ガヴリールドロップゲーマーズ (34)

このSSはガヴリール達がVRMMORPGの世界を楽しく冒険する冒険ものSSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1506082282

序章【大いなる決闘】


~~~~~~

ゴゴゴゴゴゴ

光が霧散し、大地が割れ、空気が砕け散り、音が裂け、嵐が舞い踊る。
激しく衝突する二つの影に対しその間に存在する全ての障害は存在することさえ許されず崩壊していく……

それはあまりにも現実離れした超越的な光景………

そう これは現実ではない。


その世界の名は
『ドロップクエストファンタジぃ・オンライン』
20XX年に発売されたVRMMORPGゲーム


今このゲームを代表する最強プレイヤー二人の争いに誰もが固唾を飲んで見守っていた。

一人は金髪の人間(ヒューマン)

もう一人は赤髪の吸血鬼(ヴァンパイア)

金色の髪を持つ可憐な少女の職業(ジョブ)は狩人(ハンター)

赤髪の活発そうな明るい少女の職業は暗黒騎士(ダークナイト)

【Gavuriru】「ちくしょう!今日という今日は許さないぞ!!大人しく私に導かれろサターニャ!!!」

【Satanikia】「そっちこそ大人しく私にやられなさい!この大悪魔サタニキア様が直々にアンタをギタギタにしてあげるわ ガヴリール!!!」

【Gavuriru】「望むところだ!お前を蜂の巣にしてから身体を八つ裂きにして燃やしてやる!!!」

【Satanikia】「私だって、アンタを斬ったり、斬ったり…えっと……斬ったりしてやるんだから!!」


人(天使)としてアレ過ぎる発言をしながら数々の貴重(レア)なトラップアイテムを惜しげもなく設置し、敵対者【Satanikia】の足止めをしつつ、そこを弓矢で的確に狙撃する金髪の狩人【Gavuriru】。

彼女のトラップの使用法は実に巧妙かつ有効的であり、弓をかわすと地雷が発動、地雷を避けると設置されたボウガンからの攻撃、さらに周囲に撒菱(まきびし)を撒き、死角に爆弾を仕掛ける。

それはMob相手にはカケラも意味をなさないであろうプレイヤーを狩る事だけに全てを特化させた外道のいやらしい人殺し(対人)の戦法そのもの。

対する赤髪の暗黒騎士の少女【Satanikia】、彼女の戦法は金髪の少女のそれと比べると実にシンプルで、

仕掛けられた数多のトラップをその両手に握る巨大な大剣で、ただ単純に正面から薙ぎ払い叩き斬る。

そして狡猾な狩人の致命的な必殺の一撃だけをその超人的な直感とスピードで避け、ただひたすらに敵を一刀両断しようとする単純な力技。


装備の質(ドロップ運)や仮想世界での肉体運動に於ける全体的な直感、センスは【Satanikia】に分があり

武具を勿論とするスキルなどの熟練度や強化直、ゲームに於ける戦闘テクニックに関しては格上の【Gavuriru】

正面突破、力の【Satanikia】と絡め手、プレイスキル、技の【Gavuriru】

両者一歩も譲らない激突が何度も繰り広げられ、いつ決着が着くのか、ここにいる全ての観衆が予想することすらままならないこの嵐のような死闘は続いていた。

