善子・花丸「梅雨の不幸」 (65)
よしりこです。
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善子「フ~ンフ~ン♪」
花丸「善子ちゃんめずらしく機嫌がいいずら」
善子「ヨハネっ!」
花丸「そこはいつもどおりずら」
善子「なに私を冷静に分析してるのよ!」
善子「見なさいっ! この明るく晴れ上がった偉大なる青空をっ!!」
花丸「…見たずらよ」
善子「そんな報告は求めてないの! ずら丸はどう感じたのかしらっ?」
花丸「きれいずらぁ」
善子「……」
花丸「善子ちゃんはいったいなにが言いたいずら?」
善子「今は梅雨なのよ!?」
花丸「そうずらね」
善子「この私が! 邪神に愛されしこの私が外出しているというのに雨が降らないのよ!?」
花丸「うん」
善子「これは奇跡!!」
花丸「うん」
善子「…生返事やめてよ」
花丸「でも今年の梅雨はちょっと変わってるって聞いたずら」
>>1
とんでもないまちがいです。
よしまるです。
よしりこ読みすぎた…
善子「?」
花丸「普通梅雨の時期はずっと雨が降り続けるものだけど」
花丸「今年のは強く降ったかと思えばしばらく晴れて、の繰返しらしいって」
善子「へえ。そうなんだ。でも天気予報ってあてにならないところもあるしね。どうなるかまだわかんないわよ」
花丸「うん」
善子「ところでなんで私たちは二人で歩いてるんだったっけ?」
花丸「…忘れるにもほどがあるずら」
花丸「まるは善子ちゃんに付き合ってるずらよ?」
善子「つ、付き合ってる!? わ、私たちいつのまにそんな関係にっ!?」
花丸「急にどうしたずら」
花丸「善子ちゃんは明日提出の課題を学校に忘れたというとんでもないミスを犯したずら」
善子「ああ、そうだったわね」
花丸「ひとりじゃ嫌だって日曜の昼にまるを呼び出したずらよ」
善子「ああ、魔方陣でね。リトルデーモンの花丸をね?」
花丸「スマホで数少ない友達のまるをずら」
善子「いちいち訂正しなくてもいいでしょ!?」
善子「でもずら丸ひとりはめずらしいわね? ルビィはどうしたのよ」
花丸「こんなことにルビィちゃんを呼ぶわけにはいかないずら」
善子「…なんにも言い返せないこと言うのはやめて…」
花丸「しかも未完成の課題を手伝うずら」
善子「ありがたいわ」
花丸「善子ちゃんは悪魔とか神とか言うのもいいけど現実を見るのも必要ずらよ?」
善子「…はいはい」
花丸「返事は一回ずら。腹立つ」
善子「ハーーーーーーーーイ!!」
善子「やめて! 無言でしばきまくるのはやめて!」
花丸「…善子ちゃんは本当にしょうがないずら」
花丸「でも梅雨の始まりは大雨だったずら」
善子「フフン」
花丸「不適な笑みずら」
善子「安心しなさい! そのときちゃんと私は船に乗っていて危うく転覆しかけたからっ!」
花丸「心配マッハずら。あの大雨でよく今ここにいるずらね」
善子「あれはなかなか良い不幸だったわね」
花丸「善子ちゃん。顔が青いずらよ?」
善子「それは生まれつきだから気にしないでっ」
花丸「そうだったっけ?」
ブワッ
善子「! 強風よ!!」
善子「大いなる風よ──うわっ!
って風強いっ!」
花丸「……」
善子「ずら丸は大丈夫?」
善子「!」
善子(髪をなびかせるずら丸…)ドキッ
花丸「きゃあ」ドテッ
善子「ってずら丸大丈夫!?」
花丸「いてて…ちょっとしりもちついただけずら」
善子「…もう。心配させないでよ…」
花丸「えへへ…こけちゃったずら」ペロッ
善子「!」ドキッ
善子(あんたはなんでそういちいちカワイイ仕草なんてするのよ…っ)
善子「ほ、ほら! 手出して!」
花丸「起き上がらせてくれるずらか? 善子ちゃん優しいずら」
花丸「ありがとう」ニコッ
善子「」キュン
花丸「よ、善子ちゃん?」
善子「い、いいから! ほらっ」ギュッ
善子(ずら丸の手柔らかくて温かい…)
花丸「?」
善子「いくわよ!」グイッ
花丸「っとと。 ありがとう」ニコッ
善子「そんくらいいいわよ」フイッ
善子(ほら、さっきのせいで花丸の笑顔が直視できなくなったじゃない…)
善子(これでずら丸に嫌われたらどうしよう…)
善子(別にいいか)
善子(私は悪魔に愛された堕天使ヨハネなんですもの)
善子(これくらいの不幸なんて…)
花丸「善子ちゃん?」ヒョコッ
善子「?!」
善子(そんな間近で覗き込むなっ…!)ドキンッ
花丸「…まる、なんか悪いことしたずらか…?」
善子「は、はぁ!?」
花丸「善子ちゃんがまるの顔を見てくれない…」
善子(そんな悲しそうな顔しないで…)
善子(あんたは悪くないの…)
善子(ただ私がずら丸のことを好きなだけ……)
善子(片想いしているだけ…)
善子「嫌ってなんかないわよ。それより早く学校行くわよ!」スタスタ
花丸「善子ちゃん? 待ってずら」
善子(私がずら丸に正直に想いを伝えられないだけ…)
善子(私のせいで嫌な思いをさせてごめんね、ずら丸……)
花丸「善子ちゃんはまた悪魔に愛されているずらか?」
善子「き、急になによ!」
花丸「まるのせいじゃないならよかったずら」
花丸「でも善子ちゃんはどこか悲しそうずら」
善子「…ずら丸」
花丸「悪魔とか変なこと言うのはよくないけど」
