スライリーボスの直前のお話。かなり短いです。

麗奈「次の企画は……あら、いいじゃない」

麗奈「ドン・レイナサマ……ふふふ、いいわいいわ!　悪、かつ、強者!」

麗奈「でも……マフィアってどういう演技をすればいいのかしら……」

巴「ほお、南蛮の任侠か」

麗奈「あら、巴じゃない」

巴「麗奈。任侠もののお約束なら、うちに任せえ」

麗奈「巴っていつもそういう映画観てるものね。でも今回のは任侠じゃなくてマフィアなんだけど……」

巴「細かいことは気にせんでええんじゃ。大事なのは心意気!」

麗奈「そ、そういうものかしら。　なら、聞いてあげてもいいわ」

巴「うむ」

巴「まずはな、胸には血糊を入れとけ」

麗奈「なんでやられる前提なのよ!」

巴「組長はな、大抵やられるものなんじゃ。映画は強いモンがやられんと成立せんからのお」

巴「でも組長がそれだけ巨大な存在だからこそ物語が面白くなる。誇りをもって演じにゃならん」

麗奈「そうよね、巨悪……いい響きだわ!　ま、ドン・レイナサマはそう簡単にはやられないけれどね!」

巴「次にな、仕込み杖を持つ。杖に刀やチャカが隠されているヤツじゃな」

麗奈「あら、ドッキリアイテムみたいで悪くないわね。アタシにはピッタリかも。」

巴「そういえば麗奈はバズーカ作ったりしとったな。チャカの方が似合っとるかもしれん」

麗奈「ええ、色々作ったわ。でも杖に隠せるようなサイズだとあんまり出力が強いのは無理ね。
でもビックリさせるなら大きな音は出したいし、もう一度あの火薬取り扱いの本を読み返して……」

巴「案外マジメなんじゃなぁ」

巴「あとは刺青。実際に掘るのはアイドルとしてあり得んしシールとかを使う。」

麗奈「巴もお仕事で付けてたことあったわね。アタシが付けるなら……ドクロマークかしら。」

巴「麗奈らしくてええと思うぞ。」

麗奈「よっし、自信出てきた!　アドバイス感謝するわ、巴!」

巴「おう!　頑張れよ!」

――――――お仕事前の打合わせにて

スタッフ「これを胸のあたりに着けてもらいます」

麗奈「血糊ね!」

スタッフ「ただのネクタイピンです!　やられたいんですか!?」

麗奈「肌出るところないんだけれど、このドクロ刺青シールどこに張ればいいのかしら……?」

スタッフ「刺青……?　とりあえずそのマークはネクタイにあしらってみましょう」

麗奈「いいわね、それ!」

スタッフ「あと、この杖を持ってもらいます」

麗奈「仕込み杖ね!」

スタッフ「小関さん、まずイメージのすり合わせをしましょう」

このあとスタッフみんなでゴッドファーザーの上映会をした。

―――――お仕事後

麗奈「巴の教えてくれたこと、ちょっとズレてたみたいだけれど会議は盛り上がったわ。ありがと、ね」

麗奈「この映画面白かったから巴も一緒に観ましょ」

巴「どういたしまして。あんまり外国の映画は観ないから楽しみじゃな」

麗奈「あ、でも仕込み杖は作ってみたのよ。銃声を出す機能とか血糊噴出機能とかドクロスタンプとか組み込んで力作だったの」

巴「全部入れてどうするんじゃ！？」

麗奈「ただ……」

巴「？」

麗奈「色々詰め込んだせいで……重くて持ち上がらなかったわ……」

―　終　―