【モバミリ】佐久間式P独占法 (23)


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「私、女子力上げたいんだ!」

 目の前に座った海美さんは、キラキラとした瞳をこちらに向けて言いました。

 対する私はと言うと、「はぁ」と曖昧な返事をして、思わず小首も傾げちゃいます。

「女子力ですか? 海美さん」

「うん! 女子力! 上げたいの!」

「……どうして私なんでしょう?」

「だってほら、まゆちゃんは女子力の塊~って感じがするからさ!」

 はて、そんな塊で出来ている覚えはありませんが。
 どうやら彼女にしてみれば、私は女子力の権化だそうで。

「それにそれに! まゆちゃんは困ってる私のこと、見捨てたりなんてしないよね?」

 お祈りをするように両手を組んだ、海美さんが私を見つめます。

 眉はたれ、泣きそうな目。結んだ口が表す不安。

 ああ、そんな迷える子羊みたいな表情で人を見つめるのは反則ですよ。

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 ……その時、私はある人のことを思い出しました。
 こういう相談を持ち掛けるのに、私以上に適任な人を。

 それに何より、私一人では満足の行く回答ができるかどうかも怪しいから。

「海美さんさえ良かったら、朋花ちゃんをここに呼び出しても?」

「……美味しいよね、豚肉」

 そっと視線を横に逸らして、呟く姿で察しました。
 どうやらここに来る前に、既にひと悶着があったようです。

「だってさー、話の最中に子豚ちゃん子豚ちゃんって言われると……。お腹が空いてきちゃうでしょ?」

 不満げに口を尖らせる海美さん。でも、それは人それぞれだと思いますよ? 

 ……とはいえ、私も朋花ちゃんに同情している場合ではありません。

 突然「女子力を上げたい」なんて言われても、
 具体的にどんなことをすれば良いかなんて、サクッと答えられるような私じゃないですから。


 大体、この相談の内容自体困りものです。

 だって、海美さんは十分女子力ありそうですし、実際可愛らしい方ですし、
 溢るる元気とコロコロと変わる表情は、見ている人を自然に笑顔にしてしまって。

「プロデューサーにも言ったんだけどさー。今のままで十分女子力高いって」

「……プロデューサーさん?」

「そう! 海美は今でも可愛いから、そのままのお前で良いんだよって」

 驚愕! 「まったく他人事だと思って、適当ばっかり言うんだもん」と
 頬を膨らませる彼女には悪いですが、まゆは大変ショックです。

 頭を木槌で殴られたような衝撃的な発言に、思わず表情筋が死に絶えます。

 はぁ? なに? プロデューサーさんから「可愛い」と? 

 ……ちょっと聞き捨てならないセリフですねぇ。

「まっ、最近は料理の腕も上がってるし、日課のランニングも欠かしてないし。
 女子力の底上げ自体はされてるのかもしれないけど」

「はぁ」

「でもでもでもっ! もーっと効率的に女子力を磨く方法が何か無いかなって! 
 だからほら、相談! まゆちゃんに! 女子力の磨き方を教えてよー♪」


 弾ける笑顔でお願いしてくる海美さんとは対照的に、
 まゆの顔はフィラメントが焼き切れた電球のよう。

 いいえ、こんなのカビの生えたアンパンマンです。

 くすんでしまったレンズです。

 新刊を買えなかった百合子ちゃんが見せるような、
 絶望と虚無が入り混じった顔と言ってもいいでしょう。

 電球は取り替えればいいですし、アンパンも交換すれば問題無し。

 くすみも磨けばとれますし、百合子ちゃんにも通販と言う最終手段が残ってます。

 でもまゆの、まゆのプロデューサーさんはたったの一人だけだから!

「……聞いてる? まゆちゃん」

「女子力、上げましょう! まゆのプライドにかけてでも、海美さんを立派なレディーにしてみせます!」

 答え、頷き、彼女の両手を取る私は力強く。

 まゆの返事に「やったー!」と、海美さんが無邪気にはしゃぎます。


 ……ふっ、なんて愚かで可哀想な人なんでしょう。

 これからまゆに、どんな仕打ちを受けることになるかを知りもしないで。

 いいです、よいです、構いません。

 でも心していてくださいね? 貴女にこれから施すのは、女子力アップとは真逆のこと。

 まゆのプロデューサーさんをたぶらかすようなライバルは、一人でも少ない方が良いですから……。


 うふっ、ふふふっ、うふふふふふふ……♪

===

「まぁ! それでわざわざ、私のところへ二人は来たの?」

 海美さんを連れて向かった先。事務所の休憩室に居たその女性は、
 ニコニコと美しい顔をほころばせながら言いました。

「はい。私たち二人に、大人の女子力を教えて頂ければ嬉しいなと」

「私、もっともーっと自分に磨きをかけたいんですっ! だからどうか、教えてください楓さん!」

 そうしてお願いするために、ペコリと二人並んで頭を下げる。

 高垣楓さん――事務所でも指折りの美貌を持っているのに、
 子供っぽい言動が時々残念な二十五歳――そんな彼女の残念な部分を、海美さんが習得するとどうなるか? 