花丸「それでも善子ちゃんには元気でいてほしいから元気出すずら!」
善子「……」
善子「変とか言うな」クスッ
花丸「これは口が滑ったずら、えへへ…」
善子(そうだわ)
善子(私はずら丸のそばにいると元気になれる…)
善子(落ち込みそうなときでもずら丸はいつも元気をくれて)
善子(支えてくれた)
善子(私はいつのまにかそんなずら丸のことが好きになっていた)
善子(いつからかずら丸への想いが恋に変わっていた)
善子(ずら丸が好き)
善子(長くてきれいな髪も)
善子(人を癒すような笑顔も)
善子(とぼけた言動やのろまなところでさえも好き)
善子(でもなにより)
善子(ずら丸の隣にいると不思議と元気が出る)
善子(ずら丸)
善子(ずら丸の横顔はただぼんやりと前を向いているだけ)
善子(ずら丸は私の恋なんてきっと考えもしないだろうし)
善子(ずら丸は私のことを特別に想ってもいない)
善子(それでもいい)
善子(現実がそうならそれもしかたないじゃない…)
善子(ただこの想いを胸に密かに秘めているだけ)
花丸「善子ちゃん?」
善子「な、なに!?」
善子(もしかして花丸の横顔をずっと見つめていたことがバレたっ!?)
花丸「どこ行くずら? 学校はこっちずらよ?」
善子「そ、そうだったわね! 私としたことが、あははは!!」
花丸「もう、しっかりしてほしいよ」
善子「…課題全然終わらないわねぇ…」
花丸「でもゴールは見えてきたずら。もう少しずら」
善子「課題取りに行くだけで夕方になっちゃったものね」
花丸「それにこれはそもそも一週間かけてやる課題ずら」
花丸「数時間でここまでがんばったほうずら」
善子「う~ん…がんばりましょうか…」
花丸「その意気だよ! 善子ちゃん!」
善子「…お、終わったぁ…」グッタリ
花丸「やりとげたずらね」
善子「ええ、これで堕天ぎみな私の成績もなんとか持ちこたえるわ」
花丸「…善子ちゃんはもっと勉強をがんばるずら」
善子「勉強が不真面目なだけで私頭は良いのよ!?」
花丸「なんでそんな必死ずら」
善子「…でも本当にありがとうね、ずら丸」
花丸「なにがずら?」
善子「だから花丸がいなかったら課題が終わらなかったでしょ?」
花丸「別にいいよ」
花丸「でももう夜の11時ずら」
善子「良い子はもう寝てる時間ね」
花丸「まるは良い子だったずら」
善子「…やけに早起きだと思ってたけどやっぱり早寝なのね」
花丸「眠いずら。帰る」フワァ…
善子「そ、その!」
花丸「なんずらか? まだなにか残ってるずらか?」
善子「そうじゃなくて?」
善子「…もう遅いし危ないから泊まっていってもいいのよ…」
花丸「え…それは悪いずら」
善子「今日は親もいないし都合はいいわよ」
花丸「…でも」
善子「も~! わかったわよ!」
善子「命令よ! 我がリトルデーモンとして私に従いなさいっ!」
花丸「…じゃあ、甘えていいずら?」
善子「もちろん!」
善子「ただせいぜい私の部屋にいてね?」
花丸「この部屋で寝るの~?」
善子「なにがいやなのよ!」
花丸「悪い夢見そうずら」
善子「そうかしら?」
花丸「勉強のためのスペース作るのも大変だったよ」
花丸「どこもかしこも邪魔なものばっかりで端に避けていって」
善子「邪魔とか言わないでっ!」
花丸「……」グゥー
花丸「おなか空いたずら」
善子「…あんたね、ちょっとは婦女子としての…」グゥー
花丸「婦女子としてのなんずら?」
善子「そういえばおなか空いたわね!!/// なにか食べる!!?///」
花丸「急に大声でなんずら…」
善子「い、いいのよ。それより晩御飯は用意して置いてあるからそれを二人で分けましょ?」
花丸「でもそれって善子ちゃん一人分じゃないの?」
善子「いいのよ、別に。それにこの時間にたくさん食べるのも体に良くないし」
花丸「それはそうずら」
花丸「ありがたくいただくずら」ペコッ
善子「お辞儀するほどかしら」
花丸「あぁ~…おいしそうずらぁ~」
善子「よ、よだれ…垂れてる…」
善子「ま、まぁいいわ。いただきましょう」
よしまる「いただきまーす!!」
よしまる「ごちそうさまー!!」
花丸「おなか減ってたせいであっという間に食べちゃったずら」
善子「そ、そうね。たまにはこんな日もね」
花丸「夢中になりすぎて食べてるときの記憶がないずら」
善子「それはおかしい!!」
善子「お風呂はどっちが先に入る?」
花丸「一緒に入る」
善子「は、はぁ!?」
善子「なに言ってるのよ!!」
花丸「光熱費とか水道代とかの節約ずら」
花丸「迷惑はあまりかけなくないよ」
善子「迷惑なんてそんな」
花丸「だから一緒に入ろう? それとも…まると一緒はいや…?」
善子「い、いやなわけないでしょ!? 一緒に入りましょう!!」
花丸「晴れて暑い日に歩いたから汗かいちゃったよ」ヌギヌギ
善子「…そ、そうね…///」ドキドキ
善子(狭い脱衣所でふたり)
善子(私の好きな人が私の目の前で服を脱いで裸になろうとしている)
善子(それどころかこれから私も裸になって一緒にお風呂に入る)
善子(鼻血を吹いても文句は言えないわ)
花丸「善子ちゃんも早く脱ぐずら」
善子「!?」
善子(は、花丸の胸デカッ!!)
