【ゆるゆり】京子「私たちは、強い!」 (111)
(ごらく部)
京子「今日は、みんなに大事な話がある」
結衣「ん?何だ京子」
ちなつ「どうしたんですか?」
あかり「大事な話?」
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京子「昨日、今まであった数々の出来事を振り返ってふと思ったんだが・・・」
京子「私たちって、ギャグマンガの登場人物なんじゃないか?」
結衣「は?」
ちなつ「ギャグマンガ・・・?」
あかり「い、一体どういう事なの京子ちゃん」
京子「ほら、思い当たるフシがあるだろ?」
京子「西垣ちゃんの発明品がやたら爆発したりさ」
結衣「あ、ああ」
京子「そんなの、普通だったら警察ざただろ?」
ちなつ「ええ、そうですけど」
あかり「うん、まぁ」
京子「なおかつ、みんなそれにしょっちゅう巻き込まれてるのに・・・」
京子「ピンピンしてるしさ」
結衣「いやまぁ、そうだけど」
ちなつ「い、言われてみれば、確かに・・・」
あかり「そんなのあんまり深く考えた事なかったよぉ」
京子「・・・なわけで」
京子「格闘技の大会に出場したらいいとこまでいくと思う」
結衣「な、何だそれ?」
ちなつ「話が飛躍し過ぎですよ」
あかり「な、何で格闘技の大会なの?」
京子「考えてみ?ギャグマンガに出てくる登場人物ってさ」
京子「まず死なないじゃん」
結衣「まぁ、確かにそうだけど」
ちなつ「登場人物が死んじゃったら、ギャグじゃなくなっちゃいますもんね」
あかり「悲しい気持ちになっちゃうしね」
京子「それに、相手をパンチ一発で宇宙まで吹き飛ばしたりするしさ」
結衣「あー、そういうのあるある」
ちなつ「最近じゃあまり見ないですけど」
あかり「何だか懐かしいね」
京子「だから、私たちって実際かなりの所まで行けると思うんだー」
結衣「いや無理に決まってるだろそんな」
ちなつ「やるなら京子センパイでご勝手に」
あかり「きっと、怪我しちゃうよー」
京子「今度、ちょうど富山地下闘技場で格闘大会が開かれる」
京子「優勝すれば、何と賞金100万円!」
京子「賞金ゲットして、みんなでパーッと旅行でも行こうぜー」
結衣「何バカな事言ってるんだよ」
ちなつ「無理に決まってますよそんなの」
あかり「100万円かぁ、すごいねー」
京子「ちなみに、もう申し込みは済ませてある」
結衣「は、はぁ!?」
ちなつ「な、何を勝手なことをしてるんですか!?私出ませんよ!?」
あかり「ほ、本当なの京子ちゃん?」
京子「安心して。出るのは一人だけだから」
結衣「一人・・・?」
ちなつ「だ、誰が出るんですか」
あかり「い、言い出しっぺの京子ちゃんだよね・・・?」
京子「その、私たちを代表して出場する選手は…」
結衣「・・・」
ちなつ「・・・」
あかり「・・・ゴクリ」
京子「あかり。あかりにごらく部を代表して出てもらう」
あかり「ええーっ!?」
ちなつ「よ、よりにもよってあかりちゃんですか?」
結衣「ちょっと待てよ京子。何であかりなんだよ」
京子「ほらこういうのってさ、何だかんだで最後に主人公が勝つじゃん」
結衣「だからってお前」
京子「あかりって、主人公だろ?」
あかり「えっ・・・」
京子「なんで、私たちの中ではあかりが一番ふさわしいのさー」
京子「よっ、あかり!主人公!」パチパチ
あかり「いやぁ・・・えへへ」
ちなつ「あ、あかりちゃんダメよ口車に乗せられちゃ」
結衣「京子お前ホンットこう言うときだけ都合よく・・・」
あかり「わかったよ。あかり、出るから!」
ちなつ「や、やめなさいってばあかりちゃん」
結衣「ちなつちゃんの言う通りだって、やめときなって・・・」
あかり「・・・だって」
あかり「あかり、主人公だもの!」
京子「お!よー言うた、それでこそ主人公!いえーヒューヒュー!」パチパチ
ちなつ「あかりちゃんって、絶対霊感商法とかに引っ掛かるタイプね・・・」
結衣「全く、どうなっても知らんぞ・・・」
―――
――
―
(当日、富山地下闘技場)
あかり「・・・って、京子ちゃんに乗せられちゃったけど」
男「グッフッフッフ・・・。どぉりゃぁぁーーっ!」ベキベキィーッ
ワァー
ワァー
あかり「あかりの対戦相手、なにあれぇー!?」
あかり「で、電柱を素手でへし折ってるよぉーっ!」
京子「まーまー、大丈夫だって。落ち着けあかり」
