ホタル「タ……」 (18)
「タコが来とる……」
「こんちゃ~」
「やっぱ来てくれたね~」
「キミのこと、街で見かけたときから、他の人とはちがう目してると思ってたんよ」
「あ、メンゴメンゴ。アタシはホタル」
「そう、みなさんごぞんじ、有名アイドル『シオカラーズ』のホタルで~す」
「えっ知らない?! マジで?!」
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がーん、だな。
アタシらもまだまだだね。
ちょっとホームを離れただけでこうなんだから。
もっと頑張らないと、か。
ま、それはいいんよ。
うん。
ううん。別に泣いてないよ。
いいの。見たことあるかもとか、下手な慰めせんといて。
かえってえぐられるから。
それよりキミ、なかなかいいモノ持ってるんじゃない?
そのそそり立つテンペラ、寸分の狂いもない触手の分け。いいわぁ。
ちょちょ、警戒しないでいいから!
あたし、ホントにアイドルだから!
テレビ出てるから!
ゲストとかひな壇じゃなくて!
え? テレビ見る暇あるならバトルしてるから?
うーん、いい事なんだけど複雑だぁ。
あー待って待って、帰らないで。
今ここのスクエアが大変なのよ
何がって?
タコよタコ。流石に知ってるでしょ?
え? 知らん? マジ? それは流石にジョークよね?
……。
……。
マジだった。
うわー、これは困るわ。
まさかタコ知らんとは……。
これがゆとり?
違うか。
あー、まぁいいわ。
つまりね、アタシらイカでしょ。
そんでタコってのはまぁ、種族としては仲間みたいなもんなんよ。
個人的には……割と好き、かな?
でも敵なんよ。
ん。そうそう、バトルするときの相手チーム、みたいな。
ゴーグルくんとグローブくんみたいに。
ただ、バトルみたいにランダムで敵味方にはならんのよ。
あいつらずっと敵。
何でって?
そういうせって……過去に、悲しい出来事があったんよ。
……多分。
詳しくは前作をプレイするか資料集をどうぞ。
まだまだ絶賛発売中! のはず!
てなわけでキミ、まぁ袖振り合うも多生の縁て言うし、ちょっと付き合って。
振り合ってない?
そんじゃ、うりゃうりゃー。
ほい。
これで袖振ったからもうフレンズやね。
ん? 勝手にぶつけてきただけ?
いーのいーの、出会いなんてそんなもんよ。
とにかく、アタシの言うこと聞いてくれたら、これからここでキミの好きなバトル、嫌というほど出来るよ。
お、ちょっと目の色変わったね?
そうそう。キミが見たことも無いような相手と考えたこともないようなバトルも出来るよ。
……多分。
そうそう、前向きな子は好きだよ。
そう……。
アオリちゃんみたいにがーっと戦ってばーっと走り抜けるような……元気な……。
え? ううん。
目にゴミが入っただけ。
とにかく、今ここのハイカラスクエアはそのタコの侵略が起きているの。
今まさに、ここでね。
アタシ達のシティでも、ナマズが盗まれて大変だったんだから。
その時もキミの先輩となる三号が……。
……ん? 信用できないっぽい?
うーん、思ったより慎重なんね。
イカのくせに。
ならどうすればいい?
バトル?
アタシが勝ったら言うこと信じる?
わお、脳筋。
ま、いいよ。
問題があったらとりあえずバトルで解決。
悪くないね。
あれね。お前が犯人だ! なら麻雀で勝負だ! 的なヤツ。
じゃ、アタシはこのワカバで……。
ん? そんな古臭い初心者用で勝つ気かって?
ちゃうちゃう、なーんも馬鹿になんてしてないよ?
そういえばキミのそれは最近流行りのだね。
まーいいからいいから。
そうそう、やるからには本気。
んじゃ、いくよー! 久し振りだね~!
マンメンミ!
はっはっは!
こんな動きにくそうな服着ているのに負けてくやしいかね?
まー、キミもいい線いっているって。
そうそう、タコと戦えば、アタシみたいになれるよ?