~~~~~~

【Vignette】「ねぇ、ラフィ」

【Rafieru】「はい、どうしましたかヴィーネさん」

【Vignette】「私達もう帰っても良くない?」

【Rafieru】「あはは、私も本当はそうしたい所ではありますが、ほら?一応私達この戦いの立会い人というポジションですし……それに」

【Rafieru】「これだけ沢山の人を巻き込んだ以上、そうそう帰して貰えないと思いますよ」チラッ

二人の闘いを遠巻きに見物する沢山のプレイヤー達

【Vignette】「そうよね……」がっくり

【Vignette】「あぁ、なんでこんな事になってしまったのかしら……」嘆き

第1章『VRゲーム』

ラフィエル「ゲームですか?」

サターニャ「そうよ、今日はゲームをする為にこの私が直々にアンタ達を呼び出してあげたのよ、感謝しなさい」

ガヴリール「てい」頭チョップ

サターニャ「いたっ!ちょっとなにすんのよ ガヴリール!!」ぶーぶー

ガヴリール「いや、なんとなくムカついたから」

ヴィーネ「それで、ゲームをするのよね?別にいいけど何をするの?やっぱりトランプとかボードゲーム?」

サターニャ「ちっちっちっ」

サターニャ「甘いわねヴィネット、この大悪魔であるサタニキア様がそんな下劣な庶民達の遊びをする訳がないじゃない」

ラフィエル「でもサターニャさんトランプもボードゲーム(将棋とか)も普通に遊んでますよね?」

サターニャ「う、うるさいわね、あれは気まぐれでやっただけよ、き・ま・ぐ・れ」

ヴィーネ「トランプやボードゲームじゃないんなら、一体どんなゲームをするのよ?」

サターニャ「今回私たちが遊ぶゲームはコレよ!!」ババーン

ガヴリール「こ、これは……」驚愕

ヴィーネ「え、何なのこのヘンテコな機械は?」

ラフィエル「私もわかりません、でもどうやらガヴちゃんはわかるみたいですね」

ヴィーネ「そうなのガヴ?」

ガヴリール「ああ、これはつい最近発売されたばかりのVRゲームマシンとそのソフト『ドロップクエストファンタジぃ・オンライン』だ」

ガヴリール「入手困難でこの私でさえ手に入れる事が出来なかった一品なのに……」

ガヴリール「ちくしょう、なんでサターニャごときがこれを手に入れているんだよ!!」悔しそうな顔

サターニャ「ふふふ、この前偶然 懸賞が当たって手に入れたのよ」

サターニャ「しかも四つもねっ!!」

ガヴリール「うぅ悔しい…なんでこんな頭空っぽの馬鹿に四つも………」泣

ヴィーネ「ガヴ何も泣かなくても……」困惑

ガヴリール「だって…だってサターニャが……」

ラフィエル「そうですよガヴちゃん、サターニャさんが今日それで私達を呼んだという事は恐らく……」

サターニャ「その通り!3台はアンタ達にあげるわ」

ガヴリール「本当か!!」シュバ!!