ちなつ「そ、その余裕は一体どこから出てくるんですか」
結衣「あんなのに勝てるわけないだろ!」
『さぁ、素晴らしいパフォーマンスを披露しましたザ・グレートコング選手』
あかり「名前からしてすごいよぉー」
『グレートコング選手は、何と、以前に・・・』
『ヒグマを素手で倒した事もあるそうです!』
ザ・グレートコング「グオーッホッホッホ!」ムキムキィーッ
ワァー
ワァー
あかり「む、無理無理無理ーっ!」
あかり「殺されちゃうよーっ!」
京子「大丈夫大丈夫。勝てるから絶対」
ちなつ「きょ、京子センパイ人ごとだと思って」
結衣「そんなに言うならお前が戦え京子」
あかり「ウエェーン、怖いよぉー」
京子「だーいじょうぶだって。主人公だろあかり?」
ちなつ「いやもうそんな問題じゃありませんってば」
結衣「あかりがあれに勝つイメージが全く湧かんぞ」
京子「ほら、私たちがセコンドについてるからさ。ドーンと当たって砕けて来い!」
ちなつ「本当に砕けちゃいますよ」
結衣「きっとバラバラにされるな」
あかり「みんな不吉なこと言わないでーっ!?」
京子「もー。私戦いたくないのーとか」
京子「そんな主人公っぽいセリフ言わなくってもいいからさー」
あかり「そんなんじゃないってばーっ!」
カーン
京子「あ、ほらゴングが鳴ったよ」
あかり「ちょ、ちょっとぉーっ!?」
ザ・グレートコング「グオホーーーーーッ!」
ズドドドーーー!
『おーっと、ザ・グレートコング選手、ものすごい突撃だーーーっ!』
『これは、一気に勝負を決めに来たかーーーっ?』
あかり「ぶっひぇーーーーーっ!?」
あかり「ひゃあっ!」シャガミ
ザ・グレートコング「グオホッ!?」ガッ
ズドーーーーーーン・・・!
『あーーーっと、グレートコング選手、しゃがみ込んだあかり選手につまづいて』
『ものすごい勢いで顔面から地面に突っ込んだーーー!立てるのかこれはーー?』
ザ・グレートコング「グフゥ・・・」
ワァー
ワァー
あかり「ウエェーン、もうやだよーーーー」
京子「うーん、いいね。実にギャグマンガっぽい展開だ」
ちなつ「あかりちゃんにしてみればギャグじゃ済まないんですけど」
結衣「だからやめとけって言ったのに・・・」
あかり「ねぇ!あの人倒れたし、もういいよね?帰る!あかり、帰る!」
京子「あ、待て待て。まだだあかり」
あかり「な、何が・・・?」
京子「こういう展開って大体のお約束でさ、この後・・・」
ザ・グレートコング「ググゥ・・・」
『おっと、グレートコング選手、ゆっくり立ち上がったーーー』
あかり「え、え・・・?」
ザ・グレートコング「・・・ヤロウ、小娘」
ザ・グレートコング「ブッ殺してやるァーーーーーッ!」
『うわぁーーっ、グレートコング選手怒り心頭だぁーーーっ!』
ワァー
ワァー
あかり「ひぃえーーーーーっ!」
京子「ほら出た。相手が本気モードになるんだよねー。よくあるよくある」
ちなつ「よくあるよくある、じゃありませんよ!」
結衣「さすがに呑気過ぎるだろ京子」
ザ・グレートコング「バラバラにしてやるぜ、グッフゥ~・・・!」ザッザッ
『おおっと、闘牛のように地面を蹴る仕草!あれは・・・』
『ダンプカーすらバラバラにする、コング選手の必殺技・・・』
『コング・デストロイタックルの構えだーーーっ!』
ザ・グレートコング「グゥフフフ・・・。さぁ覚悟しな」ザッザッ
ワァー
ワァー
あかり「ど、どうしよう、どうしよう!」
京子「うーん、これもベタな展開だねー」
ちなつ「何でそうのん気にしてられるんですか!」
結衣「ほんとにバラバラにされるって!」
京子「ではあかり、作戦をさずけよう!」
あかり「な、なに京子ちゃん?作戦って?」
京子「やつの次の攻撃は、名前からしてたぶん猛烈な勢いで突っ込んでくる!」
あかり「う、うん、それが?」
京子「そこを・・・」
京子「アッカリーンって、透明になってかわすんだ!」
京子「相手は勢いあまってリングアウト!これで勝てる!」
あかり「京子ちゃんバカーっ!?」
京子「どうだこの完璧な作戦はー」
ちなつ「何が完璧な作戦なんですか!」
結衣「いくら何でも適当過ぎんだろ」
あかり「出来るわけないでしょーっ!」
京子「あ、あかり、後ろ後ろ!」
あかり「え?」
ザ・グレートコング「グオウラーーーーーッ!」ドォーーーーッ!
