーッ……ハーッ」


目の前の男はにやけながら黙っている。

傷は相手の方が深い筈なのに、まるでこちらが押されているかのようだった。

妙な威圧感を放つ男に俺は恐怖した。


……それはある意味当然だったのかもしれない。

相手は人を焼き殺すような悪魔なのだから。


【現在値】

???
―23/38 闘力 〔30→23〕
―08/16 TP
――――――――――――――――――
ミリス
―29/42 闘力 〔42→29〕
―33/33 TP
――――――――――――――――――


「……悪魔が!」ギリィ

「悪? 悪はお前だ。お前は世を乱す悪だ」

「何を馬鹿な事を! 冗談じゃねぇ!」


布で隠れた隙間から奴の顔が見えた。

『汗だ。小粒の汗が流れている』

私は奴の心に焦りが生じているのだと判断した。



下1~2 自由記述+ダイスロール (ミリスの攻撃判定は下2)

(対応がよければ結果にボーナスを入れます。良ければ考えて下さい。)


【このレスの2桁で、???の攻撃判定】 (追撃の使用を宣言します)


(???のダイスは「5と4」 5-5=0点、4-5=0点 ……合計3点) 特殊技能「追撃」発動!

(ミリスのダイスは「4」 4-5+1=0点 ……合計4点)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


私はもう1度奴を挑発した。


「怖いのか? 私を殺したいと思っているのだろう」

「そんな見え透いた挑発に乗るか!」

「……」 (二度も同じ手にかかるとは思えなかったし当然か)

「なら、こちら行くぞ!」


互いの武器がかち合う音が響く。

牽制を掻い潜って一撃を与える程の隙も生まれない。


……恐らく奴は防御や回避の方が上手いのだろう。

軽装備でいるのも、そういった理由があるからなのかもしれない。


【現在値】

???
―19/38 闘力 〔23→19〕
―08/16 TP
――――――――――――――――――
ミリス
―26/42 闘力 〔29→26〕
―33/33 TP
――――――――――――――――――


こちらが詰め寄れば、相手は短剣をもって接近を許さず。

相手が飛び込もうとすれば、こちらも無理なく去なす。

まさに一進一退の攻防だった。


「ハァッ……ハァッ……!」

「フフッ」 (生きのいい相手だ。抵抗に必死さを感じる……)

「気味の悪い面しやがってよぉ……此処を焼き払った時もそんな顔だったのか! あぁ!?」

「悪意ある全ての者は平等に滅ぶべきだ」

「っの野郎……!」



相手は君の発言に激昂している。

隙が少しでもあれば、飛び掛かられて喉元へ短剣を突き立てられかねない。

……しかしそんな状況にはならないだろう。

戦士としての君がそのような愚行を晒す事など、あるべくもないからだ。


(相手は逃走を図ろうともしない……)

(普通なら命の危険を感じて、逃げようとした所で首か背中を刺す所だというに)

(……フフッ。粘り強く闘うというなら、それはそれで良い)

(苦痛で顔が歪む瞬間が、より楽しみになるだけだ……)



下1~2 自由記述+ダイスロール (ミリスの攻撃判定は下2)

(戦闘の放棄を選択すると、状況によってキャラが永久退場する場合があります)


【このレスの2桁で、???の攻撃判定】 (追撃の使用を宣言します)


無慈悲な戦術は殺傷力が増します……が。今日はここまで。

次回の更新は 01/08 2000~ を予定しています。


(???のダイスは「9と5」 9-5=4点、5-5=0点 ……合計10点) 特殊技能「追撃」発動!

(ミリスのダイスは「10」 10-5+?=5点+α)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「……」ギリッ (襲撃してから大分時間が経った……早くケリを付けねぇと不味い)

「ウォォオ”!!」


フードの男は雄叫びを上げて吶喊してきた。

さっきまでのぬるい攻撃とは段違いの圧力だ。

それは何かしらの覚悟を決めているようにも感じられた。



「貴様の刃。甘んじて受けよう」

「なッ! 何ィ!?」

「ゥグッ!」


短剣が身体にズブリと食い込んだ。

激痛に意識が一瞬遠のきかける。

だが私は歯を食いしばってそれを耐えた。



奴の動きが一瞬止まった。

私は手を伸ばし、奴の腕を掴み込んだ。


「……捕まえた」

「な、何しやがる! 放しやがれ!」

「何をされようと逃がしはしない……」


私は暴れる奴の腕に向かって――


下1 ダイスロール (2D10で追加ダメージ判定)


(9-5=4 ……8点)


――ヒュッ……ザクッ。


「あ”あ”ぁ”ぁ”ぁぁぁ!」

「これで短剣は持てまい」グリグリ

「い”ッあぁぁあ”ッ!」


刺した箇所を先端で抉る様に広げる。

目の前の男は周囲に良く響く声で喚いている。

腕から流れる赤黒い液体が地面を汚す。

……とても無様な姿だ。


【現在値】

???
―06/38 闘力 〔19→06〕
―04/16 TP
――――――――――――――――――
ミリス
―15/42 闘力 〔26→16→15〕
―33/33 TP
――――――――――――――――――



「ハァッ……ハァッ」

「意識が飛ばないのはさぞ辛いだろう。すぐ楽にしてやる」

「! …ッめろ……やめろぉ!」ブン

「……」ガスッ


開いている腕で殴り飛ばそうとするフードの男。

鈍い痛みが身体に走る。

しかし私は微動だにせず次の狙いを定めた。


狙うのは――


―【選択表】―――――――

①―足の健
②―もう片方の腕
③―首
④―自由記述

――――――――――――
下2 選択肢


(③=武器の値×3のダメージ=12点)


――ドスッ。

首に刺した突剣が血で濡れて行く。


「…ッ!」

「安心すると良い。苦しいのは今だけだ」ズッ

「……」ダラン


剣を静かに抜くと、男の身体から力が抜けていくのが解った。

顔は青ざめ、目は虚ろに。

死が近づいていくのを客観視して、私の気は昂った。



「逝ったか」

「………」ヒクッ…ヒクヒク

「命乞いをするかと思ったが、そんな事も無かったな」


襲撃者たる男は地面に倒れ、痙攣を起こしている。

時の運が悪ければ、こうなっていたのは自分だ。

私は感謝の言葉を口にした。



「御身は全てを包む温かき存在」

「我が身を護る陽の光」

「……神よ。深く感謝いたします」


物言わぬ屍となった男を背に、ミリスは天を仰ぎ見た。

太陽は何も答えず大地を照らし続ける……。


【目的】

○―”ミリスの闘力が「0点」を下回らない”
○―”祈りを使わない”
○―”???の闘力を「-3点」より下にする”


【成長判定】―――――――――――――――――――――

00~20 … 1点+ (特殊技能「特攻」)
21~40 … 2点
41~60 … 3点+ (特殊技能「聖戦」)
61~80 … 1点+ (特殊技能「特攻」)
81~99 … 2点

――――――――――――――――――――――――――

■ミリスの成長判定

下1闘力
下2TP


【ミトラ教信者 ミリス】 男

―15/45 闘力↑ 〔42→45〕
―04/10 GP↑
―04/35 TP↑   〔33→35〕

【特殊技能】

「祈り」、「征伐」、「聖戦」(要:闘力半分)
――――――――――――――――――

※「聖戦」(せいせん)

・主君に仇なす敵を排除する。
・互いの判定が終った後、防ぐ事の難しい追加攻撃を倒れるまで行う。
・消費TPは「最大値の90%」



領主と別れた後、俺はやたらデカい男と周辺を廻っていた――


――『あ”あ”ぁ”ぁ”ぁぁぁ!』

――――『い”ッあぁぁあ”ッ!』


「…む?」

「な、なんです!?」

「騒ぎのようd……ですね」

「行ってみましょう!」


―――――
――



―――


悲鳴がした場所へ駆けつけると――

幸せそうな顔で天を仰ぐ、血塗れのミリスさんが居たのです。

ほっとした喜びも束の間、違和感を覚えた僕は辺りの光景を見て青ざめました。


……何という事でしょう。

男の死体がミリスさんの足元に転がっているのです。



胃液が込み上げて来たので、僕は思わず手を口に当てました。


「#$"……!」

「惨い。何があったのか……」

「ッハ-……ッハー」


吐き気が収まって来たので、もう一度前を向くと――

『とても辛そうですね。どうかしましたか?』

――と、血塗れのミリスさんが僕の目前で微笑んでいたのです。



「け、怪我……」サー

「……大丈夫なのk…ですか?」

「?」

「身体に刺さったその短剣ですよ! 痛くないんですか!?」

「そ、それに出血だってある! ……は、早く手当しないと!!」

「これは私にとって勲章」

「でも!」

「危険かどうかは……こうして話せているのが何よりの証拠」


……埒があかない。

僕はミリスさんに無理を言って、応急処置をさせてもらう事にした。


下1~2 アルベルトの応急処置 〔2D10/4で判定〕


ミリスは応急手当で4点回復。そして今日はここまで。

次回の更新は 01/09 2000~ を予定しています。


【現在値】

ミリス

―19/45 闘力 〔15→19〕
―04/10 GP
―08/35 TP   〔04→08〕
――――――――――――――――


「取り敢えず止血は出来ました」

「ふむ?」グルグル

「これで多少はマシになると思います」

「私は別にあのままでも……」

「駄目です。誰がどう見ても大丈夫には見えませんから」

「……」


傷の手当が終った所で、彼に質問を幾つか投げかけた。



「何が起きたんです?」

「フードを被った男に襲われましてね」

「………」チラッ


「……」


目を奥に向けると血だまりが出来ていた。

夥しい血が首の辺りから吹き出たのだろうと想像して頭を振った。



「どうして襲われた……んですか」

「私の方も何が何やらさっぱりだ」

「悪魔だなんだと罵られはしましたが」

「そうですか……」


彼の話を聞いてもいまいち全容が見えない。



「後で領主様に報告す……しましょう」

「………」ジッ

「なんでこっちを見る……んですか」

「いやなに、自分の心を偽っているように見えたのでな」

「ひ、ひとまず皆の所へ戻りましょう! また襲われるかもしれませんし!」

「「………」」ジロッ

「主の元へ戻るとしよう」

「ホッ」


なんだか話しがこじれそうだったので、僕はこの場から離れる事を提案しました。

2人から睨まれた瞬間、生きた心地が正直しなかったのですが……。

同意を得られた事により、僕はそっと胸を撫でおろしました。


―――



――
――――


「……という訳です」

「そうか」

「申し訳ありません。未熟さ故に傷を負う事に……」

「ミリスが命を落とさなくて本当に良かった。だから謝らなくていい」

「痛み入ります」

「それにアルベルトもありがとう」

「あっ……はい!」


集落へ戻って来た一行は、各人が得た情報の共有を図る。


ミリスは襲撃者との戦闘、アルベルトとゴランはその後の一部始終を。

一番最初に戻って来たルチアは全然収穫は無かったと言っていた。



ミリスの衣服は血で滲んでいる。

それを見たことで僕は決心した。


「負傷者も居る。今日の所はココで切り上げておこう」

「主よ。私はまだ戦えます」

「それで死んだら元も子も無いだろう?」

「……」

「さあ帰ろう。日が沈みそうになってから帰るのでは遅いからな」

「かしこまりました。さぁ皆さま、領地へどうぞ。さぁさぁ」


ルチアは待ってましたと言わんばかりに声を上げた。

普段の調子ならミリスにもそのまま毒を吐きかねない。

……恐らく自重していたのだろう。珍しい事だ。



僕達が領地へと帰る中、ルチアは1人だけその場から動こうとしなかった。


「どうかなさいましたか?」

「いや……」

「領主様も屋敷へそのままお帰り下さい」


変だ。

どこがとは言えないが、ルチアの態度が変だ。

僕はルチアに――


―【選択表】―――――――――――

①―何も言わない
②―手を引っ張って帰る
③―今日の夕食は何だ?と聞く
④―自由記述

――――――――――――――――
下2 選択肢



彼女に聞いてみる事にした。


「何かやるべきことがあるのか?」

「いえ? ありませんよ」

「ミリスの件と関係があるなら……」

「関係は無いのでお気になさらず」

「……話してくれないのか」


立場は間違いなくこちらが上なのに全く譲る気配が無い。

ルチアは君の質問をのらりくらりと躱し続けた。



「領主様は私の事をよく見ているようですが、勘違いをなされてはいませんか」

「勘違い?」

「長時間外に居るのですから、我慢の出来ない事が1つや2つ……」モジモジ

「!?」

「あ、あーうん済まない。悪かった」

「ご理解頂けたなら結構です」


ほんの少し頬を染めてルチアは答えた。

別に質問をするべき事でも無かったのかもしれない。

『用事が済んだら早く帰って来るように』 とだけ言い残し、僕はその場を離れた。



何か聞かれるとは思っていなかったので少々驚きました。

ともあれ、領主様の追及を上手くやり過ごせたようです。


「……行きましたね」

「では始めましょうか」スタスタ


全員の背が見えなくなってから、私は反対方向へと歩きだしました。


――――



(彼等が遭遇したのはここですか。……汚い血を随分とぶちまけたようで)

(放置されたコレの性別は男。近くに落ちている武器は……随分切れ味の良い短剣だこと)

