伴「星よ……過酷なトレーニングのせいで遂に頭が狂ったか……?」
飛雄馬「まあ聞け、伴。俺もこの魔球を思いついたときは鏡に向かって『お前、気は確かか?』と呟いたりもした」
伴「鏡と話している時点でどうかと思うが……」
飛雄馬「だが実際に俺の魔球は尿意をもよおす。この俺の草野球ボール1号はな」
伴「魔球でも大リーグボールじゃないんだな」
飛雄馬「ああ。あまりに残酷すぎてプロ野球では使えん。成人男性が失禁する姿を全国に中継されることになる……」
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伴「星よ……俺は今までお前の大リーグボールを何度も見てきた。お前の左腕が物理法則を捻じ曲げることも理解しているつもりだ」
飛雄馬「ああ。俺も自分が人かどうか怪しくなってきたところだ」
伴「しかし相手の人体にまで影響をもたらすとなると、それはもう化学兵器の領域だ。正直言って、信じられん」
飛雄馬「それも仕方あるまい。それより今日お前のパンツはどんなだ?」
伴「ほ、星よ……お前本当に頭大丈夫なのか? 言ってることの意味が分からんぞ……」
飛雄馬「今履いているのは汚れてもいいパンツかと訊いているのだ」
伴「年齢を考えると汚れていいことは無いのだろうが……とりあえず普通のトランクスだ」
飛雄馬「それを聞いて安心した。百聞は一見に如かずだ。打席に立ってくれ」
伴「い、今から投げるのか?」
飛雄馬「俺のことを疑っているのだろう? それとも何か? パンツがびちゃびちゃになるのが怖いのか?」
伴「馬鹿を言うな。お前のくだらん魔球なんか、スタンドに叩きこんでやる」
***
伴「よし、いつでも来い!」ブンブン
飛雄馬「いくぞ!」グググ
伴(投球フォームは普段と変わらんように見えるが……)
飛雄馬「それっ!」ビュッ
伴(むっ?! 明らかなボール球! それも打者の下腹部ギリギリを通るような……!)チッ
伴「はっ?!」ジョボボボボボ
飛雄馬「どうした伴? お漏らしはしないんじゃなかったか?」
伴「一体どうしたことだ?! 尿が……! 尿が止まらん!」ジョバババババ
伴「俺の膀胱はどうしてしまったというんだあ!」ドシーン
***
飛雄馬「……とまあ、こんな感じだ」
伴「いやはや、全く御見それした。せめて替えのパンツを用意してから打席に立つべきだった」ハアハア
飛雄馬「今のボールを見て、どう思った?」
伴「最初は普通のボール球だと思った。普通と言ってもお前の球だ。剛速球のボール球……と言った方がいいだろう」
飛雄馬「ああ」
伴「だが、ボールが俺の体スレスレを通過した直後……俺の膀胱はとめどなく尿を吐き出していた。おそらくこの瞬間に、草野球ボール1号の秘密があると見た」
飛雄馬「ふふふ、流石俺の捕手をしていただけのことはある。まさしくその通りだ」
伴「そして微かに聞こえた『チッ』という音……」
飛雄馬「良いところに気がついたな。……どうだ、答えは見つかりそうか?」
伴「ううむ……。いや、分からん。なぜ俺はこの歳になって股間を濡らして座り込んでいるのか、皆目見当もつかん」
飛雄馬「まあそうだろうな。よし、お前にだけ特別に答えを教えてやろう。一緒にシャワールームに来い」ポン
伴「シャワールーム? ああ、汚れたパンツを洗うのか……」
飛雄馬「いいや。確かにそれもあるが、シャワールームこそが、この草野球ボール1号の秘密を教える場にふさわしいのだ」
伴「……?」
***
伴「シャワールームに来たのはいいが、一体ここがあの魔球と何の関係があるというんだ?」
飛雄馬「なに、ちょっと人体の不思議を感じ取るのにうってつけだからな」
伴「人体の不思議……?」
飛雄馬「それより伴、何を股間を隠すことがある? 恥ずかしがるような間柄じゃないだろう?」
伴「それはそうだが……。その、なんだ……。あまり見られて気持ちのいいものじゃないからな」
飛雄馬「しかし、それでは教えることができない。その手をどかせ」グイッ
伴「よ、よせ星! 何をする!」
飛雄馬「少しくすぐったいが我慢しろ」ジャーッ
伴「こら! シャワーを直接当てるな! くすぐったい!」バタバタ
飛雄馬「最大出力だ!」ジャババババババババッ
伴「ぬああああああああああ!」ジョボボボボボボボ
飛雄馬「伴よ、股間の先を見てみろ」
伴「にょ、尿が……っ?!」ジョボボボボボボボ
飛雄馬「……ふふ」ニヤリ
***
伴(先ほど盛大にぶちまけたばかりだというのに、俺は尚もお漏らしをしてしまった……)ハアハア
飛雄馬「まるで何が起こったのか分からないという顔をしているな」
