【モバマス】「ウサミンロボ警備隊西へ」 (38)
【モバマスSS】です
週末に迫った大阪城ホールでのライブを応援するSSです
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1496844437
天才アイドル池袋晶葉によって開発されたウサちゃんロボは、団子作りからバックダンサーまでこなす優れロボである!
そして、そのウサちゃんロボを異星の超科学ウサミン科学によって改修強化したものがウサミンロボである!!
ウサミンロボは今日も、アイドルの平和のために頑張るのだっ!
「なあ、ウサミン」
「なんですか? 晶葉ちゃん」
「ウサミン科学の提供は本当に感謝している。ウサミン科学製の機器の解析で、池袋科学もかなりのものになった」
「スターク工業やリチャーズ博士、岸和田博士などのお歴々にはまだ及ばないが」
「もう、私よりウサミン科学に詳しいですよね」
「そうなのか?」
「私はウサミン星人ですけど、科学者じゃありませんから」
「なるほど」
「ウサミン星の機器を、晶葉ちゃんに渡しているだけですからねぇ」
「ところで、大丈夫なのか?」
「何がです?」
「例えば、日本でも鎖国時代、南蛮渡来の物品などは御禁制の品とされていたそうだが」
「トライ!?」
「ちゃんと本星の許可はとってますよ?」
「それを聞いて安心した………ところでなんか今、日野茜がいたような」
ウサミンロボではなく、ウサちゃんロボのパワーアップを考えたい、と晶葉は言いました。
ウサちゃんロボを、地球技術オンリーでウサミンロボの性能に近づけたいと。
「まずはウサミニウム合金だ」
「あれは精製複製フリーの許可をとってますから、いくらでも持ってきますけど」
「いや、純地球産で作ってみたいんだ」
「うーん、地球にウサミニウムの原料ありましたっけ?」
「代替品なら」
「代替品……ヴィヴラニウムかアダマンチウムですか? それともジャパニウム」
「ダイヤモンド」
「え」
「まあ、そんな反応だろうな」
「炭素ですよ、炭素」
「ウサミンロボが並行世界からもらってきた特殊なカーボンがあるだろう」
「あ、戦車の砲撃の直撃すら防ぐ謎物質」
不思議な物質もあるものです。
「あれ、一応カーボンだから」
「カーボンなら仕方ないですね」
「あれをさらに特殊加工することで、疑似的なウサミニウムが製造できる」
「ダイヤモンドも炭素でしたねえ」
「そういうことだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「と、いうわけで、この前ガーナに行ってきたわけだが」
「お前ら、ウサ軍団の装備をこれ以上充実させてどうする気だ」
「しかしな、助手よ。宮城公演でのスタジアム周辺壊滅事件は記憶に新しいだろう」
「……まあな」
チケットの転売が大量発生したため入場者の本人確認を強行したところ一部が暴徒化。
急遽投入されたウサミンロボ一個中隊によって鎮圧されたという痛ましい事件でした。
この争いによって会場周囲は焦土と化し、人々は自らの行為に恐怖しました。
そして、情報操作によって会場周囲には元々何もなかったことにされました。
当日が豪雨のため、目撃者が皆無に等しかったのは幸運でした。
「次の大阪公演では同じ轍は踏めないぞ。流石に大阪城を情報操作で消すのは無理だ」
「確かに」
「暴徒化したにもかかわらずウサミンロボの追撃から逃げ延びた者は、おそらく更なる戦力を準備して大阪に現れるだろう」
「ウサミンロボの新武装は急務なのか」
「まあ、壊滅ではなく鎮圧だからな、手間もかかる」
壊滅狙いならば、ウサットリッガー1億ボルト、ウサミンロボはスーパーロボット、で終了です。
ちなみに、ブレスレットは希望のシルバーでグリーンの服はちひろさんです。
「そうだな」
「大阪のファンは強力らしい。新武装のロボに先行してもらって準備しておこう」
「噂には聞いている。なんといっても、あの、甲子園球場がある聖地だものな」
晶葉が露骨に距離を離しました。
「どうした、晶葉」
「身の危険を感じた」
「は?」
その瞬間、畳一畳ほどの大きさのタブレットが横殴りにモバPを襲います。
「おおっと」
橘ありすでした。
後ろで白坂小梅も応援しています。
「ロボさん!」
うさっ!