善子(服の上からとかブラジャー姿とかいろいろ見てたけど)
善子(脱ぐとまた違うのねぇ)
花丸「…なに人の胸ガン見してるずら」
善子「!? ご、ごめん!!」フイッ
花丸「別にいいけど早く脱いで」
善子「う、うん」
なんだよしりこか
チャプーン
善子「せ、せまい…」
花丸「節約のためずら」
善子「これって節約になるのかしら」
花丸「少なくとも気持ちだけでもエコになれるずら」
善子「意味わからん」
花丸「善子ちゃんももっと修行するずら」
善子「あん? なんの話よ」
花丸「でもいいお湯ずら。きもちいい」
善子「そ、そうね」
善子(や、やばい…意識してないとさっきの光景を思い出してしまう…)
善子(泡まみれのずら丸のからだ…)
善子(それをなでるずら丸の手)
善子(そして今せまい浴槽のなかで裸のずら丸と密着状態…)
善子「……」
善子「」ブワッ!!
花丸「きゃあ!! 善子ちゃん鼻血が!!」
善子「」
善子「…ず、ずらまるぅ…」
花丸「善子ちゃん! しっかりして! 今助けるから!」
善子(やっぱり鼻血ENDなのね…)
>>17
とんでもない間違いすみません…
善子「電気消すわよー」パチッ
花丸「善子ちゃんの部屋は暗くなると余計不気味ずら」
善子「だまって寝なさい」
善子「というかなんで一緒の布団で寝るのよ」
善子「これも心のエコってやつ?」
花丸「ちがうよ。ただまるが善子ちゃんと一緒に寝たかったからずら」
善子「もうひとつ布団を用意しましょう」
花丸「だめずら!!」
善子「耳元で大声出すな!」
花丸「一緒に寝ようよ~」
善子「…どういうこだわりよ」
花丸「特に理由はないずら。ただ一緒に寝たいから」
善子「……」
善子(このままじゃ私がドキドキして眠れないんだけど…)
善子(ずら丸の髪から私のシャンプーのいいかおりがするし)
善子(ずら丸の小さな息づかいや体温や呼吸に合わせて体が上下する感じも…)
善子(ずら丸のすべてに興奮して眠れないんだけど!!)
花丸「…もしかしてまると一緒はいやだったずらか?」
善子(ささやくように言うな)
善子「一緒がいやだったらそもそも家に泊めてないでしょ!?」
善子「一緒に寝ようじゃないの!!」
花丸「やったずら」ニコッ
善子(守りたい、この笑顔)
花丸「…今日は楽しかったずら」
善子「…そうね」
花丸「善子ちゃんとふたりでゆっくり喋りながら歩けたし」
善子「ゆっくりしすぎてこんな時間になっちゃったけど」
花丸「そのおかげで善子ちゃんの家に泊まれたずら」
善子「私もずら丸とご飯食べたりできて楽しかったわ」
花丸「うん」ニコッ
花丸「課題が終わるかひやひやしたけどね」
善子「感謝してるわ、ずら丸」
花丸「ううん。めったに来れない善子ちゃんの部屋に来れて良かったよ」
善子「ああ。私は恥ずかしかったけどね」
花丸「じゃあ邪魔なものぜんぶ捨てるずら」
善子「鬼畜ね!!」
花丸「あんなものがあるから誰も友達を招けないずら」
善子「いいのよ。招かなくても」
花丸「私も来なくてよかった?」
善子「そんなこと言ってないでしょ」
善子「…あんたは特別よ」
花丸「?」
善子「あ、明日からまた学校なんだから早く寝るわよ!!///」
花丸「そうだね。おやすみ、善子ちゃん」
善子「ええ。おやすみ、ずら丸」
花丸「明日一緒に学校いこうね」
善子「ええ」
花丸「えへへ、おやすみ」
善子「おやすみなさい」
善子「……」
善子(…ずら丸がこんなに近くにいて眠れるわけないでしょ!!)
