源内あお「え、ほんと?」
バーゼラルド「うん。バトルができないんだから仕方がないよね」
あお「うぅ、ありがたや~ありがたや~」ナムナム
バーゼラルド「あお、流石に拝むのはやめてよ」
あお「あはは、つい勢いで」テヘペロ
バーゼラルド「でも、問題はどうやってお金を稼ぐかだよね」
あお「うーん……あっ! ウドチューブはどうかな?」
バーゼラルド「ウドチューブ?」
あお「今話題のお金がもらえる動画配信サイトだよ」
充電くん(この物語はバーゼラルドが世界一のウドチューバーを目指す感動巨編! ……になるかもしれない)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1500279804
*事の始まり
轟雷「なかなか皆が帰ってきませんね」
あお「もう新年も過ぎちゃったし、皆元気に暮らしていると良いんだけどねー」
轟雷「それは大丈夫でしょう。FAガールは電気さえあればとりあえず生きていくことができますから」
あお「そっかぁ、それなら安心だ」
充電くん(せやかて、あおちゃん。コンセントがないと充電はできないんやで?)
ガチャ
バーゼラルド「たっだいまー!」
あお「あ、バーゼ!」
轟雷「久しぶりですね、バーゼラルド」
バーゼラルド「中々バーゼのマスターが決まらないから帰って来ちゃった。またよろしくね~あお、轟雷」
あお「うん、よろしくね。でも何でかな? バーゼがうちに居ると安心するかも」
轟雷「分かる気はします。あおとの生活も満ち足りたものでしたが、やはりバーゼが居ると一段と部屋が明るくなりますね」
バーゼラルド「うんうん、この空気、バーゼがあおんちに帰って来たぞー! って感じがするよー」
あお「この空気ってどの空気なんだろう? ……あれ? FA社からのメールだ。なになに──」
バーゼラルド「ねー轟雷。スティレットたちは帰って来ていないの?」
轟雷「帰って来たのはバーゼラルドが初ですね」
バーゼラルド「わーい、一番乗りだー」
あお「轟雷ー。FA社が轟雷の大型定期メンテナンスをするから10日ほど帰るようにだってー」
轟雷「むむっ! 10日もですか……」
バーゼラルド「でも、定期メンテナンスをサボって動けなくなったらあお悲しむよ?」
轟雷「分かりました! 早速行ってきます! 今、行ってきます!」
あお「あ、行っちゃった。回収ドローンも来るのが早いね」
バーゼラルド「二人っきりになっちゃったかな?」
あお「さっきまでは轟雷と二人っきりだったんだけどね。あ、そうそう、バーゼは今までどこに行っていたの?」
バーゼラルド「理比さんちとか長江さんちとか色々だね。皆、良い人ばっかりだったよ」
あお「へー。でも、マスターは見つけられなかったんだよね?」
バーゼラルド「うーん、バーゼのこの灰色の頭脳にピーンとくるものがなかったからかな? と言うかね、さっきのお宅二件はすでに他のFAガールが居たから仕方ないよ」
あお「ありゃ、先客居たんだ。それなら仕方がないね」
バーゼラルド「仕方がないねー」
あお「でもバーゼが帰って来てほんと良かったよー。バトルが出来なかったから電気代を支払うのがそれはもう大変で、大変で……」
