棟方愛海「愛と!」 南条光「正義の!」 (55)


若干百合です

一部過激な描写については、検閲の上適切に処理しておりますので、安心してお読みください




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1504976084




~南国~


P「――で、5時になったらバスが来るから、各自それまでに、出発準備しておくことー」


ハーイ


P「それじゃ解散だけど。改めて……今回のイベントは大成功だ! みんな、お疲れさん!」


オツカレサマデシター!!


ワイワイ


ガヤガヤ










愛海「……はぁぁ」トボトボ


愛海(イベントはバッチリ、大盛り上がりだったけど……)

愛海(今年の夏は、結局誰のお山にも、登れず終いだったよぅ)

愛海(トホホ……)

愛海(いやトホホって。今時トホホって)

愛海(でもトホホな時は、本当にトホホって感じだし、トホホって初めて言った人はすごいよねぇ……)

愛海(……一応、声に出して言っておこう)


愛海「トホホ……」トホホー


トントン


愛海「……ふぇ?」

柑奈「……」

愛海「柑奈さん?」

柑奈「んふふ♪」ニンマリ

愛海「あの、みんなもう行っちゃいま――……」

柑奈「シーッ」

愛海「へ……?」

柑奈「……」コッチコッチ

愛海「……?」


トテトテ







愛海「柑奈さぁ~ん、危ないよぉ、こんな岩だらけのところ~」

柑奈「大丈夫、ほら、こっちこっち♪」

愛海「えぇ……、どうしちゃったの、もう……」

柑奈「……愛海ちゃん、今回の野外ライブは、とってもがんばってましたね」

愛海「へ? ま、まぁ……、あたしもアイドルだしね、やるときはしっかりやらないと――……」

柑奈「んふ、偉い偉い」ナデナデ

愛海「柑奈さん?」

柑奈「そんな愛海ちゃんには、ちょっとだけ……」

愛海「!」

柑奈「ご褒美、です♪」ハラリ

愛海「オッ、オォッ! オォォーーーーッッ!!」







【検閲削除済み】











愛海(あぁ……感じる、大きな愛を……恵みを……)

愛海(お山が育む自然が、水を清らかにして……)

愛海(その水が海へと流れ込み、海を育む……)

愛海(海はやがて雲をなし、雨を降らせ、またお山を豊かに――……)


愛海「ほぁ……ほぁぁ……」


愛海(サイズじゃない、もっと大きな何か、そのごく一部のような……)

愛海(たとえばそう、五島の美しい自然……、それを支える美しいお山……)


愛海「――そう、まさしく五島の父ヶ岳(テテガタケ)――……」

柑奈「よく知ってますね、愛海ちゃん」







※参考 五島市観光協会:http://www.gotokanko.jp/contents/sightseeing/detail.php?id=77


愛海(溢れてくるようだよ、目には見えない、何か大きなものに対する、感謝の気持ちが……!)

愛海(これが……愛……)

愛海(ありがとう……ありがとう……)



愛海「ありがとう……」

柑奈「どういたしまして♪」スッ

愛海「あっ……」

柑奈「愛海ちゃんの気持ち、私は分かりますよ」

愛海「あの、もうちょっと……」

柑奈「スキンシップは、一番シンプルで、一番力強いラブ! 愛海ちゃんはそれを知ってるんですよね♪」

愛海「ちょっと、あの、せめてもうワンタップ……」

柑奈「生まれたばかりの赤ちゃんでも、誰からも教わらずにそれを知っている触れ合いの大切さ。それは……」

愛海「あの……」

柑奈「それは愛! やっぱり愛海ちゃんが求めるのはビッグなラブ! 私ラブ&ピース分かっちゃったんですけど!」

愛海「あぁん全然人の話聞かないこの人!」










~事務所~


トタタタッ


光「~♪」タタタ

梨沙「あっ、光! 柑奈帰ってきてるって」

光「聞いた! 今から行くとこだ!」

梨沙「ああ……それで走っちゃって」

光「新しい詞を作ったんだ! 柑奈さんに見てもらおうと思って!」

梨沙「はいはい、分かったから行ってらっしゃい」

光「うん! また後でな!」タタタタ

梨沙「ハァ……まったく、お子様ねぇ」

P「お、なんかあったか?」

梨沙「ヒィッ! ロリコンッ!?」

P「やめてそのガチっぽい感じ!」

光「ハッ……ハッ」トタタ

柑奈「ギブミーギブミー♪」

光「……!」

光(いた……っ!)

