ガヴリール「今日もお前んち行っていい?」
サターニャ「もちろんよ」
ヴィーネ「……」
ラフィエル「ヴィーネさん?」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「あっ、ごめんなさい。どうしたの?」
ラフィエル「いえ、なんだか心ここにあらずという感じだったので」
ヴィーネ「そ、そうかしら」
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サターニャ「ほら、お弁当作ってきたわよ」
ガヴリール「お、サンキュー」
ガヴリール「せめて食べられるものだったらいいんだが」
ガヴリール「昨日なんてひどかったぞ」
サターニャ「でも全部食べてくれたじゃない」
ガヴリール「そりゃあまあ、な」
ヴィーネ「……」モヤモヤモヤモヤ
ラフィエル「やっぱりそういうことですよね……」
ラフィエル「ヴィーネさん、ガヴちゃんとサターニャさんが付き合いだして嫉妬してるんですね」
ヴィーネ「し、嫉妬!?」ズキッ
ヴィーネ「そんな、嫉妬だなんて」
ラフィエル「じゃあ、あの二人をよーく見ていてください」
ヴィーネ「二人を……?」
ガヴリール「宿題写させろ」
サターニャ「えー?」
サターニャ「今回だけよ」
ガヴリール「よっしゃ! サンキュー!」パラパラ
ガヴリール「……ってほとんど間違えてるじゃん」
サターニャ「うそ!?」
ガヴリール「マジだって」
ガヴリール「教えてやるから急いで直すぞ」
サターニャ「うん」
ヴィーネ「……」
ラフィエル「今のお気持ちは?」
ヴィーネ「吐きそう」
ラフィエル「やっぱり」
ラフィエル「それは嫉妬です」
ヴィーネ「だってガヴは大切な友達で、サターニャも……」
ラフィエル「今まで友達として見ていたはずなのに、その友達に恋人が出来たらなんだか寂しくなる」
ラフィエル「そんなものです」
ヴィーネ「そうなの?」
ヴィーネ「ラフィもそういう気持ちになる?」
ラフィエル「もちろんですよ」
ラフィエル「サターニャさんとずっと一緒に居たのは私なのに、って」
ラフィエル「ちょっぴりガヴちゃんに嫉妬してます」
ヴィーネ「そう……なのね」
ヴィーネ「今までガヴの面倒を見てきたのは私なのに……」モヤモヤ
ヴィーネ「もうガヴは私なんて必要としてないのかしら」
ラフィエル「そういうわけではありません」
ラフィエル「ガヴちゃんに恋人が出来たからといって」
ラフィエル「ガヴちゃんからヴィーネさんへの感情は何も変わりません」
ラフィエル「もともと友達だったのが友達でいるままなんですから」
ヴィーネ「っ」ズキッ
ラフィエル「関係性が変わったのはガヴちゃんとサターニャさんだけなんですよ」
ヴィーネ「なんかもう、聞きたくない」
ヴィーネ「ごめんね」
ラフィエル「追い詰めるようなことを言ってごめんなさい」
ヴィーネ「ううん、ラフィの言ってることは正しいし」
ヴィーネ「しっかり自分を見つめなおしてみるわ」
ラフィエル「あまり根を詰めないでください」
ガヴリール「そろそろ休み時間終わるぞ。自分の教室に帰れ」
サターニャ「ここよ!」
ガヴリール「なんだ気づかなかった」
サターニャ「あんた私をなんだと思ってるのよ!」
ガヴリール「彼女」
サターニャ「えぅっ!?」
サターニャ「そ、そうね」
ガヴリール「なんだ? その反応面白いじゃないか」ニヤニヤ
ガヴリール「おい私のカ・ノ・ジョのサターニャさん」
サターニャ「ちょっと! 恥ずかしいからやめなさいよ!」
バン!!