伴「星よ教えてくれ! 尿意0だった俺が何故、放尿したのかを!」ガシッ
飛雄馬「悪いが俺も理屈は分からない。ただ、こういう風に刺激を与えてやれば尿が出るということは経験で知っていた。気づいたのは俺がまだ小学生の頃だ」
伴「そ、そんなに幼いころからこのような刺激を……?」ゴクッ
飛雄馬「ああ。最初は腰が引けてしまって到底尿を出すまでには至らなかった。だが、野球で培われた精神力と若さゆえの好奇心は時として人間の限界を超越するのだ」
伴「星よ……お前とは長い付き合いだが、俺は今改めてお前という男を尊敬する……」
飛雄馬「ふふふ、よせ……。さて、人心地ついたところで、お前にも先ほどの魔球の秘密が見えてきたのではないか? ヒントは『刺激』だ」
伴「『刺激』……? ま、まさか!」
飛雄馬「気づいたようだな」ニヤッ
伴「あの『チッ』という音……。星よ、お前は……この俺の股間に当てたな……?」
飛雄馬「そう、俺は伴の股間に球を当てたのだ」
伴「当たったことにも気づかないほどのデッドボール……。何と恐ろしい技術……!」ゾオオオ
飛雄馬「要は尿道口に強烈な振動を与えているというわけだ。腕のしなりと手首のスナップによって高速かつ高回転のボールを投げ、股間の先に一瞬だけ当てる」
伴「一瞬であるのに加えて、先っちょにしか当てていないためにまるで痛みを感じず、デッドボールであるということにも気づかない……ということか」
飛雄馬「当然要求されるのは緻密で繊細なコントロールと、強靭な肩」
伴「見送られればボール球、下手をすればデッドボール……。しかし成功すれば相手はグラウンドから姿を消す……」
飛雄馬「まさにハイリスクハイリターンの大魔球だ。はっきり言って、こんな技を思いついてしまう自分が怖い」
伴「いやしかし星よ……。これはプロでも十分通用するのではないか……?」
飛雄馬「何を馬鹿なことを……。これはあくまでも草野球専門の魔球だ。もしプロで使えば、相手の野球人生に破滅の音を響かせることになる……」
伴「星よ……俺が野球を始めたのはお前に対する意地だった。勿論お前とのバッテリーを経て野球にはまり込んでいったわけだが、最初の動機はそんなものだった」
飛雄馬「いきなり何の話だ?」
伴「しかし今! 今俺はバッターが皆、失禁して球場を去る今後のプロ野球に途方もない面白さを感じている……! 入団したときもここまでワクワクはしなかった」
飛雄馬「……」
伴「考えてもみろ。年収が数千万を超えるスーパースターたちが、本気の勝負で痴態を晒す……。これ以上のエンターテインメントがあるか?」
飛雄馬「……た、確かに面白いかもしれない」ゴクッ
伴「スーパーカーで意気揚々と球場に乗りつけたその数時間後、高価なレザーシートを汚さないように腰を浮かせて泣きながら家路につくのだ。想像したら鼻水が出そうになるだろう」
飛雄馬「伴よ……。俺は……俺は……」
伴「星! お前のその肩は……!」ガシッ
飛雄馬「球界を覆すかもしれない!」バアアアアアンッ
***
実況「ここまでジャイアンツ対ホエールズの試合をお送りしております。いやあ~解説の平松さん、すんごい試合になりましたね~」
解説「このような試合は初めてですね。何か懐かしい感じがします」
実況「懐かしい感じと申されますと?」
解説「夕方に友達と野球をやっていたらね、皆のお母さんが夕飯に呼びに来て、一人づつ帰っていく。そんな感じなんですね」
実況「なるほど! 言い得て妙と申しましょうか! 今日の試合はまさにそんな感じです!」
解説「一人づつ帰っていくバッターの背中が、やけにもの悲しいですね」
実況「ワンボールでバッターボックスを離れるようなことが、これまでにあったでしょうか?」
解説「審判も動揺の色を隠せていません」
実況「対する星は腹を抱えて笑っています。背中がマウンドの土で泥だらけです」
解説「性格の悪さがにじみ出ていますね。これにはファンもびっくりでしょう」
実況「新たな魔球を引っ提げて戻って来た星ですが、どう御覧になりますか?」
解説「最低ですね」
実況「ぴったりの熟語だと思います」
解説「原理は不明ですが、股間スレスレのボール球を放ったときにバッターが漏らしてますよね?」
実況「はい。そのように見えます」
解説「何かしらボールが、人体に影響を与えているんだと思いますね」
実況「科学兵器です! 星の今度の魔球は! まさに! 化学兵器です!」
***
左門(恐ろしいボールたい……)ドクンドクン
左門(あのボールを避けていなかったら、今頃わしは泣きべそをかきながら夜の高速を走っていたたい……)
左門(これはもう、フォアボールを狙って避け続けるしかなか……!)