ヴィーネ「食い付くの早っ!?」

サターニャ「ええ、だから泣くのは良しなさいガヴリール」ふふん

ガヴリール「サターニャ……あぁ流石私の心の友」

ヴィーネ「はぁ、ガヴったらこんな時だけ調子いいんだから」呆れ

サターニャ「ふふふ、そうよガヴリール、もっと私に感謝しなさい。なーっははは」

ラフィエル「ガヴちゃんもですがサターニャさんも同じくらいお調子者さんですよねー」にこにこ

サターニャ「それじゃあ、あんた達このゲーム機とソフトを持って家に帰りなさい」

ヴィーネ「え?一回サターニャの家で集まったのにまた帰るの?」

ガヴリール「当たり前じゃん、だってVRゲームだぞ、VRゲーム、同じ部屋でやる意味もないだろ?」

ヴィーネ「言われてみればそうだけど……なんか寂しいわね、これが現代っ子の遊びの現状なのかしら」

ラフィエル「時代はドンドン進んで行きますからねー」

サターニャ「次はゲームの中で落ち合うわよ」

第2章『キャラクターメイキング』


ガヴリール宅


ガヴリール「いや~、それにしても思わぬ所からとんだ宝が手に入ったなー」

ガヴリール「これはサターニャに借りが出来ちゃったかな?」

ガヴリール「まあ今度あいつをシメる時は少し手ごころを加えてやろう」

ガヴリール「よし、セッティング完了っと!後はこの機械を装着してゲームを始めるだけ」うきうき

機械装着

ガヴリール「それじゃ 始めるか、ゲームスタート!!!」


効果音 ポロローン

『ドロップクエストファンタジぃ・オンライン』へ、ようこそ!』

ガヴリール「おぉ、すげぇ声が頭の奥に響いてくる、これがVRと言うやつなのか」

『このゲームは壮大な異世界で発見された新大陸『シシリアン島』を探索する数多くの冒険者の一人になって冒険するVRMMORPG作品です。』

『それでは早速、キャラクターを作成していきましょう』

『それではまず貴方の名前をお聞かせ下さい』

ガヴリール「ここは無難に【Gavuriru】で」

『プレイヤーネーム【Gavuriru】様ですね』

『次は性別の設定です。』

ガヴリール「まあ、もちろん女だよな」

『あなたの種族を決定して下さい。種族の特性によってキャラクターのパラメーターが変わる為、慎重に考えて決定する事をオススメします。』

ガヴリール「うーむ、種族か、人間、エルフ、ハイエルフ、ドワーフ、獣人系統なんかを基本とした定番系は勿論全部揃っているとして……」

ガヴリール「吸血鬼、エイリアン、地底人、野菜人、ワーム、ゴーストとかその他ニッチなアンデット系もろもろ……種族だけで100を超えてるぞ!?」テンションUP

ガヴリール「しかも8割がネタ枠みたいな種族ばっかりだ」わくわく

ガヴリール「ま、こういう場合は一番性能に偏りの無さそうな人間(ヒューマン)で決まりなんだがな」冷めた目
(*廃ゲーマー特有の遊びのない種族選び発動中)