 イケナイこととは分かっていても、
 まゆはその結果を想像するだけで背中がゾクゾクしちゃうんです♪


「大人の女子力……。ふふっ、飲んべぇの私なんかにあるかしら?」

「謙遜なんてしないでください。楓さんの小粋なジョークテクニックは、まさしく知性の言葉遊び」

「知的な女子力、素敵ですっ! 憧れます!」

「ああ、女子力って……そういうので良いのね」

 合点がいったと手を合わせ、楓さんが私たち二人の顔を交互に見ます。

 そして傍に置いてあった自分の鞄から、何やらケースのような物を取り出すと。

「こうして眼鏡を顔にかけると、女子力がたちまち上がるそうですよ?」

 それは紛うこと無き眼鏡ケース。

 飾り気のないシンプルフレームがとても上品な一品を、
 自らの顔にかけた楓さんがニッコリ笑顔で微笑んで。

 あわやこのまま「まぁまぁ二人も眼鏡どうぞ」と言いだしかねない雰囲気の中、
 彼女は嬉しそうに口を開いたんです。


「その理由は、超視力上げれば女子力もアップ♪」

「えっ」

「女子力アップ調子もよく」

「えぇっとぉ……」

「翌朝女子力超上昇、初心者手法で急上昇……ふふっ、まだまだよー♪」

 愕然! 溢れ出た流暢な言葉の波は私たち二人を包み込むと、
 論理的思考と言う名の活動をあっさり止めてしまいました。

 後はもう、ようやく解放された一時間後の未来まで高垣楓の独壇場。

 楓さん、それは洒落と言うより早言です。ジョークではなくライムです! 

 そう私たちが指摘する暇も与えずに、彼女は次々とネタを披露して……。

「いけない、そろそろレッスンの時間が来ちゃう。
 ……私の話が少しでも、二人の役に立ったならいいんだけど」

 恥ずかしそうにはにかむと、「楽しかったですよ」と部屋を後にする。

 楓さんの背中を見送って、抜け殻のようになった海美さんがポツリと呟きます。

「まゆちゃん」

「はい」

「私さ、楓さんの女子力は布団が吹っ飛んだとかのレベルでいいと思うんだ」

「奇遇ですね。私も猫が寝込んだ程度でいいと思います」

 そうして仲良く頭を抱えた私たちは、こびりついた数々の韻の足跡を、
 うんうんと唸りながら拭き取る羽目になったのでした。

===

「うーみみんっ!」

「……まーゆみん?」

「まっこまっこりーん♪」

 さて、海美さんの女子力アップ大作戦。

 二人目のアドバイザーとしてまゆたち二人が尋ねたのは、
 事務所で最も"間違った方向に"可愛さを求める一人の女性。

「う~ん……。ボクもあんまり、こういうことは言いたくないけど」

 そのボーイッシュな魅力は一般男性のみならず、
 女性からも高い支持を得る菊地真さんが渋い顔をして頭を掻きます。

 彼女は今、猫耳尻尾にメイド服と言う完全武装で身を固め、
 事務所中庭に存在する職員用のオープンカフェをお手伝い中。

 休憩時間だと言う真さんに、私たちはちょうど良かったと女子力の話をしたのですが……。

「まゆみんは、ボクらに比べて女子力の底が浅いかな」

「あ、浅いですか……。女子力が」

「まこっちゃんキビシー。まゆみんだって頑張ってるのに」

 犬耳メイドの海美さんが、私を庇ってくれますが……素直にまゆは喜べません。

 いえ、タヌキ耳カチューシャを頭に付けてフリフリメイドになった時、
 既に女子力の欠片も消滅してしまっている気がするのはこの際置いておくとしても。


「まーゆみん?」

「だからさ、『まーゆみん』の『みん』は『みんっ』なんだって」

「『ギュってした!!』ポーズの時の、上目遣いもポイントだよ! まゆみん!」

「ま、まーゆみんっ?」

「違う違う! 『まーゆ』の部分で音を上げちゃ、その後の『みんっ』が自然な感じで繋がらないから――」

 ああ、レッスンの時にも見せないような真剣な真さんの顔がまゆのすぐ傍に。

 こんなの、誰だって無条件で胸がときめいちゃうに決まってます! 