『ものすごい突進だー!あかり選手、これは絶体絶命!』
ワァー
ワァー
あかり「きゃあーーーーっ!?」
京子「あかり今だ!アッカリーンって!」
あかり「・・・あ」
あかり「アッカリーンッ!」フッ
ザ・グレートコング「グオッ!?」スカッ
「・・・」
「・・・ホントに消えちゃった・・・」
ザ・グレートコング「グオホォーーーーッ!」ズドーーーーン・・・
『おおーーっと!あかり選手の姿が突如消えたー!』
『目標を見失ったコング選手、自らの勢いで派手に場外まで吹っ飛んだーーー!』
ワァー
ワァー
京子「ほら見たか、バッチリ作戦通り!」
ちなつ「何ですか、この展開・・・」
結衣「目の前で起こってる事が信じられん・・・」
『コング選手、場外で完全に失神しております!』
『これは立てないでしょう、よって、勝者赤座あかり選手ーーーー!』
カンカンカーン
ワァー
ワァー
「ウエェーン、怖かったよぉー」
京子「ああいうムキムキマッチョなタイプって」
京子「大体負けるんだよねーマンガ的お約束で」
ちなつ「まぁ、確かによく見ますけれどそれ」
結衣「それにしたってあんまりだろ・・・」
京子「これでわかったろー?私たちは、強い!」
京子「優勝は、もらった!」
結衣「あんま、認めたくないなぁ・・・」
ちなつ「私たちって、もっと現実的なキャラじゃ・・・」
「ちょっと!京子ちゃん!」
京子「ん?どこ?あかり」
「ここだよぉ!ここ!」
京子「元に戻らないと。どこにいるかわからないよー」
「もう!」
ポン
あかり「あんなおっかない人が出て来るなんて、あかり聞いてないよ!」
京子「いいじゃんか。勝てたんだからさー」
結衣「ああいうのを見ると、認めざるをえない・・・」
ちなつ「ええ、認めたくはないですけど・・・」
(控え室)
あかり「もう、あかり帰るからね!」プンプン
京子「まぁまぁ、いいじゃんか勝ったんだから」
ちなつ「あんな勝ち方じゃ、対戦相手も納得できないでしょうね・・・」
結衣「いくらギャグマンガだからって、なぁ・・・」
京子「さっすが、主人公らしい勝ちっぷりだったよ。ナイスあかり!」
あかり「え・・・?そ、そう?主人公ぽかった?」
京子「そうだよ。このまま主人公パワーで、2回戦も突破だ!」
あかり「えへへ・・・。うん、あかり、何だかやれそうな気がしてきた!」
ちなつ「あかりちゃん、チョロすぎ・・・」
結衣「京子も、そうやって乗せるのやめろよ」
京子「さーて、次の対戦相手は・・・。ほぉー、ふーん、なるほどねー」
あかり「どんな人が相手なの?」
結衣「さっきみたいなものすごい奴じゃないだろうな?」
ちなつ「まぁ、あれ以上ムキムキな選手もそうそう居ないでしょうけど」
京子「それは、対面してからのお楽しみー」
(試合会場)
『さぁ、富山最強を決める富山アルティメット・グランプリ』
『これより、第2回戦の開始です!』
『第2回戦は、赤座あかり選手VS王羅 念気(オーラ ネンキ)選手ー!』
王羅「フゥーーーーーー・・・」ヒュゥゥ~
ワァー
ワァー
あかり「あれが、あかりの次の対戦相手?」
ちなつ「何だか、見た感じ普通ですね」
結衣「さっきのと比べると余計ヒョロっちく見えるな」
京子「んっふっふ、そう思うー?」
結衣「あいつは、一体どんなヤツなんだ?」
ちなつ「そうですよ。教えて下さいよ」
京子「それはね・・・。あ、これからパフォーマンスが始まるから見てみ?」
『さぁ、王羅選手のパフォーマンスです』
『リングの中に、電柱が運び込まれます!』
王羅「ホォォーーーーー・・・」ヒョォォ~
あかり「え?え?何?」
結衣「何だ、また電柱か?」
ちなつ「素手でへし折るんですか?何だか出来そうに見えませんけど」
京子「まーまー、見てなって」
王羅「破ーーーーーーーーーっ!」
ドッゴォ―――ン!