善子(なに、なんなのこの状況!?)
善子(どうして私のすぐとなりで! しかも同じ布団でずら丸が寝てるわけ!?)
善子(幸せすぎて)
善子(堕天してる私も昇天しそうなレベルなんだけど!!)
善子(不幸の神様はいったいどうしちゃったのかしら!!)
善子(こんなラッキーをもたらしてくれたずら丸は天使よ!)
善子(…ほら、本当に天使みたいな寝顔)
善子(…頭撫でたい)
善子(そのきれいな頬に触れたい)
善子(どうして私は手を出せないのだろう)
善子(こんなに近くに大好きな人がいるのに…)
善子(私はどうしてなんにもできないの…?)
善子(不幸の神様がよそ見をしているうちに)
善子(早く行動しないといけないのに…)
善子(早くしないとこのラッキーが終わっちゃう…)
善子(でもわかってる)
善子(きっと私はなんにもできないし)
善子(この恋はかなわない)
善子(なのになんでこんなに切ないの…)
善子(なんでこんなに悲しいのよ)
善子「…ずら丸」グスッ
花丸「善子ちゃん」
善子「ずら丸?」
善子(ずら丸がきらめく包丁を片手に突っ立ってる)
善子(この包丁は私を狙ってる)
善子「や、やめて…こんなことをするのはやめて…」
花丸「善子ちゃん。私と一緒に死のう?」
花丸「善子ちゃんを殺してまるも死ぬ…」
善子「そんなことはやめて!!」
善子(逃げたいのにからだが動かないっ!)
善子(動いてよっ! 私のからだ!!)
花丸「さぁ、善子ちゃん」スゥ
善子「い、いや!」
ブスッ
善子「!」
善子(…痛い。私死ぬんだわ……)
善子(ずらまるのことが好きだったはずなのに…)
善子(なんでずら丸に殺されなければきけないのよ…っ)
花丸「堕天使ヨハネ」
善子「!?」
花丸「貴様は堕天使であり人間ではないのだ」
花丸「今こそ人間の皮を脱ぎ、真の堕天使となるのだ」
善子「…!」
善子「…そんなのいや」ボソッ
善子「そんなのいやよ!!」
善子「……」ハッ
チュンチュン
善子「…夢」
善子「夢かい~…」グッタリ
善子「…ずら丸」
花丸「」スゥスゥ
善子(朝日に照らされた天使の寝顔)
善子「…」ナデナデ
花丸「…ん、」
花丸「…善子ちゃん?」
善子「!?」
善子(ヤバイ!! 頭を撫でてたのがバレたっ!?)
花丸「…もう朝ずらか…?」ボケー
善子(よかった! 寝ぼけてる!)
花丸「善子ちゃんは早起きずら」
花丸「おはよう」ニコッ
善子「おはよう」ニッ
善子(さっきの寝ぼけ笑顔でもう私のライフはピンチよ)
花丸「今日も爽やかな晴れた天気ずら」モグモグ
善子「そうねぇ」モグモグ
花丸「善子ちゃんちは朝パンなんだね」モグモグ
善子「だからなんなのよ」モグモグ
花丸「パンおいしいずら~」ニコニコ
善子「…それはよかったわ」ハァ
花丸「善子ちゃん機嫌が悪いね」モグモグ
善子「…朝は苦手なの」
花丸「だから寝坊するんだね。がんばって学校行かないと」モグモグ
善子「今は説教はやめて」
花丸「でももう少しでテストもあるしがんばらないと」
善子「そうね」
花丸「まるが手伝ってあげるね」
善子「…それはありがとう」
花丸「まるは善子ちゃんのことが心配なだけずら」
善子「……」
キーンコーンカーンコーン
教師「はい学校終わり。また明日ね」
花丸「善子ちゃん!!」
善子「ずら丸? なによ、授業終わるなりいきなり…」
花丸「善子ちゃん追試なんだって? 聞いたずら!」
善子「え、ええそうね。ちょっとサボりすぎちゃったみたい」
花丸「なにやってるずら、善子ちゃんのバカ!!」
善子「ば、バカってなによ!」
花丸「バカはバカずら!! 追試なんて信じられない!」
善子「……」
花丸「次落としたらまる許さないから…」
善子「…ごめん」
花丸「まるはただ善子ちゃんと一緒のクラスでいたいだけだから」
花丸「でも絶対受かってね」
善子「ええ。頑張るわね。じゃあ屋上でね」
花丸「今日は練習休みずらよ」
善子「は? なんでよ」
花丸「雨が降りそうだから」
善子「はぁ~? 雨が降ったからって何よ、軟弱ね」
花丸「…これからテスト受けるんだよね?」
善子「そうね」
花丸「まるが神様に願ってるから絶対に受かるよ」
善子「堕天した私にも神の加護なんてあるのかしら」
花丸「それは西洋の神様の話ずら」
花丸「日本の神様はきっと善子ちゃんを守ってくれるよ」
善子「……」
花丸「だから善子ちゃんも全力でかばってね!」
善子「ありがとう」
花丸「…雨、降りそうずら」
花丸「でも傘もってきてるしいけるずら!!」
花丸(善子ちゃんが無事追試に受かれるように祈願してくる)
花丸(それもうちとかじゃなく)
花丸(淡島にある淡島神社!)