(ただの賊が使うには勿体ない代物ですね。貰っておきましょうか)


死体を漁ってみると色々出て来た。

極々少量の携帯食料、粗末な鍵開け道具。

石に紐を括りつけた何か、皮で出来た水袋。



私は付着した血を、死体が着ている服の汚れていない箇所で拭いました。

それから水袋の中が問題無さそうな事を確認してから、手を濯ぎ落としていきます。


(乾いて落ちない部分がありますね)

(後で念入りに洗っておかないと……)

(………)

(それにしてもまぁ、死に顔が酷い)

(フフッ。貴方のような人間にはお似合いだと思います)

(用は済みました。帰りましょう)


全てを終らせた私は溜息を吐いて――



――死体に火を放ちました。


小さかった火が、徐々に徐々に広がり、メラメラと燃える。

肉と脂が焦げる臭いを嗅いでから、彼女はその場を去った。



―――――
――



【中間報告】


「報告するで」

「はい。どうぞ」

「先ずは目安箱に入っとったヤツや」

「『最近領地の中で見かけない人が増えている気がします。一体どこの方でしょうか?』」

「『我々は報復を行う。これで終ったと思うな』 ……っつー内容」

「ふむ」

「それともう1つ――」



「なんで俺が旦那の従者やってん!?」


「同意の上です」

「そらそうやな。拒否権が無い事を除けば」

「貴方がやった事が原因ですからね。因果応報……です」

「うわっ出た……」

「うわとは何ですか、うわとは」

「何かあったのか? ルチア」

「いえ、彼がちゃんと仕事をやっているか見物に……」

「トコトン嫌な奴やな! お前!」

「人の嫌がる事を進んでやる性質なので」

「一般人のそれと意味が全然違うように聞こえるな!?」

「……報告は以上ですか?」

「あっ、せやな……うん。終り」

「下がってどうぞ」

「……」

「お邪魔しましたー」ペッコリン


いい加減な角度でお辞儀をしてから、ウルリッヒは部屋を出て行く。

報告の仕方は……まあ誰かが指摘するだろう。



【自由行動】


君達は余暇を利用して何かしらの行動を起せる。

知らない人間はどうしようもないが、知っている人間ならばどうとでも出来る。

貴族の家を訪ねる事や、領地で催し事なんかも出来るだろう。

しかし、現在君のやる気は真冬の外気温並に低い。

それを念頭に入れておいてくれ。


……どんな行動を起こすのか聞かせてくれ。


下2~4 自由記述+結果判定 〔2D10で高いの採用。偶数ゾロや数値が高い程良い〕

(主人公以外の行動指定もやろうと思えば出来ます。……ご利用は計画的に)


安価投げて今日はここまで。

次回の更新は 01/10 2100~ を予定しています。

目安箱に怪文書入れてる奴なんとか見張れないか
直接じゃなく人を使ってるかもしっれんが


>>726 (9+10=19)


「……」

「なんでこんな簡単なこと思い付かなかったんだろう」

「ど、どうかなさいましたか?」

「ディアナ。ドミニクを呼んできてくれ」

「はい…?」


近くに居たディアナにドミニクを呼ばせると、僕は椅子に腰かけて到着を待った。


―――



――タッタッタッ。


「お待たせして申し訳ございません」

「いや、構わない」

「……ご用件はいったい?」

「目安箱に入っていた文書に、妙な物が混じっていただろう」

「はい」

「入れた人間が誰なのか探ってほしい」

「要員はこちらの方で……」

「構わない。よろしく頼む」

「ははっ」


ドミニクは何も言わず了承した。

『下がってくれ』。

僕がそう言うと、彼は一礼して部屋から退室して行った。



そうして何日か経った頃――


――ダッダッ、ダッダッ、バァンッ。


「執務中申し訳ございません領主様」

「一体どうした? 騒々しいが」

「例の件で報告があったので連れてまいりました」

「見つかったのか!?」

「はい、昨日の晩に一人で居た所を……『入れてくれ!』……ははっ」

「入りなさい!」


ドミニクが声をかけると、ゴランに腕を拘束された背の低い女が入って来た。



「はーなーせー!」ガッタガッタ

「暴れんn……暴れないで下さい!」

「こ、子供?」

「そのようです」


目の前で声を荒げていたのは、どう見ても成人してはいない少女だった。

僕は困惑しながらも、彼女に幾つか質問を投げかけた。



「年は幾つ?」

「私を子供扱いするな!」

「親は?」

「いない!」

「君の出身は?」

「いーだ。教えてやるもんか!」ベロベロ

「……」ニコニコ


―【選択表】―――――――――――――――

①―生意気な子供に拳骨をプレゼント
②―屋敷の外へ放り出す
③―苦笑いを浮かべているドミニクを見る
④―四苦八苦しているゴランを見る
⑤―自由記述

――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



ドミニクの方へ顔を向けると――

『ハハハ……』

どうしたものかと苦笑いを浮かべていた。



「……如何なさいます?」

「何かするのはもう少し聞いてみてからでも良いだろう」

「かしこまりました」


ドミニクは頷き、君の傍で沈黙した。



「性別は?」

「お前はバカなのか! ジョセイだぞ!見て解らないのか!?」

「はっはっは。これは失礼しました」

「ふん!」フンス

「起伏に乏しい身体なので、少年とばかり……」

「な、なんだと~!?」


少女は信じられないといった表情でこちらを見ている。

指摘した事を気にしていたのか顔も赤い。



「……」プルプル

「おやおや、さっきまでの威勢はどうしました?」

「お」

「お?」

「お前なんかこうだっ!」ブン

「ふぐぅ!?」バキィ

「りょ、領主様!?」


あろうことか少女が殴り掛かって来た。

ゴランの拘束は意外と緩かったらしい。

子供の腕力とはいえ、鼻っ柱に命中したのでかなり痛い。



「こら! 大人しくしt……しなさい!」

「やーめろ! はなせー!」ブンブンブン

「落ち着きやg……落ち着け!」

「お、おぉぉぉ……」

「大丈夫ですか、領主様?」

「も、問題ない。骨は折れてない筈だ……」

「へへーんだ!」ニヤリ

「………」

「ふ、ふふふ」プルプル


―【選択表】―――――――――――――――

①―生意気な子供に拳骨をプレゼント
②―屋敷の外に放り出す
③―窓を向いて深呼吸する
④―ドミニクを見て頷く
⑤―四苦八苦しているゴランを見る
⑥―自由記述

――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



「……」プルプル

「私を怒るのか?」

「……ふぅ。質問を変えようか」

「怒らないのか! お前大人だな!」

「何が欲しい? 食べ物? お金? ……あれば言ってごらん」

「全部だ!」

「……」チラッ


ドミニクへ目を向けると、君が何かを言う前に首を横に振った。

……まだ何も言ってないじゃないか。



「……どれか1つなら叶えてあげても良い」

「全部ったら全部!」バタバタ

「あっ!こら大人しくしろ!」

「聞き分けの無い子だなぁ」


子供の扱い方は難しい。

流石の僕もこれにはお手上げだ。



『ちょっと脅してみよう』

そう思った僕は少女の目線に合わせて喋りかけた。


「ははは、あまり調子に乗るなよ」

「えっ」

「優しくすれば話すかと思っていたけど……」

「……」

「こちらは暴力に訴えても良いんだぞ?」

「や、やだやだ! 乱暴しないで!!」


案の定というべきか。

少女は顔色を変えて喚き始めた。



「……というのは冗談だ。暴力は振るわないよ」

「ふぇ?」

「でもね、こちらがそんな事をしない為に君は協力してくれるよね?」

「う、うぅ……わかった」


最初の態度は何処へやら。

少女は身体を小さく震わせ、君に同意した。


『なんだか自分が悪い事を行っているみたいだ』

……君はそんな罪悪感を少し覚えた。



「さて、最初の質問に戻ろうか。年は幾つ?」

「10と5月……」

「子供で間違いないんだな」

「わ、私を子供扱いする……」

「ん?」ニコニコ

「な……んでもないです」

「よしよし。素直な子は好きだよ」


「親は?」

「気付いたらもう居なかった」

「君の出身は?」

「……ずっと東の方」

「そうか」



「近くで何をしていたんだい?」

「紙をあの箱に……」

「うんうん。誰の頼みで?」

「えっと……お金持ちのひと」

「それは誰?」

「し、知らない」

「……本当に?」

「知らないったら知らない!」

「困ったなぁ」ポリポリ


少女は声を荒げて追及を逃れようとする。

だが、それを気にせず僕は次の質問を投げかけた。



「どうして言えないの?」

「だって知らないもん」

「うーん。その人は老けてた?」

「……知らない」

「頼んだ人の特徴を言うと、嫌な事でもされるのかい?」

「……」カタカタ

「素直に言ってくれるなら、君の安全を保証する」

「……それ、ホント?」

「ああ。約束しよう」

「うん、解った。じゃあ喋る……」



「……わるい事してる人」

「山賊かな?」

「【たくさん居た】からわかんない……」

「そっか、怖かったろうね」

「……うん」

「ちなみに何処の人かな?」

「たぶん、住んでた所より南」

「その人達はどんな人相……顔だった?」

「顔は隠れてた、見せてくれもしなかった」

「ふむ」


情報を纏めると――

大勢で少女を脅した者がいる。

そして少女の故郷から南にそいつらの根城がある。

……かもしれないようだ。



―【選択表】―――――――――――――――

①―温かい食事と寝床を与える (終了)
②―用が済んだので外に放り出す (終了)
③―何故か開いている入口の隙間を見る
④―質問をまだする (何を聞くか併記)
⑤―自由記述

――――――――――――――――――――
↓2~3 選択肢 (2D10で高い方採用)

安価投げて今日はここまで。

次回の更新は 01/11 2100~ を予定しています。

今日の更新は中止。 01/13 に再開予定



何故か入口が開いていた。

その隙間には――


「……」ジーッ


ルチアの顔が暗く浮かんでいた。

異様な空気を感じた君は、穏やかな気持ちではいられなくなる。


「……」 (なぜそんな表情で見てるんだ……)

「領主様、いかがなさいましたか?」

「い、いや……なんでもない。それよりもルチアとミリスを呼んで来てくれないか」

「はっ。かしこまりま『その必要はありません』」スタスタ


ドミニクに呼ばせようとした所をルチアが遮る。

彼女は何の違和感を感じさせない登場の仕方だった。


まるで今しがたまで部屋を覗いていたとは思わせないような……。



「…おや? とてもタイミングの良い」

「手間が省けて良かったですね。ドミニク」

「ハハハ、しかしもう1人居ますので……」

「そうですか。ではさっさと行って下さい」

「やれやれ……貴女は相変わらず辛辣ですね。ルチア」


ドミニクはルチアにそう言い残し、部屋を退室して行った。

後に残されたのは、僕とゴランと素性の知れぬ少女とルチアの4人。

なんとも言えない空気がこの場に漂っていた。



「領主様。そちらの子供はどうされるつもりで?」

「保護しようと思っている」

「!」パァッ

「……」


少女の顔が花を咲かせたように明るくなった。

それは絶望の中から希望を見つけた者の表情とも言えた。


「面白くない冗談ですね」

「……は? いやいやいや! 僕は本気で……」

「誠意を持って対応しているならば、自分を騙す筈が無いとお思いなのでは?」

「なっ!」

「なんとも都合の良い考え方でございます」

「何だと!」

「これでは先代に顔向けが出来ませんね」

「ふざけん……は?」

「フゥ……まだお解りではないようで」

「端的に言いましょう。領主様は騙されているのです、そこに居る女子供に」

「……」

「え?」 (子供? 子供ってこの小さい子が? そんな馬鹿な……)


ルチアは獲物を見つけた肉食動物のように目を鋭くして少女を睨んだ。

誰が向けられても委縮しそうなモノだったのだが、少女に怯える様子は見えない。



「見た目で油断をしたのでしょうね。私には疑う材料にしかなりませんでしたが」

「……」

「何を言っている、ルチア……この子が僕を騙していると言うのか」

「はい。それも領主様に明確な悪意を持って」

「……理由を言ってみろ」

「解りました」

「まず、子供であれば情報が上手く聞き出せなくても仕方ないと思われる点」

「次、脅されてやっていると言って領主様の同情を引こうとしている点」

「そして最後、これが一番重要で……【肝心な所はぼかして喋っている】点です」

「……」 (ルチア……)

「それでも、現段階では推測に過ぎないだろう?」

「生きる為なら子供であろうと人を騙します。食うに困れば大の男が盗みを働くように」

「善悪の判断が曖昧であれば、時に大人よりも残酷でしょう」

「……意地でも引かないか」

「はい」


表情を変えず淡々と口にするルチア。

僕はそれを渋い顔をしながら考えた。


……このままだとルチアはとんでもない事を言う。絶対に。

見せしめに×を刎ねましょうとか、外で磔にしておきましょうとか……そんな事を。



「領主様。言いたい事があれば今のうち」

「……」

「そこで突っ立っている人間の話を聞くのも悪くは無いでしょう」

「……」 (こっちに振るなよ……絶対振るなよ……)

