モバP「真奈美さんの弱点」 (39)
のんびりと書いていきます
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真奈美「P、おはよう」
P「おはようございます、真奈美さん」
真奈美「今日の日程は当初の予定通りでいいのか?」
P「ええ、大丈夫です、よろしくお願いします」
真奈美「フッ、わかっているよ、任せろ」
P(彼女は木場真奈美さん、俺の担当アイドルだ)
P(元スタジオボーカリストという経歴の持ち主で、抜群の歌唱力を持っている)
P(それに加えてこの美貌とスタイル、さらに帰国子女なので英語も堪能)
P(仕事に対する姿勢も真面目そのもの、自らの才能にあぐらをかいたりはせず、日々のトレーニングを欠かさないだけあって体力も男性顔負け)
P(おまけに家庭的な面もあって趣味は料理という…天はこの人に何物与えれば気が済むのかっていうくらい凄い人)
真奈美「んっ?どうした、ジロジロと…私の顔に何かついているか?」
P「えっ?あっ、いやなんでも…」
真奈美「…フフッ」
グイッ
真奈美「私の顔が見たいのなら遠慮するな、好きなだけ見るといい…」
P「ち、ちょっと真奈美さん…ち、近いです…」
真奈美「そうか?これぐらいの距離の方が見やすいと思ったんだが…」
P「お、お心遣い感謝します!でももう大丈夫ですから…」
真奈美「ふむ、Pがそう言うなら離れるとしよう」
P「は、はぁ…」
真奈美「ははっ、そんなに動揺することはないだろう?」
P「す、すみません…その、急に近寄られたので…」
真奈美「フッ、朝から君のそんな顔が見られるとは…今日はいい日になりそうだ」
P(と、こんな感じで男の俺の方が口説かれてるみたいになることもしばしば…)
P(他のアイドルに聞いたところ、事務所のアイドルの中でも頼りにされているらしい)
P(まあ、実際に完璧超人みたいな人だし、アイドルとしても一人のオトナとしても優秀だから周りから頼られるのも無理はない…)
P(俺のこともよく気にかけてくれるし、本当によくできた人だと思う…)
P(…だが!)
P(やはりプロデューサーとしては、自分の担当するアイドルにこうも主導権を握られっ放しなのは、なんかこう…危機感を覚える!)
P(仮にも俺は真奈美さんのプロデューサーで、彼女を導く立場なわけだし…)
P(だから、このままじゃいかんと思う!)
P(ようするに…もっと優位に立ちたい!)
P(ぶっちゃけ、なんでもいいから真奈美さんに勝てる部分が欲しい!)
P(別に真奈美さんと張り合うわけじゃない、そう!断じて張り合うわけじゃないぞ?)
P(…まあ、なんでもできる真奈美さんに対してすこーしだけ対抗心というか、ほんのちょびっと男のプライドってやつも絡んでるかもしれないが…)
P(でも、俺にも真奈美さんに引けを取らない何かがある…はず!)
P(…うん、あるはずだ)
P(ざっくり言ってしまえば、俺は真奈美さんに…)
P(俺は真奈美さんにすごいと思われたいんだッ!)
---河川敷---
真奈美「ふぅ、いい天気だ…絶好のジョギング日和と言ったところか…」
P「ええ、そうですね」
真奈美「しかし珍しいこともあるものだ、Pが私のジョギングに付き合いたいなど…」
P「そうでしたっけ?」
真奈美「ああ、確か以前にもジョギングに付き合ってもらったことがあったはずだが、翌日筋肉痛で休んでいて…」
P「ま、まぁあの時は運動不足でしたし…でもそれじゃいけないと思って、最近は暇を見つけてジムに通ってるんですよ」
真奈美「ほう、それは感心だな、ではどこまでのレベルになったか確かめさせてもらおう」
P「ええ、お願いします」
真奈美「じゃあスタートするぞ、最初は軽めにいくからな」
タッタッタ…
真奈美「ふっ…ふっ…どうだ?辛くないか?」
P「はぁ…はぁ…ええ、大丈夫ですよ」
真奈美「フッ、どうやら真面目にジムに通っているらしいな、このペースについてくるとは…」
P「はぁ…はぁ…ありがとうございます…」
P(フッフッフ…前に一緒にジョギングしたときは散々だったからな、仕事の合間に時間をかけて身体を作り上げたんだ)
P(すべては真奈美さんの走りについていくため、、そしてあわよくば真奈美さんに勝つためだ!)