飛雄馬「……」スッ
左門(……来るとです!)キッ
***
実況「バッターボックスの左門、心なしか緊張しているように見えます」
解説「ホエールズでまだ帰っていないのは彼だけですからね。最初の打席でよく避けたと思いますよ」
実況「今星が投球動作に入って……第一球、投げました! 即座に尻もちをつく左門!」
解説「おや? ボールはどこでしょうか?」
実況「ああっと?! 今のは投げるふりです! ボールはまだ星の左手の中に!」
解説「完全にボークですね」
実況「転んで逃げられない左門に狙いを定めて……投げたっ!」
解説「ああ……」
実況「左門、股間の阿蘇山が大噴火ですっ!」
解説「これは酷い」
実況「唖然とする観客の視線は左門のズボンにくぎ付け! どうなるのでしょうか?!」
解説「左門が帰らなければ、まだ逆転の可能性はありますよ」
実況「左門、帰るかどうか悩んでいる様子!」
解説「羞恥心と不快感のダブルパンチですからね。ここは耐えてほしい」
実況「おおっと? そのままベンチの方に向かって……」
解説「あちゃ~……」
実況「帰ったあああああ! 試合終了です! ジャイアンツ、3-0でホエールズを下しました!」
***
インタビュアー「ヒーローインタビューです! 今日はノーヒットノーランを達成した、星飛雄馬選手に来ていただきました」
インタビュアー「星選手、おめでとうございます!」
飛雄馬「ありがとうございます」
インタビュアー「圧巻の投球でしたね! 最後のボークが無ければ完全試合でした!」
飛雄馬「最初から逃げる気満々の彼を見て、ついカッとなっちゃいました」
インタビュアー「この新魔球は大リーグボール4号ですか?」
飛雄馬「いえ、草野球ボール1号です」
インタビュアー「新たな魔球の手ごたえに、試合中ずっと笑顔が見られたようですが……」
飛雄馬「手ごたえというより、バッターの表情が破壊力抜群でした」
インタビュアー「皆肩を震わせて去っていきましたね。何か謝罪の言葉はございますか?」
飛雄馬「特にないですね」
インタビュアー「潔い返事を頂きました! 今日は星飛雄馬選手にインタビューしました! 星選手、ありがとうございました!」
飛雄馬「ありがとうございました」
***
伴「星、昨日の試合、テレビで見たぞ。すごく面白かったな」
飛雄馬「ああ。視聴率も跳ね上がったらしく、テレビ局から菓子折りを貰ってしまった」
伴「ボークからのトドメで俺は飯を吹いた」
飛雄馬「あれは流石にやり過ぎだったと、一晩経ってから反省している」
伴「確かにやり過ぎだったな。昨日、左門から『死にたかとです』って電話が来た時は慌てたぞ」
飛雄馬「何?! か、彼は無事か?」
伴「心配するな。今頃は二日酔いで布団のなかだ」
飛雄馬「そうか……」
伴「……それより星よ。次の阪神戦だが……」
飛雄馬「分かっている……監督に無理に頼み込んで先発にしてもらった」
伴「ふふ……狙いはやはり花形か……」
飛雄馬「彼のプライドの高さと俺の草野球ボール1号が、一体どんな化学反応を引き起こすのか……」
伴「気になって夜も眠れない……というやつだな」ニヤリ
飛雄馬「問題は俺の好感度だが……」
伴「新聞を見てみろ。お前を叩いていないのは読売だけだ」
飛雄馬「特に中日新聞の叩き方が尋常じゃないな……。きっとドラゴンズの選手に自殺者が出るのを恐れているのだろう」
伴「星よ……分かっていると思うがもし俺と勝負することになったとしても……」
飛雄馬「案ずるな。勿論お前に草野球ボール1号を使いはしない」
伴「それを聞いて安心した。これからも一緒にプロ野球を盛り上げていこう」ガシッ
飛雄馬「ああ!」ガシッ