「役に立つかは解りませんが」


横を見ると目線を逸らしているゴランが居た。

ルチアはそれを一瞥して鼻で笑い、僕の返答がどんなものか待っている。


……出来るだけ慎重に答えよう。



―【選択表】―――――――――――――――――――――――

①―「そんなの知るか、僕はこの子を保護するとそう決めた」
②―「あぁ、うん……もういいや。ルチアの好きにしてくれ」 【!】
③―「ならばどうする、ここでこの子を……」 「はい」チャキ
④―「なあゴラン。君はどう思う?」
⑤―「ねえ君。嘘を言ってたりするかな? 言ってないよね?」
⑥―自由記述

【!】やる気が足りないので選択肢に追加
――――――――――――――――――――――――――――
↓1~2 選択肢 (2D10で高い方採用)



(難しいな。どちらにもあまり肩入れし過ぎないようにしたいが)

(……疲れているのか、どうにも考えが纏まらない)


君は自分の思考が鈍っている感覚を覚えた。

無理もない。ここ最近は命の危険を感じる状況にも遭遇しているからだ。


(領主の責任がここまで重いなんて……)

(……これは死刑宣告そのものだ。この子を生かすも殺すも僕次第)

(父さんならこんな状況を、どうやって切り抜けただろうか……)


そうした長い沈黙の後、君は伏せていた顔を上げる。



「ご決断頂けましたか」

「ああ」

「眼光に怯えなかった時点で違和感があった」

「!」

「……ルチアの言う通り、私は騙されていたようだ」

「君は相当場慣れしているね? これは見た目通りの年齢なのかすらも怪しくなってきたな……」

「……」


少女は目を見開いたかと思えば、何か言いたげに口を動かそうとしている。

だが音にはならない。出来ないと言い換えた方が良いかもしれない。



「恐らく君も野盗の一派か」

「復讐の為に被害者を騙り、懐に潜り込んでから私を暗殺するのが狙いと踏んだ」

「……」プルプル

「君の言うことには一つ矛盾がある」

「【たくさんの人に脅された】。そう言っていたね?」

「推測が正しいなら、もうあの周辺に人は殆どいない」

「……」

「私が焼き払えと命じたからだ」

「やっぱりそうなんだ……」


少女は虚ろな目でそう呟いた。

だが目線は真っ直ぐこちらに向けられている。


……油断ならない。君はそう感じた。



「君をどうするかについて今から話そう」

「なにをするの……」

「口封じさ」

「っ」キッ


少女がこちらを睨め付けて来た。

抵抗にしては見た目相応の可愛らしいものだった。



「……が、君の対応次第では生かす事も検討しよう」

「生きたいならば、本当の敵が誰であるかを考える事だ」

「……」 (飴と鞭か、領主も人が悪いな……)

「それでゴラン。どう思う?」

「……」

「どうした? 君へ質問をしているんだが」

「……」キョロキョロ (えっ、俺?)

「はっ!? なな、なんでしょうか!」

「元奴隷であった君の意見を聞きたい。どんな対応が望ましいと思う?」

「そ、それは……」


俺は困惑した。

領主がこのタイミングでこちらに振る訳が無いと高を括っていたからだ。

『自分に害為す相手をどうするかなんて、決まり切っているというのに』

そんな事を思いながら、おずおずと領主へ物申した。



―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――

①―「どうせ捨てる命なら私にその子を頂けないでしょうか」
②―「……まだ来ていない人間の話を聞いてからでも遅くないかと」
③―「未遂ですから出来るだけ温情を……」 (化けて出てきたら嫌だ……)
④―「え、あっはい。いい案だと思います」 (態々こっちに振るなよ……)
⑤―「自分から領主様に申し上げる事はありません」 (本音だしな)
⑥―自由記述

―――――――――――――――――――――――――――――――――
↓2~3 選択肢 (2D10で高い方を採用)

安価投げて今日はここまで



ここで状況を確定させるのもよろしくない……。

少し考えてから俺は口を開いた。


「……まだ来ていない人間の話を聞いてからでも遅くないかと」

「そうか。解った」

「無難な返答ですね」

「……」 (余計な事を言ってくれる……)

「ならば、ミリスの到着を待つとしよう」


ゴランの意見を聞き入れ、一旦話を保留する事にした。

……ドミニクが遠くまで行っていない事を願おう。



彼等が話し合っている時、別の場所では――


「……来て頂けますね?」

「主の命と言うのならば、私が拒否するなどあろう筈も無い」

「では、急ぎ書斎まで」

「承知した」

「……」 (この方もかなり癖がありますね……まあ、私が言えた事ではありませんが)


あの場にルチアが居合わせたのは、良くない事が起きる前触れだと私は直感した。

領主様は彼女の意見を否定しようとしない。それは特段彼女に限った事ではないのだが……。


……早く、出来るだけ早く、領主様の元へ戻りたい。



「まだ、戻ってこないようですね」

「そのようだな」

「暇を持て余しますね」

「…そうだな」

「退屈だなー」チラチラ

「……」 (寒気がしてきた、早く終わr、終わってくれ……)

「領主様はそう思ったりしませんか」

「ルチア、一体何をやろうと言うんだ」

「まだ何も言ってませんよ?」

「そうか」


……ルチアがなんかおかしい。

変なのは解るが、何処に違和感を感じているのか自分でも判別出来ない。


彼女は何時もと比べて、比較的楽しそうな顔で喋っている。

僕に話しかけながら、少女の方へとしきりに視線を向けているのはどういった意味か。




「救いの目は見えず」

「余命幾何も無し」

「……」

「貴女にとってこの空気は嘸かし辛いことでしょうねぇ……」

「……」キッ

「悪戯に恐怖を煽るのは止めておけ。聞ける話も聞けなくなる」

「失礼致しました。ですが、フッ……ククッ」

「……」 (無害そうな奴の近くにこんな奴が居るとは……誰も予想しないだろうな)


含み笑いを必死に堪えているルチア。何か言いたげな顔をしているゴラン。

この子供からすれば、己以外が悪人と見えるに違いない。


情けをかけて良い者と、かけてはならない者が居る。

そんな人間が領地に現れれば即座に対応しなければならない。

父はその対応が早かったからこそ、領地が平穏で保たれていたのだろう。


……僕はその事にようやく気付いた。



……ドミニクが帰って来るまでもう少し。

領主である貴方は、意地の悪い従者を窘めてあげて下さい。


――なお、【対応を失敗する毎】に子供から聞ける情報が減ります。



「領主様」

「…なんだ?」

「どうせ1人増えようが変わらないのです。もう決めませんか」

「……」


―【選択表】―――――――――――――――――――

①―「性急すぎるぞ。もう少し待て」
②―「そう、だな……そうするか」
③―「……」 (無視)

あたり、はずれ、どちらでもないの内訳(1-1-1)
――――――――――――――――――――――――
↓1 選択肢



俯いて思考していた僕はゆっくりと顔を上げる。

そして少女の方へと目線を逸らした。


「領主様?」

「……」 (ルチアに構うと碌な事にならなさそうだ。無視しよう)

「領主様。なぜ答えてくれないのですか」

「……」

「そういった態度に出るなら私だって……」


ルチアは何か含みのある言葉を呟き、それから沈黙した。



「……」 「…」 「………」 「……」


この場に4人も居るのに空気が重い。

……何と言うべきか。

いや、何も言わない方が良いのは解っているのだが。



「領主様。領主様」

「……」 (無視、無視っと……)

「これは別に答えて頂かなくても結構なのですが」

「私や他の方を【どう思って】いますか?」

「………」 (曖昧な聞き方だけど、下手に答えると不味い内容だな……)

「どう思っていますか?」


ルチアが聞いてきたのは周囲に対する感情だった。

近くなら従者と領民。遠くなら他の領主と北東の村民。

自分はそれらに対してどんな感情を抱いているだろうか?



―【選択表】―――――――――――――――――――

①―好意的な返答
②―否定的な返答
③―2人の表情を窺ってから好意的な返答をする
④―さらに無視する

※1-1-2 あたり、はずれ、どちらでもない
――――――――――――――――――――――――
↓1 選択肢



「皆領地を良くしてくれている。頼もしい存在だ」

「……左様でございますか」

「ああ。その中にはルチアも入ってるぞ」

「身の回りの細かい世話までしてくれているからな」

「当然です」

「随分あっさり言うな……」


ルチアの顔を見るに、悪い印象を与えているとは思えない。

そこそこ良い返答だったのではないだろうか。


……そっと目線をずらすと、ゴランと目が合った。

満更でもない表情を浮かべていたのが印象深い。



意図が不明なルチアの質問をかわし続けて約20分。


――コンコンコンコン。


扉を叩く音が不意に聞こえて来た。

たぶんドミニク達か。



「……失礼します」

「大変お待たせ致しました」

「主よ。申し訳ありません」

「構わない。それほど時間もかかってないからな」

「ありがたきお言葉」


ミリスは恭しく頭を垂れた。

所作の端々から敬意が滲み出ている。

……なぜこうまでされるのか未だに解らないが。



「……して、私がここに来た理由は目の前に?」

「そう捉えてくれ」

「少女に見えますが」

「本人が子供だと言っていたからな」

「真偽はどうやら」

「少なくとも見た目は子供だろう?」

「……」

「そう、それだけは間違いありません」


僕と話しながらも、その間ミリスはじっと少女を観察していた。

瞬きをしていないように見えるが……。



「私は今から貴様に質問をする。全てイエスかノーで答えろ」

「……」

「もう少し辛抱してくれるかな? 後は彼の質問だけだから」

「……わかった」

「ミリスもあまり強い口調で言うのは止してくれ」

「それをお望みであるなら」


少女はあからさまに気が進まない様子だった。

声には出ていないが、不満そうな表情を隠そうともしていない。



「まず1つ」

「ハッキリと相手をどうかしてやりたいと思った事はあるか」

「…ある」

「では更に詳しく聞こう。悪意を持って動いた事は?」

「………」

「この場合における悪意とは、対象が不利益を被る事の総称だ」

「むずかしくてよくわかんない……」

「イエス、ノー」

「……たぶんある」

「相違ないようだな」


少女の返答を聞いて、ミリスは端的に言葉を発した。

彼が言った『相違ない』とは何を元にしているのか。



「2つ」

「貴様の生まれは北か西か」

「どっちもちがう」

「ならば南か」

「……うん」

「南東が炎上した事は知っているか」

「…?」

「本当に知らないならそのままが良い」


ミリスは僕達がした質問を再度問いただしている。

ある程度はドミニクから聞いた筈だとは思うのだが、何故また聞いているのか……。



「3つ」

「何故、触れる事が出来た?」

「ミリス何を言って……」

「……」


ミリスは喋るのを止め、こちらに視線を向ける。

『口出し無用』

彼の目は鋭くて、僕はそれ以上口にする事が出来なかった。



「慈悲と博愛の心に満ちた主と言えど、子供に後れを取る筈がない」

「違和感は無かったのですか。主よ」

「そういえば確かに……」


ゴランが居た。ルチアも(密かに)居た。ドミニクに至っては直ぐ傍に居た。

鼻っ柱を殴られた時、どうして誰も反応できなかった?

……ルチアの横柄な態度も、それに気づいていたからなのか。



「……」

「これでは答える事が出来ないか……」

「ならば、言い換えて聞きなおすとしよう」




「――貴様は、人を殺した経験があるのではないか」

「………」


長い沈黙。

少女の返答を待ち続けるだけで、どんどんと空気が重くなっていく。



「力の無い少女の振りをして、相手が侮っている所を刺す」

「たわいない作業でしょうね」

「ルチア」

「失礼しました」


それを破ったのはルチアだった。

口を突いて出てくる言葉がやけに具体的なのはどうしてか。



「もう一度問おう。貴様は――『ある、あるよ。両手で数えきれない位』」

「「!」」

「騙すには都合の良い身体だった。急所を刺すつもりでもあった」

「何もなければ解放されるとも思ってた」

「どうして? ねぇ、貴方は……貴方達はどうして解ったの?」


ミリスとルチアを見て、少女はけらけらと笑っていた。

子供の純粋な笑顔ではなく、悪意に満ちた顔で。



「嘘は嘘だ。巧妙に隠そうと、顔や口に浮き出ている」

「ふぅん」

「私も似たような事をやっていたので」

「へぇーそうなんだ」


ルチアとミリスはそれぞれが思っている事を口にしている。

二人の言葉に偽りは感じられない。



「はいはい、もう駄目みたいだから降参」

「ここの偉い人。嘘塗れの私をどうするの?」

「煮るなり焼くなり好きにしなさいよ」

「……」

「領主様。どういたしますか?」

「主よ。お任せ下さい」

「後は私に」

「……」 (どうするか……)


少女だった者は、この状況に観念したようだ。

投げやりな態度で君達を見ている。


これまでは踏ん切りがつかなかったが今は違う。

領地に危害を加えようとした人間をどうするか決めよう。

……君は子供の風貌をした女にどんな処分を下す?