バーゼラルド「電気設備が立派になったもんね。でもさ、轟雷はさっきFA社に帰ったからバトルは暫くお預けじゃない?」
あお「……あ」
あお「ああっー!! ど、どうしよう!? バーゼ!?」
充電くん(そして、冒頭へ)
*ウドチューバーへの道
バーゼラルド「なるほど。バーゼが動画配信をすれば良いんだね」
あお「バーゼって手のひらサイズだから小物とかの紹介動画とかが良いのかな?」
バーゼラルド「ふむふむ、有名になれば億万長者かー。カッコいいバーゼが世界に配信されちゃうとアクセス数は億とかいっちゃうよねー。え? FA社の守秘義務? 笑ってごまかせばいいよ!」
あお「ええと、アカウントは売れている人の真似をして『ばーぜ会長』っと」
バーゼラルド「えー、ゼルフィーがいいよー」
あお「あ、ごめん。もう登録しちゃった」
バーゼラルド「もう仕方がないなー。それじゃあ、気を取り直して動画を撮ろうー!」
あお「おー!」
*動画撮影中
ばーぜ会長『おいっすー! バーゼだよー』
http://i.imgur.com/qVs5fsy.jpg
ばーぜ会長『今日はこのバーゼラルド(プラモデル)を紹介するよー』
ばーぜ会長『バーゼラルドはね、バーゼと同じでバーゼラルド型でね、とにかくカッコいいんだよー』
ばーぜ会長『売っていたら絶対に買おうね。でも、買うならこっちのリンクからお願いだよー。アフィでバーゼが儲かるからね』
ばーぜ会長『それでバーゼラルドを買うとね、バーゼとラルド(装甲パーツ)が入っているんだけど、ラルドを作った人って買った人の何割くらいなのかな?』
ばーぜ会長『でもでも! ラルドがあるとバーゼがさらにカッコよくなるから絶対に作ってよねー!』
ばーぜ会長『ではでは、バーゼでしたー。次回の配信もよろしくねー』
あお「うん、我ながら上手く撮れた気がする!」
バーゼラルド「天才バーゼ様にかかればこんなものだね」エッヘン
あお「えへへ、どれくらいお金入って来るんだろう……」チャリーン
バーゼラルド「楽しみだねー」
あお「よーし! 早速動画を投稿だー!」ポチ
あお・バーゼラルド『……』ドキドキ
バーゼラルド「……いっぱい再生数増えたかな?」
あお「……もう30分も待ったから数万とかいっているかも」
バーゼラルド「よーし、リロードだー! ……あれ?」
あお「……ありゃ?」
新着動画《バーゼがバーゼラルドを紹介してみた》:視聴回数7回
あお「うん、ウドチューブで稼げる人なんかほんの一握りだもんね。バーゼ、アルバイト情報誌買ってくるからお留守番よろしくねー」ガチャ
バーゼラルド「むー」
充電くん(この時バーゼラルドは思った。何故! このバーゼ様の映っている動画が再生数7なのだ!? 何故に7なのかと!!)
バーゼラルド「……分かっちゃったよ、これはバーゼに対する挑戦なんだね」
充電くん(バーゼラルドはあおちゃんの置いていったスマホの上に飛び乗る)
バーゼラルド「いいよ、見せてあげる! バーゼの本気を!!」
充電くん(日頃のバトルで片鱗すら見せずにいたバーゼラルドの本気が遂に、遂に! 発揮される!!)