『貴方の職業(ジョブ)を決定して下さい』

ガヴリール「種族の時で大体想像がついてたけど職業もめちゃくちゃ多いな……」

ガヴリール「ただこっちは職業と違って多くてもあんまテンション上がらないんだよなー」

ガヴリール「後半 上位職を獲得する為にここに載ってる職業を掛け持ちして経験値稼ぎするんだろうな~とか思ってしまうとさ」ハイライトオフ

ガヴリール「職業、これは最初から決めていた弓使い(アーチャー)で」

『最後にキャラクターの容姿を設定します。容姿を変更しますか?』

ガヴリール「別に容姿は変えなくてもいっか、私達は元から下界人離れした見た目だし」

ガヴリール「いいえ で」

『以上をもってキャラクターメイキングは終了です。それでは壮大なドロップクエストファンタジぃ・オンラインの世界を堪能して下さい』

ガヴリール「よーし、始めるぞ!」

第3章『合流』

数分後

ガヴリール「あれから約15分くらい長ったらしい初歩的なチュートリアルがあっただなんて……」

ガヴリール「ネトゲゲーマーとしては予測しておくべきだったが、VRで浮かれて頭になかった……」

ガヴリール「不意打ちで来た分ストレスがヤバい」

ガヴリール「何が『ドロップクエストファンタジぃ・オンラインの世界を堪能して下さい』だよ、お前がそれ言ってから全然堪能出来てねぇんだっての!」

ガヴリール「はあ、このチュートリアル終了ボタンを押せば最初の町に行けるのか」

ガヴリール「気を取り直してゲームを始めますか」

ポチ

はじまりの町『スイラ』

ガヴリール「うおー、すげー、めっちゃ綺麗」ご機嫌回復

ガヴリール「ここが最初の町か、ザ・はじまりの町感がやべー」

ガヴリール「まさかこれをリアルで見れる日がくるとは……まあこれもゲームなんだけど」

ヴィーネ「ガヴ~」

ガヴリール「おうヴィーネ、こっちだぞ」

サターニャ「私たちもいるわよ!!」

ラフィエル「ガヴちゃん、お待たせしましたー」

ガヴリール「おー、みんな揃ったか」

ガヴリール「正直もっとぐだぐたした感じで集まるかと思ったけどこれは幸先が良さそうだな…」

サターニャ「なによ、ぐだぐたって 酷いわね!」ぷんすか

ヴィーネ「まあまあサターニャ、ゲームの世界にまで来て一番にケンカしなくても……」

サターニャ「はあ、それもそうね」

ラフィエル「それで無事合流出来た訳ですが、次はどうすれば良いのでしょうか?」

ラフィエル「チュートリアルではクエストという物を進めて行けばいいと言っていましたが……」

ラフィエル「是非ゲーム熟練者のガヴちゃんご教授お願いします」

ガヴリール「あー そうだな、ならまずはフレンド登録からするか」

ヴィーネ「フレンド登録?なんなのそれは?」

ガヴリール「フレンド登録ってのは名前の通り友達を登録する機能だな」

ガヴリール「これを登録すれば仲間のステータスとかログイン情報が確認出来たり、メッセージを送ったりする事が出来るんだよ」

サターニャ「ふーん、便利な機能があったものね、褒めてつかわすわ」

ガヴリール「お前は一体何様だよ」

ヴィーネ「友達を登録する機能……ガヴ、登録しないと友達が出来ないだなんて、やっぱり最近のゲームは子供の教育に悪いんじゃないの!?」

ガヴリール「確かにそう言われてみると現代社会の闇を感じる機能だけど、ヴィーネの考え過ぎだって」

ガヴリール「若いうちからそんなオカンみたいな事ばっか言ってたら、早くに老けちゃうぞ」

数分後

ラフィエル「これがガヴちゃんのステータスですか」

ラフィエル「弓使い(アーチャー)の人間(ヒューマン)ですか、なんというか普通ですね」

ガヴリール「まあこういうゲームじゃ、後半はともかく序盤は無個性であればあるほど逆に強いみたいな所あるから」

ヴィーネ「そうなの?」

ガヴリール「ああ」

ラフィエル「じゃあ私のキャラクターは少し微妙かも知れませんねぇ」

ガヴリール「そうなのか」

ラフィエル「少し偏った種族と職業にしてしまいました」

ガヴリール「ふーん、ラフィエルのステータスはっと」

ガヴリール「機凱種(アンドロイド)の鍛冶屋(ブラックスミス)か……これまた味付けの濃そうな…」

ヴィーネ「確かによくみるとラフィの見た目機械っぽい所があるわ」