―【選択表】―――――――――――――――――――――

①―なるべく穏便に済ませたいので何もしない
②―過激な意見が多かったルチアに任せる
③―中立的な意見だったドミニクに任せる
④―普段の言動がアレなミリスに任せる
⑤―目線を露骨に逸らしているゴランに任せる
⑥―自由記述

※2/5で……
――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



「そうだ、取引をしないか」

「取引?」

「そう。こちらに協力して貰えるなら望む物を」

「交渉に応じなかった場合は?」

「……」チラッ

「フフッ」


ルチアの方を見ると、彼女は含みのある笑みを返してきた。

これがどういう意味か察知できない人間は居ないだろう。

……そんな空気があった。



「じゃあ順に聞こう」

「……」

「腕に覚えは?」

「腕力はあまり……たぶん【貧弱なのっぽ】にも負けると思う」

「でもね【人間の急所】が判る。私にはそれで十分だった」

「鋭い刃物があって、そこに押し当てられれば……の話だけど」

「ふむ。次だ」

「使えそうな情報を持ってると自分に心当たりは?」

「…具体的に言うと?」

「君の雇い主や目的、この場所以外の事、後は……君の年齢とか?」

「……それ面白くないよ」


軽い冗談を言ってみたが反応は微妙だった。

それも当然か。相手からすれば命が懸かっているのだから。



「雇い主は言わない。言えないっていうのが正しいかも」

「言ったのが分かったら皆が危ないから」

「は?」

「目的、目的かぁ。自分の力を広く大きくする為?」

「どうして疑問形なのですか」

「いいじゃない別に」

「自分の立場が判っていないのでは?」

「そんな事ないわよ。ハァ」


彼女はルチアの言及に溜息を吐いている。

如何にも面倒くさいといった様子だ。



「……あぁ、思い出した」

「何か?」

「【私がもし消えたら、その3週間後に襲撃する】って言ってたの」

「それは誰が、いつ?」

「誰でもいいじゃない。恨みを買われるのなんて1つや2つじゃないでしょ?」

「……」

「だからさ、【首を刎ねるのだけは止めて】くれない?」

「嫌な交渉の仕方ですね……」

「いやぁ、それほどでも」

「…いえ、褒めてはいないのですが」


いい加減な返事をしている癖にやけにふてぶてしい。

そんな態度に対し、ドミニクは眉をひそめて呟いた。



「【もし私が貴女を此処に迎え入れると言ったら?】」

「……冗談でしょ? 貴方馬鹿?」

「これはどうとって頂いても結構」

「ふーん。あっそ」

「次にいこう。得意な技は何かあるかな?」

「【寝技】とか?」

「「……」」

「あーはいはい。【騙し討ちと盗み】が上手ってよく言われてましたー」

「……」

「主よ。私の目の前に滅する対象が……」

「待て」


ミリスが凄い勢いでこちらを見て来た。

彼女の見た目とは程遠い物ばかりで、自分も若干驚いてはいる。



「一応聞いておこうかな。君の年齢は?」

「本当に聞くんだ……【23】だよ」

「「えっ」」

「なんか文句ある?」

「いや、何も……ない」


ゴランは雷に受たれた様な表情を浮かべている。

ありえないとは確かに思う。思う……が。

現にそういった体型をしている者が目の前に居るのだから仕方ない。



「最後だ。君は何が欲しい?」

「自由」

「……」


今までの質問で一番早い。

彼女が望む自由とは、どういったモノを指すのか。



戦力としては殆ど役に立たず、手癖も悪い。

見た目は完全に少女で、ウルリッヒより酷い態度。

裏切る余地もあり信用はおけない。

しかし、彼女は被害者とも言えるかもしれない。

貧困に喘いだ結果、暴力に屈した為、そうしなければ生きられない者も居る。


領主として、1人の人間として……。

どんな見方で判断すれば後悔しなくて済むだろうか。

今の僕は、まだ正常な判断が出来ていると思いたい。


―【選択表】―――――――――――――――――――――

①―穏便に済ませたいので何もせず解放する
②―過激な意見が多かったルチアに任せる
③―中立的な意見だったドミニクに任せる
④―普段の言動がアレなミリスに任せる
⑤―目線を露骨に逸らしているゴランに任せる
⑥―ウルリッヒと同じように領地の人材として迎え入れる
⑦―ディアナと同じように領地の人材として迎え入れる
⑧―馬鹿な考えで動く者への見せしめとして公開処刑
⑨―来月に来る商売人に売りつける
⑩―自由記述
⑪―考える (1回のみ)

※3/9で……
――――――――――――――――――――――――――
↓2 選択肢



思考を加速させる。

流れる時間は遅くなり、周りがゆっくりと動いて見える。


(頭が重い、肩も重い、全身が鉛のようだ……)


(……①は単純に何もしない。みんなは納得しないだろうな)

(なぜか、それは【領主として信用が出来ない】対応だからだ)


(……②はルチアに全て任せる。優柔不断な僕にとって楽な選択だ……)

(【僕はルチアを信頼している】。あいつなら何も間違いはない)

(これ以上面倒な事になるならルチアに任せればいい)


(……③はドミニクに任せる事。これも僕にとって楽な選択だ……)

(【ドミニクはバランス感覚に長けている】。けして悪い結果は起きないだろう)

(人命をどうにかするという事は無い筈だけど、もしかしたらそうじゃないかもしれない)



(……④はミリスに処分させる事。ルチアと同じ位楽な選択だ……)

(話の際中に出て来た【言葉通り実行する】だろう)

(その結果は公になる訳も、する訳もなく……)


(……⑤はゴランに厄介事を押し付ける。知らん振りをしている奴が悪い)

(選んだ結果? そんなの決まってる。【あまり極端な事にはならない】さ)


(……⑥だけど、コレは現状のウルリッヒと似た状況になるだろう)

(個人の【能力に応じて自由を与えている】から……)


(……⑦か。⑦は僕がパトロンとして彼女を支援する事だ)

(今の【ディアナが屋敷でどう振舞っているか】を想像すれば良い……)

(最もそれは、彼女が常識的な部類に入るからという部分もある)


(……⑧ね。公開処刑は公開処刑だ。それ以上でも以下でもない)

(領地を良くする為に動くんだ。その行為を誰に非難される?)


(……⑨は来るべき日に備える。ちょうど来月辺り商売人が来るからな)

(思いつきにしては悪くないと思う。だって【塵を金と換えられるんだから】)


(……⑩はなんだコレ? こんなの僕は知らない)


―――



「……」

「領主様」

「すまない。考え事をしていた」

「お決まりですか?」

「ああ」

「主よ。どうか私に」

「面倒なら私に投げても良いんですよ」

「……」 (どうする……)


領地に危害を加えようとした人間をどうするか決めよう。

……君は子供の風貌をした女にどんな処分を下す?


―【選択表】―――――――――――――――――――――

①―穏便に済ませたいので何もせず解放する
②―過激な意見が多かったルチアに任せる
③―中立的な意見だったドミニクに任せる
④―普段の言動がアレなミリスに任せる
⑤―目線を露骨に逸らしているゴランに任せる
⑥―ウルリッヒと同じように領地の人材として迎え入れる
⑦―ディアナと同じように領地の人材として迎え入れる
⑧―馬鹿な考えで動く者への見せしめとして公開処刑
⑨―来月に来る商売人に売りつける
⑩―自由記述

※3/9で……
――――――――――――――――――――――――――
↓2~ 【2票先取で決定】



「幾つか聞きたい事がある」

「…なに?」


女は露骨に嫌そうな表情を浮かべる。

君はそれを意に介さず、続けてこう喋った。



「君が言う【自由】。それはどういうモノを指す?」

「答える必要があるの?」

「ああ」

「……。【金に困らない安全な生活】」

「………」 (安全……気になるな。食うに困ってもいるのか?)

「なに? ジロジロ見ないでよ」


無言で見つめているとそんな反応が返って来た。

恐らく彼女にとって居心地が悪いのだろう。



「…皆とは一体誰の事だ。野盗か?」

「言えない事を言えと言われてもねぇ」

「……」 (埒が明かないな……)

「何故、私を殺そうとした?」

「別に。捕まったからそうしようかと思っただけ」

「何も無ければあのまま帰るつもりだったし」

「フフッ。どうだか」

「なによ」

「いえ、どうかお気になさらず」

「「………」」


険悪な雰囲気が漂っている。

ルチアが口を挟むと何時もこうだ。



「こんな噂がある」

「……」

「権力に物を言わせて理不尽を強いる男の話だ」

「民の生活を荒して私腹を肥やす」

「その男に関わった人間は、例外なく彼の影響を受けるとか」

「誰よそれ」

「……『メッサーラ』という名に覚えは?」

「さぁ?」


「へー」 「…何も言うまい」 「この近辺に居てそれは珍しい」 「……」


「……」 (やけに返事が早いな。本当に知らないのか、それともとぼけているのか……)

「………」 (どちらにせよ疑わしい。【僕ではこれ以上判別がつかない】からな)


ふと思いついた質問を投げ続けた結果……。

ハッキリとしない返事が返って来るばかりだった。

これでは決断が鈍る。もうすっぱりと決めてしまいたい気分だ。



「ふぅ、よし解った。君の処分は――」

「……」

「【生命を奪わない、食事と寝床を与える、我々の作業に従事させる】」

「以上3点。これを【ドミニク】に一任する」

「はっ」

「不満がある者はこの場で異議を申し立ててくれ」


「ございません」 「……」 「チッ」 「申し上げる事は特に」


「……」 (何か聞こえたが……気のせいか?)

「気のせいでしょう。領主様」

「!?」


いまいち身の潔白が証明できない女を【ドミニクに任せることにした】。

彼に何かが起きた時は、自分の判断が悪かったと非難されるかもしれない。


――そうなったら、この領地も危ないだろうな。


僕はそれを他人事のようにぼーっと考えていた。


―――――
―――


最近は面倒事ばかりで気が休まらない。

君は自室に戻るなり大きな溜息を吐いた。

2週間後には北東の村に行く。そのまた2週間後には……


(だるい。もう寝る……)

(……zzZ ……zzzZ ……zzzzZ)



下1 夢を見るか (目標値【18以上】)

下2 逃走するか (目標値【03以下】)


【現在値】――――――――――――――

【地方領主 ティオニクス】 男

―40/40 闘力
―05/10 GP
―24/24 TP
―20/100 ?↑   .〔10→20〕

【自然回復】 (闘力、TP20%回復)
――――――――――――――――――

【ティオニクスの従者 ルチア】 女

―45/45 闘力
―05/10 GP
―40/40 TP
――――――――――――――――――

【影薄き従者 ドミニク】 男

―46/46 闘力
―05/10 GP
―38/38 TP
――――――――――――――――――

【銀嶺の従者 ディアナ】 女

―41/41 闘力
―05/10 GP
―34/34 TP
――――――――――――――――――


君の精神はゆっくりと変容している。

他者の影響を受け、少しずつ少しずつ……。



【豊穣神マイアの月 1週】 (17/28)


「ご報告致します」

「引き続き【領地東と南にて防御陣地を構築中】。竈神ウェスタの月、中頃には【完成する予定】です」

「【陣地構築の方針に意見】がありましたら、【モルドー、ゴラン、アルベルト】のいずれかにお申し付けください」

「うむ」

「今月は商隊が領地に来ますので、ご入用の品があれば私奴に」

「別に自分が行っても構わないのだろう?」

「領主様がそれをお望みであるなら」

「それを聞けて良かった」



「ところで……あの子はどうだ?」

「……」

「ドミニク?」

「ハッキリ申し上げますと『手のかかる子供そのもの』です」

「妙に服を脱ぎたがったり、好き嫌いが激しかったり、拳を振るってきたり……」

「自身も友好的に接するよう努めてはいますが、許容できない態度を示す事もよくあります」

「……ですが、【我々の命を本気で奪おうという動きは全く見えません】」

「ふむ……」



「……他に何かあるか?」

「いえ、以上です」

「そうか」

「失礼致します」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――
/領地特徴/

北―森の一帯
西―大きな川+
東―農地++ 【?】
南―荒地+++ 【?】
南東―焼野原


/建造物等/

北―巣穴
西―堤防
東―柵(木)、油田、景色が良い櫓
南―柵(木)、旗(太陽)、屋敷寄りに櫓

北東―牧歌的な村
南東―灰に塗れた地面


・水源が豊富
・領民は読み書きが出来る教養を持つ
・東、南からは攻め易い
・村(北東)の住人と協力関係

【!】 商人が来る?
【?】 陣地構築中 〔22ターン前後に完成〕
――――――――――――――――――――――――――――――――――――



燃え尽きた人間の心はそう簡単に回復しない。

やる気は無尽蔵ではないからだ。


……第17ターンの行動を聞こう。君は何をする?