***
実況「ここまでジャイアンツ対タイガースの試合をお送りしております。いやあ~解説の平松さん、今宵も星から目が離せませんね!」
解説「星の高笑いが解説席にまで響いてきますから、嫌でも目がいっちゃいますよね」
実況「5回の裏、タイガースに残っている選手は花形ただ一人! 彼が帰路についた瞬間、この試合はジャイアンツの勝利となります!」
解説「花形はプライドが高いですからね。何が起こるか分からない所が非常に魅力的な選手です」
実況「尚、万が一に備えて花形の周りからはスパイクを除き、鋭利なものは全て没収しております」
解説「非常に良い判断だと思いますよ」
***
花形(ふふふ……星……。君が新たに開発した草野球ボール1号は確かに恐ろしい球だ……)
花形(しかし……股間スレスレの速球という、コースも速度も分かる球を打つことなど僕には容易いことだ!)
花形「さあ来いっ! 星くん!」ググッ
星(む……花形め……。バットを逆手に握って無理やり打つ気か……!)
星(しかし俺は何としてでもこの球で君を抑えてみたい……)ドキドキ
星「……」スッ
花形(来るかっ?!)
星(それっ!)ビュンッ ツルッ
星(し、しまった! 汗でボールが滑った!)
花形(む! コースが予想よりもはるかに僕寄りにっ?!)
花形(くそっ! 速すぎて避けられないっ! 横腹に当たるっ!)
花形「うあああああああああっ!」ドゴッ
星「花形さん!」
花形「……」ブリュッ!
星「……」
***
実況「……」
解説「……」
実況「……で、デッドボールです! 星の剛速球が今! 花形の横腹に容赦なく突き刺さりました! 腹とお尻を押さえてうずくまる花形! これは痛そうだ!」
解説「体の痛みと心の痛み、どちらが上かと訊かれれば紛れもなく後者でしょうね」
実況「ズボンの栄光の縦縞が不自然に膨らんでいます。目の錯覚を引き起こしそうです!」
解説「これは結構な量が出たんじゃないでしょうか。やはり彼は何か持っています」
実況「花形、一塁ベースとベンチを交互に見つめ、どちらに向かうか逡巡している様子!」
解説「野球選手としてのプライドと、人としてのプライドがぶつかり合ってますね」
実況「ああっと! ベンチに向かった!」
解説「そうするしかないでしょう」
実況「帰ったああああ! 試合終了! 2-0! ジャイアンツ、見事勝利を収めました!」
***
伴「星、昨日も大活躍だったな」
飛雄馬「よしてくれ。あれは偶然が引き起こした哀しい事故だ」
伴「だがあんな美味しい展開、そう簡単に見られるものじゃないぞ」
飛雄馬「瞬間最高視聴率は驚異の90%越えだそうだ。花形が首を吊らなければいいが……」
伴「心配するな。花形なら今頃二日酔いで布団の中だ」
飛雄馬「伴の手厚いメンタルケアには毎度驚かされる」
伴「それより星よ……。次はとうとう中日戦なわけだが……」
飛雄馬「分かっている。草野球ボール1号は決して投げない」
伴「約束だぞ! 男の約束だからな!」ガシッ
飛雄馬「ああ! 男の約束だ!」ガシッ
***
実況「ここまでジャイアンツ対ドラゴンズの試合をお送りしております。いやあ~解説の平松さん、案の定と申しますか!」
解説「今日も星の魔球は絶好調ですね」
実況「グラウンドの土を消臭タイプの猫砂に変えようとの意見も出ているようですが」
解説「何十人もこぼしていたら流石に臭って来ますね」
実況「そして今、誰も味方の居ないドラゴンズのベンチから伴が飛び出してきました!」
解説「彼は長年、星とバッテリーを組んできた盟友ですからね。そう簡単に星も魔球は投げられないと思いますよ」
***
飛雄馬(何と言うことだ……。俺は今、激しい板挟みに遭っている……。友情と好奇心の板挟みに……!)