おー、やる気出た? いいねぇ~。
うん、頑張ろうか。
また相手してあげるよ。
ん、その時は再戦ね。
もちろん。
まぁ、がんばりたまえ~。
(……けっこうギリギリだったけど、勝ててよかった)
では隊員4号に告ぐ。
さっきはああ言っといてなんだけど、タコは本気でキミをやっつけに来るからね。
試合の気持ちは忘れて。
……目が怖い?
タコは、アタシなんかよりずっと怖いよ。
怖いだけじゃない……と、思いたいけど。
ううん。まぁ、キミなら大丈夫!
まだここにはそんなたいしたヤツは来ていないから。
だから、腕試しと思って頑張ってね!
おー、いい返事だね。
そんじゃ……あ、現れた。
アレアレ。
アレがタコ。
マルデタコって敵がどっかのRPGに居たねぇ。
それはどうでもいいか。
ほれ、見た目違うでしょ?
自分よりスタイルがいいのがムカつく?
そこじゃなくてさ。
よし! いけ! 4……ってもう行っちゃったんかい!
元気だね~。
ま、さすがアタシが目をつけた子だ。
頑張ってね、4号。
……。
アオリちゃん。
おじいちゃんが居なくなって、アオリちゃんも居なくなって。
ほんと言うと、すごく心細い……。
でも、きっと今、アオリちゃんもどこかで心細い思いしているんだよね。
アオリちゃん、どこに居るの?
アタシたち、二人でシオカラーズだよ。
早く、帰って来て……。
ー空を見上げるホタルの瞳から、一粒の光がこぼれて弾けた。
ーそんなホタルを遠くから、遠くから見ている影が居る事を知る由は無い。
(……)
(くくくっ……!)
「……っていうプロモなんだけどね。まぁね」
「あの~。アタシ、ホントに出番声だけで終わり?」
「ラストフェスの勝者と敗者の役割だからね~」
「いかにもラスボスみたいな存在感はあるけど、もっと出番~! twitterでもちょっとしか出てないじゃん!」
「いーじゃん、なんか強キャラ感出てて」
「どうせならこう、ホタルちゃんの前にバーンって現れて、そんなっ?! って感じのほうがいい!」
「アオリちゃん……! どうして?」
「くっくっくっ……ホタルちゃ……ホタル。アタシはもうあの頃のラびゅリーでキュートなアタシじゃない!」
「馬鹿な真似はやめて! 慣れないキャラで噛んでるし」
「もう遅いよ。ホタルち……。ホタル……どうして……アタシのプリン食べちゃったの……」
「その前にアンタ、アタシのおまんじゅう食べたよね」
「うるさい! くらえ! エターナルΩファランクスシュート∞! 当たった敵は死ぬ!」
「ほんにょごにょ~ん」
「ってな感じで、どうせなら悪に落ちた美人女幹部みたいなのやりたかった!」
「無理あるなー。どこがとは言わんけど」
「んで、じいちゃんの涙で正気に戻って、最後はまた一緒にシオカラ節を歌う!」
「涙流す役がじーさんって誰得?」
「ダメかな」
「ダメじゃないけどね。まー、どこかにシリアスを匂わせる珍しい企画だったからそんな世界があってもいいっしょ。これはこれで」
「よかったー。まぁ、そんなの似合わないの知ってるけどね」
「所詮アタシらイカだし。イカがシリアスしてどーすんのってね」
「そだねー。●拳の変な髪型の親子くらいストーリが真面目にギャグに突っ走ったらそれはそれでアリだけど」
「アタシは嫌だけどな」
「てなわけで」
「予約しろよ。本体持ってるキミも、せっかくだからついでに本体セットでな」
「ソフトも遊び用と保存用とついでで、一人最低三本ね!」
「アタシ達に会える7月までもうちょいってことで……」
「「イカよろしく~!」」
おわり。
どこか切なげなラストを予感させるtwitterのくだりだったけど、
最後は『だってイカだし』、でオチを付けてくれるって、私信じてる!
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