下1~2 選択肢

―【選択肢】―――――――――――――――――――

①―領地の開墾、改善
②―人材発掘
③―自己学習
④―誰かに相談する※
⑤―近隣の領主、村長に助けを求める※
⑥―自由記述
⑦―人材派遣

※―今まで出て来た人物の名前を併記する事
――――――――――――――――――――――――

商人からはモノだけでなく情報も仕入れたいなぁ
お得意先も作っときたいし今後の付き合いも考えたら領主自ら相手にするのが得策かな

⑥従者込みで直接商隊と話し合い

ダメなら安価下で



 下1~2 選択肢 ←下の内容から【2つまで】を採用

 下1~2 選択肢 〔2D10で高い方採用〕 ←コンマの【結果が高いもの1つ】を採用



―【選択肢】―――――――――――――――――――

①―領地の開墾、改善
②―人材発掘
③―自己学習
④―誰かに相談する※
⑤―近隣の領主、村長に助けを求める※
⑥―自由記述
⑦―人材派遣

※―今まで出て来た人物の名前を併記する事
――――――――――――――――――――――――
↓1 選択肢   (>>828は採用)



「ルチア」

「はい」

「北東の村へ行く。ついて来てくれ」

「私達2人で、ですか」

「ウルリッヒもだ」

「……かしこまりました。お待ちください」


君はルチアと共にウルリッヒを連れ、北東の村へと向かった。


――――
―――――



~牧歌的な村~


君は3人で北東の村を訪れた。

風に混じる草木の香りは不思議な懐かしさを感じる。


木々の影に覆われた周囲は仄暗い。

相変わらず人の気配は感じられなかった。


……君は村の中心へと足を向ける。



「ここ、妙に人気が無いんちゃう?」

「そういう場所ですから」

「どういう場所や」

「そういう村ですから」

「答えになってへんやろ……」

「……」


ウルリッヒはルチアに呆れている。

彼は初めて来たこの場所に違和感を覚えているようだ。



~村で一番大きな家~


「ここか? 村にしちゃデカイな」

「その通りです」

「以前来た場所とは違うようで」

「ああ。村長はこっちを案内してくれた」

「そうですか」


――コンコンコン、ガチャッ、ギィ―。


「……勝手に入って大丈夫なんか?」

「ノックすれば良いでしょう」

「そういう問題じゃないやろ……」

「大丈夫です。根拠はありませんが」

「不安になる事言うのやめーや」

「………」


ルチアはずかずかと屋内へ侵入している。

少しぐらい窘めても良かったかもしれない。

……もう遅いが。



……現在居る場所は入口。

君達から見て【左に部屋が7つ】あり、【右にも同じ数の部屋】がある。

近くに灯りは無く、奥に行けば行くほど暗い。



(確か前に来た時は……)


 『【右奥から2つ目】の部屋で待っていろ』


(そう村長に言われたっけ)

(……今回もそうした方が良いだろうか?)

(そもそも、村に直接来る以外で村長に連絡を取る手段がこちらには無いし)

(こんな訪問の仕方でも仕方ないか……)



君達はどの部屋に行っても良いし、前に行った部屋に直行しても良い。

彼はこの家の主だから時間はかかっても君達を見つけ出すだろう。


↓1~2 君達はどう動く? 【2D10で高い方を採用】



「部屋が沢山あるようですね。どこに入りましょうか」

「一番怪しそうな部屋から行ってみよか」

「この……【11】って綺麗に彫りこまれてある扉とかええんちゃう?」

「いや待て」

「んや? 旦那ァ」

「右奥から2番目の部屋に入るぞ」

「そこに何か?」

「ああ。たぶんそこが客間……だと思う」

「そうですか。なら行きましょう」

「……」 (実際は違うんだろうけど……)


君達は【奥から2番目の部屋】へと直行した。



……何かがノブに引っかかっている。蹄鉄だ。

以前は両端が下を向いていたが、今は上側にある。

他に気になる事はない。扉を開けて君達は室内へと侵入する。


「随分埃っぽい部屋ですね……」

「その辺に座ってたらええんか?」

「少なくとも前はそうでした」

「……」

「なんだ? ルチア」

「いえ、なにも」

「気になるな……」


以前と変わりない……

事はなく、前にあった物の殆どが部屋に無い。

物騒な壁画があった場所は植物の絵に。

毒薬が入っていた容器は透明な水で満たされた容器に。

妙な隙間は埋められて覗く事は出来なくなっている。

前回に訪問した時と期間が空いているとはいえ、こうまで変わるものだろうか?



「……おっ! なんや紙が落ちとるやん。拾ったろ!」

「かみ?」

「おう!紙やな!」

「近寄らないで下さい。絶対」

「?」

「……」 (ルチアは紙じゃなくて髪を想像してるんだろうな……)


暇そうに部屋をうろついていたウルリッヒは、紙を拾い上げ声に出して読み始めた。

その内容は次の通りだ。



――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(たなよたなうたなこたなそたな)
――――――――――――――

なたにもたなくてなおたどなろいなてたないたませんかな?

たこなれはなおれのたしゅみだからなきにたしなたいでくれた。

なしかなけたにんがなちたがたうと、こうたまでたかわなるのはなおたもしなろたいただろなう?


台の上にある液体は人体にも沢山含まれる物だ。喉を潤す為に飲んでも構わない。

隙間は危ないので埋めた。というか埋めろと言われた。だから仕方なく埋めた。

ただし、何も手を加えていない場所もある。それで負傷しようともこちらは責任を負わない。

お前の行動を咎める気はない。飽きるまでその部屋で過ごしていろ。


……棚を漁っていたら虫のような何かを掴んだが、俺は何も気付かなかった事にした。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――




「なんやコレ……意味が解らんし。そもそも誰に向けた内容なんや」

「少なくとも貴方ではないと思いますよ」

「言われんでも解っとるわ!」

「……」


前回と似た文面がそこにあった。

少し読みづらい文字で書かれている事以外は何も違和感は無い。



絵画があった場所は、植物の絵が飾られている。

風の吹く音が部屋の中に響いている。以前と比べてハッキリとした音だ。

床は埃に塗れている。うっかり座ろうものなら綿埃で服が汚れてしまうだろう。

机の上には透明な液体で満たされた蓋つきの容器がある。たぶん毒ではない。

ルチアはこの部屋の不衛生さに辟易している様な表情を浮かべている。

ウルリッヒは珍しく眉間に皺を寄せて考え事をしている。

今の君は無言で2人を観察している。



部屋に居る君達は、各人が気になる物に触れても良いし触れなくてもいい。

【触れた場合】は村長が来るまで暇つぶしが出来る。

【触れなかった場合】は……特に何もない。

ぼーっと待っていても【村長は間違いなく姿を見せる】だろう。


……この部屋で何か行動を起こすか?


↓1~2 自由記述   【3人の内誰かを指定。2D10で追加判定。目標値は08以上】



君は壁に近寄り、絵を繁々と眺めた。


この植物は、下から上に向かって花が沢山咲いている。

まるで小さな樹木の様だ。


植物の隙間から、丸い豆の形をした実がそっと顔を覗かせている。

下側の花は紫に染まり、上側はまだ白い。


……温かみを感じる絵だった。



「なんだ、これ?」

「さあ?」

「わからんわ」

「食用出来る物なのか、それとも変わった形の花なのか」

「……」

「さっぱり解らん」


生憎だが君は植物の造詣に深くない。

【そういった知識】を持つ人間が近くに居たならば、君の望む答えが返ってきただろう。



「……解った!」

「なんや急に。どうしたん?」

「この暗号が【何を書いているか】が解った」

「『ようこそ』、『何もなくて驚いただろう?』、『これは俺の趣味だから気にしないでくれ』」

「『仕掛人が違うとこうまで変わるのは面白いだろう?』 ……の四つだ」

「へぇー、だから何って感じやけど」

「それがですね、前に来た時は……」


君は前回の状況をウルリッヒに説明した。



「えぇ……なんやそれ」

「まあそういう訳でして。仕掛人とは誰なのか気になったんです」

「【今回は】村長で確定やろ?」

「はい。恐らくは」

「旦那は誰が前回やったのか気になる言うとるが……」

「【名無しの誰か】じゃ解らんやろ」

「……やっぱりそうですよね」


君は肩を竦めた。



「ま、ええんちゃう? そーいう【細かい事に気が向くん】」

「俺は悪い事じゃないと思うで」

「貴方も偶には良い事言いますね」

「うるさいわ」

「褒めてるんですよ?」

「お前に言われると背筋が寒ぅなる!」

「(・ω・`)」

「その顔で部屋の隅向くんやめーや!」


ウルリッヒはルチアに激しいツッコミを入れている。

それを横目で眺めている君は……


↓2~3 自由記述   【状況は概ね>>843。 2D10で追加判定。目標値は10以上】



「どうかしましたか」

「ん?」

「や、別に大したことじゃないで」

「そうは見えませんでしたが……」

「ハハハ、そやったらしゃあない。一応言っておくか」


苦笑を浮かべるウルリッヒ。

君は続く彼の言葉を静かに聞いた。



「俺は身の振り方を考えとったんや。雇い主には嫌われんよう動きたいからな」

「貴方の残念な頭では、考えるだけ無駄ですよ」

「……小うるさい女は無視するとして」

「旦那は【自分の領地をどうしていくつもり】なんや?」

「今後の……【展望】、ですか」

「そや。メッサーラの爺さんは、曲がりなりにも領主としての考えがあった」

「全体やのうて自分を富ます方向に振り切れとったけどな」

「旦那もそういう目標の1つや2つ持ってへんの?」

「………」 (僕は領地をどうしていきたいんだ……?)



君は悩む。

領地を譲り受けてからというもの、そういった事について深く考える機会が無かった為だ。

ウルリッヒがいう【領地をどうするか】は、領民や自分の近しい存在にも間違いなく影響する。

変化が好ましいものかどうかは、自分の考えに大きく左右されるだろう。


……ウルリッヒにどう答えよう。


↓1~2 自由記述   【方向性や単語だけでも可。都合よく解釈します】



「【住みやすい場所】か……奴隷に溢れたこの世界でよく言うわ」

「【多様性】っちゅうんは、自分と違う人間も受け入れる事を言うんか?」

「それに【外敵】ってなんや? 獣か? 蛮族か? 自分の考えに肯定せえへん奴等か?」

「…………」

「まあ望む答えは出てきたし、ええわ」

「これで何も答えられんかったら、此処から黙って離れようか思うとったで」

「何様ですか?」

「俺様や」

「うわぁ……」

「律儀に答える真面目君にそんな態度取るなや」

「何処にそんな方が?」

「ココやココ! お前の目の前に居るやろが!」

「はいはい」

「あぁぁぁぁぁ! 腹立つ!」


ウルリッヒはルチアにあしらわれている。

右から左へと受け流しているその姿は、一種の芸術さえも感じられた。



「領主様。喉は渇いていませんか」

「…いや?」

「 喉 は 渇 い て い ま せ ん か 」

「……」 (うっ、なんだこの威圧感は……)

「あ、あぁー! 確かに渇くぞ! なんだか水が飲みたくなってきたなー!」

「かしこまりました。少々お待ちください」

「………」 (なんだったんだ?)


急に話を振って来たと思ったら、水を飲めと強要されたので驚いた。

しかしルチアは水を入れる容器を持っていなかった気がするんだが……。



「……という訳でどうぞ」

「なんでこの流れで俺なんや!? どう考えてもおかしいやろが!」

「いえ、これも従者として大事な務めですから」

「【毒味係】ってか?」

「その通り!」

「そこだけ元気よく応答すな! 気味悪いわ!」

「は?」

「いや、何でもあらへ……」

「は?」

「……何も無いです」

「よろしい」


恐喝されていたウルリッヒを見て、君は微妙な気分になった。

自分はまだルチアに耐性がある方なのだと改めて気付かされたからだ。



「お待たせ致しました」

「あ、あぁ……ありがとう」

「お気になさらず」


透明な水に異状が無い事を(ウルリッヒで)確認したルチアは、容器をそのままこちらへと寄越した。

無色透明の液体は自身の存在感をやたらと主張している。



「ンクッ……ングッ……」

「………」

「意外と普通だな……」

「何を当たり前の事を」

「俺で試した奴が言う事か?」

「………」ニコニコ

「はっ!?」


……君は透明な液体で喉を潤した。



絵画があった場所は、鮮やかな色をした植物の絵が飾られている。

風の吹く音が部屋の中に響いている。以前と比べてハッキリとした音だ。

床は埃に塗れている。うっかり座ろうものなら綿埃で服が汚れてしまうだろう。

机の上には透明な液体で満たされていた蓋つきの容器がある。

足音のようなものがずっと、ずっと遠くから聞こえる。

ルチアはさっきからニヤニヤとほくそ笑んでいる。

ウルリッヒはドン引きしているような表情でルチアを見ている。

今の君は無言で周囲を観察している。



部屋に居る君達は、各人が気になる物に触れても良いし触れなくてもいい。

【触れた場合】は村長が来るまで暇つぶしが出来る。

【触れなかった場合】は……特に何もない。

ぼーっと待っていても【村長は間違いなく姿を見せる】だろう。


……君達はこの部屋で何をする?


↓1~2 自由記述   【3人の内誰かを指定。2D10で追加判定。目標値は13以上】



「……」

「こっち見んな」

「……」ニヤニヤ


とてもからかいがいのある玩具ですね。

領主様とはまた違った反応が実に面白いです。


それはそうと、さっきから部屋に風音が響いているのが気になりますね。

この部屋に溜まっている埃が舞い上がったらと思うと……。

不愉快極まりないと言えるでしょう。



(何か聞こえる……)

(足音か? 風の音が邪魔でどうも聞き取り辛いな……)

(コッコッという音が断続的に響いている。何処からだ?)