サターニャ「そうね、人間のガヴリールはともかく私達はなんとなく見た目の雰囲気が変わっている感じがする」

ラフィエル「これも種族間によるパラメーターの差の一環のようですね」

ガヴリール「機凱種がどういう種族かはまだよくわからないけど鍛冶屋が序盤不利なのは確かだな」

ラフィエル「そうなんですか?」

ガヴリール「ああ、生産職はMMOじゃ基本不利なんだよ」

ガヴリール「最初にレベルを上げようにも戦闘向きじゃないからレベルが上がり辛いし、素材も中々集まらないから肝心の生産もやり辛い」

ガヴリール「最初の職業で生産職を選ぶのは、ネトゲ初心者がやっちゃう失敗例の代表例の一つって感じだな」

ラフィエル「そうだったんですか…」

ガヴリール「まあ気にするな、ソロプレイだったらともかく、幸い私たちは最初から4人いるから」

ガヴリール「みんなでラフィをカバーすればすぐにレベルも上がって強くなれるよ」

ヴィーネ「そうよ、私達もラフィを手伝うから大丈夫よ」

サターニャ「任せておきなさい!その代わりにアンタが使える様になったらその分こき使ってあげるんだから」

ラフィエル「みなさん、ありがとうございます」

ガヴリール「さて、次はヴィーネか、ヴィーネのステータスは……」

ガヴリール「妖精(フェアリー)の魔法使い(ウィッチ)か…うん、これはポテトチップスのコンソメ味くらい間違いないやつだな」

ガヴリール「この組み合わせは大抵のゲームでも種族と職業の相性が抜群にいいと相場が決まっているから心配は要らないな」

ラフィエル「ヴィーネさんは妖精になった影響で背中に羽と少し身体から光のようなものが漂っていますね」

ガヴリール「ネタとしての面白味はないけど、まあゲーム初心者のヴィーネにしてはいい選択じゃないの」

ヴィーネ「ガヴ」

ガヴリール「で、最後に一番心配そうな奴な訳だけど……」

ヴィーネ「特に見た目に変化はないわね」

ラフィエル「いえ、少し肌の色がいつもより白い気が…」

ガヴリール「サターニャは、吸血鬼(ヴァンパイア)の剣士(ソードマン)」

一同「……………」

ガヴリール「わからん、ラフィの機凱種と同じく吸血鬼がどういう種族かイマイチわからんからこのチョイスがどうなのかが……」

ガヴリール「でも、剣士はお前にしてはいい選択だと思うぞ、お前の事だからもっと変な職業にすると私は思っていたし」

サターニャ「ふふん、それはなんかネットで最初は剣士が一番強いとか大きく書いてたから選んだのよ」

ヴィーネ「言われてみれば周りの初心者も剣士っぽい装備の人が多いわね」

ガヴリール「ほう ネットか、お前にしてはいい心がけだな」

ガヴリール「じゃあその吸血鬼もネットで強いと言われているのか?」

サターニャ「知らない」

ガヴリール「はあ?」

サターニャ「だって公式サイトを見にいった時に下の欄に序盤最強は剣士って書いてあったのをみただけだし」

ガヴリール「バカだな」

サターニャ「なんですって!!」

ガヴリール「これが剣士だから恐らくその情報に間違いはないだろうから良いが、ネットのしかもよく調べもしない攻略情報だぞ?」

ガヴリール「悪質プレイヤーによる情報操作系の嫌がらせの可能性のが普通に大きいからな!」

ガヴリール「そんなもん間に受けて悲惨な目にあうのは頭がアレなお前でもわかってるもんだと思ったが……」やれやれ

ガヴリール「まあ少なくとも基本 剣士にハズレはないから安心しろ」

ラフィエル「なんだか今日のガヴちゃん、いつもより頼りになりますね」

ヴィーネ「そうね、やっぱりゲームの中だからかしら」

サターニャ「そういえばガヴリール、アンタの職業は弓使いだけどなんでなの?」

ガヴリール「?」

サターニャ「剣士にハズレが無いんだったら別に剣士でも良かったんじゃないの?」

サターニャ「それに周りをみた感じ、弓使いっぽい装備している奴がほとんどいない気がするし……」

ガヴリール「ああ、それはだな」

ガヴリール「弓使いっていうのもそれこそ序盤不利職の定番だからだな」

サターニャ「はあ、なんでよ!?弓強そうじゃない遠くから狙って撃つ、どこに弱い要素があるのよ?」