P(…にしてもちょっとキツくなってきたな、かなり走れるようになったと思ったんだが…)
P(というか真奈美さんまだまだ余裕がありそうだ…)
真奈美「P、もう少しペースを上げるぞ」
P「ま、まだ上げるんですか?これ以上はオーバーワークになるんじゃ…」
真奈美「私を誰だと思っているんだ?こんなもんじゃないさ、私の本気はな」
P「な、なるほど…さすがで…」
真奈美「では行くぞ、ちゃんと付いて来いよ!」
P「は、はい!」
真奈美「はぁ…はぁ…」
P「ぜぇ…ぜぇ…」グデー
真奈美「…ふぅ、ここまで自分を追い込んだのは久しぶりだ」
P「ぜぇ…はぁ…し、死ぬ…」
真奈美「おいおい、大丈夫か?」
P「あ、あんまり…大丈夫では…はぁ…」
真奈美「フッ、だが最後までちゃんと付いてきていたな、よくがんばった」
P「ど、どうも…」
真奈美「たいしたものだ、しばらく見ない間にかなり走れるようになったじゃないか」
P「そ、そう言ってもらえると…ふぅ…ふぅ…」
真奈美「ははっ、答えるのは落ち着いてからで構わないさ」
P「は、はい…」
真奈美「…ふふっ、私についてこれるヤツは久々だったからな、嬉しくなってついペースを速めてしまった」
P「そ、そうなんですか…」
真奈美「ああ、ある意味Pに甘えているのかもな…」
P「はぁ…」
真奈美「ところでP、飲み物はどうした?」
P「あっ…そういえば忘れてた、今日に限って…」
真奈美「やれやれ、仕方のないやつだな、まったく…」
P「すみません…」
真奈美「ほら、私のをやろう、飲みかけで悪いが勘弁してくれ」
------
P「はぁ、もしかしたらと思ったけどやっぱり体力じゃ歯が立たないなぁ…」
P「まさかここまで力の差を見せ付けられるなんて…」
P「男の俺が唯一有利なはずの体力で勝てないとなると、他に真奈美さんに勝てそうなことは…」
P「うーん、何かないか?真奈美さんが苦手そうなもの…」
P「…………」
P「…そうだ、いくら真奈美さんでも実体のないものは怖がるんじゃ…」
P「たとえば幽霊…そう、ホラー映画なんかが苦手だったりしないかな…?」
P「というわけで小梅のとっておきだというホラー映画のDVDを借りてきた」
P「小梅によると大の大人でも震え上がるほど怖いらしい…」
P「これなら真奈美さんでも苦手かもしれないな」
P「どれ、まず試しに内容をチェックするか」
P「……」(鑑賞中)
P「…っ!!」ビクッ!
P「び、ビビったぁ…」
P「さ、さすが小梅のオススメ、本当に怖い…」
P「これなら真奈美さんでも…」
真奈美「私がなんだって?」
P「うわぁ!」
真奈美「ははっ、おいおい驚きすぎだろう」
P「ま、真奈美さん?い、いつの間に…?」
真奈美「今帰ってきたところだ、ちゃんとノックもしたんだぞ?聞こえなかったのか?」
P「そ、そうだったんですか…」
真奈美「熱心にPCの画面を見ていたからよほど仕事に集中しているのかと思ったら、映画を観ていたのか…」
P「あっ、これはその…」
真奈美「フッ…まあ、ほどほどにならいいさ、Pは普段から一生懸命働いているんだ、たまには息抜きも必要だろうからな」
P「あ、ありがとうございます…」
真奈美「それで、何を観ていたんだ?」
P「えーっと、小梅から借りたホラー映画をですね…」
真奈美「ほう、それはなかなかに怖そうだな」
P「え、えぇ…かなり…」
真奈美「それで私が声をかけた時に驚いていたのか?」
P「は、はぁ…」
真奈美「ふふっ、可愛いところもあるじゃないか、だがそんなに怖いのか?」
P「まあ、思った以上に…」
真奈美「なるほどな…じゃあ私も一緒に観るとしよう、そうすれば平気かもしれないぞ?」