光「柑奈さんっ」

柑奈「おくれよおくれよ兵隊さ…………あっ、光ちゃん! 久しぶり~」ヒラヒラ

光「ああ! 久しぶり! 柑奈さん、ちょっと焼け――……」


愛海「うぇへへ……柑奈さぁ~ん……」スリスリ


光「……」

柑奈「あはは、南のほうのお仕事でしたからね、野外に結構いましたし……」

光「……あの」

柑奈「でも故郷にいたころは、夏場はどうしてもこれくらい焼けて……ん? 光ちゃん?」

光「あの、膝の上……」

柑奈「んふふ……、こうしてると愛海ちゃん、猫みたいですよねぇ」

愛海「あ、光ちゃん、お久~」

光「愛海ちゃ……久しぶり……。そっか、愛海ちゃんも一緒のイベントで……」

愛海「そうだよ~、ねー柑奈さぁん」

柑奈「ねー」

愛海「うへへぇ……」ソーッ

柑奈「そっちはお預け、ですよ」ペチ

愛海「うひひぃ、叱られちった……」スリスリ

光「……」ムムッ

柑奈「光ちゃん、何か用でしたか?」

光「そ、そう! 実は、また歌詞を作ってみたんだ!」

柑奈「ヒーローソングですか? わぁ、私も見せてもらいたいです!」

光「もちろん! それで、良かったらまた曲をつけてもらいたいんだけど――……」

柑奈「うふふ、喜んで♪」

光「いいのかっ!? だったら……コホン、……愛海ちゃん!」

愛海「……ふぇ?」

光「聞いただろっ。これから柑奈さんに、作曲してもらうんだから! そこにいたら、柑奈さん動けないじゃないか!」

愛海「えぇー」

光「ぎ、ギターだって持てないだろうし」

愛海「駄目ぇ? 柑奈さぁん?」

柑奈「うぅーん、そうですねぇ、ずっとお膝だったから、ちょっと痺れてきちゃいましたし……」

光「ず、ずずずっと……っ! エターナル!? ネバーエンド!?」

柑奈「光ちゃんは英語もよく知ってるんですねぇ」

愛海「うぅ、ごめんなさい……」シュン

柑奈「いいんですよ、ラブは補給できた?」ナデナデ

愛海「いっぱいできたのぉ~♪」デレデレ

光「……か、柑奈さんっ」ムーッ

柑奈「あっ、ごめんごめん!」






光「……――だから、ここはちょっと、アップテンポにして……」

柑奈「うーん、それじゃあ……」ジャラン

愛海「……」

柑奈「フーンフーン♪ フンフフーン♪」ジャカジャカ

光(チャーラーヘッチャラーっぽい……)

愛海(なんかチャーラーヘッチャラーっぽい……)

柑奈「頭空っぽの方が~夢詰め込め~る~♪」ジャカジャカ

光「やっぱりドラゴボだ!」

愛海「やっぱりドラゴボだった!」

柑奈「二人ともドラゴボ派かぁ……」

愛海「え? 他にあるの略し方」

光「って、愛海ちゃん!」ムー

愛海「ん?」

光「今はアタシが柑奈さんとお話してるんだぞ! 愛海ちゃんは後!」

愛海「え~、いいじゃん別に~」

光「愛海ちゃんはさっきまでずっと、柑奈さんと一緒だったんだろ! 今はアタシの番!」

愛海「そんな順番なんて、別に決まってないでしょ」

光「だって、独り占めじゃないか柑奈さんのこと」

愛海「それ言ったら、光ちゃんだって――……!」

柑奈「はいはいは~い!」ジャカジャカジャン

光「!」

愛海「!」

柑奈「喧嘩はいけませんよ! ピースです、ピース!」

光「か、柑奈さん……」

柑奈「もしも、ピースが足りなくて、仲良くできないなら……」

愛海「ぅ……」

柑奈「歌いましょう! 二人も一緒に!」

光「えぇ……」

柑奈「心を繋ぐ歌がある……想いを繋ぐ曲がある……」

愛海「NHK歌謡コンサートみたいになってるけど」

柑奈「ではご一緒に! 光る雲を突き抜けfly away~♪」ジャララン

光「ドラゴボだ!」

愛海「ドラゴボだ!」







チャーラー

ヘッチャラー



菜々「?」ヒョコ

みく「なんにゃなんにゃ」


愛海「笑顔ウルトラZで~♪」

光「今日もアイヤイヤイヤイヤ~♪」


みく「……ドラゴボにゃ……」

菜々「あぁ……今はドラゴボって略すんですねぇ」

みく「ナナチャン?」


スパーキン!!!!