花丸(あんなところまでいって祈願するんだからきっとまるの願いも叶えてもらえるはず!)
花丸「…確かここら辺から船が」キョロキョロ
花丸「あ!! あの、すみません…」
おっさん「あん? どうしたんだい、可愛らしいお嬢ちゃん?」
花丸「淡島に行きたいから船を出してほしいんです」
おっさん「船? 今からかい?」
花丸「今はやってないんですか…?」
おっさん「いや、やってるけど…」
おっさん「雨も降りそうだし風も強いしねぇ…」
花丸「そこをなんとかお願いします!」ペコッ
花丸(今じゃないとダメ…)
花丸(善子ちゃんがテストを受ける今じゃないと…)
おっさん「おいおい、こんな可愛い子から悲しそうに頭下げられちゃおじさんも断れないぞ」
おっさん「…困ったなぁ」
花丸「お願いします!」
花丸(善子ちゃんのために…!)
おっさん「はぁ。しかたねぇなぁ」
おっさん「ムリそうだったら途中で引き返すからな」
花丸「ありがとうございます!!」
ブゥーン
おっさん「揺れるからしっかり捕まっておけよ!」
花丸「はい!」
おっさん「…強風で波が激しい」
おっさん「雨もいまにも降りそうだ」
おっさん「もしかしたら今日の夜辺り嵐になるかもな…」
花丸「……」
花丸(船が揺れて船酔いしそう…)
おっさん「よし、なんとか無事に着いたな」
花丸「…あ、ありがとうございます…」
おっさん「大丈夫か? ひどい顔してるぞ」
花丸「…は、はい、大丈夫…」
おっさん「しかしこんな天気に可愛い女の子がなんのようだ?」
おっさん「好きな男のためか?」
花丸「…女の子です」
おっさん「友達?」
おっさん「まあどっちにしろ気を付けてな」
おっさん「オレは戻るけどこの島の仲間に伝えておくからできるだけ早く戻ってこいよ」
花丸「ありがとうございました」
花丸「…ウーン…」
花丸(船酔いでしんどいずら…)
花丸(でも善子ちゃんのためになんとか神社まで歩きたい…)
花丸(善子ちゃんは本当になにを考えてるのかわからなくなるほどやるべきことをやらない子ずら…)
花丸(善子ちゃんのことを信じたいけど普段のだらしなさからみてもとうてい信じられない)
花丸(だから神頼みずら)
花丸(だって善子ちゃんは大切な友達ずら…)
花丸(小さい頃から知ってる…)
花丸(小さい頃は本当に良い子だったずら)
花丸(臆病なまるを引っ張ってくれて)
花丸(かっこよくて)
花丸(まるの憧れだった…)
花丸(善子ちゃんはどうしてあんな変な子に育ってしまったのだろう)
花丸(中学生の頃にいじめられたことが原因とかって話もあるけど)
花丸(いじめられたからってみんな善子ちゃんみたいになるとは思えないよ)
花丸(空想的ってことばが足りないくらい空想的だし)
花丸(天使とか悪魔とか信じられないずら)
花丸(善子ちゃんのは信仰じゃない)
花丸(バカみたいに真剣にふざけてるようにしか見えない)
花丸(でもたまに優しいところもあって)
花丸(昔のままの善子ちゃんが覗いて嬉しくなったり…)
花丸「…うえっ…」
花丸「吐きそうずら…」
花丸(最悪吐いちゃってもこの天気にこの島に来てる人なんていないしラッキーずら)
花丸(まるは今の善子ちゃんのことがあんまり好きじゃないみたい)
花丸(昔の大好きな善子ちゃんに戻ってほしいな…)
花丸「…でた…」
花丸(神社の前にのびてる長い石段)
花丸(ここでAqoursのみんなと練習した)
花丸(まるの苦手な練習だったなぁ)
花丸(でもここをのぼらないと神社に行けないし仕方ないずら)
花丸「…うっ…」
花丸(一段一段のぼっていくたびに吐き気が増していく感じ…)
ポタッ
花丸「?」
花丸「いま水滴が」
サー…
花丸「!」
花丸「雨降っちゃった…」
花丸「傘持ってきといてよかったずら…」パサッ
花丸(石段が濡れてすべりそう…)
花丸(それに…)
花丸「…寒い」
花丸「…でも寒さのおかげで船酔いが遠のいてラッキーずら」
ヒュー…
花丸「風が出てきたずら…」
花丸「船のおじさんのことば」
おっさん『夜辺りに嵐になるかもな』
花丸「まだ夕方なのにもう暗くて何時かわかんないずら、ふふ…」
花丸「…急がなきゃ」
花丸「…がんばってなんとか神社につきたいずら…」
ゴウッ!!