よけようとしたモバPの足を咄嗟にウサミンロボが掴みます。逃がしません。
「これが、甲子園球場がいつもいつも大阪にあると言われる兵庫県民、いえ、西宮市民の痛みです!」
「大阪には、立派なドーム球場があるくせに!」
アイドル兵庫組のありすによる猛攻でした。
「ふん!」
モバPの頭突きが巨大タブレットを粉砕しました。
「笑止千万! ならば答えよ! 兵庫県西宮市の市外局番は!」
「0798です!」
「では、大阪市は」
「06です。……まさか、短いほうが手間がかからなくて使いやすいから偉いなどと言う戯言を」
「くっくっく……では、兵庫県尼崎市はどうかな?」
「なっ」
「どうした? 兵庫県、兵庫県尼崎市の市外局番を答えてくれるだけでいいんだぞぉ」
「ゼ、……」
「ん?」
「ゼロ……ロク……」
「ああ? 聞こえんなぁ」
「……06、です」
「ふはははははっ!! 自らを構成する市の一つ、尼崎にすら大阪に寝返られた兵庫が何をほざくか!」
うさ
ウサミンロボは「発泡スチロール製の」巨大タブレットの破片を拾い集めています。いつまでもコントには付き合ってられません。
晶葉も事務所地下の池袋科学要塞研究所に戻っていきます。
「あ、俺らもそろそろにしとくか」
「はい」
「で、実際何の用だ」
「西宮が可哀想で」
「そこはマジなのか」
「あと、大阪組が話があるそうです」
ありすの合図で姿を見せる、前川みくと難波笑美を初めとした大阪組。
大阪でのライブだからといって、大阪組や関西組全員が登場するわけではありません。
他のお仕事だってありますし、時間の都合もあります。大阪公演であまりライブが長引いて遅くなると、加古川より向こうの人はもう帰られへんと、福本さんも言います。
だから、人数にも制限があるのです。
「皆で、ロボに協力して先行して準備するんや!」
「出番があろうがなかろうが、みんな仲間や」
「なんで関西弁に戻ってんだよ、笑美以外普段は標準語だろ」
「里帰りやからにゃ」
「関西弁とネコ語尾混ぜてんじゃねえ」
「闇に飲まれよね!」
「それほぼ熊本弁じゃねえか」
「わかるで」
「おかしいですよ、川島さん!」
「ドーナツ!!」
「方言ですらねえっ!!」
いくつかの打ち合わせの後、ウサミンロボ警備隊とちひろさんが関西組とともに出発することになりました。
会場周辺に先行して、怪しいものをあらかじめマークしておくのです。見つけたものはその怪しさに応じて、ワンツースリーの等級を付けて報告です。
マークワン、マークツー、マークスリー、ウサチャージ!です。
緑に輝くちひろさんと一緒にアイドルたちを力の限り守り抜く、嵐の訓練を乗り越えます。
「ウサミンロボ警備隊、発進!」
渦巻くキャタピラ唸りをたてて 回る 回る
ウサミンジェットで大空へ 進め 進め
アイドル護る警備隊
名付けてウサロボ警備隊
自慢の竹槍片手に持って 振るう 振るう
ウサミンロボが大地を蹴って 走れ 走れ
アイドル護る警備隊
名付けてウサロボ警備隊
関西組が新幹線で新大阪駅につきました。
ウサミンロボたちは新幹線に並走していました。途中、赤いマフラーなびかせて進む我等の勇士なイケメン青年や、タバコ型冷却材をくわえて無限の地平線へ行く刑事さん、全身赤タイツの青年
科学者や磁界王の息子も並走していました。
うさ
関西組とはJR大阪駅で合流です。
そこから環状線に乗って大阪城公園駅まで行けば、ライブ予定の会場です。
ちなみに東京で山手線のことを、丸いしつながっているからといってうっかり環状線と言ってしまうと、駅員さんに冷たい目で「東京に環状線なんてありませんよ」といわれてしまうので注意です。
ここで大変なことが起こりました。
ウサミンロボは地下鉄御堂筋線梅田駅についてしまったのです。
新大阪駅地下の551蓬莱でお土産の豚まんを買ったのが失敗でした。
関西組が新幹線で新大阪駅につきました。
ウサミンロボたちは新幹線に並走していました。途中、赤いマフラーなびかせて進む我等の勇士なイケメン青年や、タバコ型冷却材をくわえて無限の地平線へ行く刑事さん、全身赤タイツの青年科学者や磁界王の息子も並走していました。
うさ
関西組とはJR大阪駅で合流です。
そこから環状線に乗って大阪城公園駅まで行けば、ライブ予定の会場です。
