ガヴリール×ヴィネット
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ジャンル:恋愛
ガヴリール「前は定期的に私の部屋を掃除しにきてたり、自主的に料理作ってくれたり、宿題のわからないところとか、なんやかんや写させてくれたりしてたんだ」
ガヴリール「でも最近あんまり向こうから話かけてこなくなったっていうか、目が合うとバツが悪そうに逸らされるし、こっちから話かけようとしたら何かと理由をつけて逃げられるようになって……かれこれ一週間まともに会話してなくて……」
ガヴリール「もしかして私、ヴィーネに愛想尽かされちゃったのかな……とか一人でいると色々考えちゃうんだよ、はは、私らしくないよね」
ラフィエル「んー、会話をしてないっていうのは朝もですか?ヴィーネさんと一緒に登校しなくなったとか」
ガヴリール「う、うん……なんか今日は寝坊したから先に学校行ってて、みたいなことがずっと続いてて……これって変だよね、絶対」
ラフィエル「ヴィーネさんがガヴちゃんを避けてる……ということですか?」
ガヴリール「ああ、多分な、理由はわからないけど……ほんとに、わけがわからない」
ラフィエル「本当に心当たりはないんですか」
ガヴリール「心当たり……あ、ちょうど一週間前にヴィーネが私の部屋に来てさ」
ラフィエル「ふむふむ、それで」
ガヴリール「それで例のごとく部屋を掃除し始めて、私は普段通り気にせずネトゲしてたんだけど、その時にヴィーネが何か言ってたような……」
ラフィエル「何かとは……ガヴちゃん、よく思い出してください、きっと手がかりになるはずです!」
ガヴリール「あ!思い出した、確か……」
ヴィネット『ねえ、ガヴってさ、私のことどう思ってる……?』
ガヴリール『なにそれ、どうって……友達とか?』
ガヴリール「そのあとやけに神妙な顔で“友達…かぁ”って呟いてたんだ。その時はよく意味がわからなくて特に気にしなかったんだけど……ってラフィエルちゃんと聞いてる?」
ラフィエル「あー、ガヴちゃん、私この事件の真相がわかっちゃったかもしれません」
ガヴリール「なっ!?マジか……頼むラフィエル、情けないけど私は今のまま生活するのにもう耐えられそうにないんだ……だからなんでもいい、気づいたことを教えてくれ……っ」
ラフィエル「んん、では私の見解を述べさせていただきます。まずヴィーネさんがガヴちゃんを避けてるという点について、これはきっと事実でしょう。続いてその理由ですが、私が思うにヴィーネさんはガヴちゃんのことが…」
ガヴリール「わ、私のことが…?!」ゴクリ
ラフィエル「続きはCMのあとで!」
ガヴリール「おい、今そういうのまじでやめろ(怒)」
ラフィエル「ですよねー(笑)」
ラフィエル「まあ単刀直入に言ってしまえば、ヴィーネさんはガヴちゃんと友達以上の関係になりたいんですよ、きっと」
ガヴリール「は?なんだそれ、友達以上って…つまり、その、こ……恋人……ってこと……?」
ラフィエル「イエス!正解ですガヴちゃん」
ガヴリール「なあ、それって本気で言ってるの?」
ラフィエル「もちろん、というか前からそういう節がけっこうありましたし」
ガヴリール「あったか、そんなの……」
ラフィエル「ガヴちゃんってそういうところ鈍感ですよね、ほんとに」
ガヴリール「ヴィーネが……私のことを……」
ラフィエル「まあ答えを出すのはガヴちゃんですから、変に意地を張らずに自分の気持ちを正直に伝えれば、どんな結果になってもヴィーネさんはガヴちゃんのこと、決して嫌いになったりしませんよ」
ガヴリール「私の……気持ち……ごめん私、ちょっと用事思い出した。ありがとなラフィエル」
ラフィエル「うふふ、ガヴちゃんらしいですね。では私は陰ながら応援してます」
ガヴリール「あと……もしさ、もし私が振られたら……その時はおまえの胸を一週間くらい借りると思うから、よろしく」
ラフィエル「あらあら~その時は好きなだけお貸ししますよ」
◇◇◇
ガヴリール「出ろ、出てくれヴィーネ……頼む」
ヴィネット『あ、ガ、ガヴ……どうかした……?』
ガヴリール『はあっ、よかった……繋がった……ヴィーネ、今から私の家で少し話さない?』
ヴィネット『ちょっと、そんな慌てて、どうしたのよ……でもごめんガヴ、今日はちょっと体調が』
ガヴリール『今日じゃなきゃダメなんだ!たのむ、ちょっとだけ、五分でもいいから会ってちゃんと話しが……したい……たのむヴィーネ』