『あーーっと、王羅選手の気功弾が炸裂したーーー!』
『電柱が、一瞬でまん中からへし折れたーーーー!』
ワァー
ワァー
あかり「ひ、ひえーーーーー―っ!」
ちなつ「な、何なんですかあれ!?」
結衣「て、手から何出したんだ!?」
京子「『気』だよ。『気』の塊をぶつけたんだ」
京子「2回戦目になると、何かこう気とかそういうのを使う相手が出てくる」
京子「うーん、よくあるねぇー」
結衣「よくあるねぇー、じゃないだろ!」
『一見、華奢に見える王羅選手ですが・・・』
『手から放たれる気功弾は、アフリカゾウさえ一撃で仕留めると言われています!』
王羅「ハァァァ・・・」ヒョォォォ~…
ワァー
ワァー
あかり「ちょ、ちょっとーーーーー!?」
京子「うーん、人って見かけによらないもんだねぇー」
結衣「そういう問題じゃないだろ!」
ちなつ「あんなの食らったら、怪我じゃ済みませんよ!」
あかり「もうやだ!あかり、帰る!」
京子「大丈夫だって、ちゃんと作戦があるから」
あかり「もう、そんな事言って・・・」
カーン
京子「あ、ほらゴング鳴ったよ」
あかり「ちょ、ちょっとー!?」
王羅「ヒョォォォ~~~・・・!」コォォォ…
『おーっと、あの構えは、戦車すら一撃で大破させるという・・・』
『王羅選手の必殺技、爆裂気功砲の構えだーーー!』
あかり「ひえーーーーーっ!」
結衣「あ、あかり!アッカリンだ、さっきみたく透明になって逃げろ!」
ちなつ「冷静になって聞いたら、凄いアドバイスですね・・・」
京子「・・・いや結衣、多分それだと」
あかり「・・・あ、アッカリーンッ!」フッ
『おおっ、あかり選手の得意技、透明になって姿を消すが出たー!』
『これは王羅選手、あかり選手を捉える事は不可能かー?』
王羅「・・・フッ」
王羅「私は、『気』を読む事が出来る・・・」
王羅「いくら透明になったとしても、お前の居場所はお見通しだ・・・」
『な、何と、『気』を自在に操る王羅選手の前では・・・』
『あかり選手の技が通用しなかったーーー!』
ワァー
ワァー
「ひっ、ひぃーーーーーっ!」
結衣「な、何だってー!?」
京子「ほらね。1回使った手って、2回目とか大概通用しなくなるんだよねー」
京子「お約束、お約束」
ちなつ「なにのん気なこと言ってるんですか!」
京子「ほらあかり、無駄だから戻って戻って」
あかり「ど、どうしたらいいの!?」ポン
京子「では、あかりに勝つ方法を伝授しよう」
京子「・・・あかり。思い出すんだ」
京子「今まで、ごらく部で過ごしてきた日々を・・・」
あかり「え?ごらく部で・・・?」
―――
――
―
~回想~
結衣「ふー、いつもながらお茶が美味しいな」
京子「いやー、やっぱ緑茶には煎餅だよねー」パリポリ
ちなつ「つい食べすぎちゃいますよね。太っちゃいそうですけれど」
あかり「本当だよねー」パリポリ
ダラダラ…
あかり「さーて、あかりマンガ読んじゃおっと」
結衣「あー、私も雑誌でも読むか」
京子「じゃ私は読もーっと」
ちなつ「あ、あかりちゃん次見せてね」
ゴロゴロ…
―――
――
―
あかり「・・・何だか、ダラダラしたりゴロゴロしてる場面しか浮かんで来ないけど」
あかり「これが、どうかしたの?」
京子「・・・実は」
京子「それは全部、そうは見えないけど技の修行の一部だったんだ!」
京子「あかりは、知らない間に技の修行を積んでいたのさ!」
あかり「えっ、ええーっ!?」
結衣「いや、よくあるけどさそういうの。絶対今思いついただろ」
京子「だから、いつも部活でやってる事を思い出して戦えば・・・」
京子「絶対に勝てるはず!・・・たぶん」
ちなつ「言ってる事が適当過ぎますよ」
あかり「い、一体どうしたらいいの?」
王羅「何をゴチャゴチャやっている?」
王羅「そっちが来ないなら、そろそろこっちから行かせて貰うぞ・・・!」
シュオオオオ…!