花丸「ひっ!」
花丸「あぁ!!」
花丸「傘が…」
花丸(突風で傘が飛ばされちゃった…)
花丸(いつのまにか雨が大粒になってた)
花丸(それに冷たい)
花丸(土砂降り…)
花丸「さ、寒い」ブルブル
花丸「…行かなくちゃ」
花丸(寒くてからだがうまく動かない)
花丸(それに濡れた服がからだに張りついて邪魔…)
花丸「はぁ、はぁ…」
花丸(これはヤバイよ…凍えそう…)
花丸(寒い…)
花丸(寒くて死にそう)
花丸(確実に明日は風邪だね…)
花丸(まさかこんなことになるとは…)
花丸「とんだ修業ずら…」
花丸「はぁ、はぁ…」
花丸(でもかなり登った)
花丸「…もう少しずら…」
花丸「…もう少しがんばるずらよ、花丸…」
花丸(まるはなんでこんなにがんばるのか)
花丸(まるは普通の平凡なちょっと本好きな地味な高校生)
花丸(こんな苦しい思いをするような人生を送ってたつもりはなかったんだけど…)
花丸(善子ちゃん)
花丸(あなたのせいだよ)
花丸(あなたがまるの人生に堕天使の暗い光を投げかけた)
花丸(そうでなければ今頃おうちで今お気に入りの小説を読んでるよ)
花丸(雨の日は読書に限るもの…)
花丸(どうしてこんなに寒くてつらいことをしなくちゃ行けないの…?)
花丸(善子ちゃん…)
花丸(善子ちゃんのことを思えばがんばれる…)
花丸(善子ちゃんは本当に心配させる)
花丸(もっと現実を見てしっかりした人生にしてほしいのに)
花丸(まるの心配にもかかわらず当の本人は空想に耽り)
花丸(やれ堕天使や魔方陣…)
花丸(…バカげてるずら)
花丸(善子ちゃんは知らない。まるの心配している気持ちも)
花丸(それに他の気持ちだって)
花丸(まるは善子ちゃんが好き)
花丸(善子ちゃんに恋してる)
花丸(だからきっとこんな風にまるはがんばって)
花丸(嵐のなか石段を登ってる)
花丸(いつからだったかはわからない)
花丸(気がつけばいつも善子ちゃんがそばにいて)
花丸(いつも善子ちゃんのバカな言動に付き合わされた)
花丸(まるはそんな言動が嫌いなはずなのに…)
花丸(楽しかったよ、善子ちゃん…)
花丸(まるは待ってる)
花丸(いつか幼い頃に持っていた白い翼を取り戻すときを)
花丸(黒い張りぼての翼を捨てて)
花丸(張りぼてほど立派じゃなくて小さいけど)
花丸(善子ちゃんだけの白くて柔らかい天使の翼を)
花丸(そしてまるに善子ちゃんの白い光を浴びせてほしい…)
花丸(その優しい羽根をまるに触れさせて…)
花丸(…でもまるの恋心は秘密)
花丸(それはやがてささやかな青春の一ページとして大人になって振り返るもの)
花丸(片想いの苦悩や悲しみも大人になれば笑顔になれる思い出になるよね…?)
花丸(善子ちゃんにまるの想いを伝えられないことがつらい)
花丸(でもそれは恋をしてしまったことの罰)
花丸(まるの恋はしてはならなかったもの)
花丸(道のどまんなかに生えちゃった木)
花丸(まるはこのつらい思いを耐えることでまた強くなれる)
花丸(大人になれる)
花丸「…はぁ、はぁ…」
ビュウッ
花丸「…くっ…」
花丸(強い風は地べたに這いつくばって耐える)
花丸(でないと簡単にまるのからだは飛ばされそう)
花丸「…はぁ、はぁ…」
花丸「…もう…すこし…っ」
花丸「…よしこちゃん…」
花丸(いますぐ私を抱きしめて…)
花丸(寒くてつらくて倒れそうだよ)
花丸(一度だけでいいからその優しい笑顔でまるのことが好きだと言って…)
花丸(まるは善子ちゃんが好き)
花丸(想いが強すぎてどうしようもないの…)
花丸「…よしこちゃんっ…!」
花丸「…はぁ、はぁ…」ピタッ
花丸(着いた)
花丸(やっと着いた)
花丸(淡島神社)
花丸(小さくて古い)フラフラ
花丸(でもまるはここで祈願したい)
花丸(淡島の神様にお願いしたいの…)
花丸(お賽銭)
花丸(財布もってきてないや)
花丸(ごめんなさい)
花丸(ささやかでも屋根に入ると安心する)ドサッ
花丸(ふふ、安心したら腰に力が入らなくてもう立てないな)
花丸(淡島の神様)
花丸(まるはあなたにお願いしに来ました)
花丸(お賽銭もできなくて立つこともできないまるだけど)
花丸(どうかこのまるのお願いを叶えてほしいのです)
花丸(合掌すら震えるずら)
花丸「…まるにとって、大切な人が…テストに受かりますように…」
花丸(声が震えて神様がちゃんと聞いてくれたかあやしいな)
花丸(そもそも声に出す必要なんてあったのかな…)
花丸(なんでもいい)
花丸(どうかまるの願いを叶えてください)
花丸(あの子は本当にどうしようもなくてだらしないんです)
花丸(神様のお助けがなければきっとだめなんです)
花丸(まるはちっぽけな人間ですが)
花丸(神様の寛大なお心に甘えさせていただきたいのです)
花丸(おねがい)
花丸(どうしても)
花丸「まるの…」
花丸「まるの恋を犠牲にしてくれてもかまわない」
花丸「まるはここまで苦労を重ねてがんばった」
花丸「寒くてつらくて死ぬんじゃないかと思った」
花丸「それでもだめだというならまるの恋が叶わなくてもいい」
花丸「まるの恋を犠牲に…」
花丸「善子ちゃんをお願い…」
花丸「ここまでおねがいすればさすがに大丈夫ずら…」
花丸(神社の屋根を借りるどころか柱にもたれちゃってバチがあたるかも)
花丸(でもお願いが叶えばあとはどうでもいい)
ブブッ
花丸「?」
花丸(スマホにメッセージ…)
花丸(善子ちゃん…)
善子:ずらまるいったいどこにいるのよ!
