俺「天気予報大外れじゃねェか! ふざけんな気象庁!」 (13)


「今日は雨が降るでしょう……」


気象庁のデータをもとに、こう解説する気象予報士。

俺はこの予報を信じて、この日長い傘を持って外出した。



――ところがどうだ!


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雨が降るどころか、空は快晴。


傘はRPGでいうアイテム欄をかさばらせるだけの存在と化し、
俺は一日中不便を強いられることになった。


なんでも雨雲が予想外の動きをしたのが原因らしいが、そんなものは言い訳にならない。


俺はメロスの如く激怒し、総元締めである気象庁にクレームの電話を入れることにした。


電話をかけると、気象庁の窓口担当と思われる男が出た。

さっそく俺は用件を告げる。


「あのー……気象庁さん、今日天気予報大外れでしたよね。
 おかげで俺は一日中傘を持ち歩くはめになったんですよ。どうしてくれるんですか」

「申し訳ありません。ですが、天気を完璧に予想するのは不可能ですから……」


案の定、いかにも役人らしい、機械的な、淡々とした返答が来た。

俺は激怒どころか、ブチキレた。


「天気予報大外れじゃねェか! ふざけんな気象庁!」



ここから先、自分が何をいったかは正直記憶にない。


とにかくやたらめったら怒鳴りまくり、放送禁止用語すらも交えた罵詈雑言を、
受話器の相手に叩きつけまくったことだけは覚えている。

相手の反撃を一切許さない、一方的な攻撃であった。

コーナーポストに相手を追い詰めたボクサーの如き、怒涛のラッシュであった。


「明日の予報は必ず当てますから……」

「絶対だぞ!!!」



受話器を置く。
通話時間はおそらく10分以上に及んでいただろう。


それだけの時間、天気予報の被害者という肩書きを盾に、好き放題に相手を罵倒したのだ。
俺の心はスカッと快晴になっていた。


クレームの快感に目覚めた俺は、心の中でまたやろうかな、とすら思っていた。


次の日の朝、俺はいつものようにテレビをつける。

テレビの気象予報は次のようなものであった。



「今日は血の雨が降るでしょう」


俺は首をかしげた。


なんだ今のは?

“曇りのち雨”の聞き間違いか?


などと俺が思案にくれていると――玄関のチャイムが鳴った。


俺はドアを開けた。


ドアの外には、武器を持った気象庁の役人とおぼしき人間が無数に……。








― 終 ―

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