充電くん(バーゼラルドの小さな両手は高速でフリック操作をし、あおちゃんが見たこともない画面に数多の文字を入力していく)
充電くん(バーゼラルドによって作成された超高性能アプリは適切に情報収集を果たし、ネット上のあらゆる場所でステマを繰り返した)
充電くん(そして、一週間ほど時は流れ──)
ばーぜ会長『おいっすー! 料理中のバーゼだよ!』
http://i.imgur.com/oorMyNp.jpg
新着動画《バーゼが料理中に挨拶をしてみた》:視聴回数838861回チャリーン
バーゼラルド「うんうん、いつもより少し少ないけど投稿1分でこれなら上出来かな?」
充電くん(バーゼラルドはその才能を余すことなく発揮し、大物ウドチューバーと化していた)
充電くん(バーゼラルドがこの1週間で稼いだ金額おおよそ3兆8000億円! これほどのカネの動きに世界がバーゼラルドに飛びついた)
バーゼラルド「動画投稿というものはですねー、一つのパッションですかねー」
充電くん(マスコミの取材は向こう30年先まで入っており、バーゼラルドのスケジュールは今ではコンマ秒単位だ)
充電くん(莫大な資産を手にしたバーゼラルドはその財をいかんなく消費し、世界経済に大きく影響を与えたという)
充電くん(しかもこのバーゼ、こち亀を愛読していたので引き際もわきまえており、資産は増える一方であった)
あお「ねー、バーゼ。最近忙しそうだけど、何かしてるの?」
バーゼラルド「んー、そんなことはないよ。あ、30秒後に取材だからちょっと外に行ってくるね」
あお「あ、うん。気をつけてねー」
充電くん(あおちゃんは割とズボラである。彼女を知る者ならそういう共通認識を持つだろう)
充電くん(すなわち! あおちゃんの口座に日々振り込まれる国家予算を上回る金額を彼女はまだ把握していない。だって、通帳の記帳をしないんだもの、この子。なお、あおちゃんの口座はいつのまにか貯蓄上限無制限に変更されていた)
充電くん(お察しのように我らがバーゼことバーゼラルドは健気にもあおちゃんのためにひたすら稼いでいたのだ!)
充電くん(ただあおちゃんの笑顔が見たくて、ただあおちゃんに喜んで欲しくて)
充電くん(というわけではもちろんなく、バーゼラルドは単にお金を稼ぐ行為自体が楽しかった。より極端に言えば動画の再生数さえ伸びればそれで良かったらしい)
充電くん(それから、さらに3日後──)
あお「何だか、最近この町にも新しい産業がいっぱい増えているってブキ子が言ってたかな。しかも、今度は立川ウドランドも作るって」
轟雷「わ、私が居ない間にそんなことが……。ウドランドと言えば世界一のテーマパークで一日の来場者数は世界人口の半数を優に超えると聞きます」
あお「へー、そんなに凄いテーマパークなんだ。今度出来たら行ってみよう。あ、でも、それだけ人が来るなら待ち時間も長いよね? それは嫌かも」
バーゼラルド「ふっふっふ、そんなあおにこの株主優待券を差し上げよう!」
あお「入場無料券!? しかも、最優先フリーパス! これってどこから出てきたの、バーゼ!?」
バーゼラルド「うーん、貰いものかな」
あお「……バーゼの交友関係って実は凄かったりする?」
バーゼラルド「それも内緒かなー」
充電くん(バーゼラルドが湯水のように消費したお金はそのほぼ全額を都市の成長や世界平和のために使用された)
充電くん(その結果、世界は少しだけ住みやすくなり、立川は世界の中心となった。おまけとして、世界大戦は未然に防がれ大量殺戮兵器は地球上から姿を消したことも付け加えておこう)
充電くん(この時、バーゼラルドが世界一のウドチューバーになって10年の歳月が流れていたが、未だにあおちゃんはその通帳にいくら振り込まれていたのかを知らずにいた)
充電くん(マイペースなあおちゃんは世界一のウドチューバーが隣に居るとも知らずに、その10年を過ごし、これからも変わらずに過ごしていくのだろう)
充電くん(だが、忘れてはならない。我々の今があるのはバーゼラルドというウドチューバーが居たからなのだと)
充電くん(一人のFAガールが世界経済を回し、世界を平和に導いた)
充電くん(未来の歴史書にはそう記されている)
充電くん(しかし、そんな偉人も現時点では大金持ちのウドチューバーに過ぎず、だからこそ彼女は終生バーゼであり続けたのだ)
充電くん(そんな彼女の今をつづることで、充電くんのこの手記の終わりとしよう)
充電くん(──そして今日もまた、バーゼラルドはウドチューブで動画を配信し続ける)
おしまい
なんだ、これは……?
ありのままに書き続けるとこうなりますので気を付けましょう
あと、ブルーレイ版轟雷のおまけツインテールは接続軸が折れやすいのでこちらも気を付けましょう
それでは~
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