~別の日~


光「うぅ……」ヨタヨタ


光(今日のレッスンは、格別ハードだったな……)

光(あれはもう特訓……、怒りの特訓……)

光(ヒーローには過酷な訓練はつきもの! だけど……)


光「ちょっと、横に……ぅぅっ」ヨロ

柑奈「あれ? 光ちゃん?」

光「あっ、柑奈さん!」

柑奈「珍しいですね~、光ちゃんがソファでゴロゴロしてるなんて」

光「違うんだ! これはっ……あうっ!」ビキビキ

柑奈「どうしたの?」

光「ふふ、レッスンで、ちょっとさ。けれどヒーローは、これくらいでへこたれないっ! どんなボロボロになっても、悪に立ち向かって見せるっ!」

柑奈「あぁっ、駄目です光ちゃん! そんな身体で変身なんて!」

光「止めないでくれ、柑奈さん……。アタシには聞こえる、ヒーローを待っている、みんなの声が――……」

柑奈「光ちゃんっ!」

光「いくぞっ! 変っ、し――……いででで」ビキン

柑奈「あららら、ほんとに駄目そうですね……、ほら、横になって」

光「うぅ……、ありがとう、柑奈さん」

柑奈「どういたしまして♪ ……ごめんね、ついノセちゃって」

光「いや、……っていうか、結構ノリいいよね、柑奈さん……」

柑奈「うふ、結構好きですから、こういうの♪」

光「あぁ……」ダラー

柑奈「……」

光(……だらしない恰好、見せちゃってるな)

柑奈「……」

光(ヒーローらしくないぞ、南条光……)

柑奈「……マッサージ」

光「へ?」

柑奈「してあげよっか?」

光「マ――……」

柑奈「……」ニンマリ

光「いいい、いやいや! 大丈夫! 大丈夫だからっ!」

柑奈「そう?」

光「ほ、ほんとに。休んでるだけで大丈夫っ」

柑奈「そっかぁ、残念」

光(残念なんだ……)

光「……」

光(……こんなとき、愛海ちゃんだったら……)

光(……)


~~~~~~~~~~~~



愛海「うわぁ~い♪ 柑奈さんのマッサージ!」

愛海「あたしマッサージ大好きぃ~」

愛海「するのも、されるのも……ね」ヒヒッ

愛海「そうだ!お礼に柑奈さんにもあたしのスペサルマッサージを……」

愛海「うひひひっ♪」



~~~~~~~~~~~~


光「……」

光「…………」

光(マッサージは、ちょっと照れくさいけど……)

光(ひ、膝枕……だったら)

光「……」チラッ

柑奈「……~♪」

光「あの……」

柑奈「どうかしましたか?」

光「……や、やっぱりなんでもないっ」

柑奈「?」



ガチャリ


愛海「ふぇぇ……」ヨタヨタ

光「愛海ちゃん」

柑奈「お疲れ様――……大丈夫?」

愛海「二人ともお疲れ様ぁ~……ふぇぇぇん……」

柑奈「くるみちゃんみたいになってますね」

愛海「柑奈さぁ~ん! レッスン超キツかったよぉ~~~!」ポフン

光「!」

柑奈「あらら……、よしよし、お疲れ様」

光(ご、ごく自然に膝枕を……!)