P「えっ、でも…」
ギュッ
真奈美「それに、こうして手を握っておいてやるよ、どうだ?安心するか?」
P「は、はい…すごく…」
真奈美「ふふっ、ほら早く観よう♪」
------
P「結局ただ二人で映画を観ただけだった…」
P「肝心の真奈美さんは少しも怖がらなかった…ていうか怖がらせるどころか、真奈美さんには怖がりな可愛いやつだとか言われるし…」
P「くっそぉ、まさかこんなことになるとは…」
P「うーん、なにか他に真奈美さんが苦手そうな物は…」
P「…そうだ、真奈美さんは仕事や自分を高めるものが好きだけど…」
P「逆に遊びの分野には弱いってことはないかな…?」
真奈美「ふむ、ゲームセンターか…なかなか騒々しいな」
P「すみません、仕事終わりにこんなところに誘って…やっぱり嫌でしたか?」
真奈美「いや、あまり来たことがないから珍しく思っただけだ、それに…」
P「それに?」
真奈美「せっかくのPからのお誘いだからな、断るわけにはいかないよ」
P「そ、そうですか…」
真奈美「Pはこういうところによく来るのか?」
P「学生の時はよく遊んでましたね、ストレス解消にはちょうどいいんですよ、最近は忙しくてあんまり来れませんけど…」
真奈美「なるほど、では忙しいPのストレス解消も兼ねて思い切り遊ぶとしよう」ギュッ
P「おわっ!ま、真奈美さん!」
真奈美「んっ、なんだ?」
P「あ、あの…腕を組むのはその…」
真奈美「フッ、まあいいじゃないか、私はこういうところは不得手なんだ、君に案内してもらわなくてはな」ギュウウウウウウ
【パンチングマシーン】
P「うおりゃっ!」
ガンッ!
真奈美「ほう、なかなかいいパンチじゃないか」
P「へへ…どうも、実はこれ結構自信あるんですよ」
真奈美「なるほど…では次は私だな、ここを狙えばいいのか?」
P「ええ、思い切りやってください」
真奈美「…フンッ!」
ドゴンッ!
P「お、俺の記録をあっさりと…しかも本日のハイスコア…」
真奈美「はっはっは、これはいいな、スッキリする!」
【ガンシューティング】
バン! バン! ババン!
P「ま、真奈美さん…ずいぶん上手ですね…」
真奈美「ははっ、実は向こうにいたころに少し撃ったことがあるんだ」
P「ほ、本物でですか!?」
真奈美「まあな、あれもなかなかいいストレス解消に…ほらP、そっちからゾンビが来てるぞ!」
P「うわっ、本当だ!」
【太鼓ゲーム】
ドンドンドン カッカッ ドドドドドドド…
P「…本当に初めてですか?」
真奈美「ああ、だがそんなに難しくはないな、リズムと譜面に合わせて叩けばいいだけだろう?」
P「いや、理屈は確かにそうなんですが…」
真奈美「おっ、見ろP!フルコンボらしいぞ!ははっ♪」
P「どんだけ反射神経がいいんだ…」
真奈美「ふむ、なかなか楽しいな、Pが通うわけだ」
P「あはは、喜んでもらえて何よりです…」
真奈美「むっ?あれはなんだ、P?」
P「ああ、あれはプリクラですよ、ほら莉嘉や唯がよく集めてるやつです」
真奈美「なるほど、見たことがあるな、あそこで撮るのか?」
P「ええ、仲のいい同士であの機械の中に入って…」
真奈美「そうか、では私たちも撮ってみよう」グイッ
P「えぇ!?ち、ちょっと真奈美さん…」
真奈美「いいじゃないか、これも記念だ♪」
『それじゃあ撮るよ!』
真奈美「P、もっとくっつけ」
P「あっ、いや、でも…」
真奈美「遠慮するな、ほら」ギュッ
P「ち、ちょっとくっつきすぎじゃないですか!?」
真奈美「くっつかないとフレームに入らないだろ?」
P「そ、それはそうかもですけど…」
『3,2,1・・・』
真奈美「ほら、撮られるぞ!」
パシャッ!