(……駄目だ。誰かが動いているのは判るけど、それ以外は……)


どうもさっきから変な音がすると思ったら、何かがかち合う音が風音に混じっていた。

たぶん、村の住人がこの大きな家を歩き回っているのだろうとは思う。


……しかしこの音が村長のモノだとは考え難い。

なぜなら、村長は音もなく自分の背後に立っていた過去があるからだ。



絵画があった場所は、鮮やかな色をした植物の絵が飾られている。

風の吹く音が部屋の中に響いている。以前と比べてハッキリとした音だ。

床は埃に塗れている。うっかり座ろうものなら綿埃で服が汚れてしまうだろう。

机の上には透明な液体で満たされていた蓋つきの容器がある。

壁をよく見ると埋まっていない隙間が残っている。

足音はずっと、ずっと遠くから聞こえた。

ルチアは普段通りの顔で部屋の奥に視線を向けている。

ウルリッヒはやれやれと溜息を深く吐いている。

今の君は口笛を吹きながら周囲を観察している。



部屋に居る君達は、各人が気になる物に触れても良いし触れなくてもいい。

【触れた場合】は村長が来るまで暇つぶしが出来る。

【触れなかった場合】は……特に何もない。

ぼーっと待っていても【村長は間違いなく姿を見せる】だろう。


……君達はこの部屋で何をする?


↓1~2 自由記述   【3人の内誰かを指定。2D10で追加判定。目標値は16以上】



「なあルチア」

「はい?」

「少し気になった事があるんだが……」


君は>>865で気付いた点をルチアと共有した。

彼女は君の話を心底どうでもよさそうに聞いている。



「という訳なんだ」

「そうですか」

「反応が薄いな……」

「気のせいでしょう」

「はぁ、もういいや」

「………」 (……まぁ、一応探っておきますか。大事になってからでは遅いですし)


不安を感じた領主様が私を頼ってくれた。

元気づける言葉を言おうと思っていても、それを第三者が居るこの場所で言うのはちょっと……。


……彼さえ居なければ良いんですけれどね。彼さえ居なければ。ハァ。



(……風の音。これは部屋の奥から?)

(この部屋の床下にも、何か別の空間がありそうですね)


(思ったよりも……近い?)

(固いものが、地面とぶつかる……音)

(…! 領主様が仰っていたのは【コレ】のようで)

(どこかから響いているのは判りますが、方向まではちょっと……)

(もしかして【床下】から?)


(どうもこの家に入ってから、私のカンが鈍っている気がしてなりません)

(用が済んだらさっさと帰りたいものです)


……本当に音が鳴ってた。

領主様の勘違いでは無かったようですね。



絵画があった場所は、鮮やかな色をした植物の絵が飾られている。

風の吹く音が部屋の中に響いている。以前と比べてハッキリとした音だ。

床は埃に塗れている。うっかり座ろうものなら綿埃で服が汚れてしまうだろう。

机の上には透明な液体で満たされていた蓋つきの容器がある。

壁をよく見ると埋まっていない隙間が残っている。

足音は目には見えない、近くて遠い場所から聞こえた。

ルチアは部屋の奥と足元の床へ交互に視線を向けていた。

ウルリッヒは大きな欠伸を隠そうともしていない。

今の君は注意深く周囲を観察している。



部屋に居る君達は、各人が気になる物に触れても良いし触れなくてもいい。

【触れた場合】は村長が来るまで暇つぶしが出来る。

【触れなかった場合】は……特に何もない。

ぼーっと待っていても【村長は次で姿を見せる】だろう。


……君達はこの部屋で何をする?


↓1~2 自由記述   【3人の内誰かを指定。2D10で追加判定。目標値は18以上】



(この床下に空間があるのは判るんですけれど……)

(丁寧に確認する気がおきません)

(……まぁ、足でいいでしょう。床に這い蹲りたくはないですし)


私は部屋の中を軽く歩き回って、何処かに違いが無いかを探りました。

その結果、何も判らなかったので心の中で叫びました。


(領主様の馬鹿! お人好し! 八方美人!)

(1人じゃ何にも出来ないんですね! 此処との連絡手段ぐらい用意して下さい!)

(………)

(はぁ、むなしい……)


誰にも気付かれないように私は溜息を吐く。

周囲の2人はどうしてこんなに呑気に構えていられるのか……。



「よし、床に耳を当ててみるか」

「……本気ですか?」

「俺は解るで。砂や泥で汚れる遊びのが楽しいもんな」

「いえ、そういう問題ではなく……」

「汚れなんて、後で洗えば問題ないだろう?」

「洗濯するのは私ですよ」

「そうだったか……」

「自重して頂けますか?」

「……解った」


僕はルチアの言い分を渋々了承した。

彼女が僕に何かを言う時は、最初は控えめだが後からねちねちと言われる。

……今の内に矛を収めてもらう方が無難だろう。



君が溜息を吐こうとしたその時だ。


――ギィッ、バタン。


何かが開く音がした。

その音に遅れて、部屋の奥から人の声が聞こえる。



「ようこそ」


声の主は影からぬっと現れた。

……頭部を布で覆い隠している男だ。


「俺はお前達を歓迎しよう」

「なっ! なんやお前!?」

「人に名を聞くときは、自分から名乗るべきじゃないのか?」

「誰がお前みたいな怪しい奴に――」

「別に聞かなくともこちらは知っている。名前はウルリッヒ」

「!」

「得物は直剣。得意な戦法は一撃離脱。前は腐敗した貴族に仕えていた。……そうだろう?」

「……何者や、お前」

「村長です」

「は?」

「この村で一番偉い人です」

「………」


ウルリッヒはルチアが口にした言葉の意味を考えている。

彼はいまいち状況が呑み込めていないようだ。



「そういう訳だ。よろしく」

「お、おう……」


いまいち釈然としないようだ。

ウルリッヒの言動に迷いが見える。


「――それで? 今日は何の用だ」

「はい。本日は……」

「……」

「どうした?」

「………」 (色々あって忘れそうになってたけど、僕は何の為に此処へ来たんだっけ?)


↓2 村長に会いに来た理由とはなんだった?



「……領内で不審な輩を捕まえました」

「なに? どんな奴だ」

「背はちょうど貴方の胸辺りで、可愛げのない――」

「子供か」

「いえ、23の女です」

「………」


彼がこんなに押し黙っているのは珍しい。

表情が見えないのでよく解らないが、村長は驚いている気がする。



「あと、野盗の集団が何処かに潜伏しているようで……」

「ふむ……それを俺にどうしろと?」

「えっ」

「【具体的に何をしてほしいか】を聞いている」

「例えば野盗を抹殺、捕まえた女を尋問、今日来ているその男が裏切らないようにする」

「ざっと挙げてもこれだけある。お前はどうしたいんだ」

「そうですね……」


村長は自分に何を求めるか問いかけてきた。

相談する相手として彼を選んだのだから、答える内容が少し過激でも問題は無い筈だ。


……しかし、僕はこの問題をどう解決したいのだろう。


―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「貴方の力を見込んで、どうか野盗を排除して頂きたい」

②―「手段は問いません。女が協力的になるよう、そちらで躾けてもらえませんか?」

③―「彼が有能な事を覚えてもらいましょう」   ウルリッヒ「ちょっ! 待ってや旦那!」

④―「別に何も。ただこちらで起きた事を言っただけです」

⑤―「問題が起きたので逐一報告にと」   ライト「律儀だな。文(ふみ)でも良いんだぞ?」


⑥―自由記述 〔2D10で【10以下の奇数】なら悪い方向、偶数なら良い方向へ解釈〕

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↓1~2 選択肢 (2D10で低い方採用)



「貴方の力を見込んで、どうか野盗を排除して頂きたい」

「それなら【もう終っている】。安心するといい」

「……はい?」

「もう【既に手は打った】という事だ」

「えっ」


声がいつもより弾んで聞こえる。

村長は一体何をしたというのか……。



「動きが派手になる前に【潰しておいた】。こちらとしても【目障りな相手】だったからな」

「【1週早く】来たのは取り越し苦労でしたか……」

「そうでもない。これとは別の件を進められるだろう?」

「ははは、おっしゃる通りですね」

「………」 (何やコイツら……)

「他に変わった事は無いか? 無ければ、【こちらの要求】に移りたいんだが」

「そうですね……」


君が懸念していた問題は、何らかの方法で解決されていたようだ。

……他に相談すべき事はあっただろうか?



―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「今月は行商人が来るんです。何か買っておいた方が良い物はありますか?」
②―「埋まってない隙間が気になるんですけど、アレ何ですか?」
③―「特に無いです」 ※【要求】の中から追加選択


―【要求】―――――――――――――――――――――――――――――――――

④―「そちらの【人員】を貸してくれ」
⑤―「余っている【食料】を分けてくれ」
⑥―「【資金】が欲しい。利子が無ければなお良い」

⑦―自由記述 〔2D10で【16以下の奇数】なら悪い方向、偶数なら良い方向へ解釈〕

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↓1~2 選択肢 (2D10で高い方採用)



「特に無いです」

「そうか」

「あの……そちらの要求とは?」

「お前の領地で余っている【食料】を分けてくれ」

「食料を?」

「そうだ。【3~8人分】の量で保存食が望ましい」

「多ければ多い方が良いんでしょうか?」

「ああ。戦が始まれば生産している余裕など、この村には無いからな」

「ふむ……」

「無理なら他を当たるだけだ」


村長は食料を要求している。

見返りは何かあるのか君は聞き返した。



「私達がそちらに支援した場合、その行為にどういった利点がありますか?」

「そうだな……リソースを割かなくて済む分、別の計画が先に進むだろう」

「かなり重要ですか?」

「俺達にとってこの問題は避けて通れないからな」

「ううむ……」

「無論、支援に対しての報酬は用意する。【金貨1枚~5枚】の範囲で出そう」

「えっ」


どうしてこんな村が大金を抱えているのだろうか。

まさか、非合法なやり方で得たお金――



「それは違う」

「!?」

「顔に出ていたぞ。ハッキリと」

「も、申し訳ない……」

「【自分で稼いだ金】だ。後ろ暗い物では無いぞ」

「………」

「前金は銀貨8枚。残りは成功報酬としよう」

「どうする。この話を受けるか?」

「……考えさせてください」

「良いだろう」



村長は【食料の対価】として【金貨】を用意すると言った。

1枚でかなりの価値を持つそれは、およそ【2枚】もあれば【奴隷1人】を買える。

つまり、彼は【膨大な量の食料】を求めているに違いない。

安易に引き受ければ、こちらの動きが制限される可能性もある訳だ。


……君はどう返事する?



―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「そっくり【8人分】用意しましょう。安心してこちらに任せて下さい」

②―「【3人分】なら直ぐに用意できます。【次に訪問する際に持って来る】で良いでしょうか?」

③―「その金額は相場より低いです。もっと【報酬を上乗せして頂きたい】のですが……」

④―「我が領地も食料が心許ないので、すみませんが【この話はお受けできません】」

⑤―誰かと相談する 〔同行者2名のどちらかを併記〕


⑥―自由記述 〔2D10で【14以下の奇数】なら悪い方向、偶数なら良い方向へ解釈〕

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↓1~2 選択肢 (2D10で低い方採用)



「……ルチア」

「はい」

「どう思う」

「私は別に受けても構わないかと」

「何故だ?」

「【無理をしなければ】相応の利益が生まれるからです」

「具体的に言うと?」

「【金貨1枚】なら、【成人3名が約2月】過ごせる金額。向こうが求める量によりますが――」

「余ってる食料で取引すれば【2週間】。領民の食料をも削るなら、我々が【3月】は遊んで暮らせます」

「!?」


なんて事だ。3ヵ月も遊んで暮らせるだけの金が手に入るのか。

生まれて初めて心が揺さぶられているかもしれない。

しかし、領民の生活を犠牲にするのはどうか……。



「参考までに【正規軍の兵士】は年に銀貨300枚、金貨に換算すると12枚ほどの給与を国から受けています」

「そういった成人の平均支出は【1日で銅貨2、3枚】。我々の生活は少し水準が高いので――」

「も、もういい。解ったから……」

「――ともかく、【臨時収入としては大きい】方でしょう」

「………」

「むしろ、迷う必要が何処にあるのか……と私は考えます」

「そうか?」

「領主様は金銭面に疎いですから仕方ないですね」

「貶されてるのかな?」

「肯定します」


ルチアは、この話を断るよりも受けた方が良いと言っている。

意見を聞いただけなので、絶対にそうしなければいけない訳では無い。


……自分の考えを村長に伝えよう。



―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―「そっくり【8人分】用意しましょう。安心してこちらに任せて下さい」

②―「【3人分】なら直ぐに用意できます。【次に訪問する際に持って来る】で良いでしょうか?」

③―「その金額は相場より低いです。もっと【報酬を上乗せして頂きたい】のですが……」

④―「我が領地も食料が心許ないので、すみませんが【この話はお受けできません】」

⑤―誰かと相談する 〔同行者2名のどちらかを併記〕


⑥―自由記述 〔2D10で【12以下の奇数】なら悪い方向、偶数なら良い方向へ解釈〕

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↓1~2 選択肢 (2D10で低い方採用)



「お待たせしました」

「……答えを聞こう」

「【3人分】なら直ぐに用意できます。【次に訪問する際に持って来る】で良いでしょうか?」

「構わない。報酬は金貨1枚だが良いな?」

「はい」

「出来れば保存食で頼む。量に関してはそちらに任せよう」

「……」 (自分の利益が試されてるのか……?)

