【プリパラ】のん「雨でもいつも晴れ」 (14)

梅雨ってほんと嫌い。雨がよく降るから、濡れるのが嫌だし、髪の毛が痛んじゃうから最悪。だから、学校とプリパラ以外ではなるべく外には出たくない。
なのに、そんな日に限って、ママからおつかい頼まれちゃって、仕方なく今は外にいる。おつかいは終わったし、早く家に帰りたいなあ。

そう思いながら、早歩きで家に帰る途中で、ふと思ったことがあった。あの2人なら梅雨の時、どうしてるのかなと。
ちりはお嬢様だしそもそも雨の中外に出なさそう。車で送ってもらってるし、そもそもおつかいなんて頼まれなさそうだし。

ペッパーは……なんか普通に外に遊んでるイメージしかない。前にサパンナで雨乞いしてた話してたし、それ以外のイメージが全く思い浮かばない

「うほほーい!」

そうそうこんな感じこんな感じ。

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……あれ?今、ペッパーの声が聞こえたような。なんとなく横を見てみると。

「うっほほーい!雨だ雨だー!」

ほんとにペッパーがいた。

「ペッパー!何やってるの?!」
「のん!雨降ってたから遊んでた!」

まさか……本当に雨の中、外で遊ぶ子だったんだね、ペッパーって。

「そんな格好じゃ風邪ひいちゃうでしょ!」
「風邪?サパンナの時はなんともなかった!」
「サパンナでは大丈夫でも、ここはダメなの!」
「はーい」

とりあえずペッパーを連れていかないと。いつまでも雨の中外で遊んでるのを見過ごす訳にもいかない。

「ほら行くよ!」
「のんの家か?」
「そうじゃなくて!」

──あれ、でも私はおつかいから帰る途中だし、それにここから学校まで行くのはめんどくさいし……

「……わかった、私の家ね」
「やったー!のんの家ー!」

まあママにはちゃんと説明すればいいか。あとペッパーがいつまでも濡れちゃまずいから。

「はい」
「ん?それくれるのか?」
「貸すだけ!ペッパーのほうが背高いんだから持っててよね!」
「わかった!」

ペッパーのほうが背が高いから、ペッパーが傘をさす。私の傘なのになんか変な感じ。

「なんであそこで遊んでたの?」
「んー?かーちゃんいなかったし、つまんなかったから!」
「はあ、そう言うことね」

ペッパーらしいと言うか。まあでも注意はちゃんとしておかないとね。

「でもペッパー、雨の時はおとなしくしてないとダメ!」
「でもつまんなーい!」
「校長先生に怒られたいの?」
「……はーい」

いつも通り注意するけど、この時はどうしてもいいたいことがあって。

「それにペッパーが風邪ひいちゃったら、私が寂しくなっちゃうから」
「のん……」
「ライブができなくなったら困るし、ノンシュガーにはペッパーがいないとダメ。だからペッパーには元気でいてほしいの!」
「……わかった。のんがそう言うなら約束する!約束、大事!」
「ありがとう、ペッパー。約束ね」

なんか恥ずかしいこと言っちゃった気がするけど、まあ……いいか。

そんなことを話してるうちに気がつくともう家の前。とりあえず早く家に入りたい。

「ただいまー」
「おかえり、のん。あら、ペッパーちゃんも一緒なのね」
「うん、傘さしてないのに外いたの見たから。シャワー浴びさせてもいいよね?」
「ええ、大丈夫よ。着替えは用意しておくから」
「ありがとうママ。おつかい頼まれてたの、渡しておくね」
「ほらペッパー、とりあえずタオル」
「ほーい」

タオルを渡そうとふとペッパーをみて、思わずドキッとしてしまった。雨で濡れてるのもあってか、かわいく見える。思わず見とれてしまいそうだった。

「のん?」

ペッパーの一言でハッとした。私ったら何考えてるんだろう。

「ごめんごめん、これで早く拭いて」

改めてタオルを渡すと、ペッパーが頭を拭き始める。なぜだろう、思わず見惚れてしまう。ペッパーってこんなに可愛かったっけ。

「ほらのん、拭き終わったぞ」
「はい、じゃあこっち来て」

このままペッパーの顔を見続けるのも色々まずいって思って、ちゃっちゃと洗面所まで案内する。

「じゃあここで脱いでシャワー浴びてきて」
「のんは入らないのか?」
「え、別に私は濡れてないから」
「あたい、のんと一緒がいい……」

そんなことを涙目で言われたら困る。

「もう仕方ないなあ」
「のん!ありがとう!」

たぶんやばいことになりそう、かも。

ペッパーがシャワーを浴びている。小学1年生のくせに体はなんだか大人っぽくて羨ましい。

「のん、背中洗って!」
「はいはい」

でも性格は小学1年生のままだから、改めて不思議な子だなって思う。もしかしてこれが『ギャップ』なのかな?……どうなんだろう。

「はい、じゃあ流すよ」
「うほい!」

そんなことを考えてしまう私はなんなんだろうか。

「じゃあ次はあたいがのん洗う!」
「いいよ、私は別に」
「あたいは洗いたい!」
「もう、わかったから!」

ペッパーにはなんと言うか逆らえない。

そんな感じでシャワーは普通に浴び終わって、私の部屋にペッパーといる。外は相変わらずの雨。

「ペッパー、このあとどうするの?」
「うーん、わかんない!」
「だよねー」

校長先生に電話したほうがいいのかなって思うと、ママが私の部屋に入ってきた。

「校長先生からペッパーちゃんのことで電話かかってきたわよ。話は伝えたから、今日は泊まっていきなさい」
「のんの家に泊まってもいいのか?!」
「ええ、のんさえよければ」
「のん?のんはあたいいても大丈夫か?」

ペッパーが泊まる……。

もちろん答えは1つしか無くて。

「うん!いいよ!」
「ありがとうのん!えへへ、のん好き!」

そう言って急にペッパーが抱きついてくる。いつもなら引き離そうとするけど、今日はなんか抱きつき返してしまった。

「お、今日ののん、何か違う」
「今日は……特別だからいいの!」
「あたい、嬉しいぞ!」
「……ありがとう」

やっぱり恥ずかしい。でももういいや。知らない。

それから、一緒にご飯を食べて、歯みがきして、その後どうしようかなって考えてたら。

「のん、あたい眠い……」

ペッパーが疲れちゃったみたいで。

「もう、雨の中遊ぶからだよ」
「ごめんな、のん」
「ううん、わかってくれればそれでいいの」

でも、何かペッパーは少し不満そうだったから。

「また明日一緒に遊ぼうよ。今日は寝よ?」
「うん、わかった」

ペッパーをベッドに入れたら、よほど疲れたのかもう寝てしまった。

「全くもう……」

私もベッドに入って、なんとなくペッパーの寝顔を見た。なんだかとても幸せな気分になれた。

「おやすみ、ペッパー」

そう呟いて、私は目を閉じた。



梅雨は嫌い。だけど、梅雨のおかげで太陽と会えたから好き。そんなことを思いながら、私は楽しい明日まで眠りについたのだった。



- 雨でもいつも晴れ -

そういや6月は梅雨だったねー、って急に思いついて書きました
ありがとうございました

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