愛海「もうだめ……、お山を狙う気力もない……、アルピニスト失格だよぅ……」ビキビキ

柑奈「まあまあ」ナデナデ

光「……」

愛海「柑奈さんん……」

柑奈「辛そうだし、マッサージでもしましょうか?」

愛海「ま、マッサージ! うわぁい! あたしマッサージ大好き♪ するのもされるのもぉ♪」

光「すごい、かけらも予想を裏切らない」

愛海「光ちゃん?」

光「な、なんでもない! なんでも……」

柑奈「はい、じゃあ背中向けて~」

愛海「はぁ~い」ゴロン

光「……」

柑奈「一番痛いのは、脚かな?」モミモミ

愛海「あぁ^~」

光「…………」

柑奈「昔はじっちゃんにも、よくこうしてたなぁ……」

愛海「癒される~……」

光「………………」

愛海「柑奈しゃぁ~ん、今度は腕の――……」

光「あ、愛海ちゃんっ!」

愛海「光ちゃん?」

光「この間から思ってたけど、愛海ちゃん、ちょっと柑奈さんに甘え過ぎだぞ!」

愛海「なに~? だめなのぉ?」

光「だ、だめだよ! そんなにベッタリだと、柑奈さんだって、その、えっと、いろいろ忙しいんだから!」

柑奈「私は好きですよ? こうしてみんなと一緒にいるの」

光「~~~~~!!」

愛海「っていうか、なんで光ちゃんにそんなこと、言われなくちゃならないのさ!」

光「わ、私は……!」

愛海「……」

光「柑奈さんは、大切な仲間だし……っ、あ、相棒はPで、一緒に戦う仲間が柑奈さんで……」

愛海「……」

光「だから……、柑奈さんが優しいのは、知ってるし……でも、でも愛海ちゃんは、いっつも甘えてるだけで……っ」

愛海「……」

光「だ、だから、その……っ!」

愛海「光ちゃん……」

柑奈「まあまあ、光ちゃん、落ち着いて」

光「……っ、と、特訓に行ってくるっ!」ダッ

愛海「あっ……ヒカ――……」

光「フギャッ」ビキッ

柑奈「あらら」

光「うぅ……」ヨタヨタ


ガチャ


バタン


愛海「……」

柑奈「心配ないですよ♪」

愛海「……」

柑奈「光ちゃんは、優しいヒーローさんですから」ナデナデ


愛海(光ちゃん――)









~別の日~


P「うーん……」ガシャガシャ

愛海「ねぇ、プロデューサーぁ……」

P「おー、愛海かー、どうしたぁー?」ガシャガシャ

愛海「ガシャガシャ音がする謎の仕事してるところ悪いんだけど」

P「いや、大丈夫だぞ。白紙の封筒を開けるだけの仕事なんだし。……どうした?」

愛海「あのさ……、前にあった怪盗公演の映像って、ある?」

P「ああ、DVDならあるぞ。……ええと、確かここに……、……あった!」

愛海「あ! ……ちょっと、それ借りてもいい?」

P「おう、いいぞ。みんなの演技をしっかりチェックして、愛海も勉強しとけよ」

愛海「えぇー……、でもあたしだって、結構演技イケてたと思うけど」

P「だってお前、良かったけど、あの狼役はお前、あれは素じゃん」

愛海「素じゃった?」

P「スジャータ」

愛海「スジャータ♪ スジャーター♪」

P「褐色の恋人ね。いいですよね。欲しいですよね。ああいや違う、何だっけ……そうそう、はいこれ」

愛海「ありがと、プロデューサー! それじゃ――」

P「愛海ー」

愛海「?」

P「あんま悩むなよー」

愛海「あ……」

P「よく知らんけど―」ヒラヒラ

愛海「う、うん……。ありがと……」






ジャジャーン


美術館の宝は、私が守る!


ワカバ、館内の照明が!



愛海「ほぁー……」


愛海(みんなすごいなぁ、迫真の演技だ)


クックックッ

計画通り!


愛海(お……)

愛海(光ちゃんだ)


ワーワー

バタンバタン


ア、アタシも今は悪役……っ

えっと……


愛海「あ」

愛海(今トチった)

愛海(なんか光ちゃんだけ、ぎこちない)

愛海(やっぱり悪役はねぇ、光ちゃんには難しいでしょ)







ヒカル逮捕に、ご協力いただきたい

一時休戦ということですか……



愛海「うわぁ……」ハラハラ

愛海(普通に面白いわ、これ……)

愛海「あ、柑奈さん」


すべては、ヒカル様のために!


愛海「……」

愛海(……柑奈さん、すごい……)

愛海(ラブとか言ってるの、普段と変わらないのに……、迫力が……)

愛海「あ、また光ちゃんだ」


はっはっは!