『おーーーっと、王羅選手・・・』
『目に見える形にまで、「気」がふくれ上がったーーー!』
ワァー
ワァー
あかり「ひっ、ひえーーーーっ!?ちょ、ちょっと京子ちゃん!?」
京子「大丈夫だ、あかり!部活で学んだ事を思い出せ!」
あかり「お茶飲んだりマンガ読んだりしかしてないよーっ!?」
王羅「食らえ・・・爆裂気功砲ーっ!」
王羅「破ーーーーーーー!」
ドォーーーーーーーーーーーーッ!
『うおおーーーっ、ものすごい勢いの「気」だ!あかり選手、絶対絶命かー!?』
ワァー
ワァー
あかり「いやーーーーーーーっ!?」
京子「あかり、今だ、部活でいつもやるあれを!」
あかり「え、えっと・・・」
あかり「こう・・・?」
バチィィーーーーッ!
『あーーーっと、あかり選手』
『何と、お茶を飲む動作で猛烈な勢いの「気」を弾いたーーーっ!』
ワァー
ワァー
王羅「な、なにぃーっ!?」
京子「へっへーん。ほら見ろ。言った通りだろ?」
ちなつ「何で、あんなので攻撃をよけれちゃうんですか・・・」
結衣「これだからギャグは・・・」
王羅「く、くそーーーーーっ!」
ズドドドドド…!
『おーーーっと、王羅選手、連続気弾攻撃だーーーーっ!』
『それを、あかり選手・・・』
あかり「フンフン・・・」
バチバチバチィーーーッ!
『何と、床に寝そべってマンガを読む動作で全てかわしているーーーっ!?』
王羅「ちぃーーーっ!」
京子「どうだ、見たか!これぞ、ごらく部での日々の修行の成果だ!」
結衣「一体、何がどうなってるんだ・・・」
ちなつ「私たちも、いつの間にかできるようになってるって事でしょうかあれ・・・」
王羅「なかなかやるな・・・。だが」
王羅「かわすだけでは、試合には勝てない」
王羅「判定まで行けば、当たらなくても攻撃を多く出した方がポイントで勝つ・・・」
ワァー
ワァー
『あーーっと、確かに王羅選手の言う通り!』
『このまま判定にもつれ込んだら、あかり選手は圧倒的に不利だーーー!』
あかり「えっ、ええっ?」
結衣「あっ、そういうルールがあったのか!相手はそれを利用する気だな?」
ちなつ「い、一体どうしたらいいんですか?」
京子「そんなの、簡単じゃん」
京子「あかりの方から攻撃したらいいんだよ」
あかり「ええっ!?」
ちなつ「あ、あかりちゃんの方からですか?」
結衣「おい京子、いくら相手がマッチョじゃなくても一応成人男性だぞ?
それなりに鍛えてるっぽいし」
結衣「普通の殴り合いになったら負けるだろ」
京子「じゃあ、普通に殴りあわないであかりも必殺技を出したらいいじゃん」
ちなつ「え?必殺技?」
あかり「ど、どうやって?」
京子「お団子バズーカーって。ドカーンってさ」
あかり「無理に決まってるでしょーっ!?」
結衣「・・・いやあかり。出るんだよ多分。もうわかってきた」
ちなつ「ええ、さっきから非現実的な出来事ばかり起こってるんで、これはきっと・・・」
王羅「お前がいくら私の攻撃を防ぐ技を身に着けていようとも、無駄・・・」
王羅「はぁーーっ、いくぞっ、連続炸裂気功弾・・・!」コォォ~
『あ、ああっと!王羅選手の『気』が今までにないほどが高まるーーー!』
『これは、ものすごい技が飛び出しそうだーー!』
あかり「ひぃーーーーーっ!?」
京子「ほらさ、いかにもおだんごバズーカ撃てってフリだろあれ?」
京子「あかり、望み通りどーんとやっちまえ!」
結衣「お前はどうしてそうのん気にしてられるんだ」
ちなつ「ほんっとーに、京子センパイは人事だと思って」
だいぶ前に書いたのが残ってたのでサルベージしました
京子「ほらあかりー、さっさとおだんごバズーカ出さないと下手したらやられちゃうぞー」
あかり「お、お・・・」
あかり「おだんごバズーカーーーっ!」
王羅「だりゃりゃりゃりゃーーーっ!」ドドドド!
バチィーーーーーーーンッ!