真奈美「ふぅ…なかなか面白かったぞ、ゲームセンターか…たまにはいいかもしれないな」
P「は、はぁ…」
P(得意なゲームでことごとく上をいかれてしまった…)
P(こんなはずじゃなかったのに…)
真奈美「んっ、どうした、P?」
P「あっ、いえなんでも…」
真奈美「ふふっ、それにしても…プリクラで撮った時のPのこの顔、なかなか傑作だな♪」
P「す、すみません…どんな顔をしたらいいかわからなくて…」
真奈美「フッ、まあいいさ、ところでこのシールは私ももらっていいのか?」
P「ええ、もちろんです」
真奈美「ふふっ、ありがとうP、大事にさせてもらうよ」
------
P(はぁ…)
P(結局、凄いと思ってもらうどころかすごいと思わせられてばっかりだったな…)
P(やっぱり、俺なんかが真奈美さんに張り合うなんて最初から無理だったのか…)
P「はぁ~あ…」
ガチャッ
真奈美「んっ?P、まだこんなところにいたのか」
P「あっ、真奈美さん…」
真奈美「しかもその格好…準備はどうした?」
P「えっ、準備?」
真奈美「おいおい、ボケているのか?まさか今日の夜に何があるか忘れたわけじゃないだろうな?」
P「今日の夜…あっ!」
真奈美「やっと思い出したか…今日は先日のライブの打ち上げパーティーだ、ドレスコードもあるんだからきちんとした格好でないと…」
P「す、すみません!ボーっとしてました…すぐ準備します!」
真奈美「やれやれ…」
------
P(ふぅ、さっきはうっかりしてたなぁ…真奈美さんに声をかけられなかったら少し危なかった…)
P(なんか…全然ダメだな、俺…)
P(それに引き換え…)チラッ
「マナミ、久しぶりだね!先日のライブは本当に素晴らしかったよ!」
真奈美「ありがとう、そう言ってもらえて嬉しいよ」
「マナミ!貴女が日本でアイドルだなんて驚きだわ!しかも少し見ない間にグッと素敵になっちゃって…」
真奈美「フッ、驚くのも無理はない、まあ色々あったのさ、私にもな」
「やあマナミ、会えてうれしいよ、今日は一段と綺麗だね」
真奈美「はは、それはどうも」
「こんなに素敵になるとは…どうやら日本に帰るのを引き留めた私の判断は間違っていたようだな」
真奈美「貴方にそうまで言ってもらえるとはね、私も頑張っているかいがあるというもの…」
P(真奈美さんは人気者だなぁ…)
P(先日のライブも完璧だったし…)
P(遊びも仕事も完璧だもんなぁ…)
P「はぁ…」
P「すいません、一杯もらえますか?」
P「ゴクゴク…」
P「ぷはぁ…」
P「…やっぱり俺なんかがいくら頑張っても真奈美さんには勝てないのかな」
「誰に勝てないって?」
P「うわぁっ!ま、真奈美さん!?」
真奈美「またボーっとして、もう酔ったのか?」
P「い、いえ大丈夫です…」
真奈美「そうか、ならいいのだが」
P「えっと…さっきはすごかったですね、みんな真奈美さんに話しかけてきて…」
真奈美「ああ、言ってなかったか?このパーティーのホストは海外の友人なんだ、それに招待されたゲストにも知り合いが多くてね」
P「あっ、そうなんですか…すごいですね…」
真奈美「たいしたことはないよ、それより…私に勝つというのは一体どういう意味なんだい?」
P「えっ!?そ、それは…別に何でも…」
真奈美「ごまかしても無駄だ、私に隠し事が出来ると思っているのか?」ズイッ
P「うっ…」
真奈美「ほら、いい子だから話してみろ、怒ったりはしないよ」
P「うぅぅ…」
真奈美「はっはっは、なるほどな、どうりで最近君からのお誘いが多いと思ったよ」
P「すみません…」
真奈美「なに、謝る事はないさ、Pと過ごす時間はとても楽しかったからな」
P「は、はぁ…」
真奈美「しかし私にすごいと思わせたい、か…」
P「ははは…笑っちゃいますよね、俺なんかが真奈美さんに…」
真奈美「ふむ…P、一つ聞かせてほしい、そもそもなぜそんなことを考えたんだ?」
P「なぜ、ですか?」
真奈美「そうだ、そもそも私たちは共に同じ目標に向かって進んでいくチームだろう、なら仲間同士で張り合う必要などないじゃないか」
P「あー、それは…うーんと…」
真奈美「なぜだい?」
P「…その、ですね」
真奈美「…言いにくいか?」
P「……」
P「バーテンさん、一杯ください!強めのやつで!」
P「ゴクゴク…」