ガヴリール「!」ビクッ
ヴィーネ「……ごめん、静かにしてくれる?」
サターニャ「ご、ごめんなさいヴィネット」
ガヴリール「あ、あぁ」
ガヴリール「少し騒ぎすぎたかもな」
ヴィーネ「ごめんなさい……」
放課後
ヴィーネ「……」
ヴィーネ(一緒に帰りましょうって声をかけたいのに、なんて声をかければいいかわからない)
ヴィーネ(断られるんじゃないかって、それが怖い)
サターニャ「さ、帰りましょ」
ガヴリール「ん」
ガヴリール「ヴィーネも一緒に帰るだろ?」
ヴィーネ「えっ、私?」
ヴィーネ「あ、あー……いいわ」
ヴィーネ「ちょっと用事があるから先に帰ってて」
ガヴリール「? わかった」
ヴィーネ(折角声をかけてくれたのに)
ヴィーネ(なんで断っちゃったんだろ)
ヴィーネ(あの二人が一緒に居るところをこれ以上見たくなかったからかしら)
ヴィーネ(今あの二人、一緒に帰ってるのよね)
ヴィーネ(どんな話してるんだろう)
ヴィーネ(……)モヤモヤモヤモヤ
ヴィーネ(……)モヤモヤモヤモヤ
夜 ヴィーネの家
ヴィーネ「そろそろ寝る支度をしなきゃ」
ヴィーネ「悩んでても仕方ないし」
ヴィーネ「アラームを設定して……っと」スマホスマホ
ヴィーネ「あら、ラフィからメッセージが来てる」
ラフィエル『休み時間のこと、大丈夫でしたか?』
ヴィーネ「心配させちゃってるのね」
ヴィーネ「大丈夫、落ち着いたわ。これからはちゃんとあの二人を応援する……っと」スマホスマホ
ヴィーネ「これでよし、と」
ヴィーネ「……ん?」
ヴィーネ「ガヴのアイコンが変わってる」
ヴィーネ「なにこれ、プリクラ写真……?」
ヴィーネ「ガヴとサターニャの二人で……」
ヴィーネ「こんなのいつの間に……」
ヴィーネ「今日の帰りに行ったのかしら」
ヴィーネ「……」イライラ
ヴィーネ「何が『私たちラブラブ』よ」
ヴィーネ「何が『ずっと一緒』よ」
ヴィーネ「こんなの見せびらかして、何を考えてるの……?」イライラ
ヴィーネ「……」イライラ
ヴィーネ「って駄目よヴィネット! そんなこと考えちゃ!」
ヴィーネ「あの二人のことをちゃんと応援するって決めたんだから!」
翌朝
ヴィーネ(結局、色々な事を考えたり)
ヴィーネ(見たくないのにガヴのアイコンを何度も見返したり)
ヴィーネ(そんな事を繰り返している間にすでに日は登っていた)
ガヴリール「ヴィーネ、おはよう」
ヴィーネ「っあ、ガヴ……おはよう」
ガヴリール「なんか疲れてる?」
ヴィーネ「昨日あんまり寝れなくて」
ガヴリール「ヴィーネが夜更かしなんて珍しいな」
ヴィーネ「ガヴがちゃんと登校してるのこそ珍しいわよ」
ガヴリール「まあ、最近はな」
ヴィーネ「っ」
ヴィーネ「それって……」
サターニャ「あら、ガヴリールとヴィネットじゃない! おはよう」
ガヴリール「おう、おはよう」
ヴィーネ「おはようサターニャ」
ガヴリール「弁当は?」
サターニャ「最初に気にするのはそこ?」
サターニャ「ちゃんと持ってきてるわよ」
ヴィーネ(きっとガヴがちゃんと学校に行くようになったのはサターニャのおかげ)
ヴィーネ(サターニャがいるから学校にいくのよね)
ヴィーネ(私じゃガヴを自分から学校に行かせるなんて出来なかった)
ヴィーネ(私が今までずっとずっとずっとずっと頑張ってきたことを)
ヴィーネ(サターニャはたった数日で出来てしまうのね)
ヴィーネ(あぁ、本当に)
ヴィーネ(凄いわね(むかつくわね))
学校
サターニャ「ねえガヴリール! 今日はどこでお昼食べる?」
ヴィーネ「……」イライラ
ガヴリール「いつも通りここでいいだろ」
ヴィーネ「……」イライライライラ
サターニャ「たまには二人きりになりたいじゃない」
ガヴリール「はあ? 学校終わったらいつも二人きりじゃんか」