ガヴリール「ゲームにもよるが、弓を撃つ為の矢を買うお金がまず序盤ではあんまり手に入らない」

サターニャ「あっ」

ガヴリール「しかも戦闘の度に矢を消化して買う訳だからなかなか強い装備も買えない」

サターニャ「確かに!」

ガヴリール「更に言うなら矢の数が決まっている以上、敵に攻撃出来る回数の上限が事実上決まっているし、そもそも弓は必中じゃないから絶対当たる訳でもない」

サターニャ「なによそれ、ハズレもハズレ 大ハズレの職業じゃない!!なんでそんなダメダメ職業をあえて選んだのよ!?」

ガヴリール「だから私にも考えがあるんだって」

サターニャ「考え?考えってなによ?」

ガヴリール「それは戦いになったらわかる」

サターニャ「?」

第4章『はじめての戦闘』


ガヴリール「という訳で初戦闘に向かってる訳だけど……」

サターニャ「ばたんきゅ~……」ぐったり

ガヴリール「なんでまだ戦ってもないのにお前のHPは半分になってるんだよ!?」

ラフィエル「どうやら吸血鬼は日に当たると徐々に体力が減っていくようですね」

ガヴリール「クソ過ぎる……」

ヴィーネ「安心してサターニャ、私が魔法で回復してあげるから《ヒール》」ピカピカ

サターニャ「ぐぎゃあーーー」ビリビリ

一同「!?」

ヴィーネ「え、ウソ…確かに今回復の魔法を使ったのに……」

ラフィエル「多分吸血鬼なので聖なるものを身体が受け付けず回復魔法がサターニャさんには攻撃魔法になるのかと……」

ラフィエル「私たちの世界と同じですね」

ガヴリール「圧倒的クソ種族過ぎる!!!」

ガヴリール「もうHPゲージ1割しか残ってないぞ?こんなんで初戦闘勝てるのか?」

ガヴリール「ていうかこれどうやったらHP回復すんだよ」

ヴィーネ「普通に考えれば血を吸うんじゃないの?」

ラフィエル「それはおもしろ……いい考えですね」

ラフィエル「ささ、サターニャさん好きな人の血を吸って下さい」

サターニャ「うーん、じゃあガヴリール!」

ガヴリール「なんでだよ!?普通に嫌なんだけど」

サターニャ「えー、だってこの中じゃアンタが小ちゃくて丸っこくて美味しそうじゃない」

ガヴリール「小ちゃくて丸っこい身体で悪かったな」

ヴィーネ「小ちゃくて丸っこいって……サターニャ、それ割とガヴ以外の女子に言ったら絶交する事間違いなしのキラーワードだから気をつけなさい」

ラフィエル「まあそういう打算抜きで思った事をいうのがサターニャさんなので……」

ガヴリール「だからこいつ友達が少ないんだけどな」

サターニャ「うるさいわね!!」

ガヴリール「ていうか私がサターニャが好きとか嫌い以前に妖精のヴィーネの方がHPもMPも豊富なんだからヴィーネから血を吸った方が効率いいだろ」

サターニャ「言われてみればそうね、ヴィネットちょっと首貸しなさい」バッ

ヴィーネ「ちょ、サターニャなにを……キャ」じたばた

自主規制

ガヴリール「うわぁ、なんかヴィーネさんめっちゃエロい……」

ラフィエル「ヴィーネさん、エロエロですねー」

ガヴリール「でもこれ男の吸血鬼とかだったら同性同士とかで血を吸うと思うとなんかむさ苦しいし、なんというか悲しい風景だよな」

ラフィエル「まあゲーム越しとはいえ、初対面の男性に首を差し出す女性はそうそういないでしょうから、男性の吸血鬼さんはそうなりますよねー」

ガヴリール「あるいはネカマの血を吸うか……」

ガヴリール「サターニャ女で良かったな」

ラフィエル「女で良かったですねー」


ヴィーネ「うぅ酷い目に遭ったわ……」

サターニャ「ふぅ、すっかり回復したわ、これで元気ハツラツよ!!」ぶんぶん

ガヴリール「おい、サターニャ、またみだりに動き回って日光を浴びまくったら体力が減るだろ」

ガヴリール「太陽が極力当たらない様に出来るだけ私たちの後ろの影を歩くようにしろ」

サターニャ「はーい」

~~~~~

ラフィエル「着きましたね」

サターニャ「なに?この青くてぷよぷよした弱っちそうな奴が敵なの?」

ガヴリール「そうだ、これが今回の敵の【青色軟体生物】だ」

ヴィーネ「【青色軟体生物】?スライムじゃなくて?」

ガヴリール「ああ、なんでもゲームを作った企業間での大人の事情でこんな感じの残念な名前になったそうだぞ」