「」



「お待たせしました」

「……答えを聞こう」

「【3人分】なら直ぐに用意できます。【次に訪問する際に持って来る】で良いでしょうか?」

「構わない。報酬は金貨1枚だが良いな?」

「問題ありません」

「出来れば保存食で頼む。【量に関して】はそちらに任せよう」

「……」 (自分の利益をどれだけ取るか試されてるのか……?)


強調している部分があった。

村長の側に立って考えれば、答えは出るだろうか。



「前金の銀貨だ。受け取れ」

「ひい、ふう、みい……確かに受け取りました」

「俺の用件は以上だが、お前達はもう帰るか?」

「そのつもりです」

「そうか。なら次は【2週間後】だ」

「解りました」

「村の外まで送ろう。付いて来い」


村長は部屋の扉を開け放して僕達が出るのを待っている。

前はここまで親切にしてくれなかった気がするが……。



「この周辺は比較的マシだが安全じゃない。気を付けて帰れよ」

「ご忠告感謝致します」

「……」 (やっと終りましたか……さっさと帰りたいですね)


君達は牧歌的な村から立ち去った。

覆面をした異様な男に見送られながら……。


―――――
――



「さぁ行くぞドミニク!」

「は、はぁ」

「歯切れが悪いぞ。何か不満なのか?」

「いえ、そんな事はございません。ございませんが……」

「おかしな奴だな」

「商人との取引で少々不快な思いをするやもしれません」

「領主様はぐっとこらえて頂くよう、私奴からお願い申し上げます」

「?」


ドミニクが珍しく困ったような顔をしていた。

不快感をこらえなければいけない相手なのだろうか?




――――
――――――



「ようこそいらっしゃいましー!」

「本日はよろしくお願いします。主人の――」

「ティオニクス様でしたかな? いやー凛々しい顔つきで!」

「ささっ、どうぞおかけになって!」

「なに飲むか? 牛の乳から人間の乳まで取り揃えてましよ!」

「………」


妙な3人に囲まれた。

お得意様なのは解るが、あまりにも態度が露骨すぎる。



「ドミニクサンなに買うか? 生きの良い魚や肉入ってるよ」

「何時もながら凄いですねぇ……」

「どれも自慢の品ですから! ティオニクス様もどうぞご覧ください!」

「あ、ああ……」

「これなんかどうです?」

「ん?」

「【飲むと喉が焼け爛れて呼吸が出来なくなる薬】!」

「何に使うんだそんな物……」

「気に入らない相手にコレを使えばどんな大男でもイチコロですぜ!」

「要らない」

「さいですか」


馴れ馴れしい細身の商人はがっくりと項垂れた。

とても残念そうだ。



「他の商品は無いのか?」

「モチロンありまし! こちらが一覧でございましー」

「なになに……」


出っ歯の商人が紙を奥から取り出してきた。

何枚も重ねられたその紙には、多数の商品名が書き込まれている。


……君はその中のどれが目に付いた?



―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―シードル               .〔銅貨2枚~〕
②―ルピナスの苗           〔銅貨3枚~〕
③―聖水                   〔銅貨5枚~〕
④―本

⑤―グラディウス             〔銀貨6枚~〕
⑥―義手、義足             〔銀貨9枚~〕
⑦―覚醒する薬             .〔銀貨1枚~〕
⑧―魔法の茸               〔銀貨1枚~〕
⑨―だるくなる薬             〔銀貨1枚~〕
⑩―苦も無く【ずっと眠れる】薬

⑪―農奴                   〔金貨1枚~〕
⑫―剣闘士『アウレリウス』    〔金貨2枚~〕
⑬―没落貴族『エルキナ』     .〔金貨3枚~〕

⑭―自由記述 〔2D10で【03以下の奇数】なら悪い方向、偶数なら良い方向へ解釈〕

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↓1~3 選択肢 (複数選択可。2D10で高い方を採用)



「値段が記載されてない物があるようだが……」

「それは一般向けに提供している物じゃ無いからでございまし」

「どう違うんだ? 例えばこの本とか」

「読むと遠い世界に意識が飛びます」

「えっ」

「意識が飛びます」


……いったいどんな本なんだろうか。

興味が湧いてこないでもない。



「じゃ、じゃあ……苦も無く【ずっと眠れる】薬、コレは?」

「毒です」

「は?」

「飲むと死にます」

「……」


思ったよりもヤバイ薬だった。

この調子だと他の薬もぶっ飛んだ代物かも……。



「……よし、聞かなかったことにしよう」

「さいですか」

「うむ」

「他に気になる物はありますか?」

「剣闘士『アウレリウス』が気になる。どんな奴だ?」

「あぁ、そいつですか――」

「?」

「元々その男は、剣闘士養成所に連れてこられた奴隷だったんです」

「剣術に非凡な才能があったらしく、一時は自分を買い戻せる位には稼いでたようで」

「今はどうなんだ?」

「強いは強いんですが【膝に矢傷がある】ので、言うほど強くないです」

「ほう」


剣闘士は男で『アウレリウス』と言う名前らしい。

金貨2枚はそこそこ高い部類に入るので、彼は優秀な能力を持っている筈だ。


……ゴランの時は幾らだったか。彼と比較してみても良いかもしれない。



「この『エルキナ』というのは?」

「そいつは【ユリウス氏族】の女です」

「ユリウス?」

「ええ、ええ! あの、【カエサルと同じ氏族名】でございます!」

「どうしてそんな方が……」

「ああ! 直系ではなく、領土拡大の途中に組み込まれた【部族の人間】でして」

「金に困ったので、この女が身売りに出された次第でございます」

「ふむ……」

「【見目は大変麗しい】ので、そういう趣味があるなら損はしないかと思いますよ!」

「どういう趣味だ」

「【組み手】……とかでございましょうか?」

「意外だな。強いのか?」

「大の男がヒイヒイ言う位には」ニヤリ

「面白いな」


一番高値が付いている女は貴族らしい。

自分と境遇は違えど、同じ貴族として思う所がある。

金貨3枚は高い方か、それとも安い方か。


……もし自分が売りに出されたら幾らだろう。



「領主様。何かお気に召す物はございましたか?」

「……妙な物ばかりで驚いている」

「ご理解頂けましたか?」

「ああ。色々突っ込みたい気分だ……」

「私奴はこれから少しばかり席を外します。何かあれば直ぐにお呼びください」

「解った」


ドミニクは商人の1人と共に店の奥へと消えて行った。

馴れ馴れしいのとハイテンションな商人が自分の顔色を窺っている。


……居心地が少し悪い。



「さっきの以外で他に商品は無いか?」

「勿論ございます! 一覧はここに!」

「えーと、なになに……」


ハイテンションな商人が懐から紙を取り出した。

何重にも折られたその紙には、多数の商品名が書き込まれている。


……君はその中のどれが目に付いた?



―【選択表】――――――――――――――――――――――――――――――――――

①―ガルム                 〔銅貨1枚~〕
②―白ワイン               〔銅貨2枚~〕
③―ソラマメの苗            〔銅貨3枚~〕
④―本

⑤―フェヌグリーク           .〔銅貨4枚~〕
⑥―ソーセージ             〔銀貨5枚~〕
⑦―フォアグラ             .〔銀貨9枚~〕
⑧―カンナビス             .〔銀貨1枚~〕
⑨―ガンジャ               〔銀貨1枚~〕
⑩―チャラス               〔銀貨1枚~〕

⑪―自由記述 〔2D10で【05以下の奇数】なら悪い方向、偶数なら良い方向へ解釈〕

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
↓1~3 選択肢 (複数選択可。2D10で高い方を採用)



「さっき見た物と同じ商品があるようだが、【こっちの本】はどんな内容だ?」

「はい! 私が取り扱っている商品はですね――」

「……」 (また変なのじゃないだろうな)

「動物の【解体方法を図で示した物】でございます!」

「意外と普通だな。【料理人向けの物】か?」

「料理……そうでございますね、【そうとも言える】でしょうか」

「?」


彼が言う本はどちらかと言うと、僕よりドミニクやルチアが好みそうな物だった。

普段から僕は料理をしない。

……と言うか、ドミニクが止めに入るので料理自体させてもらえないのが正しいか。



「このソーセージは【何の肉】を使ってるんだ?」

「こちらは【豚】を使用しています」

「豚のどの部位だ」

「そうですね、肩と胸の辺りでしょうか?」

「量は?」

「1kgから取引させて頂いております!」

「買うとはまだ言ってないぞ」

「ややっ、これは大変失礼致しました!」


話を聞く分には、何の変哲もない豚の腸詰肉だ。

保存できる食品としては高価な部類に入るこれは、あまり沢山買える物では無い。

穀物があるなら、そっちを優先すべきだろう。



「この『カンナビス』は――」

「【大麻】です」

「……じゃ、じゃあこっちの『ガンジャ』は――」

「花穂を【乾燥させた大麻】です」

「……この『チャラス』は?」

「樹液を圧縮した【大麻樹脂】です」

「………」

「何かございましたか?」

「いえ。……貴方は今コレを?」

「はい!」

「そうですか……」


この商人の目は、他と比べて変だと思っていたがそういう事か。

これも精神に作用するヤバイ薬に違いない。


……まともな物が少な過ぎて頭痛がしてきた。



「試食されますか? それとも私と一緒にヤクを――」

「い、いやいい! 今はそういう気分じゃないんだ!」

「それは残念」

「……」 (ちょっとでも使うとマズそうだし……)


君がそうやって商人に拒絶のポーズを取っていると――



「領主様」

「ドミニク!」

「大きな商談はこちらで済ませておきました」

「ありがとう。今回はどうだった?」

「多い物を売り、少ない物を買う。何時も通りでございます」

「領地の財政は潤ったか?」

「はい。今回の【利益】は――」



ドミニクが商人との取引で得た金額は幾らだろうか。

……ダイスを2つ振ってくれ。


↓1~2 ドミニクの交渉術   【2D10の結果に応じて金額が変化】



「【金貨8枚】ほどです」

「そこそこあるな」

「大部分は領地の運営費等に充てますので――」

「えっ」

「自由に使えるのは【金貨2枚と銀貨11枚】といった所でしょうか」

「……」

「もしや領主様はこれが少ないとお思いで?」

「まさか、そんな訳ないだろう」

「そうでしたか。申し訳ございません」

「………」


言うなればこれは領民からの税で得た金だ。

ドミニクは僕に無駄遣いをするなと言外に表している。



「領主様の方は如何でしたか?」

「そうだな……気になる物が幾つかあった」

「今回得た金銭の一部は、領主様の裁量で使って頂いて構いません」

「金貨2枚と銀貨11枚か」

「いえ、それより前に稼いだ分もあるので――」

「?」

「【金貨3枚と銀貨8枚】でございます」

「………」

「ご自由にお使い下さい」

「わ、解った」


ここまで利益が出る物とは……。

ドミニクが売り払った物はいったい何だったのだろう。



「ドミニクサン変わった物持ってるねー!」

「いえ、こちらとしても【偶然の産物】でしたから……」

「これからもウチをごひーきに!」

「よろしくお願い致します」


ドミニクは出っ歯の商人に微笑みかけている。

たぶん変な物では無い筈だ。



多額の金銭を得たが、それをどう使うかは君の自由だ。

商人が見せた品々は以下の通りだが、【君が望めば他の商品を】出すかもしれない。



出っ歯>>911              ハイ>>923



ただし、君が抱える【従者】は大きな出費に対して間違いなく【口を挟む】だろう。

どうやって従者を納得させるか、理由を考えておいた方が良い。


……君は何を買う?


↓1~ 多数決 【複数選択可。段階的に減らしていきます】

まず剣奴と貴族に面談はダメ?

>>940
自由記述でそれを望み、かつ多数の支持を得れば構いません

↓1~3 を範囲とします



「すまない。この『エルキナ』という人物と会いたいんだが……」

「はいはい! 人となりを確かめるのは大事でございますからね!」

「少々お待ちくださいましー」


そう言うと商人達は引っ込んでしまった。

……何やら奥で口論が繰り広げられているようだ。



「その薄汚い手をどけなさい!」

「へへっ、生きが良いなぁ」

「放しなさい! 私1人で歩けます」

「今から会うのはお前の主人になるかもしれない方だからな。きちんと受け答えしろよ?」

「………」 (こんな状況じゃなければ、貴方なんて片手でぶちのめして差し上げますわ)

「おらっ! ちゃきちゃき歩け!」


―――
―――――




「エルキナ・ユリウス・【カエサル】と申します」

「【灰色】……名前通り綺麗な目をしている」

「お褒めに与り光栄です」

「失礼ながら、貴女はどのような【特技】をお持ちですか?」

「と、特技?」 (変な事をきくのね……)

「はい」

「………」 (はっ! これは私を売り込むチャンスなのではないかしら!?)

「【閨事に自信があります】」

「は?」

「………」 (し、しくじりましたわー!)

「申し訳ない。自分の耳がおかしかったのかよく聞き取れませんでした」

「え、えぇ大丈夫です。構いませんわ」



男なのにそういうのを求めていない? そんなの嘘よ!