ちなみに東京で山手線のことを、丸いしつながっているからといってうっかり環状線と言ってしまうと、駅員さんに冷たい目で「東京に環状線なんてありませんよ」といわれてしまうので注意です。
ここで大変なことが起こりました。
ウサミンロボは地下鉄御堂筋線梅田駅についてしまったのです。
新大阪駅地下の551蓬莱でお土産の豚まんを買ったのが失敗でした。
新幹線新大阪駅の地下には、大阪市営地下鉄御堂筋線直通の路線があるのです。
ちなみに進行方向を間違えるとひらパー兄さんに会いにいけます。
うさ……
そのころ関西組は……
「あの、ライブ会場の下見は」
「大阪梅田に来たらこれ飲まなあかんねん」
「しゃーないしゃーない」
困惑するちひろさんを連れて、阪神梅田駅東改札前のミックスジュースを飲んでいました。久しぶりに阪神梅田に来た関西人は必ず飲まなければいけない掟なので仕方ないのです。
改札前のスタンドにずらりと並んだジューサー。そこに投入される瑞々しい果物と牛乳、そして氷とシロップ。
次から次へと、これでもかこれでもかと追加されるたびに、ジューサー下部の栓が開き、プラスチックのカップに一杯ずつのミックスジュースが供給されるのです。
メニューはミックスジュースだけではありません。レモンジュース、メロンジュース、他にも季節によって変わるメニューがあります。
「あ、冷たくて美味しい」
「せやろせやろ」
嬉しそうなアイドルたちを見たちひろさんは、「なるほど、ミックスジュースと混ぜたエナドリなら売れるかも」と思うのでした。
「ちょお早いけど、お昼も食べとかへん?」
「阪神百貨店地下のスナックパークがなくなったんは痛いにゃあ」
今は無きスナックパークはラーメン、うどん、オムライス、たこ焼き、御座候(大判焼)など、安くて手軽な立ち食い店の集まる、紳士淑女の憩いの場でした。
「あの、ウサミンロボちゃんたちは」
「ウサミンロボは御堂筋梅田におるて」
「ほな、ここに呼んだって」
うさ
アイドルたちが阪神梅田にいると連絡を受けたウサミンロボは、間違えて阪急梅田に向かいました。
ちなみに地下鉄御堂筋線梅田駅の南側が阪神梅田、北側が阪急梅田です。
「おっさんが多いのが阪神、女の子が多いのが阪急やで」
そう聞いていたのですが、重大な盲点があったのです。
阪急側でも新梅田食堂街、つまりJRガード下付近はおっさんの溜まり場なのです。立ち飲みも多いです。安いランチの店もあります。
ウサミンロボたちは新梅田食堂街に突入しました。
うさ、うさ、うさ
おっさんたちを突破して食堂街を阪急側に抜けます。そこから西に道一本隔てたJR大阪駅北側には、ストリートミュージシャンもたまにいます。
「みんな、ラブ&ピースね!」
今日は有浦柑奈がいました。
うさ!
うさの元気なご挨拶です。
「え、ウサミンロボ?」
柑奈を見つけたウサミンロボたちは大喜びで駆けつけ、急遽有浦柑奈バックダンサーズになりました。
道行く人達も盛り上がります。
有浦柑奈バックダンサーズの別名はウサミンロボ葉っぱ隊です。深い意味はありません。
そのころアイドルたちは阪神梅田西改札側に回り、地下鉄四つ橋線西梅田駅前を通って堂島地下へと入っていました。
ここも食堂街です。
「ここはカレーやろ」
堂島地下の、カウンターしかないカレーショップに入ります。
「カレー、御飯大盛りのルー大盛りで」
「カレスパ」
ここはカレースパゲティも美味しいのです。
ちひろさんは初めてのお店なので無難に普通カレーです。
「トッピングはないんですね、ここ」
生卵くらいしかありません。
「シンプルが美味しいんや」
運ばれてきたカレーを一口。
甘口だ、とちひろさんは思いました。
それは罠でした。
「ふあああああ」
あとから辛さが来ます。
でも口当たりはいいのです。美味しいのです。
だから、辛いのに止まりません。食べられます。
「お水、お水」
付け合わせの酢漬けキャベツもぱりぱりと食べます。お水もお代わりです。
食べ終わり、お店を出ると、ちひろさんが呟きます。
「美味しかった……旨辛さがあとに残ります、辛かったですけど」
「堪忍な、ちひろさん。向かいのラーメン屋のほうが良かったかな」
「焙りチャーシュー豚骨細カタ替え玉……」
熱々のスープとチャーシューの欠片をレンゲに乗せ、紅ショウガもカウンターのツボから取って乗せ、きくらげの千切りと白ネギを絡めた細カタ麺を箸で掴んでレンゲの中身と共に口内へ一気に放り込むのです。