ヴィーネ「それは深く聞かない方が良さそうね」

ガヴリール「うん、そうした方がいいと私も思う」

サターニャ「とりあえず戦いましょう!はやくはやく」

ガヴリール「はいはい、わかったわかった。」

ガヴリール「それじゃあみんな戦闘準備をしろ、最初は自分達が何が出来て何が出来ないかも把握出来ていないから、特に作戦もフォーメーション決めない、自由にやれ!」

一同「了解~」

ガヴリール「それじゃあ、戦闘開始だ!」

数分後


サターニャ「ぬぅ~、攻撃が全然当たらないんだけど!!」スカスカ

ラフィエル「なぜでしょうか、敵もそこまではやく動いている様には見えないのですが……」

ヴィーネ「私も今一つ狙いを定めて魔法を撃てないわ……」


シュタ!シュタ!シュタ!

ガヴリールはスライムを三匹倒した。


ガヴリール「ふぅ、まあこんなもんかな」

サターニャ「なんでよ!?」

サターニャ「なんでアンタばっかり攻撃が当たってんのよ?さてはズルをしているわね ズル」

ガヴリール「おい おい、言いがかりはやめろサターニャ」

ガヴリール「これが私が職業を弓使いにした理由だよ」

サターニャ「?」

ガヴリール「このゲームをやる前から大体想像はついてたけど、これはVRなんだろ?」

ガヴリール「なら普段自分が使わない様な道具で戦ってそう簡単に攻撃が当たるわけないじゃん」

ラフィエル「確かにそうですね」

ガヴリール「例えばサターニャ、お前がバカみたい振り回してるその剣、そんなもん日常で使わないから、お前 間合いとか重さ、速度そういうの考えて振ってないだろ?」

サターニャ「ええ……」

ガヴリール「ヴィーネの魔法も、ゲーム向けで杖の先の当たりから魔法が出るみたいだけど、なまじ本物の魔法を使える分感覚が狂うんだろうし」

ヴィーネ「そうね」

ガヴリール「こういうのは、慣れればすぐモノに出来るんだろうけど 私はそれ以上に使い慣れた武器(弓)があったから弓使いできたんだよ」

ガヴリール「それでこのゲームのこと弓に関してのプレイスキルは最初から一流な訳だよ」

ラフィエル「ふむ、さすがガヴちゃん中々に深い考えあっての職業選びだったんですね」

ラフィエル「要するにサターニャさん達はあの悪魔のフォーク的なものを使えばサクサク的に攻撃を当てる事が出来るようになると……」

ヴィーネ「そんなものこの世界にあるのかしら?」

ヴィーネ「それにあったとしてもすごく世界観が壊れそう」

ガヴリール「そこはアレだよ、MMORPGなんて世界観壊してナンボみたいな所あるし」

ヴィーネ「そうなの?」きょとん

ガヴリール「ああ、そうなんだよ」

ガヴリール「とりあえずお前達は、もう一回ちゃんと素振りとかをして武器の間合いとか使い心地に慣れればいいよ」

ガヴリール「それで戦闘も大分マシになる筈だぞ」

一同「はーい」

更に数分後

サターニャ「なーっははは、だんだん当たるようになってきたわよ!!」

サターニャ「この調子でさっきまでの恨み果たしてやるわ!覚悟しなさい、このスライム…じゃなくて青色軟体生物っ!!!」

ガヴリール「最初の敵で特に反撃もして来ないし、お前別にこいつらに恨みもなにもないだろ……」呆れ

ヴィーネ「でも、こういうのは気分って言うしサターニャみたいな遊び方が実は一番楽しいんじゃない?」

ガヴリール「言われてみればそうだな、普段からしてる効率重視のMMOを意識してたけど、みんなでやるんだったらそう言うのもアリかもな…」

ヴィーネ「ガヴ……」

ガヴリール「それじゃあ私も……」

ガヴリール「ちくしょう、なんで毎日毎日頻繁に学校の宿題が出るんだよ!!うち高校だろ!?ふざけんなよグラサン!!!」

シュタ!シュタ!シュタ!

ヴィーネ「いや、ガヴそれは遊びじゃなくてただの八つ当たりじゃ……」呆れ

ラフィエル「ガヴちゃん達 楽しそうですね」

ラフィエル「私もやりますよー えい えい」


ドカーーン!!! ドカーーン!!!


一同「え?」

ラフィエル「……………」

サターニャ「い、今の爆発はなに!?」

ヴィーネ「私にはラフィの槌(メイス)で叩かれたモンスターが一瞬で爆散したようにみえたけど……」

ガヴリール「はあ?こんなの普通あり得ないだろ!!一体どうして………はっ!」