P「…ぷはぁっ」
真奈美「おいおい大丈夫か?君はそんなにお酒が強いほうでは…」
P「…いえ、平気です」
P「ふぅ…」
P「俺、真奈美さんはとってもすごい人だと思うんです」
P「美人で、アイドルに必要な素質があって、でも自分の才能に甘えたりせずに妥協しないで努力してて…」
P「男の俺よりも体力があって、料理も上手で、それなのに時々お茶目で、可愛くて…あと美人で」
真奈美「ふむ…」
P「それに比べて俺はまだまだキャリアの浅いプロデューサーで、とりたててなんの取り柄もなくて…」
P「このままじゃ、真奈美さんはいずれ俺に愛想をつかして、どこかへ行ってしまうんじゃないかって考えて…」
P「それで、なにか真奈美さんに勝てるような、真奈美さんにすごいと思ってもらえるようなことが一つでもあれば…」
P「真奈美さんの隣にいても、恥ずかしくないような男になれれば…そうすれば真奈美さんに置いて行かれないんじゃないかって…」
真奈美「そこまでだ、P」
P「…えっ?」
真奈美「それ以上言ったら、私は怒るぞ」
P「は、はぁ…」
真奈美「…君が思っていたことはだいたいわかった、今度は私の言いたいことを言わせてもらおう」
P「…はい」
真奈美「……」
真奈美「…君はバカなのか?」
P「…はい?」
真奈美「だから、君はもしかしてバカなのか?」
P「えっ?それは…うーん、どうなんでしょう…」
真奈美「はぁ…あのな、よく聞けよ?そもそも君はプロデューサーで私はアイドルだろう?」
P「はい、もちろんそうですが…」
真奈美「だったら仕事をしていく上で、お互いに求められるものは違うということもわかるな?」
真奈美「とても単純に言えば、君はスケジュールやレッスンプランを考える頭脳労働担当、そして私はパフォーマンスをする肉体労働担当だ」
真奈美「肉体労働を私が担当している以上、私が体力で君に勝るのは至極当然だろう」
真奈美「そして、パフォーマンスをする以上は自分の実力を向上させるために努力するのは当たり前だ」
P「まぁ…それはそう、ですが…」
真奈美「それに私は仕事じゃなくても身体を動かすのが趣味だ、君じゃなくても大抵の男に勝てる自信はある」
P「はい…」
真奈美「料理だってそうさ、私が好きでやっていることに君が引け目を感じる必要がどこにある?」
P「……」
真奈美「それと、君は重大な勘違いをしているな」
P「勘違い?」
真奈美「自分に取り柄がない、というところだ」
P「でも、俺は本当に…」
真奈美「P、私たちアイドルが仕事を全力でするうえで必要な物はなんだと思う?」
P「必要な物…衣装とか?」
真奈美「バカ、そうじゃないだろ」
P「じゃあ…?」
真奈美「…ひとつ質問しよう、アイドルというものは歌が上手ければそれだけでいいのか?ダンスのキレがよければいいものなのか?」
P「まさか、それだけじゃダメですよ、アイドルってのはファンがいて初めて成立するもので…」
真奈美「ではそのファンに見てもらうにはどうすればいい?」
P「それは…地道にライブや仕事を…」
真奈美「…それだよ、P」
P「?」
真奈美「君は、私がファンの前に立てる舞台や仕事をちゃんと用意してくれているじゃないか」
P「それはプロデューサーとして当たり前で、そんなの別にたいしたことじゃ…」
真奈美「おいおい、本気で言っているのか?君は本当に自分がたいしたことをやっていないと思うのか?」
P「……」
真奈美「いいかい?いくら歌唱力が高くても、いかにダンスがうまくても、それを見てもらうことができなければなんの意味もないんだ」
真奈美「この世界では実力があってもそれを発揮する場に立つことすらできない者たちが山ほどいる」
真奈美「みんながみんなスポットライトを浴びることはできない、だからこそ自分の力を見てもらえる機会があるというの本当に幸運なことなんだ」
真奈美「…そしてP、君は私の担当プロデューサーになった時から幾度となくそういった機会を与えてくれている」
真奈美「毎日いろいろなところへ営業をして、交渉や調整を行っている…」
真奈美「それがどれほど私にとってありがたいことなのか、ちゃんとわかっているつもりだよ」
P「真奈美さん…」
真奈美「君ががんばってくれているから、私はファンに見てもらって、そして歌を届けることができるんだ」