コリコリしたきくらげの歯ごたえにマッチした固ゆで麺、舌で広がる豚骨の油に紅ショウガの風味が混ざった味。噛み締めた瞬間忽然と現れるチャーシューの甘さと白ネギのアクセント。好みによっては、ここにカウンターに置いたスパイスミルからのすりたてゴマや黒胡椒の風味も加わるのです。
「あかん、あかん。今日は八のつく日違うから替え玉無料があらへんで」
「せやったな」
「あの、ロボちゃんたちは」
「なんか、柑奈ちゃんと南港におるって」
「なんで」
ウサミンロボたちは柑奈とともに大阪南港ATCにいました。
柑奈が南港からフェリーに乗って九州へ行くために、お見送りです。
休暇中の柑奈は、里帰りの途中だったのです。
「ATCやったら、梅田直通のバスあったやろ」
「あれ、路線バスちゃう。無料送迎用よ?」
「乗らんでも、後ろついてきたらええやん」
ウサミンロボに、バスを見つけてついていくように連絡しました。
うさ
ロボたちは柑奈に手を振ってお別れです。バスを探します。
そして無事、堺直通の南海バスと間違えました。
うさ~
きゅらきゅら
走るバス。追走する、キャタピラに換装したウサミンロボ。
うさ、うさ
しばらく行くと、ウサロボ警備隊広域走査担当のロボが反応をキャッチしました。
うさっ!
反応タイプはD。AからDまであるうちの、よりによってDです。ロボたちに緊張が走ります。
ちなみにAからCであれば危険はありません。
Aは「ANZEN(安全)」
Bは「BUJI(無事)」
Cは「カードキャプターさくら(絶対大丈夫だよ)」です。
しかし今回はDです。
DANJIRI(岸和田伝説)です。
だんじりはガチです。割とシャレになりません。だんじり一台が、完全武装のウサミンロボ三機と同等の破壊力です。
だんじりが荒ぶると町は破壊されます。
それでも、岸和田の人々はだんじりを愛しています。
うさ
しかしおかしい、とウサミンロボは思いました。
だんじりには季節外れです。この季節、だんじりたちは岸和田の地下迷宮で眠りについているはずなのです。
「地下迷宮にだんじりおんねん」
「だんじりおんねん」
「だんじりおん」
「だんじおん」
そうです、「迷宮(ダンジョン)」の語源です。
ウサミンロボは言語学はあまり詳しくありません。
うさ
D反応はますます強くなります。
うさ
ウサミンロボ全機戦闘準備です。
ウサミン竹槍を構えて進みます。
その頃、関西組は大阪城公園に到着していました。
「あかん」
「どうしたの」
「ロボが季節外れのだんじりに遭遇してる」
「なんやて! 季節外れのだんじりはめっちゃ狂暴やねんで!」
「聞いたことがある。昔現れたそれは、南海電鉄全車両による無人在来線爆弾でようやくその歩みを止めたって」
「勝ったはええものの、そのダメージが大き過ぎてホークスはダイエーに譲られたんや」
「あの、季節外れのだんじりってなんですか」
「ロボちゃん……」
「あの、だんじりってお祭りの神輿……あ、はい、なんでもありません」
「だんじりが大暴れしたらライブどころの話じゃないぞ」
「……私の知っているだんじりとは違うんですかねえ……」
「ちひろさん、つらい気持ちはわかるけど現実逃避は駄目!」
「え」
「避難したほうがええんちゃうやろか」
「いや、私はロボを信じる」
「ロボならきっと、だんじりを止めてくれる」
「私たちにできることはただ一つ、ロボを信じてライブを成功させること」
「がんばれ、ウサミンロボ!」
うさ!
巨大だんじりの前に満身創痍のロボは、アイドルたちの声が聞こえたような気がしました。
うさ!
アイドルたちの応援を力に変えたロボの身体に、エネルギーが充ち溢れます。
獣を超え人を超え、神の戦士になるのです。
うっさーっ!(やってやるぜ!!)
二時間後、アイドルたちのもとへ、誇らしげなロボたちがやってきました。
無事にだんじりを撃退し、大阪の平和を守ったロボたちが。
うさ、うさ、うさ
ロボたちが命がけで守ったライブ会場で、もうすぐライブが行われます。
当日も、転売暴徒が現れるかもしれません。しかし、この世にアイドルのいる限り、ウサミンロボは無敵です!
がんばれウサミンロボ!
盛り上がれ、大阪ライブ!
終われ
以上、反省はしていない。
なお、チケットは持ってない。
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