ヴィーネ「もう……てよ……」
サターニャ「どうしたの? ヴィネット?」
ヴィーネ「もうやめてよ!」
サターニャ「」ビクッ
ヴィーネ「なんでそんなふうに見せつけてくるの!?」
ヴィーネ「見たくないのに、考えたくもないのに、見えちゃうの、考えちゃうの!」
ガヴリール「お、おいヴィーネ」
ヴィーネ「私だってガヴのことが……」ハッ
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「うっ……ぐすっ……」
サターニャ「ちょ、ちょっとどうしたのよヴィネット泣かないで!」
ヴィーネ「も……なんなのよぉ……」グスッ
ラフィエル「お二人は席を外してください」
ラフィエル「私がお相手します」
ガヴリール「ごめん、任せられるか」
ラフィエル「はい」
ヴィーネ「うぐっ……う……」グスッ
数分後
ラフィエル「どうですか? ヴィーネさん」
ラフィエル「少しは落ち着いてきました?」
ヴィーネ「うん……ごめんなさい」
ラフィエル「いえいえ」
ヴィーネ「なんであんなこと……」
ラフィエル「感情を出すのは良い事だと思いますよ」
ヴィーネ「でもあんな……私……」
ラフィエル「しばらく落ち着いた方がいいと思います」
ラフィエル「時間が解決してくれる悩みっていうのもありますから」
ヴィーネ「そう、なのかな……」
ヴィーネ(その日はそれ以降、ガヴとサターニャは必要以上に会話することはなかった)
ヴィーネ(私に気を遣っているのだろう)
ヴィーネ(申し訳がなかったけれどこれで安心だ)
ヴィーネ(これで二人を見て心を揺さぶられることもなくなる)
ヴィーネ(良かった(でも放課後は?))
ヴィーネ(こうして少しずつあの二人に距離が出来れば(私に見えない場所では?))
ヴィーネ(いつか別れる日が来る(本当に?))
ヴィーネ(でも放課後は?(二人きりになるんじゃないか))
ヴィーネ(私に見えない場所では?(抑圧された分が解放されるんじゃないか))
ヴィーネ(いつか別れる日が来る?)
ヴィーネ(考えたくない)
ヴィーネ(考えたくないのに考えずにはいられない)
ヴィーネ(見えてないところで私には見せられないようなことをしているんじゃないか)
ヴィーネ(嫌な想像だけが膨らんでいく)
ヴィーネ(これ以上悩み続けるのは耐えられない)
ヴィーネ(サターニャのことを嫌いになってしまうかもしれない)
ヴィーネ(ガヴのことまで嫌いに……)
ヴィーネ(だから決めた)
ヴィーネ(だから私は)
翌日 学校
ヴィーネ「サターニャ、ちょっとだけガヴ借りていい?」
サターニャ「好きに持ってきなさい」
ガヴリール「私は物かよ」
ヴィーネ「ガヴ、一生のお願い!」
ガヴリール「いやまあ、ヴィーネには世話になってるからそんなに頼まなくてもある程度は聞くよ」
ガヴリール「んで、どこに向かってるの?」
ヴィーネ「屋上よ」
ヴィーネ「こういうのはムードが大切なの」
ガヴリール「ムード?」
屋上
ガヴリール「こんなところに呼び出すなんて」
ガヴリール「告白だな」
ヴィーネ「うん、そんな感じ」
ガヴリール「え」
ガヴリール「いや、その」
ヴィーネ「とりあえず話を聞いてほしいの」
ガヴリール「う、うん」
ヴィーネ「私はガヴが好き」
ヴィーネ「一目惚れだったと思う」
ヴィーネ「初めて会ったあの日にガヴを好きになって」
ヴィーネ「ガヴが駄目になってもう一度好きになった」
ヴィーネ「だから、だからね」
ヴィーネ「ガヴがサターニャと付き合い始めたって聞いたとき」
ヴィーネ「私どうすればいいのかわからなくて」
ヴィーネ「怒鳴ったりして、ごめんなさい」
ガヴリール「……謝るのは私だよ」
ガヴリール「ヴィーネの気持ちにはさ、うっすらとは気づいてたんだ」
