【ミリマス】P「桜守歌織の恋愛事情」 (29)

莉緒「それじゃあライブ成功を祝して、かんぱ~い!」

「乾杯!」

チンッとグラス同士がぶつかり小気味よい音を立てる

莉緒「ん~!仕事の後の1杯は何でこんなに美味しいのかしら!」

P「ホントにな」

歌織「楽しかったからかも知れないわね」

今日は765プロライブシアターの定期公演があった

歌織さんにセンターを任せたライブは大成功で幕を閉じることが出来た

だから今日はセンターを務めてくれた歌織さんと、そのサポートをしてくれた莉緒を労うために飲みに来ていたのだった

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P「何はともあれ歌織さん、センターお疲れさまでした!」

歌織「ふふ、私がセンターをやり遂げられたのは、プロデューサーさんが任せてくださったからなんですよ?」

アルコールがはいっているからか、少し顔を赤くした歌織さんがそう言う

P「そんな、歌織さんが頑張ったからですよ」

莉緒「ちょっとプロデューサーく~ん?私も頑張ったんだけど~?」

莉緒が不満そうにグラスを鳴らし、不満を漏らした

P「わかってる、莉緒もありがとうな、みんなをサポートしてくれて」

莉緒「ふふん♪もっと褒めてくれても良いんだぞ~?」

P「そうだな、今回は本当に頑張ってくれたし何か簡単な事なら一つ叶えてやるぞ?」

歌織「!」

莉緒「お、良いわね!そうね…じゃあまた近いうちにまたセンターやりたいわね」

P「そんなので良いのか?」

莉緒「それだけじゃないわよ~?歌織ちゃんとプロデューサーくんにサポートしてもらって、今日みたいに飲みに行くこと!これが私からのお願い」

P「お安い御用だ、歌織さんも、大丈夫ですか?」

歌織「え?は、はい!莉緒ちゃん、私もしっかりサポートするからね」

莉緒「ありがとう歌織ちゃん、うふふ、歌織ちゃんのサポートがあれば100万パワーよ♪」

楽しそうに話す2人を眺める

この2人、歳が同じなのもあってかとても仲が良い

お互いに信頼しあっているので俺も安心して任せられる

莉緒「あ、そうだ」

莉緒が何か思い出したかのように声を上げた

莉緒「この前プロデューサーくんに話そうと思ってた営業の話なんだけどね」

P「ああ、そういえば有耶無耶になってたな…聞くぞ」

莉緒「ありがと」






プロデューサーさんと莉緒ちゃんが2人で話始めるのを私はお酒を飲みながら見ていた

P「莉緒、そんなこと考えてたのか?」

莉緒「どう?いけそうじゃない?」

P「うーん…それならこっちの方が」

莉緒「そう?じゃあこっちとこっちなら?」

P「ああ、それなら良いな」

2人とも楽しそうに話してる

…正直、莉緒ちゃんが羨ましいな

39プロジェクトで集まった私達はみんな同時期に765プロに入った仲間だ

なのにプロデューサーさんから私は「歌織さん」、莉緒ちゃんは「莉緒」と呼ばれている

莉緒ちゃんと同い年なのに、私には敬語で接してくる

そのことに少し距離を感じてしまう

…私も、歌織って呼んで欲しい

プロデューサーさんと、もっと近付きたい

歌織「…」

莉緒「…」

P「莉緒?」

莉緒「あ、うん、大丈夫よプロデューサーくん、それじゃあこの方針で行くわね」

P「ああ」

話が終わったのか、莉緒ちゃんはプロデューサーさんから離れると私の耳に口を寄せた

莉緒「ごめんね歌織ちゃん、プロデューサーくんを独占しちゃって」

歌織「莉緒ちゃんの大事なお仕事の話なんだし気にしないで」

莉緒「でも歌織ちゃん、プロデューサーくんと話したいんでしょ?ならとっておきの方法があるわよ」

歌織「とっておきの方法…?」

気になる

莉緒「私はプロデューサーくんにご褒美をお願いしたでしょ?でも歌織ちゃんは私以上に頑張ったじゃない?」

莉緒「だからプロデューサーくんにお願いを聞いて貰えば良いのよ」

歌織「え?でも自分からおねだりなんてしたらはしたないって思われないかな…?」

莉緒「だーいじょうぶよ、プロデューサーくんはそんなこと気にするタイプじゃないし」

莉緒「それにちゃんと押していかないとプロデューサーくん、盗られちゃうぞ~?」

莉緒「好きなんでしょ?プロデューサーくんのこと」

歌織「わ、私はその…うん」

バレバレだったみたい

もしかしたらプロデューサーさんも…?