まさかあの時のことを、まだ恨んでいるのかぁ!?


愛海(あれ……なんか……)

愛海(さっきより、全然……)


愛海「……」ドキドキ

愛海「……ゴクリ」



まさか、このアタシが……


ヒカル様っ


愛海「……?」

愛海「……今の、所……」







光「……」チラッ

柑奈「……」コクン





愛海「……あ」

愛海「やっぱり……」

愛海(光ちゃんが、柑奈さんの方を、一瞬見て)

愛海(何も言ってないのに、言葉なんてないのに)

愛海(柑奈さんも、ちゃんと頷いて……)



光『柑奈さんは、大切な仲間だし……っ』



愛海(そっか……)

愛海(光ちゃんは、きっと柑奈さんのおかげで、公演の中で何かを掴んで――)

愛海(そんな光ちゃんを、柑奈さんもちゃんと、見ていて――……)

愛海(あたしは……)



光『でも愛海ちゃんは、いっつも甘えてるだけで……っ』



愛海(あたしは――……)






~別の日・事務所~



光「……――それで、そのイベントの衣装が、すっごいカッコよくて!」テクテク

柑奈「ほんと? それは見てみたいです」テクテク

光「ああ! アタシも柑奈さんに見せたいよ! そうだ、今度写真を――……」


愛海「……あ」


光「あっ」

愛海「……」

光「あ……愛海ちゃ……」

愛海「……っ」タタタッ

光「……」

柑奈「……」

光「……」シュン

柑奈「……」

光「……」

柑奈「……ん~」

光「……何も、言わないのか?」

柑奈「どうして?」

光「だってアタシ……、この間、愛海ちゃんに、ヒドいこと言った……」

柑奈「……」

光「……だから」

柑奈「ん~、ふふ……」ナデナデ

光「……怒らないの?」

柑奈「怒ってほしいの?」

光「……」

柑奈「……怒りませんよ。だって……」

光「……」

柑奈「……光ちゃん、私が何も言わなくても、叱られたみたいな顔してるもの」

光「え……」

柑奈「ふふっ……、光ちゃんは、きっともう、分かってるんだと思うな」

光「……」

柑奈「光ちゃんの中の正義の味方が、ちゃんと怒ってて、それは違うって言ってて」

光「……」

柑奈「どうしたらいいか、教えてくれている……」

光「柑奈さん……」

柑奈「光ちゃん、愛海ちゃんは……、とっても強い子ですよ」

光「……」

柑奈「光ちゃんが、まっすぐに向き合えば、きっと受け止めてくれるくらい……」

光「ア、アタシは……」

柑奈「光ちゃんは、ヒーローだもの。誰にだって向かっていける。おっかない怪人にも、……光ちゃん自身にも」

光「……」

柑奈「だから、ヒーローの光ちゃんは、強くて優しくて、ありったけのラブでいっぱいですよっ!」

光「……」

柑奈「だって、そう、心に……、愛がなければ」

光「……」

柑奈「スーパーヒーローじゃ、ないのさ……」

光「……」

柑奈「キン肉マ~ン♪」ジャンジャカ

光「キン肉マン!?」

柑奈「ゴーファーイ♪」ジャカジャンッ

~夕方・屋上~


愛海「……」

愛海「……」

愛海「……はぁ」

愛海「……」



光「愛海ちゃん!」ハァハァ

愛海「光ちゃ――……っ」

光「よかった……ここにいた……」

愛海「……っ」タッ

光「……待って!」

愛海「……!」

光「頼む、待ってほしい……、少しだけ、話がしたいんだ……」

愛海「……」

光「いい、か?」

愛海「……」コクン

光「……」

愛海「……」

光「……」

愛海「……屋上、静かだね」

光「うん……、いつもはもっと人がいて、ずっと賑やかなんだけど……」

愛海「……」

光「……愛海ちゃん」

愛海「……」

光「この間は、あんなこといって……、ごめん」

愛海「あ……」

光「愛海ちゃんが、悲しむって分かってたはずなのに……」

愛海「違うの! あたしこそ……っ!」

光「え?」

愛海「光ちゃんの言う通りだったよ。あたし、柑奈さんが優しいからって……」

光「そ、それは……」

愛海「前の公演で、光ちゃんは苦しんで、すごい大変な思いをして……やっと掴んだんだよね。大事なものを」

光「……うん」

愛海「柑奈さんは、それをずっと見ていて……、だから光ちゃんと柑奈さんは、『一緒に戦う仲間』になれたんだよね」

光「……」

愛海「……だからやっぱり、だめなんだよねぇ、甘えてるばっかりじゃ」

光「……」

愛海「あはは、性格だから仕方ないんだけどさ、本当に、光ちゃんの言ったまんま――……」

光「ち、違うっ!」

愛海「え……」






~屋上の物陰~


柑奈「……」ジーッ

P「いやー、珍しく柑奈が、ヘルプ!なんて言うから、何かと思って来てみれば……」

柑奈「シッ! プロデューサーさん、シーッですよっ」

P「はぁ……、こんなコソコソしなくても」

柑奈「……」ジーー

P「心配ないと思うけどなぁ、俺はよう」

柑奈「でも、何かあったら解決できるのはプロデューサーさんだけ……」

P「何があったか知らんけど、光も愛海も基本的に良い子だからな」

柑奈「それは……知ってますけど」

P「むしろ心配なのは、キミなんだけどねえ、有浦さんよう」

柑奈「えぇ? 私?」







愛海「違うって、光ちゃん……?」

光「……っ」


光(まっすぐに、まっすぐに向き合って……)

光(言わなきゃ……、自分のこと、繕わないで……っ)


愛海「光ちゃん?」

光「っ!」


バチーン!!