 恋の神さまってなんて意地悪。

 あの人に対するまゆの愛を、お試しになってるに違いません。

「……がっでむ!」

 精一杯の反抗で、何とか正気を保ちます。

 こんな言葉遣い、あの人に聞かれてしまったらどうしよう? 

 それに何か、大切なことを見失っているような気もするな……。


「それじゃ、休憩時間が終わるまでに……。もう3セット、やってみよう!」

「うんうん! きゃっぴぴぴぴーんで、きゅるるるるーんな、うみみん女子力見せるから!」

「まゆもこのまま、おめおめ引き下がれません! 後3セット……望むところですよぉ!」

「よし! じゃあ行くよ? ……みんなー! 菊地真ちゃんナリよぉーっ♪」

「元気ハツラツ! 高坂海美、なんだモンっ!」

「ラブ・ラブ・ラブリー♪ 佐久間のぉ、まゆまゆキュ~?」

「そうそうその調子! このまま歌まで一気に行こうっ!」

 そうしてカフェに響き渡るは、女子力が限界突破した三人の少女による圧倒的な"アイタタ"歌唱。

 この日、カフェ内の空気は真夏だと言うのに冷房要らずの涼しさを記録したとかなんだとかは、
 後にこの時の練習風景を"偶然"カメラに収めていた松田亜利沙さんから私が聞いた話です。