花丸(テスト終わったずらね)
花丸(結果はまるの保証付き)
花丸(なんたって淡島の神様がついてるもん)
花丸(返信したいけどもう指もうまく動かない)
花丸「…はぁ、はぁ…」
花丸「善子ちゃん…」
ヅラマルー
花丸「?」
花丸(ヤバイよ…)
花丸(幻聴とか初めてだ…)
花丸(これってまるは死んじゃうの?)
花丸(でも最後に幻でも善子ちゃんの声が聞けてうれしい)
花丸(まるの恋は生け贄にされちゃったけど…)
花丸(善子ちゃんの人生がまともになってくれればそれで…)
善子「ずらまる!!」
花丸「!」
花丸「…え、」
花丸「…よし…こちゃん…」
善子「なにしてんのよ、このバカ!!」
花丸「バカって…まるは善子ちゃんのために…」
善子「バカよ! 正真正銘、真のバカだわ!!」
花丸「…善子ちゃんずぶ濡れずら…」
ガバッ
花丸「!?」
花丸(善子ちゃんに抱きしめられてる)
善子「無事でよかった…」
花丸「え?」
善子「あんたの傘がボロボロになって木に引っ掛かってたからどうなったのと思うじゃない…っ」
花丸「善子ちゃん…」
花丸(善子ちゃんのからだは冷たいけど…)
花丸(熱い温度も感じる)
花丸(善子ちゃん呼吸が荒い)
花丸(きっとかけ上がってきたんだ)
花丸(まるを心配して…)
花丸「ごめんね、善子ちゃん…」
善子「許さない…」
花丸「……」
善子「だからしばらく私に抱きしめられてなさい…」
花丸「…うん」
善子「ぜんぜん雨やめそうにないわね…」
善子「しばらくここで雨宿りするしかないわね」
花丸「うん」
善子「ってゆーかなんでこんなとこまできたのよ? よりによってこんなときにさ」
花丸「善子ちゃんの追試祈願ずら」
善子「はぁ? そんなの心で思っとけばいいじゃない」
花丸「ここでお願いしたかったの…」
善子「…どこでも同じだと思うけど」
善子「…でもありがとう」
花丸「善子ちゃんは追試に受かるよ」
善子「ものすごい断言ね」
花丸「間違いなしずら!」
善子「でも途中で引き返してもよかったのに」
花丸「絶対ここに来たかったの!」
善子「そんなにここがいいのかしら」
花丸「…それだけじゃないずら」ボソッ
善子「はぁ? なんて?」
花丸「ううん。いいの別に」
花丸(まるの恋の物語は大切な人のために犠牲になって)
花丸(まるはまたひとつ大人になった)
花丸(これがこの物語のオチ)
花丸(それはジッドの狭き門)
花丸(アリサのジェロームへの純粋な恋心は信仰のために潰え)
花丸(そして信仰のために美しく死ぬ…)
花丸(悲しくもまっすぐ真剣な物語…)
善子「…ずらまるはさ」
花丸「?」
善子「好きな人とかいるの…?」
花丸「…?」
花丸(いたけど)
花丸(残念ながら今さっきいなくなったんだ…)
花丸「いないよ?」
善子「…へえ」
花丸「突然なに? 変な善子ちゃんずら」
善子「…実はさ」
花丸「うん」
善子「突然だけどびっくりしないでね?」
花丸「なに? 早く言ってほしいずら」
善子「実は…」
善子「ずらまる、」
善子「あんたのことが好き!!」
花丸「……」
花丸「…え?」
花丸「どういうこと? もう一回いってほしいずら」
善子「あー!! もうだから!」
善子「あんたのことが好きなの! 私は国木田花丸に恋をしているのですっ!!」
花丸「」ポカーン
善子「これでいい!?」
花丸「…どうして」
善子「…は?」
花丸「どうして善子ちゃんはまるに恋してるずら?」
善子「そんなの知らないわよ!」
善子「でも私はずらまるが好き」
善子「きれいな長い髪にも触れてみたいって思うし」
善子「柔らかそうなからだをもっと抱きしめたい」
善子「なによりあんたといると私は元気になれるの」
善子「だからあんたが好き」
花丸「……」
善子「///」
善子「い、言いたかったのはこれだけ! だからもうこの話は忘れてっ」
花丸「…ふふっ」
善子「な、なによ」
花丸「そんな告白をしておいて忘れてほしいなんて虫が良すぎずら」
善子「…うっ」
花丸「忘れられるはずないよ…」