ガヴリール「ラフィエル……お前」

ラフィエル「ふふ、バレちゃいましたか」てへぺろ

ヴィーネ「一体どういう事なの?ガヴ」

ガヴリール「こいつ…ラフィは課金してる……しかも多分それなりの額」

サターニャ「課金?なによそれ」

ガヴリール「ゲームにリアルのお金を使ってアドバンテージを貰うシステムだよ」

サターニャ「え、なにそれズルい、卑怯よ!」

ガヴリール「それは人によって考え方が違うから特に何も言えないが、さっきの青色軟体生物の爆散は課金ブーストされたラフィの攻撃翌力がアレの防御力、体力を遥かに上回った結果の現象だったんだ」

ヴィーネ「でもいくらなんでも、課金をしてそんな爆散する程の威力の攻撃になるの?」

ガヴリール「私もこのゲームをそこまで知らないから確かな事は言えないけど、多分なるんだろ」

ガヴリール「相当な金を積めば…あるいは………」

ヴィーネ「?」

ガヴリール「説明するとだな、このゲームに課金武器や防具、アイテムの要素はないが料金コースと追加オプションって言うのがあるんだよ」

サターニャ「料金コース?」

ガヴリール「こういうゲームには料金コースと言って一度買えば期間内の間、攻撃翌力や獲得経験値がちょっとだけ上昇するシステムがあるんだよ。」

ガヴリール「そしてラフィはそれを恐らく全部併用して使っている……」

サターニャ「じゃあ私もそのコースって言うのに入ればラフィエルみたいに強くなれるの?」

ガヴリール「やめとけ、さっきも言ったようにコースは一定期間限定で大抵は一カ月くらいで効果が切れるし」

ガヴリール「しかも一つにつき大体数千円と言う金が掛かり、それでないよりはマシくらいの補正しか受けれない」

ガヴリール「ラフィ位のパワーアップをしようと思ったらそれこそ数万円は余裕でするぞ……」

サターニャ「そうなんだ…」しょんぼり

ガヴリール「こっち系のブーストは自力があればあるほど強くなるというのによりにもよってこんな最序盤で普通使うか!?」

ラフィエル「さっきガヴちゃんに生産職は戦闘する力が低くて最初はやり辛いと聞いたのでついつい~」

ガヴリール「絶対それついついで使う額じゃないからな!この金持ち巨乳め!!!」

ヴィーネ「いや巨乳は関係ないでしょ」ジト目

ガヴリール「あー、良いなぁ、めっちゃ羨ましい」

ヴィーネ「まあまあ ガヴ、これでチーム全体の強さが上がったと思えば ね?」

ピコーン 【Rafieru】のレベルが3つ上がった!

ガヴリール「ちくしょう、こうなったらラフィエル 絶対お前の倍は強くなってやるからなっ!!」

ラフィエル「望む所ですよー」


こうしてガヴリール達のVRMMORPG世界での冒険の幕は開けたのでした。
彼女達の冒険がいずれこの【ドロップクエストファンタジぃ・オンライン】の歴史を大いに揺るがす大事件を起こすとも知れずに……


つづく

以上、ガヴリール達がVRMMORPGの世界を楽しく冒険する冒険ものSS ガヴリールドロップゲーマーズでした。

とりあえず謝罪でこのSSは続き物系SSです。すみません
それとここまで読めば言わなくてもわかる通りこのSSは自分の過去作、ガヴリールドロップストーリーとは一切関係ないまったくの別作品です。

このSS実の所最初はガヴリールドロップストーリーのテコ入れ回でMMOとかやったら楽しそうだなーっと思ったものの、後からでもほのぼの日常系の作風には合わないなと言う事で今回のような別作品として出す事になりました。

本当は昨日のガヴリールドロップストーリーPLUSの終了と同時にカッコよくサプライズ的にこのSSもあげる予定でしたが、思った以上に筆が乗ってまるまる一日遅れて出すという、とんでもなくダサいサプライズになってしまいました。

それではこのSSが気に入ってくれた人は是非次もガヴリール達の冒険も応援して下さい。


過去作

ガヴリールドロップストーリー

ガヴリールドロップストーリーVol.2

ガヴリールドロップストーリーPLUS


しかし、オンラインゲーに詳しいな
これが当たり前なのか?

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