 ちなみに余談となりますが、その映像は事務所のホームページにて公開され、
 木場真奈美さんの「まっなまっなみ~ん」動画を上回る再生数を出したとか。

 ……ええホント、今でも思い出すたびに身震いする。
 暑い季節にピッタリな、背筋も凍るホラーでした。

===

 即興ライムで脳をやられ、カフェーでは恥辱を味わって。

 海美さんを陥れる為の計画なのに、なぜでしょう? 私も一緒になって疲労困憊です。

「それでさー、次はなにして女子力アップ?」

 二人で歩く事務所の廊下。

 私の先を行きながら、振り向き尋ねる彼女の姿は相も変わらず爽やかで。

 それはまるで、広い海原を吹き抜けるスッキリとした風の如く。

 暗雲すべてを押し流し、その後の晴れ空を見上げさせるような……そんな素敵な科戸(しなと)の風。

「きゃっ」

 その時です。突然肩を叩かれて、私は驚きながら振り返りました。

 するとそこには、何やら嬉しそうな顔をした百合子ちゃんと、本を胸に抱いた文香さんが。

 思わず歩みを止めて立ち尽くすと、百合子ちゃんは肩に手を置いたまま言うんです。

「まゆさん、私嬉しいです!」

「はい?」

「まゆさんも、とうとうこっち側の人になったんだって!」

「……ここにも新たな……風の戦士が」

 心なしか、彼女に続いた文香さんの声も嬉しそう。

 でも待って、まゆは物語ではなく現実の愛に生きる女。

 二人が組織した読書倶楽部への勧誘は、丁寧にお断りさせて頂きま……あ、そうだ。


「百合子ちゃん、聞きたいことがあるんだけど」

「はい」

「読書で女子力は上がるかな?」

 ここで会ったのも何かの縁。

 ダメ元で私が訊いてみると、二人はお互いの顔を見合わせて……。

 今にも「フフン」と鼻を鳴らしそうな得意顔で、百合子ちゃんが自分の胸を叩きました。

「と、当然です! 私たち二人の姿を見れば、一目瞭然じゃないですか」

 ああ、驚きの白々しさ。

 案の定な反応だったと言えますが、そのお粗末な虚言の出来栄えは、
 隣に並ぶ文香さんも黙って顔を伏せるレベル。

 でも、私にとってはこれで良いんです。
 むしろ、だからこそソレが良いんです。

「だったら、おススメの一冊を教えてくれますか? ……その、素敵な女性になれるような」

===

「もう無理、限界、我慢できない」

「まだ五分しか経ってませんけど……」

「五分も経ったら十分だよ! 一キロは走れる時間だから!」

 言って、持っていた本を机に投げ出してしまう海美さん。
 そしてそのまま、彼女はカーペットの上に転がって。

 ……ここは女子寮まゆの部屋。
 静かに本を読むのには、まぁ、困ることのない場所です。

「頑張ってください海美さん。これも女子力のためですよ」

「うぅ~、でもぉ~」

「……素敵な女性に?」

「ならいでかっ!」

 カーペットから勢いよく起き上がり、海美さんは再び本と睨めっこ。

 元気があるのは良いことですが、意外とめげないものですねぇ。

 私としては、ぼちぼち降参の白旗を上げてもらいたいところなんですけど。


「むぅ~、むむむぅ~っ!」

「唸っても早く読めたりしませんよ」

「くぅ~、ふぅぅ~っ!」

「泣いたってしょうがないじゃないですか……」

 それでも記録は五分更新。

 十分ぶりに本を投げ出した海美さんが、「ダメだよ、コレ向いてない!」と私に泣きつきます。

 でも、これこそ私の求めた反応。気の毒だなんて思いません。

「手伝ってくれるまゆちゃんには、ホント感謝してるけど。もっとこう、私に合ったやり方が――」

「忍耐無くして良妻成らず。何事も我慢と経験です」

「いやいやいやさ? 私が欲しいのは主婦力じゃなくて女子力で」

「……ワガママですねぇ」

 アナタには愛想が尽きました。そんな顔をして突っぱねます。
 ですがこれも、私の立てた作戦のうち。

 結果の出ない"特訓"を、ここまで続けてきたのは……
 全ては、こうして彼女が痺れを切らす瞬間を待つために。


「残念ですけど、私にはもうこれ以上思いつきません」

「ま、まゆちゃん……」

「大見得を切った手前、私も何とかしようと頑張りました。だけど、当の本人にやる気が無いんじゃ」

「やる気はあるよ! 滅茶苦茶あるよ! ……ただ、方法が全然合わないっていうか」

 いじけたように人差し指をくっつけて、申し訳なさそうに呟く海美さん。

「もっとこう、体を動かすのが好きだなー」

 その一言が、引き金でした。「ありますよ」私の返事に、海美さんがパッと笑顔で顔を上げます。

「ありますよ。とっておきの、体を動かす方法が」

「ホ、ホント? もーっ! だったら最初から教えてくれれば良かったのに」

「でも、この方法は少し特別で……」

 言いつつ、私は彼女に詰め寄ります。

 ジッとその目を真っ直ぐに見て、「秘密は守れますか?」と問いかける。

「秘密……って、なんかこう、ヤバいことなの?」

「危ないことでは無いですけど。私を信じて貰えないと」

 一秒、二秒。互いの吐息が触れ合う距離で、私たち二人は見つめ合う。

 海美さんの瞳に不安の光。

「安心して」と耳元で囁き、まゆは彼女の隣に身を寄せました。


「海美さんは女の子の、一番カワイイ姿を知ってますか?」

「ふぇっ? し、知らない……ご飯食べてる時?」

「うふっ。そういう人も、中にはいますが」

 そっと彼女の後ろから、張りのある両肩に手を乗せる。

「まゆの知ってるその姿は、恥ずかしがってる姿です」

「は、恥ずかしがってる……姿」

「はい。……ちょうどそう、今の海美さんみたいに」

 瞬間、海美さんの唇から恥ずかしさと気まずさが混ざったような声が漏れ、
 頬は風邪をひいた子供のように赤く染まり、それでも……それでも彼女は動かない。