善子「?」
花丸「だって今まるの恋が叶ってしまったんだもん」
善子「え? …それって」
花丸「まるも善子ちゃんのことが好きだよ」
花丸「まるも津島善子ちゃんに恋をしているのです」
善子「…は?」
善子「マジで言ってんの?」
花丸「うん」
善子「でもそんな素振り見せなかったじゃない」
花丸「許される恋じゃないとおもってたから」
善子「…」ハァ
善子「あんたって筋金入りの恥ずかしがりやね」
花丸「そっくりそのまま善子ちゃんにお返しするずら」
善子「うっ」
善子「でも嬉しい」
善子「まさかこの私にこんなハッピーな出来事がめぐってくるとはね」
善子「不幸の神は死んじゃったのかしら」
花丸「でも善子ちゃんはやっぱり雨が降ると濡れるずら」
花丸「梅雨の不幸は健在ずら」
善子「今回はあんただってそうだけどね」
善子「でもそのおかげでこうして幸せになれた」
花丸「?」
善子「テストが終わって帰ってたとき船乗りっぽいおじさんに声をかけられて」
善子「私とおんなじ制服の子が淡島に行ったきりで嵐だから心配だって」
善子「私嫌な予感がしてよく聞いたらまるきりあんたのことで」
善子「それで無理を言って船を出してもらったの」
善子「で、嵐のなか必死になっがい石段をのぼってるうちに」
善子「私はここまでずらまるのことが好きだったんだなって気づいて」
善子「それで告白しなきゃって思ったの」
花丸「おじさんはキューピッドずら」
善子「きもいこと言わないでよ」
善子「でもそうね。あのおじさんに感謝しないと」
花丸「でも善子ちゃんはテストに落ちちゃう」
善子「急に縁起でもないこと言わないでよ」
花丸「まるはまるの恋を犠牲に善子ちゃんのテストのことをお願いしての」
善子「そんなことしてたの?」
善子「…バカね」
善子「神なんていないの」
善子「私たちは神様のいない世界で生きていかなくちゃいけないの」
花丸「そんなことないずら」
善子「私はずらまるのことが前からずっと好きだった」
花丸「?」
善子「そして今も好き」
善子「こんな私でもよければ私と付き合ってほしい」
花丸「…善子ちゃん」
花丸「まるを幸せにしてね?」ニコッ
善子「当たり前でしょうが!」
花丸(善子ちゃんから白い光を感じるずら)
花丸(まだ真っ暗で今にも消えそうなほのかな光だけど)
花丸(たしかにまるを照らしてる)
善子「…あ、雨やんでる…」
善子「晴れてる…月が出てるわよ!」
善子「これで帰れるわ! やったわね、ずらまる!」
花丸「……」
善子「ずらまる?」
花丸「もうすこしだけここにいたいずら」
善子「……」
善子「しょうがないわね」
花丸「髪、さわってほしいな」
善子「!」
花丸「ぎゅっと抱きしめてほしいずら」
善子「……」
花丸「!」
チュッ…
善子「ずらまるのくせに生意気なのよ」
花丸(こうしてまるたちは結ばれた)
花丸(梅雨のある日の淡島神社の屋根の下で)
善子(不幸の神は私を見逃し)
善子(夢のように堕天使の私はずらまるに殺されてしまって)
善子(ただの恋する女の子になっちゃってて)
善子・花丸(人生最大の幸せなのです)
おわりです。
お読みいただきありがとうございました。
>>48
花丸「まるはまるの恋を犠牲に善子ちゃんのテストのことをお願いしての」
↓
花丸「まるはまるの恋を犠牲に善子ちゃんのテストのことをお願いしてたの」
ここ誤字というか脱字だったんじゃない?
それ以外は文句なし(あ、最初のカプ名間違いはデリケートな問題なのでお気を付けて)
内容は最高だった、どうもありがとう!
>>58
誤字脱字は多い方なので本当にすみません
ありがとうございます!
>>59
なんと、まさかよしまるを2本も書いてくれたとは!感謝
ところで雨テーマの集計用スレには2つの作品は貼らないの?
貼りたくないならいいけど
後、よしまるスレには貼っていいものか嫌なのかどうか教えてほしい
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