真奈美「取り柄がない?バカな、君は私にはできないことをいつもやってのけているんだ」
真奈美「自分の担当アイドルに必要な舞台を与えている、それだけで自分を誇るに値するものだ」
真奈美「だから君が自分を卑下する必要などまったくない、堂々としていればいいんだ」
真奈美「私はもう充分君のことを凄いと思っているよ、P…」
P「……」
真奈美「P?」
P「うっ…グスッ…」
真奈美「おいおい、大丈夫か?」
P「ぐすっ…大丈夫…です」
P「ま、真奈美さんにそこまで言ってもらえて…俺、俺…」
真奈美「やれやれ…大げさだな」
P「…真奈美さん、ありがとうございます」
真奈美「こちらこそ、いつもありがとう、P…」
P「…俺、もっとがんばります、かならず貴女をトップアイドルにします」
真奈美「ああ、私もそのつもりだ、これからもよろしくな」
P「はい!」
真奈美「それと、もうひとつ言っておこうか」
P「なんです?」
真奈美「君はさっき言っていたな、私が君を置いていくかもしれない、と…」
P「あー、そういえば…」
真奈美「そんなことは決してありえないから安心しろ、君の方こそ私を置いていくなよ?」
P「も、もちろんです!真奈美さんから目を離したりしませんよ!」
真奈美「フッ、その意気だ」
P「はぁ…でも真奈美さんはやっぱり凄いですね」
真奈美「そうか?」
P「すっかり元気付けられちゃいました、本当になんでもできるんですね」
真奈美「ふふっ、まあな♪」
P「なにか苦手なものや弱点でもないかなと考えたんですけど、見つからなそうです」
真奈美「弱点か…ふむ、今ならひとつだけあるかもしれないな」
P「えっ、真奈美さんに弱点?」
真奈美「そうだ、私にもできてしまったよ」
P「それって一体…」
「マナミ、楽しんでるかい?」
真奈美「ああ、もちろんさ」
P「お知り合いですか?」
真奈美「さっき話しただろう?このパーティーのホストで私の友人だよ」
「君がマナミのプロデューサーだね?初めまして」
P「こ、こちらこそどうも…」
「マナミが君を褒めていたよ、あんなに人を褒める彼女を見たのは初めてだな」
P「そ、そうですか…」
「…実はね、私も君に少し興味があるんだ」
P「興味?俺にですか?」
「ああ、まだ若いが君には見込みがありそうだと思ってね」
P「は、はぁ…」
「どうだろう?日本だけでなくもっと広い世界で君の力を振るってみようとは思わんかね?」
P「広い世界?」
「そうだ、君にもしその気があれば一度私のプロダクションへ…」
真奈美「おっと、そこまでだ」
P「真奈美さん?」
真奈美「彼を引き抜こうというのならやめておいたほうがいい、ウチには厳しい門番がいるし、なにより私が困るからな」
「マナミ、私は何も彼だけとは思っていない、君さえよければ二人でいつでもウチに…」
真奈美「…気持ちはありがたい、だが私は今の事務所が気に入っていてね」
「…そうか、それは残念だ」
真奈美「すまない、もういいかな?Pが酔ってしまってね、少し静かなところへ連れて行きたいんだ」
「いいとも、でも気が変わったらいつでも言ってくれよ」
真奈美「ああ…さあP、行こう」グイッ
P「あ、あのちょっと…真奈美さん…」
「やれやれ、フラれてしまったか…」
P「真奈美さん、今の人の話…」
真奈美「気を付けろよP、彼はやり手だ、うかうかしてると移籍することになるぞ?」
P「い、移籍ですか?」
真奈美「そうだ、君はもう少し自分がどう思われているかを知った方がいいな、でないと危ないぞ?」
P「き、気を付けます…あの、ところで真奈美さん?」
真奈美「なんだ?」
P「その…確かに少し酔ってますけど一人で歩けますから、わざわざ腕を組まなくても…」
真奈美「…いや、ダメだ」ギュウウウウウウ
P「ま、真奈美さん!?」
真奈美「また声を掛けられたら困るからな、まだまだ君から目を離すわけにはいかないよ」
真奈美「弱点は、しっかり守っておかないとな…♪」
おわり
駄文失礼しました~
真奈美さんの劇場は本当に最高でした
真奈美Pの全てが報われるようなセリフ、よかったです
全力で甘えさせてくれるような真奈美さんも素敵でした
ではまた~
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