飛雄馬(俺の魔球の秘密を知るただ一人の男……。くそ! 投げてみたい!)
飛雄馬(果たして俺の球がネタばらしをしたら途端につまらなくなる手品なのか……)
飛雄馬(はたまた誰にも打てない大魔球なのか……)
飛雄馬(しかし俺には伴と交わした男の約束がある!)
伴「星! 来い!」グググ
飛雄馬「……」スッ
伴(来るかっ!)
飛雄馬(……それでも)
飛雄馬(それでも俺はお前の親友である前に……)
飛雄馬(鋼の左腕、巨人の星なのだ!)ビュンッ
伴「……」ズバン!
主審「ボール!」
飛雄馬「な、何っ?!」
伴「どうした星よ! 怖気づいてコントロールが鈍ったか?」ブンブン
飛雄馬(そ、そんなはずはない……! 間違いなくあのコースは伴汁大放出コースだったはず! それなのに何故?!)
伴「さあ来い!」
飛雄馬(く、くそ!)ビュンッ
伴「……」ズバン
主審「ボールツー!」
***
実況「どうしたんでしょうか! コースとスピード、傍から見ている分には他の選手を地獄に突き落とした魔球と相違ないように見えますが!」
解説「伴が不自然なほどに内股になっていますね。それと何か関係があるのではないでしょうか」
実況「なるほど言われてみれば確かに! これは伴が漏れそうなのを我慢しているということなのでしょうか?!」
解説「うーん……しかしただ我慢しているだけとは違うような気もします」
***
主審「ボールスリー!」
飛雄馬(い、いかん! このままではフォアボールになってしまう! 何か良い手は……?)ハアハア
伴「タイム!」
伴「……」ゴソゴソ
伴「……」ギュッ
伴「よし来い!」
飛雄馬(……む! 伴がさっきより内股に! そうか分かったぞ!)
飛雄馬(伴よ……お前は挟んでいるな!)
飛雄馬「……タイム!」
***
実況「おや、ここで星もタイムを取ったようです」
解説「伴のもとに近づいていきましたね」
実況「そしてポケットの中から写真のようなものを……ああっと! 伴のズボンの前の方が!」
解説「もっこりしちゃってますね。これは言い訳できないですよ」
実況「それにしても何と言う大きさ! ストライクゾーンにかかっています!」
解説「何だか伴が焦っている様に見えますね」
実況「伴、もう一度タイムを申請しています! しかし既にマウンドに戻った星、タイムを待たずに4球目を投げた!」
解説「ああ~……」
実況「出たああああああ! 伴汁! 止まりません!」
解説「あ、見てください! 伴の腰が砕けたと同時にバットが……」
実況「星! 危ない!」
解説「……ふう~危なかった」
実況「バットは星の股下をギリギリで通りぬけていきまし……あああああ! 星の股間が!」
解説「大洪水ですね……。何があったというのでしょう」
実況「立ち尽くす星! そして今! バッターボックスにうずくまる伴と目が合った!」
解説「どうやら二人で照れ笑いをしているようです」
実況「そしてそのままベンチに向かったあああああああああ! 試合終了! 3-0! ジャイアンツ、ドラゴンズを破りました!」
***
伴「あれだけ投げるなと言っておいたのにためらわずに投げてくるとは……まったく恐れ入ったぞ」
飛雄馬「すまない……お前との真剣勝負に手加減は無粋だと思ったのだ」
伴「謝らなくていい。俺もグリップが弱かったせいでお前に恥をかかせてしまった」
飛雄馬「二人で漏らしたんだ。恥ずかしくなんかないさ」
伴「それより星よ……その目の青たんはどうした? まさか漏らしたことを親父さんに責められて……」
飛雄馬「いや、これは姉ちゃんだ。ほら……お前に見せたヌード写真……」
伴「ああ……」
飛雄馬「たまたまアップで映ってしまったらしく……家に帰ったらバットでタコ殴りにされた」
伴「やはり明子さんもあの親父さんの娘だな」
飛雄馬「まったくだ」
飛雄馬・伴「「あははははははははは!」」
おしまい
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