ヴィネット『……ん、わかったわ、私も……ガヴに話したいことがあるの』
ガヴリール『うん、ありがとう。家で待ってるね』
ヴィネット『うん、すぐ行く、じゃあ』プッ
ガヴリール「はあっ……大丈夫、私ならちゃんと伝えられる……はは、膝、ふるえてるし」
◇◇◇
「お邪魔します」
彼女が自宅に来るのはなんだか随分久しぶりのように感じられた。事実、ほんの一週間前までは週2~4回のペースで私の部屋を訪ねて来ていたのだから、そう感じるのも仕方のないことだと思う。
思えば下界に来てから彼女と3日以上会話をしなかった日はなかった。それが唐突に、一週間お互いにまともな会話をしてないというのだから、今回の件にどれほど違和感を感じているかなんとなく察しはつくだろう。
彼女が来る前に散らかった部屋を片付けておいたおかげで、なんとか足の踏み場及び最低限のトークスペースは確保できた。私は自然な流れで彼女を定位置に誘導し、ベッドに腰掛けるように仕向ける。
横並びにベッドに腰掛けると、やはりというかお互いに会話の切り出し方を模索しているためしばらく沈黙が続いた。この慣れない空気が私の身体を硬くする。やけに喉が乾く。なんとか声帯を潤わせようと喉を鳴らすが、その音が部屋中に響くほど、この空間は静寂に包まれていた。
ダメだ。こわい。私は彼女に、ヴィーネに嫌われることを恐れていた。ラフィエルの言っていたことがもし間違っていたら?本当はただ単に、ダメな私に愛想を尽かしてしまっただけではないだろうか。いつも彼女に甘えてばかりの私の態度に、とうとう嫌気が差してしまったのかもしれない。こわい。知りたくない。
ヴィーネに、嫌われたくない。
「ガヴ……泣いてるの……?」
気付けば私の涙腺から透明な滴が溢れていた。
拭っても、拭っても、それは次から次に溢れて、どうも枯れる気配がない。おかげで着ているジャージの袖が大層濡れてしまった。まあそんなこと今はどうでもいい。
こんな状態で意地を張っても仕方がない。
私は嗚咽混じりに声を絞り出す。
途切れ途切れに、思ってることを言葉にする。いや、言葉の体を成しているのかどうかもわからなかった。
さぞ相手は聞き取りにくいだろう、なんて思ったけど、私が全てを吐き出し終えるまで、目の前の悪魔は静かに、真剣に、そしていつものように、優しい顔で頷いてくれていた。
「そっか、ガヴは、そんな風に私のこと……思っててくれたんだ」
彼女の手が私の頬に触れる。
それはとても優しくて、とても暖かくて。
それだけで彼女の気持ちが私の中に伝わってくる。
だから、嬉しくて、余計に涙がでた。
ようやく落ち着きだしたと思った涙腺が再び崩壊し、さっきよりも勢いよく滴が溢れ出す。
もうしばらくこれは止まりそうになかった。
こんなに泣いたの、何年ぶりだろ。
彼女が優しく私の頭を撫でる。
私はすぐに彼女の優しさを受け入れて、そのまま彼女の存在を確かめるように強く抱きしめた。
涙で視界が塞がれていたのでハッキリとは見えなかったけど、ヴィーネも笑いながら泣いているようだ。
それからしばらくの間、小さな部屋で私達はお互いに身体を寄せ合いながら、ひとしきり頬を濡らしていた。
◇◇◇
後日談。というかちょっとしたご報告がありまして。
かくして私、天真=ガヴリール=ホワイトは正式に件の彼女、月乃瀬=ヴィネット=エイプリルと付き合うことになりました。
今回の一件で私は、自分でも気づかなかった彼女に対する気持ちを発見することができたわけで、色々と問題はあるのだろうけど、まあそれはおいおい解決していくことにした。
あんまり深く考えても仕方ないし、正直、今はあれこれ悩むのも疲れるし面倒くさい。
なんて怠惰なことを言ったら彼女に叱られてしまうかな、きっとそうに違いない。
しかし彼女は私に言った。
「ガヴのそういう怠惰で甘えん坊なところも、私は大好きよ。ていうか、ガヴは私のことちゃんと好きって思ってる?」
その言葉はとても眩しくて、私からしたら神様なんかよりずっとありがたいもので、なんなら次期神候補にうちの嫁を推薦したいくらいではあったが、多分、てか絶対に却下されるだろう。
私は照れ隠しに彼女から目線を外して、それからわざと聞こえないように、小さく返事をした。
「神様より好きだよ」
☆HAPPY→END☆
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