普通こういう人身売買をする時は、女性が慰み者扱いで買われて行くというのが相場なのでしょう!?


……この男は同性愛者なのかしら?



「少しばかり【剣術の心得】があります。【ぬるい剣捌きなら見切ってみせますわ】」

「ほう!」

「………」 (剣術という単語に大きく反応しましたわね……)

「他には?」

「棒を振り回すだけの者に、【戦術】を教えられるだけの知見が私にはあります」

「ほうほう」

「…………」 (そういう人間をもとめているのかしら?)

「どうぞそのまま」

「何者にも屈しない精神が私にはあります!」

「そのようですね」

「……………」 (不遜な態度でも反応を示さないとは……やはり変人ですわ、この男)



この男が貴族の血筋? それにしては変な所が多過ぎですわ。

求めている能力が、戦をする事に極端によっているというか……。


……見た目に反して野心家? ありえませんわね。



「ユリウス氏族とのことですが、貴女の【出自が解る物】は何かありますか?」

「【部族の長達に聞けば】解ります」

「長?」

「私達部族の中でも協力的だった者は戦争終結後に、【市民権と名を与えられた】からですわ」

「貴女の部族も?」

「その通りですわ」

「証明する物は無いが、証明する者は居る……と」

「細かい事はそちらの国が管理しているのではなくて?」

「存じ上げませんね。調べれば恐らく解るかもしれませんが」

「ハッキリしませんのね」

「そこまで偉い人間では無いので」

「そうなんですの」

「はい」

「………」 (こんな男が兵士を動員できる権力者だったら、それはそれで嫌ですわ)



思ったより話せる方なのは解りましたが、私よりも弱い男に従うのは拒否感が――

……おっと、贅沢を言えるような身分じゃないのを忘れていましたわ。



「どうです? お気に召しましたか?」

「……悩ましいですね」

「どうぞどうぞ! 心行くまで悩まれて下さい!」

「なにか飲むか? 喋りつかれてないか? 飲むなら安くしとくよー?」

「い、いえ……結構です」


話が一段落した所で商人が畳みかけて来た。

……今の気持ちをひと言で表すなら『鬱陶しい』だ。



多額の金銭を得た君は縛るものが無い(完全に無い訳ではない)。まさに自由だ。

商人が見せた品々は以下の通りだが、【君が望めば他の商品を】出すかもしれない。



出っ歯>>911              ハイ>>923



君が抱える【従者】は大きな出費に対して間違いなく【口を挟む】だろう。

どうやって従者を納得させるか、理由を考えておいた方が良い。


……君は商人に何を要求する?


↓1~3 自由記述 【多数決、同数なら2D10で一番高い物を採用。”人間以外”は一度に複数選択可】



「『アウレリウス』という男に興味がある。連れて来てくれないか」

「かしこまり!」

「……」


馴れ馴れしい商人は駆け足で奥へ引っ込んで行った。

……今度はさっきと違って騒騒しくもない。特に口論は無いようだ。



「お待たせ致しましたー」

「こちらが剣闘士『アウレリウス』でございます!」


鍛え上げられた肉体の男が、奥から商人と共に出て来た。

……眼光が鋭い。



「アンタが――」

「はい?」

「俺を呼び出したのか」

「その通りです」

「俺の名前はオルフ・アウレリウス。”元”剣闘士だ」


名乗りを上げた男から凄まじい圧を感じる。

恐らく素手で君を何度も屠れるだけの力を持っているに違いない。



「お前は何を求める」

「我が領地に大きく貢献してくれる人材です」

「お前は俺に何を与えてくれる」

「貴方に相応しい戦場を提供します」

「違う。そういうのではなく――」

「?」

「先立つ物とか言うだろ。それをくれ」

「……働きに応じて報酬は与えますのでご安心を」

「ここまで言ってなんだが、俺を買う方向で良いのか?」

「あっ」


相手の空気に飲まれて本来の目的を忘れていた。

君は改めて、彼の素性と売りに出された経緯を聞き出した。



「貴方の【生まれ】は此処ですか?」

「【故郷は遥か遠く】だ。ここよりもずっと、ずっとな」

「そこはどんな――」

「お前達がこれまで踏みつぶしていった町や村の1つだ」

「名前を言った所でどうせ解らんだろう」

「………」

「どうして売りに出されたんです?」

「荒らし過ぎたからだ」

「?」

「俺は各地の闘技場を廻って稼いでいた――」

「だが結果はこうだ。明日の食事もまともにありつけない。今は他人と身分がどれだけ違うかを味わっている訳さ」

「……要領を得ないですね」

「よく言われる」

「故郷に帰りたいとは?」

「思わない」

「何故?」

「剣闘士としての【栄光が忘れられない】からだ」


彼は目を閉じて押し黙ってしまった。

その視界には、闘技場で拍手喝采を受けている自分を映しているのだろうか。



「へへぇ! ティオニクス様」

「な、なんだ」

「耳寄りな情報がございます! 【銀貨2枚】で買いませんか!」

「どういう情報だ?」

「ティオニクス様が興味を示している【2人の能力】です!」

「本人から聞けば何もそんな事をしなくても――」

「それが【具体的な数値が解る】んでございますよ!」

「……数値?」

「あ、いや、それはこっちの話でした」

「?」


商人は君に銀貨を要求している。

試しにくれてやっても良いかもしれない。


……彼らの能力が購入する前に解るなら、悪い出費では無いと思うがどうだろう。


↓2 選択肢   【払うor払わない】



「銀貨2枚なら払ってみるか」

「へへっ、毎度ォ!」

「……」


君は商人に銀貨を支払った。

奴隷2人の能力値は次の通りだ。


―【キャラシート】――――――――――――――――――――

【アルバの貴族 エルキナ】 女

―32/32 闘力
―04/10 GP
―46/46 TP
―100/100 ?


【特徴】

透き通った灰色の目
微妙にずれた考え
何者にも屈しない精神力


【特殊技能】

「祈り」、「統率」、「征伐」、「見切り」
―――――――――――――――――――――――――――

【生還せし者 オルフ】 男

―52/52 闘力
―03/10 GP
―23/23 TP


【特徴】

ぶっきらぼうな喋り方
溢れ出る闘志
矢傷の目立つ膝   【常時:闘力-10点、GP+1点、TP-15点】


【特殊技能】

「猛追」、「挑発」、「騙し討ち」、「再起」、「逃走」
―――――――――――――――――――――――――――



「何か気になる事はございますか?」

「気になる所ね……」

「私共が答えられる範囲でなら何でもどうぞ!」

「ふむ」

「適当にでっちあげとかはしてないから安心していいでし!」

「………」 (何を聞こう……)


彼等について聞きたい事があれば言おう。

銀貨2枚分の情報は進んで教えてくれるだろう。


↓1~2 自由記述 〔エルキナとオルフについて〕


今日はここまで

余談ですが、特殊技能はその人物が使えるようになった順に記載しています

つまり経歴に応じた能力設定をしているので、変な物が使えるヤツは大概おかしな事をやっています



「そちらで把握している2人の経歴を教えて下さい」

「はいはいー!」

「では男の方から……剣闘士になる前は小さい町で農民として生産を担っていたようです」

「ほう」

「この国の領土拡大途中に町は武力制圧され、その後はオレン闘技場で剣闘士としての人生を歩み始めました」

「闘技場での戦歴は勝ち数【26】、負け数【3】、引き分け【18】と助命を何度も受けた人気の剣闘士だったようで」

「【獣の如き猛攻】で並み居る猛者を打ち倒す姿に、観客は魅了されていたのかもしれませんな」

「彼はどうしてこの場所に?」

「自分を買い戻した後、襲われたとか」

「襲われた?」

「ええ。何でも野盗の集団に」

「でも彼は強かった筈」

「それは1対1の話。四方八方から【大勢で矢を射かければどんなに強かろうと無意味】という訳でございます」

「……」

「【どうにかして生き延びた】は良いものの、有り金は奪われ、傷を直すのに金がかかる――」

「そしたらこんな状況になるのも仕方ないと思いませんかね?」



剣闘士の経歴を聞いて君は思う。

どんな強者だろうと絡め手を使われれば、命を落とす危険性が常にある。

自分の立場に置き換えてみると、いつどんな場所で悪意を持った者に狙われるか余計に解らない。


……従者任せにしていると、いつか足元を掬われるかもしれない。



「女の方は、【アルバ・ロンガ】(長く白い都市)の部族だとか」

「……戦争が起きる前に在った都市だな?」

「その通りです。何百年もの昔のことで――」

「戦争終結後、移住する際にこちらの貴族として迎え入れたのが【アルバの貴族】でした」

「彼女はその血を引いているという事か」

「そういう訳でございます」

「ふむ、なら彼女はユリウス氏族と本当に言えるのか?」

「勿論。ユリウス氏族は、かの独裁官【ガイウス・ユリウス・カエサル】とも同じ氏族名」

「女がどうしてユリウスを名乗るのか――」

「それはつまり、名を与えたのは外ならぬ【カエサル】自身と言う事です!」

「……貴方の推測ですか?」

「いえ、歴史書にそう載っているらしいです」

「………」


大袈裟に喋ったかと思えば、やけにあっさりとした返事をする。

商人側からすれば、『如何に商品を売るか』で言葉を並べている。

絶対とは言いきれないから、そういった態度になるのだろう。



「ご存知の通り【ユリウス氏族】と言えば、美の神【アフロディーテに連なる者】」

「【見目の麗しさ】もご納得頂けるかと」

「……」 (そうだったのか、知らなかった……)

「他に何かございますか?」

「2人に直接聞いても良いだろうか」

「ええ! 構いませんとも!」

「彼女から先に頼む」

「かしこまりましたー!」


商人は奥に引っ込んでしまった。

脱走しないようにする為とはいえ、いちいちめんどくさそうだ。



「まだ私に何か?」

「いえ、幾つか質問を」

「構いませんわ」

「では――」

「【人脈】から聞きましょう。どこまで通用しますか?」

「国のあちらこちらにユリウス氏族は存在します。そのツテを辿れば【少しぐらいは】」

「【貴女の顔】は利かないんでしょうか」

「社交の場より、こうして【身売りに出される時点】で何かお気づきになりませんか?」

「や、これは……失礼しました」


エルキナはぷいと顔を背けた。

緩やかに波打った髪の毛が、ふわりと浮かんだ。



「大変申し上げにくいのですが……」

「なにかしら」

「【閨事】――と仰っていましたか、もしや身体を?」

「【その通り】ですわ」

「申し訳ありません。重ねてお詫びを……『別にやましい事では無いでしょう?』」

「…は?」

「私の身体が【美しいからこそ】殿方が寄って来るのです」

「それを【誇る】事はあっても、恥じる事などありませんわ」

「経験人数は――」

「両手足で数え切れない程です。それが何か?」

「……いえ」


僕は軽い目眩を覚えた。

こんなに綺麗な女性が誰彼構わず、男女の契りを交わしているのかと。


……予測可能、回避不可能とはこの事か。



「………」

「あややや? どうかなさいましたかティオニクス様」

「何でもない……剣闘士を呼んでくれ」

「かしこまりー!」


商人は大きな声で了承した。

今度はオルフが来る番だ。



「お前か」

「どうも。質問をと思いまして」

「!」

「【膝なら治らないぞ】。足を切らずに済んだだけマシだ」

「………」

「それだけか?」

「まだあります」

「なんだ」

「貴方が【剣闘士としてどれほどだったのか】を知りたい」

「お前が俺の相手をするのか?」

「い、いえ! 何かこう指標になる物があれば――」

「……【筆頭剣闘士】(プリームス・パールス)と呼はれていた時もあった」

「?」

「1から7あるうちの【一番上】だ」

「ああ! なるほど!」

「……」

「………」 (えっ、それだけ?)



彼は再び目を瞑って黙してしまった。

こうなると自分はどうしようもない。ただただ、困惑するだけだ。


……それにしても筆頭剣闘士とは何だろう。



「領主様。そろそろ……」

「もうちょっと」

「………」ソワソワ

「商人は我々を優先しているとは言え、他にも客がいらっしゃいます」

「あまり長々と待たせるのも――」

「もうちょっとだけ待ってくれ!」

「……かしこまりました」



多額の金銭を得た君は縛るものが無い(完全に無い訳ではない)。まさに自由だ。

商人が見せた品々は以下の通りだが、【君が望めば他の商品を】出すかもしれない。



出っ歯>>911              ハイ>>923



君が抱える【従者】は大きな出費に対して間違いなく【口を挟む】だろう。

どうやって従者を納得させるか、理由を考えておいた方が良い。


……君は商人に何を要求する?


↓1~3 自由記述 【多数決。同数なら2D10で一番高い物を採用。”人間以外”は一度に複数選択可】


訂正

「1から7あるうちの【一番上】だ」

「1から8あるうちの【一番上】だ」


安価範囲は↓1~3


次スレのリンク張っておきます

【安価】クリエンテスとパトローヌス - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1520080957/)



君は『エルキナ』を買うと固い決意を抱いた。

他に購入したい物はあるだろうか?


出っ歯>>911              ハイ>>923



↓1~2 商品名を記述 【金の許す限りで複数選択可能】


よし! もうだいぶ経ってるし安価は取りやめ!

後は適当に埋めて下さい

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