患者「ここんところ、体中が痛くて、吐き気もあって、死にそうなんです……」
患者「私はいったいなんの病気なんでしょうか?」
ヤブ医者「うーん……カゼですね」
患者「カゼですか……」
ヤブ医者「ってわけで、手術しましょうか!」
患者「へ!?」
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ナース「先生!」
ヤブ医者「ん?」
ナース「なぜ、カゼなのに手術なんですか? お薬を渡せば……」
ヤブ医者「決まってるでしょ? 手術した方が金ふんだくれるからだよ!」
ナース「……!」
手術室――
ヤブ医者「んじゃ、始めますか!」
ナース「はい」
ヤブ医者「とりあえず、腹をメスで切開っと――」スパッ
ヤブ医者「!?」
ヤブ医者「なんだこりゃあ……!」
ナース「体中に、悪性の腫瘍が……!」
ヤブ医者「カゼじゃなかったのか……! 誤診だったのか……!」
ナース「こんなの手の施しようがありませんよ! 手術は中止して、余命告知を……」
ヤブ医者「いや……ダメだ!」
ヤブ医者「カゼだっていっちゃったのに、ド末期のガンだなんてことになったら」
ヤブ医者「オレがヤブ医者だとバレてしまう!」
ヤブ医者「こうなったらしかたない……これを全部取り除くしかない!」
ナース「えええええ!?」
ナース「無茶ですよ! 万が一うまくいっても内蔵がスカスカに……!」
ヤブ医者「心配するな」
ヤブ医者「切ったところには、オレ特製のこの細胞を埋めれば、代わりの役目を果たしてくれる」グニュグニュ
ナース「いつの間にそんなものを……!」
ヤブ医者「オレたちは……やるしかないんだよ!!!」
ナース「はいっ!」
ヤブ医者(オレがヤブだってバレないために!!!)
ヤブ医者「うおおおおおおおおおおお!」シュバババババッ
ナース「は、速い! みるみるうちに腫瘍が摘出されていく……!」
ヤブ医者「あくまでカゼだってことにしなきゃああああああ!」シュババババッ
ナース(動機は不純だけど……!)
ヤブ医者「ふう……どうにかなったな」
ナース「だけどまだ、この患者さんにはおかしいところがあるようですよ」
ヤブ医者「どこよ?」
ナース「どうやら心臓にも持病を抱えているようです! ほら、挙動がおかしいです」
ドックン… ドクン… ドックン… ドック…ン…
ヤブ医者「なんだとォ!?」
ヤブ医者「くそっ、治すしかない! この患者はカゼ! 絶対カゼなの!」
ナース「脳に出血箇所が!」
ヤブ医者「治す!」
ナース「骨にも異常があります!」
ヤブ医者「治す!!」
ナース「正体不明のウイルスが潜んでます!」
ヤブ医者「治すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
ヤブ医者「この患者は……あくまでカゼなんだぁぁぁぁぁっ!!!!!」
――
――――
患者「ありがとうございます!」
患者「なんか、体中が生き返ったようになって……寿命が50年ぐらい延びた気分です!」
ヤブ医者「……よかったですね」
患者「ところで私ってホントにカゼだったんですか?」
ヤブ医者「カゼです! 絶対カゼ! 間違いありません! 100%カゼでした!」
患者「そうですか! あなたはまさしく名医だ!」
ヤブ医者(ヤブだってバレずに済んでよかった……)
ナース(私が勤める病院の先生は、ヤブ医者である。それも……世界一の)
― 完 ―
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