「ホントの"女子力"……知ってみたいとは思いませんかぁ?」

 目の前に置かれた赤い果実に、そっと手を伸ばせば届く距離。

 甘い甘い誘惑の実は、彼女がずっと求めていた物の答え。

「そ、そりゃあ……。興味、あるけど……」

 きっと今、海美さんの中ではまゆの誘いに乗るかどうか、
 不安と興味のせめぎ合いが行われているところなんでしょう。

 ……机の傍のベッドの下から、まゆはひと巻きのリボンテープを取り出します。

 色は、もちろんピンク色。女の子を"飾り立てる"のにはピッタリな……。


「どうぞこちらに」

 私に促されるまま、海美さんがベッドに体を横たえます。

 恥ずかしいのか目元を右腕で覆い隠し、自慢の足は真っ直ぐに……
 両ももを、ぴっちり閉じているのがいじらしい。

 やり場に迷う左手は今、その引き締まったお腹の上にありました。

「動かないで、くださいね?」

 シュルシュルと伸ばしたリボンを巻き付けて、彼女の足首を固定する。

 ……これでもう、逃げ出すことは叶いません。

「ま、まゆちゃんまゆちゃん。……これ、なにしてるの?」

「さっき説明した通り、海美さんをプレゼントに見立てて飾ってます」

「飾る……リボンで?」

「ラッピングですよぉ。……裏女子力と言いますか」

「裏女子力……。な、なんか強そうだね!」

「ええ、その通り。……どんな殿方も、この方法でイチコロです♪」

「ちょ、ちょっと恥ずかしいけど。イチコロだったらしょうがないかー」

「そうそう、しょうがないことなんですよぉ」


 まぁ、今まゆがやっているのは装飾ではなく緊縛ですが。
 その違いについて一々説明する必要なんてないでしょう。

 なぜならもう、彼女に対するまゆの制裁は半分以上終わっています。

 後はそう、今晩一晩を使って、まゆ無しでは生きられない体に仕上げるだけ……。

「ふふっ、うふふ、うふふふふ……」

 これは、非常に合理的な愛の形です。

 あの人に近づく女の人を、みぃんなみぃんなまゆの物にすれば
 ――例え時間と手間がどれだけ膨大にかかろうと――

 あの人に愛を囁けるのは、まゆ一人だけになるじゃないですか。

 こぼれる笑いが止められません。
 これも全て、邪魔なライバルを排除する為。

 ……今回の海美さんのように、まゆのプロデューサーさんに
 心奪われる人が後を絶たないと言うのなら、まゆがその間に入ればいいんです。

 その為だったらまゆは自分を、どれだけ堕としても平気だから……。

===

 次の日、私はお仕事を休みました。

 いえ、別に風邪をひいたりなんてしてません。ただ……。

「まゆちゃん、今日お休みするって」

「……なんで海美が報告するんだ」

「えっ!? あ、いやー、そのぉー。……原因が、私にもだいぶあると言うか」

「はぁ?」

「プっ、プロデューサーには秘密なのっ!」

 ……ああ、体力の無さが恨めしい。いえ、今回の場合は逆ですね。

 海美さんの体力が、底なしだったと言うべきか……あぅっ!!?

「あっ、ご、ごめんねまゆちゃん。痛かった?」

「ち、智絵里ちゃん……もう少し、ゆっくり」

「こ、こうかな? ……よいしょ、よいしょ」


 はぁ……。智絵里ちゃんの手厚いマッサージが、痛めた腰に染みて行きます。

 予期せぬアクシデントもありましたが、海美さんも何とか籠絡することもできましたし……
 当分は彼女のことで頭を悩ませることもないでしょう。

「智絵里ちゃんもありがとう。私のお世話に来てくれて」

「えへへっ♪ わざわざお礼なんて言わなくても、まゆちゃんの為ならなんだってするよ」

 智絵里ちゃんがそう言って、天使のような微笑みを浮かべます。

 流石は愛の虜の第一号。

 その従順さと扱いやすさは他の子に比べて飛びぬけて――。

「ところでまゆちゃん。さっきから気になってたんだけど」

「ん~♪ ……なんですかぁ?」

「ベッドの上のこの匂い、私の知らない人の匂い」

 ……あっ。意外とそうでも、なかったかな。

===
 以上、おしまいです。

 ちょっと海美が書きたくて、まゆも久々に書きたくて
 この二人の組み合わせも楽しそうだなーなんて考えて
 後思いついたネタを放り込んでみたらこんな感じになりました。

 では、お読みいただきありがとうございました。

ちょっと、うみみ籠絡した描写をくわしく
乙です

>>1
高坂海美(16)
http://i.imgur.com/7fjDCne.jpg
http://i.imgur.com/CWoUc4t.jpg

佐久間まゆ(16)
http://i.imgur.com/RyvjYGu.jpg
http://i.imgur.com/kSvirQ1.jpg

>>5
高垣楓(25)
http://i.imgur.com/EUpX74W.jpg
http://i.imgur.com/E0FFIAo.jpg

>>8
菊地真(17)
http://i.imgur.com/1VFHCP6.jpg
http://i.imgur.com/UAstQlT.jpg

>>11
七尾百合子(15)
http://i.imgur.com/zdoxXRJ.jpg
http://i.imgur.com/MeJaqUS.jpg

鷺沢文香(19)
http://i.imgur.com/Z5hDrHk.jpg
http://i.imgur.com/EyouMGw.jpg

>>19
緒方智絵里(16)
http://i.imgur.com/uvL0onA.jpg
http://i.imgur.com/lG7WHtI.jpg

豚肉つまみ食いでもしたんだろうか
http://i.imgur.com/VqYXAZ5.png

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