ガヴリール「でも私はサターニャに惹かれていって」
ガヴリール「その……」
ヴィーネ「大丈夫よ」
ヴィーネ「ガヴがサターニャのことが好きっていうのは」
ヴィーネ「もう痛いほどわかっちゃったから」
ガヴリール「ヴィーネ……」
ヴィーネ「それでね、ガヴ」
ヴィーネ「最後に一つだけ悪魔らしいことをしようと思うの」
ガヴリール「悪魔らしいこと……?」
ヴィーネ「私はガヴのナンバーワンになれない」
ヴィーネ「だから私はガヴのオンリーワンになるの」
ガシャン
ガヴリール「お、おいヴィーネ!」
ヴィーネ「見ててねガヴ」
ヴィーネ「よーく見てて」
ヴィーネ「絶対に目を離さないで」
ヴィーネ「そして何度も夢に見て」
ヴィーネ「私が、飛び降りるところ」
ヴィーネ(そして私は、空に一歩踏み出した)
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「……?」
バサッバサッ
ガヴリール「この馬鹿!」
ヴィーネ「ガヴ……?」
ヴィーネ「こんなところで羽なんて出したら皆に見られちゃうわよ……」
ガヴリール「そんなのどうでもいい!」
ガヴリール「お前何考えてるんだよ!」
ヴィーネ「……っ」
ヴィーネ「離して!」
ガヴリール「嫌だ!」
ガヴリール「絶対に離すもんか!」
ヴィーネ「だって……なんで……」
ガヴリール「とりあえず屋上まで引き上げるぞ」
バサッバサッ
ヴィーネ「……」
ガヴリール「ヴィーネ!」
ペシン
ガヴリール「こんなことしていいと思ってるのかよ!」
ヴィーネ「……」
ガヴリール「私は、ヴィーネが居なくなったら悲しいよ」
ガヴリール「だけど、ヴィーネをこんなに追い詰めたのは私だ」
ガヴリール「だから、悲しいし悔しいんだ」
ヴィーネ「ち、違う……」
ヴィーネ「ガヴは悪くない!」
ヴィーネ「私がもう、どうすればいいのかわからなくなって」
ヴィーネ「思いついたのがこれで……」
ヴィーネ「だから全部私が悪いの!」
ガヴリール「じゃあ、お互いさまだ」
ガヴリール「どっちも悪くてどっちも悪くない」
ガヴリール「だからこれ以上この件の話は禁止だ」
ヴィーネ「ガヴ……」
ガヴリール「それと、約束だヴィーネ」
ガヴリール「ずっとちゃんと私のそばに居てくれ」
ガヴリール「やっぱりヴィーネが居ないと寂しいよ」
ヴィーネ「それって、プロポーズ?」
ガヴリール「え、いや」
ヴィーネ「ふふ、冗談よ」
ヴィーネ「でも、ガヴのこと諦めないから」
ヴィーネ「サターニャと喧嘩したときは教えてね」
ガブリール「なんだよ悪魔みたいだな」
ヴィーネ「悪魔ですもの」
ラフィエル「あらあら、一件落着みたいですね」
サターニャ「思いっきり窓から二人が飛んでる姿見えてたわよ!」
ガヴリール「やべ、あとで記憶消しとかなきゃな」
ラフィエル「ヴィーネさん、吹っ切れたみたいですね」
ヴィーネ「うん、もう大丈夫」
ヴィーネ「サターニャ!」
サターニャ「な、なに?」ビクッ
ヴィーネ「勝負よ!」
ヴィーネ「ガヴを賭けて、私と!」
ガヴリール「直球すぎるだろ」
ラフィエル「うふふ」
サターニャ「勝負……?」
サターニャ「勝負と言われちゃあ、無視は出来ないわね」
サターニャ「望むところよ!」
ラフィエル「なんだか前のガヴちゃんとサターニャさんみたいですね」
ガヴリール「私はこんなにノリノリじゃねーよ」
ヴィーネ(やれることは全部やった)
ヴィーネ(伝えたいことは全て伝えた)
ヴィーネ(だからこれから先は、これからの私次第)
ヴィーネ(きっといつか幸せになってみせる)
ヴィーネ(みんなとなら、きっと)
終わり
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