莉緒「歌織ちゃん、わかりやすいものねー…プロデューサーくんは気付いてないみたいだけど」

歌織「うん…」

莉緒「ま、とにもかくにもやってみましょ?前も言ったけど女は度胸!どんどんぶつかっていかなきゃ」

歌織「莉緒ちゃん…うん、やってみるわ」

歌織「プ、プロデューサーさん!」

P「は、はい、どうしました歌織さん?」

いきなり話しかけられたプロデューサーさんが一瞬ビクッとする

私もそれに釣られてビクッとした

歌織「あの…ですね?」

P「はい」

歌織「私も今日はセンター、頑張りましたよね?」

P「え?あ、はい、とても頑張ってもらったので感謝してますよ」

歌織「それで、ですね?私もその…ご褒美が欲しくて」

P「ご褒美?」

歌織「はい」

P「あー、確かに莉緒にだけっていうのも不公平ですもんね」

P「わかりました、何が良いですか?」

歌織「その…私も莉緒ちゃんみたいな対応がして欲しいんです!」

P「え」

莉緒「え」

P「ちょ、ちょっと待ってください…えーっと」

P「か、歌織さんはその…莉緒みたいに雑に扱われたいって事ですか?」

莉緒「ちょっとプロデューサーくん!?」

歌織「プロデューサーさん、莉緒ちゃんは呼び捨てですし敬語じゃないので凄く親しく見えて…」

歌織「私も莉緒ちゃんと同い年なのに、ずっと敬語だしなんだか距離があるような気がして…」

P「歌織さん…そんなことは」

歌織「分かってるんです、でも私は…歌織って呼んで欲しくて…」

歌織「駄目…でしょうか?」

P「うっ…」

プロデューサーさんが言葉に詰まる

少し意地悪だっただろうか

まさかこんなことになるとは…

俺がヘタレて歌織と呼べなかったからか、歌織さんはやけ酒…もとい歌織と呼んでくれるまで飲み続けるという暴挙に出てしまい、あっという間に潰れてしまった

P「よっと…軽いな」

莉緒「歌織ちゃん、落としちゃ駄目よ~」

P「わかってる」

酔い潰れた歌織さんを背負って店を出る

莉緒「私も一緒に歌織ちゃんを送ってあげたいところなんだけど…」

P「終電があるんだろ?後は任せろ」

莉緒「お願いね」

莉緒は駅に向かって歩き出した

少し進んだところで莉緒が立ち止まり、振り返る

莉緒「プロデューサーくーん!」

P「なんだー?」

莉緒「ちゃーんと歌織ちゃんのお願い、聞いてあげなさいねー!」

P「…善処するー!」

莉緒「よろしい!ってやば!時間が!」

P「暗いから気を付けろよ-!」

走って行く莉緒を見送り、俺は歌織さんの家に向けて歩き出した

P「…」

俺の背中で、歌織さんが寝息を立てている

色々と大きい部分が背中に当たりどぎまぎしてしまう

P「…」

…今なら、言えるかな

ヘタレだって思われても構わない

歌織さんが眠っている今だからこそ、正直に話せそうだ

P「…歌織さん」

P「歌織さんは俺と距離があるみたいだって言ったけど、ある意味正しいよ」

P「歌織さんは凄い人だ、俺なんかよりずっと」

P「たまに思うんだ、俺が歌織さんを担当してても良いのかって」

P「でも歌織さんの笑顔を見る度に、もっと歌織さんのプロデュースがしたくなって」

P「いつからかな、ずっと歌織さんの笑顔が見たいって思うようになったんだ」

P「だけどその笑顔はアイドル、桜守歌織がファンに向けるための笑顔なんだ」

P「俺の自己満足のために向けられる笑顔じゃない」

P「だからかな俺は、無意識に歌織さんから距離を取ってたのかも知れない」

歌織「…」

P「だけど今日、歌織さんから距離を感じるって言われて分かったんだ」

P「距離を取るのも、俺の自己満足でしかないって」

P「だから俺は、距離を取るのはもう終わりにする」

P「等身大の自分自身で、歌織さんをプロデュースしたい」

P「だから、これだけは言わせて欲しい」

P「歌織」

P「アイドルになってくれて、俺に着いてきてくれて、本当にありがとう」

P「俺は、歌織の笑顔が何よりも好きだよ」

歌織「…私も」

P「?歌織さん?」

もしかして起きたのだろうか

しかし聞こえてくるのは規則正しい寝息だけ

気のせいだったか

P「これからも、頑張りたいな」

P「歌織さんの笑顔のためにも」

見えてきた歌織の家に向かって歩きながら、そう決意した

翌日

P「ふう…」

歌織「プロデューサーさん、昨日は御迷惑をおかけしました」

P「いえいえ、気にしないでください歌織さん」

昨日は歌織さんの父親を説得するのに骨が折れた

何故か電話しても繋がらない莉緒に何度も電話を掛け、ようやく繋がったところで莉緒から事情を説明してもらい納得して貰ったのだ

しかし中々に恐い人だったな…

凄まじい殺気で正直殺されるかと思った

歌織「お詫び…というわけではありませんが、今度お食事でもいかがですか?」

P「食事ですか?良いですね」

歌織「ありがとうございます、ではまたスケジュールを調整して行きましょうね」

そういって微笑む歌織さん

ああ、やっぱり俺はこの人の笑顔が好きだな

歌織「あ、そうだプロデューサーさん」

P「はい」

歌織「2人の時は、歌織って呼んで欲しいです、昨日の帰り道みたいに」

P「なっ!?」

プロデューサーさんがびっくりした表情になる

私はイタズラが成功した気持ちになって軽やかに扉に向かい

歌織「これからも、一緒に頑張りましょうね!」

そう声をかけた

P「か、歌織さん!?一体いつから起きてたんですか!?歌織さん!?」

慌てるプロデューサーさんに答えずに部屋を出る私

扉を閉めて扉にもたれ掛かり、一息吐く

ハッキリと分かるくらい顔が熱かった

…私をこんな気持ちにさせた責任、取ってくださいね?

プロデューサーさん♪

尾張名古屋

歌織さんツヨイ....
乙です

>>1
百瀬莉緒(23) Da/Fa
http://i.imgur.com/rkRgGFa.jpg
http://i.imgur.com/bZge5AP.jpg

桜守歌織(23) An
http://i.imgur.com/bbLI7l0.png
http://i.imgur.com/IEeRRNf.png

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