愛海「ひゃっ!?」

光「……」ヒリヒリ

愛海「……セルフビンタ初めて見たよ」

光「……愛海ちゃんっ!」ガシッ

愛海「は、はいっ!?」

光「本当はアタシは、羨ましかったんだ!」

愛海「え?」

光「あんなに素直に、柑奈さんに甘えられる愛海ちゃんが! 膝枕とかしてもらえる愛海ちゃんがっ!」

愛海「え、ちょ、光ちゃ……」

光「本当は……、本当は……」

愛海「ひか――」

光「アタシも柑奈さんに甘えたいんだあっ!!!!」

愛海「だよね~~~~~!!!!」

光「ハァ、ハァ……」

愛海「だよね、じゃないよあたし。お、落ち着いて光ちゃん」

光「愛海ちゃんの、まっすぐな態度が羨ましかった……なのに、アタシはそんな風に、素直になれなくて……」

愛海「……」

光「ごめん……」

愛海「光ちゃん……」

光「マッサージ……」

愛海「へ?」

光「断っちゃったんだ、アタシ。柑奈さんの」

愛海「それをすてるなんてとんでもない!」

光「あ~~~~ヘタこいた~~~~~」ガクーン

愛海「膝から崩れ落ちないで光ちゃん! か、柑奈さんならマッサージくらい、頼めばやってくれると思うよ!」

光「そうかな……?」

愛海「そうだよっ!」

光「そ、そうだよな! なにもお山に登らせて、って頼むわけじゃないんだし!」

愛海「え、あ――」

光「……ん?」

愛海「……そ、ソウダネ~アハハ」

光「……」

愛海「……」カァァ

光「……」

愛海「……」

光「あの」

愛海「……」

光「……」

愛海「……」

光「もしかして?」

愛海「……」

光「登った?」

愛海「……」コクン

光「あ~~~~~~!!!!」

愛海「ちちち違うよ! あたしから頼んだわけじゃないんだよっ!」

光「何それ! じゃあ柑奈さんの意思で!?」

愛海「いやあの、ただのスキンシップとしてね……」

光「因果的決定論を超越したヒトの自由意志で!!?」

愛海「なんで急に飛鳥ちゃんみたいになるの!?」

光「愛海ちゃんっ!」

愛海「ななななに!?」

光「隠さずに、教えてほしいっ!」

愛海「な、何を……」

光「どうだった?」

愛海「どっ――……」

光「……」

愛海「……どうって」

光「……」

愛海「……その」

光「……」

愛海「………………よかった」

光「……ず」

愛海「ず?」

光「ずるいぞっ!」

愛海「えぇぇ」

光「アタシだって! 柑奈さんとわきわきわんだほーしたい!」

愛海「言い方やめて!」

光「【検閲削除済み】!」

愛海「いや何! 急にどうしたの!」

光「アタシも【検閲削除済み】したい!」

愛海「光ちゃん!!!!」

光「フーッ、フー……ッ」

愛海「っていうか『アタシも』って。あたしまだそこまでしてないから!」

光「まだ……?」

愛海「あっ――……」カァァ

光「……」

愛海「……そりゃ、だって……」

光「……」

愛海「……あたしだって……」

光「……」

愛海「お山も、素敵だったけど……」モジモジ

光「……」

愛海「……【検閲削除済み】……」カァァ

愛海「うぅ……」

光「……」ポン

愛海「光ちゃ――……」

光「愛海ちゃんっ」

愛海「あっ、[ジャスティスブレイズ]南条光!!」

光「アタシたちは――……、仲間だ!」

愛海「光ちゃぁん……」ウルウル