『おおーーーーっ!王羅選手の『気』と、あかり選手のおだんごが』
『リング中央で、激しくぶつかるーーーー!さぁ勝つのはどっちだー?』
結衣「しかし、あの解説の人もよくこの状況に動じないな・・・」
京子「さあねー。よくある事なんじゃないのー?」
ちなつ「よくあるんですか・・・」
あかり「お、おだんごさん、頑張って!」
王羅「ム、ムウーーーッ!」ズドドド!
『王羅選手、やや押されているかー?』
ドゴオーーーーーーーーン!
『おあーーーっと!大きな爆発起こった!』
『さぁ、立っているのはー・・・?』
京子「お?」
あかり「あ、あの、大丈夫ですか・・・」
王羅「グウ・・・」
『な、何と!勝ったのは赤座あかり選手だーーー!』
『あかり選手、強豪の王羅選手に見事勝利ーーーー!』
京子「ほらな?」
結衣「ほらな、じゃないから」
ちなつ「もう、あと全部おだんごバズーカで優勝できるんじゃないですかね?」
京子「いいや、そうはいかない。1回使った技は次はまるで通用しなくなるのがセオリーだ」
結衣「何のだよ」
京子「それに、次の対戦・・・ほうほう、ふふーん。なるほど、こう来たかー」
ちなつ「次はどんな相手なんですか?」
あかり「ちょっと!京子ちゃん!あかりもう帰る・・・って、聞いてる!?」
『さぁ、富山最強を決める富山アルティメットグランプリも、ついに準決勝!』
『ここまで勝ち上がって来たのは、赤座あかり選手とー・・・』
あかり「うわぁーん、もうやだよー」
京子「今回は、あかりもちょっと苦戦するかなー?いや、どうかなー?」
ちなつ「もう、どんな相手が来るかまるきり予測がつきませんね」
結衣「しかし、あかりの場違い感が半端ない・・・」
『おっと、これは珍しい格闘術を使う選手が勝ちあがって着ましたよー?』
『対するは、バトルオセロ部副主将、場取 小瀬郎(ばとる おせろう)選手だーーーー!』
小瀬郎「・・・」
あかり「ば、バトルオセロ・・・?」
結衣「とうとう、よくわからん色モノのキャラが出てきたぞ・・・」
ちなつ「オセロ?あかりちゃん、意外とオセロ得意なんですよね?それなら」
京子「いいや!ただのオセロじゃない、バトルオセロだ。これはあかり、苦戦するかも」
ちなつ「ちなみに、バトルオセロって何なんです?」
京子「まぁ、これからやるパフォーマンスを見ればわかるさ」
『さぁ、小瀬郎選手のパフォーマンスです』
『オセロ板を挟んで、小瀬郎選手の前に電柱が運ばれて来ます!』
小瀬郎「・・・」
あかり「え?え?」
京子「さーさー、見ものだ。バトルオセロ、その正体が明らかに!」
結衣「また電柱か」
ちなつ「何をする気ですかね?まさか、へし折ったりとか?」
小瀬郎「・・・」パタ
ズドォーーーーン!
『おおーーっと、オセロをひっくり返す衝撃波で、電柱が真っ二つに折れたーー!』
『凄まじい破壊力!極めると、オセロはここまでの破壊力を発揮するーーー!』
ワァー
ワァー
あかり「ひぇぇぇーーーーっ!?」
京子「あれが、バトルオセロ・・・。初めて見たが凄まじい格闘術だ」
結衣「結局電柱へし折るだけって、今まで全部のと同じじゃないか」
ちなつ「あかりちゃん、そんな相手と2回も戦ってますよ?」
京子「いや!油断しちゃいけない。勝負は、ついにギャグ領域に入り込んだんだ」
結衣「ギャグ領域?」
ちなつ「何ですかそれ?」
あかり「ちょ、ちょっと!あれをどうしたらいいの?」
京子「今までの相手は、何だかんだでシリアス領域のキャラだった」
京子「ギャグマンガのキャラ相手なら、基本手も足も出ない・・・。そんな戦いだったんだ」
結衣「そ、そうなんだ」
京子「しかし、ついに私達と対等の力を持つを言える、ギャグ領域からの刺客が現れたというわけさ」
ちなつ「へ、へぇー・・・?」
あかり「京子ちゃん!わけがわからな過ぎだよ!」
京子「しかし、あかり!同じギャグ領域と言えど、あかりには絶対有利なポイントが1つある!」
あかり「え?ぜ、絶対有利なポイント・・・?何それ京子ちゃん」
京子「それは・・・」
あかり「え、えーっと・・・こう?」パタパタパタ
小瀬郎「・・・」
小瀬郎「参りました」ペコ
あかり「あ、いえ・・・」
『あーーーーっと、バトルオセロ部副主将、小瀬郎選手』
『普通に、オセロで負けたーーーーーー!』
ワァー
ワァー
京子「なー?私の言った通りだろー?」
結衣「主人公補正があるから、あかりが絶対勝つって何だよ・・・」
ちなつ「けど、何だかんだで次は決勝ですよ?」
京子「これでわかったろ!ギャグキャラに、さらに主人公補正がかかれれば、勝てない相手はない!」
京子「私たちは、強い!」
結衣「そもそも、私たちってこういう事するキャラなんだろうか・・・」
ちなつ「けれど、決勝まで来ちゃいましたね・・・」
(控え室)
あかり「京子ちゃん!もういいでしょ!」
京子「んー?もう決勝だぞーあかり」
あかり「だって、決勝だよね?すごく強い人が来たら・・・」
京子「だーいじょうぶだって。シリアス領域なら私たちに勝てないし」
京子「ギャグ領域相手でも、あかりには主人公補正があるだろ?」
京子「どーんな相手でも、勝てるヤツなんて居ないさ。楽勝楽勝ー」
京子「対戦相手表なんて、見なくたって余裕だもんねー」ヒラヒラ
結衣「おい、ちょっとはどんな相手か見て作戦ぐらい・・・」
ちなつ「すごいのが来たらどうするんですか?」
あかり「京子ちゃん、ちゃんとやろうよー」
『さぁ、富山最強を決める富山アルティメットグランプリ!』
『決勝進出者は、ここまで大健闘の赤座あかり選手とー・・・』
あかり「もう、これで最後なんだよね?」
ワァー
ワァー
京子「さーて、優勝賞金100万円まであと1勝だ!」
結衣「まぁ、その、何だ、もう気分的に余裕はあるな」
ちなつ「ええ、確かに今までシリアスでもギャグでも負けませんでしたしね」
京子「その上、主人公補正持ちのあかりに勝てる相手なんて居ないだろ!」
『・・・さぁさぁ、決勝に当然のごとく勝ち上がってきた、優勝候補筆頭!』
『富山を代表するキャラと言える、対戦相手はー・・・何とこの方』
『ドラ○○んだーーーーー!』
ド○○もん「はぁ、やれやれ。仕方ないなぁ」
あかり「ん・・・ぶ、ぶっひぇぇぇぇーーーーーっ!?ど、ド○ちゃんーー!?」
ワァー
ワァー
京子「お、おいいいいぃーーーー!?」
結衣「な、な、何だよド○え○んって!?」
ちなつ「ちょ、ちょっと!?どうなってるんですか!?」
京子「く、くぞぉーっ!これは、当然予測される事だった・・・」
京子「富山が地元で、私たちと同じでどちらかと言うとギャグキャラ」
京子「なおかつ、主人公補正すら備えてると言える・・・」
京子「富山最強を決める格闘大会で、決勝でドラ○○んが出てくるのはある意味当然だったんだ」
結衣「い、一体どうしたらいいんだ?」
ちなつ「恐れ多くて、一部伏せ字になっちゃってますよ!?」
京子「いやー、これは厳しい!今まで私たちが有利だった点が全く通用しない!」
京子「その上、作品の格というか、知名度とかは圧倒的に向こうが上だ・・・」
京子「何だよ・・・。いいよなード○○もん公園とか電車とかあってさ」
京子「それに富山の市や県のコラボ企画とか、まず真っ先に向こうになるし・・・」
結衣「そんな事いいから。何とかする方法はないのか?」
ちなつ「そ、そうだ、○ラちゃんってそんなに凶悪な攻撃力がないはずですから、そこを何とか上手く・・・」
『さぁ、ド○えもん選手のパフォーマンスです。リングの中央に電柱が運び込まれます!』
『さーて、どんなパフォーマンスが披露されるのでしょうかー?』
ド○○もん「まったく、僕がなんでこんな・・・。はぁ、しょうがないなあ。それじゃあえーと」
あかり「えっ?えっ?」
京子「な、何だ?電柱をどうするんだ?」
結衣「ま、まさか電柱を素手でへし折るの?ドラ○○んが?」
ちなつ「そんなまさか、そんな光景マンガでもアニメでも一度だって・・・」
ド○○もん「『空気砲』」ドゴォーーーーーン!
『あ、ああーーーっと!ドラ○○んの放った『空気砲』が』
『電柱を真ん中から真っ二つにへし折ったーー!実際この目で見ると、凄い威力だーーー!』
ワァー
ワァー
あかり「ひぃえーーーーーーーーー!」
京子「い、いかんぞ!向こうは思った以上に凶悪な攻撃力を有している!」
京子「あかりも、おだんごバズーカで対抗して・・・」
京子「って、ダメだ、一回でも披露した技は相手に通用しないセオリーが・・・くそっ!」
結衣「そのセオリーとやらは、何とかならないもんなのか・・・?」
ちなつ「ギャグも主人公補正も、向こうが上なんですよね!?勝ち目なんてあるんですか?」
の○太「いいぞいいぞード○○えもん!」
の○太「そんな相手なんか、さっさとやっつけちゃってよ!」
ド○○えもん「のび○くん。僕は、こんな大会に出るのなんて本意じゃないんだからね」
あかり「き、棄権しよ!?ね!?ド○ちゃんに勝てるわけないから、色んな面で!?」
京子「ぐ、ぐーむ・・・。確かに、ギャグも攻撃力も、主人公補正も圧倒的に向こうが上・・・」
結衣「まぁ、あかりに勝てる要素が全くないし。これは棄権でも仕方ないだろ」
結衣「ま、同じリングに立っただけで光栄だな」
ちなつ「そうですね。あ、せっかくですから後でサイン貰いましょうよ」
ド○○えもん「だいたい、どうしたのさのび○くん。いきなりこんな大会に出ろだなんて」
の○太「だってー、優勝したら賞金100万円だよー?それが手に入ったら」
の○太「し○かちゃんと、パーッとハワイ旅行に行くんだー」
ドラ○○ん「はぁ、そんな理由で・・・。ほんっとーにキミというやつは・・・」
あかり「そうだよね、良かった、○ラちゃんと戦わなくていいんだよね?」
京子「まぁ、戦ったらある意味一生自慢にはなるだろうけどな」
結衣「なかなか居ないだろうな、ドラ○○んと戦った事のある人は・・・」
ちなつ「自慢になりますかね・・・?」
ド○○えもん「あの、すいません」
あかり「ん?」
ド○○えもん「ぼく、棄権します」
の○太「ええ!?」
あかり「え!?」
『おーーーっとぉ!ここで、意外な事態が発生だ!』
『優勝候補のドラ○○ん、まさかの棄権を宣言だーーー!』
ワァー
ワァー
京子「へ・・・?な、何で?」
結衣「え?き、棄権?向こうが?」
ちなつ「え?て、て事は・・・。あかりちゃんが優勝?」
の○太「えー、棄権?何で?何でなのさドラ○○ーん」
ド○○えもん「いいかい○び太くん。賞金目当てでひとを格闘技の大会に出そうだなんて」
ドラ○○ん「その根性が気に食わない。さ、ほら帰るよ」
のび○「えー、そんなー。もったいないのー」
あかり「ド○ちゃん、大人・・・」
京子「ああ、場をスッと治めて・・・。意外と、大人なとこあるよね○ラえ○んは」
結衣「そうだね。ああいう性格の深さも人気の秘訣なのかも知れない」
ちなつ「京子センパイは、少しは見習ったらどうです」
『えーー、それでは。色んな波乱万丈がありましたが・・・』
『富山最強を決める、富山アルティメットグランプリ。優勝者はー・・・』
『赤座、あかり選手ーーー、おめでとーー』
あかり「あ、み、皆さんありがとうございます、あかり、全然実感が沸きませんけど・・・」
ワァー イエー
パチパチパチパチ
ヒューヒュー
京子「ほらなー、これでわかったろ?」
京子「私たちは、強い!」
結衣「いやまぁ、ド○○えもんの棄権で決まったようなもんだけど」
ちなつ「でもまさか、優勝するとは思いませんでしたね」
―――
――
―
(翌日、ごらく部)
京子「さて!優勝商品100万円をゲットした所で!」
結衣「あれは、たまたままぐれ勝ちみたいなもんだからな?」
ちなつ「そうですよ。単にラッキーだっただけですからね?」
あかり「あかり、あんな怖い思いするのは2度とご免だよぉ」
京子「これを旅費に、次は富山と言わず世界格闘大会編がスタートする・・・」
結衣「また、そんな事言い出して・・・」
ちなつ「次は京子センパイが出てください」
あかり「あかり、もう出ないからね」
京子「だって、こういうのってお約束だろー?なーに、大丈夫」
京子「私たちは、強い!」
結衣「それはもういいから。さーて、どこに行こっか?」
ちなつ「北海道なんてどうです?」
あかり「あー、いいかもねー」
終わり
以上でした
読んでくれた方、ありがとうございました
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