光「愛海ちゃん!」


ガシッ


愛海「光ちゃん!」


ガシッ


光「……柑奈さんに甘えたい!」

愛海「甘えたい!」

光「できたら登りたい!」

愛海「登りたい!」

光「あわよくば【検閲削除済み】!!」

愛海「【検閲削除済み】!!」



――ウォー!!――


――アマエターイ!!!!――








P「なぁ柑奈さんよう」

柑奈「……はずかしか……」カァァァ



P「柑奈さぁ、14歳なんてハチの巣と変わらないんだからさぁ」

柑奈「うぅ……」

P「そんなイタズラに刺激したらさぁ、そらそうなるよ。どったんばったん大騒ぎよ」

柑奈「ど、どうしましょう、プロデューサーさん……」

P「いやまあ、がんばれとしか」

柑奈「そんなぁ……」

P「まあまあ、犬に噛まれたと思って」

柑奈「【検閲削除済み】前提で話すのやめてくださいよ!」

P「大丈夫さ、お前自身のラブ・アンド・ピースを――……信じろっ!」グッ

柑奈「良い感じ風に締めようとしないでください!」

P「~その後~」

柑奈「話進めないで! 待って!」











~その後~


愛海「はいっ、出来上がり~♪」

光「おー! どんな感じだっ?」

愛海「鏡どうぞ?」

光「わぁ……お団子だ……。すごい新鮮だ!」

愛海「光ちゃん、髪綺麗だからやりやすかったよー?」

光「どうかな? 似合うかな?」

愛海「似合う似合う♪ すっごい可愛いよ!」

光「ちょ、ちょっと恥ずかしいけどな……」アハハ

柑奈「あっ、二人とも♪」

愛海「柑奈さん」

光「ちょうど良かった! ほら、見てくれ!」

柑奈「わっ……可愛いお団子ヘアですね、光ちゃん!」

光「どう、かな……?」

柑奈「とってもよく似合ってますよ。可愛いです、光ちゃん」

光「えへへ……」

愛海「だよねー♪がんばったかいがあったよ~」

柑奈「愛海ちゃんがやったんですか? すごい上手……」

愛海「うひひっ! でしょでしょ~? そうだ! 柑奈さんにもお団子――」ズイッ

柑奈「……」サッ

愛海「……」

柑奈「……」

愛海「……」ニジリ

柑奈「……」ササッ

愛海「……うひひひ、恥ずかしがらなくてもいいんですよぉぅ、柑奈さぁん……」

柑奈「……ええっと」

光「ほら、愛海ちゃん! 柑奈さん怯えちゃってるだろ! なっ、柑奈さ――」ズイッ

柑奈「……」サッ

光「……」

柑奈「……」

光「……」ニジリ

柑奈「……」ササッ

光「……」

柑奈「……」

愛海「うぇひひひ……」ニジリニジリ

光「どうしたんだ、柑奈さん……」ニジリニジリ

柑奈「い、いや~……、今日はこれくらいの距離のほうが、ピース感あるかな~、って」ジリジリ

光「……」

愛海「……」

柑奈「……あ、えっと、ええと……」

光「……」チラリ

愛海「……」コクン

柑奈「あっ、……ふ、二人とも、とっても仲良しですねっ」

光「柑奈さんっ!」バッ

愛海「柑奈さぁ~んっ!」ダッ

柑奈「ひ、ひあぁ~~~~~~~~っっ!」ダダダッ


マテーーー!!!


ノーウォー!!!!




~おわり~



以上です

色々すみません、もうほんと色々

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom